(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-512929(P2015-512929A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/167 20060101AFI20150403BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20150403BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20150403BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20150403BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20150403BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20150403BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20150403BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20150403BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20150403BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20150403BHJP
【FI】
A61K31/167
A61K31/58
A61K9/72
A61K9/12
A61K9/14
A61K47/26
A61K47/10
A61K45/00
A61P11/06
A61P11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-505012(P2015-505012)
(86)(22)【出願日】2013年4月10日
(85)【翻訳文提出日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】GB2013000161
(87)【国際公開番号】WO2013153349
(87)【国際公開日】20131017
(31)【優先権主張番号】1179/MUM/2012
(32)【優先日】2012年4月11日
(33)【優先権主張国】IN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】511109180
【氏名又は名称】シプラ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186819
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 俊尚
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】プランダレ,シュリニバス
(72)【発明者】
【氏名】マルホトラ,ゲエナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA24
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4C206NA05
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4C206ZA59
(57)【要約】
本発明は、アルホルモテロールとフロ酸フルチカゾンを含む医薬組成物(好ましくは一日一回の投与)、そのような組成物の調製方法、並びに、呼吸器疾患、炎症性疾患、または閉塞性気道疾患の治療及び/または予防のためのそのような組成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルホルモテロール及びフロ酸フルチカゾンを含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物の一回の投薬が、約2マイクログラムから約10マイクログラムの前記アルホルモテロールを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物の一回の投薬が、約25マイクログラムから約800マイクログラムの前記フロ酸フルチカゾンを含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記フロ酸フルチカゾンに対する前記アルホルモテロールのモル比が、約1:10から1:100である、請求項1、2または3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
さらに1以上の薬学的に許容される担体及び/または添加剤を含む、先行する請求項のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物は吸入に適した形態である、先行する請求項のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項7】
鼻腔スプレー、点鼻薬、吸入液、または吹送パウダーの形態での吸入用の組成物として、もしくは定量吸入器(MDI)、ドライパウダー吸入器(DPI)、または噴霧器からの吸入用の組成物として処方される、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物は、定投薬量吸入器(MDI)での使用に適した形態である、先行する請求項のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項9】
噴霧剤をさらに含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
共溶媒、酸化防止剤、界面活性剤、増量剤、pH調整剤、及び潤滑剤、またはこれらの配合から選択された添加剤をさらに含む、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物はドライパウダー吸入器(DPI)での使用に適した形態である、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項12】
ドライパウダーを吸入する処方で使用するのに適した少なくとも1つの薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記担体が、糖及び/または糖アルコール、もしくはそれらの配合を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物は、鼻腔スプレー、点鼻薬、または吸入液での使用に適した形態である、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項15】
薬学的に許容される媒体中に、湿潤剤、浸透圧剤、等張化剤、pH調節剤、緩衝剤、錯化剤、またはこれらの配合から選択された添加剤をさらに含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記医薬組成物は、一日一回の投与に適した形態である、先行する請求項のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項17】
抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、またはロイコトリエンアンタゴニストから選択された1以上の付加的な活性剤をさらに含む、先行する請求項のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項18】
アルホルモテロールとフロ酸フルチカゾンとの配合を、1以上の薬学的に許容される任意の担体及び/または添加剤と供に含む、先行する請求項のいずれか一つに記載の医薬組成物の調製方法。
【請求項19】
請求項1乃至17のいずれか一つに記載の医薬組成物の投与を含む、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または関連障害を治療または予防する方法。
【請求項20】
ぜんそく、COPD、または関連障害の治療または予防に使用する、請求項1乃至17のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項21】
請求項1乃至17のいずれか一つに記載の医薬組成物の使用であって、
ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または関連障害の治療または予防のための医薬組成物の使用。
【請求項22】
前記実施例に記載された医薬組成物。
【請求項23】
前記実施例に記載された医薬組成物の作製方法。
【請求項24】
前記実施例に記載された、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、または関連障害を治療または予防する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入コルチコステロイド(inhaled corticosteroid)及びβ−アゴニスト(β-agonist)を含んでなる(comprising)吸入(inhalation)用の医薬組成物(pharmaceutical compositions)、及びその組成物の調製方法に関する。さらに本発明は、呼吸器疾患、炎症性疾患、または閉塞性気道疾患(respiratory, inflammatory or obstructive airway disease)の治療及び/または予防におけるこの医薬組成物の使用、並びにこれを用いた治療方法(methods of treatment)に関する。
【背景技術】
【0002】
ぜんそく(asthma)は、患者数が世界中で推計3億人、その疾患による毎年の死亡者が25万人と、慢性的な罹患及び死亡の主な原因となっている。ほとんどの国であらゆる年齢の人々が、この慢性疾患に冒されている。
【0003】
ぜんそくは、喘鳴(wheezing)、息切れ(breathlessness)、胸部圧迫感(chest tightness)、及び咳嗽(coughing)の再発性発作(recurrent episodes)に至る気道過敏反応性を伴う気道の慢性炎症性障害(inflammatory disorder)である。急性ぜんそくは、その病態生理(pathophysiology)の大部分が炎症反応(inflammatory response)の増加であり、その定期的な予防的治療が非常に重要である。
【0004】
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)(COPD)は、世界中で有病者が増加しつつある深刻な呼吸器状態である。インドでは、推計の有病者は約1236万人である。
【0005】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、完全には治癒しない気流制限(air flow limitation)を特徴とする予防可能な且つ治療可能な病態である。気流閉塞(airflow obstruction)は、通常は進行性であり、主にタバコの喫煙に起因する有害な粒子やガスに対する肺の異常な炎症反応に関連する。COPDは、肺に影響を及ぼすのだが、全身にも重大な結果をもたらす。COPDは、粘液分泌過多(mucus hyper secretion)、肺気腫(emphysema)、及び細気管支炎(bronchiolitis)に関連する。
【0006】
現在、COPD及びぜんそくの治療または予防のための治療法(therapy)には、気管支拡張剤(bronchodilators)及びステロイドの使用が含まれる。
【0007】
より具体的には、ぜんそく、COPD及び他の関連障害は、気管支拡張効果が得られるβ
2−アゴニストで治療することにより、息切れの症状が緩和されることが知られている。β
2−アゴニストは、ぜんそく症状を即座に緩和する短時間作用型(short acting)にも、ぜんそく症状を長期間予防するための長時間作用型(long acting)にもなり得る。
【0008】
長時間作用型β
2−アゴニスト(long acting β
2-agonists)は、ぜんそく及びCOPDの患者の肺機能を改善し、症状を軽減し、運動誘発性の呼吸困難(exercise-induced dyspnea)から保護する。長時間作用型β
2−アゴニストは、気道平滑筋(airway smooth muscle)の弛緩を長引かせることにより、気管支拡張を誘発する。長時間に及ぶ気管支拡張に加えて、長時間作用型β
2−アゴニスト(LABAs)は、粘液線毛輸送機能(mucociliary transport)の刺激、呼吸器粘膜の細胞保護作用(cytoprotection of the respiratory mucosa)、及び好中球動員(neutrophil recruitment)、活性化の減衰のような非平滑筋効果(non smooth-muscle effects)のみならず、気道平滑筋細胞増殖(airway smooth-muscle cell proliferation)及び炎症性メディエータ放出(inflammatory mediator release)の抑制のような他の効果を発揮する。
【0009】
さらに、長時間作用型β
2−アゴニストの使用は、薬物投与(administration)の回数を減らす。
【0010】
現在入手可能な長時間作用型β
2−アゴニスト(LABAs)には、サルメテロール(salmeterol)及びホルモテロール(formoterol)が含まれる。
【0011】
β
2−アゴニストが気管支収縮の症状緩和をもたらすことが知られているにも拘わらず、他のぜんそくの構成要素は、炎症であり、ステロイドのような別の治療を必要とする。ほとんどの吸入コルチコステロイドは、複合的な投薬計画(dosage regimens)の中で投与(administered)する必要がある。
【0012】
コルチコステロイドは、呼吸器障害の病因に含まれる炎症細胞及び炎症性メディエータに対して抑制効果を示す。コルチコステロイド/グルココルチコイド(glucocorticoid)による治療は、しつこいぜんそくに現在利用できる最も強力で効果的な療法の一つと考えられている。
【0013】
しかしながら、コルチコステロイドの使用は、潜在的な副作用のために制限されている。コルチコステロイドについて一般的に懸念される副作用には、視床下部−下垂体−副腎(HPA)軸の抑圧[suppression of Hypothalamic-Pituitary-Adrenal(HPA)axis]、児童の骨成長及び高齢者の骨密度への影響、眼性合併症(ocular complications)(白内障及び緑内障の発症)、並びに皮膚萎縮(skin atrophy)が含まれる。
【0014】
現在利用できるコルチコステロイドには、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ブデソニド(budesonide)、フルチカゾン(fluticasone)、モメタゾン(mometasone)、シクレソニド(ciclesonide)、及びトリアムシノロン(triamcinolone)が含まれる。
【0015】
現在、承認された、長時間作用型β
2−アゴニスト(LABA)と吸入コルチコステロイド(ICS)の配合がいくつか存在する。ぜんそく及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のために承認された配合(combinations)は、サロメテロール(salmeterol)/プロピオン酸フルチカゾン(アドベアディスカス、アドベアHFA)[fluticasone propionate(Advair diskus, Advair HFA)]、及びフマル酸ホルモテロール二水和物(formoterol fumarate dihydrate)/ブデソニド[シンビコート(Symbicort)]である。
【0016】
ぜんそく及びCOPDのような呼吸器障害に冒された患者に対する吸入コルチコステロイド(ICS)単独の大量投薬(higher doses)に比較すると、長時間作用型β
2−アゴニスト(LABA)の吸入コルチコステロイド(ICS)との併用療法(Combination therapy)は、肺の効率を改善し、炎症反応を減少させ、且つ症状の緩和をもたらす。
【0017】
加えて、これは治療法を単純化し、コストを削減し、かつ呼吸器障害の抑制ももたらす。
【0018】
US6030604には、グルココルチコイド(glucocorticoids)とβ
2−アゴニストとを含んでなるドライパウダー組成物が開示されている。
【0019】
WO0178745には、ホルモテロールとプロピオン酸フルチカゾンと配合を含む組成物が開示されている。
【0020】
US7172752には、予め決められた一定比率のβ
2−アゴニストとグルココルチコイドの配合を含んでなる吸入粒子が開示されている。
【0021】
WO02083113には、薬理学的に適切な流体中にホルモテロールとステロイド性抗炎症剤(anti-inflammatory agent)とを含んでなる医薬組成物が開示されている。
【0022】
WO2004028545には、線維性疾患の治療における長時間作用型β
2−アゴニストとグルココルチコイドの配合が開示されている。
【0023】
US2005053553には、ホルモテロールとフルチカゾンとを複合投薬(combined doses)を有する定量ドライパウダーの吸入による投与の方法が開示されている。
【0024】
なお、上述の先行技術はいずれも、アルホルモテロール(Arformoterol)とフロ酸フルチカゾン(Fluticasone furoate)の具体的な配合を開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
長時間作用型β
2−アゴニスト(LABA)の吸入コルチコステロイド(ICS)との利用可能な配合のほとんどは、一日二回投与しなければならない。
【0026】
患者コンプライアンス(patient compliance)の観点から、治療には、別々の投薬計画、別々の投与回数等々の順守を患者に要求することになる。
【0027】
コンプライアンスを向上するための取り組みとして主に、薬品包装の単純化、有効な薬品の助言(providing effective medication reminders)、患者指導の改善(improving patient education)、及び、同時に処方する薬品数の制限(limiting the number of medications prescribed simultaneously)が行われている。
【0028】
したがって、呼吸器障害の治療のためのアルホルモテロール及びフロ酸フルチカゾンの効果的な配合を投与することによる投薬計画を単純化する医薬組成物を処方する必要性が今なお残っている。
【0029】
[発明の目的]
本発明の目的は、呼吸器疾患、炎症性疾患または閉塞性気道疾患の予防または治療において投与する長時間作用型β
2−アゴニスト(LABA)及び吸入コルチコステロイド(ICS)を含んでなる医薬組成物を提供することにある。
【0030】
本発明の他の目的は、呼吸器疾患、炎症性疾患または閉塞性気道疾患の予防または治療のために一日一回投与する長時間作用型β
2−アゴニスト(LABA)及び吸入コルチコステロイド(ICS)を含んでなる医薬組成物を提供することにある。
【0031】
本発明のさらに他の目的は、呼吸器疾患、炎症性疾患または閉塞性気道疾患の予防または治療において投与する長時間作用型β
2−アゴニスト(LABA)及び吸入コルチコステロイド(ICS)を含んでなる医薬組成物の調整方法を提供することにある。
【0032】
本発明のさらなる目的は、長時間作用型β
2−アゴニスト(LABA)及び吸入コルチコステロイド(ICS)含んでなる医薬組成物の投与を含む方法であって、ぜんそく、COPDまたは関連する呼吸器障害を治療または予防する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0033】
[発明の概要]
本発明の一側面によれば、アルホルモテロール(arformoterol)及びフロ酸フルチカゾン(fluticasone furoate)を含んでなる医薬組成物(pharmaceutical composition)が提供される。
【0034】
本発明の他の側面によれば、一日一回投与(administration)するためのアルホルモテロール及びフロ酸フルチカゾンを含んでなる医薬組成物が提供される。
【0035】
本発明のさらに他の側面によれば、医薬組成物の調製方法が提供される。この方法は、アルホルモテロール及びフロ酸フルチカゾンの配合を含んでなり、選択的に1以上の薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)担体(carriers)または添加剤(excipients)を伴う。
【0036】
本発明のさらに他の側面によれば、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または関連障害を治療または予防する方法が提供される。この方法は、本発明による医薬組成物の、それを必要とする患者への投与を含んでなる。
【0037】
本発明のさらなる側面によれば、ぜんそく、COPDまたは関連障害の治療または予防で使用するために本発明の医薬組成物が提供される。
【0038】
本発明のさらなる側面によれば、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)(COPD)または関連障害の治療(treatment)または予防(prevention)のために本発明の医薬組成物の使用が提供される。
【0039】
[発明の詳細な説明]
長時間作用型β−アゴニスト(LABA)及び吸入コルチコステロイド(ICS)を伴う薬物療法(Drug therapy)は、ぜんそく(asthma)及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような呼吸器疾患、炎症性疾患または閉塞性気道疾患の予防または治療に推奨される。
【0040】
また、異なる回数の薬物投与(drug administration)のみならず、さまざまな異なる投薬計画を単純化する必要である。
【0041】
さらに、長時間作用型β
2−アゴニスト(LABA)及び吸入コルチコステロイド(ICS)の配合の選択は、両方の薬物とも一日一回投与できるので、重大である。長時間作用型β
2−アゴニスト(LABA)は一日一回の投与が必要となり、吸入コルチコステロイド(ICS)は一日二回の投与が必要となる治療方法(treatment method)は、日に一度の治療という目的にそぐわないため、有効ではないだろう。
【0042】
さらに、反応状態を予防するために一日一回投与することができる組成物であり、また、長時間作用型β−アゴニスト(LABA)及び吸入コルチコステロイド(ICS)の投与によって、反応状態を予防し、改善し、また除去する組成物を処方する必要がある。
【0043】
フロ酸フルチカゾンに配合したアルホルモテロールが、投薬投与(dosage administration)の回数を減らしながら、呼吸器障害を緩和することが意外にも見出された。
【0044】
したがって本発明は、投薬投与の回数を減らしながら、呼吸器疾患、炎症性疾患、または閉塞性気道疾患の予防または治療のためのフロ酸フルチカゾンに配合したアルホルモテロールを含んでなる吸入(inhalation)用の新規な配合を提供するものである。
【0045】
「アルホルモテロール」の用語は、「アルホルモテロール」そのものだけでなく、その薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)塩、薬学的に許容される溶媒和物、薬学的に許容される水和物、薬学的に許容されるエナンチオマー、薬学的に許容される誘導体、薬学的に許容されるエステル、薬学的に許容される多形体、薬学的に許容されるプロドラッグ、薬学的に許容される錯体、薬学的に許容される共結晶等々も含む広義の意味で使用されている。アルホルモテロールの塩は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、及びp−トルエンスルホン酸などの酸の付加塩(acid addition salts)を含む。好ましくは、本発明で使用されるアルホルモテロールの塩は、酒石酸アルホルモテロール、またはフマル酸アルホルモテロールであり、特にフマル酸アルホルモテロールの二水和物である。
【0046】
アルホルモテロールは、ホルモテロールの活性(R,R)エナンチオマーである。これは、早期に作用を発現(rapid onset)し、且つ長時間作用する(longer duration of action)する。さらに、アルホルモテロールはラセミホルモテロール[(S,S)と(R,R)の両方のエナンチオマーを含む]の二倍の効能(two-fold greater potency)を有する。アルホルモテロールは、β
1−アドレナリン受容体(β
1-adrenergic receptors)に対する効果をほとんどまたは全く有しないようである。
【0047】
「フロ酸フルチカゾン」の用語は、「フロ酸フルチカゾン」そのものだけでなく、その薬学的に許容される塩、薬学的に許容される溶媒和物、薬学的に許容されるエナンチオマー、薬学的に許容される水和物、薬学的に許容される誘導体、薬学的に許容される多形体、薬学的に許容されるプロドラッグ、薬学的に許容される錯体、薬学的に許容される共結晶等々も含む広義の意味で用いられる。
【0048】
フルチカゾンは現在、フロ酸エステル及びプロピレン酸エステルとして入手可能である。フロ酸フルチカゾンは、実質的に、従来のコルチコステロイドの使用により通常生じる潜在的な副作用(potential side effects)を克服したコルチコステロイドである。その上、フロ酸フルチカゾンは、プロピオン酸フルチカゾンに比べて、1.7倍高いヒトグルココルチコイド受容体に対する結合親和性(binding affinity)を示す。
【0049】
フロ酸フルチカゾンは、排出半減期(elimination half life)が15.1時間と、長時間作用する。アルホルモテロールは、長時間作用し、また早期の作動発現を示す。
【0050】
フロ酸フルチカゾン及びアルホルモテロールは、補完的な作用を示すぜんそくの2つの異なる構成要素に対して主に作用する。一般に、ぜんそくと関連付けられている慢性の炎症は、気管支平滑筋(bronchial smooth muscle)の異常のような、ぜんそくの他の側面をアルホルモテロールによって改善しながら、フロ酸フルチカゾンにより制御される。
【0051】
それゆえ、フロ酸フルチカゾンのアルホルモテロールの配合は、ぜんそく及びCOPDの患者に対する一日一回の投与という利便性を有する新規な配合を提供するものである。
【0052】
さらに、アルホルモテロールによる配合の効果の早期の発現は、患者の治療に対する信頼性を向上させ、よって治療法におけるコンプライアンスを改善することができる。
【0053】
本発明によれば、一度の投薬(single dose)に、アルホルモテロールを約2マイクログラム(mcg)から約10マイクログラム含めることができ、好ましくは約3マイクログラムから約9マイクログラム含めることができる。一度の投薬には、約3マイクログラム、約5マイクログラム、約7マイクログラム、または約9マイクログラムのアルホルモテロールを含めてもよい。
【0054】
本発明によれば、一度の投薬には、フロ酸フルチカゾンを約25マイクログラムから約800マイクログラム含めることができ、好ましくは約50マイクログラムから約400マイクログラム含めることができる。一度の投薬には、約27.5マイクログラム、約50マイクログラム、約100マイクログラム、約125マイクログラム、約200マイクログラム、約250マイクログラム、または400マイクログラムを含んでいてもよい。
【0055】
本発明の組成物が一日に一回投与される実施の形態では、一度の投薬で一日分の投薬ができる。代案として、一日の投薬が組成物の複数回の投薬、例えば二回の投薬を含むようにしてもよく、これは一日一回の投与の場合には同時に服用することができ、あるいは一日一回以上の投与の場合には違う時に服用することもできる。
【0056】
一度の投薬が一日一回の投薬を提供する実施の形態では、一日一回の投薬には5マイクログラムのフロ酸フルチカゾンと50マイクログラムのアルホルモテロールとを含めてもよく、5マイクログラムのフロ酸フルチカゾンと125マイクログラムのアルホルモテロールとを含めてもよく、あるいは10マイクログラムのフロ酸フルチカゾンと250マイクログラムのアルホルモテロールとを含めてもよい。
【0057】
本発明の組成物中のフロ酸フルチカゾンに対するアルホルモテロールのモル比は、好ましくは約1:10から1:100であり、好ましくは1:15から1:70である。
【0058】
医薬組成物は、単一の薬剤(medicament)として投与するのに適した形態にしてもよい。
【0059】
本発明の医薬組成物は、1以上の薬学的に許容される添加剤を伴うアルホルモテロールとフロ酸フルチカゾンとを含むようにしてもよい。
【0060】
本発明の医薬組成物は、呼吸器系(respiratory tract)への薬物送達に使用するのに適したあらゆる方法により投与することができる。したがって、本発明の組成物は、吸入(inhalation)に適した形態とすることができる。それゆえ、この医薬組成物は、定投薬量吸入器(metered dose inhalers)(MDI)、ドライパウダー吸入器(dry powder inhalers)(DPI)、噴霧器(nebulisers)などからの吸入用の組成物として処方することができる。または、この医薬組成物は、鼻腔スプレー(nasal spray)、点鼻薬(nasal drops)、吸入液(respules)、吹送パウダー(insufflation powders)等の形態の吸入用組成物として処方することができる。「吸入液」は、噴霧器での使用に適した投薬形態であり、吸入液は液体形態の薬物が収容されたアンプルである。吸入液、鼻腔スプレー及び点鼻薬は、吸入溶液または吸入懸濁液の形態で本発明の医薬組成物を含んでいてもよい。
【0061】
本発明によるさまざまな投薬形態は、これを処方するのに適した担体/添加剤を含んでいてもよい。
【0062】
定投薬量吸入器は、本発明によれば、HFC/HFA噴霧剤(propellant)、共溶媒(co-solvent)、増量剤(bulking agent)、不揮発性成分、バッファー/pH調整剤(pH adjusting agent)、界面活性剤(surfactant)、保存剤(preservatives)、錯化剤(complexing agents)、またはこれらの配合のような、1以上の薬学的に許容される添加剤を含んでいてもよい。
【0063】
噴霧剤は、共溶媒と混合されている場合、治療的に有効な量の薬剤を溶解することのできる均一噴霧剤システム(homogeneous propellant system)を形成するものである。HFC/HFA噴霧剤は、毒物学的に安全(toxicologically safe)でなければならず、且つ加圧されたMDIを通じて薬剤を投与できる適当な蒸気圧を有していなければならない。
【0064】
本発明によれば、HFC/HFA噴霧剤には、1以上の1,1,1,2−テトラフルオロエタン[HFA−134(a)]と、1,1,1,2,3,3,3,−ヘプタフルオロプロパン(HFA−227)、HFC−32(ジフルオロメタン)、HFC−143(a)(1,1,1−トリフルオロエタン)、HFC−134(1,1,2,2−テトラフルオロエタン)、及びHFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)等、またはこれらの配合、並びに当業者に知られているその他の噴射剤が含まれている。
【0065】
共溶媒は、所望の量の組成物中で混和できる溶媒であり、添加した際に薬剤を溶解させることができる組成物を提供する。共溶媒には、組成物中の薬剤及び添加剤の溶解度を増加させる機能がある。
【0066】
本発明によれば、共溶媒には、限定されないが例えばエチルアルコール及びイソプロピルアルコールのようなC
2〜C
6脂肪族アルコール;限定されないが例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、オキシエチレン、及びオキシプロピレンのブロック共重合体のようなグリコール;及び限定されないが例えばグリセロール、ポリオキシエチレンアルコール及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルのような他の物質;限定されないが例えばn−プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、及びn−ヘキサンのような炭化水素;及び限定されないが例えばジエチルエーテル等のようなエーテル、並びにこれらの配合のうち、1つ以上が含まれる。
【0067】
適当な界面活性剤は、組成物の溶解性の安定、及び定投薬量吸入器の弁機構の性能の向上に役立つ本発明の組成物のエアロゾル溶解液中で用いることができる。
【0068】
本発明によれば、界面活性剤には、限定されないがオレイン酸、トリオレイン酸ソルビタン、レシチン、ミリスチン酸イソプロピル(isopropylmyristate)、チロキサポール(tyloxapol)、ポリビニルピロリドン、ポリソルベート80のようなポリソルベート(polysorbate)、ビタミンE−TGPS、ヒドロキシステアリン酸−15−マクロゴールのようなヒドロキシステアリン酸マクロゴール(macrogol hydroxystearates)等、またはこれらの配合のうち、1以上のイオン性及び/または非イオン性の界面活性剤が含まれる。
【0069】
不揮発性成分は、溶媒の蒸発後に残る全ての懸濁成分または溶解成分である。
【0070】
本発明によれば、不揮発性成分には、限定されないが例えばグルコース、アラビノースのような単糖類、及びラクトース、マルトースのような二糖類;オリゴ糖や限定されないが例えばデキストランのような多糖類を含む糖類(saccharides);限定されないが例えばグリセロール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール等、またはこれらの配合のような多価アルコール;及び/または限定されないが例えば塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、及び塩化カルシウム等、またはこれらの配合のうち、1以上が含まれる。
【0071】
適当な増量剤は、本発明の組成物の定投薬量吸入において用いることができる。
【0072】
本発明によれば、増量剤には、単糖類、二糖類、多糖類を含む糖類、及びアラビノース、グルコース、フルクトース、リボース、マンノース、スクロース、トレハロース(terhalose)、ラクトース、マルトース、でんぷん、デキストラン、またはマンニトール等のような糖アルコール、またはこれらの配合のうち、1以上が含まれている。
【0073】
適当なバッファーまたはpH調整剤は、本発明の組成物の定投薬量吸入において用いることができる。
【0074】
本発明によれば、バッファーまたはpH調整剤には、限定されないが例えばクエン酸、アスコルビン酸、塩酸、硫酸、硝酸、またはリン酸等、またはこれらの配合のうち、1以上が含まれる。
【0075】
適当な保存剤は、本発明の組成物のエアロゾル溶解液中で用いられて、病原菌による汚染からこの組成物を保護してもよい。
【0076】
本発明によれば、保存剤には、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)、安息香酸、安息香酸ナトリウムのような安息香酸エステル等、またはこれらの配合、及び当業者に知られている他の保存剤のうち、1以上が含まれる。
【0077】
適当な錯化剤は、本発明の組成物のエアロゾル溶解液中で用いられて、錯体結合を形成することができる。
【0078】
本発明によれば、錯化剤には、限定されないがEDTAナトリウムまたはEDTA二ナトリウム等、またはこれらの配合のうち、1以上が含まれる。
【0079】
また、本発明の医薬組成物は、ドライパウダー吸入器(DPI)により投与されてもよい。
【0080】
本発明によるドライパウダー吸入に適当な薬学的に許容される添加剤は、限定されないが、グルコース、サッカロース、ラクトース及びフルクトースのような糖類、でんぷん、またはでんぷん誘導体、デキストリンのようなオリゴ糖、シクロデキストリン、及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、タイロース(tylose)、ケイ酸、セルロース、セルロース誘導体(例えばセルロースエーテル)、マンニトール若しくはソルビトールのような糖アルコール(sugar alcohols)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等々、ラクトース、ラクチトール、デキストレート、デキストロース、マルトデキストリン、単糖類、二糖類、及び多糖類を含む糖類;ステアリン酸マグネシウム、グリシン、クエン酸ナトリウム、アラビノース、リボース、マンノース、スクロース、トレハロース、マルトース、デキストランのような糖アルコール等、またはこれらの配合を含む、適当な担体から選択される。
【0081】
本発明の医薬組成物は、噴霧器を使用しても同様に投与することができる。
【0082】
噴霧は、呼吸器系の内部に直接薬剤を送達できまたは付着させ、且つ、ゆえに薬物濃度を高くすることができる安全な治療法である。噴霧は、使用が容易であり、調整や多くの手間を必要としない。また、これは口から服用する薬剤よりもはるかに速やかに効き目がある。
【0083】
医薬組成物が、鼻腔スプレー、点鼻薬、または吸入液の形態で吸入用に処方された実施の形態では、この組成物には、例えば湿潤剤(wetting agents)、浸透圧剤(osmotic agents)、等張化剤(tonicity agents)、pH調節剤(pH regulators)、緩衝剤(buffering agents)、錯化剤(complexing agents)等、またはこれらの配合である適当な添加剤が、限定されないが例えば水や生理食塩水等の適当な媒体(vehicle)中に含まれる。
【0084】
使用できる等張化剤には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム等、またはこれらの配合が含まれる。他の等張化剤には、限定されないが、マンニトール、グリセロール、及びデキストロース等、またはこれらの配合が含まれる。
【0085】
pHは、薬理学的に許容される酸の添加により調整してもよい。薬理学的に許容される(Pharmacologically acceptable)無機酸または有機酸はこの目的のために使用される。好ましい無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、及びリン酸からなる群から選択される。特に適当な有機酸の例は、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸、及びプロピオン酸等、またはこれらの配合からなる群から選択される。
【0086】
本発明による錯化剤には、エデト酸(EDTA)、またはその公知の塩の一つ、例えばEDTAナトリウム、もしくはEDTA二ナトリウム二水和物(エデト酸ナトリウム)等、またはこれらの配合が含まれる。
【0087】
抗菌性の保存剤は、複数回投薬のパッケージに添加されていてもよい。
【0088】
本発明による組成物は、含有された組成物が呼吸器系への送達/付着を可能にする手段を備えた適当な容器(containers)に詰めてもよい。
【0089】
DPIにより送達させようとする吸入用のパウダーは、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のカプセル、またはブリスター(blisters)中に封入され、あるいは別案として、ドライパウダー吸入器の一回の投薬分または複数回投薬分のドライパウダーを貯留槽(reservoir)に充填してもよい。
【0090】
代案として、DPIにより送達させようとする吸入用のパウダーは、適当な液体の媒体中で懸濁され、適当な噴霧剤またはその混合物と共にエアロゾル容器中に詰めてもよい。
【0091】
さらに、DPIにより送達させようとする吸入用のパウダーは、また、適当なガス流中に分散して、エアロゾル組成物を形成するようにしてもよい。
【0092】
本発明によるMDI組成物は、普通のアルミニウム缶またはSS(ステンレス鋼)缶に詰めることができる。いくつかのエアロゾル薬剤は、内面、すなわち缶の壁面及びMDIの弁に付着しやすい。この缶は、患者に対し、MDIの作用ごとに、活性剤(active agent)の処方量(prescribed amount)よりも著しく少なくできる。適当なポリマーにより容器の内面の一部または全部をコーティングすると、この付着の問題を軽減することができる。適当なコーティングには、FEP−PES(フッ素化エチレンプロピレンとポリエーテルスルホン)、及びPEA−PES(パーフロロアルコキシアルカンとポリエーテルスルホン)、エポキシとエチレンのようなフルオロカーボン共重合体が含まれる。別案として、缶の内面は、陽極酸化(anodized)され、プラズマ処理され、またはプラズマ被覆されていてもよい。
【0093】
本発明によれば、この医薬組成物は、さらに、抗コリン薬(anticholinergics)、抗ヒスタミン薬(antihistamines)、抗アレルギー薬(antiallergics)、またはロイコトリエンアンタゴニスト(leukotriene antagonist)等、またはこれらの配合、もしくはこれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、誘導体、エナンチオマー、異性体、水和物、プロドラッグ、またはこれらの多形体から選択された、さらに1以上の活性剤(active)が含まれることは、当業者に広く知られている。
【0094】
また、本発明は、本発明による組成物を製造する方法を提供する。
【0095】
本発明は、定投薬量吸入用の組成物を調製する方法を提供する。この方法には、薬学的に許容される担体または添加剤を活性剤及び噴霧剤と配合すること、及びクリンプする前の缶(precrimped cans)にこの組成物供給することが含まれている。
【0096】
また、本発明は、ドライパウダー吸入組成物を調製する方法を提供する。この方法には、薬学的に許容される担体または添加剤を活性剤と配合すること、及びドライパウダー吸入器内にこの組成物を供給することが含まれている。
【0097】
また本発明は、ぜんそく、COPD、または関連障害の治療または予防の方法を提供する。治療の方法には、本発明による薬学的な組成物を必要とする患者への、その組成物を投与することが含まれている。患者は、ヒトのようなほ乳類である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
以下の実施例は、発明の説明のみを目的とするもので、本発明の範囲を制限するいかなる方法も意図するものではない。
【0100】
方法:
1)フロ酸フルチカゾンと酒石酸アルホルモテロールを、一部量のHFAと供に均質化した。
【0101】
2)ステップ(1)で得られた懸濁液を混合容器(mixing vessel)に移し、HFAの残量を加えた。
【0102】
3)生じた懸濁液を混合し、環流して、クリンプする前の(pre-crimped)アルミニウム缶に充填した。
【0104】
方法:
1)フロ酸フルチカゾンと酒石酸アルホルモテロールを、ラクトース及び一部量のHFAと均質化した。
【0105】
2)ステップ(1)で得られた懸濁液を、混合容器に移し、HFAの残量を加えた。
【0106】
3)生じた懸濁液を混合し、環流して、クリンプする前のアルミニウム缶に充填した。
【0108】
方法:
1)オレイン酸をエタノールに溶解した。酒石酸アルホルモテロールを一部量のHFA均質にし、混合容器に移した。
【0109】
2)オレイン酸とエタノールとの溶液を、フロ酸フルチカゾンと一部量のHFAと均質化した。
【0110】
3)ステップ(2)で得られた懸濁液を混合容器に移し、HFAの残量を加えた。
【0111】
4)生じた懸濁液を混合し、環流して、クリンプする前のアルミニウム缶に充填した。
【0113】
方法:
1)ふるい分けした(Sifted)ラクトースを、アルホルモテロール及びフロ酸フルチカゾンと共にふるいにかけた。
【0114】
2)ステップ(1)で得られた混合物を混ぜ合わせた。
【0116】
方法:
1)ふるい分けしたラクトースを、アルホルモテロール及びフロ酸フルチカゾンと共にふるいにかけた。
【0117】
2)ステップ(1)で得られた混合物を混ぜ合わせた。
【0119】
方法:
1)ふるい分けしたラクトースを、アルホルモテロール及びフロ酸フルチカゾンと共にふるいにかけた。
【0120】
2)ステップ(1)で得られた混合物を混ぜ合わせた。
【0121】
発明の精神から逸脱することなく、ここに開示された発明にさまざまな置換及び改良がなされうることは、当業者にとって直ちにわかるであろう。したがって、本発明が好適な実施態様及び選択的な特徴により具体的に開示されていたとしても、ここに開示された概念の改良及び変形は、当業者であれば行うことができ、このような改良及び変形は発明の精神の範囲内のものとして理解されなければならない。
【0122】
ここで使用された用語及び術語は、説明を目的とするものであって、限定とみなされるべきでないことは理解されるであろう。ここで、「含む(including)」、「含んでなる(comprising)」、または「有する(having)」の使用及びこれらの変化形は、付加的な事項のみならず、その後に記載された事項及びその等価物も包含することを意味する。
【0123】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈から別段明示されない限り、複数形の言及を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば「添加剤」への言及は、単一の添加剤も2以上の異なる添加剤等も含むものである。
【国際調査報告】