特表2015-511382(P2015-511382A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2015511382-補強された金属箔電極 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-511382(P2015-511382A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(54)【発明の名称】補強された金属箔電極
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/02 20060101AFI20150320BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20150320BHJP
   H01M 4/80 20060101ALI20150320BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20150320BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20150320BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20150320BHJP
【FI】
   H01M4/02 Z
   H01M4/04 Z
   H01M4/80 C
   H01M4/66 A
   H01M10/052
   H01M4/134
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-557117(P2014-557117)
(86)(22)【出願日】2012年11月1日
(85)【翻訳文提出日】2014年10月10日
(86)【国際出願番号】GB2012052728
(87)【国際公開番号】WO2013121164
(87)【国際公開日】20130822
(31)【優先権主張番号】61/600,048
(32)【優先日】2012年2月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12156009.8
(32)【優先日】2012年2月17日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】507030472
【氏名又は名称】オクシス・エナジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】コロスニーツィン,ウラディーミル
(72)【発明者】
【氏名】カラセーワ,エレーナ
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AA04
5H017AS10
5H017CC25
5H017DD08
5H017EE07
5H017EE09
5H017HH03
5H017HH05
5H017HH06
5H029AJ03
5H029AJ11
5H029AJ14
5H029AK05
5H029AL12
5H029AL13
5H029AM00
5H029CJ03
5H029CJ04
5H029CJ05
5H029DJ07
5H029DJ08
5H029DJ13
5H029EJ12
5H029HJ04
5H029HJ08
5H029HJ12
5H050AA08
5H050AA14
5H050AA19
5H050BA05
5H050BA15
5H050BA16
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA10
5H050CA11
5H050CA14
5H050CB12
5H050DA03
5H050DA04
5H050DA12
5H050EA23
5H050FA02
5H050FA09
5H050FA13
5H050FA18
5H050GA03
5H050GA04
5H050GA07
5H050HA04
5H050HA08
5H050HA12
(57)【要約】
i)多孔性基材から形成された補強層と、ii)リチウムおよび/またはナトリウムを含んで形成された金属箔の第1の層および第2の層とを含み、前記補強層は、前記第1の金属箔層と第2の金属箔層との間に設けられ、かつ共に接合(好ましくは圧接)されて、100ミクロン以下の厚みを有するコンポジット構造体を形成している、金属箔電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)多孔性基材から形成された補強層と、
ii)リチウムおよび/またはナトリウムを含んで形成された金属箔の第1の層および第2の層とを含む金属箔電極であって、
前記補強層は、前記第1の金属箔層と前記第2の金属箔層との間に設けられ、かつ共に接合(好ましくは圧接)されて、100ミクロン以下の厚みを有するコンポジット構造体を形成している、金属箔電極。
【請求項2】
前記コンポジット構造体が60ミクロン以下の厚みを有する、請求項1に記載の金属箔電極。
【請求項3】
前記金属箔が金属リチウムから形成されてなる、請求項1または2に記載の金属箔電極。
【請求項4】
前記多孔性基材が非導電性材料から形成されてなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属箔。
【請求項5】
前記多孔性基材が繊維性材料から形成されてなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属箔。
【請求項6】
前記繊維性材料がポリマー繊維から形成される材料である、請求項5に記載の金属箔。
【請求項7】
前記多孔性基材が不織布、織布およびポリマーメッシュの少なくとも1つから選択される材料から形成されてなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属箔電極。
【請求項8】
前記不織布または織布が金属を含まない、請求項7に記載の金属箔電極。
【請求項9】
前記多孔性基材がポリプロピレン不織布から形成されてなる、請求項7または8に記載の金属箔電極。
【請求項10】
前記補強層が6g/cm未満の密度を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の金属箔電極。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属箔電極を含む電気化学電池。
【請求項12】
陰極としての前記金属箔電極と、硫黄含有陽極と、電解質とを含むリチウム硫黄電池である、請求項11に記載の電気化学電池。
【請求項13】
可逆的電気化学電池である、請求項11または12に記載の電気化学電池。
【請求項14】
多孔性基材から形成された補強層を準備するステップと、
リチウムおよび/またはナトリウムから形成された金属箔の第1の層および第2の層を準備するステップと、
前記金属箔の第1の層と第2の層との間に、前記補強層を設けるステップと、
圧力を印加して、前記の各層を共に接合してコンポジット構造体を形成する圧接ステップとを含む、金属箔電極を形成する方法であって、
前記コンポジット構造体の厚みは、前記補強層、前記金属箔の第1の層、および前記金属箔の第2の層の初期厚みの合計よりも少なくとも25%少ない、方法。
【請求項15】
前記金属箔電極が請求項1〜10のいずれか1項に記載の電極である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記コンポジット構造体を切断するステップをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記コンポジット構造体の厚みが、前記補強層、前記金属箔の第1の層、および前記金属箔の第2の層の初期厚みの合計よりも少なくとも50%少ない、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記コンポジット構造体の厚みが、前記補強層、前記金属箔の第1の層、および前記金属箔の第2の層の初期厚みの合計よりも少なくとも75%少ない、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コンポジット構造体の厚みが、前記金属箔の第1の層、および、前記金属箔の第2の層の初期厚みの合計よりも少ない、請求項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記コンポジット構造体の厚みが、前記金属箔の第1の層、または、前記金属箔の第2の層の初期厚みよりも少ない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
電気化学電池の陰極として前記電極を使用するステップをさらに含む、請求項14〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記圧接ステップが、前記した層を共にカレンダー加工してコンポジット構造体を形成することによって達成される、請求項14〜21のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属箔電極に関し、特に、これに限定はされないがリチウム箔電極に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば金属リチウム等の金属箔は、一次電気化学電池および二次電気化学電池の両方に用いられてきた。たとえばリチウム硫黄電池においては、金属リチウム箔が電池の陰極として用いられる。
【0003】
たとえばリチウム硫黄電池の比エネルギーを改善するためには、その全体の質量を低減することが望ましい。理論的には、これは電極の厚みを低減することによって達成される。それは、充電と放電の間の電気化学反応は電極の表面のみで起こるからである。しかし薄いリチウム箔は極めて柔軟で、容易に曲がるか、または裂けるか、あるいはその両方である。使用のためにそのような箔を切断すると、箔はまた、切断処理に用いる刃に貼り付く傾向がある。その結果として、薄いリチウム箔は取扱いおよび製造が極めて困難である。実際に、市販のリチウム箔の典型的な厚みは100μm以上である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
米国特許第3721113号により、金属リチウムを固体ポリマー組成物の平滑な表面の間で圧縮しながら冷間圧延することによって、厚み400μm未満の薄い連続リチウムストリップを圧延するためのプロセスが提供されることが知られている。厚みは約40μmまでに薄くできると述べられているが、これは実証されていない。固体ポリマー組成物は一対のローラーの表面の形態であってもよく、リチウムのストリップを挟む一対のポリマーシートであってもよい。しかし、冷間圧延の後でポリマーシートはリチウム箔から剥離され、その後の取扱いを改善するための支持体としての作用は意図されていないことを認識することが重要である。したがって、この文献に開示された金属リチウム箔は薄いものであり得るとしても、これらはいったん製造されると取扱いが困難である。
【0005】
米国特許出願公開第2009/0246626号には、リチウムイオンの源として金属リチウム箔を用いるリチウムイオン電池が記載されている。特に米国特許出願公開第2009/0246626号には炭素から形成された陽極および陰極を含むリチウムイオン電池が記載されている。電池を初期化するため、陰極は最初に金属リチウム箔からのリチウムイオンでドープされる。具体的には、金属リチウム箔は電解質の存在下に陰極と電気的に接触させられる。暫くすると金属リチウム箔は完全に溶解してリチウムイオンを生成し、これが陰極にインターカレートまたはドープされる。したがって、いったん溶解すれば金属箔は電池の充電および放電の化学には寄与しない。
【0006】
米国特許出願公開第2009/0246626号は薄いリチウム箔の取扱いに固有の困難さを認識しており、リチウム箔に接着または圧接された紙または樹脂不織布から形成された支持部材を一方または両方の側に有する金属リチウム箔を提案している。しかしこの文献はリチウム箔の厚みを低減することには触れていない。その代り、この文献は、厚みは限定的なものではなく、電池にドープされるリチウムイオンの量および金属リチウム箔の面積によって決まると述べている。積み重ねられた一連の電極にインターカレートまたはドープするためにリチウム箔の単一のシートが用いられるので、50〜300ミクロンの厚みが好ましいとされている。支持部材の厚みは好ましくは20〜100ミクロンであるとされているが、この文献は接合された構造体の厚みについては何ら開示していない。実際上、圧接が述べられているが、これは必ずしもしっかりした固定をもたらさず、その後の切断および取扱いの間に箔と支持部材との位置合わせを誤らないことを保証するのに充分であるにすぎない。コンポジット構造体を用いることによって何らかの厚みの低減が達成できるという示唆はない。実際、支持体の付加によって、得られるコンポジットの厚みが増大することが予想されよう。
【0007】
欧州特許出願公開第1865520号には、金属リチウムのシートをステンレススチールの網に接着することによって形成されたリチウム電極が記載されている。この先行技術文献では、金属リチウムのシートを電流コレクタのいずれかの側に適用する可能性について述べられている。しかし、欧州特許出願公開第1865520号は、コンポジットを圧延またはその他の加圧および延伸することによってその全体の厚みを実質的に低減させるステップについては述べていない。実際、実施例には金属リチウムの単一のシートをステンレススチール網に接着することによって形成された厚み148μmの電極が記載されている。欧州特許出願公開第1865520号に述べられているリチウム電極は電気化学電池の作用陰極としてではなく、リチウムイオンを可逆的にインターカレートするための、たとえばグラファイトから形成された陰極のためのリチウムイオン源として使用されているにすぎないことにも注目されたい。さらに、ステンレススチール網は電流コレクタとして用いられているので、これは必然的に導電性である。したがって、電解質に曝されると、これは樹枝状結晶形成の中心になり得る。これは一般には望ましくない。
【0008】
米国特許出願公開第2004/0072066号には、たとえば蒸着によって金属リチウム層を多孔性ポリマーフィルム上に堆積させることによって形成されたリチウム電極が記載されている。多孔性ポリマーフィルムはリチウム電極の電解質に面する表面上に、およびそれと一体化して存在している。リチウムイオン導電性を有するが電解質には非浸透性の保護コーティング層を、多孔性ポリマーフィルムと金属リチウム層との間に設けてもよい。米国特許出願公開第2004/0072066号の目的は、金属リチウム電極の表面の上に層を設けることである。
【0009】
上記に鑑みて、本発明の目的の1つは電気化学電池の比エネルギーを改善することである。
【0010】
金属箔電極の厚みを低減することも、本発明の目的の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様によれば、本発明は金属箔電極を提供し、該金属箔電極は、
i)多孔性基材から形成された補強層と、
ii)リチウムおよび/またはナトリウムを含む金属箔の第1の層および第2の層とを含み、
前記補強層は、前記第1の金属箔層と前記第2の金属箔層との間に設けられ、かつ共に圧接されて、100ミクロン以下(たとえば100ミクロン未満)の厚みを有するコンポジット構造体を形成している。
【0012】
好ましくは、前記多孔性基材は金属を含まない。好ましくは、前記多孔性基材は非導電性材料から形成されている。前記多孔性基材は、繊維性非導電性材料等の繊維性材料から形成され得る。好ましい実施形態においては、前記繊維性材料はポリマー繊維から形成された材料である。
【0013】
好ましくは、前記金属箔電極の前記コンポジット構造体は60ミクロン以下、より好ましくは50ミクロン以下の厚みを有する。
【0014】
好ましくは、前記金属箔は、金属リチウム、または金属ナトリウム、または金属リチウムもしくは金属ナトリウムを含む合金から形成される。金属リチウムまたはリチウム合金が好ましい。好適なリチウム合金の例としては、リチウム−スズ合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−銀合金、リチウム−鉛合金、リチウム−マンガン合金および/またはリチウム−カドミウム合金が挙げられる。
【0015】
前記電極は接続端子を含み得る。前記電極は実質的に、コンポジット構造体と、任意選択的に接続端子とから構成され得る。
【0016】
第2の態様によれば、本発明は金属箔電極を形成する方法を提供し、該方法は、
多孔性基材から形成された補強層を準備するステップと、
リチウムおよび/またはナトリウムを含む金属箔の第1の層および第2の層とを準備するステップと、
前記金属箔の第1の層と第2の層との間に、前記補強層を設けるステップと、
圧力を印加して、前記の各層を共に接合してコンポジット構造体を形成するステップとを含み、
前記コンポジット構造体の厚みは、前記補強層、前記金属箔の第1の層、および前記金属箔の第2の層の初期厚みの合計よりも少なくとも25%少ない。
【0017】
前記コンポジット構造体の厚みは、好ましくは前記補強層、前記金属箔の第1の層、および前記金属箔の第2の層の初期厚みの合計よりも少なくとも50%少ない。
【0018】
1つの実施形態においては、前記コンポジット構造体の厚みは、前記金属箔の第1の層、および、前記金属箔の第2の層の初期厚みの合計よりも少ない。別の実施形態においては、前記コンポジット構造体の厚みは、前記金属箔の第1の層、または、前記金属箔の第2の層の初期厚みよりも少ない。
【0019】
いったん接合すれば、前記コンポジット構造体は金属箔電極として使用するために切断され得る。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述のように、金属箔電極は圧接によって形成され得る。「圧接」という用語は、接合が、たとえば接着剤を使用せずに圧力のみによって形成される(即ち、接着剤の非存在下に接合される)、接合要素間の直接接合であることを意味する。好適な圧力の範囲は100N〜4000kN、好ましくは1kN〜1000kN、より好ましくは10kN〜100kNである。圧接によって形成されたコンポジットは一般に、たとえば接着層がないことによって、他の接合手法によって形成されたものと区別される。
【0021】
本発明の1つの実施形態においては、補強層と第1および第2の金属箔層とを一緒に接合し、圧縮してコンポジット構造体を形成するために、圧力が印加される。ここでコンポジット構造体の厚みは、補強層、金属箔の第1の層、および金属箔の第2の層の初期厚みの合計未満である。したがって、圧接ステップは層を一緒に接合するのみでなく、構造体全体の厚みを低減させる(好ましくは実質的に低減させる)。補強層は、接合ステップの間に構造体の構造的一体性を維持することを助ける。また補強層は、構造体全体に強度を付加することによって、いったん形成されたコンポジットの取扱い性を改善する。したがって、得られる金属箔電極は比較的容易に取り扱うのに充分な剛性を有しており、箔が折り畳まれ、もしくはそれ自体の上にカールし、破れ、または裂けるリスクが低減される。
【0022】
好ましくは、圧接ステップによって多孔性基材の孔の中に金属が流れ込み、それにより補強層の孔を通して金属−金属接触が生じる。この金属−金属接触によって、補強基材を横切る、したがってコンポジット構造体を横切る、接合の性質が改善される。
【0023】
圧接ステップは単純な加圧によって、または好ましくはカレンダー加工によって達成され得る。好ましい実施形態においては、上記した層はローラーの間で共に1回または数回、たとえば2〜10回、好ましくは3〜6回、より好ましくは4〜5回、加圧される。有利には、補強層における目打ちによって補強層が金属箔層とともに引き延ばされることが可能になり、それとともにこれらが圧縮され、薄くなる。それぞれの金属箔層が圧縮され、薄くなるとともに、どちらかと言えばパン生地がローラーにかけられたときのように、その表面積が増大することが認識されよう。補強層ならびに第1および第2の金属箔層は、好ましくは単一のステップで一緒にカレンダー加工され、コンポジット構造体が形成される。得られるコンポジット構造体は、次いで所望によりさらに1回または数回カレンダー加工されてもよい。
【0024】
カレンダー加工ステップが用いられる場合には、ローラーとしては典型的にはリチウムまたはナトリウムとの接着性が低いものが選択される。ローラーはガラス、セラミック、花崗岩、玄武岩、碧玉またはその他の鉱物から作られ得る。ロールに印加される圧力はその直径に依存することになる。
【0025】
ローラーをライニングしてコンポジットのローラーへの貼り付きを防ぐために、ポリプロピレン等の材料のシートが用いられ得る。
【0026】
圧接ステップは、室温、または、たとえば180℃までの高温で行なわれ得る。好適な温度は20〜160℃、好ましくは60〜120℃の範囲である。金属箔を加熱すれば、これは軟化し、圧接ステップの間により容易に流動することができる。これにより金属が補強層/補強基材の孔により容易に流れ込むことができ、補強層/補強基材を横切る金属−金属の接触が可能になり、コンポジット構造体を横切る接合が強化される。圧接ステップは金属箔の融点よりも好ましくは50℃未満低い温度で、好ましくは30℃未満低い温度で、たとえば20℃未満低い温度で行なわれる。金属箔が金属リチウム箔の場合は、圧接ステップは180℃までの温度で、たとえば130〜180℃の温度で、好ましくは160〜180℃の温度で行なわれ得る。金属箔が金属ナトリウム箔の場合は、圧接ステップは98℃までの温度で、たとえば40〜98℃の温度で、好ましくは60〜98℃の温度で行なわれ得る。圧接ステップは有利には水蒸気が低減された雰囲気、好ましくは乾燥雰囲気および/または不活性雰囲気で行なわれる。
【0027】
上記した層を接合するには、100N〜4000kN、好ましくは1kN〜1000kN、またはより好ましくは10kN〜100kNの圧力が印加される。
【0028】
有利には、補強層は、第1の金属箔層および第2の金属箔層に隣接し、これらと直接接触している。好ましくは、これらの層は共に圧接され、それにより補強層の孔または目打ちは第1および/または第2の金属箔層からの金属によって少なくとも部分的に満たされる。したがって、第1の金属箔層と第2の金属箔層とは孔または目打ちを通じて互いに接触し得る。有利には、これによって層間の接合が強化され、一体化された構造体が得られる。
【0029】
上述のように、金属箔層はリチウムおよび/またはナトリウム(たとえば金属または合金)から形成され得る。これらの金属/合金は好ましくは可塑性であり、印加された圧力の下で塑性変形することができる。好ましくは、金属リチウムまたはリチウム合金が用いられる。
【0030】
金属箔層は5〜500ミクロン、好ましくは50〜400ミクロン、より好ましくは80〜300ミクロン、たとえば100〜200ミクロンの初期厚みを有し得る。いったんコンポジットの一部分として接合すれば、それぞれの金属箔層は、その初期厚みよりもたとえば少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%少ない厚みを有し得る。例示的な厚みの範囲は5〜60ミクロン、たとえば20〜50ミクロンである。補強層のいずれかの側に設けられた金属箔層は同一の初期厚みを有していてもよいし、有さなくてもよい。
【0031】
補強層は任意の好適な多孔性基材から形成され得る。補強層は、実質的に多孔性基材からなり得るか、または排他的に多孔性基材のみからなり得る。基材は本質的に多孔性の材料から形成され得る。代替としては、または付加的には、孔はたとえば機械的手段によって基材に目打ちを施すことによって基材に導入され得る。好適な基材は化学的に不活性であり、好ましくは圧力下で塑性的に変形することができる。このことは重要である。それは、本発明の電極は2枚の金属箔シートの間に補強層を設け、次いで圧力を印加して、得られたコンポジットをたとえばカレンダー加工によって延伸することによって形成されるからである。この延伸ステップの間、およびその後で、補強層がその構造的一体性および機械的強度を保つことが重要である。有利には、補強層は繊維性材料(即ち、繊維から形成された材料)から形成される。繊維性材料は織られた、または織られていない材料であってよい。繊維性材料は好ましくはポリマー繊維等の非導電性材料の繊維から形成される。有利には、繊維はその一体性および機械的強度を保ちながら圧力下で塑性的に変形する。例としては不織布、織布、およびメッシュ(たとえばポリマーメッシュ)が挙げられる。好適な布帛としては、ポリアルキレン布帛、ポリアミド(カプロン)、およびナイロン等のポリマー布帛が挙げられる。ポリプロピレン布帛が好ましい。ポリプロピレン不織物が最も好ましい。非金属および/または非導電性の補強層が特に好ましい。いかなる理論にも縛られることを望むものではないが、これはどのような金属または導電性の補強材料も、電池のサイクルの間、電解質に曝され、樹枝状成長の中心になることがあるからである。
【0032】
好ましい実施形態においては、補強層は、6g/cm未満、好ましくは4g/cm未満、より好ましくは2g/cm未満、さらにより好ましくは1.5g/cm未満の密度を有する材料を有し、またはそのような材料から形成され得る。1つの実施形態においては、補強層は少なくとも0.5g/cm、好ましくは少なくとも0.7g/cm、より好ましくは少なくとも0.8g/cm、さらにより好ましくは少なくとも0.9g/cmの密度を有する材料を有し、またはそのような材料から形成され得る。好ましい実施形態においては、補強層は、1〜1.2g/cmの密度を有する。比較的低い密度を有する材料を用いることによって、電池の全体の質量が減少し、電池の比エネルギーが改善され得る。
【0033】
補強層は好ましくは非導電体である。好ましくは、補強層は、20℃で少なくなくとも100オーム・m、好ましくは少なくとも1×10オーム・m、より好ましくは少なくとも1×1010オーム・m、さらにより好ましくは少なくとも1×1012オーム・m、さらにより好ましくは少なくとも1×1014オーム・mの20℃での電気抵抗(オーム・m)を有する材料を有し、またはそのような材料から形成される。たとえば、補強層は20℃で少なくとも1×1014、好ましくは少なくとも1×1016オーム・mの電気抵抗を有する材料を有し、またはそのような材料から形成される。
【0034】
基材(補強層)は1〜300ミクロン、好ましくは100〜200ミクロンの初期平均寸法を有する孔(または目打ち)を有し得る。これらの孔は、典型的にはたとえば基材が特にカレンダー加工によって圧接される際に、その寸法が増加する。
【0035】
補強層は5〜500ミクロン、好ましくは50〜400ミクロン、より好ましくは80〜300ミクロン、たとえば100〜200ミクロンの初期厚みを有し得る。いったんコンポジットの一部分として接合すれば、補強層は、その初期厚みよりもたとえば少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%少ない厚みを有し得る。例示的な厚みの範囲は5〜60ミクロン、たとえば20〜50ミクロンである。
【0036】
補強層ならびに第1の金属箔層および第2の金属箔層の初期厚みの合計は50〜1500ミクロンであり、好ましくは100〜800ミクロンであり得る。いったん接合すれば、コンポジットは100ミクロン未満、たとえば20〜60ミクロンの厚みを有し得る。1つの実施形態においては、補強層ならびに第1の金属箔層および第2の金属箔層の初期厚みの合計は200ミクロンであり、いったん接合すれば、これは50ミクロンに減少する。好ましくは、接合されたコンポジットの厚みは30〜80ミクロン、より好ましくは40〜60ミクロンである。
【0037】
電池の組み立ての間に、セパレータが金属箔電極の片面または両面に接触して設けられ得る。使用する際には、セパレータは好ましくは金属箔電極の表面に接合されない(たとえば圧接されない)。1つの実施形態においては、陰極と、陽極と、それらの間に位置するセパレータとを含む電極アセンブリが提供され、ここで陰極は上述の金属箔電極である。陰極と陽極の間には電解質が存在し得る。セパレータは陰極および/または陽極と物理的に接触し得る。しかし、これは好ましくは金属箔電極の表面に接合(たとえば圧接)はされない。陰極(複数可)と陽極(複数可)との間に電位差を印加するためにアクセスすることができる電極の接続端子とともに、電極アセンブリまたは電極アセンブリの積み重ねをケーシングの中にシールしてもよい。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、上述の金属箔電極を含む電気化学電池が提供される。
【0039】
電気化学電池は一次電池であってもよい。しかし好ましくは、電気化学電池は二次電池である。
【0040】
電気化学電池は電池の陰極として金属箔電極を含み得る。電気化学電池が2つ以上の陰極を含む場合、電池の全ての陰極が金属箔電極から形成されていてもよい。
【0041】
電気化学電池は電解質中に少なくとも1つの陰極と少なくとも1つの陽極とを含み得る。陰極は好ましくは上述の金属箔電極である。電池は複数の陰極および複数の陽極を含み得る。好ましくは電池の全ての陰極は上述の金属箔電極から形成される。陰極と陽極との間にセパレータを設けてもよい。セパレータは陰極および/または陽極と接触し得るが、好ましくは陰極および/または陽極に接合(たとえば圧接)されない。電池を充電および/または放電させるためにアクセスすることができる、陰極の少なくとも1つおよび陽極の少なくとも1つの端子とともに、電池をハウジングの中にシールしてもよい。
【0042】
使用する際には、セパレータは電気絶縁性材料から形成され得る。例としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ガラス織布等が挙げられる。
【0043】
金属箔電極は任意の好適なリチウムバッテリにおいて用いられる電極であってよい。好適なリチウムバッテリの例としては、遷移金属の酸化物、硫化物またはハロゲン化物等の遷移金属化合物系の陽極を有するものが挙げられる。具体的な例としてはLi−MnO電池およびLi−FeS電池が挙げられる。その他の例としては陽極として二酸化硫黄、塩化チオニル、塩化スルフリル、ハロゲン(たとえばヨウ素)および一フッ化炭素を用いたリチウム電池が挙げられる。具体的な例としてはLi−SO電池、Li−SOCl電池、Li−SOCl電池、Li−(CF)電池およびLi−I電池が挙げられる。1つの実施形態においては、金属箔電極はリチウムイオン電池においては用いられない。好ましい実施形態においては、電気化学電池は陰極としての金属箔電極と、硫黄含有陽極と、電解質とを含むリチウム硫黄電池である。硫黄含有電極は硫黄を含むスラリーを含んでいてもよい。スラリーは金属板または金属箔等の導電性プレートの上に堆積され得る。好適なプレートまたは箔はアルミニウムから形成され得る。
【0044】
スラリーは、硫黄元素を炭素支持体等の支持体と混合することによって形成され得る。バインダー、たとえばポリマー性のバインダーも存在し得る。好適なバインダーは、たとえばポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、メタクリレート(たとえばUV硬化性メタクリレート)、およびジビニルエステル(たとえば熱硬化性ジビニルエステル)の少なくとも1つから形成され得る。
【0045】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通して、「含む」(「comprise」および「contain」)という語およびそれらの変化形は「含むがそれだけに限らない」ことを意味し、その他の部分、付加要素、構成要素、整数またはステップを除外することを意図せず、また除外しない。本明細書の記載および特許請求の範囲を通して、文脈によってそれ以外が要求されない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が用いられる場合には、文脈によってそれ以外が要求されない限り、明細書は単数形と同様に複数形を意図していると理解されたい。
【0046】
本発明の特定の態様、実施形態または実施例に関連して記載した特徴、各部、特性、化合物、化学的な部分または基は、それらと不適合でない限り、本明細書に記載したその他のいずれの態様、実施形態または実施例にも適用可能であると理解されたい。本明細書(添付した特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示した全ての特徴、および/または本明細書に開示したいずれの方法またはプロセスの全てのステップも、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本発明は前記の実施形態のいずれの詳細にも制限されない。本発明は本明細書(添付した特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示したいずれの新規の1つの特徴またはいずれの新規の組み合わせの特徴にも拡張され、または本明細書に開示したいずれの新規の1つの方法もしくはプロセスのステップ、またはいずれの新規の組み合わせの方法もしくはプロセスのステップにも、拡張される。
【0047】
読者の関心は、本出願に関連して本明細書と同時にまたはそれに先立って出願され、本明細書とともに公開されて公衆の閲覧に付される全ての文献および書類に向けられ、そのような文献および書類の内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【実施例】
【0048】
本実施例において、厚み60μmのLi箔シートを、厚み45μmの不織ポリプロピレン(PP)シートを用いて補強した。初期厚み220μmのLi/PP/Liコンポジットをポリプロピレンフィルムのシートの間に挟み、ロールプレス(DRM100/130、Durston、金属棒のセットを用いてロール間隔を調節した。ロール回転速度:2.04cm/s)上でスチールロールを用いて圧延した。Li/PP/Liコンポジットがスチールロールに貼り付かないよう、ポリプロピレンフィルムのシートを用いた。圧延条件および結果を以下の表1に示す。図1は圧延前後のコンポジットの写真である。
【0049】
【表1】
図1
【国際調査報告】