(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-516523(P2015-516523A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(54)【発明の名称】擁壁
(51)【国際特許分類】
E02D 17/18 20060101AFI20150515BHJP
E02D 29/02 20060101ALI20150515BHJP
【FI】
E02D17/18 A
E02D29/02 302
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-511936(P2015-511936)
(86)(22)【出願日】2012年5月14日
(85)【翻訳文提出日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】EP2012058947
(87)【国際公開番号】WO2013170879
(87)【国際公開日】20131121
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA
(71)【出願人】
【識別番号】511226524
【氏名又は名称】ファウ・エス・エル・インターナツイオナール・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】クスマ・スルヤ
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ・アンドレアス
【テーマコード(参考)】
2D044
2D048
【Fターム(参考)】
2D044CA03
2D048AA12
(57)【要約】
強化された土壌のための土止め要素(1)を成型するための形成具組立体。固定凹部(2)は、土壌強化ストリップが輪を作れるように凹部の後面内に成型される。固定凹部(2)は各々、凸状の内側面と凹状の外側面を有するループチャネル(10)として形成されており、それらの内の少なくとも一つは、凹部(2)の最深部分から後面(5)に向かって増大する曲率半径を有する。さらに、着脱可能な空所の形成具とこのような土止め要素(1)を成型するための方法も記載されている。チャネルの面の曲率半径の変化と、空所の形成具の回転運動と並進運動を引上げる通路のために、チャネル(10)は、互いに接近した開口部(3,4)によって、着脱可能な空所の形成具を使用できた従来のものに比べて深く成型することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土止め要素(1)の成型時に、成型土止め要素(1)のほぼ平坦な後面(5)において、ストリップの固定チャネル(10)を形成するために成型材料を移動させるための着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)であって、
土止め要素成型部で連続的に成型される、ほぼ円柱形あるいはほぼ楕円柱形のコア要素(8)の周囲の、後面における第一のチャネル開口部(3)と後面における第二のチャネル開口部(4)の間のほぼ弧状の通路をストリップ(7)がたどるように、土止め要素が、チャネル(10)を通って通過された可撓な強化ストリップ(7)により安定化される埋め戻し材を土止めるためにあり、
着脱可能なチャネルの空所の形成具組立体(31,32,34)が、
第一の空所の形成具(31)であって、チャネル(10)の第一の部分を形成するために成形され、第一の部分が、チャネル(10)内の、第一のチャネル開口部(3)と中間位置(15)の間で延びている、第一の形成具(31)と、
第二の空所の形成具(32)であって、チャネルの第二の部分を形成するために成形され、第二の部分が、第二のチャネル開口部(4)と中間位置(15)の間で延びている、第二の空所の形成具(32)と、
土止め要素(1)の成型時に適所で第一及び第二の形成具(31,32)を支持するための支持手段(34,35)と、
成型土止め要素(1)のチャネル(10)から回転の引上げ方向(51)でコア要素(8)を中心にして第一および/または第二の空所の形成具(31,32)を回転させて移動させるための引上げ移動手段(46,47,48)とを備えている着脱可能なチャネルの空所の形成具組立体において、
前記引上げ移動手段(46,47,48)が、回転の引上げ方向(51)でコア要素(8)を中心にして第一及び第二の形成具(31,32)を回転させて移動させることに加えて、直線の引上げ方向(52)に沿った第一のおよび/または第二の空所の形成具の直線の並進移動を可能にすることに適合していることを特徴とする着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)。
【請求項2】
第一(31)および/または第二(32)の空所の形成具が、回転移動(51)と並進移動(52)の組合せだけにより、成型土止め要素(1)から引き上げられるように、引上げ移動手段および/または第一(31)及び第二(32)の空所の形成具が設計されていることを特徴とする請求項1に記載の着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)。
【請求項3】
直線の引上げ移動(52)が、後面(5)の平面に対して垂直な成分を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)。
【請求項4】
第一の空所の形成具が、第一の空所の形成具と第二の空所の形成具の間の機械式相互作用も実質的にないまま、成型土止め要素から引上げることができるように、支持手段(34,35)が、第二の空所の形成具(32)から第一の空所の形成具(31)を機械式に分離するための解放手段(34)を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)。
【請求項5】
引上げ方向に沿った第一の空所の形成具(31)の並進移動(52)が、第二の空所の形成具(32)に対する並進移動(52)でもあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)であって、
第一の空所の形成具(31)が、ほぼ円筒形あるいはほぼ楕円筒形に湾曲した楔形状の部分を備えており、この楔形状の部分が、
−コア要素(8)の凸状のコア面領域(12)を形成するための凹状の形成具面領域(41)であって、この凸状のコア面領域(12)が、後面(5)から離間するように面法線を有するコア要素(8)の面の部分である、凹状の形成具面領域(41)と、
−チャネル(10)の凹状のチャネル面領域(13)を形成するための凸状形成具面領域(42)であって、この凹状のチャネル面領域(13)が、凸状のコア面領域(12)に面するチャネル(10)の面の部分である、凸状の形成具面領域(42)と、
−第二の空所の形成具(32)の対応する末端部(43,44,45)と協働するための末端部(43,44,45)とを備え、
−凹状の形成具面領域(41)の曲率半径(22)が、末端部(43,44,45)から離間する方向で、凹状の形成具面領域(41)の少なくとも大部分に沿って変化し、および/または
−凸状の形成具面領域(42)の曲率半径(18)が、末端部(43,44,45)から離間する方向で、凸状の形成具面領域(42)の少なくとも大部分に沿って変化することを特徴とする着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)。
【請求項7】
−凹状の形成具面領域(41)の曲率半径が、末端部(43,44)から離間する方向で凹状の形成具面領域(41)の少なくとも大部分に沿って減少し、あるいはほぼ一定であり、および/または
−凸状の形成具面領域(42)の曲率半径が、末端部(43,44)から離間する方向で凸状の形成具面領域(42)の少なくとも大部分に沿って増大し、あるいはほぼ一定であることを特徴とする請求項6に記載の着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)。
【請求項8】
引上げ移動手段は、レバーが回転引上げ方向(51)に第一の空所の形成具(31)を押進めるために使用できるように、レバーと係合するためのレバー係合手段(46)を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)。
【請求項9】
第一(31)および第二(32)の形成具の少なくとも一方の凹状の形成具面領域(41)は、回転移動(51)がコア要素(8)の容積、あるいはチャネル(10)の空所、あるいは成型物であるパネル(1)を通過する回転軸線(53)を有するように成形されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)。
【請求項10】
第一および第二の空所の形成具の一方あるいは両方が、二つあるいはそれより多くの形成具要素(31a,31b,32a,32b)、および二つあるいはそれより多くの形成具要素(31a,31b,32a,32b)を一緒に連結するための、一つあるいはそれより多くの形成具要素連結手段(49)を備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の着脱可能な空所の形成具組立体(31,32,34)。
【請求項11】
土止め要素(1)の成型時に、成型土止め要素(1)の後面(5)内のストリップの固定チャネル(10)を成型するための方法であって、
土止め要素成型部で連続的に成型される、ほぼ円柱形あるいは楕円柱形のコア要素(8)の周囲の、後面(5)における第一のチャネル開口部(3)と後面における第二のチャネル開口部(4)の間のほぼ弧状の通路をストリップ(7)がたどるように、土止め要素(1)が、チャネル(10)を通って通過する可撓な強化ストリップ(7)により安定化される埋め戻し材を土止めるためにあり、この方法が、
土止め要素(1)のチャネル成型位置に、請求項1〜9のいずれか一つに記載の着脱可能なチャネルの空所の形成具組立体(31,32,34)を配設する取付け工程と、
成型材料との接触部から第一の空所の形成具を解放するために、第一の空所の形成具(31)を十分回転させる引き離し工程と、
コア要素(8)を中心にして第一の空所の形成具(31)の回転移動(51)を備えた引上げ工程を備えており、
引上げ工程が、回転移動(51)に加えて、第一の空所の形成具(31)の並進移動(52)を含んでおり、並進移動(52)が、後面(5)に対して垂直な方向成分を備えていることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記方法が、第一(31)および第二(32)の空所の形成具を互いに機械式に分離するための解放手段(34)を作動する解放工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
並進移動(52)が、後面(5)から離間する直線方向に沿った、第一(31)と第二(32)の形成具の間における相対移動を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
回転移動(51)が、回転軸線(53)を中心にした回転を備え、この回転軸線が土止め要素(1)の本体を通過し、あるいはコア要素(8)を通過し、あるいはチャネル(10)の空所を通過することを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
土止め要素(1)のほぼ平坦な後面(5)内の凹部チャネル(10)を通って可撓な強化ストリップ(7)を保護することにより、安定化された土木構造体を土止めるための土止め要素(1)であって、
強化ストリップ(7)が、後面(5)の第一の開口部(3)から、チャネル(10)を通って、コア要素(8)の周囲を取巻いて、後面(5)の第二の開口部(4)まで、チャネル(10)を通過できるように、チャネル(10)は、ほぼ円筒形あるいはほぼ楕円筒形のコア要素(8)の周囲のほぼ弧状の通路に沿って走り、
成型チャネル型枠インサートを使用せずに、チャネル(10)の空所が、コア要素(8)の凸状のコア面領域とチャネル(10)の凹状のチャネル面の境界を定めるように、チャネル(10)は土止め要素(1)の本体内の成型された空所として形成されており、
外側のチャネル面(16)は、少なくとも一つの凹状のチャネル面領域(13)を備え、この凹状のチャネル面領域は、土止め要素(1)の本体内に、あるいはコア要素(8)内に、あるいはチャネル(10)の空所内にある曲率の中心(72)を有することを特徴とする土止め要素(1)。
【請求項16】
チャネル(10)の内側面(11)が、曲率中心(71)を有する、少なくとも一つの凸状のチャネル面領域(12)を備え、前記曲率中心が、土止め要素(1)の本体内に、あるいはコア要素(8)内に、あるいはチャネル(10)の空所内にあることを特徴とする請求項15に記載の土止め要素(1)。
【請求項17】
土止め要素(1)の成型材料と隣接して、成型コア形成インサートを使用せずに、コア要素(8)が成型されることを特徴とする請求項15または16に記載の土止め要素(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填式強化擁壁のための土止め要素、形成具、およびこのような土止め要素におけるストリップ固定チャネルを成型するための方法に関する。特に、しかしとは限らないが、本発明は、コンクリートの土止めパネル内のストリップ固定チャネルを成型するための再使用できる空所の形成具の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、壁の裏側に埋め戻される盛土材料あるいは岩質材料の体積を維持するために構成された、土止め壁の安定性を保証し、かつ土止め壁の横方向の動きを最小にするために使用できる。このような壁は、二つの異なる高さでの地面の領域を分離するために使用されるのが典型的である。
【0003】
埋め戻される材料は、強い、平らな帯状の、あるいは他の可撓なストリップ材料の全長を使用して固定される。埋め戻される材料は、土止め擁壁の裏側の空所が充填されるように、埋め戻される材料の連続した層に準備される。埋め戻される材料の次の層が加えられる場合に、ストリップが適所で保持され、ストリップ上の埋め戻しの土の累積重量により、埋戻しを強化し、かつ適所で擁壁を保持するための、ストリップと土壌の間の十分な摩擦が得られるように、ストリップは擁壁の後面に結び付けられ、次いで壁から離れるように張力をかけられ、そして地面にとめられる。
【0004】
擁壁あるいは土止め壁は、例えばパネルを土止めるプレキャストコンクリートから構成されていてもよく、各パネルは、その後面に幾つかの取付け点を備えている。これらの取付け点は、ループチャネルとして設計されていてもよく、従って維持ストリップは、パネルの後面の開口部内に供給され、パネル内部のチャネルを通って、パネルの後面の第二開口部から出ていくことができる。ループチャネル固定部が使用される場合、予備成型パネルは、ループチャネルが成型工程の一部として形成されるように空所の形成具を使用して成型される。平らな幅広なストリップが、チャネルを通って、かつこの適用例ではチャネルの「コア」と呼ばれるパネル容積の一部を巡って供給できるように、各ループチャネルは形成される。従って、この用語はパネルの体積のコア部分に対して使用され、ストリップがループチャネルを通って供給されるときにストリップはコアの周囲を通過する。壁と埋戻しが完全であると、パネルとストリップのあいだに作用する引張力を生むのはコアである。コアはパネル材料(例えばコア要素通過する補強材を備えた強化コンクリート)の隣接した部分であるのが典型的であるが、コアは異なる材料(例えば鋼あるいはカーボンファイバの円筒、あるいはパネルの本体のコンクリート内に成型されてもよい高密度のコンクリート)から構成されてもよい。
【0005】
強い固定点を提供するために、ループスルーチャネルは、できるだけ深いコアを有するパネルの容積内にできるだけ深く成型されるべきである。開口部から現れるストリップが、局部張力が安定するような埋戻し材料の重量により、過度な局部張力を受けないように、チャネルの二つの開口部はできるだけ互いに接近しているべきである。これに類似して、ストリップが張力を受けた際にコアと接触するストリップの部分にかかる局部応力の総量を最小にするために、コア要素の耐荷重性の内側面は、実行可能な限り大きな曲率半径を有し、かつ突出あるいは切れ目の無い平らな面を有するべきである。
【0006】
特許文献1には、土止めパネルの後面内に成型されたループチャネルを備えた予備成型された土止めパネルが記載されている。チャネルはコンクリート内に成型され、かつコンクリート内に残るプラスチックシェルのモールド形成具を使用して形成されている。一体成型用金型は成型時に在庫があり、かつ利用できなければならず、一体成型用金型は相当な余分な製造費がかかる。
【0007】
特許文献1に記載の従来の配設は、成型部であるパネルの体積の外側に設けられた共通のヒンジを中心に回転される二つの半形成具を備えている。各半形成具の内側および外側面は、チャネルの内側領域にわたり一定の曲率半径を有する。空所の形成具が、コンクリートと干渉せずに着脱可能であるためには、固定チャネルの外側(最大前方)面の曲率半径と固定チャネルの内側(最大後)面の曲率半径の間にヒンジ軸線が設けられており、結果として、形成されるチャネルの形状は、広いおよび/または浅いチャネル形状に限定される。特に、半形成具の内側面の形状に関する限定は、チャネル深さと開口部間の間隔の間の兼ね合いが悪いことである。さらにヒンジで取付ける構造は、必然的に形成具が大きくかつ重い。ヒンジ軸線はコンクリートの外側にあるのが必然的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5839855号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明に記載された発明の課題は、従来技術に固有の、先に挙げた及び他の問題を克服しようとすることである。特に、本発明は着脱可能な空所の形成具を提供することを目的としており、この空所の形成具はループチャネルを成型するために使用でき、このループチャネルは深くおよび/またはその開口部が従来技術の着脱可能な形成具に比べて互いに接近しているが、チャネルの内側面の大きい十分な曲率半径は、ストリップが過度の局所化された応力を受けないことを保証する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的で、本発明は、土止め要素の成型時に成型土止め要素のほぼ平坦な後面において、ストリップの固定チャネルを形成するために成型材料を移動させるための着脱可能な空所の形成具組立体を提供することを目的としており、土止め要素成型部で連続的に成型される、ほぼ円柱形あるいはほぼ楕円柱形のコア要素の周囲の、後面における第一のチャネル開口部と後面における第二のチャネル開口部の間のほぼ弧状の通路をストリップがたどるように、土止め要素が、チャネルを通って通過された可撓な強化ストリップにより安定化される埋め戻し材を土止めるためにあり、着脱可能なチャネルの空所の形成具組立体が、
第一の空所の成形具であって、チャネルの第一の部分を形成するために形づくられ、第一の部分が、チャネル内の、第一のチャネル開口部と中間位置の間で延びている第一の成形具と、
第二の空所の成形具であって、チャネルの第二の部分を形成するために形づくられ、第二の部分が、第二のチャネル開口部と中間位置の間で延びている第二の空所の成形具と、
土止め要素の成型時に適所で第一及び第二の形成具を支持するための支持手段と、
成型土止め要素のチャネルから回転の引上げ方向でコア要素を中心にして第一および/または第二の空所の形成具を回転させて移動させるための引上げ移動手段とを備えており、
前記引上げ移動手段が、回転の引上げ方向でコア要素を中心にして第一及び第二の形成具を回転させて移動させることに加えて、直線の引上げ方向に沿った第一のおよび/または第二の空所の形成具の並進移動を可能にすることに適合している。
【0011】
空所の形成具の回転と並進の引上げ移動の組合せを提供するための引上げ移動手段の配設により、鋳型インサートを必要とすることなく、かつチャネルあるいはチャネル開口部の幅を増大させることを必要とすることなく、より深いおよび/またはより狭いコア要素の成型を可能になる。コア要素のさらに変更された形状の成型も可能になる。
【0012】
本発明の空所の形成具組立体の変形によれば、第一及び第二の形成具が、回転移動と直線的並進移動の組合せにより成型土止め要素から引上げることだけができるように、引上げ移動手段および/または第一及び第二の形成具は構成されている。
【0013】
本発明の空所の形成具組立体の変形によれば、直線的引上げ移動部は、後面の平面に対して垂直な構成部材を備えている。直線的引上げ移動部は、後面の平面に対してほぼ垂直であってもよい。代替的に、直線的引上げ方向は、チャネルの所望の形状が成形型であることに依存して、垂直面から後面の平面に対して離間するように曲げられてもよい。
【0014】
本発明の空所の形成具組立体のさらなる変形によれば、第一の空所の形成具が、第一の空所の形成具と第二の空所の形成具の間の機械式相互作用も実質的にないまま、成型土止め要素から引上げることができるように、支持手段は、第二の空所の形成具から第一の空所の形成具を機械式に分離するための解放手段を備えている。本発明の空所の形成具組立体の別の変形によれば、さらに引上げ方向に沿った第一の空所の形成具の並進移動は、第二の空所の形成具に対する並進移動でもある。一方の空所の形成具を他方の空所の形成具とは独立して引上げることができることにより、着脱可能な空所の形成具組立体により成型可能である形状の種類をかなり増やし、さらにより深いおよび/またはより狭いコア要素で凹部を成型することもできる。
【0015】
本発明の空所の形成具組立体の別の変形によれば、第一の空所の形成具は、円筒形あるいは楕円筒形に湾曲した楔形状の部分を備えており、この楔形状の部分が、
−コア要素の凸状のコア面領域を形成するための凹状の形成具面領域であって、この凹状の形成具面領域が、後面から離間するように垂直に向けられた面を有するコア要素の面の部分であるような凹状の形成具面領域と、
−チャネルの凹状のチャネル面領域を形成するための凸状形成具面領域であって、この凹状のチャネル面領域が、凸状のコア面領域に面するチャネルの面の部分であるような凸状の形成具面領域と、
−第二の空所の形成具の対応する末端部と協働するための末端部とを備え、
−凹状の形成具面領域の曲率半径が、末端部から離間する方向で、凸状の形成具面領域の少なくとも大部分に沿って変化し、および/または
−凸状の形成具面領域の曲率半径が、末端部から離間する方向で、凹状の形成具面領域の少なくとも大部分に沿って変化する。
【0016】
凹状および/または凸状の形成具面により成型されるべきコア要素を深くすることができ、結果として、コア要素の形状の種類はかなり多くなる。
【0017】
本発明の空所の形成具組立体の別の変形によれば、凹状の形成具面領域の曲率半径は減少し、あるいは末端部から離間する方向で凹状の形成具面領域の少なくとも大部分に沿ってほぼ一定のままであり、および/または凸状の形成具面領域の曲率半径は増大し、あるいは末端部から離間する方向で凹状の形成具面領域の少なくとも大部分に沿ってほぼ一定のままである。曲率半径がこのように増大するおよび/または減少することにより、成型部からの空所の形成具引上げの難度を増すことなく、成型されるべきチャネルあるいはコア要素をより深くすることができる。凹状の形成具面領域と凹状の形成具面領域の一方あるいは両方がほぼ一定のままであると、凸状の形成具面領域の曲率半径は、凹状の形成具面領域の曲率半径よりもかなり大きいが、小さい長所を得ることができる。すなわちチャネルあるいはコア要素はより深い。しかし、成型部からの空所の形成具引上げの難度を増すことはない。
【0018】
本発明の空所の形成具組立体の別の変形によれば、引上げ移動手段は、レバーが回転引上げ方向に第一の空所の形成具を押進めるために使用できるように、レバーと係合するためのレバー係合手段を備えている。レバーは空所の形成具として形成されるか、あるいは個別のレバーは空所の形成具を挿入するかあるいは空所の形成具と係合するために使用されてもよい。このようにして、空所の形成具の構造単純化することができ、空所の形成具組立体はより軽量にかつ単純になる。
【0019】
本発明の空所の形成具組立体の別の変形によれば、第一および第二の成形具の少なくとも一方の凹状の形成具面領域は、回転移動がコア要素の容積、あるいはチャネルの空所、あるいは成型物であるパネルを通過する回転軸線を有するように成形されている。
【0020】
回転移動通路を決定するためのヒンジが無いことにより、空所の形成具は、例えばレバーを使用して、コア要素を中心にして空所の形成具を回転させることにより引上げることができ、このことはチャネル開口部が著しく接近した状態で成型することができることを意味する。
【0021】
本発明の空所の形成具組立体の別の変形によれば、第一および第二の空所の成形具の一方あるいは両方共、二つあるいはそれより多くの形成具要素、および、二つあるいはそれより多くの形成具要素を一緒に連結するための、一つあるいはそれより多くの形成具要素連結手段を備えている。さらに、空所の形成具を構成するために複数の要素を一緒にヒンジで取付けるかあるいは別のやり方で連結することにより、着脱可能な空所の形成具を用いて成型できるチャネルの形状の範囲は拡張する。
【0022】
さらに本発明は、土止め要素の成型時に、成型土止め要素の後面内のストリップ固定チャネルを成型するための方法であって、土止め要素成型部で連続的に成型される、ほぼ円柱形あるいは楕円柱形のコア要素の周囲の、後面における第一のチャネル開口部と後面における第二のチャネル開口部の間のほぼ弧状の通路をストリップがたどるように、土止め要素が、チャネルを通って通過された可撓な強化ストリップにより安定化される埋め戻し材を土止めるためにあり、この方法が、
土止め要素のチャネル成型位置に、先に記載されたような着脱可能なチャネルの空所の形成具組立体を配設する取付け工程と、
成型材料との接触部から第一の空所の形成具を解放するために、第一の空所の形成具を十分回転させる引き離し工程と、
コア要素を中心にして第一の空所の形成具の回転移動を備えた引上げ工程を備えており、
引上げ工程が、回転移動に加えて、第一の空所の形成具の並進移動を含んでおり、並進移動が、後面に対して垂直な方向成分を備えている方法に関する。
【0023】
本発明の方法の変形によれば、方法は、第一および第二の空所の形成具を互いに機械式に分離するための解放手段を作動する解放工程を含む。これまで論じてきたように、独立して解放可能でかつ引上げ可能な空所の形成具を使用すると、この方法を使用して成型可能な形状の範囲は増大する。
【0024】
本発明の方法の別の変形によれば、並進移動は、後面に対してほぼ垂直な方向に沿った、第一と第二の形成具の間における相対移動を含む。
【0025】
本発明の方法の別の変形によれば、回転移動は回転軸線を中心にした回転を備え、この回転軸線は土止め要素の本体を通過し、あるいはコア要素を通過し、あるいはチャネルの空所を通過する。
【0026】
さらに本発明は、土止め要素のほぼ平坦な後面内の凹部を設けられたチャネルを通って、可撓な強化ストリップを保護することにより、固定された土木構造体を土止めるための土止め要素であって、
強化ストリップが、後面の第一の開口部から、チャネルを通って、コア要素の周囲を取巻いて、後面の第二の開口部まで、チャネルを通過できるように、チャネルは、ほぼ円筒形あるいは楕円筒形のコア要素の周囲のほぼ弧状の通路に沿って走り、
成型チャネル型枠インサートを使用せずに、チャネルの空所が、コア要素の凸状のコア面領域とチャネルの凹状のチャネル面の境界を定めるように、チャネルは土止め要素の本体内の成型された空所として形成されており、
外側のチャネル面は、少なくとも一つの凹状のチャネル面領域を備え、この凹状のチャネル面領域は、土止め要素の本体内に、あるいはコア要素内に、あるいはチャネルの空所内にある曲率の中心を有する。
【0027】
本発明の成型土止め要素の変形によれば、土止め要素の成型材料と隣接して、成型コア形成インサートを使用せずに、コア要素が成型される。
【0028】
この適用例において、平らな土止めパネルの実例は本発明を説明するために使用される。しかし、本発明が湾曲しているか輪郭を描かれた土止め要素に適用されてもよいことが理解される。土止め要素の後面は例えばリブあるいは他の面を備えていてもよく、「後面に対して平行な」のような表現は、輪郭を描いた後面の一般的な平面、あるいは必要に応じて湾曲した後面の平面の局所近似に関すると理解される。請求項にある発明の範囲は、このような湾曲したあるいは輪郭を描いた変形を含むことを意図している。さらに本発明とその長所は、実施例の説明および添付の図に示された実施図と協働しながら、以下の記述の中で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第一の実施例による土止め要素の一例を示す。
【
図3】本発明に関連した
図2とは別の幾何学的原理を示す。
【
図4】本発明の第一の実施例による土止め要素のためのループチャネルの概略横断面図を示す。
【
図5】本発明の第一の実施例による土止め要素のためのループチャネルを形成するための空所の形成具組立体の概略横断面図を示す。
【
図6】本発明の第一の実施例による土止め要素を形成するための空所の形成具の一つの正投影図を示す。
【
図7】本発明の第一の実施例による土止め要素を形成するための空所の形成具の別の正投影図を示す。
【
図8】本発明の第一の実施例による土止め要素を形成するための空所の形成具のさらに別の正投影図を示す。
【
図10】本発明の第一の実施例による別の例の形成具の配設を示す。
【
図11】
図10の形成具の配設を使用して形成できる土止め要素のための更なるループ機構のチャネルの概略横断面図を示す。
【
図12】本発明の第二の実施例による土止め要素を成型するための実例的空所の形成具の配設を示す。
【
図13】
図12に示した空所の形成具の配設の第一の引上げ工程を示す。
【
図14】
図12に示した空所の形成具の配設の第二の引上げ工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を、図を参照しながら詳細に説明する。図は本発明の実施例の説明としてだけを目的としており、かつ本発明の範囲を制限するものとしては説明されるべきではないことにもふれておく。異なる図で同じ参照符号が付かわれている場合、これらの参照符号は同じかあるいは相当する物を指すようになっている。
【0031】
図1は後面5においてストリップを固定する四つの凹部2を備えた土止め要素あるいは土止めパネルの一例を示す。固定する凹部2は各々、チャネルコア8の周囲を第一の開口部3から第二の開口部4まで延びているチャネル10を備えている。土止め要素1は、剛体の、前面6と後面5と厚さ9を有するほぼ直線構成の形状として示してある。凹部2は土止め要素1の本体の厚さ9の内部に形成され、かつコア要素8が横(厚さ)方向9にできるだけ深い(そして従ってできるだけ強い)ことを保証するために、厚さ9の半分以上を通って延びていてもよい。
【0032】
図2と3は、本発明の複数の実施例を説明するためのこの適用例に使用される幾つかの概念と特徴を説明する。各図において、弧状のチャネル10は土止め要素1に示してある。チャネル10は外側面16とコア要素8の周囲に形成された内側面11を備えている。従ってチャネル10の内側面11は、コア要素8の外側面でもある。各チャネル10は、土止めパネル後面5における開口部3と4に面している。軸線Aも土止め要素1に対してほぼ垂直に示してある。
【0033】
図2と3に示したチャネル10は、説明をし易くするために、ほぼ一定の曲率半径を備えている。各々の場合の外側面16の曲率の中心は、参照符号73で示してあるが、内側面11の曲率の中心は、参照符号23で示してある。参照符号53は、各々の場合にチャネル10を成型するために使用される形成具の引上げ回転の軸線を示す。
図2において、参照符号83は形成具の回転軸線を示しており、この場合、先に取上げた従来技術の形成具組立体の場合と同様に、回転軸線83は成型されるべき土止めパネル1の体積部の外側にある。従来技術の形成具組立体を使用して、
図2と3に示したチャネル形状を成型することは可能ではない。その理由は、形成具を引上げるための試みが行われる際に、形成具がコンクリートと干渉するからである。
【0034】
チャネル10の内側面及び外側面11と16の回転中心23と73の間に回転中心53を配置することにより、形成具が成型土止め要素から引上げられる際に、形成具は硬化した成型材料を使用して干渉せずに回転できることを保証することが可能である。この配置の二つの変形を
図2と3に示してある。
【0035】
しかし、形成具のヒンジの回転中心83が、土止め要素1の体積部の内側にあるように移動されるように、従来技術の形成具組立体に合わせることは可能ではない。従って、形成具の新しい配設が提案されてきており、この形成具の新しい配設を
図4〜14に関して説明する。特に、この適用例に記載された形成具組立体は複数の形成具要素を備えており、これらの形成具要素は、回転中心53を中心にした両回転により、そして後面から遠ざかる並進運動により、例えば軸線Aに対して平行に、あるいは軸線Aに対してほぼ平行に引上げられてもよい。
【0036】
図4に示した凹部チャネル10は、土止め要素1の後部5からほぼ前面6へと延びている。
図4の例において、コア要素8は、土止め要素1の後部5の平面において、平坦面5’を備えた、ほぼ円筒形である。しかし、コア要素8が他の形状の横断面により形成できることも認識すべきである。用語「円筒形」と「楕円柱形」は、この適用例では、様々な横断面を備えた形状の系統に関しているが、その横断面は、強化ストリップ7と接触するように設計されているコア要素8の全長の少なくとも一部にわたりほぼ一定である。
【0037】
図4は
図3に描写したチャネル10に類似のチャネル10を示す。この場合、チャネルの内側面11と外側面16は、少なくともそれらの面の一部にわたり変化する曲率半径を有する。強化ストリップ7は、第一の開口部3を通り、チャネル10を通るコア要素8の周りで、第二の開口部4で再度外へ通過するように示してある。この第一の実施例におけるチャネル10は、内側面11を備えており、この内側面の少なくとも一つの前方に面した部分12はストリップ7と接触しており、かつ変化する曲率半径18を備えている。特に、前方に面した内側面12の曲率半径18は、コア要素8の末端点に関する点14から、後面5に向かって、増大する角度αでもって、面11、12の前方に面する部分12の全体あるいはほとんどにわたり減少するのが有利である。前方に面する部分12とは、後面5に対して通常の平行な、あるいは後面から離間するように向いた面を有する、コア要素8の内側面11の一部である。この適用例において、剛体の物体に対して垂直な面は一般的に剛体の物体から離間するように向けられるように理解される。
【0038】
コア要素8の形状は中心線Aに対して対称であるように示してあり、前方に向いた面12もAに対して対称であると仮定して、曲率半径の変化の記載は、中心線Aの一方の側の面で言及する。しかし、コア要素8が軸線Aに対して非対称であってもよく、この場合に、曲率半径の変化がAのいずれか一方の側で異なるパターンに続くことも注意すべきである。従って、特別な点での面の部分12の曲率半径18は、参照符号71で示した曲率の中心を定義する。
【0039】
この描写において、チャネルの外側面の曲率半径22は、(チャネルの外側面16の凹状の、後面に向いた部分13に関する)少なくとも参照符号13で示した部分においては、増大する角度βにつれてほとんど変化しない。従ってこの場合、外側面の部分13は、参照符号72で示した単一の曲率半径を有する。しかし、大きなコア深さを達成するために、それと同時にさらに形成具要素を容易に引上げることができるように、曲率半径22は角度βにつれて変化してもよい。コア要素8の主軸線は17で示してあり、おおむねコア要素8の中心軸線である。23と73は、コア要素8の内側面の後方に面した部分の、各々中心および曲率半径を示す。20は後面5に対して平行で、かつコア要素8の主軸線17に対して垂直な方向で測定された、コア要素の最大幅の点におけるコア要素8の幅を示す。参照符号9は後面5と主軸線17の両者に対して垂直な方向で測定された、コア要素8の深さを示す。参照符号21は後面5の平面において第一および第二の開口部3と4の間の離れた距離を示す。ストリップ7の二つの現出部分が大重量の土で覆われており、従って互いに向かって押合っている場合に、ストリップ上の両端の局所化された応力が最小に維持されており、その一方で、横方向の負荷(ストリップの張力)を支持するためにコア要素8に適切な強度を与えるための、コア要素の十分な幅20をさらに維持するように、分離距離21を最小にすることが有利である。
【0040】
要約すると、チャネルの凸状の内側面12と凹状の外側面13の一方あるいは両方が曲率半径を有しており、この曲率半径が、一般的に、各面の少なくとも一部にわたり、後面に向かう方向に凹部の最深部分から変化する(すなわち減少するあるいは増大する)ように、チャネル10は形成されてもよい。曲率半径がこのように変化するので、チャネルの中心コアは、着脱可能な空所の形成具を使用して従来可能であった中心コアよりも、互いに接近した開口部により、深くかつ浅く成型できる。しかしこのような深くかつ狭いチャネルは、公知の着脱可能な空所の形成具を使用しても形成されず、従ってこのような凹部の成型することの従来の方法は、凹部が設定されるとコンクリート内に留まる鋳型を使用するためにあった。これは費用面で不都合な解決手段であり、従ってこのような鋳型のインサートを用意することの不都合さと費用がかかることに頼ることなく、深くて狭い凹部チャネル10を成型する方法のための必要性がある。
【0041】
図5〜9は、空所の形成具組立体を示しており、この形成具組立体は本発明の第一の実施例によれば、先に説明したような深いおよび/または狭い凹部を成型するために使用することができる。形成具組立体は空所の形成具31と32を備えており、支持手段34、35により成型するために適所に保持される。二つの空所の形成具31と32は湾曲した楔状分割体として成形されており、かつ楔状分割体の先端が鍵状部33を備えた、固定される面で接触し、それにより
図1〜4に関連してすでに記載された弧状のチャネル空所10の形状を定義している。以下に説明するように、支持手段がコア要素8の周囲で回転できるだけでなく、並進移動により成型コンクリート1から引上げることができるように、支持手段34は空所の形成具31と32を引上げることができることに適合している。支持手段34、35は、例えばブレース34として固定されてもよいクロスビーム機構を備えている。図示した例において、空所の形成具31と32がコンクリート土止め要素1の成型時に適所に保持されるように、ブレース34は、二つの空所の成形具31と32の先端要素47の間の剛体のスペーサ要素57を固定するために設計されたネジ棒55とナット56を備えている。次いでブレース34は、コンクリートが十分硬化すると空所の形成具31、32を解放することができる。このように解放され、空所の形成具31、32は、回転及び並進運動により成型コンクリートから引上げることができる。本発明の実施例のこの簡単な説明図において、第一および第二の空所の形成具は、各々一つの剛体要素であり、支持手段34,35は各々空所の形成具を保持もしくは解放するための簡単な強化あるいは固定装置を備えている。従って空所の形成具31、32を引上げるために、空所の形成具31、32は、各空所の形成具に初めに回転力を、次いで並進力をかけることにより引上げられる。例えば、引上げ移動手段は、各空所の形成具31、32の先端部分47に係合するための(図示していない)レバーであってもよい。代替あるいは付加的に、回転および並進方向に沿って空所の形成具31、32を押進めるための機構を、引上げ移動手段が備えていてもよい。このような機構は図には示してない。
【0042】
図6〜9は、
図5に示した空所の形成具31の様々な概略図を示す。空所の形成具31の湾曲した楔状分割体の形状は、
図7の側面図で、そして
図9の斜視図で明らかに見てわかる。
図6と8からわかるように、空所の形成具31の湾曲した楔状分割体の形状は、湾曲した楔状分割体の形状の厚さテーパに加えて、成型部から空所の形成具31を引上げるのを更に容易にするために頂部(より広い)から底部(より狭い)までの幅テーパを備えていてもよい。
【0043】
空所の形成具31の頂部は、ブラケット46,47,48の形状の引上げ移動手段を備えており、この引上げ移動手段は、空所の形成具に成型部から引上げるのに必要とされる回転および並進力を与えるために、レバーあるいは他の工具を係合させるための係合部分として使用される。ブラケット46,47,48は、
図5に関して記載されたように、空所の形成具31をその片割れ32に固定するためにも使用される。孔49は
図5のネジ棒55を収容するためのブラケット内に設けられている。別の孔46はレバーを挿入するために設けられており、例えば次いでコア要素8を中心にして空所の形成具31を回転させるために使用されてもよい。参照符号50は空所の形成具31の上側(後)部分を示しているが、参照符号41と42は、各々空所の形成具31の下側(前方)部分の内側及び外側面を示す。凹状の内側の下側面41は、
図4のコア要素8の後に向いた凸状面12を形成するが、凸状の外側の下側面は、
図4のチャネル10の外側に向いた凹状面13を形成する。鍵状部44と端部面43は、
図5に示した空所の形成具31と32の先端部33の連結部に相当する。
【0044】
図10は空所の形成具31と32がどのようにして成型部から引上げることができるかがシンボル表現で示している。空所の形成具31は、矢印51でおおよそ示した回転通路に沿ってコア要素8を中心にして回転され、かつ図示した実施例では土止め要素1の後面5に対してほぼ垂直である方向に沿って直線的に並進されているように示してある。
図10は二つの空所の形成具31,32の係合部材44と45を示しており、これらの係合部材は、成型部のチャネル10内の連続した空所を保証するために設計されている。
図10に示したように、二つの空所の形成具が回転あるいは並進により成型部から引上げられている際に、空所の形成具31,32のどちらも互いに干渉しないように、空所の形成具31,32は形成されていてもよい。
【0045】
図11は
図10のチャネル10とコア要素8を示す。
図11からわかるように、楔状に成形された空所の形成具を回転運動及び並進運動の両方により成型部から引上げることができる空所の形成具組立体の使用により、着脱可能な空所の形成具を使用している従来可能であったものに比べて、はるかに狭い開口部3と4を備えたチャネル10が得られる。狭い開口部3と4は、a)チャネル空所が小さい、すなわちこれは土止め要素1が凹部の領域において強いことを意味しており、b)(例えば保護カバーあるいは保護テープ使用している)裏込め材料がチャネル内に侵入するのを防ぐことが容易であるという二つの長所を有する。
【0046】
図12〜14は、本発明の第二の実施例による空所の形成具を示す。この実施例において、空所の形成具31,32の一方あるいが両方が、二つあるいはそれより多くの要素31aと31bあるいは32aと32bで形成されてもよく、二つあるいはそれより多くの要素は、機械式接合手段49を備えており、これらの接合手段により、空所の形成具31,32の二つあるいはそれより多くの要素31aと31bあるいは32aと32bは、成型部から空所の形成具を引上げる間、互いにヒンジで動くかあるいは別のやり方で動くことができる。接合手段49は、二つあるいはそれより多くの要素31aと31bあるいは32aと32bが、同じ回転あるいは並進移動で一緒に引上げられることも保証することができる。
【0047】
第一の実施例において、空所の形成具31,32は、支持手段34,35により適所に保持されており、形成具の先端は、例えば固定される係合する手段43,44を使用して係合される。
図13と14に示したように、ヒンジで取付けられるかあるいは別のやり方で接合される空所の形成具要素31aと31bあるいは32aと32bは、方向51にコア要素8を中心にして回転することができ、かつ次いで(この場合、土止め要素1の後面5に対して垂直な)直線方向52に並進運動により引上げることができる。接合されたあるいは別のやり方で接合された空所の形成具要素31aと31bあるいは32aと32bを使用することにより、二つの一体型の空所の形成具31,32を引上げる際の、
図10で目に見える可能な接続部分の大部分がなくされるので、チャネル10はさらに狭くされ、および/またはコア要素8はさらに狭くおよび/または深くされる。空所の形成具要素を接続している接合(あるいは複数の接合)は、
図12〜14に示したようなヒンジ49として、あるいはコードあるいはワイヤあるいはチェーンとして実施され、これらのヒンジは空所の形成具要素を一緒に保持するために使用することができ、次いで空所の形成具要素が引上げられる際に互いに曲がっても復元できるようにヒンジを十分解放することができる。
【0048】
空所の形成具31,32は、いずれの適切な剛性体のあるいは半剛性の材料から構成されていてもよい。有利な点では、空所の形成具は、金属のあるいは高密度プラスチックのあるいは繊維強化された材料のような耐摩耗性の材料から構成されていてもよい。
【国際調査報告】