特表2015-510462(P2015-510462A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-510462(P2015-510462A)
(43)【公表日】2015年4月9日
(54)【発明の名称】容器の装飾
(51)【国際特許分類】
   B41F 31/15 20060101AFI20150313BHJP
   B41F 31/14 20060101ALI20150313BHJP
   B41F 31/26 20060101ALI20150313BHJP
   B41F 31/02 20060101ALI20150313BHJP
   B41F 17/22 20060101ALI20150313BHJP
【FI】
   B41F31/14 B
   B41F31/14 C
   B41F31/26 Z
   B41F31/02 A
   B41F17/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-555153(P2014-555153)
(86)(22)【出願日】2013年1月24日
(85)【翻訳文提出日】2014年7月30日
(86)【国際出願番号】EP2013051352
(87)【国際公開番号】WO2013113616
(87)【国際公開日】20130808
(31)【優先権主張番号】12153525.6
(32)【優先日】2012年2月1日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】506026106
【氏名又は名称】クラウン・パッケージング・テクノロジー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンソン,イアン
【テーマコード(参考)】
2C250
【Fターム(参考)】
2C250DA04
2C250DC05
2C250DC07
2C250DC11
2C250DC19
(57)【要約】
金属製の容器に色付きのインクの形態で装飾を施すことは、振動ローラーを含むローラートレインを備えたインキングステーションの使用を含む。振動ローラーはカムによって駆動される外部シャフトの軸方向運動を用い、この運動は振動ローラー本体の外面に伝えられ、隣接するローラー全体にインクを均一に分布させる。振動ローラー本体の回転はインキングステーション内の隣接するローラーとの接触によるものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶本体の装飾機のためのインキングステーションであって、
インキングステーションは、
インクを保持および/または放出するためのインク貯め容器、
インク貯め容器からファウンテンロールまでインクを測定するためのブレード、
ファウンテンロールから版胴までインクを移すための一連のローラーであって、少なくとも1つの振動ローラーを含む一連のローラーを備え、
それぞれの振動ローラーは、
固定シャフト、
固定シャフトの位置を固定するためのクランプ、
固定シャフトに対して移動可能なドライブシャフト、
ドライブシャフトの移動を制御するためのカム、
ドライブシャフトに接続され、カムによるドライブシャフトの移動の制御に応じて移動可能な外部シャフト、および、
使用時に、インキングステーションの隣接するローラーに接触する際に回転可能な振動ローラー本体を備え、
それによって、使用時、カムによって駆動される外部シャフトの軸方向移動は、振動ローラー本体の外表面に伝えられ、隣接するローラー全体にインクを均一に分配し、
外部の振動ローラー本体と隣接するローラーとの接触によって、ローラーの外表面が回転する、ことを特徴としている、インキングステーション。
【請求項2】
振動ローラーのドライブシャフトおよび外部シャフトは相補的な付勢手段を含み、その結果、ドライブシャフトの振動移動によって、外部シャフトが固定シャフト上を軸方向に移動する、請求項1に記載のインキングステーション。
【請求項3】
それぞれの振動ローラーのシャフト内に溝を含み、その溝を通って、ピンが使用時に、振動ローラーの外部シャフトを移動させる、請求項1または2に記載のインキングステーション。
【請求項4】
振動ローラー本体はローラーベアリングに取り付けられる、請求項1乃至3のいずれか1つに記載のインキングステーション。
【請求項5】
振動ローラーのためのハウジングをさらに含む、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のインキングステーション。
【請求項6】
ハウジングはカムボックスであり、カムはそれぞれの振動ローラーに対して平坦な面状のカム構造である、請求項5に記載のインキングステーション。
【請求項7】
インクローラー用のドライブをさらに含み、インクローラードライブは1つ以上のプーリーによって主たる缶装飾機に接続され、インクローラードライブはインクローラーフレームの両側に分けられ、その結果、プーリーの温度を制御する、請求項1乃至6のいずれか1つに記載のインキングステーション。
【請求項8】
少なくとも1つのローラーが冷却水を分配するための経路を含むシャフトに取り付けられる、請求項1乃至7のいずれか1つに記載のインキングステーション。
【請求項9】
缶本体の装飾機において印刷版にインクを塗布する方法であって、
前記方法は、
1つ以上の振動ローラーを含む一連のローラー全体に容器からインクを転写する工程を含み、
それぞれの振動ローラーに固定シャフトを設ける工程、
固定シャフトの位置を固定する工程、
固定シャフトに対して長手方向にドライブシャフトを移動させ、ドライブシャフトの移動をカムで制御する工程、
ドライブシャフトに外部シャフトを接続し、その結果、カムによるドライブシャフトの移動の制御によって、外部シャフトの移動を制御する工程、および、
インキングステーション内の隣接するローラーを接触させることによって振動ローラー本体を回転させる工程、および、
カムによって駆動される外部シャフトの軸方向移動を振動ローラー本体に伝えることによって、隣接するローラー全体にインクを均一に分配する工程を特徴としている、方法。
【請求項10】
内部ローラーの長手方向の運動を振動させることにより、固定シャフトにわたって外部ローラーを軸方向に移動させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器の装飾に関する。とりわけ、限定されるわけではないが、本発明は、金属製の容器に、色付きのインクの形態で装飾を施すための装置および方法に関する。容器は一般的に缶本体であり、錫を含まない鋼、アルミニウム、または他の金属から形成される。
【背景技術】
【0002】
金属缶の印刷では、RutherfordやAlcoaなどの会社によって、装飾機械が用いられてきた。Rutherford Machinery Companyは、インクを練り延ばすシステム大きく依存した、良質の結果を提供するドライオフセット印刷方法を使用している。ドライオフセットプロセスは、その工程で水や油などの実際の流体を使用せず(ゆえに、「乾燥している」)、印刷された画像は缶に直接適用されず、すなわち、それは「オフセット」である。
【0003】
工程向けの正確な特性をすべて包含しているインクは、「インクステーション(ink station)」または「インクローラー(inker)」で伝えられる。それぞれのインクローラーはインクの1つの色を伝える。Rutherfordの装飾機では、最大で6つまたは8つまでのインクローラーユニットがあり、その各々が印刷テーブル上で画像に必要とされる色のインクを塗る。Rutherfordの装飾機の印刷版は、ローラシステムによってインクローラーユニットの土台で吊るされる。
【0004】
印刷版の画像上のインクは印刷用ブランケットに移される。Rutherfordの装飾機では、ブランケットが缶に接触する前に、それぞれのブランケットは、設計に含まれるすべての画像をブランケット上に印刷させている。
【0005】
したがって、Rutherfordの装飾機は、以下の3つの基本となる工程で作動する:
インクからプレート
プレートからブランケット、および、
ブランケットから缶
【0006】
これらの工程の各々は、優れた定義、設計の漏れた部分が存在しないこと、および、独特な印刷文字を含む明瞭な色使いを保証するために、正確な量の接触圧力を必要とする。すべての装飾機によって対処される問題は、プロセス全体にわたって正確な接触圧力を保証している。接触圧力が不十分な場合、最終的な缶上画像の品質が劣化する危険がある。その一方で、過剰な接触圧力があると、ボケが生じてしまい、とりわけ、ローラー表面がゴム加工された化合物であれば、圧縮されて画像に歪みを生じさせかねない。
【0007】
アルミニウム缶とスチール缶を装飾するためのAlcoaの機械は、同期したドライブトレインでつなげられた3つの大きな回転アセンブリに基づく。Alcoa(または「Concord」)装飾機の3つの回転アセンブリは、次のものを含む:
マンドレルホイール、
ブランケットホイール、および、
ディスク搬送ホイール
【0008】
缶をマンドレルホイールの個々のマンドレルに載せる。ブランケットホイールをインクステーションと一緒に「インクローラーフレーム」に取り付ける。マンドレルホイールが回転すると、ブランケットホイールも回転し、それぞれのブランケットをインクステーションに接触させる。インクステーションは、一連のローラーによって回転式の版胴にインクの膜を塗布する。それぞれの版胴は、インクステーションからインクの1つの色だけを選び、インクステーションはその後、ブランケットと接触する。ブランケットホイールのブランケットは、インクステーション配列内のすべての版胴と接触する。ブランケットがそのサイクルを終えると、ブランケットはマンドレルホイール上で缶と接触する。
【0009】
Alcoa Concordの装飾機では、缶がブランケットに接触すると、模様全体がマンドレル上の缶に移される。接触前に缶が事前に回転することで、缶の外周全体のまわりに模様を正確に印刷させることが可能になる。多めのニス(overvarnish)を塗布し、マンドレルを介した空気ジェットが缶を搬送ホイールに吹き飛ばして、そこで缶は真空で維持される。缶はその後ペグチェーン(peg chain)に運ばれ、真空を解くことでペグに置かれる。
【0010】
上に記述されるように機械の設定とローラー間圧力を制御すると同様に、装飾機が対処しなければならない別の特定の問題は、とりわけ、インクローラーステーション内のドライブと可動部品によって生じる熱である。インクの温度はその粘性に影響を与える。インク温度が低すぎるとインクは厚すぎ、粘着力があり、したがって、滑らかにするのが難しい。他方で、インクの温度が高すぎると、インクは薄すぎ、したがって、容易に広がりすぎてぼやけて見えることもある。
【0011】
本発明は、先行技術のような装飾機で使用されるインクローラーステーションに改良を与えようとするものであり、さらに、正確な接触圧力と温度の制御によって、画像の質を維持しつつ、既知の装飾機によって生じる熱を減らすだけでなく、構成部品の容易な調節を可能にしようとするものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、缶本体の装飾機のためのインキングステーション(inking station)が提供され、インキングステーションは、インクを保持および/または放出するためのインク貯め容器(fountain tank)、インク貯め容器からファウンテンロール(fountain roll)までインクを測定するためのブレード、ファウンテンロールから版胴までインクを転写するための一連のローラーであって、少なくとも1つの振動ローラーを含む一連のローラーを備え、それぞれの振動ローラーは、固定シャフト、固定シャフトの位置を固定するためのクランプ、固定シャフトに対して移動可能なドライブシャフト、ドライブシャフトの移動を制御するためのカム、ドライブシャフトに接続され、カムによるドライブシャフトの移動の制御に応じて移動可能な外部シャフト、および、使用時に、インキングステーションの隣接するローラーに接触する際に回転可能な振動ローラー本体を備え、それによって、使用時、カムによって駆動される外部シャフトの軸方向移動は、振動ローラー本体の外表面に伝えられ、隣接するローラー全体にインクを均一に分配し、外部の振動ローラー本体と隣接するローラーとの接触によって、ローラーの外表面が回転する、ことを特徴としている。
【0013】
「ブレード」は単にインク貯め容器の縁であってもよい。一連のローラーはしばしば、ファウンテンロールから印刷版または印刷版胴までインクを転写するインクトレイン(ink train)とも呼ばれる。
【0014】
本発明のインキングステーションは、正確な接触圧力を維持しつつ、構成部品を容易に調節する。振動ローラーはこのようにしてローラー全体に均一にインクを分配し、プロセスの間に転写されるかもしれない余分なインクを「伸ばす」。
【0015】
好ましい実施形態では、振動ローラーのドライブシャフトおよび外部シャフトは、相補的な付勢手段を含んでおり、その結果、ドライブシャフトの振動移動によって、外部シャフトが固定シャフト上を軸方向に移動する。
【0016】
振動ローラーは溝を有してもよく、その溝を通って、使用時にドライブシャフトのピンが振動ローラーの外部シャフトを移動させる。一般に、外部シャフトはローラーベアリングに取り付けられる。
【0017】
本発明のインキングステーションはさらに、振動ローラーのためのハウジングを含んでもよい。このハウジングはカムボックスであってもよく、カムはそれぞれの振動ローラーに対して平らな面をしたカム構造である。
【0018】
好ましい実施形態では、インキングステーションはさらに、インクローラー用のドライブを含み、インクローラードライブは1つ以上のプーリーによって主たる缶装飾機に接続されており、インクローラードライブはインクローラーフレームの両側に分けられ、その結果、プーリーの温度を制御する。
【0019】
さらなる温度制御は一般に、冷却水を分配するための経路を含むシャフトに取り付けられるローラーの少なくとも1つによって与えられる。これらのローラーが一般にセラミック製の外表面を含み、これらのローラーを冷却させることで、隣接するゴム製のローラーからセラミック製の表面にインクを転写しやすくするため、これらのローラーは理想的には中間(また「転写」としても知られている)ローラーである。
【0020】
本発明の別の態様によれば、缶本体の装飾機において印刷版にインクを塗布する方法が提供され、該方法は、1つ以上の振動ローラーを含む一連のローラー全体に容器からインクを転写する工程を含み、それぞれの振動ローラーに固定シャフトを設ける工程、固定シャフトの位置を固定する工程、固定シャフトに対して長手方向にドライブシャフトを移動させ、ドライブシャフトの移動をカムで制御する工程、ドライブシャフトに外部シャフトを接続し、その結果、カムによるドライブシャフトの移動の制御によって、外部シャフトの移動を制御する工程、および、インキングステーション内の隣接するローラーを接触させることによって振動ローラー本体を回転させる工程、および、カムによって駆動される外部シャフトの軸方向移動を振動ローラー本体に伝えることによって、隣接するローラー全体にインクを均一に分配する工程を特徴としている。
【0021】
印刷版にインクを塗布する方法は、ドライブシャフトの長手方向の運動を振動させることにより、固定シャフトにわたって外部シャフトを軸方向に移動させる工程を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
これより、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態をほんの一例として記載する。
図1】本発明にかかるインクローラーステーションを有する装飾機の概略図である。
図2】本発明にかかるインクステーションを介したインクの流れの概略的な側面図である。
図3】振動ローラーの側面図である。
図4】カムボックスドライブ(cam box drive)の側面図である。
図5】5aおよび5bは、正面(5a)および背面(5b)からのインクローラードライブの対向する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のインキングステーション(10)は、ブランケットドラム(20)の周囲に設けられる、6つまたは8つのそのようなステーション(図1では8つ示されている)のうちの1つである。図1の装飾機(1)は、Alcoa Concordの先行技術の装飾機のように、3つの回転アセンブリのまわりに設計されている。この装飾機は次のものを含む:
スピンドルディスク(30)、
ブランケットドラム(20)、および、
ディスク搬送ユニット(40)
【0024】
これらの回転アセンブリは同期したドライブトレインによってつながれており、非常に微妙な調整に応答して、最小の動作圧力で高品質な印刷をもたらす。この記載では、「ロール」および「ローラー」との用語は、相互に交換可能に用いられ、同じことを意味する。
【0025】
図1では、連続的に流れる缶は、保線作業から送り込み部(in−feed section)へと供給される。送り込み部(15)では、個々の缶は、送り込みポケットの付いたタレットホイール(turret wheel)を回転させることで、積み重ねから分離される。送り込みホイールは、積み重ねから缶を取り除き、このタレットホイールの周速にまで缶を加速させる。缶が積み重ねから取り除かれると、ポケット面のポートを介して缶に真空を適用することで、転写の安定性を確保する。
【0026】
送り込みタレットホイールが回転すると、缶は、スピンドルドラムアセンブリ(30)上で釣い合いの取れた速度で回転する環状のスピンドルと接線方向に位置合わせされる。缶の速度と位置がスピンドルに一致すると、単純な半たわみ性の「打ち付け(slapper)」棒が缶に接触し、速度の一致したスピンドルに向かって横方向に缶をスライドさせる。缶がスピンドルに接近し、各スピンドルの端部で真空を供給することで、缶の横方向の動きは、缶がそれぞれのマンドレルに完全に載せられるまで、継続する。完全に載せられた缶はインク入れ領域へと続いていく。
【0027】
マンドレルとそれと結合した缶は円形路に延びていくことができるが、スピンドルディスクの軸からマンドレルの軸までの中心距離は、カムと従動部の装置によって調節される。マンドレルがインク入れ領域に接近すると、マンドレルの経路はカムの動作によって修正されるため、その運動はインクブランケットドラム(20)の軸と同心になる。
【0028】
カムがあらかじめ設定された角変位でブランケットドラム(20)と接触すると、ブランケットの表面に付着するインクの量は、インキングステーションと図2乃至5に関して記載されているように、缶の外部の表面に転写される。
【0029】
ブランケットドラム(20)は、ブランケットドラムを版胴と接触させるように、スピンドルディスク(30)とは反対方向に回転する。それぞれの版胴は回転し、インクローラーステーションからインクの薄膜を拾い上げる。
【0030】
インクローラーユニットは、複数のドライブローラーと一連の従動ロールまたは使用されていないロールが取り付けられた、重い鉄骨を含む。従動ロールは、ベルトとプーリーの装置によって動く。使用されていないロールは、ドライブローラーと半径方向に接触することで動く。
【0031】
各インクステーション(10)を通るインクの経路が図2に概略的に示されている。図2では、インクローラーステーションは、最初の色の半液体のインクを含むインク貯め貯蔵器(110)または容器を含んでいる。インク貯め貯蔵器(110)は1つの開放端を有しており、これは、ファウンテンロール(120)によって閉じられる。開放端は貯蔵器自体の延長部であってもよく、または、一般に半可撓性材料であるブレード(115)の形状をしていてもよい。ファウンテンロール(120)に対して加えられるこのブレードの圧力は、一連の「インキ壺キー(fountain keys)」によって手動で調節可能である。これにより、あらかじめ設定された量のインクをインク貯め貯蔵器(110)からファウンテンロール(120)の表面へと放出することが可能となる。ブレードの調節とインキ出しローラーのロールの係合時間で、このシステムに入れることができるインクの量を制御する。
【0032】
動力を与えられたファウンテンロール(120)上のインクは、接線接触によって、自走式のインキ出しローラー(122)に部分的に転写される。インキ出しローラーは、電子制御式または空気式の係合機構に合わされる。係合機構が動作すると、係合機構はインク貯めローラーからインキ出しローラーを分離し、上部の従動中間ローラー(124)(第1の転写ロールとしても知られている)と接触し、それによって、インクトレイン内でローラーからローラーへとインクを転写する。図2の空白のボックスと矢印は、第1の転写ロールとのインキ出しローラーのプログラムされた係合を示している。
【0033】
上部の従動中間ローラー(124)から、インクは、通常の接線接触によって、一対の自走式の被覆された分配器のローラー(126)に移動する。分配器のローラーは、通常の接線接触によって、中央の中間ローラーまたは第2の転写ロール(128)にインクを転写する。第2の中間ローラー(128)は、接線接触によって、一対の被覆された往復振動または「ゴースト」ローラー(130)、(132)にインクを転写する。2つの振動ローラーは、第3の中間ローラー(第3のまたは下部の転写ロールとも呼ばれる)(134)に、ある量のインクを転写する。
【0034】
第3のおよび最後の中間ロール(134)は、接線接触によって、2つの異なる大きさの形成ロール(form rolls)(136)、(138)に、ある量のインクを転写する。形成ローラーは、そのインクローラーステーションの版胴(140)の浮かび上がったアートワークにある量のインクを直接転写する。版胴は、ブランケットドラム(20)の周辺に取り付けられたブランケット部分のゴム製の印刷用ブランケットに接触する。ブランケットドラムは12のブランケット部分(22)を有しており、その各々は、スピンドルディスクのマンドレルに取り付けられた缶に最後に接触する前に、それぞれのインクローラーステーションからの8つの異なる版胴に接触する。
【0035】
形成ローラーに残っている任意のインクは、下部の中間ローラ(すなわち、第3の転写ロール)に戻って接触すると下部の振動ローラーによって再分配される。インクが1つのロールから次のロールまで部分的にのみ付着すると、ファウンテンロールから版胴までインクが流れる直接的な単一経路はない。その代わりに、任意の残っているインクをこのシステムの頂点に戻すことが可能である。これは、インクローラーステーションのまわりのインクの一般的な濃度を改善し、結果として、画像の質を改善する。ロールの再循環構造は、色の変更が必要な場合に、インクの供給または洗浄も支援する。
【0036】
3つの中間または「転写」ロールは、セラミック材料で被覆された鋼から作られるのが一般的である。本発明の1つの特徴は、これらのローラーのシャフトを通る経路を準備することであり、この経路を通って、冷却水などの冷却液が供給されることで、最適なインク転写の制御に必要不可欠な一定の温度でセラミック製のローラーの外部の温度が維持される。
【0037】
本発明のインクローラーステーションは、特に図3の振動ローラーの設計が特徴的である。図3は、固定シャフトの内部シャフト(152)、外部シャフト(154)、および、外部ローラー本体(156)を有する、振動ローラー(150)の側面図を示している。
【0038】
ブッシュ(153)が外部シャフト(154)の長手方向の移動を可能にする一方で、コレット(155)と締付リング(157)は、コレット(155)を外部シャフト(154)に留めることで、外部シャフトの回転を防いでいる。加えて、図3の左手側にある回転防止キー(164)は、外部シャフトの任意の回転を防ぐ。クランプブロック(165)は、固定された内部シャフト(152)の位置を固定する。図3の振動ローラー本体(156)は、アルミニウムコア(156’)と接着したゴムの外部部分を含む。ベアリング(158)は、ローラー本体(156)を支持および保持する。
【0039】
外部シャフト(154)の長手方向の運動は、固定内部シャフト(152)のコア内部のドライブシャフト(160)の外端に適用される平坦面状のカムによって制御される。ばね(161)の圧縮は、外部シャフト(154)の戻り動作を助けるとともに、ドライブシャフトをカムに接したまま維持するのを助ける。
【0040】
上に記述されるように、インクローラーステーション内のローラーを振動させる最たる理由は、ローラー全体に転写インクを均一に分配すること、および、インキングプロセスの間、転写されたかもしれない余分なインクを「伸ばす」ことである。本発明のインクローラーステーションでは、画像は最終的には、金属缶(典型的には鋼またはアルミニウム製)の本体に転写される。これはゴムで被覆された外部ローラー(156)の使用を必要とし、外部ローラー(156)は軸方向に移動するように駆動され、その間、中央シャフト(154)はインクローラーのフレーム側の内部の2つの保持用クランプ間で固定されたままである。ローラー(156)の外径の回転は、隣接するローラーとの接触による。
【0041】
印刷された缶は余分なニスユニット(45)に移動し、そこで、缶は、完成した模様を保護するためにニス層を受け取り、最終的にディスク搬送ホイール(40)と装飾鎖(deco chain)(50)に送られ、そこから缶は放出され、その後、オーブン内で乾燥される。
【0042】
図4は、それぞれの振動ローラー用の平面状のカム構造を用いて、振動ローラーを横方向に移動させるのに適したカムボックスドライブの側面図である。それぞれのインキングステーションに個々のカムボックスドライブがある。
【0043】
本発明のそれぞれのカムボックスドライブは、中央のドライブプーリー(170)と4つの補助プーリー(172、173、174、175)を含む。ドライブベルト(176)は、アジャスターナット(177)を用いて張力調整装置(178)を調節することで張力をかけることができる。補助プーリーは、図3の外部シャフト(154)の長手方向の運動を制御する、平坦な面状のカムを回転させる。
【0044】
図4に示される中央のローラーは中間ローラーであり、図4の設計は、冷却ユニットと、中間ローラー用の冷却水管へのアクセスを提供する際に特に有利である。
【0045】
インクローラーステーションの各々の駆動は、図5の新規な駆動配置によって提供され、この配置では、インクローラーのクラッチからの駆動はメインドライブプーリーを動作させ、インクローラーの両側に分けられる。インクローラーは、空気式に係合可能なインクローラーのクラッチまで連結器を介して運ばれる。図5では、3つの中間(転写としても知られている)ロールが中心に示されており(124、128、および134)、インクローラーのそれぞれの側でプーリー(187、188)を分離するために接続されている。それぞれの駆動ベルト(180、182)は、張力調整装置のプーリー(184または184’)を介して転写ロールの2つを動かす。張力調整装置(185)は、プーリー(184および184’)を締めつけるために移動する。
【0046】
したがって、主要な機械駆動システムからの動力は、インクローラーフレームの両側に均一に分配され、これにより、既知のドライブプーリーと比較して、張力調整装置の大型化したプーリーを用いることが可能となる。駆動システムのこの分割は、既知の単一の駆動システムとは対照的に、温度制御を改善することが分かっており、とりわけ、張力調整装置の温度は、既知の単一駆動式のインクローラーシステムよりも低い値に制御される。
【0047】
本発明はほんの一例として上に記載されており、請求項に定義されているような本発明の範囲から逸脱することなく、インキングステーションに対して変更を行うことが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
【国際調査報告】