(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-512179(P2015-512179A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(54)【発明の名称】ブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタ
(51)【国際特許分類】
H03H 7/01 20060101AFI20150327BHJP
F02N 11/08 20060101ALI20150327BHJP
H02K 23/66 20060101ALI20150327BHJP
H02K 11/00 20060101ALI20150327BHJP
H02K 5/00 20060101ALI20150327BHJP
H03H 7/075 20060101ALI20150327BHJP
【FI】
H03H7/01 Z
F02N11/08 Z
H02K23/66 Z
H02K11/00 X
H02K5/00 B
H03H7/075 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-553722(P2014-553722)
(86)(22)【出願日】2013年1月24日
(85)【翻訳文提出日】2014年9月22日
(86)【国際出願番号】EP2013051369
(87)【国際公開番号】WO2013110724
(87)【国際公開日】20130801
(31)【優先権主張番号】1250664
(32)【優先日】2012年1月24日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100179338
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ブランシェ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ピラール
(72)【発明者】
【氏名】アラン、セルバン
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
5H623
5J024
【Fターム(参考)】
5H605AA11
5H605BB05
5H605BB09
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5H611TT06
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5J024AA01
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5J024DA03
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5J024EA08
(57)【要約】
本発明は、少なくとも、正のモータ電源端子とバッテリの正の端子(+Bat)との間に挿入された第1のリアクティブインピーダンス要素(L1)と、負のモータ電源端子と自動車のアース(−Bat)との間に挿入された第2のリアクティブインピーダンス要素(L2)とによって形成されたコイル電磁両立性(EMC)フィルタに統合された、少なくとも、第1の容量性電気インピーダンス要素(C1)と、第2の容量性電気インピーダンス要素(C2、C3)とを備えるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタに関する。本発明によれば、第1の容量性電気インピーダンス要素(C1)は、正の端子と負のモータ電源端子との間に並列に接続され、第2の容量性電気インピーダンス要素(C2、C3)は、第1の容量性インピーダンス要素(C1)の容量より低い容量を有し、バッテリの正の端子(+Bat)とモータのアース端子(−Bat)との間に並列に接続される。本発明は、任意のタイプの自動車のフロントガラスワイパーモータ用の機器に適したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタであって、正のモータ電源端子とバッテリの正の端子(+Bat)との間に挿入された少なくとも1つの第1のリアクティブインピーダンス(L1)と、負のモータ電源端子と自動車の接地(−Bat)との間に挿入された第2のリアクティブインピーダンス(L2)とによって形成された電磁両立性(EMC)インダクタンスを有するフィルタに組み込まれた、少なくとも、
−前記正および負のモータ電源端子の間に並列に接続された第1の容量性電気インピーダンス(C1)と、
−前記第1の容量性インピーダンス(C1)の電気容量より小さい電気容量を有し、前記バッテリの前記正の端子(+Bat)と前記モータの接地端子(−Bat)との間に並列に接続された第2の容量性電気インピーダンス(C2、C3)と、
を備えるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタ。
【請求項2】
前記第2の容量性インピーダンス(C2、C3)は、直列に接続された電気キャパシタ(C2)、(C3)からなり、前記2つの電気キャパシタ(C2、C3)の中点は、前記モータの金属フレーム(CM)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタ。
【請求項3】
第1の電気キャパシタ(C1)、第2の電気キャパシタ(C2)および第3の電気キャパシタ(C3)は、1μF未満の同一の値を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタ。
【請求項4】
前記第1のリアクティブインピーダンス(L1)の入力端子と前記バッテリの前記正の端子(+Bat)との間および前記第2のリアクティブインピーダンス(L2)の出力端子と前記自動車の前記接地端子(−Bat)との間に直列に挿入された少なくとも1つの第3のリアクティブインピーダンス(Z3)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタ。
【請求項5】
後者は、前記モータの補助電源回路に直列に挿入された第4のリアクティブインピーダンス(Z4)を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタ。
【請求項6】
前記第3のリアクティブインピーダンス(Z3)および前記第4のリアクティブインピーダンス(Z4)は、同一値のインピーダンスを有し、好ましくは100MHzから1GHzまでの周波数帯域において50Ωより高い値を有することを特徴とする、請求項4または5に記載のブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタ。
【請求項7】
前記第3のリアクティブインピーダンス(Z3)および/または前記第4のリアクティブインピーダンス(Z4)は、フェライト磁心インダクタンスから構成されることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載のブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタ。
【請求項8】
フェライト磁心を有する前記リアクティブインピーダンス(Z3、Z4)のの少なくとも一つは、
−中央長手ハウジング(Z3alc、Z4alc)を有する第1のフェライト磁心要素(Z3a、Z4a)と、
−前記第1のフェライト磁心要素の前記中央長手ハウジング(Z3alc、Z4alc)と同一である中央長手ハウジング(Z3blc、Z4blc)を有する第2のフェライト磁心要素(Z3b、Z4b)と、
によって形成され、
前記第1および第2のフェライト磁心要素(Z3a、Z4a)、(Z3b、Z4b)は、前記対向する中央長手ハウジングのレベルで、伝導性電源トラック(P1、P2)、(P3、P4)の1つを取り囲むブッシングを形成するように互いに対向して配置されていることを特徴とする、請求項7に記載のブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のフィルタを備えることを特徴とする、ブラシ付きDCモータ。
【請求項10】
前記フェライト磁心インピーダンス(Z3、Z4)の少なくとも1つは、前記モータの少なくとも1つの主電源トラックまたは補助電源トラックを取り囲むように配置されていることを特徴とする、請求項9に記載のモータ。
【請求項11】
モータ遮蔽板(PF)を備え、
フェライト磁心を有する前記リアクティブインピーダンスの少なくとも1つは、好ましくは、バッテリ電源端子(+Bat)または自動車の接地端子(−Bat)または前記モータの補助電源回路にリンクされた伝導性電源トラック(P1、P2)、(P3、P4)を取り囲むように、前記モータ遮蔽板(PF)上に配置されていることを特徴とする、請求項9または10に記載のモータ。
【請求項12】
伝導性電源トラック(P1、P2)と、前記伝導性電源トラック(P1、P2)または前記モータの補助電源トラック(P3、P4)の1つとを取り囲むフェライト磁心(Z3、Z4)を有する前記リアクティブインピーダンスの少なくとも1つが、前記モータ遮蔽板(PF)上に配置され、前記第1および前記第2のフェライト磁心要素(Z3a、Z4a)、(Z3b、Z4b)の各々は、好ましくは、前記モータ遮蔽板(PF)と同じ材料で作られたつめ(d3a)、(d3b)によって各々が互いに対向を維持されてフェライト磁心を有するインダクタンスを形成することを特徴とする、請求項11に記載のモータ。
【請求項13】
フェライト磁心(Z3、Z4)を有する前記リアクティブインピーダンスの少なくとも1つを形成する前記第1および第2のフェライト磁心要素の積層体の機械的密着力を確保する固定用フィンガ(dm)を備え、
前記フィンガは、モータ封止カバー(CE)と同じ材料で作られることが好ましいことを特徴とする、請求項9から12のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項14】
前記モータの前記接地端子は、前記モータの金属フレームによって形成されることを特徴とする、請求項9から13のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項15】
第1および第2のリアクティブインピーダンス(L1、L2)および第1および第2の容量性インピーダンス(C1、C2、C3)は、DCモータブラシ接続のための接地回路に属することを特徴とする、請求項9から14のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項16】
前記モータのインダクタと電気的接触状態に配置されているように構成された2つの電気接触領域(21、22)を有する金属板(2)を備え、
前記第1および第2の容量性電気インピーダンス(C1、C2)の各々は、
前記金属板(2)に電気的に接続される第1のブランチと、
第1のブラシ(B1)に接続される前記第1のリアクティブインピーダンス(L1)および第2のブラシ(B2)に接続される前記第2のリアクティブインピーダンス(L2)にそれぞれ電気的に接続される第2のブランチと、
を備えることを特徴とする、請求項15に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に装備するために使用されるDCモータ、特に、フロントガラスワイパーモータは、回転コレクタを備え、回転コレクタのセグメント上で、これらのセグメントと接触状態にあるブラシにより回転子への電力供給およびモータの駆動が可能になる。
【0003】
このタイプのモータの動作中、回転コレクタの個々のセグメントとブラシとの連続的な電気接触の切り換え時に、ブラシがコレクタの連続した個々のセグメントに接触することで、切り換え過渡現象が起こる。
【0004】
これらの過渡現象は、特に、コレクタの連続したセグメントとブラシとの接触の切り換え時に、不規則な調和振動数構造を有し、100MHz〜1GHzの範囲にあり得るが、高い振幅レベルの非常に高い周波数を有するパルスとして解析可能である浮遊および/または干渉信号を発生する。
【0005】
これらの浮遊および/または干渉信号は、自動車の電源および/または信号伝送線路を困難なく伝播する。
【0006】
このように、浮遊および/または干渉信号が、例えば、自動車の無線周波数受信機の音声回路を伝播するとき、自動車のユーザの快適性に関してだけでなく、特に、速度および/または制動制御部材などの自動車の部材のコマンド、制御または調整ラインを伝播するときの正確な動作に関して、さらには、安全性に関しても不利益を被るとされる。
【0007】
これらの浮遊および/または干渉信号はまた、現行の自動車に装備されている組み込みメモリおよび演算回路の正確な動作に関しても不利益である。
【0008】
これらの浮遊および/または干渉信号の振幅レベルを低減するために使用される従来技術の解決策の中から、一般に、モータの接続端子とバッテリの電源端子との間に挿入されるインダクタンスを有するフィルタシステムを備えるEMC(電磁両立性)フィルタが挙げられる。
【0009】
通常使用されるインダクタンス値の場合、このタイプのフィルタにより、およそ100MHz未満の調和成分を有する周波数に対して浮遊および/または干渉信号の適切な減衰を得ることが可能である。
【0010】
DCモータのコレクタのセグメントにブラシが接触することによって生じる浮遊および/または干渉信号の低減または削除を試みる他の解決策が提案されてきた。
【0011】
これらの中には、1つ以上のダイオードが追加された容量性フィルタタイプの回路が提案されてきた。導入されるダイオードの目的は、浮遊および/または干渉信号のパルスまたはスパイクのティッピングを本質的に行うことである。このような解決策は、例えば、米国特許第3732285号明細書に記載されている。
【0012】
欧州特許出願公開第336530号明細書に記載されているような別の解決策では、例えば、HF回路によってHF帯域のフィルタリングおよびLF回路によってLF帯域のフィルタリングが提供される。
【0013】
この解決策は、実装が複雑で、複数の回路の構造および設置を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、100MHz〜1GHzの周波数帯域に単一帯域フィルタリング構造を実装することで、従来技術のDCモータの電磁放射をフィルタリングするための解決策の欠点を修復することである。
【0015】
さらに、本発明の別の目的は、ブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタを実装することであり、このブラシ付きDCモータは、現行のEMCフィルタと完全に適合することで、結果的に、モータの容量および大きさを増大させることなく、現行のEMCフィルタへの組み込みや部分的追加が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、特に、フロントガラスワイパーモータを意図したものである。
【0017】
ブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、正のモータ電源端子とバッテリの正の端子との間に挿入された少なくとも1つの第1のリアクティブインピーダンスと、負のモータ電源端子と自動車の接地との間に挿入された第2のリアクティブインピーダンスとによって形成された電磁両立性インダクタンスを有するフィルタに組み込まれた、少なくとも、正および負のモータ電源端子の間に並列に接続された第1の容量性インピーダンスと、第1の容量性インピーダンスの電気容量より小さく、バッテリの正の端子とモータの接地端子との間に並列に接続された第2の容量性インピーダンスとを備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、第2の容量性インピーダンスが、直列に接続された電気キャパシタから構成され、2つの電気キャパシタの中点は、モータの金属フレームに接続されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、第1、第2および第3の電気キャパシタが、1μF未満の同じ値を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、第1のリアクティブインピーダンスの入力端子とバッテリの正の端子との間と、第2のリアクティブインピーダンスの出力端子と自動車の接地端子との間とに直列に挿入された少なくとも1つの第3のリアクティブインピーダンスをさらに備えることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰フィルタは、モータの補助電源回路に直列に挿入された第4のリアクティブインピーダンスを備えることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰フィルタは、第3および第4のリアクティブインピーダンスが、100MHzと1GHzとの間の周波数帯域において50オームより高い同一の値のインピーダンスを有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、第3および第4のリアクティブインピーダンスの各々がフェライト磁心インダクタンスからなることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、フェライト磁心を有する自己インダクタンスが、バッテリ電源端子または自動車の接地端子もしくはモータの補助電源回路にリンクされた各伝導性電源トラックを取り囲むようにモータ遮蔽板に配置されていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、フェライト磁心を有する自己インダクタンスの各々が、中央長手ハウジングを有する第1のフェライト磁心要素と、第1のフェライト磁心要素のものと同一である中央長手ハウジングを有する第2のフェライト磁心要素とによって形成され、第1および第2のフェライト磁心要素は、対向する中央長手ハウジングのレベルに、伝導性電源トラックの少なくとも1つを取り囲むブッシングを形成するように互いに対向して配置されていることを特徴とする。
【0026】
最後に、本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、各伝導性電源トラックと、伝導性電源トラックまたは補助電源トラックの各々とを取り囲むフェライト磁心を有する自己インダクタンスが、モータ遮蔽板に配置され、第1および第2のフェライト磁心要素の各々は、遮蔽板と同じ材料からなるつめによって各々が互いに対向を維持されてフェライト磁心を有するインダクタンスを形成することを特徴とする。
【0027】
本発明の別の主題は、ブラシ付きDCモータの電磁放射をフィルタリングするフェライト磁心を有するリアクティブインピーダンスである。このリアクティブインピーダンスは、中央長手ハウジングを有する第1のフェライト磁心要素と、第1のフェライト磁心要素のものと同一である中央長手ハウジングを有する第2のフェライト磁心要素とによって形成されることを特徴とする。第1および第2のフェライト磁心要素は、対向する中央長手ハウジングのレベルで、伝導性電源トラックの少なくとも1つを取り囲むブッシングを形成するように互いに対向して配置されている。
【0028】
また、本発明の主題であるリアクティブインピーダンスは、このインピーダンスが、モータの少なくとも1つの主電源トラックまたは補助電源トラックを取り囲むように配置されている。
【0029】
本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、任意のタイプの自動車のフロントガラスワイパー機器に適用可能である。
【0030】
以下、本発明は、本記載を読み図面を参照しながら、さらに深く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタの電気回路図を例示的に示す図。
【
図2】
図1に示す本発明の主題である電磁放射の帯域減衰/除去フィルタの非制限的な選択的実施例の図。
【
図3a】
図2に示す本発明の主題である電磁放射の帯域減衰/除去フィルタの特定の要素のレイアウトの平面図。
【
図3b】平面図で表された
図3aの断面PPに沿って、本発明の主題であるフィルタの工業生産に特に適したフェライト磁心を有するリアクティブインピーダンスからなる、
図3aに示す特定の要素を取り付けるステップを示す図。
【
図3c】上述した断面図によって、考慮されるブラシ付きモータの遮蔽板上に配置されたリアクティブインピーダンスからなる特定の要素を示す図。
【
図4】本発明の目的によるリアクティブインピーダンスが、モータ主電源回路に加え、補助電源回路に配置された本発明の主題であるフィルタの電気回路図。
【
図5】モータにおける、本発明の主題である電磁放射の帯域減衰/除去フィルタの特定の要素のレイアウトを示すDCモータの炭素接続の接地回路の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、
図1および
図2および後続の図を組み合わせて、本発明の主題であるブラシ付きDCモータMの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタについてより詳細に記載する。
【0033】
図1を参照すると、本発明の主題であるフィルタが、正のモータ電源端子とバッテリの正の端子+Batとの間に挿入された少なくとも1つの第1のリアクティブインピーダンスL1と、負のモータ電源端子と−Batで示された自動車の接地との間に挿入された第2のリアクティブインピーダンスL2とによって形成されたEMCで示す電磁両立性インダクタンスを有するフィルタに組み込まれた、少なくとも、正および負のモータ電源端子の間に並列に接続された第1の容量性電気インピーダンスC1と、第1の容量性インピーダンスC1の電気容量より小さい電気容量を有し、バッテリの正の端子+Batとモータの接地端子との間に並列に接続された第2の容量性電気インピーダンスC2、C3とを備えることが観察される。慣例により、モータMの接地端子は、モータフレームCMとの黒色接点で
図1および後続の図に示されている。モータの接地端子、すなわち、モータの金属フレームCMは、好適には、自動車の接地−Batに接続され得る。
【0034】
さらに詳しく言えば、第2の容量性インピーダンスC2、C3は、直列に接続された電気キャパシタC2およびC3から構成され、2つの電気キャパシタの中点は、モータMの金属フレームCMに接続されることが示されている。
【0035】
好適には、第1の電気キャパシタC1、第2の電気キャパシタC2および第3の電気キャパシタC3は、1μF未満の同一の電気容量値を有する。
【0036】
好ましくは、本発明の主題である電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、モータMに設置される。
図5は、このフィルタの例示的な非制限的レイアウトを示し、リアクティブインピーダンスL1、L2および容量性電気インピーダンスC1、C2は、この例において、DCモータ炭素接続のための接地回路に属する。
【0037】
図5の例示的な実施形態において、接地回路は、カーボンブロックまたはブラシB1、B2を備え、各カーボンブロックB1、B2は、自動車のバッテリによって、それぞれ正または負の電源端子との接続コンタクトP+、P−に、可撓性ブレードおよびリアクティブインピーダンスL1、L2によって接続される。
【0038】
さらに、接地回路は、端部の各々に、電気接触領域21または電気接触領域22をそれぞれ有する少なくとも1つの金属板2を備える。各電気接触領域は、モータの金属ケーシングを介して、モータの接地に接続された、モータのインダクタとの電気接触に置かれることが意図されている。
【0039】
容量性電気インピーダンスC1、C2は、金属板2に電気的に接続された第1のブランチと、バッテリによって電源端子の正または負にそれぞれ接続コンタクトP+または接続コンタクトP−にて電気的に接続された第2のブランチとを備える。
【0040】
好ましくは、容量性電気インピーダンスC1およびC2は、金属板2に直接リンクされた共通のブランチを有し、その他のそれぞれのブランチは、カーボンブロックB1および接続コンタクトP−に接続されたリアクティブインピーダンスL1に、またはカーボンブロックB2および接続コンタクトP+に接続されたリアクティブインピーダンスL2のそれぞれに直接接続される。
【0041】
図1を参照すると規定されているような本発明の主題であるフィルタにより、従来のEMCフィルタと比較すると、100MHz〜1GHzの周波数帯域にわたって、5〜10dBのブラシ付きDCモータの電気放射の帯域減衰/除去を得ることができる。
【0042】
以下、
図2と関連して本発明の主題であるフィルタの非制限的な選択的変形実施例について記載する。
【0043】
第1および第2の容量性インピーダンスは、電磁両立性EMCキャパシタインダクタンスを有するフィルタに直接組み込まれるが、選択的実施形態において、本発明の主題であるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、第1のリアクティブインピーダンスL1の入力端子とバッテリの正の端子+Batとの間、および第2のリアクティブインピーダンスL2の出力端子と自動車の接地端子との間に直列に接続された少なくとも1つの第3のリアクティブインピーダンスZ3をさらに備える。
【0044】
慣例により、第1のリアクティブインピーダンスL1の入力端子および第2のリアクティブインピーダンスL2の出力端子は、バッテリの+Bat、−Bat端子によって送られる電源直流の循環方向を指すが、上述した第3のリアクティブインピーダンスは、モータのブラシをバッテリおよび自動車の外部回路の方へ切り換えることによって発生する浮遊信号の外部電源回路の選択的減衰を導入することを理解されたい。
【0045】
好ましくは、第3のリアクティブインピーダンスZ3は、モータ主電源トラックP1、P2を取り囲む単一のフェライト磁心を有するインピーダンスからなり得る。また、各モータ電源トラックP1、P2に別々のインピーダンスZ3が実装され得る。
【0046】
さらに、モータが、例えば、1つ以上の補助機能に電力供給する補助電源トラックを備える場合、本発明の主題であるフィルタは、好適には、上述した補助電源回路に直列に挿入された少なくとも1つの他のリアクティブインピーダンスを備え得る。このようなリアクティブインピーダンスは、第4のリアクティブインピーダンスとして構成され、
図3aでは参照符号Z4が付与されている。
【0047】
好ましくは、第3のリアクティブインピーダンスZ3および第4のリアクティブインピーダンスZ4は、100MHz〜1GHzとの間の周波数の減衰帯域において50Ωより高い同一の値のインピーダンスを有する。
【0048】
この構成において、本発明の主題であるフィルタにより、従来のEMCフィルタと比較して、100MHz〜1GHzの周波数帯域にわたって、15dB〜20dBの電磁放射の帯域減衰/除去を得ることができる。
【0049】
選択的実施形態において、第3のリアクティブインピーダンスZ3および第4のリアクティブインピーダンスZ4の各々は、フェライト磁心を有するインダクタンスから構成される。
【0050】
図3aは、モータMの遮蔽板PFに配置されたフェライト磁心を有する上述した自己インダクタンスから構成された第3のリアクティブインピーダンスZ3および第4のリアクティブインピーダンスZ4の構造を示す。
図3aは、モータMおよび遮蔽板PF上に配置されたモータの電気回路の平面図を示し、モータアセンブリの封止カバーCEは取り外されている。
【0051】
図3aを観察すると分かるように、自己インダクタンスZ3およびZ4は、バッテリ電源端子+Batまたは自動車の接地端子−Batにそれぞれリンクされた各伝導性モータ電源トラックP1、P2または補助電源トラックP3、P4を取り囲むように遮蔽板PF上に配置されている。このように、上述したフェライト磁心を有する自己インダクタンスにより、補助電源トラックP3、P4によって電力供給される機能によってそれぞれモータのブラシを切り換えることで発生する浮遊信号のみに対して、第3および第4のリアクティブインピーダンスZ3およびZ4の値に対抗することが可能になることを理解されたい。
【0052】
以下、
図3a、
図3bおよび
図3cと関連して、第3のリアクティブインピーダンスZ3および第4のリアクティブインピーダンスZ4を形成するフェライト磁心を有する自己インダクタンスの非制限的な選択的実施例について記載する。
【0053】
図3aの断面PPに沿った断面図である
図3bを参照すると、フェライト磁心を有する自己インダクタンスZ3および
図4の各々が、中央長手ハウジングZ3alcおよびZ4alcをそれぞれ有する第1のフェライト磁心要素Z3aおよびZ4aと、第1のフェライト磁心要素と実質的に同一の第2のフェライト磁心要素Z3bおよびZ4bとによって形成されることが示されている。
図3bにおいて、断面PPを観察すると、第1および第2のフェライト要素Z3aおよびZ3bならびに対応する中央長手ハウジングのみが示されている。
【0054】
好適な選択的実施例によれば、インダクタンスZ3およびZ4をそれぞれ構成する第1および第2のフェライト磁心要素Z3a、Z3bおよびZ4a、Z4bは、互いに対向して配置された中央長手ハウジングのレベルで、モータ電源トラックP1、P2の少なくとも1つを取り囲むブッシングを形成するように互いに対向して配置されている。
【0055】
このように、
図3bにおいて、第1のフェライト磁心要素Z3aは、モータ遮蔽板PF上に載置された第2のフェライト磁心要素Z3b内に差し込まれ、第1のフェライト要素の第2の要素への差し込み装着は、
図3bの鎖線で矢印Fによって示されていることを理解されたい。
【0056】
好ましくは、
図3bに示すように、各々がフェライト磁心を有するインダクタンスを形成する第1および第2のフェライト磁心要素それぞれは、
図3aにd3a、d3bおよびd4a、d4bでそれぞれ示すつめによって考慮される伝導性トラックを取り囲むブッシングを形成するように互いに対向が維持される。上述したつめは、成形によって製造するさいに、遮蔽板PFと同じ材料から作られることが好ましい。
【0057】
図3cに、正当に構築されたアセンブリ上にモータ封止カバーCEが代わりに置かれた場合の、
図3aの断面に沿った断面図によって、正当に構築されたアセンブリの概観図が示されている。なお、例えば、自己インダクタンスZ3およびZ4を形成する第1および第2のフェライト磁心要素の積層体の機械的密着力を維持するために、モータ封止カバーCEと同じ材料で作られた固定用フィンガdmが好適に設けられ得る。
【0058】
最後に、フェライト磁心Z3、Z4を有するインピーダンスは、
図3bおよび
図3cとともに記載されるように形成される。
【0059】
また、本発明の主題であるフェライト磁心を有するインピーダンスは、少なくとも1つのモータ主電源トラック、または、実際には、任意の補助電源トラックを取り囲むようにフェライト磁心が配置されていることを特徴とする。
【0060】
本発明の主題であるフィルタおよび自動車のフロントガラスワイパーモータの「固定停止」制御の補助電源トラック上の少なくとも1つのリアクティブインピーダンスの例示的な実施例が、
図4とともに与えられる。
【0061】
同図は、
図2に示されるような本発明の主題であるフィルタと、
図3aに示す第4のリアクティブインピーダンスZ4を形成するリアクティブインピーダンスとを示す。
【0062】
本発明によるブラシ付きDCモータの電磁放射の帯域減衰/除去フィルタは、通常利用可能なリアクティブおよびパッシブ容量性電子コンポーネントを用いて容易に実装され、モータの寸法および大きさの著しい変更を伴わない。本発明によるフィルタが設けられたモータは、第1または第2のマウントにおいて任意のタイプの自動車に装備するために使用され得る。
【国際調査報告】