(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
【発明を実施するための形態】
【0040】
キトサンはキチンの脱アセチル化された形態であり、甲殻類(例えば、エビ、カニ、ロブスター)の外骨格の主成分であるN-アセチルグルコサミンのポリマーである。キトサンは、脱アセチル化によってキチンから形成され、単一のポリマー分子ではないが、様々な分子量および様々な程度の脱アセチル化を有する1つのクラスの分子である。市販のキトサンの脱アセチル化のパーセントは典型的には50〜100%である。
【0041】
本明細書に記載のキトサン誘導体は、本明細書に記載のように、正に電荷されたまたは中性の部分で、得られる遊離アミノ基を官能基化することによって生成される。本明細書に記載の誘導体化キトサンは、核酸の送達ビヒクルに有利な特性をいくつか有し、これらには、本明細書に記載の誘導体化キトサンが、負に電荷された核酸を効率的に結合し、複合し、該キトサンを、調整可能な大きさのナノ粒子に形成することができ、該キトサンを、細胞によって取り込むことができ、該キトサンが、適切な時間に、細胞内で核酸を放出することができることを含む。
【0042】
本発明では、1%〜50%の官能基化で、50%超の脱アセチル化度のキトサンを使用する。(官能基化のパーセントは、キトサンポリマー上の遊離アミノ部分の数に相対して決定される)。脱アセチル化および官能基化の程度は、官能基化キトサン誘導体に、特定の電荷密度を与える。得られる電荷密度は可溶性、核酸結合、および後の放出、哺乳動物の細胞膜との相互作用に影響する。そのため、本発明によって、これらの特性を最適有効性に最適化しなければならない。例示的なキトサン誘導体は、2007年1月24日に出願されたBakerら;第11/657,382号に記述され、これは参照により本明細書に取り込まれる。ある実施形態では、本明細書に記載の二重に誘導体化されたキトサンは、少なくとも50%の脱アセチル化度を有するキトサンを含む。ある実施形態では、脱アセチル化度は、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。好ましい実施形態では、本明細書に記載の二重に誘導体化されたキトサンは、少なくとも98%の脱アセチル化を有するキトサンを含む。
【0043】
本明細書に記載のキトサン誘導体は、中性および生理学的pHで可溶性のある平均分子量の範囲を有し、当該発明のために、分子量は3〜110kDaの範囲にある。本明細書に記載の実施形態は、平均分子量がより低い誘導体化キトサン(25kDa未満、例えば、約5kDa〜約25kDa)を特徴とし、望ましい送達および形質移入特性を有することができ、サイズが小さく、好ましい可溶性を有する。平均分子量がより低い誘導体化キトサンは、一般に、分子量が高いものより可溶性が高く、平均分子量がより低い誘導体化キトサンのほうが核酸をより容易に放出し、細胞の形質移入の増加を提供する核酸/キトサン複合体を産生する。多くの文献が、キトサンに基づく送達系について、これらのパラメータ全てを最適化することに充てられている。
【0044】
当業者はキトサンが、式Iの構造を有する複数の分子を意味し、ここで、nは任意の整数であり、各R
1は水素であることを認識するだろう。また、平均分子量が例えば、3kD〜110kDであるものとされるキトサンは、一般的に、平均分子量が、それぞれ例えば3kD〜110kDである複数のキトサン分子を意味し、ここで、各キトサン分子は異なる鎖長(n+2)を有していてもよい。また、「n−merキトサン」と呼ばれるキトサンは、必ずしも式Iのキトサン分子を含まないことがよく知られており、ここで、各キトサン分子の鎖長はn+2である。むしろ、「n-merキトサン」は本明細書に使用されるとき、複数のキトサン分子を意味し、それぞれの鎖長が異なっていてもよく、ここで複数は鎖長nのキトサン分子と実質的にほぼ同じ、または等しい平均分子量である。例えば、24−merのキトサンは、複数のキトサン分子を含んでいてもよく、それぞれは、鎖長が例えば7〜50と異なるが、平均分子量は、鎖長24のキトサン分子と実質的にほぼ同じ、または同等である。
【0045】
本明細書に記載の官能基化キトサン誘導体は二重に誘導体化されたキトサン化合物であり、例えば、キトサン−アルギニン−グルコン酸化合物である。一般的に、キトサン−アルギニン−グルコン酸化合物は式Iの以下の構造を有し、
【化4】
ここで、nは1〜2000の整数であり、αはアルギニンの官能基化度であり、βはグルコン酸の官能基化度であり、並びに各R
1は独立して水素、アセチル、式(II)、および式(III)から選択される。
【化5】
【化6】
【0046】
本発明によって、水性培地中にキトサンをアルギニンまたはグルコン酸と結合する好ましい方法は、本明細書に記載され、Boc-L-アルギニン(Boc−R)およびグルコン酸(Gluco)が使用される。方法は、周知の水可溶性1−エチル−−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を使用し、キトサン骨格上のアミンと、Boc−Rまたはグルコン酸上のカルボン酸との間に、アミド形成を触媒する。
【0047】
通常、標的カップリングpHについて、調整されたpHが例えば、6.0±0.5およびより好ましくは6.0±0.2であるHCl希釈溶液中のキトサンを、最初に、Boc−RまたはGlucoのいずれかと結合させ、精製し、その後、第二の官能基と結合させる。例えば、キトサンが最初にアルギニンと結合される場合、アルギニン結合キトサン(R−キトサン)を精製し、その後、グルコン酸と結合させてもよい。逆に、キトサンが最初にグルコン酸と結合される場合、グルコン酸結合キトサン(グルコ−キトサン)を精製し、その後、アルギニンと結合させてもよい。カップリングの順序に関係なく、周知の方法を使用して、アルギニンおよびグルコン酸をキトサンと結合させてもよい。
【0048】
例えば、希釈HCl中のキトサンに、pHが調整されたBoc−RおよびNHS水溶液の混合物を加え、次に、EDC水溶液を加え、室温で24時間のカップリングを開始することによって、アルギニンがキトサンまたはグルコ官能基化キトサン(グルコ−キトサン)と結合され得る。キトサン-アミンの濃度、反応pH、およびキトサン-アミンに対するR−COOHのモル比、並びにEDC:NHS:R−COOHは、アルギニンの再現可能な最終官能基化度を有するように事前に計算して満たしてもよい。Boc−R−キトサンは脱Boc反応の前に精製してもよい。脱Bocは、調節されたHCl濃度および反応時間で、HCl培地内で進められてもよい。脱Boc中のキトサンの脱重合は、反応溶液の粘度を測定することによってモニターされてもよく、無視できるものと証明され、脱Bocの効率を、脱Boc−R−キトサンおよびBoc−R−キトサンのプロトンNMRによって確認してもよい。官能基化度を、精製された脱Boc−R−キトサンのC、N元素分析から決定してもよい。
【0049】
グルコン酸を6.0±0.3の反応pHで、キトサンまたはアルギニン結合キトサン(R−キトサン)と結合させてもよい。このpHで、求核置換反応の機序に従い、キトサン骨格上の結合を解いたアミンによって、グルコン酸のカルボン酸基を攻撃し得る。当業者は、求核置換反応は主にキトサン骨格のアミン基と発生する可能性があるが、グルコン酸をR-キトサンと結合させると、少量のグルコン酸が同機序によって、アルギニンのアミノ基と共有結合を形成し得ることを理解するだろう。このように、ある特定の実施形態では、式IのR
1も、独立して、水素、アセチル、式(II)、式(III)、および式(IV)から選択されてもよい。
【化7】
【0050】
Boc−R−キトサン、脱Boc−R−キトサン、グルコ−キトサン、および/または二重に誘導体化されたキトサンを、沈殿、またはカラム処置、または通常の透析、または適切な分画分子量(MWCO)のセルロース透析管を使用したMilli−Q水に対して逆流入の透析(inverse−flow dialysis)、または接線流ろ過(TFF)およびダイアフィルトレーションカートリッジによって精製してもよい。
【0051】
したがって、「二重に誘導体化されたキトサン」または「DD−キトサン」はまた、二重に官能基化されたキトサン(「二重に官能基化されたキトサン」または「DF−キトサン」)を意味し、例えば、アルギニンおよびグルコン酸の両方と結合し、ここで両者ともキトサンと共有結合している。アルギニンは単一のアミノ酸またはポリペプチドとして、キトサンと共有結合されてもよい。
【0052】
本明細書に使用するとき、他に断りがない限り、「ペプチド」および「ポリペプチド」は交換可能に使用される。
【0053】
用語「ポリペプチド」は、広義に使用され、通常のポリペプチド(すなわち、LまたはD−アミノ酸を含む短いポリペプチド)、およびポリペプチド等価物、ペプチド類似体、および望ましい機能活性を保持するペプチド模倣薬を意味する。ペプチド等価物は、1つ以上のアミノ酸を関連する有機酸、アミノ酸等に置き換えること、または側鎖若しくは官能基の置換若しくは修飾によって、通常のペプチド類と異なる可能性がある。
【0054】
ペプチド模倣薬は、当該技術分野に周知のように、代わりの結合によって置き換えられる1つ以上のペプチド結合を有してもよい。当該技術分野に周知のように、ペプチド骨格の部分またはその全てを、立体構造的に制約された環状アルキルまたはアリール置換基と置換し、官能性アミノ側鎖の可動性を制限することもできる。
【0055】
本発明のポリペプチドを、当該技術分野に周知の組換えおよび合成手法等の認識されている手法によって産生してもよい。ペプチドの合成についての技術は周知であり、Merrifield, J. Amer. Chem. Soc. 85:2149−2456(1963)、Atherton, et al., Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press(1989)、およびMerrifield, Science 232:341−347(1986)の記載を含む。
【0056】
「直鎖ポリペプチド」は、本明細書に使用されるとき、その構成物であるアミノ酸側鎖に共有結合する分岐鎖基を欠損するポリペプチドを意味する。「分岐鎖ポリペプチド」は、本明細書に使用されるとき、その構成物であるアミノ酸側鎖に共有結合する分岐鎖基を含むポリペプチドを意味する。
【0057】
用語「アミノ酸」は、本明細書に使用されるとき、天然に生じるアミノ酸、およびアミノ酸類似体等の天然には生じないアミノ酸を含む。用語「アミノ酸」は天然に生じる(D)または(L)アミノ酸、化学修飾されたアミノ酸、ノルロイシン等の天然に生じるアミノ酸、およびアミノ酸特有の当該技術分野に周知の特性を有する化学合成化合物を意味する。
【0058】
ペプチド中のアミノ酸残基は、当該技術分野で標準的であるように、省略される。
【0059】
いくつかの実施形態では、適切な場合、DD−キトサンとして、DD−キトサン誘導体、例えば、追加の官能基化を組み込むDDキトサン、例えば、結合されたリガンドを伴うDD−キトサンが挙げられる。「誘導体」は、共有結合的に修飾されたN−アセチル−D−グルコサミンおよび/またはD−グルコサミン単位を含むキトサンに基づくポリマー、並びにその他の単位を組み込んでいる、またはその他の部分に結合されるキトサンに基づくポリマーといった広い分類を含むことが理解されるだろう。誘導体はアルギニン官能基化キトサンとともになされるように、ヒドロキシル基またはグルコサミンのアミノ基の修飾に基づくことが多い。キトサン誘導体の例として、限定されないが、トリメチル化キトサン、ペグ化キトサン、チオール化キトサン、ガラクトシル化キトサン、アルキル化キトサン、PEI組込みキトサン、ウロン酸修飾キトサン、グリコールキトサン等が挙げられる。キトサン誘導体のさらなる教示については、例えば、“Non−viral Gene Therapy”、K. Taira、K. Kataoka, T. Niidome(editors), Springer−Verlag Tokyo, 2005, ISBN 4−431−25122−7のpp.63−74;Zhu et al., Chinese Science Bulletin, December 2007, vol. 52( 23), pp. 3207−3215;およびVarma et al., Carbohydrate Polymers 55(2004)77-93を参照のこと。
【0060】
分散系は、連続培地全体に分布される、分散相として知られる粒子状物質から成る。DD−キトサン核酸ポリプレックスの「分散」は水和型DD−キトサン核酸ポリプレックスを含む組成物であり、ここで、ポリプレックスは培地全体に分布される。
【0061】
「濃縮前の」分散は、本明細書に使用するとき、濃縮分散液を形成するための濃縮プロセスがなされていない分散を意味する。
【0062】
ポリプレックス沈殿の「実質的にない」は、本明細書に使用するとき、組成物が、目視検査で観察することのできる粒子が本質的にないことを意味する。
【0063】
本明細書に使用するとき、生理学的pHは6〜8のpHを意味する。
【0064】
「DD−キトサン核酸ポリプレックス」またはその文法的等価物は、複数のDD−キトサン分子および複数の核酸分子を含む複合体を意味する。好ましい実施形態では、二重に誘導体化されたキトサンは、当該核酸と複合する。
【0065】
DD−キトサン核酸ポリプレックスは、核酸の成分およびDD−キトサンの成分を含む。キトサンおよびDD−キトサン核酸ポリプレックスは、当該技術分野に周知の方法によって調製してもよい。例えば、様々なアミン対リン酸塩比(N/P)、混合比、および標的ヌクレオチド濃度に適応するように、官能基化キトサンおよびヌクレオチド原料の濃度を調節してもよい。いくつかの実施形態では、容器をボルテックスしながら、官能基化キトサン原料にヌクレオチド原料をゆっくりと点滴することによって、とりわけ小さいバッチ、例えば2mL未満のバッチ、官能基化キトサンおよびヌクレオチド原料を混合してもよい。他の実施形態では、官能基化キトサンおよびヌクレオチド原料を、2つの流体流れをインライン混合することによって混合してもよい。他の実施形態では、得られるポリプレックス分散物をTFFによって濃縮してもよい。ポリプレックス形成の好ましい手法は、国際公開第2009/039657号に開示され、参照により本明細書に明確に取り込まれる。
【0066】
本発明の核酸は、通常、リン酸ジエステル結合を含むが、いくつかの場合では、代わりの骨格、または任意の様々な目的、例えば、安定性、保護のために組み込まれるその他の修飾もしくは部分を有してもよい核酸類似体が含まれる。企図されるその他の類似体核酸として、非リボース骨格を伴うものがある。さらに、天然に生じる核酸、類似体、およびその両方の混合物を作製することができる。核酸は、単鎖若しくは二重鎖であってもよく、または二重鎖または単鎖配列の両方の部分を含んでいてもよい。核酸として、限定されないが、DNA、RNAおよびハイブリッドが挙げられ、このとき核酸はデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、およびウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサタニンヒポキサタニン、イソシトシン、イソグアニン等を含む塩基の任意の組み合わせを含む。核酸は任意の形態のDNA、任意の形態のRNAを含み、三重の、二重のまたは単鎖、アンチセンス、siRNA、リボザイム、デオキシリボザイム、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、キメラ、マイクロRNA、およびその誘導体を含む。核酸は、限定されないが、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴ(PMO)、ロックド核酸(LNA)、グリコール核酸(GNA)およびトレオース核酸(TNA)を含む人工核酸を含む。
【0067】
ある実施形態では、核酸の成分は治療用核酸を含む。対象のDD−キトサン核酸ポリプレックスは、当該技術分野に周知の治療用核酸の使用に適している。治療用核酸は治療用RNAを含み、哺乳動物の細胞に治療効果を示すことのできるRNA分子である。治療用RNAとして、限定されないが、アンチセンスRNA、SiRNA、ショートヘアピンRNA、マイクロRNA、および酵素RNAが挙げられる。治療用核酸として、限定されないが、三重の分子を形成することを意図する核酸、タンパク質結合核酸、リボザイム、デオキシリボザイム、および小ヌクレオチド分子が挙げられる。
【0068】
多くのタイプの治療用RNAが当該技術分野に周知である。例えば、Grimm et al., Therapeutic application of RNAi: is mRNA targeting finally ready for prime time? J. Clin. Invest.,117:3633−3641,2007;Aagaard et al., RNAi therapeutics: Principles, prospects and challenges, Adv. Drug Deliv. Rev., 59:75−86,2007;Dorsett et al., siRNAs: Applications in functional genomics and potential as therapeutics, Nat. Rev. Drug Discov., 3:318−329,2004を参照のこと。これらは、二重鎖低分子干渉RNA(siRNA)を含む。
【0069】
治療用核酸は、細胞毒性タンパク質およびプロドラッグを含む、治療用のタンパク質をコードする核酸も含む。
【0070】
好ましい実施形態では、核酸の成分は治療用核酸構築物を含む。治療用核酸構築物は、治療効果を発揮することのできる核酸構築物である。治療用核酸構築物は、治療用のタンパク質をコードする核酸、および治療用のRNAである転写物を産生する核酸を含んでいてもよい。治療用核酸は、欠損遺伝子の代わりまたは増強するものとして与えることによって遺伝子治療を達成するために使用してもよいし、治療用生成物をコードすることによって、特定の遺伝子生成物の欠損を埋め合わせるために使用してもよい。治療用核酸は、内在性遺伝子の発現を阻害してもよい。治療用核酸は、翻訳生成物の全てまたは部分をコードしてもよいし、細胞内にすでに存在するDNAで組換えることによって、機能してもよく、それによって、遺伝子の欠損部分を置き換える。タンパク質の部分をコードし、遺伝子生成物のコサプレッションによってその効果を発揮してもよい。好ましい実施形態では、治療用核酸は、米国特許出願第11/694,852号に開示されるものから選択され、参照により本明細書に明確に取り込まれる。
【0071】
好ましい実施形態では、治療用核酸は、ホルモン、酵素、サイトカイン、ケモカイン、抗体、分裂促進因子、増殖因子、分化因子、血管新生に影響する因子、血餅形成に影響する因子、血糖値に影響する因子、糖代謝に影響する因子、脂質代謝に影響する因子、血中コレステロール値に影響する因子、血中LDLまたはHDL値に影響する因子、細胞アポトーシスに影響する因子、食物摂取に影響する因子、エネルギー消費に影響する因子、食欲に影響する因子、栄養吸収に影響する因子、炎症に影響する因子、および骨形成に影響する因子から成る群から選択されるタンパク質をコードする。特に、インスリン、レプチン、グルカゴンアンタゴニスト、GLP−1、GLP−2、グレリン、コレシストキニン、成長ホルモン、凝固因子、PYY、エリトロポエチン,炎症の抑制剤、IL−10、IL−17アンタゴニスト、TNFαアンタゴニスト、成長ホルモン放出ホルモン、または副甲状腺ホルモンをコードする治療用核酸が好ましい。
【0073】
好ましい実施形態では、本発明のポリプレックスは治療用核酸を含み、それは、コード領域に操作可能に結合される発現制御領域を含む治療構築物である。治療構築物は、治療用核酸を産生し、それ自体で治療的であってもよいし、治療用タンパク質をコードしてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、治療構築物の発現制御領域は恒常的活性を有する。いくつかの好ましい実施形態では、治療構築物の発現制御領域は、恒常的活性を有さない。これは、治療用核酸の動的な発現を提供する。「動的」発現とは、時間の経過で変化する発現を意味する。動的発現は、検出可能な発現の時期によって分けられる発現が低いまたは発現が存在しない時期のいくつかを含む。いくつかの好ましい実施形態では、治療用核酸は操作可能に調節可能なプロモーターに結合される。これは治療用核酸の調節可能な発現を提供する。
【0075】
発現制御領域は、プロモーターおよびエンハンサー等の調節性ポリヌクレオチド(本明細書では成分として意味するときがある)を含み、操作可能に結合された治療用核酸の発現に影響する。
【0076】
本明細書に含まれる制御成分の発現の出自は、細菌、酵母、植物、または動物(哺乳動物または非哺乳動物)であってよい。発現制御領域は、天然プロモーターおよびエンハンサー成分、並びに全長または不変機能の全てまたは一部を維持する(例えば、若干の栄養制御、または細胞/組織特異的発現を維持する)サブ配列またはポリヌクレオチド変異型等の全長プロモーター配列を含む。用語「機能的」およびその文法的変化形は、本明細書に使用されるとき、核酸配列、サブ配列または断片に関連して使用されるとき、配列が天然の核酸配列(例えば、変異型ではないまたは改変されていない配列)の1つ以上の機能を有することを意味する。用語「変異型」は、本明細書に使用されるとき、配列置換、削除、または追加、またはその他の改変(例えば、ヌクレアーゼに耐性を示す改変された形態等の化学誘導体)を意味する。
【0077】
用語「操作可能な結合」は、意図する様式で機能するように記述された成分の物理的な並立を意味する。核酸との操作可能な結合の発現制御成分の例では、制御成分が核酸の発現を調節するような関係である。典型的には、転写を調節する発現制御領域は、転写された核酸の5’末端の近くに並立される(すなわち上流)。発現制御領域は、転写された配列の3’末端に位置することもできる(すなわち下流)し、転写物内に位置することもできる(例えば、イントロンの中)。発現制御成分は、転写された配列から遠く離れた所に位置することもできる(例えば、核酸からの100〜500、500〜1000、2000〜5000、またはそれ以上のヌクレオチド)。発現制御成分の特定の例はプロモーターであり、通常、転写された配列の5’末端に位置する。発現制御成分の別の例は、エンハンサーであり、転写された配列の5’末端または3’末端に位置することもできるし、転写された配列内に位置することもできる。
【0078】
いくつかの発現制御領域は、操作可能に結合された治療用核酸に調節可能な発現を与える。シグナル(刺激を意味することもある)が、当該発現制御領域に操作可能に結合される治療用核酸の発現を増加させたり、減少させたりすることができる。シグナルに反応して発現を増加させる当該発現制御領域は、誘導性として意味されることが多い。シグナルに反応して発現を減少させる当該発現制御領域は、抑制性として意味されることが多い。典型的に、当該成分によって与えられる増加または減少の量は、存在するシグナルの量に比例し、シグナルの量が多ければ、発現の増加または減少の程度が大きくなる。
【0079】
多くの調節可能なプロモーターが当該技術分野に周知である。好ましい誘発性の発現制御領域として、小分子化学化合物で刺激される誘発性プロモーターを含むものである。ある実施形態では、発現制御領域は、経口で送達できるが、食物には通常は見受けられない化学物質に反応性を示す。具体的な例は、例えば、米国特許第5,989,910号;同第5,935,934号;同第6,015,709号;および同第6,004,941号に認めることができる。
【0080】
ある実施形態では、治療構築物は組込み配列(integration sequence)をさらに含む。ある実施形態では、治療構築物は、1つの組み込み配列を含む。別の実施形態では、治療構築物は、治療用核酸またはその部分を標的細胞のゲノムに組み込むために、第一または第二の組込み配列を含む。好ましい実施形態では、組込み配列(複数可)は、マリナー、スリーピングビューティー、FLP、Cre、ФC31、R、ラムダ、並びに、AAV、レトロウイルス、およびレンチウイルス等の組み込みウイルスから組み込む手段から成る群から選択される組込み手段と組み合わせて、機能的になる。
【0081】
ある実施形態では、対象の組成物は、治療構築物の他に非治療構築物をさらに含み、非治療構築物は、第二の発現制御領域に操作可能に結合される組み込み手段をコードする核酸配列を含む。この第二の発現制御領域および治療用核酸と操作可能に結合される発現制御領域は、同じであっても、違っていてもよい。コードされた組込み手段は好ましくは、マリナー、スリーピングビューティー、FLP、Cre、ФC31、R、ラムダ、並びに、AAV、レトロウイルス、およびレンチウイルス等の組み込みウイルスから組み込む手段から成る群から選択される。
【0082】
さらなる教示については、参照により本明細書に明確に組み込まれる、国際公開第2008020318号を参照のこと。ある実施形態では、DD−キトサン核酸ポリプレックスの核酸は人工核酸である。
【0083】
好ましい人工核酸として、限定されないが、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴ(PMO)、ロックド核酸(LNA)、グリコール核酸(GNA)およびトレオース核酸(TNA)が挙げられる。
【0084】
ある実施形態では、DD−キトサン核酸ポリプレックスの核酸は治療用核酸である。ある実施形態では、治療用核酸は治療用RNAである。好ましい治療用RNAとして、限定されないが、アンチセンスRNA、siRNA、ショートヘアピンRNA、マイクロRNA、および酵素RNAが挙げられる。
【0085】
ある実施形態では、治療用核酸はDNAである。
【0086】
ある実施形態では、治療用核酸は治療用タンパク質をコードする核酸配列を含む。
【0088】
好ましい実施形態では、組成物のポリプレックスは、官能基化する前の平均分子量が110kDa未満、より好ましくは65kDa未満、より好ましくは50kDa未満、より好ましくは40kDa未満、および最も好ましくは30kDa未満であるキトサン分子を含む。いくつかの実施形態では、組成物のポリプレックスは、官能基化する前の平均分子量が15kDa未満、10kDa未満、7kDa未満、または5kDa未満であるキトサンを含む。
【0089】
好ましい実施形態では、ポリプレックスは、平均して、680グルコサミンモノマー単位未満、より好ましくは400グルコサミンモノマー単位未満、より好ましくは310グルコサミンモノマー単位未満、より好ましくは250グルコサミンモノマー単位未満、および最も好ましくは190グルコサミンモノマー単位未満であるキトサン分子を含む。いくつかの実施形態では、ポリプレックスは、平均して、95グルコサミンモノマー単位未満、65グルコサミンモノマー単位未満、45グルコサミンモノマー単位未満、または35グルコサミンモノマー単位未満であるキトサン分子を含む。
【0090】
好ましい実施形態では、対象のポリプレックスは、2〜100、例えば、2〜50、例えば、2〜40、例えば、2〜30、例えば、2〜20、例えば、2〜5のリン酸塩に対するアミン(N/P)の比を有する。好ましくは、N/P比はキトサンの分子量に反比例し、すなわち、DD−キトサンの分子量が小さければ、N/P比は高くなり、逆も同様である。
【0091】
好ましい実施形態では、対象のポリプレックスの平均流体力学的径は、1000nm未満、より好ましくは500nm未満および最も好ましくは200nm未満である。
【0092】
ある実施形態では、DD−キトサン核酸ポリプレックスの平均ゼータ電位は、例えば、pH7未満、最も好ましくは約4〜6の間の酸性pHで、少なくとも0mVの平均ゼータ電位を有する。
【0093】
ある実施形態では、DD−キトサン核酸ポリプレックスの平均ゼータ電位は、酸性pHで、+1〜+60mV、より好ましくは+1〜+40mV、より好ましくは+1〜+30mVの間である。
【0094】
好ましい実施形態では、ポリペプチドは、生理的pHおよび6未満のpKaで、低い正味の正電荷、中性、または正味の負電荷を有する。当該DD−キトサン核酸ポリプレックスは、低い分子毒性、および核酸の増強された細胞内放出を示す。
【0095】
組成物のDD−キトサン核酸ポリプレックスは、好ましくは、ポリプレックスのサイズについて均一である。したがって、好ましい実施形態では、組成物の平均多分散性指数(「PDI」)は低い。特に好ましい実施形態では、DD−キトサン核酸ポリプレックスの分散物のPDIは、0.5未満、より好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、最も好ましくは0.25未満である。
【0096】
対象の組成物のポリプレックスのサイズは、好ましくは、組成物中で実質的に安定している。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、室温で、6時間、より好ましくは12時間、より好ましくは24時間、最も好ましくは48時間、平均径が100%未満、より好ましくは50%未満、最も好ましくは25%未満増加するポリプレックスを含む。
【0097】
対象の組成物のポリプレックスのサイズは、好ましくは、冷却された条件下で実質的に安定している。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、摂氏2〜8度で、6時間、より好ましくは12時間、より好ましくは24時間、最も好ましくは48時間、平均径が100%未満、より好ましくは50%未満、最も好ましくは25%未満増加するポリプレックスを含む。
【0098】
対象の組成物のポリプレックスのサイズは、凍結融解の条件下で実質的に安定している。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、摂氏−20〜−80度の凍結から融解後、室温で6時間、より好ましくは12時間、より好ましくは24時間、最も好ましくは48時間、平均径が100%未満、より好ましくは50%未満、最も好ましくは25%未満増加するポリプレックスを含む。
【0099】
好ましい実施形態では、組成物は濃度が0.5mg/ml超の核酸を有し、沈殿したポリプレックスが実質的にない。より好ましくは、組成物の核酸濃度は、少なくとも0.6mg/ml、より好ましくは少なくとも0.75mg/ml、より好ましくは少なくとも1.0mg/ml、より好ましくは少なくとも1.2mg/ml、および最も好ましくは少なくとも1.5mg/mlであり、沈殿したポリプレックスが実質的にない。組成物は水和される。好ましい実施形態では、組成物には複合体化されていない核酸が実質的にない。
【0100】
好ましい実施形態では、DD−キトサン核酸ポリプレックス組成物は等張性である。ポリプレックスの安定性を維持しながら等張性を達成することは、医薬組成物を製剤するのにとても望まれることであり、これらの好ましい組成物は、医薬製剤および治療の適用に良く適している。
【0101】
一般的に、DD−キトサン核酸ポリプレックスを含む組成物は、標的細胞に接触するのに使用される。当該接触は、通常、結果として標的細胞による発現について、核酸を送達することになる。本明細書に記載のDD−キトサン核酸ポリプレックスに適した組成物は、当該技術分野に周知であり、以下のように一般的に記述される。
【0103】
本発明のDD−キトサン核酸ポリプレックス組成物は、粉末を含む。好ましい実施形態では、本発明は乾燥した粉末のDD−キトサン核酸ポリプレックス組成物を提供する。好ましい実施形態では、乾燥した粉末のDD−キトサン核酸ポリプレックス組成物は、本発明のキトサン−核酸ポリプレックス分散物の脱水によって産生される。
【0105】
本発明は、本発明のDD−キトサン核酸ポリプレックス組成物を含む「薬剤的に許容可能」または「生理学的に許容可能」な製剤も提供する。当該製剤は、治療手法を実践するために、対象にin vivoで投与することができる。
【0106】
本明細書に使用されるとき、用語「薬剤的に許容可能」または「生理学的に許容可能」は、好ましくは、余計な有害な副作用(例えば、吐き気、腹痛、頭痛等)を発生させることなく、対象に投与することができる担体、希釈剤、賦形剤等を意味する。投与のための当該調製物は、無菌の水性または非水性溶液、懸濁液および乳剤を含む。
【0107】
医薬製剤は、担体、希釈剤、賦形剤、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌性または抗真菌性薬剤、等張剤および吸収遅延剤等から作製することができ、対象への投与に適合性がある。当該製剤は、錠剤(コーティングされている、またはされていない)、カプセル(ハード、またはソフト)、ミクロビーズ、乳剤、粉末、粒剤、結晶、懸濁液、シロップまたはエリキシル剤中に含むことができる。その他の添加物の中でも特に、補助的な活性化合物、保存料も存在してもよく、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガス等である。
【0108】
賦形剤は、塩、等張剤、血清タンパク質、緩衝液、またはその他のpH制御剤、抗酸化剤、増粘剤、非荷電性ポリマー、保存剤または凍結保護剤を含むことができる。本発明の組成物に使用される賦形剤は、さらに等張剤および緩衝液またはその他のpH調整剤を含んでいてもよい。本発明の組成物に使用される賦形剤は、好ましい範囲のpH(約6.0〜8.0)およびモル浸透圧濃度(約50〜300mmol/L)を達成するために、添加されてもよい。適切な緩衝液は、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、リン酸塩およびスルホン化有機分子緩衝液である。当該緩衝液は0.01〜1.0%(w/v)の濃度で、組成物に存在してもよい。等張剤は例えば、マンニトール、デキストロース、グルコースおよび塩化ナトリウム、またはその他の電解質といった当該技術分野に周知のいずれのものから選択されてもよい。好ましくは、等張剤はグルコースまたは塩化ナトリウムである。等張剤は、それが導入される生物環境と同じ、またはほぼ同じ浸透圧を組成物に与える量で使用されてもよい。組成物中の等張剤の濃度は、使用される特定の等張剤の性質に依存するが、約0.1%〜10%の範囲であってよい。グルコースを使用する場合、1〜5%w/v、より具体的には5%w/vの濃度で使用されるのが好ましい。等張剤が塩化ナトリウムであるとき、最大1%w/v、とりわけ0.9%w/vの量で使用されるのが好ましい。本発明の組成物は、さらに保存剤を含んでいてもよい。保存剤の例は、ポリヘキサメチレンビグアニジン、塩化ベンザルコニウム、安定化オキシクロロ複合体(PuriteRとして知られるものなど)、酢酸フェニル水銀、クロロブタノール、ソルビン酸、クロルヘキシジン、ベンジルアルコール、パラベン、およびチメロサールである。典型的に、当該保存剤は、約0.001〜1.0%の濃度で存在する。さらに、本発明の組成物は、凍結保存剤も含んでもよい。好ましい凍結保存料は、グルコース、ショ糖、マンニトール、ラクトース、トレハロース、ソルビトール、コロイド状二酸化ケイ素、分子量が100,000g/mol未満が好ましいデキストラン、グリセロール、および分子量が100,000g/mol未満のポリエチレングリコール、またはその混合物である。最も好ましいのは、グルコース、トレハロースおよびポリエチレングリコールである。典型的には、当該凍結保存料は、約0.01〜10%の濃度で存在する。
【0109】
医薬組成物は、意図される投与経路に適合するように製剤化することができる。例えば、経口投与のために、組成物を賦形剤と共に組み込むことができ、錠剤、トローチ、カプセル、例えば、ゼラチンカプセル、またはコーティング剤、例えば、腸溶コーティング(オイドラギット(登録商標)またはシュアテリック(登録商標))の形態で使用することができる。薬剤的に適合性のある結合剤および/またはアジュバント材料を経口製剤に含むことができる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチ等は、以下の成分または同様の性質の化合物を含むことができる:結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチン等の結合剤;デンプンまたはラクトース等の賦形剤;アルギン酸、Primogel、またはコーンスターチ等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムまたはSterotes等の潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素等の滑剤;ショ糖またはサッカリン等の甘味剤;ペパーミント、サルチル酸メチルまたは香料等の香味料。
【0110】
製剤は、組成物が身体から急速に分解されたり取り除かれたりすることを防ぐ担体、植込剤およびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤等も含むことができる。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはステアリン酸グリセリル等の時間遅延物質を単独で、またはワックスと組み合わせて使用してもよい。
【0111】
座薬およびその他の直腸に投与できる製剤(例えば、浣腸によって投与できるもの)も企図される。直腸送達に関しては、さらに、例えば、Song et al., Mucosal drug delivery:membranes, methodologies, and applications,Crit.Rev.Ther.Drug.Carrier Syst.,21:195−256,2004;Wearley, Recent progress in protein and peptide delivery by noninvasive routes,Crit.Rev.Ther.Drug.Carrier Syst.,8:331−394,1991を参照のこと。
【0112】
投与に適したその他の医薬製剤は当該技術分野に周知であり、本発明の方法および組成物に適用される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton、Pa.;The Merck Index(1996)12th ed.,Merck Publishing Group,Whitehouse,N.J.;およびPharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms,Technonic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,Pa.,(1993)を参照のこと)。
【0114】
ある実施形態では、DD−キトサン核酸ポリプレックス中のDD−キトサンの使用は、生理学的pHのポリプレックスを長期に安定させる。これは、効果的な全身投与およびその他の投与様式をもたらす。
【0115】
いくつかの投与経路のいずれかが可能であり、具体的な経路の選択は部分的には標的組織に依存する。シリンジ、内視鏡、カニューレ、挿管チューブ、カテーテルおよびその他の用具を投与に使用してもよい。
【0116】
障害、または病態、若しくは症状の進行または悪化の予防または抑制は満足のいく転帰であるが、対象を治療するための用量または「有効量」は、計測可能または検出可能な程度に、病態の症状の一つ、いくつかまたは全てを寛解させるのに好ましく十分である。そのため、標的組織に治療用核酸を発現させることによって治療可能な病態または障害の場合には、本発明の方法によって治療可能な病態を寛解するために産生される治療用RNAまたは治療用タンパク質の量は、病態または望ましい転帰に依存し、当業者によって容易に確認できる。適切な量は治療を受ける病態、望まれる治療効果、および個々の対象(対象における生物学的利用能、性別、年齢等)に依存するだろう。有効量は、関連する生理学的効果を測定することによって確認することができる。
【0117】
本発明は獣医学での適用も企図する。したがって、ある実施形態では、本発明は、非ヒト哺乳動物を治療する方法を提供し、本発明のキトサンに基づくナノ粒子を、治療を必要とする非ヒト哺乳動物に投与することを含む。
【0119】
本発明の化合物を血流、筋肉、または内臓に直接投与してもよい。非経口投与に適した方法として、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が挙げられる。非経口投与に適した機器として、注射針(顕微針を含む)、針なし注射および注入技術が挙げられる。
【0120】
非経口製剤は典型的には、塩類、炭水化物、および緩衝剤等の賦形剤を含んでもよい水溶液であるが、いくつかの適用については、無菌非水溶液として、または乾燥剤形としてより適切に製剤化され、無菌で、発熱物質のない水等の適切な担体と合わせて使用されてもよい。
【0121】
無菌条件下での非経口製剤の調製は、例えば、凍結乾燥によって、当該技術分野に周知の標準的な薬剤的技術を使用して、容易に達成できる。
【0122】
可溶性を増強させる薬剤を組み込む等、適切な製剤技術を使用することによって、非経口溶液の調製に使用される化合物の可溶性を増加させることができる。
【0123】
非経口投与のための製剤の放出を即時におこなう、および/または調節するように製剤化してもよい。放出調節製剤として、遅延型、保持型、パルス型、制御型、標的型およびプログラム型放出が挙げられる。そのため、本発明の化合物は、活性化合物の放出が調節された埋め込み型デポーとして投与するために、固体、半固体、またはチキソトロピー液として製剤化されてもよい。
【0125】
対象の組成物は経口で投与されてもよい。経口投与は、化合物が消化管に進入できるように、飲み込むことを含んでもよい。本発明の組成物は、消化管に直接投与してもよい。
【0126】
経口投与に適した製剤として、錠剤、カプセル、粒子またはコーティングされた粒子を含むコーティングされたカプセル、液剤、粉末剤、トローチ(液体充填されたものも含む)、咀嚼する剤、多粒子剤およびナノ粒子剤、ゲル剤、フィルム剤、腔坐剤およびスプレー剤等の固形製剤が挙げられる。
【0127】
液体製剤として、懸濁液、溶液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられる。液体製剤は、固体を再構築することによって調製してもよい。
【0128】
錠剤の剤形は崩壊剤を一般に含む。崩壊剤の例として、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、線維素グリコール酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、結晶セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化でんぷん、およびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は、1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%の剤形を含む。
【0129】
結合剤は、錠剤の製剤に粘性を与えるために一般に使用される。適切な結合剤として、結晶セルロース、ゼラチン、糖類、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は、ラクトース(一水和物、スプレー乾燥一水和物、無水等)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、結晶セルロース、デンプンおよびリン酸水素カルシウム二水和物等の希釈剤も含んでいてもよい。
【0130】
錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80、および二酸化ケイ素およびタルク等の滑剤等の界面活性剤も任意に含んでいてもよい。界面活性剤が存在する場合、錠剤の0.2重量%〜5重量%含んでいてもよく、滑剤は、錠剤の0.2重量%〜1重量%含んでいてもよい。
【0131】
錠剤は、一般にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物等の潤滑剤も含む。潤滑剤は、一般に錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を含む。
【0132】
その他の可能な成分として、抗酸化剤、着色剤、香味料、保存料および矯味剤が挙げられる。
【0133】
錠剤の混合物は、直接またはローラーによって圧縮され錠剤を形成してもよい。あるいは、錠剤の混合物または混合物の部分は、湿潤し、乾燥し、または溶解して粒状化し、溶解して凝結されても、錠剤にする前に押し出し成形されてもよい。最終の製剤は、1つ以上の層を含んでいてもよく、コーティングされていても、されていてなくてもよい。カプセルに包んであってもよい。
【0134】
錠剤の製剤化については、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets,Vol.1, by H. Lieberman and L. Lachman(Marcel Dekker、New York、1980)に考察されている。
【0135】
ヒト用または獣医用の経口フィルム剤は、典型的には、急速に溶解しても粘膜付着性であってもよい柔軟な水可溶性または、水膨張性の薄いフィルム剤形であり、典型的には、フィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、保水剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度変成剤および溶媒を含む。製剤のいくつかの成分は、1つ以上の機能を果たし得る。
【0136】
本発明では、本発明の組成物を含む多粒子ビーズも含まれる。
【0137】
その他の可能性のある成分として、抗酸化剤、着色剤、香料および調味料、保存料、唾液分泌促進剤、減熱消炎剤、共溶媒(油を含む)、皮膚軟化薬、充填剤、消泡剤、界面活性剤、並びに矯味剤が挙げられる。
【0138】
本発明に記載のフィルム剤は、典型的には、剥ぐことができる裏支え、または裏紙上にコーティングされた薄い水性フィルムを蒸発乾固することによって、調製される。これは、乾燥オーブンまたはトンネル乾燥機、典型的には組み合わされた塗布乾燥機の中で行われ、またはフリーズドライまたはバキューミングによって行われる。
【0139】
経口投与のための固形製剤は、即時放出および/または放出調節するように製剤化されてもよい。放出調節製剤として、遅延型、保持型、パルス型、制御型、標的型およびプログラム型放出が挙げられる。
【0140】
高エネルギー分散および浸透性およびコーティングされた粒子等のその他の適切な放出技術は周知である。
【0142】
本発明の化合物は、皮膚または粘膜、つまり皮膚にまたは経皮的に局所投与してもよい。この目的のための典型的な製剤として、ゲル剤、ハイドロゲル剤、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散布剤、包帯剤、発泡材、フィルム、皮膚パッチ、カシェ剤、植込剤、スポンジ、繊維、包帯およびマイクロエマルジョンが挙げられる。
【0143】
局所投与のその他の方法として、エレクトロポレーション、イオン泳動、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよび顕微針または針なし(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)等)注射による送達が挙げられる。
【0144】
局所投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節するように製剤化されてもよい。放出調節製剤として、遅延型、保持型、パルス型、制御型、標的型およびプログラム型放出が挙げられる。
【0146】
本発明の化合物は、典型的には、ドライパウダー吸入器から乾燥粉末(例えば、混合として、例えば、ラクトースとの乾燥混合として単独で、または混合された成分粒子として混合物として)の形態で、または圧力容器、ポンプ、スプレー、噴霧器、またはネブライザーからのエアロゾル・スプレーとして、適切な噴霧剤の使用があってもなくても、鼻腔内または吸引によって投与することもできる。
【0147】
吸入器または注入器に使用されるカプセル、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物の粉末混合物、ラクトースまたはデンプン等の適切な粉末ベース、および、I−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウム等の機能調節剤(performance modifier)を含むように製剤化してもよい。
【0148】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節するように製剤化されてもよい。放出調節製剤として、遅延型、保持型、パルス型、制御型、標的型およびプログラム型放出が挙げられる。
【0150】
本発明の化合物は、例えば、座薬、腟坐薬、または浣腸の形態で、直腸、または膣内に投与されてもよい。ココアバターは伝統的な座薬ベース剤であるが、その代わりとなる様々なものを適宜使用してもよい。
【0151】
直腸/膣内投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節するように製剤化されてもよい。放出調節製剤として、遅延型、保持型、パルス型、制御型、標的型およびプログラム型放出が挙げられる。
【0153】
本発明の化合物は、典型的には滴剤の形態で、目または耳に直接投与されてもよい。目および耳の投与に適したその他の製剤として、軟膏、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)植込剤、カシェ剤、レンズおよび粒子系が挙げられる。製剤は、イオン泳動によっても送達されてもよい。
【0154】
目/耳の投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節するように製剤化されてもよい。放出調節製剤として、遅延型、保持型、パルス型、制御型、標的型およびプログラム型放出が挙げられる。
【0156】
ある実施形態では、本発明のDD−キトサン核酸ポリプレックス組成物は、治療のために使用されてもよい。当該組成物は、本明細書では治療用組成物と呼ばれることもある。
【0157】
本発明の治療用タンパク質は、以下に考察されるように、治療用核酸を含む本発明のポリプレックスによって産生される。以下に記載の対象のタンパク質の使用は、当該タンパク質の使用を達成するように、対象のポリプレックスを使用することを意味する。
【0158】
本発明で使用すると企図される治療用タンパク質は、広範囲の作用を有し、広範囲の障害の治療への使用が認められている。治療用タンパク質の作用、および本発明の治療用タンパク質で治療可能な適応症の以下の記載は、例示的なものであり、網羅することを意図しない。用語「対象」は、動物を意味し、好ましくは哺乳動物であり、特に好ましくはヒトである。
【0159】
治療用タンパク質のおよび標的疾患の部分的なリストを表1に示す。
【表1】
【0160】
別の実施形態では、本発明の治療用組成物は、治療用タンパク質、例えば、治療用RNAをコードしない治療用核酸を含み、例えば、疾患および/または望ましくない細胞または生理学的病態の機序に関与する遺伝子を標的とする治療用RNAを選択することによって、対象の組成物を多岐にわたる疾患および病態の治療に使用してもよい。対象の組成物は、使用される治療用RNAが標的を選択する範囲について限定されないという特徴がある。したがって、対象の組成物は、適した標的に関係する任意の疾患または病態に使用する。
【0161】
好ましい組織、疾患および病態として、以下が挙げられるが、例示的なものであり、限定を意図しない。
【表2-1】
【表2-2】
【0163】
治療用タンパク質はインスリンおよびインスリン類似体を含む。糖尿病は、膵β細胞からのインスリン生成の非存在(I型)または不足(II型)によって引き起こされる衰弱性代謝疾患である(Unger、R.H.et al., Williams Textbook of Endocrinology Saunders,Philadelphia(1998))。β細胞は食事の後に放出されるインスリンを作製し貯蔵する特定化された内分泌細胞であり(Rhodes, et. al. J.Cell Biol.105:145(1987))、インスリンは、グルコースの血液から必要としている組織への移動を促進するホルモンである。糖尿病患者は、頻繁に血糖値をモニタリングしなければならず、生存のために1日に複数回インスリンを注射しなければならない。しかしながら、このような患者はインスリン注射によって理想的なグルコース値を維持できることは稀である(Turner, R.C. et al. JAMA 281:2005(1999))。さらに、インスリン値の長期の増加は、低血糖ショックおよびインスリンに対する身体の反応の脱感作等の有害な副作用をもたらす可能性がある。結果的に、糖尿病患者は、循環器疾患、腎疾患、盲目、神経損傷および創傷治癒障害等の長期間の合併症を依然として発症する(UK Prospective Diabetes Study(UKPDS)Group, Lancet 352,837(1998))。
【0164】
本発明の方法によって治療可能な障害として、インスリン依存性(I型)または非依存性(II型)糖尿病等の高血糖状態、および高血糖状態に関連、またはそれから生じる生理学的病態または障害が挙げられる。そのため、本発明の方法によって治療可能な高血糖状態は、慢性または急性高血糖(例えば、糖尿病)に関連する病理組織学的変化も含む。具体的な例として、膵臓の変性(β細胞破壊)、尿細管石灰化、肝臓の変性、眼損傷(糖尿病網膜症)、糖尿病性足病変、口や歯茎等の粘膜の潰瘍化、過剰な出血、血液凝固または傷の治癒の遅れが挙げられ、冠動脈性心疾患、脳卒中、末梢血管疾患、脂質異常症、高血圧症および肥満のリスクを増加させる。
【0165】
対象の組成物はグルコースを低下させ、耐糖能を向上させ、高血糖状態(例えば、糖尿病)を治療するのに有用であり、または高血糖状態に関連、またはそれから生じる生理学的障害を治療するのに有用である。当該障害として、例えば、糖尿病性神経障害(自律神経性)、腎障害(腎損傷)、皮膚感染およびその他の皮膚障害、傷または損傷の遅い治癒または治癒の遅れ(例えば、糖尿病性癰になってしまう)、盲目になってしまう眼損傷(網膜症、白内障)、糖尿病性足病変および歯周炎の加速が挙げられる。当該障害は、冠動脈性心疾患、脳卒中、末梢血管疾患、脂質異常症、高血圧症および肥満を発症するリスクの増加も含む。
【0166】
用語「高血糖性の」または「高血糖症」は、本明細書に使用されるとき、対象の病態に関して使用するとき、対象の血中に存在するグルコースが一時的または慢性的に異常なほどの高い値を意味する。対象が耐糖能異常または正常な対象には(例えば、糖尿病を発症するリスクのある耐糖能異常の副糖尿病(subdiabetic)の対象、または糖尿病の対象には)典型的に見られない上昇したグルコースの状態を示すようなグルコース代謝または吸収の遅延によって、この病態が生じる。空腹時血糖値(FPG)レベルは、正常血糖については約110mg/dl未満であり、糖代謝障害については約110〜126mg/dlであり、糖尿病については約126mg/dl超である。
【0167】
腸粘膜組織でタンパク質を産生することによって治療可能な障害として、肥満または望ましくない体重も挙げられる。レプチン、コレシストキニン、PYYおよびGLP−1は空腹を減少させ、エネルギー消費を増加させ、体重減少を誘導し、または正常なグルコースホメオスタシスをもたらす。そのため、様々な実施形態では、肥満または望ましくない体重、または高血糖症を治療するための本発明の方法は、レプチン、コレシストキニン、PYYまたはGLP−1をコードする治療上の核酸の使用を含む。別の実施形態では、グレリンを標的とする治療用RNAを使用する。グレリンは食欲および空腹を増加させる。そのため、様々な実施形態では、肥満または望ましくない体重、または高血糖症を治療するための本発明の方法は、これらの発症を減少させるためにグレリンを標的とする治療用RNAを使用することを含む。治療可能な障害として、肥満に関連する典型的な障害、例えば、異常に上昇した血清/血漿LDL、VLDL、トリグリセリド、コレステロール、血管を狭小または閉塞してしまうプラーク形成、高血圧症/脳卒中、冠動脈性心疾患等のリスクの増加も挙げられる。
【0168】
用語「肥満した」または「肥満」は、本明細書に使用する時、年齢および性別の一致した正常な対象と比較した場合に、体重が少なくとも30%増加している対象を意味する。「望ましくない体重」は、年齢および性別の一致した対象より体重が1%〜29%重い対象、および体重については正常であるが、体重の減少を望み、または増加を避けようとする対象を意味する。
【0169】
ある実施形態では、本発明の治療用タンパク質は、グルカゴンアンタゴニストである。グルカゴンは、膵島のβ細胞によって産生させるペプチドホルモンであり、糖代謝の主要な調整役である(Unger R.H.&Orci L.N.Eng.J.Med.304:1518(1981);Unger R.H.Diabetes 25:136(1976))。インスリンについては、血中グルコース濃度がグルカゴンの分泌を仲介する。しかしながら、インスリンと対照的に、グルカゴンは血中グルコースの減少に反応して分泌される。したがって、グルカゴンの循環濃度は絶食中に最も高く、食事中に最も低い。グルカゴン値が増加し、グルコース貯蔵を促進することからインスリンを削減し、グルコースを血中に放出するように肝臓を刺激する。グルカゴンアンタゴニストの特定の例は、[des−His1、des−Phe6、Glu9]グルカゴン−NH2である。ストレプトゾトシン糖尿病ラットでは、当該グルカゴンアンタゴニストを静脈内ボーラス(0.75μg/1g体重)注入することによって、15分以内に血糖値が37%減少した(Van Tine B.A. et. al. Endocrinology137:3316(1996))。別の実施形態では、本発明は膵臓からのグルカゴン産生のレベルを減少させるために、治療用RNAを使用することを含む、糖尿病または高血糖症を治療する方法を提供する。
【0170】
別の実施形態では、高血糖状態または望ましくない体重(例えば、肥満)を治療するのに有用な本発明の治療用タンパク質は、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)である。GLP−1は膵β細胞を刺激してインスリン分泌が増加する、食事中に腸のL細胞から放出されるホルモンである。GLP−1には肥満および糖尿病を治療する魅力的な治療薬剤になる付加的な作用がある。例えば、GLP−1は胃内容排出を減少させ、食欲を抑制し、グルカゴン濃度を減少させ、β細胞質量を増加させ、インスリンの生合成およびグルコース依存様式で分泌を刺激し、インスリンに対する組織の感受性を増加させる可能性がある(Kieffer T.J.,Habener J.F.Endocrin.Rev.20:876(2000))。したがって、食事と同時に起こる腸内のGLP−1の放出を制御することは、高血糖状態または望ましくない体重について治療上の利益をもたらすことができる。ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)に抵抗性があるGLP−1類似体は、作用をより長期的に継続させ、治療上の価値を向上させる。そのため、GLP−1類似体は、好ましい治療用ポリペプチドである。別の実施形態では、本発明は、DPP IVの値を減少させるために、治療用RNAの使用を含む、糖尿病または高血糖症の治療方法を提供する。
【0171】
別の実施形態では、高血糖状態を治療するために有用な本発明の治療用タンパク質は、ホルモンレジスチンに対するアンタゴニストである。レジスチンは脂肪細胞由来の因子であり、その発現は、食事が誘発する、および遺伝的形態の肥満において増強する。レジスチンの循環を中和することが、肥満のマウスの血中グルコースおよびインスリン作用を向上させる。逆に、正常なマウスにレジスチンを投与すると、糖耐性能およびインスリン活動が損なわれる(Steppan CM et. al. Nature 409:307(2001))。そのため、腸内のレジスチンの生物学的影響をアンタゴナイズするタンパク質の産生は、肥満が関連するインスリン抵抗性および高血糖状態に効果的な治療をもたらすことができる。別の実施形態では、本発明は、脂肪組織内のレジスチン発現のレベルを減少させるために、治療用RNAを使用することを含む、糖尿病または高血糖症を治療する方法を提供する。
【0172】
別の実施形態では、高血糖状態または望ましくない体重(例えば、肥満)を治療するのに有用な本発明の治療用ポリペプチドは、レプチンである。レプチンは、脂肪細胞によって主に産生されるが、食事に依存して胃でも少量産生される。レプチンは、脂肪細胞代謝および体重についての情報を、脳の食欲中枢にリレーし、そこから食物摂取を減少し(満腹を促す)、身体のエネルギー消費を増加せよという信号を送る。
【0173】
別の実施形態では、高血糖状態または望ましくない体重(例えば、肥満)を治療するのに有用な本発明の治療用ポリペプチドは、アディポネクチン(adipocyte complement−related protein(Acrp30))のC末端球状先頭領域である。Acrp30は分化された脂肪細胞によって産生されるタンパク質である。球状先頭領域から成るAcrp30のタンパク質切断生成物をマウスに投与することによって、マウスの体重を有意に減少させる(Fruebis J. et al. Proc.NatL Acad.Sci USA98:2005(2001))。
【0174】
別の実施形態では、高血糖状態または望ましくない体重(例えば、肥満)を治療するのに有用な本発明の治療用ポリペプチドは、コレシストキニン(CCK)である。CCKは、腸内で特定の栄養物に反応して、腸から分泌される消化管ペプチドである。CCKの放出は、消費される食物の量に比例し、食事を止めるように脳に信号を送ると考えられている(Schwartz M.W. et. al. Nature 404:661−71(2000))。結果的に、CCKの上昇は、食事量を少なくし、体重減少または体重の安定化を促進する(すなわち体重増加を防ぐまたは抑制する)。
【0175】
PYYについては、例えば、le Roux et al., Proc Nutr Soc.2005 May;64(2):213−6を参照のこと。
【0177】
ある実施形態では、本発明の治療用組成物は、免疫調節活性を有する。例えば、本発明の治療用ポリペプチドは、免疫細胞の増殖、分化、または可動性(化学走性)を活性化または抑制することによって、免疫系の欠損または障害を治療するのに役に立つことができる。免疫細胞は造血のプロセスを通じて発生し、骨髄(血小板、赤血球細胞、好中球、およびマクロファージ)、リンパ(BおよびTリンパ球)細胞を、多能性幹細胞から産生する。これらの免疫欠損または障害の病因は、癌、若しくはいくつかの自己免疫障害等の遺伝性、体性、後天的(化学療法または毒物)または感染性があり得る。
【0178】
本発明の治療用組成物は、造血細胞の欠損または障害を治療するのに有用であり得る。例えば、本発明の治療用ポリペプチドは、ある特定の(または多くの)タイプの造血細胞の減少に関連する障害を治療しようと試み、多能性幹細胞を含む造血細胞の分化または増殖を増加させるために使用することができる。免疫不全症候群の例として、限定されないが、血中タンパク質障害(例えば、無ガンマグロブリン血症、異ガンマグロブリン血症)、血管拡張性失調症、分類不能原発性免疫不全、ディジョージ症候群、HIV感染、HTLV−BLV感染、白血球粘着不全症、リンパ球減少症、貪食殺菌機能障害、重症複合免疫不全(SCID)、ウィスコット‐アルドリッチ障害、貧血症、血小板減少症、またはヘモグロビン尿症が挙げられる。
【0179】
本発明の治療用組成物は、自己免疫障害を治療するのに有用であり得る。多くの自己免疫障害は、免疫細胞によって自己が外界物質として不適切に認識することに起因する。この不適切な認識は、宿主組織を破壊してしまう免疫応答を引き起こす。したがって、免疫応答、特にT細胞の増殖、分化、または化学走性を抑制する本発明の治療用組成物の投与は、自己免疫障害を予防するのに有効な治療法であり得る。
【0180】
本発明によって治療することができる自己免疫障害の例として、限定されないが、アディソン病、溶血性貧血、抗リン脂質抗体症候群、リウマチ性関節炎、皮膚炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーヴス病、多発性硬化症、重症筋無力症、神経炎、眼炎、水疱性類天疱瘡、天疱瘡、多腺性内分泌障害、紫斑病、ライター病、スティッフマン症候群、自己免疫性甲状線炎、急性播種性紅斑性狼瘡、自己免疫肺炎症、ギランバレー症候群、インスリン依存性糖尿病、クローン病、潰瘍性大腸炎、および自己免疫炎症性眼病が挙げられる。
【0181】
同様に、喘息(特にアレルギー性喘息)またはその他の呼吸器系の問題等のアレルギー反応および病態は、本発明の治療用組成物によって治療することもできる。さらに、これらの分子を使用して、アナフィラキシー、抗原分子に対する過敏症、または血液型不適合を治療することができる。
【0182】
本発明の治療用組成物は、臓器拒絶または移植片対宿主病(GVHD)を治療および/または予防するために使用してもよい。臓器拒絶は、免疫応答によって、移植組織の宿主免疫細胞破壊によって発生する。同様に、免疫応答はGVHDにも関与するが、この場合、外界の移植された免疫細胞が宿主組織を破壊する。免疫応答、特にT細胞の増殖、分化、または化学走性を抑制する本発明の治療用組成物の投与は、臓器拒絶またはGVHDの予防に効果的な治療法となり得る。
【0183】
同様に、本発明の治療用組成物は、炎症を調節するために使用してもよい。例えば、治療用ポリペプチドは炎症応答に関与する細胞の増殖および分化を抑制し得る。これらの分子は、感染症(例えば、敗血症性ショック、敗血症、または全身性炎症反応症候群(SIRS))、虚血再灌流障害、エンドトキシン致死、関節炎、膵炎、補体媒介超急性拒絶反応、腎炎、サイトカインまたはケモカイン誘発肺損傷、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、またはサイトカインの過剰産生から生じるもの(例えば、TNFまたはIL−1)と関連のある炎症を含む炎症性病態、慢性および急性病態の両方を治療するために使用することができる。ある実施形態では、炎症を治療するために、TNFαに対して標的を定めた治療用RNAを、対象の組成物に使用する。別の好ましい実施形態では、炎症を治療するために、IL−1に対して標的を定めた治療用RNAを対象の組成物に使用する。siRNA治療用RNAが特に好ましい。本発明の治療の対象となる炎症性障害として、限定されないが、慢性閉塞性肺障害(COPD)、間質性膀胱炎、および炎症性腸疾患が挙げられる。
【0185】
いくつかの実施形態では、本発明の治療用組成物は、止血(出血を止めること)または血栓溶解(凝固形成)活性を調節するために使用してもよい。例えば、止血または血栓溶解活性を増加させることによって、本発明の治療用組成物は血液凝固障害(例えば、無フィブリノーゲン血症、因子欠損)、血小板障害(例えば、血小板減少症)、または外傷、手術、またはその他の原因によって生じる傷を治療するために使用することができる。あるいは、止血または血栓溶解活性を低下させることができる本発明の治療用組成物は、凝固を抑制または溶解するために使用することができる。これらの治療用組成物は、心臓発作(梗塞)、脳卒中または瘢痕の治療に重要になる可能性がある。ある実施形態では、本発明の治療用ポリペプチドは凝固因子であり、血友病またはその他の凝固(coagulation)/凝固(clotting)障害(例えば、VIII、IXまたはX因子)の治療に役に立つ。
【0187】
ある実施形態では、本発明の治療用組成物は、細胞増殖を調節することができる。当該治療用ポリペプチドは、腫瘍を含む過剰増殖性障害を治療するために使用することができる。
【0188】
本発明の治療用組成物によって治療することのできる過剰増殖性障害の例として、限定されないが、腹部、骨、乳房、消化系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、脳下垂体、睾丸、卵巣、胸腺、甲状腺)、目、頭頸部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部、および泌尿生殖器に位置する腫瘍が挙げられる。
【0189】
同様に、その他の過増殖性障害も本発明の治療用組成物によって治療することができる。当該過増殖性障害の例として、限定されないが、上述の臓器系腫瘍形成の他に、高ガンマグロブリン血症、リンパ増殖性疾患、パラプロテイン血症、紫斑、サルコイドーシス、セザリー症候群、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ゴーシェ病、組織球症、およびその他の過増殖性障害が挙げられる。
【0190】
循環系への送達は、様々な組織に治療用タンパク質のアクセスをもたらす。あるいは、本発明の治療用組成物は、過増殖性障害を抑制することができるその他の細胞の増殖を刺激し得る。
【0191】
例えば、免疫応答を増加させる、特に過増殖性障害の抗原の性質を増加させる、またはT細胞を増殖、分化、動員させることによって、過増殖性障害を治療することができる。既存の免疫応答を増強する、または新しい免疫応答を開始することのいずれかで、当該免疫応答が増加し得る。あるいは、免疫応答を低下させることは、化学療法薬剤等で、過増殖性障害を治療する方法にもなり得る。
【0193】
ある実施形態では、本発明の治療用組成物は、感染性疾患を治療するために使用することができる。例えば、免疫応答を増加させる、特に、Bおよび/またはT細胞の増殖および分化を増加させることによって、感染性疾患を治療することができる。既存の免疫応答を増強する、または新しい免疫応答を開始することのいずれかで、当該免疫応答が増加し得る。あるいは、本発明の治療用組成物は、必ずしも免疫応答を誘発せずに、感染性物質を直接的に抑制し得る。
【0194】
ウイルスは、本発明の治療用組成物によって治療することのできる疾患または症状を引き起こすことができる感染性物質の1例である。ウイルスの例として、限定されないが、以下のDNAおよびRNAウイルスファミリーが挙げられる:アルボウイルス、アデノウイルス科、アレナウイルス科、アルテリウイルス、ビルナウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、シルコウイルス科、コロナウイルス科、フラビウイルス科、ヘパドナウイルス科(肝炎)、ヘルペスウイルス科(サイトメガロウイルス、単純ヘルペス、帯状疱疹等)、モノネガウイルス(例えば、パラミクソウイルス科、モルビリウイルス、ラブドウイルス科)、オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザ)、パポバウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科(天然痘またはワクシニア等)、レオウイルス科(例えば、ロタウイルス)、レトロウイルス科(HTLV−I、HTLV−II、レンチウイルス)、およびトガウイルス科(例えば、ルビウイルス)。これらのファミリーにあるウイルスは、様々な疾患または症状を引き起こす可能性があり、限定されないが、関節炎、細気管支炎、脳炎、眼感染症(例えば、結膜炎、角膜炎)、慢性疲労症候群、肝炎(A、B、C、E、慢性活動性、デルタ)、髄膜炎、日和見感染(例えば、AIDS)、肺炎、バーキットリンパ腫、水痘、出血性熱、麻疹、流行性耳下腺炎、パラインフルエンザ、狂犬病、風邪、ポリオ、白血病、風疹、性行為感染症、皮膚疾患(例えば、カポジ、疣贅)、およびウイルス血症が挙げられる。本発明の治療用組成物はこれらのいずれかの症状または疾患を治療するために使用することができる。
【0195】
同様に、疾患または症状を引き起こす可能性があり、本発明の治療用組成物によって治療することのできる細菌または真菌病原体として、限定されないが、以下のグラム陰性およびグラム陽性細菌ファミリーおよび真菌が挙げられる:放線菌目(例えば、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、ノカルジア)、アスペルギルス症、バチルス科(例えば、炭疽、クロストリジウム)、バクテロイデス科、ブラストミセス症、ボルデテラ、ボレリア、ブルセラ症、カンジダ症、カンピロバクター、コクシジオイデス症、クリプトコックス症、皮膚真菌症、腸内細菌科(クレブシエラ、サルモネラ、セラチア、エルシニア属)、エリジペロトリックス、ヘリコバクター、レジオネラ症、レプトスピラ症、リステリア、マイコプラズマ目、ナイセリア科(例えば、アシネトバクター、淋病、髄膜炎菌性)、パスツレラ科感染症(例えば、アクチノバチルス、ヘモフィルス、パスツレラ)、シュードモナス、リケッチア科、クラミジア科、梅毒、およびブドウ球菌。これらの細菌または真菌ファミリーは以下の疾患または症状を引き起こす可能性があり、限定されないが、菌血症、心内膜炎、眼感染症(結膜炎、結核、ぶどう膜炎)、歯肉炎、日和見感染(例えば、AIDS関連の感染)、爪囲炎、プロステーシス関連感染症、ライター病、気道感染症、百日咳または蓄膿等、敗血症、ライム病、ネコひっかき病、赤痢、パラチフス、食中毒、腸チフス、肺炎、淋病、髄膜炎、クラミジア、梅毒、ジフテリア、ハンセン病、パラ結核症、結核、ループス、ボツリヌス中毒、壊疽、破傷風、膿痂疹、リウマチ熱、猩紅熱、性行為感染症、皮膚疾患(例えば、蜂巣織炎、皮膚真菌症)、毒血症、尿路感染症、創傷感染症が挙げられる。本発明の治療用組成物は、これらのいずれかの症状または疾患を治療するために使用することができる。
【0196】
さらに、本発明の治療用組成物によって治療することのできる疾患または症状を引きこす寄生病原体として、限定されないが、以下のファミリーが挙げられる:アメーバ症、バベシア症、コクシジウム症、クリプトスポリジア症、二核アメーバ症、媾疫、外寄生生物、ジアルジア症、蠕虫病、リーシュマニア症、タイレリア症、トキソプラズマ病、トリパノソーマ症、およびトリコモナス。これらの寄生虫が、限定されないが、疥癬、ツツガムシ病、眼感染症、腸疾患(例えば、赤痢、ジアルジア症)、肝疾患、肺疾患、日和見感染(例えば、AIDS関連)、マラリア、妊娠合併症、およびトキソプラズマ症を含む、様々な疾患または症状を引き起こす可能性がある。本発明の治療用組成物は、これらのいずれかの症状または疾患を治療するために使用することができる。
【0198】
本発明の治療用組成物は、細胞を分化し、増殖させ、および引きつけるために使用することができ、組織の再生を育成する。(Science 276:59−87(1997)を参照のこと)。組織の再生は、先天性欠損、外傷(傷、火傷、切開部、または潰瘍)、年齢、疾患(例えば、骨粗鬆症、骨関節炎、歯周病、肝不全)、美容整形手術を含む外科手術、線維形成、再潅流損傷、または全身性サイトカイン損傷によって損傷を受けた組織を修復し、交換し、または保護するために使用することができる。
【0199】
本発明の治療用組成物は、様々な組織の再生を促進し得、限定されないが、臓器(例えば、膵臓、肝臓、腸、腎臓、皮膚、内皮)、筋肉(平滑筋、骨格または心臓)、血管(血管内皮を含む)、神経、造血、および骨格(骨、軟骨、腱、および靱帯)組織が挙げられる。好ましくは、再生は、少しの瘢痕をもたらすか瘢痕がない状態で発生する。再生は血管新生も含み得る。
【0200】
さらに、本明細書の治療用組成物は、治癒が難しい組織の再生を増加させる。例えば、腱/靭帯の再生の増加は、損傷後の回復時間を速くすると思われる。本明細書の治療用組成物は、損傷を回避することを意図して、予防的に使用することもできる。治療ができると思われる特定の疾患として、腱炎、手根管症候群、およびその他の腱または靭帯損傷が挙げられる。治癒しにくい傷の組織再生の例として、さらに、褥瘡、血管機能不全が関連する潰瘍、外科手術、および外傷性の傷が挙げられる。
【0201】
同様に、神経および脳組織も本明細書の治療用組成物を使用することによって再生し、神経細胞を増殖および分化させることができる。当該方法を使用して治療することのできる疾患として、中枢および末梢神経系疾患、神経障害、または器質的および外傷性障害(例えば、脊髄障害、頭部外傷、脳血管疾患、および卒中)が挙げられる。特に、末梢神経損傷に関連する疾患として、末梢神経障害(例えば、化学療法またはその他の薬剤療法から生じる)、局所神経障害、および中枢神経系疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、およびシャイ‐ドレーガー症候群)が挙げられ、いずれも本発明の治療用組成物を使用して治療することができる。CNS障害に関して、脳組織への治療上アクセスを容易にするための多くの方法が当該技術分野に周知であり、血液脳関門を崩壊する方法、および治療用薬剤をCNSに輸送する部分と結合させる方法が挙げられる。ある実施形態では、治療用核酸は、輸送部分および治療用タンパク質を含む融合タンパク質をコードするために操作される。あるいは、対象の組成物は、CNSに直接送達され得る。
【0203】
ある実施形態では、本発明の治療用組成物は化学走性を調節することができる。例えば、ある実施形態では、本発明の治療用ポリペプチドは化学走性活性を有する。化学走性分子は細胞(例えば、単球、線維芽細胞、好中球、T細胞、マスト細胞、好酸球、上皮および/または内皮細胞)を、炎症、感染または過剰増殖の部位等の身体の特定の場所に引きつけまたは動員させる。動員された細胞は特定の外傷または異常を克服および/または治癒する。
【0204】
例えば、本発明の治療用ポリペプチドは、特定の細胞の化学走性活性を増加させ得る。これらの化学走性分子を使用して、身体の特定の場所を標的にした細胞数を増加させることによって、炎症、感染、過増殖性障害、または免疫系障害を治療することができる。例えば、化学走性分子を使用して、損傷を負った場所に、免疫細胞を引きつけることによって、組織への傷およびその他の外傷を治療することができる。本発明の化学走性分子は、線維芽細胞を引きつけることができ、傷を治療するために使用することができる。
【0205】
本発明の治療用組成物は、化学走性作用を抑制し得ることが企図される。これらの治療用組成物を使用して、障害を治療することもできると思われる。そのため、本発明の治療用組成物は、化学走性の阻害剤として使用することができると思われる。
【0206】
標的細胞の周辺で活性する前治療用タンパク質(protherapeutic proteins)を使用することが特に好ましい。
【0207】
使用できると考えられるその他の治療用ポリペプチドとして、限定されないが、成長障害または消耗症候群を治療するために、増殖因子(例えば、成長ホルモン、インスリン様増殖因子−1、血小板由来増殖因子、上皮増殖因子、酸性および塩基性線維芽細胞増殖因子、形質転換増殖因子−β等);および受動免疫化、または外界抗原または病原体(例えば、ピロリ菌)に対する対象の保護を提供し、または癌、関節炎、または心血管疾患を治療するために、抗体(例えば、ヒトまたはヒト化);サイトカイン、インターフェロン(例えば、インターフェロン(IFN)、IFN−α2bおよび2α、IFN−αN1、IFN−β1b、IFN−γ)、インターロイキン(例えば、IL−1〜IL−10)、腫瘍壊死因子(TNF−αTNF−β)、ケモカイン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、ポリペプチドホルモン、抗菌性ポリペプチド(例えば、抗菌性、抗真菌性、抗ウイルス性、および/または抗寄生虫性ポリペプチド)、酵素(例えば、アデノシンデアミナーゼ)、ゴナドトロピン、ケモタクチン、脂質結合性タンパク質、フィルグラスチム(ニューポジェン)、ヘモグロビン、エリトロポエチン、インシュリノトロピン、イミグルセラーゼ,サルグラモスチム、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子(NGF)、トロンボポイエチン(TPO)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、アデノシンデアミナーゼ、カタラーゼ・カルシトニン、内皮、L−アスパラギナーゼペプシン、ウリカーゼ・トリプシン、キモトリプシン・エラスターゼ、カルボキシペプチダーゼ・ラクターゼ、スクラーゼ内因子、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)関連タンパク質、可溶性CD4、およびその抗体および/または抗原結合断片(例えば、FAb)(例えば、オルソクローンOKT−e(抗−CD3)、GPIIb/IIaモノクロナール抗体)が挙げられる。さらに、当該因子をコードする核酸を標的とする治療用RNAが考えられる。
【0209】
ある実施形態では、本発明は患者にワクチン接種する方法を提供する。方法は、望ましいエピトープを産生することのできる本発明の組成物を投与することを含む。好ましい実施形態では、組成物は、エピトープを含むタンパク質を発現することのできる治療用核酸構築物を含む。
【0211】
ある実施形態では、本発明は、美容使用にDD−キトサン核酸ポリプレックスを提供する。対象の化粧品は、美容使用に適した配合物にDD−キトサン核酸ポリプレックスを含む。
【実施例】
【0212】
二重に誘導体化されたキトサンの形成およびDNAポリプレックスの形成
【0213】
周知の方法に従い、キトサンをアルギニンおよびグルコン酸(DD−キトサン)で二重に誘導体化した。DD−キトサンを、分泌性アルカリホスファターゼ(SEAP)をコードするDNAベクターまたはルシフェラーゼsiRNAのいずれかでポリプレックス化した。
【0214】
DNAポリプレックスでのin vitro形質移入
【0215】
一般に、DD−キトサン核酸ポリプレックス製剤による293T細胞のin vitroの形質移入を、2段階:細胞を調製し、形質移入する、で実施した。
【0216】
細胞株の維持
【0217】
UBCのKieffer博士研究室の好意によって293T細胞株を受け、以下のように調製した。ヒト腎臓細胞をSV40 T抗原で形質転換し、10%のウシ胎児血清(FBS)およびペニシリン/ストレプトマイシンを含む高グルコースダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で増殖させ、80%コンフルエンシー未満に維持した。HT1080(ヒトの結合組織からの上皮細胞)およびHeLa(ヒト頸部上皮細胞)を、10%のFBSおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含むMEM(最小必須培地)で増殖させ、90%コンフルエンシー未満に維持した。VERO(サルの腎上皮細胞)を10%の熱失活したFBS(56℃で30分間)、1mMのピルビン酸ナトリウム、および500μg/mlのゲンタマイシンを含むDMEMで増殖し、90%コンフルエンシー未満に維持した。NIH3T3(マウスの胎仔線維芽細胞)を10%のFBSおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEMで増殖し、90%コンフルエンシー未満に維持した。
【0218】
形質移入のための細胞の調製
【0219】
形質移入のために細胞を以下のように調製した。形質移入の前日に、3mLの完全培地(高グルコースDMEM+10%FBS+ペニシリン/ストレプトマイシン)中の6ウェルの組織培養プレート(4.5x10
5細胞個/ウェル)に、293T細胞を加えた。形質移入の当日に、細胞を、リン酸緩衝塩類溶液(PBS)で1回洗浄し、0.5mLの0.05%トリプシンでトリプシン処理し、0.5mLの完全培地を加え、血球計数器を使用して10μLを計数することによって、2つの選択されたウェルについて細胞数を決定した。細胞が約50%コンフルエント(約7x10
5細胞個/ウェル)であるならば、形質移入を進めた。(細胞の密度が低いまたはコンフルエントすぎる場合は、形質移入を進めなかった。)同様に、形質移入の前日に、HeLa細胞を1x10
5細胞個/ウェル、一方、HT1080、NIH3T3およびVERO細胞を2x10
5細胞個/ウェルの密度で、3mlの個々の完全培地中に細胞を蒔き、次の日に約50%のコンフルエンシーで形質移入を完了した。
【0220】
細胞の形質移入
【0221】
形質移入を以下のように行った。最初に、各ウェルから培地を取り除き、各ウェルに1mLのOpti−mem(pH7.4)を加え、穏やかに旋回し、その後取り除いた。(細胞を除去しないように、6つのウェルを一度に洗浄した)。その後、細胞を除去しないように、別の1mLのOpti−mem(pH7.4)を各ウェルに注意深く加えた。次に、各ウェル(2μgのDNAの標的)にポリプレックス試料を加え、旋回し、37℃で2時間インキュベートした。インキュベーションの後、培地を取り除き、2mLの完全培地に交換し、37℃で再びインキュベートした。必要とされる時点で、上清を取り除き、次のSEAPアッセイのために−20℃で保管した。
【0222】
SEAPタンパク質アッセイ
【0223】
SEAP化学発光アッセイキットを使用して、SEAPアッセイを行った。アッセイのための全試薬を、使用前に25℃で30分間平衡化した。胎盤性アルカリホスファターゼを、0.1%のウシ血清アルブミンおよび50%のグリセロールを含むキットからの1X希釈緩衝液に、1mg/mLに溶解し、DMEMで、0.01pg/uLにまで10倍段階希釈することによって、アッセイ基準を調製した。基準および解凍した試料を、希釈緩衝液で4倍希釈し、65℃で30分間熱失活させ、氷上で2分間インキュベートし、遠心分離にかけ(室温で2分間、16100xrcf)、上清を新しい管に移動させた。25℃で5分間、平衡化した後、50uLの試料および基準をMicrolite−1プレートの各ウェルに、二つ組で加えた。不活化緩衝液(50uL)を各ウェルに加え、穏やかに上下にピペットし、泡を作ることなく混ぜ合わせ、5分間インキュベートした。5分間のインキュベーションの間に、1:19の比の基質/エンハンサー試薬を調製した。基質/エンハンサーを各ウェルに加え、20分間インキュベートし、その後、1秒の積分時間でルミノメーター(Lmax11384、Molecular Devices)中で、プレートを読んだ。
【0224】
SEAP mRNAアッセイ―定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Q−RT−PCR)
【0225】
様々な試料のSEAP mRNA発現の相対的な定量化をQ−RT−PCRによって決定した。端的に、全mRNAを抽出し、TRIzol試薬を使用して精製し、Superscript IIを使用してQ−RT−PCRを行った。SEAP遺伝子プライマーおよび蛍光プローブをPrimer Express(Version 1.5)(Applied Biosystems、フォスターシティー、カリフォルニア州)を使用して設計した。ABI7000配列検出システム(Applied Biosystems)を使用して、総体積が25μlの全ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。各反応混合物は、1xTaqMan Universal Master Mix、20μMの各プライマーおよび10μMのプローブを含んだ。10マイクロリットルの各相補的DNA(4.5〜45ngの逆転写全RNAと当量)を各PCR反応に使用した。PCRのプロセスは、50℃で2分間の最初のインキュベーション、次に、95℃で10分間のインキュベーション、95℃で15秒間、および60℃で1分間の40サイクルのPCRから構成された。各96ウェルのアッセイプレートは、負の逆転写酵素および負の相補的DNA対照を含む。結果は、ハウスキーピング遺伝子GAPDH(参照遺伝子)に正規化され、処理あり組織と処理なし対照組織の間の相対的標的遺伝子発現比として、表現された。方法はPfafflメソッドと呼ばれる(Pfaffl MW.Nucleic Acids Res(2001)29:e45)。
【0226】
細胞のsiRNAノックダウン形質移入
【0227】
最初に、宿主細胞にsiRNA/修飾−dd−キトサンポリプレックスを形質移入し、次に同宿主細胞にDNA/リポフェクタミン2000を形質移入することによって遺伝子発現のノックダウンを実施した。
【0228】
形質移入の前日、1mlの完全培地中の24ウェルのプレートに、9x10
4の293T細胞個/ウェルを蒔いた。形質移入の当日に、形質移入の前にOpti-memで(50%コンフルエントな)細胞を洗浄した。ウェル中の培地を取り除き、0.25mlのOpti−memを再度追加し、定位置で旋回し、次にOpti−memを取り除き、0.25mlの新鮮なOpti−memに交換することによって、細胞を洗浄した。siRNA形質移入は、200nMのsiRNA/修飾−キトサンポリプレックスを各ウェルに加え、5%のCO
2インキュベーター内、37℃でインキュベートすることによって行った。2時間後、Opti−memを取り除き、0.5mlの新鮮な完全培地に交換した。DNA形質移入は、0.4ugのルシフェラーゼ含有リポフェクタミン粒子を各ウェルに加え、5%のCO
2インキュベーター内、37℃でインキュベートすることによって行った。2時間後、培地を取り除き、0.5mlの新鮮な完全培地に交換し、細胞をインキュベーターに戻した。siRNAによる形質移入から48時間後に、ルシフェラーゼアッセイのために、細胞可溶化物を回収した。回収のために、細胞をダルベッコリン酸緩衝塩類溶液で洗浄し、EDTAのないプロテアーゼ阻害剤を含む500ulのGlo溶解緩衝液を加え、5分間のインキュベーション後に管に集め、直ぐにアッセイするか、または−80℃で保管した。
【0229】
ルシフェラーゼアッセイ
【0230】
Bright−Gloルシフェラーゼアッセイシステムを使用してルシフェラーゼアッセイを行った。Glo溶解緩衝液、Bright−Glo緩衝液およびアッセイのための試料を、使用前に室温に均衡化した。EDTAのないプロテアーゼ阻害剤を含む1XGlo溶解緩衝液および1mg/mlのBSA中のQuantiLum組換えルシフェラーゼ酵素を、90ng/mlに希釈し、次に30ng/mlに希釈し、10倍の段階希釈によって0.003ng/mlに希釈することによって、アッセイ基準を調製した。使用前に、少なくとも10分間、Bright−Glo基質をBright−Glo緩衝液で再構成し、Bright−Gloアッセイ試薬を作製した。100uLの試料および基準を、Microlite−1プレートの各ウェルに、二つ組で加えた。Bright−Gloアッセイ試薬(100uL)を各ウェルに加え、ルミノメーター中で2分間インキュベートし、1秒の積分時間で読んだ。
【0231】
動物
【0232】
動物実験のための手術プロトコルは、ブリティッシュコロンビア大学動物ケア委員会の承認を得た。動物の世話は、認定され訓練を受けたスタッフによって行われ、約8週齢の雌C57BL/6マウスをJackson Laboratory(バーハーバー、メイン州)から購入した。1ケージにつき2〜4個体のマウスを12時間の明/暗サイクルで収容し、順応させるために1週間与え、および齧歯動物用の食物(Research Diets Inc.、ニューブランズウィック、ニュージャージー州)および水を自由に与えた。マウスは、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)の生理学研究室の動物用施設に収容した。
【0233】
マウスの結腸の形質移入
【0234】
未処置のC57BL/6マウスに麻酔をかけ(1.5〜2.0%イソフルラン吸入剤、Baxter CA2L9108)、官能性をもたせたDD−キトサン−DNAポリプレックス、またはgWiz−SEAPプラスミドを0.25mg/mL保有する非官能性キトサン−DNAポリプレックスを1回の浣腸で送達した。2日後、マウスを屠殺し、組織を回収した。
【0235】
in vivoマウスの形質移入:筋肉へのポリプレックス送達
【0236】
マウスの筋肉にマーカーを送達するために、SEAP発現ベクターを含むDD−キトサン−DNAポリプレックスを内側膝腱に注射することによって投与した。マウスに麻酔をかけ、50uLのポリプレックスをシリンジによって注射した。様々な時点で、マウスを屠殺し、その筋肉組織を回収し、SEAPのmRNA発現の処理をおこなった。対照としてDNAを単独で注射した。
【0237】
DD−キトサン−核酸ポリプレックスの凍結乾燥および水による再構成
【0238】
−80℃で凍結したDD−キトサン−核酸ポリプレックス(各280uL)を、事前に冷却した容器に入れた。容器を凍結乾燥器(SAVANT−Modulyo D)に接続した。ポリプレックスを、5torrの一定圧力下で、−40℃未満で、28時間超凍結乾燥した。凍結乾燥の後、次の実験のために、DD−キトサン−核酸ポリプレックスを水で元来の濃度に再構成した。
【0239】
結果
【0240】
図2〜4、および7は、グルコン酸のみ(
図2A)、アルギニンのみ(
図2B)、またはアルギニンのみ若しくはグルコン酸のみで誘導体化されたキトサンと比較して、グルコン酸とアルギニンの両方で二重に誘導体化されたキトサン(
図3および7)の形質移入の効果を示す。
図3および7は、キトサンをアルギニンとグルコン酸の両方で二重に誘導体化するときの相乗効果を示す。キトサンを最終の官能基化度が26%のアルギニン、および最終の官能基化度が3%〜9%のグルコン酸(グルコン酸の最終の官能基化度が5%であるときに最も大きな効果が見られたが)で二重に官能基化するときに、相乗効果を認めることができる(
図4;アルギニンおよびグルコン酸の最終の官能基化度がそれぞれ26%と6%で、二重に誘導体化されたキトサンの相乗効果を示す
図7も参照のこと)。
図5および6は、ポリプレックス製剤のN/P比およびpHの導入効率に及ぼす効果をそれぞれ示す。試験したN/P比の全てで、二重に誘導体化されたキトサンは、アルギニンのみで誘導体化されたキトサンより導入効率が高かったが、(1)アルギニンのみ、または(2)アルギニンおよびグルコン酸で誘導体化された両キトサンの導入効率は、N/P比に直接的に相関した(
図5)。対照的に、pHは導入効率に影響しなかった(
図6)。siRNA(
図11)およびin vivo(
図9〜10)について、様々なex vivoの細胞株で、相乗効果を認めることもできる。DD−キトサン−DNAポリプレックスの筋肉内送達は、結果として、in vivoの筋肉細胞内のSEAP mRNA発現を有意に増加させた(
図9)。さらに、処置を受けたマウスの結腸組織中のSEAP mRNAが、未処置のマウスより相対的に増加することが示される(
図10)。凍結および凍結乾燥されたDD−キトサン−核酸ポリプレックスは、室温で3ヵ月間保管後に、物理化学的特性に安定性を示した。これらのポリプレックスは、一晩中インキュベーションを行い水で再構成した後にも安定性を保持した(
図12)。
【0241】
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【0242】
本明細書で参照された特許および特許刊行物は全て、参照により取り込まれる。
【0243】
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