(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
反応媒体中に比較的不溶性である少なくとも1種の反応物を用いてゼオライトイミダゾレート骨格組成物を形成させるための方法が提供される。この方法にしたがって製造される物質(EMM−19と呼ぶ)、およびEMM−19を用いて気体(二酸化炭素など)を吸着する方法も本明細書で提供される。
前記ゼオライトイミダゾレート骨格組成物の生成物が、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAG、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、CHI、CLO、CON、CRB、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DIA、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、FRL、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IHW、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWV、IWW、JBW、KFI、LAU、LCS、LEV、LIO、LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NSI、OBW、OFF、OSI、OSO、OWE、PAR、PAU、PHI、PON、POZ、RHO、RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SGT、SIV、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、SZR、TER、THO、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、WEN、YUG、ZNI、ZONおよびこれらの組合せからなる群から選択される骨格型(CRB、DFT、CAG、SOD、MER、RHO、ANA、LTA、DIA、ZNI、GME、LCS、FRL、GIS、POZ、MOZおよびこれらの組合せからなる群から選択されるものなど)を示す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
前記反応媒体が、約20℃において、約1.0kPa〜約30kPa(例えば、約2.5kPa〜約20kPa)の蒸気圧を有するか、約25℃〜約140℃(例えば、約35℃〜99℃)の沸点を有するか、あるいはその両方を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
前記反応媒体が、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、スルホキシド、ホスホルアミド、アセトニトリル(MeCN)、トリエチルアミン(TEA)、水、アンモニア、エタノールまたはこれらの組合せを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
前記金属が、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Lr、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、Uubおよびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
前記十分な条件が、1時間〜10日間(例えば、12時間〜7日間)の接触/結晶化時間、約−78℃〜前記反応媒体の沸点(例えば、約15℃〜約150℃)の温度、および約1kPaa〜約10MPaa(例えば、約100kPaa〜約10MPaa)の反応圧力を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
前記イミダゾレートまたは置換イミダゾレート(IM)が、5−アザベンゾイミダゾレートであり、前記ゼオライトイミダゾレート骨格組成物が、SOD骨格型を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態の詳細な説明)
当該技術分野においてゼオライトイミダゾレート骨格(ZIF)組成物として知られているある特定の多孔質結晶物質を製造するための別の方法を、本明細書に開示する。こうしたZIF物質は、一般構造:M
1−IM−M
2[式中、M
1およびM
2は、同一または異なる金属を含み、IMは、イミダゾレートまたは置換イミダゾレート結合部分である]を含む四面体骨格を有するものとして説明できる。「イミダゾレート」という用語は、本明細書のIM、IM
aおよびIM
bを表すのに使用するが、本発明による方法の様々な段階で、関連するIM/IM
a/IM
bは、反応順序における特定時点でのイミダゾール(中性電荷)であってもよいという点が注目される。とは言え、こうした成分が「イミダゾレート」という用語を用いて表されていることは、それは単に便宜のため、また統一のためであって、それらが電荷を有する/電荷を非局在化している状況およびそれらが中性である状況の両方を包含することを理解すべきである。本明細書に記載の方法では、M
1およびM
2の源および/または結合部分(IM)の源は、少なくとも部分的に(例えば、液状媒体(溶媒/溶媒系)中のスラリーのような)固体形態であってよいが、対して、従来のZIF合成技法では、通常は、反応物の溶媒和/溶液が必要とされる。本明細書でEMM−19およびEMM−19
*と呼ばれている新規のZIF物質、ならびにEMM−19および/またはEMM−19
*を用いて気体(二酸化炭素など)を収着および/または分離する方法も、本明細書に開示されている。
【0017】
本明細書に開示されている本発明の態様について関係のある教示に関して、本明細書で具体的に言及されている刊行物はすべて、本明細書に刊行物が引用された要素の詳細と共に、その全体を援用する。
【0018】
A.序論
文献に開示されているZIF物質の典型的な合成経路を、方式(又はスキーム)1として以下に要約する。その中で、Mは、遷移金属(典型的には、Zn
2+、Co
2+、Fe
2+などの二価陽イオンの形)で、金属塩出発物質(典型的には、合成溶媒中に可溶性である)中に存在するものであり、IMは、イミダゾレートまたは置換イミダゾレートリンカーであり、H−IMは、対応するIMの中性分子(すなわち、IMのプロトン化された形)であり、M
1およびM
2は、原子価の異なる2種類の金属であり、M
1は、典型的には、金属塩出発物質(典型的には合成溶媒中に可溶性である)に存在する一価陽イオン(Li
+、Cu
+、Ag
+など)であり、さらにM
2は、典型的には、全体で−1電荷を有する陰イオン単核錯体であるテトラキス(1−イミダゾリル)メタレート中に存在する、三価の金属(B
3+、Al
3+、Ga
3+など)である。こうした合成経路を本明細書では「従来法」と呼ぶ。
【化2】
【0019】
本明細書ではZIF合成の代替経路を説明する。この代替経路は、遷移金属反応物および/またはイミダゾレート反応物が、溶媒中に、比較的不溶性の形態(固体形態など)で存在することに基づくものである。この代替経路の一例は、以下の方式2に示すように、既存のZIF物質中のIMリンカーを交換することに基づいており、その方式の中で、ZIF
aは遷移金属の比較的不溶性の源であり、ZIF
bは生成物であり、Mは典型的には二価の遷移金属であり、さらにM
1およびM
2は、典型的にはそれぞれ一価金属および三価金属である。こうした代替合成経路を本明細書では「交換法」と呼ぶ。
【化3】
上記の方式(又はスキーム)2に示すH−IM
bは、全体または一部を、IM
bの他の源(IM
bの塩など)で置き換えることができることを理解すべきである。
【0020】
交換法では、既存のZIFを比較的不溶性の出発物質として用いることにより、ZIFを合成するための従来法の本質的な制限のいくつかを克服できる可能性がある。例えば、従来法では、官能基をIMリンカーに組み込むと、それらの部分間に相互作用が生じうるし、それゆえに特定のオリゴマー構造体が反応混合物中に形成されうる。そのことにより、ZIF生成物の骨格型が制限されるであろう。しかし、そのような制限は、そうした官能基化リンカーの交換によって、所望の骨格型を有するあらかじめ形成されたZIFに入れることにより回避されうる。上で述べたことに加えて、あるいは上で述べたこととは別に、従来の合成では、金属イオンへの配位に関与する置換基を有する官能基化IMリンカーを使用すると、ZIF骨格の形成に必要な配位パターンが乱されうる。その結果、非多孔質骨格構造体が生じるかまたはばらばらの分子錯体さえ生じうる。しかし、理論に縛られることはないが、そのような官能基化リンカーが、交換によって、あらかじめ形成されたZIF構造体に入れられると、配位官能基の妨害が大きく減少すると予想されるであろう。さらに、上で述べたことに加えて、あるいは上で述べたこととは別に、ZIF形成の反応速度および熱力学的現象を制御する重要な因子でありうるH−IMの脱プロトン化は、交換法では、ZIF出発物質中のIMリンカーを賢明に選択することにより、好都合なことに調整できる。さらにまた、上で述べたことに加えて、あるいは上で述べたこととは別に、従来法では、比較的可溶性の成分を使用すると、ある特定の(平衡)骨格構造体が形成されうるが、一方、ある特定の反応物の利用を制限することにより、いろいろな(非平衡)骨格構造体を得られるようにすることができる。それにより(任意選択的に、時には好ましいことに)望ましくかつ/または予想外の特性が得られる。
【0021】
ZIFを合成するための従来法における本質的制限の1つの具体例は、前述のYaghiらによる“Zeolite A Imidazolate Frameworks”,Nature Materials,Vol.6,2007,pp.501−6中に見出される。その論文は、従来の3つのZIF合成(方式(又はスキーム)3)(それぞれ、プリン、5−アザベンゾイミダゾール、および4−アザベンゾイミダゾールを有機リンカーとして使用)に関する体系的研究について報告している。リンカー/金属のモル比(5〜10)、金属濃度(0.05〜0.2mol/L)、金属源(硝酸亜鉛および硝酸コバルト)、結晶化温度(65℃〜150℃)、結晶化時間(1〜3日間)、および塩基の添加(メタノール中にジメチルアミンを2mol/L含む溶液)を含め広い合成条件範囲(synthesis space)を研究した後、著者らは、4−アザベンゾイミダゾールリンカーを使用した系では常に骨格型DIA(ダイヤモンドの省略形)を有する非多孔質ZIFが生じるが、プリンおよび5−アザベンゾイミダゾールリンカーを用いた系では常に骨格型LTA(Linde型Aの省略形)を有する多孔質ZIF物質が生じることに気付いた。その結果は、Yaghiらによる最近の包括的総説で裏付けられた(“Synthesis,Structure,and Carbon Dioxide Capture Properties of Zeolitic Imidazolate Frameworks”,Accounts of Chemical Research,Vol,43,2010,pp.58−67の表1を参照)。Nature Materials 2007の論文では、その著者らは、結晶学的データに基づいて、その研究結果を、プリンおよび5−アザベンゾイミダゾールの5位および6位のC−N結合の極性から生じる好ましい分子間相互作用(方式(又はスキーム)4)および4−アザベンゾイミダゾールにおけるその欠落に基づくものであるとした。そのような引力相互作用が、骨格型LTAの極めて重要な構築単位である二重4環(double 4−ring)(D4R)を安定化するという理論が立てられた。こうした刊行物はすべて、溶媒媒体中に比較的可溶性であるイミダゾレートおよび金属源(金属硝酸塩など)が反応物として利用された事情を説明している。たとえ可溶性配合物を用いても信頼性のある有用なZIF物質を得るのは困難であるため、溶媒媒体中に比較的不溶性である金属源および/またはイミダゾレート源の研究は、たとえ行われたとしても、ほとんど行われなかったと思われる。
【化4】
【0022】
本明細書に示されているように、交換法を用いることにより、D4R単位の形成を回避し、5−アザベンゾイミダゾールを用いて、従来法で得られる骨格型とは異なる骨格型(「非平衡」骨格)(すなわち、LTAではなく、骨格型SOD(ソーダライトの省略形)を有する新規のZIF物質を合成することが可能となりうる。その骨格型は、βケージが、D4R単位で結合されるのではなく4環を直接共有することで結合される骨格型である。具体的には、この非平衡骨格型の一例は、よく知られている市販のZIF−8物質(骨格型SODを有するZn(2−メチルイミダゾレート)
2)に、5−アザベンゾイミダゾールを交換して入れることにより得ることができる。本明細書に開示されている新規の組成物(すなわち、非平衡骨格型SODを有するZn(5−アザベンゾイミダゾレート)
2)は、本明細書ではEMM−19と呼ぶ。
【0023】
さらに、ある条件下では、比較的不溶性の反応物を反応させて、比較的可溶性の反応物を用いて作られた骨格型とは骨格型が(それぞれの物質の化学組成が普通は同一であるとしても)まったく異なるZIF物質を生じさせることができることも、予想外に見出された。例えば、硝酸亜鉛および5−アザベンゾイミダゾールは、N,N−ジメチルホルムアミドとトリエチルアミンとを一緒にしたものの中で溶かした形で反応させて、(平衡)骨格型LTAを有するZn(5−アザベンゾイミダゾレート)
2(すなわち、ZIF−22。例えば、以下の実施例4を参照)を形成させることができ、ある特定粒径の比較的不溶性の酸化亜鉛は、N,N−ジメチルホルムアミド中の5−アザベンゾイミダゾールと混ぜ合わせて、非平衡骨格型SODを有するZn(5−アザベンゾイミダゾレート)
2(すなわち、EMM−19。例えば、以下の実施例13、16〜24、26、および28を参照)を形成させることができる。溶媒、溶媒系、および/または反応媒体中に(本明細書において使用される)「比較的不溶性」の反応物は、反応媒体中で実質的に目に見える微粒子の外観(例えば、スラリーのように見える)を示すと理解されるべきであり、かつ/または反応条件において、溶媒、溶媒系および/または反応媒体中で50%未満の溶解度(例えば、約60%未満の溶解度、約70%未満の溶解度、約75%未満の溶解度、約80%未満の溶解度、約85%未満の溶解度、約90%未満の溶解度、または約95%未満の溶解度)を有すると理解すべきである。本明細書で使用される個々の反応物は、例えば、反応条件において適度な撹拌(例えば、約10〜40rpm)を約1時間行った後に、各反応物の50重量%未満が個別に溶媒/溶媒系/反応媒体に溶解する場合、あるいはその逆に、反応条件において適度な撹拌(例えば、約10〜40rpm)を約1時間行った後に、各反応物の少なくとも50重量%が、溶媒/溶媒系/反応媒体中に溶けないままである場合、50%未満が可溶であると定義される。
【0024】
EMM−19は、望ましい気体吸着特性を示すことが見出された。気体の保存および分離にZIFを使用することは、Yaghiとその共同研究者らによるPCT刊行物(国際公開第2008/140788号パンフレット(名称“Adsorptive Gas Separation of Multi−Component Gases”))、ならびにReyes,Niおよびその共同研究者らによる一連の刊行物(米国特許出願公開第2009/0211440号明細書(名称“Separation of Hydrogen from Hydrocarbons Utilizing Zeolitic Imidazolate Framework Materials”);米国特許出願公開第2009/0211441号明細書(名称“Separation of Carbon Dioxide from Methane Utilizing Zeolitic Imidazolate Framework Materials”);米国特許出願公開第2009/0214407号明細書(名称“Separation of Carbon Dioxide from Nitrogen Utilizing Zeolitic Imidazolate Framework Materials”);および米国特許出願公開第2009/0216059号明細書(名称“Separation of Methane from Higher Carbon Number Hydrocarbons Utilizing Zeolitic Imidazolate Framework Materials”))に記録されている。Reyes、Ni、およびその共同研究者らによる研究に開示されているもっとも印象的な例は、骨格型SODを有するZIF−7(Zn(ベンゾイミダゾレート)
2)の室温でのCO
2吸着等温線に見ることができる。その等温線はヒステリシス形状を有し、60kPa(0.6atm)の低いCO
2分圧から始まる吸着枝の急激な上昇を特徴としている。これは、骨格とCO
2との好ましい相互作用によって引き起こされる構造転移を示し、これによりZIF−7はCO
2を分離するための有望な物質となる。我々はこのほど、基本的なヘテロ原子(窒素など)をZIF−7のリンカーに組み込むことにより(例えば、ベンゾイミダゾレートを5−アザベンゾイミダゾレートと交換してEMM−19を作り出すことにより)、骨格とCO
2との相互作用を増大させることができ、好ましいCO
2吸着のためのしきい分圧をさらに減少させることができることを見いだした。
【0025】
B.リンカー交換ZIF合成法
本明細書に記載する交換法のステップでは、第1ゼオライトイミダゾレート骨格組成物を用意するかまたは選択することができる。第1ゼオライトイミダゾレート骨格組成物(ZIF
1)は、第1有機リンカー構成成分(first organic linker compositon)(IM
a)を有することができる。第2有機リンカー構成成分(second organic linker composition)(IM
b)との交換の前に、未反応種または不純物を、好ましくは、合成された時の形態のZIF
1から除去することができる。こうした未反応種または不純物は、適切な技法(例えば、洗浄および乾燥を伴うもの)によって除去してよい。例えば、合成された時の形態のZIF
1は、好適な溶媒(DMFなど)で洗浄し、その後、メタノール、アセトニトリルなどで溶媒交換し、溶媒をデカントし、乾燥させる(例えば、真空下において約250℃で)ことができる。未反応種または不純物が十分に(実質的に)除去された第1ゼオライトイミダゾレート骨格組成物は、民間製造業者から購入することができる。
【0026】
この方法の別のステップでは、第2有機リンカー構成成分(IM
b)を含む液体組成物を用意することができる。第2有機リンカー構成成分は、液体組成物中に、例えば、イミダゾレート型リンカー構成成分のプロトン化形態の形で、および/またはイミダゾレート型リンカー構成成分の塩の形で存在してよい。イミダゾレート型リンカー構成成分のこのプロトン化形態を、本明細書ではH−IM
bと呼ぶ。第2有機リンカー構成成分(IM
b)は、多くの実施形態で、第1有機リンカー構成成分(IM
a)とは異なりうる。IM
bは、有利には、IM
a中にない官能基を含むことができる。
【0027】
液体組成物は、溶媒中に第2有機リンカー構成成分(IM
b)を含んでいる溶液を含みうる。溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシドまたはDMSO)、リンアミド(例えば、ヘキサメチルホスホルアミド)、アセトニトリル(MeCN)、トリエチルアミン(TEA)、またはこれらの組合せなどの極性有機溶媒であってよい。あるいはまた、厳密に有機ではないが、アンモニア水およびエタノール混合物などの水性溶媒を、リンカー構成成分の溶媒として使用できる。
【0028】
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの極性有機化合物が、本明細書では溶媒として提案されているが、本発明による方法に役立ちかつ/または本発明による生成物を作るのに役立つ溶媒(または溶媒系)は、少なくとも、反応が適当な速度で(または適当な反応時間にわたって)生じるようにさせるのに必要な程度まで、反応物を溶媒和させかつ/または可溶化できなければならないことを理解すべきである。それらはまた、典型的には、操作/反応条件で(任意選択ではあるが、好ましくは標準温度および圧力でも)実質的に液の相の中に存在することができる。さらに、ある特定のZIFを合成する場合、溶媒系は、(例えば、溶媒の1成分が十分に塩基性でない場合(ただし、これに限定されない))反応が進行するようにするために、ブレンステッドまたはルイス塩基(水素受容体)成分を含んでいる必要がありうる。そのブレンステッドまたはルイス塩基成分が、単一溶媒分子自体の一部を含むか、または水素受容体官能基を有する別個の成分を含むかは、必ずしも決定的に重要ではない。溶媒/溶媒系のこうした側面は、「従来の」(ソルボサーマルなど)合成ならびに本明細書に詳述しているリンカー交換合成法にも同様に適用できることをさらに理解すべきである。というのは、前述の側面は、一般的にZIFおよび/またはMOF合成反応に有利に関わりうるからである。
【0029】
ある特定の実施形態では、本発明において特に有用な溶媒(および/または溶媒系)は、上で述べたことに加えて、あるいは上で述べたこととは別に、比較的高い蒸気圧および/または比較的低い沸点を示しうる。例えば、一部のそのような実施形態では、比較的高い蒸気圧は、約20℃で少なくとも2.5kPa、例えば、約20℃で少なくとも約3.0kPa、約20℃で少なくとも約3.5kPa、約20℃で少なくとも約4.0kPa、約20℃で少なくとも約4.5kPa、約20℃で少なくとも約5.0kPa、約20℃で少なくとも約5.5kPa、約20℃で少なくとも約6.0kPa、約20℃で少なくとも約6.5kPa、約20℃で少なくとも約7.0kPa、約20℃で少なくとも約7.5kPa、約20℃で少なくとも約8.0kPa、約20℃で少なくとも約8.5kPa、約20℃で少なくとも約9.0kPa、または約20℃で少なくとも約9.5kPaに相当しうる。任意選択的に、蒸気圧の上限が必要であり、かつ/または望ましい場合、比較的高い蒸気圧は、約20℃で約30kPa以下、例えば、約20℃で約25kPa以下、約20℃で約20kPa以下、約20℃で約15kPa以下、または約20℃で約10kPa以下でありうる。上で述べたことに加えて、あるいは上で述べたこととは別に、一部のそのような実施形態では、比較的低い沸点は、99℃以下、例えば、約98℃以下、約96℃以下、約95℃以下、約93℃以下、約91℃以下、約90℃以下、約88℃以下、約86℃以下、約85℃以下、約83℃以下、約81℃以下、または約80℃以下に相当しうる。任意選択的に、沸点の下限が必要であり、かつ/または望ましい場合(好ましくは、溶媒は、液相であるようにするため、周囲温度より高い沸点を有することができる)、比較的低い沸点は、少なくとも約25℃、例えば、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、少なくとも約40℃、少なくとも約45℃、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、少なくとも約60℃、少なくとも約65℃、少なくとも約70℃、少なくとも約75℃、または少なくとも約80℃でありうる。比較的低い沸点および比較的高い蒸気圧の両方を有するそのような溶媒系の非限定例の1つとして、アセトニトリルとトリエチルアミンとの混合物がある。
【0030】
この方法の別のステップでは、第1ゼオライトイミダゾレート骨格組成物(ZIF
1)を、IM
bを含む液体組成物と接触させることができる。この接触は、(1)第1ZIF
1、(2)溶媒、および(3)IM
b源(H−IM
bなど)を任意の順序で混ぜ合わせることにより、行わせることができる。例えば、ZIF
1およびH−IM
bを最初に混ぜ合わせ、それから溶媒をその混ぜ合わせたものに加えて、H−IM
bを含む液体組成物の形成およびこの組成物とZIF
1との接触を同時に行わせることができる。行いやすい実施形態では、IM
b源を最初に溶媒に溶かし、得られた溶液をZIF
1に加えるか、またはZIF
1を溶液に加えることができる。
【0031】
第1ZIF(ZIF
1)中の第1有機リンカー(IM
a)と、ZIF
1と液体混合物(IM
bを含む)とを接触させるかまたは一緒にした混合物中のIM
bとのモル比は、0.1〜20、例えば、0.1〜15、0.1〜10、0.1〜7、0.1〜5、0.1〜3、0.1〜2、0.1〜1.5、0.2〜20、0.2〜15、0.2〜10、0.2〜7、0.2〜5、0.2〜3、0.2〜2、0.2〜1.5、0.3〜20、0.3〜15、0.3〜10、0.3〜7、0.3〜5、0.3〜3、0.3〜2、0.3〜1.5、0.5〜20、0.5〜15、0.5〜10、0.5〜7、0.5〜5、0.5〜3、0.5〜2、0.5〜1.5、0.8〜20、0.8〜15、0.8〜10、0.8〜7、0.8〜5、0.8〜3、0.8〜2、0.8〜1.5、1〜20、1〜15、1〜10、1〜7、1〜5、1〜3、1〜2、1〜1.5、1.5〜20、1.5〜15、1.5〜10、1.5〜7、1.5〜5、1.5〜3、1.5〜2、2〜20、2〜15、2〜10、2〜7、2〜5、または2〜3であってよい。IM
aをIM
bで完全に交換、または実質的に完全に交換(例えば、少なくとも90%)することが望ましい場合、IM
bとH−IM
aとのモル比は、有利には、少なくとも1、例えば、少なくとも1.2、少なくとも1.5、または少なくとも2であってよい。
【0032】
ZIF
1と、IM
bを含む液体組成物とを一緒にした混合物を、少なくとも部分的にIM
aをIM
bと交換するのに十分な条件下に維持し、それによってZIF
1からZIF
2への少なくとも部分的な変換を効率的に行うことができる。接触は、少なくとも部分的な交換を達成するのに十分な時間にわたって行わせることができ、例えば、少なくとも1時間から10日間もの間、1時間〜7日間、1時間〜5日間、1時間〜3日間、2時間〜10日間、2時間〜7日間、2時間〜5日間、2時間〜3日間、4時間〜10日間、4時間〜7日間、4時間〜5日間、4時間〜3日間、8時間〜10日間、8時間〜7日間、8時間〜5日間、8時間〜3日間、12時間〜10日間、12時間〜7日間、12時間〜5日間、12時間〜3日間、18時間〜10日間、18時間〜7日間、18時間〜5日間、18時間〜3日間、24時間〜10日間、24時間〜7日間、24時間〜5日間、または24時間〜3日間行わせることができる。ZIF
1と、IM
bを含む液体組成物とを一緒にした混合物の温度は、例えば、約−78℃(ドライアイス浴温)〜溶媒の沸点(N,N−ジメチルホルムアミドの標準沸点は約153℃である)の温度、約0℃(氷水浴温)〜溶媒の沸点より少なくとも10℃低い温度、または約15℃〜溶媒の沸点より少なくとも15℃低い温度(あるいは約100℃)の範囲であってよい。接触を圧力容器内で行う場合、温度は溶媒の沸点を超えてもよい。例えば、接触は、室温またはそれ以上(約18℃〜約200℃または約75℃〜約150℃)で実施してよい。IM
aをIM
bで完全に交換するかまたは実質的に完全に(例えば、90%以上)交換することが望まれるある特定の実施形態では、接触時間を20時間〜72時間にし、接触温度を130℃〜150℃にしてよい。
【0033】
IM
bとの交換によってZIF
1からZIF
2を形成させた後、ZIF
2を回収し、必要または所望であれば(例えば、ZIF
2の孔隙から分子を除去するために)処理することができる。この処理は、例えば、米国特許出願公開第2007/0202038号明細書および米国特許出願公開第2009/0211440明細書に記載のソルボサーマル法で製造された合成時の形態のZIFを活性化するための技法を含みうる。例えば、回収したZIF
2をDMFで洗浄し、アセトニトリルで溶媒交換し(例えば、約3日間のうちに3回交換)、乾燥させる(例えば、真空下において約200℃で約3時間)ことができる。次いで、乾燥生成物をアセトニトリルに(例えば、約75℃で約24時間)浸し、その後、未使用のアセトニトリルで最終洗浄して、アセトニトリル交換生成物を得ることができる。最後に、アセトニトリル交換生成物を、真空(例えば、約10ミリトル未満)下に約70℃で約10〜18時間置いて、活性形態のZIF
2を得ることができる。
【0034】
M
1およびM
2は、米国特許出願公開第2007/0202038号明細書中でZIFに関して記載されている1種または複数種の遷移金属であってよい。そのような遷移金属としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Lr、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、およびUubを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0035】
M
1およびM
2は、これらに加えて、またはこれらの代わりに他の金属を含んでもよい。例えば、米国特許出願公開第2010/0307336号明細書に記載されているように、M
1は第1原子価を有する金属であってよく、M
2は前記第1原子価とは異なる第2原子価を有する金属であってよい。
【0036】
そのような実施形態の1つでは、M
1は、一価金属陽イオンであってよく、それには、Li
+、Na
+、K
+、Cs
+、Rb
+、Cu
+、Ag
+、および/またはAu
+が含まれる(例えば、Li
+、Cu
+、および/またはAg
+を含むかまたはLi
+、Cu
+、および/またはAg
+であり、特に、Li
+を含むか、Li
+である)。上で述べたことに加えて、あるいは上で述べたこととは別に、そのような実施形態では、M
2は、三価元素陽イオンであってよく、それには、B
3+、Al
3+、Ga
3+、In
3+、Fe
3+、Cr
3+、Sc
3+、Y
3+、および/またはLa
3+(Laは任意のランタニド金属)が含まれる(例えば、B
3+、Al
3+、および/またはGa
3+が含まれ、特にB
3+が含まれる)。
【0037】
ある特定の実施形態では、M
1およびM
2は両方とも同じであってよい。M
1およびM
2がどちらも同じである場合、それらは有利には、遷移金属(例えばZn)を含むか、または遷移金属であってよい。
【0038】
本明細書に記載のゼオライトイミダゾレート骨格物質(例えば、ZIF
1およびZIF
2)は、IV、V、VI、またはそれらの任意の組合せ:
【化5】
[式中、A
1、A
2、A
3、およびA
4はそれぞれ独立に、C、N、P、およびBからなる元素群から選択することができ、A
5、A
6、およびA
7のそれぞれはCまたはNであってよく;R
5〜R
8は、その対応するA
1〜A
4がCを含む場合、それぞれが存在することができ;R
1、R
4、および/またはR
9は、有利には、隣接するM
1またはM
2を(実質的に)妨害しない立体障害を引き起こさない基を含み;R
2およびR
3、ならびにR
5、R
6、R
7、および/またはR
8(存在する場合)は、それぞれ個別に水素、アルキル、ハロ、シアノ、またはニトロであってよく;M
1およびM
2は、同一または異なる金属陽イオンを含んでよく;さらにR
10〜R
12は、その対応するA
5〜A
7がCを含む場合には個別に存在することができ、その場合、存在しているR
10〜R
12の1つまたは複数が、任意選択的であるが、有利には電子吸引基であることができる]
からなる群から選択される構造体を含む四面体骨格を有しうる。
【0039】
1つの実施形態では、R
1、R
4、およびR
9の各々は、水素、メチル、エチル、ニトロ、ホルミル、ハロ、およびシアノの各基から独立に選択することができる。
【0040】
R
10、R
11、およびR
12のそれぞれの好適な電子吸引基としては、ニトロ、シアノ、フルオロ、およびクロロの各基を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0041】
特定の実施形態の例によれば、第1ゼオライトイミダゾレート骨格組成物は、式IVの構造体を含むことができ、第2ゼオライトイミダゾレート骨格組成物は式Vの構造体を含むことができる。
【0042】
本明細書に記載のゼオライトイミダゾレート骨格物質のファミリーメンバーの例には、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、およびこれらの組合せからなる群から選択される構造体が含まれうる。
【化6】
【化7】
【化8】
【0043】
上記の式のイミダゾレート結合部分は、例えば、Yaghiおよびその共同研究者らによって、とりわけ以下の刊行物で報告されている従来のZIF合成にうまく使用されてきた:“Exceptional Chemical and Thermal Stability of Zeolitic Imidazolate Frameworks”,Proceedings of the National Academy of Sciences of U.S.A.,Vol.103,2006,pp.10186−91;“Zeolite A Imidazolate Frameworks”,Nature Materials,Vol.6,2007,pp.501−6;“High−Throughput Synthesis of Zeolitic Imidazolate Frameworks and Application to CO
2 Capture”,Science,Vol.319,2008,pp.939−43;“Colossal Cages in Zeolitic Imidazolate Frameworks as Selective Carbon Dioxide Reservoirs”,Nature,Vol.453,2008,pp.207−12;および“Crystalsas Molecules:Postsynthesis Covalent Functionalization of Zeolitic Imidazolate Frameworks”,Journal of the American Chemical Society,Vol.130,2008,pp.12626−7。
【0044】
本明細書に記載された交換法の特定実施形態の例によれば、第1ゼオライトイミダゾレート骨格組成物は、式VII、VIII、IX、X、XI、および/またはXIIの構造体(例えば、式VIIIの構造体)を含むことができ、第2ゼオライトイミダゾレート骨格組成物は、式XIII、XIV、XV、XVI、XVII、および/またはXVIIIの構造体(例えば、式XIII、XIV、XV、および/またはXVIの構造体、または式XVの構造体)を含むことができる。
【0045】
C.比較的不溶性の反応物(例えば、固体金属酸化物)による合成法
本明細書に記載のリンカー交換法は、反応媒体に比較的不溶性である反応物を用いてZIF物質を形成させる一例であることに注目すべきである。リンカー交換の場合、金属源は、典型的には反応媒体に比較的不溶性である第1ZIF(つまりZIF
a)であってよく、それは実施可能なものである。とは言え、金属の比較的不溶性の源の別の例として、金属酸化物などの無機金属化合物を挙げることができる。一般に、以下の方式(又はスキーム)3は、「従来」合成法の金属酸化物類似法(本明細書では「固体金属酸化物」法と呼ぶ)を示し、その中で、Mは、典型的には、上述したような二価の遷移金属であり、M
1およびM
2は、典型的には、それぞれ上述したような一価および三価の金属であり、IMは、イミダゾレートまたは置換イミダゾレートであり、H−IMは対応するIMの中性分子(すなわち、プロトン化された形のIM)である。
【化9】
【0046】
固体金属酸化物法の驚くべき側面の一つは、ZIF物質が、非平衡骨格型(すなわち、比較的可溶性の反応物が関係する従来の合成法によって得られるものとは異なり、かつ/または標準/予測合成条件下において比較的可溶性の反応物で従来合成法を用いて得られるものとは異なる骨格型)と一致する化学組成を有しうるという点でありうる。有利には、非平衡骨格型の場合、得られたZIF生成物が、更なる用途に使用でき、かつ/またはもっと経済的な用途に使用できるようになりうる。しかし、場合によっては、固体金属酸化物法は、化学組成を骨格型と確実に一致させるのに利用できる唯一の反応方式でありうるので、それは、そうした理由で望ましいものでありうる。固体金属酸化物法は、例えば、従来の(比較的可溶性の)合成法および/またはリンカー交換法と比べて、化学組成と骨格型とを確実に一致させるより効率的な(または最も効率的な)反応方式でありうる場合もある。
【0047】
しかしながら、たとえ固体金属酸化物方式の生成物が、平衡骨格型(すなわち、標準/予測合成条件下において、比較的可溶性の反応物による従来合成法を用いて得ることのできるもの/得られたものと類似または同一の骨格型)を有するとしても、固体金属酸化物法は、依然として有利でありうると考えられる。というのは、固体金属酸化物法は、有利なことに、リンカー交換方式よりも比較的きれいでありうるからである。確かに、固体金属酸化物方式では、無機酸化物は2つのプロトンを吸収して、反応時に副生成物として水のみを生じ、この反応の間に、更なるイミダゾレート副生成物(方式2に示されている)も金属塩対イオン副生成物(方式1に示されていない)も不純物として形成されない。さらに、水副生成物がいっそう環境に優しいこと、また金属酸化物反応物がどこにでもあることは、この方式が、他の2つの方式よりも商業規模への拡大にとっていっそう有利であろうことを示唆するものとなりうる。
【0048】
具体的には、ZIFの固体金属酸化物合成法は、以下のステップを含むことができる:(a)反応媒体中にイミダゾレートまたは置換イミダゾレート(IM)の源を含む液体組成物を用意するステップ;(b)金属M
1およびM
2(ここで、M
1およびM
2は同一または異なる金属陽イオンを含む)の源を用意するステップであって、その金属源の少なくとも1種が、反応媒体中および液体組成物中に比較的不溶性である金属酸化物である、ステップ;および(c)一般構造M
1−IM−M
2を含む四面体骨格を有するゼオライトイミダゾレート骨格組成物を製造するのに十分な条件下で、液体組成物を金属源と接触させるステップ。有利な実施形態では、生成物であるゼオライトイミダゾレート骨格組成物の骨格型は、実質的に可溶性のM
1、M
2およびIMの源を、同じ(あるいは異なる)反応媒体中で結晶化させてゼオライトイミダゾレート骨格組成物を製造する場合に得られる骨格型とは異なりうる。
【0049】
この固体金属酸化物合成法は、さらに一般化して「比較的不溶性の反応物」合成法にすることができ、それは以下のステップを含みうる:(a)反応媒体、イミダゾレートまたは置換イミダゾレート反応物(IM)の源および金属M
1およびM
2の反応物源を混合して合成混合物を形成させるステップであって、M
1およびM
2が同一または異なる金属陽イオンを含み、その反応物の少なくとも1種が反応媒体自体および合成混合物に比較的不溶性である、ステップ;および(b)少なくとも1種の比較的不溶性の反応物を有する合成混合物を、一般構造M
1−IM−M
2を含む四面体骨格を有するゼオライトイミダゾレート骨格組成物を形成させるのに十分な条件下に維持するステップ。この場合も、有利な実施形態では、生成物であるゼオライトイミダゾレート骨格組成物の骨格型は、実質的に可溶性のM
1、M
2およびIMの源を、同じ(あるいは異なる)反応媒体中で結晶化させてゼオライトイミダゾレート骨格組成物を製造する場合に得られる骨格型とは異なりうる。
【0050】
反応媒体としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシドまたはDMSO)、ホスホルアミド(例えば、ヘキサメチルホスホルアミド)、アセトニトリル(MeCN)、トリエチルアミン(TEA)、またはこれらの組合せなどの極性有機溶媒を挙げることができるが、これらに限定されない。あるいはまた、厳密な有機ではないが、アンモニア水およびエタノール混合物などの水性溶媒を溶媒/液体媒体として使用できる。
【0051】
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの極性有機化合物が、本明細書では溶媒として提案されているが、本発明による方法に役立ち、かつ/または本発明による生成物を作るのに役立つ溶媒(または溶媒系)は、少なくとも、反応が適当な速度で(または適当な反応時間にわたって)生じるようにさせるのに必要な程度まで、反応物を溶媒和させかつ/または可溶化することができなければならないことを理解すべきである。それらはまた、典型的には操作/反応条件で(任意選択ではあるが、好ましくは標準温度および圧力でも)実質的に液の相に存在することができる。さらに、ある特定のZIFを合成する場合、溶媒系は、(例えば、溶媒の1成分が十分に塩基性でない場合(ただし、これに限定されない))反応が進行するようにするために、ブレンステッドまたはルイス塩基(水素受容体)成分を含んでいる必要がありうる。そのブレンステッドまたはルイス塩基成分が、単一溶媒分子自体の一部を含むか、または水素受容体官能基を有する別個の成分を含むかは、必ずしも決定的に重要ではない。ZIF合成の溶媒(溶媒系)のこうした側面は、「従来の」(ソルボサーマルなど)合成、ならびに本明細書に詳述したリンカー交換合成法にも同様に当てはまりうることをさらに理解すべきである。
【0052】
ある特定の実施形態では、本発明において特に有用な溶媒(および/または溶媒系)は、上で述べたことに加えて、あるいは上で述べたこととは別に、比較的高い蒸気圧および/または比較的低い沸点を示しうる。明確にする目的で、どんな反応が起こるよりも前の(したがって、任意の反応生成物または副生成物(水など)が存在するようになる前の)こうした特性を、溶媒(および/または溶媒系)に関連して定義しておく。例えば、一部のそのような実施形態では、比較的高い蒸気圧は、約20℃で少なくとも1.0kPa、例えば、約20℃で少なくとも1.5kPa、約20℃で少なくとも2.0kPa、約20℃で少なくとも2.5kPa、約20℃で少なくとも約3.0kPa、約20℃で少なくとも約3.5kPa、約20℃で少なくとも約4.0kPa、約20℃で少なくとも約4.5kPa、約20℃で少なくとも約5.0kPa、約20℃で少なくとも約5.5kPa、約20℃で少なくとも約6.0kPa、約20℃で少なくとも約6.5kPa、約20℃で少なくとも約7.0kPa、約20℃で少なくとも約7.5kPa、約20℃で少なくとも約8.0kPa、約20℃で少なくとも約8.5kPa、約20℃で少なくとも約9.0kPa、または約20℃で少なくとも約9.5kPaに相当しうる。任意選択的に、蒸気圧の上限が必要であり、かつ/または望ましい場合、比較的高い蒸気圧は、約20℃で約30kPa以下、例えば、約20℃で約25kPa以下、約20℃で約20kPa以下、約20℃で約15kPa以下、または約20℃で約10kPa以下でありうる。上で述べたことに加えて、あるいは上で述べたこととは別に、一部のそのような実施形態では、比較的低い沸点は、約140℃以下、例えば、約130℃以下、約120℃以下、約110℃以下、約105℃以下、約100℃以下、99℃以下、約98℃以下、約96℃以下、約95℃以下、約93℃以下、約91℃以下、約90℃以下、約88℃以下、約86℃以下、約85℃以下、約83℃以下、約81℃以下、または約80℃以下に相当しうる。任意選択的に、沸点の下限が必要であり、かつ/または望ましい場合(好ましくは、溶媒は、液相中にあるようにするため、周囲温度より高い沸点を有することができる)、比較的低い沸点は、少なくとも約25℃、例えば、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、少なくとも約40℃、少なくとも約45℃、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、少なくとも約60℃、少なくとも約65℃、少なくとも約70℃、少なくとも約75℃、または少なくとも約80℃でありうる。比較的低い沸点および比較的高い蒸気圧の両方を有するそのような溶媒系の非限定例の1つとして、アセトニトリルとトリエチルアミンとの混合物がある。
【0053】
M
1およびM
2がどちらも(同じものであるにしても、異なるものであるにしても)二価の金属である場合、それらはそれぞれ有利には、周期律表の2族の金属、遷移金属、または希土類金属(例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Lr、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、およびUubからなる群から選択される)(Znなど)を含むことができる。M
1が一価の金属であり、M
2が三価の金属である場合、M
1は、周期律表の1族の金属または一価の遷移金属(例えば、Li、Na、K、Cs、Rb、Cu、Ag、またはAu;Li、Cu、またはAgなど;またはLiなど)を含むことができ、M
2は、周期律表の13族の金属または三価の遷移金属(例えば、B、Al、Ga、In、Fe、Cr、Sc、Y、またはLa;B、Al、またはGaなど;Bなど)を含むことができる。
【0054】
そのような金属の源は、有利には、少なくともリンカー交換法および固体金属酸化物法において、また任意選択的ではあるが、好ましくは比較的不溶性の反応物法においても、反応媒体中に比較的不溶性の少なくとも1種の反応物であってよい。比較的不溶性の金属源の例は、反応媒体の性質によって(時には、大きく)異なりうるし、典型的には無機でありうるし(ただし、必ずしもそうである必要ではない)、またその例として、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、窒化物、リン化物、硫化物、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、および/またはヨウ化物など)など、またはこれらの組合せを挙げることができるが、決してそれらに限定されない。明らかに、1つの好ましい実施形態では、金属の源は酸化物を含みうる。
【0055】
金属源が比較的不溶性であることは、ZIF物質をまずまずの収量で合成できること、ZIF物質を本当にうまく合成できること、および/または、許容できるレベルおよび/または許容できるタイプの不純物を有するZIF物質を得ることができることを必ずしも意味しない。というのは、他の因子が存在しうるからである。実際、すべての比較的不溶性の金属酸化物反応物が、ZIF物質を本当に(またはまずまずの純度で)形成するという目標を達成しうるわけではない。例えば、本発明による合成法により、有利には、望ましいZIF物質のモル純度(molar purity)が許容可能でありうるZIF含有固体生成物を得ることができ、そのようなモル純度は、50%を超える純度(すなわち、50%未満の不純物)、例えば、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、または実質的に純粋(すなわち、統計学的に有意な検出可能不純物を含まない)を意味しうる。例えば、固体金属酸化物法では、金属がZnである場合、比較的不溶性の酸化亜鉛反応物の粒径および/または粒径分布は、生成物中に任意の所望のZIF物質を得ることができるかどうか、および/または生成物中の望ましいZIF物質の純度を許容可能なものにできるかどうかに大きく影響しうる。したがって、実施形態によっては、比較的不溶性の反応物の平均(中央)粒径は、5ミクロン未満、例えば、3ミクロン未満、2ミクロン未満、1ミクロン未満、750nm未満、600nm未満、500nm未満、400nm未満、300nm未満、250nm未満、200nm未満、150nm未満、100nm未満、75nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、25nm未満、20nm未満、15nm未満、または10nm未満でありうる。上で述べたことに加えて、あるいは上で述べたこととは別に、実施形態によっては、比較的不溶性の反応物の粒径分布は、粒径が少なくとも10ミクロン(例えば、少なくとも7ミクロン、少なくとも5ミクロン、少なくとも4ミクロン、少なくとも3ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも1ミクロン、少なくとも750nm、少なくとも600nm、少なくとも500nm、少なくとも400nm、少なくとも300nm、少なくとも250nm、または少なくとも200nm)である粒子が、5%以下(例えば、粒子が3%以下または粒子が1%以下)であるようにすることができる。
【0056】
イミダゾレートまたは置換イミダゾレート(IM)の源は、本明細書に開示された構造体の1つまたは複数を含みうるか、それらから本質的になるか、あるいはその1つまたは複数でありうる。開示されている構造体には、例えば、構造体I〜XVIIIの1つまたは複数(または構造体IV〜XVIIIの1つまたは複数)、または特に5−アザベンゾイミダゾレートが含まれるが、これらに限定されない。リンカー交換法および固体金属酸化物法では、IM源は、典型的にはH−IMであってよく、これは、典型的には反応媒体中に(完全に、実質的に、または比較的)可溶性であってもよい。とは言え、こうした方法では、IM源は、むしろ任意選択に反応媒体中に比較的不溶性である。さらに、比較的不溶性の反応物の方法では一般に、IM源は、反応媒体中に(完全に、実質的に、または比較的)可溶性であるかまたは比較的不溶性であってよい。この場合もまた、H−IMが例示的なIM源でありうるが、必ずしも唯一の可能なIM源であるわけではない。
【0057】
本発明によるZIFの非従来的合成法では、ZIF物質を形成させるのに十分な条件により、少なくとも部分的な反応を助けることができ、望ましい程度に/ほどほどに高いZIF純度が達成されるようにすることができ、かつ/または望ましい程度に/ほどほどに低い不純物レベルが達成されるようにすることができる(その不純物レベルは、特に、本明細書に記載した用途などある特定のさらなる用途における、望ましくない、かつ/または汚染を引き起こす、ある特定タイプの不純物のレベルである)。そのような十分な条件としては、少なくとも1時間から10日間もの接触/結晶化時間、例えば、1時間〜7日間、1時間〜5日間、1時間〜3日間、2時間〜10日間、2時間〜7日間、2時間〜5日間、2時間〜3日間、4時間〜10日間、4時間〜7日間、4時間〜5日間、4時間〜3日間、8時間〜10日間、8時間〜7日間、8時間〜5日間、8時間〜3日間、12時間〜10日間、12時間〜7日間、12時間〜5日間、12時間〜3日間、18時間〜10日間、18時間〜7日間、18時間〜5日間、18時間〜3日間、24時間〜10日間、24時間〜7日間、24時間〜5日間、または24時間〜3日間;約−78℃(ドライアイス浴温)から反応媒体の沸点までの温度(接触/結晶化が圧力容器で行われる場合、温度は、大気圧において反応媒体の沸点を超えてもよい)、例えば、約0℃(氷水浴温)〜溶媒の沸点より少なくとも10℃低い温度、または約15℃〜溶媒の沸点より少なくとも15℃低い温度(あるいはまた〜約100℃)で、約15℃〜約300℃、約15℃〜約250℃、約15℃〜約200℃、約15℃〜約150℃、約15℃〜約100℃、約15℃〜約80℃、約15℃〜約75℃、約15℃〜約70℃、約15℃〜約65℃、約15℃〜約60℃、約15℃〜約50℃、約25℃〜約300℃、約25℃〜約250℃、約25℃〜約200℃、約25℃〜約150℃、約25℃〜約100℃、約25℃〜約80℃、約25℃〜約75℃、約25℃〜約70℃、約25℃〜約65℃、約25℃〜約60℃、約25℃〜約50℃、約35℃〜約300℃、約35℃〜約250℃、約35℃〜約200℃、約35℃〜約150℃、約35℃〜約100℃、約35℃〜約80℃、約35℃〜約75℃、約35℃〜約70℃、約35℃〜約65℃、約35℃〜約60℃、約35℃〜約50℃、約50℃〜約300℃、約50℃〜約250℃、約50℃〜約200℃、約50℃〜約150℃、約50℃〜約100℃、約50℃〜約80℃、約50℃〜約75℃、または約50℃〜約70℃など;および約1kPaa〜約10MPaaの反応圧力、例えば、約1kPaa〜約5MPaa、約1kPaa〜約2MPaa、約1kPaa〜約1MPaa、約1kPaa〜約500kPaa、約1kPaa〜約300kPaa、約1kPaa〜約200kPaa、約10kPaa〜約100kPaa、約10kPaa〜約10MPaa、約10kPaa〜約5MPaa、約10kPaa〜約2MPaa、約10kPaa〜約1MPaa、約10kPaa〜約500kPaa、約10kPaa〜約300kPaa、約10kPaa〜約200kPaa、約10kPaa〜約100kPaa、約90kPaa〜約10MPaa、約90kPaa〜約5MPaa、約90kPaa〜約2MPaa、約90kPaa〜約1MPaa、約90kPaa〜約500kPaa、約90kPaa〜約300kPaa、約90kPaa〜約200kPaa、約100kPaa〜約10MPaa、約100kPaa〜約5MPaa、約100kPaa〜約2MPaa、約100kPaa〜約1MPaa、約100kPaa〜約500kPaa、約100kPaa〜約300kPaa、約100kPaa〜約200kPaa、または約100kPaa〜約150kPaaを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0058】
上記の方法にしたがって作られた生成物であるZIF物質は、平衡または非平衡の骨格型を有することができ、それには、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAG、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、CHI、CLO、CON、CRB、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DIA、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、FRL、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IHW、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWV、IWW、JBW、KFI、LAU、LCS、LEV、LIO、LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NSI、OBW、OFF、OSI、OSO、OWE、PAR、PAU、PHI、PON、POZ、RHO、RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SGT、SIV、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、SZR、TER、THO、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、WEN、YUG、ZNI、およびZON(例えば、CRB、DFT、CAG、SOD、MER、RHO、ANA、LTA、DIA、ZNI、GME、LCS、FRL、GIS、POZ、MOZ、およびこれらの組合せからなる群から選択されるもの)が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0059】
D.ZIF構造体および用途
本明細書に開示されているゼオライトイミダゾレート骨格物質は、任意の型の四面体骨格構造体を有していてよい。ゼオライトイミダゾレート骨格物質の骨格型は、本明細書では、ゼオライトの文献で用いられているものと類似の仕方で3つの大文字からなるコードで表す。3つの小文字記号の方式は、金属−有機骨格(MOF)、メタ有機多面体(MOP)、ゼオライトイミダゾレート骨格(ZIF)、および共有結合性−有機骨格(COF)の骨格型を表すために、O’KeeffeおよびYaghiによって導入されたことを指摘しておく必要がある。後者についての一般的情報は、例えば、O’KeeffeおよびYaghiらによる刊行物の中の“Reticular Chemistry:Ocurrence and Taxonomy of Nets and Grammar for the Design of Frameworks”,Accounts of Chemical Research,Vol.38,2005,pp.176−82、およびhttp://rcsr.anu.edu.au/homeの網状化学の構造体資源(the Reticular Chemistry Structure Resource)(RCSR)ウェブサイトに見いだすことができる。統一性を保つため、この刊行物で使用する骨格型のコードはすべて大文字である。「骨格型」、「骨格構造」、「配置」、および「網」という概念は、関連する文献では基本的に同義的に使用されることにも注目される。本明細書に列挙されている方法および組成物は、多くの場合、ZIFのみに関連して(また時にはMOFにも関連して)述べられているが、本明細書のこうした方法および組成物に関する概念および/またはステップは、無機結晶物質の他の有機付加物(MOF、MOP、COFなど)にも広く当てはまりうる(また、それゆえに同様に適用可能でありうる)と考えられる。
【0060】
ZIFとしては、周知のゼオライト類およびその関連鉱物と同じ構造を有するそのような構造体、ならびにZIFの分野に特有の構造体、例えば、米国特許出願公開第2007/0202038号明細書および米国特許出願公開第2010/0307336号明細書に明らかにされているものを挙げることができ、それには、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAG、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、CHI、CLO、CON、CRB、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DIA、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、FRL、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IHW、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWV、IWW、JBW、KFI、LAU、LCS、LEV、LIO、LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NSI、OBW、OFF、OSI、OSO、OWE、PAR、PAU、PHI、PON、POZ、RHO、RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SGT、SIV、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、SZR、TER、THO、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、WEN、YUG、ZNI、およびZONが含まれる。そのような構造体として、CRB、DFT、CAG、SOD、MER、RHO、ANA、LTA、DIA、ZNI、GME、LCS、FRL、GIS、POZ、MOZ、およびこれらの組合せからなる群から選択される四面体骨格型を挙げることができる。
【0061】
合成された時の形態の本多孔質結晶物質は一般に、四面体骨格内にゲスト種(典型的には溶媒分子および/または鋳型分子)を含むことができる。ゲスト種は、例えば、比較的低圧(50ミリトル未満など)において、任意選択的であるが典型的には約70℃〜約300℃の温度で、真空引きにより、あるいは比較的小さい分子サイズの有機溶媒(例えば、アセトニトリル)と交換し、その後、前述のプロセスを用いるなどして真空引きをして除去することができる。ゲスト種を除去すると、様々な気体(二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫化水素、炭化水素、水素、窒素、酸素、希ガス、アンモニア、アミン、またはこれらの組合せなど)を吸着するのに使用できる内部細孔容積を増大させることができる。
【0062】
ZIF物質(例えば、本明細書に記載した非従来法で製造されたもの)が、EMM−19を含む場合、すなわち、SOD骨格型および/または実験式Zn(5−アザベンゾイミダゾール)
2を有するように合成された場合、(例えば、DMF中で作られた)生成物の合成された時の状態のEMM−19部分は、本明細書の表1bに示すd間隔範囲および対応する相対ピーク強度範囲を有するXRDパターンを示しうる。こうした合成された時の状態の物質からゲスト分子が除去されると、生成物のアセトニトリル交換EMM−19部分は、本明細書の表1dに示すd間隔範囲および対応する相対ピーク強度範囲を有するXRDパターンを示しうる。
【0063】
ゼオライトイミダゾレート骨格物質(例えば、本明細書に記載した非従来法で製造したもの)で、SOD骨格型および/または実験式Zn(5−アザベンゾイミダゾール)
2を有するものなどは、固有の二酸化炭素収着容量を有しうる。例えば、28℃の温度を含む条件の下で、ゼオライトイミダゾレート骨格物質は、
(i)約75トルのCO
2分圧において、ゼオライトイミダゾール骨格組成物1グラム当たり、少なくとも0.30ミリモルのCO
2(例えば、少なくとも0.35ミリモル/g、少なくとも0.40ミリモル/g、少なくとも0.45ミリモル/g、少なくとも0.50ミリモル/g、少なくとも0.55ミリモル/g、少なくとも0.60ミリモル/g、少なくとも0.65ミリモル/g、少なくとも0.70ミリモル/g、少なくとも0.75ミリモル/g、少なくとも0.80ミリモル/g、少なくとも0.85ミリモル/g、少なくとも0.90ミリモル/g、少なくとも0.95ミリモル/gまたは少なくとも1.0ミリモル/g);
(ii)約100トルのCO
2分圧において、ゼオライトイミダゾール骨格組成物1グラム当たり、少なくとも0.35ミリモルのCO
2(例えば、少なくとも0.40ミリモル/g、少なくとも0.45ミリモル/g、少なくとも0.50ミリモル/g、少なくとも0.55ミリモル/g、少なくとも0.60ミリモル/g、少なくとも0.65ミリモル/g、少なくとも0.70ミリモル/g、少なくとも0.75ミリモル/g、少なくとも0.80ミリモル/g、少なくとも0.85ミリモル/g、少なくとも0.90ミリモル/g、少なくとも0.95ミリモル/g、少なくとも1.0ミリモル/g、少なくとも1.1ミリモル/g、少なくとも1.2ミリモル/g、または少なくとも1.3ミリモル/g);および/または
(iii)約200トルのCO
2分圧において、ゼオライトイミダゾール骨格組成物1グラム当たり、少なくとも0.50ミリモルのCO
2(例えば、少なくとも0.55ミリモル/g、少なくとも0.60ミリモル/g、少なくとも0.65ミリモル/g、少なくとも0.70ミリモル/g、少なくとも0.75ミリモル/g、少なくとも0.80ミリモル/g、少なくとも0.85ミリモル/g、少なくとも0.90ミリモル/g、少なくとも0.95ミリモル/g、少なくとも1.0ミリモル/g、少なくとも1.1ミリモル/g、少なくとも1.2ミリモル/g、少なくとも1.3ミリモル/g、少なくとも1.4ミリモル/g、少なくとも1.5ミリモル/g、少なくとも1.6ミリモル/g、少なくとも1.7ミリモル/g、または少なくとも1.8ミリモル/g)
を収着しうる。ここで挙げた比較的低い分圧では、CO
2の収着量に必ずしも上限はないが、本発明によるゼオライトイミダゾレート骨格物質は、典型的には、CO
2を最大5ミリモル/gまで収着できる。
【0064】
さらに、例えば、本明細書で述べられている非従来法で作られるZIF物質(SOD骨格型および/または実験式Zn(5−アザベンゾイミダゾール)
2を有するものなど)であって、ゼオライトイミダゾール骨格組成物1グラム当たり少なくとも0.30ミリモルの収着CO
2(例えば、少なくとも0.35ミリモル/g、少なくとも0.40ミリモル/g、少なくとも0.45ミリモル/g、少なくとも0.50ミリモル/g、少なくとも0.55ミリモル/g、少なくとも0.60ミリモル/g、少なくとも0.65ミリモル/g、少なくとも0.70ミリモル/g、少なくとも0.75ミリモル/g、少なくとも0.80ミリモル/g、少なくとも0.85ミリモル/g、少なくとも0.90ミリモル/g、少なくとも0.95ミリモル/g、少なくとも1.0ミリモル/g、少なくとも1.1ミリモル/g、少なくとも1.2ミリモル/g、少なくとも1.3ミリモル/g、少なくとも1.4ミリモル/g、少なくとも1.5ミリモル/g、少なくとも1.6ミリモル/g、少なくとも1.7ミリモル/g、少なくとも1.8ミリモル/g、少なくとも1.9ミリモル/g、少なくとも2.0ミリモル/g、少なくとも2.1ミリモル/g、少なくとも2.2ミリモル/g、少なくとも2.3ミリモル/g、少なくとも2.4ミリモル/g、または少なくとも2.5ミリモル/g)をさらに含むものも考えられる。
【0065】
E.更なる実施形態
上で述べたことに加えて、あるいは上で述べたこととは別に、本発明は1つまたは複数の以下の実施形態を含みうる。
【0066】
実施形態1
(a)合成混合物を形成するために、反応媒体と、イミダゾレートまたは置換イミダゾレート反応物(IM)の源と、金属M
1およびM
2の反応物源とをともに混合するステップ(又は工程)であって、M
1およびM
2が、同一または異なる金属陽イオン(又は金属カチオン)を含み、その反応物の少なくとも1つが、反応媒体自体および前記合成混合物中に比較的不溶性である、混合するステップ(又は工程)と;
(b)少なくとも1つの比較的不溶性の反応物を有する前記合成混合物を、一般構造:M
1−IM−M
2を含む四面体骨格を有するゼオライトイミダゾレート骨格組成物を形成させるのに十分な条件下で維持するステップ(又は工程)と
を含む、ゼオライトイミダゾレート骨格組成物を形成させるための方法。
【0067】
実施形態2
(a)反応媒体中にイミダゾレートまたは置換イミダゾレート(IM)の源を含む液体組成物を用意するステップと;
(b)金属M
1およびM
2(式中、M
1およびM
2は、同一または異なる金属陽イオンを含む)の源を用意するステップであって、その金属源の少なくとも1つが、前記反応媒体中および前記液体組成物中に比較的不溶性である金属酸化物である、ステップと;
(c)一般構造:M
1−IM−M
2を含む四面体骨格を有するゼオライトイミダゾレート骨格組成物を製造するのに十分な条件下で、前記液体組成物を前記金属源と接触させるステップと
を含む、ゼオライトイミダゾレート骨格組成物を形成させるための方法。
【0068】
実施形態3
実質的に可溶性のM
1、M
2およびIMの源を同じ反応媒体中で結晶化させることによりゼオライトイミダゾレート骨格組成物を製造した場合に得られる骨格型とは異なる骨格型を前記ゼオライトイミダゾレート骨格組成物の生成物が有する、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
【0069】
実施形態4
実質的に可溶性のM
1、M
2およびIMの源を別の反応媒体中で結晶化させることによりゼオライトイミダゾレート骨格組成物を製造した場合に得られる骨格型と同じ骨格型を前記ゼオライトイミダゾレート骨格組成物の生成物が有する、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
【0070】
実施形態5
前記ゼオライトイミダゾレート骨格組成物の生成物が、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAG、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、CHI、CLO、CON、CRB、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DIA、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、FRL、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IHW、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWV、IWW、JBW、KFI、LAU、LCS、LEV、LIO、LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NSI、OBW、OFF、OSI、OSO、OWE、PAR、PAU、PHI、PON、POZ、RHO、RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SGT、SIV、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、SZR、TER、THO、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、WEN、YUG、ZNI、ZONおよびこれらの組合せからなる群から選択される骨格型(CRB、DFT、CAG、SOD、MER、RHO、ANA、LTA、DIA、ZNI、GME、LCS、FRL、GIS、POZ、MOZおよびこれらの組合せからなる群から選択されるものなど)を示す、実施形態1〜4のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0071】
実施形態6
前記反応媒体が、約20℃において、約1.0kPa〜約30kPa(例えば、約2.5kPa〜約20kPa)の蒸気圧を有するか、約25℃〜約140℃(例えば、約35℃〜99℃)の沸点を有するか、あるいはその両方を有する、実施形態1〜5のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0072】
実施形態7
前記反応媒体が、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、スルホキシド、ホスホルアミド、アセトニトリル(MeCN)、トリエチルアミン(TEA)、水、アンモニア、エタノールまたはこれらの組合せを含む、実施形態1〜6のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0073】
実施形態8
前記金属が、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Lr、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、Uubおよびこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1〜7のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0074】
実施形態9
M
1が、1族を含むか、あるいはLi、Na、K、Cs、Rb、Cu、Ag、Auおよびこれらの組合せからなる群から選択される一価の遷移金属を含み、M
2が、13族を含むか、あるいはB、Al、Ga、In、Fe、Cr、Sc、Y、Laおよびこれらの組合せからなる群から選択される三価の遷移金属を含む、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態10
前記金属M
1およびM
2の源の少なくとも1つが、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、窒化物、リン化物、硫化物、ハロゲン化物またはこれらの組合せを含む、実施形態1および3〜9のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
実施形態11
前記イミダゾレートまたは置換イミダゾレート(IM)が、IV、V、VIまたはこれらの任意の組合せ:
【化10】
[式中、A
1、A
2、A
3およびA
4は、C、N、PおよびBからなる元素の群から選択され、A
5、A
6およびA
7は、CまたはNのいずれかであってよく、R
5〜R
8は、A
1〜A
4がCを含む場合に存在し、R
1、R
4またはR
9は、隣接したM
1もM
2も妨害しない立体障害を引き起こさない基を含み、R
2、R
3、R
5、R
6、R
7およびR
8は、それぞれ別個に、水素、アルキル、ハロ、シアノまたはニトロであり、M
1およびM
2は、同一または異なる金属陽イオンを含み、さらにR
10、R
11およびR
12は、それぞれ別個に電子吸引基である]
からなる群から選択される、実施形態1〜10のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0077】
実施形態12
前記イミダゾレートまたは置換イミダゾレート(IM)が、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVIIおよび/またはXVIII:
【化11】
【化12】
【化13】
からなる群から選択される(例えば、前記イミダゾレートまたは置換イミダゾレート(IM)が、式:XVの構造体を含む)、実施形態11に記載の方法。
【0078】
実施形態13
前記十分な条件が、1時間〜10日間(例えば、12時間〜7日間)の接触/結晶化時間、約−78℃〜前記反応媒体の沸点(例えば、約15℃〜約150℃)の温度、および約1kPaa〜約10MPaa(例えば、約100kPaa〜約10MPaa)の反応圧力を含む、実施形態1〜12のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0079】
実施形態14
前記イミダゾレートまたは置換イミダゾレート(IM)が、5−アザベンゾイミダゾレートであり、前記ゼオライトイミダゾレート骨格組成物が、SOD骨格型を有する、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態15
前記金属M
1およびM
2の源および/または金属酸化物は、比較的不溶性であり、前記金属M
1およびM
2の源および/または金属酸化物の平均粒径は、5ミクロン未満(例えば、3ミクロン未満、2ミクロン未満、1ミクロン未満、750nm未満、600nm未満、500nm未満、400nm未満、300nm未満、250nm未満、200nm未満、150nm未満、100nm未満、75nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、25nm未満、20nm未満、15nm未満または10nm未満)であり、ステップ(b)(実施形態1)またはステップ(c)(実施形態2)により、前記ゼオライトイミダゾレート骨格組成物の純度は、50%よりも高くなる(例えば、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、または実質的に純粋になる)、実施形態1〜14のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
これから本発明を、実施例および添付図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0082】
(実施例)
実施例1〜15では、物質の合成に用いた薬品はすべて商業用等級であり、以下に示すもの以外は、Aldrichから購入した:硝酸亜鉛・4水和物(EM Science、98.5%)、ベンゾイミダゾール(98%)、4−アザベンゾイミダゾール(99%)、5−アザベンゾイミダゾール(97%)、プリン(98%)、N,N−ジメチルホルムアミド(99.8%)、トリエチルアミン(99.5%)、アセトニトリル(99.5%)、クロロホルム(99.8%)、酸化亜鉛(99.999%;購入後に走査型電子顕微鏡法で求めたおおよその平均粒径は、約200nmから約500nmの間であり、粒径分布は、少なくとも約50nm〜約2ミクロンに及んでいた)。薬品はすべて、特に明記されていない限り、空気中で取り扱った。
【0083】
商標名がBasolite Z1200である活性形態(すなわち、溶媒分子が実質的に除去された状態)のZIF−8を、Aldrichから購入した。ZIF−7は、米国特許出願公開第2009/0211440号明細書に開示されている手順にしたがって合成し活性化した。活性ZIF−8およびZIF−7はどちらも高度に疎水性の固体であると考えられ、それゆえに周囲条件下で貯蔵し、空気中で取り扱った。ZIF−8は、実験式Zn(2−メチルイミダゾレート)
2および骨格型SODを有する物質である。ZIF−7は、実験式Zn(ベンゾイミダゾレート)
2および骨格型SODを有する物質である。どちらの物質も同じ骨格型であるが、骨格の対称性が異なるので、粉末X線回折によってそれらは比較的容易に区別されるはずである。
【0084】
実施例で使用した反応器は、PTFEライナーを有する約23mLまたは約45mLの酸分解法パー圧力容器(Parr Acid Digestion Bombs)であった。量の多い反応には、PTFEライナーとSeries 4843温度調節器とを備えたパー加圧反応器(Parr Pressure Reactor)(オートクレーブ)を使用した。
【0085】
粉末X線回折パターンは、CuKα放射線(約45kVの管電圧および約40mAの管電流)、約1/4°の固定発散スリット、および約3〜約50度の2θ範囲での約0.017°のステップサイズを用いて、ブラッグ−ブレンターノジオメトリー(Bragg−Brentano geometry)のX’celerator検出器を備えたPANalytical X’Pert回折計で測定した。すべてのデータ処理は、Materials Data JADE 9ソフトウェアを用いて実施した。
【0086】
定量
13C MAS NMRスペクトルは、約125MHz(
13Cの場合)および約500MHz(
1Hの場合)のラーモア周波数に相当する約11.74Tの静磁場で操作されるVarian InfinityPlus−500(商標)大口径分光計を用いて得た。スペクトルの記録は、データ収集時に、約4マイクロ秒の90度パルス、約5mm(o.d.)回転子に充填した試料に対する約60〜120秒の繰り返しパルス遅延(repetition pulse delay)、約9.5kHzのマジック角速度での回転、および
1Hデカップリングを用いて行った。示されている化学シフトは、テトラメチルシラン(TMS、δ
C≒0ppm)を基準にしたものである。測定には活性ZIF試料を使用し、典型的な試料の大きさは約75〜105mgであったが、約10mgしかない少量の試料でも容易に試験することができる。
【0087】
気体収着測定は、Quantachrome Autosorb−1(商標)自動気体収着アナライザーで実施した。この測定器では、気体/固体界面における収着(この場合、物理的な吸着および脱着)による圧力差を測定する。ある指定された温度において、かつその温度での気体の非理想補正係数(non−ideality correction factor)を用いて、計測器では、独自アルゴリズムを利用して、基本的な気体法則から、使用者が選択するそれぞれの圧力について固体吸着剤に吸着される(またそれから脱着する)気体の体積を計算する。気体の体積を、ミリモル(mmol)に変換し、吸着剤の重量に合わせてスケール調整して、吸着の一般的な単位(すなわち、ミリモル数(気体)をグラム数(吸着剤)で割ったもの、つまりミリモル/g)を得る。一定温度において、圧力に対して吸着量をプロットしたものは、特定の気体/固体界面の収着等温線を表しうる。最高約760トルまでの圧力について、約28℃で、単一成分気体吸着質のすべての等温線を測定した。各等温線の測定の前に、Autosorb−1(商標)の前処理ステーションで、比較的高真空(10ミリトル未満)において約65〜70℃で、約50〜100mgの活性ZIF物質の試料を約10〜18時間ガス抜きした。
【0088】
実施例1:ZIF−8(Zn(2−メチルイミダゾレート)
2)の交換によるZIF−7(Zn(ベンゾイミダゾレート)
2)の形成
約240mgのZIF−8、約415mgのベンゾイミダゾール、および約5mLのDMFを、NMR試料管中で十分に混合した。次いで、試料管に対して、以下に述べるようにして5つの加熱サイクルを実施した。第1サイクルでは、試料管を、約26℃(すなわち、ほぼ室温)の第1温度(T
1)の油浴中に入れた。試料温度が約26℃に達するのに十分な短い時間の後、試料をNMRプローブ中に挿入し、その同じ約26℃に維持した。その後の各サイクルでは、油浴をもっと高い温度に維持し、試料を、以下に明記したようにもっと長い時間(例えば、18〜21時間の範囲)油浴中で加熱した。各サイクルにおいて、NMR試料管を、あらかじめ設定した温度(これは、油浴の温度(例えば、第1サイクルの(T
1))と同じである)にされているNMRプローブ中に挿入した。スピン速度≒0Hzでの
1H NMRおよび
13C NMRを各サイクルで記録した。油浴から同じ温度のNMRプローブへ移す時間は、各サイクルで10分未満になるようにした。NMRスペクトルを記録した後、試料管をNMRプローブから押出し、試料管を高温(例えば、第2サイクルの(T
2))の油浴に移すことにより、次のサイクルを開始した。NMRプローブから油浴へ移す時間は、各サイクルで4分未満であった。第1サイクルでは、油浴およびNMRプローブの温度(T
1)は約26℃であった。第2サイクルでは、油浴およびNMRプローブの温度(T
2)は約40℃であり、試料管を油浴で約18時間加熱した。第3サイクルでは、油浴およびNMRプローブの温度(T
3)は約60℃であり、試料管を油浴で約19時間加熱した。第4サイクルでは、油浴およびNMRプローブの温度(T
4)は約80℃であり、試料管を油浴で約21時間加熱した。第5サイクルでは、油浴およびNMRプローブの温度(T
5)は約100℃であり、試料管を油浴で約19時間加熱した。
【0089】
液体状態
13C NMRスペクトル(125MHz)を
図1に示し、スペクトルから得られた結果を
図2に示す。
図1では、最下部の線は、約26℃での第1サイクルのスペクトルを表し、最下部から2番目の線は約40℃での第2サイクルのスペクトルを表し、中間の線は約60℃での第3サイクルのスペクトルを表し、最上部から2番目の線は約80℃での第4サイクルのスペクトルを表し、最上部の線は約100℃での第5サイクルのスペクトルを表す。ある関連するスペクトル部分は、
図1において陰付きの領域で強調されている。
【0090】
図2では、示されているように、スペクトルの関連部分で、強度が経時的に変化することが観察された。示される強度は、1000カウントで任意設定した約30ppmのピークを基準とした。
図2では、第0日はサイクル1のスペクトルを表し、第1日はサイクル2のスペクトルを表し、第2日はサイクル3のスペクトルを表し、第3日はサイクル4のスペクトルを表し、第4日はサイクル5のスペクトルを表したものである。イミダゾレートリンカーの効率的な交換は、DMF溶媒からのベンゾイミダゾールの消失およびDMF溶媒中の2−メチルイミダゾールの出現によって分かるが、都合のよいことに、それは、それぞれ約115ppmおよび約138ppm(ベンゾイミダゾールに特有)、および約13ppm、約121〜122ppm、および約141ppm(2−メチルイミダゾールに特有)の信号によって知ることができる。
【0091】
サイクル5の後、未使用のDMFで十分に洗浄して(約5mL×3)、固体生成物を回収した。
図3に示す粉末X線回折パターンに示されているように、生成物はZIF−7を含むことが確認された。それは、実験式Zn(ベンゾイミダゾレート)
2および骨格型SODを有し、またいくらかの残留未変換ZIF−8(これもSOD骨格型を有する)も一緒に有するものである。
【0092】
実施例2:ZIF−8(Zn(2−メチルイミダゾレート)
2)の交換によるEMM−19(Zn(5−アザベンゾイミダゾレート)
2)の形成
約10mLのDMF中に約1.00gの5−アザベンゾイミダゾールを含む透明溶液をガラスバイアル内で調製し、その後、約100mgの固体ZIF−8に加えた。その固体ZIF−8は、約45mLのパー圧力容器(Parr bomb)のPTFEカップに前もって量り分けられたものである。次いで、パー圧力容器を密閉し、約140℃の等温オーブンで約24時間加熱した。反応後に、パー圧力容器をオーブンから取り出し、自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした。その後、パー圧力容器を開いて、母液をデカントし、固体生成物をDMF(約5mL×3)で十分に洗浄し、DMF中に保存した。この生成物を、本明細書では、合成された時の状態のEMM−19と名付けた。
【0093】
図4は、EMM−19およびZIF−7(どちらも合成された時の形態のもの)の粉末X線回折パターンを比較している。パターンが極めて一致していることは、これら2種類の物質が同じ骨格型(SOD)を有しているという結論を支持する。実験式Zn(5−アザベンゾイミダゾレート)
2および骨格型SODを有するEMM−19は、新規物質組成物であると考えられる。文献に示されているように、5−アザベンゾイミダゾレートを用いて従来のソルボサーマル結晶化技法によってZIFを形成させる場合、得られるZIFは、骨格型LTAのみを示すことが知られている。表1a(左下)は、この実施例の手順にしたがって作った(例えば、DMF中で作った)合成された時の状態のEMM−19試料に関して、関連する正確な相対ピーク強度と共に、2θ(度)およびd間隔によって正確なXRDピーク最大値を詳しく示している。表1b(右下)は、合成された時の状態のEMM−19試料(例えば、DMF中で作ったもの)に関して、関連する相対ピーク強度の許容可能な範囲と共に、d間隔のみによるXRDピーク最大値の許容可能な範囲を詳しく示している。
【0094】
【表1】
【0095】
合成された時の状態のEMM−19は、米国特許出願公開第2009/0211440号明細書に開示されている合成された時の状態のZIF−7に関する方法と同じ方法を用いて活性化した。具体的には、(1)合成された時の状態のEMM−19の試料(約100mg)を、周囲温度(約20〜25℃)で約15mLのアセトニトリル中に浸して(約3日間の間に3回)、細孔に閉じ込められたDMF溶媒分子を部分的に交換し;(2)溶媒をデカントし、試料を真空下において約200℃で約3時間乾燥させ;(3)乾燥試料を約10mLのアセトニトリル中に約75℃で約24時間浸してから、未使用のアセトニトリルで洗い、MeCN交換EMM−19を得て;さらに(4)アセトニトリル交換試料を、約70℃で真空下(約10ミリトル未満)に約10時間置いて活性EMM−19を得た。表1c(左下)は、この実施例の手順にしたがって作ったMeCN交換EMM−19試料に関して、関連する正確な相対ピーク強度と共に、2θ(度)およびd間隔による正確なXRDピーク最大値を詳しく示している。表1d(右下)は、MeCN交換EMM−19試料に関して、関連する相対ピーク強度の許容可能な範囲と共に、d間隔のみによるXRDピーク最大値の許容可能な範囲を詳しく示している。
【0096】
【表2】
【0097】
活性EMM−19を周囲条件下で保管し、固体状態NMR(実施例3)、気体の吸着/脱着(実施例5)、および種添加合成(seeded synthesis)(実施例14)を含む以下に述べるさらなる実験に使用した。
【0098】
実施例3:ZIF−7およびEMM−19の固体状態
13C MAS NMR
図5は、
13Cマジック角回転(MAS)NMR(125MHz)で測定した場合の、実施例2の活性EMM−19生成物と活性ZIF−7との比較を示す。
図5では、ZIF−7のスペクトルを一番下に示し、EMM−19のスペクトルを中間に示し、重ね合わせて拡大したスペクトルを一番上に示してある。
図5の星印は、スピン側波帯(spinning sidebands)を示すと考えられる。
【0099】
図5は、5−アザベンゾイミダゾレートリンカーおよびベンゾイミダゾレートリンカーにそれぞれ対応する明確なピークを示しており、それらは、EMM−19の有機リンカー要素が確かに実質的に5−アザベンゾイミダゾレートであり、それゆえに、EMM−19の実験式がZn(5−アザベンゾイミダゾレート)
2であることを示しているという結論を支持していると考えられる。
【0100】
実施例4:ZIF−22の製造および活性化
ガラスバイアル内の、約20mLのDMF中に約232mgのZn(NO
3)
2・4H
2Oと約2gの5−アザベンゾイミダゾールとを含んだ溶液に、マイクロピペットを用いて約244μLのトリエチルアミンを加えた。得られた混合物を超音波処理で実質的に均質化した後、それを約45mLのパー圧力容器のPTFEカップに移した。次いで、パー圧力容器を密閉し、約140℃の等温オーブンで約24時間加熱した。反応後に、パー圧力容器をオーブンから取り出し、自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした。その後、パー圧力容器を開いて、母液をデカントし、固体生成物をDMF(約5mL×3)で十分に洗浄し、DMF中に保存し、「合成された時の状態のZIF−22」というラベルを付けた。合成された時の状態のZIF−22の粉末X線回折パターンと、単結晶のX線結晶構造解析で求められたZIF−22の結晶構造に基づく計算されたパターンとが見事に一致していたので、生成物の純度が確認された(
図6)。
【0101】
EMM−19およびZIF−7に関して確立された手順(実施例2)を用いて、合成された時の状態のZIF−22中に閉じ込められたDMF溶媒分子を、アセトニトリルと交換しようとしたが、その試みは失敗した。このことは、アセトニトリル交換ZIF−22の粉末X線回折パターンが損なわれていたことから明らかになった(
図6)。
【0102】
代わりに、合成された時の状態のZIF−22を、Seoaneらによる“Insight into the crystal synthesis,activation and application of ZIF−20”,RSC Advances,Vol.1,2011,pp.917−22の記事に開示されている手順にしたがって活性化した(ZIF−20は、ZIF−22のプリン対応物である)。具体的には、(1)合成された時の状態のZIF−22試料(約110mg)を、真空ライン(到達最高真空度である約20ミリトル)において約70℃で約6時間乾燥させて、試料の外側表面のDMFとおそらく細孔内部のゆるく閉じ込められているDMFを除去し;(2)乾燥試料をガラスバイアルへ移し、クロロホルム(約15mL×3)で十分に洗浄し、その後、約15mLのクロロホルム内で、電磁撹拌機を用い周囲温度(約25℃)において約30時間連続撹拌し;(3)クロロホルム交換試料を、真空ライン(最高到達真空度の約20ミリトル)で約70℃において約10時間真空引きし、「活性ZIF−22」を得た。クロロホルム交換によって製造した活性ZIF−22試料は、元の結晶骨格構造を保持していた(
図5)。
【0103】
実施例5:EMM−19、ZIF−7、およびZIF−22の吸着/脱着特性の比較
実施例2の活性EMM−19、実施例4の活性ZIF−22、および活性ZIF−7に関して、約28℃でCO
2およびN
2の吸着/脱着等温線を測定した。EMM−19試料に関しては、2つの別個のCO
2等温線実験を2つの異なる圧力点から開始し、実施した。
【0104】
図7は、EMM−19、ZIF−7、およびZIF−22についてのCO
2等温線、およびEMM−19およびZIF−7についてのN
2等温線を比較しており、その中で、吸着枝(adsorption branches)には塗りつぶした記号を使用し、脱着枝(desorption branches)には塗りつぶしていない記号を使用している。
図7は、ZIF−7で観察された場合と比較して、EMM−19が低いCO
2分圧で多くのCO
2を収着したことを示していると思われる。さらに、
図7は、ZIF−22の等温線が階段状のヒステリシスを示さなかったこと、さらにZIF−22が、測定した圧力範囲において、EMM−19の試料と比べた場合、吸着容量が極めて低かった(約760トルのCO
2分圧で約1.1ミリモル/g、約76トルのCO
2分圧で約0.18ミリモル/g)ことを示していると思われる。
【0105】
図7はまた、EMM−19およびZIF−7のCO
2等温線に基づいた場合、どちらの物質も階段状のヒステリシスを示し、CO
2吸着容量が約760トルで(すなわち、吸着枝の段状部分の後のほぼ平坦な領域で)約2.0〜2.2ミリモル/gであることを示しているが、段状部分の開始点が著しく異なっており、取込みしきい値のCO
2分圧がEMM−19の場合かなり低い圧力にシフトしている(ZIF−7の場合、約400トル、EMM−19の場合、約50トル未満)ことを示していると思われる。したがって、EMM−19は、比較的低いCO
2分圧領域で、ZIF−7よりも多くのCO
2を吸着すると思われた。
【0106】
理論に縛られることはないが、EMM−19に関して観察される低い分圧でのCO
2吸着の向上は、低圧の気体流からCO
2を分離するのにその物質が適していることを示すと考えられた(例えば、主な課題が、CO
2(少量成分)をN
2(主成分)から分離することでありうる、煙道気体流の炭素の捕捉である場合)。
【0107】
プロセスの方式は、少量成分(CO
2)の吸着量(adsorption loading)(ミリモル/g)と主成分(この場合、N
2)の吸着量(ミリモル/g)との比が小さい比率で行われるように設計することができるが、ZIF物質におけるCO
2/N
2の吸着量比(adsorptive loading ratio)は、実施形態によっては、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、または少なくとも50)が好ましいものでありうる。必要とされる装置の大きさ、コスト、および操業費は、吸着量比が高くなると、著しく低くなる傾向がありうるので、分離プロセスは、吸着量比が高くなる物質および条件を用いることにより、いっそう魅力的なものになりうる。吸着量比は、所与の圧力および温度の条件における特定の吸着質−吸着剤のペアの特性である(圧力および温度の「標準」条件は、特定成分の作業分圧およびZIF含有吸着剤に接触させる供給流の作業温度条件で測定するか、あるいは約301K(約28℃)および約106.6kPaa(約800トル)など単一成分試験条件で測定することができる)。ZIF物質についてのCO
2/N
2の吸着量比の他の詳細、および商業的分離プロセスの事情は、例えば、米国特許出願公開第2009/0214407号明細書に見いだすことができる。
【0108】
実施例6〜11:DMF中での他のリンカー交換反応
溶媒としてDMFを使用して、いろいろなZI開始物質(この場合、ZIF−8およびZIF−7)およびいろいろなイミダゾール出発物質(この場合、5−アザベンゾイミダゾール、4−アザベンゾイミダゾール、およびプリン)について、一連の更なるリンカー交換反応を実施例6〜11として実施した。結果を以下の表2に要約する。
【0109】
実施例6:4−アザベンゾイミダゾールによるZIF−8の交換
ガラスバイアル内で、約5mLのDMF中に約500mgの4−アザベンゾイミダゾールを含む透明溶液を調製し、その後、約50mgの固体ZIF−8に加えた。その固体ZIF−8は、約45mLのパー圧力容器のPTFEカップに前もって量り分けられたものである。次いで、パー圧力容器を密閉し、約140℃の等温オーブンで約24時間加熱した。反応後に、パー圧力容器をオーブンから取り出し、自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした。その後、パー圧力容器を開いて、母液をデカントし、固体生成物をDMF(約5mL×3)で十分に洗浄し、DMF中に保存した。
【0110】
図8に示す粉末X線回折パターンが示唆しているように、生成物は、ZIF−23(DIA)と少量の未反応ZIF−8(SOD)との混合物を含んでいるように思われた。
【0111】
実施例7:5−アザベンゾイミダゾールによるZIF−8の交換
ガラスバイアル内で、約15mLのDMF中に約200mgの5−アザベンゾイミダゾールを含む透明溶液を調製し、その後、約50mgの固体ZIF−8に加えた。その固体ZIF−8は、約45mLのパー圧力容器のPTFEカップに前もって量り分けられたものである。次いで、パー圧力容器を密閉し、約140℃の等温オーブンで約24時間加熱した。反応後に、パー圧力容器をオーブンから取り出し、自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした。その後、パー圧力容器を開いて、母液をデカントし、固体生成物をDMF(約5mL×3)で十分に洗浄し、DMF中に保存した。
【0112】
図9に示す粉末X線回折パターンが示唆しているように、生成物は、EMM−19(SOD)と未反応のZIF−8(SOD)との混合物を含んでいるように思われた。
【0113】
実施例8:4−アザベンゾイミダゾールによるZIF−8の交換
ガラスバイアル内で、約15mLのDMF中に約200mgの4−アザベンゾイミダゾールを含む透明溶液を調製し、その後、約50mgの固体ZIF−8に加えた。その固体ZIF−8は、約45mLのパー圧力容器のPTFEカップに前もって量り分けられたものである。次いで、パー圧力容器を密閉し、約140℃の等温オーブンで約24時間加熱した。反応後に、パー圧力容器をオーブンから取り出し、自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした。その後、パー圧力容器を開いて、母液をデカントし、固体生成物をDMF(約5mL×3)で十分に洗浄し、DMF中に保存した。
【0114】
図10に示す粉末X線回折パターンが示唆しているように、生成物は未反応のZIF−8(SOD)と思われた。
【0115】
実施例9:プリンによるZIF−8の交換
ガラスバイアル内で、約15mLのDMF中に約200mgのプリン含む透明溶液を調製し、その後、約50mgの固体ZIF−8に加えた。その固体ZIF−8は、約23mLのパー圧力容器のPTFEカップに前もって量り分けられたものである。次いで、パー圧力容器を密閉し、約140℃の等温オーブンで約24時間加熱した。反応後に、パー圧力容器をオーブンから取り出し、自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした。その後、パー圧力容器を開いて、母液をデカントし、固体生成物をDMF(約5mL×3)で十分に洗浄し、DMF中に保存した。
【0116】
図11に示す粉末X線回折パターンが示唆しているように、生成物は、未反応のZIF−8(SOD)と不明な結晶相との混合物を含んでいるように思われた。不明な相に対応する回折ピーク(星印付き)はすべて、約13°より大きな2θ角にあると思われた。それは、典型的には小さな単位格子を表しうるもので、それゆえにおそらく高密度の/非多孔質相の存在を表すと考えられる。
【0117】
実施例10:5−アザベンゾイミダゾールによるZIF−7の交換
ガラスバイアル内で、約10mLのDMF中に約1gの5−アザベンゾイミダゾールを含む透明溶液を調製し、その後、約100mgの活性固体ZIF−7に加えた。そのZIF−7は、約45mLのパー圧力容器のPTFEカップに前もって量り分けたものである。次いで、パー圧力容器を密閉し、約140℃の等温オーブンで約72時間加熱した。反応後に、パー圧力容器をオーブンから取り出し、自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした。その後、パー圧力容器を開いて、母液をデカントし、固体生成物をDMF(約5mL×3)で十分に洗浄し、DMF中に保存した。
【0118】
図12に示すように、合成された時の状態の生成物の粉末X線回折パターンは、ZIF−7(SOD)の粉末X線回折パターンと同一であると思われた。
図13に示すように、活性生成物の固体状態
13C NMRデータは、生成物が未反応のZIF−7であることを確証しているように思われた。
【0119】
実施例11:プリンによるZIF−7の交換
ガラスバイアル内で、約6.5mLのDMF中に約646mgのプリン含む透明溶液を調製し、その後、約65mgの活性固体ZIF−7に加えた。そのZIF−7は、約45mLのパー圧力容器のPTFEカップに前もって量り分けたものである。次いで、パー圧力容器を密閉し、約140℃の等温オーブンで約72時間加熱した。反応後に、パー圧力容器をオーブンから取り出し、自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした。その後、パー圧力容器を開いて、母液をデカントし、固体生成物をDMF(約5mL×3)で十分に洗浄し、DMF中に保存した。
【0120】
図14に示すように、生成物の粉末X線回折パターンは、ZIF−23(DIA)の粉末X線回折パターンと極めてよく似ていた。
【0121】
図15に示すように、生成物の粉末X線回折パターンは、Materials Data JADE 9ソフトウェアを用いて、斜方晶単位格子(空間群P2
12
12
1、a≒9.358Å、b≒10.154Å、c≒12.434Å、α≒β≒γ≒90°)に対して指数付したが、これは、Yaghiおよびその共同研究者らによる“ゼオライトAイミダゾレート骨格(Zeolite A Imidazolate Frameworks)”,Nature Materials,Vol.6,2007,pp.501−6の補足説明で報告されている、ZIF−23の粉末X線回折パターン(斜方晶、P2
12
12
1、a≒9.5477Å、b≒10.1461Å、c≒12.4459Å、α≒β≒γ≒90°)に極めて近いものだった。理論に縛られることはないが、生成物は、ZIF−23のプリン対応物(すなわち、骨格型DIAのZn(プリネート(purinate))
2)を含んでいたと考えられる。
【0122】
【表3】
【0123】
実施例12:アセトニトリル中のZIF−8のリンカー交換反応
いろいろなイミダゾール出発物質(この場合、5−アザベンゾイミダゾール、4−アザベンゾイミダゾール、およびプリン)に関して、アセトニトリルを溶媒として用いたZIF−8の一連の3つの別個の交換反応を、以下に述べるようにして実施した。結果を以下の表3に要約する。
【0124】
約50mgのZIF−8と約200mgの5−アザベンゾイミダゾールとの固体混合物を、約20mLのガラスバイアルに入れた。約15mLのアセトニトリルをバイアルに加え、混合物を超音波処理で均質化した。その後、バイアルに蓋をし、反応1のラベルを付けた。5−アザベンゾイミダゾールの代わりに、それぞれ4−アザベンゾイミダゾール(反応2)およびプリン(反応3)を用いて、上述の手順を2回繰り返した。
【0125】
蓋をしたこれら3つのバイアルを約300mLのオートクレーブ内に置いた。少量のアセトニトリルをオートクレーブに加えて、バイアル内部のアセトニトリル蒸気圧の平衡を保たせた。その後、オートクレーブを密閉し、約140℃で約48時間加熱した(約2℃/分のランプ速度)。オートクレーブを自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした後、3つの反応バイアルをそこから取り出した。各バイアルについて、母液をデカントし、固体生成物をアセトニトリル(約5mL×3)で十分に洗浄し、アセトニトリル中に保存した。
【0126】
図16に示す粉末X線回折パターンが示唆しているように、反応1の生成物は、未反応のZIF−8(SOD)を含んでいると思われた。
【0127】
図17に示す粉末X線回折パターンが示唆しているように、反応2の生成物は、ZIF−23(DIA)を含んでいると思われた。
【0128】
図18に示す粉末X線回折パターンが示唆しているように、反応3の生成物は、実施例11の生成物(すなわち、骨格型DIAのZn(プリネート)
2)と同じと思われた。
【0129】
【表4】
【0130】
実施例13:亜鉛源としてZnOを用いたDMF中でのソルボサーマル合成
ガラスバイアル内で、約5mLのDMF中に約500mgの5−アザベンゾイミダゾールを含む透明溶液を調製し、その後、約18mgの固体ZnOに加えた。その固体ZnOは、約45mLのパー圧力容器のPTFEカップに前もって量り分けたものである。次いで、パー圧力容器を密閉し、約140℃の等温オーブンで約24時間加熱した。反応後に、パー圧力容器をオーブンから取り出し、自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした。その後、パー圧力容器を開いて、母液をデカントし、固体生成物をDMF(約5mL×3)で十分に洗浄し、DMF中に保存した。
【0131】
図19に示す粉末X線回折パターンが示唆しているように、生成物は、EMM−19(SOD)と未反応のZnOとの混合物を含んでいるように思われた。
【0132】
実施例13の結果と実施例2の結果との比較を、以下の表4に示す。
【0133】
【表5】
【0134】
実施例14:EMM−19の種が添加されるDMF中でのソルボサーマル合成
ガラスバイアル内で、約10mLのDMF中に約1gの5−アザベンゾイミダゾールと約116mgのZn(NO
3)
2・4H
2Oとを含む溶液を調製し、その後、約5mgの活性固体EMM−19(実施例2にしたがって製造したもの)に加えた。そのEMM−19は、約23mLのパー圧力容器のPTFEカップに前もって量り分けたものである。次いで、パー圧力容器を密閉し、約140℃の等温オーブンで約24時間加熱した。反応後に、パー圧力容器をオーブンから取り出し、自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした。その後、パー圧力容器を開いて、母液をデカントし、固体生成物をDMF(約5mL×3)で十分に洗浄し、DMF中に保存した。
【0135】
図20に示す粉末X線回折パターンが示唆するように、生成物は、ZIF−22(LTA)とEMM−19(SOD)との混合物を含んでいると思われた。このことは、一般的に観察されるLTA相の形成を防ぐ点で種添加があまり有効ではないことを示すように思われ、したがって、系の結晶化メカニズムにおいて根本的な変化がないことを確証しているように思われた。
【0136】
実施例14の結果と実施例2の結果との比較を、以下の表5に示す。
【0137】
【表6】
【0138】
実施例15:MeCNとTEAとの溶媒混合物中でのZIF−7の合成
約240mLのアセトニトリル中に約4.8g(約40ミリモル)のベンゾイミダゾールと約5.33g(約20ミリモル)のZn(NO
3)
2・4H
2Oとを含む混合物を、容器内で調製し、約20分間超音波処理した。その後、約5.66mL(約40ミリモル)のトリエチルアミン(ブレンステッド塩基)を加え、次いでその対応する混合物をさらに約40分間超音波処理した。その後、溶液を酸分解法パー圧力容器の中に密閉し、等温オーブン内で約100℃において約48時間加熱した。反応後に、パー圧力容器をオーブンから取り出し、自然放冷させて周囲温度(約25℃)にした。その後、パー圧力容器を開いて、母液をデカントし、固体生成物をアセトニトリル(約90mL×3)で十分に洗浄し、アセトニトリル中に保存した。生成物の乾燥スラリーの粉末X線回折(図示せず)は、それが確かにZIF−7であることを示した。更なる測定では、生成物はまた、BET表面積が約12.7m
2/gであることも示された(試料は約75℃で約3時間ガス抜きした)。生成物のCO
2吸着等温線を、この生成物に関して行っても(これも図示していない)、DMF中で合成された標準ZIF−7生成物と比較的似た吸着、脱着、およびヒステリシス挙動が得られた。こうした試験結果は、ZIF−7(あるいはより一般的には、もしかするとすべてのZIFおよびMOF(またはZIFおよびMOFの一部のサブセット))が、比較的低い沸点および/または比較的高い蒸気圧(例えば、DMFより高く、おそらく水よりも高い)を有する溶媒(または溶媒混合物)を用いて、合成できることを示していると思われる。
【0139】
比較的低い沸点および/または比較的高い蒸気圧の溶媒/溶媒混合物を合成媒体として使用できることの重要性は、比較的厳密に溶媒除去/交換が繰り返し行われる条件の下であっても、検出可能な微量の高沸点および/または低蒸気圧の溶媒を除去するのが困難であることと関係がある。例えば、DMF中で従来の合成によって作られ、DMF中に保存されるZIF−8の場合に、実験を行って、微量のDMFすべてをZIF−8試料から除去するのにどれほど厳密な処理が必要かを調べた。
13C SS−MAS Bloch減衰NMRを使用して、各試料中のDMFの極微量分を検出することができた。アセトニトリルによる単一溶媒交換(周囲温度において約20ミリトル以下の減圧下でDMFの脱溶媒和を行ってから、過剰のMeCNで洗浄し、さらに周囲温度において約20ミリトル以下の減圧下で再び脱溶媒和を行う)は、DMFを除去する点で効果がなかった。実際、かなりのDMFがまだNMR技法で検出できることが見出された。ZIF−8/DMF試料を、約100℃の温度において約10ミリトル以下の減圧下で約2時間乾燥させても、またZIF−8/DMF試料を、約250℃の温度(その大気圧沸点よりほぼ100℃高い)において約10ミリトル以下の減圧下で約2時間乾燥させた場合でさえ、DMFはまだ検出可能であった。ZIF−8/DMF試料を、約250℃の温度において約10ミリトル以下の減圧下で一晩(約16時間)乾燥させたときにのみ、微量のDMFは検出されなかった(
13C NMR技法で測定した場合)。この例示的なケースが示すように、そうした合成反応を、比較的低い沸点および/または比較的高い蒸気圧を有する溶媒(または溶媒混合物)で行うことができるとしたら、かなりの費用、努力、時間および資源が節約されうる。
【0140】
実施例16〜33:固体ZnO反応物を用いてEMM−19を形成させようとする合成
比較的不溶性の酸化亜鉛および5−アザベンゾイミダゾールをDMF中で用いる一連の合成反応を、実施例16〜29のように実施した。反応物と溶媒/媒体とのいろいろなモル比、ならびにいろいろな粒径(および粒径分布)を有するいろいろな酸化亜鉛源を試験した。結果を以下の表6に要約する。
【0141】
実施例16では、約1.8ミリモルの5−アザベンゾイミダゾールを、撹拌/超音波処理によって約230ミリモルのN,N−ジメチルホルムアミド中に溶かした。その後、平均粒径が10nm以下である約150mgの酸化亜鉛(約1.8ミリモル)ナノ粉末を含む約23mLのTeflon(商標)ライナーに、その溶液を加えた。その後、Teflon(商標)ライナーを酸分解法パー圧力容器の中に密閉し、等温オーブンで約140℃まで加熱し、約3日間(約40rpmで)タンブルした。室温(約20〜25℃)まで冷却した後すぐに、生成物を濾過し、固形分をDMF(約20mL)で洗浄し、任意選択的に、アセトニトリル(約20mL)で洗浄した。約100mLのアセトニトリルが入れられた約200mLの丸底フラスコに生成物を移し、約24時間撹拌した。溶媒を(濾過またはロータリーエバポレーターで)除去し、さらに約100mLのアセトニトリルを加え、混合物をさらに約24時間撹拌した。その溶媒洗浄/交換のプロセスをもう一度繰り返してアセトニトリル洗浄生成物を得た。乾燥試料を約1時間かけて約200℃までゆっくり加熱し、その最終温度に約3時間保ってから冷却して室温に戻すことにより、活性化を真空中で行った。固形分をパー圧力容器内で約30mLのアセトニトリルと混合し、撹拌せずに約75℃に約24時間加熱した。固形分の濾過およびアセトニトリル(約20mL)による洗浄により、以下の表6に示すアセトニトリル交換生成物が得られた。
【0142】
実施例17〜25の製法の詳細は、実施例16の製法と似ているが、それぞれのZnOの量/詳細および成分モル比については、以下の表6に詳しく示す。実施例24では、等温加熱を、約3日間ではなく約7日間行ったこと以外は、実施例23と同じ製法を使用したことに注目すべきである。
【0143】
実施例26では、約21ミリモル(約2.5g)の5−アザベンゾイミダゾールを、超音波処理によって約290ミリモル(約25mL)のN,N−ジメチルホルムアミド中に溶かした。その後、溶液を、SEMから推定した平均粒径が約200〜500nmである、Aldrichの約90mgの酸化亜鉛(約1.1ミリモル)(99.999%)が入っているTeflon(商標)ライナーに加えた。その後、Teflon(商標)ライナーを酸分解法パー圧力容器内に密封し、等温オーブンで約140℃に加熱し、約3日間(約40rpmで)タンブルした。室温(約20〜25℃)まで冷却した後すぐに、生成物を濾過し、固形分をDMF(約20mL)で洗浄し、任意選択的にアセトニトリル(約20mL)で洗浄して、合成された時の状態の生成物を得た。約100mLのアセトニトリルが入れられた約200mLの丸底フラスコに生成物を移し、約24時間撹拌した。溶媒を(濾過またはロータリーエバポレーターで)除去し、さらに約100mLのアセトニトリルを加え、混合物をさらに約24時間撹拌した。その溶媒洗浄/交換のプロセスをもう一度繰り返してアセトニトリル洗浄生成物を得た。乾燥試料を約200℃で約1時間かけてゆっくり加熱し、その最終温度に約3時間保ってから冷却して室温に戻すことにより、活性化を真空中で行った。固形分をパーオートクレーブ(Parr autoclave)内で約30mLのアセトニトリルと混合し、撹拌せずに約75℃に約24時間加熱し、その後濾過し、アセトニトリル(約20mL)で固形分をさらに洗浄して、アセトニトリル交換生成物を得た。
【0144】
実施例27〜33の製法の詳細は、実施例26の製法と似ているが、それぞれのZnOの量/詳細および成分モル比については、以下の表6に詳しく示す。
【0145】
【表7】
【0146】
実施例16〜17および26では、ZnO副産物と思われるものがそれぞれ約25%、約23%、および約23%である、中程度に不純なEMM−19が得られた。実施例22〜24および28では、ZnO副産物と思われるほんの微量の不純物(それぞれ3%未満、約4%、約4%、および約6%)を含む比較的純粋なEMM−19が得られた。実施例18〜21および30〜33では、検出可能な副産物を含まない実質的に純粋なEMM−19生成物が得られた(XRD技法を用いて検出される微量の副産物に関しては、約3%がおおよその検出限界と考えられる)。実施例25では、ZnO不純生成物のみが得られ、実施例27および29では実質的に生成物は得られなかった。
【0147】
図21〜24は、実施例2のリンカー交換法で作られたある特定のEMM−19含有生成物のXRDパターンを、これらの実施例の固体金属酸化物法および酸化亜鉛不溶性反応物の源を用いて作られたそれらの対応するEMM−19含有生成物と比較している。固体金属酸化物生成物中のEMM−19の相対純度は、リンカー交換生成物中には存在しないであろうどんな未反応ZnOとも区別されうる。これらの図により、表6のそれぞれの実施例のZnO含有量の定量化が可能となった。リンカー交換合成法は、それらのそれぞれの配合物がかなり異なっているにもかかわらず、比較的不溶性の反応物を用いた合成法と生成物純度がおおよそ似ていると思われたことは注目すべきである。さらに、
図21〜24のこうした一番上のスペクトルを注意深く調べると、比較的純粋なEMM−19生成物のXRDスペクトルが、中程度に不純なEMM−19生成物からピークがシフトしているように思われることに気付くであろう。理論に縛られることはないが、単純なピークシフトがあるということは、依然として結晶構造が比較的似ていることを示しうるが、EMM−19生成物の単位格子の大きさが異なっていることに帰因しうる(単位格子の大きさが異なっているのは、単位格子内のひずみ(約90°から約108°ものねじれ角(α)など)のせいでありうる)。
【0148】
これらの実施例から、リンカー交換法では、実用的な純度の所望のZIF生成物を、IM成分と金属源との比率が比較的不溶性の反応物法を用いた場合よりも高い比率で、うまく/十分に作られるように思われると結論できる。また、金属酸化物物質は、ZIF反応物よりも非常に安価であるという点にも注目される。
【0149】
特定の実施形態を参照しながら本発明を説明し示してきたが、本発明は、本明細書に必ずしも示されていない変形形態にも役立つことを当業者なら理解するであろう。それゆえに、本発明の正確な範囲を定めるには、添付の特許請求の範囲のみを参照すべきである。