(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
本発明は、(a)親リパーゼのリパーゼ変異体であって、配列番号2と少なくとも60%の配列同一性を有し、配列番号2の成熟型ポリペプチドのD254に対応する位置に置換を有し、および、リパーゼ活性を有する変異体、ならびに、(b)アニオン性界面活性剤を導入するステップを含む洗剤組成物を得る方法であって、前記組成物が、親リパーゼを含む対応する組成物と比して高い安定性を有する方法に関する。
(a)親リパーゼのリパーゼ変異体であって、配列番号2と少なくとも60%の配列同一性を有し、前記配列番号2の成熟型ポリペプチドのD254に対応する位置に置換を有し、および、リパーゼ活性を有する変異体、ならびに、(b)アニオン性界面活性剤を導入するステップを含む洗剤組成物を得る方法であって、前記組成物が、前記親リパーゼを含む対応する組成物と比して高い安定性を有する方法。
少なくとも1種の前記アニオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、LASの異性体、分岐アルキルベンゼンスルホネート(BABS)、フェニルアルカンスルホネート、α−オレフィンスルホネート(AOS)、オレフィンスルホネート、アルケンスルホネート、アルカン−2,3−ジイルビス(スルフェート)、ヒドロキシアルカンスルホネートおよびジスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのアルキルスルフェート(AS)、脂肪族アルコールスルフェート(FAS)、第1級アルコールスルフェート(PAS)、アルコールエーテルスルフェート(アルコールエトキシスルフェートまたは脂肪族アルコールエーテルスルフェートとしても公知であるAESまたはAEOSまたはFES)、第2級アルカンスルホネート(SAS)、パラフィンスルホネート(PS)、エステルスルホネート、スルホン化脂肪酸グリセロールエステル、メチルエステルスルホネート(MES)を含むα−スルホ脂肪酸メチルエステル(α−SFMeまたはSES)、アルキルコハク酸またはアルケニルコハク酸、ドデセニル/テトラデセニルコハク酸(DTSA)、アミノ酸の脂肪酸誘導体、スルホコハク酸のジエステルおよびモノエステル、セッケン、または、これらのいずれかの組み合わせである、請求項1または2に記載の方法。
前記リパーゼ変異体が、配列番号2の成熟型ポリペプチドに対して、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%であるが、100%未満の配列同一性を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
前記リパーゼ変異体が、中ストリンジェンシー条件、中−高ストリンジェンシー条件、高ストリンジェンシー条件または超高ストリンジェンシー条件下で、(i)前記配列番号1の成熟型ポリペプチドコード配列または(ii)前記(i)の完全長補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
前記置換の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20置換などの、例えば1〜10および1〜5などの1〜20置換である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
前記配列番号2の成熟型ポリペプチドの位置N33Q、T231Rおよび/またはN233Rに対応する1つまたは複数の位置に置換をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
前記親リパーゼが、前記配列番号2の成熟型ポリペプチドを含むか、または、前記配列番号2の成熟型ポリペプチドから構成される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、(a)親リパーゼのリパーゼ変異体であって、配列番号2と少なくとも60%の配列同一性を有し、配列番号2の成熟型ポリペプチドのD254に対応する位置に置換を有し、および、リパーゼ活性を有する変異体、ならびに、(b)アニオン性界面活性剤を導入するステップを含む洗剤組成物を得る方法であって、前記組成物が、親リパーゼを含む対応する組成物と比して高い安定性を有する方法に関する。
【0005】
定義
リパーゼ:「リパーゼ」または「脂肪分解酵素」または「脂質エステラーゼ」という用語は、酵素命名法により定義されるクラスEC3.1,1中の酵素である。これは、リパーゼ活性(トリアシルグリセロールリパーゼ、EC3.1.1.3)、クチナーゼ活性(EC3.1.1.74)、ステロールエステラーゼ活性(EC3.1.1.13)および/またはワックス−エステルヒドロラーゼ活性(EC3.1.1.50)を有していてもよい。本発明の目的に関して、リパーゼ活性は、実施例において記載されている手法に従って判定される。一態様において、本発明の変異体は、配列番号2の成熟型ポリペプチドの少なくとも20%、例えば、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%のリパーゼ活性を有する。
【0006】
突然変異体:「突然変異体」という用語は、同一の染色体座を占める遺伝子の2つ以上の代替形態のいずれかを意味する。突然変異体は突然変異を介して自然に生じ、個体群において多型性をもたらし得る。遺伝子突然変異は、非表現性(コードされるポリペプチドに変化無し)であることが可能であり、または、異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドがコードされ得る。ポリペプチドの突然変異体は、遺伝子の突然変異体によってコードされたポリペプチドである。
【0007】
cDNA:「cDNA」という用語は、真核細胞または原核細胞から得られたスプライスされた成熟mRNA分子から逆転写によって調製可能であるDNA分子を意味する。cDNAは、対応するゲノムDNA中に存在し得るイントロン配列を欠いている。元の一次RNA転写物は、スプライスされた成熟mRNAとして出現する前にスプライシングを含む一連のステップを介して処理されるmRNAに対する前駆体である。
【0008】
コード配列:「コード配列」という用語は、変異体のアミノ酸配列を直接特定するポリヌクレオチドを意味する。コード配列の境界は、一般にオープンリーディングフレームによって判定され、ATG、GTGまたはTTGなどの開始コドンで始まり、TAA、TAGまたはTGAなどの終止コドンで終わる。コード配列は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNAまたはこれらの組み合わせであり得る。
【0009】
制御配列:「制御配列」という用語は、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドの発現に必要な核酸配列を意味する。各制御配列は、変異体をコードするポリヌクレオチドに対して自生(すなわち同じ遺伝子由来)であっても外来性(すなわち異なる遺伝子由来)であってもよく、または、相互に自生であっても外来性であってもよい。このような制御配列としては、これらに限定されないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモータ、シグナルペプチド配列、および、転写ターミネータが挙げられる。制御配列としては、プロモータ、ならびに、転写および翻訳停止シグナルが最低限挙げられる。制御配列は、変異体をコードするポリヌクレオチドのコード領域との制御配列の連結反応を促進させる特定の制限部位を導入するために、リンカーと共に提供され得る。
【0010】
発現:「発現」という用語は、変異体の生成に関与するいずれかのステップを含み、特にこれらに限定されないが、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾および分泌が挙げられる。
【0011】
発現ベクター:「発現ベクター」という用語は、変異体をコードするポリヌクレオチドを含み、また、発現をもたらす制御配列に作動可能に結合している直線状または環状のDNA分子を意味する。
【0012】
断片:「断片」という用語は、成熟型ポリペプチドのアミノおよび/またはカルボキシル末端から欠失された1つまたは複数(例えばいくつか)のアミノ酸を有するポリペプチドを意味し;ここで、断片はリパーゼ活性を有する。一態様において、断片は、成熟型ポリペプチドのアミノ酸の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%および少なくとも95%の数のアミノ酸を含有する。
【0013】
高ストリンジェンシー条件:「高ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化および修飾サケ精子DNA、ならびに、50%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション、これに続く、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて65℃で3回洗浄される。
【0014】
宿主細胞:「宿主細胞」という用語は、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸構築物または発現ベクターを伴う形質転換、形質移入、形質導入または類似のものに対する感受性を有するいずれかの細胞タイプを意味する。「宿主細胞」という用語は、複製の最中に生じる突然変異によって親細胞とは異なっている親細胞のいずれかの子孫を包含する。
【0015】
向上した特性:「向上した特性」という用語は、親と比して向上した変異体に関連する特徴を意味する。このような向上した特性としては、これらに限定されないが、化学安定性、酸化安定性、pH安定性、保管条件下での安定性、界面活性剤および界面活性剤ミセルに対する安定性、ならびに、熱安定性が挙げられる。
【0016】
単離された:「単離された」という用語は、自然界においては生じない形態または環境にある物質を意味する。単離された物質の非限定的な例としては、(1)いずれかの非天然物質、(2)特にこれらに限定されないが、自然界において関連している天然構成成分の1種以上もしくはすべてが少なくとも部分的に除去されたいずれかの酵素、変異体、核酸、タンパク質、ペプチドもしくは補助因子を含むいずれかの物質;(3)自然界において見出される物質と相対的に人工的に修飾されたいずれかの物質;または、(4)自然界において関連している他の成分に対する物質の量を増やすことにより修飾されたいずれかの物質(例えば、物質をコードする遺伝子の複数のコピー;物質をコードする遺伝子と自然界で関連しているプロモータより強力なプロモータの使用)が挙げられる。単離された物質は、発酵液体培地サンプル中に存在し得る。
【0017】
低ストリンジェンシー条件:「低ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化および修飾サケ精子DNA、ならびに、25%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション、これに続く、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて50℃で3回洗浄される。
【0018】
成熟ポリペプチド:「成熟ポリペプチド」という用語は、N−末端処理、C−末端切断、グリコシル化、リン酸化等などの、翻訳および任意の翻訳後修飾の後におけるその最終形態でのポリペプチドを意味する。一態様において、成熟ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜269である。
【0019】
成熟型ポリペプチドコード配列:「成熟型ポリペプチドコード配列」という用語は、リパーゼ活性を有する成熟型ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。一態様において、成熟型ポリペプチドコード配列は、配列番号1のヌクレオチド67〜873である。
【0020】
中ストリンジェンシー条件:「中ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化および修飾サケ精子DNA、ならびに、35%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション、これに続く、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて55℃で3回洗浄される。
【0021】
中−高ストリンジェンシー条件:「中−高ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化および修飾サケ精子DNA、ならびに、35%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション、これに続く、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて60℃で3回洗浄される。
【0022】
ミュータント:「ミュータント」という用語は、変異体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0023】
核酸構築物:「核酸構築物」という用語は、一本鎖もしくは二本鎖である核酸分子を意味し、これは、天然遺伝子から単離されるか、または、本来自然には存在し得ないような核酸のセグメント、もしくは、合成された、1つまたは複数の制御配列を含む核酸のセグメントを含有するよう修飾されている。
【0024】
作動可能に結合:「作動可能に結合」という用語は、制御配列がコード配列の発現をもたらすよう、ポリヌクレオチドのコード配列と比して制御配列が適切な位置に位置されている構成を意味する。
【0025】
親または親リパーゼ:「親」または「親リパーゼ」という用語は、本発明の酵素変異体をもたらすために置換が行われるリパーゼを意味する。親は、天然の(野生型)ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片であり得る。
【0026】
配列同一性:2つのアミノ酸配列間または2つのヌクレオチド配列間の関連性が、「配列同一性」というパラメータによって記載される。
【0027】
本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、好ましくはバージョン5.0.0以降のEMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276−277)のNeedleプログラムにおいて実装されている、Needleman−Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443−453)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティおよびEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSボージョン)置換マトリックスである。Needle標識された「最長の同一性」(−nobriefオプションを用いて得られる)の出力が同一性割合として用いられ、以下のとおり算出される。
(同等の残基×100)/(アラインメントの長さ−アラインメント中のギャップの総数)
【0028】
本発明の目的のために、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の配列同一性は、EMBOSS package(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,supra)、好ましくはバージョン5.0.0以降のNeedle programに実装されているNeedleman−Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,supra)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティ、および、EDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識された「最長の同一性」(−nobriefオプションを用いて得られる)の出力が同一性割合として用いられ、以下のとおり算出される。
(同等のデオキシリボヌクレオチド×100)/(アライメントの長さ−アライメントにおけるギャップの総数)
【0029】
サブ配列:「サブ配列」という用語は、成熟型ポリペプチドコード配列の5’および/または3’末端から欠失された1つまたは複数(例えばいくつか)のヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを意味し;ここで、サブ配列は、リパーゼ活性を有する断片をコードする。一態様において、サブ配列は、成熟型ポリペプチドをコードするヌクレオチドの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%および少なくとも95%の数のヌクレオチドを含有する。
【0030】
変異体:「変異体」という用語は、1つまたは複数(例えばいくつか)の位置で置換を含む、リパーゼ活性を有するポリペプチドを意味する。置換とは、ある位置に存在するアミノ酸と異なるアミノ酸との置き換えを意味する。本発明の変異体は、配列番号2の成熟型ポリペプチドの少なくとも20%、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%のリパーゼ活性を有する。
【0031】
超高ストリンジェンシー条件:「超高ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化および修飾サケ精子DNA、ならびに、50%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション、これに続く、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて70℃で3回洗浄される。
【0032】
超低ストリンジェンシー条件:「超低ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化および修飾サケ精子DNA、ならびに、25%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション、これに続く、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて45℃で3回洗浄される。
【0033】
野生型リパーゼ:「野生型」リパーゼという用語は、自然界において見出されるバクテリア、イースト菌または糸状菌などの天然の微生物によって発現されるリパーゼを意味する。
【0034】
従来の変異体の決定
本発明の目的のために、配列番号2において開示されている成熟型ポリペプチドが、他のリパーゼにおける対応するアミノ酸残渣の決定に用いられる。他のリパーゼのアミノ酸配列が配列番号2に開示される成熟ポリペプチドと共にアラインされ、アライメントに基づいて、配列番号2において開示されている成熟ポリペプチド中の任意のアミノ酸残基に対応するアミノ酸位置番号が、EMBOSS package(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276−277)、好ましくはバージョン5.0.0以降のNeedle programに実装されているNeedleman−Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443−453)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティ、および、EBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。
【0035】
他のリパーゼにおける対応するアミノ酸残基の同定は、特にこれらに限定されないが、MUSCLE(multiple sequence comparison by log‐expectation;バージョン3.5以降;Edgar,2004,Nucleic Acids Research 32:1792−1797)、MAFFT(バージョン6.857以降;Katoh and Kuma,2002,Nucleic Acids Research 30:3059−3066;Katoh et al.,2005,Nucleic Acids Research 33:511−518;Katoh and Toh,2007,Bioinformatics 23:372−374;Katoh et al.,2009,Methods in Molecular Biology 537:39−64;Katoh and Toh,2010,Bioinformatics 26:1899−1900)、および、ClustalWを採用するEMBOSS EMMA(1.83以降;Thompson et al.,1994,Nucleic Acids Research 22:4673−4680)を含むいくつかのコンピュータプログラムを、それぞれのデフォルトパラメータで用いることによる複数のポリペプチド配列のアライメントにより判定可能である。
【0036】
配列番号2の成熟型ポリペプチドから他の酵素が分化して、従来からの配列に基づく比較による関係の検出ができない場合(Lindahl and Elofsson,2000,J.Mol.Biol.295:613−615)、他の対配列比較アルゴリズムを用いることが可能である。配列に基づくサーチにおける感度は、データベースのサーチにポリペプチドファミリー(プロファイル)の確率表現を利用するサーチプログラムを用いることで高めることが可能である。例えば、PSI−BLASTプログラムは、反復データベースサーチプロセスを介してプロファイルを生成し、離れた相同体を検出することが可能である(Atschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389−3402)。ポリペプチドに係るファミリーまたはスーパーファミリーがタンパク質構造データベースにおいて1つまたは複数の表現を有する場合には、感度をさらに高めることが可能である。GenTHREADER(Jones,1999,J.Mol.Biol.287:797−815;McGuffin and Jones,2003,Bioinformatics 19:874−881)などのプログラムは、問い合わせ配列に係るフォールド構造を予想するニューラルネットワークに対する入力として、多様なソース(PSI−BLAST、二次構造予測、構造アラインメントプロファイルおよび溶媒和ポテンシャル)からの情報を利用する。同様に、Gough et al.,2000,J.Mol.Biol.313:903−919による方法が、未知の構造の配列とSCOPデータベースに存在するスーパーファミリーモデルとのアラインに用いられることが可能である。次いで、これらのアラインメントを用いてポリペプチドに係る相同性モデルを生成することが可能であり、このようなモデルは、その目的のために開発された多様なツールを用いて正確に評価可能である。
【0037】
公知の構造のタンパク質に関して、数々のツールおよびリソースが、構造アラインメントの検索および生成のために使用可能である。例えばタンパク質のSCOPスーパーファミリーが構造的にアラインされており、これらのアラインメントはアクセスおよびダウンロードが可能である。2つ以上のタンパク質構造は距離アラインメントマトリックス(Holm and Sander,1998,Proteins 33:88−96)または組み合わせ拡張法(Shindyalov and Bourne,1998,Protein Engineering 11:739−747)などの多様なアルゴリズムを用いてアラインすることが可能であり、これらのアルゴリズムを、可能性のある構造相同体を発見するために、対象の構造と共に問い合わせ構造データベースに対して追加的に実行することが可能である(例えば、Holm and Park,2000,Bioinformatics 16:566−567)。
【0038】
本発明の変異体の記載において、以下の命名法が参照を容易とするために採用される。公認されているIUPACの1文字または3文字のアミノ酸略記が利用されている。
【0039】
置換.アミノ酸置換に関しては以下の命名法が用いられている:元のアミノ酸、位置、置換されたアミノ酸。従って、位置226でのスレオニンのアラニンでの置換は、「Thr226Ala」または「T226A」と示される。複数の突然変異は加算記号(「+」)によって分けられており、例えば、「Gly205Arg+Ser411Phe」または「G205R+S411F」とされ、それぞれ、グリシン(G)のアルギニン(R)による、および、セリン(S)のフェニルアラニン(F)による位置205および411での置換が表されている。
【0040】
複数の置換。複数の置換を含む変異体は記号(「+」)を加えることで区分されており、例えば、「Arg170Tyr+Gly195Glu」または「R170Y+G195E」は、それぞれ、位置170および195におけるチロシンおよびグルタミン酸によるアルギニンおよびグリシンの置換を表す。
【0041】
異なる置換。1つの位置に異なる置換を導入することが可能である場合、異なる置換はコンマによって区分されており、例えば、「Arg170Tyr,Glu」は、位置170におけるチロシンまたはグルタミン酸によるアルギニンの置換を表す。それ故、「Tyr167Gly,Ala+Arg170Gly,Ala」は、以下の変異体を示す:「Tyr167Gly+Arg170Gly」、「Tyr167Gly+Arg170Ala」、「Tyr167Ala+Arg170Gly」および「Tyr167Ala+Arg170Ala」。
【発明を実施するための形態】
【0042】
発明の詳細な説明
本発明は、配列番号2と少なくとも60%の配列同一性を有する親リパーゼから誘導されたリパーゼ変異体に関し、この変異体は、リパーゼ活性を有すると共に、親リパーゼと比して、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む洗剤組成物を得るために配列番号2の成熟型ポリペプチドのD254に対応する位置に置換を含み、この組成物は、親リパーゼを含む対応する組成物と比してより安定である。
【0043】
さらに、本発明は、洗剤組成物、および、これを入手する方法を提供する。
【0044】
変異体
一実施形態において、変異体は、配列番号2と少なくとも60%の配列同一性を有する親リパーゼから誘導されたリパーゼ変異体であり、この変異体は、リパーゼ活性を有すると共に、親リパーゼと比して、配列番号2の成熟型ポリペプチドのD254に対応する位置に置換を含むと共に、親リパーゼと比して、アニオン性界面活性剤の存在下でより安定である。
【0045】
一実施形態において、変異体は、親リパーゼのアミノ酸配列に対して、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%であるが、100%未満などの少なくとも60%の配列同一性を有する。
【0046】
他の実施形態において、変異体は、配列番号2の成熟型ポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%であって、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%であるが、100%未満などの配列同一性を有する。
【0047】
一態様において、本発明の変異体中の置換の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個などの例えば、1〜10および1〜5などの1〜20個の置換である。
【0048】
他の態様において、変異体は、配列番号2の成熟型ポリペプチドの254に対応する位置に置換を含む。他の態様において、変異体は、位置254と、位置33、231および233のいずれかとに対応する2つの位置において置換を含む。他の態様において、変異体は、254と、位置33、231および233のいずれかとに対応する3つの位置において置換を含む。他の態様において、変異体は、位置22、231、233および254に対応する位置の各々において置換を含む。
【0049】
他の態様において、変異体は、位置254に対応する位置における置換を含むか、または、この置換から構成される。他の態様においては、位置254に対応する位置におけるアミノ酸が、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrまたはValで置換される。他の態様において、変異体は、配列番号2の成熟型ポリペプチドの置換D254S,T,N,Y,H,L,Qを含むか、または、これから構成される。
【0050】
他の態様において、変異体はさらに、位置33に対応する位置における置換を含むか、または、この置換から構成される。他の態様においては、位置33に対応する位置におけるアミノ酸が、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrまたはValで置換される。他の態様において、変異体は、配列番号2の成熟型ポリペプチドの置換N33Qを含む。
【0051】
他の態様において、変異体はさらに、位置231に対応する位置における置換を含むか、または、この置換から構成される。他の態様においては、位置231に対応する位置におけるアミノ酸が、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrまたはValで置換される。他の態様において、変異体は、配列番号2の成熟型ポリペプチドの置換T231Rを含む。
【0052】
他の態様において、変異体はさらに、位置233に対応する位置における置換を含むか、または、この置換から構成される。他の態様においては、位置233に対応する位置におけるアミノ酸が、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrまたはValで置換される。他の態様において、変異体は、配列番号2の成熟型ポリペプチドの置換N233Rを含む。
【0053】
他の態様において、変異体は、上記のものなどの、位置D254S,T,N,Y,H,L,QおよびN33Qに対応する位置において、置換を含むか、または、この置換から構成される。
【0054】
他の態様において、変異体は、上記のものなどの、位置D254S,T,N,Y,H,L,QおよびT231Rに対応する位置において、置換を含むか、または、この置換から構成される。
【0055】
他の態様において、変異体は、上記のものなどの、位置D254S,T,N,Y,H,L,QおよびN233Rに対応する位置において、置換を含むか、または、この置換から構成される。
【0056】
他の態様において、変異体は、上記のものなどの、位置D254S,T,N,Y,H,L,Q、N33QおよびT231Rに対応する位置において、置換を含むか、または、この置換から構成される。
【0057】
他の態様において、変異体は、上記のものなどの、位置D254S,T,N,Y,H,L,Q、N33QおよびN233Rに対応する位置において、置換を含むか、または、この置換から構成される。
【0058】
他の態様において、変異体は、上記のものなどの、位置D254S,T,N,Y,H,L,Q、N33Q、T231RおよびN233Rに対応する位置において、置換を含むか、または、この置換から構成される。
【0059】
変異体は、1つまたは複数(例えばいくつか)の他の位置において、1つまたは複数の追加の置換をさらに含んでいてもよい。
【0060】
他の態様において、変異体は:T231R+D254S;N233R+D254S;T231R+N233R+D254S;N33Q+D254S;N33Q+T231R+D254S;N33Q+N233R+D254S;N33Q+T231R+N233R+D254S;T231R+D254T;N233R+D254T;T231R+N233R+D254T;N33Q+D254T;N33Q+T231R+D254T;N33Q+N233R+D254T;N33Q+T231R+N233R+D254T;T231R+D254N;N233R+D254N;T231R+N233R+D254N;N33Q+D254N;N33Q+T231R+D254N;N33Q+N233R+D254N;N33Q+T231R+N233R+D254N;T231R+D254Y;N233R+D254Y;T231R+N233R+D254Y;N33Q+D254Y;N33Q+T231R+D254Y;N33Q+N233R+D254Y;N33Q+T231R+N233R+D254Y;T231R+D254H;N233R+D254H;T231R+N233R+D254H;N33Q+D254H;N33Q+T231R+D254H;N33Q+N233R+D254H;N33Q+T231R+N233R+D254H;T231R+D254L;N233R+D254L;T231R+N233R+D254L;N33Q+D254L;N33Q+T231R+D254L;N33Q+N233R+D254L;N33Q+T231R+N233R+D254L;T231R+D254Q;N233R+D254Q;T231R+N233R+D254Q;N33Q+D254Q;N33Q+T231R+D254Q;N33Q+N233R+D254Q;または、N33Q+T231R+N233R+D254Qから選択される置換を含むか、または、この置換から構成される。
【0061】
アミノ酸の変更は軽微なものであり得、すなわち、タンパク質の折り畳みおよび/または活性に顕著に影響しない保存的アミノ酸置換または挿入;典型的には1〜30アミノ酸の微小な欠失;アミノ末端メチオニン残基などの微小なアミノ−またはカルボキシル−末端延伸;20〜25残基以下の小リンカーペプチド;または、正味の電荷または他の機能を変えることにより精製を容易とする、ポリヒスチジン配列、抗原エピトープもしくは結合ドメインなどの微小な延伸であり得る。
【0062】
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシンおよびヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミンおよびアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシンおよびバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシン)、ならびに、低分子アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、スレオニンおよびメチオニン)の群に含まれるものによる。一般に比活性を変化させないアミノ酸置換は技術分野において公知であり、例えば、H.Neurath and R.L.Hill,1979,In,The Proteins,Academic Press,New Yorkに記載されている。一般的な置換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/GluおよびAsp/Glyである。
【0063】
あるいは、アミノ酸の変更は、ポリペプチドの物理化学的特性を変化させるようなものである。例えば、アミノ酸の変更は、ポリペプチドの熱安定性を向上させ、基質特異性を変化させ、最適なpHを変化させたりし得る。
【0064】
ポリペプチド中の必須アミノ酸は、部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャニング突然変異誘発などの技術分野において公知である手法に準拠して同定することが可能である(Cunningham and Wells,1989,Science 244:1081−1085)。後者の技術においては、単一のアラニン突然変異が分子中のすべての残基に導入され、得られるミュータント分子は、分子の活性に重要であるアミノ酸残基を同定するためにリパーゼ活性についてテストされる。また、Hilton et al.,1996,J.Biol.Chem.271:4699−4708を参照のこと。酵素の活性部位または他の生物学的相互作用はまた、推定される接触部位アミノ酸の突然変異との組み合わせにより、核磁気共嗚、結晶構造解析、電子回折、または、光親和性標識などの技術によって測定される構造の物理的分析によって判定可能である。例えば、de Vos et al.,1992,Science 255:306−312;Smith et al.,1992,J.Mol.Biol.224:899−904;Wlodaver et al.,1992,FEBS Lett.309:59−64を参照のこと。必須アミノ酸の同一性はまた、関連するポリペプチドとのアライメントから推定可能である。
【0065】
変異体は、例えば、200〜400、250〜350、および、約300個のアミノ酸などの150〜450個のアミノ酸から構成され得る。
【0066】
一実施形態において、変異体は、親酵素と比して、向上した化学安定性を有する。
【0067】
一実施形態において、変異体は、親酵素と比して、向上した酸化安定性を有する。
【0068】
一実施形態において、変異体は、親酵素と比して、向上したpH安定性を有する。
【0069】
一実施形態において、変異体は、親酵素と比して、保管条件下で向上した安定性を有する。
【0070】
一実施形態において、変異体は、親酵素と比して、界面活性剤に対して向上した安定性を有する。
【0071】
一実施形態において、変異体は、親酵素と比して、向上した基質安定性を有する。
【0072】
一実施形態において、変異体は、親酵素と比して、向上した熱安定性を有する。
【0073】
親リパーゼ
親リパーゼは、(a)配列番号2の成熟型ポリペプチドに対して少なくとも60%の配列同一性を有するポリペプチド;(b)低ストリンジェンシー条件下で、(i)配列番号1の成熟型ポリペプチドコード配列、もしくは、(ii)(i)の完全長補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;または、(c)配列番号1の成熟型ポリペプチドコード配列に対して少なくとも60%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドであり得る。
【0074】
一態様において、親は、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のリパーゼ活性を有する配列番号2の成熟型ポリペプチドに対する配列同一性を有する。一態様において、親のアミノ酸配列と、配列番号2の成熟型ポリペプチドとの差異は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9個などの10個以下のアミノ酸である。
【0075】
他の態様において、親は、配列番号2のアミノ酸配列を含むか、または、これらから構成される。他の態様において、親は、配列番号2の成熟型ポリペプチドを含むか、または、これらから構成される。他の態様において、親は、配列番号2の1〜269のアミノ酸を含むか、または、これらから構成される。
【0076】
他の態様において、親は、配列番号2の成熟型ポリペプチドのアミノ酸の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の数のアミノ酸を含有する断片である。
【0077】
他の実施形態において、親は、配列番号2の成熟型ポリペプチドの対立変異体である。
【0078】
他の態様において、親は、超低ストリンジェンシー条件、低ストリンジェンシー条件、中ストリンジェンシー条件、中−高ストリンジェンシー条件、高ストリンジェンシー条件、または、超高ストリンジェンシー条件下で、(i)配列番号1の成熟型ポリペプチドコード配列、または、(ii)(i)もしくは(ii)の完全長補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる(Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d edition,Cold Spring Harbor,New York)。
【0079】
配列番号1のポリヌクレオチドまたはそのサブ配列、ならびに、配列番号2のポリペプチドまたはその断片は、技術分野において周知である方法に従って異なる属もしくは種の菌株から親をコードするDNAを同定およびクローン化するよう核酸プローブを設計するために用いられ得る。特に、このようなプローブは、その対応する遺伝子を同定および単離ために、標準的なサザンブロッティング法に続いて、対象細胞のゲノムDNAまたはcDNAを伴うハイブリダイゼーションのために用いられることが可能である。このようなプローブは、配列全体よりもかなり短いことが可能であるが、少なくとも15、例えば、少なくとも25、少なくとも35または少なくとも70ヌクレオチドの長さであるべきである。好ましくは、核酸プローブは、例えば、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも600ヌクレオチド、少なくとも700ヌクレオチド、少なくとも800ヌクレオチドまたは少なくとも900ヌクレオチドの長さなどの、少なくとも100ヌクレオチドの長さである。DNAおよびRNAプローブの両方が用いられることが可能である。プローブは、典型的には、対応する遺伝子を検出するために標識化される(例えば、
32P、
3H、
35S、ビオチンまたはアビジンで)。このようなプローブは本発明によって包含される。
【0080】
このような他の株から調製したゲノムDNAもしくはcDNAライブラリは、上記のプローブとハイブリダイズし、親をコードするDNAについてスクリーニングされ得る。このような他の株由来のゲノムまたは他のDNAは、アガロースもしくはポリアクリルアミドゲル電気泳動、または、他の分離技術によって分離され得る。ライブラリからのDNAまたは分離されたDNAは、ニトロセルロースまたは他の好適なキャリア材料に移されて固定され得る。配列番号1またはそのサブ配列とハイブリダイズするクローンまたはDNAを同定するために、キャリア材料がサザンブロッティングにおいて用いられる。
【0081】
本発明の目的のために、ハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチドが、(i)配列番号1;(ii)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列;(iii)これらの完全長補体;または、(iv)これらのサブ配列に対応する標識化核酸プローブと、超低〜超高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすることを示す。これらの条件下で核酸プローブがハイブリダイズする分子は、例えば、X線フィルム、または、技術分野において公知であるいずれかの他の検出手段を用いて検出が可能である。
【0082】
一態様において、核酸プローブは、配列番号1の成熟型ポリペプチドコード配列である。他の態様において、核酸プローブは、配列番号1の67〜873のヌクレオチドである。他の態様において、核酸プローブは、配列番号2のポリペプチド;その成熟型ポリペプチド;または、その断片をコードするポリヌクレオチドである。他の態様において、核酸プローブは配列番号1である。
【0083】
他の実施形態において、親は、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列番号1の成熟型ポリペプチドコード配列に対する配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされる。
【0084】
ポリペプチドは、あるポリペプチドの領域が他のポリペプチドの領域のN末端またはC末端で融合したハイブリッドポリペプチドであり得る。
【0085】
親は、他のポリペプチドが本発明のポリペプチドのN末端またはC末端に融合した融合ポリペプチドまたは切断可能な融合ポリペプチドであり得る。融合ポリペプチドは、他のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを本発明のポリヌクレオチドに融合させることにより生成される。融合ポリペプチドを生成する技術は技術分野において公知であり、フレーム中にあるよう、また、融合ポリペプチドの発現が同一のプロモータおよびターミネータの制御下にあるよう、ポリペプチドをコードするコード配列を結合するステップが含まれる。融合ポリペプチドはまた、融合ポリペプチドが翻訳後に形成されるインテインテクノロジーを用いて構築され得る(Cooper et al.,1993,EMBO J.12:2575−2583;Dawson et al.,1994,Science 266:776−779)。
【0086】
融合ポリペプチドは、2つのポリペプチド間に切断部位をさらに含んでいることが可能である。融合タンパク質を分泌すると、この部位が切断されて、2つのポリペプチドが放出される。切断部位の例としては、これらに限定されないが、Martin et al.,2003,J.Ind.Microbiol.Biotechnol.3:568−576;Svetina et al.,2000,J.Biotechnol.76:245−251;Rasmussen−Wilson et al.,1997,Appl.Environ.Microbiol.63:3488−3493;Ward et al.,1995,Biotechnology 13:498−503;および、Contreras et al.,1991,Biotechnology 9:378−381;Eaton et al.,1986,Biochemistry 25:505−512;Collins−Racie et al.,1995,Biotechnology 13:982−987;Carter et al.,1989,Proteins:Structure,Function,and Genetics 6:240−248;および、Stevens,2003,Drug Discovery World 4:35−48において開示されている部位が挙げられる。
【0087】
親は、すべての種類の微生物から得られてもよい。本発明の目的のために、「〜から得られる」という用語は、本明細書において用いられるところ、所与のソースに関連して、ポリヌクレオチドによってコードされる親は、ソースによって生成されるか、または、ソースからのポリヌクレオチドが挿入された系統によって生成されることを意味すべきである。一態様において、親は、細胞外で分泌される。
【0088】
親は、細菌性リパーゼであり得る。例えば、親は、バチルス属(Bacillus)、クロストリジウム属(Clostridium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ゲオバチルス属(Geobacillus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、オセアノバチルス属(Oceanobacillus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)もしくはストレプトマイセス属(Streptomyces)リパーゼなどのグラム陽性細菌性ポリペプチド、または、カムピロバクター属(Campylobacter)、大腸菌(E.coli)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、イリオバクター属(Ilyobacter)、ネイッセリア属(Neisseria)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サルモネラ属(Salmonella)もしくはウレアプラズマ属(Ureaplasma)リパーゼなどのグラム陰性細菌性ポリペプチドであり得る。
【0089】
一態様において、親は、バチルスアルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルスアミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルスブレビス(Bacillus brevis)、バチルスシルクランス(Bacillus circulans)、バチルスクラウシイ(Bacillus clausii)、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)、バシラスフィルムス(Bacillus firmus)、バチルスラウツス(Bacillus lautus)、バチルスレンツス(Bacillus lentus)、バチルスリケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルスメガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルスプミルス(Bacillus pumilus)、バチルスステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、古草菌(Bacillus subtilis)、またはバチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)リパーゼである。
【0090】
他の態様において、親は、ストレプトコッカスエクイシミリス(Streptococcus equisimilis)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカスウベリス(Streptococcus uberis)またはストレプトコッカスズーエピデミカス(Streptococcus equi subsp.Zooepidemicus)リパーゼである。
【0091】
他の態様において、親は、ストレプトマイセスアウロモゲネス(Streptomyces achromogenes)、ストレプトマイセスアベルミチリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセスコエリコロル(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセスグリセウス(Streptomyces griseus)またはストレプトマイセスリビダンス(Streptomyces lividans)リパーゼである。
【0092】
親は、真菌性リパーゼであり得る。例えば、親は、カンジダ属(Candida)、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)、ピチア属(Pichia)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)もしくはヤロウイア属(Yarrowia)リパーゼなどのイースト菌リパーゼ;または、アクレモニウム属(Acremonium)、アガリクス属(Agaricus)、アルテルナリア属(Alternaria)、アスペルギルス属(Aspergillus)、アウレオバシジウム属(Aureobasidium)、ボトリオスペリア属(Botryospaeria)、セリポリオプシス属(Ceriporiopsis)、ケトミジウム属(Chaetomidium)、クリソスポリウム属(Chrysosporium)、クラビセプス属(Claviceps)、コクリオボルス属(Cochliobolus)、コプリノプシス属(Coprinopsis)、コプトテルメス属(Coptotermes)、コリナスクス属(Corynascus)、クリホネクトリア属(Cryphonectria)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、ジプロディア属(Diplodia)、エクシディア属(Exidia)、フィリバシジウム属(Filibasidium)、フザリウム属(Fusarium)、ギベレラ属(Gibberella)、ホロマスチゴトイデス属(Holomastigotoides)、フミコラ属(Humicola)、イルペクス属(Irpex)、レンチヌラ属(Lentinula)、レプトスパエリア属(Leptospaeria)、マグナポルテ属(Magnaporthe)、メラノカルプス属(Melanocarpus)、メリピルス属(Meripilus)、ムコール属(Mucor)、ミセリオフトラ属(Myceliophthora)、ネオカリマスチクス属(Neocallimastix)、ニューロスポラ属(Neurospora)、パエシロマイセス属(Paecilomyces)、ペニシリウム属(Penicillium)、ファネロケーテ属(Phanerochaete)、ピロマイセス属(Piromyces)、ポイトラシア属(Poitrasia)、シュードプレクタニア属(Pseudoplectania)、シュードトリコニムファ属(Pseudotrichonympha)、リゾムコール属(Rhizomucor)、シゾフィルム属(Schizophyllum)、シタリジウム属(Scytalidium)、タラロマイセス属(Talaromyces)、テルモアスクス属(Thermoascus)、チエラビア属(Thielavia)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)、トリコデルマ属(Trichoderma)、トリコファエア属(Trichophaea)、ベルチシリウム属(Verticillium)、ボルバリエラ属(Volvariella)もしくはキシラリア属(Xylaria)リパーゼなどの糸状菌性リパーゼであり得る。
【0093】
他の態様において、親は、サッカロマイセスカルスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセスジアスタチクス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロマイセスドウグラシイ(Saccharomyces douglasii)、サッカロマイセスクルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロマイセスノルベンシス(Saccharomyces norbensis)またはサッカロマイセスオビホルミス(Saccharomyces oviformis)リパーゼである。
【0094】
他の態様において、親は、アクレモニウムセルロリチクス(Acremonium cellulolyticus)、アスペルギルスアクレアツス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルスアワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルスフォエティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルスフミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルスジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルスニズランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルスオリゼー(Aspergillus oryzae)、クリソスポリウムイノプス(Chrysosporium inops)、クリソスポリウムケラチノフィルム(Chrysosporium keratinophilum)、クリソスポリウムルクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、クリソスポリウムメルダリウム(Chrysosporium merdarium)、クリソスポリウムパンニコラ(Chrysosporium pannicola)、クリソスポリウムクイーンスランジクム(Chrysosporium queenslandicum)、クリソスポリウムトロピクム(Chrysosporium tropicum)、クリソスポリウムゾナツム(Chrysosporium zonatum)、フザリウムバクテリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウムセレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウムクロークウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウムクルモルム(Fusarium culmorum)、フザリウム グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウムグラミヌム(Fusarium graminum)、フザリウムヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フザリウムネグンディ(Fusarium negundi)、フザリウム オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フザリウムレチクランツム(Fusarium reticulatum)、フザリウム ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウムサムブシヌム(Fusarium sambucinum)、フザリウムサルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウムスポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウムスルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウムトルロスム(Fusarium torulosum)、フザリウムトリコテシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウムベネナツム(Fusarium venenatum)、フミコラグリセア(Humicola grisea)、フミコラインソレンス(Humicola insolens)、フミコララヌギノサ(Humicola lanuginosa)、イルペクスラクテウス(Irpex lacteus)、ムコールミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラテルモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ニューロスポラクラッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウムフニクロスム(Penicillium funiculosum)、ペニシリウムプルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、ファネロケーテクリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、チエラビアアクロマチカ(Thielavia achromatica)、チエラビアアルボミセス(Thielavia albomyces)、チエラビアアルボピロサ(Thielavia albopilosa)、チエラビアアウストラレインシス(Thielavia australeinsis)、チエラビアフィメティ(Thielavia fimeti)、チエラビアミクロスポラ(Thielavia microspora)、チエラビアオビスポラ(Thielavia ovispora)、チエラビアペルビアナ(Thielavia peruviana)、チエラビアセトサ(Thielavia setosa)、チエラビアスペデドニウム(Thielavia spededonium)、チエラビアスブテルモフィラ(Thielavia subthermophila)、チエラビアテルレストリス(Thielavia terrestris)、トリコデルマハルジアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマコニンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマレエセイ(Trichoderma reesei)、またはトリコデルマビリデ(Trichoderma viride)リパーゼである。
【0095】
他の態様において、親は、フミコララヌギノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼ、例えば、配列番号2のリパーゼまたはその成熟型ポリペプチドである。
【0096】
前述の種について、本発明は、知られている種の名称に関わらず、完全および不完全世代、ならびに、例えば無性世代などの他の分類学上の均等物の両方を含むことが理解されるであろう。当業者は、適切な均等物の同一性を容易に認識するであろう。
【0097】
これらの種の系統は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC:American Type Culture Collection)、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ:Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)、オランダ微生物株保存センター(CBS:Centraalbureau Voor Schimmelcultures)、および、農業研究局特許培養物コレクション(Agricultural Research Service Patent Culture Collection)、北方リサーチセンター(NRRL:Northern Regional Research Center)などの多数の微生物保存機関において公共に容易に利用可能である。
【0098】
親は、上記のプローブを用いて、自然(例えば、汚染物、コンポスト、水等)から単離された微生物、または、天然材料(例えば、汚染物、コンポスト、水等)から直接的に得られたDNAサンプルを含む他のソースから同定および得られ得る。微生物およびDNAを自然環境から直接的に単離する技術は技術分野において周知である。次いで、親をコードするポリヌクレオチドは、他の微生物または混合DNAサンプルのゲノムDNAもしくはcDNAライブラリを同じようにスクリーニングすることにより得られ得る。一旦、親をコードするポリヌクレオチドがプローブで検出されたら、ポリヌクレオチドは、当業者に公知の技術(例えば、前述のSambrook et al.,1989を参照のこと)を利用することにより単離またはクローン化され得る。
【0099】
組成物
一実施形態において、本発明は、1種または複数種の追加のクリーニング組成物コンポーネントと組み合わされて、リパーゼ変異体を含む洗剤組成物に関する。追加の成分の選択は、当業者の技能の範囲内であり、以下に記載される例示的な非限定的な成分を含む従来の処方成分が含まれる。
【0100】
成分の選択には、洗濯用途に関して、クリーニングされる繊維の種類、汚染物の種類および/または程度、クリーニングを行う温度、ならびに、洗剤生成物の配合物の検討が含まれ得る。以下に記載の成分は特定の官能基に従う一般的なヘッダによって分類されるが、これは限定として解釈されるべきではなく、当業者に認識されるであろうとおり追加の官能基が成分中に含まれていてもよい。
【0101】
酵素
本発明の一実施形態において、リパーゼ変異体は、0.01〜100;0.005〜50;0.01〜25;0.05〜10;0.05〜5;または、0.01〜1mgのタンパク質/洗浄液1リットルなどの0.001〜100mgのタンパク質/洗浄液1リットルに対応する量で洗剤組成物に添加され得る。同様に、リパーゼ変異体は、0.01〜1000;0.005〜500;0.01〜250;0.05〜100;0.05〜50;0.01〜10;または0.02〜2mgのタンパク質/洗剤1gなどの0.001〜1000mgのタンパク質/洗剤1gに対応する量で洗剤組成物に添加され得る。
【0102】
洗剤組成物は、タンパク分解酵素、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼなどの、例えばラッカーゼおよび/またはペルオキダーゼなどの1種または複数種の追加の酵素をさらに含んでいてもよい。
【0103】
普通、含まれるすべての酵素、すなわちリパーゼ変異体、ならびに、追加の酵素の両方の特性は、選択される洗剤と適合性であるべきであり(すなわち、pHが最適であり、他の酵素成分および非酵素成分等と親和性である)、また、酵素は、有効量で存在しているべきである。本発明の一実施形態において、酵素は、0.01〜100;0.005〜50;0.01〜25;0.05〜10;0.05〜5;または、0.01〜1mgのタンパク質/洗浄液1リットルなどの0.001〜100mgのタンパク質/洗浄液1リットルに対応する量で洗剤組成物に添加され得る。同様に、酵素は、0.01〜1000;0.005〜500;0.01〜250;0.05〜100;0.05〜50;0.01〜10;または0.02〜2mgのタンパク質/洗剤1gなどの0.001〜1000mgのタンパク質/洗剤1gに対応する量で洗剤組成物に添加され得る。
【0104】
酵素は、従来の安定化剤、例えば、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、グリセロール、ソルビトール、ヘキシレングリコール、糖質もしくは糖アルコールなどのポリオール、乳酸、硼酸、または、硼酸誘導体、例えば、芳香族ホウ酸エステル、または、4−ホルミルフェニルボロン酸などのフェニルボロン酸誘導体、または、ペプチドアルデヒド;好ましくは、トリ−もしくはテトラペプチドアルデヒド、場合によりそのヒドロ亜硫酸塩付加物、および、例えば、国際公開第92/19709号パンフレットおよび国際公開第92/19708号パンフレットに記載のとおり配合され得る組成物を用いて安定化され得る。
【0105】
セルラーゼ:好適なセルラーゼとしては、細菌または真菌由来のものが挙げられる。化学的に修飾されたミュータントまたはタンパク質改変ミュータントが含まれる。好適なセルラーゼとしては、バチルス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、フミコラ属(Humicola)、フザリウム属(Fusarium)、チエラビア属(Thielavia)、アクレモニウム属(Acremonium)由来のセルラーゼ、例えば、フミコラインソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフトラテルモフィラ(Myceliophthora thermophila)およびフザリウムオキシスポルム(Fusarium oxysporum)から産生される真菌性セルラーゼ(米国特許第4,435,307号明細書、米国特許第5,648,263号明細書、米国特許第5,691,178号明細書、米国特許第5,776,757号明細書および国際公開第89/09259号パンフレットに開示されている)が挙げられる。
【0106】
特に好適なセルラーゼは、色の取り扱いに関して有益性を有するアルカリ性または中性セルラーゼである。このようなセルラーゼの例は、欧州特許第0495257号明細書、欧州特許第0531372号明細書、国際公開第96/11262号パンフレット、国際公開第96/29397号パンフレット、国際公開第98/08940号パンフレットに記載のセルラーゼである。他の例は、国際公開第94/07998号パンフレット、欧州特許第0531315号明細書、米国特許第5,457,046号明細書、米国特許第5,686,593号明細書、米国特許第5,763,254号明細書、国際公開第95/24471号パンフレット、国際公開第98/12307号パンフレットおよび国際特許出願第PCT/DK98/00299号パンフレットに記載のものなどのセルラーゼ変異体である。
【0107】
市販されているセルラーゼとしては、Celluzyme(商標)およびCarezyme(商標)Endolase;Celluclean(Novozymes A/S)、Clazinase(商標)およびPuradax HA(商標)(Genencor International Inc.);ならびに、KAC−500(B)(商標)(花王株式会社)が挙げられる。
【0108】
プロテアーゼ:好適なプロテアーゼとしては、動物、植物または微生物由来のものが挙げられる。微生物由来のものが好ましい。化学的に修飾されたミュータントまたはタンパク質改変ミュータントが含まれる。タンパク分解酵素は、セリンタンパク分解酵素またはメタロプロテアーゼ、好ましくは、アルカリ性微生物性タンパク分解酵素またはトリプシン様タンパク分解酵素であり得る。アルカリ性プロテアーゼの例は、特にバチルス属(Bacillus)由来のもの、例えば、サブチリシンNovo、サブチリシンCarlsberg、サブチリシン309、サブチリシン147およびサブチリシン168(国際公開第89/06279号パンフレットに記載)などのサブチリシンである。トリプシン様プロテアーゼの例は、国際公開第89/06270号パンフレットおよび国際公開第94/25583号パンフレットに記載のトリプシン(例えば、ブタまたはウシ由来のもの)およびフザリウム属(Fusarium)タンパク分解酵素である。
【0109】
有用なプロテアーゼの例は、国際公開第92/19729号パンフレット、国際公開第98/20115号パンフレット、国際公開第98/20116号パンフレットおよび国際公開第98/34946号パンフレットに記載の変異体であって、特に、以下の位置:27、36、57、76、87、97、101、104、120、123、167、170、194、206、218、222、224、235および274の1つまたは複数に置換を有する変異体である。
【0110】
好ましい市販されているタンパク分解酵素としては、Alcalase(商標)、Savinase(商標)、Primase(商標)、Duralase(商標)、Esperase(商標)、Kannase(商標)Liquanase(商標)、Everlase(商標)、Durazym(商標)、Ovozyme(商標)、Coronase(商標)、Relase(商標)、Polarzyme(商標)、Blaze(商標)、Neutrase(Novozymes A/S)、Maxatase(商標)、Maxacal(商標)、Maxapem(商標)、Properase(商標)、Purafect(商標)、Purafect OxP(商標)、Opticlean(商標)、Purafect Ox(商標)、Purafact Prime(商標)、Excellase(商標)、FN2(商標)、およびFN3(商標)FN4(商標)(Genencor International Inc.)が挙げられる。他の例は、Primase(商標)およびDuralase(商標)である。Blap R、Blap SおよびBlapXはHenkelから入手可能である。
【0111】
リパーゼおよびクチナーゼ:好適なリパーゼおよびクチナーゼとしては、細菌または真菌由来のものが挙げられる。化学的に修飾されたミュータントまたはタンパク質改変ミュータントが含まれる。例としては、例えば、欧州特許第258068号明細書および欧州特許第305216号明細書に記載のとおり、T.ラヌギノスス(T.lanuginosus)(過去にはフミコララヌギノサ(Humicola lanuginosa)と呼ばれていた)などのテルモマイセス属(Thermomyces)由来のリパーゼ、例えば、H.インソレンス(H.insolens)(国際公開第96/13580号パンフレット)などのフミコラ属(Humicola)由来のクチナーゼ、例えばP.アルカリゲネス(P.alcaligenes)またはP.シュードアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)(欧州特許第218272号明細書)、P.セパシア(P.cepacia)(欧州特許第331376号明細書)、P.sp.菌株SD705(国際公開第95/06720号パンフレットおよび国際公開第96/27002号パンフレット)、P.ウィスコンシネシス(P.wisconsinensis)(国際公開第96/12012号パンフレット)などのシュードモナス属(Pseudomonas)の菌株(現在では、これらのいく種かはバークホルデリア属(Burkholderia)と再命名されている)由来のリパーゼ、GDSL−タイプストレプトマイセス属(Streptomyces)リパーゼ(国際公開第10/065455号パンフレット)、マグナポルテ グリセア(Magnaporthe grisea)(国際公開第10/107560号パンフレット)由来のクチナーゼ、シュードモナスメンドシナ(Pseudomonas mendocina)(米国特許第5389536号明細書)由来のクチナーゼ、テルモビフィダフスカ(Thermobifida fusca)(国際公開第11/084412号パンフレット)由来のリパーゼ、ゲオバチルスステアロテルモイルス(Geobacillus stearothermophilus)リパーゼ(国際公開第11/084417号パンフレット)、古草菌(Bacillus subtilis)(国際公開第11/084599号パンフレット)由来のリパーゼ、ならびに、ストレプトマイセスグリセウス(Streptomyces griseus)(国際公開第11/150157号パンフレット)およびS.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)(国際公開第12/137147号パンフレット)由来のリパーゼが挙げられる。
【0112】
他の例は、欧州特許第407225号明細書、国際公開第92/05249号パンフレット、国際公開第94/01541号パンフレット、国際公開第94/25578号パンフレット、国際公開第95/14783号パンフレット、国際公開第95/30744号パンフレット、国際公開第95/35381号パンフレット、国際公開第95/22615号パンフレット、国際公開第96/00292号パンフレット、国際公開第97/04079号パンフレット、国際公開第97/07202号パンフレット、国際公開第00/34450号パンフレット、国際公開第00/60063号パンフレット、国際公開第01/92502号パンフレット、国際公開第07/87508号パンフレットおよび国際公開第09/109500号パンフレットに記載されているものなどのリパーゼ変異体である。
【0113】
好ましい市販されているリパーゼ製品としては、Lipolase(商標)、Lipex(商標);Lipolex(商標)およびLipoclean(商標)(Novozymes A/S)、Lumafast(元々はGenencor製)およびLipomax(元々はGist−Brocades製)が挙げられる。
【0114】
さらに他の例は、時々、例えばカンジダアンタルクチカ(Candida antarctica)リパーゼAに対してホモロジーを有するアシルトランスフェラーゼなどのアシルトランスフェラーゼまたはペルヒドロラーゼ(国際公開第10/111143号パンフレット);マイコバクテリウムスメグマチス(Mycobacterium smegmatis)由来のアシルトランスフェラーゼ(国際公開第05/56782号パンフレット);CE7ファミリー由来のペルヒドロラーゼ(国際公開第09/67279号パンフレット);および、M.スメグマチス(M.smegmatis)ペルヒドロラーゼの変異体、特に、Huntsman Textile Effects Pte Ltd製の市販されている製品Gentle Power Bleachにおいて用いられているS54V変異体(国際公開第10/100028号パンフレット)と称されるリパーゼである。
【0115】
アミラーゼ:好適なアミラーゼ(αおよび/またはβ)としては、細菌または真菌由来のものが挙げられる。化学的に修飾されたミュータントまたはタンパク質改変ミュータントが含まれる。アミラーゼとしては、例えばバチルスリケニホルミス(Bacillus licheniformis)の特殊な菌株(英国特許第1,296,839号明細書により詳細に記載されている)などのバチルス属(Bacillus)から得られるα−アミラーゼが例えば挙げられる。
【0116】
有用なアミラーゼの例は、国際公開第94/02597号パンフレット、国際公開第94/18314号パンフレット、国際公開第96/23873号パンフレットおよび国際公開第97/43424号パンフレットに記載されている変異体、特に、以下の位置:15、23、105、106、124、128、133、154、156、181、188、190、197、202、208、209、243、264、304、305、391、408および444の1つまたは複数に置換を有する変異体である。
【0117】
市販されているアミラーゼは、Stainzyme;Stainzyme Plus;Duramyl(商標)、Termamyl(商標)、Termamyl Ultra;Natalase、Fungamyl(商標)およびBAN(商標)(Novozymes A/S)、Rapidase(商標)およびPurastar(商標)(Genencor International Inc.製)である。
【0118】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ:好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼとしては、植物、細菌または真菌由来のものが挙げられる。化学的に修飾されたミュータントまたはタンパク質改変ミュータントが含まれる。有用なペルオキシダーゼの例としては、例えば、C.シネレウス(C.cinereus)などのヒトヨタケ属(Coprinus)由来のペルオキシダーゼ、ならびに、国際公開第93/24618号パンフレット、国際公開第95/10602号パンフレットおよび国際公開第98/15257号パンフレットに記載されているその変異体が挙げられる。
【0119】
市販されているペルオキシダーゼとしては、Guardzyme(商標)(Novozymes A/S)が挙げられる。
【0120】
洗剤酵素は、1種もしくは複数種の酵素を含有する別の添加剤を添加することにより、または、これらの酵素のすべてを含む複合添加剤を添加することにより、洗剤組成物中に含まれ得る。本発明の洗剤添加剤(すなわち、別の添加剤または複合添加剤)は、例えば、粒質物、液体、スラリー等として配合されることが可能である。好ましい洗剤添加剤配合物は、粒質物、特に非散粉性粒質物、液体、特に安定化液体、または、スラリーである。
【0121】
非散粉粒質物は、例えば、米国特許第4,106,991号明細書および米国特許第4,661,452号明細書に開示されているとおり製造され得、任意により、技術分野において公知である方法によってコーティングされ得る。ワックスコーティング剤の例は、1000〜20000の平均モル重量を有するポリ(エチレンオキシド)生成物(ポリエチレングリコール、PEG);16〜50エチレンオキシド単位を有するエトキシル化ノニルフェノールエトキシル化ノニルフェノール;アルコールが12〜20個の炭素原子を含有すると共に15〜80エチレンオキシド単位を有するエトキシル化脂肪族アルコール;脂肪族アルコール;脂肪酸;ならびに、脂肪酸のモノ−およびジ−およびトリグリセリドである。液体床技術による適用に好適なフィルム形成性コーティング剤の例が英国特許第1483591号明細書に記載されている。液体酵素調製物は、確立された方法に従って、例えば、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、糖質もしくは糖アルコールなどのポリオール、塩、乳酸、硼酸、芳香族ホウ酸エステル、または、4−ホルミルフェニルボロン酸などのフェニルボロン酸誘導体、または、ペプチドアルデヒド;好ましくはトリ−またはテトラペプチドアルデヒド、場合により場合によりそのヒドロ亜硫酸塩付加物を添加することにより安定化され得る。保護された酵素は、欧州特許第238216号明細書に開示の方法に従って調製され得る。
【0122】
界面活性剤
本発明の洗剤組成物は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、1種または複数種の界面活性剤をさらに含んでいても良く、これらは、カチオン性、ノニオン性、半極性、両性イオン性、または、いずれかのこれらの混合物であり得る。特定の実施形態において、洗剤組成物は、1種または複数種のアニオン性界面活性剤と、1種または複数種のノニオン性界面活性剤との混合物を含む。界面活性剤は、典型的には、1〜約60重量%;2〜約50重量%;3〜約40重量%;4〜約30重量%;5〜約25重量%;または、10〜約20重量%などの合計で0.1〜約70重量%で存在する。界面活性剤は所望されるクリーニング用途に基づいて選択され、技術分野において公知であるいずれかの従来の界面活性剤を含む。洗剤における使用に関して技術分野において公知である界面活性剤のいずれかが利用され得る。
【0123】
好適なアニオン性界面活性剤としては:アルキル硫酸塩;アルキルスルホン酸塩;アルキルリン酸塩;アルキルホスホン酸塩;アルキルカルボン酸塩;および、これらの混合物が挙げられる。アニオン性界面活性剤は:C10〜C18アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、好ましくは、C10〜C13アルキルベンゼンスルホン酸塩;典型的には以下の式:CH
3(CH
2)
XCH
2−OSO
3-M
+(式中、Mは、水素またはカチオンであって、カチオンは電荷的な中性をもたらし、好ましいカチオンはナトリウムおよびアンモニウムカチオンであり、xは少なくとも7、好ましくは少なくとも9の整数である)を有する、C10〜C20第1級分岐鎖、直鎖およびランダム鎖アルキル硫酸塩(AS);典型的には、以下の式:
【0125】
(式中、Mは水素またはカチオンであって、カチオンは電荷的な中性をもたらし、カチオンとしては、ナトリウムおよびアンモニウムカチオンが挙げられ、xは少なくとも7または少なくとも9の整数であり、yは少なくとも8または少なくとも9の整数である)を有するC10〜C18第2級(2,3)アルキル硫酸塩;C10〜C18アルキルアルコキシカルボン酸塩;米国特許第6,020,303号明細書および米国特許第6,060,443号明細書により詳細に記載されている中鎖分岐アルキル硫酸塩;国際公開第99/05243号パンフレット、国際公開第99/05242号パンフレット、国際公開第99/05244号パンフレット、国際公開第99/05082号パンフレット、国際公開第99/05084号パンフレット、国際公開第99/05241号パンフレット、国際公開第99/07656号パンフレット、国際公開第00/23549号パンフレットおよび国際公開第00/23548号パンフレットにより詳細に記載されている変性アルキルベンゼンスルホン酸塩(MLAS);メチルエステルスルホン酸塩(MES);α−オレフィンスルホネート(AOS)、ならびに、これらの混合物からなる群から選択されることが可能である。
【0126】
アニオン性界面活性剤としては:直鎖または分岐鎖、置換または無置換アルキルベンゼンスルホン酸塩界面活性剤、好ましくは直鎖C8〜C18アルキルベンゼンスルホン酸塩界面活性剤;直鎖または分岐鎖、置換または無置換アルキルベンゼン硫酸塩界面活性剤;直鎖C8〜C18アルキル硫酸塩界面活性剤、C1〜C3アルキル分岐C8〜C18アルキル硫酸塩界面活性剤、直鎖または分岐鎖アルコキシル化C8〜C18アルキル硫酸塩界面活性剤、および、これらの混合物を含む直鎖または分岐鎖、置換または無置換アルキル硫酸塩界面活性剤;直鎖または分岐鎖、置換または無置換アルキルスルホン酸塩界面活性剤;ならびに、これらの混合物が挙げられる。
【0127】
アルコキシル化アルキル硫酸塩界面活性剤は、1〜30、1〜10または3〜7の平均アルコキシル化度を有する、直鎖または分岐鎖、置換または無置換C8〜18アルキルアルコキシル化硫酸塩界面活性剤であればよい。
【0128】
アニオン性界面活性剤は:直鎖または分岐鎖、置換または無置換、C12〜18アルキル硫酸塩;直鎖または分岐鎖、置換または無置換、C10〜13アルキルベンゼンスルホン酸塩、好ましくは直鎖C10〜13アルキルベンゼンスルホン酸塩;および、これらの混合物からなる群から選択され得る。直鎖C10〜13アルキルベンゼンスルホン酸塩がきわめて好ましい。市販されている直鎖アルキルベンゼン(LAB)のスルホン化により入手可能であるか、好ましくはこれにより入手される直鎖C10〜13アルキルベンゼンスルホン酸塩がきわめて好ましく;好適なLABとしては、商品名Isochem(登録商標)でSasolにより供給されるもの、または、商品名Petrelab(登録商標)でPetresaにより供給されるものなどの低2−フェニルLABが挙げられ、他の好適なLABとしては、商品名Hyblene(登録商標)でSasolにより供給されるものなどの高2−フェニルLABが挙げられる。好適なアニオン性洗浄性界面活性剤は、ETAL触媒プロセスによって得られるが、HFなどの他の合成経路も好適であり得るアルキルベンゼンスルホン酸塩である。他の好適なアニオン性界面活性剤はアルキルエトキシカルボキシレートである。
【0129】
アニオン性界面活性剤は、典型的には塩形態で存在し、典型的には好適なカチオンと複合化される。好適な対イオンとしては、Na
+およびK
+、Ci−C
6アルカノールアンモニウム、好ましくはモノ−エタノールアミン(MEA)トリ−エタノールアミン(TEA)、ジ−エタノールアミン(DEA)などの置換アンモニウム、および、これらのいずれかの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、アニオン性界面活性剤の少なくとも20重量%または少なくとも30重量%または少なくとも40重量%または少なくとも50重量%または少なくとも60重量%または少なくとも70重量%または少なくとも80重量%、または、さらには、もしくは、少なくとも90重量%が、ナトリウムカチオンによって中和されている。
【0130】
アニオン性界面活性剤は8.0〜9.1の親水性指数(HIc)を有し得、または、アニオン性界面活性剤は、6.0〜8.0または7.0〜8.0未満の範囲内のものなどのより低い親水性指数(HIc)を有していてもよい。親水性指数(HIc)は、国際公開第00/27958号パンフレットにおいてより詳細に記載されている。
【0131】
洗剤は、通常は、1〜約60重量%;2〜約50重量%;3〜約40重量%;4〜約30重量%;5〜約25重量%;または、10〜約20重量%などの0.1〜70重量%のアニオン性界面活性剤を含有するであろう。好ましいアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、硫酸塩およびスルホン酸塩、特に、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、LASの異性体、分岐アルキルベンゼンスルホネート(BABS)、フェニルアルカンスルホネート、α−オレフィンスルホネート(AOS)、オレフィンスルホネート、アルケンスルホネート、アルカン−2,3−ジイルビス(硫酸塩)、ヒドロキシアルカンスルホネートおよびジスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのアルキルスルフェート(AS)、脂肪族アルコールスルフェート(FAS)、第1級アルコールスルフェート(PAS)、アルコールエーテルスルフェート(アルコールエトキシスルフェートまたは脂肪族アルコールエーテルスルフェートとしても公知であるAESまたはAEOSまたはFES)、第2級アルカンスルホネート(SAS)、パラフィンスルホネート(PS)、エステルスルホネート、スルホン化脂肪酸グリセロールエステル、メチルエステルスルホネート(MES)を含むα−スルホ脂肪酸メチルエステル(α−SFMeまたはSES)、アルキル−またはアルケニルコハク酸、ドデセニル/テトラデセニルコハク酸(DTSA)、アミノ酸の脂肪酸誘導体、スルホコハク酸またはセッケンのジエステルおよびモノエステル、ならびに、これらの組み合わせが挙げられる。
【0132】
含まれる場合、洗剤は、通常、0,01%〜約40重量%、例えば0,05〜約10重量%、0,1〜5重量%などのカチオン性界面活性剤を含むであろう。カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキルジメチルエタノール第4級アミン(ADMEAQ)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ジメチルジステアリル塩化アンモニウム(DSDMAC)およびアルキルベンジルジメチルアンモニウム、ならびに、これらの組み合わせ、アルキル第4級アンモニウム化合物、アルコキシル化第4級アンモニウム(AQA)が挙げられる。
【0133】
含まれている場合、洗剤は、通常は、0.2〜約60重量%、または、さらには40〜約70重量%のノニオン性界面活性剤を含有し、例えば、0.5〜約40重量%、1〜約30重量%;1〜約20重量%、3〜約10重量%、2〜約5重量%または6〜約15重量%のノニオン性界面活性剤を含有するであろう。ノニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルコールエトキシレート(AEまたはAEO)、アルコールプロポキシレート、プロポキシル化脂肪族アルコール(PFA)、エトキシル化および/またはプロポキシル化脂肪酸アルキルエステルなどのアルコキシル化脂肪酸アルキルエステル、アルキルフェノールエトキシレート(APE)、ノニルフェノールエトキシレート(NPE)、アルキルポリグリコシド(APG)、アルコキシル化アミン、脂肪酸モノエタノールアミド(FAM)、脂肪酸ジエタノールアミド(FADA)、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド(EFAM)、プロポキシル化脂肪酸モノエタノールアミド(PFAM)、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、または、グルコサミンのN−アシルN−アルキル誘導体(グルカミドGA、または、脂肪酸グルカミドFAGA)、ならびに、商品名SPANおよびTWEENで入手可能である製品、および、これらの組み合わせが挙げられる。
【0134】
含まれている場合、洗剤は、通常は、例えば約0.5〜約30重量%、約1〜約20重量%、約3〜約10重量%、約3〜約5重量%または約8〜約12重量%などの、約0.1〜約40重量%の半極性界面活性剤を含有するであろう。半極性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキルジメチルアミンオキシド、N−(ココアルキル)−N,N−ジメチルアミンオキシドおよびN−(獣脂−アルキル)−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミンオキシドなどのアミンオキシド(AO)、脂肪酸アルカノールアミド、および、エトキシル化脂肪酸アルカノールアミド、ならびに、これらの組み合わせが挙げられる。
【0135】
含まれている場合、洗剤は、通常は、例えば約0.5〜約30重量%、約1〜約20重量%、約3〜約10重量%、約3〜約5重量%または約8〜約12重量%などの、約0.2〜約40重量%の両性イオン性界面活性剤を含有するであろう。両性イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ベタイン、アルキルジメチルベタインおよびスルホベタイン、ならびに、これらの組み合わせが挙げられる。
【0136】
ヒドロトロープ
ヒドロトロープは、疎水性化合物を水溶液(または、反対に、極性物質を非極性環境)中に可溶化させる化合物である。洗剤組成物中においてヒドロトロープを使用することにより、相分離または高粘度などの望ましくない現象を誘起することなく、例えば、界面活性剤がより濃縮された配合物(水を排除することにより液体洗剤をコンパクトにするプロセスのとおり)が可能となる。
【0137】
洗剤は、0.5〜約5重量%または3〜約5重量%などの0〜約10重量%のヒドロトロープを含有していてもよい。いくつかの場合において、洗剤は、0〜約25重量%または25〜約50重量%などの0〜約50重量%のヒドロトロープを含有していてもよい。洗剤における使用に関して技術分野において公知であるヒドロトロープのいずれかが利用され得る。ヒドロトロープの非限定的な例としては、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム(STS)、キシレンスルホン酸ナトリウム(SXS)、クメンスルホン酸ナトリウム(SCS)、シメンスルホン酸ナトリウム、アミンオキシド、アルコールおよびポリグリコールエーテル、ヒドロキシナフテン酸ナトリウム、ヒドロキシナフタレンスルホン酸ナトリウム、エチルヘキシル硫酸ナトリウム、ポリオール、ならびに、これらの組み合わせが挙げられる。
【0138】
ビルダーおよびコビルダー
洗剤組成物は、0〜約65重量%または0〜約20重量%の洗剤ビルダー、コビルダー、または、これらの混合物を含有し得る。食器洗剤において、ビルダーの量は、典型的には、40〜約65重量%または50〜約65重量%である。ビルダーおよび/またはコビルダーは、特に、CaおよびMgと水溶性錯体を形成するキレート化剤であり得る。洗剤における使用に関して技術分野において公知であるビルダーおよび/またはコビルダーのいずれかが利用され得る。
【0139】
ビルダーの非限定的な例としては、ゼオライト、二リン酸塩(ピロリン酸塩)、三リン酸ナトリウム(STPまたはSTPP)などの三リン酸塩、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、メタケイ酸ナトリウムなどの可溶性ケイ酸塩、層状ケイ酸塩(例えば、Hoechst製SKS−6)、2−アミノエタン−1−オール(MEA)、イミノジエタノール(DEA)および2,2’、2”−ニトリロトリエタノール(TEA)などのエタノールアミン、および、カルボキシメチルイヌリン(CMI)、ならびに、これらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0140】
コビルダーの非限定的な例としては、ポリ(アクリル酸)(PAA)またはコポリ(アクリル酸/マレイン酸)(PAA/PMA)などのポリアクリレートのホモポリマーまたはそのコポリマーが挙げられる。さらに非限定的な例としては、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、アミノポリカルボン酸塩およびホスホン酸塩などのキレート剤、ならびに、アルキル−またはアルケニルコハク酸が挙げられる。追加の特定の例としては、2,2’,2”−ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、イミノジコハク酸(IDS)、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸−N,N−二酢酸(GLDA)、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジイルビス(ホスホン酸)(HEDP)、エチレンジアミンテトラキス(メチレン)テトラキス(ホスホン酸)(EDTMPA)、ジエチレントリアミンエペンタキス(メチレン)ペンタキス(ホスホン酸)(DTPMPA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(EDG)、アスパラギン酸−N−一酢酸(ASMA)、アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸−N−モノプロピオン酸(ASMP)、イミノジコハク酸(IDA)、N−(2−スルホメチル)アスパラギン酸(SMAS)、N−(2−スルホエチル)アスパラギン酸(SEAS)、N−(2−スルホメチル)グルタミン酸(SMGL)、N−(2−スルホエチル)グルタミン酸(SEGL)、N−メチルイミノ二酢酸(MIDA)、α−アラニン−N,N−二酢酸(α−ALDA)、セリン−N,N−二酢酸(SEDA)、イソセリン−N,N−二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン−N,N−二酢酸(PHDA)、アントラニル酸−N,N−二酢酸(ANDA)、スルファニル酸−N,N−二酢酸(SLDA)、タウリン−N,N−二酢酸(TUDA)およびスルホメチル−N,N−二酢酸(SMDA)、N−(ヒドロキシエチル)−エチリデンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエタノールグリシン(DEG)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ならびに、これらの任意の組み合わせおよび塩が挙げられる。さらなる例示的なビルダーおよび/またはコビルダーは、例えば、国際公開第09/102854号パンフレット、米国特許第5977053号明細書に開示されている。
【0141】
漂白系
洗剤は、0〜約50重量%、0.1〜約25重量%、0.5〜約20重量%、1〜約15重量%または2〜約10重量%の漂白系を含有していてもよい。洗剤において用いられるいずれかの技術分野において公知である漂白系が利用され得る。好適な漂白系成分としては、漂白触媒、光漂白、漂白活性化剤、過炭酸ナトリウムおよび過ホウ酸ナトリウムなどの過酸化水素の供給源、事前に形成した過酸、ならびに、これらの混合物が挙げられる。好適な事前に形成した過酸としては、これらに限定されないが、ペルオキシカルボン酸および塩、過炭酸および塩、過イミド酸および塩、ペルオキシ一硫酸および塩、例えば、オキソン(R)、ならびに、これらの混合物が挙げられる。漂白系の非限定的な例としては、例えば、過ホウ酸(通常は一水和物または四水和物)、過炭酸、過硫酸、過リン酸、過ケイ酸のナトリウム塩などのアルカリ金属塩を含む無機塩を、過酸−形成性漂白活性化剤と組み合わせて含み得るペルオキシド系漂白系が挙げられる。本明細書において漂白活性化剤とは、ペルオキシド漂白剤様過酸化水素と反応して、過酸を形成する化合物を意味する。このようにして形成された過酸は、活性化された漂白剤を構成する。本明細書において用いられる好適な漂白活性化剤は、エステルアミド、イミドまたは無水物の分類に属するものを含み、好適な例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ナトリウム3,5,5トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート、ジペルオキシドデカン酸、4−(ドデカノイルオキシ)ベンゼンスルホネート(LOBS)、4−(デカノイルオキシ)ベンゼンスルホネート、4−(デカノイルオキシ)安息香酸塩(DOBS)、4−(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)ベンゼンスルホネート(ISONOBS)、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)および4−(ノナノイルオキシ)ベンゼンスルホネート(NOBS)、および/または、国際公開第98/17767号パンフレットに開示されているものである。対象の漂白活性化剤の特定のファミリーは欧州特許第624154号明細書に開示されており、アセチルトリエチルシトレート(ATC)が特に好ましいファミリーである。ATCまたは短鎖トリグリセリド様トリアシンは、最終的にはクエン酸およびアルコールに分解されるために、環境にやさしいという利点を有する。さらに、アセチルトリエチルシトレートおよびトリアセチンは、保管に際して生成物中における良好な加水分解安定性を有しており、これは効果的な漂白活性化剤である。最後に、ATCは、ランドリー添加剤に対して良好な補助能を提供する。または、漂白系は、例えば、アミド、イミドまたはスルホンタイプのペルオキシドを含み得る。漂白系はまた、6−(フタロイルアミノ)過カプロン酸(PAP)などの過酸を含み得る。漂白系はまた、漂白触媒を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、漂白剤成分は、以下の式を有する有機触媒:
【0143】
(iii)およびこれらの混合物(式中、各R
1は、独立して、9〜24個の炭素を含有する分岐アルキル基または11〜24個の炭素を含有する直鎖アルキル基であり、好ましくは、各R
1は、独立して、9〜18個の炭素を含有する分岐アルキル基または11〜18個の炭素を含有する直鎖アルキル基であり、より好ましくは各R
1は、独立して、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、イソ−ノニル、イソ−デシル、イソ−トリデシルおよびイソ−ペンタデシルからなる群から選択される)からなる群から選択される有機触媒であり得る。他の例示的な漂白系は、例えば、国際公開第07/087258号パンフレット、国際公開第07/087244号パンフレット、国際公開第07/087259号パンフレット、国際公開第07/087242号パンフレットに記載されている。好適な光漂白は、例えばスルホン化アエンフタロシアニンであり得る。
【0144】
ポリマー
洗剤は、0.5〜約5重量%、2〜約5重量%、0.5〜約2重量%または0.2〜約1重量%などの0〜約10重量%のポリマーを含有し得る。洗剤における使用に関して技術分野において公知であるポリマーのいずれかが利用され得る。ポリマーは、上記のとおりコビルダーとして機能し得、または、再付着防止、繊維保護、汚染放出、移染防止、グリースクリーニングおよび/または消泡特性を提供し得る。いくつかのポリマーは、上記の特性を2つ以上、および/または、以下に記載の主題を2つ以上有し得る。
【0145】
例示的なポリマーとしては、(カルボキシメチル)セルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)(PEG)、エトキシル化ポリ(エチレンイミン)、カルボキシメチルイヌリン(CMI)、および、PAA、PAA/PMA、ポリアスパラギン酸などのポリカルボキシレート、および、ラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマー、疎水性修飾CMC(HM−CMC)およびシリコーン、テレフタル酸とオリゴマー系グリコールとのコポリマー、ポリエチレンテレフタレートとポリオキシエテンテレフタレート(PET−POET)とのコポリマー、PVP、ポリ(ビニルイミダゾール)(PVI)、ポリ(ビニルピリジン−N−オキシド)(PVPOまたはPVPNO)、ならびに、ポリビニルピロリドン−ビニルイミダゾール(PVPVI)が挙げられる。さらなる例示的なポリマーとしては、スルホン化ポリカルボキシレート、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド(PEO−PPO)および硫酸ジクオタニウムエトキシ(diquaternium ethoxy sulfate)が挙げられる。他の例示的なポリマーが、例えば、国際公開第06/130575号パンフレットに開示されている。上記のポリマーの塩もまた想定される。
【0146】
ポリマーはまた、界面活性増強ポリマーであり得る。好ましいポリマーは、両親媒性アルコキシル化グリースクリーニングポリマーおよび/またはランダムグラフトコポリマーである。両親媒性アルコキシル化グリースクリーニングポリマーとは、布地および表面からグリース粒子を除去するよう親水特性と疎水特性とが両立したいずれかのアルコキシル化ポリマーを指す。本発明の両親媒性アルコキシル化グリースクリーニングポリマーの特定の実施形態は、核構造と、この核構造に結合する複数のアルコキシレート基とを含む。核構造は、国際公開第11/156297号パンフレットに記載されているとおり、ポリアルキレンイミン構造またはポリアルカノールアミン構造を含み得る。
【0147】
布地色調剤
本発明の洗剤組成物は布地色調剤を含んでいてもよい。色調剤は、洗浄液から布地に付着して布地の白み知覚性が向上されるよう配合される。蛍光性白色化剤は少なくともいくらかの可視光を放つ。対照的に、布地色調剤は、可視光スペクトルの少なくとも一部分を吸収することで表面の色合いを変える。好適な色調剤としては、染料および染料−クレイ複合体が挙げられ、また、顔料もまた挙げられ得る。好適な染料としては、微小分子染料および高分子染料が挙げられる。好適な微小分子染料としては、例えば国際公開第05/03274号パンフレット、国際公開第05/03275号パンフレット、国際公開第05/03276号パンフレットおよび欧州特許第1876226号明細書(本明細書において参照により援用される)に記載されているとおり、Direct Blue、Direct Red、Direct Violet、Acid Blue、Acid Red、Acid Violet、Basic Blue、Basic VioletおよびBasic Red、または、これらの混合物の染料索引(C.I.)分類に属する染料からなる群から選択される微小分子染料が挙げられる。
【0148】
色調剤は青色または紫色であることが好ましい。遮光染料は、550nm〜650nm、好ましくは570nm〜630nmのピーク吸収波長を有することが好ましい。単一の染料としてヒトの眼に対して視覚的効果を有する染料の組み合わせは、ポリエステルにおいて550nm〜650nm、好ましくは570nm〜630nmのピーク吸収波長を有する。これは、青色または紫色の遮光を達成するために例えば赤色および緑色−青色の染料を混合することにより提供されてもよい。
【0149】
好適な染料の例は、direct violet 7、direct violet 9、direct violet 11、direct violet 26、direct violet 31、direct violet 35、direct violet 40、direct violet 41、direct violet 51、direct violet 66、direct violet 99、acid violet 50、acid blue 9、acid violet 17、acid black 1、acid red 17、acid blue 29、solvent violet 13、disperse violet 27 disperse violet 26、disperse violet 28、disperse violet 63およびdisperse violet 77、basic blue 16、basic blue 65、basic blue 66、basic blue 67、basic blue 71、basic blue 159、basic violet 19、basic violet 35、basic violet 38、basic violet 48;basic blue 3、basic blue 75、basic blue 95、basic blue 122、basic blue 124、basic blue 141、チアゾリウム染料、reactive blue 19、reactive blue 163、reactive blue 182、reactive blue 96、Liquitint(登録商標)Violet CT(Milliken,米国スパータンバーグ)およびAzo−CM−Cellulose(Megazyme,Bray,Republic of Ireland)である。
【0150】
洗剤組成物は、0.00003〜約0.2重量%、0.00008〜約0.05重量%、または、さらには0.0001〜約0.04重量%の布地色調剤を含むことが好ましい。組成物は0.0001〜0.2重量%の布地色調剤を含み得、これは、組成物が単位用量ポーチの形態である場合には特に好ましい場合がある。好適な色調剤は、例えば、国際公開第07/087257号パンフレット、国際公開第07/087243号パンフレットにも開示されている。
【0151】
消泡剤
洗剤組成物は、シリコーン消泡剤化合物;シリコーンオイルおよび疎水性粒子の消泡剤化合物;ならびに、これらの混合物から選択される消泡剤を0.001〜約4.0重量%含み得る。一実施形態において、組成物は、本明細書において、0.01〜約2.0重量%または0.05〜約1.0重量%のシリコーン消泡剤を含む(割合は、いずれかのキャリアを含まない有効量基準による)。一実施形態において、消泡剤は:シリコーン樹脂および変性シリカと組み合わされた、アリールまたはアルキルアリール置換基を含む有機変性シリコーンポリマー;M/Q樹脂;ならびに、これらの混合物から選択される。
【0152】
カルシウムおよびマグネシウムカチオン
組成物は、0.01〜5.0重量%のカルシウムおよび/またはマグネシウムカチオンなどの二価カチオンを含むことが好ましい。組成物は、0.01〜0.2重量%、0.2〜1.0重量%、1.0〜2.0重量%、2.0〜3.0重量%、3.0〜4.0重量%または4.0〜5.0重量%を含み得る。
【0153】
補助材
洗剤において用いられる技術分野において公知であるいずれかの洗剤成分もまた利用され得る。他の任意の洗剤成分としては、単独もしくは組み合わせで、耐食剤、収縮防止剤、再汚染防止剤、しわ防止剤、殺菌剤、バインダ、腐食抑制剤、崩壊剤/分解剤、染料、酵素安定化剤(ホウ酸、ホウ酸塩、CMC、4−FPBAなどのプロテアーゼ阻害剤およびペプチドアルデヒド、および/または、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどのポリオールを含む)、クレイを含む布地コンディショナ、充填材/加工助剤、蛍光性白色化剤/光学増白剤、起泡増進剤、起泡(セッケンの泡)調節剤、香料、汚染物−懸濁剤、軟化剤、セッケン泡抑制剤、色あせ防止剤、および、ウィッキング剤が挙げられる。洗剤において用いられる技術分野において公知であるいずれかの処方成分が利用され得る。このような処方成分の選択は十分に当業者の技能の範囲内である。
【0154】
本発明の洗剤組成物はまた、分散剤を含有することが可能である。特に粉末洗剤が分散剤を含んでいてもよい。好適な水溶性有機材料としては、ホモ−またはコポリマー酸またはその塩が挙げられ、ここで、ポリカルボン酸は、2個以下の炭素原子によって相互に分離された少なくとも2つのカルボキシルラジカルを含む。好適な分散剤は、例えば、Powdered Detergents, Surfactant science series volume 71,Marcel Dekker,Inc.に記載されている。
【0155】
本発明の洗剤組成物はまた、1種または複数種の移染防止剤を含み得る。好適な高分子移染防止剤としては、これらに限定されないが、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドンおよびポリビニルイミダゾールまたはこれらの混合物が挙げられる。主題の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、組成物の0.0001〜約10重量%、約0.01〜約5重量%、または、0.1%〜約3重量%のレベルで存在し得る。
【0156】
本発明の洗剤組成物はまた、好ましくは、蛍光性白色化剤または光学増白剤などのクリーニングされる物品の色合いを変え得る追加の成分を含有するであろう。存在する場合、増白剤は、0,01%〜約0,5重量%のレベルであることが好ましい。ランドリー洗剤組成物における使用に好適ないずれかの蛍光性白色化剤が、本発明の組成物中に用いられ得る。最も一般的に用いられる蛍光性白色化剤は、ジアミノスチルベン−スルホン酸誘導体、ジアリールピラゾリン誘導体およびビスフェニル−ジスチリル誘導体の分類に属するものである。ジアミノスチルベン−スルホン酸誘導体タイプの蛍光性白色化剤の例としては:4,4’−ビス−(2−ジエタノールアミノ−4−アニリノ−s−トリアジン−6−イルアミノ)スチルベン−2,2’−ジスルホネート;4,4’−ビス−(2,4−ジアニリノ−s−トリアジン−6−イルアミノ)スチルベン−2.2’−ジスルホネート;4,4’−ビス−(2−アニリノ−4(N−メチル−N−2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ)スチルベン−2,2’−ジスルホネート、4,4’−ビス−(4−フェニル−2,1,3−トリアゾール−2−イル)スチルベン−2,2’−ジスルホネート;4,4’−ビス−(2−アニリノ−4(1−メチル−2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ)スチルベン−2,2’−ジスルホネートおよび2−(スチビル−4”−ナフト−1.,2’:4,5)−1,2,3−トリアゾール−2”スルホネートのナトリウム塩が挙げられる。好ましい蛍光性白色化剤は、Ciba−Geigy AG,Basel,Switzerlandから入手可能であるTinopal DMSおよびTinopal CBSである。Tinopal DMSは、4,4’−ビス−(2−モルホリノ−4アニリノ−s−トリアジン−6−イルアミノ)スチルベンジスルホネートのジナトリウム塩である。Tinopal CBSは、2,2’−ビス−(フェニル−スチリル)ジスルホネートのジナトリウム塩である。また、好ましい蛍光性白色化剤は、Paramount Minerals and Chemicals,Mumbai,India製の市販のParawhite KXである。本発明における使用に好適な他の蛍光剤としては、1−3−ジアリールピラゾリンおよび7−アルキルアミノクマリンが挙げられる。好適な蛍光増白剤レベルは、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%または0.2重量%の低レベルから、約0.5重量%または約0.75重量%の高レベルを含む。
【0157】
本発明の洗剤組成物はまた、綿およびポリエステル系布地などの布地からの汚染物の除去、特にポリエステル系布地からの疎水性汚染物の除去を補助する1種または複数種の汚染物遊離ポリマーを含み得る。汚染物遊離ポリマーは、例えば、ノニオン性またはアニオン性テレフタレート系ポリマー、ポリビニルカプロラクタムおよび関連するコポリマー、ビニルグラフトコポリマー、ポリエステルポリアミドであり得る(例えばChapter 7,Powdered Detergents,Surfactant science series volume 71,Marcel Dekker,Inc.を参照のこと)。他のタイプの汚染物遊離ポリマーは、コア構造と、このコア構造に結合した複数のアルコキシレート基とを含む両親媒性アルコキシル化油脂クリーニングポリマーである。コア構造は、国際公開第09/087523号パンフレット(本明細書において参照により援用されている)に詳述されているとおり、ポリアルキレンイミン構造またはポリアルカノールアミン構造を含み得る。さらに、ランダムグラフトコポリマーは、好適な汚染物遊離ポリマーである。好適なグラフトコポリマーは、国際公開第07/138054号パンフレット、国際公開第06/108856号パンフレットおよび国際公開第06/113314号パンフレット(本明細書において参照により援用されている)により詳細に記載されている。他の汚染物遊離ポリマーは、欧州特許第1867808号明細書または国際公開第03/040279号パンフレット(共に本明細書において参照により援用されている)に記載されているものなどの変性セルロース誘導体などの特に置換セルロース系構造などの置換多糖類構造である。好適なセルロース系ポリマーとしては、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミドおよびこれらの混合物が挙げられる。好適なセルロース系ポリマーとしては、アニオン性変性セルロース、ノニオン性変性セルロース、カチオン性変性セルロース、両性イオン性変性セルロース、および、これらの混合物が挙げられる。好適なセルロース系ポリマーとしては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エステルカルボキシメチルセルロースおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0158】
本発明の洗剤組成物としてはまた、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリオキシエチレンおよび/またはポリエチレングリコール(PEG)、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー、ならびに、エトキシル化ポリエチレンイミンなどの1種または複数種の再汚染防止剤が挙げられ得る。上記の汚染物遊離ポリマーに記載のセルロース系ポリマーは、再汚染防止剤としても機能し得る。
【0159】
他の好適な補助材としては、これらに限定されないが、収縮防止剤、しわ防止剤、殺菌剤、バインダ、キャリア、染料、酵素安定化剤、布地軟化剤、充填材、起泡調節剤、ヒドロトロープ、香料、顔料、セッケン泡抑制剤、溶剤、液体洗剤用構造化剤、および/または、構造弾性化剤が挙げられる。
【0160】
使用
洗剤における使用。本発明のリパーゼは、安定化された洗剤組成物の調製に用いられ得る。従って、本発明は、(a)親リパーゼのリパーゼ変異体であって、配列番号2と少なくとも60%の配列同一性を有し、配列番号2の成熟型ポリペプチドのD254に対応する位置に置換を有し、および、リパーゼ活性を有する変異体、ならびに、(b)アニオン性界面活性剤を導入するステップを含む洗剤組成物を得る方法であって、前記組成物が、親リパーゼを含む対応する組成物と比して高い安定性を有する方法に関する。
【0161】
安定性は、特に限定されないが、本明細書に記載のとおりリアルタイムまたは加速保管安定性および/またはDSCアッセイにより監視され得る。これらは洗剤組成物に加えられ得、それ故、洗剤組成物のコンポーネントとなる。洗剤組成物は、粒状、液体、ゲル、ペースト、セッケンバー、単位用量/カプセル等、または、いずれかのこれらの組み合わせを含むいずれかの好適な形体であり得る。
【0162】
本発明の洗剤組成物は、例えば、汚染された布地の前処理に好適なランドリー添加剤組成物、および、リンス添加布地軟化剤組成物を含む手洗いもしくは洗濯機用ランドリー洗剤組成物として配合され得、または、通常の家庭用硬質面クリーニング作業において用いられる洗剤組成物として配合され得、または、手洗いもしくは機械用食器洗浄作業用に配合され得る。
【0163】
特定の態様において、本発明は、本明細書に記載のとおり本発明のポリペプチドを含む洗剤添加剤を提供する。
【0164】
本発明はまた、その組成物を使用するための方法に関する。
【0165】
本発明はまた、以下の実施形態に関する。
1.配列番号2と少なくとも60%の配列同一性を有する親リパーゼから誘導されたリパーゼ変異体であって、リパーゼ活性を有し、親リパーゼと比して、配列番号2の成熟型ポリペプチドのD254に対応する位置に置換を含む変異体の使用であり、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む洗剤組成物であって、親リパーゼを含む対応する組成物と比してより安定である組成物を得るための使用。
【0166】
2.実施形態1に係る使用であって、配列番号2の成熟型ポリペプチドのD254に対応する位置におけるアミノ酸置換がS、T、N、Y、H、LまたはQである使用。
【0167】
3.実施形態1または2に係る使用であって、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、LASの異性体、分岐アルキルベンゼンスルホネート(BABS)、フェニルアルカンスルホネート、α−オレフィンスルホネート(AOS)、オレフィンスルホネート、アルケンスルホネート、アルカン−2,3−ジイルビス(スルフェート)、ヒドロキシアルカンスルホネートおよびジスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのアルキルスルフェート(AS)、脂肪族アルコールスルフェート(FAS)、第1級アルコールスルフェート(PAS)、アルコールエーテルスルフェート(アルコールエトキシスルフェートまたは脂肪族アルコールエーテルスルフェートとしても公知であるAESまたはAEOSまたはFES)、第2級アルカンスルホネート(SAS)、パラフィンスルホネート(PS)、エステルスルホネート、スルホン化脂肪酸グリセロールエステル、メチルエステルスルホネート(MES)を含むα−スルホ脂肪酸メチルエステル(α−SFMeまたはSES)、アルキルコハク酸またはアルケニルコハク酸、ドデセニル/テトラデセニルコハク酸(DTSA)、アミノ酸の脂肪酸誘導体、スルホコハク酸のジエステルおよびモノエステル、セッケン、または、これらのいずれかの組み合わせである使用。
【0168】
4.実施形態1〜3のいずれかに係る使用であって、リパーゼ変異体が:
a.配列番号2の成熟型ポリペプチドに対して少なくとも60%の配列同一性を有するポリペプチド;
b.低ストリンジェンシー条件下で、(i)配列番号1の成熟型ポリペプチドコード配列、(ii)(i)の完全長補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;
c.配列番号1の成熟型ポリペプチドコード配列に対して少なくとも60%の同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;および
d.リパーゼ活性を有する配列番号2の成熟型ポリペプチドの断片
からなる群から選択される使用。
【0169】
5.実施形態1〜4のいずれかに係る使用であって、リパーゼ変異体が、配列番号2の成熟型ポリペプチドに対して、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%であるが、100%未満の配列同一性を有する使用。
【0170】
6.実施形態1〜5のいずれかに係る使用であって、リパーゼ変異体が、中ストリンジェンシー条件、中−高ストリンジェンシー条件、高ストリンジェンシー条件または超高ストリンジェンシー条件下で、(i)配列番号1の成熟型ポリペプチドコード配列または(ii)(i)の完全長補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる使用。
【0171】
7.実施形態1〜6のいずれかに係る使用であって、置換の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20置換などの、例えば、1〜10および1〜5などの1〜20置換である使用。
【0172】
8.実施形態1〜7のいずれかに係る使用、配列番号2の成熟型ポリペプチドの位置N33Q、T231Rおよび/またはN233Rに対応する1つまたは複数の位置に置換をさらに含む使用。
【0173】
9.実施形態1〜8のいずれかに係る使用であって、リパーゼ変異体が:
a.T231R+D254S
b.N233R+D254S
c.T231R+N233R+D254S
d.N33Q+D254S
e.N33Q+T231R+D254S
f.N33Q+N233R+D254S
g.N33Q+T231R+N233R+D254S
h.T231R+D254T
i.N233R+D254T
j.T231R+N233R+D254T
k.N33Q+D254T
l.N33Q+T231R+D254T
m.N33Q+N233R+D254T
n.N33Q+T231R+N233R+D254T
o.T231R+D254N
p.N233R+D254N
q.T231R+N233R+D254N
r.N33Q+D254N
s.N33Q+T231R+D254N
t.N33Q+N233R+D254N
u.N33Q+T231R+N233R+D254N
v.T231R+D254Y
w.N233R+D254Y
x.T231R+N233R+D254Y
y.N33Q+D254Y
z.N33Q+T231R+D254Y
aa.N33Q+N233R+D254Y
bb.N33Q+T231R+N233R+D254Y
cc.T231R+D254H
dd.N233R+D254H
ee.T231R+N233R+D254H
ff.N33Q+D254H
gg.N33Q+T231R+D254H
hh.N33Q+N233R+D254H
ii.N33Q+T231R+N233R+D254H
jj.T231R+D254L
kk.N233R+D254L
ll.T231R+N233R+D254L
mm.N33Q+D254L
nn.N33Q+T231R+D254L
oo.N33Q+N233R+D254L
pp.N33Q+T231R+N233R+D254L
qq.T231R+D254Q
rr.N233R+D254Q
ss.T231R+N233R+D254Q
tt.N33Q+D254Q
uu.N33Q+T231R+D254Q
vv.N33Q+N233R+D254Q
ww.N33Q+T231R+N233R+D254Q
から選択される置換を含むか、または、置換から構成される使用。
【0174】
10.前記実施形態のいずれかの使用であって、親リパーゼが、配列番号2の成熟型ポリペプチドを含むか、または、これから構成されている使用。
【0175】
11.前記実施形態のいずれかの使用であって、組成物が、CaCl
2をさらに含む使用。
【0176】
12.実施形態1〜11に従うリパーゼ変異体の使用により得られる洗剤組成物。
【0177】
13.(a)親リパーゼのリパーゼ変異体であって、配列番号2の成熟型ポリペプチドのD254に対応する位置に置換を有し、および、リパーゼ活性を有する変異体、ならびに、(b)アニオン性界面活性剤を含む洗剤組成物であって、親リパーゼを含む対応する組成物と比して高い安定性を有する組成物。
【0178】
14.(a)親リパーゼのリパーゼ変異体であって、配列番号2の成熟型ポリペプチドのD254に対応する位置に置換を有し、および、リパーゼ活性を有する変異体、ならびに、(b)アニオン性界面活性剤を導入するステップを含む洗剤組成物を得る方法であって、前記組成物が、親リパーゼを含む対応する組成物と比して高い安定性を有する方法。
【0179】
15.クリーニングのための実施形態12または13の組成物の使用。
【0180】
本発明を、本発明の範囲を限定すると理解されるべきではない以下の実施例によりさらに記載する。
【実施例】
【0181】
実施例1:示差走査熱量測定法(DSC)
リパーゼの熱安定性を、VP−毛管示差走査熱量計(MicroCal Inc.,Piscataway,NJ,USA)を用いて示差走査熱量測定法(DSC)により測定した。酵素溶液を緩衝剤(1mM CaCl
2を添加した、もしくは、添加しない50mM HEPES緩衝剤pH8.0)中で、200K/hrの一定のプログラムした加熱速度で加熱した後に得たサーモグラム(Cp対T)における変性ピーク(主吸熱ピーク)の再上部を熱変性温度Td(℃)とした。
【0182】
サンプル溶液および基準溶液(およそ0.2ml)を保管条件から10℃で熱量計(基準:酵素を含有しない緩衝剤)に仕込み、20℃から110℃にDSC走査する前に、20℃で20分間熱的に事前に平衡化した。変性温度をおよそ+/−1℃の精度で測定した。
【0183】
実施例2a:リアルタイム保管安定性アッセイ
精製したリパーゼを、HSB緩衝剤(2.5mM HEPES pH7;10M NaCl;0.02% Brij−35)で100ppmの濃度に希釈した。20マイクロリットルの100ppmリパーゼ溶液を180マイクロリットルの洗剤組成物に添加し、5分間撹拌し、シールした。サンプルを4℃(非ストレス下)および35℃(ストレス下)で保管した。保管時間は、リパーゼ基準の半減期に基づいて選択した。
【0184】
保管後、可能性のある縮合液体を遠心分離により回収した。10マイクロリットルのサンプルアリコートを、0.05M pH9ホウ酸緩衝剤(9mM CaCl2;0.0225% Brij−35;0.85%4−FBPA(31,5g/l))中で200倍に希釈した。1部の希釈したアリコートを、4部の1mM pNP−パルミテート、1mMの塩化カルシウム、100mMのトリス(pH8.0)、6.5mMのデオキシコレート、1.4g/L AOSと混合し、pNP発色団の放出を分光測光法で20分間かけて計測した。
【0185】
残存活性をストレス下での計測速度対非ストレス下でのサンプルの比として算出した。残存活性の平均値を2〜4回の反復に基づいて算出した。
【0186】
実験6、7および8に示されている半減期は、以下の式に基づいて算出した:半減期=ストレス時間×ln(0,5)/ln(残存活性)。
【0187】
リパーゼ基準を基準とした半減期改善係数(HIF)を、リパーゼの半減期をリパーゼ基準の半減期で除することにより算出した。リパーゼ基準は別段の定めがある場合を除き、突然変異T231RおよびN233Rを含むテルモマイセスラヌギノスス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼである。
【0188】
【表1】
【0189】
D002は、英国内において2010年に購入した、酵素を含まない市販の洗剤(Persil Small & Mighty nonbio,2x concentrated)である。これはLAS/SLES/NI系であり、直接計測でpH8.4を有する。
【0190】
実施例2b:アニオン性界面活性剤の存在下におけるリアルタイム保管安定性アッセイ。
単純なアッセイシステムをセットアップして、LASなどのアニオン性界面活性剤の存在下における安定性をテストした。
【0191】
【表2】
【0192】
精製したリパーゼを、HSB緩衝剤(2.5mM HEPES pH7;10mM NaCl;0.02% Brij−35)で100ppmの濃度に希釈した。20マイクロリットルの100ppmリパーゼ溶液を180マイクロリットルの緩衝剤溶液に添加し、5分間撹拌し、シールした。サンプルを、界面活性剤を含まない基準緩衝剤X013中(非ストレス下)、および、界面活性剤を含む緩衝剤X001またはX002中(ストレス下)で、室温で保管した。4回の反復のサンプルアリコートを、1、2、3、4、6、24および48時間後に採取した。
【0193】
保管後、可能性のある縮合液体を遠心分離により回収した。10マイクロリットルのサンプルアリコートを、0.05M pH9ホウ酸緩衝剤(9mM CaCl2;0.0225% Brij−35;0.85%4−FBPA(31.5g/l))中で200倍に希釈した。1部の希釈したアリコートを、4部の1mM pNP−パルミテート、1mMの塩化カルシウム、100mMのトリス(pH8.0)、6.5mMのデオキシコレート、1.4g/L AOSと混合し、pNP発色団の放出を分光測光法で20分間かけて計測した。
【0194】
残存活性をストレス下での計測速度対非ストレス下でのサンプルの比として算出した。残存活性の平均値を2〜4回の反復に基づいて算出した。
【0195】
半減期を、y=A×2^(−x/B)(式中、yは残存活性であり、および、xはインキュベーション時間である)の曲線を当てはめることにより算出した。この場合、Bの最適値が半減期である。当てはめは、Rにおけるnls−関数(http://www.r−project.org)を用いて行う。
【0196】
実施例2c:リアルタイム保管安定性アッセイ
2mg EP/gストック溶液中の精製したリパーゼを、96.3%洗剤に68ppmの濃度で加えた。サンプルを少なくとも1時間撹拌し、その後、シールしたガラスバイアルに分配し、次いで、保管した。最終保管の後、すべてのサンプルを凍結させ、残存活性について分析し、実験の開始時から凍結させた基準サンプルと比較した。別段の定めがある場合を除き、リパーゼ基準は、突然変異T231RおよびN233Rを含むテルモマイセスラヌギノスス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼであった。
【0197】
リパーゼ活性を、リパーゼ酵素を0.0145〜0.0490M:LCLU/Lに希釈し、基質PNP−パルミテートと共にインキュベート(pH8;37℃)し;放出されたPNPを405nmで65秒間にわたって分光測光法的に検出する方法により計測した。絶対活性は検量線を基準として読み取られる。絶対活性の平均値を2回の反復に基づいて算出した。
【0198】
半減期を、y=A×2^(−x/B)(式中、yは残存活性であり、および、xはインキュベーション時間である)の曲線を当てはめることにより算出した。この場合、Bの最適値が半減期である。当てはめは、Rにおけるnls−関数(http://www.r−project.org)を用いて行う。
【0199】
実施例3:熱安定性
熱安定性をCaCl
2の不在下に実施例1に記載されているとおり判定した。D254S置換リパーゼ変異体およびその基準リパーゼに係るLASの存在または不在下における熱変性温度Tdが表3に示されている。
【0200】
【表3】
【0201】
実施例4:熱安定性
熱安定性をCaCl
2の存在下に実施例1に記載されているとおり判定した。種々のD254置換リパーゼ変異体およびその基準リパーゼに係るLASの存在または不在下における熱変性温度Tdが表4に示されている。
【0202】
【表4】
【0203】
実施例5:熱安定性
熱安定性を実施例1に記載されているとおり判定した。D254Sリパーゼ変異体に係るLASの存在または不在下における熱変性温度TdおよびCaCl
2が表5に示されている。
【0204】
【表5】
【0205】
実施例6:リアルタイム保管安定性データ
実施例2aに記載されているとおり、洗剤D001において保管安定性を判定した。リパーゼ変異体およびその基準リパーゼの残存活性および半減期改善係数(HIF)が表6に示されている。
【0206】
【表6】
【0207】
実施例7:リアルタイム保管安定性データ
実施例2aに記載されているとおり、洗剤D001において保管安定性を判定した。リパーゼ変異体およびその基準リパーゼの残存活性および半減期改善係数(HIF)が表7に示されている。
【0208】
【表7】
【0209】
実施例8:種々の洗剤における安定性
実施例2aに記載されているとおり、洗剤D001、D002およびD003において保管安定性を判定した。リパーゼ変異体およびその基準リパーゼの半減期(時間)が表8に示されている。
【0210】
【表8】
【0211】
実施例9:LAS系における安定性
1、2、3、4、6、24および48時間後の保管安定性を、組成物:X001およびX002を含む2種のLASの4回の反復において、実施例2bに記載されているとおり、それぞれ、pH7およびpH9で、判定した。リパーゼは、基準緩衝剤X013中においては、観察時間を通して安定であった。リパーゼ変異体およびその基準リパーゼの半減期(時間)が表9に示されている。
【0212】
【表9】
【0213】
実施例10:リアルタイム保管安定性データ
保管安定性を実施例2cに記載のとおり判定した。種々の温度での洗剤D001、D002およびD003中のリパーゼ変異体およびその基準リパーゼの半減期(週数)および半減期改善係数(HIF)が、それぞれ、表10a、10bおよび10cに示されている。
【0214】
【表10】
【0215】
【表11】
【0216】
【表12】
【0217】
実施例11:混合界面活性剤系における安定性
19.25、161.75および329.25時間後の保管安定性を、表11aに列挙されているとおり異なる界面活性剤を異なるpHで含有する洗剤混合物において、4回の反復で判定した。テストを、実施例2bに記載されているとおりであるが、記載の保管温度で行った。リパーゼは、基準緩衝剤X013中においては、観察時間を通して安定であった。リパーゼ変異体およびその基準リパーゼの半減期(時間)が表11bに示されている。改善係数は、D254S突然変異を伴う変異体の半減期対D254S突然変異を伴わない変異体の半減期の比として示されている。
【0218】
【表13】
【0219】
【表14】
【0220】
【表15】
【0221】
【表16】
【0222】
実施例12:洗剤D001中に保管した後のリパーゼの洗浄性能
精製したリパーゼを6.0mg/mLの濃度に希釈した(50mM H
3BO
3/NaOH、1M NaCl pH9)。0.25mgのリパーゼを5gの洗剤D001(表1)に添加し、30分間撹拌し、シールした。サンプルを37℃(ストレス下)で、0日間、7日間および14日間保管し、その後、−18℃(非ストレス下)に移した。
【0223】
保管後、洗浄性能を、上記の変更を伴うASTM D3050(ASTM International,West Conshohocken,PA)と同様の方法を用いて実験スケールで計測した。汚染テスト見本(CS−10:バターの脂肪および着色剤で汚染した綿、Center For Testmaterials)を、5gの洗剤D001および0mgまたは0.25mgのリパーゼを含有する1Lの洗剤溶液を用いて、Terg−O−tometer中で90rpmで洗浄した。見本を30℃で、15°dH Ca
++/Mg
++/HCO3
-(比4:1:7.5)の擬似的な水硬度を用いて15分間洗浄し、次いで、水道からの流水で10分間すすいだ。洗浄およびすすぎの後、見本を室温で一晩乾燥させた。見本のクリーンさを、460nm(Macbeth Colour Eye 7000反射率分光測光計)の色彩計計測を用いる光放射により判定し、結果は、酵素を含まない洗剤で洗浄したブランクの放射を差し引くことにより、ΔRとして表記した。
【0224】
【表17】
【0225】
本明細書に記載され、特許請求されている本発明は、本明細書に開示されている特定の態様によって範囲が限定されるべきではなく、これは、これらの態様は本発明の数々の態様の例示であることが意図されているためである。いずれかの同等の態様は本発明の範囲内であることが意図されている。実際に、本明細書に示され、記載されているものに追加した本発明の種々の改変形態が、前述の記載から当業者には明らかとなるであろう。このような改変形態もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に属することが意図されている。競合する場合には、定義を含む本開示が優先されることとなる。
【0226】
配列表の参照
本出願は、コンピュータ読み取り可能な形態の配列表を含んでおり、これは本明細書において参照により援用される。