(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
面に流体の液滴を吐出するエジェクタ装置には、流体充填プレートを介して流体貯留部に取り付けられたエジェクタ機構が含まれ、流体充填プレートは、貯留部を貫通し、毛管作用によってエジェクタ機構の背面に流体を導くように構成されている。エジェクタ機構は、無鉛圧電アクチュエータを備えた中心対称構造を有し、自動閉鎖カバーによって被覆することができる。
前記エジェクタ機構が、15ミクロンよりも大きな平均吐出液滴径を有する液滴流を吐出するように構成され、前記液滴流が、ヒト又は動物の身体面に対して噴霧される場合、前記面における前記液滴流の圧力が実質的に微小になるように、低い混入空気流量を有する、請求項1に記載のエジェクタ装置。
前記流体充填プレートのエジェクタ機構接続部、及び前記エジェクタ機構の背面が、毛細管分離を形成し、前記エジェクタ機構の背面において、前記流体充填プレートと前記エジェクタ機構との間に流体流を発生させるように、平行配置されている、請求項1に記載のエジェクタ装置。
前記流体充填プレート及び前記エジェクタ機構が、毛細管分離を形成するように、約0.2 mm〜約0.5 mmの距離だけ離れている、請求項16に記載のエジェクタ装置。
前記エジェクタ機構が、ジェネレータプレート及び圧電アクチュエータに連結されたエジェクタプレートを備え、前記ジェネレータプレートには、その厚さを貫通して形成された複数の開口が含まれ、前記圧電アクチュエータが、一定周波数で、前記エジェクタプレート、そして前記ジェネレータプレートを振動させ指向性液滴流を発生させるように動作可能である、請求項1に記載のエジェクタ装置。
前記流体充填プレートが、折り畳み可能な貯留部から前記エジェクタ機構に流体を送達する、穿刺プレート流体送達システム及びキャピラリプレートを備えている、請求項8に記載のエジェクタ装置。
前記穿刺プレート流体送達システム及びキャピラリプレートが、穿刺/キャピラリプレート流体送達システムを構成するように一体的に形成されている、請求項19に記載のエジェクタ装置。
前記穿刺/キャピラリプレート流体送達システムには、流体貯留領域と、該貯留領域からエジェクタ接続部に流体を移す少なくとも1つの中空穿刺針と、が含まれる、請求項20に記載のエジェクタ装置。
前記穿刺/キャピラリプレート流体送達システムには、第1の嵌合部分及び第2の嵌合部分が含まれ、可撓性貯留部が、前記第2の嵌合部分と流体連通して取り付けられ、前記第2の嵌合部分には、貯留領域を構成するように、穿刺可能なシールが含まれる、請求項21に記載のエジェクタ装置。
結晶化、蒸発及び汚染危険性を低減する自動閉鎖システムを更に備え、前記自動閉鎖システムには、前記エジェクタ機構の少なくとも一部を覆うユーザ作動スライドプレートが含まれる、請求項1に記載のエジェクタ装置。
前記エジェクタ機構が、少なくとも1つのエジェクタ開口を構成し、前記スライドプレートが、前記少なくとも1つのエジェクタ開口の周辺に形成されたガスケット又はシールに密封させて結合するように構成され、前記少なくとも1つのエジェクタ開口が露出する開位置と、前記少なくとも1つのエジェクタ開口が前記スライドプレートによって覆われている閉位置との間でスライド可能である、請求項26に記載のエジェクタ装置。
前記スライドプレートには、前記スライドプレートがその開位置にある場合、前記エジェクタ機構の前記少なくとも1つのエジェクタ開口と一致するように構成された開口が含まれる、請求項27に記載のエジェクタ装置。
前記自動閉鎖システムには、前記スライドプレートが閉位置にある場合、前記スライドプレートが、前記ガスケット又はシールに対して十分な圧力によって押圧することを保証する手段が含まれる、請求項29に記載のエジェクタ装置。
前記エジェクタ機構が、ジェネレータプレート及び圧電アクチュエータに連結されたエジェクタプレートを備え、前記ジェネレータプレートには、その厚さを貫通して形成された複数の開口が含まれ、前記圧電アクチュエータが、前記ジェネレータプレートに連結される前記エジェクタプレートの共振周波数で、前記エジェクタプレート、そして前記ジェネレータプレートを振動させ指向性液滴流を発生させるように動作可能である、請求項1に記載のエジェクタ装置。
15ミクロンよりも大きな平均吐出液滴径を有し、前記液滴流が、ヒト又は動物の身体の標的に対して噴霧される場合、前記面における前記液滴流の圧力が実質的に微小になるように、低い混入空気流量を有する、請求項30に記載の装置。
前記エジェクタプレートが、前記ジェネレータプレートの複数の開口と並んで配置された中央開口領域を有し、前記圧電アクチュエータが、前記ジェネレータプレートの複数の開口を閉塞しないように、前記エジェクタプレートの周辺領域に連結されている、請求項31に記載の装置。
前記ジェネレータプレートの大きさが、前記エジェクタプレートよりも小さく、前記ジェネレータプレートの大きさが、前記中央開口領域によって占有された領域、及び前記複数の開口の配置によって、少なくとも部分的に決定される、請求項35に記載の装置。
前記エジェクタプレートが円形であり、前記圧電アクチュエータが環状構造を有し、前記エジェクタプレート及び前記圧電アクチュエータが、同じ外径を有する、請求項36に記載の装置。
前記エジェクタプレートが円形であり、前記圧電アクチュエータが環状構造を有し、前記エジェクタプレートが、前記圧電アクチュエータよりも大きな外径を有する、請求項37に記載の装置。
平均吐出液滴径が15ミクロンよりも大きく、前記液滴流が、ヒト又は動物の身体の標的に対して噴霧される場合、前記面における前記液滴流の圧力が実質的に微小になるように、低い混入空気流量を有する、請求項39に記載の装置。
前記エジェクタプレートが、前記ジェネレータプレートの複数の開口と並んで配置された中央開口領域を有し、前記圧電アクチュエータが、前記ジェネレータプレートの複数の開口を閉塞しないように、前記エジェクタプレートの周辺領域に連結されている、請求項39に記載の装置。
前記ジェネレータプレートの大きさが、前記エジェクタプレートよりも小さく、前記ジェネレータプレートの大きさが、前記中央開口領域によって占有された領域、及び前記複数の開口の配置によって、少なくとも部分的に決定される、請求項46に記載の装置。
前記エジェクタプレートが円形であり、前記圧電アクチュエータが環状構造を有し、前記エジェクタプレート及び前記圧電アクチュエータが、同じ外径を有する、請求項47に記載の装置。
前記エジェクタプレートが円形であり、前記圧電アクチュエータが環状構造を有し、前記エジェクタプレートが、前記圧電アクチュエータよりも大きな外径を有する、請求項47に記載の装置。
前記ジェネレータプレートが、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)及びポリエーテルイミドからなる群より選択される材料から形成される、請求項56に記載のエジェクタ機構。
前記エジェクタプレートが、前記ジェネレータプレートと並んで配置された中央開口領域を有し、前記圧電アクチュエータが、前記ジェネレータプレートの複数の開口を閉塞しないように、前記エジェクタプレートの周辺領域に連結されている、請求項50に記載のエジェクタ機構。
前記ジェネレータプレートの大きさが、前記エジェクタプレートよりも小さく、前記ジェネレータプレートの大きさが、前記中央開口領域によって占有された領域、及び前記複数の開口の配置によって、少なくとも部分的に決定される、請求項58に記載のエジェクタ機構。
前記エジェクタプレートが円形であり、前記圧電アクチュエータが環状構造を有し、前記エジェクタプレート及び前記圧電アクチュエータが、同じ外径を有する、請求項58に記載のエジェクタ機構。
前記エジェクタプレートが円形であり、前記圧電アクチュエータが環状構造を有し、前記エジェクタプレートが、前記圧電アクチュエータよりも大きな外径を有する、請求項58に記載のエジェクタ機構。
前記流体充填プレートのエジェクタ機構接続部、及び前記液滴エジェクタ機構の背面が、毛細管分離を形成し、前記液滴エジェクタ機構の背面において、前記流体充填プレートと前記液滴エジェクタ機構との間に流体流を発生させるように、平行配置されている、請求項69に記載の流体充填プレート。
前記流体充填プレート及び前記液滴エジェクタ機構が、毛細管分離を形成するように、約0.2 mm〜約0.5 mmの距離だけ離れている、請求項70に記載の流体充填プレート。
前記穿刺プレート流体送達システム及びキャピラリプレートが、穿刺/キャピラリプレート流体送達システムを構成するように一体的に形成されている、請求項72に記載の流体充填プレート。
前記穿刺/キャピラリプレート流体送達システムには、流体貯留領域と、該貯留領域から液滴エジェクタの背面に流体を移す少なくとも1つの中空穿刺針と、が含まれる、請求項73に記載の流体充填プレート。
前記穿刺/キャピラリプレート流体送達システムには、第1の嵌合部分及び第2の嵌合部分が含まれ、可撓性貯留部が、前記第2の嵌合部分と流体連通して取り付けられ、前記第2の嵌合部分には、前記流体貯留領域を構成するように、穿刺可能なシールが含まれる、請求項74に記載の流体充填プレート。
前記第1の嵌合部分が、前記第2の嵌合部分の収容部を形成し、前記可撓性貯留部を穿刺する少なくとも1つの中空穿刺針を含む、請求項75に記載の流体充填プレート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本出願は、液滴の吐出流として面に流体を送達するエジェクタ装置に関する。エジェクタ装置は、例えば、米国仮出願第61/569,739号、同61/636,559号、同61/636,565号、同61/636,568号、同61/642,838号、同61/642,867号、同61/643,150号及び同61/584,060号、並びに米国特許出願第13/184,446号、同13/184,468号及び13/184,484に記載されているものであってもよく、これらの内容は、参照により本明細書に援用される。
【0025】
本開示のエジェクタ装置は、例えば、眼科用、局所用、経口用、経鼻用又は経肺用の流体の送達に有用であり得る。ただし、本開示はそのように限定されず、いずれかのエジェクタ装置(例えば、プリンタ装置など)に有用であり得る。
【0026】
特定の実施形態において、エジェクタ装置は、ハウジングと、一定体積の流体を収容するようにハウジング内部に配置された貯留部と、流体充填プレートと、流体の1以上の液滴流を吐出するように構成されたエジェクタ機構と、を備えていてもよく、貯留部が、流体充填プレートと流体連通しており、流体充填プレートが、エジェクタ機構の背面に流体を供給するように、エジェクタ機構と流体連通している。
【0027】
したがって、本開示は、概して、面に流体を吐出する、例えば、患者の眼の上に眼科用流体を吐出するエジェクタ装置に関する。エジェクタ装置の一実施形態の構成要素は、
図1を参照して広く説明し、その後、装置を構成する要素のうちの一部について、より詳細に論じる。ただし、本出願は、本明細書に説明されている特定の実施形態に限定されず、本出願には、エジェクタ装置を構成する要素の変形形態及び種々の組合せが含まれることが認識される。
【0028】
本出願の目的において、流体には、エジェクタ機構を用いて、液滴形成が可能な範囲の粘性を有する懸濁液又はエマルジョンが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
図1は、本開示のエジェクタ装置100の内部構成要素の一実施形態の分解図を示し、
図1には貯留部102が含まれ、本実施形態において、貯留部は、自己封止RF溶接法(self-sealing RF weld technique)を用いて製造された可撓性貯留部である。貯留部102は、穿刺可能な封止嵌合部(seal mating)106によって、流体充填プレート(fluid loading plate)104と流体連通して配置されている。流体充填プレートは、例えば毛管作用によって、貯留部からエジェクタ機構の背面に流体を供給する。本実施形態のエジェクタは、制御可能な流体の液滴流を発生させるように構成された圧電エジェクタ機構を備えている。本実施形態では、以下により詳しく論じる流体充填プレート104を説明しているが、毛管作用によって貯留部からエジェクタ機構に流体を導くのに他の構成を採用することができる。流体の蒸発、結晶化及び汚染を制限するために、自動閉鎖システム110が、エジェクタ機構108の前面に取り付けられている。標的LEDのハウジング114を支持するブラケット112は、自動閉鎖システム110の前面に固定されるように構成されている。
【0030】
図2に示されているように、特定の実施形態において、エジェクタ装置の機械的要素は、ハウジング202の着脱可能な上部200の内側に取り付けることができ、当該着脱可能な上部は、下部ハンドグリップ部204と嵌合している。流体の吐出を制御する電子部品、及び電源は、ハウジング202の下部ハンドグリップ部204の内側に収容することができる。
【0031】
エジェクタ装置100とともに用いる貯留部又はアンプル102は、可撓性の貯留部、又は硬質の非可撓性の貯留部を備えていてもよい。特定の実施形態において、貯留部は、ハウジング202の上部200の内側に配置された折り畳み可能な可撓性の貯留部102を含み、当該貯留部は、一定体積の流体を収容するか又は当該流体を収容するように構成されている。
図1に示されている自己封止高周波(RF)溶接を含む種々の技術を用いて製造された、種々の種類の可撓性貯留部が本開示によって考慮される。または、成形同時充填法を用い、
図3に示されているものと同様の構造の貯留部を形成することができるか、又は、成形充填法を用い、
図4に示されているものなどの貯留部を得ることができる。以下の説明から明らかになるように、貯留部の特定の構成は、一実施形態から次のものに変更することができる。例えば、成形充填貯留部の形状は、
図4に示されているものに限定されない。
【0032】
図5を参照すると、気圧は高度によって変化する。具体的には、高度が増加するにつれて、圧力が低下する。ボイルの法則に従って、圧力が低下するにつれて、ガスの体積が増加する。同様に、シャルルの法則は、温度が上昇するにつれて、ガスの体積も増加することを示す。これに対して、液体の体積は、一般に、圧力及び温度の変化に応じてわずかに変化し、水は、4℃から0℃に冷却すると膨張する顕著な例外である。したがって、圧力及び温度条件が変化する場合、貯留部内の液体はほとんど変化しないが、一定体積の液体と更に一定体積のガスを有する貯留部は、圧力の低下及び温度の上昇に対応するように設計する必要がある。多くの場合、大きな懸念は、圧力の変化から生じ、これによって、ガスの顕著な体積変化が生じる。高度の変化は、圧力の変化、故にガスの体積変化の共通した原因である。
【0033】
理論によって制限されるものではないが、高度の変化による気圧の変化は、次式に従って決定することができる。
【0036】
アンプル若しくは貯留部、又はアンプル若しくは貯留部を含有する装置は、本開示によって、航空機により、又は海抜の高い地理的位置に輸送することができる。論じたように、かかる変化によって、海面との圧力差が生じ、これによって、エジェクタ装置のオリフィスからの漏出をもたらす可能性がある。例えば、航空機の客室は、6000フィートから8000フィートの高度において気圧調節することができる。海面から対応する圧力差はそれぞれ、20〜29 kPaである。膨張によるこのような圧力差を調整できないアンプルは、多くの場合、アンプル内の圧力上昇、その後の装置からの流体の漏出をもたらす。本明細書に用いられる「周囲圧力」とは、貯留部若しくはアンプル、又は貯留部若しくはアンプルを有する装置がさらされる気圧をいう。本明細書に用いられる「圧力差」とは、周囲圧力と海面における標準気圧(101325パスカル(Pa))の気圧の差をいう。したがって、航空機でみられる低下した圧力は、周囲圧力であり、圧力差は、周囲圧力と海面における標準圧力(例えば、6000フィートで約20 kPa)との差である。同様に、海抜高度における圧力差は、海面における標準圧力(101325パスカル(Pa))と、その高度における周囲圧力の差である。
【0037】
他の実施形態において、貯留部又はアンプルは、ガスの膨張に対応するように設計された硬質の貯留部であり得る。一部の実施形態において、膨張は、加圧筐体を設けることによって抑制することができる。一部の他の実施形態において、漏出は、貯留部に存在するオリフィスを封止することによって抑制することができる。
【0038】
図6A〜6Dを参照すると、特定の実施形態において、貯留部(この場合、成形充填貯留部)は、蓋601と、容器602と、場合により、補強リング603という3つの構成要素を有したアンプルを備え得る。一部の実施形態において、蓋601は、容器602に封止され、封入された不透過性容器を形成する。実施形態において、蓋601と容器602の封止された不透過性の組合せによって、液体を保存する。他の実施形態において、容器602は、可撓性の貯留部を形成し、当該貯留部は、貯留部に収容され貯留部に捕捉されたガスの膨張に対応することができる。他の実施形態において、貯留部は、硬質の容器を作製するように、非可撓性材料から形成することができる。
【0039】
本開示に係る一部の態様において、アンプル又は貯留部は、複数の構成要素から組み立てることができ、その結果、蓋601、容器602及び補強リング603は、装置の用途の必要性に応じて構成することができる。他の実施形態において、容器602及び補強リング603を一緒に形成することができ、蓋601は、所望の流体の追加後に付加される。実施形態において、蓋601と容器602の封止された不透過性の組合せを別々に形成することができる。特定の実施形態において、蓋601は、穿刺可能であり得る。
【0040】
特定の実施形態において、アンプル又は貯留部の形状及び大きさは、意図する用途ユーザのニーズに応じて選択することができる。非限定的な例において、眼科用流体の使用は、短い治療時間が必要な人によって要求される場合があり、このため、より少ない用量が必要な場合がある。少数の用量が示される場合、アンプルの形状及び大きさは、不要な消費を回避するように、適切に調整することができる。他の態様において、流体が長期間にわたって必要な場合、大量の流体を意味するか、又は複数の1日用量を必要とし得る。
【0041】
容積610は、深さ607、径604及び形状609を変更することによって調整することができる。一部の態様において、例えば、経肺用(pulmonary use)では、径604は、1 cmよりも大きい径であってもよい。別の態様において、径は1.5 cmであり得る。更なる実施形態において、径は1〜3 cmであり得る。別の実施形態において、径は、1〜4 cm又は1〜5 cmであり得る。他の実施形態において、径604は、3 cm以上、4 cm以上、5 cm以上、6 cm以上又は7 cm以上であり得る。他の実施形態において、径は、装置、例えば眼科用の装置のために構成することができる。例えば、径604は、20 mm以下であってもよい。他の実施形態において、径604は19 mm以下であり得る。別の実施形態において、径604は18 mm以下であり得る。更なる別の実施形態において、径604は17 mm以下であり得る。実施形態において、径604は16 mm以下であり得る。本開示の他の実施形態において、径604は18〜19 mmであり得る。別の実施形態において、径は、15〜20 mm、16〜20 mm、17〜20 mm、18〜20 mm又は19〜20 mmであり得る。他の実施形態において、径604は、15〜19 mm、16〜19 mm、17〜19 mm又は18〜19 mmであり得る。
【0042】
本開示に係る特定の実施形態において、アンプルの形状609は、径604を考慮し、容積を増加又は減少させるように変更することができる。一部の実施形態において、形状609は、径が、深さ607に沿って容器の閉鎖端部の方に減少するように構成することができる。特定の態様において、径の減少は、型の取出しをもたらし得る。容器602を有する本発明に係るアンプルを形成する型の設計及び製造は、当該技術分野において公知である。
【0043】
本開示の特定の実施形態において、アンプルは、容器602に安定性を付加するように構成された補強リング603を備え得る。一部の実施形態において、容器602は、可撓性であってもよく、補強リング603は、本開示に係る装置又はハウジングへの接続を提供することができる。厚さ606及び径605は、形成された容器602の径604に基づいて決定することができる。態様において、厚さ606は、補強リング603の材料に応じて決定することができる。
【0044】
蓋601と容器602、場合により、補強リングの封止された組合せは、アンプルをエジェクタ装置又はエジェクタ装置のハウジングに挿入するまで、眼科用、局所用、経口用、経鼻用又は経肺用の流体を保持及び保存するのに適したアンプルを形成する。一部の実施形態において、封止されたアンプルは、眼科用、局所用、経口用、経鼻用又は経肺用の流体を短期間保存するのに適し得る。他の実施形態において、封止されたアンプルは、眼科用、局所用、経口用、経鼻用又は経肺用の流体を長期間保存するのに適し得る。
【0045】
特定の実施形態において、封止された流体収容アンプルは、1週間、流体を損失又は劣化させずに保存することができる。他の実施形態において、封止されたアンプルは、1週間を超えて保存することができる。一部の実施形態において、封止されたアンプルは、2週間、3週間又は1ヶ月を含む短期間の保存に適し得る。特定の実施形態において、封止されたアンプルは、1ヶ月間保存することができる。
【0046】
特定の実施形態において、封止された流体収容アンプルは、流体を顕著に損失又は劣化させずに長期間保存することができる。他の実施形態において、封止された流体収容アンプルは、1ヶ月を超えて保存することができる。他の実施形態において、封止されたアンプルは、2ヶ月を超えて保存することができる。一部の実施形態において、封止されたアンプルは、3ヶ月、4ヶ月又はそれ以上を含む長期間の保存に適し得る。特定の実施形態において、封止されたアンプルは、5ヶ月間保存することができる。他の実施形態において、封止されたアンプルは、6ヶ月間保存することができる。一部の実施形態において、封止されたアンプルは、7ヶ月、8ヶ月又はそれ以上を含む長期間の保存に適し得る。特定の実施形態において、封止されたアンプルは、9ヶ月間保存することができる。特定の実施形態において、封止されたアンプルは、10ヶ月間保存することができる。他の実施形態において、封止されたアンプルは、11ヶ月間保存することができる。一部の実施形態において、封止されたアンプルは、12ヶ月又はそれ以上を含む長期間の保存に適し得る。特定の実施形態において、封止されたアンプルは、1.5年間保存することができる。更なる他の実施形態において、封止された流体収容アンプルは、1.5年を超えて保存することができる。
【0047】
蓋601、容器602及び補強リング603は、意図する用途での使用に適したいずれかの材料から形成することができる。一例として、眼科用途において、医薬としての眼科用途での使用に適した材料は、送達される流体と化学反応しないか又は当該流体を吸着しない高分子材料などを用いることができる。他の態様において、送達される流体に暴露する蓋601の表面、容器602及び補強リング603は、疎水性、親水性、非反応性、安定性などの所望の表面特性を提供する材料から形成することができる。蓋601及び容器602に適した材料の例としては、表1に示されている材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本開示に係る一部の実施形態において、容器602の材料は、FDA承認医療機器と整合する特性により選択することができる。材料は、当該技術分野において公知の方法及び基準、例えば、ISO 10993‐5、医療機器の生物学的評価(Biological Evaluation of Medical Devices)第5部、米国薬局方(US Pharmacopeia)32、インビトロ生物反応性試験;ISO 13485、医療機器品質管理システム;及び、ISO 17025、試験機関及び校正機関の能力に関する一般要求事項(General Requirements for the Competence of Testing and Calibration Labs)によって選択することができる。例えば、容器602は、Sealed Air社から入手可能なML29xxCなどの非細胞毒性フィルムであってもよい。
【0050】
本開示によれば、容器602の材料は、ポリマーであり得る。特定の実施形態において、ポリマーは、層状高分子であり得る。他の実施形態において、ポリマーは、共押出成形フィルムであり得る。特定の実施形態において、ポリマーは、医療機器に用いるポリマーであり得る。本開示に係る一例において、フィルムは、ポリエチレン系共押出成形フィルムであってもよい。特定の実施形態において、ポリマーは滅菌することができる。態様において、フィルムは、他のフィルムに結合するその能力に応じて選択することができる。一例において、他のフィルムは、Tyvek又はその他のコーティングされた医療用材料であってもよい。態様において、フィルムは、透明又は不透明のいずれであり得る。別の態様において、フィルムは、穿刺に対して抵抗性を有し得る。更なる別の態様において、フィルムは、ダウンゲージング(down-gauging)に抵抗性を有し得る。
【0051】
態様において、フィルムは成形可能である。本開示に係る成形可能なフィルムは、用途の要件に応じて選択することができる。特定の態様において、フィルムは、厚さ、ヤング率、伸び、引張強度、穿刺力、引裂き及びヘイズ(haze,かすみ)という基準のうちの1以上に基づいて選択することができる。特定の態様において、フィルムの可撓性によって、折り畳み可能なアンプルを提供することができる。態様において、折り畳み可能なアンプルは、気圧の変化時に漏出を排除するのに設けることができる。
【0052】
本発明の装置及び方法に適合するフィルムの例としては、表2に示されているフィルムが挙げられる。本開示によれば、同様のフィルムを、厚さ、ヤング率(MD)、伸び(MD)、引張強度(MD)、穿刺、引裂き及びヘイズという所望の特性に基づいて選択することができる。
【0054】
一部の実施形態によれば、蓋601、容器602及び補強リング603は、滅菌に適した材料から形成することができる。一部の態様において、蓋601、容器602及び補強リング603は、ユニットとして一緒に滅菌することができる。他の態様において、蓋601、容器602及び補強リング603は、当該技術分野において公知の1以上の種々の滅菌方法を用いて、別々に滅菌することができる。本開示の特定の態様において、1以上の滅菌方法は、組み合わせることができ、例えば、下に示されているように、化学的方法及び照射方法とすることができる。
【0055】
態様において、蓋601、容器602及び補強リング603は、照射による殺菌に適合する材料から形成することができる。態様において、材料は、ガンマ線照射による滅菌に適合し得る。他の態様において、材料は、電子線、X線又は亜原子粒子などの放射に適合するように選択することができる。
【0056】
別の態様において、容器は、滅菌の化学的方法に適合する材料から形成することができる。実施形態において、材料は、エチレンオキサイド(EtO)滅菌に適合し得る。別の実施形態において、材料は、オゾン(O
3)滅菌に適合し得る。別の実施形態において、材料は、オルト‐フタルアルデヒド(OPA)に適合し得る。更なる実施形態において、過酸化水素は、化学滅菌剤として用いることができる。
【0057】
本開示に係る一部の態様において、蓋601、容器602及び補強リング603は、加熱滅菌に適合する材料から形成することができる。実施形態において、加熱滅菌に適合する材料は、乾熱滅菌(dry heat sterilization)に対して抵抗性を有し得る。別の実施形態において、加熱滅菌に適合する材料は、湿熱滅菌(moist heat sterilization)に適合し得る。本開示に係る一部の態様において、蓋601、容器602及び補強リング603は、間欠滅菌(Tyndallization)に適合する材料から形成することができる。
【0058】
一部の態様において、蓋601、容器602及び補強リング603によって、液体の長期保存が提供される。一部の実施形態において、封止されたアンプルは、不透過性材料を含み得る。特定の態様において、不透過性は、流体に基づいて選択することができる。本開示に係る非限定的な例の1つにおいて、眼科用、局所用、経口用、経鼻用又は経肺用の流体は、安定性を維持するように、光又は空気からの保護が必要であり得る。本開示に係る別の非限定的な例において、眼科用、局所用、経口用、経鼻用又は経肺用の流体は、安定性を維持するように、光及び酸素からの保護が必要であり得る。一部の実施形態において、材料は、ガスに対して不透過性であり得る。実施形態において、ガスは酸素であり得る。他の実施形態において、材料は、光に対して不透過性であり得る。別の実施形態において、材料は、ガス、例えば酸素ガスに対して不透過性であり、光に対して不透過性であり得る。
【0059】
本開示に係る態様において、容器602及び蓋601の材料は、長期間安定であるように選択することができる。一態様として、特定の実施形態において、引張強度、伸び率、引裂抵抗及び衝撃安定性を含むがこれらに限定されない、1以上の特性を用い、材料の安定性を判断することができる。
【0060】
図7を参照すると、本発明の流体を収容する容器は、当該技術分野において公知の成形充填法を用いて製造することができる。特定の実施形態において、
図7に概説されている全工程は、医療機器及び製造の適用可能な規制基準を遵守することにより、滅菌条件下で実行することができる。一実施形態において、フィルムは、型に供し、その後、加熱及び真空成形して、形状609及び深さ607の容器を作製することができる。形状609、深さ607及び径604を変更することによって、規定の総容積(V
t)の容器又はアンプルを形成することができる。
【0061】
容器が形成されると、容器(例えば、容器602)は、流体が充填され、充填された容器又はアンプルに蓋を付加することができる。一部の実施形態において及び一例のみとして、シールは、漏出のない閉鎖を生じるように付加される。容器に蓋を取り付け、容器に蓋を封止する他の方法は、当該技術分野において公知である。封止した後、個々のアンプルは、構造から切断することができる。他の実施形態において、封止及び切断は、同時に実行することができる。そして、最終封止容器又はアンプルは、エジェクタ装置の保存、出荷又は使用に適している。上述したように、本実施形態において論じた成形充填法は、当該技術分野において公知の、容器を形成し封止する唯一の方法である。成形同時充填及び自己封止RF溶接などの他の方法も用いることができ、これらの方法は、蓋要素を用いない。
【0062】
本開示の一部の実施形態において、流体(V
f)は、容器602の総容積(例えば、V
t)を充填することができる。他の実施形態において、流体は、容積を完全に充填せず、空間(V
ΔT)を残すことができる。液体の体積V
fがV
ΔTに等しい実施形態では、蓋の付加によって、ガスの体積V
gasが捕捉(result in entrapment)される。他の実施形態において、容器602の容積は、容積(V
r)だけ容積が低減する容積まで破砕又は変形させることによって減少させることができる。本開示によれば、封止された容器又はアンプルの容積は、次のようになる。
【0064】
本開示の特定の態様によれば、容積V
rは、容器を容積V
tまで膨張させる機能を提供し、これによって、エジェクタ装置に利用する場合に、容器の漏出する傾向が低減する。同様に、容積V
rは、出荷若しくは冷凍保存時、又は液体の体積が増加する条件下において、液体の体積の増加に対応することができる。他の実施形態において、V
ΔTには、ガスの体積V
gasと容積V
rの両方が含まれていてもよく、これによって、周囲圧力の変化に関連してガスの体積の変化が補正され、漏出のないエジェクタ装置を製造することができる。同様に、容積V
rは、ガスの体積の増加V
expももたらし、当該膨張は、低い周囲圧力条件下で出荷及び保存時に生じ得る。
【0065】
本開示に係る特定の態様において、容器は、ガスの体積V
gasを収容することができる。態様において、ガスは空気であり得る。態様において、ガスは、酸素が欠乏した空気であり得る。他の態様において、ガスは、非反応性ガスであり得る。態様において、ガスは窒素であり得る。別の態様において、ガスは、ヘリウム又はアルゴンなどの希ガスであり得る。他の態様において、ガスはCO
2であり得る。ガスは、本開示に従って適応させることができる。
【0066】
本開示の特定の実施形態において、貯留部は、エジェクタ装置の高度非感受性を提供する。態様において、貯留部には可撓性の容器が含まれている。具体的には、本開示の特定の態様によって提供されるように、貯留部は、流体のレベル及び装置の方向に関係なく、エジェクタ機構に一定量の流体を供給する。一部の態様において、エジェクタ機構と流体連通しているアンプル又は貯留部は、エジェクタ機構の背面に流体の一定の流れを供給し、その結果、一定の体積の流体が液滴として吐出される。別の態様において、貯留部又はアンプルは、キャピラリプレートと流体連通し、キャピラリプレートは、エジェクタ機構の後部吐出面のキャピラリ流体充填領域において流体の安定供給及び送達を提供する。周囲圧力が海面における標準圧力に対して減少すると、アンプルは、エジェクタ装置の高度(高さ)非感受性及び漏出に対する抵抗性を提供する。したがって、アンプル、キャピラリプレート及びエジェクタ機構の組合せは、装置に対する高度及び姿勢双方の感受性(attitude and altitude sensitivity)の減少を提供し、その結果、一定体積の液滴が送達される。
【0067】
図8を参照すると、本開示の装置は、重力805の方向に対して垂直な方向804に流体を吐出する。本開示の態様において、アンプル803と流体充填プレート802の組合せは、姿勢角シータ(θ)が変化すると、エジェクタプレート801に流体の一定の流れを供給する。例えば、姿勢角が増加するにつれて、組合せは、流体の一定の流れを継続させる。したがって、本発明の態様によれば、装置は、方向804において、液滴を分配し続ける。本開示の一態様において、姿勢角シータ(θ)は、エジェクタプレート801に対して流体の一定の流れを維持しつつ、任意に増減させることができる。例えば、姿勢角シータ(θ)は、45°超又は45°未満であり得る。したがって、姿勢角シータ(θ)は、0〜45°であり得るか、又は45°〜90°であり得る。また、姿勢角シータ(θ)は、90°であってもよい。姿勢角シータ(θ)は、180°であってもよいし、又は0〜180°であってもよい。
【0068】
本発明に係る特定の実施形態において、容器は、総容積V
tを有する可撓性の容器であり、液体の体積V
f及びガスの体積V
gasを収容し、増加し得る容積V
rを有する。特定の態様において、増加し得る容積V
rは、圧力の変化により、ガスの膨張ΔV
gasをもたらし、これに対応するが、容器内の圧力は増加しない。したがって、例えば、輸送時に、膨張ΔV
gasによって、容器が漏出しない。同様に、凍結時の液体の膨張にも対応することができる。
【0069】
本発明の多くの実施形態が開示されている。本開示は、一実施形態の特徴のうちのいずれかを他の1以上の実施形態の特徴と組み合わせることが考慮される。例えば、エジェクタ機構又はキャピラリプレートのうちのいずれかを、容器とともに、ハウジング又はハウジングの特徴、例えば、カバー、支持体、レスト、照明、シール及びガスケット、充填機構又はアライメント機構のうちのいずれかと組み合わせて用いることができる。当業者の範囲内に入るいずれかの実施形態のいずれかの要素における更なる変形形態が、本開示によって考慮される。かかる変形形態には、材料、コーティング又は製造方法の選択が含まれる。当該技術分野において公知であり、本明細書で明示的に列挙されていない他の製造方法を用いて、装置を製造し、試験し、修理し又は維持することができる。
【0070】
実施例1:圧力差による漏出値の測定
図9は、圧力が減少するにつれて、容器、流体充填プレート及びエジェクタ装置の組立てによって、漏出について試験することができるアセンブリを示している。流体が充填された容器は、アンプル保持台(1)と、エジェクタプレート(3)の後方に流体を送達する流体充填プレート(2)とからなる漏洩圧力試験装置に取り付けられている。漏洩圧力試験装置は、真空室内に配置され、真空室は、2.75 psiに達成するのに適した機械ポンプによって注入される。この圧力(2.75 psi)において、STP(13.23 psi)と最も低い測定可能な漏洩圧力(2.75 psi)の測定圧力差は、10.5 psi又は72.3 kPaである。この圧力の漏洩は、海面から31,000フィートに移動する際に発生する圧力差に相当する。
図9は、ゼロを超えるV
rを有する容器の態様も示している。したがって、容器は、周囲圧力が真空室内で減少するにつれて、ガスの膨張をもたらす。V
rの変化は、漏洩圧力に影響を及ぼし得る。
【0071】
表3は、深さ12 mm(例えば、
図6の深さ607)の可撓性容器の40μm孔を通した漏洩圧力試験の結果を示している。
【0073】
表4は、深さ20 mmの可撓性容器の20 μm孔を通した漏洩圧力試験の結果を示している。
【0075】
表5は、深さ20 mmの可撓性容器の40 μm孔を通した漏洩圧力試験の結果を示している。
【0077】
表6は、深さ20 mmの硬質容器の40 μm孔を通した漏洩圧力試験の結果を示している。
【0079】
図10は、圧力均等化のメカニズムとして、容器の膨張の結果を示している。実施例1において試験し、表4に示されているように、圧力が減少するにつれて、ガスは膨張し、これによって、折り畳まれた状態の容積V
rが増加する。V
gasが総容積V
ΔTに近づくと、装置の漏出する傾向は増加する。少ない体積の空気は、一般に、低い漏洩圧力に関連している。ΔPは、組合せが漏洩し始める圧力を表わす。
【0080】
図11は、本開示の種々の実施形態の漏洩圧力試験の結果をグラフにより示している。図示するように、硬質の貯留部は、%空気量(例えば、V
air/V
t)とは独立した低い圧力差圧において漏出する。深さ12 mmの容器(アンプル)は、漏出を誘導するのに高い圧力差が必要であり、約25の最大圧力が約12%の空気量でみられる。40×160 μmの孔又は20×40 μmの孔を有する深さ20 mmの容器は、漏出を生じるのに最も高い圧力差が必要である。これらの実施形態において、孔の数及び大きさは区別できなかった。
【0081】
実施例2:経時的な質量損失の測定:
図12は、本開示のアンプル(貯留部)の貯留能を決定するために、経時的なアンプル(貯留部)からの質量損失を示している。一連の貯留部を72日間保存し、質量を測定した。全期間において、3.5 mlの全容積から50 μlの全容積が漏出する。
【0082】
試験3.種々の姿勢角における吐出量の測定:
図13は、硬質貯留部又は可撓性貯留部のいずれかを有する圧電エジェクタ装置の一連の周波数における種々の姿勢角での吐出量を示している。可撓性アンプルの構造は、より広い周波数範囲にわたって一定の流体吐出量を提供し、レベルを満たす。
【0083】
上述の事項では、例示及び例によって種々の貯留部の実施形態について説明しているが、当業者であれば、本出願の趣旨及び範囲内において、種々の変更及び改良を実行できることを認識する。本明細書に用いられる貯留部は、流体を保持するのに適したいずれかの物体であり得る。一例として、貯留部は、流体を収容することが可能ないずれかの適切な材料から製造することができる。本開示の貯留部は、硬質又は可撓性であってもよく、本開示の貯留部は、更に折り畳み可能であってもよい。本明細書に用いられる折り畳み可能とは、折り畳まれた後に、全容積が、折り畳み式でない容器に封入できる容積よりも少なくなるように、圧搾、折り畳み、破砕、圧縮、真空化又はその他の操作によって達成される、貯留部内で得られる容積の減少をいう。貯留部は、一定体積の流体を保持することが可能な容積に形成できるいずれかの適切な材料から製造することができる。適切な材料は、例えば、いずれかの可撓性又は硬質の材料であってもよく、成形可能であるか、又はあらかじめ成形されていてもよい。本明細書に用いられる貯留部は、一例として、フィルムから形成することができる。
【0084】
他の態様において、本開示の流体充填プレートは、貯留部とエジェクタ機構との間において、エジェクタ装置に組み込むことができる。特定の実施形態において、エジェクタ装置は、対象の眼に流体を送達するためのものであり、エジェクタ装置は、ハウジングと、一定体積の流体を収容するようにハウジング内部に配置された貯留部と、を備え、貯留部は、流体充填プレートと流体連通し、流体充填プレートは、エジェクタ機構の後部吐出面に流体を供給するように、エジェクタ機構と流体連通しており、エジェクタ機構が、流体の液滴流を吐出するように構成されている。エジェクタ機構は、15ミクロンよりも大きな平均吐出液滴径を有する液滴流を吐出するように構成することができ、液滴流は、使用時に対象の眼の上に堆積するように、低い混入空気流量を有する。
【0085】
特定の実施形態において、エジェクタ機構は、エジェクタプレートと、圧電アクチュエータとを備えていてもよく、エジェクタプレートには、その厚さを貫通して形成された複数の開口が含まれ、圧電アクチュエータは、一定周波数で、エジェクタプレートを振動させ指向性液滴流を発生させるように動作可能である。特定の態様において、エジェクタプレートは、高弾性高分子材料から形成することができる。
【0086】
特定の実施形態において、圧電アクチュエータは、エジェクタプレートの複数の開口を閉塞しないように、エジェクタプレートの周辺領域に連結されている。エジェクタプレートの複数の開口は、圧電アクチュエータによって覆われていないプレートの中央領域に配置することができる。特定の実施形態において、エジェクタプレート上のオリフィスの径及びキャピラリの長さ並びに空間アレイを含む開口の三次元幾何形状及び形状は、指向性(方向づけされた)液滴流の発生を最適化するように調整することができる。
【0087】
一例として、流体充填プレートは、例えば、それぞれ参照によりこれらの全体において本明細書に援用される出願、2012年1月27日に出願された「高弾性高分子エジェクタ機構、エジェクタ装置及び使用方法」という名称の米国特許出願第61/591,786号、2011年12月12日に出願された「エジェクタ機構、エジェクタ装置及び使用方法」という名称の米国特許出願第61/569,739号、2011年7月15日に出願された「液滴発生装置」という名称の米国特許出願第13/184,484号に開示されているように、エジェクタ装置若しくはエジェクタアセンブリに組み込まれるか、又はエジェクタ機構に接続するように構成することができる。
【0088】
本発明の多くの実施形態(embodiment and implementation)が本明細書に開示されている。本開示は、一実施形態の特徴のうちのいずれかを他の1以上の実施形態の特徴と組み合わせることが考慮される。例えば、エジェクタ機構又は貯留部のうちのいずれかを、流体充填プレートとともに、参照による援用において論じられたハウジング又はハウジングの特徴、例えば、カバー、支持体、レスト、照明、シール及びガスケット、充填機構又はアライメント機構のうちのいずれかと組み合わせて用いることができる。当業者の範囲内に入る本開示によるいずれかの態様のいずれかの要素における更なる変形形態が、本開示によって考慮される。かかる変形形態には、材料、コーティング又は製造方法の選択が含まれる。
【0089】
図14A〜14Cを参照すると、一実施形態において、流体充填プレートは、流体貯留部1402、エジェクタ機構接続部1404及び1以上の流体開口1406を含むキャピラリプレート1400を備え得る。必要に応じて、キャピラリプレート1400には、参照によりその全体において本明細書に援用される2011年7月15日に出願された「液滴発生装置」という名称の米国特許出願第13/184,484号に記載されているような、種々の貯留部構造(図示しない。)との接続を容易にする、貯留部ハウジング嵌合リング1410が含まれていてもよい。
【0090】
さらに、キャピラリプレート1400には、場合により、貯留部ハウジング(図示しない。)にキャピラリプレート1400を固定するように、ハウジング嵌合リング1410において固定クリップ1412が含まれていてもよい。例示的なクリップ構造及び位置が示されているが、種々の実施形態及び位置が想定され、これらは本開示の範囲内にある。キャピラリプレート1400には、種々の貯留部ハウジング構造(図示しない。)の開放を容易にするように、流体貯留部接続部1402において貫通突起1414も含まれていてもよい。例示的な貫通突起及び位置もまた示されているが、種々の実施形態及び位置が想定され、これらは本開示の範囲内にある。例えば、貫通突起は、1以上の流体開口1406を通る流体の流れを妨げないように大きさを調整し、形成してもよい。
【0091】
図15A〜15Cを参照すると、特定の実施形態において、キャピラリプレート1500のエジェクタ機構接続部1502は、エジェクタ機構の後部吐出面1506と平行配置され、キャピラリプレートとエジェクタ機構との間に間隔1508が形成され、エジェクタ機構の後部吐出面のキャピラリ流体充填領域1512におけるキャピラリプレート1500とエジェクタ機構1504との間に流体流1510が発生する。この流体流1510によって、キャピラリプレート1500は、エジェクタ機構のエジェクタプレート1514の後部吐出面1506に流体を供給することができる。キャピラリプレートの構成は、エジェクタプレート1514の後部吐出面1506のキャピラリ流体充填プレートにおいて、常に流体を供給及び送達する。このため、一定体積の液滴は、流体レベル及び装置の方向(すなわち、姿勢)に関係なく、エジェクタ機構によって発生する。
【0092】
図16A及び16Bを参照すると、キャピラリプレート及びエジェクタプレートの平行面間の流体充填は、キャピラリプレート間の距離dによって異なる。
図16Aに示されているように、最大1 mmのプレート間の間隔によって、キャピラリ流体充填領域に適切な流体の充填(液体の高さ)が提供される。特定の実施形態において、約0.2 mm〜約0.5 mm、より具体的には約0.2〜約0.4 mm、又はより具体的には0.3 mmという、キャピラリプレートとエジェクタ機構との間隔を用いることができる。
【0093】
理論によって制限されるものではないが、2つの平行な面間の毛管上昇の一般式は、以下に示すとおりである。
【0095】
式中、
hは液体の高さであり、
γ
lvは、表面に接する液体蒸気表面張力であり、
θは、流体と表面との間の接触角であり、
ρは、流体と蒸気との間の密度差であり、
gは重力加速度であり、
dは、面間の距離である。
【0096】
流体充填プレートは、意図する用途における使用に適したいずれかの材料から形成することができる。一例として、眼科用途において、医薬としての眼科用途での使用に適した材料は、送達される流体と化学反応しないか又は当該流体を吸着しない高分子材料などを用いることができる。特定の実施形態において、送達される流体に暴露する流体充填プレートの表面は、平行面間の吸上毛管作用を促進するように、親水性/疎水性、表面エネルギーなどを含む所望の表面特性を提供する材料から形成することができる。例えば、参照により本明細書に援用される、Thompsonらの米国特許第5,200,248号を参照されたい。
【0097】
特定の実施形態において、例えば、キャピラリプレートの実施形態において、流体充填プレートは、単一の材料から形成することができる。他の態様において、流体充填プレートは、1を超える材料から形成された複合材料であってもよく、所望の表面特性を有するように、送達される流体に露出する面が選択される。一例として、キャピラリプレートは、射出成形してもよいし、単一部品として又は別個の部品として熱成形してもよい。必要に応じて、1以上の貯留部嵌合面は、別々に形成してもよいし、又は、キャピラリプレートの他の構成要素と一体部品として形成してもよい。限定を意図するものではないが、一例として、材料としては、ナイロン‐6などのナイロンを含むポリアミド、HDPE、ポリエステル、コポリエステル、ポリプロピレン、及びその他の適切な医薬用親水性ポリマー又はポリマー構造体が挙げられる。
【0098】
流体充填プレートは、所望のエジェクタ機構に接続するように、いずれかの方法により大きさを調整し、形成することができ、流体が供給され、適切なキャピラリ流体充填領域は、キャピラリプレートとエジェクタ機構の後方吐出面との間のエジェクタ機構接続面に形成される。
図17A及び17Bを参照すると、キャピラリプレート1700の一実施形態が示されている。ただし、
図17A及び17Bに示されている大きさは、例示目的にすぎず、本開示はそのように限定されない。一例として、キャピラリプレート1700は、概して正方形であり、その辺の長さは約25 mmであり得る。ただし、略円形形状などを含む他の形状が想定される。4つの離れた流体開口1706は、約4.70 mmの環径(annular radius)を示し、約2.50 mmの一般開口幅及び約2 mmの間隔を有する。キャピラリプレート1700の流体流部分(すなわち、流体開口1706を含むキャピラリプレート1700の部分)の厚さは約0.30 mmであり、キャピラリプレート1700のハウジング嵌合リング1710の厚さは約2 mmであり得る。貫通突起1714は、流体流を可能にしつつも、所望の突起の特性を提供するように、例えば、約1.62 mmの径及び約1.35 mmの長さとすることができる。
【0099】
本発明の理解を支援するために、
図18〜22は、エジェクタ装置の性能に対する本明細書に説明されている流体充填プレートの使用の種々の影響について示している。本明細書に説明されている試験は、本発明を具体的に限定するものと解釈されるべきではなく、当業者の範囲内に入る現在知られているか又は将来開発される本発明のかかる変形形態は、本明細書に説明され、以下に特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲内に入ると考えられる。
【0100】
具体的には、
図18は、25及び40ミクロンの孔を備え160ミクロンの厚さのNiCoエジェクタプレートを用いた、共振周波数に対するキャピラリプレートの影響と、水の質量堆積について示し、周波数の下方推移を示している。
図19は、共振システム(例えば、エジェクタプレート後方のキャピラリ領域)の流体の密度(したがって、質量)が増加するため、共振周波数が下方推移することを示している。
図20は、25及び40ミクロンの孔を備え160ミクロンの厚さのNiCoエジェクタプレートを用いた、種々の流体の送達に用いられるキャピラリプレートに関連する周波数の下方推移を示している。
図21は、共振システムの流体の密度(ρ)及び粘度(η)が増加すると、共振周波数と共振構造の振幅がともに低減することを示している。一例として、そして、
図21のグラフ中の特定の値に必ずしも関連することではないが、水、エタノール及びプロピレングリコールの密度及び粘度をグラフの下の表に示す。
図18〜21に示されているように、キャピラリプレートの存在によって、より低い周波数への共振周波数の全体的な変化が生じる。液体(水、エタノール及びプロピレングリコール)の噴霧量の変化は、密度及び粘度の増加の結果である。
【0101】
図22は、キャピラリプレートを含むエジェクタ装置の姿勢非感受性を示している。図示するように、送達量(質量)は、エジェクタ装置の方向に対して比較的影響を受けない。これによって、エジェクタプレート後方の流体の一定の送達及び供給が保証される。このため、流体レベル及び装置の方向に関係なく、一定体積の液滴が形成され、エジェクタ機構によって噴霧される。
【0102】
他の実施形態において、流体充填プレートは、キャピラリ/穿刺プレート流体送達システムとも称する、穿刺プレート流体送達システムを備えていてもよく、穿刺プレート流体送達システムは、圧電吐出によって指向性液滴流として送達するために、貯留部からエジェクタ機構背面の流体貯留領域(fluid retention area,流体保持領域)に流体を送達するように構成されている。理論によって制限されるものではないが、穿刺プレートシステムは、静水圧、毛管圧、幾何学的圧力勾配(ベンチュリ効果)及び空気吸引(air exhaustion)のうちの1以上を利用することができる。
【0103】
穿刺プレート流体送達システムとその動作の一実施形態が
図23〜27に示されている。
図23A及びBはそれぞれ、上昇孔(rise hole)2302を備えたエジェクタ機構2300の正面図及び背面図を示している。
図23Cの正面図及び
図23Dの背面図に示されているように、穿刺プレート流体送達システムには、穿刺/キャピラリプレート流体送達システムと、毛管作用を含む1以上のメカニズムによって流体をエジェクタ機構に導くエジェクタ機構の背面との間に流体貯留領域(fluid retention area)を備えたキャピラリプレート部分、及び、貯留部から流体貯留領域に流体を移す少なくとも1つの中空穿刺針が含まれ得る。本実施形態において、6つの中空穿刺針2306は、キャピラリ/穿刺プレートの背面から延び、針を通すチャネルは、孔2308によって示されているように、キャピラリプレート2304の前面まで延びている。針2306は、付属部品2312の収容部を構成する壁2310によって包囲されている(付属部品2312に収容される自己封止型シリコーン封止要素2314とともに
図23Eに示されている。)。
【0104】
まず、流体収容貯留部又はアンプル2316(これらの用語は、本明細書において区別なく使用される。)は、付属部品に連結し、付属部品及びシリコーン封止要素2314によって構成された第2の貯留部と流体連通している。そして、キャピラリプレート2304は、エジェクタ機構2300に取り付けられ、エジェクタ機構と流体連通している。ただし、使用前に、穿刺プレート及びエジェクタ機構2300は、流体交換を防止するように、付属部品2312及び貯留部2316から離れた状態で設けることができる。接続の初期段階において、
図23Dにおいて穿刺プレート画像の後方に示されている中空穿刺針2302は、付属部品2312の内部にある自己封止型シリコーン穿刺ガスケット又はグロメット2314に部分的に挿入されている。付属部品2312に形成された第2の貯留部は、第1のアンプル/貯留部2316中の流体の方に常に開いている。ただし、この段階では、付属部品2312の第2の貯留部に移動した第1の貯留部からの流体は、自己封止型シリコーンガスケット材料(self-sealing silicone gasket material)2314によって生じる障壁により、中空穿刺針2306に入らない。
【0105】
穿刺は、シリコーンガスケットを通して針を押し付けることにより、ガスケット2314を通して流体充填具に穿刺プレート針を終始押圧させて達成される。これは、例えば、付属部品が穿刺プレート2304の収容部2310にスナップ結合する(クリック音によって示される。)場合に生じ得る。シリコーンガスケット2314が適合した材料及び自己封止型シリコーン材料であるので、シールは穿刺後に維持される。穿刺直後の貯留部/容器から中空穿刺針の流体の初期移動は、静水圧、付属部品貯留領域/貯留部の容積、並びに、キャピラリ/穿刺プレートの中空穿刺針及びチャネルによって構成されたキャピラリ管を通して流体を流れさせる初期穿刺からの流体反力の組合せから生じる。
【0106】
流体がキャピラリ管を通過すると、表面張力効果は、重力に対して流体の上昇に影響を及ぼす。流体が上昇すると、エジェクタ開口又は孔の前面から流体を押し出すことによって、システムから空気を除去する。毛管上昇孔(capillary rise hole)2302は、システムの空気の圧力除去手段として機能する圧電素子2322よりも上に、エジェクタ機構のエジェクタプレート2320上に配置されている。これらの毛管上昇孔2302のない状態において、システムは、エジェクタ開口よりも上の領域で閉鎖され、流体は、最終的に毛管圧と等しくなる空気圧の蓄積の増加(increasing build up)により、上昇しなくなる。完全な上昇を達成するために、空気はすべて、システムの外に押し出される必要がある。毛管上昇孔2302(
図25Aに背面及び
図25Bに正面から示されている。)は、孔と等しくなる圧力として作用し、(流体の漏出を防止するように)配置され、適切に大きさが調整され、流体が完全に上昇することができ、これによって、システム内に空気が残存しない(残存する空気が非常に少ない)ことが保証される。組み立てられたエジェクタアセンブリは、
図24Aに正面から示され、
図24Bに背面から示されている。
【0107】
図26は、シリコーンガスケットを通して完全に穿刺後の穿刺プレートシステムを通る流体流を概説する概略について示している。液体は、穿刺システムを通って、キャピラリプレート室2600まで流れ、エジェクタ開口又は孔2602及び毛管上昇孔2302から空気を押し出す。
図23C及びDを参照すると、穿刺/キャピラリプレート2304は、650ミクロンの内径(ID)及び1 mmの外径(OD)を有する6つの針を備えた構造を示している。針の数は、1つの針と同程度に少なくすることができるだけでなく、針の数には、多くの針、例えば、500ミクロン〜3 mmの範囲のID寸法、及び600ミクロン〜4 mmの範囲のOD寸法を有する8つの針も含まれ得る。
図25に示されている上昇孔は、この図に示されているものから変更することもできる。この図は、5〜20ミクロンの径の大きさの上昇孔を示しているが、孔の数は、1つの孔と同程度に少なくすることができるだけでなく、孔の数には、多くの孔、例えば、10〜50ミクロンの孔径を有する8つの孔も含まれ得る。
【0108】
または、
図44〜46を参照すると、穿刺プレートは、細長い針穿刺システムとともに設計することができる。かかる構造は、例えば、直立した矩形の低引張応力(LTS)貯留部(すなわち、IVバッグ構造)などの貯留部構造の特定の構造に関して用いることができる。
【0109】
穿刺プレートは、本明細書に説明され、示されているように、いずれかの適切な材料から構成することができる。非限定的な例として、穿刺プレートは、液晶ポリマー「LCP」(0〜30%のガラス充填)、ナイロン6、ナイロン6,6、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド(Ultem)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、カプトン、ポリイミド(Kapton)、ステンレス鋼316L、ダイヤモンド様炭素(DLC)コーティングステンレス鋼(300シリーズ)、ダイヤモンド様炭素(DLC)コーティングアルミニウム、ダイヤモンド様炭素(DLC)コーティング銅、ダイヤモンド様炭素(DLC)コーティングリン酸コバルトナノ結晶、リン酸コバルトナノ結晶(nCoP)、金コーティングステンレス鋼(300シリーズ)、ポリマーコーティング(上に挙げたポリマー)ステンレス鋼(300シリーズ)、ポリマーコーティング(上に挙げたポリマー)銅(300シリーズ)、ポリマーコーティング(上に挙げたポリマー)アルミニウム(300シリーズ)などから構成することができる。
【0110】
上述の事項では、例示及び例によって種々の実施形態について説明しているが、当業者であれば、本出願の趣旨及び範囲内において、種々の変更及び改良を実行できることを認識する。「キャピラリプレート」及び「穿刺プレート」という用語は種々の実施形態について説明するのに用いられているにかかわらず、その説明は、いずれかの流体充填プレートに適用可能であり、プレートの形態を採用する必要がなく、また、貯留部からエジェクタ機構に液体を導くのに適したいずれかの構成を有し得ることが認識される。
【0111】
本明細書に用いられる貯留部は、流体を保持するのに適したいずれかの物体であり得る。一例として、貯留部は、流体を収容することが可能ないずれかの適切な材料から製造することができる。本開示の貯留部は、硬質又は可撓性であってもよく、本開示の貯留部は、更に折り畳み可能であってもよい。本明細書に用いられる折り畳み可能とは、折り畳まれた後に、全容積が、折り畳み式でない容器に封入できる容積よりも少なくなるように、圧搾、折り畳み、破砕、圧縮、真空化又はその他の操作によって達成される、貯留部内で得られる容積の減少をいう。貯留部は、一定体積の流体を保持することが可能な容積に形成できるいずれかの適切な材料から製造することができる。適切な材料は、例えば、いずれかの可撓性又は硬質の材料であってもよく、成形可能であるか、又はあらかじめ成形されていてもよい。本明細書に用いられる貯留部は、一例として、フィルムから形成することができる。
【0112】
さらに、貯留部は、流体貯留部接続部を形成するように、流体充填プレートと流体連通していてもよく、また、特定の実施形態において、流体充填プレートには、場合により、種々の流体貯留部構造との接続を容易にするように、貯留部嵌合面又はリングが含まれ得る。
【0113】
一部の態様において、本開示のシステムの貯留部は、低引張応力又は「LTS」貯留部として構成することができる。本開示のLTS貯留部は、一般に、記憶効果、折り目形成及びバイアスがない折畳みから作製された貯留部によって、システムに負荷される正圧勾配を最小化又は排除するように設計されている。かかる勾配によって、システムに正味の圧力差を加える貯留部の復元(体積の増加)が生じ、エジェクタの開口を介して空気を吸引することによって、潜在的な障害の原因となり得る。特定の態様において、圧力差を補正するために、LTS貯留部は、バイアスをかけてその低位置の静止位置に折り畳まれるように構成され、これによって、折り目形成の可能性が低減又は排除される。
【0114】
また、LTS貯留部は、不活性及び蒸発抵抗性を損なうことなく、容積の増加、反発及び記憶効果に抵抗する、薄く、可撓性の(低引張応力)材料から構成される(表7を参照)。上で説明し、以下に更に詳しく説明するように、LTS貯留部は、例えば、RF溶接、成形同時充填法、成形充填法などを含む、いずれかの適切な方法で構成することができる。
【0115】
理論によって制限されるものではないが、作動時に、流体貯留領域/貯留部からキャピラリ管を介して流体輸送を支援するために、LTS貯留部は、
図27に示されているように、並びに、以下にベルヌーイの方程式において説明するように、及び
図28に示されているように、連続性の原理及びベンチュリ効果を組み込むことによって流体を加速させるように、幾何学的に設計することもできる。
【0116】
また、理論によって制限されるものではないが、
図28には、連続性の原理から生じる速度の増加によって貯留部が下方に移動する場合、貯留部の幾何形状の収束形状プロファイルへの変更(大きな面積から小さな面積)が、どのようにして流体加速を生じるのかについて記載されている。ベルヌーイの方程式によれば、連続性の原理からの速度増加によって、(連続性を維持するために)速度が増加する領域において圧力が減少する。この圧力の変化によって、穿刺針/キャピラリ管を介して流体を付属部品に輸送するのを支援する勾配が生じる。収束面積の変化から生じるこのような速度増加は、ベンチュリ効果として知られている。
【0117】
図29は、静水圧が、どのようにして、LTSアンプルから付属部品に、及び穿刺針を通して流体貯留部内に流体を流れさせるかについて示している。静水圧を最大にするためには、静水圧が高さの関数であるため、アンプルを直立位置に配向させる必要がある。
【0119】
図30は、折り畳まれる非流体加速LTS貯留部の幾何形状の概略図を示している。直立した矩形は、その最小寸法(図示しない。)に沿って折り畳まれるように設計された貯留部(IVバッグに類似)を表わす。直立した矩形の貯留部構造は、静水圧の効果が最大になるように、高さを最大にするように直立して配向されている。図示されている2つ目の像は、直立した矩形と同様に機能するが静水圧の効果を最大にすることのない、横向きの矩形である。3つ目の像は、正方形の貯留部形状を示している。
図31は、流体加速LTS貯留部の幾何形状の概略図を示している。
【0120】
図32を参照すると、円形流体加速LTS貯留部の2つの例が示され、一方は、成形同時充填法によって構成され(
図32A)、他方は、RF溶接によって構成されている。図示されているように、貯留部にバイアスがかけられ、最小寸法、
図32において厚さに沿って折り畳まれる場合、折畳みの量を高めることができる。このような折畳みによって、作動時における貯留部の折り目の形成が大幅に防止される。直立型の貯留部の構造において、エジェクタ装置の作動時における折り目の形成の更なる防止は、ハウジング内に貯留部を封入することによって生じ得、ハウジングが空になると、ハウジング自体の上に折り畳まれることが防止される。これらの貯留部の性能を裏付けるデータは、本明細書に示されている。
【0121】
図33は、穿刺プレート3300と、付属部品を備えた成形同時充填貯留部の構造を示している。使用される自己封止型貯留部の材料についての特定の実施形態において、穿刺は、貯留部の下部領域から直接実行することできる。
図33の下部に示されている充填コンパートメントは、第2の貯留部の最大流体充填を可能にするように設計されている。成形同時充填穿刺プレートアセンブリの代替的穿刺メカニズムは、
図34に示されている。
【0122】
図34Aは、成形同時充填貯留部穿刺プレートアセンブリの別の実施形態の側面プロファイルを示している。
図34Aは、プラスチックシェル3400が自己封止型材料から構成される場合に、成形同時充填貯留部を介して針穿刺を支援するのに用いられる、プラスチックシェルの形態の硬化メカニズムを示している。右側の図(
図34B)は、成形同時充填貯留部が、穿刺時に自己封止せず、
図22及び23と同様に、付属部品に接続される必要がある場合の構造を示している。
図34Bに示されているように、針は、シリコーンガスケットを経て、「針は、ここを通して穿刺する」と示されている領域に通す必要がある。
【0123】
本開示の更なる他の実施形態において、
図35は、折り目形成を防止する特定の方法によりバイアスをかけて折り畳まれた貯留部の幾何形状を示している。これらのアンプルの下方噴霧及び折畳み手順及び結果は、以下の実施例に開示されている。
【0124】
実施例3:下方噴霧及び折畳みの測定
例えば
図30〜35に示されているように、種々の貯留部構造が流体を除去している場合に、システムにかける負圧の量を決定するために、静的折畳み試験を実行した。本試験の試験設定を
図36〜37に示す。試験の手順は、以下のとおりであり、すなわち、貯留部を水柱管に取り付け、水柱管を真空調節装置に接続し、真空調節装置を、貯留部又はアンプルから流体を吸引するのに用いられる機械ポンプに接続する。
【0125】
所定の周波数又は複数の周波数(質量堆積スウィープ,mass deposition sweep)において装置からの噴霧質量を決定するために、質量堆積試験を実行した。一部の周波数において噴霧当たりの質量が非常に低く、当該質量が、質量を測定するのに用いられる計量手段の公差の下限にあり得ることを考慮し、噴霧数をそれぞれの周波数において試料ごとに変化させ、そして、それぞれの周波数において噴霧量ごとに平均し決定した。また、このことは、測定中に何らかの誤差を排除するのにも有用であった。(用いられる計量手段は、ミリグラムの10分の1まで読み取ることができた。)。これらの設定を、計量手段、関数発生器及びオシロスコープと通信するラップトップコンピュータによって実行した。噴霧質量を、噴霧時の電気特性(位相及び電圧と電流の大きさ、並びにインピーダンス)とともに記録した。labview実行プログラムにコンパイルし、ラップトップから実行するlabviewプログラムによって、設定を制御した。このプログラムによって、ユーザは、セットアップ中に実験室の機器、計量手段のCOMポート、並びにオシロスコープ及び関数発生器のユニバーサルシリアルバス(USB)識別を選択することができる。ユーザは、電圧、波形、開始周波数、終了周波数、ステップサイズ、噴霧数、噴霧間の時間、及び噴霧時間という試験パラメータを規定することもできる。プログラムは関数発生器と通信し、噴霧の周波数及びとサイクル数を設定し、適切な噴霧時間を達成し、オシロスコープをトリガ(電圧プローブ)からの単一の捕捉に設定した。そして、プログラムは、波形をトリガするように関数発生器に命令した。信号を演算増幅器に送信し、適切な電圧まで信号を大きくし、その後、装置に印加した(0±90V)。装置において、電圧及び電流プローブを取り付け、電圧を確認し、電流を読み取った。計量手段から質量が読み取られる前に計量手段が平衡を保つ時間(およそ8秒)を考慮し、噴霧当たりの質量を決定するように、プログラムに遅延が書き込まれた。計量手段を、試験開始時及び0.5グラムすべてにおいてゼロにした。計量手段をゼロにする場合の0.5グラムすべてにおいて、計量手段を清浄化し、装置に取り付けられた貯留部を再充填した。これは、装置が流体を消費せず、また、0.5gまで蒸発可能な計量手段の流体の量を制限することによって、計量手段の流体の蒸発からの誤差を低下させることを保証した。計量手段は、ユーザによって規定されたそれぞれの噴霧セット(通常は5)後に、読み取った。噴霧質量を、計量手段の読取りから前回値を引くことによって決定し、これによって、噴霧セット間において計量手段をゼロにするのに必要な時間が省かれた。
【0126】
図38は、対照貯留部であって、多くの折り目を形成し負圧の蓄積を生じるように非常に硬質で折り畳み可能な対照貯留部の下方噴霧性能(流体の24%)を示している。
図39は、
図35に示されているように、本開示の代表的なLTS貯留部の結果を示している。これは、制御された方向に折り畳まれるようにバイアスがかけられた幾何形状を生じる場合の下方噴霧性能の改良、並びに、可撓性材料及び適切な材料厚さの選択について示している。グラフは、若干の外れ値があるが、試料(同じ厚さを有する同じ種類のアンプルの複数の試験)の大部分が80%以上の流体を除去でき、
図38の折り目のある対照貯留部よりも良好に除去することを示している。
【0127】
図40は、丸味を帯びたLTS貯留部の一実施形態による2つの別個の下方噴霧性能を示している。この貯留部は、顕著な改善を示し、90%を超える流体が除去された。
図41は、
図35の丸味を帯びたLTSアンプル構造の選択における折畳みについて示している。これらのグラフは、丸味を帯びたLTS貯留部を用いる場合に、システムから発生する負圧の大きな改善を示している。理論によって制限されるものではないが、
図42は、丸味を帯びたLTS貯留部を用いた逆噴霧に関与するメカニズムを示し、
図43は、上下逆の完全な穿刺システムにおいて下方噴霧されたLTS貯留部の実際の下方噴霧性能についての結果を示している。
【0128】
本開示の他の態様によれば、流体充填プレートは、
図44〜46に示されているように、種々の針穿刺システムとともに構成することができる。かかる構造は、貯留部構造、例えば、直立した矩形LTS貯留部(すなわち、IVバッグ型構造)に関連して用いることができる。
【0129】
上述したように、システムのエジェクタプレートには、作動領域(エジェクタ開口)よりも上に、追加の空気圧除去を提供するように、毛管上昇孔が含まれ得る。この追加の空気圧除去によって、流体の完全な毛管上昇が可能になり、貯留領域/貯留部に流体を完全に充填することができる。本発明の特定の態様によれば、予想外にも、これらの孔がエジェクタ開口よりも上に配置されていない場合、流体がエジェクタ開口の高さよりも下に流れると、装置を効果的に作動させることができない(これによって、外部空気が、作動時に、システムに移動できる)ことが分かった。
【0130】
毛管上昇孔を構築する場合、孔の大きさの最適化が重要である。孔は、毛管上昇があまり遅くならないように、適切な通気速度を可能にするのに十分に大きいことが好ましく、また、孔が重力方向に配置される場合、流体が容易に漏出しないように十分に小さいことが好ましい。上昇孔からの流体の漏出は、孔の大きさの関数とともに、流体の表面張力でもある。より高い表面張力を有する流体は、流体によって上昇孔内に形成された流体メニスカスの強度(流体の表面張力の関数である。)により、漏出に対する抵抗性を増加させ、漏出する流体及び移動する空気に対して障壁を生じる。貯留部(アンプル)の静水圧が上昇孔空洞内の表面張力を克服する場合、障壁は破られる(
図47を参照)。
【0131】
本開示の流体充填プレートは、例えば、
図27に関して前述したとおり、吐出用圧電メッシュの作動領域後方の位置に流体を輸送するように、毛管現象を利用する。毛管上昇は、流体の表面張力、流体に接触する面の表面エネルギー(接触角)、流体に接触する面の距離の関数である。穿刺プレートシステムの最適な性能を達成するために、親水性材料(90度未満の流体と表面との間の接触角)を、キャピラリチャネルに用いることが好ましい。さらに、材料は、生体適合性であり、化学的に不活性であることが好ましい。流体上昇を含有する面の距離は、キャピラリ幅が流体のキャピラリ幅よりも相当小さいことを保証し、これによって、表面力が重力よりも顕著に大きいことを保証するように、調整されることが好ましい。
図27に示されているように、システム内の毛管上昇は、穿刺プレート(キャピラリプレート+針)とエジェクタプレート(作動領域が含まれる。)又は開口(圧電メッシュスクリーン)との間において生じる。
【0132】
実施例4:毛管上昇の測定
図48〜49は、水及び例示的な眼科用薬剤ラタノプロストの種々の大きさの半液滴(half droplet radius)の毛管圧を示している。したがって、エジェクタプレートからの流体充填プレート距離は、エジェクタ開口よりも上の特定の高さに対する毛管上昇の最適化の重要なパラメータである。(流体の粘性及び表面張力とともに)このプレートの距離も、流体が最終的な高さに上昇する時間に影響を及ぼす。
図50に示されているように、水及び塩水を噴霧するように構成された装置は、2.7 mm以下のキャピラリ距離によって作動させることができる。ただし、本開示のシステムは、そのように限定されず、2.7 mmから1.7 mm及び1.7 mm未満のキャピラリ距離(キャピラリプレートとエジェクタプレートとの間隔)を、より大きな毛管上昇を達成するのに利用してもよい。特定の実施形態において、穿刺プレートシステムの距離は、50〜200マイクロメートルであり得る。
【0133】
この点に関して、
図51は、種々の材料から製造されたキャピラリチャネルにおける塩水の毛管上昇を示している。
図52は、毛管上昇孔2302を用いないキャピラリプレートと穿刺プレートとの間の毛管上昇を示している。これは、毛管上昇孔が含まれる場合に上昇を示す、
図53に示されている非常に良好な毛管上昇孔と対比されている。
【0134】
さらに、以下の表8〜10は、種々の数及び大きさの毛管上昇孔2302を用いた結果としての、流体充填プレートとエジェクタ機構の背面との間のキャピラリチャネルにおける毛管上昇データを示している。表8は、水の上昇時間のデータを示し、表9は、室温におけるラタノプロストの上昇時間を示し、また、表10は、38°Fに冷却されたラタノプロストの上昇時間を示している。一部の結果は、毛管上昇孔の欠陥による動作(In‐Op、作動領域に充填していない、ブランク流入)として除去しているか、又は非対称の充填を示している(アスタリスクによって印をつけている。)が、5つのキャピラリ孔を用いる場合、結果は、上昇時間において利点を示し、キャピラリ孔の大きさの増加につれて、速い上昇時間を示した。
【0138】
実施例5:選択された眼科用薬剤及び上昇孔の大きさにおける流体漏出試験
装置の一実施形態の毛管上昇孔又は通気孔からの流体漏出を試験するために、
図54に示されているように、試験アセンブリを構築した。上昇孔及びエジェクタアセンブリを備えたエジェクタプレートを、管によって構成された流体柱の下に配置した。試験流体を、エジェクタプレートの真上に配向した管に充填し、流体柱の高さを慎重にモニタリングした。エジェクタ開口よりも上の流体が上昇孔及びエジェクタ開口を通って漏出する試験高さ(静水圧)に流体が達したら、高さ(圧力値に対応)を記録し、上昇孔の寸法を最適化する設計パラメータとして用いた。結果を以下の表11〜13に示す。
【0142】
上述の事項では、例示及び例によって種々の実施形態について説明しているが、当業者であれば、本出願の趣旨及び範囲内において、種々の変更及び改良を実行できることを認識する。
【0143】
上述したように、液滴は、エジェクタ機構に連結された貯留部に収容された流体から、エジェクタ機構によって形成することができる。ともにエジェクタアセンブリを形成するエジェクタ機構及び貯留部は、アセンブリが使い捨て又は再利用できるように着脱可能に構成することができる。このため、構成要素は、ハウジング、例えば、
図2に示されているハウジング202の上部200に着脱可能に被覆されていてもよい。したがって、ハウジング自体は、使い捨てであってもよいし、又は、着脱可能なエジェクタ機構を収容するように構成することによって再利用可能であってもよい。ハウジングは、携帯型、小型化されたものであってもよいし、又は基部に連結するように形成されていてもよく、他の装置と連信するように構成されていてもよい。ハウジングは、識別しやすいように色分けされているか又はそのように構成されていてもよい。
【0144】
エジェクタ機構の具体的な実施形態を以下に説明するが、これは、エジェクタ機構の構成又は用途も、エジェクタ装置に追加することができる特徴も制限しない。一部の実施形態において、エジェクタ装置には、照明手段、アライメント手段、温度制御手段、診断手段又はその他の特徴が含まれ得る。他の実施形態は、対象の治療及び処置に用いられる相互接続された双方向装置のより大きなネットワークの一部であり得る。エジェクタ機構は、例えば、本明細書に説明されている圧電アクチュエータであってもよい。
【0145】
図55A〜55Cを参照すると、エジェクタアセンブリ5500には、エジェクタ機構5501と貯留部5520とが含まれ得る。エジェクタ機構5501には、1以上の開口又は孔5526を含むジェネレータプレート5532に連結されたエジェクタプレート5502が含まれ得る。エジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532は、圧電アクチュエータ5504によって作動させることができ、圧電アクチュエータは、振動して、1つの方向5514に沿って、吐出液滴5512の形態で、貯留部5520内に収容された流体5510を送達する。また、流体は、ヒト成人、子供又は動物の眼5516に向かって吐出される眼科用流体であってもよい。さらに、流体は、ヒト又は動物の不快感、症状又は疾患を治療するための活性医薬を含有していてもよい。一部の実施形態において、ジェネレータプレートは、高弾性高分子材料から形成することができ、例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)及びポリエーテルイミドからなる群より選択される材料から形成することができ、高弾性高分子ジェネレータプレートを含む。
【0146】
図55Aに示されているように、エジェクタプレート5502は、流体5510を収容する貯留部5520の前面に配置されている。エジェクタプレート5502の背面5525は、流体5510に隣接して配置されている。したがって、本実施形態では、貯留部5520は、面5525及び開口5526に隣接して取り付けられた開口端部5538を有する。本実施形態において、面5525は、貯留部5520内に流体5510を封入している。貯留部5520は、適切なシール又は継手を用いて、エジェクタプレート5502の面5525の周辺領域5546において、エジェクタプレート5502に連結することができる。一例として、貯留部5520は、Oリング5548aによって連結することができる。図示していないが、2以上のOリングを使用することができる。当該技術分野で公知のとおり、Oリングは、いずれかの適切な断面形状であり得る。さらに、高分子シール、セラミックシール又は金属シールなどの他の継手を使用することができる。または、継手は完全に除去することができ、例えば溶接又はオーバーモールド法によって、貯留部5520をエジェクタプレート5502に一体的に連結することができる。かかる実施形態では、流体を貯留部5520に供給するための開口を設けることができる(図示しない。)。継手が用いられる実施形態において、継手は、例えば、貯留部5520とエジェクタプレート5502との間のヒンジ接続を設けることによって、又は、可撓性若しくは非硬質コネクタ、例えば、高分子コネクタを設けることによって、着脱可能に作製することができる。
【0147】
貯留部5520は、エジェクタプレート5502の部分を覆う周辺リップ部又は壁5550を構成することができる。
図55Aの実施形態において、壁5550は、エジェクタプレート5502と直接接することなく、Oリング5548aに連結されている。または、壁5550は、エジェクタプレート5502に直接取り付けることができる。代わりに、貯留部は、エジェクタプレートに直接取り付けることができ、壁はすべて省略することができる。
【0148】
形状及び寸法を含む貯留部の構造は、収容される流体5510の量とともに、エジェクタプレート5502の幾何形状に基づいて選択することができる。貯留部の代替的形態としては、(上述したような及び圧力差に対応する)重力送り式、ウィッキング(wicking)又は折畳み式ブラダーが挙げられる。これらの貯留部は、あらかじめ充填するか、マイクロポンプを用いて充填するか、又は交換可能なカートリッジを収容するように構成することができる。マイクロポンプは、折畳み式容器又は非折畳み式容器の中に又は流体を注入することによって、貯留部を充填することができる。カートリッジには、貯留部内に充填される容器が含まれ得る。または、カートリッジ自体を、使い捨て型エジェクタアセンブリに連結することができ、次いで、当該アセンブリは、規定の放出回数の後、交換される。貯留部の例は、2011年7月15日に出願された米国特許出願第13/184,484号に示されており、その内容は、参照により本明細書に援用される。
【0149】
一部の実施形態において、貯留部5520には、貯留部5520内への空気の出入りを可能にし、貯留部内の流体5510を適切な周囲圧力に保つようにするために、貫通孔5542(
図55Aに1つのみ示す。)が含まれている。貫通孔1642は、流体5510が孔から漏出しないように、小さな径を有する。または、貯留部5520内にはいかなる開口も形成されず、少なくとも一部、例えば部分5544又は貯留部5520全体は、例えば、上で詳細に論じたように、ブラダーの形態で折畳み可能である。このため、一部の実施形態において、貯留部全体は、可撓性又は折畳み式ブラダーの形態で作製することができる。したがって、流体5510が開口5526を通って吐出されると、貯留部5520は、その形状及び容積を変化させ、続いて、貯留部5520内の流体5510の量を変化させる。
【0150】
図55Aの実施形態において、エジェクタ機構5501は、本実施形態において環状である圧電アクチュエータ5504により振動させることによって作動する。2つの電極5506a及び5506bは、エジェクタプレート5502の面5522に平行な圧電アクチュエータ5504の2つの対向する面5536及び5534上に形成され、圧電アクチュエータ5504を作動させエジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532を振動させる。表示を容易にするために、エジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532は、共通の平面内に示されている。ただし、
図55B〜55Dに関して以下により詳しく論じるように、本実施形態において、ジェネレータプレート5532は、エジェクタプレート5502の表面に取り付けられている。電極5506a及び5506bは、接着剤による固定又は他の結合を含むいずれかの公知の方法でエジェクタプレート又は圧電アクチュエータに取り付けることができる。また、これらの電極は、エジェクタプレート5502に対して所定の場所でオーバーモールドすることもできる。ワイヤ又はその他の導電性コネクタを用いて、エジェクタプレート5502と電極5506a及び5506bとの間に必要な電気接触をもたらすことができる。または、めっき、又は、それ以外に、堆積によって、エジェクタプレート5502上に電極を形成することができる。一例として、電極は、電極5506aとエジェクタプレート5502との間に塗布される導電性接着剤5528によって取り付けられ、電極5506aを、エジェクタプレート5502と電気接触状態に配置させる。電極5506a及び5506bにわたって電圧が印加されると、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502及び同様にジェネレータプレート5532を曲げて、形状を、凹形又は凸形に変化させる。
【0151】
したがって、電極5506a及び5506bにわたって電圧が印加されると、圧電アクチュエータ5504は、連結されるエジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532の共振周波数において、エジェクタプレート5502及び同様にジェネレータプレート5532を曲げて、形状を、交互に凹形又は凸形に変化させる。共振周波数において、圧電アクチュエータ5504によって曲げられた連結されるエジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532は、連結されるエジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532の変位を増幅し、これによって、圧電アクチュエータ入力の所要電力を減少させることができる。更なる態様において、環状/メッシュ固有の内部抵抗による、連結されるエジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532の共振システムの減衰係数は、無拘束状態を防止し、突発的な故障を防止する運動を制限する。
【0152】
種々の圧電材料に対応する広範囲の電圧が当該技術分野において公知であるが、一例として、5〜60V又は30〜60V、例えば40V又は60Vの電圧差が電極に印加されてもよい。電圧差の方向が例えば−40又は−60に反転されると、プレートは、反対方向に曲がる。このようにして、圧電アクチュエータ5504によって、エジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532を振動させ、この振動は、流体5510からの液滴5512の形成をもたらす振動を構成している。交流電圧が電極5506a及び5506bに印加されると、エジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532は振動し、これによって、流体液滴5512が開口5526内に蓄積し、最終的に、貯留部5520から離れるような方向5514に沿って、開口5526から吐出する。振動の周波数及び波長は、エジェクタプレート5502の厚さ、組成及び形態並びにその剛性を含む機械特性、ジェネレータプレート5532の特性、開口5526の容積、開口5526の数、圧電アクチュエータ5504の組成及び構造、圧電駆動電圧、周波数及び波形、流体の粘性、温度及びその他の要因を含むがこれらに限定されない、多くの要因によって異なり得る。これらのパラメータは、所望の液滴流を発生させるように調整又は選択することができる。液滴吐出頻度も多くの要因によって異なる。一部の実施形態において、液滴5512は、パルス周波数よりも低い周波数で圧電アクチュエータ5504に吐出される。例えば、液滴5512は、エジェクタプレート/ジェネレータプレートの振動(アクチュエータ5504と同じ周波数で振動する。)の1〜1000サイクル、より具体的には8〜12サイクルごとに吐出される。一部の実施形態において、ジェネレータプレートは、高弾性高分子ジェネレータプレートを含む。
【0153】
本開示の一実施形態において、
図55Cに示されているように、エジェクタプレート5502は、対称取付構造体5555によって、任意の孔5551を通して中心対称的に取り付けることができる。対称取付構造体は、エジェクタプレート5502の等速表面積を最大にし、抗対称モードを抑制し、機械的に圧電材料を低次ベッセルモードに一致させることができる。
図1Cに示されているように、本実施形態には、4つの取付タブ5555がある。別の実施形態では、8つの取付タブ5555があり得る。更なる別の実施形態では、16の取付タブ5555があり得る。
【0154】
特定の態様において、中心対称取付けは、無鉛、例えばBaTiO
3圧電材料の使用を提供する。本開示の一実施形態において、ジェネレータプレート5532及び圧電アクチュエータ5504へのエジェクタプレート5502の共振結合は、業界標準圧電材料よりも小さい変位を有する圧電材料の使用を提供する。
【0155】
図55Aを参照すると、本開示の特定の実施形態によれば、エジェクタプレート5502は、一体化されたジェネレータプレート5532を有した単純なエジェクタプレート5502であってもよく、一体化されたジェネレータプレートは、中央領域5530及び開口5526を有する。本開示の他の実施形態(
図55B〜D)において、エジェクタプレート5502は、連結されるジェネレータプレート5532を有したハイブリッドエジェクタプレート1602であってもよく、連結されるジェネレータプレートは、中央領域5530及び開口5526を有する。エジェクタプレート5502の第1の面5522は、ジェネレータプレート5532に連結することができる。エジェクタプレート5502は、一般に、ジェネレータプレート5532と並んで構成された中央開口領域5552を備え得る。そして、ジェネレータプレート5532は、ジェネレータプレート5532の中央領域5530がエジェクタプレート5502の中央開口領域5552に並んで配置されるように、エジェクタプレート5502に連結することができる。ジェネレータプレート5532の中央領域5530には、一般に、1以上の開口又は孔5526が含まれ、エジェクタプレート5502の中央開口領域5552と、1以上の開口5526を備えたジェネレータプレート5532の中央領域5530の配向によって、1以上の開口5526の連通が可能になる。一部の実施形態において、ジェネレータプレートは、高弾性高分子ジェネレータプレートを含む。
【0156】
特定の態様において、エジェクタプレート5502の中央開口領域5552は、材料の十分な重なりを提供し、エジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532の連結を可能にするように、ジェネレータプレート5532よりも小さくすることができる。ただし、エジェクタプレート5502の中央開口領域5552は、かかる実施形態において、ジェネレータプレート5532の中央領域5530(そして、1以上の開口5526)を干渉しないか又は閉塞しないような大きさ及び形状である必要がある。非限定的な例として、エジェクタプレートの中央開口領域5552は、ジェネレータプレート5532と同様に形成することができ、例えば、約0.5 mm〜約4 mm、例えば、約1 mm〜約4 mm又は約1 mm〜約2 mmなどの、エジェクタプレート5502にジェネレータプレート5532を連結するのに利用可能な材料の重なり(例えば、すべての側面での重なり)となるような大きさにすることができる。例えば、エジェクタプレートの中央開口領域5552は、概してジェネレータプレート5532の形状と一致するように、正方形、矩形、円形、楕円形などとして形成することができ、中央開口領域5552の全寸法が、例えば、約0.5 mm〜約4 mm小さくなるような(すなわち、円の直径は、約0.5〜約4 mm小さく、楕円形の主軸線及び副軸線は、約0.5 mm〜約4 mm小さく、正方形又は矩形の側面の長さは、約0.5 mm〜約4 mm小さくなるなどの)大きさにすることができる。一部の実施形態において、ジェネレータプレートは、高弾性高分子ジェネレータプレートを含む。
【0157】
本明細書に記載されているものを除いて、例示的なエジェクタ機構は、2012年12月12日に出願された「エジェクタ機構、装置及び使用方法」という名称の米国特許出願第13/712,784号、並びに、2012年12月12日に出願された「高弾性高分子エジェクタ機構、エジェクタ装置及び使用方法」という名称の米国特許出願第13/712,857号に開示されており、これらの内容は、参照によりこれらの全体において本明細書に援用される。
【0158】
ジェネレータプレート5532は、使用する材料に応じて、当該技術分野で公知のいずれかの適切な方法を用いて、エジェクタプレート5502に連結することができる。連結方法の例としては、接着材及び結合材、例えば、膠、エポキシ、結合剤、及びloctite409などの接着剤、又はその他の適切な強力接着剤、溶接及びボンディング加工、例えば、超音波若しくはサーモソニックボンディング、熱接合、拡散接合、又は圧入などの利用が挙げられる。
【0159】
エジェクタプレート5502の面5522も、作動時に液滴を形成するようにジェネレータプレート5532を作動させる圧電アクチュエータ5504に連結することができる。エジェクタプレート5502に対する圧電アクチュエータ5504の取付方法及び場所は、エジェクタアセンブリ5500の作動及び液滴流の発生に影響を及ぼす。
図55B〜Cの実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、プレート5502の面5522の周辺領域に連結することができ、ジェネレータプレート5532は、上述したように、エジェクタプレート5502の中央開口領域5552と並んで配置されるように、面5522に連結されている。圧電アクチュエータ5504は、一般に、ジェネレータプレート5532の中央領域5530(そして、1以上の開口5526)を覆わないか又は閉塞しないように、エジェクタプレート5502に連結されている。このようにして、流体5510は、(
図55Aに示されているように)開口5526を通過して、液滴5512を形成することができる。
【0160】
エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532によって構成される構造は、それぞれの固有モードにおいて、前述の構造が励起される場合に構造が採用する形状を構成する多くの固有モードを有する。固有モードの例を
図3に示している。これらの固有モードのうちのいずれかにおける最大吐出では、圧電アクチュエータ5504は、適切に形成され、また、所望の固有モードにおいて、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532の変形に対する最小の抵抗を示す位置に配置されることが必要である。圧電アクチュエータ5504が所定の固有モードの形状に対する制限を提供する場合、圧電アクチュエータ5504及び結合層の剛性は、モードを減衰させる(継続的な移動に対して抵抗を提供し)、圧電アクチュエータ5504の材料特性に非常に依存する構造体の移動を強制し得る。これによって、圧電アクチュエータ5504特性のおおよその割合において、質量吐出を制限することができる。
【0161】
一部の実施形態において、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532の固有モードは、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532の端部に圧電アクチュエータ5504を単に取り付けるだけで、継続的な移動(エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532の共振)に対する(エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532の内部抵抗以外の)低い抵抗により又は抵抗なく励起することができる。エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532の端部に圧電アクチュエータ5504を結合することによって、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532の移動に対して、少なくとも可能な抵抗を提供することができる。セラミック(例えば、圧電アクチュエータ5504)の剛性、及び固有モード形状への結合によって提供される機械的抵抗が、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532自体よりも小さいので、結合された端部又は結合された端部付近の実施形態において、圧電アクチュエータ5504の制限は最小化される。
【0162】
本開示の特定の態様において、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532の固有モードは、圧電アクチュエータ5504の寸法を変更することによって最適化することができる。態様において、所定の固有モードは、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532上の定常波、並びに(主要な半径方向若しくは長手方向の駆動モードに応じて)定常波ノード又は反ノード内の圧電アクチュエータ5504の寸法の抑制に関して、正しい位置において駆動力(例えば、圧電アクチュエータ5504)を備えることによって励起することができる。エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532の固有モード、並びにこれらの形状は、解析的にステュルム‐リウビル(Sturm-Liouville)問題を解決することによって求めることができる。
【0163】
本開示の特定の態様において、膜(例えば、ドラム)の理想化された固有モードは、ステュルム‐リウビル問題を解決することによって求めることができるが、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532の固有モード形状、周波数及び対応する振幅係数を解析的に解決するのは、数学上困難であるか又は更に解決困難になる。理想化された膜が搭載され、駆動素子が含まれ、理想化されていない境界条件を有するか、又は多数の材料を含む場合、ステュルム‐リウビル問題の解決策を得るための解析的制限が発生する。
【0164】
本開示に係る態様において、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532には、流体5510などの充填物が含まれている。他の態様において、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532には、圧電アクチュエータ5504駆動素子が含まれている。別の態様において、エジェクタプレート5502には、1以上の材料を含む連結されるジェネレータプレート5532が含まれ得る。更なる態様において、エジェクタプレート5502は、不均一な厚さであり得る。同様に、一態様において、結合されるジェネレータプレート5532は、不均一な厚さであり得る。更なる別の態様において、ジェネレータプレート5532は、不均一であり重要な解析解をもたらし得る開口5526を有し得る。
【0165】
理想化されていない膜に起因する解析的な制限を克服することができる。本開示に係る特定の態様において、有限要素法(FEM)を用いて、構造全体をより小さな離散要素に分割するように、計算ソフトウェアを用いることができる。態様において、計算ソフトウェアは、構造を、振動関心対象の最小波長(最大周波数)の大きさの半分以下にできる要素に離散化する。他の態様において、離散要素は、振動関心対象の最小波長(最大周波数)の大きさの5分の1以下にすることができる。他の態様において、離散要素は、振動関心対象の最小波長(最大周波数)の大きさの10分の1以下にすることができる。本開示の別の態様において、離散要素は、振動関心対象の最小波長(最大周波数)の大きさの15分の1又は20分の1以下にすることができる。そして、態様において、偏微分方程式を含む解析的な問題は、離散要素のそれぞれの点における中央差分により表わすことができる。別の態様において、偏微分方程式は、システムのエネルギーを最小化する基底関数の和を求めることによって解決することができる。
【0166】
態様において、FEM法を用いて、固有モード周波数及び形状は、解放された、単に支持された、固定された、ピンで留められたなどの境界条件のセット、又はこれらの境界条件の一部のハイブリッドのモード解析によって決定することができる。態様において、圧電アクチュエータ5504の形状は、駆動するように定められた固有モード形状によって決定することができる。特定の態様において、圧電アクチュエータ5504の形状は、単位面積当たりに加えられる力のカウンターバランスによって主に決定され、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532に接する圧電アクチュエータ5504の面積に直接関係し、抵抗又は減衰は、結合された圧電アクチュエータ5504の剛性によってモード形状に加えられる。
【0167】
本開示に係る特定の実施形態において、圧電アクチュエータ5504の位置及び初期サイズが決定されると、エジェクタプレート5502上でモデル化され、圧電アクチュエータ5504の上部に印加される電圧をシミュレートし、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532末端に接地される。エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532は、単純なエジェクタプレート5502、連結されるジェネレータプレート5532を有するハイブリッドエジェクタプレート5502、4つの柱構造を有する単純な又はハイブリッドエジェクタプレート5502、電場スクリーニング構造体、又はその他のいずれかの構造体の組合せであり得る。圧電アクチュエータ5504の励起周波数は、ゼロ周波数付近から、数百キロヘルツ(kHz)又はより一般にいずれかの周波数まで、シミュレーションにより掃引される。単純な又はハイブリッドエジェクタプレート5502が経験するモード形状、変位の振幅及び速度は、掃引において周波数ごとに計算される。FEM法を適用することによって、構造の振幅及び速度を評価することができる。
【0168】
エジェクタプレート5502/圧電アクチュエータ5504システムが、所望の周波数において適切な振幅及び速度によって移動する場合、構造は完全である。そうでない場合、構造は、圧電アクチュエータ5504によって印加されるエジェクタプレート5502の減衰を変化させるように、圧電アクチュエータ5504の高さを薄くするか又は厚くすることによって調整される。特定の態様において、圧電アクチュエータ5504は、特定モードの減衰を低減させるか、又は共振周波数を高く若しくは低く変化させるように、横方向/半径方向に調整することもできる。シミュレーションは、構造の最適化が完了するまで、圧電アクチュエータ5504サイジングの傾向を示すように繰り返される。
【0169】
エジェクタアセンブリ5500は、所望の標的、例えば眼に治療剤又はその他の流体を送達するのに用いられるので、エジェクタアセンブリ5500は、貯留部5520内に収容されている流体5510及び吐出される液滴5512の汚染を防ぐように設計することができる。一部の実施形態において、例えば、圧電アクチュエータ5504、エジェクタプレート5502、ジェネレータプレート5532などの、流体に露出する露出面の少なくとも一部の上にコーティング(図示しない。)を形成することができる。圧電アクチュエータ5504並びに電極5506a及び5506bと流体5510が直接接触するのを防ぐために、コーティングを用いてもよい。エジェクタプレート5502又はジェネレータプレート5532が流体と相互作用するのを防ぐために、コーティングを用いてもよい。また、圧電アクチュエータ5504並びに電極5506a及び5506bを環境から保護するために、コーティングを用いてもよい。例えば、コーティングは、非反応性材料、例えば、ポリプロピレン、ナイロン若しくは高密度ポリエチレン(HDPE)を含むポリマー、又は、金、白金若しくはパラジウム、又はTeflon(登録商標)を含むコンフォーマルコーティングコーティングであり得る。コーティングについては、本明細書で更に詳しく説明する。
【0170】
ジェネレータプレート5532は、少なくとも1つの開口5526を含有する有孔プレートであってもよい。1以上の開口1626は、流体5510がその開口を通りジェネレータプレート5532から吐出されると、液滴を形成することができる。ジェネレータプレート1632には、いずれかの適切な開口構造が含まれ得る。高弾性高分子を含むジェネレータプレート5532の例は、2012年12月12日に出願された「高弾性高分子エジェクタ機構、エジェクタ装置及び使用方法」という名称の米国特許出願第13/712,857号に開示されており、その内容は、かかる開示の目的において、参照によりこれらの全体において本明細書に援用される。
【0171】
一部の実施形態において、エジェクタプレート5502は、金属、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、チタン、イリジウム、白金若しくはパラジウム又はこれらの合金から形成することができる。または、プレートは、他の金属、又はポリマーを含む他の適切な材料から形成し、上述したとおりにコーティングすることができる。プレートは、1以上の材料又は層の複合材料であってもよい。プレートは、例えば、板金からの切断、予備成形、圧延、鋳造又はその他の成形によって製造することができる。また、コーティングも、スパッタリング、物理蒸着法(PAD)、化学蒸着法(COD)を含む蒸着、又は静電粉体堆積(electrostatic powder deposition)などの適切な堆積法によって堆積することができる。保護コーティングは、約0.1 μm未満〜約500 μmの厚さを有し得る。高周波数で振動させる場合に、層間剥離を防止するのに十分な程度に、エジェクタプレート5502にコーティングを接着することが望ましい。
【0172】
一実施形態において、
図55B及び55Dを参照すると、エジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532は、同心円状の形状であり得る。特定の態様において、エジェクタプレートは、本明細書に説明されているジェネレータプレートの継手及びその他の構成要素(例えば、圧電アクチュエータなど)に適合するように、ジェネレータプレートよりも大きくてもよい。特定の実施形態において、ジェネレータプレート5532の全体の大きさ又は径は、少なくとも部分的に、中央領域5530の大きさ及び開口5526の配置によって決定することができる。一部の実施形態において、ジェネレータプレートは、高弾性高分子ジェネレータプレートを含む。
【0173】
ただし、両方のプレートは、独立して、例えば、楕円形、正方形、矩形又は略多角形の他の形状を有していてもよく、同一であるか又は異なっていてもよい。全体の大きさ又は形状は、いずれかの適切な大きさ及び形状であってもよく、エジェクタ装置の設計パラメータ、例えば、外側装置ハウジングの大きさ及び形状などに基づいて選択してもよい。さらに、プレートは、水平である必要がなく、プレートには、凹面又は凸面にする面の湾曲が含まれ得る。圧電アクチュエータ5504は、いずれかの適切な形状又は材料のものであってもよい。例えば、アクチュエータは、円形、楕円形、正方形又は矩形又は略多角形の形状であってもよい。アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502、ジェネレータプレート5532又は領域5530若しくは5532の形状に一致し得る。または、アクチュエータ5504は異なる形状であり得る。さらに、アクチュエータ5504は、1以上の部分においてエジェクタプレート5502又はエジェクタプレート5502の面5522に連結され得る。
図55B及びDに示す例において、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502、ジェネレータプレート5532及び領域5530/5532と同心であるリングの形状で示している。
【0174】
一部の実施形態において、エジェクタプレート5502及び/又はジェネレータプレート5532に、汚染防止特性及び/又は抗菌特性を有する保護コーティングをコーティングすることができる。保護コーティングは、開口5526を構成する面を含む、エジェクタプレート及び/又はジェネレータプレートの全面にわたって適合させることができる。他の実施形態において、保護コーティングは、選択された面、例えば面5522、5525、又は表面領域、例えばかかる面の一部に塗布することができる。保護コーティングは、生体適合性金属、例えば、金、イリジウム、ロジウム、白金、パラジウム若しくはこれらの合金、又は生体適合性ポリマー、例えば、ポリプロピレン、HDPE若しくはTeflon(登録商標)から形成することができる。抗菌性材料としては、銀、酸化銀、セレン、又はポリケトンなどのポリマーが挙げられる。保護コーティングは、流体5510又は液滴5512と直接接触することができる。コーティングは、流体の周辺に不活性障壁を提供するか、又は、微生物の増殖を阻害し、流体5510及び/又は液滴5512を殺菌することができる。
【0175】
また、エジェクタプレート5502の面5532、及びジェネレータプレート5532の湿った面のうちの1つ又は両方に、親水性又は疎水性コーティングをコーティングすることができる。さらに、コーティングに、保護層をコーティングすることができる。さらにまた、面に反射層をコーティングすることもできる。コーティング層は、保護性及び反射性の両方であってもよい。または、1以上の面は反射性となるように形成することができる。例えば、面は、ステンレス、ニッケル‐コバルト又はその他の反射性材料から製造することができる。面は、反射性となるように形成するか又は研磨することができる。面を反射性にすることに加えて、面は、その表面上又はその周辺で逆光も受け得る。眼科用途において、反射面は、ユーザが眼にエジェクタアセンブリを配置するのを補助する。
【0176】
所望に応じて、エジェクタアセンブリの面には、浸漬、電気めっきを含むめっき、又は成形若しくは鋳造などによる他の封入によって予備形成することができるコーティングが含まれ得る。また、コーティングは、スパッタリング、物理蒸着法(PAD)及び化学蒸着法(COD)を含む蒸着、又は静電粉体堆積などの適切な堆積法によって堆積することもできる。保護コーティングは、約0.1 μm未満〜約500 μmの厚さを有し得る。高周波数で振動させる場合に、層間剥離を防止するのに十分な程度に、プレートにコーティングを接着することが望ましい。
【0177】
圧電アクチュエータ5504は、当該技術分野で公知のいずれかの適切な材料から形成することができる。一例として、一部の実施形態において、圧電アクチュエータは、PZT、チタン酸バリウム、又はポリビニリジンフルオリドなどの高分子系圧電材料から形成することができる。電極5506a及び5506bは、金、白金又は銀を含む適切な導電体から形成することができる。接着剤5528として使用するのに適切な材料としては、シリコーン接着剤、エポキシ又は銀ペーストなどの接着剤を挙げることができるが、これらに限定されない。導電性接着剤の一例としては、Dow Corning社のDA6524及びDA6533などのチキソトロピー接着剤(Thixotropic adhesive)が挙げられる。貯留部5520は、高分子材料から形成することができ、その2、3の例としては、Teflon(登録商標)、ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン又はシリコーンが挙げられる。
【0178】
圧電セラミック材料は、非分極状態では等方的であるが、分極状態では異方性になる。異方性材料では、電場と電気変位がともに、機械的力ベクトルと同様に、三次元ベクトルとして表現される必要がある。これは、結晶(又は分極セラミック)軸線に対するキャパシタプレートの方向における電場Eに対する誘電体の変位Dの比の依存性の直接的な結果である。これは、電気変位の一般式が、次の状態変数方程式のように表わされ得ることを意味する。
【0180】
電気変位は、常に電場に平行であり、このため、それぞれの電気変位ベクトルD
iは、次に示すように、電場ベクターE
jとその対応する誘電率ε
ijを掛けたものの和に等しい。
【0182】
(単結晶圧電材料とは対照的に)圧電セラミックスの誘電率の大部分はゼロである。唯一の非ゼロ項は、次のとおりである。
【0184】
圧電効果は、機械的効果を電気的効果に関連付ける。これらの効果は、分極軸に対するこれらの方向に大きく依存している。軸の番号付けスキームを
図56に示す。例えば、電気機械定数d
abでは、aは電気的方向であり、bは機械的方向であり、また、電気機械定数では、D
33は、この場合、分極方向Zにおける機械的変位を有するε
33 E
3である。
図55Aを参照すると、方向Zは、吐出された液滴5512の方向、方向5514である。
【0185】
したがって、D
33は、セラミック材料が分極する方向と平行な方向Z(
図55Aの方向5514に対応する分極方向)の誘電分極である。
【0186】
本開示の特定の実施形態によれば、圧電材料は、分極方向Z(例えば、
図55Aの方向5514)において機械的変位によって説明することができる。
【0187】
一部の実施形態において、圧電材料は、D
33=330 pC/Nを有するジルコニウム酸チタン酸鉛(PZT)であり得る。別の実施形態において、圧電材料は、広く用いられているPbTiO
3‐PbZrO
3(PZT)ベースの多成分系の種類であり得る。市販PZT圧電セラミックには、225 pC/NのD
33を有するPZT‐4、350 pC/NのD
33を有するPZT‐5A、及び585 pC/NのD
33を有するPZT‐5Hが含まれる。(PZT)系の圧電アクチュエータは、300 pC/Nを超えるD
33を有する材料から形成することができる。別の実施形態において、圧電セラミックは、200 pC/N〜300 pC/NのD
33を有し得る。別の実施形態において、圧電セラミックは、250 pC/N〜300 pC/NのD
33を有し得る。
【0188】
一部の実施形態において、安全上の理由及びFDA/EUコンプライアンスにより、圧電材料から鉛を除去することが望ましいと考えられる。実施形態において、無鉛圧電セラミックは、300 pC/N未満のD
33を有するものを用いることができる。別の実施形態において、無鉛圧電セラミックは、200 pC/N未満のD
33を有するものを用いることができる。更なる別の実施形態において、無鉛圧電セラミックは、150 pC/N〜200 pC/NのD
33を有するものを用いることができる。更なる別の実施形態において、無鉛圧電セラミックのD
33は、150 pC/N未満であり得る。更なる別の実施形態において、無鉛圧電セラミックは、100 pC/N〜150 pC/NのD
33を有するものを用いることができる。更なる別の実施形態において、圧電アクチュエータに適した無鉛圧電セラミックのD
33は、100 pC/N未満であり得る。
【0189】
一部の実施形態において、圧電素子は、市販材料から製造することができる。非限定的な例において、表14に示されているSunnytec Powder Materials社から入手可能な材料が、本開示の圧電素子に適切であり得る。
【0191】
一部の実施形態において、圧電材料は、BiFeO
3系セラミックであり得る。一部の実施形態において、セラミックは、(Bi,Ba)(Fe,Ti)O
3、(K,Na,Li)NbO
3、(K,Na,Li)NbO
3、(K,Na,Li)NbO
3、(K,Na,Li)NbO
3、Bi(Fe,Mn)O
3+BaTiO
3、Bi(Fe,Mn)O
3+BaTiO
3、BiFeO
3‐NdMnO
3‐BiA1O
3、(Bi,La)(Fe,Mn)O
3、(Bi,La)(Fe,Mn)O
3、BiFeMnO
3‐BaTiO
3、Bi(Fe,Mn)O
3‐BaZrTiO
3、(Bi,La)(Fe,Mn)O
3、(Bi,La)(Fe,Mn)O
3、(Bi,Ba)(Fe,Ti)O
3、Bi(Zn,Ti)O
3‐La(Zn,Ti)O
3‐Ba(Sc,Nb)O
3(d
33=250)、BiFeO
3、(Ba,M)(Ti,Ni)O
3、BiFeO
3、Bi(Al,Ga)O
3、BT‐BiFeO
3、Bi(Fe,Al)O
3、Bi(Fe,Al)O
3、Bi(Fe,Co,Mn)O
3、BiFeO
3‐BaTiO
3、BiFeO
3‐BaTiO
3、Bi(Al,Ga)O
3(d
33=150)、Bi(Al,Ga)O
3、BiFeO
3+AD、BiFeO
3+BaTiO
3、BiFeO
3系,BaTiO
3‐BiFeO
3、(Bi,x)(Fe,Mn)O
3、及び(Bi,x)(Fe,Ti,Mn)O
3からなる群より選択することができる。
【0192】
一部の実施形態において、圧電材料は、チタン酸ビスマスナトリウム(BNT)材料又はチタン酸ビスマスカリウム(BKT)材料であり得る。BNT又はBKT材料は、(1−x)Bi
0.5Na
0.5TiO
3-xLaFeO
3、(1−x)Bi
0.5Na
0.5TiO
3-xNaSbO
3、(1−x)Bi
0.5Na
0.5TiO
3-xBiCrO
3、(1−x)Bi
0.5Na
0.5TiO
3-xBiFeO
3、Bi
0.5(Na
1-xK
x)
0.5TiO
3(BNKT)、Bi
0.5(Na
1-xK
x)
0.5TiO
3(BNKT)、Bi
0.5(Na
1-xK
x)
0.5TiO
3(BNKT)、Bi
0.5(Na
1-xK
x)
0.5TiO
3(BNKT)、((1−x)Bi
1-aNa
a)TiO
3−(1−x)LiNbO
3、Bi
0.5(Na
1-xLi
x)
0.5TiO
3、Bi
0.5(Na,K)
0.5[Ti,(Mg,Ta)]O
3、Bi
0.5(Na,K)
0.5[Ti,(Al,Mo)]O
3、Bi
0.5(Na,K)
0.5[Ti,(Mg,Nb)]O
3、Bi
0.5(Na,K)
0.5[Ti,(M,V)]O
3、Bi
0.5(Na,K)
0.5[Ti,(M,V)]O
3、BNT‐BT‐KNN、(1−x)Bi
0.5Na
0.5TiO
3-xBaTiO
3(BNBT)(d
33=100×10
-12C/N以上)、BNT‐BKT‐BT(d
33=158pC/N)、BNT‐BKT‐BT+PT(d
33=127)、BNT‐KN、Bi
0.5Na
0.5TiO
3‐BaTiO
3(BNBT)(d
33=253pC/N)、NGK2、BNT‐BKT‐BT、NGK、BNT‐BKT‐BT、NGK4、Bi
0.5Na
0.5TiO
3‐BaTiO
3‐CaTiO
3‐Ba(Zn
1/3Nb
2/3)O
3+Y
2O
3、MnO、(1−v)[(Li
1-yNa
y)
zNbO
3]‐
v[Bi
0.5Na
0.5TiO
3、(1−v−x)[(Li
1-yNa
y)zNbO
3]‐
xLMnO
3‐v[Bi
0.5Na
0.5TiO
3]、Bi
0.5Na
0.5TiO
3、BNT‐BT、BNT‐BT、
xBi
0.5Na
0.5TiO
3-y(MNbO
3)‐(Z/2)(Bi
2O
3‐Sc
2O
3)(M=K,Na)、BNT‐BKT‐Bi(Mg2/3Ta1/3)O
3、[(Bi
0.5Na
0.5)
xM
y]
z(TiuNv)O
3(M=Ba、Mg、Ca、Sr、(Bi
0.5K
0.5))(N=Zr、Hf)、[(Bi
0.5Na
0.5)
xM
y]
z(TiuNv)O
3(M=Ba、Mg、Ca、Sr、(Bi
0.5K
0.5)、その他)(N=Zr、Hf、その他)、BNT‐BKT‐BT‐CT‐NaNbO
3、BNT‐BKT‐Bi(Ni,Ti)O
3、BNT‐BKT‐Bi(Ni,Ti)O
3、BNT‐BKT‐BT、BNT‐BT‐ST、BNT‐BKT‐BT、BNT‐BKT‐AgNbO
3、BNT‐BKT‐BT、BT‐BKT、BNT‐BT‐Bi(Fe
0.5Ti
0.5)
3、BNT‐BKT‐Bi(Zn
0.5Zr
0.5)O
3、BNT‐BKT‐Bi(Fe
0.5Ta
0.5)O
3、BNT‐BKT‐Bi(M1,M2)O
3、BNT‐BKT、BNT‐BT、BNT‐BKT、Bi
0.5K
0.5TiO
3(BKT)、及びBi
0.5Na
0.5TiO
3-(1−x)ABO
3からなる群より選択することができる。
【0193】
一部の実施形態において、圧電材料は、二重モード磁歪/圧電二層複合材料、タングステン‐ブロンズ材料、ニオブ酸ナトリウム材料、チタン酸バリウム材料及びポリビニリジンフルオリド材料であり得る。本開示の圧電アクチュエータに適した材料の例としては、A
2Bi
4Ti
5O
18(A=Sr、Ca、(Bi
0.5Na
0.5)、(Bi
0.5Li
0.5)、(Bi
0.5Li
0.5)、(A
1-xBi
x)
2Bi
4Ti
5O
18(A=Sr,Ca,(Bi
0.5Na
0.5)、(Bi
0.5Li
0.5)、(Bi
0.5Li
0.5))、Bi
4Ti
3O
12-x(Sr
l-aA
a)TiO
3(A=Ba、Bi
0.5Na
0.5、Bi
0.5K
0.5、Bi
0.5Li
0.5)、Bi
4Ti
3O
12‐(Ba,A)Ti
3、Bi
4Ti
3O
12-x{(Sr
1-aA
a)TiO
3‐ABO
3}(A=Ba、Bi
0.5Na
0.5、Bi
0.5K
0.5、Bi
0.5Li
0.5、A=Bi、Na、K、Li、B=Fe、Nb)、(A
1-xBi
x)Bi
4Ti
4O
15(A=Sr、Ba)、BaBi
4Ti
4O
15、(Sr
2-aA
a)
x(Na
1-bK
b)
y(Nb
5-cV
c)O
15(A=Mg、Ca、Ba)d
33=80pC/N以上、Tc=150℃以上、(Sr
2-aA
a)
x(Na
l-bK
b)
y(Nb
5-cV
c)O
15、(Na
0.5Bi
0.5)
1-xM
xBi
4Ti
4O
15、Bi
4Ti
3O
12、SrBi
2(Nb,W)O
9、(Sr
1-xM1
x)Bi
2(Nb
1-zW
y)
2O
9、(Sr,Ca)NdBi
2Ta
2O
9+Mn、(Sr
1-xM
x)(Bi,Nd)(Nb,Ta)
2O
9、Bi
2(Sr
1-xM
x)Nb
2O
9(M=Y、La)、(Sr
2CaK)Nb
5O
15(d
33=120)が挙げられる。
【0194】
本開示に係る実施形態において、ニオブ材料は、(Sn,K)(Ti,Nb)O
3、KNbO
3‐NaNbO
3‐LiNbO
3‐SrTiO
3‐BiFeO
3、KNbO
3‐NaNbO
3‐LiNbO
3、KNbO
3‐NaNbO
3‐LiNbO
3、
xLiNbO
3‐yNaNbO
3‐zBaNb
2O
6、Na
xNbO
3‐A
yBO
f(A =K、Na、Li、Bi B=Li、Ti、Nb、Ta、Sb)、(1−x)(Na
1-aMn
a)
b(Nb
1-aTi
a)O
3‐
xMbTiO
3(M=(Bi1/2K1/2)、Bi1/2Na1/2)、(Bi1/2Li1/2)、Ba、Sr、(K,Na,Li)NbO
3‐Bi(Mg,Nb)O
3‐Ba(Mg,Nb)O
3、(1−x)[(Li
1-yNa
y)
zRO
3]‐
xLMnO
3(R=Nb、Ta、Sb、L=Y、Er、Ho、Tm、Lu、Yb)、(Li
xNa
1-x-yK
y)
z-2wMa2
wNb
1-wMb
wO
3(Ma=
2+金属A、Mb=
3+金属B)、NN‐BT d
33=164、K
1-xNa
xNbO
3+Sc
2O
3、[(K
1-xNa
x)
1-yAg
y]NbO
3-z[Ma+][O
2-](M=添加物)、Li(K,Na)(Nb,Sb)O
3、KNbO
3‐NaNbO
3(d
33=200)、(Li,Na,K)(Nb,Ta,Sb)O
3、(K,Na,Li)NbO
3、KNbO
3+MeO
3(MnWO
3など)(d
33=130)から選択することができる。
【0195】
チタン酸バリウム材料は、化学式BaTiO
3を有する無機化合物である。チタン酸バリウム材料には、化学量論以下の量の他の元素を更に含んだBaTiO
3材料が含まれる。BaTiO
3材料に含まれる他の元素の例としては、希土類元素及びアルカリ土類金属が挙げられる。化学量論以下の量の他の元素は、BaTiO
3材料の圧電特性を変更する。BaTiO
3材料のドーピングは、化学量論以下の量の他の元素の包含を指す。
【0196】
適切な単結晶チタン酸バリウム材料の例としては、{(Bi1/2,Na1/2)
1-xA1
x}TiO
3(A1=Ba、Ca、Sr)、{(Bi1/2,Na1/2)
1-x(Bi1/2,A21/2)
xTiO
3(Al=Ba、Ca、Sr、A2=Li、K、Rb)(単結晶)、(Sr,Ba)
3TaGa
3Si
2O
14、La
3-xSr
xTa
yGa
6-y-zSi
zO
14、(Ba,Ca)TiO
3、LiNbO
3、LiTaO
3、(K
3Li
2)
1-xNa
xNb
5O
15、La
3Ga
5SiO
14、MgBa(CO
3)
2、NdCa
4O(BO
3)
3(M1=希土類元素、M2=アルカリ土類金属)、LaTiO
2Nが更に挙げられる。
【0197】
一部の実施形態において、エジェクタプレート5502は、適切な材料であって、平面変位、方向5514に基づいて選択される適切な材料から形成することができる。エジェクタプレート5502の変位Z(例えば、方向5514の移動)は、エジェクタプレート5502の径及びエジェクタプレート5502の厚さによって異なる。また、適切な材料も、エジェクタプレート5502のヤング率及びポアソン比を考慮して選択することができる。ヤング率及びポアソン比は、材料の固有の特性であり、適合する材料は、所望の変位を決定するのに選択することができる。エジェクタプレート5502に適した材料において、変位Zは、エジェクタプレート5502の厚さを減少させることによって増加させることができる。
【0198】
方向5514において変位を有するエジェクタプレート5502に適した材料は、エジェクタプレート5502の共振周波数が一致するように、圧電アクチュエータ5504の周波数に関連付けることができる。共振システムにおいて、圧電アクチュエータ5504とエジェクタプレート5502の変位を関連付けることによって、ジェネレータプレート5532の貫通孔を通る液体の吐出を、D
33値によって限定されない圧電アクチュエータによって達成することができる。
【0199】
図55Cを参照すると、エジェクタプレート5502に対する圧電アクチュエータ5504の取付方法及び場所は、エジェクタアセンブリ5500の作動及び液滴流の発生に影響を及ぼし得る。
【0200】
上述したように、エジェクタプレート5502、単純なエジェクタプレート5502、又はジェネレータプレート5532に連結されたハイブリッドエジェクタプレート5502のいずれかは、それぞれの固有モードにおいて、前述のモードが励起される場合に構造が採用する形状を構成する多くの固有モードを有し得る。上に示したように、FEM法、エジェクタプレート5502、及び場合により連結されるジェネレータプレート5532の固有モードを計算し、所望の振幅及び速度を決定することができる。
【0201】
一実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、距離5554がゼロのエジェクタプレート5502の端部に取り付けられている。端部取付構造は、当該構造が励起するように構成されたモードに対するゼロ付近の固有抵抗を有する特殊な場合である。円形の圧電アクチュエータ5504が円形のエジェクタプレート5502の端部に結合されている(例えば、距離5554がゼロであるか又はゼロ付近である)場合において、エジェクタプレート5502は、硬質の圧電アクチュエータ5504が配置される場合、相当強化されるが、圧電アクチュエータ5504の内径5557の内部のエジェクタプレート5502の一部は、自由に移動し、圧電アクチュエータ5504ではなく、弾性限度によってのみ制限される。同様に、ジェネレータプレート5532を有するハイブリッドエジェクタプレート5502も、自由に移動し、圧電アクチュエータ5504ではなく、弾性限度によってのみ制限される。圧電アクチュエータ5504の端部がピンで留められるか又は固定される場合、エジェクタプレート5502は、理想的な(駆動端部)半径方向及び長手方向の励起を有する圧電アクチュエータ5504の内径5557の径であるかのように、実際に作動する。エジェクタプレート5502の全体的な大きさに関連する他のモードは、圧電アクチュエータ5504の剛性により抑制される。特定の実施形態において、圧電アクチュエータ5504の剛性は、圧電アクチュエータ5504の厚さを増減させることによって調節することができる。圧電アクチュエータ5504の調節を示す実施形態は、下の実施例5において示されている。
【0202】
本開示に係る他の実施形態において、エジェクタプレート5502に対する圧電アクチュエータ5504の取付構造は、エジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532の変位及び速度に影響を及ぼす。概して、所定のモードでのエジェクタプレート5502における変位の振幅及び速度は、圧電材料の電圧当たりの移動(D
33)によって主に決定される力と、圧電体によってエジェクタプレート5502を移動させる減衰/抵抗との間のバランスである。圧電材料の剛性の増加によって、減衰及び抵抗が増加する。大きなD
33の圧電材料、例えばPZTのような材料を有する圧電材料を有する本開示の実施形態において、圧電材料の減衰/抵抗は、変位の振幅において重要な役割を果たしていない。低いD
33を有する、例えばBaTiO
3を有する他の実施形態において、液滴エジェクタシステムの性能は、減衰/抵抗によって顕著に減少させることができる。エジェクタアセンブリ5500の性能は、圧電アクチベータ5504を製造するのに用いられる材料のD
33に正比例して減少する。
【0203】
圧電アクチュエータ5504/エジェクタプレート5502の端部取付実施形態の特性は、低い材料の移動の影響を回避するのに用いることができる。具体的には、エジェクタプレート5502が、圧電アクチュエータ5504によって加えられる単位面積当たりの所定の力により、独自の抵抗がその移動のみを制限する機械的モードで励起される場合、圧電体のD
33は、単位面積値当たりの最小の力に到達するまで、同じ電気入力の性能に影響を及ぼすことなく、スケールダウンすることができる。この特性は、
図8に示されており、単位面積当たりの力が特定の閾値を上回る場合、エジェクタプレート5502の移動の増加は非常に小さい。この閾値よりも低い値において、エジェクタプレート5502の移動は、単位面積当たりの力に伴って直線的に減少する。
【0204】
本開示のエジェクタプレート5502において、低次モードは、定常波の波長が半波長の整数倍である構造において、概して最も低い周波数で励起される。このモードの周波数及び波長は、エジェクタプレート5502の材料特性及びその半径方向の寸法によって決定される。固有モード形状は、常に、これらのモードのエジェクタプレート5502の端部においてノードを有し、また、膜の中心において最大であるので、2つの圧電体の場所のみが、流体吐出システムにおけるこれらのモードの励起に関連している。
【0205】
本開示に係る実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、最大の移動を励起するように、エジェクタプレート5502の中央に配置することができる。ただし、流体吐出が生じるように、エジェクタプレート5502の中央に直接領域が存在する必要があるので、この取付け位置は、この用途において最適ではない。流体吐出ができるように、性能を犠牲にする必要がある。
【0206】
同様に、圧電アクチュエータ5504は、低周波数においてエジェクタプレート5502の中央に最大の移動を励起するように、エジェクタプレート5502の端部に配置することができる。この構成において、モードの自然な移動に対する最小抵抗が発生し、これによって、低周波数において変位が大きくなり、これらのモードにおける質量堆積を高めることができる。一般に、これらのモードは、吐出領域におけるこれらのほぼ一定の形状及び速度分布による連続流体吐出に有利である。さらに、連結されるジェネレータプレート5532を有するハイブリッドエジェクタプレート5502などにおけるエジェクタプレート5502の中心への質量充填は、中心質量(例えば、ジェネレータプレート5532)の慣性により、低次モード(low order mode)での変位を増大させる。
【0207】
一部の実施形態において、端部取付圧電アクチュエータ5504は、ジェネレータプレート5532に連結されたエジェクタプレート5502の共振周波数において、前述のジェネレータプレートに連結されたエジェクタプレートを振動させる。一実施形態において、共振周波数に一致すると、圧電材料の変位要件が減少する。一実施形態において、共振周波数の一致により、200未満のD
33を有する圧電材料を用いて、指向性液滴流が発生する。別の実施形態において、共振周波数の一致により、150未満又は125未満のD
33を有する圧電材料を用いて、指向性液滴流が発生する。更なる別の実施形態において、共振周波数の一致により、100未満又は75未満のD
33を有する圧電材料を用いて、指向性液滴流が発生する。
【0208】
別の実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502の端部に取り付けられた(例えば、内部に取り付けられた)ものよりもわずかに小さく、距離5554はゼロよりも大きい。一実施形態において、距離5554は0.05 mmであり得る。別の実施形態において、距離5554は0.01 mmであり得る。更なる別の実施形態において、距離5554は0.25 mmであり得る。更なる別の実施形態において、距離5554は0.5 mmであり得る。更なる実施形態において、距離5554は、0.75 mm若しくは1.0 mmであるか、又は1.0 mmよりも大きくてもよい。
【0209】
本開示に係る他の実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502の内部に取り付けられ、距離5554はゼロよりも大きく、圧電アクチュエータ5504の外径は、エジェクタプレート5502よりも小さい。実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502の内部に取り付けられ、エジェクタプレート5502の径よりも1%小さい。実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502の内部に取り付けられ、エジェクタプレート5502の径よりも1.5%小さい。実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502の内部に取り付けられ、エジェクタプレート5502の径よりも2%小さい。実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502の内部に取り付けられ、エジェクタプレート5502の径よりも3%小さい。実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502の内部に取り付けられ、エジェクタプレート5502の径よりも4%小さい。実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502の内部に取り付けられ、エジェクタプレート5502の径よりも5%小さい。実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502の内部に取り付けられ、エジェクタプレート5502の径よりも7.5%小さい。
【0210】
本開示に係る一部の実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、エジェクタプレート5502の内部に取り付けられ、距離5554はゼロよりも大きく、エジェクタプレート5502の低周波端部モードが減衰又は排除されるように、環状圧電アクチュエータの内径が選択される。
【0211】
本開示の特定の実施形態において、エジェクタ機構は、圧電アクチュエータによって、エジェクタプレート5502、そして、ジェネレータプレート5532の作動を促進するように構成することができる。上述したように、ジェネレータプレート5532は、関心対象の流体の吐出を最適化するように構成することができる。例えば、ジェネレータプレートの開口のアスペクト比は、上述したように、ジェネレータプレートの一般的な厚さが約50 μm〜約200 μmの範囲となるように、部分的に流体特性に基づいて選択することができる。理論によって制限されるものではないが、特定の実施形態において、比較的厚いジェネレータプレートの直接作動は、可能であるが、最適ではないと考えられる。一部の実施形態において、ジェネレータプレートは、高弾性高分子ジェネレータプレートを含む。
【0212】
このように、特定の実施形態において、エジェクタ機構の作動は、本明細書に説明するように、エジェクタプレートに連結されたジェネレータプレートを含む構造を用いて最適化することができる。さらに、ジェネレータプレート5532の表面積(すなわち、1以上の開口を有する中央領域)の低減によって、同様に、製造コストが低減し、潜在的に製造欠陥が低減し、製造効率及び生産量が増加する。特定の実施形態において、エジェクタプレートは、エジェクタ機構の作動(すなわち、エジェクタプレート、そしてジェネレータプレートの作動)を促進するような大きさにして形成することができる。一例として、エジェクタプレートの構造は、エジェクタプレートの屈曲、そして、ジェネレータプレートの振動を促進する特性(例えば、大きさ、形状、材料など)の選択によって、エジェクタ機構の作動を有効にすることができる。例えば、エジェクタプレート5532の厚さは、概して、約10 μm〜約400 μm、約20 μm〜約100 μm、約20 μm〜約50 μm、又は約30 μm〜約50 μmなどであり得る。また、理論によって制限されるものではないが、特定の実施形態において、比較的薄いエジェクタプレート5502の直接作動は、(ジェネレータプレート5532と比較して)最適であると考えられる。一部の実施形態において、ジェネレータプレート5532は、高弾性高分子ジェネレータプレートを含む。
【0213】
本開示の特定の実施形態によれば、エジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532の構造は、開口を含むジェネレータプレート5532の開口領域(ジェネレータプレートの「作動領域」)が、通常モードの振動と対称な振動を発生させるように、選択することができる。理論によって制限されるものではないが、特定の実施形態において、エジェクタプレート5502及びジェネレータプレート5532の構造は、ジェネレータプレート作動領域の振動の0,2の通常モード及び0,3の通常モードがみられるように、選択することができる。このモードは、作動領域の最大振幅及び変位と関連し、モードは(d,c)と規定され、ここで、dは節直径の数であり、cは節円の数である。
【0214】
エジェクタプレートの振動の強度及び周波数も、電極5506a、5506bに印加される電圧パルスを制御することによって制御され、例えば、40又は60Vの電圧差が電極に印加され得る。上述のように、パルスは、エジェクタプレート5502、そしてジェネレータプレート5532を曲げる電圧差によって発生する。一部の実施形態において、電極5506a又は5506bのうちの一方が接地され、電極5506a又は5506bのうちの他方に対して、電圧パルス、例えば両極性パルスが印加され、エジェクタプレート5502を振動させる。一例を挙げると、一実施形態において、圧電アクチュエータ5504は、約5 kHz〜約1 MHz、例えば、約10 kHz〜約160 kHz、例えば、約50 kHz〜120 kHz、又は約50〜140 kHz、又は約108〜130 kHzなどの共振周波数を有し得る。印加電圧パルスは、圧電アクチュエータ5504の共振周波数よりも低いか、高いか又は当該共振周波数と同じ周波数を有し得る。
【0215】
特定の実施形態において、液滴の送達時間は約0.1 msから約数秒である。理論によって制限されるものではないが、ヒトの眼は、瞬きに約300 ms〜約400 msかかっていると考えられている。したがって、送達が瞬きの間であることが望まれる実施形態において、送達時間は、約50 ms〜約300 ms、特に25 ms〜200 msであり得る。一実施形態において、送達時間は50 ms〜100 msである。このようにして、吐出された液滴を効果的に送達することができ、眼の瞬き周期の間に眼の中に堆積することができる。一部の実施形態において、例えば、店頭販売の塩水ディスペンサでは、送達時間は数秒と長く、例えば、複数の瞬き周期にわたり、3〜4秒であり得る。または、単一送達は、液滴吐出の複数のバースト又はパルスによって行なうことができる。さらに、理論によって制限されるものではないが、パルシングは、経時的に衝撃を広げることによって、液滴気流のピーク振幅を減少させるのに用いることができる。したがって、標的に対する吐出圧力を緩和することができる。さらに、パルシングは、液滴の凝集も低減し、混入空気の発生を少なくすることができる。一例として、25 msのパルスは、パルスを分離する25 msの停止時間で加えることができる。一実施形態において、パルスは、全部で150 ms、反復することができる。
【0216】
本明細書に説明するように、本開示のエジェクタ装置及びエジェクタ機構は、液滴流と同様に概して低い又は比較的高い粘性の流体を吐出するように構成することができる。一例として、エジェクタ装置による使用に適した流体は、例えば、水の場合、1 cP以下、例えば0.3 cPなどの非常に低い粘度を有し得る。その代わりに、流体は、最大600 cPの範囲の粘度を有し得る。具体的には、流体は、約0.3〜100 cP、0.3〜50 cP、0.3〜30 cP、1 cP〜53 cPなどの粘度範囲を有し得る。一部の実施形態において、エジェクタ装置を用いて、液滴流と同様に比較的高い粘度の流体、例えば、約1cP〜約600 cP、約1 cP〜約200 cP、約1 cP〜約100 cP、約10 cP〜約100 cPなどの1 cPよりも大きい粘度の流体を吐出することができる。一部の実施形態において、適切な粘性及び表面張力を有する溶液又は薬剤は、変更せずに、貯留部内で直接用いることができる。他の実施形態において、流体パラメータを調整するのに、付加的な材料を加えることができる。一例として、特定の流体を以下の表15に列挙する。
【0218】
上述した事項から、種々の構成及び材料が種々の属性をもたらすことが理解される。エジェクタ機構の少ない選択実施形態において、これらの属性の一部の理解を支援するために、試験を行ない、特定の実施形態を比較した。試験は、当然のことながら、本発明を具体的に限定するものと解釈されるべきではなく、当業者の範囲内に入る現在知られているか又は将来開発される本発明のかかる変形形態は、本明細書に説明され、以下に特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲内に入ると考えられる。
【0219】
実施例6:質量堆積の測定
エジェクタ装置の質量堆積を測定するために、
図56に示されているように、分極方向Zが地面の方に(例えば、重力に平行に)あるように、エジェクタ装置を、地面の方へ吐出材料に水平に固定する。を参照すると、吐出される液滴5512の方向5514は、地面の方にある。接地線及び陽極ワイヤ(positive wire)を演算増幅器に接続し、そして、電流プローブ及び電圧プローブをオシロスコープに接続する。
【0220】
装置に噴霧を提供する周波数領域を、2 kHz〜500 kHzの範囲にわたって周波数掃引によって最初に決定する。電圧及び電流を含む電気的データを記録及び保存する。分析時に、質量堆積決定のための噴霧範囲を選択する。結果を、例えば、
図58に示す質量吐出プロファイルを提供するようにプロットする。
【0221】
質量堆積を測定するために、周波数及び電圧を、例えば、50キロヘルツ(kHz)の周波数において、ピーク(90Vpp)正弦波に対して90Vピークに設定し、エジェクタ装置からの噴霧を、1ミリグラム(mg)の感度を有する計量手段を用いて、24 mm×60 mmのNo.1カバーガラス上で5回測定し、追跡可能な証明書を用いて、1 mgクラス1重量によって較正する。それぞれの測定において、カバーガラスを計量手段上に置き、計量手段をゼロにする。スライドをエジェクタ装置の下に置き、所定時間、電圧を印加する。スライドを計量手段に戻し、質量を測定し、記録する。カバーガラスを清浄化し、それぞれの測定前に、計量手段を再度ゼロにする。全5つの測定を周波数ごとに記録する。この過程を、所定のステップサイズ(通常1 kHz)に基づいて周波数を漸増させて繰り返す。
【0222】
実施例7:内部取付エジェクタアセンブリを用いたPZTとBaTiO3の比較。
内部取付エジェクタアセンブリを有するエジェクタ装置の質量堆積プロファイルを、装置が噴霧する周波数領域を決定するために、上述の試験6に記載の方法を用いて決定する。PZTとBaTiO
3圧電材料の双方において、圧電アクチュエータ5504は、16 mmの外径、8 mmの内径、550 μmの高さを有し、20 mmの径、50 μmの厚さの円形のエジェクタプレート5502に取り付けられている。本実施形態において、PZTの一部の試料を、材料のd
33係数のおおよその割合において、BaTiO
3よりも多く流体を吐出するPZTとともに、直接BaTiO
3と比較する。唯一の顕著な吐出モードを
図59に示す。
【0223】
距離5554がゼロよりも大きい場合(ここでは、2 mm)、PZT材料は、BaTiO
3と比較して、広範囲の効果的な周波数を提供する。PZT系エジェクタの最大質量吐出は、BaTiO
3エジェクタの2倍よりも高い結果である。効率が低いものの、BaTiO
3は、115〜102 kHzにおいて、約6 mgの最大質量吐出を提供する。
【0224】
7a:端部取付エジェクタアセンブリを用いたPZTとBaTiO
3の比較。
試験6の方法を用いて、種々の周波数における質量吐出を、10 kHz〜500 kHzで開始し、1kHzの周波数ステップサイズを用いて決定する。ミリグラムの質量堆積を周波数に対してプロットし、50 μmの厚さの円形エジェクタプレート5502上の、20 mmの外径、14 mmの内径、550 μmの高さを有する端部取付PZT及びBaTiO
3圧電アクチュエータについて、
図58に示す。この場合、PZTの一部の試料を、大きく異なる材料のd
33係数ともほぼ等しく(試料変化を調整して)吐出するPZT及びBaTiO
3とともに、直接BaTiO
3と比較する。
図58からも明らかなように、多くのモードが材料間で等しい性能によって励起される。
【0225】
PZT及びBaTiO
3圧電アクチュエータが、端部に取り付けられる(すなわち、距離5554がゼロであるか又はゼロ付近である)と、質量吐出は、圧電アクチュエータと、連結されるエジェクタプレート5502及びジェネレータプレートとの間の共振結合に対応する周波数の不連続な範囲で生じる。PZT系装置のD
33は330 pC/Nであり、BaTiO
3のD
33は160 pC/Nであるが、吐出プロファイル及び効率は非常に類似している。圧電アクチュエータの中心対称構造及び端部取付けは、変位差を克服し、これによって、種々の圧電材料を吐出装置に組み込むことができる。
【0226】
7b:エジェクタプレート5502に対する圧電アクチュエータ5504の径を減少させる効果
圧電アクチュエータ5504が、エジェクタプレート5502の端部から移動すると(例えば、距離5554がゼロから増加すると)、圧電剛性によって吐出モードがますます減衰されるにつれて、性能が失われる。一実施形態において、圧電体は、20 mmの外径、14 mmの内径、250 μmの最適化された厚さ、及び20 mmのエジェクタプレート径であった。圧電体は、すべての場合を20〜33%超える吐出を示した。別の実施形態において、圧電体の外径を19 mmまで変化させ、エジェクタプレートの径を、200 μmの最適化された厚さとともに、21 mmまで変化させた。吐出周波数は実質的に同じのままであるが、圧電体の厚さが最適化されているにもかかわらず(150 μm〜550 μmの厚さについて、25 μmずつ増加させて実験室で試験した。)、端部取付けの場合とは対照的に、吐出は、すべてのモードを上回って減少する。第3の実施形態において、圧電体は、19 mmの外径及び14 mmの内径のままであったが、エジェクタプレートは23 μmに変化した。再度、厚さを175 μmまで最適化し、剛性を低減したが、すべてのモードは、厳しく抑制され、性能は80%を超えて低下した。
【0227】
実施例8:BaTiO3圧電材料の比較
種々の特性を有するBaTiO
3材料を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて識別した。2つの例示的なBaTiO
3材料のSEM像を得、第1の試料では、約2〜5ミクロンの均一な粒径を示し、第2の試料では、数十ミクロンの粒子が融合した構造を示した。両方の試料は同様のD
33値を有していたが、小さな粒径は、共振周波数を低下させることによって性能を向上させる。
【0228】
実施例9:固有モードの調節
圧電アクチュエータ5504によって励起させた円形のエジェクタプレート5502では、圧電アクチュエータ5504の剛性は増加し、これによって、高周波数の固有モードが抑制された。圧電アクチュエータ5504の剛性増加の効果について試験するために、200 μmの厚さ、20 mmの外径及び14(20 mm×14 mm)の内径の第1の圧電アクチュエータ5504と、400 μmの厚さ(20 mm×14 mm)の第2の圧電アクチュエータ5504を、20 mmの外径のエジェクタプレート5502に結合した(例えば、端部に取り付けた。)。2つのエジェクタの標準化された変位を、1 Hz〜3×10
5 Hzの範囲の周波数で[モデル化又は測定]した。薄い圧電アクチュエータ5504の大きな可撓性は、高周波複合体の固有モードを可能にする。これに対して、厚く、剛性のある圧電アクチュエータ5504は、固有モードを、圧電アクチュエータ5504の内径(例えば、内部で14 mm)内のエジェクタプレート5502の領域に制限する低周波数モードに制限する。
【0229】
本明細書に説明されているエジェクタアセンブリは、エジェクタ装置及びシステムに組み込むできることが理解される。例示的なエジェクタ装置及びシステムは、2012年12月12日に出願された「エジェクタ機構、装置及び使用方法」という名称の米国特許出願第13/712,784号、2012年12月12日に出願された「高弾性高分子エジェクタ機構、エジェクタ装置及び使用方法」という名称の米国特許出願第13/712,857号、並びに、2011年7月15日に出願された「液滴発生装置」という名称の米国特許出願第13/184,484号に示されており、これらの内容は、参照によりこれらの全体において本明細書に援用される。
【0230】
流体が空気界面にさらされると、流体は空気中に蒸発し、これによって、流体体積の経時的な損失が生じる。流体が、残存するいずれかの無機成分を有する場合、混合物の含量は経時的に変化し、これによって、空気‐流体界面において結晶化が生じる。ただし、流体‐空気界面の周辺でわずかな空気量が封止されると、蒸発率及び結晶化率は、封止の漏出率まで低下し、これによって、蒸発及び結晶化が低減するか又は排除される。また、装置が環境中に開放されている場合は、常に、汚染され得る。
【0231】
これらの問題を部分的に検討するために、本開示は、液滴吐出装置とともに使用する自動閉鎖システムであって、装置が環境に開放されるのを防止し、実際の液滴吐出期間において、汚染の危険性を大幅に低減する、自動閉鎖システムを提供する。特定の実施形態において、自動閉鎖システムは、流体吐出経路に沿って寸法がコンパクトであり、最小限の構成要素を用い、構成要素の寸法の変更の存在下で一定の封止を提供する。このシステムは、流体吐出に用いる、閉位置、封止位置及び開いた作動位置を提供する。閉位置と開位置との間の変化は、ユーザによって手動で作動させるように構成することができるか、又は動力作動のために構成することができる。特定の実施形態において、システムは、低い作動力によって手動設定を提供することができる。さらに、封止位置と開位置との間の移動は、直線作動又は回転作動するように構成することができる。例えば、特定の実施形態は、ユーザによって作動するヒンジ付き作動ボタンとともに用いられる直線作動構成を提供する。
【0232】
図60〜65は、本開示の自動閉鎖システムの一実施形態を示している。
図60は、本開示の自動閉鎖システムのコンパクトな直線作動実施形態を示し、
図61は、本実施形態の主な構成要素の分解組立図を示している。
【0233】
図60及び61に示されているように、開口6002を有するスライド要素6000は、封止される吐出システム6004と保持プレート6006との間に保持されている。吐出システムは、内部の特徴に関係なく、概略的に示されている。吐出システムの面は、丸みを帯びたエラストマー面シール6012によって包囲された丸みを帯びた開口6010を有する。面シールは、エジェクタに面して、グランド又は溝6014に取り付けられている。一実施形態において、スライド要素は、スライド要素と一体化した屈曲部6020によって、面シールに対して圧迫される。または、屈曲部は、保持プレート上に配置することができるか、又は別個の構成要素として組み込むことができる。スライド要素の1つの位置(開位置)において、スライドの開口6002は、流体分配のためのエジェクタ開口6010と並んで配置されている。閉位置において、スライド要素の開口6002及び吐出システムの開口6010は、完全に並んで配置されておらず、吐出システムは封止されている。ヒンジ付き作動ボタン6030(
図60)は、ハウジング(図示しない。)に接続された支点6031の周辺を旋回する。ボタン6030は、ユーザによって指で作動し、下方にスライド要素を作動させ、シールを開く。ユーザの指の圧力が除去されると圧縮ばね6032は、閉位置及び封止位置にスライド要素6000を戻す。
【0234】
図62は、自動閉鎖システムの概略断面図であり、基本的な封止原理を示している。軸線方向力Fは、吐出システムの面のグランド内に配置されたエラストマー面シールに対して、スライド要素を押圧する。面シール表面は、シール断面のおよそ20%、吐出システムの表面から突出している。吐出システムの最大予想内部圧力は、軸線方向圧搾力Fによって対抗され、圧搾力は、内部圧力P及びシール面積Aの製品によって生じる内部圧力を超える。本実施形態において、軸線方向力は、予想内部圧力のおよそ2倍になるように選択された。好適な実施形態において、軸線方向圧搾力は、
図63及び64に示されているように、コンパクトな屈曲部6020によって提供される。屈曲部6020は、構成要素の寸法変化物の製造に敏感ではないシール上に一定の力を提供する。スライド要素と一体化した屈曲部を有することにより、吐出システムから保持プレートの開口に最小積重ね高さが提供され、これによって、吐出システムの面を最終的な送達場所に接近させることができる。作動力を最小限にするために、面シール6012は、あらかじめ潤滑化されたシリコーン(pre-lubricated silicone)から形成される。摩耗を防止するために、スライド要素6000は、常にシールと接触している。スライド要素6000の端部は、シール6012から移動せず、また、シール上で後方に移動せず、スライドの開口端部のみが面シールを横断する。摩耗を更に防止し、作動力を低減するために、スライドの開口端部6040は丸みを帯びており、面シールの上端部は丸味を帯びている。スライド要素を面シールと平行に維持するために、
図63及び64に示されているとおり、小型の滑走突起6042がスライド要素上に設けられている。
【0235】
好適な実施形態において、スライド要素は、抗菌性熱可塑性プラスチックから射出成形される。ただし、本開示は、そのように限定されず、いずれかの適切な材料を用いることができる。論じたように、スライド6000に一体化した屈曲部6020は、面シールに予圧力を提供する。屈曲部の幾何形状は、熱可塑性プラスチックに変形するまで圧力をかけずに、所望の軸線方向力を提供するように選択される。具体的には、完全に曲げられた場合の最大応力は、選択された熱可塑性プラスチックの長期クリープ限界未満であるように選択される。このことは、装置が組み立てられた後に、所望の面シール予圧が、屈曲部において応力を緩和せずに、長期的に達成されることを保証する。コンパクト性により、自動閉鎖のために圧縮ばね6032は、スライド要素6000の境界内のスロット6044に位置している。上述したように、2つの滑走突起6042は、スライド要素6000上に位置し、露出した面シール表面が、スライド要素6000の裏側を抑制する吐出システム上の誘導面よりも上に突出しているので、面シールと平行にスライド要素6000を維持する。
【0236】
上述したように、面シールの軸線方向力は、ある程度の安全性によって予想内部圧力を超えるように選択される。必要な軸線方向力が小型のプラスチック屈曲部によって提供できる力を超える場合において、別のアプローチは、鋼から形成することができる別個のばね要素を用いることである。長期クリープの問題は、鋼製板ばねでは存在せず、加えられる力は、顕著な利点を提供するように増加し得るが、別個の部品により、必要なコスト及び空間の増加を伴う。この問題に対処する1つのアプローチは、二次的目的にも同様に、圧縮ばね6032を用いることである。圧縮ばねの一次的目的は、装置の自動閉鎖機能を提供することである。ユーザの指の圧力が作動ボタンから除去されると、圧縮バネは、ユーザとの相互作用なしに、受動的に、閉位置及び封止位置に装置を戻す。装置を完全に閉位置に維持するために、装置の幾何形状は、スライド要素が完全な閉位置にある場合に、圧縮ばねが、予圧がかけられた状態にあるように設定される。この予圧は、面シール、本実施形態で利用される特徴において軸線方向力を増加させるという二次的目的に用いることができる。
【0237】
図66に示されているように、閉位置では、作動ボタンは、角度をなして傾斜した面6050においてスライド要素と相互作用している。この角度によって、スライド要素6000の上部に作用する水平方向外向きの分力が生じる。小型の支点機能(図示しない。)は、保持プレートの上部に一体化されている。支点は、スライド要素の前面と相互作用する小さな隆起部分である。水平方向力ベクトルの存在下において、スライド要素6000が支点周辺を旋回することによって、スライド要素6000の下部が、面シールの方に旋回し、このため、面シールの軸線方向力が増加する。これは、部品を追加することなく、又は空間要件を増加することなく、シールの完全性を向上させる。さらに、面シールの軸線方向力は、屈曲部のみに依存せず、これによって、低い弾性率(剛性)値を有する熱可塑性プラスチックの広い選択肢が可能になる。
【0238】
図65〜68は、閉位置(左)(
図65及び66)と開位置(右)(
図67及び68)両方における一実施形態の完全な概略図を示し、上述したすべての特徴の実施形態である。特定の実施形態において、自動閉鎖システムには、蒸気圧力上昇に対処するように、保持プレート(本明細書では、圧縮プレートとも称する。)と接続して利用されるアンブレラバルブ又その他の適切な圧力除去手段が含まれている。非限定的な例として、代替的な圧力除去システムには、ダックビルバルブ、アンブレラ/ダックビル二方バルブ、その他の適切な圧力除去バルブ、シリコーンシートのピンホールバルブ、シリコーンシートのスリットバルブ、剛性材料の単一ピンホール/通気孔(例えば、厚さ50ミクロンのステンレス鋼の50ミクロン径の孔)、通気孔のアレイ、又は、蒸気圧による過剰な蒸発を防止しつつ、速やかに十分な圧力平衡を回復することができる、その他のいずれかの適切な圧力除去手段を挙げることができる。アンブレラバルブ又は圧力除去手段の態様は、本明細書で更に詳細に論じる。
【0239】
実施例10:結晶化、蒸発及び封止の測定
結晶化は、液滴吐出装置の動作を阻害し得る割合で、特に蒸発率が高い小孔において発生する。結晶化が発生する場合、流れを遮断することによって、エジェクタ開口からの液滴吐出を防止する。
【0240】
一実施形態によれば、幅20 μm、深さ50ミクロンの孔を有し、穿刺/キャピラリプレートがなく、環境に開放的に暴露しているジェネレータプレートにおいて、
図69(a)〜(c)は、等張塩水の経時的な結晶成長を示している。
図69(a)において、エジェクタ開口は、時間ゼロで示され(流体は、複数のエジェクタ開口を構成するエジェクタメッシュに封止された硬質の貯留部に入れられているのみである。)、結晶化を示していない。スタック圧縮プレートは、Oリングによって、メッシュスクリーンに密封させて結合され、メッシュスクリーンの対向面は、Oリングによって貯留部に取り付けられ、アセンブリは、ねじ及びナットとともに保持されている。50秒で流体が入れられた後、
図69(b)に示されているように、顕著な結晶化がエジェクタノズル(孔)において形成し始める。3分で、
図69(c)に示されているように、多くのエジェクタ開口又は孔が完全に閉塞され、複数のエジェクタノズル(孔)が結晶成長を示す。透過型光学顕微鏡によって像を得、結晶は、開口を通る透過光を塞ぐ。
【0241】
流体充填プレートの効果を実証するために、システムを同様に設定し、幅20 μm、深さ50ミクロンの孔を有するジェネレータプレートのメッシュスクリーンからなるが、この場合、キャピラリプレートが追加され、環境に開放的に暴露させた。
図70(a)〜(c)は、等張塩水の経時的な結晶成長を示している。
図70(a)において、エジェクタ開口は、時間ゼロで示され(流体は、スタック圧縮プレート、Oリング、メッシュスクリーン、Oリング、穿刺/キャピラリプレート、Oリングによって、エジェクタメッシュに封止された硬質の貯留部に入れられているのみであり、貯留部は、ねじ及びナットとともに保持されている。)、結晶化を示していない。5分では、
図70(b)に示されているように、結晶は形成されていない。6時間で、
図70(c)に示されているように、多くのエジェクタ開口が完全に閉塞され、複数のエジェクタ開口が結晶成長を示す。穿刺/キャピラリプレートは蒸発を低減することができないが、結晶化を低減することができる。結晶化率の減少は、一定の流体供給物を送達し、また、流体中に浸漬しない無機堆積物を防止することによって生じる。
【0242】
蒸発は、特定の用途において、例えば、水の損失及び生じる濃度変化によって、薬剤の力価及び効力の変化を生じ得る。また、蒸発は、エジェクタ開口の結晶化も生じ得る。表16は、流体充填プレートに加えられた別のクラッキング圧による2種類のアンブレラバルブの蒸発率に対する本開示の自動閉鎖システムからの蒸発率を示している。示されている蒸発率は、1種類のバルブを用いる等張塩水の圧力変動、並びに、異なるバルブを用いるラタノプロスト及び等張塩水の圧力変動により、バルブがクラックせずに示されたものである。両方のバルブは、非常に高い蒸発率を示した。これに対して、本開示の自動閉鎖システムは、試験流体に依存して、7〜10倍、蒸発率が減少した。また、これによって、穿刺/キャピラリプレート及びアンブレラバルブ単独を比較して、噴霧間において、7〜10倍、結晶化時間が増加した。
【0244】
本開示の特定の態様において、自動閉鎖システムを、エジェクタシステムから流体が大きな圧力エクスカーション(pressure excursion)に強制されるのを防止するために利用した。バルブは、圧力がクラッキング圧を超える場合、ほぼ瞬時に圧力を均一にする。
【0245】
アンブレラバルブの代替は、本開示の範囲内である。この点に関して、蒸発を防止しつつ、圧力を均一にするいずれかの適切な方法は、例えば、細菌、及び通気孔に結合された流体抵抗性膜フィルタを備える50 μm及び100 μmの通気孔による解決策を利用することができる。また、この解決策は、空気を毎秒10 psi/0.25 ccに、ほぼ瞬時に圧力を均一にするだけでなく、表17に示されているように、蒸発率をアンブレラバルブの10〜20倍下回る程度に低減させる。圧力均一化(蒸発ではない。)の漏洩速度も表17に示されている。
【0247】
自動閉鎖システムは、エジェクタ開口に結晶化を生じ得る流体の蒸発を防ぐのに必要な空気及び圧力障壁を提供する。本試験の目的は、1.00 PSIで封止することが可能な自動閉鎖システムのシールを生じるのに必要な垂直力を決定することであった。
【0248】
リングを封止するシリコーン面においてプラスチック封止要素の重力を用い、垂直力の関数としての面封止の質を判断する。可変質量のために水を加えることができるように、ABS/ポリカーボネートプラスチックシール要素をビーカーの底部に取り付けた。自己潤滑化シリコーンシールを、圧縮プレート内部に収容し、圧力調整器及び圧力計を圧縮プレート内部に取り付けた。可変質量封止要素をシリコーンシール上で平衡化し、流体をビーカーに加えた。圧力データを、面封止垂直力の関数として記録した。
【0249】
ゲージ圧が1.00 PSIに近づくにつれて、自動閉鎖システムのシール質量が増加した。垂直力は40グラム以上であり、通常、0.90 PSI以上で封止される。0.2 PSIのアンブレラバルブの通気圧よりも顕著に高いので、これは、許容可能な封止であることが確認された。
【0250】
他の特定された条件は、自動閉鎖システムの閉鎖スライダの摩擦力が、自動閉鎖ばねの復元力よりも小さい必要があることであった。この条件は、十分なばね定数及び変位を有するばねを選択することによって満たされた。
【0251】
複数のスライド作動の連続において内部自動閉鎖システム封止により得られる封止の質を測定した。本開示に係る自動閉鎖システムを、空気圧調整器及び圧力計に取り付けた。空気圧調整器を完全な封止によって1.00 PSIに設定し、その後、完全な封止を解除した。自動閉鎖を作動して封止を提供し、最大圧力に達するまで、シール内のゲージ圧を増加させた。この最大平衡圧を、本試験の封止圧として記録する。
【0252】
20回の試験の最大平衡圧を記録し、その後、自動閉鎖システムを100回作動させた。この過程を更に3回繰り返し、20回の試験の4つのデータセットが得られ、それぞれのデータセット間で100回作動させた。これは、全380回のスライド作動において、自動閉鎖システムの再現性を試験するように設計された。それぞれのデータセットの平均封止圧を表18に示す。
【0254】
0.2 PSIのアンブレラバルブ通気を上回る安全係数を提供するので、1.00 PSIの封止は、許容可能な面封止と確認された。この試験のデータは、380回の全作動においてこの標的封止圧の6〜7%以内で一定していた。
【0255】
本出願に開示された発明の多くの実施形態、及び、参照により援用される上述の出願が開示されている。本開示は、一実施形態の特徴のうちのいずれかを他の1以上の実施形態の特徴と組み合わせることが考慮される。例えば、エジェクタ機構又は貯留部のうちのいずれかを、開示されているハウジング又はハウジングの特徴、例えば、カバー、支持体、レスト、照明、シール及びガスケット、充填機構又はアライメント機構のうちのいずれかと組み合わせて用いることができる。
【0256】
当業者の範囲内に入るいずれかの発明のいずれかの要素における更なる変形形態が、本開示によって考慮される。かかる変形形態には、材料、コーティング又は製造方法の選択が含まれる。電気技術及び電子技術のうちのいずれかは、いずれかの実施形態で無制限に用いることができる。さらに、いずれかの及びすべての実施形態に対して、いずれかのネットワーク構築、遠隔アクセス、対象モニタリング、e‐ヘルス、データ記憶、データマイニング又はインターネット機能性が応用可能であり、これらはともに実行可能である。さらにまた、いずれかの実施形態の機能性に、生理学的パラメータの試験又は測定の実施などの追加の診断機能を組み込むことができる。緑内障又はその他の眼の検査は、これらの診断機能性の一部として装置によって実施可能である。当該技術分野において公知であり、本明細書で明示的に列挙されていない他の製造方法を用いて、装置を製造し、試験し、修理し又は維持することができる。さらに、装置には、より高度な画像形成機構又はアライメント機構が含まれ得る。例えば、装置又は基部は、ユーザと装置を整合させるための特異的なIDを作成し、両眼間の輪郭を描くように、虹彩若しくは網膜スキャナを備えているか又はこれらに連結されていてもよい。または、装置又は基部は、いずれかの適切な種類の写真撮影又は放射線医学用の高度な画像形成装置に連結されているか又はこれを含んでいてもよい。