(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-516011(P2015-516011A)
(43)【公表日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 69/00 20060101AFI20150508BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20150508BHJP
【FI】
C08L69/00
C08L101/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-510193(P2015-510193)
(86)(22)【出願日】2013年5月3日
(85)【翻訳文提出日】2014年11月12日
(86)【国際出願番号】KR2013003868
(87)【国際公開番号】WO2013165214
(87)【国際公開日】20131107
(31)【優先権主張番号】10-2012-0047714
(32)【優先日】2012年5月4日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0048292
(32)【優先日】2013年4月30日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】511061589
【氏名又は名称】エスケー グローバル ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK GLOBAL CHEMICAL CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】ホン セウン グエオン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジェ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヘ リム
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, ジ イェン
(72)【発明者】
【氏名】チュン, クワン ジン
(72)【発明者】
【氏名】オク, ミュン アン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BG04X
4J002BG05X
4J002BG06X
4J002CD01X
4J002CD02X
4J002CD05X
4J002CG01W
4J002CK03X
4J002CK04X
4J002GG01
4J002GH01
4J002GJ01
(57)【要約】
本発明は、二酸化炭素と、ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C10)アルキレンオキシド;ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、アルコキシ、アルキルまたはアリールで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシド;からなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物と、を反応させた脂肪族ポリカーボネートと、ポリオール化合物、エポキシ系化合物及びアクリル系化合物から選択される何れか1つ以上の化合物と、これらと重合、架橋または反応されることができる硬化剤と、を含む相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素と、ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C10)アルキレンオキシド;ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、アルコキシ、アルキルまたはアリールで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシド;からなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物と、を反応させた脂肪族ポリカーボネートと、ポリオール化合物、エポキシ化合物及びアクリル化合物から選択される何れか1つ以上の化合物と、これらと重合または架橋されることができる硬化剤と、を含む、相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項2】
脂肪族ポリカーボネートは、重量平均分子量が30,000〜350,000であることを特徴とする、請求項1に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項3】
脂肪族ポリカーボネートは、メルトインデックス(Melt Index、150℃/5kg)が0.01〜350であることを特徴とする、請求項1に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】
脂肪族ポリカーボネートは、ポリプロピレンカーボネートまたはポリエチレンカーボネートであることを特徴とする、請求項1に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項5】
下記化学式1で表されることを特徴とする、請求項1に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
[化学式1]
【化1】
(前記化学式1中、wは2〜10の整数であり、xは5〜100の整数であり、yは0〜100の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、水素、(C1〜C4)アルキルまたは‐CH
2‐O‐R´(R´は(C1〜C8)アルキル)である。)
【請求項6】
ポリオール化合物は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群から選択される何れか1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項7】
エポキシ化合物は、グリシジルエーテル系、グリシジルエステル系、グリシジルアミン系、直鎖状脂肪族化合物、脂環族化合物から選択される何れか1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項8】
アクリル化合物は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、メチルメタクリレート(Methyl methacrylate)、エチルメタクリレート、デシルメタクリレート、及び2‐エチルブチルメタクリレートから選択される何れか1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項9】
硬化剤は、イソシアネート系、メラミン系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系、及びメルカプタン系化合物から選択される何れか1つまたは2つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項10】
イソシアネート系硬化剤は、2,4‐トリレンジイソシアネート、2,6‐トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3‐キシレンジイソシアネート、1,4‐キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアネート、1,3‐ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5‐ナフタレンジイソシアネート、2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びトリフェニルメタントリイソシアネートから選択される何れか1つ以上であることを特徴とする、請求項9に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項11】
メラミン系硬化剤は、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、及びヘキサヘキシルオキシメチルメラミンから選択される何れか1つ以上であることを特徴とする、請求項9に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項12】
アミン系硬化剤は、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンアミン、ジメチルアミノエタノール、トリジメチルアミノメチルフェノールから選択される何れか1つ以上であることを特徴とする、請求項9に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項13】
酸無水物系硬化剤は、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ナジック酸無水物、及びメチルヘキサヒドロフタル酸無水物から選択される何れか1つ以上であることを特徴とする、請求項9に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項14】
イミダゾール系硬化剤は、イミジゾール、イソイミジゾール、2‐メチルイミジゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミジゾール、2,4‐ジメチルイミジゾール、ブチルイミジゾール、2‐ヘプタデセニル‐4‐メチルイミジゾール、2‐メチルイミジゾール、2‐ウンデセニルイミジゾール、1‐ビニル‐2‐メチルイミジゾール、2‐n‐ヘプタデシルイミジゾール、2‐ウンデシルイミジゾール、2‐ヘプタデシルイミジゾール、2‐フェニルイミジゾール、1‐ベンジル‐2‐メチルイミジゾール、1‐プロピル‐2‐メチルイミジゾール、1‐シアノエチル‐2‐メチルイミジゾール、1‐シアノエチル‐2‐エチル‐4‐メチルイミジゾール、1‐シアノエチル‐2‐ウンデシルイミジゾール、1‐シアノエチル‐2‐フェニルイミジゾール、1‐グアナミノエチル‐2‐メチルイミジゾール、イミジゾールとメチルイミジゾールの付加生成物、イミジゾールとトリメリット酸の付加生成物、2‐n‐ヘプタデシル‐4‐メチルイミジゾール、フェニルイミジゾール、ベンジルイミジゾール、2‐メチル‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、2,3,5‐トリフェニルイミジゾール、2‐スチリルイミジゾール、1‐(ドデシルベンジル)‐2‐メチルイミジゾール、2‐(2‐ヒドロキシル‐4‐t‐ブチルフェニル)‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、2‐(2‐メトキシフェニル)‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、2‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、2‐(p‐ジメチル‐アミノフェニル)‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、2‐(2‐ヒドロキシフェニル)‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、ジ(4,5‐ジフェニル‐2‐イミジゾール)‐ベンゼン‐1,4,2‐ナフチル‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、1‐ベンジル‐2‐メチルイミジゾール、及び2‐p‐メトキシスチリルイミジゾールから選択される何れか1つ以上であることを特徴とする、請求項9に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項15】
メルカプタン系硬化剤は、ペンタエリスリトール、テトラチオグリコール、ポリスルフィド、トリオキサントリメチレンメルカプタンから選択される何れか1つ以上であることを特徴とする、請求項9に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項16】
脂肪族ポリカーボネート100重量部に対して、ポリオール化合物5〜950重量部、及びポリオールの水酸基当量に対して0.9〜1.2当量配の硬化剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項17】
ポリオール化合物は、重量平均分子量が200〜30,000の低分子量のポリオールを含むことを特徴とする、請求項16に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項18】
硬化剤は、イソシアネート系化合物及びメラミン系化合物を順に反応させるものであることを特徴とする、請求項16に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項19】
顔料、染料、充填剤、酸化防止剤、紫外線遮断剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、無機充填剤、混練剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂、レベリング剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、及び潤滑剤から選択される何れか1つまたは2つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物。
【請求項20】
請求項1乃至19から選択される何れか一項に記載の組成物を含む成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素と1種以上のエポキシド化合物との共重合による脂肪族ポリカーボネートを含む相互侵入型架橋構造を有する樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策として、二酸化炭素の発生を減少させるための方法として脂肪族ポリカーボネートの産業化が進んでいる。脂肪族ポリカーボネートは、柔らかいゴム状のプラスチックであって、加工性に優れ、分解特性の調節が容易である性質のため、生分解性高分子として多く研究されている。しかしながら、脂肪族ポリカーボネートは、ガラス転移温度(Tg)が低く、200℃近所で分解されやすくて耐熱性に劣る特性がある。また、弾性率が小さく、薄膜製品の場合は割れやすいという機械的物性のため、様々な分野への使用に制約がある。そこで、様々な樹脂とのブランドすることでガラス転移温度または耐熱性を高めたり、機械的強度を改善させたりする技術が要求されている。例えば、特許文献1には、ポリプロピレンカーボネートをポリメチルメタクリレート(PMMA)と溶融混練させたり、セラミックや金属粉末の成形加工用バインダーを含む樹脂組成物が開示されており、特許文献2には、ポリ塩化ビニルアセテートを溶融混練させることで機械的性質を改善することが開示されている。しかし、これら発明のように、異種樹脂とブランドするだけでは機械的物性の向上に限界があるため、構造的な改善が必要である。
【0003】
IPN(Interpenetrating Polymer Networks)は、少なくとも1成分以上が架橋構造を有し、他の成分の存在下で少なくとも1成分以上が重合若しくは架橋されて、高分子鎖間に相互侵入が行われた多成分系高分子であって、架橋構造により高分子鎖の程度が大きいため、高分子ブランドで頻繁に発生する相分離が抑制され、2成分が連続相を成す二重連続相(dual phase continuity)構造を有することで、様々な物性が向上されることが期待される。そこで、ポリアルキレンカーボネート樹脂自体の物性の限界を克服してその応用範囲を拡大させるために、IPN構造を適用する技術に関する研究が要求されている状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4946884号明細書
【特許文献2】米国特許第4912149号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、ポリアルキレンカーボネート樹脂にIPN構造を適用することで、機械的物性のみならず耐薬品性を著しく改善させるとともに、均一な分子構造により透明性、耐熱性、成形加工性を極大化することができる、相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために、二酸化炭素と、ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C10)アルキレンオキシド;ハロゲンまたはアルコキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、アルコキシ、アルキルまたはアリールで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシド;からなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物と、を反応させた脂肪族ポリカーボネートと、ポリオール化合物、エポキシ系化合物及びアクリル系化合物から選択される何れか1つ以上の化合物と、これらと重合、架橋または反応することができる硬化剤と、を含む、相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物を提供する。
【0007】
本発明による相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、脂肪族ポリカーボネート100重量部に対して、ポリオール化合物5〜950重量部及びポリオール化合物の水酸基当量に対して0.9〜1.2倍当量の硬化剤を含有する。
【0008】
本発明において、脂肪族ポリカーボネートは下記化学式1で表されることができる。
[化学式1]
【化1】
(上記化学式1中、wは2〜10の整数であり、xは5〜100の整数であり、yは0〜100の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、水素、(C1〜C4)アルキルまたは‐CH
2‐O‐R´(R´は(C1〜C8)アルキル)である。)
【0009】
本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネートは、重量平均分子量(Mw)が10,000〜350,000であることができる。
【0010】
本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネートは、メルトインデックス(150℃/5kg)が0.01〜350であることができる。
【0011】
本発明において、ポリオール化合物は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群から選択される何れか1つ以上であり、この際、ポリオール化合物は、重量平均分子量が200〜30,000の低分子量のポリオールが使用できる。
【0012】
本発明において、エポキシ化合物は、グリシジルエーテル系、グリシジルエステル系、グリシジルアミン系、直鎖状脂肪族化合物、脂環族(Cyclo Aliphatic)化合物であることができ、この際、官能基が2個または3個以上であることができる。
【0013】
本発明において、アクリル化合物としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、デシルメタクリレート、及び2‐エチルブチルメタクリレートからなるアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートから選択される何れか1つ以上のアクリル化合物が使用でき、この際、反応開示のために、過酸化物類の開始剤を添加することができる。
【0014】
本発明による相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、硬化剤として、イソシアネート系、メラミン系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系、及びメルカプタン系化合物から選択される何れか1つまたは2つ以上を混合したものであることができる。
【0015】
ウレタンIPNの場合、硬化剤は、イソシアネート系及びメラミン系化合物を順に反応させることが好ましい。
【0016】
本発明において、イソシアネート系硬化剤は、2,4‐トリレンジイソシアネート、2,6‐トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3‐キシレンジイソシアネート、1,4‐キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアネート、1,3‐ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5‐ナフタレンジイソシアネート、2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びトリフェニルメタントリイソシアネート及びこれらのアダクト型(Adduct type)、ビウレット型またはトリマーから選択される何れか1つ以上であることができる。
【0017】
本発明において、メラミン系化合物は、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、及びヘキサヘキシルオキシメチルメラミンから選択される何れか1つ以上であることができる。
【0018】
本発明において、アミン系化合物は、直鎖状アミン、脂肪族アミン、変性脂肪族アミン、芳香族アミン、2級アミン、3級アミンを含むことができ、具体的には、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンアミン、ジメチルアミノエタノール、トリジメチルアミノメチルフェノール等が挙げられる。
【0019】
本発明において、酸無水物系化合物としては、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ナジック酸無水物、及びメチルヘキサヒドロフタル酸無水物等が単独でまたは混合して使用できる。
【0020】
本発明において、イミダゾール系化合物としては、イミジゾール、イソイミジゾール、2‐メチルイミジゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミジゾール、2,4‐ジメチルイミジゾール、ブチルイミジゾール、2‐ヘプタデセニル‐4‐メチルイミジゾール、2‐メチルイミジゾール、2‐ウンデセニルイミジゾール、1‐ビニル‐2‐メチルイミジゾール、2‐n‐ヘプタデシルイミジゾール、2‐ウンデシルイミジゾール、2‐ヘプタデシルイミジゾール、2‐フェニルイミジゾール、1‐ベンジル‐2‐メチルイミジゾール、1‐プロピル‐2‐メチルイミジゾール、1‐シアノエチル‐2‐メチルイミジゾール、1‐シアノエチル‐2‐エチル‐4‐メチルイミジゾール、1‐シアノエチル‐2‐ウンデシルイミジゾール、1‐シアノエチル‐2‐フェニルイミジゾール、1‐グアナミノエチル‐2‐メチルイミジゾール、イミジゾールとメチルイミジゾールの付加生成物、イミジゾールとトリメリット酸の付加生成物、2‐n‐ヘプタデシル‐4‐メチルイミジゾール、フェニルイミジゾール、ベンジルイミジゾール、2‐メチル‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、2,3,5‐トリフェニルイミジゾール、2‐スチリルイミジゾール、1‐(ドデシルベンジル)‐2‐メチルイミジゾール、2‐(2‐ヒドロキシル‐4‐t‐ブチルフェニル)‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、2‐(2‐メトキシフェニル)‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、2‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、2‐(p‐ジメチル‐アミノフェニル)‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、2‐(2‐ヒドロキシフェニル)‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、ジ(4,5‐ジフェニル‐2‐イミジゾール)‐ベンゼン‐1,4,2‐ナフチル‐4,5‐ジフェニルイミジゾール、1‐ベンジル‐2‐メチルイミジゾール、及び2‐p‐メトキシスチリルイミジゾール等を単独でまたは混合して使用できる。
【0021】
本発明において、メルカプタン系化合物としては、ポリメルカプタンともいい、ペンタエリスリトール、テトラチオグリコール、ポリスルフィド、トリオキサントリメチレンメルカプタン等が挙げられる。
【0022】
本発明による相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、顔料、染料、充填剤、酸化防止剤、紫外線遮断剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、無機充填剤、混練剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂、レベリング剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、及び潤滑剤から選択される何れか1つまたは2つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0023】
本発明は、上記の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物を含む成形体を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明による相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、耐熱性及び耐薬品性を著しく高めることができ、衝撃強度、弾性変形率、圧縮変形率、及び引張強度等の機械的物性を極大化して様々な分野に適用可能であって、特に、均一な分子構造により透明性を向上させることができる上で、簡単な工程で生産コストを低減することができるため、経済的であるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本出願人は、ポリアルキレンカーボネート樹脂にIPN構造を導入することで、均一な分子構造により透明性を確保することができるとともに、耐熱性、耐薬品性及び引張強度、伸び、耐衝撃性、弾性率等の機械的物性を著しく向上させることができることを見出し、本発明を出願するに至った。
【0026】
本発明による相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、脂肪族ポリカーボネート、ポリオール化合物、及びポリオール化合物の水酸基当量に対して0.9〜1.2倍当量の硬化剤を入れ、MEK等の溶剤に溶かした後、80℃で所定期間反応させるか、または120〜200℃で反応押出することで得ることができる。
【0027】
本発明による相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、脂肪族ポリカーボネート及びエポキシ化合物を溶剤に溶かした後、当量に相当する硬化剤を添加することで架橋構造を形成するか、または脂肪族ポリカーボネート、エポキシ化合物、及び硬化剤を入れ、120〜220℃で反応押出することで得ることができる。
【0028】
本発明による相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、脂肪族ポリカーボネート及びアクリル化合物を溶剤に溶かした後、当量に相当する反応開始剤または触媒を添加することで架橋構造を形成するか、または脂肪族ポリカーボネート、アクリル化合物、及び開始剤または触媒を入れ、120〜200℃で反応押出することで得ることができる。
【0029】
本発明において、脂肪族ポリカーボネートとしては、エスケーイノベーションにより出願(韓国公開特許第2008‐0015454号公報、同第2009‐0090154号公報、同第2010‐067593号公報、及び同第2010‐0013255号公報)されたものが使用できる。
【0030】
本発明の脂肪族ポリカーボネートは、二酸化炭素と、ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシまたは(C1‐C20)アルキルで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシドからなる群から選択される1種以上のエポキシド化合物と、の共重合反応により製造される。
【0031】
この際、前記エポキシド化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキセンオキシド、オクテンオキシド、デセンオキシド、ドデセンオキシド、テトラデセンオキシド、ヘキサデセンオキシド、オクタデセンオキシド、ブタジエンモノオキシド、1,2‐エポキシド‐7‐オクテン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシジルメチルエーテル、グリシジルエチルエーテル、グリシジルノルマルプロピルエーテル、グリシジル2次ブチルエーテル、グリシジルノルマルまたはイソペンチルエーテル、グリシジルノルマルヘキシルエーテル、グリシジルノルマルヘプチルエーテル、グリシジルノルマルオクチルまたは2‐エチル‐ヘキシルエーテル、グリシジルノルマルまたはイソノニルエーテル、グリシジルノルマルデシルエーテル、グリシジルノルマルドデシルエーテル、グリシジルノルマルテトラデシルエーテル、グリシジルノルマルヘキサデシルエーテル、グリシジルノルマルオクタデシルエーテル、グリシジルノルマルイコシルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t‐ブチルグリシジルエーテル、2‐エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロドデセンオキシド、α-ピネンオキシド、2,3‐エポキシドノルボルネン、リモネンオキシド、ディルドリン、2,3‐エポキシドプロピルベンゼン、スチレンオキシド、フェニルプロピレンオキシド、スチルベンオキシド、クロロスチルベンオキシド、ジクロロスチルベンオキシド、1,2‐エポキシ‐3‐フェノキシプロパン、ベンジルオキシメチルオキシラン、グリシジル‐メチルフェニルエーテル、クロロフェニル‐2,3‐エポキシドプロピルエーテル、エポキシプロピルメトキシフェニルエーテルビフェニルグリシジルエーテル、グリシジルナフチルエーテル、グリシドール酢酸エステル、グリシジルプロピオネート、グリシジルブタノエート、グリシジルノルマルペンタノエート、グリシジルノルマルヘキサノエート、グリシジルヘプタノエート、グリシジルノルマルオクタノエート、グリシジル2‐エチルヘキサノエート、グリシジルノルマルノナノエート、グリシジルノルマルデカノエート、グリシジルノルマルドデカノエート、グリシジルノルマルテトラデカノエート、グリシジルノルマルヘキサデカノエート、グリシジルノルマルオクタデカノエート、グリシジルイコサノエートからなる群から1種または2種以上が選択されることができる。
【0032】
本発明の脂肪族ポリカーボネートは、下記化学式1で表されるポリアルキレンカーボネートであることができる。
【0033】
[化学式1]
【化1】
(前記化学式1中、wは2〜10の整数であり、xは5〜100の整数であり、yは0〜100の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、水素、(C1〜C4)アルキルまたは‐CH
2‐O‐R´(R´は(C1〜C8)アルキル)である。)
【0034】
この際、ポリアルキレンカーボネートにおけるアルキレンは、エチレン、プロピレン、1‐ブチレン、シクロヘキセンオキシド、アルキルグリシジルエテル、n‐ブチル、及びn‐オクチルを含むものであって、これに限定されない。
【0035】
これは、下記化学式2の錯化合物を触媒として使用し、ヒドロキシルまたはカルボン酸基を末端基または側鎖に含む高分子化合物の存在下で、ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシまたは(C1‐C20)アルキルで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシドからなる群から選択される1つ以上のエポキシド化合物と二酸化炭素とを交互共重合することで製造される。
【0036】
[化学式2]
【化2】
(前記化学式2中、
Mは、コバルト3価またはクロム3価であり;
Aは、酸素または硫黄原子であり;
Qは、2つの窒素原子を連結するジラジカルであり;
R
1〜R
10は、互いに独立して、水素;ハロゲン;(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル;(C2‐C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、及びリンの1つ以上を含む(C2‐C20)アルケニル;(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、及びリンの1つ以上を含む(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;(C1‐C20)アルコキシ;(C6‐C30)アリールオキシ;ホルミル;(C1‐C20)アルキルカルボニル;(C6‐C20)アリールカルボニル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;
前記R
1〜R
10のうち2個が互いに連結されて環を形成することができ;
前記R
1〜R
10及びQが含む水素のうち少なくとも1個以上は、下記化学式a、化学式b、及び化学式cからなる群から選択されるプロトングループであり;
【化3】
X
-は、互いに独立して、ハロゲンアニオン;HCO
3-;BF
4-;CLO
4-;NO
3-;PF
6-;(C6‐C20)アリールオキシアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C6‐C20)アリールオキシアニオン;(C1‐C20)アルキルカルボキシアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルキルカルボキシアニオン;(C6‐C20)アリールカルボキシアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C6‐C20)アリールカルボキシアニオン;(C1‐C20)アルコキシアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルコキシアニオン;(C1‐C20)アルキルカーボネートアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルキルカーボネートアニオン;(C6‐C20)アリルカーボネートアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C6‐C20)アリールカーボネートアニオン;(C1‐C20)アルキルスルホネートアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルキルスルホネートアニオン;(C1‐C20)アルキルアミドアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルキルアミドアニオン;(C6‐C20)アリールアミドアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C6‐C20)アリールアミドアニオン;(C1‐C20)アルキルカルバメートアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C1‐C20)アルキルカルバメートアニオン;(C6‐C20)アリールカルバメートアニオン;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子の1つ以上を含む(C6‐C20)アリールカルバメートアニオンであり;
Zは、窒素またはリン原子であり;
R
21、R
22、R
23、R
31、R
32、R
33、R
34、及びR
35は、互いに独立して、(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル;(C2‐C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C2‐C20)アルケニル;(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;R
21、R
22及びR
23のうち2個またはR
31、R
32、R
33、R
34及びR
35のうち2個が互いに連結されて環を形成することができ;
R
41、R
42、及びR
43は、互いに独立して、水素;(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル;(C2‐C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C2‐C20)アルケニル;(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C1‐C20)アルキル(C6‐C20)アリール;(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、ケイ素、硫黄及びリンの1つ以上を含む(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;R
41、R
42及びR
43のうち2個は互いに連結されて環を形成することができ;
X´は、酸素原子、硫黄原子またはN‐R(ここでRは(C1‐C20)アルキル)であり;
nは、R
1〜R
10及びQが含むプロトングループの総数に1を加えた整数であり;
X
-は、Mに配位することができ;
イミンの窒素原子は、Mに脱配位することができる。)
【0037】
本発明の一実施例による好ましいポリアルキレンカーボネート樹脂は、プロピレンオキシドと二酸化炭素とが共重合されたポリプロピレンカーボネートであることを特徴とする。
【0038】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネートは、重量平均分子量(Mw)が10,000〜350,000であることを特徴とし、好ましくは30,000〜250,000である。また、ポリアルキレンカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、20〜105℃であり、メルトインデックス(150℃/5kg)が0.01〜350であるものが使用できる。 前記範囲のポリアルキレンカーボネート樹脂を使用することが、ペレット状に加工するにおいて有利である。
【0039】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネートは、比重が1.15〜1.35g/cm
3であり、前記範囲を外れる場合、上述のような効果を発現することが困難である。
【0040】
本発明の一実施例による相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、脂肪族ポリカーボネート100重量部に対して、ポリオール化合物5〜950重量部、及びポリオールの水酸基当量に対して0.9〜1.2当量配の硬化剤を含有することができる。前記範囲を外れる場合、未反応ポリイソシアネートが残留するか、硬化による架橋度が足りなくなる。
【0041】
本発明の一実施例による相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、硬化剤として、イソシアネート系及びメラミン系化合物から選択される何れか1つまたは2つ以上を混合したものが使用できる。
【0042】
この際、硬化剤は、イソシアネート及びメラミン系化合物を順に反応させることがより好ましい。2つ以上の硬化剤を同時に投入して硬化架橋反応させると、2つの硬化剤の反応速度によって、IPN構造体の構造が変わるため、所望の構造に調節することが困難である。したがって、1つの硬化剤を使用して反応させた後、順に他の硬化剤を入れて反応させることで、均一な構造を有するIPNを得ることができる。
【0043】
本発明において、イソシアネート系硬化剤としては、2,4‐トリレンジイソシアネート、2,6‐トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3‐キシレンジイソシアネート、1,4‐キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアネート、1,3‐ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5‐ナフタレンジイソシアネート、2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びトリフェニルメタントリイソシアネートから選択される何れか1つ以上が使用できる。
【0044】
本発明において、メラミン系化合物としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、及びヘキサヘキシルオキシメチルメラミンから選択される何れか1つ以上が使用できる。
【0045】
本発明において、ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群から選択される何れか1つ以上が使用できる。
【0046】
この際、ポリオール化合物は、重量平均分子量が200〜30,000の低分子量のポリオールを含むことを特徴とする。前記範囲を外れる場合、硬化反応による架橋が容易ではない。分子量が低すぎると、硬化反応により生成された高分子の分子量が5万を超えることが困難であり、3万以上のポリオールを使用すると、ポリアルキレンカーボネート分子の間への効果的な侵入が行われにくいため、硬化反応後に効果的なIPN構造を有することが困難である。
【0047】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、脂肪族ポリカーボネートと、グリシジルエーテル系、グリシジルエステル系、グリシジルアミン系、直鎖状脂肪族または脂環族化合物から選択されるエポキシ化合物と、これらと重合または架橋若しくは反応することができる硬化剤と、を含んで相互侵入型架橋構造を有することができる。この際、前記エポキシ化合物の重量平均分子量が100〜10,000の低分子量である場合、脂肪族ポリカーボネート分子の間への侵入が効率的に行われるため、硬化反応後に優れたIPN構造を有することができる。
【0048】
本発明の一実施例によるポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、脂肪族ポリカーボネートと、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、デシルメタクリレート、及び2‐エチルブチルメタクリレートからなるアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートから選択される何れか1つ以上のアクリル化合物と、これらと重合または架橋若しくは反応されることができる硬化剤と、を含んで相互侵入型架橋構造を有することができる。この際、前記エポキシ化合物の重量平均分子量が100〜10,000の低分子量である場合、脂肪族ポリカーボネート分子の間への侵入が効率的に行われるため、硬化反応後に優れたIPN構造を有することができる。
【0049】
前記の脂肪族ポリカーボネートと、ポリオール化合物、エポキシ系化合物及びアクリル系化合物から選択される何れか1つ以上の化合物と、これらと重合、架橋若しくは反応されることができる硬化剤と、を含む相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、反応押出により相互侵入型架橋構造を有することが好ましく、溶液反応により形成されてもよいが、これに限定されない。
【0050】
本発明の一実施例による相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、顔料、染料、充填剤、酸化防止剤、紫外線遮断剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、無機充填剤、混練剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂、レベリング剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、及び潤滑剤から選択される何れか1つまたは2つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0051】
本発明は、上記の相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物を含む成形体を提供する。
【0052】
以下、下記の実施例により本発明がより容易に理解でき、下記の実施例は、本発明の例示のためのものであって、本発明の保護範囲を制限するためのものではない。
【0053】
[実施例1〜8]
重量平均分子量が89,000であり、エーテル結合が0.5%以下であるポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリエステルジオール(U1420、ユニオン ケミカルズ(Union Chemicals)社製、MW:2,000)及びポリカーボネートジオール(PCDL、G3452、旭化成株式会社製、MW:2,000)を使用し、下記表1に記載の含量(重量部)で、本発明によるIPN構造を有する樹脂組成物を製造した。硬化剤としては、H12MDI(4,4´‐ジシクロヘキシル‐メタン ジイソシアネート)を使用した。これに対して、Tg、Tm、試験片の破断時の応力(strain at break)、及び破断時の伸び率(%strain at break)を、UTM(Universal Test Machine)により測定してその結果を表2に示した。
【0056】
[実施例9〜12]
重量平均分子量が89,000であり、エーテル結合が0.5%以下であるポリプロピレンカーボネート(PPC)、エポキシ化合物(ククド ケミカル(Kukdo Chemical)社製、YD‐128)及びポリアミド系硬化剤(ククド ケミカル(Kukdo Chemical)社製、G‐640)を、下記表3に記載の含量で添加して、本発明によるIPN構造を有する樹脂組成物を製造した。これの接着強度を測定するために、UTM装置を用いて重ね剪断強度(lap shear strength)を測定した。被着材としてポリカーボネートを使用した。試験片として、ASTM D 5868‐01規格に準じて、所定のサイズ(1インチx4インチx0.5mm=横x縦x厚さ)の2個の被着材を、1インチx1インチの面積が重なるようにした後、重なった面の間に接着素材を塗布して一週間後、その接着力を測定した。常温及び70℃で接着力を測定し、接着力を測定する前に、温度調節可能なチャンバー付きUTMを用いて70℃で2時間放置した後、70℃で測定した。試験片を50mm/minの速度で引張り、剪断強度(shear strength)を測定してその結果を下記表4に示した。
【0059】
[実施例13〜16]
重量平均分子量が89,000であり、エーテル結合が0.5%以下であるポリプロピレンカーボネート(PPC)、アクリル化合物(MMA、デジュン ケミカルズ(Daejung chemicals)社製)及び反応開始剤として2,2−アゾビス−イソブチロニトリル(2,2‐azobis‐isoburyronityronitrile)(AIBN、デジュン ケミカルズ(Daejung chemicals)社製)を添加し、反応抑制剤として4‐メトキシフェノール(MPh、ジュンセイ ケミカル(Junsei Chemical)社製)を使用した。上記の溶液をPETフィルム上に、5〜100mm/sec速度で5〜7μmの均一な厚さとなるように塗布した。塗布されたフィルムを常温で30分間放置した後、70℃の条件で乾燥させてから、表面硬度を測定した。表面硬度は、鉛筆硬度測定機 (COAD606、オーシャン サイエンス(Ocean Science)社製)で測定した。
【0062】
表2に示すように、本発明による実施例は、IPN構造を有することで、Tgの他にTmが測定されて、分子構造が変わったことを確認することができた。このようなIPN構造の形成は、非結晶質高分子に結晶質部分を取り入れるようにすることで機械的強度を改善するだけでなく、フォーム(Foam)を形成したときにセル(Cell)安定性が確保できる利点がある。また、IPN構造の形成後にも100%非結晶質構造を有する場合、ポリアルキレンカーボネートの透明性を大きく損傷させないながらも、耐薬品性が改善されて、塗料やインク等のバインダーに適用するときに色度を高めることができる長所があり、様々なポリオールの組成変化及び硬化方法の変化により、所望の物性を確保することができる基盤を提供することができる。
【0063】
表4に示すように、本発明によるIPN構造を有することで、耐熱性及び接着性能が向上されるため、塗料や接着剤への応用が可能である。
【0064】
表6に示すように、本発明によるIPN構造を有することで、硬度が増加するため、高性能フィルムやケース等の射出への応用が可能である。
【国際調査報告】