(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-511377(P2015-511377A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(54)【発明の名称】車両ヒータおよび車両ヒータの監視方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/00 20060101AFI20150320BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20150320BHJP
B60H 1/03 20060101ALI20150320BHJP
【FI】
H05B3/00 365D
B60H1/22 611D
B60H1/03 C
H05B3/00 310D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-556109(P2014-556109)
(86)(22)【出願日】2013年2月15日
(85)【翻訳文提出日】2014年8月11日
(86)【国際出願番号】EP2013053100
(87)【国際公開番号】WO2013121010
(87)【国際公開日】20130822
(31)【優先権主張番号】102012202379.8
(32)【優先日】2012年2月16日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】591018763
【氏名又は名称】ベバスト エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】ディートマール ブィツェック
(72)【発明者】
【氏名】トールステン カベリッツ
(72)【発明者】
【氏名】カール ゲットル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エッケルト
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ ヴェーゲナー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス レヒベルガ―
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ラインホルツ
【テーマコード(参考)】
3K058
3L211
【Fターム(参考)】
3K058AA11
3K058AA41
3K058AA96
3K058CA23
3K058CA57
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3K058CA63
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3K058CE19
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA41
3L211DA50
3L211FB05
3L211GA49
(57)【要約】
車両ヒータ(10)は、非本質安全伝熱体層(14)を担持する本体(12)と、その伝熱体層(14)に配置される温度監視装置(16、18、20、44)とを含む。温度監視装置(16、18、20、44)は、少なくとも次の3つの状態、すなわち、正常な運転と、可逆的な機能不全と、非可逆的な機能不全とを識別して、報告するように設計される。さらに、次の状態、すなわち、正常な運転と、可逆的な機能不全と、非可逆的な機能不全とが識別され、かつ報告される車両ヒータ(10)の監視方法が提示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非本質安全伝熱体層(14)を担持する本体(12)と、前記伝熱体層(14)に配置される温度監視装置(16、18、20、44)とを含む車両ヒータ(10)において、前記温度監視装置(16、18、20、44)が、少なくとも次の3つの状態、すなわち
−正常な運転と、
−可逆的な機能不全と、
−非可逆的な機能不全と、
を認識することができ、かつ、それを信号(46)として報告することができる、ことを特徴とする車両ヒータ(10)。
【請求項2】
前記温度監視装置(16、18、20、44)が、可逆的な機能不全を検出するために、局所的な温度を検出するセンサー要素(44)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の車両ヒータ。
【請求項3】
前記温度監視装置(16、18、20、44)が、非可逆的な機能不全を検出するために、少なくとも部分的に前記伝熱体層(14)に配置されるセンサー層(16)を含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両ヒータ。
【請求項4】
前記センサー層(16)が熱溶射法を用いて形成されたものである、ことを特徴とする請求項3に記載の車両ヒータ(10)。
【請求項5】
前記センサー層(16)が、少なくとも部分的に、正の温度係数を有する抵抗またはインピーダンス特性を含む、ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両ヒータ(10)。
【請求項6】
前記センサー層(16)が、少なくとも部分的に、負の温度係数を有する抵抗またはインピーダンス特性を含む、ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両ヒータ(10)。
【請求項7】
前記温度監視装置(16、18、20、44)が、被加熱媒体の温度に依拠する第1温度限界値を超過しない限り、正常な運転を報告する、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両ヒータ(10)。
【請求項8】
前記温度監視装置(16、18、20、44、48)が、ソフトウェアによってプログラム可能または操作可能な制御器(20)と、前記ソフトウェアとは無関係に作動する切り換え要素(48)であって、前記の機能不全の少なくとも1つが生じた場合に、前記ソフトウェアとは無関係に緊急手段を実行するように構成される切り換え要素(48)とを含む、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両ヒータ(10)。
【請求項9】
車両ヒータ(10)の監視方法において、次の状態、すなわち
−正常な運転と、
−可逆的な機能不全と、
−非可逆的な機能不全と、
が識別され、かつ報告される、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記可逆的な機能不全の状態が、局所的な温度を検出するセンサー要素(44)によって検出される、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記非可逆的な機能不全の状態が、少なくとも部分的に伝熱体層(14)に配置されるセンサー層(16)によって検出される、ことを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非本質安全伝熱体層を担持する本体を含む車両ヒータであって、その伝熱体層に温度監視装置が配置される車両ヒータに関する。
【0002】
本発明は、さらに車両ヒータの監視方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本体は、例えば、特に金属/空気および/または金属/液体の両ケースの熱交換器とすることができる。
【0004】
電流を制限することによって温度の過度の上昇を自律的に防止し得る本質安全伝熱体層、例えばPTC伝熱体層とは違って、不具合が生じた場合に非安全な状況を回避するこの能力を完全には有しないあらゆるタイプの伝熱体層を、本明細書では、非本質安全伝熱体層と言うものとする。
【0005】
非本質安全伝熱体層には、それに制限されるわけではないが、例えば、比較的高い電圧(例えば250ボルトの直流電圧)を供給するように想定することができる。この場合、過度に高い電圧は、もしそれが有利であると見做されるならば、例えば、パルス幅変調によって逓減調整することができる。12〜24ボルトを供給する従来型の車載給電システムに比べて相対的に高いこのような電圧は、例えば電気自動車またはハイブリッド車両においていずれにせよ利用可能である場合が多い。このような環境においては、例えば、3〜8KWの範囲の性能を有する完全な電気式車両ヒータを運転できるが、本発明の適用分野は、この出力範囲またはこの車両タイプに限定されるわけでは決してない。
【0006】
非本質安全加熱要素の形態の伝熱体層を含む車両ヒータが、例えば特許文献1から知られる。この特許文献1によれば、加熱要素を表す熱放射の表面特定検出用としての3つの代替的なセンサーが温度の監視用として設けられ、その場合、加熱要素は蛇行形状の波形フィンとして形成される。3つのセンサーの内の1つは、無接触の赤外線センサーとして構成され、加熱要素に接触するもう1つのセンサーは、加熱要素の中に組み込まれる電気抵抗線の形態で設けられる。この特許文献に提示される第3のセンサーは、同様に、加熱要素の領域に配置され、あるいはその中に組み込まれ、温度感知する光ファイバに基づいて作動する。この3つのセンサーが、関係する測定信号を制御ユニットに送り、制御ユニットが、不具合が生じた場合に加熱要素の出力を安全に遮断するかあるいは低減するための制御信号を発生する。この車両ヒータに恒久的な不具合が生じると、この恒久的な不具合によって次の操作サイクルにおいても過熱が発生し、従って、(最善の場合には)出力の遮断の更新または低減の更新に導かれることを想定しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1361089B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、一般的な車両ヒータと一般的な車両ヒータの監視方法とを、安全性が改善されるように更に開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は独立請求項の特徴によって実現される。本発明の有利な実施形態およびさらなる発展形態が従属請求項から導出される。
【0010】
最初に、非本質安全伝熱体層を担持する本体を含む車両ヒータであって、その伝熱体層に温度監視装置が配置される車両ヒータが提示される。この場合、この温度監視装置は、少なくとも次の3つの状態、すなわち、正常運転と、可逆的な機能不全と、非可逆的な機能不全とを識別して、それを信号として報告するように設計される。車両ヒータの正常運転は、例えば、150℃までの温度であると想定することができる。水または液体の加温装置の場合には、例えば、液体の欠乏または液体の停滞によって惹起される可能性がある可逆的な機能不全の場合には、温度は、一例として参照される150℃の値を超えて上昇するであろうが、例えば180℃の温度に達すると、伝熱体層の一次的な遮断または少なくとも出力の低減を発動することができる。非可逆的な機能不全は、例えば、極端に稀有な場合として、くすぶり燃焼点またはアーク点火が生じた場合に想定することができる。このような稀有な事態は、一般的には局所的な過熱を生じるのみであろうが、この過熱はきわめて強く、例えば1000℃のレベルの温度に達する可能性がある。前記の3つの状態を識別することによって、例えば、作動の更新、すなわち車両ヒータの新しい運転サイクルに先立って、最後に報告された状態を回復して、非可逆的な機能不全の場合には、作動の更新を防止することが可能である。すなわち、そのような場合には、交換または修理が完了するまで車両ヒータを恒久的に遮断した状態のままにしておくことができる。これによって、安全性が大幅に改善される。上記のような状態で加熱装置を再度作動させると、特に非可逆的な不具合が、少なくとも局所的な新規のきわめて強力な過熱をもたらすことがあり得るからである。
【0011】
車両ヒータにおいて、温度監視装置は、可逆的な機能不全を検出するための、局所的な温度を検出するセンサー要素を含むことを想定することができる。このセンサー要素は、例えば、従来型のPTCまたはNTCセンサー要素とすることができる。このようなセンサー要素は、局所的な温度を、部分的には数℃の範囲内で非常に正確に検出する能力を有する。従って、これらは、例えば、上記において一例として参照した150℃から180℃への温度上昇検出用として特に適している。
【0012】
さらに、温度監視装置は、非可逆的な機能不全の検出用として、少なくとも部分的に伝熱体層に配置されるセンサー層を含むことができる。この場合、このセンサー層は、少なくとも、例えば、前記のくすぶり燃焼点または電気アークの場合に生起するような、伝熱体層の局所的でかつ非常に強い過熱を確実かつ急速に検出し得る能力を有することが望ましい。また、このセンサー層は、伝熱体層の上部または下部に配置することが望ましい。例えば、このセンサー層は、ほぼ完全に伝熱体層をカバーすることができる(必要な場合には、接続領域などを開放状態に残すことができる)。センサー層は、最も広義の意味において、常に、少なくとも部分的に平面型の層であるので、例えば、1つ以上の(場合によっては非常に狭い)帯材から構成されるセンサー層も考慮の対象になる。センサー層は、例えばこの場合、蛇行形状に配置される伝熱体層の径路に従うことができるが、その場合、センサー層は伝熱体層を完全にカバーすることが望ましい(上記のように、必要な場合には接続領域を開放状態に残すことができる)か、あるいは、本体の大きな面積をカバーすることができる。例えば、センサー層を、蛇行形状の伝熱体層の上に、上面から見て長方形のセンサー層として配置することができる。この場合、2つの方式、すなわち、センサー層を伝熱体層の直接上部に配置して、センサー層を少なくとも部分的に伝熱体層に接触させる方式と、少なくとも1つの中間層を設ける方式とが任意選択の対象になる。センサー層を、局所的な過熱が生じた場合に、その抵抗またはインピーダンスがすでに大幅に変化するように調整することが特に有効であると判明している。このような平面型のセンサー層を用いることによって、例えば、上記のセンサー要素が、その装着位置において局所的な温度上昇を検出し得る前に、局所的な過熱を確実に検出することが可能になる。
【0013】
少なくともいくつかの場合には、センサー層を、熱溶射法を用いて形成することが有利であると考えられる。溶射法としては、特に熱溶射法が1つの選択肢である。熱溶射法を用いることによって、本体を焼き付け法において通常に用いられる温度に曝露することなく、センサー層を作製することが可能になる。このようなセンサー層の溶射は焼き付け法に比べて低コストで実施できるが、それにも拘らず、使用される本体の(あるいは本体がすでに担持する材料に対する)温度の許容範囲に関する要件が大幅に低く限定される。従って、本体に対して溶射法を用いることによって、焼き付け法における通常の温度では溶融したり、あるいは、意図される用途に関するその材料特性が何らかの態様で負の方向に変化したりする可能性ある材料も、本体用として想定できることになる。適切な溶射法を使用することによって、本体を、例えば、完全にまたは部分的にアルミニウムから構成することができる。もちろん、他の多数の材料も本体用として考えることができる。これらの材料は、多くの場合、良好な伝熱特性を有するものである。この点に関して、単なる例として、アルミニウム合金、ガラスおよびセラミックを挙げることができる。想定可能な熱溶射法の例としては、プラズマ溶射法、低温ガス溶射法またはフレーム溶射法を挙げるべきである。いくつかの場合には、車両ヒータの他の構成要素、例えば伝熱体層をも、熱溶射法を用いて形成することが有利であり得る。現在のところ、低温ガスプラズマ溶射法および懸濁液フレーム溶射法が、特によく適した熱溶射法であると考えられる。低温ガス溶射は、高速度に加速されるガス、例えば窒素を含むが、その場合、ガスに同伴される粒子が、高速(例えば音速の何倍もの速度)で本体または本体が担持する基板上に衝突し、高い運動エネルギーによって、緊密に付着する高密度の層を形成する。懸濁液フレーム溶射法の場合には、最初に、被溶射粒子を含有する懸濁液を調製し、続いて、その懸濁液をフレームの中に噴射する。この過程で、液体は、少なくとも部分的に、しかし好ましくは完全に蒸発して、(理想的には)当該粒子のみが目標表面に衝突し、それによって高密度の層を作製できる。いずれにしても、この場合、センサー層の溶射用として想定可能な方法が有する共通点は、本体を、焼き付け法において標準的に用いられる高温に曝露する必要はないという点である。この点に関して、例えば、本体を、800℃未満、650℃未満、あるいは場合によっては500℃未満の温度にしか曝露しないことを想定することができる。本体(および/または本体上にすでに配置される任意の他の構成要素)用として利用可能な材料の数が、温度を低く維持できる程増大するであろうことは理解し易い。この点において、以上の理由から、「温度に曝露される(exposed to temperatures)」という表現は、本体全体がその温度になると想定される、あるいはならねばならないことを必ずしも意味しないことを明確にしておかなければならない。むしろ、当てはまる唯一のことは、本体が、部分的にも、それに損傷をもたらす可能性があるような温度には曝露されないということである。従って、いくつかの場合には、本体の特性(サイズ、熱伝導率など)に応じて、本体が、例えば、溶射法に直接曝露されない領域において、500℃より遥かに低い温度、例えば僅かに100℃以下の温度にしか耐え得ない構成要素(例えば電気的素子または他の構成要素)をすでに担持していることが可能になる。センサー層を、粉末を用いて作製することを想定することができる。この場合、粉末の粉末粒子は、集塊形態で存在するか、あるいは集塊形態の中に導入され、さらに、非集塊粉末粒子は、20μm未満、好ましくは10μm未満の平均粒径d50を有する。ここで言及する平均粒径d50の標準的な定義に関しては、この点に関する説明の必要性が生じた場合、該当するISO9276−2を参照できる。例えば、いくつかの場合に、センサー層の作製用として想定し得るチタン酸バリウムの粉末は、通常、10μm未満(例えば2μm〜8μmまたは4μm〜5μm)の結晶サイズを有する。この粒子サイズは、いくつかの熱溶射法(例えばプラズマ溶射法)用としては小さ過ぎる可能性がある。それは、この粒子サイズの場合、この方法に使用される溶射ガン(または使用溶射装置の他の任意の構成要素)の開口を閉塞させる可能性があるからである。しかし、複数の粉末粒子が集塊形態において存在すれば、例えば被包材料の中に埋め込まれていれば、溶射ガンの開口の閉塞は回避することができる。集塊内においては、複数の粉末粒子をそれぞれ被包材料に結合することができるが、この被包材料は、例えばポリビニルアルコールのようなプラスチック材料を構成要素として含むことができる。少なくとも圧倒的に多数の集塊は個々の粉末粒子より大きいので、溶射ガン(または使用溶射装置の他の任意の構成要素)の閉塞を、少なくとも多くの場合回避できる。集塊の作製および利用は、もちろんチタン酸バリウムの粉末に限定されない。むしろ、この技術は、本発明の範囲内において想定される、過度に微小な粉末粒子を有する任意の粉末に対して使用可能である。溶射されたセンサー層が全体として所要の電気的(または光学的または他の)特性を有するようにするため、集塊の形成に使用する被包材料を適切に調整することが合理的である。例えば、全体として、ある特定の比導電率を得るべきであるならば、集塊が溶射の間に破壊されず、または、被包材料が溶射されたセンサー層の構成要素として少なくとも部分的に残留する限り、被包材料は、基本的に、(車両ヒータの通常の運転温度において)粉末粒子の比導電率と少なくとも同程度の高さの比導電率を有するべきである。しかし、特定の場合には、センサー層の特性が(少なくとも大部分)粉末粒子の特性によって決定されるように、集塊の破壊、または、被包材料の少なくとも部分的な除去を支持することも可能である。これを実現するため、集塊が閉塞の傾向を有する部分を通過すると直ちに、適切な熱的、化学的および/または物理的プロセス、あるいは後処理ステップを実施することができる。最初に、複数の粉末粒を集塊形態の中に導入しなければならない場合は、例えば次の方法をこの目的にために実施することができる。すなわち、第1ステップにおいて、適切な材料をその当初のコンシステンシーにおいて用意することができる。続いて、第2ステップにおいて、固体材料への変換を、特に焼結法によって実施する。さらに続いて、この固体材料を破砕によって微粉化する。その後、粉末粒子を、結合剤系を用いて、さらに後続の乾燥と、結合剤の焼尽とによって集塊化することができる。粉末粒子を、粒状化法によって微粉化することも可能である。例えば、所定の平均粒径d50を有する粒状化されたペロブスカイト粉末を使用しなければならない場合には、次の方法を実施することができる。すなわち、第1プロセス段階において、塩を、計量、混合して、酸の中に溶解し、アルカリ液によって沈降させ、ろ過し、かつ、洗浄して、乾燥する。続いて第2プロセス段階において、相反応および/または変換のための熱処理を実施できる。さらに第3プロセス段階において、所要の粒径サイズへの湿式粉砕を行うことができ、第4プロセス段階において、スクリーニングまたは篩分けによる分画、完成粉末材料の調整および/または残留量の処理を遂行することができる。特に、本体と、場合によっては本体がすでに担持する構成要素とが十分な熱抵抗を有する場合には、もちろん、通常の焼き付け法を、センサー層(または他の層)の形成に代替案として適用することも可能である。
【0014】
センサー層が、少なくとも部分的に、正の温度係数を含む抵抗体またはインピーダンス特性を有することを想定することができる。この方法は、センサー層が2つの端部部分を含む細長い形状を有する場合に特に合理的である。この2つの端部部分は、その縦方向に出現する電流(または印加された電流)に関してセンサー層を監視するために、その間において測定信号がピックアップされる部分である。この場合、運転モードは、PTC抵抗導電体を使用する場合に類似する可能性がある。その理由は、このような細長い延長部の直列の接続特性によって、比較的短い長さ部分の加熱がすでに十分に行われて、全体としての抵抗(または全体としてのインピーダンス)が増大し、その結果、局所的な温度限界値の超過を確実に検出できるからである。より大きい長さ部分に沿って生起する温度限界値の超過は、あるいは全長にわたって生起する温度限界値の超過も、もちろんこの方法でより一層確実に検出できる。正の温度係数を有する抵抗特性を得るための一例は、前記のチタン酸バリウムの粉末の使用である。この場合、比較的安価なチタン酸バリウムに鉛をドープすることが望ましい。
【0015】
しかし、センサー層が、少なくとも部分的に、負の温度係数を有する抵抗またはインピーダンス特性を含むことも可能である。負の温度係数を想定することは、センサー層が、最も広義の意味において、少なくとも部分的に、その表面法線(場合によってはそれぞれの表面法線)の方向の電流について監視されるべき平面型の層である場合に、特に考えることができる。例えば、この場合、1つ以上の(場合によっては非常に狭い)帯材から構成されるセンサー層、例えば、帯材が円筒表面の回りに数回かつ異なる高さで巻き付けられ、その結果、多数の(差分)表面法線が生じるような帯材から構成される層も平面型のセンサー層であると理解されるべきである。通常、負の温度係数を有する層の上面側および底面側には、それぞれ、測定信号を取り出すための同様の平面型電極が装備されるであろう。このようなセンサー層は、複数の抵抗体またはインピーダンス(キャパシタンス)を並列に接続したものと見做すことができ、従って、局所的な温度限界値の超過によっても、全体としての抵抗(または全体としてのインピーダンス)の確実に検出可能な減少がもたらされる。より大きい表面部分に、または場合によっては全表面に影響する温度限界値の超過も、もちろんこの方法で確実に検出できる。同様に、例えば、電極間の局所的なフラッシュオーバまたは局所的なアークの形成も検出でき、あるいは理想的な場合には、これを予期して避けることが可能である。例えば、専らフラッシュオーバの検出のみが対象になっている場合には、センサー層が、その上面側および底面側に設けられる接触層を含む平面型の絶縁層によって形成される実施形態も考えることができる。その点で、負の温度係数という用語は、ここでは最も広義に理解されるべきである。古典的な意味における負の温度係数を有するセンサー層を形成するためには、例えば、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、または他のセラミック材料のような材料を使用することができる。例えば、セラミックガラスの場合には、それが、1つ以上のアルカリ金属を、例えば10重量%までの比率で含有することを想定することができる。セラミックガラスには、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、水晶、酸化チタンおよび/または酸化亜鉛をドープすることも想定することができる。この場合、このドーピングの比率は、例えば3重量%までの量とすることができる。
【0016】
温度監視装置は、被加熱媒体の温度に依拠する第1温度限界値を超過しない限り、正常な運転の信号を発信することが有利であり得る。例えば、温水器または液体加温器の場合には、例えば媒体温度が−40℃である時には、車両ヒータの領域内において、例えば−40℃〜100℃の範囲の温度が特に前記のセンサー要素によって測定される限り、正常な運転が行われていると想定することができる。媒体温度が例えば75℃になると、例えば−40℃〜150℃の範囲の温度が測定される限り、正常な運転が行われているとすることができる。
【0017】
本発明による車両ヒータの少なくともいくつかの実施形態においては、温度監視装置が、ソフトウェアによってプログラム可能または操作可能な制御器と、ソフトウェアとは無関係に作動する切り換え要素であって、前記の機能不全の少なくとも1つが生じた場合に、ソフトウェアとは無関係に緊急手段を実行するように構成される切り換え要素とを含むことを想定することができる。緊急手段としては、特に、加熱出力の低減、場合によってはゼロへの低下が想定される。さらに、切り換え要素は、緊急手段を遂行する場合に、適切な信号を制御器に供給するように構成することができ、この信号に基づいて、制御器は、切り換え要素が機能不全を検出したことを確認する。また、制御器には、どのタイプの機能不全(可逆的または非可逆的)が生じたかを、この信号によって報告することが望ましい。このような解決策は安全上の理由から想定することができる。それは、この方法によって、少なくとも1つの安全上の選択肢(例えば、平面型のセンサーによって検出された非可逆的な不具合)が、ソフトウェアによって実行されるのではなく、あるいはソフトウェアによって完全には実行されず、ソフトウェアとは無関係のハードウェアによって完全にまたは部分的に実行されるからである。この方式によって、ソフトウェアからのある種の独立性が確立されるので、例えば、ソフトウェアの誤謬に起因する機能不全を避けることができる。この場合、切り換え要素は、本発明に従って識別されるべき1つ以上の状態を検出するように構成することができる。この場合、切り換え要素が、ソフトウェアによっても実行される機能と一緒に冗長的に設けられる解決策、あるいは、切り換え要素によって実行される機能はソフトウェアによって付加的に実行されることはない解決策も想定することが可能である。例えば、本発明に従って識別されるべきすべての状態を、関連する切り換え要素によってソフトウェアとは無関係に検出し得る場合には、本発明に従って、好ましい特定する機能のみ、すなわち、作動の更新の停止のみを、特定信号の存在に基づいて制御器および関連するソフトウェアによって実施することを想定できる。しかし、この目的のために、ソフトウェアとは無関係であるが、記憶能力を有する構成要素を用いることも想定可能である。この場合、「記憶能力を有する(memory−capable)」とは、電力供給が中断しても、生起した機能不全をその後に忘失してしまうことがないことを意味すると理解するべきである。この点に関して、切り換え要素は、センサー値を1つ以上のハードウェア組み込み値と比較して、その値を超過している場合には、例えば演算増幅器を組み入れて遮断するような機能(緊急手段)を遂行することができる。このような切り換え要素を設けることは、完全に排除することがほぼ不可能なソフトウェアの誤謬のために合理的であるだけでなく、例えば、ソフトウェアに支えられる制御器が他のタスクをも負わされており、その結果、制御器が、常に、あるいは常に時間内に利用可能であるとは限らない場合にも有用であり得る。
【0018】
さらに、次の状態、すなわち、正常運転、可逆的な機能不全、または非可逆的な機能不全を識別して報告する車両ヒータの監視方法が提示される。それによって、車両ヒータに関連して以上に述べた利点および特性が、類比的にまたは同様に浮かび上がってくる。従って、繰り返しを避けるために、ここでは、車両ヒータに関連する説明を参照する。たとえ、車両ヒータに関連付けて述べたすべての特徴が、これまでにその方法の範囲内において特許請求されていなくても、これらの特徴が、個別に、あるいは、いかなる組合せおよび類比においても、この方法に対しても重要であり得ることを明白に強調しておく。
【0019】
この方法の範囲内においても、車両ヒータに関連してすでに述べたように、可逆的な機能不全の状態を、局所的な温度を検出するセンサー要素によって特定すること想定することができる。
【0020】
同じことが、少なくとも部分的に伝熱体層に装着されるセンサー層による非可逆的な機能不全の状態の検出に当てはまる。
【0021】
以上の記述から、本発明の基本的な発想が、局所的にのみ測定するが、他方では正確に測定するセンサー要素、例えば、PTCまたはNTCセンサーを、正常状態の検出用、および正常温度からの比較的小さい逸脱に関連する可逆的な機能不全の検出用として用いることにあることが明らかになる。同時に、平面型のセンサー層が伝熱体層に配置される。この平面型のセンサー層は、必ずしも特に正確な測定値を供給する必要はないが、伝熱体層内の任意の場所に生起する(例えばくすぶり燃焼点または電気アークに起因する)極端な過熱を、たとえ、そのような過熱がより正確なセンサー要素によっては(まだ)その装着点において検出され得ないとしても、急速かつ確実に検出する能力を有しなければならない。
【0022】
以下、本発明を、添付の図面を参照して、特に好ましい実施形態に基づいて例によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】車両ヒータの第1実施形態を部分的に斜視図として表す概略図であって、同時に監視方法を表現する概略図である。
【
図2】車両ヒータの第2実施形態を部分的に斜視図として表す概略図であって、同時に監視方法を表現する概略図である。
【
図3】車両ヒータの第3実施形態の部分的な断面を表す概略図であって、同時にこの監視方法を表現する概略図である。
【
図4】車両ヒータの第4実施形態の部分的な断面を表す概略図であって、同時にこの監視方法を表現する概略図である。
【
図5】車両ヒータの第5実施形態を部分的に斜視図として表す概略図であって、同時に監視方法を表現する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図においては、同じ数字は同一または類似の構成要素を示す。これらの構成要素は、繰り返しを避けるために、少なくともその一部は1回しか説明しない。
【0025】
図1は、車両ヒータ10の第1実施形態を部分的に斜視図として表す概略図であって、それは、同時に監視方法を表現している。
【0026】
図1に示す車両ヒータ10と、以下に記載するすべての車両ヒータとは、例えば、電気自動車またはハイブリッド車用の空気加熱器、またはいわゆる温水器のいずれか−但しこれらには限定されない−とすることができる。空気加熱器は、いわゆる温水器とは次の点において異なっている。すなわち、空気加熱器においては、加熱されるべき空気流れが空気加熱装置の熱交換器に沿って直接導かれ、一方、いわゆる温水器においては、最初に、液体、通常水−従って名称の基になる−と、不凍液例えばグリコールとの混合物を温水器装置の熱交換器の上部に導いて、その流体と別の熱交換器とによって、熱を所要の位置に伝達するという点で異なっている。
【0027】
車両ヒータ10は、
図1においては、その全体がブロックとして概略的にのみ示されているが、この場合熱交換器である本体12を含む。この熱交換器12は、車両ヒータのタイプに応じて空気または液体の加熱用として設けられる。このため、熱交換器12は、その底面側に、熱交換に有効な表面を拡大するために、リブまたは類似の手段(図示されていない)を含むことができる。
【0028】
図1に示す車両ヒータ10を製造する際、熱交換器12の表面に、非本質安全伝熱体層14を、確かに熱溶射法を用いて装着した。熱交換器12上への伝熱体層14の直接的な成膜は、すなわち、中間の絶縁層の省略は、一般的には、熱交換器12が、伝熱体層14より明確に低い導電率を有する材料から作製される場合にのみ合理的である。運転する場合には、伝熱体層14を電圧源(図示されていない)に接続するが、この電圧源は、必要であれば、例えば、パルス幅変調によって250ボルトに逓減調整される直流電圧源とすることができる。このため、伝熱体層14は、その端部部分(その細長い延長方向に関して)において適切に接続されるべきであり、これは、当業者の自由裁量に任される点である。また、これは同様に図示されていない。
【0029】
伝熱体層14に隣接して、センサー要素44が熱交換器12の表面上に設けられる。このセンサー要素44は、例えば、PTCまたはNTCセンサーによって形成することができる。センサー要素44は、その装着位置における温度を比較的正確に測定して、測定温度を制御器20に報告することができる。
【0030】
図1の実施形態の場合には、正の温度係数を有するセンサー層16を、熱溶射法を用いて伝熱体層14の上に溶射した。その結果、少なくとも傾向としては、センサー層16に対してPTC特性が出現する。
【0031】
実際には、熱溶射法を用いると、模式的に示す正確なサンドイッチ状の層構成の代わりに、センサー層16の材料が、少なくとも部分的に、伝熱体層14の端部部分を超えて広がるような形態、あるいは、伝熱体層14がセンサー層16の下に多少とも完全に埋め込まれてしまうような形態が生じる可能性がある。
【0032】
センサー層16が、
図1に示すように、絶縁層を使用することなく伝熱体層14の上に直接配置される場合は、車両ヒータ10の適正な運転を確保するために、センサー層16の導電率を、通常の運転温度において伝熱体層14の導電率より(大幅に)低くなるように選択しなければならない。
【0033】
車両ヒータ10の運転の間、測定装置18は、例えば、破線で表示されるように、好ましくは一定電圧をセンサー層16の端部部分に印加して、例えば、測定装置18の構成要素とすることができるシャント抵抗を介して、生じる電流を検出することによって、センサー層16の温度依存抵抗を監視する。ここで、例えば、くすぶり燃焼点またはアーク点火の結果として、例えば1000℃への局所的であるが極端な過熱が伝熱体層14の領域に生じると、センサー層16が適正に調整されている場合には、その全体としての抵抗が、正の温度係数の場合に支配的になるその直列接続特性のために増大し、そのため、この抵抗の増大を測定装置18によって確実に検出できる。
【0034】
センサー要素44とセンサー層16と測定装置18と制御器20とは、合同して温度監視装置を形成するが、この温度監視装置は、次の3つの状態、すなわち、正常運転、可逆的な機能不全および非可逆的な機能不全を識別して、それを信号46として報告する能力を有する。例えば、センサー要素44が、例えば150℃までの範囲の正常な温度を報告する場合は、制御器は、正常な運転を示し、対応する信号46を伝送する。例えば、センサー要素44が、180℃への許容されない温度上昇を報告すると、制御器は、可逆的な機能不全を示し、対応する信号46を伝送するであろう。このような可逆的な機能不全は、水または液体加温の場合には、例えば液体の欠乏または不流動によって生じる可能性がある。このような場合には、制御器20は、一時的に伝熱体層14を遮断するか、あるいは少なくとも熱出力を低減するであろう。センサー要素44が、再度正常な温度を報告すると、通常、熱出力を再度増大させることができる。センサー要素44が現在何を報告しているかとは無関係に、測定装置18が、センサー層16によって検出される伝熱体層14の領域内において一度だけでも極端な過熱を報告した場合は、制御器20は非可逆的な機能不全を示すことが望ましい。従って、測定装置18からの信号は、センサー要素44からの信号に優先することが望ましい。その理由は、伝熱体層14のどの領域における極端な局所的過熱も、センサー層44の装着位置においてはまだ効果を表していない可能性があるからである。しかし、伝熱体層14の領域におけるこのような極端な過熱は、例えば、くすぶり燃焼点または場合によっては電気アークの発生を意味するであろう。このような場合には、恒久的な損傷を想定しなければならないので、安全上の理由から、加熱装置を再度作動させるべきではなく、最初に修理または交換をするべきである。このため、このような場合には、制御器20は、非可逆的な機能不全を示す適切な信号46を発生して、作動の更新は防止されるであろう。制御器20は、監視装置に専用配置する必要はない。例えば、制御器20が全車両ヒータの運転を制御または調節すること、あるいは、監視装置にとって決定的に重要な機能を、いずれにせよ車両に設けられる制御器20によって遂行することを想定することができる。
【0035】
図2は、車両ヒータ10の第2実施形態を部分的に斜視図として表す概略図であって、同時に監視方法を表現している。
【0036】
この実施形態においても、伝熱体層14を、熱交換器12によって形成される車両ヒータ10の本体の上に直接溶射する。しかし、
図2の車両ヒータは次の点で
図1の車両ヒータと異なっている。すなわち、この実施形態においては、センサー層16が3つの構成要素を含むという点で異なっている。すなわち、この場合、加熱伝熱体としての機能に加えて、同時にセンサー層16の一部分である伝熱体層14と、伝熱体層14の上に熱溶射によって溶射される層22であって、負の温度係数を有する層22と、層22に成膜される導電接触層24とを含む。伝熱体層14の領域内のいずれかの位置における非可逆的な機能不全によって、例えば1000℃への極端な過熱が生じると、その結果として、負の温度係数を有する層22が適正に調整されている場合には、その全体としての抵抗または全体としてのインピーダンスが、負の温度係数の場合に支配的になるその並列回路特性のために大幅に減少するであろう。これは、測定装置18によって確実に検出できる。これを実現するため、この場合、測定装置18は、破線によって示すように、追加的に接触層として機能する伝熱体層14と、負の温度係数を有する層22の上部に設けられる接触層24との間に接続される。この方法によって、測定装置18は、
図1の実施形態に関連して説明した場合と同様に、非可逆的な機能不全を確実に検出することができ、制御器20に対応する信号を供給することができる。
【0037】
図3は、車両ヒータの第3実施形態の部分的な断面を表す概略図であって、同時に監視方法を表現している。
【0038】
図3の実施形態は、熱交換器10が、この場合、導電材料、特にアルミニウムから構成されるという点で、
図2による実施形態と異なっている。従って、伝熱体層14は、この実施形態においては、第1絶縁層26と、実際の加熱層28と、第2絶縁層30とに細分化される。伝熱体層のすべての3つの構成要素を熱溶射法によって溶射することが望ましい。この表現に関連して、符号14によってまとめて指示される伝熱体層の上部に、符号16によって集合的に指示されるセンサー層が設けられる。このセンサー層は、同様に熱溶射法によって溶射され、かつ、この実施形態においては同様に3つの構成要素を含む。第2絶縁層30の直接上部に、第1導電接触層32があり、その上に、負の温度係数を有する材料の層34を溶射した。この層34は、特に、本明細書の一般的な記述部分において負の温度係数を有する層用として列挙した材料の1つ−これに限定するわけではない−から構成することができる。負の温度係数を有する層34のすぐ上に、第2の上部導電接触層36を溶射した。例えば、くすぶり燃焼点は局所過熱をもたらすが、この局所過熱は、非常に高温度であるので、
図2に示す測定装置18によって上部接触層36と下部接触層32との間の測定信号を検出することによって検出できる。
図3においては、さらに、導電性のガス流路38が、実際の加熱層28において生じるアーク点火の場合に形成されるものとして表現されている。このガス流路38は、本体と反対の伝熱体層14の側で、他の層に進入または貫入し、負の温度係数を有する層34を貫通する電流、具体的にはその表面法線42の方向の電流を生じさせる。この電流も、下部接触層32および上部接触層36の間に接続される測定装置によって検出できる。
【0039】
図4は、車両ヒータの第4実施形態の部分的な断面を表す概略図であって、同時に監視方法を表現している。
【0040】
図4に示す実施形態は、センサー層16が、
図3に示す負の温度係数を有する層34の代わりに、絶縁層40を含むという点で、
図3による実施形態と異なっている。このように簡略化された構成によっても、下部接触層32および上部接触層36の間に接続される測定装置(
図4には示されていない)を用いて、アーク点火によって惹起されるガス流路38を確実に検出することが可能である。そのような場合には、ガス流路38が絶縁層40に進入するからである。特に、本体12が非導電性の本体である場合には、絶縁層26を省略できる可能性がある。それとは別に、下部接触層32および上部絶縁層30も場合によっては省略することができる。この場合、測定信号は、実際の加熱層28と、上部接触層36との間で検出される。
【0041】
図5は、車両ヒータの第5実施形態を部分的に斜視図として表す概略図であって、同時に監視方法を表現する概略図である。
【0042】
図5に示す実施形態は、大部分、
図1による実施形態と合致しているので、
図1に基づいて説明した構成要素について再度説明はしない。
図5の実施形態によれば、温度監視装置16、18、20、44、48が、ソフトウェアによってプログラム可能または操作可能な制御器20と、ソフトウェアとは無関係に作動する切り換え要素48とを含むことが想定される。この切り換え要素48は、本発明に従って識別されるべき少なくとも1つの機能不全が発生した場合に、ソフトウェアとは無関係に緊急手段を遂行するように構成される。このような緊急手段は、特に、熱出力の低減とすることができる。すなわち、例えば、伝熱体層14への電力供給を、この切り換え要素の間に配置されるトランジスタスイッチまたは他の半導体スイッチ(図示されていない)を開くことによって完全にまたは部分的に中断することができる。切り換え要素48は、例えば1つ以上の演算増幅器を含むことができるが、この演算増幅器は、少なくとも本発明に従って識別されるべき状態を検出できるようにするために、センサーによって供給される測定値または検出電圧を、基準電圧源が供給する値または電圧と比較する目的のために設けられるものである。これは、
図5に模式的にのみ示される切り換え要素48の関連する入力信号によって示される。この実施形態においては、切り換え要素48は、さらに、機能不全が生じた場合に、制御器20に信号(例えば特定電圧値)を供給することができ、その結果、制御器20は、本発明によれば好ましい特定する機能を実行できる。この方法によって、生起した非可逆的な機能不全が制御器20によっては検出されず、切り換え要素48によって検出されたとしても、最後に報告された状態または出現した状態を、作動の更新、すなわち車両ヒータの新しい運転サイクルに先立って回復することができる。その際、非可逆的な機能不全の場合には、交換または修理が完了するまで車両ヒータを恒久的に遮断した状態のままにしておくように、作動の更新は防止されるであろう。対応する信号を切り換え要素48から制御器20に伝送する能力は、
図5の関連する単線によって指示される。切り換え要素48は、制御器20によって、あるいは、
図1の実施形態における測定装置18によっても遂行される機能を、冗長的に、あるいは、専用としてのいずれかで供給することができる。いずれにしても、切り換え要素48は、特に(高度に)安全に関わる機能にとって望ましい場合があるソフトウェアからのある種の独立性を提供する。
【0043】
前記のように、各センサー層16は(および、好ましくは本明細書において言及する他の層も)、熱溶射法によって本体12に成膜することが望ましい。しかし、各センサー層16を別個の要素として製造し、続いて、熱伝導膜を用いて、例えば、締結、接着または熱接合することによって、伝熱体層14の上に固定する方式も、本発明の範囲内において想定できる。センサーまたはセンサー層16を別個の要素として製造すると、当然ながら、熱に敏感な本体の場合にも、センサー層16を作製するために、通常の焼き付け法、あるいは、高溶融点材料および/または溶射不可能材料を使用できる。
【0044】
上記の絶縁層26、30および40は、例えば酸化アルミニウムの層とすることができ、一方、伝熱体層14または実際の加熱層28は、例えばニッケル・クロム合金の層によって実現することができる。接触層32、36としては、例えば銅の層を用いることができ、負の温度係数を有する層34としては、本明細書の一般的な記述部分においてすでに言及した材料以外に、例えば、酸化クロムをドープした酸化チタンの層も想定できる。
【0045】
以上の記述と、図面と、請求項とにおいて開示した特徴は、個別的にも、かつ任意の組合せにおいても、本発明を実現するために重要であり得る。
【符号の説明】
【0046】
10 車両ヒータ
12 本体/熱交換器
14 伝熱体層
16 センサー層
18 測定装置
20 制御器
22 負の温度係数を有する層
24 接触層
26 第1絶縁層
28 実際の加熱層
30 第2絶縁層
32 第1接触層
34 負の温度係数を有する材料
36 第2接触層
38 場合によって電気アークにより惹起されるガス流路
40 絶縁層
42 センサー層の表面法線
44 局所的な温度を検出するセンサー要素
46 状態を指示する信号
48 切り換え要素
【国際調査報告】