特表2015-516010(P2015-516010A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-516010透明な脂肪族ポリカーボネート樹脂組成物及びその利用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-516010(P2015-516010A)
(43)【公表日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】透明な脂肪族ポリカーボネート樹脂組成物及びその利用
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20150508BHJP
   C08L 67/04 20060101ALI20150508BHJP
   C08L 31/04 20060101ALI20150508BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20150508BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20150508BHJP
【FI】
   C08L69/00ZBP
   C08L67/04
   C08L31/04 D
   C08J3/20 ZCEZ
   C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-510176(P2015-510176)
(86)(22)【出願日】2013年4月24日
(85)【翻訳文提出日】2014年11月12日
(86)【国際出願番号】KR2013003485
(87)【国際公開番号】WO2013165117
(87)【国際公開日】20131107
(31)【優先権主張番号】10-2012-0047709
(32)【優先日】2012年5月4日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】511061589
【氏名又は名称】エスケー グローバル ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK GLOBAL CHEMICAL CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】ホン セウン グエオン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジェ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チュン カン ジン
(72)【発明者】
【氏名】オク, ミュン アン
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4F070AA28
4F070AA47
4F070AA50
4F070AB11
4F070AE01
4F070AE02
4F070AE03
4F070AE04
4F070AE05
4F070AE09
4F070FA04
4F070FA17
4F070FB10
4F070FC06
4J002BF02Y
4J002CF19X
4J002CG01W
4J002FD016
4J002FD026
4J002FD056
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4J002FD096
4J002FD106
4J002FD176
4J002FD346
4J002GF00
4J002GG02
4J002GP00
4J200AA04
4J200AA06
4J200BA13
4J200BA17
4J200CA01
4J200CA02
4J200DA17
4J200DA29
4J200EA03
4J200EA07
(57)【要約】
本発明は、二酸化炭素と、ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C10)アルキレンオキシド;ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、アルコキシ、アルキルまたはアリールで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシド;からなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物と、を反応させた脂肪族ポリカーボネートと、D,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)と、を含むポリアルキレンカーボネートブレンド組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素と、ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C10)アルキレンオキシド;ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、アルコキシ、アルキルまたはアリールで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシド;からなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物と、を反応させた脂肪族ポリカーボネートと、D,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)と、を含むポリアルキレンカーボネートブレンド組成物。
【請求項2】
D,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)は、ラクチド及びグリコリドの重量混合比が85:15〜15:85である、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネートブレンド組成物。
【請求項3】
D,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)は、重量平均分子量(Mw)が10,000〜200,000である、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネートブレンド組成物。
【請求項4】
脂肪族ポリカーボネート及びD,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)の重量混合比が95:5〜5:95である、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネートブレンド組成物。
【請求項5】
ポリビニルアセテートをさらに含む、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネートブレンド組成物。
【請求項6】
ポリビニルアセテートは、脂肪族ポリカーボネートの5〜95重量%で含有される、請求項5に記載のポリアルキレンカーボネートブレンド組成物。
【請求項7】
脂肪族ポリカーボネートは下記化学式1で表される、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネートブレンド組成物。
[化学式1]
【化1】
(上記化学式1中、wは2〜10の整数であり、xは5〜100の整数であり、yは0〜100の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、水素、(C1〜C4)アルキルまたは‐CH2‐O‐R´(R´は(C1〜C8)アルキル)である。)
【請求項8】
脂肪族ポリカーボネートは、重量平均分子量が10,000〜350,000である、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネートブレンド組成物。
【請求項9】
脂肪族ポリカーボネートは、メルトインデックス(150℃/5kg)が0.01〜350である、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネートブレンド組成物。
【請求項10】
顔料、染料、充填剤、酸化防止剤、紫外線遮断剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、無機充填剤、混練剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂、レベリング剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、及び可塑剤から選択される何れか1つまたは2つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1に記載のポリアルキレンカーボネートブレンド組成物。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の組成物は、二軸押出機または溶媒キャストにより混合される、ポリアルキレンカーボネートブレンド組成物。
【請求項12】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の組成物を含む成形体。
【請求項13】
成形体は、層間挿入用シート、光学用または包装用フィルム、又は樹脂バインダーから選択される用途に用いられる、請求項12に記載の成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素と1種以上のエポキシド化合物との共重合による脂肪族ポリカーボネートを含む異種樹脂の透明なブレンド組成物及びその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策として、二酸化炭素の発生を減少させるための方法として脂肪族ポリカーボネートの産業化が進んでいる。脂肪族ポリカーボネートは、柔らかいゴム状のプラスチックであって、加工性に優れ、分解特性の調節が容易である性質のため、生分解性高分子として多く研究されている。しかしながら、脂肪族ポリカーボネートは、ガラス転移温度(Tg)が低く、200℃近所で分解されやすくて耐熱性に劣る特性がある。また、弾性率が小さく、薄膜製品の場合は割れやすいという機械的物性のため、様々な分野への使用に制約がある。そこで、様々な樹脂とのブレンドすることでガラス転移温度または耐熱性を高めたり、機械的強度を改善させたりする技術が要求されている。例えば、特許文献1には、ポリプロピレンカーボネートをポリメチルメタクリレート(PMMA)と溶融混練させたり、セラミックや金属粉末の成形加工用バインダーを含む樹脂組成物が開示されており、特許文献2には、ポリ塩化ビニルアセテートを溶融混練させることで機械的性質を改善することが開示されている。
【0003】
かかるポリアルキレンカーボネートは、混合物により要求される性質を組み合わせるには限界があり、ブレンドの物性は、必ずしも個別成分の物性が合わされてともに示されるのではなく、却って物性が低下し得るという問題がある。したがって、単に優れた物性のバランスを有する異種樹脂とブレンドするだけでは、機械的物性の向上が期待できず、これについての開発研究が要求されている状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4946884号明細書
【特許文献2】米国特許第4912149号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、相溶性に優れて相分離なしに完全にブレンドされることで、ポリアルキレンカーボネート固有の透明性を損なわないながらも機械的物性及び接着力が著しく向上された透明な脂肪族ポリカーボネート樹脂組成物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために、二酸化炭素と、ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C10)アルキレンオキシド;ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、アルコキシ、アルキルまたはアリールで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシド;からなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物と、を反応させた脂肪族ポリカーボネートと、D,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)と、を含むポリアルキレンカーボネートブレンド組成物を提供する。
【0007】
本発明の一実施例によるD,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)は、ラクチド及びグリコリドの重量比が85:15〜15:85であることができる。
【0008】
本発明の一実施例によるD,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)は、重量平均分子量(Mw)が10,000〜200,000であることができる。
【0009】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネートブレンド組成物は、脂肪族ポリカーボネート及びD,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)の重量混合比が95:5〜5:95であることができる。
【0010】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネートブレンド組成物は、ポリビニルアセテートをさらに含むことができる。
【0011】
この際、ポリビニルアセテートは、脂肪族ポリカーボネートの5〜95重量%で含有されることができる。
【0012】
本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネートは、下記化学式1で表されることができる。
【0013】
[化学式1]
【化1】
(上記化学式1中、wは2〜10の整数であり、xは5〜100の整数であり、yは0〜100の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、水素、(C1〜C4)アルキルまたは‐CH2‐O‐R´(R´は(C1〜C8)アルキル)である。)
【0014】
本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネートは、重量平均分子量が10,000〜350,000であることができる。
【0015】
本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネートは、メルトインデックス(150℃/5kg)が0.01〜150であることができる。
【0016】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネートブレンド組成物は、顔料、染料、充填剤、酸化防止剤、紫外線遮断剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、無機充填剤、混練剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂、レベリング剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、及び可塑剤から選択される何れか1つまたは2つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0017】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネートブレンド組成物は、二軸押出機または溶媒キャストにより混合されることができる。
【0018】
本発明は、上記の組成物を含む成形体を提供し、成形体は、層間挿入用シート、光学用または包装用フィルム、及び樹脂バインダーから選択される用途に用いられることができ、必ずしもこれに限定されない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるポリアルキレンカーボネートブレンド組成物は、引張強度、伸び率、衝撃強度等の機械的物性を向上させ、ポリアルキレンカーボネート固有の透明性を損なわないながらも、PET等の高分子の表面またはガラスへの接着力に非常に優れるという利点を有する。また、相溶性に非常に優れて完全にブレンドされることができ、成形加工性に優れて様々な分野に適用可能であるとともに、簡単な工程で物性を向上させることができるだけでなく、生産コストを低減することができて経済的である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願人は、脂肪族ポリカーボネート樹脂にD,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)を含ませることで、機械的物性を著しく向上させるとともに接着力及び透明性を極大化するという相乗効果が発現できることを見出し、本発明を出願するに至った。。
【0021】
本発明は、脂肪族ポリカーボネート及びD,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)を含むポリアルキレンカーボネートブレンド組成物を提供する。
【0022】
本発明において、脂肪族ポリカーボネートとしては、エスケーイノベーションにより出願(韓国公開特許第2008‐0015454号公報、同第2009‐0090154号公報、同第2010‐067593号公報、及び同第2010‐0013255号公報)されたものが使用できる。
【0023】
本発明の脂肪族ポリカーボネートは、二酸化炭素と、ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシまたは(C1‐C20)アルキルで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシドからなる群から選択される1種以上のエポキシド化合物と、の共重合反応により製造される。
【0024】
この際、前記エポキシド化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキセンオキシド、オクテンオキシド、デセンオキシド、ドデセンオキシド、テトラデセンオキシド、ヘキサデセンオキシド、オクタデセンオキシド、ブタジエンモノオキシド、1,2‐エポキシド‐7‐オクテン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシジルメチルエーテル、グリシジルエチルエーテル、グリシジルノルマルプロピルエーテル、グリシジル2次ブチルエーテル、グリシジルノルマルまたはイソペンチルエーテル、グリシジルノルマルヘキシルエーテル、グリシジルノルマルヘプチルエーテル、グリシジルノルマルオクチルまたは2‐エチル‐ヘキシルエーテル、グリシジルノルマルまたはイソノニルエーテル、グリシジルノルマルデシルエーテル、グリシジルノルマルドデシルエーテル、グリシジルノルマルテトラデシルエーテル、グリシジルノルマルヘキサデシルエーテル、グリシジルノルマルオクタデシルエーテル、グリシジルノルマルイコシルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t‐ブチルグリシジルエーテル、2‐エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロドデセンオキシド、α-ピネンオキシド、2,3‐エポキシドノルボルネン、リモネンオキシド、ディルドリン、2,3‐エポキシドプロピルベンゼン、スチレンオキシド、フェニルプロピレンオキシド、スチルベンオキシド、クロロスチルベンオキシド、ジクロロスチルベンオキシド、1,2‐エポキシ‐3‐フェノキシプロパン、ベンジルオキシメチルオキシラン、グリシジル‐メチルフェニルエーテル、クロロフェニル‐2,3‐エポキシドプロピルエーテル、エポキシプロピルメトキシフェニルエーテルビフェニルグリシジルエーテル、グリシジルナフチルエーテル、グリシドール酢酸エステル、グリシジルプロピオネート、グリシジルブタノエート、グリシジルノルマルペンタノエート、グリシジルノルマルヘキサノエート、グリシジルヘプタノエート、グリシジルノルマルオクタノエート、グリシジル2‐エチルヘキサノエート、グリシジルノルマルノナノエート、グリシジルノルマルデカノエート、グリシジルノルマルドデカノエート、グリシジルノルマルテトラデカノエート、グリシジルノルマルヘキサデカノエート、グリシジルノルマルオクタデカノエート、グリシジルイコサノエートからなる群から1種または2種以上選択されることができる。
【0025】
本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネートは、下記化学式1で表されるポリアルキレンカーボネートであることができる。
【0026】
[化学式1]
【化1】
(前記化学式1中、wは2〜10の整数であり、xは5〜100の整数であり、yは0〜100の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、水素、(C1〜C4)アルキルまたは‐CH2‐O‐R´(R´は(C1〜C8)アルキル)である。)
【0027】
この際、ポリアルキレンカーボネートにおけるアルキレンは、エチレン、プロピレン、1‐ブチレン、シクロヘキセンオキシド、アルキルグリシジルエーテル、n‐ブチル、及びn‐オクチルを含むものであって、これに限定されない。
【0028】
これは、下記化学式2の錯化合物を触媒として使用し、ヒドロキシルまたはカルボン酸基を末端基または側鎖に含む高分子化合物の存在下で、ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシまたは(C1‐C20)アルキルで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシドからなる群から選択される1つ以上のエポキシド化合物と二酸化炭素とを交互共重合することで製造される。
【0029】
[化学式2]
【化2】
(前記化学式2中、
Mは、コバルト3価またはクロム3価であり;
Aは、酸素または硫黄原子であり;
Qは、2つの窒素原子を連結するジラジカルであり;
1〜R10は、互いに独立して、水素;ハロゲン;(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル;(C2‐C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、及びリンの1つ以上を含む(C2‐C20)アルケニル;(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、及びリンの1つ以上を含む(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;(C1‐C20)アルコキシ;(C6‐C30)アリールオキシ;ホルミル;(C1‐C20)アルキルカルボニル;(C6‐C20)アリールカルボニル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;
前記R1〜R10のうち2個が互いに連結されて環を形成することができ;
前記R1〜R10及びQが含む水素のうち少なくとも1個以上は、下記化学式a、化学式b、及び化学式cからなる群から選択されるプロトングループであり;
【化3】

-は、互いに独立して、ハロゲンアニオン;HCO3-;BF4-;ClO4-;NO3
-;PF6-;(C6‐C20)アリールオキシアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C6‐C20)アリールオキシアニオン;(C1‐C20)アルキルカルボキシアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルキルカルボキシアニオン;(C6‐C20)アリールカルボキシアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C6‐C20)アリールカルボキシアニオン;(C1‐C20)アルコキシアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルコキシアニオン;(C1‐C20)アルキルカーボネートアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルキルカーボネートアニオン;(C6‐C20)アリールカーボネートアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C6‐C20)アリールカーボネートアニオン;(C1‐C20)アルキルスルホネートアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルキルスルホネートアニオン;(C1‐C20)アルキルアミドアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルキルアミドアニオン;(C6‐C20)アリールアミドアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C6‐C20)アリールアミドアニオン;(C1‐C20)アルキルカルバメートアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルキルカルバメートアニオン;(C6‐C20)アリールカルバメートアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C6‐C20)アリールカルバメートアニオンであり;
Zは、窒素またはリン原子であり;
21、R22、R23、R31、R32、R33、R34、及びR35は、互いに独立して、(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル;(C2‐C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C2‐C20)アルケニル;(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;R21、R22及びR23のうち2個またはR31、R32、R33、R34及びR35のうち2個が互いに連結されて環を形成することができ;
41、R42、及びR43は、互いに独立して、水素;(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル;(C2‐C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C2‐C20)アルケニル;(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;R41、R42及びR43のうち2個は互いに連結されて環を形成することができ;
X´は、酸素原子、硫黄原子またはN‐R(ここでRは(C1‐C20)アルキル)であり;
nは、R1〜R10及びQが含むプロトングループの総数に1を加えた整数であり;
-は、Mに配位することができ;
イミンの窒素原子は、Mに脱配位することができる。)
【0030】
本発明において、好ましいポリアルキレンカーボネート樹脂は、ポリプロピレンオキシドと二酸化炭素とが共重合されたポリプロピレンカーボネート(PPC)であることを特徴とする。
【0031】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネートは、重量平均分子量(Mw)が10,000〜350,000であることを特徴とし、好ましくは30,000〜250,000である。また、ポリアルキレンカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は20〜105℃であり、メルトインデックス(150℃/5kg)が0.01〜350のものが使用できる。前記範囲のポリアルキレンカーボネート樹脂を使用することが、ペレット状に加工するにおいて有利である。
【0032】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネートは、比重が1.15〜1.35g/cm3であることができ、前記範囲を外れる場合、上述のような効果を発現することが困難である。
【0033】
本発明の一実施例によるD,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)は、ラクチド及びグリコリドの重量比が85:15〜15:85であることができ、85:15〜55:45であることが好ましい。前記範囲を外れる場合、ポリアルキレンカーボネートとの加工性が低下する恐れがあり、透明性及び機械的物性の向上を期待することが困難である。
【0034】
本発明の一実施例によるD,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)は、重量平均分子量(Mw)が10,000〜200,000であり、40,000〜100,000であることが好ましい。前記範囲を外れる場合、ポリアルキレンカーボネートとの加工性の問題が発生して機械的物性が低下する恐れがあり、透明性及び接着力の相乗効果を期待することが困難である。
【0035】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネートブレンド組成物は、ポリアルキレンカーボネート及びD,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)の重量混合比が95:5〜5:95であることができる。前記範囲を外れる場合、樹脂同士が完全にブレンドされることが困難となり、加工性が低下する恐れがある。
【0036】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネートブレンド組成物は、ポリビニルアセテートをさらに含むことができる。
【0037】
本発明によるポリアルキレンカーボネートブレンド組成物は、ポリビニルアセテート(PVAc)をさらに含むことで、透明性を損なわずにPETへの接着力を著しく向上させることができるだけでなく、低温または高温でも優れた接着力を有するため、光学用接着剤、インク、ペイント等に適用する場合、高い付着安定性を提供することができる。これは、ポリアルキレンカーボネート、D,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)、及びポリビニルアセテートの組み合わせにより発現される、予想できない相乗効果であって、ポリビニルアセテートは、脂肪族ポリカーボネートの5〜95重量%で含有されることが好ましい。前記範囲を外れる場合、成分の組み合わせによる相乗効果を発現することが困難である。
【0038】
本発明によるポリアルキレンカーボネートブレンド組成物は、顔料、染料、充填剤、酸化防止剤、紫外線遮断剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、無機充填剤、混練剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂、レベリング剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、及び可塑剤から選択される何れか1つまたは2つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0039】
本発明は、前記ポリアルキレンカーボネートブレンド組成物を二軸押出機または溶媒キャストにより混合することを特徴とする。この際、二軸押出機を用いる場合、120〜170℃の温度範囲、50〜150rpmの条件で混合することが好ましい。
【0040】
本発明は前記組成物を含む成形体を提供し、成形体は、層間挿入用シート、光学用または包装用フィルム、及び樹脂バインダーから選択される用途に用いられるだけでなく、透明射出(transparent molding)に適用して透明ケースとして用いられることもでき、必ずしもこれに限定されるものではなく、様々な範囲に応用されることができる。
【0041】
以下、下記の実施例により本発明がより容易に理解でき、下記の実施例は、本発明の例示のためのものであって、本発明の保護範囲を制限するためのものではない。
【0042】
[実施例1〜6及び比較例1〜5]
実施例で使用された試薬は、ポリプロピレンカーボネート(PPC、Mw:92,000、Tg:32.6℃)、D,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA、アルドリッチ(Aldrich)社)、ポリビニルアセテート(PVAc;Mw:100,000、アルドリッチ(Aldrich)社)であり、これらを下記表1の割合でアセトンに溶かした後、溶媒キャストしてから、ホットプレス(Heating press)により押してフィルムを製造した。この際、実施例2、3、4、5及び6のPLGAは、ラクチド及びグリコリドの重量混合比がそれぞれ65:35、75:25、85:15、75:25及び75:25であった。比較例1では、PETフィルム(ファンシーロビー(Fancylobby)社)を使用した。実施例及び比較によるフィルムの光学特性を測定し、その結果を表1に示した。
【0043】
[光学特性評価]
(1)TT値
分光ヘイズメーターTC‐H3DPK‐MKIIを用いて測定した。
【0044】
(2)ヘイズ
分光ヘイズメーターTC‐H3DPK‐MKIIを用いて測定した。
【0045】
[接着力評価]
剥離試験(10x10クロスカット)
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示すように、本発明の実施例によるフィルムは、比較例2のポリプロピレンカーボネート(PPC)に比べ却って高い透明性を有しており、低いヘイズ値を示すことを確認することができた。また、既存の透明なポリプロピレンカーボネート(PPC)とポリビニルアセテート(PVAc)のブレンド(Blend)に比べても、透明度がほとんど損なわれないことを確認することができた。ポリプロピレンカーボネート(PPC)とD,L−ラクチド‐グリコリド共重合体(PLGA)の2成分系にポリビニルアセテート(PVAc)を追加して3成分系のブレンド(Blend)を製造した場合、既存のポリプロピレンカーボネート(PPC)単独フィルムや、PPC‐PLGAブレンドフィルムまたはPPC‐PVAcブレンドフィルムの2成分系のフィルムに比べ、接着力が著しく向上することが確認された。したがって、本発明で提示するPAC‐PLGAの2成分系ブレンド及びPAC‐PLGA‐PVAcの3成分系ブレンドは、既存のポリアルキレンカーボネートブレンドに比べても光学的透明性が低下しないながらも、ブレンドによりポリアルキレンカーボネートの機械的物性を調節することができるように基盤を提供する。実施例6では、可塑剤を添加した場合にも透明性が損なわれず、優れた接着力を有するとともに、可塑化による物性変化により、樹脂ブレンドのみに依存するのでなく、機械的物性をさらに多様に調節できることが確認される。
【国際調査報告】