特表2015-514939(P2015-514939A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-514939(P2015-514939A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(54)【発明の名称】車両用のディスクブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/02 20060101AFI20150424BHJP
   F16D 55/226 20060101ALI20150424BHJP
【FI】
   F16D65/02 A
   F16D55/224 104F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-506124(P2015-506124)
(86)(22)【出願日】2013年4月19日
(85)【翻訳文提出日】2014年12月22日
(86)【国際出願番号】EP2013001178
(87)【国際公開番号】WO2013156164
(87)【国際公開日】20131024
(31)【優先権主張番号】102012008003.4
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン バウムガートナー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヴェアト
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA63
3J058BA68
3J058CC23
3J058DD15
3J058EA03
3J058FA03
(57)【要約】
本発明は、車両、特に商用車用のディスクブレーキであって、ブレーキディスクの両側に配置された、ブレーキパッドを備えたブレーキシューと、該ブレーキシューのうちの1つを圧着させる圧着装置と、ブレーキディスクの他方の側つまり反作用側におけるブレーキシューに圧着力を伝達するブレーキキャリパと、を有している、ディスクブレーキにおいて、前記ディスクブレーキの前記ブレーキキャリパは、変形された中空成形体から製造されたキャリパフレームを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、特に商用車用のディスクブレーキ(1)であって、ブレーキディスクの両側に配置された、ブレーキパッドを備えたブレーキシューと、該ブレーキシューのうちの1つを圧着させる圧着装置と、ブレーキディスクの他方の側つまり反作用側におけるブレーキシューに圧着力を伝達するブレーキキャリパ(2)と、を有している、ディスクブレーキにおいて、
前記ディスクブレーキ(1)の前記ブレーキキャリパ(2)は、変形された中空成形体から製造されたキャリパフレーム(4)を有していることを特徴とする、ディスクブレーキ(1)。
【請求項2】
前記キャリパフレーム(4)は、少なくとも1つのプルストラット(6)を有している、請求項1記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項3】
前記キャリパフレーム(4)は、少なくとも1つのキャリパ背部(10)を有している、請求項1又は2記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項4】
前記キャリパフレーム(4)は、前記ブレーキキャリパ(2)に前記キャリパフレーム(4)を固定する少なくとも1つの付加部(12)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項5】
前記プルストラット(6)は、平行な側面を備えたほぼ楕円形の横断面(7)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項6】
前記キャリパ背部(10)は、ほぼD字形の横断面(8)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項7】
前記付加部(12)は、平行な側面を備えたほぼ楕円形の横断面を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項8】
前記キャリパフレーム(4)の前記中空成形体は、一定の壁厚(t)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項9】
前記キャリパフレーム(4)は、前記ブレーキキャリパ(2)のハウジング(3)に材料接続式に固定されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項10】
前記キャリパフレーム(4)は、前記ブレーキキャリパ(2)のハウジング(3)に形状接続式及び/又は摩擦力接続式に固定されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のディスクブレーキ(1)のキャリパフレーム(4)用の変形方法であって、当該変形方法は、前記キャリパ背部(10)の領域への質量予備分配を含むことを特徴とする、ディスクブレーキのキャリパフレーム用の変形方法。
【請求項12】
前記キャリパ背部の領域への前記質量予備分配は、据込みプロセスである、請求項11記載のディスクブレーキ(1)のキャリパフレーム(4)用の変形方法。
【請求項13】
請求項1から10までのいずれか1項記載のディスクブレーキ(1)のキャリパフレーム(4)用の変形方法であって、当該変形方法は、曲げプロセスを含むことを特徴とする、ディスクブレーキのキャリパフレーム用の変形方法。
【請求項14】
前記曲げプロセスは旋回曲げプロセスである、請求項13記載のディスクブレーキ(1)のキャリパフレーム(4)用の変形方法。
【請求項15】
請求項1から10までのいずれか1項記載のディスクブレーキ(1)のキャリパフレーム(4)用の変形方法であって、当該変形方法は、ハイドロフォーミングプロセスを含むことを特徴とする、ディスクブレーキのキャリパフレーム用の変形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特に商用車用のディスクブレーキであって、ブレーキディスクの両側に配置された、ブレーキパッドを備えたブレーキシューと、該ブレーキシューのうちの1つを圧着させる圧着装置と、ブレーキディスクの他方の側つまり反作用側におけるブレーキシューに圧着力を伝達するブレーキキャリパと、を有している、ディスクブレーキに関する。
【0002】
重い商用車用の圧縮空気作動式のディスクブレーキのブレーキキャリパは、構成が自由でかつ製造が簡単なことに基づいて、通常、鋳造構造品として構成されている。材料としては、高強度クラスのノジュラー鋳鉄が使用される。
【0003】
このようなディスクブレーキは、独国特許発明第3716202号明細書に記載されている。この刊行物に開示されたディスクブレーキは、空気力式に作動させられ、従って特に、商用車分野における使用のために適しており、このディスクブレーキは、商用車における使用において実際に良好であることが判明している。反作用側におけるブレーキシューに圧着力を伝達するための力伝達装置として、鋳鉄製のブレーキキャリパが使用される。
【0004】
このようなブレーキ構造は、商用車のすべての軸構造部分のように、強い重量低減要求が課せられている。それというのは、重量の低減は一方では可能な積載重量を高め、他方では、軸構造部分のいわゆるばね下重量の低減は、積み荷の保護、走行特性の改善、ひいては交通安全に貢献するからである。ブレーキの重量最適化は、ブレーキキャリパの破損の危険を高めることなしに、かつ/又は運転特性の劣化をもたらすブレーキキャリパの変形を高めることなしに、利用可能な鋳造材料によって、さらなる改善が可能であると思えないほど、進歩している(ストローク、応働時間、圧縮空気需要、平らでないライニング摩耗など)。
【0005】
択一的な材料としては、鋼が適していると思われる。それというのは、高い破壊延伸性に関連した極めて高い強度が、ひいては高い持続強度を得ることができ、従来使用されている鋳鉄材料に比べて、約35%高い弾性係数が、等しい応力負荷時に、キャリパの低い変形を保証するからである。低い製造コストで所望の低い重量を実現するために、鋼薄板の使用が適していると思われる。複合構造体として鋼薄板キャリパを実現するための発端は、独国特許出願公開第19642384号明細書に記載されている。
【0006】
独国特許出願公開第19642384号明細書には、圧縮空気作動式のディスクブレーキが記載されており、このディスクブレーキの、反作用側のブレーキシューに圧着力を伝達するための力伝達装置、つまりブレーキキャリパは、圧着力を受け止める、周囲を閉鎖されたフレームの形式で形成されている。モジュール体が、ブレーキ機構を収容していて、該ブレーキ機構の前組立てを可能にしている。この場合閉鎖されたフレームは、変形プロセスによって金属薄板から製造される。
【0007】
ブレーキキャリパの、さらに進んだ全鋼薄板構造は、コスト構造から競争力がない。それというのは、使用される金属薄板中間製品の切断屑が、鋼薄板から成るブレーキキャリパのコスト構造に関して明らかにネガティブに作用するからである。高い材料コスト部分は、主として、全鋼薄板構造において多くの切断屑が必然的に生じる、ブレーキキャリパフレームの複雑なジオメトリに起因している。
【0008】
しかしながら主たる開発目的は、ディスクブレーキの重量及びコストの最適化である。優勢を占める構成部材重量、ひいてはディスクブレーキのコスト構造に対する、構成部材重量の優位に基づいて、特に、重量低減及びコスト節減のためのブレーキキャリパが提供される。この場合ブレーキキャリパにおける低減された重量は、有意に、無負荷時における重量を低減するように作用し、このことは特に商用車ブレーキでは重要な観点である。それというのは、低い車両重量によって、より多くの積載重量をさらに積むことができるからである。
【0009】
さらに、ブレーキキャリパのより低い重量によって、車両におけるばね下重量が減じられ、このことは、車両の敏捷さ及び快適性に対してポジティブに作用し、これは例えば特に乗用車や長距離バスにおいて、同様に重要な観点である。
【0010】
ゆえに本発明の課題は、上に述べた欠点を回避し、かつ安価に、ひいては経済的に製造することができ、しかも一体に鋳造されたブレーキキャリパを備えたディスクブレーキに対して明らかな重量及びコストに関する利点を有する、ディスクブレーキを提供することである。
【0011】
この課題を解決するために本発明の構成では、ブレーキキャリパを備えたディスクブレーキにおいて、ブレーキキャリパは反作用側に、ブレーキシューに対して圧着力を伝達するために、変形された鋼・中空成形体から製造されたキャリパフレームを有している。
【0012】
このブレーキキャリパは、例えば金属薄板深絞り品として製造されたキャリパヘッドに溶接によって結合することができ、しかしながらまた同様に、鋳造されたキャリパヘッドとの組合せも可能である。
【0013】
このような製造方法では、材料損失は最小に減じられる。中空成形体の製造時には単に、縁部を切断することだけが必要である。例えば金属薄板から製造されたキャリパヘッドは、トラフ形の深絞り品であり、このような深絞り品もまた大きな切断屑なしに製造可能である。必要な溶接運転は、キャリパフレームとキャリパヘッドとの結合だけに減じられる。
【0014】
U字形のキャリパフレームは、中空成形体から成形され、この場合形状付与は、ブレーキディスク、外側に位置するブレーキパッド及び、ホイールブレーキを中心にして回転するリム及びホイールハブによって強く確定されている。ホイールの回転する部分に対する距離が短いほど、高いブレーキ出力を得るためのブレーキのために、より大きな構造空間を利用することができる。
【0015】
この理由から、キャリパフレームのために利用できる構造空間は、極めて狭くなっている。ブレーキの緊締力を背側に伝達する、キャリパフレームの側部のプルストラットは、ブレーキディスクとリムとの間のリング間隙に空間を見出すことが必要であり、かつブレーキディスクの製造誤差、熱膨張、及び負荷に基づく変形を受け止めるための十分なスペースを提供することが必要である。プルストラットによって伝達される反力を外側のブレーキパッドに導入する、キャリパフレームの背部は、大きな曲げ剛性を必要とする。それというのは、この特徴によってキャリパ変形が実質的に確定されるからである。またキャリパ背部によって必要とされる軸方向における構造空間は、可能な限り小さいことが望ましい。このような可能な限り小さい構造空間によって、ブレーキディスクをその組込みポジションにおいて、好適なスクラブラジアス(Lenkrollradius)を得るために最大限外側に向かって移動させることが可能になる。
【0016】
このようなマージナルコンディションから、プルストラットは半径方向において極めてフラットに形成されていて、ブレーキディスクに対して圧着力を比較的広幅に加えるようになっており、これによって圧着力伝達のために必要な横断面を得ることができる。これに対してキャリパ背部は、軸方向において最大限可能な曲げ剛性を得るために、可能な限り厚く形成されており、これによってほぼ正方形の横断面が生ぜしめられる。
【0017】
そして中空成形体から製造されたキャリパフレームでは、まったく異なった横断面形状及び寸法設定に関する要求を、同じ直径と壁厚を有する一体の管から構成する、という困難がある。形状付与のための要求は、例えば各横断面における環状の中立軸線(neutraler Faser)の長さが強制的に、管の平均直径における周囲線の長さと同じである、ということである。
【0018】
本発明に係るディスクブレーキの別の好適な態様は、従属請求項に記載されている。
【0019】
次に図面を参照しながら、本発明に係るディスクブレーキの実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】圧着装置を取り囲む鋳造品と、ブレーキキャリパの反作用側部分を形成する、変形された鋼中空成形体から成るキャリパフレームと、を備えた本発明に係るディスクブレーキの1実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示した本発明に係るディスクブレーキの実施形態を分解して示す図である。
図3図1に示した本発明に係るディスクブレーキの変形された鋼中空成形体から成るキャリパフレームを示す斜視図である。
図4図1に示した本発明に係るディスクブレーキの変形された鋼中空成形体から成るキャリパフレームを、図3のIV−IV線に沿って断面した図である。
図5図1に示した本発明に係るディスクブレーキの変形された鋼中空成形体から成るキャリパフレームを、図3のV−V線に沿って断面した図である。
図6図1に示した本発明に係るディスクブレーキの変形された鋼中空成形体から成るキャリパフレームを、図3のVI−VI線に沿って断面した図である。
【0021】
図1には、本発明に係るディスクブレーキ1の1実施形態が示されている。図面を簡単にするために、ディスクブレーキ1のブレーキキャリパ2だけが示されている。ブレーキキャリパ2はハウジング3を有しており、このハウジング3は、ディスクブレーキ1の圧着装置(図示せず)を収容している。ハウジング3は本実施形態では、鋳造プロセスによって製造され、従って好ましくは、高強度のノジュラー鋳鉄から製造される。ブレーキキャリパ2はさらに、U字形のキャリパフレーム4を有していて、このキャリパフレーム4はハウジング3に固定されている。
【0022】
図2において、ハウジング3におけるキャリパフレーム4の固定形式を認識することができる。ハウジング3はそのためにポケット状の凹部5を有しており、この凹部5は長孔状のジオメトリを有していて、ハウジング3の両側に配置されている。対を成して対称的に配置されたポケット状の凹部5は、ハウジング3の反作用側の端部に向かって開放している。キャリパフレーム4は、そのプルストラット(Zugstrebe)6の両端部に、鉛直な対称軸線VSAによって確定された対称平面に対してそれぞれ90°だけ曲げられた付加部12を有している。これらの付加部12のジオメトリは、ポケット状の凹部5に対して輪郭が合致するように形成されており、これによって付加部12は、キャリパフレーム4の取り付けられた状態においてポケット状の凹部5内に係合する。
【0023】
図3には、U字形のキャリパフレーム4が詳しく示されている。キャリパフレーム4のプルストラット6は、平行な側面を備えた楕円形横断面7を有している(図4もしくは図6参照)。両方のプルストラット6を結合する、キャリパフレーム4の部分は、同様に図4から分かるように、D字形の横断面8を有している。この場合横断面ジオメトリの膨らんだ部分は、横断面の、ブレーキディスクとは反対の側に位置していて、横断面の、プルストラット6の鉛直な対称軸線に対して平行に位置する部分は、ブレーキディスクに向いた側に位置している。キャリパフレーム4のプルストラット6とキャリパ背部10との間における90°屈曲部9は、移行横断面11を有しており、この移行横断面11は、キャリパフレーム4の両方のプルストラット6における平行な側面を備えた楕円形横断面7と、キャリパフレーム4のキャリパ背部10におけるD字形の横断面8との間における移行部によって生ぜしめられる(図5参照)。
【0024】
本発明によって重要なことは次のことである。すなわち本発明では、キャリパフレーム4の壁厚tがキャリパフレーム4の如何なる任意の点においても等しい大きさであり、キャリパフレーム4の製造のために必要な変形過程によっても実質的に変化されず、その結果、高い変形率を有するゾーンにおいても、キャリパフレーム4のための二次の相応に大きな面積モーメントが生ぜしめられ、前記ゾーンは、変形ゾーンの引張り領域における方法典型的な材料くびれによって細くならない。これによってキャリパフレーム4の材料は、強度の観点において最適にかつ要求に適合して利用することができる。
【0025】
キャリパフレーム4の全横断面にわたってほぼ一定の壁厚tを得るために、本発明によれば、多段の変形プロセスが行われ、この場合変形プロセスの第1のステップは、キャリパ背部10の領域への質量予備分配を行う。なぜならば、さもないと、キャリパ背部10の領域におけるD字形の横断面8よりも小さな横断面を有する、キャリパフレーム4の両プルストラット6における、平行な側面を備えた楕円形横断面7の領域における壁厚に対して、D字形の横断面8の領域における一定の壁厚tを、変形過程によって得ることができないからである。
【0026】
さらに本発明によれば、多段式の変形プロセスの最終段階は、バルジ成形とも呼ばれるハイドロフォーミングプロセス(Innenhochdruckumformprozess)であり、このプロセスによって、キャリパ背部10の領域におけるD字形の横断面8と、キャリパフレーム4のキャリパ背部10とプルストラット6との間における90°屈曲部9の範囲における移行横断面11と、が成形される。
【0027】
キャリパフレームの基本ジオメトリ及び付加部12は、適宜な変形方法、例えば旋回屈曲(Schwenkbiegen)によって、中空成形体に形成され、この場合中空成形体は、好ましくは、平行な側面を備えた楕円形横断面7を有している。
【0028】
鋼管から製造されたキャリパフレームは、鋳物・キャリパハウジングと形状接続式(formschluessig)に結合され、かつ追加的に溶接される(図1及び図2)。しかしながらまた同様に、雌ねじ山を有する相応のねじ付加部が管端部内に溶接される場合には、ねじ結合部を使用することも可能である。
【0029】
金属薄板・ブレーキハウジングの場合には、結合はもっぱら溶接によって行われる。
【0030】
上に記載したジオメトリは、単に例として理解すべきである。例えばキャリパ背部10の曲げ強さを高めるために好適な別の態様では、管壁を、互いに向かい合って位置する面において、例えばパッド支持面と向かい合って位置する外壁とを、部分的に内方に向かって変形させ、これらの互いに向かい合って位置する部分面を互いに接触させ、かつ溶接することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 ディスクブレーキ
2 ブレーキキャリパ
3 ハウジング
4 キャリパフレーム
5 ポケット状の凹部
6 キャリパフレーム
7 平行な側面を備えた楕円形横断面
8 D字形の横断面
9 90°屈曲部
10 キャリパ背部
11 移行部横断面
12 付加部
VSA 鉛直方向の対称軸線
HSA 水平方向の対称軸線
t 壁厚
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】