特表2015-511611(P2015-511611A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-511611永続的および半永続的な毛髪染色用途のためのヘアコンディショニング組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-511611(P2015-511611A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(54)【発明の名称】永続的および半永続的な毛髪染色用途のためのヘアコンディショニング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61Q 5/12 20060101AFI20150324BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20150324BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20150324BHJP
   A61K 8/97 20060101ALI20150324BHJP
   A61K 8/98 20060101ALI20150324BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20150324BHJP
【FI】
   A61Q5/12
   A61K8/64
   A61K8/34
   A61K8/97
   A61K8/98
   A61K8/365
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-502229(P2015-502229)
(86)(22)【出願日】2013年3月22日
(85)【翻訳文提出日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】EP2013056021
(87)【国際公開番号】WO2013143989
(87)【国際公開日】20131003
(31)【優先権主張番号】12161349.1
(32)【優先日】2012年3月26日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】514071130
【氏名又は名称】オーテーツェー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OTC GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダームス,ゲルト・ヘルベルト
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AC101
4C083AC121
4C083AC301
4C083AD411
4C083BB45
4C083BB53
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD41
(57)【要約】
この発明は、永続的および半永続的なヘアカラー用途のためのヘアコンディショニング組成物であって、ヘアコンディショニング組成物が、溶剤と、硫黄を含有する天然たんぱく質原料源からの水溶性オリゴペプチドと、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンと、多座配位子またはキレート剤と、オプションで酸化還元活性の無機または有機成分とを含むことを特徴とする、ヘアコンディショニング組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
永続的および半永続的なヘアカラー用途のためのヘアコンディショニング組成物であって、
ヘアコンディショニング組成物が、
a) 溶剤と、
b) 硫黄を含有する天然たんぱく質原料源からの水溶性オリゴペプチドと、
c) アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンと、
d) 多座配位子またはキレート剤と、オプションで
e) 酸化還元活性の無機または有機成分とを含むことを特徴とする、ヘアコンディショニング組成物。
【請求項2】
ヘアコンディショニング組成物は、E≦−10mVかつE≧−1000mVの範囲の負の酸化還元電位Eを呈することを特徴とする、請求項1に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項3】
ヘアコンディショニング組成物はさらに、第4級カチオン界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項4】
溶剤は、水、炭素原子数が1〜5のアルコール、プロピレングリコール、およびグリセリン、またはそれらの任意の混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項5】
ヘアコンディショニング組成物は、l%(w/w)以上10%(w/w)以下の水溶性オリゴペプチドを含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項6】
水溶性オリゴペプチドの分子量は、3000Da≦M≦7000Daの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項7】
水溶性オリゴペプチドの臨界ミセル濃度が2%以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項8】
硫黄を含有する天然たんぱく質原料源は、ひよこ豆、いんげん豆、平豆、リマ豆、白いんげん豆、大豆、大麦、玄米、ソバ、雑穀、オートミール、キノア、ライ麦、小麦胚芽、小麦、野生米、羊毛、羽、毛髪、またはつのから選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項9】
a) たんぱく質材料を水中で懸濁するステップと、
b) 水性たんぱく質懸濁液にキレート剤を添加するステップと、
c) 水性たんぱく質懸濁液にアルカリを添加するステップと、
d) 懸濁液を60℃以上の温度まで加熱するステップと、
e) 混合物のpHをpH2以上pH10以下の間で調節するステップと、
f) 混合物を濾過するステップとを含むアルカリ加水分解プロセスによって、オリゴペプチドを得ることができるということを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項10】
オリゴペプチドが、リン酸またはリン酸エステルの使用によって化学的に修飾されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項11】
ヘアコンディショニング組成物がさらに、毛髪染色剤、および/またはヘアコンディショニング成分、および/または美容用油、および/または界面活性剤、および/またはバッファーを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項12】
ヘアコンディショニング組成物が溶液の形態であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項13】
ヘアコンディショニング組成物がエマルジョン、懸濁液、またはゲルの形態であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項14】
毛髪染毛処置における、請求項1〜13のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物の使用。
【請求項15】
ヘアコンディショニング組成物が、染色プロセスの前に毛髪に直接添加されることを特徴とする、請求項14に記載のヘアコンディショニング組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、永続的および半永続的な毛髪染色用途のためのヘアコンディショニング組成物、ならびにそのようなヘアコンディショニング組成物の使用、および前記組成物を含むパーツのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
美容ケアにおいて毛髪を対象とするさまざまな処置によって毛髪が傷むことは、実生活や多くの出版物および特許から公知である。それらのヘアケア処置の中には、ブロードライ、半永続的または永続的な毛髪染色あるいは脱色、およびパーマが、しばしば見られる。それらの種類の処置は、化学的におよび物理的に毛髪構造を変化させ、それは毛髪の柔軟性の低下につながるかもしれず、枝毛または切れ毛を引き起こす。加えて、上述の毛髪処置の中には、毛髪の状態を限られた期間しか変化させないものもある。毛髪の成長自体が毛髪処置の効果の持続時間を制限するかもしれないことは明らかであるが、場合によっては、事前、合間、または事後のヘアケア処置を提供することが可能であり、より良好なおよび/またはより長持ちする結果につながる。
【0003】
処置によって生じる毛髪の損傷を克服するかまたは減少させ、意図された美容効果を延長する1つの可能な解決策は、処置におけるたんぱく質物質の使用であり、それは毛髪ケラチンと相互作用して、一種の保護または修復プロセスをもたらす。
【0004】
たとえば、好適な溶剤に溶解または分散された少なくとも1つのカチオン界面活性剤およびケラチン材料の分解派生物を含むヘアリンス組成物を開示するUS4,436,722によって、1つの解決策が与えられる。この分解派生物は、ケラチン材料の加水分解物、ケラチン材料の酸化によって得られた分解生成物のアルカリ塩、ケラチン材料の還元によって得られた分解生成物のチオール基の派生物のアルカリ塩、およびそれらの混合物から選択される要素である。
【0005】
別のアプローチが、人の毛髪、皮膚および爪用の美容用製剤に取入れることができる、立体障害のない正電荷を有するポリペプチドを使用するUS4,186,188によって例示されている。これらのポリペプチドは、たんぱく質のトリプシン触媒加水分解によって調製可能であり、分子量が約200〜約2,000Daのポリペプチドを提供する。
【0006】
さらに、US4,279,996は、1分子あたり少なくとも2つのメルカプト基を有し、2000〜20000Daの平均分子量を有する、水溶性ケラチン加水分解物を記載しており、それは、毛髪への美容用途にとって、特に毛髪固定剤として好適である。この加水分解物は、アルカリ性条件下で還元剤の水溶液中でケラチンを還元し、結果として生じる還元生成物に酵素加水分解を行なうことによって調製される。
【0007】
加えて、US4,423,032は、規定された量の2つの成分を含むヘアトリートメントを使用しており、それらの一方は、ケラチン材料の加水分解物、ケラチン材料の酸化によって得られた分解生成物のアルカリ塩、およびケラチン材料の還元によって得られた分解生成物のチオール基の派生物のアルカリ塩といった、ケラチン材料の少なくとも1つの分解派生物である。他方は、特定のタイプの少なくとも1つのシリコーン派生物である。
【0008】
プレシャンプータイプのヘアトリートメントがUS4,495,173によって開示されており、それは、ケラチン材料の加水分解物、ケラチン材料の酸化によって得られた分解生成物のアルカリ塩、およびケラチン材料の還元によって得られた分解生成物のチオール基の派生物のアルカリ塩から選択される、ケラチン材料の少なくとも1つの分解派生物を含み、少なくとも1つの分解派生物は、好適な溶剤に溶解または分散されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
にもかかわらず、上述のどの特許文献も、永続的および/または半永続的な毛髪染色用途に、多くの特別な利点、すなわち総処置期間の短縮、より均一な色分布、毛髪保護の強化、より良好な毛髪の光沢、つや、輝き、および毛髪染色耐久性を加える、ヘアケア組成物を開示できていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
従来技術の欠点を克服し、また、毛髪保護を組合わせて永続的および半永続的な毛髪染色用途の均一性、効率、および耐久性を高めるために、この発明は、ヘアコンディショニング組成物であって、組成物が、溶剤と、硫黄を含有する天然たんぱく質原料源からの水溶性オリゴペプチドと、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンと、多座配位子またはキレート剤と、オプションで酸化還元活性の無機または有機成分とを含むことを特徴とする、ヘアコンディショニング組成物を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明のヘアコンディショニング組成物で使用されるようなオリゴペプチドの水溶液の濃度の関数としての表面張力を示す図である。
図2A】従来の染色組成物を用いて処置された毛髪の拡大画像を示す図である。
図2B】この発明のヘアコンディショニング組成物と組合された着色組成物を用いた処置の後の毛髪を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施例の詳細な説明
驚くべきことに、水性環境におけるいくつかの活性成分の組合せを毛髪に適用すると、効果的な毛髪保護およびより良好でより長持ちする毛髪染色をもたらすことができる、ということがわかっている。この結果は、永続的および半永続的な染色用途のためのヘアコンディショニング組成物であって、ヘアコンディショニング組成物が、溶剤と、硫黄を含有する天然たんぱく質原料源からの水溶性オリゴペプチドと、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンと、多座配位子またはキレート剤と、オプションで酸化還元活性の無機または有機成分とを含むことを特徴とする、ヘアコンディショニング組成物を使用することによって達成される。
【0013】
この発明の意味におけるヘアコンディショニング組成物は、液体または乾燥した(パウダー)形態の化粧品組成物または医薬品組成物であって、それは、プレシャンプー;シャンプー、ヘアリンス、ムース、ヘアセットローション、ヘアリキッド、ヘアトニック、エアブラシローション;ヘアスプレーなどを含む任意の公知の形態の毛髪処置において使用可能である。
【0014】
この組成物は好ましくは、永続的または半永続的な毛髪染色用途において使用可能である。半永続的および永続的な毛髪染色プロセスは、毛髪構造に化学的に固定され得る特別の染料の使用により、一時的毛髪染色とは異なる。これは、単に物理的に毛髪構造に結合され、洗髪中に容易に除去され得る一時的毛髪染料とは対照的である。通常、半永続的な毛髪染料は2〜10回の毛髪シャンプー/洗浄手順に耐える場合があり、永続的な毛髪染料はおよそ10回の洗浄よりも長くとどまるだろう。
【0015】
この発明のヘアコンディショニング組成物と組合せて使用され得るいくつかの異なる永続的な毛髪染料は、市場で見つけることができる。これらの染料の中には、この特別の種類の染料に限定されることなく、たとえば、カチオン染料、アニオン染料、または中性染料としての直接毛髪染料が含まれていてもよい。
【0016】
アニオン毛髪染料についての好適な非限定的な例は、アシッドブラック1、アシッドブルー1、アシッドブルー3、食用青色5号、アシッドブルー7、アシッドブルー9、アシッドブルー74、アシッドオレンジ3、アシッドオレンジ6、アシッドオレンジ7、アシッドオレンジ10、アシッドレッド1、アシッドレッド14、アシッドレッド18、アシッドレッド27、アシッドレッド50、アシッドレッド52、アシッドレッド73、アシッドレッド87、アシッドレッド88、アシッドレッド92、アシッドレッド155、アシッドレッド180、アシッドバイオレット9、アシッドバイオレット43、アシッドバイオレット49、アシッドイエロー1、アシッドイエロー23、アシッドイエロー3、食用黄色8号、D&Cブラウン1号、D&Cグリーン5号、D&Cグリーン8号、D&Cオレンジ4号、D&Cオレンジ10号、D&Cオレンジ11号、D&Cレッド21号、D&Cレッド27号、D&Cレッド33号、D&Cバイオレット2、D&Cイエロー7号、D&Cイエロー8号、D&Cイエロー10号、FD&Cレッド2、FD&Cレッド40、FD&Cレッド4号、FD&Cイエロー6号、FD&Cブルー1、食用黒色1、食用黒色2、分散黒色9、および分散バイオレット1、ならびに、ナトリウム、カリウムなどのそれらのアルカリ金属塩である。
【0017】
カチオン染料に対する非限定的な例は、ベーシックブルー6、ベーシックブルー7、ベーシックブルー9、ベーシックブルー26、ベーシックブルー41、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン4、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックオレンジ31、ナチュラルブラウン7、ベーシックグリーン1、ベーシックレッド2、ベーシックレッド12、ベーシックレッド22、ベーシックレッド51、ベーシックレッド76、ベーシックバイオレット1、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット14、ベーシックイエロー57、およびベーシックイエロー87である。
【0018】
この発明の意味における毛髪を染色するためのさらに別の好適な染料は、中性ニトロ染料のものである。好適な非限定的な例は、HCブルー2号、HCブルー4号、HCブルー5号、HCブルー6号、HCブルー7号、HCブルー8号、HCブルー9号、HCブルー10号、HCブルー11号、HCブルー12号、HCブルー13号、HCブラウン1号、HCブラウン2号、HCグリーン1号、HCオレンジ1号、HCオレンジ2号、HCオレンジ3号、HCオレンジ5号、HCレッドBN、HCレッド1号、HCレッド3号、HCレッド7号、HCレッド8号、HCレッド9号、HCレッド10号、HCレッド11号、HCレッド13号、HCレッド54号、HCレッド14号、HCバイオレットBS、HCバイオレット1号、HCバイオレット2号、HCイエロー2号、HCイエロー4号、HCイエロー5号、HCイエロー6号、HCイエロー7号、HCイエロー8号、HCイエロー9号、HCイエロー10号、HCイエロー11号、HCイエロー12号、HCイエロー13号、HCイエロー14号、HCイエロー15号、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、ピクラミン酸、1,2−ジアミノ−4−ニトロベンゾール、1,4−ジアミノ−2−ニトロベンゾール、3−ニトロ−4−アミノフェノール、1−ヒドロキシ−2−アミノ−3−ニトロベンゾール、および2−ヒドロキシエチルピクラミン酸である。
【0019】
この発明の意味において、植物染料も毛髪染料として使用されてもよく、たとえば、ヘンナ(赤または黒)、アルカンナの根、ラッカイン酸、藍、ログウッド粉末、アカネの根、および大黄粉末などがある。
【0020】
この発明の意味における溶剤は、水、有機溶剤、合成油成分、揮発性/不揮発性シリコン成分、またはそれらの任意の混合物であってもよい。
【0021】
この発明で使用される水は特に限定されておらず、具体例は、鉱水、湧水、水道水、脱イオン水、蒸留水、注射用水(WFI)、またはそれらの組合せを含む。
【0022】
この発明の組成物は1つ以上の有機溶剤を含んでいてもよく、好適なものは、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソペンタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、ジメトキシメタン、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンなどの炭酸アルキレン、フェノキシエタノール、ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、炭酸エチレン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、o−メトキシフェノールである。
【0023】
最も好ましい有機溶剤は、エタノール、イソプロパノール、およびプロパノールである。
【0024】
さらに、好適な合成油成分は、特に脂肪族アルコール脂肪酸エステル、たとえばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、ステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、ミリスチン酸ミリスチル、エルカ酸オレイル、ポリエチレングリコール、ならびに、ポリグリセリン脂肪酸エステル、パルミチン酸セチルなどである。
【0025】
ここでも、揮発性および/または不揮発性の任意のシリコーン油が、この発明の組成物にとって好適である。好ましいシリコーン油は、ジメチコンおよびジメチコノールとしてのそれらのINCI名で公知の不揮発性シリコーン油である。シクロメチコンなどの揮発性シリコーン油が、上述の不揮発性シリコーンおよび/または他のワックスおよび/または油と組合せて使用されてもよい。商業的には、それらは、たとえば公知のDCシリーズを有するダウコーニング(Dow Corning)、ワッカーケミー(Wacker Chemie)、および東レシリコーン(Toray silicones)といったさまざまな会社から入手可能である。商業的に入手可能なあらゆる不揮発性シリコーンが、この発明の組成物において好適である。さらに、アモジメチコンなどのアミノ化シリコーン、ならびに、フェニルメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、トリフェニルトリメチコン、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、およびトリメチルペンタフェニルトリシロキサンなどの、その分子中に少なくとも1つのアリール基を含むアリール化シリコーンが、この発明の組成物において有利に含まれ得る。
【0026】
硫黄を含有する天然たんぱく質原料源からの水溶性オリゴペプチドは、植物ベースの、または動物ベースの任意の天然原料源に由来していてもよい。好ましくは、原料源は再生可能であり、すなわち環境に配慮しており、オリゴペプチドは、DE 10 2011 055 889に記載されているような抽出および分解プロセスによって、天然原料から得ることができる。この発明の意味におけるオリゴペプチドは、2〜約100個のアミノ酸サブユニットを含有する有機分子である。
【0027】
ここに使用されるように、「アミノ酸」という用語は、L型、D型、および非キラル型の天然に存在するアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン)だけでなく、従来のオリゴペプチド合成で組込むことが可能な修飾アミノ酸、アミノ酸類似体、および他の化合物、たとえば4−ニトロフェニルアラニン、イソグルタミン酸、イソグルタミン、イプシロン−ニコチノイル−リジン、イソニペコチン酸、テトラヒドロイソキノリン酸、α−アミノイソ酪酸、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、4−アミノ酪酸などを含むように意図されている。オリゴペプチドは、アミノ酸側鎖に硫黄を含有するアミノ酸を含むことが、特に好ましい。
【0028】
1つの好ましい動物由来の出発材料は、ケラチンである。ケラチン出発材料は、たとえば獣毛、人毛、羽、ひづめ、爪、つの、うろこなどに由来していてもよい。これらのうち、好ましくは羊毛、人毛、および羽が使用される。これらのケラチン材料はそのまま酸化または還元反応を受けてもよいが、必要であれば、それらは、好適なサイズを有する断片になるよう切断または縮小されてもよく、もしくは、洗浄および脱脂などの前処理を受けてもよい。
【0029】
他の植物由来の出発材料は、ひよこ豆、いんげん豆、平豆、リマ豆、白いんげん豆、大豆、大麦、玄米、ソバ、雑穀、オートミール、キノア、ライ麦、小麦胚芽、小麦、または野生米であってもよい。
【0030】
ヘアケア組成物では、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンも、溶媒和された「自由な」またはイオン付着された形態で存在する。アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンとして、たとえば、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、またはバリウムが使用可能である。オプションで、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンは、たとえば乳酸のようなαヒドロキシ酸の塩の形態で、この発明の組成物へと導入可能である。
【0031】
ヘアケア組成物における1つのさらなる成分は、多座配位子またはキレート剤である。この開示の組成物において使用可能なキレート剤のうち、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸、あるいはそれらの塩、たとえばメチルグリシン二酢酸、N−ラウロイルエチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸、イミノジコハク酸、N,N−ジカルボキシメチル−L−グルタミン酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸;ホスホン酸誘導体、たとえばヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン)酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン)酸、およびそれらの塩、ならびにたとえば、それらのナトリウム塩、たとえばエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸の5ナトリウム塩;キレート作用を有するデンドリマー;スペルミン、スペルミジン、トランスフェリン、フェリチンなどのたんぱく質;モノカルボン酸またはジカルボン酸、あるいはそれらの塩、たとえばフィチン酸、リンゴ酸、ニトリロ酢酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、粘液酸;メシル酸デスフェリオキサミン;およびこれらの多座配位子またはキレート剤の混合物が、例示的に挙げられ得る。
【0032】
加えて、ヘアコンディショニング組成物は、オプションで、酸化還元活性の無機または有機成分を含む。酸化還元活性の無機または有機成分は、水溶液において酸化または還元特性を提供してもよく、すなわち、別の物質を還元可能であるか、またはその別の物質を酸化可能であってもよい。その別の物質の還元は、その別の物質に電子を供与することによって生じてもよく、その別の物質の酸化は、その別の物質から電子を受取ることによって生じてもよい。酸化/還元反応の結果、酸化還元活性の無機または有機成分はまた、その酸化状態をそれぞれ変更する。理論によって縛られることなく、ヘアコンディショニング組成物の酸化還元電位は、染料物質を毛髪に効果的に付着させるのを助けてもよく、または染料分子を毛髪構造に物理的に閉じ込めるのを助けてもよい。
【0033】
この発明の好ましい一実施例では、ヘアコンディショニング組成物は、E≦+500mVかつE≧−1000mVの範囲の酸化還元電位Eを呈する。より好ましくは、ヘアコンディショニング組成物は、E≦0mVかつE≧−1000mVの範囲の酸化還元電位Eを呈し、最も好ましくは、ヘアコンディショニング組成物は、E≦−10mVかつE≧−750mVの範囲の酸化還元電位Eを呈する。酸化還元電位はボルトまたはミリボルト単位で与えられ、298.15K(25℃)の温度で標準水素電極に対して測定される。
【0034】
この発明の別の好ましい実施例では、ヘアコンディショニング組成物はさらに、カチオン第4級界面活性剤を含む。第4級界面活性剤は、一般構造NRの多原子カチオンイオンであるとして定義され、ここでRは、水素、もしくは脂肪族側鎖または芳香族側鎖である。脂肪族側鎖または芳香族側鎖は加えて置換えられてもよく、または、不飽和の二重結合または三重結合を含んでいてもよい。第4級アンモニウム塩の好ましい例は、ジステアリルジメチル塩化アンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムメト硫酸、ステアリルトリメチル塩化アンモニウム、ステアリルジメチルベンジル塩化アンモニウム、ラウリルジエチルベンジル塩化アンモニウム、ラウリルトリメチル臭化アンモニウム、ジステアリルメチルヒドロキシメチル塩化アンモニウム、セチルトリメチル塩化アンモニウムなどを含む。また、ヘアコンディショニング組成物は、エボニックインダストリーズ(Evonik Industries)により商業的に入手可能なクオタニウム(Quaternium)80などのシリコン第4級化合物を含んでいてもよい。
【0035】
加えて、ヘアコンディショニング組成物はさらに別の有機分子を含んでいてもよく、それは追加の美容利点を提供してもよく、またはヘアケア染料の相互作用を変化させてもよい。特に好ましいのは、一般に、炭素原子数が1〜5のアルコール、プロピレングリコール、およびグリセリン、またはそれらの任意の混合物である。もちろん、そのような種類のアルコールを含有する水溶液も含まれ得ることは明らかである。
【0036】
この発明の別の好ましい実施例は、l%(w/w)以上10%(w/w)以下の水溶性オリゴペプチドを含有することを特徴とするヘアコンディショニング組成物で見つけられ得る。水溶性オリゴペプチドの総含有量は、たんぱく質定量にとって好適なあらゆる種類の方法を使用して決定されてもよい。定量は、溶液中で、または有機洗浄および析出ステップの後に実行可能である。好適な方法は、ブラッドフォード手法、ロウリー手法、ビウレット手法、または単純なUV手法を含んでいてもよい。オリゴペプチド総含有量は、効能、ヘアケア用途において目標とされる効果、および全体的粘性要件に関して選ばれる。
【0037】
この発明の別の局面では、オリゴペプチドの分子量は、好ましくは1000Da≦MW≦10000Daの範囲にあり、より好ましくは2000Da≦MW≦8000Daの範囲にあり、最も好ましくは3000Da≦MW≦7000Daの範囲にある。理論に縛られることなく、分子量は、オリゴペプチドが毛髪と相互作用する能力を決定する1つのパラメータである。より高い分子量はより大きい分子を示し、それはひいては毛髪構造中に拡散しにくくなる。大きいペプチドは毛髪上にとどまり、膜を形成するであろう。驚くべきことに、選ばれた分子量範囲は双方の機能を提供するのに好適であることが分かっている。オリゴペプチドは毛髪構造に入り込んで空隙を充填することができ、加えて、ペプチドは毛髪構造上で相互作用し、膜を形成することができる。さらに、オリゴペプチドは、コアセルベート状に有機または無機染料と相互作用することができ、顔料とペプチドとの間の複合体形成をもたらし、それは、より均一な毛髪染色およびより長持ちする染色結果の理由となり得る。
【0038】
さらに、この発明の別の好ましい変形では、ヘアコンディショニング組成物は、水溶性オリゴペプチドの臨界ミセル濃度が5%以下であることを特徴とし得る。より好ましくは、水溶性オリゴペプチドの臨界ミセル濃度は3%以下であり、最も好ましくは、水溶性オリゴペプチドの臨界ミセル濃度は2%以下である。臨界ミセル濃度(CMC)は、それ以上でミセルが形成され、系に加えられたほとんどすべての追加の分子がミセルになる、水溶液中の分子の濃度として定義される。CMCは、界面活性剤の、または表面活性化合物の重要な特徴である。理論によって縛られることなく、ヘアカラー組成物におけるオリゴペプチドと染料との相互作用は、低い臨界ミセル濃度を呈するオリゴペプチドによって良い影響を受けるということが仮定される。
【0039】
この発明の別の局面では、硫黄を含有するたんぱく質原料源は、ひよこ豆、いんげん豆、平豆、リマ豆、白いんげん豆、大豆、大麦、玄米、ソバ、雑穀、オートミール、キノア、ライ麦、小麦胚芽、小麦、野生米、羊毛、羽、毛髪、またはつのから選択されてもよい。特に好ましいのは、たとえば獣毛、人毛、羽、ひづめ、爪、つの、うろこなどを含むケラチン原料である。これらのうち、好ましくは羊毛、人毛、および羽が使用される。これらのケラチン材料はそのまま酸化または還元反応を受けてもよいが、必要であれば、それらは、好適なサイズを有する断片になるよう切断または縮小されてもよく、もしくは、洗浄および脱脂などの前処理を受けてもよい。
【0040】
この発明のさらに好ましい一実施例では、コンディショニング組成物は、
a) たんぱく質材料を水中で懸濁するステップと、
b) 水性たんぱく質懸濁液にキレート剤を添加するステップと、
c) 水性たんぱく質懸濁液にアルカリを添加するステップと、
d) 懸濁液を60℃以上の温度まで加熱するステップと、
e) 混合物のpHをpH2以上pH10以下の間で調節するステップと、
f) 混合物を濾過するステップとを含むアルカリ加水分解プロセスによって、オリゴペプチドを得ることができるということを、ある意味特徴とする。
【0041】
理論によって制限されることなく、特にオリゴペプチドの構造および機能が、特別の加水分解プロセスによって決定され得るということが仮定される。分子量分布などの重要な構造的特徴、およびアミノ酸側鎖の構造的特徴は、このプロセスによって決定され得る。加水分解に使用されるアルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ホウ砂などの任意の無機アルカリであってもよい。
【0042】
ステップe)で使用される酸は、有機および/または無機物起源のもの、あるいはそれらの混合物であってもよい。言及すべきそれらの一部は、無機酸としてリン酸、塩酸、硫酸、硝酸、有機酸として周知のクエン酸および乳酸、グリコール酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、および酒石酸、ならびにジカルボン酸としてマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、およびフタル酸である。
【0043】
この発明の特に好ましい一実施例では、ヘアコンディショニング組成物は、オリゴペプチドが、リン酸またはリン酸エステルの使用によって化学的に修飾されることを特徴とする。
【0044】
ヘアコンディショニング組成物の別の好都合な形態では、組成物はさらに、毛髪染色剤、および/またはヘアコンディショニング成分、および/または美容用油、および/または界面活性剤、および/またはバッファーを含む。この発明のヘアコンディショニング組成物と共に使用され得る毛髪染色剤についてのいくつかの例は、上に挙げられている。
【0045】
加えて、組成物は、油脂、ワックス、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、紫外線吸収剤、多価アルコール、金属イオン封鎖剤、糖類、アミノ酸、有機アミン、ポリマーエマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養素、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止促進剤、および香料を含んでいてもよい。これらの成分はオプションで好適に組込まれてもよく、また、この発明のヘアスタイリング化粧品組成物は、その意図された調製形態に従って通常の方法で生産可能である。
【0046】
加えて、さらに別の天然または合成の親水コロイド形成ポリマーが組込まれてもよく、水溶液系でゲルまたは粘性溶液を形成する水溶性の天然または合成ポリマーを含む。それらは、さらに別の天然多糖類、それらの合成的に修飾された誘導体、または合成ポリマーから有利に選択される。さらに別の多糖類の例は、ホモグリカンまたはヘテログリカン、たとえばカラゲーン、ペクチン、トラガカント、グアーゴム、イナゴ豆粉、寒天、アラビアゴム、キサンタンゴム、天然および加工デンプン、デキストラン、デキストリン、マルトデキストリン、β−1,3−グルカン、β−1,4−グルカンなどのグルカン、セルロースなど、特にヒアルロン酸などのムコ多糖などを含む。合成ポリマーの例は、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、合成セルロース誘導体、たとえばメチルセルロース、カルボキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロースエーテル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリエチレングリコールなどを含む。これらのポリマーの混合物を使用することも可能である。
【0047】
ヘアケア組成物は、固体植物抽出物、微粉末化された植物抽出物、液体植物抽出物、親水性植物抽出物、親油性植物抽出物、植物の個々の成分、およびそれらの混合物を含み得ることが、さらに有利である。これらの抽出物は、フラボノイドおよびそれらの類似体;ルチン、ケルセチン、ジオスミン、超酸化物、(ネオ)ヘスペリジン、ヘスペリチン、イチョウ(たとえばイチョウフラボングリコシド)、サンザシ抽出物(たとえばオリゴマープロシアニジン)、ソバ(たとえばルチン)、エンジュ(たとえばルチン)、樺の葉(たとえば、ケルセチングリコシド、超酸化物、およびルチン)、ニワトコの花(たとえばルチン)、シナノキの花(たとえば、ケルセチンおよびファルネソールを有する精油)、ハイペリコン(hypericon)油(たとえばオリーブ油抽出物)、キンセンカ、アルニカ(たとえば、精油を有する花の油性抽出物、フラボノイドを有する極性抽出物)、メリッサ(たとえば、フラボン、精油);免疫刺激剤:エキナセア・ムラサキバレンギク(たとえば、アルコール抽出物、新鮮な汁液、搾り汁)、エゾウコギ;アルカロイド:蛇木(たとえばプラジュマリン)、常緑樹(たとえばビンカミン);さらに別の植物医薬品:アロエ、トチノキ(たとえばアエスチン)、ニンニク(たとえばニンニク油)、パイナップル(たとえばブロメライン)、朝鮮人参(たとえばジンセノサイド)、オオアザミの実(たとえば、シリマリンに標準化された抽出物)、ナギイカダの根(たとえばルスコゲニン)、バルドリアン(たとえば、バレポトリアート、Tct.バレリアン)、カバカバ(たとえばカバラクトン)、ホップの花(たとえばホップ苦味剤)、パッシフローラ抽出物、リンドウ(たとえばエタノール抽出物)、アントラキノン含有薬物抽出物、たとえばアロイン含有アロエベラジュース、花粉抽出物、藻類抽出物、甘草抽出物、ヤシ抽出物、ガルフィミア(たとえば標準チンキ剤)、ヤドリギ(たとえば水性エタノール抽出物)、植物ステロール(たとえばβ−シトステロール)、モウズイカの花(たとえば水性アルコール抽出物)、モウセンゴケ(たとえばリキュールワイン抽出物)、沙棘の実(たとえば、それから抽出した果汁、または沙棘油)、ウスベニタチアオイの根、サクラソウの根の抽出物、ゼニアオイ、コンフリ、ツタ、つくし、ノコギリソウ、オオバコ(たとえば搾り汁)、イラクサ、クサノオウ、パセリからの新鮮な植物抽出物;ノロレナロバタ(Norolaena lobata)、ミントマリーゴールド(Tagetes lucida)、テーオマジーム(Teeoma siems)、苦瓜、およびアロエベラからの植物抽出物を含有していてもよい。
【0048】
さらに、ヘアコンディショニング組成物内には補助物質が存在していてもよい。補助物質は、pH調節剤、緩衝物質、保存剤、柔軟剤、活性剤の群に列挙された潤滑剤、無機および有機の酸または塩基、微結晶ワックスなどのミネラルワックス、ポリエチレンワックスまたはシリコーンワックスなどの合成ワックス、ならびに、たとえば「化粧品成分ハンドブック」(第1版、1988年)と題されたCFTA論文で述べられたもののような美容上の目的にとって好適な油(いわゆる美容用油)を含む。
【0049】
この発明のヘアコンディショニング組成物は、美容上または薬学上許容可能な任意の形態であってもよい。化粧品調合物は、パウダー、ローション、ヒドロゲル、オイル、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、トリプルエマルジョン、ペースト、つや出し剤、ドライパウダー、ドライシート、フリーズドライ組成物またはクリームの形態であり得ることが好ましい。ヘアケア組成物は、溶液、エマルジョン、懸濁液、またはゲルの形態であることが特に好ましい。
【0050】
ヘアコンディショニング組成物は、毛髪染色処置において都合よく使用可能である。この使用は、ヘアコンディショニング組成物が染色プロセスの前に毛髪に直接添加されることを特徴としてもよい。たとえば、ヘアコンディショニング組成物は、洗浄ステップの後、染色処置が行なわれる前に、濡れた髪に塗布されてもよく、または、ヘアコンディショニング組成物は洗浄ステップで使用されてもよい。ここで、追加の界面活性剤が存在することが好都合な場合がある。
【0051】
この発明の別の局面では、ヘアコンディショニング組成物は、染色プロセスの前に毛髪染色組成物に添加されてもよい。ヘアコンディショニング組成物で髪を予め処置する代わりに、たとえばボウル内で毛髪染色組成物をヘアコンディショニング組成物と混合し、組成物を単一ステップで髪に添加することによっても、有益な効果が達成できる。この手順は、ボウル内での短い平衡時間の後に、または双方の組成物を完全に混合した直後に行なわれてもよい。
【0052】
全体的な塗布を容易にし、十分な解決策をエンドユーザに提供するために、ヘアコンディショニング組成物、および/またはヘアシャンプー、および/または毛髪染色溶液、および/またはヘアリンス溶液、および/または縮毛矯正組成物、および/または毛髪補修組成物、および/または毛髪修復組成物を含む、ヘアケア美容用途のためのパーツのキットを提供することが、有利である。このキットは、店頭で末端消費者に直接販売されるように設計されてもよく(OTCキット)、または、それは、特別な解決策をヘアケア専門家に提供するように意図されてもよい。望ましくは、ヘアコンディショニング組成物は、パーツのキット内に別々に梱包されてもよく、または、1つの容器内で上述の組成物のうちの1つと混合されていてもよい。
【0053】
以下の実施例、図面、および対応する説明により、この発明をさらに説明する。
比較検査で、毛髪検査サンプルを、従来の染色組成物(ウエラのヘアカラー)を用いて、および、従来の毛髪染色組成物と永続的および半永続的なヘアカラー用途のためのこの発明のヘアコンディショニング組成物(「CC」)との組合せを用いて、処置した。色強度の向上は、Lb色測定分析によって判断され、ここで、
【0054】
【数1】
【0055】
である。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
評価:DE:0.0〜0.5 違いはほとんどない;0.5〜1.0 熟練者が見れば分かる違い;1.0〜2.0 感知され得るほどの色の違い;2.0〜4.0 認識された色の違い;≧4.0 かなりの色の違い。
【0058】
この発明の好ましい一実施例によれば、たとえばケラチン加水分解物といった、永続的および半永続的な毛髪染色用途のためのこの発明のヘアコンディショニング組成物において好ましくは使用されるオリゴペプチドは、2%以下の範囲の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。このため、この発明の組成物で使用されるオリゴペプチドのCMCは、先行技術から公知のオリゴペプチドのCMCよりも実質的に低い。そのような低いCMCは、洗浄プロセスにおけるこの発明の組成物の効率向上に寄与する。図1は、25℃の温度での、この発明で使用されるオリゴペプチド、すなわちケラチン加水分解物100、および比較例のケラチン加水分解物200(ケラ・テイン(Kera Tein)、トリKインダストリーズ(Tri-K Industr.))の濃度の関数としての、水溶液の表面張力を示す。臨界ミセル濃度は、それぞれの濃度勾配の変曲点の縦座標値から得られる。見てわかるように、この発明で使用されるオリゴペプチドは、参照製品と比較して約2桁低いCMC値を示している。3000Da〜7000Daの範囲の平均分子量を考慮することは、約0.05mM以上〜0.5mMの範囲のCMCをもたらす。
【0059】
図2Aは、従来の染色組成物を用いて処置された毛髪の拡大画像を示し、図2Bは、この発明のヘアコンディショニング組成物と組合された着色組成物を用いた処置の後の毛髪を示す。図2Aおよび図2Bは、同一人物の毛髪の拡大画像(倍率:400倍)である。分析のために、毛髪は、片側検査で、従来の染色製品(図2A)、およびこの発明のヘアコンディショニング組成物と組合された染色組成物によって処置された。検査は、40人の被験者に対して行なわれた。3回シャンプーした後に、被験者の頭から20本の毛髪を採取し、分析した。図2Aおよび図2Bは、結果の代表的な画像である。図2Aの従来の染色組成物を用いて処置された毛髪は損傷区域300を示している一方、図2Bでは、この発明の組成物を用いて処置された毛髪の表面は平らで、目に見える損傷がない。
図1
図2A
図2B
【国際調査報告】