特表2015-508492(P2015-508492A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2015-508492ホイールセットの旋回を改善する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-508492(P2015-508492A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(54)【発明の名称】ホイールセットの旋回を改善する方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/06 20060101AFI20150220BHJP
   G04B 18/02 20060101ALI20150220BHJP
【FI】
   G04B17/06 A
   G04B18/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-547822(P2014-547822)
(86)(22)【出願日】2012年11月30日
(85)【翻訳文提出日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】EP2012074143
(87)【国際公開番号】WO2013092172
(87)【国際公開日】20130627
(31)【優先権主張番号】11195125.7
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】02023/11
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】CH
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】コニュス,ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェラルド,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジャール,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】カベサス,フリン・アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】エルフェ,ジャン−リュック
(72)【発明者】
【氏名】グラフ,エマニュエル
(57)【要約】
【課題】 ホイールセットの旋回を改善する方法を提供する。
【解決手段】 ホイールセット軸(D)を中心に旋回ないし振動するアーバー(10)を有する、科学的機器用のホイールセット(1)の旋回を改善する方法である。このホイールセット軸(D)上に重心を設けるように当該ホイールセットの静的バランス合わせを行う。このホイールセットの第1の縦方向の慣性主軸とホイールセット軸(D)の間の所定の所望の逸脱に対応する、ホイールセット軸(D)に対する結果としてもたらされるアンバランスモーメントのために所望の値を決定する。このホイールセットは、このホイールセット軸(D)を中心とする所定速度で回転するようにセットされ、結果としてもたらされるアンバランスモーメントが、ホイールセット軸(D)に対して測定される。結果としてもたらされるホイールセット軸(D)を中心とするホイールセットのアンバランスモーメントの値を、所望の値に対して所定の許容範囲内に調整する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
科学的機器又は計時機器用のホイールセット(1)又はホイールセット装備体(40)の旋回を改善する方法であって、
当該アーバー(10)の軸によって形成されホイールセット軸(D)上に芯合わせされた振動軸を中心に旋回ないし振動するように構成する少なくとも1つのアーバー(10)を有し、当該方法は、
前記ホイールセットの静的バランス合わせは、重心を前記ホイールセット軸(D)上にするように行われ、
前記ホイールセット軸(D)を中心とする前記ホイールセットの結果としてもたらされるアンバランスモーメントに対して所望の値が決定され、この所望の値は、前記ホイールセットの第1の縦方向の慣性主軸と、前記ホイールセット軸(D)との間の所定の所望の逸脱に対応し、
前記ホイールセットは、前記ホイールセット軸(D)を中心とする所定速度の回転にセットされ、結果としてもたらされるアンバランスモーメントが、前記ホイールセット軸(D)に対して測定され、
前記所望の値に対して所定の許容差内の前記ホイールセット軸を中心とする前記ホイールセットの結果としてもたらされるアンバランスモーメントの値に対して、前記所望の値の所定の許容範囲内になるように調整が行われる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ホイールセット(1)又はホイールセット装備体(40)の前記軸(D)に垂直な平面に対して、材料の非対称な付加及び/又は変位及び/又は除去によって、当該調整が行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ホイールセット(1)又はホイールセット装備体(40)の他の2つの慣性主軸によって定められる平面に対して、材料の非対称な付加及び/又は変位及び/又は除去によって、当該調整が行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
材料の付加及び/又は変位及び/又は除去は、ホイールセット(1)に設けられ、かつ、前記アーバー(10)から放射状に突き出る少なくとも1つのフランジ(2)に対して行われる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
材料の付加及び/又は変位及び/又は除去は、前記ホイールセット(1)の前記アーバー(10)に対して行われる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
材料の付加及び/又は変位及び/又は除去は、前記アーバー(10)と、前記ホイールセットの別の中心からずれた部分との間の前記ホイールセットに設けられる少なくとも1つのアームに対して行われる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項7】
動的バランス合わせモーメントの値の前記調整の前に当該静的バランス合わせが行われる
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
動的バランス合わせモーメントの値の前記調整と同時に当該静的バランス合わせが行われる
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ホイールセット軸(D)を中心とするホイールセット又はホイールセット装備体の結果としてもたらされるアンバランスモーメントの当該所望の値は、ホイールセット又はホイールセット装備体の前記第1の縦方向の慣性主軸が、前記ホイールセット軸(D)に一致するように、ゼロにセットされる
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記所定の回転速度は、少なくとも1つの駆動手段、及び/又は戻り又は反発のための特定の弾性的手段、及び/又は戻り又は反発のための磁気的手段、及び/又は戻り又は反発のための静電的手段と組み合わせて、動作中の旋回ないし振動の際に考慮された、前記ホイールセット又はホイールセット装備体に対して計算された最大の角速度にセットされる
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記静的バランス合わせ及び前記動的バランス合わせの前に、前記ホイールセット(1)又はホイールセット装備体(40)に設けられる、少なくとも1つのフランジ(2)は、前記ホイールセット軸(D)に平行な軸方向(A)において可動なように円筒状又はフルート形状の質量(26)を受けるように構成する円筒状又はフルート形状のハウジング(25)とともに機械加工され、
前記調整のすべて又は一部は、前記ホイールセット(1)又はホイールセット装備体(40)の他の2つの慣性主軸によって定められる前記平面(P)に対して前記ハウジングの内部に挿入された前記可動質量の変位によって行われる
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記静的バランス合わせ及び前記動的バランス合わせの前に、
前記可動質量(26、27)は、前記フランジ(2)内部に設けられ前記フランジ(2)と不可分にされ、これは、前記可動質量(26、27)と単一片として前記ホイールセット又はホイールセット装備体の一体成形物を作ること、又は前記可動質量(26、27)のために対応するハウジング(25)を延長領域が通り抜けることを防ぐように、前記可動質量(26、27)のそれぞれの少なくとも1つの端を延ばすことのいずれかによって行われる
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記調整のすべて又は一部は、前記ホイールセット(1)又はホイールセット装備体(40)に備えられる、少なくとも1つのフランジ(2)の変形によって行われ、これは、前記ホイールセット又はホイールセット装備体の他の2つの慣性主軸によって定められる前記平面(P)に対して非対称の手法で行われる
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記静的バランス合わせ及び動的バランス合わせの前に、前記ホイールセット(1)又はホイールセット装備体(40)に備えられる、少なくとも1つのフランジ(2)が、雌ネジ加工された放射状のハウジング(17)とともに機械加工され、これは、前記ホイールセット軸(D)を中心とする放射状の方向(R)に、可動な非対称の頭のネジ(18)を受けるように構成し、
前記調整のすべて又は一部は、前記雌ネジ加工されたハウジング(17)へねじ込まれた前記ネジ(18)の変位によって行われる
ことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記ホイールセット又はホイールセット装備体の結果としてもたらされるアンバランスモーメントが、前記ホイールセット軸に対して測定され、このアンバランスは、前記ホイールセット(1)又はホイールセット装備体(40)に備えられる角度のガイドマークに対しての角度上の位置にて測られる
ことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記静的バランス合わせ及び前記動的バランス合わせの前に、前記ホイールセット(1)又はホイールセット装備体(40)においてフランジ(2)が設けられ、所定値のアンバランスモーメントが結果としてもたらされる
ことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
科学的機器又は計時機器用のホイールセット(1)であって、
当該アーバー(10)の軸によって形成されホイールセット軸(D)に芯合わせされた振動軸を中心に回転又は振動するように構成された少なくとも1つのアーバー(10)を有し、
前記ホイールセットアーバー(10)に接続され、かつ、前記アーバー(10)を中心として放射状に突き出る少なくとも1つのフランジ(2)を有し、
前記少なくとも1つのフランジ(2)は、前記ホイールセット軸(D)に実質的に垂直であり、
前記ホイールセット(1)は、前記ホイールセット軸(D)の近傍又は一致する第1の縦方向の慣性主軸を有するように製造され、他の2つの慣性主軸は、正中面(P)をともに定め、
前記フランジ(2)は、複数のハウジングを有し、そのそれぞれは、前記ホイールセット軸(D)に平行な軸方向(A)のみ、又は前記ホイールセット軸(D)を中心とする放射状の線(R)に垂直な平面のみのいずれかにおいて、前記ハウジングにおいて位置を調整可能な可動質量を受ける
ことを特徴とするホイールセット。
【請求項18】
前記正中面(P)は、前記フランジ(2)の層に位置する
ことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のホイールセット(1)。
【請求項19】
前記ハウジングのそれぞれ及び/又は前記対応する可動質量のそれぞれは、いくつかの別個の位置に前記可動質量が保持されることを可能にする捕捉手段を有し、前記可動質量の重心は、前記正中面(P)から離れている
ことを特徴とする請求項17又は18のいずれかに記載のホイールセット(1)。
【請求項20】
前記ハウジングのそれぞれ及び/又は前記対応する可動質量のそれぞれは、前記可動質量を前記ハウジングにおける位置に保持する弾性的戻し手段を有する
ことを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載のホイールセット(1)。
【請求項21】
請求項17〜20のいずれかに記載のホイールセット(1)を有する科学的機器又は計時機器用のホイールセット装備体(40)であって、
前記ホイールセット装備体は、駆動手段、及び/又は戻り又は反発のための弾性的手段、及び/又は戻り又は反発のための磁気的手段、及び/又は戻り又は反発のための静電的手段をさらに有する
ことを特徴とするホイールセット装備体。
【請求項22】
請求項21に記載のホイールセット装備体(40)及び/又は請求項17〜20に記載のホイールセット(1)を有する科学的機器又は計時機器用の機構(50)。
【請求項23】
請求項22に記載の機構(50)及び/又は請求項21に記載のホイールセット装備体(40)及び/又は請求項17〜20のいずれかに記載のホイールセット(1)を有する科学的機器(60)。
【請求項24】
当該科学的機器は、腕時計であり、
前記ホイールセット(1)はバランスであり、前記ホイールセット(1)のフランジ(2)は、ディスク又は外縁によって形成され、
前記ホイールセット装備体(40)は、バネ仕掛けバランスである
ことを特徴とする上記請求項に記載の科学的機器(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、科学的機器又は計時機器用のホイールセット又はホイールセット装備体の旋回(ピボット)を改善する方法に関し、これは、当該アーバーの軸によって形成されホイールセット軸に芯合わせ(アライメント合わせ)される振動軸を中心に旋回ないし振動するように構成する少なくとも1つのアーバー(arbor)を有する。
【0002】
本発明は、さらに科学的機器又は計時機器用のホイールセットに関し、これは、当該アーバーの軸によって形成されホイールセット軸に芯合わせされた振動軸を中心に回転又は振動するように構成された少なくとも1つのアーバーを有し、前記ホイールセット軸は、前記ホイールセットアーバーに接続され、かつ、前記アーバーを中心として放射状に突き出る少なくとも1つのフランジを有し、前記フランジは、前記ホイールセット軸に実質的に垂直である。
【0003】
本発明は、本発明に係るホイールセットを含む科学的機器又は計時機器用のホイールセット装備体にさらに関する。
【0004】
本発明は、さらに、本発明に係るホイールセット装備体及び/又は本発明に係るホイールセットを有する科学的機器又は計時機器用の機構に関する。
【0005】
本発明は、さらに、本発明に係る機構及び/又は本発明に係るホイールセット装備体及び/又は本発明に係るホイールセットを有する科学的機器に関する。
【0006】
本発明は、精密機械、特に、機械的な科学的機器の分野に関する。具体的には、軸を中心に旋回ないし振動する部品を含む、流量、消費量又は時間を測定、表示、比較する機構を含むカウンター及び精密機器の分野に関する。
【背景技術】
【0007】
精密機器の分野では、軸を中心として旋回ないし振動する、特定の部品のガイドメンバーの品質は、測定される時間や生成される信号についての再現性のために非常に重要である。一方で、機構の旋回軸と、他方で、部品のアーバーに設けられた肩部との間のガイドメンバーに欠陥があれば、並の精度しか得られず、時間が経過するに従って摩耗し、劣化してしまう。機械加工の動作の幾何学的な品質は、精密な動作のために必要な条件であるが、この条件は不十分なことが多い。実際に、特にアンバランスな状態において、振動のふるまいは、ベアリングに加わる圧力に直接影響を与え、よって、摩耗した後にガイドメンバーの品質を元に戻すためにベアリング及び/又は旋回軸を交換したり再度機械加工する場合に特に、潤滑のための要求事項やメンテナンスのための要求事項に直接影響を与える。
【0008】
部品の静的バランス合わせによって、部品の重心を旋回ないし振動の軸に戻すことができ、これによって、状況が改善し、摩耗を遅らすことが可能になる。しかし、慣性上の欠陥によって引き起こされる影響によって、機構の動作、そして、耐用年数に多大な損害をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、これらの精密機構の回転部品のガイドメンバーにおいて摩擦の軽減を確実にし、そのような機構の動作上の精度を改善するような解決策を提案する。また、当該部品の回転速度及び/又は振動周波数を増加させることを可能にすることを意図している。
【0010】
高い精度を求めることは、ホイールセットの調整を改善することを意味し、これは、具体的には、高品質な動的バランス合わせ動作によって行われる。
【0011】
このように、本発明は、ホイールセットを動的バランス合わせすることを提案する。すなわち、これは、ホイールセットの慣性主軸を回転軸上に戻すことである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、科学的機器又は計時機器用のホイールセット又はホイールセット装備体の旋回を改善する方法に関し、この方法において、前記ホイールセット又はホイールセット装備体は、当該アーバーの軸によって形成されホイールセット軸上に芯合わせされた振動軸を中心に旋回ないし振動するように構成する少なくとも1つのアーバーを有し、前記ホイールセットの静的バランス合わせは、重心を前記ホイールセット軸上にするように行われ、前記ホイールセット軸を中心とする前記ホイールセットの結果としてもたらされるアンバランスモーメントに対して所望の値が決定され、この所望の値は、前記ホイールセットの第1の縦方向の慣性主軸と、前記ホイールセット軸との間の所定の所望の逸脱に対応し、前記ホイールセットは、前記ホイールセット軸を中心とする所定速度の回転にセットされ、結果としてもたらされるアンバランスモーメントが、前記ホイールセット軸に対して測定され、前記所望の値に対して所定の許容差内の前記ホイールセット軸を中心とする前記ホイールセットの結果としてもたらされるアンバランスモーメントの値に対して、前記所望の値の所定の許容範囲内になるように調整が行われる。
【0013】
本発明の別の特徴によれば、前記ホイールセット又はホイールセット装備体の他の2つの慣性主軸によって定められる平面に対して、材料の非対称な付加及び/又は変位及び/又は除去によって、当該調整が行われる。
【0014】
本発明は、さらに科学的機器又は計時機器用のホイールセットに関し、当該アーバーの軸によって形成されホイールセット軸に芯合わせされた振動軸を中心に回転又は振動するように構成された少なくとも1つのアーバーを有し、前記ホイールセット軸は、前記ホイールセットアーバーに接続され、かつ、前記アーバーを中心として放射状に突き出る少なくとも1つのフランジを有し、前記少なくとも1つのフランジは、前記ホイールセット軸に実質的に垂直であり、前記ホイールセットは、前記ホイールセット軸の近傍又は一致する第1の縦方向の慣性主軸を有するように製造され、他の2つの慣性主軸は、正中面をともに定め、前記フランジは、複数のハウジングを有し、そのそれぞれは、前記ホイールセット軸に平行な方向のみ、又は前記ホイールセット軸を中心とする放射状の線に垂直な平面のみのいずれかにおいて、前記ハウジングにおいて位置を調整可能な可動質量を受ける。
【0015】
本発明の特徴の1つによれば、前記正中面は、前記フランジの厚みの範囲内にある。
【0016】
本発明は、ホイールセットを有する科学的機器又は計時機器用のホイールセット装備体に関し、前記ホイールセット装備体は、駆動手段、及び/又は戻り又は反発のための弾性的手段、及び/又は戻り又は反発のための磁気的手段、及び/又は戻り又は反発のための静電的手段をさらに有する。
【0017】
本発明は、本発明に係るホイールセット装備体及び/又は本発明に係るホイールセットを有する科学的機器又は計時機器用の機構にさらに関する。
【0018】
本発明は、本発明に係る機構及び/又は本発明に係るホイールセット装備体及び/又は本発明に係るホイールセットを有する科学的機器にさらに関する。
【0019】
添付図面と以下の詳細な説明から、本発明の他の特徴や利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るホイールセット装備体の一例の概略的な縦方向の断面図である。
図2】ホイールセットの軸を通る平面に沿った概略的な断面図であり、図2A〜2Fは、本発明に係る静的及び動的バランス合わせ方法を実装するために行うことができるいくつかの異なる機械加工過程である。
図3図3〜11は、本発明に係るホイールセットの他の変形例の部分的かつ概略的な図であり、図3は、ホイールセット軸を通る平面に沿った断面図(図3B)にて示されているように、ホイールセットのフランジの正中面の両側に分布する、切断及び/又は折ることができる慣性ブロックを示した斜視図(図3A)である。
図4】ホイールセットフランジにおける開口に組み入れられたレールの上又は下の可動質量を示した上面図(図4A)と断面図(図4B)である。
図5】ホイールセットの軸方向における部品を備えた変形可能な片を示す断面図であり、各片の変形は調整ネジによってもたらされる。
図6】ホイールセットフランジに設けられた開口に対して角度上に方向変更可能な質量を示し、この開口の第1の縁の上及び第2の縁の下で支持された弧も示している。
図7】ホイールセットの軸方向に平行に取り付けられるホイールセットのフランジにおける調整ネジを示す。
図8】ホイールセットのフランジの上及び下に交互に配置された図7とのものと同様なネジを示す。
図9】ホイールセットのフランジの厚みの範囲内の調整ネジを示す。これは、ホイールセット軸を中心とする放射状の方向において正中面に取り付けられ、これらのネジは、公転回転しないがねじ込み軸に対して対称的なネジ頭を有する。
図10】ネジ頭がねじ込み軸に対して非対称である、図9と同様な図である。
図11】取り付け部分によって軸芯にリンクされた周辺部分を含むフランジの図である。この周辺部分には溝があり、周辺部分に設けられた異なる区分において変形可能であり、これらの区分それぞれは取り付け片の1つによって形成される。
図12】ホイールセット軸を通る平面に沿った概略的な断面図であって、ハウジングにおいて軸位置を調整可能な滑らかな質量を示す。
図13】フルート状の質量(fluted mass)を同様に示す。
図14】ホイールセットのフランジによって所定位置に保持された質量を同様に示す。
図15】本発明に係るホイールセット装備体を備えた機構を含む科学的機器の概略的なブロック図を示す。
図16】結果として生じるアンバランスモーメントを負わされ又は強いられた、具体化前のホイールセットの端図(図16A)及び側面図(図16B)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、機械的な科学的機器の分野に関し、より詳細には、軸を中心に旋回ないし振動することができる可動部品を有する、時間を測定又は比較する機構を有するカウンター及び精密機器の分野に関する。
【0022】
具体的には、本発明は、ホイールセット1又はホイールセット装備体40の最適なバランス合わせに関する。
【0023】
以下の説明では、「ホイールセット」は、軸部分の軸に対応する、ホイールセット軸Dを中心に旋回ないし振動することができるいずれの軸を有する部品(arbored component)をも意味する。このホイールセットは、適当であれば、しかし必ずしも必要でないが、トゥーシング(toothing)、ピニオン、溝や肩部のような他の駆動手段、及び駆動手段に取り付けたり協力してはたらくための要素、及び/又は戻り又は反発の弾性的手段、及び/又は戻り又は反発の磁気的手段、及び/又は戻り又は反発の静電的手段等を有する。ここで、「ホイールセット装備体」40は、本発明に係るホイールセット1の少なくとも1つ及び駆動手段のすべて又は一部、及び/又は戻り又は反発の弾性的手段、及び/又は戻り又は反発の磁気的手段、及び/又は戻り又は反発の静電的手段を有する機械的なサブアセンブリ又はアセンブリを意味する。図1は、本発明に係るホイールセット装備体40の一例(これに限定されない)を示しており、これは、一方で、ホイールセット1上に形成され、他方で、反発の磁気的手段41上に形成される。ホイールセット1は、軸Dを有するアーバー10を有し、この例においては、歯車42及びピニオン43を有し、調整手段4を保持しているフランジ2を有する。これは、軸Dを中心とする放射状の方向Rにおける放射状の構成で示されており、また、正中面(median plane)Pは、第2の理論的な慣性軸に対応し、理論的な慣性主軸は、軸Bと一致する。
【0024】
「フランジ」は、実質的に放射状に突き出る部分であって、その直径がアーバーの直径より大きいものを意味し、ホイールセットの軸を中心に回転することが好ましい。このホイールセットには、本発明に係るフランジをいくつか有していても当然よく、そのフランジの一部は、歯車、プーリー等の特定の機能を有していてもよい。本発明は、ホイールセット1又はホイールセット装備体40の動的バランス合わせをすることを提案する。これは、すなわち、慣性主軸を回転軸に戻すことである。いくつかの異なる実施形態(これらに限定されない)及び図は、露出したホイールセット1に対しての本発明の適用を示しており、これはもちろん、ホイールセット装備体40に適用することができる。
【0025】
完全なバランス合わせを目指すのではなく、制御されたアンバランスを作ることもできる。つまり、以下の事項に対して特定の方向の特定の角度に、ホイールセットの慣性主軸を傾けることができる。
●ホイールセットの軸
●このホイールセット軸を通り抜け、かつ、機能的なガイドマーク、具体的にはホイールセットの角度についてのガイドマーク、によって具体化される平面
【0026】
この目的のために、以下の2つのステップが必要である。
●動的アンバランスを測定するステップ
●アンバランスをなくすことか、又はよく定められた値に戻すことかのいずれかによって、このアンバランスを修正するステップ
である。本発明は、この目的のために、科学的機器又は計時機器用のホイールセット1又はホイールセット装備体40の旋回を改善する方法に関する。このホイールセット1は、アーバー10の軸によって形成されホイールセット軸Dに芯合わせされた振動軸を中心に旋回ないし振動するように構成する少なくとも1つのアーバー10を有し、好ましくは、射影直径がアーバー10のものよりも大きい少なくとも1つのフランジ2を有する。ホイールセットがアーバー10だけになって単純になった場合でも、本発明に係るアーバーに適用可能な、本発明の特定の実装上の変形例を用いて、動的バランス合わせを行うことができる。細いフランジの両側に支持される部品を必要とし、かつ、実質的に円柱状のアーバー形状の部分に対して実装することが難しいような、下で説明する変形例のみにおいて、実質的に平坦であり、かつ、ホイールセット軸に実質的に垂直であるフランジを有するホイールセットに、より限定される。
【0027】
このホイールセット1又はホイールセット装備体40は、ホイールセット軸Dに芯合わせされた振動軸を中心に振動するように構成する。
【0028】
本発明に従って以下が行われる。
●このホイールセット又はホイールセット装備体の静的バランス合わせが行われ、重心がホイールセット軸D上に移される。
●結果としてもたらされるアンバランスモーメントに対して所望の値が決められ、これは、所望の逸脱に対応するホイールセット軸を中心とするホイールセット又はホイールセット装備体に対する動的アンバランスを定めるものであり、これは、具体的には、一部のアプリケーションにおいて、ホイールセットの縦方向の第1の慣性主軸と、ホイールセット軸Dとの間の所定の所望の逸脱である。
●このホイールセット又はホイールセット装備体は、ホイールセット軸Dを中心とする所定の回転速度にセットされ、結果としてもたらされるアンバランスモーメントは、少なくとも一回の測定によって、ホイールセット軸Dに対して測定される。
●所望の値に対して所定の許容範囲内で、ホイールセット軸を中心とするホイールセットの結果としてもたらされるアンバランスモーメントの値に対して調整が行われる。
当該調整の効果は、縦方向の第1の慣性主軸を、所定の所望の逸脱よりも小さく、ホイールセット軸の近くにすることである。
【0029】
特定の実装例において、所定の許容範囲には、所望の値に対応する上限値が含まれている。他のアプリケーションにおいて、当該許容範囲は、この所望の値の近傍である。
【0030】
好ましくは、結果としてもたらされるアンバランスモーメントの当該所望の値は、ホイールセット軸を中心とするホイールセット又はホイールセット装備体の結果としてもたらされるアンバランスモーメントの最大に容認される値の形態で決定される。この最大値は、ホイールセット又はホイールセット装備体の縦方向の第1の慣性主軸と、ホイールセット軸との間の所定の最大の角度逸脱に対応する。したがって、ホイールセット又はホイールセット装備体の動的バランスモーメントの値の調整は、縦方向の第1の慣性主軸を、所定の最大の角度逸脱よりも小さく、ホイールセット軸の近くにする効果を有する。
【0031】
本発明の特定の実装例において、当該調整は、ホイールセット又はホイールセット装備体の他の2つの慣性主軸によって定められる平面に対して材料を、非対称的な付加及び/又は変位及び/又は除去をすることによって行われる。
【0032】
特定の実施形態において、材料の付加及び/又は変位及び/又は除去が、ホイールセットに含まれる少なくとも1つのフランジに対して行われ、ホイールセットがアーバーに対して放射状に突き出る。
【0033】
特定の実施形態において、材料の付加及び/又は変位及び/又は除去は、ホイールセットのアーバーに対して行われる。
【0034】
特定の実施形態において、材料の付加及び/又は変位及び/又は除去は、当該アーバーと、当該ホイールセットの別の中心からずれた部分との間に設けられる少なくとも1つのアームに対して行われる。
【0035】
本発明の特定の実装例において、動的バランスモーメントの値の調整の前に、静的バランス合わせが行われる。
【0036】
本発明の別の特定の実装例において、動的バランスモーメントの値の調整と同時に静的バランス合わせが行われる。
【0037】
本発明の特定の実装例において、ホイールセット軸を中心とするホイールセット又はホイールセットの結果としてもたらされるアンバランスモーメントの最大許容範囲の値は、ゼロにセットされる。これによって、ホイールセット又はホイールセット装備体の縦方向の第1の慣性主軸を、ホイールセットの軸と一致させるようにされる。
【0038】
振動するホイールセットについての本発明の特定の実装例において、この所定の回転速度は、使用される際の自身の振動を考慮して、ホイールセット又はホイールセット装備体に対して計算される最大の角速度にセットされる。
【0039】
本発明の特定の実装例において、フランジ2(ホイールセットがフランジ2を有する場合)に対する静的バランス合わせ及び動的バランス合わせの前に、可動な円柱状又はフルート状の質量を受けるように構成された円柱状又はフルート状のハウジングが、ホイールセット軸に平行な軸方向に機械加工される。次に、当該調整のすべて又は一部が、ホイールセット又はホイールセット装備体の2つの他の慣性主軸によって定められる平面に対して、ハウジングの一部に挿入された可動質量を動かすことよって行われる。フランジが存在しない場合、ホイールセットアーバー10を機械加工してハウジングが設けられる。
【0040】
本発明の特定の実装例において、静的バランス合わせ又は動的バランス合わせの前に、可動質量が、フランジに閉じ込められ、フランジと分離することができなくされる。これは、ホイールセット又はホイールセット装備体を可動質量とともに単一の部品で作るか、又は各可動質量の少なくとも1つの端を延ばしてその延ばした領域が可動質量の対応するハウジングを通り抜けることを防ぐことによって実現できる。
【0041】
本発明の特定の実装例に従うと、ホイールセット又はホイールセット装備体の他の2つの慣性主軸によって定められる平面に対して非対称的な形態で、ホイールセット又はホイールセット装備体に備えられるフランジを変形させることによって、当該調整のすべて又は一部が行われる。
【0042】
本発明の特定の実装例において、静的バランス合わせ及び動的バランス合わせの前に、ホイールセット又はホイールセット装備体に備えられるフランジ2が、ホイールセット軸に対して放射状の方向に動くことができる非対称的なネジ頭を有するネジを受けるように構成された雌ネジ加工された放射状のハウジングを有するように機械加工される。フランジが存在しない場合は、ホイールセットアーバー10にて本発明に係る雌ネジ加工されたハウジングを機械加工して設けられる。
【0043】
本発明の特定の実装例において、ホイールセット又はホイールセット装備体の結果としてもたらされるアンバランスモーメントは、ホイールセット軸に対して測定される。このアンバランスは、ピン、切り欠き、穴開け、付加的部品、マーク等のようなホイールセット又はホイールセット装備体上の角度的ガイドマークに対する角度的位置において認識されるものである。
【0044】
本発明の特定の実装例において、静的バランス合わせ及び動的バランス合わせの前に、ホイールセット又はホイールセット装備体において備えられるフランジが、所定の値の分平坦でないように機械加工される。具体的には、特定の実施形態において、アンバランス及び/又は結果としてもたらされるアンバランスモーメントは、特定の角度的方向にて、及び正中面Pに対してオフセット状況を作るような手法で意図的に作られる。図16A及び16Bは、平面Pの両側の余剰な厚み31及び32の部分を示す。これらは、ホイールセット軸Dを通る平面PSを実質的に共に定める。このようにして、大きく制御されたアンバランスが作られ、これによって、静的バランス合わせ及び動的バランス合わせのためにアンバランスを精密に修正することを容易にする。このように、軸Dを通る平面PS周辺の特定の領域において修正が行われる。
【0045】
アンバランスを修正するために、以下の手法(これらに限定されない)を有効に利用することができる。これらはお互い組み合わせることもでき、フランジ2又はホイールセットアーバー10に対して適用可能であり、あるいはアーバーと周辺部の質量との間の接続アームや本発明に係る周辺部の質量に対しても適用可能である。
●材料の除去:
ミル摩耗(milling)、旋盤加工(turning)、摩耗等の機械加工、レーザー、マイクロレーザー、ナノレーザー、ピコレーザー、フェムトレーザーによる溶発(ablation)、脆弱なアタッチメント片によって保持される分割可能な要素の分離
●材料の付加:
固体化する液体をホイールセットに投与すること − 具体的には、インクジェット等によって行われたり、固定位置に固体物が付加される
●材料の変位:
位置を調整可能な付加物、フランジ、ホイールセット又はアームの少なくとも一部の変位、可撓性を有するストリップの変位、ネジ、又は平滑化又はフルート状若しくはファセット状のネジ又は付加物の変位
これらのネジや付加物は、付加又はねじ込みの方向に対して非対称とすることが有利である。
【0046】
図面には、ホイールセットのフランジに対して行われる調整を示す(これらに限定されない)。なぜなら、ホイールセットの最も大きい直径の近くにて慣性の修正を行うことがより容易だからである。このことは、最小限の質量の修正のみが必要であることを意味している。図面を単純化するために、フランジのみを示し、ホイールセットのアーバーは完全には示していない。当然、説明に用いる構成は、他のホイールセットの形態に対しても適用可能であり、調整可能な機械加工された部分又は部品は、それらのアクセス容易性に従って、ホイールセットの他の部分であってもよい。
【0047】
材料の除去についてより詳細に説明する。図2A〜2Fは、ホイールセット1のフランジにおいて機械加工されたバランス合わせ要素の異なるいくつかの変形例を示しており、図2Fは、具体的には、美観上の理由のために溝のベースにて隠された機械加工されたバランス合わせ要素を示す。
【0048】
さらに、理論上の慣性主軸がホイールセット軸Dによって形成され、正中面Pが2つの第2の慣性軸を含むように計算されれば、当該機械加工された要素を平面Pの両側に作ることができる。図面には、正中面の両側(図2A、2C、2D、2E)にあるもの、フランジに対して内側/外側の機械加工された要素(図2C、2D)、ホイールセット軸に対して異なる体積や放射状の方向上の位置を有するもの(図2B)、軸に対してフランジの同じ側から作られた機械加工された要素(図2B、2E)、反対側からのもの(図2A)についての異なる可能性ある例を示している(これらに限定されない)。
【0049】
当然、分布の確率は、材料の付加又は変位と同様である。
【0050】
図3A、3Bには、フランジ2の正中面Pの両側に配置された、慣性ブロック6A及び6B(これらは切断されたり及び/又は折られることがある)を有するホイールセット1を示す。精密なアタッチメント片6Cを割ることで、軸Dに対する慣性上の差を発生させることを可能にし、図の例において同じ高さに約30個ある多数の慣性ブロック6によって、測定した結果としてもたらされるアンバランスモーメントの方向に対する調整を可能にする。
【0051】
図11は、アタッチメント片23A、23B、23C、23Dによって軸芯2Aにつながった周辺部2Bを含むフランジ2を示しており、この周辺部2Bは、溝20によって分割され、周辺部2Bに設けられ、かつ、アタッチメント片の1つによって形成される異なる区分19A、19B、19C、19Dによって調整可能である。好ましくは、アタッチメント片23A、23B、23C、23Dのすべて又は一部は、真っ直ぐに延ばすため、又はフランジ2における振動を逆に発生させるために可塑的に変形される。このようにして、例えば、アタッチメント片23Aは扇形の区分19Aを形成し、その端21A及び22Aは、当該アタッチメント片(ここでは、23A)の放射状の方向Rに対して可動であり、その2つの末端は横たわるフランジの正中面の両側で離間される。各アタッチメント片23A、23B、23C、23Dは、他のアタッチメント片とは独立に変形してもよい。別の実施形態において、アタッチメント片は剛性体であってもよく、フランジの扇状部分は変形可能であってもよい。更なる別の実施形態において、特に逆方向の調整の場合において、測定はより難しくなるが、アタッチメント片と、フランジの扇状部分は、両方とも変形可能であってもよい。
【0052】
図1、4〜10及び12〜14は、付加された部品を有するホイールセットの変形例を示している。
【0053】
図12には、ホイールセット軸Dに平行な方向Aのスムースな質量26を示しており、その軸方向の位置をハウジング25内で調整することができる。図13には、一時的(アドホック)なハウジングにおいて動くことができるフルート状の質量27を示す。図14には、ホイールセット1のフランジ2に対して保持された質量を同様に示しており、その頭28はフランジ2の一方にあり、リベット可能なリップ29又は頭形状を有する延長材がフランジ2の別の側にある。方向Aにおける変位によって、動的バランス合わせの調整が可能になり、スムースな質量26又はフルート状の質量27に対して、動的バランス合わせを制御する手段によって行われる計算に従って、調整を容易にするために方向Aにおいて段付けしたり又は切り込み(notch)を入れてもよい。図7には、ホイールセット1の軸方向Dに対して方向Aにおいて平行なように取り付けられたフランジ2のハウジング15における調整ネジ14を示す。図8には、図7におけるものと同様な調整ネジ14が含まれるが、これらは、対応するハウジング15A及び15Bにおける、ホイールセット1のフランジ2に対して上(ネジ14A)、及び下(ネジ14B)に互い違いに構成している。当然に、雄ネジ加工されたアーバーにはまったナットを緩める(逆マウント)することも適切である。両方の場合において、雄部品と雌部品とで若干異なるピッチを用いて整備性を改善させることが好ましい。
【0054】
ホイールセット構造に対して、付加的な部品を可動なように取り付けることができる。このために、ホイールセット1は、スライド可能な可動部品を有し、これは、回転方向と軸方向のいずれかにて、遊びを有するように、動かしたりクリップされたり取り付けられる。切り込み等を用いて少なくとも1つのガイド面を設けることで、付加的部品が離散的位置を有することが可能になる。
【0055】
付加的部品の可動性も、ねじ込み/ねじ緩めによって実現することができる。
【0056】
このようにして、付加的部品は、遊びを有するように取り付けられ、ネジによって締め付けることができ、例えば、スライドさせることによって実現する。このように、図4A及び4Bには、ホイールセット1のフランジ2における開口に取り入れられたレール3の上又は下の可動質量を示している。これらの可動質量は、それぞれが固定ネジ7を有するスライディングクランプストラップ8によって具体的には形成され、これは、ここにおいては、ホイールセット1の軸Dに平行な軸方向Aに従って示される。このネジ7、そしてとりわけこのネジ7の頭は、ホイールセット1の一方側又は他方の側に配置されてもよい。あるいは、ネジ7が装着されたクランプストラップ8全体は、ネジ7の頭がホイールセット1の一方の側又は他方の側に存在するような方法でレール3上に配置される。
【0057】
当該調整部品は、アーム3、又はホイールセット1のフランジ2上でクリップされていてもよい。例えば、当該調整部品は、剛性がある部分上にクリップされた可撓性体で構成していてもよく、例えば、アーバー上の慣性ブロックであってもよい。あるいは、可撓性を有する部分上にクリップされた剛性体であってもよく、例えば、溝に入ったアーバーであってもよい。
【0058】
また調整可能な部品は、ホイールセットの構造に単に接合したり、溶接されたり、又は固定された付加的な部品であってもよい。
【0059】
実施形態の変形例において、可撓性を有する付加物が曲げられるように作られている。
【0060】
図5は、第1の変形例において、ホイールセット軸Dに平行な軸方向Aに従う部品を有する少なくとも1つの調整可能なストリップ9を有するホイールセット1を示している。各ストリップ9の変形は、調整ネジ7によってもたらされ、これは、ここにおいて、レール3の雌ネジ加工されたハウジング7Aに固定されるものとして示されている。図示しない変形例において、本発明に係るネジは、フランジ2によって作られていてもよい。ホイールセット1の両側に少なくとも1つの可撓性を有するストリップ9を有することができる。方向Aにおける各調整ネジ7の変位によって、及び対応する可撓性を有するストリップ9の変形の両方によって、慣性上の差の調整が行われる。好ましくは、図に示すように、可撓性を有するストリップ9は、その一端9Eのみにて保持され、これは、ホイールセット1の軸に近く、その他端は自由端になっており、この他端においては付加的質量9Aを有していることが有利である。なお、変形可能なストリップ9は、ホイールセットの単一の調整の場合において、弾性変形の領域内で用いられるように適合させてもよく、これは、次の調整を視野に入れたり、あるいは可塑的変形の領域内で用いるようにしてもよいことが理解される。図に示した例は、ネジによって変形された可撓性を有するストリップを示しているが、ナットや他の可動ないし調整可能な部品によって変形を制御することも想定できることは当然である。
【0061】
この曲げることによる調整の第2の変形例は、可撓性を有する部分の固定物の変位を用いる。これは、切り込みによって提供してもよく、カム又は固定領域に可撓性を有する部分が支持されていてもよい。
【0062】
このようにして、図6は、ホイールセット1のフランジ2において備えられる開口2Fに対して角度的に方向変更可能な質量130を示しており、第1の縁2H上に、及びこの開口2Fの第2の縁2Gの下で支持される弧13を有する。質量130は、フランジ3に対して中央角αに角度的に方向変更することができる。この方向変更可能な質量130は、ホイールセット1の肩部に隣接する支持ワッシャー11を有しており、これは、具体的には、アーバー10の肩部に隣接している。この支持ワッシャー11は、アーム12に固定されており、これは可撓性を有することが好ましく、これは次に弧13に固定されており、この弧13はアーム12よりもねじれ剛性(tortional rigidity)が大きいことが好ましい。この弧13は、その一端13Aが第1の縁2H上にて、及びその第2の端13Bが開口2Fの第2の縁2Gの下にて支持される。方向変更可能な質量130にもたらされる旋回によって、質量130が特定のねじれを受け、これによって、ホイールセット1の動的バランス合わせを変更することができる。別の実施形態において、アーム12は剛性体であり、弧13は変形可能である。更なる別の実施形態において、特に逆の調整において測定がより困難になるが、アーム12も弧13も両方とも変形可能にすることができる。
【0063】
アンバランスを発生させることを避けるために、正中面Pに射影された場合に固定位置を有する付加的部品を用いることができ、これは、ホイールセット1の軸Dに平行な軸方向Aに沿って動くことができる。このことは、各調整部品又はネジ14の慣性中心の平面Pにおける射影が、当該調整部品が動いた際に不動のままでいるような、図7及び8における実施形態の場合に特にあてはまる。
【0064】
特定の構成において、調整部品は、ホイールセット1の軸Dに対して対称的に対で配列される。したがって、本発明に係る対の部品の対称的な調整は、ホイールセットの静的バランス合わせを害さない。
【0065】
必要ならば、調整部品はそれぞれ、他と独立に移動させることができる。
【0066】
図9及び10は、2つの可能性のあるアプリケーションを示す。
【0067】
第1の場合では、調整部品の慣性中心は当該部品の回転軸上にあり、及び/又は当該部品は軸に沿って平行移動を行っている。例えば、ねじ込み時において、慣性中心が軸に沿って移動される場合、かつ、当該部品の慣性中心の正中面Pへの射影もまた移動する場合、反対の物は対称的に移動しなければならない。別の場合において、調整部品はそれぞれ独立して移動することができる。
【0068】
図9は、この構成を示しており、ここにおいて、ホイールセット1は、フランジ2におけるハウジング17に取り付けられた調整ネジ16を有し、この調整ネジ16は、ホイールセット軸Dを中心とする放射状の方向Rにフランジ2の正中面Pにおいて取り付けられることが好ましい。これらの調整ネジ12は、公転回転しないがねじ込み軸Rを中心に対称的である頭を有し、ウィング16A及び16Bの角度位置によって、動的バランス合わせの変更が可能になる。この構成のための図9の好ましい実施形態では、ネジ頭は棒の形態をとる。フランジ2に接した平面におけるこの棒の射影は、ねじれ角と同様に角βで生じる。したがって、ウィング16A及び16Bは、β=0であれば両方とも単一の角度位置における同じ平面P内にあり、あるいは角βが他の値であれば、平面Pの両側上にある。
【0069】
第2の場合では、調整部品の慣性中心は当該部品の回転軸の外に位置している。したがって、対における相手の部品に対して対称的な回転を行う必要がある。
【0070】
これは図10の場合であり、ここで、ホイールセット1は、ねじ込み軸に対して頭が非対称である非対称の調整ネジ18を有し、かつ、放射状のねじ込み軸Rに対して慣性モーメントが他方のウィング18Aよりも高い慣性モーメントを有するウィング18Bを有する。前の場合でのように、ネジ頭は棒状である。フランジ2に接する平面におけるこの棒の射影が、ねじれ角と同様な角γで生じる。また、図で見られるように、当該部品は、それらの対応する放射状の軸Rを中心に対称的に対で方向変更している。
【0071】
また、本発明は、科学的機器又は計時機器用のホイールセット1に関し、これは、ホイールセット軸Dに芯合わせされたホイールセットアーバー10に直接的又はアームによって接続している少なくとも1つのフランジ2を有している。このフランジ2は、ホイールセット軸Dと実質的に垂直である。ホイールセット1は、ホイールセット軸Dに芯合わせされた振動軸を中心に振動するように構成する。
【0072】
本発明によれば、このホイールセット1は、ホイールセット軸Dに近いか又は一致する縦方向の慣性主軸を有するように製造され、他の2つの慣性主軸は、正中面Pをともに定める。特定の実施形態において、この正中面Pは、フランジ2の厚みの範囲内にある。
【0073】
フランジ2は、複数のハウジングを有する。そのそれぞれは、可動質量を受け、これは、ホイールセット軸と平行な方向Aのみ、又はホイールセット軸Dを中心とする放射状の線Rに垂直な平面においてのみのいずれかにて、当該ハウジングにおいて調整可能な位置にある。
【0074】
本発明の特定の実装例において、本発明に係るハウジングそれぞれ、及び/又は対応する可動質量それぞれは、重力が正中面Pから離れたいくつかの別個の位置に前記可動質量が保持されることを可能にする捕捉手段を有する。
【0075】
本発明の特定の実装例において、本発明に係るハウジングそれぞれ及び/又は可動質量のそれぞれは、ハウジングにおける位置に可動質量を保持するための弾性的戻り手段を有する。
【0076】
本発明は、科学的機器又は計時機器用のホイールセット装備体40にさらに関し、これは、本発明に係るホイールセット1を有し、少なくとも1つの駆動手段、及び/又は戻り又は反発のための弾性的手段、及び/又は戻り又は反発のための磁気的手段、及び/又は戻り又は反発のための静電的手段をも有し、これには少なくとも1つのホイールセットが取り付けられる。
【0077】
本発明は、本発明に係るホイールセット装備体40及び/又は本発明に係るホイールセット1を有する科学的機器又は計時機器用の機構50をも対象とする。
【0078】
本発明は、本発明に係る機構50、本発明に係るホイールセット装備体40、及び/又は本発明に係るホイールセット1を有する科学的機器60に関する。
【0079】
特定の実装例において、科学的機器60は腕時計であり、ムーブメント50を有し、ホイールセット1がバランスであり、フランジ2はディスク又は外縁によって形成され、ホイールセット装備体40はバネ仕掛けバランス(sprung balance)である。
【0080】
本発明は、旋回に対する応力の大幅な減少を可能にし、潤滑を促進し、そして、機構の耐用年数、特に、有用な耐用年数を延ばす。これは、すなわち、機構がエネルギー源から、信号から、別の機構又はセンサーからの同一の呼びかけに対して再現可能な応答を機構が与える期間である。本発明は、このようにして動的にバランス合わせされたホイールセットの動作の安定性を改善することができる。
図1
図2A-2F】
図3A.4A】
図3B
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-14】
図15
図16A
図16B
【国際調査報告】