(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-511686(P2015-511686A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(54)【発明の名称】トルクリミッタを有するアイソレータデカップラ
(51)【国際特許分類】
F16D 43/21 20060101AFI20150324BHJP
F16D 41/06 20060101ALI20150324BHJP
F16D 3/52 20060101ALI20150324BHJP
F16D 7/02 20060101ALI20150324BHJP
F16D 41/20 20060101ALI20150324BHJP
F16H 55/36 20060101ALI20150324BHJP
【FI】
F16D43/21
F16D41/06 Z
F16D3/52
F16D7/02 A
F16D41/20 A
F16H55/36 E
F16H55/36 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-558982(P2014-558982)
(86)(22)【出願日】2013年2月28日
(85)【翻訳文提出日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】US2013028278
(87)【国際公開番号】WO2013134043
(87)【国際公開日】20130912
(31)【優先権主張番号】13/414,838
(32)【優先日】2012年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】ワード,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】サーク,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】アリ,イムティアズ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ディーン
【テーマコード(参考)】
3J031
3J068
【Fターム(参考)】
3J031AA04
3J031BA19
3J031CA03
3J068AA07
3J068BA03
3J068CB03
3J068GA07
(57)【要約】
アイソレータデカップラは、プーリ(5)を備え、プーリはシャフト(1)に軸支され、プーリ(5)に係合する端部(61)を有するトーションスプリング(6)を備え、トーションスプリング(6)は解放方向に負荷をかけることが可能であり、ワンウェイクラッチキャリア(8)を備え、シャフト(1)とワンウェイクラッチキャリア(8)の間に配設されたワンウェイクラッチ(14)を備え、ワンウェイクラッチキャリア(8)の内周面(81)に係合可能なラップスプリング(7)を備え、ラップスプリング(7)はトーションスプリング(6)に連結され、ラップスプリング(7)は、ラップスプリング(7)が摩擦により駆動方向に内周面(81)に固定可能に係合するように、解放方向に負荷を付与可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プーリ(5)を備え、
前記プーリはシャフト(1)に軸支され、
前記プーリに係合する端部(61)を有するトーションスプリング(6)を備え、前記トーションスプリングは解放方向に負荷をかけることが可能であり、
ワンウェイクラッチキャリア(8)を備え、
前記シャフトと前記ワンウェイクラッチキャリアの間に配設されたワンウェイクラッチ(14)を備え、
前記ワンウェイクラッチキャリアの内周面(81)に係合可能なラップスプリング(7)を備え、前記ラップスプリングは前記トーションスプリングに連結され、
前記ラップスプリングは、前記ラップスプリングが摩擦により駆動方向に前記内周面に固定可能に係合するように、解放方向に負荷を付与可能である
アイソレータデカップラ。
【請求項2】
前記トーションスプリングと前記ラップスプリングの間に係合するスプリングキャリア(9)をさらに備える請求項1に記載のアイソレータデカップラ。
【請求項3】
前記プーリがストッパ(501)を備え、前記ストッパが前記ラップスプリングに係合可能であり、前記ラップスプリングを所定のトルクの入力時に前記内周面から解放させる請求項1に記載のアイソレータデカップラ。
【請求項4】
前記プーリがニードルベアリング(4)において前記シャフトに軸支される請求項1に記載のアイソレータデカップラ。
【請求項5】
前記プーリがさらに、ボールベアリングにおいて前記シャフトに軸支される請求項4に記載のアイソレータデカップラ。
【請求項6】
プーリ(5)を備え、
前記プーリはシャフト(1)に軸支され、
前記プーリに係合する端部(61)を有するトーションスプリング(6)を備え、前記トーションスプリングは解放方向に負荷をかけることが可能であり、
ワンウェイクラッチキャリア(8)を備え、
前記シャフトと前記ワンウェイクラッチキャリアの間に配設されたワンウェイクラッチ(14)を備え、
前記ワンウェイクラッチキャリアの内周面に係合可能なラップスプリング(7)を備え、前記ラップスプリングは前記トーションスプリングに連結され、前記ラップスプリングはさらに、前記ワンウェイクラッチキャリアの幅(W)の中に収容され、
前記ラップスプリングは、前記ラップスプリングが摩擦により駆動方向に前記内周面に固定可能に係合するように、解放方向に負荷を付与可能である
アイソレータデカップラ。
【請求項7】
前記トーションスプリングと前記ラップスプリングの間に係合するスプリングキャリアをさらに備える請求項6に記載のアイソレータデカップラ。
【請求項8】
前記プーリがストッパを備え、前記ストッパが前記ラップスプリングに係合可能であり、前記ラップスプリングを所定のトルクの入力時に前記内周面から解放させる請求項6に記載のアイソレータデカップラ。
【請求項9】
前記プーリがニードルベアリングにおいて前記シャフトに軸支される請求項6に記載のアイソレータデカップラ。
【請求項10】
前記プーリがさらに、ボールベアリングにおいて前記シャフトに軸支される請求項9に記載のアイソレータデカップラ。
【請求項11】
プーリ(5)を備え、
前記プーリはニードルベアリング(4)とボールベアリング(15)を介してシャフト(1)に軸支され、
前記プーリに係合する端部(61)を有するトーションスプリング(6)を備え、前記トーションスプリングは、駆動状態において解放方向に負荷をかけることが可能であり、
ワンウェイクラッチキャリア(8)を備え、
前記シャフトと前記ワンウェイクラッチキャリアの間に配設されたワンウェイクラッチ(14)を備え、
前記ワンウェイクラッチキャリアの内周面(81)に解放可能かつ係合可能なラップスプリング(7)を備え、前記ラップスプリングは前記トーションスプリングに連結され、前記ラップスプリングはさらに、前記ワンウェイクラッチキャリアの幅(W)の中に収容され、
前記ラップスプリングは、前記ラップスプリングが駆動方向に前記内周面に係合するように、解放方向に負荷を付与可能である
アイソレータデカップラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンウェイクラッチキャリアの内周面に係合可能なラップスプリングを有するアイソレータデカップラに関し、ラップスプリングはトーションスプリングに連結され、ラップスプリングは、ラップスプリングが摩擦を介して駆動方向に内周面に固定的に係合できるように、解放方向に負荷をかけることができる。
【背景技術】
【0002】
乗用車の技術に用いられるディーゼルエンジンは、良好は燃料消費の利点により、増加している。さらに、ガソリンエンジンは燃料効率を改善するために圧縮比を増加させている。この結果、ディーゼルおよびガソリンエンジンのアクセサリ駆動システムは、エンジンにおける上述した変化による、クランクシャフトからのより大きな振動に打ち勝たなければならない。
【0003】
増加したクランクシャフトの振動と高い加速/減速比およびオルタネータの慣性により、エンジンアクセサリ駆動システムはしばしば、ベルトのスリップによりベルトの軋み騒音を経験する。これはまた、ベルトの作動寿命を短縮させる。
【0004】
クランクシャフトのアイソレータ/デカップラおよびオルタネータのアイソレータ/デカップラは、エンジンの動作速度範囲において振動を除去するために、高い角振動を伴うエンジンに広く用いられてきている。しかし、クランクシャフトのアイソレータはエンジンの走行速度範囲において好適に機能することができるが、アイソレータ自体の固有振動数のために、エンジンの始動あるいは停止時に問題がある。
【0005】
この技術の代表は、米国特許第8,047,920号明細書であり、これは出力部材、ワンウェイクラッチ、スプリング、およびスプリングリミッタを有するデカップラを開示する。スプリングはワンウェイクラッチの出力部と出力部材との間に配置され、出力部を、出力部材に対して所定の回転方向に偏移させる。スプリングリミッタは、ワンウェイクラッチの出力を出力部材に対してロックして、ワンウェイクラッチと出力部材の間の回転力を、スプリングに所定値を超えた力を加えることなく伝達する、および/または、出力部材に対するスプリングの関連した端部と出力部材の所定の回転方向への回転運動を制限するように構成される。デカップラを作動させる方法もまた、提供されている。
【0006】
必要とされるのは、ワンウェイクラッチの内周面に係合可能なラップスプリングを有し、ラップスプリングがトーションスプリングに連結され、ラップスプリングが、ラップスプリングが摩擦により駆動方向に内周面に固定可能に係合するように、解放方向に負荷を付与可能であるアイソレータデカップラである。本発明はこの必要性に合致する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の主な特徴は、ワンウェイクラッチの内周面に係合可能なラップスプリングを有し、ラップスプリングがトーションスプリングに連結され、ラップスプリングが、ラップスプリングが摩擦により駆動方向に内周面に固定可能に係合するように、解放方向に負荷を付与可能であるアイソレータデカップラである。
【0008】
本発明の他の特徴は、本発明の次の記述と添付した図面により説明され、明らかになる。
【0009】
本発明はプーリを備えるアイソレータデカップラを備え、プーリはシャフトに軸支され、アイソレータデカップラはプーリに係合する端部を有するトーションスプリングを備え、トーションスプリングは解放方向に負荷をかけることが可能であり、アイソレータデカップラはワンウェイクラッチキャリアと、シャフトとワンウェイクラッチキャリアの間に配設されたワンウェイクラッチとを備え、アイソレータデカップラはワンウェイクラッチキャリアの内周面に係合可能なラップスプリングを備え、ラップスプリングはトーションスプリングに連結され、ラップスプリングは、ラップスプリングが摩擦により駆動方向に内周面に固定可能に係合するように、解放方向に負荷を付与可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【
図4】本発明装置の代替的な実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明はオルタネータ調整装置に関し、特に、アイソレーションのためのトーションスプリングおよび/またはデカップリングのためのワンウェイクラッチを有するオルタネータ・アイソレーティング・プーリに関する。スプリングとワンウェイクラッチの物理的な大きさを最小にするため、所定量を超えたトルクがスプリングおよび/またはワンウェイクラッチに伝達されることを防止する、過負荷特性を有することが有益である。スプリングあるいはワンウェイクラッチに作用する過剰なトルクは、いずれかの要素の損傷を招く。必要とされるものは、特定のトルクを超えたときに2つのロックされた要素のデカップリングを許容するすべり特性である。
【0012】
オルタネータの定格ピークトルクがエンジンの始動時に生じるピークトルクよりも小さいことが知られている。例えば、典型的な自動車のオルタネータは、エンジン始動時に、12Nmの定格ピークトルク、0.0030 Kg m
2の慣性、8,400rad/s
2のオルタネータ加速度である。エンジン始動時の式1を用いると、装置は25.2Nmのトルクを扱わなければならないが、このような高いトルクは他の全ての運転状態では見られない。
式1:T=Iα
T=トルク
I=オルタネータの慣性
α=加速度
【0013】
始動時のトルクを扱うことができるスプリングとワンウェイクラッチを使用する必要性をなくすため、提案装置は、定格ピークトルクの後にデカップルされるラップスプリングを使用する。
【0014】
図1は本発明装置の断面図である。プーリ5は駆動ベルトに係合して本装置を駆動する。ベルト(図示せず)は、マルチリブ、歯付き、平ベルトを含み、公知の構成であってもよい。
図1におけるプーリのための輪郭形状51はマルチリブドベルト用である。
【0015】
プーリ5はニードルベアリング4によってシャフト1に軸支される。ニードルベアリング4により、シャフト1とプーリ5の間が相対回転運動しつつ、シャフト1に対して径方向の負荷が伝達される。径方向の負荷は、駆動ベルトに対する予負荷すなわち張力の関数である。シャフト1はまた、本装置をオルタネータのような駆動アクセサリに連結するために使用される。
【0016】
動力はベルトからプーリ5に伝わり、そしてトーションスプリング6の一端61に伝わる。トーションスプリング6は、振動を減衰させ、本装置の捻り振動遮断機能を発揮する弾性部材である。トーションスプリング6の他端62はスプリングキャリア9に連結される。スプリングキャリア9はラップスプリング7に連結される。ラップスプリング7はラップスプリング端部71においてスプリングキャリア9に係合する。スプリングキャリア9は受容部91において端部71を受容する。ラップスプリング7は、クラッチキャリア8の内周面81に接触することができる表面を最大限にするために、正方形あるいは長方形の断面を有する。ラップスプリング7はワンウェイクラッチキャリアの幅(W)の中に含まれる。
【0017】
動力を伝達するために、ラップスプリング7は解放方向に負荷を与えられ、これにより、動作中に径方向に拡大する。これは、ラップスプリングをクラッチキャリア8の内周面81に摩擦係合させる。摩擦係合は、ラップスプリングとクラッチキャリアを一緒にロックし、効果的に動力を伝達する。
【0018】
スラストワッシャ2は突起17の両面に係合する。突起17はシャフト1から径方向の外方に延びる。スラストワッシャ2はプーリ5をシャフト1に沿って軸方向に位置決めする。
【0019】
図2は
図1の装置の分解図である。ラップスプリング7はクラッチキャリア8に対して分離あるいは滑動し、トーションスプリング6に過度の負荷を与えることを防止し、これによりワンウェイクラッチ14に過負荷が作用することを回避する。動作において、プーリ5が負荷位置から所定角度まで角度方向に変位した後、ラップスプリング7はクラッチキャリア8の内周面81から分離し始める。この所定角度は、トーションスプリング6のトルクがトーションスプリング6あるいはワンウェイクラッチ14が損傷する点を超えないように選択される。本実施形態において本装置の所定角度は58度であるが、この数値に限定されず、個々のアプリケーションに従って調整され得る。
【0020】
本発明装置において、ラップスプリング7はプーリにもシャフトにも接触しない。ラップスプリング7は、ワンウェイクラッチキャリア8の幅(W)の中に含まれる。
【0021】
図3は
図1の細部の断面図である。ラップスプリング7を分離あるいは滑動させるため、プーリ5のストッパ501はラップスプリング7の舌部701に接触し、これによりラップスプリング7を巻き上げてクラッチキャリア8の内周面81から径方向の内側に縮小させる。ラップスプリング7のクラッチキャリア8から径方向の内側への動きは、ラップスプリングとクラッチキャリアの間に生じる相対滑動の前に、ラップスプリング7のクラッチキャリア8に対する摩擦係合を介して伝達されるトルクの大きさを減少させる。
【0022】
クラッチキャリア8はラップスプリング7からワンウェイクラッチ14にトルクを伝達させる。ワンウェイクラッチ14は、シャフト1の速度がプーリ5の速度よりも大きくなったときにシャフト1がプーリ5に対してオーバーランするように、シャフト1がデカップラから分離されることを可能にする。
【0023】
ブッシング12はクラッチキャリア8の内側に配設され、これによりスプリングキャリア9とクラッチキャリア8の間が相対運動する。スラストワッシャ13により、クラッチキャリア8と、プーリ5に剛体的に固定されたフロントカバー10との間が相対運動する。キャップ11は、異物が侵入することを防止することにより、本装置を周囲環境から保護する。シャフト1に対するプーリ5の相対回転を許容しつつ、軸方向の位置決めをするために、2つのスラストワッシャ(2)がある。後方カバー3はプーリ5に固定され、これにより両方のスラストワッシャがプーリ5とシャフト1の間に収容される。
【0024】
図4は本発明装置の代替的な実施形態の断面図である。この代替的な実施形態においてプーリ5は、ニードルベアリング4に加えてボールベアリング15により軸支される。
【0026】
この実施形態において、トーションスプリングの端部62はプーリ5に係合し、端部61はスプリングキャリア9に係合する。端部61は部位91においてスプリングキャリアに係合する。ラップスプリング7はスプリングキャリア9とクラッチキャリア8の間に係合する。固定リング16は、スプリングキャリア9がラップスプリング7にトルクを伝達することを可能にする。スプリングキャリア9からのトルクは、固定リング16の3つのキー162を介して固定リング16に伝達される。固定リング16からのトルクは、ラップスプリング7の端部71に係合する固定リング16の突出部161に伝達され、これによりラップスプリング7は動作中、負荷を与えられる(
図7参照)。
【0027】
ブッシング12により、スプリングキャリア9はクラッチキャリア8に摺動自在に係合する。ブッシング12により、クラッチキャリア8はシャフト1に摺動自在に係合する。
【0028】
動作において、プーリ5に作用するトルクは、トーションスプリング6に対して解放方向に負荷を与える。このトルクはスプリングキャリア9に伝達され、これは同様に、端部71における接触を介して、ラップスプリング7に解放方向に負荷を与える。トーションスプリング6が解放する大きさは、付与されたトルクの関数である。トーションスプリング6に付与されたトルクの差により、プーリ5は、シャフト1の与えられた位置より少し前まで回転する。
【0029】
ラップスプリング7に解放方向に負荷を付与することにより、ラップスプリング7は径方向に拡大する。径方向の拡大により、ラップスプリング7はクラッチキャリア8の内周面81に摩擦係合する。摩擦係合により、ラップスプリング7はクラッチキャリアの内周面81に固定され、これにより、所定のトルク限界値まで、クラッチキャリア8へトルクが伝達される。ワンウェイクラッチ14も係合し、これによりシャフト1が回転する。
【0030】
ラップスプリング7を分離あるいは滑動させるために、プーリ5は増加したトルクの影響により回転方向に前進し、所定の過剰トルクの入力時に、プーリ5から内側に突出したストッパ501はラップスプリング7の舌部701に接触する。通常の動作においてストッパ501は端部701に接触しない。プーリ5のさらなる移動により、ラップスプリング7は部分的に巻き上げられ、これによりクラッチキャリアの内周面81から径方向の内側に収縮する。クラッチキャリアの内周面81からのラップスプリング7の径方向の内側への移動は、垂直力の大きさを減少させ、これにより、相対的な滑動の前にラップスプリング7を介してクラッチキャリア8へ伝達され得る摩擦トルクがラップスプリング7とクラッチキャリア8の間に生じる。この特徴により、トルク過剰な動作状態において本装置に対する損傷が防止される。
【0033】
本発明の1つの形態が説明されたが、当業者がここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、構成と部分の関係と方法において変形を施すことは自明である。
【国際調査報告】