(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-515856(P2015-515856A)
(43)【公表日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】喫煙品フィルターの改良
(51)【国際特許分類】
A24D 3/10 20060101AFI20150508BHJP
A24D 3/14 20060101ALI20150508BHJP
A24D 3/12 20060101ALI20150508BHJP
【FI】
A24D3/10
A24D3/14
A24D3/12
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-509497(P2015-509497)
(86)(22)【出願日】2013年5月2日
(85)【翻訳文提出日】2014年12月4日
(86)【国際出願番号】GB2013051137
(87)【国際公開番号】WO2013164623
(87)【国際公開日】20131107
(31)【優先権主張番号】1207779.8
(32)【優先日】2012年5月3日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、デビッド
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】メイジャー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サンプソン、ジョン
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BA05
4B045BB02
4B045BC04
(57)【要約】
本発明は、紙巻きタバコ、葉巻、および細巻き葉巻のような喫煙品に使用するフィルターの改良に関する。この改良は詳細にはフィルター性能およびそのようなフィルターの製造に関するが、それらに限定されない。一具体例では、喫煙品用フィルターは、吸着材料粒子を中に分散させた吸収材料の無秩序に配向されている離散短繊維を含む。また本発明は、吸収材料および/または吸着材料を含む種々の他のフィルター構成を備える喫煙品用フィルターも提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収材料中に分散された吸着材料を含む喫煙品用フィルターであって、フィルター外周が約23〜25mmの場合に、1mm長あたりの前記吸着材料のmg単位の量Cwおよび1mm長あたりの前記吸収材料のmg単位の量Twは
10≦(Cw+Tw)≦20
の範囲にある、
フィルター。
【請求項2】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、1mm長あたりの前記吸着材料の量および前記吸収材料の量は
11≦(Cw+Tw)≦18
の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のフィルター。
【請求項3】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、1mm長あたりの前記吸着材料の量および前記吸収材料の量は
12≦(Cw+Tw)≦17
の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルター。
【請求項4】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、
1mm長あたり6〜16mgの吸着材料と、
1mm長あたり1.5〜8mgの吸収材料を
含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載のフィルター。
【請求項5】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、
1mm長あたり8〜16mgの吸着材料と
1mm長あたり3.5〜5mgの吸収材料を
含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載のフィルター。
【請求項6】
前記吸収材料は可塑剤を用いずに前記フィルター内にまとめられている無秩序に配向されている短繊維を含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載のフィルター。
【請求項7】
前記無秩序に配向されている短繊維は伸張時に約5〜20mmの平均長を有することを特徴とする請求項6に記載のフィルター。
【請求項8】
前記無秩序に配向されている短繊維は5〜9の範囲の平均繊維デニールを有することを特徴とする請求項6または7に記載のフィルター。
【請求項9】
前記無秩序に配向されている短繊維は第1の材料で形成された無秩序に配向されている短繊維と、第2の材料で形成された無秩序に配向されている短繊維を含むことを特徴とする請求項6乃至8いずれか1項に記載のフィルター。
【請求項10】
前記第1の材料は酢酸セルロースを含み、前記第2の材料は非捲縮材料を含むことを特徴とする請求項9に記載のフィルター。
【請求項11】
前記第2の材料は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、コハク酸1,4−ブタンジオールエステル重合体(PBS)、アジピン酸ブチレンとテレフタル酸ブチレンエステルの共重合体(PBAT)、澱粉を基にした材料、紙、脂肪族ポリエステル材料および多糖重合体から選択された少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする請求項9または10に記載のフィルター。
【請求項12】
前記吸着材料は平均直径が約0.1〜1mmの範囲の粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項に記載のフィルター。
【請求項13】
前記吸着材料は活性炭を含むことを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項に記載のフィルター。
【請求項14】
前記吸着材料は、イオン交換樹脂、CR20、沸石、シリカゲル、海泡石、(活性または非活性)酸化アルミニウム、炭素樹脂、ケイ酸マグネシウム、セピオライト(MG4Si6O15(OH)2・6H2O)、またはこれらの組合せから選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項に記載のフィルター。
【請求項15】
3.47〜4.86mmWg/mmの範囲の圧力降下を有することを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項に記載のフィルター。
【請求項16】
フィルトローナフィルター硬度測定法による85〜95%の硬度を有することを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項に記載のフィルター。
【請求項17】
請求項1乃至16いずれか1項に記載のフィルターを備える喫煙品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は喫煙品に使用するフィルターの改良に関する。詳細には、この改良はフィルター性能およびそのようなフィルターの製造に関するがそれらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコフィルターに使用される既知のフィルター材は、トリアセチンで可塑化された繊維状酢酸セルロースの連続したトウである。酢酸セルロースはまとめられてロッドを形成し、それが切断されて個々のフィルターセグメントが形成される。喫煙品用フィルターは1つのセグメントからなるフィルターロッドで作られてもよく、あるいは間に空洞すなわち空間が有るもしくは無い複数のセグメントで作られてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の実施形態によれば、吸収材料中に分散された吸着材料を含む喫煙品用フィルターが提供され、1mm長あたりの吸着材料のmg単位の量C
wおよび1mm長あたりの吸収材料のmg単位の量T
wは、フィルター外周が約23〜25mmの場合以下の範囲にある。
10≦(C
w+T
w)≦20
【0004】
1mm長あたりの吸着材料の量および吸収材料の量は、フィルター外周が約23〜25mmの場合以下の範囲に従って選択することができる。
11≦(C
w+T
w)≦18
【0005】
1mm長あたりの吸着材料の量および吸収材料の量は、フィルター外周が約23〜25mmの場合以下の範囲に従って選択することができる。
12≦(C
w+T
w)≦17
【0006】
フィルターは、その外周が約23〜25mmの場合、
1mm長あたり6〜16mgの吸着材料と、
1mm長あたり1.5〜8mgの吸収材料
を含んでもよい。
【0007】
フィルターは、その外周が約23〜25mmの場合、
1mm長あたり8〜16mgの吸着材料と、
1mm長あたり3.5〜5mgの吸収材料
を含んでもよい。
【0008】
吸収材料は、フィルター内に可塑剤を用いずにまとめられている無秩序に配向されている短繊維を含んでもよい。
【0009】
無秩序に配向されている短繊維は伸張時に約5〜20mmの平均長を有してもよい。
【0010】
無秩序に配向されている短繊維は5〜9の範囲の平均繊維デニールを有してもよい。
【0011】
無秩序に配向されている短繊維は第1の材料で形成された無秩序に配向されている短繊維と、第2の材料で形成された無秩序に配向されている短繊維を含んでもよい。
【0012】
第1の材料は酢酸セルロースを含んでもよく、第2の材料は非捲縮材料を含んでもよい。
【0013】
第2の材料は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、コハク酸1,4−ブタンジオールエステル重合体(PBS)、アジピン酸ブチレンとテレフタル酸ブチレンエステルの共重合体(PBAT)、澱粉を基にした材料、紙、脂肪族ポリエステル材料、および多糖重合体から選択した少なくとも1つの材料を含んでもよい。
【0014】
吸着材料は、平均直径が約0.1〜1mmの範囲の粒子を含んでもよい。
【0015】
吸着材料は活性炭を含んでもよい。
【0016】
吸着材料は、イオン交換樹脂、CR20、沸石、シリカゲル、海泡石、(活性または不活性)酸化アルミニウム、炭素樹脂、ケイ酸マグネシウム、セピオライト(Sepiolite、Mg
4Si
6O
15(OH)
2・6H
2O)、またはこれらの組合せから選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
フィルターは3.47〜4.86mmWg/mmの範囲の圧力降下を有してもよい。
【0018】
フィルターはフィルトローナ(Filtrona)フィルター硬度測定法による85〜95%の硬度を有してもよい。
【0019】
本発明の実施形態によれば、上記のフィルターを備える喫煙品がさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付図面を参照して、以下に本発明の実施形態を単に例示的に説明する。
【
図1】少なくとも1つのセグメントからなるフィルターを有する喫煙品の概略図である。フィルターは、標準型フィルターの場合、1mm長あたり12mgの吸着材料と、1mm長あたり4mgの吸収材料を有する。
【
図2】本明細書に記載のフィルターの製造に用いるフィルター製造装置の概略図である。
【
図3】フィルターの圧力降下および硬度の望ましい範囲に基づいてフィルター中の炭素重量とトウ重量を説明するグラフである。
【
図4】炭素重量、トウ重量、および機械稼働速度がフィルターの圧力降下に及ぼす影響をそれぞれ説明する3つのグラフである。
【
図5】炭素重量、トウ重量、および機械稼働速度がフィルターの圧力降下に及ぼす影響をそれぞれ説明する3つのグラフである。
【
図6】7〜9の範囲の平均繊維デニールを有する第1の繊維状フィルター材料と、第1の繊維状フィルター材料中に分散され7未満の平均繊維デニールを有する第2の繊維状フィルター材料とによるフィルターを有する喫煙品の概略図である。
【
図7】主流煙の少なくとも1種の成分の低減を可能にするまたは低減を促進する添加剤を但持するナノ繊維を含む少なくとも1つのセグメントからなるフィルターを有する喫煙品の概略図である。
【
図8】糸が中を延びている無秩序に配向されている離散短繊維を含む少なくとも1つのセグメントからなるフィルターを有する喫煙品の概略図である。
【
図9】カプセルを中に配置した無秩序に配向されている離散短繊維を含む少なくとも1つのセグメントからなるフィルターを有する喫煙品の概略図である。
【
図10】複数の微小カプセルを中に配置した無秩序に配向されている離散短繊維を含む少なくとも1つのセグメントからなるフィルターを有する喫煙品の概略図である。
【
図11】裁断されたシート状材料を中に配置した無秩序に配向されている離散短繊維を含む少なくとも1つのセグメントからなるフィルターを有する喫煙品の概略図である。
【
図12】分解性繊維を中に配置した無秩序に配向されている離散短繊維を含む少なくとも1つのセグメントからなるフィルターを有する喫煙品の概略図である。
【
図13a】平均密度が大きい領域および平均密度が小さい領域を備えるフィルターロッドの概略図である。
【
図13b】平均密度が大きい領域および平均密度が小さい領域を有するフィルターセグメントを製造するためのフィルター形成帯の断面の概略図である。
【
図14】楕円形断面を備えるフィルターを有する喫煙品の概略図である。
【
図15】矩形断面を備えるフィルターを有する喫煙品の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に使用されているように、「喫煙品」には、タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、またはタバコ代用品、および加熱非燃焼製品を基にした、または基にしていない紙巻きタバコ、葉巻、および細巻き葉巻のような喫煙製品が含まれる。そのような喫煙品には、喫煙者に吸引される気体流用のフィルターが設けられていてもよい。
【0022】
紙巻きタバコのような喫煙品およびそれらのフォーマットは、紙巻きタバコの長さに応じて以下のように名前が付けられることが多く、「標準」(一般に68〜75mmの範囲、例えば約68〜約72mm)、「ショート」または「ミニ」(68mm以下)、「キングサイズ」(一般に75〜91mmの範囲、例えば約79〜約88mm)、「ロング」または「スーパーキング」(一般に91〜105mmの範囲、例えば約94〜約101mm)、および「ウルトラロング」(一般に約110〜約121mmの範囲)である。
【0023】
また、喫煙品は紙巻きタバコ外周に応じて以下のようにも名前が付けられる。「標準」(約23〜25mm)、「ワイド」(25mmより大きい)、「スリム」(約22〜23mm)、「デミスリム」(約19〜22mm)、「スーパースリム」(約16〜19mm)、および「マイクロスリム」(約16mm未満)。したがってキングサイズでスーパースリム型の紙巻きタバコは、例えば約83mmの長さおよび約17mmの外周を有することになる。標準、キングサイズ型の紙巻きタバコ、すなわち外周が23〜25mmで全長が75〜91mmの紙巻きタバコが多くの顧客に好まれている。
【0024】
各フォーマットを異なる長さのフィルターで製造してもよく、一般に短いフィルターは長さと外周が短い型に用いられる。一般にフィルター長は、ショート、標準型と関係する15mmから、ウルトラロング、スーパースリム型と関係する30mmまでである。チップ紙の長さはフィルターよりも例えば3〜10mm長い。
【0025】
図1はフィルターを有する喫煙品1の概略図である。喫煙品1は標準、キングサイズ型であり、すなわち75〜91mmの範囲の長さと23〜25mmの範囲の外周を有する。喫煙品1は、この場合シガレットペーパーであるラッパー材3に包まれたタバコロッド2を含み、タバコロッド2はチッピング材5で長手方向にフィルター4に接続されており、チッピング材5はフィルター4を覆い、ラッパー材3を部分的に覆っている。フィルター4は、その吸い口端に第1のプラグラッパー8に包まれた捲縮酢酸セルローストウ7を含む第1セグメント6を有し、さらにそのタバコロッド端に第2のプラグラッパー12に包まれ中に吸着材料11を分散させた吸収材料10を含む第2セグメント9を有する。
【0026】
第1セグメント6は、連続した酢酸セルロース繊維と可塑剤を用いて形成された酢酸セルロースからなるセグメントである。
【0027】
第2セグメント9の吸収材料10は無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維を含み、吸着材料11は活性炭粒子を含む。第2セグメント9の無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維は非可塑化繊維である。第2セグメント9の無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維は8デニール、繊維長10mmを備える。しかし、他のデニール繊維または繊維長を用いることができる。例えば、5〜9または7〜9の範囲の繊維デニールを用いることができる。繊維長に関し、本明細書で用いられる場合、「短」はフィルターセグメントに用いられる形態の繊維(すなわち適切な捲縮繊維または非捲縮繊維)の繊維長であって、フィルターセグメントの長さよりも短いものを意味する。5〜25mmの範囲の平均繊維長(繊維の伸張時)、すなわち6〜20mm、7〜20mm、または7〜15mmの範囲の平均繊維長を用いることができる。活性炭粒子は本具体例では網目寸法が30/70のヤシ殻炭であるが、他の炭素および/または寸法を用いることができる。例えば、直径が約0.1〜1.0mmの範囲の粒子、すなわち約0.2〜0.9mm、0.2〜0.8mm、0.2〜0.7mm、0.2〜0.6mm、0.3〜0.9mm、0.3〜0.8mm、0.3〜0.7mm、または0.3〜0.6mmの範囲の粒子を用いることができる。
【0028】
第2セグメント9は、1mm長あたり12mgの吸着材料と、1mm長あたり4mgの吸収材料を有する。しかし別の具体例では、吸着材料の量は1mm長あたり平均6〜16mgの範囲のどの範囲にすることもでき、すなわち1mm長あたり平均7〜16mg、8〜16mg、9〜16mg、10〜16mg、11〜16mg、12〜16mg、または13〜16mgにすることができ、吸収材料の量は1mm長あたり平均1.5〜8mgにすることができ、すなわち1.5〜7mg、1.5〜6mg、1.5〜5mg、または1.5〜4mgにすることができる。これらの範囲は全て標準型フィルターすなわち外周が約23〜25mmのフィルター用である。これらのパラメータによりフィルターが消費者に受け入れられる喫煙品にふさわしい望ましい圧力降下と硬度値を備え、フィルター中の吸着材料または他の顆粒状添加剤の量を既知のフィルターを超えて増やすことができるようになることがわかっている。
【0029】
第2セグメント9のフィルター材料は、例えば144mmフィルター長(3.47〜4.86mmWg/mm)とフィルトローナフィルター硬度測定法による85〜95%の望ましい硬度を有する試験試料の場合、500〜700mmWgの範囲の望ましい圧力降下を示す(フィルトローナフィルター硬度測定法は、フィルターロッドの初期直径に対する圧縮直径の百分率で既定されており、ロッドの圧縮は既知重量を円形脚で規定時間加えて行われる)。標準以外の型、例えば平均直径がもっと細いまたは太い型のフィルターには、当業者には自明であるが、1mmフィルター長あたり別の重量の吸着材料および吸収材料を用いることになる。
【0030】
フィルター中の1mmあたりの吸着材料の量の増加に起因する圧力降下および/または硬度百分率の増大を、1mmあたりの吸収材料の量の減少で相殺することができる。また、フィルター中の1mmあたりの吸収材料の量の増加に起因する圧力降下および/または硬度百分率の増大を、1mmあたりの吸着材料の量の減少で相殺することもできる。詳細には、発明者等は、標準型喫煙品の1mm長あたりのmg単位の吸着材料の量C
wおよび標準型喫煙品の1mm長あたりのmg単位の吸収材料の量T
wを以下の範囲に従って決めることができ、
10≦(C
w+T
w)≦20
これらの値により、フィルターが上記のような適切な値のフィルター圧力降下および硬度を示すことができるようになることを見出した。
【0031】
標準外周の喫煙品の1mm長あたりのmg単位の吸着材料の量および吸収材料の量が
11≦(C
w+T
w)≦18
の範囲に入り、あるいはより詳細には
12≦(C
w+T
w)≦17
の範囲に入る場合、特定の利点を達成することができる。
【0032】
標準外周の喫煙品の1mm長あたりのmg単位の吸着材料および吸収材料の他の範囲の重量、例えば10≦(C
w+T
w)≦19、10≦(C
w+T
w)≦18、10≦(C
w+T
w)≦17、11≦(C
w+T
w)≦20、12≦(C
w+T
w)≦20、13≦(C
w+T
w)≦20、および14≦(C
w+T
w)≦20を用いても利点を達成することができる。
【0033】
上記範囲内で選択した1mmあたりの吸着材料重量および吸収材料重量に加えて、吸着材料重量および吸収材料重量C
w、T
wの少なくとも1つを最小値より大きくすることができる。例えば、吸収材料値を本発明の一部の実施形態で1mmあたり約1.5mg以上にすることができ、および/または吸着材料を1mmあたり6mg以上にすることができる。これら最小値は共に約23〜25mmの標準外周フィルター用である。
【0034】
また、上記の範囲を吸着材料以外の特定の芳香剤のような顆粒状添加剤の使用(その国の規制が許す場合)に適用することもできる。
【0035】
第2のフィルターセグメント9は、ドイツのハウニマシーネンバウAG(Hauni Maschinenbau AG)から販売されているトルマリン(Turmalin)装置のようなフィルター製造装置を用いて製造することができる。
【0036】
1mmあたりの吸収材料重量が3.5mg未満あるいは1mmあたりの吸着材料重量が9mg未満の場合(共に標準外周喫煙品)の場合、さらに/あるいは1mmあたりの吸着材料と吸収材料の合計重量が上記範囲の下限値、例えば1mmあたり12mg以下の場合、発明者等は、これらの低重量に起因する硬度低下を、例えば堅めのプラグラッパーおよび/または堅めのチッピング材を用いてフィルターを取り囲むことによって相殺することができることを見出した。例えば、プラグラッパーおよび/またはチッピング材は、30g/m
2を超える基本重量、40g/m
2を超える基本重量、50g/m
2を超える基本重量、60g/m
2を超える基本重量、70g/m
2を超える基本重量、または80g/m
2を超える基本重量を有してもよい。また、多層のプラグラッパーおよび/またはチッピング材を使用することができる。
【0037】
既知のダルメシアン(Dalmatian)フィルター、すなわちフィルターセグメントの必要な長さに従って切断された連続酢酸セルローストウの中に分散炭素粒子を備える標準型のフィルターは、圧力降下を消費者に望ましい値に維持するために、一般に5mg/mmの炭素投入量上限を有する。投入量が多いと圧力降下が大き過ぎてしまう。投入量を増やすことが望まれる場合、これまでは一般に、吸い口端とタバコ端部分に酢酸セルローストウセクションを有し、これら2つのセクションの間の空洞に炭素を充填した3重空洞フィルターを使用する必要があった。そのような空洞フィルターは所定のフィルター長の酢酸セルロースの量を減らすことになり、したがって例えばタール濾過およびフェノール選択性のような特定の側面に悪影響を及ぼすことがある。このように、大きな圧力降下を生じずかつフィルター材料を減らさずに添加剤の投入量を増やすことができるということには明らかな利点がある。
【0038】
したがって発明者等は、ドイツのハウニマシーネンバウAGから販売されているトルマリン装置のようなフィルター製造装置を用いて製造されるフィルターの形成に無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維を使用し、かつ標準外周の紙巻きタバコの吸着材料の量を1mmあたり平均6〜16mgの範囲に選択し吸収材料の量を1mmあたり平均1.5〜8mgの範囲に(または上記の他の範囲および限度に)選択することで、改良されたフィルターを提供し、許容可能な圧力降下とフィルター硬度パラメータを維持することができることを見出した。
【0039】
図2はドイツのハウニマシーネンバウAGから販売されているトルマリン装置のような、フィルターの製造に用いられるフィルター製造装置の概略図である。
【0040】
図2を参照すると、酢酸セルロースまたは他のフィルター材料の原料21がフィルター製造装置20に供給される。フィルター製造装置20は複数の構成部分22〜26を備える。供給部22は、フィルター材料例えば捲縮された酢酸セルローストウのような捲縮連続繊維の供給を受ける。フィルター材料はそこから切断無秩序化装置23に供給される。切断無秩序化装置23はフィルター材料を切断して、例えば10mm長の短繊維長にする。
図1を参照して喫煙品1に関して先に述べたように、他の繊維長を用いることができる。フィルター結合装置24が真空帯を備え、切断されたフィルター材料はそこに供給される。フィルター材料はロッド成形機25に供給され、切断フィルター材料の帯がロッド状に形成され、このロッドがプラグラッパーで包まれる。最後にこのロッドはフィルターセグメント切断機26を用いて切断されて所望の長さのフィルターセグメントになる。
【0041】
フィルター結合装置24は、切断繊維を真空帯上に均等に分布させる梳毛装置と、例えば顆粒または追加繊維の形態の添加剤を加える複数の容器(本具体例では2つ)を備える。必要なら切断フィルター材料の帯に第3の添加剤を供給するために使用可能な着脱式の装置も存在する。この着脱式装置はまた、散らばってしまった切断フィルター材料を切断無秩序化装置23に戻して廃棄を減らすのに用いてもよい。フィルター結合装置24は計量ローラーを備える。計量ローラーは調整式で、添加剤の充填を制御し、切断フィルター材料の帯の形成時の均一性を確保することできる。またフィルター結合装置24は噴流式挿入機を備える。噴流式挿入機により、芳香剤のような液体をフィルターロッドに直接注入できるようになる(その国の規制が芳香剤の使用を許す場合)。
【0042】
使用時、トルマリン装置は以下のように作動する。供給部22が捲縮酢酸セルローストウのようなフィルター材料を切断無秩序化装置23に供給する。切断無秩序化装置23がトウ繊維を切断して、本具体例では10mmの短繊維長にする。切断されたフィルター材料はフィルター結合装置24の梳毛装置に吹き付けられ、そこから真空帯上に吸引され、無秩序に配向されているフィルター材料の帯に形成される。結合装置24は、得られたフィルター材料の帯が機械的に結合されるように作動する。フィルター繊維を運ぶ気流に添加剤が供給され、ロッド成形機25が上記帯を連続したフィルターロッドに形成し、このフィルターロッドがフィルタープラグラッパーで巻かれる。フィルターセグメント切断機26が無秩序に配向されている繊維を含む連続フィルターロッドを切断して所望の長さのフィルターセグメントにする。
【0043】
トルマリン装置の自明な利点には、添加剤例えば炭素の大量含有、炭素添加剤の活性の保持(トリアセチンのような可塑剤が無く活性炭を汚染する可能性がないため)、製品寿命の長さがある。以下に述べる発明者等によるフィルター設計および製造開発が更なる利点および改良に繋がる。
【0044】
異なるトウ重量、添加剤充填量、および機械稼働速度に対する一連のフィルター性能曲線を作ることができるため、フィルター設計を最適化して所望の圧力降下や硬度値のようなフィルター特性にすることができる。これによって製造可能な種々のフィルターの範囲が広がる。これらのフィルターは特定の製品の要求事項に応じて意図的に異なる性能を有する場合がある。
【0045】
図3は、フィルターの好ましい圧力降下および硬度の範囲に基づき、フィルター中の添加剤重量(この具体例では炭素重量)およびトウ重量を説明するグラフである。具体的には、144mmフィルター長(3.47〜4.86mmWg/mm)のフィルター圧力降下500〜700mmWgとフィルトローナフィルター硬度測定法による85〜95%のフィルター硬度値に必要なトウ重量および炭素重量がこのグラフに示されている。グラフにはハウニ社トルマリン装置を用いて製造されたフィルターのデータが示されている。この装置は50m/分未満から最大200m/分を超える速度設定で作動可能である。使用された炭素は網目寸法30/70のヤシ殻炭で、これを10mm長に切断された8デニールの非可塑化捲縮無秩序に配向されている酢酸セルローストウ繊維中に分散させた。これらの特定のフィルターパラメータに対し得られた
図3の曲線は、標準外周の喫煙品の1mmあたりのトウ重量および炭素重量の範囲を説明しており、この範囲は所望の範囲の圧力降下や硬度といった所望の特性を達成しつつ実現可能な範囲である。
【0046】
フィルターの圧力降下に関し、
図4は炭素重量、トウ重量、および機械の作動速度がフィルターの圧力降下に及ぼす影響を説明するグラフである。ここでも、使用された炭素は網目寸法30/70のヤシ殻炭で、これを10mm長に切断された8デニールの非可塑化捲縮無秩序に配向されている酢酸セルローストウ繊維に分散させた。機械の作動速度が圧力降下に及ぼす影響は比較的小さいが、トウ重量は全体に比例関係があり、驚くべきことに発明者等は、トルマリン装置を用いて製造されたフィルターでは、炭素重量が10mg/mmを超えると所定のトウ密度のフィルター圧力降下が減る場合があることを見出した。これは、フィルター圧力降下に悪影響を及ぼすこと無く炭素量を10mg/mmを超えて増やすことができることを示す重要な結果である。
【0047】
フィルターの硬度に関し、
図5には、炭素重量、トウ重量、および機械の作動速度がフィルターの硬度に及ぼす影響を説明する3つのグラフが示されている。ここでも、使用された炭素は網目寸法30/70のヤシ殻炭で、これを10mm長に切断された8デニールの非可塑化捲縮無秩序に配向されている酢酸セルローストウ繊維に分散させた。圧力降下と同様に、機械の作動速度が硬度に及ぼす影響は比較的小さいが、トウ重量は全体に比例関係があり、驚くべきことに発明者等は、トルマリン装置を用いて製造されたフィルターでは、炭素重量が10mg/mmを超えて増えると所定のトウ密度のフィルター硬度が実際に下がることを見出した。これは、フィルター硬度に悪影響を与えること無く炭素量を10mg/mmを超えて増やすことができることを示す重要な結果である。
【0048】
上記の実施形態の添加剤は吸着材料、具体的には活性炭の粒子であると述べたが、他の吸着材料または他の添加剤を使用することもできる。例えば、吸着材料をCR20のようなイオン交換樹脂または他の材料にすることができる。他の材料には例えば、沸石、シリカゲル、海泡石、(活性または非活性)酸化アルミニウム、炭素樹脂、セピオライト(MG
4Si
6O
15(OH)
2・6H
2O)を含むケイ酸マグネシウム、または活性炭を含むまたは含まないこれらの組合せがある。また、フィルターを通って吸引される煙を改良する芳香剤のような他の添加剤(その国の規制が芳香剤の使用を許す場合)、例えばメントール結晶または保湿剤粒子を使用することができる。
【0049】
無秩序に配向されている離散トウ繊維を含むフィルターを製造することは、例えば国際公開第2009/093051に記述されているように既知である。しかし従来のアセテートトウフィルターと同様、国際公開第2009/093051に記述された製造技術も可塑剤、例えばトリアセチンを使用して無秩序に配向されている繊維内の結合を生じさせて安定構造を得る必要がある。トルマリン装置の利点は可塑剤を使用する必要がないことである。トルマリン装置は繊維内に機械的結合を生じさせ、可塑剤の必要性を無くしている。したがってトリアセチンのような生成物の使用に起因する望ましくないいかなる影響も除去される。
【0050】
上記利点に加え発明者等は、トルマリン装置または類似の装置により種々のフィルター設計が可能になり、さらなる改良および利点が得られることを見出した。そのような改良および利点を以下に詳細に述べる。
【0051】
発明者等は、トルマリン装置のような過程を用いて製造されたフィルターの性能を、粒子径が従来使用されていたものより小さい材料を用いて改良できることを見出した。粒子が小さくなるほどその表面積は大きくなるため、小さい粒子によって濾過性能が上がる。
【0052】
図6は喫煙品31の概略図である。喫煙品31はタバコロッド32を備える。タバコロッド32はラッパー材33、ここではシガレットペーパーで包まれており、長手方向にフィルター34にチッピング材35で接続されており、チッピング材35はフィルター34を覆い、ラッパー材33を部分的に覆っている。フィルター34は、その吸い口端に第1のプラグラッパー38に包まれた捲縮酢酸セルローストウ37を含む第1セグメント36と、そのタバコロッド端に第2のプラグラッパー42に包まれた第1の吸収材料40および第2の吸収材料41を含む第2セグメント39を有する。
【0053】
第1セグメント36は、連続した酢酸セルロース繊維および可塑剤を用いて形成された酢酸セルロースセグメントである。
【0054】
第1の吸収材料40は平均繊維デニール範囲が7〜9である繊維フィルター材料を含み、第1の吸収材料40内に分散された第2の吸収材料41は平均繊維デニールが7未満、例えば約1〜6、2〜6、3〜6、または約6、5、4、3、2、もしくは1である繊維フィルター材料を含む。第1および第2の繊維フィルター材料40、41は短繊維を含み、この短繊維はフィルター内で方向性を持たない。
【0055】
第2のフィルターセグメント39はトルマリン装置を用いて製造することができ、例えば第1の吸収材料40の連続したトウを供給機22に供給し、第2の吸収材料の繊維をフィルター結合装置24内の添加剤容器の1つから加えることで製造することができる。あるいは第1および第2のフィルター材料40、41をトルマリン装置の供給機21にそれぞれ供給することができるため、フィルター材料40、41を切断し、不規則に一緒にし、単一のフィルター材料と同様の方法で加工することができる。
【0056】
第1および第2の材料40、41の繊維はこの具体例では(本明細書で述べたように)酢酸セルロース離散短繊維を含むが、別の繊維を用いることもできる。例えば、第1および/または第2の材料の繊維は酢酸セルロース、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、コハク酸1,4−ブタンジオールエステル重合体(PBS)、アジピン酸ブチレンとテレフタル酸ブチレンエステルの共重合体(PBAT)、澱粉を基にした材料、紙、脂肪族ポリエステル材料、および多糖重合体、またはこれらの組合せを含んでもよい。
【0057】
フィルター性能を強化する触媒の基剤としてナノ繊維材料を使用することによって別の利点を実現することができる。ナノ繊維は体積比で十分に大きな表面積を有し、潜在的な触媒作用を有する。そのようなナノ繊維を
図2の装置を用いてフィルターに加えてもよく、例えばフィルター結合装置24の1つ以上の容器から添加剤を投入するときに、ナノ繊維を計量してフィルター結合装置24内の気流に入れるように加えることができる。
【0058】
図7はフィルターを有する喫煙品51の概略図である。フィルターは添加剤を但持するナノ繊維を含む。添加剤は、喫煙品51の使用時にその中に吸引される主流煙の少なくとも1種の成分の低減を促進または可能にする。
【0059】
図7を参照すると、喫煙品51はタバコロッド52を備える。タバコロッド52はラッパー材53、ここではシガレットペーパーで包まれており、長手方向にフィルター54にチッピング材55で接続されており、チッピング材55はフィルター54を覆い、ラッパー材53を部分的に覆っている。フィルター54は、その吸い口端に第1のプラグラッパー58に包まれた捲縮酢酸セルローストウ57を含む第1セグメント56と、そのタバコロッド端に第2のプラグラッパー61に包まれたナノ繊維60を含む第2セグメント59を有する。第1セグメント56は連続した酢酸セルロース繊維および可塑剤を用いて形成された酢酸セルロースセグメントである。この具体例ではナノ繊維60は無秩序に配向されている短繊維であり、無秩序に配向されている酢酸セルロース短繊維と混合されている。ナノ繊維は炭素ナノ繊維60aを含み、炭素ナノ繊維60aは酸化亜鉛(ZnO)粒子を但持しており、酸化亜鉛粒子は触媒60bとして作用し、例えば紙巻きタバコ煙中のHCNの低減を促進する。別の実施形態では、他のナノ繊維材料および/または金(Au)のような他の触媒を単独または組み合わせて(炭素および/またはZnOとの組合せを含む)、例えば紙巻きタバコ煙の一酸化炭素(CO)の低減に用いることができる。
図2のフィルター製造装置20を用い、ナノ繊維60を添加剤として無秩序に配向されている酢酸セルロース短繊維に加えることができる。
【0060】
ナノ繊維をフィルターセグメントに入れるには、ナノ繊維の長さは任意の適した長さ、例えば1〜15mmまたは5〜12mmにすることができる。使用するナノ繊維の直径は25〜900nm、または50〜500nm、または100〜300nmにすることができる。
【0061】
本発明の別の実施形態では、その国の規制が許す場合、トルマリン装置を用いて製造したフィルターに芳香剤を加えてもよい。
【0062】
フィルターへの芳香剤の添加を、糸を担体として用いて実現することができる。糸をフィルター材料に挿入するのに適した装置の一例が特許公報番号国際公開第2010/108739号、および対応する米国特許出願番号第13/259,634号の米国特許出願公報に提供されており、その内容を参照によって本明細書に援用する。特許公報国際公開第2010/108739号に記述されているような糸挿入装置を、フィルターロッドの形成時にその軸領域に糸を運ぶ糸挿入針と共に、フィルター真空帯の中央部に設置することができる。糸をフィルターに挿入することを含む本明細書に記載の実施形態は、スリム型およびスーパースリム型すなわち直径が22mm未満の場合、具体的には21mm未満、20mm未満、18mm未満、16mm未満、15mm未満、および14mm未満の場合に特に有利である。
【0063】
図8はフィルターを有する喫煙品の概略図である。フィルターは無秩序に配向されている離散短繊維を含み、その中を延びる糸を有する。
【0064】
図8を参照すると、喫煙品151はタバコロッド152を備える。タバコロッド152はラッパー材153、ここではシガレットペーパーで包まれており、長手方向にフィルター154にチッピング材155で接続されており、チッピング材155はフィルター154を覆い、ラッパー材153を部分的に覆っている。フィルター154は、その吸い口端に第1のプラグラッパー158に包まれた捲縮酢酸セルローストウ157を含む第1セグメント156と、そのタバコロッド端に吸収材料160を含む第2セグメント159を有する。糸161が第2セグメント159内を軸方向に延びている。第2セグメント159は第2のプラグラッパー162に包まれている。この具体例では、吸収材料160は無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維を含む。
【0065】
また発明者等は、トルマリン装置または同様の装置を調整して、カプセル、微小カプセル、または他のカプセル型材料を無秩序に配向されている離散短繊維フィルターに入れ、芳香剤(その国の規制が許す場合)または希釈材のようなカプセル内容物の均一な分配を確保してもよいことを見出した。
【0066】
炭素の充填に関連して述べたのと同様の方法で、そのような材料を多量に加えてより多くの芳香剤を供給することができる。直径が3〜8mmのような大きなカプセル、微細カプセル、または他のカプセル型材料のようなどのようなカプセルであろうと、カプセルをトルマリン装置のような装置内でフィルタートウに押し込むことができる。この挿入は、フィルター結合装置の下流端でカプセルを管からフィルタートウに向けることによって行われる。カプセルは例えばフィルター結合装置の速度に応じた周波数の高圧ガスを用いてフィルター材料に吹き込まれるため、得られるフィルターロッド内に適切な間隔で配置され、フィルターロッドから切断されたフィルターセグメントは所望の数のカプセルを含んでもよい。あるいは、上記の添加剤容器の1つを用いて添加剤と類似の方法で、微小カプセルを計量してフィルター帯に載せることもできる。カプセル型芳香剤をフィルターに挿入することを含む本明細書に述べた実施形態は、スリム型およびスーパースリム型すなわち直径が22mm未満の場合、具体的には21mm未満、20mm未満、18mm未満、16mm未満、15mm未満、および14mm未満の場合に特に有利である。
【0067】
図9はフィルターを有する喫煙品171の概略図である。フィルターは、中にカプセルが配置された無秩序に配向されている離散短繊維を含む。
図9を参照すると、喫煙品171はタバコロッド172を備える。タバコロッド172はラッパー材173、ここではシガレットペーパーで包まれており、長手方向にフィルター174にチッピング材175で接続されており、チッピング材175はフィルター174を覆い、ラッパー材173を部分的に覆っている。フィルター174は、その吸い口端に第1のプラグラッパー178に包まれた捲縮酢酸セルローストウ177を含む第1セグメント176と、そのタバコロッド端に吸収材料180を含む第2セグメント179を有する。この場合カプセルの形態であるカプセル型芳香剤181は第2セグメント179内に配置されている。第2セグメント179は第2のプラグラッパー182に包まれている。この具体例では、吸収材料180は無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維を含む。
【0068】
図10はフィルターを有する喫煙品の概略図である。フィルターは、中に微小カプセルが配置された無秩序に配向されている離散短繊維を含む。
【0069】
図10を参照すると、喫煙品191はタバコロッド192を備える。タバコロッド192はラッパー材193、ここではシガレットペーパーで包まれており、長手方向にフィルター194にチッピング材195で接続されており、チッピング材195はフィルター194を覆い、ラッパー材193を部分的に覆っている。フィルター194は、その吸い口端に第1のプラグラッパー198に包まれた捲縮酢酸セルローストウ197を含む第1セグメント196と、そのタバコロッド端に吸収材料200を含む第2セグメント199を有する。この場合複数のカプセルの形態であるカプセル型芳香剤201は第2セグメント199内に配置されている。第2セグメント199は第2のプラグラッパー202に包まれている。この具体例では、吸収材料200は無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維を含む。
【0070】
カプセル型芳香剤に加え他の形態の芳香添加剤を、無秩序に配向されている離散短繊維を含むフィルターに加えることができる(そのような添加剤の使用をその国の規制が許す場合)。例えば芳香添加剤をミントまたはタバコの葉または他の植物の葉、植物の種、植物の実のような植物形態で加えることができる。そのような添加剤をトルマリン装置の帯形成装置の添加剤容器に加えることができ、したがってこれらの添加剤を計量して、例えば本明細書に述べた酢酸セルロース離散短繊維を用いたフィルター帯の形成時に、フィルター材料の気流に入れることができる。無秩序に配向されている離散短繊維フィルターに可塑剤は使用しないため、植物添加剤からの芳香剤放出を促進することができる。
【0071】
発明者等は、フィルター製造にこれまでは使用されなかった追加材料をトルマリン装置または類似の装置を用いる製造に使用できると考えている。
【0072】
一実施形態では、新しいシート状材料を含む細断されたシート状材料がフィルター材料に入れられる。そのようなシート状材料にはミントおよび/またはメントール、タバコ、または再生タバコのような植物から形成されたシート状材料が含まれる。当業者には明らかだが、これら提供されたものは限定目的ではなく任意の適したシート状材料を使用してもよい。そのようなシート状材料を細断形態で用いる利点は、これらの材料のフィルター内の分散性を向上させることができること、ならびにフィルター材料の分解性も向上することである。さらに、新しい材料を使用してフィルターの性能を向上させ、フィルター内に吸引される煙の特性を改良してもよい。
【0073】
図11はフィルターを有する喫煙品の概略図である。フィルターは、細断シート状材料を中に配置した無秩序に配向されている離散短繊維を含む。
【0074】
図11を参照すると、喫煙品211はタバコロッド212を備える。タバコロッド212はラッパー材213、ここではシガレットペーパーで包まれており、長手方向にフィルター214にチッピング材215で接続されており、チッピング材215はフィルター214を覆い、ラッパー材213を部分的に覆っている。フィルター214は、その吸い口端に第1のプラグラッパー218に包まれた捲縮酢酸セルローストウ217を含む第1セグメント216と、そのタバコロッド端に吸収材料220を含む第2セグメント219を有し、吸収材料220中には細断シート状材料221が配置されている。第2セグメント219は第2のプラグラッパー222に包まれている。この具体例では、吸収材料200は無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維を含み、細断シート状材料221は裁断された細断再生タバコシートを含む。
【0075】
細断シート状材料221は、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、コハク酸1,4−ブタンジオールエステル重合体(PBS)、アジピン酸ブチレンとテレフタル酸ブチレンエステルの共重合体(PBAT)、澱粉を基にした材料、紙、脂肪族ポリエステル材料、もしくは多糖重合体、および/またはこれらの組合せから形成された材料を含んでもよい。
【0076】
発明者等はPVOH繊維のような分解性繊維または他の繊維を従来の酢酸セルロース繊維と組み合わせる可能性も見出した。PVOHは通常捲縮できないことから、一般に従来のフィルター製造には使用されない。PVOHまたは他の非捲縮繊維を他の材料すなわち酢酸セルロースと一緒に含有させることはこの問題を解決することができることを意味する。そのような材料を使用すれば結果としてフィルターの分解性および水溶解性を改良することになる。他の材料には、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、コハク酸1,4−ブタンジオールエステル重合体(PBS)、アジピン酸ブチレンとテレフタル酸ブチレンエステルの共重合体(PBAT)、澱粉を基にした材料、紙、脂肪族ポリエステル材料、および多糖重合体が含まれる。
【0077】
また、PLAのような他の捲縮材料を従来の酢酸セルロース繊維と組み合わせることもできる。
【0078】
一実施形態では、PVOHもしくは他の非捲縮繊維をフィルターに加えるために、あるいはPLAもしくは他の捲縮繊維をフィルターに加えるために、トルマリン供給機22を調整してフィルター原材料の2本のロープを切断無秩序化装置23に供給する。そのようにすると最初に材料をシート状材料に変えるのではなく材料をトウ状に真っ直ぐに引っ張ることで加工工程の数が減る。
【0079】
また、材料をトウ材料に変える工程が省略できる場合は加工工程の数をさらに減らしてもよい。そのような実施形態ではさらに繊維を供給、切断、無秩序に配向する必要性がない。さらには原繊維形態のPVOH、PLA、または他の材料を、トルマリン装置に直接入れられる袋入りの酢酸セルロース短繊維と直接混合することができる。
【0080】
別の実施形態では、PVOH繊維(もしくは他の非捲縮繊維)またはPLA繊維(もしくは他の捲縮繊維)を計量して、上記の添加剤容器の1つを用いてフィルター結合装置24内のフィルタートウに入れることができる。
【0081】
図12はフィルターを有する喫煙品の概略図である。フィルターは、中に分解性繊維が配置されている無秩序に配向されている離散短繊維を含む。
図12を参照すると、喫煙品231はタバコロッド232を備える。タバコロッド232はラッパー材233、ここではシガレットペーパーで包まれており、長手方向にフィルター234にチッピング材235で接続されており、チッピング材235はフィルター234を覆い、ラッパー材233を部分的に覆っている。フィルター234は、その吸い口端に第1のプラグラッパー238に包まれた捲縮酢酸セルローストウ237を含む第1セグメント236と、そのタバコロッド端に吸収材料240を含む第2セグメント239を有し、吸収材料240中にはPVOH繊維241が配置されている。第2セグメント239は第2のプラグラッパー242に包まれている。この具体例では、吸収材料240は無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維を含む。
【0082】
従来のフィルター製造技術はフィルターロッドを長手方向に均一な密度で製造する。発明者等はフィルターロッドの長さに沿って変化する密度を意図的に付与することができることを見出した。一実施形態では、フィルターロッドが個々のセグメントに切断されるときにフィルターセグメントが高密度の両端と低密度の中央部を備えるように密度を変化させてもよい。これの利点は、繊維をフィルター状に保持するためのトウの捲縮に依存しないからである。
【0083】
図13aはフィルターロッド245の概略図である。フィルターロッド245は、交互に配置された平均密度が大きい長手方向領域246と平均密度が小さい長手方向領域247を備える。フィルターロッド245を用いて複数のフィルターセグメントを作ることができ、各セグメントがフィルター材料の同質の単位を構成し、例えば喫煙品フィルターに使用時はセグメントの長さに沿って密度だけが変化する。例えばフィルターロッド245を平均密度が大きい領域246のそれぞれの中央部248で切断することができ、そのようにすると得られるフィルターセグメントは「密な端部」を有するようになる。グラフ249にはフィルターロッド245の長さに沿ったフィルター材料の密度が説明されており、この具体例では波形すなわち正弦的に変化している。別の具体例では、フィルターロッド245の長さに沿ったフィルター材料の密度を他の方法で変化させることができる。例えばフィルターロッド245の長さに沿った密度の各周期に対し、密度が連続的に1段、2段、3段、4段または更に多段に変化するようにすることができる。
図13aに説明されているフィルター材料は酢酸セルロース離散短繊維を含むが、代わりに本明細書に記載したポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、コハク酸1,4−ブタンジオールエステル重合体(PBS)、アジピン酸ブチレンとテレフタル酸ブチレンエステルの共重合体(PBAT)、澱粉を基にした材料、紙、脂肪族ポリエステル材料、および多糖重合体、またはこれらの組合せのような別の繊維フィルター材料にすることができる。この材料は本明細書に記載した吸着材料のような添加剤を含むこともできる。
【0084】
密度が大きい部分は、
図13aに示すように、繊維の一部または全てが捲縮していない場合であってもフィルターセグメントを切断したときに繊維がフィルターセグメントからこぼれ出ないようになっている。したがって
図13aの実施形態では、捲縮に適さない材料、例えばPVOHや不繊材料が使用できるようになる。さらにこれは上記の分解性および水溶性の向上に繋がる。したがってフィルター材料を単一の繊維材料または他の材料の繊維と結合された酢酸セルロース繊維のような複数混合材料で形成することができる。
【0085】
当業者には当然だが、フィルターロッド245の密度を長さに沿って変えることができる別の方法がわかっている。例えば、吸引帯上にフィルター材料を形成時に可変速装置を有する機械を用いて、あるいは大量のフィルター材料または添加剤を脈動させて、長さに沿って変わる密度を実現することができる。代わりにまたはそれに加えて、平均密度が大きい領域および平均密度が小さい領域をフィルター吸引帯上に形成できるようにフィルター吸引帯を適応させることができる。これは例えば帯の異なる複数領域の空気抵抗を変化させることによって実施することができ、帯の複数の開口の大きさおよび/または頻度を所望の密度パターンに応じて変化させるというようなことによって実施することができる。セグメントの長さが制御され適宜切断されるように製造ラインの時間を制御することができる。
【0086】
図13bは、例えばトルマリン装置のフィルター結合装置24に使用され、平均密度が大きい領域および平均密度が小さい領域を有するフィルターセグメントを製造するフィルター形成吸引帯の断面の概略図である。
図13bを参照すると、フィルター形成吸引帯250はナイロン網251で構成されている。ナイロン網251は、網目が大きく低密度の網材料を有する第1の領域252および網目が小さく高密度の網材料を有する第2の領域253を有するように形成されている。したがって第1の領域252の空気に対する抵抗は第2の領域253よりも小さい。使用時、フィルター結合装置の空気流内の繊維は、網目が小さい第2の領域253よりも網目が大きい第1の領域252の方により大きな力で吸引される。その結果、平均密度が大きいフィルター繊維が第2の領域253よりも第1の領域252に堆積する。したがって得られるフィルターは、吸引帯250の第1の領域252に対応する平均密度が大きい領域と、吸引帯250の第2の領域253に対応する平均密度が小さい領域を有することになる。
【0087】
図13bの具体例では開口の大きさおよび数が吸引帯250の長さに沿って波打つように変化している。しかし別の実施形態では開口の大きさだけを吸引帯の長さに沿って変化させることができる。これは例えば開口の大きさが変化している中実の帯を用い、この帯を長手方向に反復する異なる間隔で切断して実施することができる。また別の実施形態では吸引帯の長さに沿って開口の数だけが変えられる。例えば帯の所定の領域で開口の数が変化している中実の帯を用い、その帯に沿って長手方向に反復する異なる間隔で切断して実施することができる。また、吸引帯の長さに沿った空気抵抗の波打つような変化に従うのではなく、フィルター材料の1段、2段、3段、4段、またはそれ以上の段数の密度変化が帯の長さに沿って複数間隔で反復して発生するように開口を配置することもできる。
【0088】
また発明者等は、断面が従来とは異なるフィルターを作ることができることも見い出した。従来のフィルターロッドでは、非円形形状が望ましい場合、必要な形状に形成するにはかなりの量の可塑剤および蒸気が必要となった。実際にはこれを達成するのは容易ではない。しかし発明者等は、機械的強度を有する矩形の帯をトルマリン装置で作る方法を、フィルター材料の他の断面形状に適応させることができることを見出した。例えば、矩形以外の帯を作るようにトルマリン装置を適応させることができる。またはフィルター材料を例えば成形された開口から押し出して所望の形状にしたり、または適切に成形された付属ベルトを用いて所望の形状にしたりすることができる。例えばフィルター材料の帯をフィルター結合装置24のベルト上で形成してもよく、または適切に成形された開口または付属ベルトに通して、フィルターが多角形断面、例えば三角形、正方形、矩形、五角形、もしくは六角形の断面、または卵形すなわち楕円形の断面のような他の非円形断面を有するようしてもよく、材料の帯の構造的安定性を帯が所望の形状を維持するようなものにしてもよい。別の実施形態では、適切に設計された包装過程および蒸気処理過程を用いてもよい。得られるフィルターは外周が16mmより小さいまたは25mmより大きい断面を有してもよい。
【0089】
図14は楕円形断面を有するフィルターを有する喫煙品291の概略図である。
【0090】
図14を参照すると、喫煙品291は楕円形断面のタバコロッド292を備える。タバコロッド292はラッパー材293、ここではシガレットペーパーで包まれており、長手方向にフィルター294にチッピング材295で接続されており、チッピング材295はフィルター294を覆い、ラッパー材293を部分的に覆っている。フィルター294は、喫煙品291の吸い口端に第1のプラグラッパー2980に包まれた吸収材料297を含む単一のフィルターセグメント296を有する。このセグメント296は楕円形断面を有する。この具体例では、吸収材料297は無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維を含む。追加のプラスチック製の網、布、または他の透過性障壁(図示せず)をフィルター294の吸い口端全体に施して、個々のフィルター繊維がフィルター294から外れないようにすることができる。
【0091】
図15は矩形断面を有するフィルターを有する喫煙品311の概略図である。
【0092】
図15を参照すると、喫煙品311は矩形断面のタバコロッド312を備える。タバコロッド312はラッパー材313、ここではシガレットペーパーで包まれており、長手方向にフィルター314にチッピング材315で接続されており、チッピング材315はフィルター314を覆い、ラッパー材313を部分的に覆っている。フィルター314は、喫煙品311の吸い口にプラグラッパー318に包まれた吸収材料317を含む単一区域316を備える。セグメント316は矩形断面を有する。この具体例では、吸収材料317、320は無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維を含む。追加のプラスチック製の網、布、または他の浸透性障壁(図示せず)をフィルター314の吸い口端全体に施して個々のフィルター繊維がフィルター314から外れないようにすることができる。
【0093】
また
図14および15に説明されている実施形態のフィルター294、314は他の特徴も備えることができ、それらの特徴には、例えばフィルター繊維中に分散されている添加剤および/または例えばレーザー形成された孔のようなフィルターに施された通気口がある。
【0094】
また発明者等は、外周が16mm、15mm、14mm、もしくは13mmより小さい円筒形、または25mm、26mm、27mm、もしくは28mmより大きい円筒形に形成された無秩序に配向されている短繊維を含むフィルターを作ることができることを見出した。例えばデニールが約7〜約9の単一のデニール繊維を用い、1mmあたりのフィルターに使用される量は必要なフィルター外周に応じて変えることができる。例えば、1mmあたりの無秩序に配向されている短繊維の量をスーパースリム型のフィルターでは減らし、標準型のフィルターでは増やすことができる。これは外周が異なるフィルターには一般に異なる繊維デニールが必要となる既知の連続トウフィルター製造とは異なる。
【0095】
これまでの具体例では、無秩序に配向されている離散短繊維を含む第2のフィルターセグメント9、39、59、159、179、199、219、および239(
図1および6〜12に示す)は二重フィルターのタバコ端部材であって、吸い口端に既知の酢酸セルロースの第1のフィルターセグメントを有すると記述してきた。しかし他の配置が可能である。例えば第2セグメントを紙巻きタバコフィルターの吸い口端での使用に適応させることができる。これは、個々の繊維が使用中にフィルターセグメントから外れないようにすることによって実現することができる。例えば可塑剤を含有させて(例えば可塑剤を吸い口端フィルターセグメントの吸い口端の一部に局在させて)無秩序に配向されている離散短繊維および/またはその中の所定位置に分散させた任意の添加剤を保持させることで、またはプラスチック製の網、布、または他の透過性障壁を用いることで、個々の繊維が消費者の口に到達しないようにして実現することができる。また、第2のフィルターセグメントを3部分構成フィルターの中央フィルターセグメントもしくはタバコ端フィルターセグメントとして用いることもでき、または必要なら4、5、もしくは6部分構成フィルターの任意のセグメントとして用いることもできる。第1のフィルターセグメントを、プラグラッパーに包まれた従来の酢酸セルロースセグメント以外にすることができる。例えば、非包装アセテート(NWA)セクションを本明細書で述べた第1のフィルターセグメントとして用いることができる。
【0096】
また、
図1および6〜12に説明した実施形態の第1および第2のフィルターセグメントは、個々にプラグラッパーを有し、1つに保持され、チッピング材を用いてタバコロッドに接続されているように示されている。しかしその代わりに、更に外側プラグラッパー(図示せず)を第1および第2のフィルターセグメントの周りに巻き、これを用いて第1および第2のフィルターセグメントを互いに接続し、結合されたフィルターユニットを次にタバコロッドにチッピング材を用いて接続することができる。
【0097】
本明細書に記載の無秩序に配向されている繊維は捲縮されていると述べてきたが、非捲縮繊維を単独で用いることも、または捲縮繊維と混ぜて用いることもできる。また、無秩序に配向されている繊維は繊維長(伸張時)が10mm、または5〜25mmすなわち6〜20mm、7〜20mm、もしくは7〜15mmの範囲の長さであると説明してきた。第2セグメントは、フィルター関連要件および入手繊維材料の要件によって、この範囲外の平均繊維長を含むことも平均長が種々の繊維群の混合物を含むこともできる。
【0098】
本明細書に述べたフィルター構成を改良してプラグラッパーおよび/またはチッピング紙に1つ以上の透明部を設けて内部のフィルター部品が喫煙品の消費者に見えるようにすることができる。例えば、第2のフィルターセグメントを包むのに使用される第2のプラグラッパーは、英国のInnovia Films社から販売されているナチュレフレックス(Natureflex、登録商標)膜のような透明材料で構成されてもよい。チッピング紙は1つ以上の切り抜き窓またはナチュレフレックス膜のような透明材料の部分を備えて、内部のフィルター部品がチッピング紙およびプラグラッパーを通して見えるようにすることができる。または、チッピング紙を2つの帯状に施してその間に隙間を設け、下の透明なプラグラッパーが見えるようにすることができる。またはチッピング紙全体をナチュレフレックス膜のような材料で作ることもできる。一部の実施形態は、特許公報番号国際公開第2009/106374号に記述されているような透明の「窓」部フィルターを有してもよく、その全内容を(全ての米国出願を含め)参照によって本明細書に援用する。
【0099】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践され、優れた喫煙品フィルターを提供することができる。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
【手続補正書】
【提出日】2014年3月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収材料中に分散された吸着材料を含む喫煙品用フィルターであって、フィルター外周が約23〜25mmの場合に、1mm長あたりの前記吸着材料のmg単位の量Cwおよび1mm長あたりの前記吸収材料のmg単位の量Twは
10≦(Cw+Tw)≦20
の範囲にあり、
フィルター外周が約23〜25mmの場合の、前記1mm長あたりの前記吸着材料のmg単位の量は、6mg以上であるフィルター。
【請求項2】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、1mm長あたりの前記吸着材料の量および前記吸収材料の量は
11≦(Cw+Tw)≦18
の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のフィルター。
【請求項3】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、1mm長あたりの前記吸着材料の量および前記吸収材料の量は
12≦(Cw+Tw)≦17
の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルター。
【請求項4】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、
1mm長あたり6〜16mgの吸着材料と、
1mm長あたり1.5〜8mgの吸収材料を
含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項5】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、
1mm長あたり8〜16mgの吸着材料と
1mm長あたり3.5〜5mgの吸収材料を
含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項6】
前記吸収材料は可塑剤を用いずに前記フィルター内にまとめられている無秩序に配向されている短繊維を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項7】
前記無秩序に配向されている短繊維は伸張時に約5〜20mmの平均長を有することを特徴とする請求項6に記載のフィルター。
【請求項8】
前記無秩序に配向されている短繊維は5〜9の範囲の平均繊維デニールを有することを特徴とする請求項6または7に記載のフィルター。
【請求項9】
前記無秩序に配向されている短繊維は第1の材料で形成された無秩序に配向されている短繊維と、第2の材料で形成された無秩序に配向されている短繊維を含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項10】
前記第1の材料は酢酸セルロースを含み、前記第2の材料は非捲縮材料を含むことを特徴とする請求項9に記載のフィルター。
【請求項11】
前記第2の材料は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、コハク酸1,4−ブタンジオールエステル重合体(PBS)、アジピン酸ブチレンとテレフタル酸ブチレンエステルの共重合体(PBAT)、澱粉を基にした材料、紙、脂肪族ポリエステル材料および多糖重合体から選択された少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする請求項9または10に記載のフィルター。
【請求項12】
前記吸着材料は平均直径が約0.1〜1mmの範囲の粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項13】
前記吸着材料は活性炭を含むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項14】
前記吸着材料は、イオン交換樹脂、CR20、沸石、シリカゲル、海泡石、(活性または非活性)酸化アルミニウム、炭素樹脂、ケイ酸マグネシウム、セピオライト(MG4Si6O15(OH)2・6H2O)、またはこれらの組合せから選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項15】
3.47〜4.86mmWg/mmの範囲の圧力降下を有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項16】
フィルトローナフィルター硬度測定法による85〜95%の硬度を有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載のフィルターを備える喫煙品。
【手続補正書】
【提出日】2014年12月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維中に分散された吸着材料を含む喫煙品用フィルターであって、フィルター外周が約23〜25mmの場合に、1mm長あたりの前記吸着材料のmg単位の量Cwおよび1mm長あたりの前記無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維のmg単位の量Twは
10≦(Cw+Tw)≦20
の範囲にあり、
フィルター外周が約23〜25mmの場合の、前記1mm長あたりの前記吸着材料のmg単位の量は、6mg以上であるフィルター。
【請求項2】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、1mm長あたりの前記吸着材料の量および前記無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維の量は
11≦(Cw+Tw)≦18
の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のフィルター。
【請求項3】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、1mm長あたりの前記吸着材料の量および前記無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維の量は
12≦(Cw+Tw)≦17
の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルター。
【請求項4】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、
1mm長あたり6〜16mgの吸着材料と、
1mm長あたり1.5〜8mgの前記無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維を
含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項5】
フィルター外周が約23〜25mmの場合に、
1mm長あたり8〜16mgの吸着材料と
1mm長あたり3.5〜5mgの前記無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維を
含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項6】
前記無秩序に配向されている酢酸セルロース離散短繊維は可塑剤を用いずに前記フィルター内にまとめられている無秩序に配向されている短繊維を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項7】
前記無秩序に配向されている短繊維は伸張時に約5〜20mmの平均長を有することを特徴とする請求項6に記載のフィルター。
【請求項8】
前記無秩序に配向されている短繊維は5〜9の範囲の平均繊維デニールを有することを特徴とする請求項6または7に記載のフィルター。
【請求項9】
前記フィルターは、酢酸セルロース以外の第2の材料で形成された無秩序に配向されている短繊維をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項10】
前記第2の材料は非捲縮材料を含むことを特徴とする請求項9に記載のフィルター。
【請求項11】
前記第2の材料は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、コハク酸1,4−ブタンジオールエステル重合体(PBS)、アジピン酸ブチレンとテレフタル酸ブチレンエステルの共重合体(PBAT)、澱粉を基にした材料、紙、脂肪族ポリエステル材料および多糖重合体から選択された少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする請求項9または10に記載のフィルター。
【請求項12】
前記吸着材料は平均直径が約0.1〜1mmの範囲の粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項13】
前記吸着材料は活性炭を含むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項14】
前記吸着材料は、イオン交換樹脂、CR20、沸石、シリカゲル、海泡石、(活性または非活性)酸化アルミニウム、炭素樹脂、ケイ酸マグネシウム、セピオライト(MG4Si6O15(OH)2・6H2O)、またはこれらの組合せから選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項15】
3.47〜4.86mmWg/mmの範囲の圧力降下を有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項16】
フィルトローナフィルター硬度測定法による85〜95%の硬度を有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載のフィルターを備える喫煙品。
【国際調査報告】