特表2015-511857(P2015-511857A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-511857迷走神経を刺激するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-511857(P2015-511857A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(54)【発明の名称】迷走神経を刺激するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20150327BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20150327BHJP
【FI】
   A61N1/36
   A61N1/05
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-560139(P2014-560139)
(86)(22)【出願日】2013年3月6日
(85)【翻訳文提出日】2014年8月29日
(86)【国際出願番号】US2013029306
(87)【国際公開番号】WO2013142053
(87)【国際公開日】20130926
(31)【優先権主張番号】61/613,763
(32)【優先日】2012年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】トックマン、ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ソルティス、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、リリー
(72)【発明者】
【氏名】ハミル、エリック
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C053JJ22
(57)【要約】
内頸静脈内の位置から迷走神経の目標領域を刺激するためのシステムを説明する。そのシステムは医療用リードおよび絶縁要素からなる。絶縁要素は、可撓性の電気絶縁性材料シートから形成されており、迷走神経に近接する神経構造を刺激から絶縁するために内頸静脈内に植え込まれる。絶縁シースは少なくとも1つの窓を含み、その窓を通して、電気刺激因子を迷走神経の目標領域に送達することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内頸静脈内の位置から迷走神経の目標領域を刺激するためのシステムにおいて、
医療用リードであって、基端から先端に延在するリード本体と、前記基端から前記先端に向かう方向に前記リード本体内を延在する導体と、前記リード本体上に配置されており前記導体に動作可能に接続される1つ以上の電極と、を備え、前記電極は、前記内頸静脈内の前記位置から迷走神経の目標領域に電気刺激因子を経血管的に送達するように構成されている、医療用リードと、
絶縁要素であって、電気絶縁性材料からなる可撓性シートから形成された絶縁シースを備え、前記絶縁シースは、前記内頸静脈内に植え込まれ前記リードの周りに配設され、前記迷走神経に近接する神経構造を刺激から絶縁するように構成されており、前記絶縁シースは、前記リードと前記迷走神経の前記目標領域との間に配置されるように構成された少なくとも1つの窓を含み、前記窓を通して、前記電気刺激因子を前記迷走神経の前記目標領域に送達できる、絶縁要素と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記絶縁要素は、折り畳んだ送達構成から展開した構成に拡張するように構成されたステント様の定着部材を備え、展開した構成では、前記ステント様の定着部材は前記絶縁シースを前記内頸静脈の内壁に固定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ステント様の定着部材はバルーン拡張型である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ステント様の定着部材は自己拡張型である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記絶縁シースは前記ステント様の定着部材の周りに径方向に配設される、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記ステント様の定着部材は前記絶縁シースの周りに径方向に配設され、前記絶縁シースは前記ステント様の定着部材に取り付けられる、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記窓は複数の穿孔からなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記窓は電気を通す材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
頸動脈鞘の内頸静脈内の位置から迷走神経の目標領域を刺激するためのシステムにおいて、
医療用リードであって、基端から先端に延在するリード本体と、前記基端から前記先端に向かう方向に前記リード本体内を延在する導体と、前記リード本体上に配置されており前記導体に動作可能に接続される1つ以上の電極と、を備え、前記電極は、前記内頸静脈内の前記位置から迷走神経の目標領域に電気刺激因子を経血管的に送達するように構成されている、医療用リードと、
絶縁要素であって、電気絶縁性材料からなる可撓性シートから形成された絶縁シースを備え、前記絶縁シースは、植え込まれているときは前記頸動脈鞘の少なくとも一部を包囲するようにほぼ管形状をとるように構成され、前記電気刺激因子が前記リードの電極によって前記迷走神経の前記目標領域に送達されるときに前記迷走神経に近接する神経構造を刺激から絶縁するために、前記リードの電極が植え込まれるときにその中に位置決めされる前記頸動脈鞘の前記一部を包囲するように構成される、絶縁要素と、
を備えるシステム。
【請求項10】
前記リード本体は、前記内頸静脈内の所望の部位に前記リード本体を固定し安定させるよう前記内頸静脈の内壁に係合するように構成された予め形成した領域を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記絶縁シースは第1の部分および第2の部分を備え、前記第1の部分は前記頸動脈鞘を包囲するように構成され、前記第2の部分は、前記内頸静脈の局部的な領域を径方向に圧縮するために、前記内頸静脈を包囲し前記内頸静脈の外面に接触するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記リード本体は、前記内頸静脈内の所望の部位に前記リードを固定し安定させるように前記内頸静脈の前記局部的な領域の内壁に係合するように構成された予め形成した領域を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
内頸静脈内の位置から迷走神経の目標領域を刺激するための方法であって、
前記迷走神経の前記目標領域に近接する位置に、少なくとも部分的に放射線不透過性である絶縁要素を留置する工程と、
前記絶縁要素を留置した後に、少なくとも1つの電極を含む医療用リードの所望の植え込み部位を判定するために前記留置した絶縁要素を蛍光透視下で視覚化しながら、前記医療用リードを前記内頸静脈内で前進させる工程と、
前記少なくとも1つの電極が前記絶縁要素によって包囲されるように、前記内頸静脈内に位置決めされた前記少なくとも1つの電極を有する前記医療用リードを位置決めする工程と、
前記少なくとも1つの電極を介して前記迷走神経に電気刺激因子を供給するように前記医療用リードをパルス発生器に動作可能に接続する工程と、
を備え、
前記絶縁要素は、前記迷走神経に近接する神経を前記電気刺激因子への曝露から電気的に絶縁するように動作する、方法。
【請求項14】
前記絶縁要素を留置する前記工程は、折り畳んだ構成の前記絶縁要素をデリバリ・カテーテル内で、前記迷走神経の前記目標領域に近接する前記内頸静脈内の位置まで前進させる工程と、前記絶縁要素を前記デリバリ・カテーテルから解放し、それにより、前記絶縁要素が、前記絶縁要素が前記内頸静脈の内壁に対して固定された展開した構成をとるようにするかまたはそれを可能にする工程と、
からなる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記絶縁要素を留置する前記工程は、前記絶縁要素上の電気を通す窓を前記迷走神経に向ける工程をさらに備え、前記医療用リードを位置決めする前記工程が、前記窓を通して前記迷走神経に向けて前記電気刺激因子を向けられるように、前記少なくとも1つの電極を位置決めする工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記絶縁要素は絶縁シースおよびステント様の定着部材を含み、前記ステント様の定着部材が、前記内頸静脈の前記内壁に対して前記絶縁要素を固定するために、送達のための前記折り畳んだ構成から前記展開した構成に移行するように構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記医療用リードの前記電極が前記迷走神経の前記目標領域に隣接するように前記リードを前記絶縁要素に固定する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記絶縁要素を留置する前記工程は、前記迷走神経の前記目標領域がその中に位置する位置において頸動脈鞘の周りに前記絶縁要素の少なくとも一部を位置決めする工程を含む
、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記絶縁要素は第1の部分および第2の部分を含み、前記絶縁要素を留置する前記工程は、前記迷走神経の前記目標領域がその中に位置する位置において頸動脈鞘の周りに第1の部分を位置決めする工程と、前記第2の部分を前記頸動脈鞘内の前記内頸静脈の外面の周りに位置決めする工程とを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記絶縁要素の前記第2の部分は、前記内頸静脈の領域を径方向に圧縮するような形状を有し、前記リードの本体が、前記内頸静脈内の前記圧縮された領域の直径よりも大きい自由寸法を画定する予め形成した領域を含み、前記医療用リードを位置決めする前記工程は、前記内頸静脈内の前記医療用リードの長手方向の動きを妨げるために、前記内頸静脈の前記圧縮された領域に接触するように前記予め形成した領域を位置決めする工程を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、神経を刺激するためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、本開示は、迷走神経の目標領域に近接または隣接する他の構造への刺激を避けながら、内頸静脈内の位置から迷走神経の目標領域を刺激するためのシステムおよび対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な内科的疾患、精神疾患、および神経疾患を治療および管理するための神経刺激の利用には、とりわけ心臓病、てんかん、肥満症、および呼吸障害の治療のための利用を含めて、最近の数十年にわたって大幅な成長が認められている。例えば、神経の刺激による自律神経のバランスの調整が可能であることが示されており、また、心筋梗塞(MI)後のさらなるリモデリングおよび致命的な不整脈の素因からの心筋の保護など、臨床上の明確な利点を有することが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】一実施形態による、頸動脈鞘内に位置する患者の迷走神経の領域を刺激するためのシステムの概略図。
図2図1に示すシステムの拡大部分概略図。
図3図1のシステムで使用する絶縁要素の一実施形態の部分切り欠き図。
図4図1のシステムで使用するリードを有する絶縁要素の一実施形態の部分切り欠き図。
図5図1のシステムで使用する絶縁要素の一実施形態の部分切り欠き図。
図6】一実施形態による、頸動脈鞘内に位置する患者の迷走神経の領域を刺激するためのシステムの概略図。
図7】一実施形態による、頸動脈鞘内に位置する患者の迷走神経の領域を刺激するためのシステムの部分概略図。
【発明を実施するための形態】
【0004】
複数の実施形態を開示しているが、当業者には、例示的な実施形態を示し説明している以下の詳細な説明から、さらに他の実施形態が明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示であり限定的ではないと解釈されるべきである。
【0005】
本発明は様々な改変例および代替形態をとることができ、図面には特定の実施形態が例示として示されており、それらについては以下で詳細に説明する。しかし、本発明は、説明するそれらの特定の実施形態に本発明を限定するものではない。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれる全ての改変例、等価物、および代替例を包含するものである。
【0006】
図1は、頸動脈鞘10内に位置する患者の迷走神経6の領域を刺激するためのシステム2の概略図(図1に断面で示す)であり、図2はシステム2の拡大部分概略図である。知られている通り、頸動脈鞘10は、総頸動脈(図示せず)、内頸静脈(IJV)14、および迷走神経6を包む複数層の筋膜から構成されている。図示のように、システム2は、リード18、植え込み式のパルス発生器22、および絶縁要素25を含み、絶縁要素25は絶縁シース26およびステント様の定着部材27を含む。例示の実施形態では、リード18はパルス発生器22に接続されており、パルス発生器22は電源またはバッテリ28を含む。さらに、絶縁要素25はリード18の周りに配設されており、リード18はIJV14内に配置される。
【0007】
様々な実施形態において、心疾患を治療するために、システム2を用いて迷走神経6を選択的に刺激する。このように、様々な実施形態において、リード18は電極(図1に図示せず)を含み、電極は、植え込まれているときに迷走神経6に電気刺激因子を送達するように、パルス発生器22の電子部品および電源28に電気的に動作可能に接続されている。さらに、図1に示すように、絶縁要素25は、植え込まれているときにリード18の周りに配設されており、前述の電極から発せられる電気刺激因子が頸動脈鞘10外の神経もしくは筋肉組織またはIJV14に向けられるのを防止することによって、こうした神経または組織への望ましくない刺激を妨げるように動作する。したがって、絶縁要素25は、頸動脈鞘10内の選択した構造体、例えば、迷走神経6に刺激因子を限定するように動作する。したがって、システム2により、意図しない解剖学的構造へのエネルギー伝導を最小限に抑えながら所望の目標、例えば、迷走神経6に向けて刺激因子を方向付けすることによって、最適な刺激結果が容易にもたらされる。
【0008】
例示の実施形態では、絶縁要素25はIJV14内に配設される。様々な実施形態において、リード18および絶縁要素25を、別々の要素として提供し、植え込み後にin situで互いに接続することができる。あるいは、様々な実施形態において、リード18および絶縁要素25を一体の要素として予め組み立てることができる。
【0009】
図1に示すように、リード18は長尺状の絶縁性のリード本体34を含み、そのリード本体34は基端38から先端42に延在する。リード18は、リード本体34の基端38に配置されたコネクタ(図示せず)によってパルス発生器22に接続される。様々な実施形態において、リード本体34は患者の動きを可能にするように全体に可撓性である。いくつかの実施形態では、リード本体34は、手術による植え込みのためにリード本体34を強化するために、ガイドワイヤまたはスタイレットなどのガイド部材を受けるガイド・ルーメンを1つまたは複数含むことができる。
【0010】
様々な実施形態によれば、リード18は導体を複数含むことができ、その導体は、リード本体34内をリード本体34の基端38から先端42に向かう方向に延在するワイヤ、コイル、またはケーブルを含む。導体は、シリコーン、ポリウレタン、エチレンテトラフルオロエチレン、または別の生体適合性の絶縁性ポリマーなどの絶縁体によって絶縁することができる。例示的な一実施形態では、導体は同径の設計を有する。この実施形態では、個別の導体はそれぞれ、別々に絶縁され、次いで、平行に一緒に巻回されて、単一のコイルが形成される。別の例示的な実施形態では、導体は、同軸であり同径でない構成を有する。様々な実施形態において、個別の導体はシングル・フィラまたはマルチ・フィラのコイル導体でよい。さらに他の実施形態では、1つまたは複数の導体は撚りケーブル導体であり、それぞれリード本体34の前述のルーメンのうちの1つを通ってルート設定されている。要約すると、様々な実施形態は、リード18内の特定の導体の構成に限定されない。
【0011】
様々な実施形態において、絶縁要素25は、リード18を包囲できるいくつかの構成を有することができ、リード18はIJV14内に配置されている。その構成により、頸動脈鞘10外の神経または解剖学的構造の望ましくない刺激を事実上防止しながら、迷走神経6を選択的に刺激することが可能になる。図1および図2に示すように、絶縁要素25はリード18の周りに配設される。様々な実施形態において、絶縁要素25は、IJV14内に嵌まりリード18を事実上包囲するように構成されており、リード18から発せられる電気刺激パルスを、迷走神経6に向けて伝達可能にするために、窓(図1または図2に図示せず)が、迷走神経6に隣接し迷走神経6と位置合わせされるように位置決めされるように構成されている。しかし、代替の実施形態では、本明細書でさらに詳細に説明するように、絶縁要素25は、IJV14または頸動脈鞘10の外側に巻き付けられるよう
に構成され得、リード18はIJV14内に配置されている。
【0012】
図示のように、絶縁要素25は、ステント様の定着部材27および絶縁シース26を含む。絶縁シース26は、可撓性で絶縁性の生体適合性材料シートから形成することができる。絶縁シース26に使用できる適切なポリマーには、例えば、シリコーン、ポリウレタン、ポリシロキサンウレタン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、および延伸超高分子量ポリエチレン(eUHMWPE)が含まれるが、他のものも企図される。あるいは、絶縁シース26は、絶縁材料製の外面またはコーティングを有する可撓性の材料シートから構成されてもよい。こうした絶縁材料の例には、絶縁シース26に使用できる上記で列挙した材料が含まれるが、それらに限定されない。組み立てられた絶縁要素25の構成および絶縁要素25の組み立て方法に応じて、絶縁シース26の材料の所望の可撓性を変えてもよい。
【0013】
一実施形態では、絶縁シース26は、絶縁シース26を蛍光透視下で視覚化できる放射線不透過性の材料から作製するか、またはそれを含むことができる。例えば、一実施形態では、絶縁シース26は、蛍光透視下で目に見えるが絶縁シース26の電気絶縁性には実質的に影響しない放射線不透過性の充填材、例えば、オキシ炭酸ビスマスまたは同等の材料で充填することができ、したがって、絶縁シース26は、絶縁シース26の経血管の送達中に臨床スタッフによって蛍光透視下で視覚化できるように十分に放射線不透過性になる。
【0014】
組み立てると、絶縁シース26は、ほぼ管状または円筒形にすることができる。絶縁シース26は、組み立てたときに絶縁シース26の1つの端部の直径が反対側の端部の直径よりも大きくなるようにテーパ状にすることもできる。様々な実施形態において、絶縁シース26を形成する材料は断面の厚さが一様でもまたは一様でなくてもよい。様々な実施形態において、絶縁シース26は、植え込まれたときにその組み立てた最終の(例えば、管状の)形状に向かって付勢されるように形状記憶を有するように構成され得る。
【0015】
絶縁シース26は、血栓を形成しない材料または薬剤を溶出する材料など、追加のコーティングを含むことができる。絶縁シース26は、絶縁シース26を通した組織の内方成長を防止するような1つまたは複数の材料から構成または形成され得る。
【0016】
一実施形態では、図1および図2に示すように、絶縁シース26は、ステント様の定着部材27に取り付けることもでき、その定着部材27は、IJV14内で適位置に絶縁要素25を保持するように動作する。ステント様の定着部材27は、様々な生体適合性の材料から構築することができる。いくつかの実施形態では、ステント様の定着部材27は、例えば、とりわけステンレス鋼またはNitinol(商標)のワイヤメッシュなどのワイヤメッシュから構築することができる。ステント様の定着部材27は、IJV14内の植え込み箇所に送達するための折り畳んだ構成から、図1および図2に示すような展開した構成に移行するように構成され得る。一実施形態では、ステント様の定着部材27はバルーン拡張型とすることができる。別の実施形態では、ステント様の定着部材27は自己拡張型とすることができる。展開した構成のときは、ステント様の定着部材27は、外径がIJV14の内径よりも大きくなるように拡張して、IJV14内に絶縁シース26を固定し安定させるようにIJV14の血管壁に径方向に拡張する十分な量の力を加えることができる。絶縁シース26は、ステント様の定着部材27を用いて拡張するように構成され得る。
【0017】
様々な実施形態において、ステント様の定着部材27は、ステント様の定着部材27の留置中にも留置後にも蛍光透視下で視覚化できるように、放射線不透過性の材料から作製
される。この放射線不透過性により、有利には、所望の植え込み位置において、ステント様の定着部材27が、したがって絶縁要素25が容易に位置特定される。絶縁シース26およびステント様の定着部材27がリード18の留置の前に互いに独立に留置される実施形態では、ステント様の定着部材27の放射線不透過性により、臨床医がステント様の定着部材27をリード18の所望の位置決めのための目標物として用いることが可能になる。
【0018】
図3は、図1および図2の絶縁要素25の部分切り欠き図である。図示の実施形態では、絶縁シース26はステント様の定着部材27の周りに配設され、ステント様の定着部材27は、植え込むときにIJVの内壁に対して適位置に絶縁シース26を保持するように動作する。絶縁シース26には窓29(または開口部)が含まれ、植え込みの際にその窓を迷走神経または他の目標の神経に向けることができる。窓29により、絶縁シース26内のリード上の電極からの電気刺激因子または刺激エネルギーを、例えば迷走神経に向けられることが可能になる。こうした窓29は、絶縁要素25が頸動脈鞘10内に配置される実施形態において含まれる。
【0019】
絶縁シース26の窓29は、様々な形状または構成をとることができる。図3に、絶縁シース26の長手方向の長さに延在する隙間の形態の長尺窓29を示す。あるいは、窓29は絶縁シース26の全長よりも短い長さだけ延在することができる。別の代替の実施形態では、窓29は、絶縁シース26に沿って延在する1連の穿孔を備えることができる。
【0020】
別の実施形態では、窓29は、電気を通す材料もしくは電気透過性の材料の領域、または導電性の材料の領域として構成され得、その領域を通して電気刺激因子を迷走神経6に向けられる。こうした実施形態では、用語「窓(window)」は、材料が存在しない領域でなく、絶縁シース26を形成する電気絶縁が不連続であることを指す。こうした実施形態は、物理的な不連続性を有しない、切れ目のないシースを提供するというさらなる利点を有することができ、これは、絶縁シース26の構造上の完全性を強化することができる。
【0021】
図4は絶縁要素25の部分切り欠き図であり、ステント様の定着部材27の内面64上に配置されたリード18が絶縁シース26の窓29(すなわち、絶縁されていない部分)に近接しているところを示す。図示のように、リード18は電極50を複数(図4には3つ示す)含み、それらの電極50は、電気刺激因子が窓29を通して径方向外側に向けられる。様々な実施形態において、少なくとも1つの電極50の電気的に活性の面は、窓29に向かう方向、および迷走神経または目標の神経構造のうちの刺激される領域に向かう方向に向けることができる。様々な実施形態において、電極50はリング形または部分的にリング形の電極とすることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、絶縁要素25とリード18とを連結し、一緒に植え込むことができる。あるいは、絶縁要素25とリード18を分離し、互いに独立に植え込むことができる。絶縁要素25とリード18とが別々に植え込まれる場合は、それらの構成要素を互いに取り付ける手段を含むことができる。例示的な取り付け手段が図4に示されている。例示のように、第1組の磁石80をリード18上に配置し、第1組の磁石80とは反対の電荷を有する、対応する第2組の磁石(図示せず)を、絶縁要素25の絶縁シース26および/またはステント様の定着部材27上に配置するかまたは内部に埋め込むことができる。一実施形態では、別個の磁石を追加する代わりに、ステント様の定着部材27の各領域を磁性にすることができる。
【0023】
他の適切な取り付け手段も企図される。例えば、絶縁シース26および/またはステント様の定着部材27は、その外面または内面の少なくとも一部にわたって粘着性または接
着性の表面コーティングを備えて、リード本体34との摩擦係合を強化することができる。別の実施形態では、絶縁シース26および/またはステント様の定着部材27は、協働してリード本体34に係合するように構成されたプロングまたはフックを1つまたは複数を含むことができる。さらに別の実施形態では、リード本体34は、絶縁要素25に係合するように構成されたプロング、フック、または留め具などの突起を1つまたは複数含むことができる。様々な実施形態において、使用する特定の取り付け機構は、リード18を絶縁要素25から取り外しできるように切り離すことができて、起こり得る、後からのリード18の取り出しが可能になる。
【0024】
図5に、絶縁シース126およびそれに接続されたステント様の定着部材127を含む代替の絶縁要素125の別の例示的な構成を示す。図示の代替の実施形態では、ステント様の定着部材127は、絶縁シース126から径方向外側に配置することができ、絶縁シース126はステント様の定着部材127の内面に取り付けられる。様々な実施形態において、本明細書に別段の説明がない限り、絶縁シース126およびステント様の定着部材127は、通常は、図4に関して本明細書で説明した絶縁シース26またはステント様の定着部材27と事実上同じかまたは全く同一になるように構成され得る。
【0025】
説明したシステム2の様々な植え込み方法が可能である。一実施形態では、リード18を絶縁要素25と別個に、例えば本明細書に上記で論じたように送達することができる。こうした実施形態では、リード18をin situで絶縁要素25に連結することができる。本明細書では絶縁シース26およびステント様の定着部材27を含む絶縁要素25を留置する送達技法について言及しているが、シース126およびステント様の定着部材127を含む絶縁要素125を留置するのに事実上同じかまたは同一の技法を用いることができることを強調しておく。
【0026】
様々な実施形態において、デリバリ・カテーテルを用いて、ステント様の定着部材27に接続された絶縁シース26を含む絶縁要素25を、リード18上の電極領域に隣接する位置に前進させ得る。絶縁要素25を、デリバリ・カテーテルの送達中に折り畳んだ構成内に維持し、次いでデリバリ・カテーテルから留置することができる。絶縁要素25をデリバリ・カテーテルから切り離す前またはその間に、窓29を迷走神経6に向けることができるように絶縁要素25を回転させ得る。
【0027】
様々な実施形態において、上記で論じたように、絶縁シース26および/またはステント様の定着部材27は、放射線不透過性であり、したがって、蛍光透視下で目に見え、リード18とは独立に留置される。こうした実施形態では、まず絶縁要素25を所望の植え込み位置において留置および固定し、IJV14内に位置決めする。絶縁要素25は、蛍光透視下で目に見えるので、有利には、留置された絶縁シース26およびステント様の定着部材27によって画定された内部空間内に電極50を配置するための目標を提供することができる。
【0028】
様々なリード送達技法を用いてリード18を目標位置に送達することができる。一実施形態では、IJV14内のその位置までガイドワイヤ上でリード18を前進させ得る。他の実施形態では、ガイド・カテーテルまたはスタイレットを用いてリード18を送達することができる。
【0029】
一実施形態では、絶縁シース26およびステント様の定着部材27を含む絶縁要素25をデリバリ・カテーテルから部分的に留置し、続いて、リード18を同じデリバリ・カテーテルから前進させ得、そのため、部分的に留置したシース26および定着部材27の内部に、したがってIJV14の血管壁70(図2)の比較的近くに、電極50を位置決めすることができる。部分的に留置した絶縁要素25は、窓29を通って迷走神経6に至る
電気刺激因子の送達に最適な位置が確認されるまで、回転および再位置決めすることができる。様々な実施形態において、迷走神経6への急な刺激を用いて、位置での窓29に関するリード18の配置が迷走神経6への最適な刺激を生じて所望の生理作用を生み出しているかを判定することができる。生み出され続いてモニタリングできる生理作用には、反回神経(RLN)(迷走神経の分枝)の活性化による喉頭筋の振動、心拍数、血圧、声の変化、または脳波信号が含まれる。所望の生理作用を生じる刺激のための最適な部位が確認されるまで、必要に応じて、リード18または絶縁要素25を再位置決めすることができる。迷走神経6のうちの刺激する領域が確認されると、絶縁要素25を植え込み位置で完全に拡張し、リード18を絶縁要素25内に完全に留置および固定することができる。
【0030】
図6は、患者の迷走神経206のうちの頸動脈鞘210内に位置する領域を刺激する代替のシステム200の概略図である。システム200は、(基端238および先端242を有するリード本体234を含む)リード218、(電源228を含む)パルス発生器222、および例示の実施形態では電気絶縁性の材料から作製されたシースである絶縁要素226を含む。図6に関して明確に論じられる場合を除いて、リード218、パルス発生器222、および絶縁要素226、ならびにそれらの構成要素は、本明細書の他の箇所で論じたリード18、パルス発生器22、および絶縁シース26、126と事実上同様または同一とすることができる。
【0031】
図示のように、リード218は、IJV214に配置され、迷走神経206を刺激する治療の電気刺激因子を発生するように構成されている。さらに、完全に植え込まれると、絶縁要素226は、リード218上の電極(図示せず)を含む、絶縁要素226の軸方向の長さ内に位置する頸動脈鞘210の構造体を事実上または完璧に包囲するように、頸動脈鞘210の周りに配設される。
【0032】
絶縁要素226は、IJV214内の植え込み位置にリード218を送達する前にまたはその後に、頸動脈鞘210の周りに植え込むことができる。様々な実施形態において、絶縁要素226の対向する縁部は、縫合糸を用いて互いに接合できる相補的な縫合用の孔を含むことができる。しかし、縁部を接合する他の代替の手段も企図され、接着剤、フックおよびループによるファスナ機構、または他の同等の接合技法もしくは特徴部を含むことができる。
【0033】
一実施形態では、絶縁要素226は、形状記憶を有する材料から形成することもでき、絶縁要素226が頸動脈鞘210の周りに配設されるときに変形した後で、絶縁要素226が所定の管形状に戻る(すなわち、予めコイル状にされている)ようにして形成されてもよい。こうした実施形態では、絶縁要素226は、植え込み中に頸動脈鞘210の周りにフィットするように広がり、次いで、それ自体の周りでらせん状になって閉じることを可能にすることができる。
【0034】
絶縁要素226は、頸部の皮膚に形成した小切開部を通して植え込むことができる。一実施形態では、頸動脈鞘210にアクセスするために臨床医が静脈切開法を用いる。頸動脈鞘210の近くで切開した後に、臨床医は、絶縁要素226を頸動脈鞘210の周りで組み立て可能にするために頸動脈鞘210の周りの空間を完璧にクリアにすることができる。次いで、絶縁要素226は、頸動脈鞘210の周りに巻き付けられ、適位置に固定される。
【0035】
例示的な植え込み方法によれば、リード218は、本明細書で上記に説明した方法に従ってIJV214内に植え込むことができる。一実施形態では、絶縁要素226は、放射線不透過性マーカを含むことができるか、または蛍光透視を用いて目に見えるようにするために放射線不透過性の材料から作製することができる。放射線不透過性である絶縁要素
226は、続いて頸動脈鞘210のうちの絶縁要素226によって包囲された部分内にリード218を植え込む間に、例えば、リード218上の電極(図示せず)のための所望の植え込み位置を位置特定するための蛍光透視下で可視化された目標を提供することによって、医師を助けることができる。
【0036】
図7は、患者の迷走神経316のうちの頸動脈鞘310内に位置する領域を刺激する別の代替のシステム302の部分概略図である。頸動脈352、IJV314、および迷走神経316を含む、頸動脈鞘310の構造体の一部が示されている。図示のように、システム302は、リード318(想像輪郭線で例示する)および絶縁要素327を含む。例示の実施形態では、リード318は、IJV314内に配置される。リード318は、予め形成した領域319と、予め形成した領域319から離れて配置される複数の電極350を含む。電極350は、電気刺激因子を迷走神経316に提供するように構成されている。予め形成した領域319は、植え込まれるときにIJV314の内面に係合することによってリード318を定着させるのを助けるように構成されている。例示の実施形態では予め形成した領域319が3次元のらせんの形態をとるが、他の実施形態では、リード318の予め形成した領域319は、2次元の形状または3次元の他の形状を含む、様々な予め形成した形状を含むことができる。
【0037】
図7にさらに示すように、絶縁要素327は、長手方向の2つの部分327Aおよび327Bを有する。部分327Aは、頸動脈鞘310のうちのリード318の電極350が配置された部分を包囲するように植え込まれるように構成されている。さらに、絶縁要素327の第2の部分327Bは、図7に例示するように、IJV314そのものに巻き付けられるように構成されている。さらに図示するように、第1の部分327Aと第2の部分327Bとは互いに異なる直径を有し、第2の部分327Bは第1の部分327Aよりも直径が小さい。さらに、様々な実施形態において、図7に示すように、第2の部分327Bは、IJV314の自然の直径よりも直径の小さい縮径部分を含むようにテーパ状のプロフィルを含むこともできる。こうした縮径部分は、リード318のらせん形の予め形成した領域319の自由径よりも小さい寸法までIJV314の直径を局部的に縮小するように働き、その領域319は例示の実施形態では植え込まれたときに部分327Bの縮径部分の上方に位置決めされている。こうした構成では、リード318の予め形成した領域319と、部分327Bの縮径部分内のIJV314との相互作用が、IJV314内のリード318の動き(例えば、後退する動き)を制限するかまたは妨げるように働く。
【0038】
リード318および絶縁要素327を、本明細書に上記で説明した方法を用いて植え込むことができる。例えば、上記で説明した既知の経血管のリード送達技法を用いてリード318を送達することができる。他の実施形態と同様に、絶縁要素327は、リード318を送達する前に絶縁要素327を位置決めするときに、蛍光透視下で絶縁シース327を視覚化することにより、所望の植え込み位置にリード318を容易に位置決めできるように、放射線不透過性の材料から作製するかまたはその材料を含むことができる。
【0039】
様々な実施形態において、絶縁要素部分327Aは、絶縁要素226に関して他の箇所で論じたように、頸動脈鞘310の周りに位置決めし固定することができる。部分327Aが位置決めされると、絶縁要素の部分327Bを頸動脈鞘310の筋膜の組織間または層間に植え込み、IJV314の周りに配置することができる。例えば、所望の場合は、トロカールを用いて、絶縁要素の部分327Bを植え込むために繊維または組織を切り離すことができる。
【0040】
別の代替の実施形態では、絶縁要素の部分327Aが省かれ、IJV314の周りに配設されるように構成された部分327Bだけが利用される。
例1は、内頸静脈内の位置から迷走神経の目標領域を刺激するためのシステムである。
このシステムは、医療用リードと絶縁要素とを備える。医療用リードは、基端から先端に延在するリード本体と、前記基端から前記先端に向かう方向に前記リード本体内を延在する導体と、前記リード本体上に配置されており前記導体に動作可能に接続される1つ以上の電極と、を備える。前記電極は、前記内頸静脈内の前記位置から迷走神経の目標領域に電気刺激因子を経血管的に送達するように構成されている。絶縁要素は、電気絶縁性材料からなる可撓性シートから形成された絶縁シースを備え、前記絶縁シースは、前記内頸静脈内に植え込まれ前記リードの周りに配設され、前記迷走神経に近接する神経構造を刺激から絶縁するように構成されている。前記絶縁シースは、前記リードと前記迷走神経の前記目標領域との間に配置されるように構成された少なくとも1つの窓を含み、前記窓を通して、前記電気刺激因子を前記迷走神経の前記目標領域に送達できる。
【0041】
例2では、前記絶縁要素は、折り畳んだ送達構成から展開した構成に拡張するように構成されたステント様の定着部材を備え、展開した構成では、前記ステント様の定着部材は前記絶縁シースを前記内頸静脈の内壁に固定するように構成されている、例1に記載のシステム。
【0042】
例3では、前記ステント様の定着部材はバルーン拡張型である、例2に記載のシステム。
例4では、前記ステント様の定着部材は自己拡張型である、例2又は3に記載のシステム。
【0043】
例5では、前記絶縁シースは前記ステント様の定着部材の周りに径方向に配設される、例2〜例4のいずれかに記載のシステム。
例6では、前記ステント様の定着部材は前記絶縁シースの周りに径方向に配設され、前記絶縁シースは前記ステント様の定着部材に取り付けられる、例2〜例4のいずれかに記載のシステム。
【0044】
例7では、前記窓は複数の穿孔からなる、例1〜例6のいずれかに記載のシステム。
例8では、前記窓は電気を通す材料を含む、例1〜例7のいずれかに記載のシステム。
例9は、頸動脈鞘の内頸静脈内の位置から迷走神経の目標領域を刺激するためのシステムである。このシステムは、医療用リードと絶縁要素とを備える。医療用リードは、基端から先端に延在するリード本体と、前記基端から前記先端に向かう方向に前記リード本体内を延在する導体と、前記リード本体上に配置されており前記導体に動作可能に接続される1つ以上の電極と、を備える。前記電極は、前記内頸静脈内の前記位置から迷走神経の目標領域に電気刺激因子を経血管的に送達するように構成されている。絶縁要素は、電気絶縁性材料からなる可撓性シートから形成された絶縁シースを備え、前記絶縁シースは、植え込まれているときは前記頸動脈鞘の少なくとも一部を包囲するようにほぼ管形状をとるように構成され、前記電気刺激因子が前記リードの電極によって前記迷走神経の前記目標領域に送達されるときに前記迷走神経に近接する神経構造を刺激から絶縁するために、前記リードの電極が植え込まれるときにその中に位置決めされる前記頸動脈鞘の前記一部を包囲するように構成される。
【0045】
例10では、前記リード本体は、前記内頸静脈内の所望の部位に前記リード本体を固定し安定させるよう前記内頸静脈の内壁に係合するように構成された予め形成した領域を備える、例9に記載のシステム。
【0046】
例11では、前記絶縁シースは第1の部分および第2の部分を備え、前記第1の部分は前記頸動脈鞘を包囲するように構成され、前記第2の部分は、前記内頸静脈の局部的な領域を径方向に圧縮するために、前記内頸静脈を包囲し前記内頸静脈の外面に接触するように構成されている、例9又は例10に記載のシステム。
【0047】
例12では、前記リード本体は、前記内頸静脈内の所望の部位に前記リードを固定し安定させるように前記内頸静脈の前記局部的な領域の内壁に係合するように構成された予め形成した領域を備える、例9〜例11のいずれかに記載のシステム。
【0048】
例13は、内頸静脈内の位置から迷走神経の目標領域を刺激するための方法である。この方法は、前記迷走神経の前記目標領域に近接する位置に、少なくとも部分的に放射線不透過性である絶縁要素を留置する工程を備える。次いで、この方法は、前記絶縁要素を留置した後に、少なくとも1つの電極を含む医療用リードの所望の植え込み部位を判定するために前記留置した絶縁要素を蛍光透視下で視覚化しながら、前記医療用リードを前記内頸静脈内で前進させる工程を備える。この方法は、さらに前記少なくとも1つの電極が前記絶縁要素によって包囲されるように、前記内頸静脈内に位置決めされた前記少なくとも1つの電極を有する前記医療用リードを位置決めする工程と、前記少なくとも1つの電極を介して前記迷走神経に電気刺激因子を供給するように前記医療用リードをパルス発生器に動作可能に接続する工程と、を備える。前記絶縁要素は、前記迷走神経に近接する神経を前記電気刺激因子への曝露から電気的に絶縁するように動作する。
【0049】
例14では、前記絶縁要素を留置する前記工程は、折り畳んだ構成の前記絶縁要素をデリバリ・カテーテル内で、前記迷走神経の前記目標領域に近接する前記内頸静脈内の位置まで前進させる工程と、前記絶縁要素を前記デリバリ・カテーテルから解放し、それにより、前記絶縁要素が、前記絶縁要素が前記内頸静脈の内壁に対して固定された展開した構成をとるようにするかまたはそれを可能にする工程と、を備える。
【0050】
例15では、前記絶縁要素を留置する前記工程は、前記絶縁要素上の電気を通す窓を前記迷走神経に向ける工程をさらに備え、前記医療用リードを位置決めする前記工程が、前記窓を通して前記迷走神経に向けて前記電気刺激因子を向けられるように、前記少なくとも1つの電極を位置決めする工程を含む、例13又は例14に記載の方法。
【0051】
例16では、前記絶縁要素は絶縁シースおよびステント様の定着部材を含み、前記ステント様の定着部材が、前記内頸静脈の前記内壁に対して前記絶縁要素を固定するために、送達のための前記折り畳んだ構成から前記展開した構成に移行するように構成されている、例13〜例15のいずれかに記載の方法。
【0052】
例17では、前記医療用リードの前記電極が前記迷走神経の前記目標領域に隣接するように前記リードを前記絶縁要素に固定する工程をさらに含む、例13〜例16のいずれかに記載の方法。
【0053】
例18では、前記絶縁要素を留置する前記工程は、前記迷走神経の前記目標領域がその中に位置する位置において前記頸動脈鞘の周りに前記絶縁要素の少なくとも一部を位置決めする工程を含む、例13に記載の方法。
【0054】
例19では、前記絶縁要素は第1の部分および第2の部分を含み、前記絶縁要素を留置する前記工程は、前記迷走神経の前記目標領域がその中に位置する位置において前記頸動脈鞘の周りに第1の部分を位置決めする工程と、前記第2の部分を前記頸動脈鞘内の前記内頸静脈の外面の周りに位置決めする工程とを含む、例13〜例18のいずれかに記載の方法。
【0055】
例20では、前記絶縁要素の前記第2の部分は、前記内頸静脈の領域を径方向に圧縮するような形状を有し、前記リードの本体が、前記内頸静脈内の前記圧縮された領域の直径よりも大きい自由寸法を画定する予め形成した領域を含み、前記医療用リードを位置決め
する前記工程は、前記内頸静脈内の前記医療用リードの長手方向の動きを妨げるために、前記内頸静脈の前記圧縮された領域に接触するように前記予め形成した領域を位置決めする工程を含む、例19に記載の方法。
【0056】
論じた例示的な実施形態に、本発明の範囲から逸脱することなく様々な改変および追加を行うことができる。例えば、上記で説明した実施形態は特定の特性に関連しているが、本発明の範囲には、様々な特性の組み合わせを有する実施形態および説明した特性の全てを含まない実施形態も含まれる。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲内に含まれるこうした代替例、改変例、および変形例の全てを、それらの等価物全てと共に包含するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】