(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-515724(P2015-515724A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(54)【発明の名称】コンタクトピン、コンタクトピンを含むコネクタ、及びコンタクトピンの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/04 20060101AFI20150501BHJP
H01R 43/16 20060101ALI20150501BHJP
【FI】
H01R13/04 A
H01R43/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-503812(P2015-503812)
(86)(22)【出願日】2013年3月21日
(85)【翻訳文提出日】2014年12月3日
(86)【国際出願番号】EP2013055932
(87)【国際公開番号】WO2013149843
(87)【国際公開日】20131010
(31)【優先権主張番号】102012102904.0
(32)【優先日】2012年4月3日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス アンプ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハウツンク
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】ベック、 カール
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、 ハインリッヒ ロムアルト
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063XA02
(57)【要約】
本発明は、第1及び第2の端部(10,20)と、端部同士間に位置する屈曲部(30)とを有するコンタクトピン(1)に関し、少なくとも一方の端部の断面が、好ましい屈曲方向(V1)及び少なくとも1つの屈曲抵抗方向(R1)を有し、少なくとも一方の端部の断面の慣性モーメントが、屈曲抵抗方向よりも好ましい屈曲方向の方が小さい。かかるコンタクトピンが、一方向の屈曲力(F)によって、コンタクトピン(1)の長手方向延在線(Z)に垂直に屈曲されると、屈曲の方向(X)は、屈曲力の方向から逸脱する。この逸脱を解消するために、本発明によれば、屈曲部の断面における好ましい屈曲方向における慣性モーメントと屈曲抵抗方向における慣性モーメントとの差が、少なくとも一方の端部における慣性モーメントよりも小さいことが規定される。更に、本発明は、コンタクトピンを含むコネクタ(70)、及びコンタクトピン(1)を製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の端部(10,20)と、前記端部(10,20)同士間に位置する屈曲部(30)とを有するコンタクトピン(1)であって、少なくとも一方の前記端部(10,20)の断面が、好ましい屈曲方向(V1)及び少なくとも1つの屈曲抵抗方向(R1)を有し、前記少なくとも一方の端部(10,20)の断面の慣性モーメントが、前記屈曲抵抗方向(R1)よりも前記好ましい屈曲方向(V1)の方が小さいコンタクトピン(1)において、
前記屈曲部(30)の断面における前記好ましい屈曲方向(V1)における慣性モーメントと前記屈曲抵抗方向(R1)における慣性モーメントとの差が、前記少なくとも一方の端部(10,20)における慣性モーメントよりも小さいことを特徴とするコンタクトピン(1)。
【請求項2】
前記屈曲部(30)における慣性モーメントは、前記コンタクトピン(1)の長手方向延在線(L)に垂直な方向に一定であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトピン(1)。
【請求項3】
前記屈曲部(30)の断面は円形であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンタクトピン(1)。
【請求項4】
前記少なくとも一方の端部(10,20)は多角形の断面を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンタクトピン(1)。
【請求項5】
前記2つの端部(10,20)は同一の断面を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンタクトピン(1)。
【請求項6】
前記屈曲部(30)は、断面の再形成によって生成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコンタクトピン(1)。
【請求項7】
前記コンタクトピン(1)は、前記屈曲部(30)において屈曲されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコンタクトピン(1)。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコンタクトピン(1)を有するコネクタ(70)であって、
前記第1の端部(10)が、相補的な断面設計を有するピンソケット(60)に確実に挿入されることを特徴とするコネクタ(70)。
【請求項9】
第1及び第2の端部(10,20)と、前記第1及び第2の端部(10,20)間に位置する屈曲部(30)とを有するコンタクトピン(1)を製造する方法であって、少なくとも一方の前記端部(10,20)の断面は、好ましい屈曲方向(V1)及び少なくとも1つの屈曲抵抗方向(R1)を有し、前記好ましい屈曲方向(V1)における前記少なくとも一方の端部(10,20)の慣性モーメントが、前記屈曲抵抗方向(R1)における慣性モーメントよりも小さい方法において、
前記好ましい屈曲方向(V1)における慣性モーメントと前記屈曲抵抗方向(V1)における慣性モーメントとの差が、前記少なくとも1つの端部(10,20)における慣性モーメントよりも小さくなる断面に前記屈曲部(30)を再形成することを特徴とするコンタクトピン(1)を製造する方法。
【請求項10】
前記コンタクトピン(1)は屈曲され、特に前記コンタクトピン(1)は再形成後に屈曲されることを特徴とする請求項9に記載のコンタクトピン(1)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の端部と第2の端部及びこれら端部間に位置する屈曲部を備えるコンタクトピンであって、少なくとも一方の端部の断面が、好ましい屈曲方向及び少なくとも1つの屈曲抵抗方向を有し、前記少なくとも一方の端部の断面の慣性モーメントが、前記屈曲抵抗方向よりも前記好ましい屈曲方向において小さいコンタクトピンに関する。また、本発明は、この種のコンタクトピンを備えるコネクタに関する。更に、本発明は、かかるコンタクトピンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトピンは、電気機器及び電子機器の多くの分野において使用される。通常、これらの分野では、多角形、大抵の場合は略矩形の断面を有するコンタクトピンが用いられている。多くの用途において、これらのコンタクトピンは、2つの端部間に位置する屈曲部において屈曲されるはずである。コンタクトピンの長手方向延在線に垂直であり且つコンタクトピンの長手方向延在線に垂直な好ましい屈曲軸に垂直な好ましい屈曲方向において、屈曲は比較的容易である。コンタクトピンの長手方向延在線に垂直であり且つコンタクトピンの長手方向延在線に垂直な屈曲抵抗軸に垂直な少なくとも1つの屈曲抵抗方向に沿って、屈曲は更に難しくなる。コンタクトピンの屈曲が屈曲方向に沿ってどの程度困難又は容易であるかの尺度が、屈曲方向又は屈曲軸各々における、慣性モーメント、特に軸周りの慣性モーメントである。屈曲軸に関する慣性モーメントは、断面積に関して積分された屈曲軸までの点の距離の二乗に関する積分として定義される。屈曲軸に垂直且つコンタクトピンの長手方向延在線に垂直な屈曲軸又は屈曲方向に関する慣性モーメントが高ければ、この軸周り又はこの方向への屈曲が困難である。
【0003】
コンタクトピンは、相補的な形状のピンソケットに挿入され、次に、縁上で屈曲される場合が多い。しかしながら、製造誤差のため、コンタクトピンとソケットは、大抵の場合、ぴったりと嵌合することはないので、コンタクトピンは、ソケットに受容されて係止される際にその長手軸を中心にねじれる。後続の段階において、コンタクトピンに屈曲力が加えられると、この力は、好ましい屈曲方向には働かずに他の方向に働く。コンタクトピンは、屈曲される際、好ましい屈曲方向に向かって撓むので、コンタクトピンは屈曲力の方向に沿って屈曲されずに、異なる方向に屈曲される。従って、コンタクトピンの方向は、更なる工程において矯正されなければならず、製造費用の上昇につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が扱う課題は、更なる矯正工程のような処理を必要としないコンタクトピンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、本発明によれば、屈曲部の断面における好ましい屈曲方向における慣性モーメントと屈曲抵抗方向における慣性モーメントとの差が、少なくとも一方の端部における慣性モーメントよりも小さいコンタクトピンによって達成される。本発明に係る課題解決手段により、屈曲部が屈曲される際に、コンタクトピンは、より良好に且つより正確に屈曲力に追従する。これにより、屈曲加工後にコンタクトピンを整合するための更なる矯正工程を回避することができる。
【0006】
本発明に係る課題解決手段は、以下の発展形態に従って向上させることができ、その発展形態は各々が有利であり、自由に組み合わせることができる。
【0007】
前記屈曲部は、前記少なくとも一方の端部と比較して異なるように構成することができる。前記屈曲部は、異なる断面、即ち、異なる断面形状や異なる断面積を有することができる。
【0008】
前記好ましい屈曲方向は、最小の慣性モーメントを有する断面平面に沿った方向とすることができる。
【0009】
前記屈曲抵抗方向は、最大の慣性モーメントを有する断面平面に沿った方向とすることができる。
【0010】
前記少なくとも一方の端部は、2つ以上の屈曲抵抗方向を有することができる。例えば、矩形の断面を有する端部は、4つの屈曲抵抗方向を有することができ、これら4つの屈曲抵抗方向は、各々、矩形の中心から角へと延在する。異なる屈曲抵抗方向に沿う屈曲に対する関連する慣性モーメントの値は、等しくてもよいし又は異なっていてもよい。特に、屈曲部の断面において、慣性モーメントが最も大きい場合の好適な屈曲方向における慣性モーメントと屈曲抵抗方向における慣性モーメントとの差は、前記少なくとも一端における慣性モーメントよりも小さい。
【0011】
好適な一実施形態では、前記コンタクトピンの長手方向延在線を横切る方向における前記屈曲部の慣性モーメントは一定である。前記コンタクトピンの長手方向延在線は、真っ直ぐなコンタクトピン又は屈曲したコンタクトピンの場合、長手軸とすることができる。
【0012】
他の一実施形態では、一端部の長手方向延在線を横切る前記屈曲部における慣性モーメントは一定である。いずれの場合も、複数の屈曲抵抗方向が存在する場合、慣性モーメントは、屈曲抵抗方向間の領域におけるコンタクトピンの長手方向延在線を横切る方向において一定であれば十分である。
【0013】
前記屈曲部の断面は円形とすることができる。かかる一実施形態では、前記屈曲部は、任意の方向に屈曲することができる。従って、前記好ましい屈曲方向は、前記長手方向延在線に垂直に延在する全ての方向を含むことができる。前記好ましい屈曲方向と前記屈曲抵抗方向の慣性モーメントの差を、ゼロ又はほぼゼロとすることができる。前記好ましい屈曲方向は、前記屈曲抵抗方向と一致することができる。前記断面が円形の実施形態の場合、前記屈曲力に正確に追従することができる。従って、前記コンタクトピンの方向の矯正は完全に不要になる。
【0014】
前記コンタクトピンの前記屈曲部の断面は、部分的に曲線状になっているだけでも十分である。例えば、前記屈曲部は、長手方向の一側面にのみ屈曲されてもよい。或いは、又はそれに加えて、前記断面は、少なくとも部分的に、弓形、例えば、半円形の輪郭を有することができる。この輪郭の他の部分には角を有することができ、或いは、弓形が直線によって閉じられることができる。或いは、又はそれに加えて、前記屈曲部の断面は、輪郭が曲線状になった領域を有することができる。これらの曲線部分は、弓形のように延在する必要はなく、その他の形状を有することもできる。例えば、これらの曲線部分は、部分的に楕円形、放物線状とすることができ、或いは、多項式関数の曲線に沿って延在することができる。前記屈曲部の断面は、凸状の外輪郭を有することができ、つまり、2点間の領域において、中心までの距離がこれら2点の箇所よりも遠い。
【0015】
前記少なくとも1つの端部は、多角形の断面を有することができる。例えば、前記端部は、矩形の断面、好ましくは正方形の断面を有することができる。特に、前記端部は、略正方形であるが角が丸くなった断面を有することができる。前記断面は、部分的にのみ多角形とすることもできる。このようにして、一つの側面が角を有し、他の一側面を曲線状にすることができる。
【0016】
前記少なくとも一方の端部と前記屈曲部との間には、前記端部の断面が前記屈曲部の断面と連結する連結部を設けることができる。この連結部には段差を設けることができる。或いは、前記端部と前記屈曲部との間の連結は滑らかにすることができ、即ち、この連結部は段差や縁を有しなくてもよい。
【0017】
好適な一実施形態では、前記屈曲部の断面における前記好ましい屈曲方向の慣性モーメントと前記屈曲抵抗方向の慣性モーメントとの差は、前記2つの端部における慣性モーメントよりも小さい。前記第2の端部は、前記第1の端部と同じ好ましい断面を有することができる。特に、前記第2の端部は、前記第1の端部と同じ断面を有することができる。従って、前記第2の端部は、同一の断面形状、同一の大きさや同一の面積を有することができる。特に、前記第2の端部の断面は、少なくとも非屈曲状態において、前記第1の端部の断面と整列している。例えば、両端部が正方形の端面を有する場合、これら2つの正方形は、前記コンタクトピンの長手方向延在線に沿って見ると、非屈曲状態において一致するように重なり合うことができる。しかしながら、屈曲状態では、2つの正方形は互いに対して捻じられることができる。或いは、同一の断面積を有する同一の形状を有する断面同士を異なるように配向することができる。例えば、両端部は、これらの2つの端部における正方形の角が異なる方向を指すように、正方形の断面を有することができる。
【0018】
前記屈曲部は、断面の再形成によって生成することができる。例えば、既存の屈曲部は、前記コンタクトピンが本発明に係るコンタクトピンとなるように、再形成することができる。或いは、前記屈曲部は、前記断面の再形成のみによって初めから生成することができ、例えば、初めは屈曲部ではなかった他の部分を屈曲部に再形成することができる。このように、第1及び第2の端部を有するコンタクトピンは、前記第1の部分や前記第2の部分の一部が屈曲部に再形成されるという点で、本発明に係るコンタクトピンに再形成されることができる。これは、断面の再形成によって可能である。好適な一実施形態では、前記第1又は第2の端部の一部が、曲線状の断面、好ましくは円形の断面に再形成されるという点で、各々が多角形の断面を有する2つの端部を有するコンタクトピンは、本発明に係るコンタクトピンに再形成される。
【0019】
断面の再形成は、例えば、圧縮によって可能である。断面の再形成としては、特に、冷間成形加工が可能である。冷間成形加工では、温度を上昇させることなく圧力を加えることによって単純に断面を再形成することができる。これは、例えば、加工後の断面を予め決定するダイ又は成形金型を用いて行うことができる。既定の成形金型を用いずに自由に再形成することも可能である。長手方向又は横方向への圧延による再形成も可能である。いずれにしても、前記コンタクトピンの長さは、再形成加工の結果として変化する可能性があり、特に、前記コンタクトピンは、結果的に長くなる可能性がある。前記屈曲部における断面積は、再形成加工の結果として変化する可能性があり、特に、その断面は小さくなる可能性がある。断面の形状のみを変え、断面積を変化させない再形成も可能である。この場合、前記コンタクトピンは長くならない。
【0020】
好適な一実施形態では、コンタクトピンは、再形成加工前に、各々が同じ断面形状及び面積を有する第1及び第2の端部を有する。
【0021】
前記屈曲部の再形成の際に、端部を同時に再形成することもできる。特に、少なくとも一方の端部を、少なくとも部分的に屈曲部に再形成することができる。再形成された端部の長さは、結果的に変化する可能性がある。
【0022】
コンタクトピンは、複数の屈曲部、特に本発明に係る複数の屈曲部を有することができる。
【0023】
コンタクトピンは、更なる機能的部分を有することができる。例えば、前記端部と前記屈曲部間には連結部を設けることができる。
【0024】
本発明に係るコンタクトピンは、前記屈曲部において屈曲することができる。このようにして、前記2つの端部は、異なる方向に延在することができる。前記2つの端部は、特に、一点において交差することができる。本発明に係るコンタクトピンは、コネクタ内に配置することができる。特に、前記第1の端部は、相補的な断面形状を有するピンソケットに最終的に挿入されることができる。前記第1の端部は、前記ソケット内に完全に又は部分的にのみ配置されることができる。挿入された端部の長手方向延在線に垂直にしかポジティブロックが掛かることがないので、前記コンタクトピンは、挿入された端部の長手方向延在線に沿って動かすことができる。
【0025】
コネクタは、本発明に係る様々なコンタクトピンを有することができる。例えば、各々が少なくとも一方の端部と屈曲部において同一の断面を有するが長さが異なる様々なコンタクトピンを設けることができる。このように、コンタクトピンの端部を、屈曲状態において同一平面に配置することができる。
【0026】
本発明の有利な実施形態の例を、図面を参照しながら以下に記述する。記述される実施形態は、考え得る実施形態を代表しているに過ぎないが、上述した個々の特徴は互いに独立して組み合わせたり、省略したりすることができる。様々な実施形態における同一の参照番号は、各々、同一物を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本発明に係るコンタクトピンの第1の実施形態の概略的な斜視図である。
【
図1B】コンタクトピンの長手方向延在線に垂直な横断平面に沿う
図1Aに示すコンタクトピンの一端部の概略的な断面である。
【
図1C】コンタクトピンの長手方向延在線に垂直な横断平面に沿う
図1Aに示すコンタクトピンの屈曲部の概略的に断面である。
【
図2】本発明に係るコンタクトピンの第2の実施形態の概略的な斜視図である。
【
図3】ピンソケット内の本発明に係るコンタクトピンの概略的な斜視図である。
【
図4】
図3に示すコンタクトピン及びピンソケットの概略的な正面図である。
【
図5】本発明に係るコンタクトピンの第3の実施形態の概略的な斜視図である。
【
図6】
図5に示すコンタクトピンの異なる視線からの概略的な斜視図である。
【
図7】本発明に係るコネクタの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1Aには本発明に係るコンタクトピンが示されている。コンタクトピン1は、第1の端部10と、第2の端部20と、第1の端部10及び第2の端部20の間に位置する屈曲部30とを有する。コンタクトピン1の長手方向延在線Zの方向における第1の端部10の長さL1は、第2の端部20の対応する長さL2よりも短い。屈曲部30の長さL3は、2つの端部の長さL1,L2とは無関係である。本実施形態の場合、屈曲部30の長さL3は、長手方向延在線Zの方向のコンタクトピン1の全長Lの約20%である。しかしながら、屈曲部30の長さL3は、この値とは異なっていてもよく、各々の意図する目的に適応させることができる。
【0029】
本実施形態の場合、コンタクトピン1の長さLは、第1の端部10、第2の端部20、及び屈曲部30の長さL1,L2,L3から成る。他の実施形態では、2つの端部10,20及び屈曲部30だけでなく更なる部分を設けることができる。特に、更なる屈曲部、例えば、本発明に係る第2の屈曲部を設けることができる。
【0030】
ここに示す端部10,20は、両方とも挿入部11,21を有し、端部10,20は、ピンソケットへの挿入を容易にするために、挿入部11,21において先細りしている。
【0031】
コンタクトピンの長手方向延在線Zに垂直に延在する断面平面Tにおける第1の端部10と第2の端部20の断面は同一である。この場合、これらの断面の形状、面積、及び向きは同一である。
【0032】
図1Bには、第1及び第2の端部10,20のかかる断面が示されている。外輪郭U1,U2は略正方形であるが、角3が面取りされている。従って、外輪郭U1,U2は、多角形であり、この場合は八角形である。角は丸められてもよい。図示の端部10,20は、第1の好ましい屈曲方向V1及び第2の好ましい屈曲方向V2を有する。端部10,20は、これらの好ましい屈曲方向V1,V2に沿って且つこれらの方向とは反対方向に最低限の抵抗で屈曲させることができる。その過程で、屈曲は、好ましい屈曲方向V1の方向に屈曲軸B1周りに生じる。この屈曲軸B1周りの慣性モーメント、特に軸周りの慣性モーメントは、好ましい方向V1から僅かに外れた他の方向よりも小さい。ここに示す例ででは、好ましい屈曲方向V1は、最小の慣性モーメントを有する屈曲方向を表す。慣性モーメントは、慣例通り、屈曲軸からの距離の二乗に関する断面の面積Aに関する面積分と定義され、屈曲軸は、面積Aの中心点Mを通る。
【0033】
ここに示す断面の場合、第2の好ましい屈曲方向V2もあり、この方向に沿えば、屈曲は、好ましい屈曲方向V1と同様に容易である。
【0034】
更に、図示の端部10,20は屈曲抵抗方向R1を有し、この方向には屈曲が困難であり、屈曲抵抗方向R1に関し、屈曲抵抗方向R1に属する屈曲軸W1に関する慣性モーメントは、ここでは増加する。ここに示す端部10,20は、複数の屈曲抵抗方向を有し、例えば、第2の屈曲抵抗方向R2が描かれている。ここに示す対称的な実施形態の場合、第2の屈曲抵抗方向R2に沿う屈曲に関する慣性モーメントは、屈曲抵抗方向R1に沿う屈曲に関する慣性モーメントに等しい。
【0035】
屈曲抵抗方向R1に沿って、即ち、屈曲抵抗方向R1の方向を指し示す屈曲力Fによって端部10,20を屈曲しようとすると、僅かなずれであっても、屈曲は、方向R1に沿って生じずに、実際の屈曲の方向Xに沿って生じ、好ましい屈曲方向V1の方へと向けられる。
【0036】
図1Cには、
図1に示すコンタクトピン1の屈曲部30の断面が示されている。この場合、断面は円形である。屈曲部30は、この断面平面に位置する全方向に沿って同一の屈曲抵抗を有する、即ち、断面平面における全方向に関する慣性モーメントが等しい。同時に、全方向が屈曲抵抗方向R1である。従って、好ましい屈曲方向V1と屈曲抵抗方向R1に関する慣性モーメントの差はゼロである。ここに示す屈曲部30の円形の実施形態の場合、断面平面における任意の方向の屈曲力Fにより、その屈曲方向への屈曲となる。従って、実際の屈曲の方向Xは、屈曲力Fに一致する。
図1A及び
図1Cに示す円形断面を有する屈曲部30は、再形成によって他の断面から生成することができる。例えば、端部10,20の断面と類似の断面を有する屈曲部30を、本発明に係る断面に再形成することができる。これは、例えば、圧延又は圧縮によって行うことができる。この再形成処理の結果、コンタクトピン1の長さLは、再形成処理によっては変化する可能性があり、或いは同じままの可能性もある。従って、特に、
図1Cに示す屈曲部30の面積A3は、第1の端部や第2の端部10,20の面積Aと同一である可能性がある。
【0037】
図2には、本発明に係るコンタクトピン1の第2の実施形態が示されている。このコンタクトピン1も、第1の端部10と、第2の端部20と、第1の端部10及び第2の端部20の間に位置する屈曲部30とを有する。ここで示すコンタクトピン1は、屈曲部30において既に屈曲されている。第1の端部10の長手方向延在線Z1の方向は、第2の端部20の長手方向延在線Z2の方向と異なる。長手方向延在線の2つの方向Z1,Z2は、一点で交差し、この例では、約90°の角度を成す。長手方向延在線の方向Z1,Z2に垂直な平面における第1及び第2の端部10,20の断面は、
図1Bに示す断面に類似している。
【0038】
屈曲部30は、湾曲部31を通る断面が、円形から逸脱している。屈曲部30と第1の端部10との間に位置する連結部40では、断面はまだほぼ円形である。更に、屈曲部30の中心では、円形からの逸脱が大きくなる。屈曲部30と第2の端部20との間に位置する第2の連結部50でも、断面はほぼ円形である。
【0039】
ここで示すコンタクトピン1は、真っ直ぐなコンタクトピン1を屈曲することによって製造することができる。例えば、屈曲力Fが加えられていてもよい。円形の屈曲部30であるため、この力Fにより、屈曲力Fの方向への屈曲となる。従って、実際の屈曲方向Xは、屈曲力Fの方向と一致する。
【0040】
図3には、本発明に係るコンタクトピン1がピンソケット60に挿入された状態で示されている。ピンソケット60は、例えば、コネクタ70の一部であり、コネクタ70は更なるピンソケット60及び更なるコンタクトピン1を有してもよい。第1の端部10と第2の端部20は、この場合も、略正方形の多角形の断面を有するが、縁2が面取りされている。第1の端部と第2の端部20との間には、湾曲部31を有する屈曲部30がある。従って、2つの端部10,20は、異なる空間方向に延在している。
【0041】
コネクタ70のピンソケット60は、第2の端部20に対して相補的な断面を有する。ピンソケット60の内輪郭61は、略正方形の断面を有する。
【0042】
コンタクトピン1は、コネクタの表面に垂直に延在する挿入方向Sに沿ってコネクタソケット60に挿入することができる。
【0043】
図示のコンタクトピン1は、本発明に係る真っ直ぐなコンタクトピン1を屈曲することによって製造された。屈曲加工時、コンタクトピン1はピンソケット60内に配置されていた。コンタクトピンの外輪郭と、相補的な断面を有するピンソケット60の内輪郭61の構成となっているが、コンタクトピン1は、第2の端部20の長手方向延在線Z2の方向を軸に、即ち、回転方向Tに、僅かに回転される場合がある。しかしながら、屈曲部30の断面が円形であるため、ピンソケット60内の上記回転によって、実際の屈曲方向Xが屈曲力Fの方向から外れることはない。従って、両方向F,Xは、互いに重なり合う。かかる実施形態の場合は、端部10の整列を矯正する更なる整列ステージが省略される。
【0044】
図4には、
図3に示すコンタクトピン1とピンソケット60が正面図にて示されている。
【0045】
第2の端部20は、ピンソケット60にねじれて係止されている。屈曲力Fの方向は、好ましい屈曲方向V1とは異なり、屈曲抵抗方向R1の方向に成分を有するが、実際の屈曲の方向Xは屈曲力Fの方向である。これは、屈曲部30の円形の断面によるものである。屈曲部30が第2の端部20と同じ断面を有する場合、理想的に好ましい屈曲方向V1に位置せず、屈曲抵抗方向R1に沿って成分を有する屈曲力Fによって、実際の屈曲が、屈曲力Fの方向とは異なる方向Xになる。
【0046】
図5及び
図6には、本発明に係るコンタクトピン1の第3の実施形態が示されている。第1の端部10と第2の端部20との間には、この場合も同様に屈曲部30がある。しかしながら、ここに示す屈曲部30は、上記に示した例のような円形の断面を有さず、一部が曲線状になった断面を有する。このため、方向Fの屈曲力により、屈曲力Fの方向とは僅かに異なるだけの方向Xに沿う屈曲となる。従って、屈曲力Fの方向と実際の屈曲方向Xは、屈曲部30において第1の端部10と第2の端部20と同じ断面を有するコンタクトピン1の場合よりも互いに近接しているが、厳密には一致しない。屈曲力Fの方向と実際の屈曲方向Xは、屈曲したコンタクトピン1の整列を矯正するために更なる矯正工程を必要としない程度に近接させることができる。
【0047】
屈曲部30の断面は、内側32が湾曲している。外側33には、複数の角を有する。
【0048】
図6には、同様に
図5に示すコンタクトピン1が他の視点から示されている。外側33の角張った形状と内側32の曲線形状により、第1の端部10を第2の端部20に向かって屈曲することがより容易になる。従って、実際の屈曲の方向Xは、屈曲力Fの方向に近接している。
【0049】
図7には、本発明に係るコネクタ70が示されている。コネクタ70は、複数のピンソケット60を含み、これらのピンソケット60に、本発明に係るコンタクトピン1が挿入されている。本発明に係るコンタクトピン1の形状により、コネクタの外部に延出する第1の端部10は全て同一の方向Z1を指している。様々なコンタクトピン1の個々の端部10は、全てのコンタクトピン1が一つの平面内に終端するように、異なる長さを有している。
【国際調査報告】