(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-512239(P2015-512239A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(54)【発明の名称】移植可能な医療装置を無線で再充電するための自己調整外部装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20150327BHJP
H02J 17/00 20060101ALI20150327BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20150327BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J17/00 B
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-557623(P2014-557623)
(86)(22)【出願日】2012年11月7日
(85)【翻訳文提出日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】US2012063778
(87)【国際公開番号】WO2013122634
(87)【国際公開日】20130822
(31)【優先権主張番号】13/397,881
(32)【優先日】2012年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100153947
【弁理士】
【氏名又は名称】家成 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】ディンスムア,デーヴィッド・エイ
【テーマコード(参考)】
4C053
5G503
【Fターム(参考)】
4C053JJ23
4C053JJ40
5G503GB08
(57)【要約】
外部装置は、コイルを含むタンク回路の共振周波数においてコイルに電流を駆動するように自己調整する回路を備える。自己調整のドライバは、コイルの負荷変動に起因する共振周波数のサイクルの変化に適応することができる。自己調整回路は、2位相サイクルの非駆動サイクルの間において、回路が自然電流の流れ方向の変化を検出し、電流が自然に流れる位相においてタンク回路へ電流を駆動するためにドライバ回路を活性化するように、タンク回路を流れる電流の方向を監視する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク回路のコイルから再充電エネルギを放射する外部装置から移植可能な医療装置へ再充電エネルギを供給する方法であって、
前記外部装置の前記タンク回路の内部において電流が自然に方向を変化するときを判定し、
前記タンク回路の内部において電流が自然に第1方向へ変化したという判定に基づいて、前記タンク回路へ第1方向に電流を駆動する、
方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
前記タンク回路の内部において電流が自然に方向を変化したという判定は、前記タンク回路のノードにおける電圧を監視する間に、前記タンク回路における電流が自然に第2方向に流れることを許容する、
方法。
【請求項3】
請求項2の方法において、
前記電流が自然に方向を変化するときを判定するために、前記タンク回路の前記ノードにおける電圧がグラウンドに対する極性を変化するときを検出することをさらに備える、
方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、
前記タンク回路が自然に第1方向へ変化したという判定に基づいて前記タンク回路へ第1方向に電流を駆動することは、電源から前記タンク回路へ電圧を供給するために第1スイッチを活性化することを含む、
方法。
【請求項5】
請求項4の方法において、
前記第1スイッチは、トランジスタである、
方法。
【請求項6】
請求項4の方法において、
前記第1スイッチを活性化したときに平行パスがグラウンドレベルになるのを防止するために、第2スイッチを非活性化することをさらに含む、
方法。
【請求項7】
請求項6の方法において、
電流が自然に前記第2方向に流れるのを許容する一方、前記電源から前記タンク回路への平行パスを防止するために、前記第1スイッチを非活性化することを含む、
方法。
【請求項8】
請求項7の方法において、
前記第1スイッチを非活性化したときにグラウンドへのパスを提供するために前記第2スイッチを活性化することをさらに含む、
方法。
【請求項9】
移植可能な医療装置と相互に作用する外部装置であって、
電源と、
前記移植可能な医療装置によって受信される再充電エネルギを放射するコイルを含むタンク回路であって、第1ノード及び第2ノードを備えるタンク回路と、
前記タンク回路の第1ノードに接続された第1及び第2スイッチであって、前記第1スイッチは前記電源と前記第1ノードとの間に接続され、前記第2スイッチは前記第1ノードとグラウンドとの間に接続される、第1及び第2スイッチと、
前記タンク回路の前記第2ノードとグラウンドとの間に平行に反対方向に向いた一対のダイオードと、
前記タンク回路の前記第2ノード、及び、前記第1及び第2スイッチに接続され、前記タンク回路における電流の流れ方向に基づいて前記スイッチの状態を制御する、制御回路であって、前記タンク回路の内部の電流の第1方向に関連して前記第1スイッチを活性化するとともに前記第2スイッチを非活性化し、前記タンク回路の内部の電流の第2方向に関連して前記第1スイッチを非活性化するとともに前記第2スイッチを活性化する、制御回路と、
を備える、
外部装置。
【請求項10】
請求項9の外部装置において、
グラウンドに対する前記第2ノードにおける電圧の極性は、前記タンク回路における電流の方向を示し、前記制御回路は、前記グラウンドに対する前記第2ノードにおける電圧の極性を検出する、
外部装置。
【請求項11】
請求項10の外部装置において、
前記制御回路は、グラウンドにおける第1入力と、前記第2ノードに接続された第2入力と、を含むコンパレータを備える、
外部装置。
【請求項12】
請求項11の外部装置において、
前記制御回路は、前記コンパレータの出力と前記第1スイッチとの間のドライバをさらに備える、
外部装置。
【請求項13】
請求項11の外部装置において、
前記制御回路は、前記コンパレータの出力と前記第2スイッチとの間のドライバをさらに備える、
外部装置。
【請求項14】
請求項10の外部装置において、
マルチプレクサと通信コントローラとをさらに備え、
前記マルチプレクサは、前記移植可能な医療装置との相互作用の再充電の間、前記制御回路を前記第1及び第2スイッチに接続するとともに、前記移植可能な医療装置に対するテレメトリ相互作用の間、前記通信コントローラを前記第1及び第2スイッチに接続し、
前記通信コントローラは、前記テレメトリ相互作用の間に前記コイルがテレメトリ信号を放射するように前記第1及び第2スイッチの状態を変化させる、
外部装置。
【請求項15】
請求項10の外部装置において、
前記タンク回路のノードに電気的に結合されたテレメトリレシーバをさらに備える、
外部装置。
【請求項16】
タンク回路のコイルから再充電エネルギを放射する外部装置から移植可能な医療装置へ再充電エネルギを供給する方法において、
電流が自然に前記タンク回路を流れる第1の2位相サイクルの第1位相の間、前記外部装置の前記タンク回路の電気特性を監視し、
前記第1位相の間監視された前記電気特性に基づいて、前記第1の2位相サイクルの第2位相の間、前記第1の2位相サイクルの前記第2位相の間力率がおよそ1になるように前記タンク回路に電流を駆動する、
方法。
【請求項17】
請求項16の方法において、
前記タンク回路は、第1及び第2ノードを備え、
前記タンク回路の前記電気特性の監視は、前記タンク回路の第2ノードの電圧を監視することを含む、
方法。
【請求項18】
請求項17の方法において、
前記第1位相の間監視された前記電気特性に基づく前記第2移送の間の前記タンク回路への電流駆動は、電圧を前記第1ノードへ供給することによって前記第1ノードの電圧のグラウンドに対する極性が一旦変化したら前記タンク回路へ電流を駆動することを含む、
方法。
【請求項19】
移植可能な医療装置と関係する外部装置であって、
電源と、
前記移植可能な医療装置によって受信される再充電エネルギを放射するコイルを含むタンク回路であって、第1ノード及び第2ノードを備える、タンク回路と、
前記タンク回路の第1ノードに接続された第1及び第2スイッチであって、前記第1スイッチは前記電源と前記第1ノードとの間に接続され、前記第2スイッチは前記第1ノードとグラウンドとの間に接続される、第1及び第2スイッチと、
前記タンク回路の前記第2ノードとグラウンドとの間に平行に反対方向に向いた一対のダイオードと、
前記タンク回路の前記第2ノード、及び、前記第1及び第2スイッチに接続され、電流が自然に前記タンク回路を流れる第1の2位相サイクルの少なくとも第1位相の間、前記タンク回路の電気特性を監視することによって前記スイッチの状態を制御し、前記第1の2位相サイクルの第2位相の間に前記電源から前記タンク回路へ電流を駆動したときの力率をおよそ1に維持する、制御回路と、
を備える、外部装置。
【請求項20】
請求項19の外部装置において、
前記電気特性は、グラウンドに対する前記第2ノードの電圧の極性である、
外部装置。
【請求項21】
外部装置から移植可能な医療装置へ再充電エネルギを供給する方法であって、
前記外部装置は、タンク回路のコイルから再充電エネルギを放射し、
前記タンク回路の各2位相サイクルの位相を駆動するために前記外部装置の前記タンク回路における力率をおよそ1に維持する一方、各サイクルにおいて前記タンク回路におけるエネルギの電気特性を測定し、
前記測定された電気特性に基づいて位相駆動の間前記タンク回路に供給される電力量を制御する、
方法。
【請求項22】
請求項21の方法において、
前記タンク回路におけるエネルギの電気特性の測定は、前記タンク回路を流れる電流のピークを測定することを含む、
方法。
【請求項23】
請求項22の方法において、
前記ピーク電流の測定は、前記タンク回路に直列の既知の抵抗における電圧降下を測定することを含む、
方法。
【請求項24】
請求項21の方法において、
前記タンク回路におけるエネルギの電気特性の測定は、電源から前記タンク回路のドライバへ出力されるピーク電流を測定することを含む、
方法。
【請求項25】
請求項21の方法において、
前記タンク回路におけるエネルギの電気特性の測定は、前記タンク回路のドライバへ供給される電圧を測定することを含む、
方法。
【請求項26】
請求項21の方法において、
前記測定された電気特性に基づいて前記タンク回路に供給される電力量を制御することは、前記タンク回路に供給される電力量を計算し、前記移植可能な医療装置の電源へ供給される電力量を示す情報を受信し、前記タンク回路に供給される電力量と前記電源へ供給される電力量との差を計算し、前記計算された差に基づいて前記タンク回路のドライバに供給される電圧を制御する、ことを含む、
方法。
【請求項27】
請求項1の方法において、さらに、
2位相サイクルの第1位相の間、前記タンク回路に自然に流れる電流の方向の変化を監視することによって力率をおよそ1に維持し、前記第1位相の間における自然に流れる電流の方向の変化の監視に基づいて第2位相の間前記タンク回路へ電流を駆動する、ことを含む、
方法。
【請求項28】
移植可能な医療装置に関係する外部装置であって、
電源と、
前記移植可能な医療装置によって受信される再充電エネルギを放射するコイルを含むタンク回路であって、第1ノード及び第2ノードを備える、タンク回路と、
前記タンク回路の前記第1ノードに接続された第1及び第2スイッチであって、前記第1スイッチは前記電源と前記第1ノードとの間に接続され、前記第2スイッチは前記第1ノードとグラウンドとの間に接続される、第1及び第2スイッチと、
前記タンク回路の前記第2ノードとグラウンドとの間に平行に反対方向に向いた一対のダイオードと、
前記タンク回路の前記第2ノード、及び、前記第1及び第2スイッチに接続され、2位相サイクルの第1位相において前記タンク回路を駆動するときに力率をおよそ1に維持するように前記スイッチの状態を制御する、制御回路と、
各サイクルにおいて前記タンク回路におけるエネルギの電気特性を測定し、前記測定された電気特性に基づいて位相駆動の間前記電源から前記タンク回路へ供給される電力量を制御するコントローラと、
を備える、外部装置。
【請求項29】
請求項28の外部装置において、
前記電源は、可変電源であり、前記コントローラは、前記タンク回路に供給される電力量を制御するために前記電圧を変化させる、
外部装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、誘導結合を介して移植可能な医療装置を無線で再充電するための外部装置に関する。より具体的には、実施形態は、共振周波数の変化のために自己調整を行う外部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移植可能な医療装置の無線再充電を提供する外部装置は、様々な環境条件を前提としている。このため、ユーザは、外部装置の位置を変え、及び/又は、他の外部オブジェクトの位置を変える。環境条件におけるこのような変化、特に方向又は大きな金属オブジェクトに対する近接、は、外部装置によって再充電エネルギを放射するために用いられるコイルの付加の変化をもたらす。大きな金属オブジェクトが外部装置に近接すると、外部装置及び/又は大きな金属オブジェクトの移動によって、負荷は多大に影響を受け得る。
【0003】
再充電プロセスでは、高効率及び高いエネルギスループットを維持することが望まれているため、外部装置によって消費される電力は無駄にはされず、適切な再充電を得るための時間は最少化される。高効率を実現する1つの方法は、高Q回路における再充電コイルを備えることである。しかしながら、外部装置における上述のコイルの負荷の変化は、コイルを備えるタンク回路の共振周波数もまた変化させる。タンク回路の周波数がタンク回路の共振周波数からずれると、予測できないコイルの負荷変化は避けられず、高Q回路において移植可能な医療装置への電力伝送の効率は悪化する。
【0004】
さらに、タンク回路における周波数がタンク回路の共振周波数と異なると、タンク回路に供給される電圧とタンク回路に流れる電流との間で実質的な位相角が生じ得る。この場合、タンク回路へ供給される電力量を正確に決定するためには、位相角を知ることが求められるが、これはタンク回路から移植可能な医療装置へ供給される電力量の監視及び制御の機能を複雑にする。
【発明の概要】
【0005】
実施形態は、駆動回路のための自己調整機能を備えた外部装置を提供することによって、これらの問題を解決する。自己調整機能は、各サイクルの間力率がおよそ1になるよう駆動回路の共振周波数が調整されることを可能にする。環境要因によるコイルの負荷の変化によって予測不能に共振周波数が変化したとしても、自己調整は可能である。
【0006】
実施形態は、タンク回路のコイルから再充電エネルギを放射する外部装置から移植可能な医療装置へ再充電エネルギを供給する方法を提供する。方法は、前記外部装置の前記タンク回路の内部において電流が自然に方向を変化するときを判定することを含む。方法はさらに、前記タンク回路の内部において電流が自然に第1方向へ変化したという判定に基づいて、前記タンク回路へ第1方向に電流を駆動することを含む。
【0007】
実施形態は、移植可能な医療装置と相互に作用する外部装置を提供する。外部装置は、電源と、前記移植可能な医療装置によって受信される再充電エネルギを放射するコイルを含むタンク回路であって、第1ノード及び第2ノードを備えるタンク回路、を備える。外部装置は、前記タンク回路の第1ノードに接続された第1及び第2スイッチであって、前記第1スイッチは前記電源と前記第1ノードとの間に接続され、前記第2スイッチは前記第1ノードとグラウンドとの間に接続される、第1及び第2スイッチを備える。外部装置は、前記タンク回路の前記第2ノードとグラウンドとの間に平行に反対方向に向いた一対のダイオードを備える。さらに、外部装置は、前記タンク回路の前記第2ノード、及び、前記第1及び第2スイッチに接続され、前記タンク回路における電流の流れ方向に基づいて前記スイッチの状態を制御する制御回路を備える。制御回路は、前記タンク回路の内部の電流の第1方向に関連して前記第1スイッチを活性化するとともに前記第2スイッチを非活性化し、前記タンク回路の内部の電流の第2方向に関連して前記第1スイッチを非活性化するとともに前記第2スイッチを活性化する。
【0008】
実施形態は、タンク回路のコイルから再充電エネルギを放射する外部装置から移植可能な医療装置へ再充電エネルギを供給する他の方法を提供する。方法は、電流が自然に前記タンク回路を流れる第1の2位相サイクルの第1位相の間、前記外部装置の前記タンク回路の電気特性を監視することを含む。方法は、さらに、前記第1位相の間監視された前記電気特性に基づいて、前記第1の2位相サイクルの第2位相の間、前記第1の2位相サイクルの前記第2位相の間力率がおよそ1になるように前記タンク回路に電流を駆動することを含む。
【0009】
実施形態は、移植可能な医療装置と関係する他の外部装置を提供する。外部装置は、電源と、前記移植可能な医療装置によって受信される再充電エネルギを放射するコイルを含むタンク回路であって、第1ノード及び第2ノードを備える、タンク回路と、を備える。外部装置は、さらに、前記タンク回路の第1ノードに接続された第1及び第2スイッチであって、前記第1スイッチは前記電源と前記第1ノードとの間に接続され、前記第2スイッチは前記第1ノードとグラウンドとの間に接続される、第1及び第2スイッチを備える。外部装置は、前記タンク回路の前記第2ノードとグラウンドとの間に平行に反対方向に向いた一対のダイオードを備える。外部装置は、さらに、前記タンク回路の前記第2ノード、及び、前記第1及び第2スイッチに接続され、電流が自然に前記タンク回路を流れる第1の2位相サイクルの少なくとも第1位相の間、前記タンク回路の電気特性を監視することによって前記スイッチの状態を制御する、制御回路を備える。これにより、前記第1の2位相サイクルの第2位相の間に前記電源から前記タンク回路へ電流を駆動したときの力率は、およそ1に維持される。
【0010】
実施形態は、タンク回路のコイルから再充電エネルギを放射する外部装置から移植可能な医療装置へ再充電エネルギを供給する方法をさらに提供する。方法は、前記タンク回路の各2位相サイクルの位相を駆動するために前記外部装置の前記タンク回路における力率をおよそ1に維持する一方、各サイクルにおいて前記タンク回路におけるエネルギの電気特性を測定することを含む。方法は、さらに、前記測定された電気特性に基づいて位相駆動の間前記タンク回路に供給される電力量を制御することを含む。
【0011】
実施形態は、移植可能な医療装置に関係する外部装置をさらに提供する。外部装置は、電源と、前記移植可能な医療装置によって受信される再充電エネルギを放射するコイルを含むタンク回路であって、第1ノード及び第2ノードを備える、タンク回路と、を備える。外部装置は、さらに、前記タンク回路の前記第1ノードに接続された第1及び第2スイッチであって、前記第1スイッチは前記電源と前記第1ノードとの間に接続され、前記第2スイッチは前記第1ノードとグラウンドとの間に接続される、第1及び第2スイッチを備える。外部装置は、前記タンク回路の前記第2ノードとグラウンドとの間に平行に反対方向に向いた一対のダイオードと、前記タンク回路の前記第2ノード、及び、前記第1及び第2スイッチに接続された制御回路と、を備える。制御回路は、2位相サイクルの第1位相において前記タンク回路を駆動するときに力率をおよそ1に維持するように前記スイッチの状態を制御する。さらに、外部装置は、各サイクルにおいて前記タンク回路におけるエネルギの電気特性を測定し、前記測定された電気特性に基づいて位相駆動の間前記電源から前記タンク回路へ供給される電力量を制御するコントローラを備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、移植可能な医療装置と関係する外部装置の実施形態の動作環境を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態の外部装置と移植可能な医療装置との間で再充電エネルギ及びテレメトリ信号を伝送するのに使用される部品及び誘導結合を示す図である。
【
図3】
図3は、再充電エネルギ及びテレメトリ信号を伝送するために使用される実施形態の外部装置のさらなる部品を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の外部装置のための再充電の2位相サイクルの1つの位相の間の部品の状態と電流の流れ方向を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の外部装置のための再充電の2位相サイクルの他の位相の間の部品の状態と電流の流れ方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態は、移植可能な医療装置へ再充電エネルギを放射し、力率をおよそ1に維持するためにタンク回路のドライバの動作の自己調整を行う外部装置を提供する。外部装置は、再充電エネルギを放射するのに用いられるタンク回路の内部の自然電流の流れ方向の変化を監視し、各サイクルにおいてタンク回路のドライバの調整を行う。さらに、外部装置は、移植可能な医療装置に供給される再充電電力量を指示するために、およそ1の力率においてタンク回路に供給される電力を監視して制御する。およそ1の力率は、タンク回路における10度又はそれ以下の電圧と電流との位相角を解決する。
【0014】
図1は、外部装置106の実施形態のための動作環境100を示す図である。移植可能な医療装置102が患者の体116内に存在している。この例の移植可能な医療装置102は、電気的刺激療法を提供するリード104を備える。移植可能な医療装置102は、テレメータ(遠隔測定)信号110を介して外部装置と通信し得る。いくつかの実施形態では、外部装置108は、アップリンク通信を確立するためにテレメトリ信号110を受信し、ダウンリンク通信を確立するためにテレメトリ信号112を生成するテレメトリ回路を備える。移植可能な医療装置102は、治療ステータス及びバッテリステータスを含むテレメトリ信号110を介してステータス及び他の情報を通信し得る。移植可能な医療装置102は、テレメトリ信号112を介して外部装置106から指示、情報の要求、及び、治療プログラム、を受信する。
【0015】
移植可能な医療装置102は、機能するために、オンボード電池、又は、1又は複数のキャパシタ及び/又はスーパーキャパシタなどの他の電源、に蓄えられたエネルギを利用する。目的のために、電源は、電池として記載されるが、他の電源を利用することもできることを理解すべきである。この実施形態では、オンボード電池は再充電可能であり、移植可能な医療装置102は、外部装置106から再充電エネルギ114を受信する再充電回路を備える。外部装置106は、コイルを有し、移植可能な医療装置102の近くに配置されたときに移植可能な医療装置102の内部のコイルと誘導的に結合する束縛モジュール108を利用する。代替的には、コイルは、外部装置106の内部に収容される。
【0016】
図2は、外部装置106及び移植可能な医療装置102の実施形態の部品と、再充電エネルギ114の提供のためのコイル間の誘導結合と、を示す図である。外部装置106は、再充電エネルギの提供を制御するための論理操作を実行するプロセッサ202を備える。外部装置102が移植可能な医療装置102と通信するためにテレメトリを採用する実施形態においては、プロセッサ202は、情報の送受信を制御するための論理操作も実行する。プロセッサ202は、プロセッサとともに搭載される、及び/又は独立した部品であるメモリ204を利用する。メモリ204は、外部装置106のための動作プログラム及びデータを保存する揮発性及び/又は不揮発性のメモリを備える。
【0017】
プロセッサ202は、様々な形態で実行される。例えば、プロセッサ202は、汎用のプログラミング可能なプロセッサである。他の例では、プロセッサ202は、アプリケーションプロセッサである。さらに他の例では、プロセッサ202は、ハードワイヤードデジタルロジック(例えば、1又は複数の独立部品)である。プロセッサ202に基づく機能は、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は、他のタイプのプログラムロジックによって実行される。
【0018】
外部装置106は、さらに、プロセッサ202によって制御され、テレメトリ信号110を受信し、
図1に示すテレメトリ信号112を生成する、テレメトリ回路206を備える。ある実施形態では、これらのテレメトリ信号110,112は、誘導結合された、再充電エネルギ114のために使用される周波数帯域と同様の周波数帯域におけるニアフィールドラジオ周波数信号であり得る。この場合、再充電エネルギ114の送信、及び、テレメトリ信号110,112の送信は、同じモジュール108及び外部装置106のコイルを利用し、やがてオフセットされ得る。他の実施形態では、テレメトリ信号110,112は、長いレンジの、再充電エネルギ114の周波数帯域から離れた周波数帯域内のファーフィールドラジオ周波数信号であり得、テレメトリ信号は、再充電のために使用されるコイルを利用するのではなく、外部装置106及び移植可能な医療装置102のオンボードアンテナを使用する。この場合、テレメトリ及び再充電は、同時に実行される。テレメトリ回路206の実施形態は、以下に
図3を参照してより詳細に説明される。
【0019】
外部装置106はまた、プロセッサ202によって制御され、コイルを収容するモジュール108につながれた、再充電回路208を備える。上述のように、他の実施形態では、コイル108は、再充電回路208とともに外部装置の内部に存在し得る。再充電回路208は、再充電エネルギ114の供給を活性化及び非活性化するためにプロセッサ202に応答する。
【0020】
さらに、再充電回路208は、移植可能な医療装置102へ充電される再充電パワーの量を制御するためにプロセッサ202に応答する。再充電回路208及びプロセッサ202との相互作用は、以下に
図3−5を参照してより詳細に説明される。
【0021】
図2の移植可能な医療装置102もまた、様々な部品を備える。移植可能な医療装置102は、再充電エネルギの受信を制御するための論理操作を実行するプロセッサ220を備える。プロセッサ220は、テレメトリ回路226を介して情報の送受信を制御するための論理操作もまた実行する。プロセッサ220は、プロセッサとともに実装される、及び/又は、独立した部品であるメモリ222を利用する。メモリ222は、移植可能な医療装置102のための動作プログラム、治療プログラム、及びデータを保存するのに用いられる揮発性及び/又は不揮発性のメモリを備える。
【0022】
外部装置のプロセッサ202と同様に、移植可能な医療装置102のプロセッサ220は、様々な態様で実行される。例えば、プロセッサ220は、汎用のプログラミング可能なプロセッサ、アプリケーションプロセッサ、又は、ハードワイヤードデジタルロジック(例えば、1又は複数の独立部品)である。プロセッサ220に基づく機能は、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は、他のタイプのプログラムロジックによって実行される。
【0023】
移植可能な医療装置102は、さらに、プロセッサ220によって制御され、テレメトリ信号112を受信し、
図1に示すテレメトリ信号110を生成する、テレメトリ回路226を備える。ある実施形態では、これらのテレメトリ信号110,112は、誘導結合された、再充電エネルギ114のために使用される周波数帯域と同様の周波数帯域におけるニアフィールドラジオ周波数信号であり得、同じコイル230を利用する。他の実施形態では、テレメトリ信号110,112は、長いレンジの、再充電エネルギ114の周波数帯域から離れた周波数帯域内のファーフィールドラジオ周波数信号であり得、テレメトリ信号は、移植可能な医療装置102のオンボードアンテナを使用する。
【0024】
移植可能な医療装置102は、オンボードコイル230を備えておりプロセッサ220によって制御される再充電回路228を備える。再充電回路228は、再充電エネルギを受信するためにプロセッサ220に応答するとともに、再充電エネルギをオンボード電池に充電する。
【0025】
図3は、再充電回路208の部品及び外部装置106の様々な形態のためのプロセッサ202のインターフェースを示す図である。再充電回路は、調整キャパシタ318、及び、上述のモジュール108に収容された主コイル320、を有するタンク回路317を備える。代替的には、この回路は、外部装置106の内部にコイル108と一緒に収容されていてもよい。以下に示すように、各位相のサイクルの間にタンク回路317の電気特性を測定することによって、及び、いつ電流が流れ始めるかを制御するために上記測定を実行することによって、電流は、特定のサイクル内で共振周波数において生じる自然電流と同期してタンク回路317を流れる。このように、およそ1の力率が得られる。さらに、得られたおよそ1の力率に基づいてパワーの決定が行われる。
【0026】
この例の再充電回路208は、可変電圧電源302を備える。電源302は、プロセッサ202から、特定の電圧を出力するよう指示するとともに最終的にはタンク回路317に供給されて消費される電力量を制御する制御信号356を受信する。0.15オームなどの非常に低い抵抗値の抵抗306は、電源302からその他の回路へ直列に備えられる。抵抗306における電圧降下は、タンク回路のドライバの電流を決定するために利用されるプロセッサ202の差動アンプへの入力352,354を介して検出される。タンク回路のドライバへ供給される電圧は、プロセッサ202によって入力350を介して測定される。
【0027】
トランジスタ308,312は、再充電回路208のタンク回路317のための第1Hブリッジドライブの半分を形成する。これらのトランジスタは、電源302からタンク回路317への電流駆動を許容するスイッチとして動作するとともに、グラウンドへ電流が戻るのを許容する。これらのトランジスタ308,312の動作は、
図4,5を参照して以下に詳細に示される。
【0028】
0.01Ωなどの非常に低い抵抗値を有する抵抗316は、タンク回路317へ直接流れる電流の測定を許容するために、トランジスタ308,312の間のノードから、タンク回路317に直列に配置される。差動アンプ332は、ローパスフィルタ及びピークトラック回路334への出力を提供するために、抵抗316にまたがって配置される。回路334は、プロセッサ202への入力342で検出されるピーク電流に比例し、プロセッサ202がタンク回路317によって消費される電力量を計算することを許容する、出力を提供する。例えば、ピークは、ローパスフィルタと保持キャパシタとの間のダイオードの存在によって保存された保持キャパシタに保持される。より大きなリーク抵抗は、保持キャパシタと平行にグラウンドに接続される。
【0029】
タンク回路317の第1ノード319は、抵抗316と調整キャパシタ318との間に存在する。タンク回路317は、主コイル320と直列に接続された調整キャパシタ318を備える。タンク回路317の容量及びインダクタンスは、再充電のための理想的な共鳴(共振)を提供するために選択される。しかしながら、タンク回路317の共振周波数は、移植可能な医療装置102のコイル230による主コイル320の誘導負荷を含む環境要因、コイル230(特にコイル230が曲げやすい形状要素を有する場合)の形状の変化、及び近くの金属対象物からの負荷の変化、に依存して変化する。
【0030】
Hブリッジドライブは、この例ではタンク回路の第2ノード321とグラウンドとの間で平行に接続されるが反対の方向を向いた一対のダイオード322,324を用いることによって形成される。平行であるが反対側を向いたダイオード322,324は、
図4,5を用いて詳細に説明される。
【0031】
コンパレータ(比較器)326は、タンク回路317の第2ノード321に接続された非反転入力、及び、グラウンドに接続された反転入力、を備える。この例ではトランジスタ308,312もまた、テレメトリダウンリンクのためにタンク回路317を駆動するときに用いられるので、コンパレータ326の出力は、マルチプレクサ328,330に接続される。この例のコンパレータ326の非反転出力は、1つのマルチプレクサ330に接続される一方、コンパレータ326の反転出力は、マルチプレクサ328に接続される。コンパレータ326は、第2ノード321におけるグラウンドに対する電圧の極性に基づいて出力を生成する。コンパレータ326の機能性は、
図4,5を用いて以下詳細に説明される。
【0032】
この例のプロセッサ202はまた、マルチプレクサ330,328へテレメトリアップリンク信号340,342をそれぞれ出力する。さらに、プロセッサ202は、マルチプレクサが再充電の間コンパレータ326の出力をパスするか否か、又は、テレメトリの間ダウンリンクテレメトリ信号340,342をパスするか否か、を選択するために、選択信号338をマルチプレクサ328,330のチャンネル選択入力へ出力する。
【0033】
マルチプレクサ328,330は、選択された信号をレベルシフトFETドライバ314,310へそれぞれ出力する。特に、マルチプレクサ328は、再充電が選択されたときにコンパレータ326の反転出力を通過し、マルチプレクサ330は、再充電が選択されたときにコンパレータ326の非反転出力を通過する。この例では、ドライバ314は、NMOS装置であるトランジスタ312のゲートを駆動するために、固定された電源304まで電圧をレベルシフトする非反転ドライバである。また、この例では、ドライバ310は、PMOS装置であるトランジスタ308のゲートを駆動するために、固定された電源304まで電圧をレベルシフトする反転ドライバである。トランジスタの種類及び関連する信号のレベルは、Hブリッジドライブの適切な動作を行うために、他の形態も適用することができる。コンパレータ326及びドライバ310,314は共に、Hブリッジドライブの動作を行うための制御回路を形成し、それゆえ、Hブリッジドライブをタンク回路317の共振周波数へ自己調整する。
【0034】
ドライバ310,314は、固定された電源304から電力を受信する。固定された電源304から提供された電圧は、可変電源302から提供されトランジスタ308,312が常に正常に作動及び非作動することを可能にする最大電圧、を超える。この構成は、電源304から固定電圧を受け取ることによって、可変電源302から提供された電圧が再充電の間必要に応じてドライバ310,314の許容できる電圧範囲であってドライバ310,314が正確に機能し続ける電圧範囲より低いレベルまで低減されることも許容する。
【0035】
ドライバ310,314は、タンク回路317を通る電流の方向の変化に対応するために、トランジスタ308,312に提供される信号がトランジスタ308,312を高速に作動及び非作動することを保証する。この実施例では、コンパレータ326の単一の出力が単一のドライバを駆動して両方のトランジスタ308,312にショートされるのではなく、コンパレータ326の両方の出力がそれぞれドライバ310,314に送られる。2つのドライバ310,314は、タンク回路317がテレメトリダウンリンクの間フロートになるように両トランジスタ308,312が同時に閉になるのを許容する。
【0036】
さらに、プロセッサ202は、コンパレータ326の出力を監視する暴走検出信号346を利用する。この監視は、タンク回路317が自己調整周波数で駆動され続けるか否かをプロセッサ202が制御することを許容するか、又は、リングダウンすることを許容して自己調整周波数が許容範囲から外れた場合に発振を再スタートする。
【0037】
この実施例において2つのドライバ310,314を使用する他の理由は、両者がダウンリンクテレメトリに関連することである。ダウンリンクテレメトリの間、数ナノ秒のような短い期間を設けることは、トランジスタ308,312の動作の間に重複が生じないので有用である。それぞれ独立したダウンリンク信号340,342を受信する独立したドライバ310,314は、重複が生じない期間を許容する。
【0038】
図3の回路のダウンリンクテレメトリ機能に加えて、アップリンクテレメトリもまた提供される。アップリンクフィルタ336は、タンク回路の第2ノード321のようなノードに接続され得る。アップリンクフィルタ336は、テレメトリ周波数に重畳されたノイズを減衰するローパスフィルタである。
【0039】
図3の回路の例は、同じタンク回路317を用いた再充電、アップリンクテレメトリ、及び、ダウンリンクテレメトリを示しているが、アップリンクテレメトリ及びダウンリンクテレメトリの両方に全体的に異なるコイルを使用する他の構成もまた適用可能である。しかしながら、同じタンク回路317を使用することは、これらの複数の目的のためにモジュール108の内部で単一のコイル320のみが要求される場合に有用であり、特に、再充電プロセスにおける中断の間に生じる周期的なテレメトリを考慮すると、プロセッサ202が移植可能な医療装置102から再充電の状態に関する情報を集めるのを許容する。
【0040】
図4は、再充電の間のタンク回路317を通過する2位相サイクルの電流の1位相を示す図である。
図4に示すように、電流は、適切な力率を得るために、タンク回路317を通過する自然の電流流れと同期して同じ方向に回路317を通って駆動される。この同期を得るために、トランジスタ308,312の動作の自己調整が実行される。電流がタンク回路317を方向402のように通過するときに、電流は、第2ノード321がグラウンドへダイオード電圧降下するように、ダイオード324を流れる。それゆえ、コンパレータ326には、グラウンドに対して正電位のダイオード電圧降下による電圧が入力される。正のダイオード電圧降下は、コンパレータ326の反転出力から出力される信号を低いレベルにし、非反転出力から出力される信号を高レベルにする。
【0041】
2位相サイクルのこの位相では、コンパレータ326の非反転出力の高レベル信号は、反転増幅器310に提供され、反転増幅器310は、PMOSトランジスタ308を活性化させる低レベル信号を出力する。コンパレータ326の反転出力の低レベル信号は、非反転増幅器314に提供され、非反転出力増幅器314は、NMOSトランジスタ312を非活性化する低レベル信号を出力する。したがって、電流は電源302からタンク回路317を介して方向402のように駆動される。上述のとおり、他のトランジスタの種類及び関連する信号レベルが、適切な力率を得るとともに自然電流と同期してタンク回路317を通過する電流の適切な方向を得るために適用可能である。
【0042】
図5は、再充電の間のタンク回路317を流れる電流の2位相の他の位相を示す図である。
図5に示すように、電流はタンク回路317を
図4の方向402の反対側の方向502に自然に流れ得る。トランジスタ308,312の自己調整は、この位相で再度実行される。電流がタンク回路317を方向502に自然に流れたときに、電流は、第2ノード321がダイオード電圧降下でグラウンドより低くなるように、ダイオード322を流れる。したがって、コンパレータ326には、グラウンドよりも負のダイオード電圧降下が入力される。この負のダイオード電圧降下は、コンパレータ326の反転出力から高レベル信号を出力し、非反転出力から低レベル信号を出力する。
【0043】
2位相サイクルのこの位相では、コンパレータ326の反転出力の高レベル信号は、非反転ドライバ314へ供給され、非反転ドライバ314はさらにNMOSトランジスタ312を活性化させる高レベル信号を出力する。コンパレータ326の非反転出力の低レベル信号は、反転ドライバ310へ供給され、反転ドライバ310はさらにPMOSトランジスタ308を非活性化させる高レベル信号を出力し、電源302がタンクを方向402に駆動しようとすることを防止する。したがって、タンク回路317の方向502のグラウンドへの自然電流の流れが電源302の抵抗なしに許容される。上述のとおり、自然電流をグラウンドへ流すために、他のトランジスタの種類及び関連する信号レベルを適用してHブリッジを適切に起動することも可能である。
【0044】
図5に示す位相の間は、グラウンドへの自然電流が流れるのに対してタンク回路317へは電流が駆動されず、これにより、タンク回路317の共振動作が明らかになるのを許容する。自然電流が0クロス点に達し、
図4の方向402の反対方向に戻り始めたら、コンパレータ402は、タンク回路317の第2ノード321におけるダイオード電圧降下の極性を監視する。電圧の極性の反転は、コンパレータ出力に
図4に示す状態への逆戻り変化を生じさせ、したがって、電流が方向402に自然に流れ始めたら、電流は電源302から方向402へ駆動される。それゆえ、1つ前の電流サイクルにおいてタンク回路317が異なる共振周波数を有していたとしても、サイクルの中で適切な力率が得られる。
【0045】
自己調整再充電のための開始状態は存在しない。コンパレータ326の非反転入力におけるノイズは、
図4及び
図5における方向402と方向502との間の交互の電流サイクルを開始する最初の発振を提供する。したがって、電流が方向402に流れ始めたら、電源302は、所望のレベルへの電流の流れを強化するために、方向402と同じ方向でタンク回路317へ電流を駆動する。
【0046】
再充電の各サイクルの間の本質的なおよそ1の力率を得るにより、位相角を見積もることなくタンク回路317で消費される電力を計算することができる。したがって、電力計算がより正確になる。プロセッサ202は、信号344のピーク電流及び信号350のブリッジ電圧を利用することによって、また、トランジスタ308,312の振る舞いによって示された電流の形状の50%のデューティサイクルに基づく既知の要因を計測することによって、タンク回路317で消費される電力量を計算することができる。電圧信号352,354によって示された電圧降下から抵抗306を流れて計測されたブリッジ電流は、タンク回路317における電流の量を定量化して電力消費を計算するための信号344によって示されたピーク電流の代替として使用可能である。
【0047】
電力消費の計算は、非正弦の駆動電流、及び、測定されたピーク電圧と電流の表示、を説明する測定要因を利用する。この測定要因は、タンク回路317における電力消費を製造時にネットワークアナライザを用いて測定することによって経験的に導かれ、その後の使用のためにプロセッサ202のメモリにプログラムされる。
【0048】
プロセッサ202は、再充電によって電池に供給された電力量に関する情報を移植可能な医療装置102へ問い合わせる。プロセッサ202は、そして、移植可能な医療装置102において消費された電力以外の電力量を決定するために、タンク回路317によって消費された電力と、移植可能な医療装置102の電池への電力と、の差を計算する。他の場所で消費されたこの電力は、しきい値を超えると、移植可能な医療装置102の発熱部品からのダメージ、及び/又は、患者の組織の熱からのダメージが生じ得るので、問題になる。
【0049】
したがって、プロセッサ202は、電源302から供給される電力量を指示し、移植可能な医療装置102で消費される電力量を制御する、コントローラとして動作する。プロセッサ202は、再充電の効率を最大化するのに許容できるレベルで、移植可能な医療装置102で消費される電力を維持する最大電圧を選択する。
【0050】
実施形態が説明され図示されたが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱しない範囲で、様々な変更が可能であることを理解すべきである。
【国際調査報告】