特表2015-516455(P2015-516455A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-516455(P2015-516455A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(54)【発明の名称】局所用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/137 20060101AFI20150515BHJP
   A61K 47/16 20060101ALI20150515BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20150515BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20150515BHJP
   A61K 31/5375 20060101ALI20150515BHJP
   A61K 31/4418 20060101ALI20150515BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20150515BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20150515BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20150515BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20150515BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20150515BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20150515BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20150515BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20150515BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20150515BHJP
【FI】
   A61K31/137
   A61K47/16
   A61P31/10
   A61P17/00 101
   A61K31/5375
   A61K31/4418
   A61K9/08
   A61K47/10
   A61K47/14
   A61K47/20
   A61K47/12
   A61K47/34
   A61K47/38
   A61K47/36
   A61K47/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-512013(P2015-512013)
(86)(22)【出願日】2013年5月13日
(85)【翻訳文提出日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】EP2013059814
(87)【国際公開番号】WO2013171159
(87)【国際公開日】20131121
(31)【優先権主張番号】12003791.6
(32)【優先日】2012年5月14日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/646,650
(32)【優先日】2012年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】598032139
【氏名又は名称】アルミラル・ソシエダッド・アノニマ
【氏名又は名称原語表記】Almirall, S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】エヴァース ディルク ハインリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】フィールハウアー ザビーネ
(72)【発明者】
【氏名】ゴリッセン サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルビッヒ ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】マルヴィッツ ヘニング
(72)【発明者】
【氏名】ウィラーズ クリストフ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC20
4C076CC31
4C076DD05A
4C076DD05F
4C076DD07F
4C076DD09F
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4C076DD37E
4C076DD38A
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4C076DD46E
4C076DD54E
4C076EE09G
4C076EE16G
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4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
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4C086MA10
4C086MA17
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4C086NA11
4C086NA13
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4C206FA07
4C206KA04
4C206MA02
4C206MA03
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4C206MA29
4C206MA37
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA10
4C206NA11
4C206NA13
4C206ZA90
4C206ZB35
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、局所用医薬組成物であって、前記組成物の総重量基準で、
a)1.5重量%から5重量%までのテルビナフィンまたはそのいずれかの薬学的に許容される塩;
b)15重量%から35重量%までの尿素;および
c)25重量%を超える水
を含む、前記組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所用医薬組成物であって、組成物の総重量基準で、
a)1.5重量%から5重量%までのテルビナフィンまたはそのいずれかの薬学的に許容される塩;
b)15重量%から35重量%の尿素;および
c)25重量%を超える水
を含む、前記組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、テルビナフィンまたはその薬学的に許容される塩の量が、2重量%〜4重量%の範囲内、好ましくは2重量%〜3重量%の範囲内である、前記組成物。
【請求項3】
前項のいずれかに記載の組成物であって、尿素の量が、15重量%〜30重量%の範囲内、好ましくは15重量%〜25重量%の範囲内である、前記組成物。
【請求項4】
前項のいずれかに記載の組成物であって、水の量が、35重量%を超える、好ましくは40重量%を超える、前記組成物。
【請求項5】
前項のいずれかに記載の組成物であって、
a)2重量%から3重量%までのテルビナフィンまたはその薬学的に許容される塩;
b)15重量%から25重量%までの尿素;および
c)40重量%を超える水
を含む、前記組成物。
【請求項6】
前項のいずれかに記載の組成物であって、d) C2-5アルコール、C2-8ポリオール、C6-24脂肪酸トリグリセリド、C6-24脂肪族アルコール、C6-24アルキル硫酸塩、C6-24脂肪酸、非イオン性界面活性剤またはこれらの混合物よりなる群から選択される、担体または賦形剤をさらに含む、前記組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物であって、担体または賦形剤が、C2-5アルコール、C2-8ポリオールおよび非イオン性界面活性剤またはこれらの混合物よりなる群から選択される、前記組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物であって、担体または賦形剤が、エタノール、プロピレングリコールおよびポリソベート80またはこれらの混合物よりなる群から選択される、前記組成物。
【請求項9】
前項のいずれかに記載の組成物であって、前記組成物が、e) ゲル化剤をさらに含む、前記組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の組成物であって、ゲル化剤が、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒアルロン酸またはそのあらゆる薬学的に許容される塩、デンプングリコール酸ナトリウム(カルボキシメチルデンプンナトリウム)、キサンタンガム、ポリエチレングリコール(公称平均分子量が200〜10,000,000の範囲であり;好ましくは5,000〜8,000,000の範囲であり;より好ましくは1,000,000〜5,000,000の範囲である)カルボマー、ポロキサマー、ポビドン(ポリビニルピロリドン)およびポリクオタニウムポリマーよりなる群から選択される、前記組成物。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の組成物であって、ゲル化剤が、ヒアルロン酸またはそのあらゆる薬学的に許容される塩およびポリクオタニウムポリマーよりなる群から選択される、前記組成物。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれかの請求項に記載の組成物であって、ゲル化剤の量が、0.5重量%〜4重量%の範囲内、好ましくは1重量%〜3重量%の範囲内である、前記組成物。
【請求項13】
前項のいずれかに記載の組成物であって、f) 緩衝剤をさらに含む、前記組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物であって、局所性真菌感染症、好ましくは爪真菌症の治療に使用するための、前記組成物。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に規定される組成物の使用であって、真菌感染症、好ましくは爪真菌症の局所治療用の医薬品の製造における、使用。
【請求項16】
局所性真菌感染症、好ましくは爪真菌症を罹患する患者の治療方法であって、該患者に請求項1〜13のいずれか一項に規定される組成物の有効量を適用することを含む、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の組成物、爪やすりおよび硬薬を、使用説明書と共に含む、部品のキット。
【請求項18】
組成物の総重量基準で25%を超える水を含む局所用製剤において、抗真菌剤を可溶化するための、尿素の使用。
【請求項19】
請求項18に記載の使用であって、抗真菌剤が、テルビナフィン、アモロルフィンおよびシクロピロックス、またはそれらのあらゆる薬学的に許容される塩から選択される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テルビナフィンおよび尿素を含む、局所用医薬組成物、およびこれらの組成物の、爪真菌症等の局所の真菌性疾患の治療における使用に関する。提供される組成物は安定であり、爪に強く水和し、浸透する。
【背景技術】
【0002】
爪白癬としても知られている、爪真菌症は、爪の真菌感染症であり、一般集団における有病率は約2〜8%であり、60歳以上の成人では有病率は14〜28%に上昇する(フィンチ(Finch)およびワルショウ(Warshow), Dermatol. Ther., 2007年, 20巻, 31-46頁)。
【0003】
爪に感染する真菌としては、皮膚糸状菌、カビおよび酵母(主にカンジダ種由来)が挙げられる。90%以上の例で、皮膚糸状菌(特に紅色白癬菌)が感染症の原因である。足指の爪の爪真菌症には種々の型がある(スィーベイチャー(Seebacher)ら, Mycoses, 2007年, 50(4)巻, 321-327頁):
・遠位側縁爪甲下爪真菌症(DLSO):爪の真菌感染症の最も一般的な病態。この症例では、真菌は下爪皮を通って爪甲の裏側を侵し、徐々に爪母に広がる。爪下角質増殖症および爪甲剥離症が進行し、黄色し、爪板が隆起する。
・近位爪甲下爪真菌症(PSO):他の点では健康な人においては極めてまれな病態であるが、免疫不全の患者ではより一般的。この症例では、真菌は、爪母で始まり爪甲内の先端で増殖する。
・表在性白色爪真菌症(SWO):症例のわずか10%を占めるにすぎない。この病態は、爪甲の表面上のチョーク状の白斑を特徴とする。
【0004】
爪の感染症は、身体可動性に関して、かつ社会的に恥ずかしいという点で、患者の生活の質に影響する。特に、厚味のある足指の爪の場合、圧力が刺激や痛みを引き起こす。爪真菌症は、自然消退はせず、悪化し、他の非感染部位(他の爪または周囲の皮膚)に広がったり、他の人に感染することもある。また、さらなる細菌感染を助長する可能性がある。従って、この疾患の有効な治療法を見出すことが重要である。
【0005】
一般に、感染が爪の50%未満であり、爪母が罹患していない場合、局所療法が推奨される。他の場合は全て、特に爪母が侵されている場合、全身療法(時には局所療法と組み合わせて)が現在は推奨される(レチャ(Lecha)ら, J. Eur. Acad. Dermatol. Venereol., 2005年, 19(1)巻, 25-33頁)。
【0006】
爪疾患の局所療法は、全身性副作用や薬物相互作用がなく、治療コストが低い等、明らかに利点がある。しかし、一般的に、足指の爪の感染症に対する局所治療の管理について、エビデンスはわずかである。使用可能な局所爪真菌症療法としては、シクロピロックス・オラミンネイルラッカー(8%)およびアモロルフィンネイルラッカー(5%)が挙げられる。
【0007】
おそらく、これらの製品の爪への薬物浸透が乏しい結果として、治療時間は長く(少なくとも1年)、治癒率は低い(48週間後のシクロピロックスでの治癒率6.5%〜12%(例えば、バラン(Baran) R.ら, JEADV 2009年))。
【0008】
従って、爪への薬物送達(爪送達)か改良されて、使用可能な局所治療法の選択肢よりも短い治療時間でより治癒率の高い、代替の処方が求められている。
【0009】
テルビナフィンは、爪真菌症の経口治療のための、有力な抗真菌剤の一つである。真菌感染症の局所治療に使用するための、クリーム、ゲル、液剤およびスプレーの投与形態での投与は、いくつかの国で認可されているが、爪真菌症の治療には適応はない。
【0010】
爪への薬物送達は、ヒトの爪の物理的構造により複雑である。爪甲は、角質層よりも非常に厚く、硬く、高密度であり、このことは、薬物送達のための拡散経路が非常に長いことを意味する。このことから、爪甲の浸透および透過は不充分となり、現在市場に出回っている局所用爪抗真菌製剤の有効率が低いことが説明される。
【0011】
現在認可されている有機溶媒系の実験的ネイルラッカーは、爪を補水することができない。これらのラッカーは、ケラチンの爪母から水分を除きさえするため、爪が乾ききる。さらに、これらのラッカーの主たる溶媒が、非常に早く蒸発するエタノールおよび/または酢酸エチルであるという事実により、製剤は数分で乾燥しがちである。このことにより、活性体は溶解した状態から非常に短時間だけで浸透する。加えて、ラッカーは典型的には爪甲上にフィルムを形成し、しばしば胞子の貯留層として作用し爪真菌症の再発を引き起こす、病変した爪材の除去の助けにはならない。
【0012】
皮膚の真菌感染症の治療には、クリームも使用される。しかし、アモロルフィンおよびテルビナフィンについて認可されたクリームは、薬物負荷が低い製剤(それぞれ0.25%および1%)であり、それらによる爪の補水はわずかであり、病変した爪材の除去には至らない。
【0013】
国際特許WO 2011/079234号には、爪真菌症の治療のための、局所用ヒドロアルコール製剤が記載されており、これは、テルビナフィンまたはその塩、好ましくは10重量%のテルビナフィンまたはその塩;両性イオン性界面活性剤またはその荷電誘導体;カルボン酸;低級アルコールおよび水を含む。国際特許WO 2011/079234号では、低級アルコール(好ましくはエタノール)の濃度は、20〜50重量%に変化し得るが、殆どの場合で35重量%以上である。しかし、そのような高濃度のエタノール等の低級アルコールは、皮膚または爪の刺激となる可能性が高くなるかもしれない。
【0014】
米国特許US 6,281,239 B1号には、爪真菌症の治療のための、局所用抗真菌組成物が記載されており、これは、実質的に、5重量%以下の抗真菌剤(好ましくは硝酸ミコナゾール)の、組織軟化組成物との混合物より構成され、この組織軟化組成物は40重量%の尿素と他の賦形剤を含む。しかし、このような高尿素濃度の組成物は、過剰な皮膚剥奪を引き起こす可能性がある。加えて、低温での貯蔵後、時間の経過により、尿素の沈澱が生じることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、薬物負荷が高く、強く爪を補水し、浸透時間が長く、病変した爪および胞子を除去することができ、その結果、優れた臨床的有効性が得られる、新規な製剤の必要性がある。
【0016】
水はある分子の爪の透過を促進すると考えられるため、水分量が多い製剤は好ましい。しかし、このような製剤の開発に特有の課題は、これらの薬剤は水溶性が低いことが知られているため、高水分量の存在下で抗真菌剤の高濃度を達成することである。
【0017】
我々は、含水量が高く、かつテルビナフィン濃度が高い製剤を開発した。これらの製剤は、爪への透過性が増し、爪甲への正確な投与および強力な接着を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
新規な局所用医薬組成物であって、組成物の総重量基準で、
a)1.5重量%から5重量%までのテルビナフィンまたはそのいずれかの薬学的に許容される塩;
b)15重量%から35重量%の尿素;および
c)25重量%を超える水
を含む、組成物が開発された。
【0019】
さらに、本発明は、局所性真菌感染症、好ましくは爪真菌症の治療または予防に使用するための、上記で規定した組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
テルビナフィンは、真菌エルゴステロール生合成における鍵酵素である、酵素スクアレンエポキシダーゼを遮断することによって、真菌の成長を阻害する、アリルアミン系抗真菌剤である。他のアリルアミン系抗真菌剤の例としては、アモロルフィン、ナフチフィンおよびブテナフィンが挙げられる。
【0021】
本発明の一つの態様では、テルビナフィンまたはその薬学的に許容される塩の量は、2重量%〜4重量%の範囲内である。好ましい態様では、テルビナフィンの量は、2重量%〜3重量%の範囲内である。
【0022】
好ましくは、テルビナフィンは、テルビナフィン塩酸塩の形態である。
【0023】
本発明の一つの態様では、尿素の量は、15重量%〜30重量%の範囲内である。好ましい態様では、尿素の量は15重量%〜25重量%の範囲内である。
【0024】
代表的には、水の量は、35重量%を超える、好ましくは40重量%を超える、より好ましくは45重量%を超える。
【0025】
本発明の一つの態様では、水の量は25重量%〜65重量%の範囲内である。好ましい態様では、水の量は35重量%〜55重量%の範囲内である。より好ましい態様では、水の量は40重量%〜50重量%の範囲内である。
【0026】
特別な態様では、局所用半固体医薬組成物は、組成物の総重量基準で:
a)2重量%から3重量%までのテルビナフィンまたはその薬学的に許容される塩;
b)15重量%から25重量%までの尿素;および
c)40重量%を超える水
を含む。
【0027】
本発明の一つの態様では、組成物は、d) C2-5アルコール、C2-8ポリオール、C6-24脂肪酸トリグリセリド、C6-24脂肪族アルコール、C6-24アルキル硫酸塩、C6-24脂肪酸、非イオン性界面活性剤またはこれらの混合物よりなる群から選択される、担体または賦形剤をさらに含む。
【0028】
本発明の好ましい態様では、担体または賦形剤は、C2-5アルコール、C2-8ポリオールおよび非イオン性界面活性剤またはこれらの混合物よりなる群から選択される。
【0029】
本発明のより好ましい態様では、担体または賦形剤は、エタノール、プロピレングリコールおよびポリソベート80またはこれらの混合物よりなる群から選択される。
【0030】
特別の態様では、局所用半固体医薬組成物は、組成物の総重量基準で:
a)2重量%から3重量%までのテルビナフィンまたはその薬学的に許容される塩;
b)15重量%から25重量%の尿素;
c)40重量%を超える水;および
d)エタノール、プロピレングリコールおよびポリソベート80またはこれらの混合物よりなる群から選択される、担体または賦形剤
を含む。
【0031】
好ましい態様では、担体または賦形剤は、C2-5アルコールおよびC2-8ポリオールまたはこれらの混合物よりなる群から選択される。
【0032】
好ましい態様では、担体または賦形剤は、C2-5アルコールおよび非イオン性界面活性剤またはこれらの混合物よりなる群から選択される。
【0033】
好ましい態様では、担体または賦形剤は、C2-8ポリオールおよび非イオン性界面活性剤またはこれらの混合物よりなる群から選択される。
【0034】
好ましい態様では、担体または賦形剤は、C2-5アルコールであり、より好ましくはエタノールである。
【0035】
好ましい態様では、担体または賦形剤は、C2-8ポリオールであり、より好ましくはプロピレングリコールである。
【0036】
好ましい態様では、担体または賦形剤は、非イオン性界面活性剤であり、より好ましくはポリソルベート80である。
【0037】
本発明のさらなる態様では、組成物は、さらに、e) ゲル化剤を含む。
【0038】
代表的には、ゲル化剤は、コラーゲン、ゼラチン、寒天、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒアルロン酸またはそのあらゆる薬学的に許容される塩、カラギーナン、デンプングリコール酸ナトリウム(カルボキシメチルデンプンナトリウム)、セラトニア(ceratonia)、トラガカント、キサンタンガム、ポリエチレングリコール(公称平均分子量が200から10,000,000の範囲である)カルボマー、ポロキサマー、ポビドン(ポリビニルピロリドン)およびポリクオタニウムポリマーよりなる群から選択される。
【0039】
特別な態様では、ゲル化剤は、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒアルロン酸またはそのあらゆる薬学的に許容される塩、デンプングリコール酸ナトリウム(カルボキシメチルデンプンナトリウム)、キサンタンガム、ポリエチレングリコール(公称平均分子量が200〜10,000,000の範囲であり;好ましくは5,000〜8,000,000の範囲であり;より好ましくは1,000,000〜5,000,000の範囲である)カルボマー、ポロキサマー、ポビドン(ポリビニルピロリドン)およびポリクオタニウムポリマーよりなる群から選択される。
【0040】
好ましい態様では、ゲル化剤は、ヒドロキシプロピルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸またはそのあらゆる薬学的に許容される塩(好ましくはヒアルロン酸ナトリウム)、キサンタンガム、ポリエチレングリコール(公称平均分子量が200〜10,000,000の範囲であり;好ましくは5,000〜8,000,000の範囲であり;より好ましくは1,000,000〜5,000,000の範囲である)カルボマー、ポロキサマー、ポビドン(ポリビニルピロリドン)およびポリクオタニウムポリマーよりなる群から選択される。
【0041】
好ましい態様では、ゲル化剤は、ヒアルロン酸またはそのあらゆる薬学的に許容される塩およびポリクオタニウムポリマーよりなる群から選択される。より好ましい態様では、ゲル化剤はヒアルロン酸ナトリウムである。
【0042】
別の好ましい態様では、ゲル化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガムおよびポリエチレングリコール(公称平均分子量が200〜10,000,000の範囲であり;好ましくは5,000〜8,000,000の範囲であり;より好ましくは1,000,000〜5,000,000の範囲である)よりなる群から選択される。より好ましい態様では、ゲル化剤はキサンタンガムである。
【0043】
代表的には、ゲル化剤の量は、0.5重量%〜5重量%の範囲内であり、好ましくは1重量%〜3重量%の範囲内である。
【0044】
本発明の別の態様では、組成物は、さらに、f) 緩衝剤を含む。
【0045】
特別の態様では、局所用半固体医薬組成物は、組成物の総重量基準で:
a)2重量%から3重量%までのテルビナフィンまたはその薬学的に許容される塩;
b)15重量%から25重量%の尿素;
c)41から60重量%の水;および
d)エタノール、プロピレングリコールおよびポリソルベート80またはそれら の混合物よりなる群から選択される、担体または賦形剤;
e)ゲル化剤;および
f)緩衝剤
を含む。
【0046】
別の特別の態様では、局所用半固体医薬組成物は、組成物の総重量基準で:
a)2重量%から3重量%までのテルビナフィンまたはその薬学的に許容される塩;
b)15重量%から25重量%の尿素;
c)41から60重量%の水;および
d)10から30重量%の、エタノール、プロピレングリコールおよびポリソルベート80またはそれらの混合物よりなる群から選択される、担体または賦形剤;
e)0.1から4重量%のゲル化剤、より好ましくは0.5から4重量%、さらにより好ましくは0.5から3重量%、最も好ましくは1から3重量%のゲル化剤;および
f)緩衝剤
を含む。
【0047】
本発明の一つの態様は、局所性真菌感染症、好ましくは爪真菌症の治療または予防に使用するための、上記で規定した局所用医薬組成物に関する。
【0048】
本発明の別の態様は、上記で規定した局所用医薬組成物の使用であって、真菌感染症、好ましくは爪真菌症の治療または予防用の医薬品の製造のための使用に関する。
【0049】
本発明のさらなる態様は、局所性真菌感染症を罹患する患者の治療方法であって、該患者の皮膚または爪の患部に上記で規定した組成物の有効量を適用することを含む、方法に関する。
【0050】
本発明の局所用医薬組成物の使用方法は、患部を完全に覆うように該組成物を適用することによる。通常の適用頻度は、1日に一回であるが、ある患者の適宜の維持療法は、より低頻度の適用で達成されることもある。
【0051】
代表的には、処置は、感染した爪を、日常的な範囲まで切り揃えることから始めるべきであり、その後、爪やすりを用いて、爪の表面をできるだけ薄く削る。爪を皮膚まで削ったり、研磨したりしないように、事前に注意をするべきである。
【0052】
本発明の一つの態様は、上述の組成物、爪やすりおよび硬薬を、使用説明書と共に含む部品のキットに関する。
【0053】
一つの態様では、本発明は、組成物の総重量基準で25%を超える水を含む局所用組成物において抗真菌剤を可溶化するための、尿素の使用に関する。
【0054】
好ましい態様では、抗真菌剤のpH 4〜6で測定した水溶性は5 mg/ml未満であり、log Dは2〜3.5である。
【0055】
好ましい態様では、抗真菌剤は、テルビナフィン、アモロルフィンおよびシクロピロックス、またはそれらのあらゆる薬学的に許容される塩から選択される。
【0056】
定義
本書で使用する場合、C2-5アルコールという用語は、2〜5個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基を包含し、いずれも1以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。
【0057】
C2-5アルコールの例としては、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびペンタノールが挙げられる。
【0058】
本書で使用する場合、C2-8ポリオールという用語は、2〜8個の炭素原子を有する線状または分枝状アルキル基を包含し、いずれも少なくとも2つのヒドロキシル基で置換されていてもよい。
【0059】
C2-8ポリオールの例としては、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコールおよびグリセロールが挙げられる。
【0060】
好適なC6-24脂肪酸トリグリセリドは、動物及び植物組織中に普通に見られ、水素化されて不飽和を減少または除去したものを含むが、グリセリンと脂肪酸との合成によって製造されたエステルであってもよい。グリセリンの種々の位置をエステル化する脂肪酸は、異なっていてもよく、位置の組み合わせを含む、多数の可能な組み合わせを生じる。天然のトリグリセリドにおける種々の脂肪酸の位置はランダムではなく、脂肪の起源による。より単純なトリグリセリドは、1つの脂肪酸で構成されるものである。脂肪酸のグリセリルエステルは、例えば、合成、半合成および天然油脂よりなる群から有利に選択することができ、例えば、牛脂、豚脂、骨油、水生動物の油脂(ニシン、タラまたはイワシ等の魚;クジラなど)等の動物油脂;および、アボカド油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ババス油、ボリジ油、ピーナッツ油、キャノーラ油、大麻油、オオアザミ油、ベニバナ油、ショクヨウカヤツリ油、ココナッツ油、菜種油、ブラッククミン油、小麦胚芽油、ひまわり油、亜麻仁油、マカデミアナッツ油、コーン油、ウォールナッツ油、オリーブ油およびオリーブかす油等のその副産物、パーム油およびパームオレインおよびパームステアリン等のその分画、月見草油、ローズヒップ油、ひまし油、米ぬか油、杏仁油、綿実油、カボチャの種子油、パーム核油およびパーム核オレインおよびパーム核ステアリン等のその分画、ブドウの種子油、ごま油、大豆油、ココアバター、シアバター等の植物油脂が挙げられる。
【0061】
本発明による好適なC6-C24脂肪族アルコールは、植物および動物油脂由来のC6-C24アルコールであり、例えば、2-オクチルドデカノール、2-エチルヘキサノイルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、カプリリックアルコール、カプロイルアルコール、カプリックアルコール、ひまし油アルコール、セテアリルアルコール、パルミチル(セチル)アルコール、ココナッツアルコール、コットンアルコール、デシルアルコール、エライジルアルコール、エルシルアルコール、ガドレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、リノレイルアルコール、亜麻仁アルコール、ミリスチルアルコール、オレインアルコール、オリーブかすアルコール、オレイルアルコール、オリーブアルコール、パームアルコール、パーム核アルコール、パルミトイルアルコール、ペトロセリンアルコール、菜種油アルコール、リシノレイルアルコール、ベニバナアルコール、大豆アルコール、ステアリルアルコール、ヒマワリアルコール、トールオイルアルコール、獣脂アルコール、トリデシルアルコール、または、セトステアリルアルコール等のそれらの工業銘柄の混合物が挙げられる。
【0062】
本書で使用する場合、好適なC6-24アルキル硫酸塩という用語は、6〜24個の炭素原子を有する線状または分枝状アルキルを包含し、いずれも1以上の硫酸基で置換されていてもよい。
【0063】
好適な非イオン性界面活性剤としては、例えば、エトキシ化ポリソルベート、ポリエチレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、およびポリエトキシ化ひまし油が挙げられる。エトキシ化ポリソルベートとしては、例えば、ポリソルベート-20(ツイーン-20)、ポリソルベート-40(ツイーン-40)およびポリソルベート-80(ツイーン-80)が挙げられる。
【0064】
いずれの薬学的に許容される緩衝剤も、本発明による局所用医薬組成物のpHを、局所投与に許容される範囲内に調整するために使用することができ、好ましくは2.0〜6.0の範囲であり、より好ましくは2.5〜4.5の範囲である。代表的には、pH調整剤は酸、酸性塩、またはそれらの混合物であり得る。好適な酸の例は、当業者に知られており、実例として、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、リン酸、乳酸および硝酸等、およびそれらの混合物が挙げられる。特に好ましい緩衝剤は、乳酸、乳酸ナトリウムおよびそれらの混合物である。
【0065】
本書で使用する場合、局所性真菌感染症という用語は、種々の型の真菌によって引き起こされる、爪または皮膚の疾患を言う。これらの疾患の例は、爪真菌症、体の種々の部位の白癬、即ち、体部白癬、足白癬、頑癬、頭部白癬、癜風(虹色粃糠疹)、ピチロスポルム毛嚢炎およびカンジダ症(モリニア症)である。好ましくは、局所性真菌感染症という用語は、爪真菌症を言う。
【0066】
本発明による局所用医薬組成物は、クリーム、ゲル、懸濁液、ローション、フォーム、スプレー、エアロゾルまたは溶液の形態に製剤化され得るが、好ましくは、クリームまたはゲル等の半固体製剤の形態であり、より好ましくはゲルの形態である。
【0067】
米国食品医薬品局(FDA)の医薬品評価センター(CDER)によるデータ・スタンダーズ・マニュアルの投与形態(8版)では、クリームは、「通常、20%を超える水および揮発性物質および/または賦形剤として50%未満の炭水化物、ろう状物質、またはポリオールを含有し、一般的には皮膚または粘膜に外用される、半固体の投与形態の乳剤」と規定されている。ゲルは、該書において、「溶液またはコロイド分散系に剛性を与えるためにゲル化剤を含有した、半固体の投与形態」と規定されている。
【0068】
本発明の局所用医薬組成物の粘度は、組成物の形態次第である。例えば、クリームの場合、粘度は、代表的には、20℃で、DIN-ローテンションズ・レオメーター(Rotations Rheometer)(パール・フィジカ(Paar Physica));測定システム(Measuring System) Z 3 DIN;D=57 1/sを用いて測定した場合、2,000〜15,000 mPa.sの範囲内であり、好ましくは2,500〜10,000 mPa.sの範囲内であり、より好ましくは3,000〜7,000 mPa.sの範囲内である。
【0069】
ゲルの場合、粘度は、代表的には、20℃で、DIN-ローテンションズ・レオメーター(Rotations Rheometer)(パール・フィジカ(Paar Physica));測定システム(Measuring System) Z 3 DIN;D=57.2/sを用いて測定した場合、300〜15000 mPa.sの範囲内であり、好ましくは500〜12000 mPa.sの範囲内であり、より好ましくは1000〜10000 mPa.sの範囲内である。
【0070】
本発明による局所用医薬組成物は、任意に、他のよく知られている薬学的および/または香粧品的に許容される添加剤、例えば、抗刺激剤、酸化防止剤、キレート剤、軟化剤、浸透促進剤、防腐剤、可溶化剤、増粘剤、湿潤剤等、またはそれらの混合物をさらに含んでもよい。
【0071】
好適な抗刺激剤の例は、アロエベラ、カモミール、α-ビサボロール、コラノキ抽出物、緑茶抽出物、ティーツリー油、甘草抽出物、バチルアルコール(α-オクタデシルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(α-9-オクダデセニルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(α-ヘキサデシルグリセリルエーテル)、パンテノール、アラントイン、カフェインまたは他のキサンチン、グリシルリジン酸およびその誘導体、およびそれらの混合物である。
【0072】
使用される酸化防止剤は、化粧品としての適用および/または皮膚適用に好適であるかまたは通常使用される、あらゆる酸化防止剤であり得る。好適な酸化防止剤は、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびそれらの誘導体、D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンおよびそれらの誘導体(例えばアンセリン)等のペプチド、カロテノイド、カロテン(例えばα-カロテン、β-カロテン、リコピン)およびそれらの誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、およびそれらのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、および極低耐量(例えばpmol〜μmol/kg)でのスルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシミン)、また(金属)キレート剤(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびそれらの誘導体、ユビキノンおよびユビキノールならびにそれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、Mg-リン酸アスコルビル、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えば、ビタミンEアセテート)、およびベンゾインのコニフェリルベンゾエート、ルチン酸およびその誘導体、フェルラ酸およびその誘導体、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク樹脂酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えば、セレンメチオニン)、スチルベンおよびそれらの誘導体(例えば、スチルベン酸化物、トランス-スチルベン酸化物)、ならびに、本発明において好適な前記の活性成分の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)よりなる群から有利に選択される。
【0073】
本発明の組成物に使用し得る、好適な皮膚軟化剤としては、例えば、ドデカン、スクアレン、コレステロール、イソヘキサデカン、イソノニルイソノナノエート、PPGエーテル、ワセリン、ラノリン、ベニバナ油、ヒマシ油、ココナッツ油、綿実油、パーム核油、パーム油、ピーナッツ油、大豆油、ポリオールカルボン酸エステル、それらの誘導体等、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0074】
好適な浸透促進剤の例としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アラントイン、ウラゾール、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、デシルメチルスルホキシド、ポリエチレングリコールモノラウレート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノラウレート、グリセロールモノラウレート、レシチン、1-置換アザシクロへプタン-2-オン、特に1-n-ドデシルシクロアザシクロへプタン-2-オン、アルコール、グリセリン、ヒアルロン酸、トランスクトール等、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ある油成分(例えば、ある植物油、例えば、ベニバナ油、綿実油およびコーン油等)もまた、浸透促進性を示し得る。
【0075】
微生物汚染を防ぐために好適な保存料の例は、アルキルパラベン、特にメチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベン;安息香酸ナトリウム;ブチル化ヒドロキシトルエン;ブチル化ヒドロキシアニソール;エチレンジアミン四酢酸;クロロブタノール;ベンジルアルコール;フェニルエチルアルコール;デヒドロ酢酸;ソルビン酸;ソルビン酸カリウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウムおよびそれらの混合物である。一般的に使用される保存料の量は、選択された保存料により変わる。
【0076】
さらなる可溶化剤の例は、例えば、以下の群の少なくとも一つからの非イオン性界面活性剤である:線状C8-C22脂肪アルコール、C12-C22脂肪酸およびアルキル基中に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノール上への、1〜30モルのエチレンオキシドおよび/または0〜5モルのプロピレンオキシドの付加生成物;アルキル基中に8〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、およびそれらのエトキシ化類似体;ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油への1〜15モルのエチレンオキシドの付加生成物;ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油への15〜60モルのエチレンオキシドの付加生成物;12〜22個の炭素を含有する不飽和または飽和の線状または分枝状脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を含有するヒドロキシカルボン酸による、グリセロールおよび/またはソルビタンの部分エステル、およびその1〜30モルのエチレンオキシド付加生成物;アルコキシル化グリセリドおよびアルコキシル化グリセリンの混合物、ポリグリセロール(平均自己縮合度2〜8)の部分エステル、ポリエチレングリコール(重量平均分子量400〜5000)、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えばメチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)および、12〜22個の炭素を含有する飽和および/または不飽和の線状または分枝状脂肪酸および/または3〜18個の炭素を含有するヒドロキシカルボン酸を有するポリグルコシド(例えばセルロース)およびその1〜30モルのエチレンオキシド付加生成物;ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステル、および/または、6〜22個の炭素を有する脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール、好ましくはグリセロールまたはポリグリセロールの混合エステル;モノ-、ジ-およびトリアルキルホスフェート、およびモノ-、ジ-および/またはトリ-PEGアルキルホスフェートおよびそれらの塩;ブロックコポリマー、例えばポリエチレングリコール-30ジポリヒドロキシステアレート;高分子乳化剤;ポリアルキレングリコールおよびアルキルグリセリルエーテル。特に好ましい可溶化剤は、ラウリル、ミリスチル、セチル(パルミチル)、ステアリル、オレイル、およびリシノレイルアルコール等の線状C8-C22脂肪アルコール上への、1〜30モルのエチレンオキシドおよび/または0〜5モルのプロピレンオキシドの付加生成物、またはセトステアリルアルコールまたはパルミトレイルアルコール等のそれらの工業銘柄の混合物である。
【0077】
濃化剤または増粘剤は、一般に液体医薬組成物を濃化するために含まれてもよい。あらゆる好適な増粘剤が本発明の組成物に含まれ得るが、使用される場合、好ましい増粘剤としては、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウムまたはナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、グリセリン、ゼラチングアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、炭酸プロピレン、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、スターチトラガカント、およびキサンタンガム、およびそれらのあらゆる組み合わせの1つ以上が挙げられる。より好ましい増粘剤は、グリセリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびキサンタンガム、およびそれらのあらゆる組み合わせである。
【0078】
湿潤剤(表面張力を低下させることによって液体の拡散特性および浸透特性を増す化学物質)の例としては、塩化ベンザルコニウム等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の、非イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび油(ポリオキシエチレン(6)カプリル酸/カプリン酸モノ-およびジグリセリド等)、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油;ポリソルベート20およびポリソルベート80等の、ポリオキシエチレンソルビタンエステル;ラウリン酸(laureate)プロピレングリコール等の、プロピレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸グリセリル等の、グリセリル脂肪酸エステル;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテートおよびソルビタンモノステアレート等のソルビタンエステル;グリセリル脂肪酸エステル、例えばグリセリルモノステアレート;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤;または、オレイン酸、オレイン酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミン等の、脂肪酸およびそれらの塩;の1以上が挙げられる。
【0079】
以下の実施例は、当業者に、本発明の十分に明確で完全な説明を提供するために与えられるが、本説明の前述部分に記された通り、本発明の主題の本質的様相を制限するものとして解釈するべきではない。
【実施例】
【0080】
実施例1-12
本発明による組成物を、表1に示した通り調製した(組成物の総重量基準の重量%)。
【0081】
【表1】
【0082】
前記の組成物を、以下の方法で製造した。
1)尿素、ポリソルベート80、プロピレングリコール、エタノール、水およびpH調整剤を混合した。
2)該成分を60℃に加熱し、均一で透明な溶液が得られるまで、撹拌しながら溶解した。
3)テルビナフィンを混合物に、溶解するまで添加した。
4)ヒアルロン酸ナトリウムを、均質化しながらバッチに移した。
5)バッチを、緩やかな撹拌下、30℃に冷却した。
【0083】
実施例11の物理的安定性を、安定性チャンバー中、5℃および周囲相対湿度(RH)条件で12週間の期間、評価した。
【0084】
実施例11の粘度よびpH値は、5℃および周囲相対湿度(RH)での12週間後、初期値から、統計的に有意な偏差は見られなかった。
【0085】
実施例13-14
本発明による組成物を、表2に示した通り調製した(組成物の総重量基準の重量%)。
【0086】
【表2】
【0087】
前記の組成物を、以下の方法で製造した。
1)セテアリルアルコール、ステアリン酸、中鎖トリグリセリドをステンレス製容器に加えた。該成分を70℃に加熱し、撹拌しながら溶解した(油相)。
2)硫酸セテアリル、尿素、ポリソルベート80、プロピレングリコール、水およびpH調整剤を混合し、70℃に加熱した。次に、テルビナフィンを、完全に溶解するまで添加した(水相)。
3)油相および水相を均質化しながら混合した。
4)ヒアルロン酸ナトリウム/キサンタンガムを、均質化しながらバッチに移した。
5)バッチを、緩やかな撹拌下、30℃に冷却した。
【0088】
これらの製剤は、爪への良好な浸透性および透過性を示し、爪板への正確な投与および強力な接着が可能である。
【0089】
実施例15-17
本発明による組成物を、表3に示した通り調製した(組成物の総重量基準の重量%)。
【0090】
【表3】
【0091】
前記の組成物を、以下の方法で製造した。
1)尿素、ポリソルベート80、プロピレングリコール、エタノール、水およびpH調整剤を混合した。
2)該成分を60℃に加熱し、均一で透明な溶液が得られるまで、撹拌しながら溶解した。
3)テルビナフィン塩酸塩を混合物に、溶解するまで添加した。
4)キサンタンガム/ポリエチレングリコールを、均質化しながらバッチに移した。
5)バッチを、緩やかな撹拌下、30℃に冷却した。
【0092】
実施例15〜17の物理的安定性を、安定性チャンバー中、5℃および25℃で、相対湿度(RH)60%の条件で、12週間の期間、評価した。
【0093】
実施例15〜17の粘度よびpH値は、5℃および25℃、相対湿度(RH)60%での12週間後、初期値から、統計的に有意な偏差は見られなかった。
【0094】
説明した医薬組成物の本質的様相に影響せず、これを変更、変換または修正しない改良は、本発明の範囲に包含される。
【国際調査報告】