(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-509462(P2015-509462A)
(43)【公表日】2015年3月30日
(54)【発明の名称】車両座席
(51)【国際特許分類】
B60N 2/06 20060101AFI20150303BHJP
B60N 2/16 20060101ALI20150303BHJP
【FI】
B60N2/06
B60N2/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-560411(P2014-560411)
(86)(22)【出願日】2013年3月22日
(85)【翻訳文提出日】2014年9月9日
(86)【国際出願番号】EP2013056014
(87)【国際公開番号】WO2013143984
(87)【国際公開日】20131003
(31)【優先権主張番号】102012006687.2
(32)【優先日】2012年3月31日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】エルリッヒ、 フランク
(72)【発明者】
【氏名】シュピース、 エックハルト
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BA15
(57)【要約】
車両座席(1)、特に多目的車両座席であり、第1座席部と、この第1座席部に対して、座席の奥行を調整するため、長手方向に変位可能とされる第2座席部を有し、少なくとも一つのスライダ(50)が設けられ、この少なくとも一つのスライダ(50)は、第1座席部に接続され、ヘッド形状の接続領域(56)を、第2座席部に設けられるガイドスロット(60)を通して突出し、スライダ(50)を第1座席部に取り付けるために、別部品として形成される、金属製のアンカリングエレメント(70)を設け、アンカリングエレメント(70)は、スライダ(50)及び第1座席部を通して突出し、スライダ(50)を第1座席部にポジティブなロッキング仕様にて接続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両座席(1)、特に多目的車両座席であり、第1座席部と、この第1座席部に対して、座席の奥行を調整するため、長手方向に変位可能とされる第2座席部を有し、少なくとも一つのスライダ(50)が設けられ、この少なくとも一つのスライダは、第1座席部に接続され、ヘッド形状の接続領域(56)を、第2座席部に設けられるガイドスロット(60)を通して突出し、スライダ(50)を第1座席部に取り付けるために、別部品として形成される、金属製のアンカリングエレメント(70)を設け、アンカリングエレメントは、スライダ(50)及び第1座席部を通して突出し、スライダ(50)の第1座席部へのフォームフィット結合を確立することを特徴とする、車両座席(1)。
【請求項2】
第1座席部は上部フレーム(7)又は車両座席(1)のはさみ型スタンド(3)に接続される座席フレーム(60)であることを特徴とする請求項1記載の車両座席(1)。
【請求項3】
第2座席部は座席クッション(26)を載せる座席シェル(4)であることを特徴とする請求項1又は2記載の車両座席(1)。
【請求項4】
アンカリングエレメント(70)は一体化形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両座席(1)。
【請求項5】
スライダ(50)はプラスチックにより形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両座席(1)。
【請求項6】
アンカリングエレメント(70)は亜鉛ダイカスト部品として形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両座席(1)。
【請求項7】
アンカリングエレメント(70)は、スライダ(50)の接続領域(56)に当たるプレート形状のホールディング領域(72)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両座席(1)。
【請求項8】
スライダ(50)の少なくとも一つの支持領域(50)を好ましくは可塑的に変形する、少なくとも一つの爪(73)がホールディング領域(72)に設けられることを特徴とする請求項7記載の車両座席(1)。
【請求項9】
接続領域(56)はアンカリングエレメント(70)が係合される貫通開口部(52)を有し、いくつかの支持領域(59)、好ましくは4つの支持領域(59)が貫通開口部(52)の周りに配置されることを特徴とする請求項8記載の車両座席(1)。
【請求項10】
いくつかの爪(73)、好ましくは4つの爪(73)は、各爪(73)が4つの支持領域(59)のうちの一つを変形するようにホールディング領域(72)に配置されることを特徴とする請求項9記載の車両座席(1)。
【請求項11】
アンカリングエレメント(70)は、第1座席部の中央開口部(64)に挿入され、かつ第1座席部と互いに作用する締着領域(78)を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両座席(1)。
【請求項12】
締着領域(78)は、立方体形状に形成されることを特徴とする請求項11記載の車両座席(1)。
【請求項13】
第1座席部へのスライダ(50)のフォームフィット接続は、第1座席部に対する大よそ90°のアンカリングエレメント(70)の回転によって確立されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の車両座席(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席の奥行(depth)を調整可能とする車両座席に関し、特に請求項1の前提部の特徴を有する、多目的車両座席に関する。
【背景技術】
【0002】
DE 20 2011 104 663 U1は、課題としている座席の奥行が調整可能なタイプの車両座席を開示している。
【0003】
この目的のため、車両座席は座席フレームとして形成される第1座席部と座席シェル(shell)又は座席バケット(bucket)として形成される第2座席部とを有する。座席バケットは、座席フレームに対して長手方向に変位可能である。座席フレームに対する座席シェルの変位によって、車両座席の奥行が調整可能である。車両座席の奥行は、移動方向にあって背もたれの前に位置する座席面の長さとも定義できる。
【0004】
スライダが座席フレームに載せられるが、このスライダは、ガイドスロットを通してヘッド形状の接続領域を突出させる。ガイドスロットは座席シェルに設けられ、長手方向に延びる。
【0005】
スライダを座席フレームに取り付けるために、スライダは一体に形成される接続領域を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述したタイプの車両座席を改良することであり、特に複数のスライダの強度を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載された特徴によって達成される。
【0008】
対象としているタイプの車両座席は、特に多目的車両座席であり、第1座席部と、この第1座席部に対して、座席の奥行を調整するため、長手方向に変位可能とされる第2座席部を有し、少なくとも一つのスライダが設けられる。この少なくとも一つのスライダは、第1座席部に接続され、ヘッド形状の接続領域を、第2座席部に設けられるガイドスロットを通して突出する。
【0009】
本発明によれば、スライダを第1座席部に取り付けるために、別部品として形成される、金属製のアンカリングエレメントを設ける。アンカリングエレメントは、スライダ及び第1座席部を通して突出し、スライダの第1座席部へのフォームフィット(form-fit)結合を確立する。アンカリングエレメントは、スライダとは一体に形成されておらず、その代わりにスライダとは異なる別部品として形成される。
【0010】
スライダの強度は、特に車両方向に負荷がかかるときは、発明によるアンカリングエレメントの配置によって大きく増加される。特に、衝突事故にあって第1座席部から第2座席部が緩んでしまうという危険を低減する。強度は、アンカリングエレメントが金属製であるために特に高い。
【0011】
第1座席部は、好ましくは上部フレーム又は車両座席のはさみ型スタンドに接続される座席フレームである。第2座席部は特に、座席クッションが乗せられる座席シェルである。座席の奥行を調整するために、座席クッションが載せられた座席シェルは、スライダに対して可動であり、さらに車両座席の背もたれに対しても可動である。
【0012】
アンカリングエレメントは、好ましくは一体に形成され、その結果アンカリングエレメントの製造及び組み立ては比較的にシンプルである。
【0013】
アンカリングエレメントを亜鉛ダイカスト部品として形成するのが、この方法での製造がシンプルで高価ではなく、同時に高強度であるので、特に有利であることが見いだされた。
【0014】
本発明の有利な具現化例によれば、アンカリングエレメントはスライダの接続領域にもたれる(bears on)板状のホールディング領域を有する。これは、アンカリングエレメントのスライダに対する垂直方向における確実なフォームフィット(form-fit)を保証する。
【0015】
アンカリングエレメントの少なくとも一つの爪がスライダの少なくとも一つの支持領域を変形すると、特に爪が可塑的(plastically)に支持領域を変形すると、スライダとアンカリングエレメントとの間の比較的に堅いフォームフィット(form-fit)とフォースフィット(force-fit)接続が実現される。特に、これは、垂直方向に延びる軸周りに、スライダに対してアンカリングエレメントがねじれる(twisting)ことについての安全性を増加する。さらに、スライダとアンカリングエレメントの製造に関する許容誤差が補償される。
【0016】
接続領域は有利には、アンカリングエレメントが係合する貫通開口部を有し、いくつかの支持領域、好ましくは4つの支持領域は、貫通開口部の周りに配置される。
【0017】
いくつかの爪、好ましくは4つの爪は、それぞれの爪が4つの支持領域のうちの一つを変形するように支持領域上に配置され、スライダに対するアンカリングエレメントのねじれ(twisting)に対する安全性はさらに増加され、アンカリングエレメントとスライダの間の許容誤差補償はつり合いがとれる。
【0018】
有利には、アンカリングエレメントは第1座席部に、中央開口部を介して挿入され、かつ第1座席部と相互に作用する締着領域も有する。これも、アンカリングエレメントの第1座席部に対する垂直方向における確実なフォームフィット(form fit)を保証する。
【0019】
締着領域は好ましくは立方体形状を有するので比較的に高強度が達成される。
【0020】
スライダの第1座席部へのフォームフィット接続がアンカリングエレメントを第1座席部に対して約90°回転することによって達成されると、スライダは第1座席部に特に容易に取り付けられる。このアンカリングエレメントの好ましい回転は垂直方向に延びる回転軸周りに好ましくは生じる。
【0021】
本発明は、図面に示された有利な構成図に基づいた具現化例にてより詳細に説明されるが、本発明はこれらの図示された具現化例によって制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】座席部及び背もたれを除いた車両座席の斜視図である。
【
図4】取り付けられた座席シェルを伴った座席フレームを示す図である。
【
図5】座席フレーム、スライダ及びアンカリングエレメントの分解斜視図である。
【
図6】
図5の分解斜視について座席フレームを除いて別の角度から見た分解斜視図である。
【
図7】
図5に示した分解斜視図からスライダを拡大して示す図である。
【
図8】
図7の拡大図における線A−Aに沿ったスライダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
多目的車両用の車両座席1は、はさみ型スタンド3を有する。はさみ型スタンド3は、下部フレーム5と、下部フレーム5の上に配置される上部フレーム7と、両側にて、交差される第1ロッカ8aと第2ロッカ8bの各一対とを備える。横軸管9は二つの交差部を結合し、同時に、第1ロッカ8aと第2ロッカ8bが相互に対して旋回できるはさみの軸をなす。
【0024】
車両内の車両座席1の配置及び車両座席の移動方向は、以下で用いられる方向情報によって定義される。地面に直交する向きは以下では垂直方向として区別され、前記垂直方向に対して直交する方向であり、かつ移動方向に対して直交する方向を以下では横断方向として区別する。
【0025】
二つの第1ロッカ8aはホールディング管18により後端部にて相互に接続されており、さらに上部フレーム7に関節接続されている。それらの前端部にあって、二つの第1ロッカ8aはベアリング管20によって接続され、かつ下部フレーム5にあって各ベアリングデバイス21によって、大よそ移動方向に対応する長手方向にて両側で移動可能にガイドされる。
【0026】
二つの第2ロッカ8bはホールディング管18により後端部にて相互に接続されており、さらに下部フレーム5に関節接続されている。それらの前端部にあって、二つの第2ロッカ8bは同様にベアリング管20によって接続され、かつ上部フレーム7にあって各ベアリングデバイス21によって、長手方向に移動可能に両側でガイドされる。
【0027】
横軸管9と、ベアリング管20とホールディング管18は、本実施の形態の場合、はさみの軸と同様に、横断方向に延びる。第1ロッカ8aの第2ロッカ8bに対するはさみの軸周りの旋回動作によって、はさみ型スタンド3の高さとして以下では略して言及される、上部フレーム7の下部フレーム5上方の高さが変化される。空気ばね12及び好ましくは図示しないダンパ(damper)によって、はさみ型スタンド3は揺動型(oscillating)システムとなり、座席の快適さを非常に高めることもできる。
【0028】
車両座席1は、一方で、座席フレーム6の後部領域にて、両側にて上部フレーム7に関節接続される座席フレーム6を備え、他方で、座席フレーム6の前部領域にて、傾斜調整器によって昇降されることができ、これにより傾斜ということではさみ型スタンド3に対して調整可能である。
【0029】
車両座席1は、本実施形態では、座席フレーム6に傾斜について調整可能に取り付けられる背もたれ10をも有する。代替的に背もたれ10は、上部フレーム7に取り付けられてもよい。ヘッドレスト40は、垂直方向にて、背もたれ10の上部領域にて、旋回される。座席クッション26を載せた座席シェル4を運ぶ、背もたれ10及び座席フレーム6は、座席部2を形成する。背もたれ10及び座席クッション26は発泡部材にて覆われ、さらにカバーで覆われる。
【0030】
はさみ型スタンド3と一緒に、座席部2は2対のレールによって変位され、車両座席1は、移動方向に大よそ対応する長手方向にあって並進移動が調整される。二対のレールは、相互に対して横断する方向にずらされ、さらに相互に平行に配置される。二対のレールは、実質的に同一の構造である。
【0031】
レールの各対は、上部レールとも称される第1座席レール45と、下部レールとも称される第2座席レール46とを備える。第2座席レール46は本実施の形態にあっては車両の構造体に堅く結合され、第1座席レール45は車両座席1の下部フレーム5に堅く結合される。代替的に、第2座席レール46を車両の構造体に、アダプタ又はコンソールによって結合することも考えられる。さらに、第1座席レール45をアダプタによって車両座席1の下部フレーム5に結合することも考えられる。
【0032】
第1座席レール45は、第2座席レール46に対して、及び第2座席レール46内にて移動可能にガイドされる。ロッキングデバイス(locking device)によって、第1座席レール45は、第2座席レール46にロックされる。アンロッキングバー(unlocking bar)44を有するアンロッキングユニットは、ロッキングデバイスを解除(unlock)する役割を果たす。
【0033】
アンロッキングバー44は、移動方向又は長手方向に見られるように、車両座席1の前方領域に配置され、かつ移動方向に延びる旋回軸周りに旋回可能に取り付けられている。アンロッキングバー44を垂直方向の上方に引き上げると、旋回軸周りに旋回され、結果的にロッキングデバイスは解除される。
【0034】
アンロッキングバー44及び旋回軸は、下部フレーム5及び第1レール45に運動学的に配置される。これは、座席部2の長手方向における変位の間、アンロッキングレバー44が、はさみ型スタンドの高さの変更の場合、つまり垂直方向における座席部2の動きの間でない場合に、同様に前に進むことを意味する。
【0035】
それぞれ長手方向に延びる上部フレーム7及び下部フレーム5のいくつかの部品は、車両座席1の内部に向かって開くC形状の輪郭(profile)を有する。各ベアリングデバイス21はロードローラ14を有する。ロードローラ14は、移動方向に延びるベアリング軸周りに回転可能に取り付けられ、さらに上部フレーム7又は下部フレーム5の開放C形状輪郭(断面)内に突出する。
【0036】
上部フレーム7のC形状の断面(輪郭)及び下部フレーム5のC形状の断面(輪郭)は、それぞれ上部リム30及び下部リム32を有する。下部リム32は、垂直方向にあって上部リム30の下に配置される。上部リム30及び下部リム32は、相互に平行に延び、それら上部リム30及び下部リム32の相互に対して直角に延びるベースリム34によって相互に接続されている。このように上部リム30、下部リム32及びベースリム34は、断面にあってC形状の輪郭(profile)を形成する。
【0037】
座席クッション26を載せる座席シェル4は、座席フレーム6の長手方向にあって移動可能に取り付けられる。このため、いくつかのスライダ50が、シートフレーム6に堅固に接続されて配置される。各スライダ50は、ヘッド形状接続領域56を、座席シェル4に配置される、長手方向に延びる各ガイドスロット60の上に突出する。4つの同一のスライダ50が本実施の形態にて提供されるが、以下では一つのスライダ50についてのみ言及する。
【0038】
座席シェル4は、それ自体で周知の仕様におけるスライダ50に取り付けられる。つまり座席フレーム6上に締着されるスライダよりも大きい幅の挿入領域62が配置される座席シェル4のガイドスロット60に取り付けられる。このようにして、ガイドスロット60のエッジは、スライダ50のアンダーカットの接続領域56と接触する。線形の細長い溝のついたガイドがここで得られる。
【0039】
図示しない調整装置によって、座席シェル4は長手方向に変位可能とされ、選択された位置に固定可能とされる。座席シェル4の長手方向における座席フレーム6の変位によって、車両座席1の座席の奥行、つまり背もたれの移動方向における前部に配置される座席表面の長さが調整可能とされる。
【0040】
座席フレーム6は、非円形の中央開口部64を有する。この非円形の中央開口部64は円形の内部領域とそれよりも広い長さと円形の内部領域の径よりも小さな幅を有する長方形領域との重ね合わせによって形成され、長方形の狭い側は外に湾曲した形状を有する。中央開口部64は、このように大よそ二つの小片を有する鍵用の鍵穴の形状を有する。中心軸Mは、座席フレーム6に直交し、大よそ垂直方向に延びる円の中心を通る直線によって定義される。円の中心は長方形の中心点と一致する。
【0041】
二つのわずかに細長い第2開口部66が中央開口部64の長方形の中心の長手方向軸、本明細書では大よそ長手方向に延びる軸の配置に対して直交し、さらに中心軸Mから離れて配置されており、二つのわずかに細長い第2開口部66の長手方向の範囲は、中心軸Mに対して径方向に向けられる。このように、本実施の形態にあって、二つのわずかに細長い第2開口部66は、中央開口部64に対して大よそ横方向にオフセットされる。
【0042】
代替的に、中央開口部64の長方形の中心の長手方向軸は移動方向に延びるか、移動方向及び長手方向に所望される角度で延びることができる。同様に、第2開口部66は、中央開口部64に対して、長手方向にオフセットされても又はいかなる他の方向にオフセットされてもよい。
【0043】
スライダ50はプラスチックからなるワンピース(one piece)として形成され、実質的に立方体の中央領域54を有する。いくつかのリブ58が座席フレーム6に向けて、立方体の長手方向に対して横方向に、中央領域54の下側に形成される。ヘッド形状の接続領域56は、座席シェル4に向かって中央領域54に形成される。
【0044】
さらに、大よそ水平に外側に向け、反対方向に延びる二つのばねアーム57が、座席フレーム6に向けて下側に設けられる。二つのばねアーム57は、外側の自由端に、中央領域54から下に向かい、かつわずかに円錐台形形状に狭くなる突起55をそれぞれ有する。
【0045】
さらに、スライダ50は、接続領域56及び中央領域54に延びる貫通開口部52を有する。貫通開口部52は、大よそ長方形の断面を有し、中央開口部64の中心軸Mに対して同軸に延びる。
【0046】
この場合の接続領域56は4つの窪み51を有する。窪み51はそれぞれの支持領域59によって中央に配置される貫通開口部52からそれぞれ分離されている。垂直方向上方に延びるウェブ53は、各窪み51の内部に設けられる。
【0047】
この実施形態にあって金属製のアンカリングエレメント70は、スライダ50の貫通開口部52に同芯に係合されかつ、中央開口部64の中心軸Mの方向にて貫通開口部52を通過する。本実施形態にあって、アンカリングエレメント70は、亜鉛ダイキャスト部品として一体化(one piece)形成される。
【0048】
座席フレーム6から離された向きにあるアンカリングエレメント70の端部にあって、アンカリングエレメント70はプレート形状のホールディング領域72を有する。ホールディング領域72は、立体形状を有し、かつスライダ50の接続領域56に当接する。スライダ50に向くホールディング領域72の裏面には、4つの爪73がこの実施形態では設けられる。4つの爪73は、スライダ50の接続領域56の方向にあって、ホールディング領域72の裏面から突き出ている。この具現化例にあって、4つの爪73は、ベースとしての三角形及びホールディング領域72に隣接する各境界面を伴うプリズム形状である。
【0049】
ホールディング領域72の4つの爪73は、垂直方向にあってスライダ50の支持領域59に近接して設けられ、支持領域59に接触する。スライダ50の全ての支持領域59は、比較的に柔軟な材料にて形成され、この実施の形態では可塑的に形成されている。4つの爪73は、金属製であり、支持領域59の面に入り込み、支持領域59を変形させる。
【0050】
4つの爪73は、垂直方向における支持領域59の範囲及び4つの爪73の範囲における、製造に関する誤差に依存して、支持領域59の中により広い又はより少ない深さに入り込む。このため、スライダ50及びアンカリングエレメント70の製造関連誤差のための補償が可能となる。4つの爪73は、アンカリングエレメント70の長手方向軸が中心軸Mと揃うように支持領域59に入り込む。
【0051】
中心軸Mに対する軸方向にホールディング領域72の隣には、アンカリングエレメント70は同様に立体の本体部74を有する。中心軸Mに直交する断面にあって、本体部74の形状は、スライダ50の貫通開口部52の断面に対応する。
【0052】
軸方向に本体部74の隣であり、かつホールディング領域72から離れたところには、アンカリングエレメント70は、断面が大よそ円形の中間領域76を有する。中間領域76の断面の径は、座席フレーム6の中央開口部64の円形の内部領域の径に大よそ相当する。
【0053】
本体部74の軸長さはスライダ50の軸範囲に大よそ相当する。中間領域76の軸長さは座席フレーム6の厚さに大よそ相当する。
【0054】
さらに、アンカリングエレメント70は、締着領域78を備える。締着領域78は、ホールディング領域72から離隔して軸方向に向かいかつ中間領域76に隣接する。締着領域78は、実質的に立方体形状であり、さらに断面が大よそ長方形である。この断面が長方形の寸法は、座席フレーム6における中央開口部64の長方形領域の寸法に大よそ相当する。
【0055】
アンカリングエレメント70に補助されて、スライダ50が車両座席1の座席フレームに、取り付けられる仕様が説明される。まず、締着領域78を先にし、アンカリングエレメント70はスライダ50の貫通開口部52の中に、アンカリングエレメント70のホールディング領域72が、スライダ50の接続領域56にぴったりとはまって横たわるまで、中央軸Mに対して軸方向に挿入される。
【0056】
アンカリングエレメント70の4つの爪73は、スライダ50の支持領域59に接触し、その支持領域59を可塑的に変形させて、埋め込まれる。4つの爪73は、支持領域59の範囲及び垂直方向における爪73の範囲に依存して支持領域59に自らを広く又は浅い深さで埋め込み、その結果、アンカリングエレメント70及びスライダ50の製造に関する許容誤差についての補償が可能となる。
【0057】
この方法により、スライダ50とアンカリングエレメント70の間のフォームフィット(form fit)及びフォースフィット(force fit)接続が得られる。4つの爪73はスライダ50の各ウェブ53に垂直に対向して置かれるが、各ウェブからは離隔されたままである。
【0058】
事故が発生すると、スライダ50の変形が起こり、一つ以上のウェブ53がアンカリングエレメント70の各対向する爪73に対して接触できる。
【0059】
アンカリングエレメント70の締着領域78は、その後、座席フレーム6の中央開口部64に軸方向に挿入される。アンカリングエレメント70は、締着領域78が中央開口部64の長方形領域にフィットするように向けられる。スライダ50は、中心軸Mを基準にして、二つの突起55が第2開口部66について大よそ90°でオフセットして位置するように、方向付けられる。アンカリングエレメント70の締着領域78は、このため、スライダ50から離隔された座席フレーム6の側部に配置される。
【0060】
アンカリングエレメント70は、スライダ50と共に、その後、中心軸M周りに90°回転される。このようにして、スライダ50の二つの突起55は、二つの第2の開口部66上に位置され、各ばねのアーム57によって二つの第2の開口部66の中に押圧され、フォームフィットにてラッチされる。さらに、アンカリングエレメント70の締着領域78は、座席フレーム6の下に部分的に配置されるので、アンカリングエレメント70及びスライダ50を軸方向に締め付ける。
【0061】
このようにしてスライダ50は座席フレーム6にフォームフィットにより結合される。
【0062】
他の具現化例によれば、アンカリングエレメント70は、スライダ50を座席フレーム6に結合する、リベット、好ましくはスチールブラインド(steel blind)リベットとして形成される。
【符号の説明】
【0063】
1 車両座席
2 座席部
3 はさみ型スタンド
4 座席シェル
5 下部フレーム
6 座席フレーム
7 上部フレーム
8a 第1ロッカ
8b 第2ロッカ
9 横軸管
10 背もたれ
12 空気ばね
14 ロードローラ
18 ホールディング管
20 ベアリング管
21 ベアリングデバイス
26 座席クッション
30 上部リム
32 下部リム
34 ベースリム
40 ヘッドレスト
44 解除レバー
45 第1座席レール
46 第2座席レール
50 スライダ
51 窪み
52 貫通開口部
53 ウェブ
54 中央領域
55 突起
56 接続領域
57 ばねのアーム
58 リブ
59 支持領域
60 ガイドスロット
62 挿入領域
64 中央開口部
66 第2開口部
70 アンカリングエレメント
72 ホールディング領域
73 爪
74 本体部
76 中間領域
78 締着領域
M 中心軸
【国際調査報告】