(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
本発明は、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を発現するように操作された組換え宿主細胞において、脂肪酸生成物などの脂質を製造する方法に関する。組換え微生物は、非天然脱水素酵素遺伝子を発現しない微生物と比較して高い速度で増殖でき、脂質製造のために操作され、非天然脱水素酵素を発現する微生物の培養物は、非天然脱水素酵素遺伝子を含まない対照微生物の培養物よりも多くの脂質を製造する。
脱水素酵素が、アルデヒド脱水素酵素、メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素、非リン酸化グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素またはリンゴ酸酵素である、請求項1または請求項2のいずれかに記載の方法。
アルデヒド脱水素酵素が、配列番号4またはその活性断片に対して、少なくとも50%の配列同一性、好ましくは、少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の方法。
メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素が、配列番号18、配列番号19またはその活性断片からなる群に対して、少なくとも50%の配列同一性、好ましくは、少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の方法。
D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素が、配列番号2、配列番号29、配列番号15、配列番号16およびその活性断片からなる群に対して、少なくとも50%の配列同一性、好ましくは、少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の方法。
6−ホスホグルコン酸脱水素酵素が、配列番号10、配列番号11、配列番号13およびその活性断片からなる群に対して、少なくとも50%の配列同一性、好ましくは、少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の方法。
組換え微生物が、組換え光合成微生物、好ましくは、微細藻類、より好ましくは、アクナンテス属(Achnanthes)、アンフィプローラ属(Amphiprora)、アンフォラ属(Amphora)、アンキストロデスムス属(Ankistrodesmus)、アステロモナス属(Asteromonas)、ボエケロビア属(Boekelovia)、ボロジネラ属(Borodinella)、ボトリオコッカス属(Botryococcus)、ブラクテオコッカス属(Bracteococcus)、カエトセロス属(Chaetoceros)、カルテリア属(Carteria)、クラミドモナス属(Chlamydomonas)、クロロコッカム属(Chlorococcum)、クロロゴニウム属(Chlorogonium)、クロレラ属(Chlorella)、クロオモナス属(Chroomonas)、クリソスファエラ属(Chrysosphaera)、クリコスファエラ属(Cricosphaera)、クリプテコディニウム属(Crypthecodinium)、クリプトモナス属(Cryptomonas)、シクロテラ属(Cyclotella)、デュナリエラ属(Dunaliella)、エリプソイドン属(Ellipsoidon)、エミリアニア属(Emiliania)、エレモスファエラ属(Eremosphaera)、エルノデスミウス属(Ernodesmius)、ユーグレナ属(Euglena)、フランセイア属(Franceia)、フラギラリア属(Fragilaria)、グロエオサムニオン属(Gloeothamnion)、ヘマトコッカス属(Haematococcus)、ハロカフェテリア属(Halocafeteria)、ヒメノモナス属(Hymenomonas)、イソクリシス属(Isochrysis)、レポシンクリス属(Lepocinclis)、ミクラクチニウム属(Micractinium)、モノラフィジウム属(Monoraphidium)、ナノクロリス属(Nannochloris)、ナノクロロプシス属(Nannochloropsis)、ナビクラ属(Navicula)、ネオクロリス属(Neochloris)、ネフロクロリス属(Nephrochloris)、ネフロセルミス属(Nephroselmis)、ニツスチア属(Nitzschia)、オクロモナス属(Ochromonas)、オエドゴニウム属(Oedogonium)、オオサイスティス属(Oocystis)、オストレオコッカス属(Ostreococcus)、パブロバ属(Pavlova)、パラクロレラ属(Parachlorella)、パスケリア属(Pascheria)、ファエオダクチラム属(Phaeodactylum)、ファガス属(Phagus)、ピコクロラム属(Picochlorum)、プラチモナス属(Platymonas)、プレウロクリシス属(Pleurochrysis)、プレウロコッカス属(Pleurococcus)、プロトテカ属(Prototheca)、シュードクロレラ属(Pseudochlorella)、シュードネオクロリス属(Pseudoneochloris)、ピラミモナス属(Pyramimonas)、ピロボトリス属(Pyrobotrys)、スセネデスムス属(Scenedesmus)、スケレトネマ属(Skeletonema)、スピロギラ属(Spyrogyra)、スチココッカス属(Stichococcus)、テトラセルミス属(Tetraselmis)、タラシオシーラ属(Thalassiosira)、ビリジエラ属(Viridiella)およびボルボックス属(Volvox)からなる群から選択される微細藻類の種である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
組換え微生物が、ラン藻、好ましくは、アグメネルム属(Agmenellum)、アナバエナ属(Anabaena)、アナバエノプシス属(Anabaenopsis)、アナシスティス属(Anacystis)、アファニゾメノン属(Aphanizomenon)、アルスロスピラ属(Arthrospira)、アステロカプサ属(Asterocapsa)、ボルジア属(Borzia)、カロトリックス属(Calothrix)、カマエシフォン属(Chamaesiphon)、クロログロエオプシス属(Chlorogloeopsis)、クロコッシディオプシス属(Chroococcidiopsis)、クロコッカス属(Chroococcus)、クリナリウム属(Crinalium)、シアノバクテリウム属(Cyanobacterium)、シアノビウム属(Cyanobium)、シアノシスティス属(Cyanocystis)、シアノスピラ属(Cyanospira)、シアノセイス属(Cyanothece)、シリンドロスペルモプシス属(Cylindrospermopsis)、シリンドロスペルマム属(Cylindrospermum)、ダクチロコッコプシス属(Dactylococcopsis)、デルモカルペラ属(Dermocarpella)、フィッシェレラ属(Fischerella)、フレミエラ属(Fremyella)、ゲイトレリア属(Geitleria)、ゲイトレリネマ属(Geitlerinema)、グロエオバクター属(Gloeobacter)、グロエオカプサ属(Gloeocapsa)、グロエオセイス属(Gloeothece)、ハロスピルリナ属(Halospirulina)、イエンガリエラ属(Iyengariella)、レプトリンビア属(Leptolyngbya)、リムノスリックス属(Limnothrix)、リンビア属(Lyngbya)、ミクロコレウス属(Microcoleus)、ミクロキスティス属(Microcystis)、ミクソサルシナ属(Myxosarcina)、ノデュラリア属(Nodularia)、ノストック属(Nostoc)、ノストコプシス属(Nostochopsis)、オシラトリア属(Oscillatoria)、フォルミジウム属(Phormidium)、プランクトスリックス属(Planktothrix)、プレウロカプサ属(Pleurocapsa)、プロクロロコッカス属(Prochlorococcus)、プロクロロン属(Prochloron)、プロクロロスリックス属(Prochlorothrix)、シュードアナベナ属(Pseudanabaena)、リブラリア属(Rivularia)、シゾスリックス属(Schizothrix)、サイトネマ属(Scytonema)、スピルリナ属(Spirulina)、スタニエリア属(Stanieria)、スタリア属(Starria)、スティゴネマ属(Stigonema)、シンプロカ属(Symploca)、シネココッカス属(Synechococcus)、シネコシスティス属(Synechocystis)、サーモシネココッカス属(Thermosynechococcus)、トリポスリックス属(Tolypothrix)、トリコデスミウム属(Trichodesmium)、チコネマ属(Tychonema)またはゼノコッカス属(Xenococcus)からなる群から選択されるラン藻の種である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
脱水素酵素をコードする第1の非天然遺伝子を含む組換え微生物であって、脂質の製造に関与している酵素をコードする少なくとも第2の非天然遺伝子をさらに含み、酵素が、アシル−ACPチオエステラーゼ、アシル−CoAチオエステラーゼ、ヒドロキシベンゾイルチオエステラーゼ、脂質分解活性を有するポリペプチド、アシル−CoAシンセターゼ、アシル−CoAレダクターゼ、アシル−ACPレダクターゼ、カルボン酸レダクターゼ、ワックスシンターゼ、デカルボキシラーゼ、デカルボニラーゼ、GPAT、LPAAT、PAPおよびDGATからなる群から選択され、
脂質を製造し、
さらに、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を欠く、そうでなければ同一である微生物よりも高い成長および/または増殖速度を有する、組換え微生物。
脱水素酵素が、アルデヒド脱水素酵素、メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素、非リン酸化グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素またはリンゴ酸酵素である、請求項18に記載の組換え微生物。
アルデヒド脱水素酵素が、配列番号4またはその活性断片に対して少なくとも50%の同一性、好ましくは、少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の組換え微生物。
アルデヒド脱水素酵素が、配列番号18、配列番号19およびその活性断片からなる群に対して、少なくとも50%、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項22に記載の組換え微生物。
アルデヒド脱水素酵素が、配列番号2、配列番号29、配列番号15、配列番号16およびその活性断片からなる群に対して、少なくとも50%の同一性、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の組換え微生物。
組換え微生物が、組換え光合成微生物、好ましくは、微細藻類、より好ましくは、アクナンテス属(Achnanthes)、アンフィプローラ属(Amphiprora)、アンフォラ属(Amphora)、アンキストロデスムス属(Ankistrodesmus)、アステロモナス属(Asteromonas)、ボエケロビア属(Boekelovia)、ボロジネラ属(Borodinella)、ボトリオコッカス属(Botryococcus)、ブラクテオコッカス属(Bracteococcus)、カエトセロス属(Chaetoceros)、カルテリア属(Carteria)、クラミドモナス属(Chlamydomonas)、クロロコッカム属(Chlorococcum)、クロロゴニウム属(Chlorogonium)、クロレラ属(Chlorella)、クロオモナス属(Chroomonas)、クリソスファエラ属(Chrysosphaera)、クリコスファエラ属(Cricosphaera)、クリプテコディニウム属(Crypthecodinium)、クリプトモナス属(Cryptomonas)、シクロテラ属(Cyclotella)、デュナリエラ属(Dunaliella)、エリプソイドン属(Ellipsoidon)、エミリアニア属(Emiliania)、エレモスファエラ属(Eremosphaera)、エルノデスミウス属(Ernodesmius)、ユーグレナ属(Euglena)、フランセイア属(Franceia)、フラギラリア属(Fragilaria)、グロエオサムニオン属(Gloeothamnion)、ヘマトコッカス属(Haematococcus)、ハロカフェテリア属(Halocafeteria)、ヒメノモナス属(Hymenomonas)、イソクリシス属(Isochrysis)、レポシンクリス属(Lepocinclis)、ミクラクチニウム属(Micractinium)、モノラフィジウム属(Monoraphidium)、ナノクロリス属(Nannochloris)、ナノクロロプシス属(Nannochloropsis)、ナビクラ属(Navicula)、ネオクロリス属(Neochloris)、ネフロクロリス属(Nephrochloris)、ネフロセルミス属(Nephroselmis)、ニツスチア属(Nitzschia)、オクロモナス属(Ochromonas)、オエドゴニウム属(Oedogonium)、オオサイスティス属(Oocystis)、オストレオコッカス属(Ostreococcus)、パブロバ属(Pavlova)、パラクロレラ属(Parachlorella)、パスケリア属(Pascheria)、ファエオダクチラム属(Phaeodactylum)、ファガス属(Phagus)、ピコクロラム属(Picochlorum)、プラチモナス属(Platymonas)、プレウロクリシス属(Pleurochrysis)、プレウロコッカス属(Pleurococcus)、プロトテカ属(Prototheca)、シュードクロレラ属(Pseudochlorella)、シュードネオクロリス属(Pseudoneochloris)、ピラミモナス属(Pyramimonas)、ピロボトリス属(Pyrobotrys)、スセネデスムス属(Scenedesmus)、スケレトネマ属(Skeletonema)、スピロギラ属(Spyrogyra)、スチココッカス属(Stichococcus)、テトラセルミス属(Tetraselmis)、タラシオシーラ属(Thalassiosira)、ビリジエラ属(Viridiella)およびボルボックス属(Volvox)からなる群から選択される微細藻類の種である、請求項16から25のいずれか一項に記載の組換え微生物。
組換え微生物が、ラン藻、好ましくは、アグメネルム属(Agmenellum)、アナバエナ属(Anabaena)、アナバエノプシス属(Anabaenopsis)、アナシスティス属(Anacystis)、アファニゾメノン属(Aphanizomenon)、アルスロスピラ属(Arthrospira)、アステロカプサ属(Asterocapsa)、ボルジア属(Borzia)、カロトリックス属(Calothrix)、カマエシフォン属(Chamaesiphon)、クロログロエオプシス属(Chlorogloeopsis)、クロコッシディオプシス属(Chroococcidiopsis)、クロコッカス属(Chroococcus)、クリナリウム属(Crinalium)、シアノバクテリウム属(Cyanobacterium)、シアノビウム属(Cyanobium)、シアノシスティス属(Cyanocystis)、シアノスピラ属(Cyanospira)、シアノセイス属(Cyanothece)、シリンドロスペルモプシス属(Cylindrospermopsis)、シリンドロスペルマム属(Cylindrospermum)、ダクチロコッコプシス属(Dactylococcopsis)、デルモカルペラ属(Dermocarpella)、フィッシェレラ属(Fischerella)、フレミエラ属(Fremyella)、ゲイトレリア属(Geitleria)、ゲイトレリネマ属(Geitlerinema)、グロエオバクター属(Gloeobacter)、グロエオカプサ属(Gloeocapsa)、グロエオセイス属(Gloeothece)、ハロスピルリナ属(Halospirulina)、イエンガリエラ属(Iyengariella)、レプトリンビア属(Leptolyngbya)、リムノスリックス属(Limnothrix)、リンビア属(Lyngbya)、ミクロコレウス属(Microcoleus)、ミクロキスティス属(Microcystis)、ミクソサルシナ属(Myxosarcina)、ノデュラリア属(Nodularia)、ノストック属(Nostoc)、ノストコプシス属(Nostochopsis)、オシラトリア属(Oscillatoria)、フォルミジウム属(Phormidium)、プランクトスリックス属(Planktothrix)、プレウロカプサ属(Pleurocapsa)、プロクロロコッカス属(Prochlorococcus)、プロクロロン属(Prochloron)、プロクロロスリックス属(Prochlorothrix)、シュードアナベナ属(Pseudanabaena)、リブラリア属(Rivularia)、シゾスリックス属(Schizothrix)、サイトネマ属(Scytonema)、スピルリナ属(Spirulina)、スタニエリア属(Stanieria)、スタリア属(Starria)、スティゴネマ属(Stigonema)、シンプロカ属(Symploca)、シネココッカス属(Synechococcus)、シネコシスティス属(Synechocystis)、サーモシネココッカス属(Thermosynechococcus)、トリポスリックス属(Tolypothrix)、トリコデスミウム属(Trichodesmium)、チコネマ属(Tychonema)またはゼノコッカス属(Xenococcus)からなる群から選択される微細藻類の種である、請求項16から25のいずれか一項に記載の組換え微生物。
配列番号29に対して、少なくとも65%の同一性、好ましくは、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離核酸分子。
【発明を実施するための形態】
【0027】
光合成生物は、CO
2に由来する固定炭素並びに同様に光合成から生成するATPおよびNADPHを使用して膜および貯蔵脂質の製造のために脂肪酸を合成する。NADPHはまた、脱水素酵素の活性によって生成し得る。用語「脱水素酵素」は、本明細書において、1つまたは複数の水素化物(H−)をNAD+またはNADP+などのアクセプターに移すことによる、基質の酸化を触媒する酵素を指すよう使用される。本発明は、脱水素酵素をコードする少なくとも1種の非天然遺伝子を発現し、例えば、1種または複数の脂肪酸、1種または複数の脂肪酸誘導体および/または1種または複数のグリセロ脂質(例えば、1種または複数のトリグリセリド)などの1種または複数の脂質を製造する組換え微生物を提供する。組換え微生物は、いくつかの態様では、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を発現しない匹敵する微生物よりも、脂質を製造しながら良好な増殖速度を実証し、さらに、非天然脱水素酵素遺伝子を発現する組換え微生物の培養物は、対照微生物が、非天然脱水素酵素遺伝子を発現しない点を除いて、脱水素酵素遺伝子を発現する微生物とすべての点において同一である微生物の対照培養物によって製造されるものよりも多くの脂質を製造し得る。組換え微生物は、組換え光合成微生物であり得る。また、脱水素酵素をコードする少なくとも1種の非天然遺伝子を含む微生物の培養物を提供することによって脂質を製造する方法も提供され、培養物は、微生物が脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含まないという点を除いて、すべての点において同一である培養物よりも多くの脂質を製造する。微生物は、光合成微生物であり得、いくつかの例では、光独立栄養的に培養され得る。微生物は、脂質の合成に関与するポリペプチドをコードする1種または複数の非天然遺伝子をさらに含み得る。
【0028】
定義
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本願が支配する。文脈によって別に必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。本明細書において記載されるすべての刊行物、特許およびその他の参考文献は、個々の刊行物または特許出願の各々が、具体的に、個別に、参照によって組み込まれるよう示されるかのように、すべての目的のために参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【0029】
本発明の実施または試験において、本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料が使用され得るが、適した方法および材料は、以下に記載される。材料、方法および例は、単に例示されており、制限であるよう意図されない。本発明のその他の特徴および利点は、詳細な説明から、および特許請求の範囲から明らかとなる。
【0030】
本発明の理解を促進するために、いくつかの用語および語句は、以下に定義される。
【0031】
別に明確に示されない限り、本開示内容および特許請求の範囲において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、複数形を含む。
【0032】
実施形態が、言葉「含んでいる(comprising)」を用いて本明細書に記載される場合はいつでも、そうではなく、「からなる」および/または「から本質的になる」という用語で記載される類似の実施形態も提供される。
【0033】
本明細書において「Aおよび/またはB」などの語句において使用されるような用語「および/または」とは、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」および「B」を含むものとする。
【0034】
用語「遺伝子」は、ポリペプチドまたは発現されるRNAをコードする核酸分子(通常、DNAであるが、所望により、RNA)の任意のセグメントを指すよう広く使用される。したがって、遺伝子は、発現されるRNA(ポリペプチドコード配列または例えば、リボソームRNA、tRNA、アンチセンスRNA、マイクロRNA、短いヘアピンRNA、リボザイムなどといった機能的RNAを含み得る)をコードする配列を含む。遺伝子は、その発現に必要な、または影響を及ぼす調節配列ならびに例えば、イントロン配列、5’または3’非翻訳配列などといったその天然状態でタンパク質またはRNAをコードする配列と関連している配列をさらに含み得る。遺伝子は、対象の供給源からクローニングすることおよび既知または予測される配列情報から合成することを含め、種々の供給源から得ることができる。
【0035】
用語「核酸」または「核酸分子」とは、DNAまたはRNA(例えば、mRNA)のセグメントを指し、また、修飾された骨格を有する核酸(例えば、ペプチド核酸、ロックド核酸)または修飾されたもしくは天然に存在しない核酸塩基も含む。核酸分子は、二本鎖であっても、一本鎖であってもよく、遺伝子またはその一部を含む一本鎖核酸は、コーディング(センス)鎖であっても、非コーディング(アンチセンス)鎖であってもよい。
【0036】
核酸分子は、示された供給源「から誘導する」ことができ、これは、示された供給源からの核酸セグメントの単離(全体でまたは一部で)を含む。核酸分子はまた、例えば、直接クローニング、PCR増幅、または示されたポリヌクレオチド供給源からのもしくは示されたポリヌクレオチド供給源と関連している配列に基づいた人工合成によって、示された供給源から誘導することができる。特定の供給源または種から誘導される遺伝子または核酸分子はまた、供給源核酸分子に対して配列修飾を有する遺伝子または核酸分子を含む。例えば、供給源(例えば、特定の参照遺伝子)から誘導される遺伝子または核酸分子は、意図されないか、または計画的に導入されている、供給源遺伝子または核酸分子に対する1つまたは複数の突然変異を含み得、置換、欠失もしくは挿入を含む1つまたは複数の突然変異が計画的に導入されている場合には、配列変更は、細胞もしくは核酸のランダム突然変異もしくは標的突然変異によって、増幅もしくはその他の分子生物学技術によって、または化学合成またはその任意の組合せによって導入され得る。機能的RNAまたはポリペプチドをコードする参照遺伝子または核酸分子から誘導される遺伝子または核酸分子は、参照または供給源機能的RNAまたはポリペプチドと、またはその機能的断片に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有する機能的RNAまたはポリペプチドをコードし得る。例えば、機能的RNAまたはポリペプチドをコードする参照遺伝子または核酸分子から誘導される遺伝子または核酸分子は、参照または供給源機能的RNAまたはポリペプチドと、またはその機能的断片と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する機能的RNAまたはポリペプチドをコードし得る。
【0037】
本明細書において、「単離された」核酸またはタンパク質は、その天然環境または核酸もしくはタンパク質が天然に存在する状況から取り出されている。例えば、単離タンパク質または核酸分子は、天然のまたは自然の環境において関連している細胞または生物から取り出されている。単離された核酸またはタンパク質は、いくつかの例では、部分的または実質的に精製されている場合もあるが、単離に特定のレベルの精製が必要というわけではない。したがって、例えば、単離核酸分子は、天然に組み込まれている染色体、ゲノムまたはエピソームから切り出された核酸配列であり得る。
【0038】
「精製された」核酸分子もしくはヌクレオチド配列またはタンパク質もしくはポリペプチド配列は、細胞性物質および細胞成分を実質的に含まない。精製された核酸分子またはタンパク質は、例えば、バッファーまたは溶媒の域を超える化学物質を含まないものであり得る。「実質的に含まない」は、新規核酸分子の域を超える成分が検出可能ではないということを意味するものではない。
【0039】
用語「天然に存在する」および「野生型」とは、天然に見られる形態を指す。例えば、天然に存在する、または野生型核酸分子、ヌクレオチド配列またはタンパク質は、天然供給源中に存在し得、またはそれから単離され得、ヒトの操作によって意図的に修飾されていない。
【0040】
本明細書において、「弱毒化された」とは、量、程度、強度または力において低減されたことを意味する。弱毒化された遺伝子発現とは、問題の遺伝子の転写の、またはコードされたタンパク質の翻訳、フォールディングもしくはアセンブリーの大幅に低減された量および/または速度を指し得る。限定されない例として、弱毒化された遺伝子は、突然変異された、もしくは破壊された遺伝子(例えば、部分もしくは完全欠失または挿入突然変異によって破壊された遺伝子)または遺伝子調節配列の変更によって発現が減少した遺伝子であり得る。
【0041】
「外因性核酸分子」または「外因性遺伝子」とは、細胞に導入された(「形質転換された」)核酸分子または遺伝子を指す。形質転換された細胞は、組換え細胞と呼ばれることもあり、これに、さらなる外因性遺伝子(複数可)が導入され得る。核酸分子で形質転換された細胞の子孫も、外因性核酸分子を受け継いでいる場合には「形質転換された」と呼ばれる。外因性遺伝子は、形質転換されている細胞に対して、異なる種に由来するもの(そのため「異種」)ものであっても、同一種に由来するもの(そのため「同種」)であってもよい。「内因性」核酸分子、遺伝子またはタンパク質は、宿主中に生じるか、または宿主によって天然に産生される天然核酸分子、遺伝子またはタンパク質である。
【0042】
用語「天然に」とは、本明細書において、宿主中に天然に生じるときに核酸配列またはアミノ酸配列を指すよう使用される。用語「非天然」は、本明細書において、宿主において天然に生じない核酸配列またはアミノ酸配列を指すよう使用される。細胞から取り出され、実験室操作に付され、宿主細胞に導入または再導入された核酸配列またはアミノ酸配列は、「非天然」と考えられる。宿主細胞に導入された合成または部分合成遺伝子は、「非天然」である。非天然遺伝子は、宿主ゲノムにおいて組換えられている、1種または複数の異種調節配列に作動可能に連結された、宿主微生物にとって内因性である遺伝子をさらに含む。
【0043】
「組換え」または「操作された」核酸分子は、ヒト操作によって変更された核酸分子である。限定されない例として、組換え核酸分子は、1)例えば、化学的または酵素的技術を使用して(例えば、化学的核酸合成の使用によって、または核酸分子の複製、重合、消化(エキソヌクレアーゼの、またはエンドヌクレアーゼの)、連結、逆転写、転写、塩基修飾(例えば、メチル化を含む)、組込みまたは組換え(相同および部位特異的組換えを含む)のための酵素の使用による)、in vitroで部分的もしくは全体的に合成された、または修飾された、2)天然には結合していない、結合されたヌクレオチド配列を含み、3)天然に存在する核酸分子配列に対して1つまたは複数のヌクレオチドを欠くよう分子クローニング技術を使用して操作されている、および/または4)天然に存在する核酸配列に対して1つまたは複数の配列変更または再編成を有するよう分子クローニング技術を使用して操作されている任意の核酸分子を含む。限定されない例として、cDNAは、in vitroポリメラーゼ反応によって作製され、リンカーが結合されているか、またはクローニングベクターもしくは発現ベクターなどのベクター中に組み込まれている任意の核酸分子のように、組換えDNA分子である。
【0044】
用語「組換えタンパク質」とは、本明細書において、遺伝子工学によって製造されたタンパク質を指す。
【0045】
用語組換え、操作された、または遺伝子操作されたとは、生物に適用される場合には、異種または外因性組換え核酸配列の生物への導入によって操作されている生物を指し、遺伝子ノックアウト、標的突然変異および遺伝子置換、プロモーター置換、欠失または挿入並びに導入遺伝子または合成遺伝子の生物への導入を含む。組換えまたは遺伝子操作された生物はまた、遺伝子「ノックダウン」のための構築物が導入されている生物であり得る。このような構築物として、それだけには限らないが、RNAi、マイクロRNA、shRNA、siRNA、アンチセンスおよびリボザイム構築物が挙げられる。また、ゲノムがメガヌクレアーゼまたはジンクフィンガーヌクレアーゼの活性によって変更された生物も含まれる。外因性または組換え核酸分子は、組換え/遺伝子操作された生物のゲノム中に組み込まれ得るか、その他の場合には、組換え/遺伝子操作された生物のゲノム中に組み込まれない。本明細書において、「組換え微生物」または「組換え宿主細胞」は、本発明の組換え微生物の後代または誘導体を含む。特定の修飾は、突然変異または環境の影響のいずれかのために後世において起こり得るので、このような後代または誘導体は、実際には親細胞と同一でない場合もあるが、本明細書において使用されるような用語の範囲内に依然として含まれる。
【0046】
用語「プロモーター」とは、細胞においてRNAポリメラーゼと結合でき、下流(3’方向)コード配列の転写を開始できる核酸配列を指す。プロモーターは、バックグラウンドを上回る検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小数の塩基またはエレメントを含む。プロモーターは、転写開始部位ならびにRNAポリメラーゼの結合に関与するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)を含み得る。真核生物プロモーターは、常にではないが、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含有することが多い。原核生物プロモーターは、−10および−35原核生物プロモーターコンセンサス配列を含有し得る。種々の異なる供給源に由来する、構成性、誘導性および抑制性プロモーターを含めた多数のプロモーターが、当技術分野で周知である。代表的な供給源として、例えば、ウイルス、哺乳類、昆虫、植物、酵母および細菌細胞種が挙げられ、これらの供給源に由来する適したプロモーターは、容易に入手可能であるか、またはオンラインで、もしくは、例えば、ATCCなどの保管所ならびにその他の市販のもしくは個々の供給源から公的に入手可能な配列に基づいて合成によって製造できる。プロモーターは、1方向性(1方向で転写を開始する)である場合も、2方向性(いずれかの方向で転写を開始する)である場合もあり得る。プロモーターは、構成性プロモーター、抑制性プロモーターまたは誘導性プロモーターであり得る。プロモーターの限定されない例として、例えば、T7プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーターおよびRSVプロモーターが挙げられる。誘導プロモーターの例として、lacプロモーター、pBAD(araA)プロモーター、Tetプロモーター(米国特許第5,464,758号および同5,814,618号)およびエクジソンプロモーター(Noら、Proc. Natl. Acad. Sci.(1996年)93(8):3346〜3351頁)が挙げられる。
【0047】
用語「異種」とは、ポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチドまたは酵素への言及において使用される場合には、宿主生物種以外の供給源に由来する、または宿主生物種以外の供給源から誘導される、ポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチドまたは酵素を指す。対照的に「同種」ポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチドまたは酵素は、本明細書において、宿主生物種から誘導されるポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチドまたは酵素を意味するよう使用される。遺伝子調節配列に、または遺伝子配列を維持または操作するために使用される補助的核酸配列(例えば、プロモーター、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、ポリA付加配列、イントロン配列、スプライシング部位、リボソーム結合部位、内部リボソーム侵入配列、ゲノム相同性領域、組換え部位など)に言及する場合には、「異種」とは、調節配列または補助的配列が、構築物、ゲノム、染色体またはエピソーム中で調節または補助的核酸配列が隣接している遺伝子と天然には会合していないことを意味する。したがって、その天然状態では(すなわち、遺伝子操作されていない生物のゲノムでは)、作動可能に連結されていない遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターは、本明細書において、プロモーターが、連結される遺伝子と同一種から(またはいくつかの場合には、同一生物から)誘導され得る場合であっても、「異種プロモーター」と呼ばれる。
【0048】
本明細書において、用語「タンパク質」または「ポリペプチド」とは、単数形の「ポリペプチド」ならびに複数形の「ポリペプチド」を包含するものとし、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって直線的に連結された単量体(アミノ酸)から構成される分子を指す。用語「ポリペプチド」とは、2個以上のアミノ酸の任意の鎖(単数または複数)を指し、特定の長さの生成物を指すわけではない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」または2個以上のアミノ酸の鎖(単数または複数)を指すために使用される任意のその他の用語が、「ポリペプチド」の定義内に含まれ、用語「ポリペプチド」は、これらの用語のいずれかの代わりに、またはこれらの用語のいずれかと同義的に使用され得る。
【0049】
本願は、米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)によって維持される、長く確立された、広範囲に参照されるデータベースにおいて使用される識別子によって核酸およびポリペプチドを開示し、指す。遺伝子または種名の後ろの括弧内に本明細書において一般的に提供される受託番号は、米国国立衛生研究所(United States National Institutes of Health)によって維持される米国国立生物工学情報センターウェブサイト(ncbi.nlm.nih.gov)で公的に入手可能な配列記録の独特の識別子である。「Genlnfo Identifier」(GI)配列同定番号は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に特異的である。配列が多少なりとも変化する場合には、新規GI番号が割り当てられる。特定のGenBank記録に現れる配列の種々のGI番号、バージョン番号および更新日を追跡するために、シークエンスリビジョンヒストリー(Sequence Revision History)ツールが入手可能である。受託番号およびGI番号に基づいて核酸もしくは遺伝子配列またはタンパク質配列を検索することおよび得ることは、例えば、細胞生物学、生化学、分子生物学および分子遺伝学の技術分野で周知である。
【0050】
本明細書において、核酸またはポリペプチド配列に関して、用語「同一性パーセント」または「相同性」は、最大同一性パーセントを求めて配列をアラインし、最大相同性パーセントを達成するために、必要に応じてギャップを導入した後の、既知ポリペプチドと同一である候補配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。N末端またはC末端挿入または欠失は、相同性に影響を及ぼすと解釈されてはならず、約30個未満、約20個未満または約10個未満のアミノ酸残基のポリペプチド配列への内部欠失および/または挿入は、相同性に影響を及ぼすと解釈されてはならない。
【0051】
ヌクレオチドまたはアミノ酸配列レベルでの相同性または同一性は、配列類似性検索に適合しているプログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastx(Altschul(1997年)、Nucleic Acids Res. 25、3389〜3402頁およびKarlin(1990年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87、2264〜2268頁)によって使用されるアルゴリズムを使用するBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)解析によって決定できる。BLASTプログラムによって使用されるアプローチは、まず、クエリー配列およびデータベース配列間でギャップを用いて、または用いずに、同様のセグメントを考慮し、次いで、同定されるすべてのマッチの統計的有意性を評価し、最後に、有意性の予め選択された閾値を満たすマッチのみをまとめることである。配列データベースの類似性検索における基本的な問題の考察については、Altschul(1994年)、Nature Genetics 6、119〜129頁を参照のこと。ヒストグラム、説明、アラインメント、予測(すなわち、データベース配列に対するマッチを報告するための統計的有意性閾値)、カットオフ、マトリックスおよびフィルター(低複雑度)の検索パラメータは、デフォルト設定であり得る。blastp、blastx、tblastnおよびtblastxによって使用されるデフォルトスコアリングマトリックスは、85を超える長さのクエリー配列(ヌクレオチド塩基またはアミノ酸)に推奨されるBLOSUM62マトリックス(Henikoff(1992年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89、10915〜10919頁)である。
【0052】
ヌクレオチド配列を比較するために設計されたblastnには、スコアリングマトリックスは、M(すなわち、マッチする残基の対に対するリワードスコア)対N(すなわち、ミスマッチする残基に対するペナルティースコア)の比によって設定され、MおよびNのデフォルト値は、それぞれ+5および−4であり得る。4種のblastnパラメータは、以下のように調整され得る:Q=10(ギャップ生成ペナルティー);R=10(ギャップ伸長ペナルティー);wink=1(クエリーに沿ってどのwinkth位置でもワードヒットを生成する)およびgapw=16(ギャップを含むアラインメントが作製されるウィンドウ幅を設定する)。アミノ酸配列の比較のための同等なBlastpパラメータ設定は、Q=9、R=2、wink=lおよびgapw=32であり得る。GCGパッケージバージョン10.0において利用可能な配列間のBestfit比較は、DNAパラメータGAP=50(ギャップ生成ペナルティー)およびLEN=3(ギャップ伸長ペナルティー)を使用でき、タンパク質比較における同等設定は、GAP=8およびLEN=2であり得る。
【0053】
したがって、本発明のポリペプチドまたは核酸配列に言及する場合には、全長ポリペプチドまたは核酸配列または少なくとも50個、少なくとも75個、少なくとも100個、少なくとも125個、少なくとも150個もしくはそれ以上の全タンパク質のアミノ酸残基の連続配列を含むその断片、例えば、少なくとも1個のアミノ酸残基が、挿入および置換を含有する開示された配列のN末端および/またはC末端に、および/または開示された配列内のN末端および/またはC末端に挿入されているこのような配列の変異体に関して、少なくとも65%、70%、75%、80%または85%、例えば、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性または約100%の配列同一性が含まれる。考慮される変異体は、さらにまたはあるいは、例えば、相同組換えもしくは部位指定もしくはPCR突然変異誘発による所定の突然変異を含有するものならびにそれだけには限らないが、本明細書に記載されたものを含むその他の種の対応するポリペプチドもしくは核酸、挿入および置換を含有するポリペプチドもしくは核酸のファミリーの対立変異体もしくはその他の天然に存在する変異体ならびに/またはポリペプチドが、挿入および置換を含有する天然に存在するアミノ酸以外の部分(例えば、酵素などの検出可能な部分)を用いて、置換、化学的、酵素的もしくはその他の適当な手段によって共有結合によって修飾されている誘導体を含み得る。
【0054】
本明細書において、語句「保存的アミノ酸置換」または「保存的突然変異」とは、共通の特性を有する別のアミノ酸によるアミノ酸の置換を指す。個々のアミノ酸間の共通の特性を定義するために機能的方法は、同種生物の対応するタンパク質間のアミノ酸変化の正規化された頻度を解析することである(Schulz(1979)Principles of Protein Structure, Springer-Verlag)。このような解析に従って、群内のアミノ酸が互いに優先的に交換し、従って、全体的なタンパク質構造に対する影響において互いに最も似ているアミノ酸の群が、定義され得る(Schulz(1979)Principles of Protein Structure, Springer-Verlag)。この方法で定義されたアミノ酸群の例として、Glu、Asp、Asn、Gln、Lys、ArgおよびHisを含む「荷電/極性群」;Pro、Phe、TyrおよびTrpを含む「芳香族または環状群」ならびにGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Ser、ThrおよびCysを含む「脂肪族群」を挙げることができる。各群内に、亜群も同定され得る。例えば、荷電/極性アミノ酸の群は、Lys、ArgおよびHisを含む「正電荷を有する亜群」;GluおよびAspを含む「負電荷を有する亜群」およびAsnおよびGlnを含む「極性亜群」を含む亜群に細分され得る。別の例では、芳香族または環状群は、Pro、HisおよびTrpを含む「窒素環亜群」ならびにPheおよびTyrを含む「フェニル亜群」を含む亜群に細分され得る。別のさらなる例では、脂肪族群は、Val、LeuおよびIleを含む「大きな脂肪族の非極性亜群」;Met、Ser、ThrおよびCysを含む「脂肪族のわずかに極性の亜群」ならびにGlyおよびAlaを含む「小さい残基の亜群」を含む亜群に細分され得る。保存的な突然変異の例として、それだけには限らないが:正電荷が維持され得るようなLysのArgとの、または逆も同様;負電荷が維持され得るようなGluのAspとの、または逆も同様;遊離−OHが維持され得るようなSerのThrとの、または逆も同様;および遊離−NH2が維持され得るようなGlnのAsnとの、または逆も同様といった上記の亜群内のアミノ酸のアミノ酸置換が挙げられる。「保存的変異体」とは、参照ポリペプチド(例えば、配列が刊行物または配列データベースにおいて開示されているか、または配列が核酸シークエンシングによって決定されているポリペプチド)の1個または複数のアミノ酸を、共通の特性を有する、例えば、上記で描写されたような同一アミノ酸群または亜群に属するアミノ酸と置き換えるよう置換されている1個または複数のアミノ酸を含むポリペプチドである。
【0055】
本明細書において、「発現」は、少なくともRNA産生のレベルでの遺伝子の発現を含み、「発現生成物」は、得られた生成物、例えば、ポリペプチドまたは発現された遺伝子の機能的RNA(例えば、リボソームRNA、tRNA、アンチセンスRNA、マイクロRNA、shRNA、リボザイムなど)を含む。用語「増大された発現」は、mRNA産生の増大および/またはポリペプチド発現の増大を促進するための遺伝子発現における変更を含む。「増大された産生」は、天然産生またはポリペプチドの酵素活性と比較される、ポリペプチド発現の量における増大、ポリペプチドの酵素活性のレベルにおける増大、または両方の組合せを含む。
【0056】
用語「分泌された」とは、本発明の組換え微生物または方法によって製造されたポリペプチドまたは脂肪酸生成物の、細胞膜周辺腔または細胞外環境への移動を含む。「増大された分泌」は、例えば、天然に存在する分泌のレベルと比較して、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%または少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%またはそれ以上である、天然に存在する分泌量を超える分泌を含む。
【0057】
微生物における遺伝子の発現に影響を及ぼすために、微生物または宿主細胞内へ特定の核酸分子または特定のポリヌクレオチド配列が、「挿入」例えば、付加、組込み、取り込みまたは導入される、微生物を操作する態様が、本明細書において含まれる。例えば、対象の微生物は、プロモーターなどの発現制御配列とともに、またはともなわずに対象の特定の遺伝子を特定のゲノム遺伝子座に挿入するか、またはプロモーターを宿主微生物の遺伝子座中に挿入して、遺伝子座での特定の遺伝子または遺伝子のセットの発現に影響を及ぼすための部位指定相同組換えによって操作され得る。
【0058】
本発明のさらなる態様は、特定のポリヌクレオチド配列の発現の部分的な、実質的なまたは完全な欠失、サイレンシング、不活化または下方調節を含む。遺伝子は、部分的に、実質的に、もしくは完全に欠失、サイレンシング、不活化され得るか、またはその発現は、コードするポリペプチドによって実施される活性、例えば、酵素の活性に影響を及ぼすよう下方調節され得る。遺伝子は、遺伝子の機能および/または発現を破壊する核酸配列の挿入(例えば、ウイルス挿入、トランスポゾン突然変異誘発、メガヌクレアーゼ操作、相同組換えまたは当技術分野で公知のその他の方法)によって、部分的に、実質的にまたは完全に欠失、サイレンシング、不活化または下方調節され得る。用語「排除する」、「排除」および「ノックアウト」は、用語「「欠失」、「部分欠失」、「実質的な欠失」または「完全な欠失」と同義的に使用され得る。特定の実施形態では、対象の微生物は、対象の特定の遺伝子をノックアウトするための部位指定相同組換えによって操作され得る。さらにその他の実施形態では、RNAiまたはアンチセンスDNA(asDNA)構築物は、対象の特定の遺伝子を部分的に、実質的にまたは完全にサイレンシングする、不活化するまたは下方調節するために使用され得る。
【0059】
特定の核酸分子または特定のポリヌクレオチド配列のこれらの挿入、欠失またはその他の修飾は、「遺伝子修飾(複数可)」または「形質転換(複数可)」を包含すると理解され得、その結果、微生物または宿主細胞の得られた株が「遺伝的に修飾される」または「形質転換される」と理解され得る。
【0060】
本明細書において、「上方調節された」または「上方調節」は、対象の遺伝子または核酸分子の発現または酵素の活性の増大、例えば、上方調節されていない、そうでなければ同一である遺伝子または酵素における発現または活性と比較した、遺伝子発現または酵素活性の増大を含む。
【0061】
本明細書において、「下方調節された」または「下方調節」は、対象の遺伝子または核酸分子の発現または酵素の活性の低減、例えば、下方調節されていない、そうでなければ同一である遺伝子または酵素における発現または活性と比較した、遺伝子発現または酵素活性の低減を含む。
【0062】
用語「Pfam」とは、Pfam Consortiumによって維持され、pfam.sanger.ac.uk/(Welcome Trust、Sanger Institute);pfam.sbc.su.se/(Stockholm Bioinformatics Center);pfam.janelia.org/(Janelia Farm、Howard Hughes Medical Institute);pfam.jouy.inra.fr/(Institut national de la Recherche Agronomique);およびpfam.ccbb.re.krを含めた、いくつかの資金提供を受けたワールドワイドウェブサイトで利用可能な、タンパク質ドメインおよびタンパク質ファミリーの多くの収集物を指す。Pfamの最新リリースは、UniProtタンパク質データベースリリース15.6、Swiss−Protリリース57.6およびTrEMBLリリース40.6の混合物をベースとするPfam 26.0(2011年11月)である。Pfamドメインおよびファミリーは、多重配列アラインメントおよび隠れマルコフモデル(HMM)を使用して同定される。Pfam−Aファミリーまたはドメイン割り当ては、タンパク質ファミリーの代表的なメンバーを使用する精選されたシードアラインメントによって作製される高品質割り当てであり、シードアラインメントに基づいて隠れマルコフモデルをプロファイルする(特に断りのない限り、Pfamドメインまたはファミリーに対するクエリーされたタンパク質のマッチは、Pfam−Aマッチである)。次いで、ファミリーに属するすべての同定された配列を使用して、ファミリーの全アラインメントを自動的に作製する(Sonnhammer(1998年)Nucleic Acids Research 26、320〜322頁;Bateman(2000年) Nucleic Acids Research 26、263〜266頁;Bateman(2004年) Nucleic Acids Research 32、Database Issue、D138〜D141頁;Finn(2006年) Nucleic Acid Research Database Issue 34、D247〜251頁;Finn(2010年) Nucleic Acids Research Database Issue 38、D211〜222頁)。例えば、上記の参考ウェブサイトのいずれかを使用してPfamデータベースにアクセスすることによって、HMMER相同性検索ソフトウェア(例えば、HMMER2、HMMER3またはより高いバージョン、hmmer.janelia.org/)を使用して、タンパク質配列をHMMに対してクエリーできる。クエリーされたタンパク質を、pfamファミリーにあると(または特定のPfamドメインを有すると)同定する有意なマッチは、ビットスコアがPfamドメインの収集閾値以上であるものである。期待値(e値)も、クエリーされたタンパク質をPfam中に含めるための、またはクエリーされたタンパク質が特定のPfamドメインを有するかどうかを決定するための基準として使用され得、低いe値(1.0よりもかなり低い、例えば、0.1未満または0.01以下)は、マッチが機会によるものであるという低い可能性を表す。
【0063】
本明細書において、「長い鎖長の」脂肪酸またはアシル−ACPとは、14個超の炭素の鎖長を有する脂肪酸またはアシル−ACPであり、「中程度の鎖長」の脂肪酸またはアシル−ACPは、8〜14個の炭素の鎖長を有する脂肪酸またはアシル−ACPである。
【0064】
「基質選択性」とは、酵素が最も活性である基質(単数または複数)を指す。例えば、異なるアシル−ACPチオエステラーゼは、異なる程度の鎖長特異性を有し得、ACPから特定の長さの脂肪酸を切断するための酵素の「選択性」と呼ばれることもあり、チオエステラーゼは、通常、1種または複数のその他の鎖長の脂肪酸の切断においてはより少ない活性を有しながら、特定の鎖長の脂肪酸の切断において最も活性である。
【0065】
本明細書において、用語「脂肪酸生成物」は、遊離脂肪酸、モノ−、ジ−またはトリグリセリド、脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、脂肪酸エステル(それだけには限らないが、ワックスエステルを含む)および炭水化物(それだけには限らないが、アルカンおよびアルケンを含む)を含む。
【0066】
本明細書において同義的に使用されるような「繁殖速度」または「複製速度」は、所与の培養物の倍加時間を測定することによって微生物において一般に測定される。微生物の繁殖速度を測定する方法は当技術分野で周知である。例えば、繁殖(細胞数の増大)または増殖(細胞数の増大ならびに細胞の大きさおよび/または細胞内容物の増大)の速度を測定するために、光学濃度(OD)測定値が期間にわたってとられ得る。あるいは、懸濁液中の微生物の濃度は、血球算定器または同様の装置を使用して、所与の容量の培養物中の細胞の濃度が決定され得る。種々の時間で複数のデータ点を取ることによって、培養物中の細胞の繁殖または複製速度を評価できる。一定時間にわたる培養密度の増大(例えば、ODによって測定される)は、繁殖および/または増殖を示す。
【0067】
脂肪酸生成物を産生するための代謝経路
本明細書において開示される組換え微生物によって産生される脂質は、遊離脂肪酸を含めた脂肪酸生成物ならびに限定するものではないが、モノ、ジまたはトリグリセリド;脂肪アルデヒド;脂肪アルコール;脂肪酸エステル(それだけには限らないが、ワックスエステルを含む)および炭水化物(それだけには限らないが、アルカンおよびアルケンを含む)を含めた、脂肪酸から誘導され、および/または細胞によって産生される脂肪酸のアシル鎖を組み込む生成物であり得る。脂肪酸生合成経路は、原核生物において、また真核生物の藻類および高等植物の葉緑体において高度に保存されており、中心代謝生成物アセチル−CoAから出発する。脂肪酸生合成は、アセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACCase)によって触媒されるアセチル−CoAのマロニル−CoAへの変換によって開始される。次いで、マロニル−CoAは、マロニル−CoA−ACPトランスアシラーゼ(大腸菌(E. coli)におけるFabD)によって触媒されて、マロニル−ACPに変換される。次いで、マロニル−ACPが、酵素複合体脂肪酸シンターゼ(FAS)によって触媒されて、アシル−ACPに変換される。脂肪酸シンターゼ複合体は、まず、β−ケトアシル−ACPシンターゼIII(例えば、大腸菌(E. coli)のFabH)によって触媒されて、マロニル−ACPをアセチル−ACPとともに縮合することによる伸長サイクルを開始する。FabH反応によって形成されるβ−ケトアシル−ACP(3−ケトアシル−ACP)は、3−ケトアシル−ACPレダクターゼ(例えば、FabG)によってβ−ヒドロキシアシル−ACP(3−ヒドロキシアシル−ACP)に還元される。次いで、β−ヒドロキシアシル−ACPが、β−ヒドロキシアシル−ACP脱水酵素(例えば、FabA、FabZ)によって作用されて、トランス−2−エノイル−ACPを形成し、これが、順に、エノイル−ACPレダクターゼ(例えば、FabI、FabK、FabL)によって還元されて、2炭素伸長されたアシル−ACP生成物を形成する。その後のサイクルは、β−ケトアシル−ACPシンターゼIまたはII(例えば、FabBまたはFabF)によって触媒されるマロニル−ACPのアシル−ACPとの縮合によって開始される。縮合、還元、脱水および還元のサイクルが反復され、各サイクルは、アシル鎖が、トランスアシラーゼによって別の分子(例えば、グリセロール3−リン酸)に移されるか、葉緑体におけるFatAまたはFatBなどのチオエステラーゼによってACPから切断されて、遊離脂肪酸を形成するまで、マロニル−ACPから2個の炭素を付加する。
【0068】
植物葉緑体とは異なり、ラン藻類は、遊離脂肪酸を産生せず、大腸菌(E. coli)およびその他の従属栄養細菌とは異なり、ラン藻類は、アシル−CoAを産生しない(Kaczmarzyk and Fulda(2010年) Plant Physiol. 152:1598〜1610頁)。アシル鎖がアシルキャリアタンパク質に共有結合によって結合される脂肪酸伸長後に、ラン藻類のアシルトランスフェラーゼは、アシル鎖をグリセロール骨格に移し、膜脂質を製造する。
【0069】
それだけには限らないが、ラン藻などの微生物において遊離脂肪酸を製造するために、それだけには限らないが、アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子、アシル−CoAチオエステラーゼをコードする遺伝子またはヒドロキシベンゾイルチオエステラーゼをコードする遺伝子などの外因性または組換えチオエステラーゼ遺伝子を発現させてもよい。微生物において脂肪アルコール、脂肪アルデヒド、ワックスエステル、アルカンまたはアルケンなどの脂肪酸誘導体を製造するために、アシル−チオエステル中間体(例えば、アシル−CoAまたはアシル−ACP)を所望の最終生成物(例えば、アルコール、アルデヒド、アルカン、アルケンまたはワックスエステル)に変換するための1種または複数の酵素を、所望により、チオエステラーゼをコードする外因性または組換え遺伝子、所望により、アシル−CoAシンセターゼをコードする外因性遺伝子と組み合わせて宿主細胞中に導入してもよい。例えば、脂肪アルデヒドおよび/またはアルカンが、所望の最終生成物である場合は、アルデヒド形成性脂肪アルデヒドレダクターゼ(例えば、アルデヒド形成性アシル−CoAレダクターゼ、1.2.1.42または1.2.1.50;米国特許第6,143,538号も参照のこと)をコードする遺伝子を導入して、アシル−CoAを脂肪アルデヒドに還元してもよく;さらに、またはあるいは、アルデヒド形成性アシル−ACPレダクターゼ(例えば、WO2009/140696またはWO2011/066137に開示されるような)またはカルボン酸レダクターゼ遺伝子(例えば、WO2010/135624およびWO2010/042664を参照のこと)を導入して、遊離脂肪酸を脂肪アルデヒドに還元してもよい。あるいは、またはさらに、脂肪アルコールオキシダーゼ(例えば、1.1.3.20)または脂肪アルコール脱水素酵素(例えば、1.1.1.164)をコードする遺伝子を導入して、脂肪アルコールを脂肪アルデヒドに変換してもよい。脂肪アルデヒドは、所望により、脂肪アルデヒドデカルボニラーゼをコードする遺伝子(例えば、4.1.99.5)の導入によって、アルカンにさらに処理してもよい。脂肪アルコール、アルケンおよび/またはワックスエステルが、所望の最終生成物である場合には、アルコール形成性脂肪酸アシルレダクターゼをコードする遺伝子(例えば、アルコール形成アシル−CoAレダクターゼ、1.2.1.50)を宿主細胞に導入してもよい。さらに、脂肪アルデヒドレダクターゼ遺伝子を導入して、脂肪アルデヒドを脂肪アルコールに還元してもよい。脂肪アルコールを、脂肪アルコール脱水酵素をコードする1種または複数の遺伝子の導入によって、アルケンにさらに処理してもよい。ワックスエステルを含めた脂肪酸エステルは、アルコールの脂肪酸アシルチオエステルとの縮合を触媒するポリペプチド、例えば、アシルトランスフェラーゼおよびワックスシンターゼをコードする遺伝子を導入することによって形成され得る。
【0070】
いくつかの例では、アシル−ACPの脂肪アルコールへの変換は、脂肪アルデヒドの合成によって起こり得、宿主細胞において発現されたアシルレダクターゼ(例えば、アルデヒド形成性アシル−CoAレダクターゼまたはアルデヒド形成性アシル−ACPレダクターゼ)は、まず、アシル−ACPを脂肪アルデヒドに還元する。例えば、特定の実施形態では、宿主細胞は、内因性脂肪アルデヒド形成性レダクターゼを過剰発現するように操作され得る(例えば、脂肪アルデヒド形成性レダクターゼ遺伝子の付近にプロモーターおよび/またはエンハンサー転写制御エレメントを挿入することによって)。その他の実施形態では、宿主細胞は、外因性脂肪アルデヒド形成性レダクターゼを発現するように操作され得る。宿主細胞は、脂肪アルデヒドを脂肪アルコールに還元する脂肪アルデヒドレダクターゼまたはアルコール脱水素酵素をコードする外因性遺伝子をさらに含み得る。
【0071】
ワックスエステルは、ワックスエステルシンターゼをコードする遺伝子を導入して、脂肪アルコールの脂肪酸アシルチオエステルとの縮合を触媒することによって形成され得る。ワックスエステルシンターゼは、例えば、クラスEC2.3.1.26(長鎖アルコールO−脂肪アシルトランスフェラーゼ)、EC2.3.1.20(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ)、EC2.3.1.51(アシルトランスフェラーゼ)または2.3.1.75(ワックスエステルシンターゼ/アシル−CoAジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ)の酵素であり得る。
【0072】
例えば、モノアシルグリセリド、ジアシルグリセリドおよびトリアシルグリセリド(「TAG」)などのグリセロ脂質の製造には、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含む本明細書に開示されるような組換え微生物は、それだけには限らないが、グリセロールリン酸アシルトランスフェラーゼ(GPAT)、リゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼ(LPAAT)、ホスファチジン酸ホスファターゼ(PAP)またはジアシルグリセロールO−アシルトランスフェラーゼ(DGAT)を含めたグリセロ脂質の製造に関与する酵素をコードする非天然遺伝子をさらに含み得る。
【0073】
脱水素酵素
本発明は、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含み、少なくとも1種の脂肪酸生成物を産生する組換え微生物を提供する。例えば、本明細書に開示される組換え微生物は、脱水素酵素をコードする核酸配列を含む単離核酸分子を用いて形質転換されてもよい。あるいは、またはさらに、組換え微生物は、脱水素酵素をコードする内因性核酸配列を含み得、内因性脱水素酵素遺伝子の発現を調節するために少なくとも1種の調節配列が微生物のゲノム中に挿入されている。さらに、微生物は、1種または複数の外因性遺伝子を用いて形質転換され得、および/または脂肪酸生成物などの脂質の製造に関与する1種または複数の内因性遺伝子を過剰発現するように操作され得る。
【0074】
本明細書において開示される組換え微生物において発現され得る脱水素酵素として、制限するものではないが、アルデヒド脱水素酵素(アルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.3)、コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.16)、メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.27)、ラクトアルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.22)、ベンズアルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.28)、非リン酸化型グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(EC1.2.1.9)、NADP依存性(リン酸化)グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(EC1.2.1.13)、δ−1−ピロリン−5−カルボン酸脱水素酵素(EC1.5.1.12)、アセトアルデヒド脱水素酵素(EC:1.5.1.10)およびグルタミン酸セミアルデヒド脱水素酵素(EC:1.5.1.41)を含む)、2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(例えば、イソクエン酸脱水素酵素、乳酸脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、コハク酸脱水素酵素、αケトグルタル酸脱水素酵素)、D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素、例えば、D−2−ヒドロキシイソカプロン酸脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、D−グリセリン酸脱水素酵素、バンコマイシン耐性タンパク質H、D−2−ホスホグリセリン酸脱水素酵素およびD−乳酸脱水素酵素(1.1.1.28))、リンゴ酸酵素(1.1.1.40)、グルコース−6−リン酸脱水素酵素(1.1.1.49)、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素(1.1.1.43、1.1.1.44)、グルタミン酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素およびソルビトール脱水素酵素が挙げられる。種々の例では、本発明の微生物中に導入される、または過剰発現される非天然遺伝子によってコードされる脱水素酵素は、アルコール脱水素酵素ではない。さらなる例では、本発明の微生物中に導入される、または過剰発現される非天然遺伝子によってコードされる脱水素酵素は、ピルビン酸脱水素酵素またはリン酸化グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(EC1.2.1.12)ではない場合がある。脱水素酵素の活性のアッセイは、当技術分野で周知である(例えば、Wynnら(1997年) Lipids 32:605〜610頁;Graupnerら(2000年)J. Bacteriol. 182:3688〜3692頁;Berrios-Riveraら(2002年) Metabolic Engineering 4:217〜229頁;Shinodaら(2005年)J. Biol. Chem. 280:17068〜17075頁;DomenechおよびFerrer(2006年) Biochim. Biophys. Acta 1760:1667〜1674頁;LoおよびChen(2010年)Mol. Biotechnol 46:157〜167頁)。
【0075】
NADHを生じる脱水素酵素も、本発明の方法および微生物において使用するために考慮されるが、NADPHを生成する脱水素酵素が特に興味深い。例えば、NADHは、宿主細胞にとって天然であり得るNADPH−NAD+トランスヒドロゲナーゼと呼ばれることもあるNADPH:NAD+酸化還元酵素(B特異的)の活性によって、細胞においてNADPHに変換され得るか(例えば、US2005/0196866を参照のこと)またはNADPH−NAD+トランスヒドロゲナーゼをコードする遺伝子は、宿主微生物中に導入されてもよい。
【0076】
NADP+をNADPHに還元しながらリンゴ酸のピルビン酸への不可逆的脱炭酸を触媒する、リンゴ酸脱水素酵素(オキサロ酢酸脱炭酸化)(NADP(+))またはNADP−リンゴ酸酵素としても知られるリンゴ酸酵素(EC1.1.1.40)が、非天然遺伝子の発現によって組換え宿主細胞において産生され得る脱水素酵素の一例である。リンゴ酸酵素をコードする非天然遺伝子は、任意の生物から誘導されるものであり得、宿主微生物に関して異種であっても、同種であってもよい。本明細書に開示されるような微生物において非天然遺伝子によってコードされ得るリンゴ酸酵素の限定されない例として、19.2のギャザリングカットオフよりも大きなビットスコアを有する、Pfam PF00390(リンゴ酸酵素、N末端ドメイン)に入る、および/または23.5のギャザリングカットオフよりも高いビットスコアを有する、Pfam PF03949(リンゴ酸酵素NAD結合ドメイン)に入るポリペプチドが挙げられる。リンゴ酸酵素の結晶構造は、Yangら(Protein Sci. 11: 332〜341頁(2002年))によって報告されている。リンゴ酸酵素の限定されない例として、ムコール・サーシネロイデス(Mucor circinelloides)(ABM45933、AAO26053.1)、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)(XP_002290550)、ファエオダクチルム・トリコルヌツム(Phaeodactylum tricornutum)(XP_002177890)、オストレオコッカス・ルシマリヌス(Ostreococcus lucimarinus)(XP_001420849)、リシナス・コムニス(Ricinus communis)(XP_002526507)、オリザ・サティバ(Oryza sativa)(NP_001064998)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(AEE36294)、クロレラ・バリアビリス(Chlorella variabilis)(EFN53662)、ヒト(Homo sapiens)(NP_002386)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)(XP_001696240)、シネコシスティス属(Synechocystis)種PCC6803(BAA16663)、ミクロシスティス・エルギノーサ(Microcystis aeruginosa)(YP_001655800)および「ノストック・アゾラエ(Nostoc azollae)」(YP_003720944)に由来するものが挙げられる。制限するものではないが、本明細書において提供される微生物において非天然遺伝子によってコードされるリンゴ酸酵素は、これらのリンゴ酸酵素または配列データベースに列挙されるようなその他のもの、その保存的変異体ならびにそのN末端および/またはC末端切断型または修飾された変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するリンゴ酸酵素活性を有するポリペプチドであり得る。例えば、本明細書に提供される組換え微生物は、リンゴ酸酵素として同定されるポリペプチドに対して、またはその活性断片に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする非天然遺伝子を含み得る。
【0077】
グルコース−6リン酸脱水素酵素(EC1.1.1.49)は、本明細書において提供されるような微生物における非天然遺伝子の発現によって製造され得るペントースリン酸経路のNADPH生成性酵素である。グルコース−6リン酸をコードする遺伝子は、植物、動物または真菌、不等毛藻、藻類、細菌もしくはラン藻を含めた微生物から誘導されるものであり得る。例えば、脱水素酵素は、21.7のギャザリングカットオフよりも大きなビットスコアを有する、Pfam PF00479「グルコース−6−リン酸脱水素酵素、NAD結合ドメイン」に入る、および/または19.5のギャザリングカットオフよりも大きなビットスコアを有する、Pfam、PF02781「グルコース−6−リン酸脱水素酵素、C末端ドメイン」に入るポリペプチドであり得る。本明細書において提供されるような微生物によって発現され得るグルコース−6−リン酸脱水素酵素の限定されない例として、シネコシスティス属(Synechocystis)種PCC6803(BAA17451)、シネココッカス属(Synechococcus)種BL107(ZP_01468297)、プロクロロコッカス・マリナス(Prochlorococcus marinus)株AS9601(YP_001009571)、リングビア属(Lyngbya)種PCC8106(ZP_01620414)、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)CCMP1335(EED92550)、ミクロモナス属(Micromonas)種RCC299(XP_002508505);オストレオコッカス・タウリ(Ostreococcus tauri)(XP_003079573)、グリシン・マックス(Glycine max)(XP_003533032)、ブドウ(Vitis vinifera)(XP_002266930)、イネ(Oryza sativa Japonica Group)(AAQ02671)、ハツカネズミ(Mus musculus)(NP_000393;NP_032088)およびヒト(Homo sapiens)(NP_000393)のグルコース−6−リン酸脱水素酵素が挙げられる。制限するものではないが、本明細書において提供される操作された微生物において非天然遺伝子から発現され得るグルコース−6−リン酸脱水素酵素は、その保存的変異体を含めた、これらのグルコース−6−リン酸脱水素酵素または配列データベースに列挙されるようなその他のものに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するグルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドであり得、そのN末端および/またはC末端切断型または修飾された変異体であり得る。例えば、本明細書において提供されたような組換え微生物は、グルコース−6−リン酸脱水素酵素として同定されるポリペプチドに対して、またはその活性断片に対して少なくとも95%の同一性を有するグルコース−6−リン酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含み得る。
【0078】
ペントースリン酸経路の別のNADPH生成酵素として、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素がある。本明細書において「ホスホグルコン酸脱水素酵素」または「6−ホスホグルコン酸脱水素酵素」(EC1.1.1.43またはEC1.1.1.44)は、NADP
+の存在下でのリブロース−5−リン酸への6−ホスホグルコン酸の脱炭酸還元を触媒する酵素を指す。触媒作用の結果として、NADP
+は、NADPHに還元される。本発明は、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子および好ましくは、脂質の製造のためのタンパク質をコードする少なくとも1種のさらなる遺伝子を含む組換え微生物を含む。本発明の組換え微生物によって発現される6−ホスホグルコン酸脱水素酵素は、植物、動物または真菌、不等毛藻、藻類、細菌またはラン藻を含めた微生物に由来するものであり得る。本明細書において開示されるように、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子の発現は、宿主微生物による脂肪酸生合成を増強し得る。本明細書において開示される微生物および方法において有用であり得るホスホグルコン酸脱水素酵素として、Pfam PF03446「6−ホスホグルコン酸脱水素酵素のNAD結合ドメイン」(ギャザリングカットオフ21.0)に入る、好ましくは、Pfam PF00393「6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、C末端ドメイン」(ギャザリングカットオフ20.4)に入る6−ホスホグルコン酸脱水素酵素が挙げられる。6−ホスホグルコン酸脱水素酵素の結晶構造は公開されている(例えば、Adamsら(1994年)Structure 2:651〜658頁)。本明細書において提供されるような操作された微生物において非天然遺伝子によってコードされ得るホスホグルコン酸脱水素酵素の例として、それだけには限らないが、シネコシスティス属(Synechocystis)種PCC6803(BAA10105)、シアノセイス属(Cyanothece)種PCC7822(ADN14972)、ノストック・アゾラエ(Nostoc azollae)0708(ADI63566)、シネココッカス属(Synechococcus)種PCC7002(YP_001733490)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(AED94705)、グリシン・マックス(Glycine max)(BAA22812)、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)(ADP03060)、カイコ(Bombyx mori)(gb DAA21283)、ウシ(Bos taurus)(DAA21283)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(AAA53637)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)NIH2624(EAU33612)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)SP−BS293(EFL69841)、大腸菌(Escherichia coli)(AAG35237)の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素およびその変異体が挙げられる。さらに、またはあるいは、本明細書において開示されるような微生物は、配列番号10、配列番号11、配列番号13またはその活性断片に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む6−ホスホグルコン酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含み得る。配列番号10のポリペプチドに対して相同性を有するアミノ酸配列を有する6−ホスホグルコン酸脱水素酵素の限定されない例として、カルノバクテリウム属(Carnobacterium)種AT7(ZP_02185894)の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、アナエロコッカス・バギナリス(Anaerococcus vaginalis)ATCC51170の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素(ZP_05473398)、エンテロコッカス・カセリフラブス(Enterococcus casseliflavus)の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素(ZP_05646912)およびクロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素様タンパク質NCIMB8052(YP_001309315)が挙げられる。配列番号13のポリペプチドに対して相同性を有するアミノ酸配列を有する6−ホスホグルコン酸脱水素酵素の限定されない例として、シアノセイス属(Cyanothece)種PCC8801(YP_002372435)、ミクロシスティス・エルギノーサ(Microcystis aeruginosa)NIES−843(YP_001656536)、シネココッカス属(Synechococcus)種PCC7002(YP_001733490)、アルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)株パラカ(Paraca)(ZP_06383632)、ノストック属(Nostoc)種PCC7120(NP_489315)、オシラトリア属(Oscillatoria)種PCC6506(ZP_07110168)およびサーモシネココッカス・エロンガツス(ThermoSynechococcus elongatus)BP−1(NP_681366)の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素が挙げられる。制限するものではないが、本明細書において提供される操作された微生物において非天然遺伝子から発現され得る6−ホスホグルコン酸脱水素酵素は、同定されるホスホグルコン酸脱水素酵素のその保存的変異体を含めて、またN末端および/またはC末端切断型または修飾された変異体を含めて、上記で言及されたホスホグルコン酸脱水素酵素または刊行物もしくは配列データベースにおいて列挙されるようなその他のものに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するホスホグルコン酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドであり得る。いくつかの例では、本発明において有用な核酸分子は、本明細書において提供されるような、または配列データベースにおいて同定される6−ホスホグルコン酸脱水素酵素またはそのN末端および/もしくはC末端切断型変異体(例えば、参照酵素の葉緑体輸送ペプチドを欠く、あるいは、参照酵素には存在しない付加された葉緑体輸送ペプチドを有する6−ホスホグルコン酸脱水素酵素)、その保存的変異体またはその修飾された変異体に対して少なくとも95%の配列同一性を有する6−ホスホグルコン酸脱水素酵素をコードし得る。
【0079】
実施例において実証されるように、組換え微生物による脂質産生を改善するために、アルデヒド脱水素酵素をコードする非天然遺伝子もまた、本発明の組換え微生物において発現され得る。「アルデヒド脱水素酵素」とは、本明細書において、アルデヒドのカルボン酸への酸化を触媒する酵素を指す。本明細書において開示される微生物および方法において有用なアルデヒド脱水素酵素として、Pfam PF00171「アルデヒド脱水素酵素ファミリー」(ギャザリングカットオフ23.0)に入るアルデヒド脱水素酵素が挙げられ、EC1.2.1.3のアルデヒド脱水素酵素、コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.16)、メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.27)、ラクトアルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.22)、ベンズアルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.28)、非リン酸化型グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(EC1.2.1.9)、NADP依存性グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(EC1.2.1.13)、δ−1−ピロリン−5−カルボン酸脱水素酵素(EC1.5.1.12)、アセトアルデヒド脱水素酵素(EC:1.5.1.10)およびグルタミン酸セミアルデヒド脱水素酵素(EC:1.5.1.41)が挙げられる。アルデヒド基質は、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリセルアルデヒド−3−リン酸または別のアルデヒドであり得る。アルデヒド脱水素酵素の結晶構造の一例は、Di Costanzoら(2007年) J. Mol. Biol. 366:481〜493頁に提供される。本発明の微生物および方法において有用なアルデヒド脱水素酵素は、NADP+を補因子として使用できるアルデヒド脱水素酵素であり得る(例えば、LoおよびChen(2010年) Mol Biotechnol 46:157〜167頁)。アルデヒド脱水素酵素の限定されない例として、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)(YP_089937)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)SIC1(YP_688823)、大腸菌(E. coli)(NP_287888)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(NP_015264)、ヒト(Homo sapiens)(NP_000680)、ハツカネズミ(Mus musculus)(AAB32754)のアルデヒド脱水素酵素ならびにストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)(Q59931)、トウモロコシ(Zea mays)(NP_001105589)およびエンドウマメ(Pisum sativum)(P81406)のNADP依存性グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(deydrogenase)が挙げられる。さらに、またはあるいは、アルデヒド脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含む本明細書において開示されるような微生物は、配列番号4、配列番号6または配列番号7に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし得る。配列番号4、配列番号6および配列番号7のアミノ酸配列に対して相同性を有するアルデヒド脱水素酵素の例として、制限するものではないが、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)ベルリナー(berliner)血清型(ZP_041101108);バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)IBL200(ZP_04070879);バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)IBL4222(ZP_04064201);バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)クルスタキ(kurstaki)血清型(ZP_04113863)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)ATCC10876(ZP_04316482)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)ヒュアゾンゲンシス(huazhongensis)血清型(ZP_04083445)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(ZP_03228808)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)172560W(ZP_04305164)、バチルス・サイトトキシカス(Bacillus cytotoxicus)NVH391−98(YP_001374327);バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)WSH−002(AEN89990);バチルス・ミコイデス(Bacillus mycoides)Rock3−17(ZP_04156127)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)AH621(ZP_04293977)およびバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)株アル・ハカム(Al Hakam)(YP_894009)のアルデヒド脱水素酵素を含めた、バチルス属(Bacillus)種に由来するアルデヒド脱水素酵素が挙げられる。制限するものではないが、本明細書において提供される操作された微生物において非天然遺伝子から発現され得るアルデヒド脱水素酵素は、同定されたアルデヒド脱水素酵素の保存的変異体を含めて、またN末端および/またはC末端切断型または修飾された変異体を含めて、上記で言及されたアルデヒド脱水素酵素のいずれかまたは刊行物もしくは配列データベースにおいて列挙されたその他のものまたはその活性断片に対して、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、アルデヒド脱水素酵素活性を有するポリペプチドであり得る。いくつかの例では、本発明において有用な核酸分子は、本明細書において提供されるような、または配列データベースにおいて同定されるアルデヒド脱水素酵素またはそのN末端および/またはC末端切断型変異体に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアルデヒド脱水素酵素をコードし得る。
【0080】
いくつかの例では、宿主微生物中に導入されたか、または過剰発現される遺伝子によってコードされるアルデヒド脱水素酵素は、メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(EC1.2.1.27)であり得る。メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素の結晶構造は、Dubourgら(2004年) Acta Crystallogr D. Biol. Crystallogr. 60:1435〜1437頁において見られる。メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素の限定されない例として、ラット(Rattus norvegicus)(AAA41638);シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)(AAA25891);ヒト(Homo sapiens)(CAB76468);ゲオバチルス・サーモグルコシダシウス(Geobacillus thermoglucosidasius)C56−YS93(YP_004588333);ハンセニエラ属(Hanseniella)種「Han2」(ACY45298);タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)(XP_003608372);シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(AEC06286);アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)6014059(ZP_08442960);およびロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR4(BAH34663)のメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素が挙げられる。あるいは、またはさらに、アルデヒド脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含む、本明細書に開示されるような微生物は、配列番号18または配列番号19に対して、またはその活性断片に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素をコードし得る。配列番号18または配列番号19に対して相同性を有するメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素の限定されない例として、バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)1942(YP_003975426;ADP34495)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ATCC14580(YP_081323;AAU25685)、パエニバチルス・デンドリティフォルミス(Paenibacillus dendritiformis)C454(ZP_09676636)、パエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)HPL−003(YP_005075546;AET59323)、バチルス・クラウシー(bacillus clausii)KSM−K16(YP_173925;BAD62964)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)FSL F2−208(EFR85827)、リステリア・マーシー(Listeria marthii)FSL S4−120(ZP_07869657;EFR88847)およびアリシクロバチルス・アシドカルダリウス(Alicyclobacillus acidocaldarius)LAA1(ZP_03495181;EED06125)のメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素が挙げられる。制限するものではないが、本明細書において提供されるような操作された微生物において非天然遺伝子によってコードされるアルデヒド脱水素酵素は、これらのメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素のいずれかまたは配列データベースにおいて列挙されたその他のもの、その保存的変異体ならびにそのN末端および/またはC末端切断型または修飾された変異体に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素活性を有するポリペプチドであり得る。例えば、本発明において有用な核酸分子は、本明細書において列挙されるようなポリペプチドに対して、または刊行物もしくは配列データベースにおいて同定される別のアルデヒド脱水素酵素に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも95%の配列同一性を有するメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素をコードし得る。
【0081】
本明細書において開示されるような微生物は、あるいは、またはさらに、非リン酸化型グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(E.C.1.2.1.9)である、NADP+を必要とするグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(非リン酸化)と呼ばれることもあるアルデヒド脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含み得る。非リン酸化型グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素の結晶構造は、Lorentzenら(2004年)J. Mol. Biol. 341:815〜828頁に提供されている。本明細書において提供されるような微生物において組換え核酸分子によってコードされ得る非リン酸化型グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素の限定されない例として、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(NP_180004)、クロレラ・バリアビリス(Chlorella variabilis)(EFN50637)、グリシン・マックス(Glycine max)(XP_003549550)、ミナトカモジグサ(Brachypodium distachyon)(XP_003574540)、モロコシ(Sorghum bicolor)(XP_002444416)、トウモロコシ(Zea mays)(ACF84575)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)(XP_001753784)、オストレオコッカス・ルシマリヌス(Ostreococcus lucimarinus)(XP_001418445)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(ZP_04196022.1)およびイヌカタヒバ(Selaginella moellendorffii)(XP_002981587.1)から誘導されるものが挙げられる。制限するものではないが、本明細書において提供されるような操作された微生物において非天然遺伝子によってコードされる非リン酸化型グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素は、その保存的変異体を含めた、またそのN末端および/またはC末端切断型または修飾された変異体を含めた、これらの非リン酸化型グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素のいずれかまたは配列データベースにおいて列挙されるようなその他のものに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、非リン酸化型グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドであり得る。例えば、本発明において有用な核酸分子は、本明細書において提供されるようなポリペプチドまたはそのN末端および/またはC末端切断型または修飾された変異体に対して、または配列表もしくはデータベースにおいて同定される別の非リン酸化型グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも85%または少なくとも90%の配列同一性を有する非リン酸化型グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素をコードし得る。いくつかの場合には、本発明において有用な核酸分子は、本明細書において提供され、配列表もしくはデータベースにおいて同定されるようなポリペプチドに対して、少なくとも95%の配列同一性を有するアルデヒド脱水素酵素をコードする。
【0082】
本明細書において提供されるような組換え微生物における非天然遺伝子の発現によって製造され得るさらに別の種類の脱水素酵素として、例えば、D−2−ヒドロキシイソカプロン酸脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、D−グリセリン酸脱水素酵素、バンコマイシン耐性タンパク質H、D−2−ホスホグリセリン酸脱水素酵素またはD−乳酸脱水素酵素などのD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素)がある。「D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素」とは、本明細書において、α−ヒドロキシカルボン酸のα−ケトカルボン酸への、例えば、乳酸化合物のピルビン酸化合物への酸化を触媒する酵素を指す。このプロセスでは、NAD(P)
+が、還元されて、NAD(P)Hが生じる。多数のD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素が、NAD+を補因子として好むが、その他のものがNADP+を補因子として使用することがわかっている(DomenechおよびFerrer(2006年)Biochim Biophys Acta1760:1667〜1674頁)。D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素の結晶構造の一例を、Denglerら(1997年)J. Mol. Biol 267:640〜660頁に見出すことができる。本明細書において開示される微生物および方法において有用なD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素として、Pfam PF02826「D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素ファミリー」(ギャザリングカットオフ25.1)に入るD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素が挙げられる。D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素の限定されない例として、ハロフェラックス・メディテラネイ(Haloferax mediterranei)(ABB30004)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)(AAB05626)、ハロアーキュラ・マリスモルツイ(Haloarcula marismortui)ATCC43049(AAV47467)、バチルス属(Bacillus)種2 A 57 CT2(ZP_08008412)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)MGAS2096(ABF36015.1)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)亜種プランタルム(plantarum)NC8(EHS81987.1)、スタフィロコッカス・アウレウス(staphylococcus aureus)亜種アウレウス(aureus)S0385(CAQ50990.1)、リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)次亜種トリフォリ(trifolii)WSM2304(ACI57766.1)、ノストック・パンクチフォルメ(Nostoc punctiforme)ATCC29133(YP_001869125)、ミクロモナス属(Micromonas)種RCC299(ACO70365)、ファエオダクチルム・トリコルヌツム(Phaeodactylum tricornutum)CCAP1055/1(XP_002183675)、オストレオコッカス・タウリ(Ostreococcus tauri)(XP_003081992)およびネッタイシマカ(Aedes aegypti)(EAT43121)のD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素ならびにアカパンカビ(Neurospora crassa)(CAC1825)のギ酸脱水素酵素が挙げられる。あるいは、またはさらに、D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含む本明細書において開示されるような微生物は、配列番号2、配列番号29、配列番号15または配列番号16に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする非天然遺伝子を含み得る。例えば、配列番号2または配列番号29に対して、少なくとも少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、例えば、配列番号2または配列番号29に対して少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列などを含む、脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子が本明細書において提供される。あるいは、本明細書において提供されるような核酸分子は、配列番号15または配列番号16に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み得る。
【0083】
配列番号2または配列番号29に対して相同性を有するD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素の限定されない例として、ポリモーフム・ギルバム(Polymorphum gilvum)SL003B−26A1(YP_004302702)、スタッピア・アグレガタ(Stappia aggregata)IAM 12614(ZP_01545666;EAV45595)、マリノモナス属(Marinomonas)種MWYL1(YP_001342133、ABR72198)、ラブレンジア・アレクサンドリー(Labrenzia alexandrii)DFL−11(ZP_05115584、EEE46183);デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)SPH−1(YP_001566649、ABX38264)、バークホルデリア属(Burkholderia)種CCGE1001(YP_004230861;ADX57801)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)ATCC17029(YP_001044959;ABN78187)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)ATCC17025(YP_001168251;ABP70946);ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)WS8N(ZP_08415419;EGJ20215)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)KD131(YP_002520541;ACM03468)およびバークホルデリア属(Burkholderia)種Chl−1(ZP_06839743;EFG72573)のD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素が挙げられる。制限するものではないが、本明細書において提供されるような操作された微生物において非天然遺伝子によってコードされるD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素は、その保存的変異体ならびにそのN末端および/またはC末端切断型または修飾された変異体を含めた、これらの非リン酸化D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素のいずれかまたは配列データベースにおいて列挙されるその他のものに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドであり得る。例えば、本発明において有用な核酸分子は、配列番号2、配列番号29に対して、または本明細書において列挙されたポリペプチドに対して、少なくとも85%または少なくとも90%の配列同一性を有するか、または刊行物もしくは配列データベースにおいて同定される別のD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素に対して、もしくはその活性断片に対して、少なくとも85%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードし得る。いくつかの例では、本発明において有用な核酸分子は、本明細書において提供されるような、または配列データベースにおいて同定されるポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有するD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードし得る。いくつかの例では、本発明において有用な核酸分子は、配列番号2または配列番号29に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードし得る。
【0084】
本明細書における組換え微生物および方法において有用なさらなるD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素として、配列番号15または配列番号16に対して相同性を有するもの、例えば、それだけには限らないが、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)NCIMB 8052(YP_001309316)、エンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum)EG2(ZP_05648199);エンテロコッカス・カセリフラブス(Enterococcus casseliflavus)ATCC12755(ZP_08145011)、カルノバクテリウム属(Carnobacterium)種AT7(ZP_02185893)およびエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)E1636(ZP_06695345)のD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素が挙げられる。制限するものではないが、本明細書において提供されるような操作された微生物において非天然遺伝子によってコードされるD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素は、その保存的変異体ならびにそのN末端および/またはC末端切断型または修飾された変異体を含めた、これらの非リン酸化D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素のいずれかまたは刊行物もしくは配列データベースにおいて列挙されるようなその他のものに対して、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドであり得る。例えば、本発明において有用な核酸分子は、配列番号15、配列番号16に対して、または配列表またはデータベースにおいて同定される別のD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素に対して、またはその活性断片に対して少なくとも85%または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードし得る。いくつかの例では、本発明において有用な核酸分子は、本明細書において提供されるような、または配列データベースにおいて同定されるポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有するD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードし得る。いくつかの例では、本発明において有用な核酸分子は、配列番号15または配列番号16に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードし得る。
【0085】
あるいは、またはさらに、イソクエン酸脱水素酵素遺伝子は、本明細書において提供されるような組換え微生物において発現され得る。本発明の微生物によって発現され得るイソクエン酸脱水素酵素の例として、制限するものではないが、カンジダツス・レジエラ・インセクチコラ(Candidatus Regiella insecticola)LSR1(EFL92794)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)CDC1551(AAK47786);ブラッタバクテリウム属(Blattabacterium)種(クリプトセルクス・プンクトゥラトゥス(Cryptocercus punctulatus))株Cpu(AEU09317)、トレポネーマ・アゾトニュートリシウム(Treponema azotonutricium)ZAS−9(AEF80142)、スタフィロコッカス・シュードインターメディウス(Staphylococcus pseudintermedius)ED99(ADX76379)、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)E681(ADM69426)、大腸菌(Escherichia coli)IHE3034(ADE91794)、アシジチオバチルス・フェロオキシダンス(Acidithiobacillus ferrooxidans)ATCC23270(ACK80956)、コクシエラ・ブルネッティ(Coxiella burnetii)RSA331(ABX78669)、バークホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)1106a(ABO05966)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)NCTC10247(ABO05966)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)NCTC10229(ABN02935)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)SAVP1(ABM52803)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)104(ABK66771)およびエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)亜種ハイドフィラ(hydrophila)ATCC7966(ABK38368)のイソクエン酸脱水素酵素が挙げられる。いくつかの例では、本発明において有用な核酸分子は、その保存的変異体ならびにそのN末端および/またはC末端切断型または修飾された変異体を含めた、本明細書において提供されるような、配列データベースにおいて同定されるポリペプチドに対して、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するイソクエン酸脱水素酵素をコードし得る。
【0086】
非天然核酸分子によってコードされ得るグルタミン酸脱水素酵素として、限定されない例として、カエノセファルス・アセラツス(Chaenocephalus aceratus)(P82264)、ウシ(Bos taurus)(NP872593)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(NP_197318)、タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)(XP_003618972)、クロレラ・バリアビリス(Chlorella variabilis)(EFN57943)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)(XP_001702270)、ロドピレルラ・バルティカ(Rhodopirellula baltica)SH 1(NP_867538)クテドノバクター・ラセミファー(Ktedonobacter racemifer)DSM 44963(ZP_06967738)またはロゼイフレクサス属(Roseiflexus)種RS−1(YP_001276062)のグルタミン酸脱水素酵素、あるいは、その保存的変異体および/またはそのN末端および/またはC末端切断型または修飾された変異体を含めた、本明細書において提供される、もしくは配列データベースにおいて同定されるポリペプチドに対して、少なくとも85%、90%または95%の配列同一性を有するグルタミン酸脱水素酵素を挙げることができる。
【0087】
微生物および宿主細胞
本発明は、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を発現する組換え微生物を提供し、組換え微生物は、脂質を産生し、脱水素酵素を発現する組換え微生物の培養物は、対照培養物の微生物が脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含まない点を除いて、脱水素酵素を発現する微生物の培養物と同一である対照培養物が製造するよりも多量の脂質を製造する。組換え微生物は、例えば、脂肪酸、脂肪酸誘導体および/またはグリセロ脂質の製造のための酵素をコードする非天然遺伝子などの、脂質の製造のための少なくとも1種のさらなる非天然遺伝子をさらに含み得る。いくつかの例では、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子および脂質の合成に関与するポリペプチドをコードする非天然遺伝子を含む微生物は、対照微生物が脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含まない点を除いて、非天然脱水素酵素遺伝子および脂質の製造に関与するポリペプチドをコードする非天然遺伝子を発現する微生物に対してすべての点で同一である対照微生物が有するよりも高い繁殖および/または増殖速度を有する。例えば、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子および脂質(例えば、脂肪酸生成物)合成物の製造のためのポリペプチドをコードする非天然遺伝子を含む本明細書において開示されるような組換え微生物の培養物は、3、4、5、6日または7日以上の培養後に、対照微生物が脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含まない点を除いて、非天然脱水素酵素遺伝子および脂質の製造に関与するポリペプチドをコードする非天然遺伝子を発現する微生物とすべての点において同一である対照微生物によって達せられる細胞密度よりも高い細胞密度に達し得る。例えば、非天然脱水素酵素遺伝子および脂質の製造に関与するポリペプチドをコードする非天然遺伝子を発現する組換え微生物の培養は、脂質、例えば、脂肪酸生成物が製造される培養条件下で、非天然脱水素酵素遺伝子を欠く微生物の対照培養物よりも高い細胞密度に達し得る。脂肪酸生成物は、宿主微生物によって天然に製造されない(すなわち、脂質の製造に関与する非天然遺伝子を欠く宿主微生物によって製造されない)脂質であり得る。
【0088】
本発明の組換え微生物または宿主細胞は、制限するものではないが、真菌、不等毛藻、藻類、真正細菌、古細菌、緑色非硫黄細菌、紅色非硫黄細菌またはラン藻類を含めた原核生物または真核生物起源のものであり得る。組換え宿主細胞は、それだけには限らないが、光合成生物であり得る。光合成生物として、高等植物(すなわち、維管束植物)、コケ植物、藻類および光合成細菌が挙げられる。用語「藻類」は、ラン藻類(ラン藻綱(Cyanophyceae))、緑色藻類(緑藻綱(Chlorophyceae))、黄緑色藻類(黄緑藻綱(Xanthophyceae))、黄金色藻類(黄金藻綱(Chrysophyceae))、褐色藻類(褐藻綱(Phaeophyceae))、赤色藻類(紅藻綱(Rhodophyceae))、珪藻類(珪藻綱(Bacillariophyceae))および「ピコプランクトン」(プラシノ藻綱(Prasinophyceae)および真正眼点藻綱(Eustigmatophyceae))を含む。また、用語藻類には、分類学的綱、渦鞭毛藻綱(Dinophyceae)、クリプト藻綱(Cryptophyceae)、ユーグレナ藻綱(Euglenophyceae)、灰色藻綱(Glaucophyceae)およびプリムネシウム藻綱(Prymnesiophyceae)のメンバーも含まれる。微細藻類は、顕微鏡を用いてのみ、単一生物として見られ得る単細胞藻類またはコロニー藻類である。微細藻類は、真核生物および原核生物藻類(例えば、ラン藻類)の両方を含む。
【0089】
本明細書において使用するための藻類は、制限するものではないが、微細藻類、例えばそれだけには限らないが、アクナンテス属(Achnanthes)、アンフィプローラ属(Amphiprora)、アンフォラ属(Amphora)、アンキストロデスムス属(Ankistrodesmus)、アステロモナス属(Asteromonas)、ボエケロビア属(Boekelovia)、ボロジネラ属(Borodinella)、ボトリオコッカス属(Botryococcus)、ブラクテオコッカス属(Bracteococcus)、カエトセロス属(Chaetoceros)、カルテリア属(Carteria)、クラミドモナス属(Chlamydomonas)、クロロコッカム属(Chlorococcum)、クロロゴニウム属(Chlorogonium)、クロレラ属(Chlorella)、クロオモナス属(Chroomonas)、クリソスファエラ属(Chrysosphaera)、クリコスファエラ属(Cricosphaera)、クリプテコディニウム属(Crypthecodinium)、クリプトモナス属(Cryptomonas)、シクロテラ属(Cyclotella)、デュナリエラ属(Dunaliella)、エリプソイドン属(Ellipsoidon)、エミリアニア属(Emiliania)、エレモスファエラ属(Eremosphaera)、エルノデスミウス属(Ernodesmius)、ユーグレナ属(Euglena)、フランセイア属(Franceia)、フラギラリア属(Fragilaria)、グロエオサムニオン属(Gloeothamnion)、ヘマトコッカス属(Haematococcus)、ハロカフェテリア属(Halocafeteria)、ヒメノモナス属(Hymenomonas)、イソクリシス属(Isochrysis)、レポシンクリス属(Lepocinclis)、ミクラクチニウム属(Micractinium)、モノラフィジウム属(Monoraphidium)、ナノクロリス属(Nannochloris)、ナノクロロプシス属(Nannochloropsis)、ナビクラ属(Navicula)、ネオクロリス属(Neochloris)、ネフロクロリス属(Nephrochloris)、ネフロセルミス属(Nephroselmis)、ニツスチア属(Nitzschia)、オクロモナス属(Ochromonas)、オエドゴニウム属(Oedogonium)、オオサイスティス属(Oocystis)、オストレオコッカス属(Ostreococcus)、パブロバ属(Pavlova)、パラクロレラ属(Parachlorella)、パスケリア属(Pascheria)、ファエオダクチラム属(Phaeodactylum)、ファガス(Phagus)、ピコクロラム属(Picochlorum)、プラチモナス属(Platymonas)、プレウロクリシス属(Pleurochrysis)、プレウロコッカス属(Pleurococcus)、プロトテカ属(Prototheca)、シュードクロレラ属(Pseudochlorella)、シュードネオクロリス属(Pseudoneochloris)、ピラミモナス属(Pyramimonas)、ピロボトリス属(Pyrobotrys)、スセネデスムス属(Scenedesmus)、シゾクラミデラ属(Schizochlamydella)、スケレトネマ属(Skeletonema)、スピロギラ属(Spyrogyra)、スチココッカス属(Stichococcus)、テトラクロレラ属(Tetrachlorella)、テトラセルミス属(Tetraselmis)、タラシオシーラ属(Thalassiosira)、ビリジエラ属(Viridiella)またはボルボックス属(Volvox)の種などを含む。例えば、宿主微生物は、珪藻類であり得、アンフォラ属(Amphora)、カエトセロス属(Chaetoceros)、シクロテラ属(Cyclotella)、フラギラリア属(Fragilaria)、ナビクラ属(Navicula)、ファエオダクチラム属(Phaeodactylum)またはタラシオシーラ属(Thalassiosira)からなる群から選択される属であり得る。あるいは、いくつかの例では、宿主株は、ナノクロロプシス属(Nannochloropsis)もしくはエリプソイドン属(Ellipsoidon)の種などのユースティグマトファイト属(eustigmatophyte)またはそれだけには限らないが、クロレラ属(Chlorella)、クロロゴニウム属(Chlorogonium)、シュードクロレラ属(Pseudochlorella)、スセネデスムス属(Scenedesmus)またはテトラセルミス属(Tetraselmis)の種などの緑色藻類であり得る。
【0090】
あるいは、組換え微生物は、ラン藻類の種であり得る。今日までに、例えば、種々のアカリオクロリス属(Acaryochloris)、アルスロスピラ属(Arthrospira)、ラン藻、シアノセイス属(Cyanothece)、グロエオバクター属(Gloeobacter)、ミクロキスティス属(Microcystis)、ノストック属(Nostoc)、プロクロロコッカス属(Prochlorococcus)、シネココッカス属(Synechococcus)、シネコシスティス属(Synechocystis)およびサーモシネココッカス属(Thermosynechococcus)の種のゲノムを含めた30種を超えるラン藻ゲノムが完全に配列決定されており、例えば、ラン藻類レプトリンビア属(Leptolyngbya)種の株BL0902、アナバエナ属(Anabaena)(ノストック属(Nostoc))種PCC7120、アナバエナ・バリアビリス(Anabaena variabilis)ATCC29413、ノストック・パンクチフォルメ(Nostoc punctiforme)ATCC29133、ノストック属(Nostoc)種PCC7422、シネコシスティス属(Synechocystis)種PCC6803、シネココッカス・エロンガツス(Synechococcus elongatus)PCC7942、シネココッカス・エロンガツス(Synechococcus elongatus)PCC7002などを含めた、多数のラン藻の種が分子生物学の技術を使用して操作されている(Tatonら(2012年)PLoS One Vol.7、Iss. 1 e30910;Ruffing(2011年) Bioengineered Bugs 2:136〜149頁)。本明細書において提供される組換え微生物は、限定されない例として、以下の属のラン藻類:アグメネルム属(Agmenellum)、アナバエナ属(Anabaena)、アナバエノプシス属(Anabaenopsis)、アナシスティス属(Anacystis)、アファニゾメノン属(Aphanizomenon)、アルスロスピラ属(Arthrospira)、アステロカプサ属(Asterocapsa)、ボルジア属(Borzia)、カロトリックス属(Calothrix)、カマエシフォン属(Chamaesiphon)、クロコッカス属(Chroococcus)、クロログロエオプシス属(Chlorogloeopsis)、クロコッシディオプシス属(Chroococcidiopsis)、クロコッカス属(Chroococcus)、クリナリウム属(Crinalium)、シアノバクテリウム属(Cyanobacterium)、シアノビウム属(Cyanobium)、シアノシスティス属(Cyanocystis)、シアノスピラ属(Cyanospira)、シアノセイス属(Cyanothece)、シリンドロスペルモプシス属(Cylindrospermopsis)、シリンドロスペルマム属(Cylindrospermum)、ダクチロコッコプシス属(Dactylococcopsis)、デルモカルペラ属(Dermocarpella)、フィッシェレラ属(Fischerella)、フレミエラ属(Fremyella)、ゲイトレリア属(Geitleria)、ゲイトレリネマ属(Geitlerinema)、グロエオバクター属(Gloeobacter)、グロエオカプサ属(Gloeocapsa)、グロエオセイス属(Gloeothece)、ハロスピルリナ属(Halospirulina)、イエンガリエラ属(Iyengariella)、レプトリンビア属(Leptolyngbya)、リムノスリックス属(Limnothrix)、リンビア属(Lyngbya)、ミクロコレウス属(Microcoleus)、ミクロキスティス属(Microcystis)、ミクソサルシナ属(Myxosarcina)、ノデュラリア属(Nodularia)、ノストック属(Nostoc)、ノストコプシス属(Nostochopsis)、オシラトリア属(Oscillatoria)、フォルミジウム属(Phormidium)、プランクトスリックス属(Planktothrix)、プレウロカプサ属(Pleurocapsa)、プロクロロコッカス属(Prochlorococcus)、プロクロロン属(Prochloron)、プロクロロスリックス属(Prochlorothrix)、シュードアナベナ属(Pseudanabaena)、リブラリア属(Rivularia)、シゾスリックス属(Schizothrix)、サイトネマ属(Scytonema)、スピルリナ属(Spirulina)、スタニエリア属(Stanieria)、スタリア属(Starria)、スティゴネマ属(Stigonema)、シンプロカ属(Symploca)、シネココッカス属(Synechococcus)、シネコシスティス属(Synechocystis)、サーモシネココッカス属(Thermosynechococcus)、トリポスリックス属(Tolypothrix)、トリコデスミウム属(Trichodesmium)、チコネマ属(Tychonema)またはゼノコッカス属(Xenococcus)のいずれかのものであり得る。例えば、組換え光合成微生物は、シネココッカス属(Synechococcus)、シネコシスティス属(Synechocystis)またはサーモシネココッカス属(Thermosynechococcus)種であり得る。あるいは、組換え光合成微生物は、シアノビウム属(Cyanobium)、シアノセイス属(Cyanothece)またはシアノバクテリウム属(Cyanobacterium)の種であり得るか、さらにあるいは、組換え光合成微生物は、グロエオバクター属(Gloeobacter)、リンビア属(Lyngbya)またはレプトリンビア属(Leptolyngbya)の種であり得る。
【0091】
組換え微生物は、本明細書において開示される任意の脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含み得る。いくつかの例では、微生物は、NADPH生成性脱水素酵素、例えば、NADP依存性グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(非リン酸化)(EC1.2.1.9)、リンゴ酸酵素、イソクエン酸脱水素酵素、グルタミン酸脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素または6−ホスホグルコン酸脱水素酵素などをコードする非天然遺伝子を発現する。あるいは、またはさらに、組換え微生物は、アルデヒド脱水素酵素、メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素またはD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードする遺伝子を発現し得る。特定の例では、本明細書において提供されるような組換え微生物は、異種プロモーターに作動可能に連結された、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号18、配列番号19、配列番号15、配列番号16、配列番号2または配列番号29のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%または少なくとも85%、例えば、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む非天然核酸分子を含み得る。
【0092】
例えば、組換え微生物は、グルコース−6−リン酸脱水素酵素または6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、例えば、本明細書において開示される任意のものなどといったペントースリン酸経路の脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含み得る。6−ホスホグルコン酸脱水素酵素は、原核生物または真核生物の任意の生物から誘導されるものであり得、例えば、宿主微生物と同一種に由来し得、非天然遺伝子は、内因性6−ホスホグルコン酸脱水素酵素遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターを遺伝子操作することによって過剰発現される、導入された遺伝子または内因性遺伝子であり得る。あるいは、またはさらに、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素は、配列番号10、配列番号11に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。例えば、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素は、配列番号10または配列番号11に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。あるいは、またはさらに、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素は、配列番号13に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。例えば、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素は、配列番号13に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。宿主微生物は、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子に加えて、脂質生合成、例えば、脂肪酸生成物の合成に関与するポリペプチドをコードする少なくとも1種のさらなる非天然遺伝子をさらに含み得る。非天然6−ホスホグルコン酸脱水素酵素遺伝子および非天然脂質生合成遺伝子を含む組換え宿主微生物の培養物は、対照微生物が、非天然6−ホスホグルコン酸脱水素酵素遺伝子を含まない点を除いて、組換え宿主微生物とすべての点で同一である対照微生物の培養物によって製造されるものよりも多量の脂肪酸生成物を製造し得る。さらに、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子および脂肪酸生成物の合成に関与するポリペプチドをコードする非天然遺伝子を含む組換え宿主微生物は、高い繁殖および/または増殖速度を有し得、および/または脂肪酸生成物が製造されている培養条件下で対照微生物によって達せられ得るものよりも高い細胞密度に達し得る。特定の例では、組換え微生物の培養物によって多量に製造された脂質は、脂質製造のための非天然遺伝子の発現の不在下では微生物によって製造されない脂肪酸生成物である。
【0093】
さらなる例では、組換え微生物は、それだけには限らないが、本明細書において開示される任意のものを含めた、アルデヒド脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含み得る。アルデヒド脱水素酵素は、原核生物または真核生物の任意の生物から誘導されるものであり得、例えば、宿主微生物と同一種に由来し得、非天然遺伝子は、内因性アルデヒド脱水素酵素遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターを遺伝子操作することによって過剰発現される導入された遺伝子または内因性遺伝子であり得る。種々の例示的な例では、アルデヒド脱水素酵素は、配列番号4、配列番号6または配列番号7に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%または少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。例えば、アルデヒド脱水素酵素は、配列番号4、配列番号6または配列番号7に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。アルデヒド脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含む宿主微生物は、脂質生合成、例えば、脂肪酸生成物の合成に関与するポリペプチドをコードするさらなる非天然遺伝子をさらに含み得る。非天然アルデヒド脱水素酵素遺伝子および非天然脂質生合成遺伝子を含む組換え宿主微生物の培養物は、対照微生物が、非天然アルデヒド脱水素酵素遺伝子を含まない点を除いて、組換え宿主微生物とすべての点において同一である対照微生物の培養物によって製造されるものよりも多量の脂肪酸生成物を製造し得る。さらに、アルデヒド脱水素酵素をコードする非天然遺伝子および脂肪酸生成物の合成に関与しているポリペプチドをコードする非天然遺伝子を含む組換え宿主微生物は、高い繁殖および/または増殖速度を有し得、および/または脂肪酸生成物が製造されている培養条件下で対照微生物によって達せられるものよりも高い細胞密度に達し得る。特定の例では、組換え微生物によって多量に製造された脂質は、脂質製造のためのポリペプチドをコードする非天然遺伝子の発現の不在下では、微生物によって製造されない脂肪酸生成物である。
【0094】
例えば、アルデヒド脱水素酵素は、メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素であり得、宿主微生物は、それだけには限らないが、本明細書において開示される任意のものなどのメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含み得る。例えば、メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素は、配列番号18または配列番号19に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの例では、宿主微生物は、配列番号18または配列番号19に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有するメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含み得る。
【0095】
さらなる例では、組換え微生物は、それだけには限らないが、本明細書において開示される任意のものなどの、D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含み得る。D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素は、原核生物または真核生物の任意の生物から誘導されるものであり得、宿主微生物と同一種に由来し得、非天然遺伝子は、内因性D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターを遺伝子操作することによって過剰発現される導入された遺伝子または内因性遺伝子であり得る。種々の例では、微生物は、配列番号2または配列番号29に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含む。例えば、D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素は、配列番号2または配列番号29に対して、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。さらなる例では、微生物は、配列番号15または配列番号16に対して、またはその活性断片に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含む。例えば、D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素は、配列番号15または配列番号16に対して少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含む宿主微生物は、脂質生合成、例えば、脂肪酸生成物の合成に関与しているポリペプチドをコードするさらなる非天然遺伝子をさらに含み得る。非天然D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素遺伝子および非天然脂質生合成遺伝子を含む組換え宿主微生物の培養物は、対照微生物が、非天然D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素遺伝子を含まない点を除いて、組換え宿主微生物とすべての点において同一である対照微生物の培養物によって製造されるものよりも多量の脂肪酸生成物を製造し得る。さらに、D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードする非天然遺伝子および脂肪酸生成物の合成に関与しているポリペプチドをコードする非天然遺伝子を含む組換え宿主微生物は、脂肪酸生成物が製造されている培養条件下で対照微生物によって達せられるものよりも高い繁殖および/または増殖速度を有し得、および/またはより高い細胞密度に達し得る。組換え微生物によって多量に製造された脂質は、いくつかの例では、脂質製造のためのポリペプチドをコードする非天然遺伝子の発現の不在下では、微生物によって製造されない脂肪酸生成物であり得る。
【0096】
特定の限定されない例では、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子および微生物によって普通は製造されない(例えば、脂肪酸生成物の製造に関与しているポリペプチドをコードする非天然遺伝子を用いて形質転換されていない場合には、宿主微生物として使用される微生物の種または株によって製造されない)脂肪酸生成物の製造に関与しているポリペプチドをコードするさらなる非天然遺伝子を含む組換え微生物は、組換え光合成微生物であり得、組換え光合成微生物の培養物は、対照培養物の組換え光合成微生物が、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含まないか、または発現しない点を除いて、すべての点で同一である対照培養物によって製造されるものよりも多量の脂肪酸生成物を製造する。例えば、宿主微生物は、例えば、遊離脂肪酸、脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、脂肪酸エステル(例えば、脂肪酸アルキルエステル)またはワックスエステルを天然に製造しない真核生物微細藻類の一種であり得、脱水素酵素遺伝子および脂肪酸生成物の製造のための遺伝子を用いて形質転換された組換え宿主微生物は、遊離脂肪酸、脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、アルカン、アルケン、脂肪酸エステルまたはワックスステルのうち1種または複数を製造できる。あるいは、宿主微生物は、例えば、遊離脂肪酸、脂肪アルコール、アルカン、アルケン、脂肪酸エステル、ワックスエステルまたはトリグリセリドを天然には製造しないラン藻類の一種であり得、脱水素酵素遺伝子および脂肪酸生成物の製造のための遺伝子を用いて形質転換された組換え宿主微生物は、遊離脂肪酸、脂肪アルコール、アルカン、アルケン、脂肪酸エステル、ワックスエステルまたはトリグリセリドのうち1種または複数を製造できる。
【0097】
好ましくは、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子および脂質の製造に関与しているポリペプチドをコードする非天然遺伝子を含む光合成微生物の培養物は、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を欠く、そうでなければ同一である光合成微生物の培養物によって製造されるものよりも多量の脂肪酸生成物を製造する。例えば、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子および脂質の製造に関与しているポリペプチドをコードする非天然遺伝子を含む光合成微生物の光独立栄養培養物は、好ましくは、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を欠く、そうでなければ同一である光合成微生物の光独立栄養培養物によって製造されるものよりも多量の脂肪酸生成物を製造できる。さらに、またはあるいは、組換え光合成微生物の培養物は、例えば、無機(非還元)炭素を、脂肪酸生成物の製造のための炭素供給源として使用して、光独立栄養条件下で脂質を製造しながら、高い細胞密度に達し得る。
【0098】
脂肪酸生成物の製造のための遺伝子修飾
本明細書において提供されるような組換え微生物は、例えば、脂肪酸、脂肪酸誘導体(例えば、脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、ワックスエステル、アルカンまたはアルケン)またはグリセロ脂質(例えば、トリグリセリド)などの脂質を製造するように操作され得る。例えば、組換え微生物は、アシル−ACPチオエステラーゼ、アシル−CoAチオエステラーゼ、ヒドロキシベンゾイルチオエステラーゼ、脂質分解活性を有するポリペプチド、アシル−ACPレダクターゼ、アシル−CoAレダクターゼ、カルボン酸レダクターゼ、ワックスシンターゼ、デカルボニラーゼ、デカルボキシラーゼ、グリセロールリン酸アシルトランスフェラーゼ(GPAT)、リゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼ(LPAAT)、ホスファチジン酸ホスファターゼ(PAP)またはジアシルグリセロールO−アシルトランスフェラーゼ(DGAT)のうち1種または複数をコードする少なくとも1種の非天然遺伝子を含み得る。
【0099】
種々の限定されない例示的な例では、非天然脱水素酵素遺伝子を含む組換え微生物は、例えば、アシル−ACPチオエステラーゼ、アシル−CoAチオエステラーゼ、ヒドロキシベンゾイルチオエステラーゼおよび遊離脂肪酸の製造のための、または脂肪酸から生成した脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、ワックスエステル、アルカンもしくはアルケンの製造のための脂質分解活性を有するポリペプチドのうち1種または複数を含み得る。組換え微生物は、例えば、本明細書において開示される任意のものなどアシル−ACPチオエステラーゼ、例えば、高等植物FatBチオエステラーゼなどをコードする非天然遺伝子を含み得る。例示的実施例では、微生物は、タバコソウ属(Cuphea)アシル−ACPチオエステラーゼまたはその変異体をコードする非天然遺伝子、例えば、配列番号21に記載のアシル−ACPチオエステラーゼを含み得る。組換え微生物は、微細藻類、例えば、ラン藻であり得る。
【0100】
あるいは、またはさらに、非天然脱水素酵素遺伝子を含む組換え微生物は、脂肪アルデヒドの製造のために非天然アシルレダクターゼ遺伝子を、所望により、脂肪アルデヒドをアルカンに変換するデカルボニラーゼを含み得る。アルデヒド形成性アシルレダクターゼは、アシル−ACPレダクターゼまたはアシル−CoAレダクターゼであり得る。なおあるいは、またはさらに、非天然脱水素酵素遺伝子を含む組換え微生物は、脂肪アルコールの製造のためのアシルレダクターゼ遺伝子を、所望により、脂肪アルコールをワックスエステルに変換するワックスシンターゼを含み得る。アルコール形成性アシルレダクターゼは、アシル−ACPレダクターゼまたはアシル−CoAレダクターゼであり得る。ワックスシンターゼは、所望により、アシル−ACPを基質として使用できるワックスシンターゼであり得る。組換え微生物は、アシル−CoAシンセターゼをさらに含み得るか、またはアシルレダクターゼおよび/またはワックスシンターゼまたはアシルトランスフェラーゼなどの酵素が、アシル−ACPを基質として使用できる例では、アシル−CoAシンセターゼをコードする非天然遺伝子を含まない場合もある。特定の例では、脂肪酸誘導体の製造のために使用される組換え微生物は、アシル−CoAシンセターゼまたはアシル−ACPチオエステラーゼのいずれかをコードする遺伝子を天然には含まず、アシル−CoAシンセターゼまたはアシル−ACPチオエステラーゼのいずれかまたは両方をコードする外因性(すなわち、導入された)遺伝子をさらに含まない、ラン藻の一種である。
【0101】
あるいは、またはさらに、非天然脱水素酵素遺伝子を含む組換え微生物は、それだけには限らないが、DGAT、LPAATまたはGPATなどのアシルトランスフェラーゼをコードする非天然遺伝子を含み得、所望により、さらに、またはあるいは、PAPをコードする非天然遺伝子を含み得る。
【0102】
具体的には、それだけには限らないが、以下の例を含めた、コードされるポリペプチドが、酵素のクラスの活性を有する所与のクラスの既知または疑われる酵素に対して、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列が、本明細書において開示される構築物および微生物において使用するために含まれる。例えば、チオエステラーゼ、リパーゼ、アシル−CoAシンセターゼ、アルデヒド形成性レダクターゼ、アルコール形成性レダクターゼ、カルボン酸レダクターゼ、デカルボニラーゼ、デカルボキシラーゼ、ワックスシンターゼ、アシルトランスフェラーゼまたは本明細書において提供される微生物および方法において有用な輸送体をコードする核酸配列は、同定されたチオエステラーゼ、リパーゼ、アシル−CoAシンセターゼ、アルデヒド形成性レダクターゼ、アルコール形成性レダクターゼ、カルボン酸レダクターゼ、デカルボニラーゼ、デカルボキシラーゼ、ワックスシンターゼまたはアシルトランスフェラーゼ、例えば、それだけには限らないが、本明細書において開示されたものを含めた、データベースにおいて注釈がつけられた配列に対して、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有し得る。
【0103】
チオエステラーゼ
例えば、脱水素酵素をコードする1種または複数の組換え遺伝子の発現系に加えて、宿主微生物は、チオエステラーゼをコードする非天然遺伝子を含み得る。本明細書において、用語「チオエステラーゼ」は、チオエステル結合に作用して、脂肪酸放出できる加水分解酵素を含むものとする。宿主微生物は、遊離脂肪酸を製造できるか、またはチオエステラーゼによって放出された脂肪酸を、脂肪アルコールまたはワックスエステルなどのその他の生成物に変換できる。チオエステラーゼは、例えば、酵素番号3.1.2.2、3.1.2.14、3.1.2.18、3.1.2.19、3.2.1.20、3.1.2.22、3.1.2.23または3.1.2.27に対応し得る。宿主微生物において発現される外因性チオエステラーゼは、例えば、アシル−ACPチオエステラーゼ、アシル−CoAチオエステラーゼまたはヒドロキシルベンゾイルチオエステラーゼであり得る。例えば、遊離脂肪酸の製造のための微生物は、いくつかの実施形態では、外因性アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子、例えば、Pfamデータベースに対してクエリーされた場合に、20.3(PF01643のギャザリングカットオフ)以下のビットスコアを有するPfam PF01643とのマッチを提供するポリペプチドをコードする遺伝子を用いて形質転換され得る。外因性アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子は、高等植物種に由来するアシル−ACPチオエステラーゼをコードし得る。高等植物から誘導されるアシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子として、制限するものではないが、タバコソウ属(Cuphea)の種(例えば、クフェア・カルタゲンシス(Cuphea carthagenensis)、クフェア・ライティー(Cuphea wrightii)(例えば、GenBank受託AAC49784)、クフェア・ランケオラータ(Cuphea lanceolata)(例えば、GenBank受託CAA54060)、クフェア・パルストリス(Cuphea palustris)、(例えば、GenBank受託AAC49783、AAC49179)、クフェア・フッケリアナ(Cuphea hookeriana)(例えば、GenBank受託AAC72882、AAC49269、AAC72881、AAC72883)、クフェア・カロフィラ(Cuphea calophylla)(例えば、GenBank受託ABB71580)に由来するアシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子または参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開US2011/0020883に開示される種々のタバコソウ属(Cuphea)の種の遺伝子)またはその他の高等植物種に由来する遺伝子を挙げることができる。さらなる例では、本明細書において開示される方法および培養物において使用される微生物は、それだけには限らないが、アラビドプシス(Arabidopsis)(例えば、GenBank受託XP_002885681、NP_172327)、ピーナッツ(Arachis hypogaea)(例えば、GenBank受託ABO38556)、ブラシカ属(Brassica)種(例えば、GenBank受託CAA52069.1)、カメリア・オレイフェラ(Camellia oleifera)(例えば、GenBank受託ACQ57189)、シンナモナム・カンフォラム(Cinnamonum camphorum)(例えば、GenBank受託AAC49151)、ココヤシ(Cocos nucifera)(例えば、GenBank受託AEM72519、AEM72520、AEM72521)、グリシン・マックス(Glycine max)(例えば、GenBank受託ABD91726)、ガルシニア・マンゴスターナ(Garcinia mangostana)(例えば、GenBank受託AAB51525)、ワタ(Gossypium hirsutum)(例えば、GenBank受託AAD01982)、ヘリアンサス・アヌス(Helianthus annuus)(例えば、GenBank受託AAQ08226)、ナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas)(例えば、GenBank受託ABU96744)、マカダミア・テトラフィラ(Macadamia tetraphylla)(例えば、GenBank受託ADA79524)、アメリカアブラヤシ(Elaeis oleifera)(例えば、GenBank受託AAM09524)、ギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)(例えば、GenBank受託AAD42220)、イネ(Oryza sativa)(例えば、GenBank受託BAA83582)、ポプラ(Populus tomentosa)(例えば、GenBank受託ABC47311)、カリホルニアベイ(Umbellularia californica)(例えば、GenBank受託AAC49001)、アメリカニレ(Ulmus Americana)(例えば、GenBank受託AAB71731)およびトウモロコシ(Zea mays)(例えば、GenBank受託ACG41291)などの種に由来するアシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子またはすべて、その全文が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,455,167号、同5,654,495号および同5,455,167号に、また米国特許出願公開第2009/0298143号および同2011/0020883号に開示される任意のものを含み得る。コケ類(コケ植物門(Bryophyta))、例えば、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)(例えば、GenBank受託XP001770108)などに由来するアシル−ACPチオエステラーゼもさらに含まれる。前記の例は、使用され得るアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子の種類または特定の例に関して制限ではない。
【0104】
原核生物由来のアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子がさらに含まれる。本明細書において提供される方法および培養物において有用な微生物によって発現され得る原核生物アシル−ACPチオエステラーゼの例示的な例として、それだけには限らないが、デスルホビブリオ・デスルフリカンス(Desulfovibrio desulfuricans)(例えば、Q312L1)、エルシミクロビウム・ミヌトゥム(Elusimicrobium minutum)(例えば、ACC98705)、カルボキシドテルムス・ヒドロゲノフォルマンス(Carboxydothermus hydrogenoformans)(例えば、YP_359670)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)(例えば、YP_001039461)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)(例えば、YP_431036)、ゲオバクター・メタリレデューセンス(Geobacter metallireducens)(例えば、YP_384688)、サリニバクター・ルバー(Salinibacter ruber)(例えば、YP_444210)、マイクロシーラ・マリナ(Microscilla marina)(例えば、EAY28464)、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)(例えば、YP_001303423)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)(例えば、ZP_03949391)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)(例えば、YP_003062170)、ロイコノストック・メセントロイデス(Leuconostoc mesenteroides)(例えば、YP_817783)、オエノコッカス・オエニ(Oenococcus oeni)(例えば、ZP_01544069)、マイコバクテリア・スメグマティス(Mycobacterium smegmatis)(例えば、ABK74560)、マイコバクテリア・バンバーレニー(Mycobacterium vanbaalenii)(例えば、ABM11638)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)(例えば、ZP_04385507)、ロドコッカス・オパクス(Rhodococcus opacus)(例えば、YP_002778825)に由来するアシル−ACPチオエステラーゼまたは参照によりその全文が本明細書に組み込まれる2011年12月3日に出願された、「Prokaryotic Acyl-ACP Thioesterases for Producing Fatty Acids in Genetically Engineered Microorganisms」と題された同時係属中の本発明の譲受人に譲渡された特許出願番号第13/324,623号中に開示されるもののいずれかが挙げられる。
【0105】
さらなる例では、アシル−CoAチオエステラーゼをコードする遺伝子は、脱水素酵素をコードする外因性核酸分子を含む宿主微生物中に導入され得る。遊離脂肪酸または脂肪酸誘導体の製造のために微生物中に形質転換されるアシル−CoAチオエステラーゼ遺伝子は、植物、動物または微生物供給源に由来するものであり得る。例えば、大腸菌(E. coli)のTesAまたはTesBチオエステラーゼまたはその変異体、例えば、その全文が参照により本明細書に組み込まれるWO2010/075483中に開示されるような変異体に制限されないものなどのアシル−CoAチオエステラーゼをコードする遺伝子が、微生物中に導入され得る。また、タンパク質ファミリーのPfamデータベースに対してクエリーされると、ビットスコアがギャザリングカットオフ(20.7)以上である場合にPfam PF02551(アシル−CoAチオエステラーゼ)のメンバーとして同定されるタンパク質をコードする遺伝子も含まれる。
【0106】
あるいは、またはさらに微生物は、外因性ヒドロキシベンゾイルチオエステラーゼ、例えば、外因性4−ヒドロキシベンゾイルチオエステラーゼまたは4−クロロベンゾエートチオエステラーゼをコードする1種または複数の遺伝子を含み得る。遊離脂肪酸を製造するために微生物において有用であり得るヒドロキシベンゾイルチオエステラーゼをコードする遺伝子として、例えば、2011年12月13日に出願され、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、「Genetically Engineered Microorganisms Comprising 4-Hydroxybenzoyl-CoA Tioesterases and Methods of Using Same for Producing Free Fatty Acids and Fatty Acid Derivatives」と題された同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された特許出願第13/324,607号中に開示されるもの、バチルス属(Bacillus)種およびゲオバチルス属(Geobacillus)種に由来する4−ヒドロキシベンゾイルチオエステラーゼならびにアシディフィラム属(Acidiphilium)、バルトネラ属(Bartonella)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、マグネトスピリルム属(Magnetospirillum)、バークホルデリア属(Burkholderia)、グラヌリバクター属(Granulibacter)、リゾビウム属(Rhizobium)およびラブレンジア属(Labrenzia)の種などの4−ヒドロキシベンゾイルチオエステラーゼまたはその組合せを挙げることができる。
【0107】
アシル−ACPチオエステラーゼは、通常、複数の異なるアシル鎖長を有するアシル−ACP基質に対してある程度活性であり得る(例えば、基質選択を有する)が、特定のアシル鎖長を有する1種または複数のアシル−ACP基質に対して、その他の鎖長の基質よりも高い活性を有し得る。例えば、アシル−ACPチオエステラーゼは、8、10、12、14、16、18、20、22および/または24個の炭素のアシル鎖長を有する1種または複数のアシル−ACP基質に対して基質選択を有し得る。さらに、またはあるいは、アシル−ACPチオエステラーゼは、1種または複数の、8から18個の炭素、例えば、12から16個の炭素のアシル鎖長を有するアシル−ACP基質を加水分解し得る。
【0108】
脂質分解活性を有するポリペプチド
本発明の組換え微生物または宿主細胞は、あるいは、またはチオエステラーゼをコードする非天然遺伝子に加えて、脂質分解活性を有する1種または複数のポリペプチドをコードする1種または複数の非天然遺伝子を含み得、脂質分解活性を有するポリペプチドは、膜脂質または貯蔵脂質、例えば、リン脂質、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロールなどまたはその組合せから遊離脂肪酸を製造できる。脂質分解活性を有するポリペプチドは、例えば、リパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼまたはアミダーゼであり得る。リパーゼは、それだけには限らないが、モノ、ジおよびトリアシルグリセロールならびにその組合せを含めたグリセロ脂質中のエステル結合の加水分解を触媒して、遊離脂肪酸およびアルコール放出する酵素である。
【0109】
遊離脂肪酸の製造のために微生物において脂質分解活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の使用は、2011年12月13日に出願され、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、「Production of Free Fatty Acids and Fatty Acid Derivatives by Recombinant Microorganisms Expressing Polypeptides Having Lipolytic Activity」と題された、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第13/324,653号に開示されている。脂質分解活性を有するポリペプチドは、例えば、グリセロ脂質(モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、ガラクト脂質などを含む)から脂肪酸を遊離するリパーゼであり得るか、またはアミダーゼであり得る。例えば、組換え微生物は、リパーゼ、それだけには限らないが、AB加水分解酵素Pfam一家(CL0028)に属するPfamのメンバーであるリパーゼなどをコードする非天然遺伝子を含み得る。例えば、脂質分解活性を有するポリペプチドをコードする非天然遺伝子は、保存されたタンパク質ドメインCOG1075として同定されるLipAドメインを含むか、またはタンパク質ファミリーPfam PF01674(リパーゼ2)中に含まれるリパーゼ;保存されたタンパク質ドメインCOG3675として同定されるリパーゼ3ドメインを含むか、またはタンパク質ファミリーPfam PF01764(リパーゼ3)中に含まれるリパーゼをコードする非天然核酸分子;タンパク質ファミリーPfam PF07819(PGAP1)中に含まれるリパーゼをコードする非天然核酸分子;またはタンパク質ファミリーPfam PF03583、Pfam PF00151(リパーゼ)、Pfam PF00561(Ab加水分解酵素1)、Pfam PF02230(Ab加水分解酵素2)、Pfam PF07859(Ab加水分解酵素3)、Pfam PF08386(Ab加水分解酵素4)、Pfam PF12695(Ab加水分解酵素5)、Pfam PF12697(Ab加水分解酵素6)、Pfam PF12715(Ab加水分解酵素7)、Pfam PF04083(Abヒドロリパーゼ)のいずれか中に含まれるポリペプチドをコードする非天然核酸分子をコードし得る。さらに、組換え微生物は、脂質分解活性を有するアミダーゼ、例えば、それだけには限らないが、20.1のギャザリングカットオフよりも高いビットスコアを有するPfam PF01425(アミダーゼ)に入り、脂肪酸の脂質からの放出を触媒できるアミダーゼなどをコードする非天然遺伝子を含み得る。
【0110】
さらに、またはあるいは、内因性リパーゼ遺伝子の発現を誘導または増大する遺伝子調節配列を含むように操作されている組換え微生物が考慮される。例えば、微生物は、異種プロモーターが内因性リパーゼ遺伝子のコーディング領域の上流に挿入されるように操作され得る。異種プロモーターは、例えば、相同組換えまたは部位指定組換えを使用して、内因性プロモーターを置換することもあり、および/または内因性リパーゼ遺伝子の発現を調節する内因性プロモーターの上流もしくは下流に挿入されてもよい。異種プロモーターは、内因性リパーゼ遺伝子の発現を増大する構成性プロモーターまたは誘導プロモーターであり得る。
【0111】
しかし、所望により、さらに、脂肪酸または脂肪酸誘導体の製造のためにチオエステラーゼをコードする外因性遺伝子を含むように操作された組換え微生物は、リゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼ(LPAAT)をコードする外因性遺伝子をさらに含み得、LPAATは、チオエステラーゼのアシル−ACP基質選択とは異なるチオエステラーゼアシル−ACP基質選択を有する。あるいは、遺伝子操作されたラン藻であり得る遺伝子操作された微生物は、外因性チオエステラーゼ遺伝子の基質選択とは異なる基質選択を有する内因性LPAAT遺伝子を過剰発現し得る。LPAAT遺伝子の発現によって脂肪酸製造を増大するようラン藻類などの微生物を操作することは、2012年2月24日に出願され、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、「Enhanced Production of Fatty Acids and Fatty Acid Derivatives by Recombinant Microorganism」と題された、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第13/404,7171号に開示されている。
【0112】
アシル−CoAシンセターゼ
本発明の微生物および方法において使用される組換え核酸分子または単離核酸分子は、所望により、アシル−CoAシンセターゼをコードする核酸配列を含む場合があり、アシル−CoAシンセターゼは、チオエステラーゼまたはリパーゼによって生成した遊離脂肪酸を補酵素Aとカップリングして、アシル−CoAを提供し得、これは、多数のレダクターゼ、ワックスシンターゼおよびアシルトランスフェラーゼの基質であり、アシルトランスフェラーゼは、アシル−CoA基質を使用して、アルデヒド、アルコール、ワックスエステルおよびグリセロ脂質を生成し得る。アシル−CoAシンセターゼは、例えば、大腸菌(E. coli)(NP_416216)のFadD(NP_416319)もしくはFadKまたは限定されない例として、ビブリオ・スプレンディダス(Vibrio splendidus)(EGU44230)もしくはマリノバクター・アドヘレンス(Marinobacter adhaerens)HP15(ADP96803)のアシル−CoAシンセターゼを含めたその他の細菌種における相同体などの原核生物アシル−CoAシンセターゼであり得る。アシル−CoAシンセターゼ活性を有するとわかっているか、有すると疑われる原核生物タンパク質のさらなる限定されない例として、それだけには限らないが、アシネトバクター属(Acinetobacter)種ADP1 fadD(YP_045024)、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influenza)RdKW20 fadD(NP_438551)、バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)C−125 BH3103 (NP_243969)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)yhFl(NP_388908)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)Pfo−1 Pfl−4354(YP_350082)、コマモナス・テストステローニ(Comamonas testosteroni)KF−1 EAV15023(ZP_01520072)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)fadD1(NP_251989)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)PAO1 fadD2 (NP_251990)、リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)CFN42 fadD(YP_468026)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomo nas palustris)Bis B18 RPC_4074(YP_533919)、ラルストニア・ソラナセラム(Rasltonia Solanacearum)GM1 1000 fadD1(NP_520978)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)H37Rv fadDD35(NP_217021)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)H37Rv fadDD22(NP_217464)およびステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomon as Maltophilia)R551−3 PRK0059(ZP_01644857)が挙げられる。
【0113】
さらなる例では、アシル−CoAシンセターゼをコードする核酸配列は、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)アシル−CoAシンセターゼ(例えば、中鎖脂肪酸アシル−CoAシンセターゼFaa2p(NP_010931)またはSCRG_04483アシル−CoAシンセターゼ(EDV08843)またはヤロウイア属(Yarrowia)脂質分解アシル−CoAシンセターゼ(例えば、CAG77892)などの真菌種から誘導されたアシル−CoAシンセターゼをコードし得る。本明細書において開示される構築物および微生物において使用され得るさらなるアシル−CoAシンセターゼ遺伝子として、植物のアシル−CoAシンセターゼ、例えば、セイヨウアブラナ(Brassica napus)(CAC19877)の長鎖アシル−CoAシンセターゼまたはシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(AEE74324)の長鎖アシル−CoAシンセターゼまたはグリシン・マックス(Glycine max)(XP_003524920)のYng−I様アシル−CoAシンセターゼおよび藻類種のアシル−CoAシンセターゼ、例えば、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)(XP_001693692)の長鎖アシル−CoAシンセターゼまたはナノクロロプシス・オクラータ(Nannochloropsis oculata)(例えば、ADP09391)またはクロレラ・バリアビリス(Chlorella variabilis)(例えば、EFN56588)のアシル−CoAシンセターゼなどが挙げられる。昆虫(例えば、ミツバチ(Apis mellifera)例えば、アシル−CoAシンセターゼファミリーメンバー2、ミトコンドリア前駆体、NP_001193902)およびハツカネズミ(Mus musculus)などの哺乳動物(例えば、「MACS」アシル−CoAシンセターゼ、EDL17174)を含めた動物種のアシル−CoAシンセターゼがさらに考慮される。
【0114】
あるいは、本明細書において提供されるような組換え微生物は、アシル−CoAシンセターゼ、チオエステラーゼおよび/またはリパーゼをコードする外因性または過剰発現される遺伝子を含まない場合もある。例えば、本明細書において提供されるような組換え微生物は、アシル−CoA基質を利用することなく、または生成することなく1種または複数の脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、アルカン、アルケンまたはワックスエステルを製造し得る。例えば、非アシル−CoA基質を使用して脂肪アルコールおよびワックスエステルを製造する方法は、2012年9月27日に出願され、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、「Production and Secretion of Fatty Acids and Fattty Acid Derivatives」と題された同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第13/860,417号に、また2012年3月6日に出願され、同様に参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、「Acyl-ACP Wax Ester Synthases」と題された、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第13/413,426号に提供されている。
【0115】
アルデヒド生成性レダクターゼ
所望により、脂肪アルコール、ワックスエステルまたはアルカンなどの生成物にさらに変換され得る脂肪アルデヒドの製造のために、本明細書において提供されるようなトランスジェニック微生物は、例えば、アルデヒド形成性アシル−CoAレダクターゼ、アルデヒド形成性アシル−ACPレダクターゼまたはカルボン酸レダクターゼなどのアルデヒド形成性レダクターゼをコードする外因性遺伝子を含み得る。脂肪アルデヒドを生成する既知アシル−CoAレダクターゼと相同であるタンパク質をコードすると予測されるGenBankおよびその他の遺伝子データベースに列挙される遺伝子または遺伝子の一部は、本明細書において「アルデヒド生成性脂肪酸アシル−CoAレダクターゼ」と呼ばれ、それから製造される特定の脂肪アルデヒドまたは脂肪アルコールの製造について調べるために種々の微生物中に導入され得る。脂肪アルデヒド生成性アシル−CoAレダクターゼの限定されない例として、アシネトバクター・ベイリー(Acinetobacter baylyi)(AAC45217.1)のAcr1遺伝子、アシネトバクター属(Acinetobacter)種M−1のAcrM−1遺伝子(YP001086217)ならびに種々のフォトルミネッセンス細菌、例えば、アルテルモナス属(Altermonas)、フォトバクテリウム属(Photobacterium)、シュワネラ属(Shewanella)、ビブリオ属(Vibrio)またはゼノラブダス属(Xenorhabdus)の種のluxCおよびluxE遺伝子が挙げられる。例えば、配列相同性またはタンパク質ドメインによって同定されるこれらのおよびその他の遺伝子によってコードされる酵素は、当技術分野で公知のアッセイを使用してその基質および生成物を調べるために試験され得る。
【0116】
いくつかの例では、宿主細胞は、それだけには限らないが、参照によりその全文が本明細書に組み込まれるUS2010/0221798(WO2009/140696)に開示されるもののいずれかなどのアルデヒド形成性アシル−ACPレダクターゼをコードする非天然遺伝子を含み得る。例えば、組換え宿主細胞は、例えば、WO2009/140696またはWO2011/066137に開示されるようなアルデヒド形成性レダクターゼ、例えば、受託番号AAM82647;AAM82647;BAD78241;ABA22149;BAB76983;ZP_03763674;ACL42791;ZP_01628095;ZP_01619574;YP_001865324;YP_721978;NP_682102;YP_001518341;YP_002371106;ZP_05027136;ZP_03273554;NP_442146;ZP_01728620;ZP_05039135;YP_001802846;NP_926091;YP_001660322;ZP_00516920;CAO90781;ZP_01085337;YP_001227841;ABD96327;NP_897828;YP_001224378;ABD96480;ZP_01123215;ABB92249;ZP_01079773;YP_377636;NP_874926;NP_895058;ABD96274;ABD96442;ZP_01469469;ZP_05045052;YP_001014416;YP_001010913;YP_381056;YP_001550421;NP_892651;YP_001090783;ZP_01472595;YP_293055;ZP_05138243;YP_731192;YP_001483815;YP_001008982;YP_473896;YP_478638;またはYP_397030を有するレダクターゼのいずれかなどに対して、少なくとも60%、70%、80%、90%または95%の配列同一性を有するアルデヒド形成性アシル−ACPレダクターゼを含み得る。いくつかの例では、組換え宿主細胞は、アルデヒド形成性アシル−ACPレダクターゼをコードする外因性遺伝子を含み、ここで、アルデヒド形成性アシル−ACPレダクターゼは、ラン藻の種に由来するものであり得、宿主微生物と同一種に由来しても、異なる種に由来してもよい。あるいは、ラン藻宿主は、内因性アシル−ACPレダクターゼ遺伝子を過剰発現するように操作され得る。
【0117】
本発明において使用され得るカルボン酸レダクターゼをコードする遺伝子の限定されない例として、ノカルジア(Nocardia)属CAR遺伝子(AY495697)およびその相同体が挙げられ、その一部は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれるUS2010/0105963に開示されている。
【0118】
アルコール形成性脂肪酸アシルレダクターゼ
脂肪アルコール(所望により、ワックスエステルシンターゼによって基質として使用され得る)の製造のために、本明細書において提供されるような核酸分子は、脂肪アルコール形成性アシルレダクターゼまたはアシル−CoAを脂肪アルコールに還元し得る「FAR」をコードする配列をさらに有し得る(can further)。FARは、例えば、ユーグレナ属(Euglena)(例えば、Teerawanichpanら、Lipids 45:263〜273頁(2010年)を参照のこと)、アラビドプシス属(Arabidopsis)(例えば、Rowlandら、Plant Physiol. 142:866〜877頁(2006年)、Doanら、J. Plant Physiol. 166:787〜796頁(2009年)およびDomergueら、Plant Physiol. 153:1539〜1554頁(2010年)を参照のこと)、ヨモギ属(Artemisia)(例えば、Maesら、New Phytol. 189:176〜189頁(2011年)を参照のこと)、ホホバ(例えば、Metzら、Plant Physiol. 122:635〜644頁(2000年)を参照のこと)、ガ(例えば、Lienardら、Proc. Natl. Acad. Sci. 107:10955〜10960頁(2010年)を参照のこと)、ミツバチ(例えば、Teerawanichpanら、Insect Biochemistry and Molecular Biology 40:641〜649頁(2010年)を参照のこと)および哺乳動物(例えば、Honshoら、J. Biol. Chem. 285:8537〜8542頁(2010年)を参照のこと)において同定されている。本発明の微生物および方法において有用なアルコール形成性脂肪酸アシルレダクターゼは、宿主微生物において活性を有する任意のアルコール形成性レダクターゼであり得る。
【0119】
使用され得るその他のアルコール形成性脂肪酸アシルレダクターゼの限定されない例として、それだけには限らないが、カイコ(Bombyx mori)由来のbfar(BAC79426)、ホホバ(Simmondsia chinensis)由来のjjfar(AAD38039)、コムギ(Triticum aestivum)由来のアシル−CoAレダクターゼ(CAD30694またはCAD30692)、ハツカネズミ(Mus musculus)由来のmfarl(NP_081655)、ハツカネズミ(Mus musculus)由来のmfar2(NP_848912)、ヒト(H. sapiens)由来のhfar(NP_115604)、アズキノメイガ(Ostrinia scapulalis)由来のFARXIII(ACJ06520)、トウモロコシ(Z. mays)由来のMS2(NP_001151388またはEU970865)またはシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のMS2(NP_187805)、FAR4(NP_001030809またはNP_190040)、FAR6(67633703)、CER4(NP_567936)またはAth(NP567936)、サクラスガ(Yponomeuta evonymellus)由来のYev−pgFAR(GQ907231−GQ907233)、イポノメウタ・ロレルス(Yponomeuta rorellus)由来のYro−pgFAR(GQ907234)、イポノメウタ・パデルス(Yponomeuta padellus)由来のYpa−pgFAR(GQ907235)、アワノメイガ(Ostrinia nubilalis)由来のOnuE(FJ807735)、ヒト(Homo sapiens)由来のHas(AAT42129)などが挙げられる。
【0120】
本発明の微生物および方法において有用なアルコール形成性脂肪酸アシルレダクターゼはまた、またはあるいは、マリノバクター・アクアエオレイ(Marinobacter aquaeolei)VT8 Maqu_2220(YP_959486)、マリノバクター・アルジコラ(Marinobacter algicola)DG893(ΖΡ_01892457);ハヘラ・ケジュエンシス(Hahella chejuensis)KCTC 2396 HCH_05075(YP_436183);オセアノバクター属(Oceanobacter)種RED65(ZP_01305629)またはマリノバクター・アクアエオリ(Marinobacter aquaeoli)VT8 2220 Maqu_2507遺伝子(ABM19582)などの原核生物アルコール形成性アシル−CoAレダクターゼであり得る。
【0121】
基質としてアシル−ACPを使用できるアルコール形成性レダクターゼ(外因性および/または内因性アシル−CoAシンセターゼ遺伝子を欠く組換え微生物における脂肪アルコールおよびワックスエステルの製造のために使用され得る)は、2012年9月27日に出願され、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、「Production and Secretion of Fatty Acids and Fatty Acid Derivatives」と題された、本発明の譲受人に譲渡された同時係属中の米国特許出願第13/860,417号に、また2012年3月6日に出願され、同様に参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、「Acyl-ACP Wax Ester Synthases」と題された、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第13/413,426号に開示される。
【0122】
ワックスエステルシンターゼ
ワックスエステルは、ワックスエステルシンターゼによって触媒される、脂肪酸アシル−チオエステル基質および脂肪アルコール間の縮合反応の生成物である。ワックスエステルシンターゼ活性を有するポリペプチドは、ワックスシンターゼ、膜結合O−アシルトランスフェラーゼ(MBOAT)、ジアシルグリセロールO−アシルトランスフェラーゼ(例えば、EC2.3.1.20)、アルコールアシルトランスフェラーゼ(AAT、EC 2.3.1.84)、長鎖アルコールO−脂肪アシルトランスフェラーゼ(例えば、2.3.1.75)またはアルコールシンターゼ/アシル−CoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼを含めたO−アシルトランスフェラーゼとして同定されるポリペプチドであり得る。ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)として同定されるいくつかのポリペプチドは、ワックスエステルシンターゼ活性を有するとわかり得る。ワックスエステルシンターゼは、例えば、アシネトバクター属(Acinetobacter)(Ishigeら、Appl. Environ. Microbiol. 68:1192〜1195頁(2002年);KalscheuerおよびSteinbuchel、J. Biol. Chem. 278:8075〜8082頁(2003年);Kalscheuerら、Appl. Environ. Microbiol. 72:1373〜1379頁(2006年))、マリノバクター属(Marinobacter)(HoltzappleおよびSchmidt-Dannert、J. Bacteriol. 189:3804〜3812頁(2007年))、アラビドプシス属(Arabidopsis)(Liら、Plant Physiol. 148:97-107(2008年))、ペチュニア(Kingら、Planta 226:381〜394頁(2007年))、ホホバ(Lardizabalら、Plant Physiol.122:645〜655頁(2000年))および哺乳動物種(ChengおよびRussell、J. Biol. Chem. 279:37798〜37807頁(2004年);Yenら、J. Lipid Res. 46:2388〜2397頁(2005年))において同定されている。
【0123】
ワックスエステルシンターゼは、構造ドメインまたは既知ワックスエステルシンターゼ/DGAT配列に対する配列類似性に基づいて、当技術分野で公知の方法を使用して同定され得る。限定されない例として、20.6のギャザリングカットオフよりも高いビットスコアおよび0.01以下のE値を有するPfam PF03007(ワックスエステルシンターゼ様アシル−CoAアシルトランスフェラーゼドメイン)に入る、または25.0のギャザリングカットオフより高いビットスコアおよび0.01以下のE値を有するPfam PF13813(「MBOAT_2」)に入るポリペプチドをコードする遺伝子が、本明細書において提供される核酸分子および微生物において使用するために選択され得る。
【0124】
本明細書において提供される核酸分子によってコードされるワックスエステル合成タンパク質として、それだけには限らないが、ホホバ(Simmondsia chinensis)、アシネトバクター属(Acinetobacter)種の株ADP1(以前は、アシネトバクター・カルコアセチクス(Acinetobacter calcoaceticus)ADP1)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、ファンジバクター(アルカニボラックス)・ジャデンシス(Fundibacter (Alcanivorax) jadensis)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)またはアルカリゲネス・ユートロフス(Alkaligenes eutrophus)由来の多酵素複合体から選択されるアシルトランスフェラーゼまたはワックスシンターゼ、脂肪酸アシルトランスフェラーゼ、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、アシル−coAワックスアルコールアシルトランスフェラーゼおよび二機能性ワックスエステルシンターゼ/アシル1−CoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼを挙げることができる。ワックスシンターゼはまた、アルカリゲネス・ユートロフス(Alkaligenes eutrophus)ならびにワックスおよび脂肪酸エステルを製造すると文献においてわかっているその他の生物に由来する多酵素複合体に由来し得る。
【0125】
本明細書において提供される核酸分子およびトランスジェニック微生物において使用するために考慮されるワックスエステルシンターゼ活性を有するとわかっているか、有すると疑われるタンパク質として、それだけには限らないが、マリノバクター・ヒドロカルボノクラスチクス(Marinobacter hydrocarbonoclasticus)WS 1(ABO21020)、マリノバクター・ヒドロカルボノクラスチクス(Marinobacter hydrocarbonoclasticus)DSM 8798 WS2(ABO21021)、M.種ELB 17(GenBank受託EBA00388)、M.アクアエオレイ(aquaeolei)Maqu_0168 WS(YP_957462)、M.アドヘレンス(adhaerens)HP15 WS(ADP99639)、ハヘラ・ケジュエンシス(Hahella chejuensis)KCTC 2396(YP_432512)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)ワックスエステルシンターゼ(EGJ63408)、A.カルコアセチクス(calcoaceticus)WS/DGAT(ZP_06058985)アシネトバクター・ベイリー(Acinetobacter baylyi)ADP1ワックスエステルシンターゼ(AAO17391またはQ8GGG1)、ブラジリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110(NP_769520)、エリスロバクター・リトラリス(Erythrobacter litoralis)HTCC 2594(YP_457389)、ロドコッカス・オパクス(Rhodococcus opacus)ワックスエステルシンターゼ(BAH53702)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)ワックスエステルシンターゼ(NP_334638)、スメグマ菌(M. smegmatis)ワックスエステルシンターゼ(ABK74273)、アルカニボラックス属(Alcanivorax)の種の「WS/DGAT/MGAT」サブファミリータンパク質(CAL17252、EDX90960、EDX89052、ZP_05043539、ZP_05041631)、ノカルジア・ファルシニカ(Nocardia farcinica)IFM 10152由来のwsadpl(YP_117375)、フォトバクテリウム・プロフンダム(Photobacterium profundum)SS9(YP_130413)、ロドフェラックス・フェリレデュセンス(Rhodoferax ferrireducens)DSM15236(ZP_00691704)およびサリニバクター・ルバー(Salinibacter ruber)DSM13855(YP_446603)などの原核生物種に由来するワックスシンターゼが挙げられる。
【0126】
ワックスシンターゼとして有用であり得る真核生物ポリペプチドの例として、制限するものではないが、ホホバワックスエステルシンターゼJjWS(AF149919)、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)ワックスエステルシンターゼ(ADI60058)、シロイヌナズナ(Arabidiopsis thaliana)WSD1 O−アシルトランスフェラーゼ(NP_568547)、シロイヌナズナ(Arabidiopsis thaliana)GPATアシルトランスフェラーゼ(NP_174499)、シロイヌナズナ(Arabidiopsis thaliana)の推定長鎖アルコールO−脂肪アシルトランスフェラーゼ4(NP_200346)ナンヨウザンショウ(Murraya koenigii)ワックスエステルシンターゼ、ヒト(H. sapiens)由来のアシル−CoAワックスアルコールアシルトランスフェラーゼ2(NP_001002254)、ハツカネズミ(Mus musculus)由来のmWS(Q6E1M8)、フラガリア・キサナナス(Fragaria xananas)由来のSAAT(AAG13130)、トウモロコシ(Zea mays)の膜結合O−アシルトランスフェラーゼ(MBOAT)(NP_001131179)、リンゴ(Malus x domestica)由来のmdAAT2(AAS79797)ならびに昆虫ワックスエステルシンターゼなどが挙げられる。
【0127】
基質としてアシル−ACPを使用でき、例えば、アシル−CoAシンセターゼまたはチオエステラーゼをコードする外因性または内因性遺伝子のいずれかまたは両方を欠く組換え微生物におけるワックスエステルの製造のために使用され得るワックスエステルシンターゼとして、2012年3月6日に出願され、同様に参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、「Acyl-ACP Wax Ester Synthases」と題された、本発明の譲受人に譲渡された、同時係属中の米国特許第13/413,426号に開示されるものが挙げられる。基質としてアシル−ACPを使用できるワックスエステルシンターゼはまた、DGAT活性を有し得、それだけには限らないが、アシル−CoAを欠くラン藻類および/またはアシル−CoAシンセターゼもしくはチオエステラーゼをコードする外因性もしくは内因性遺伝子のいずれかもしくは両方を欠く微生物などの組換え微生物におけるトリグリセリドの製造において有用であり得る。
【0128】
あるいは、または上記の非天然遺伝子のいずれかに加えて、本発明の組換え微生物は、外因性脂肪酸デカルボキシラーゼまたは外因性脂肪アルデヒドデカルボニラーゼをコードする少なくとも1種の核酸分子、さらに、所望により、外因性アシル−CoAレダクターゼ、カルボン酸レダクターゼまたはアシル−ACPレダクターゼをコードする少なくとも1種の外因性核酸分子を含み得、アルカンおよび/またはアルケンを製造し得る。例えば、本明細書において提供されるような組換え微生物は、例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のCER1(NP_171723)もしくは別の種のオーソログもしくはその誘導体などのデカルボニラーゼまたは全文が本明細書に組み込まれるUS20110124071(WO2011/062987)に開示されるデカルボニラーゼのいずれかをコードする外因性核酸分子を含み得、これは、本明細書において上記に開示されるいずれかなどのアルデヒド形成性アシルレダクターゼをコードする非天然遺伝子とともに発現され得る。あるいは、本明細書において提供されるような組換え微生物は、それだけには限らないが、両方とも参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、US20100235934またはUS8,110,093に開示されるいずれかなどのオレフィン(アルケン)の製造のための遺伝子をコードする非天然遺伝子を含み得る。本発明の組換え微生物または宿主細胞によって製造されるアルカンおよびアルケンは、例えば、例えば、7、9、11、13、15および/または17個の炭素の鎖長または7、9、11、13および/または15個の炭素の鎖長または11、13および/または15個の炭素の鎖長を含めた7、9、11、13、15、17、19、21および/または23個の炭素の鎖長を有し得る。
【0129】
トリグリセリド(TAG)の製造のために微生物を操作するために、1種または複数のグリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼ(本明細書において以下、「GPAT」とも呼ばれる;EC 2.3.1.15)、リゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼまたは「LPAAT」、EC 2.3.1.51、ホスファチジン酸ホスファターゼ(PAP、3−sn−ホスファチジン酸ホスホ加水分解酵素)またはジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT、E.C.2.3.1.20)をコードする非天然遺伝子を、微生物中に導入してもよい。遺伝子は、原核生物または真核生物の任意供給源に由来し得る。これらのクラスの酵素のすべてに属する遺伝子は、当技術分野で公知であり、これらの活性を有する遺伝子への言及は、例えば、米国特許出願公開2007/0184538、US2010/0159110および20100255551に、また、2012年2月24日に出願され、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、「Enhanced Production of Fatty Acids and Fatty Acid Derivatives by Recombinant Microorganism」と題された、本発明の譲受人に譲渡された、同時係属中の米国特許出願第13/404,7171号に見出すことができる。
【0130】
あるいは、または上記の修飾のいずれかに加えて、本発明の組換え微生物は、所望により、脂肪酸製造に影響を及ぼす酵素をコードする外因性または組換え核酸分子を含み得る。例えば、本明細書において提供されるような組換え微生物は、それだけには限らないが、アセチル−CoAカルボキシラーゼ、マロニルCoA:ACPトランスアシラーゼまたはβ−ケトアシル−ACPシンターゼを含めた脂肪酸の合成に関与しているポリペプチドをコードする1種または複数の外因性核酸分子を含み得るか、または脂肪酸または脂質製造のためのポリペプチドをコードする内因性遺伝子を過剰発現するように操作され得る。
【0131】
なおさらに、組換え宿主細胞は、所望により、1種または複数の脂肪酸生成物の分泌を促進するために、外因性膜貫通輸送体を発現するように操作され得る。例えば、組換え宿主細胞は、ATP結合カセット(ABC)輸送体またはRNDポンプをコードする非天然遺伝子を含み得る。いくつかの実施形態では、輸送体は、アラビドプシス(Arabidopsis)遺伝子CER5、WBC11、AtMRPS、AmiS2およびAtPGP1またはサッカロミセス属(Saccharomyces)、ドロソフィラ属(Drosophila)、マイコバクテリアの種もしくは哺乳動物の種に由来する脂肪酸輸送体(FATP)遺伝子によってコードされる輸送体タンパク質と、配列で、少なくとも80%同一である。
【0132】
上記の組換え宿主細胞は、本明細書において記載されるような脂肪酸生成物を製造する方法のいずれかにおいて使用され得る。
【0133】
FFA製造のためのさらなる修飾
組換え微生物は、例えば、アシル−CoAシンセターゼ、アシル−ACPシンセターゼ、アシルCoA脱水素酵素、グリセロール−3−リン酸脱水素酵素、アセトアルデヒドCoA脱水素酵素、ピルビン酸脱水素酵素、酢酸キナーゼなど、およびその組合せをコードする内因性核酸分子の修飾をさらに含み得る。特定の実施形態では、修飾は、内因性核酸を下方調節し、核酸もしくはその調節エレメントの部分的な、実質的なまたは完全な欠失、サイレンシングまたは不活化を含む。
【0134】
いくつかの例では、例えば、ラン藻であり得る宿主微生物は、脂肪酸の脂質への再利用に関与しているアシル−ACPシンセターゼをコードする内因性遺伝子の弱毒化された発現を有し得る。内因性アシル−ACPシンセターゼ遺伝子は、例えば、プロモーターの欠失もしくは突然変異によって下方調節され得るか、または遺伝子のタンパク質コーディングは、例えば、挿入突然変異誘発によって内部が欠失されるか、もしくは破壊され得る。あるいは、全アシル−ACPシンセターゼ遺伝子は、例えば、相同組換えまたはその他のゲノム修飾技術によって欠失され得る。なおさらなる代替法では、それだけには限らないが、リボザイム、アンチセンスまたはRNAi構築物などの遺伝子ノックダウン構築物が宿主細胞中に導入されて、内因性アシル−ACPシンセターゼ遺伝子の発現が弱毒化され得る。
【0135】
あるいは、またはさらに、本発明の組換え微生物(例えば、組換えラン藻(cuanobacterium))は、貯蔵炭水化物および/またはポリヒドロキシアルカノエート(PHA)生合成経路酵素をコードする1種または複数の遺伝子が不活化または下方調節されるよう、および/またはこのような経路で作動する酵素自体が阻害されるよう修飾され得る。例として、それだけには限らないが、グルカンシンターゼおよび/または分岐酵素を含めた、グリコーゲン、デンプンまたはクリソラミナリン合成に関与している酵素が挙げられる。その他の例として、アセトアセチル−CoAシンターゼおよびPHAシンターゼなどのPHA生合成に関与している酵素が挙げられる。
【0136】
遺伝子は、破壊、欠失、アンチセンス配列の作製、リボザイムの作製、RNAi、メガヌクレアーゼゲノム修飾および/またはその他の組換えアプローチによって特異的に標的化され得る。遺伝子の不活化は、UVおよび/または化学変異誘発物質に対する曝露などのランダム突然変異技術によって、さらに、またはあるいは達成され得、得られた遺伝子および/または酵素は、所望の活性を有する突然変異体についてスクリーニングされ得る。タンパク質自体が適当な抗体の細胞内生成、ペプチド阻害物質の細胞内生成など、またはそのいくつかの組合せによって阻害され得る。
【0137】
核酸分子
本明細書に記載される核酸分子およびコードされるポリペプチドは、本発明の方法のいずれかにおいて使用され得、本発明の構築物、ベクターまたは組換え微生物のいずれかに含まれ得る。脱水素酵素をコードする配列を含む核酸分子は、遊離脂肪酸、脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、ワックスエステル、アルカン、アルケンおよび/またはトリグリセリドなどのグリセロ脂質を含めた脂肪酸生成物を製造するための宿主微生物および方法において使用するために提供される。本明細書において開示されるような核酸分子は、単離および/または精製され得る。
【0138】
本発明は、脱水素酵素をコードする核酸配列、例えば、本明細書に開示される任意のものまたはその任意の活性断片を含む単離核酸分子を提供する。例えば、本明細書において提供されるような核酸分子は、アルデヒド脱水素酵素、2−ヒドロキシ酸脱水素酵素、D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素、グリセリド−3−リン酸脱水素酵素(非リン酸化)、リンゴ酸酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、グルタミン酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素またはソルビトール脱水素酵素をコードする核酸配列を含み得る。
【0139】
本明細書に記載されるような脱水素酵素をコードする組換え核酸分子の配列の宿主微生物(脂質の合成に関与しているポリペプチドをコードする非天然遺伝子を発現する組換え微生物など)における発現は、宿主微生物の培養物によって製造される脂肪酸生成物の、対照微生物の培養物の製造レベルよりも高い製造レベルをもたらし得、対照微生物は、同一条件下で培養され、対照微生物が、脱水素酵素をコードする非天然核酸配列を発現しない点を除いて、脱水素酵素をコードする核酸配列を発現する微生物とすべての点で実質的に同一である。さらに、脱水素酵素をコードする、本明細書において提供されるような組換え核酸分子または配列を含む組換え宿主微生物は、対照微生物が、脱水素酵素をコードする非天然核酸分子または配列を含まないという点を除いて、すべての点において脱水素酵素をコードする非天然核酸分子を含む宿主微生物と同一である対照微生物よりも、高い繁殖および/または増殖速度を有し得る。脱水素酵素をコードする配列を含む、本明細書において提供される組換え核酸分子を含む組換え宿主微生物は、組換え微生物が脂質を製造している培養期間の間に、脱水素酵素をコードする非天然核酸分子を欠く対照微生物よりも、高い繁殖および/または増殖速度を有し得る。組換え微生物は、例えば、光合成微生物であり得る。
【0140】
特定の例では、本明細書において提供されるような組換え核酸分子は、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号18または配列番号19、配列番号2、配列番号29、配列番号15、配列番号16、配列番号10、配列番号11または配列番号13のアミノ酸配列またはその活性断片に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む脱水素酵素をコードし得る。
【0141】
例えば、本発明は、配列番号29のアミノ酸配列またはその一部に対して、例えば、配列番号29のポリペプチドの機能的断片に対して、少なくとも少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離核酸分子または組換え核酸分子を提供する。例えば、本明細書において提供されるような核酸分子は、配列番号29のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する、または配列番号29のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、または、例えば、配列番号29のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし得、配列番号29のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み得る。
【0142】
本発明はさらに、配列番号2のアミノ酸配列に対して、またはその一部に対して、例えば、ポリペプチドの機能的断片に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含み得る、脱水素酵素をコードする単離核酸分子または組換え核酸分子を提供する。例えば、脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列またはその機能的断片に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか、または配列番号2のアミノ酸配列またはその機能的断片に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか、または、例えば、配列番号2のアミノ酸配列またはその機能的断片に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得、また、配列番号2のアミノ酸配列のすべてもしくは活性断片に対して同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み得る。
【0143】
本発明は、本明細書に記載されるようなポリペプチドの機能的断片または変異体をコードするものなどの本発明のヌクレオチド配列の変動を包含する。種々の変異誘発物質および変異誘発プロセスによって誘導されるものなどのこのような変異体は、天然に存在する場合も、天然に存在しない場合もある。変動は、それだけには限らないが、保存的または非保存的アミノ酸変更またはアミノ酸付加および欠失をもたらし得る、1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失および置換を含む。所与の核酸配列は、例えば、核酸分子もしくはその一部の化学合成、ランダムもしくは定方向突然変異を導入するDNA増幅方法、標準化学的もしくは照射突然変異誘発および/または人工進化(選択)またはドメインスワッピング方法によって修飾され、修飾された配列を生成し得る。さらに、脱水素酵素ORFは、cDNAライブラリーなどの転写物の収集物から誘導することができ、転写物の配列は未知であり得る。加速された進化方法は、例えば、Stemmer(1994年) Nature 370、389〜391頁およびStemmer(1994年) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91、10747〜10751頁に記載されている。突然変異は、それだけには限らないが、藻類またはラン藻類などのトランスジェニック種における野生型配列の発現を増強するためのコドン最適化(例えば、Burgess-Brown(2008年)Protein Expr. Purif. 59、94〜102頁)および本発明の脱水素酵素のアミノ酸配列を変更する部位指定突然変異誘発に起因する突然変異を含む。アミノ酸配列におけるこのような変更は、本発明の脱水素酵素の生物活性を高め得る。例えば、本発明の脱水素酵素タンパク質をコードする遺伝子のヌクレオチド配列は、その生物活性を高めて、脂肪酸、脂肪酸誘導体または脂質製造を高めるよう突然変異誘発され得る。
【0144】
例えば、本発明は、参照ポリペプチドと比較して増大した活性を有する脱水素酵素の断片および変異体を提供し、特定の実施形態では、脱水素酵素断片または変異体は、変異体が誘導される脱水素酵素の活性と比較して、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%または1000%増大される活性を有し得る。特定の実施形態では、断片または変異体を発現する宿主細胞の培養物によって製造される脂肪酸生成物の量は、断片または変異体が由来する脱水素酵素を発現する宿主細胞の培養物によって製造される脂肪酸生成物の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%または1000%の量である。
【0145】
さらに、またはあるいは、本発明は、天然に存在する脱水素酵素アミノ酸配列の変異体、例えば、それだけには限らないが、参照配列のNおよび/またはC末端で、および/または参照配列内で少なくとも1つのアミノ酸残基が付加または欠失されている、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号18、配列番号19、配列番号2、配列番号29、配列番号15、配列番号16、配列番号10、配列番号11または配列番号13またはその断片の脱水素酵素配列の変異体をコードする核酸分子を提供する。例えば、タンパク質を葉緑体などの位置に向かわせるために、細胞標的化シグナルがタンパク質に付加され得る。
【0146】
本発明はまた、1個または複数のアミノ酸がタンパク質から欠失している脱水素酵素の欠失突然変異体をコードする核酸分子も包含する。例えば、コードされるポリペプチドは、Nおよび/またはC末端から少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70または80個のアミノ酸を欠くことがあり、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号18または配列番号19、配列番号2、配列番号29、配列番号15、配列番号16、配列番号10、配列番号11または配列番号13の対応するアミノ酸配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を有し得る。いくつかの例では、欠失された配列は、標的化配列、例えば、葉緑体輸送ペプチドの少なくとも一部、ミトコンドリア標的化配列の少なくとも一部、小胞体標的化配列の少なくとも一部などを含み得る。
【0147】
置換、挿入または欠失は、変更された配列が、タンパク質と関連している生物学的機能を実質的に阻害する場合に、タンパク質に悪影響を及ぼし得る。特定の実施形態では、脱水素酵素の変異体は、変異体が誘導される脱水素酵素(例えば、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号18または配列番号19、配列番号2、配列番号29、配列番号15、配列番号16、配列番号10、配列番号11または配列番号13のいずれかまたはその他の脱水素酵素)の活性と比較して約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、40%または50%以下だけ低減された活性を有し得る。いくつかの実施形態では、脱水素酵素変異体を発現する宿主細胞の培養物によって製造される脂肪酸生成物の量は、変異体が誘導される脱水素酵素(例えば、例えば、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号18または配列番号19、配列番号2、配列番号29、配列番号15、配列番号16、配列番号10、配列番号11または配列番号13のいずれかまたはその他の脱水素酵素)を発現する宿主細胞の培養物によって製造された脂肪酸生成物の量の約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%または75%以上である。
【0148】
したがって、本発明はまた、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号18または配列番号19、配列番号2、配列番号29、配列番号15、配列番号16、配列番号10、配列番号11または配列番号13のペプチド配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、70%、75%、80%または85%、例えば、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または約100%の配列同一性のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離核酸分子;全タンパク質の少なくとも50個、例えば、少なくとも75個、少なくとも100個、少なくとも125個、少なくとも150個またはそれ以上のアミノ酸残基の連続配列を含むその断片;このような配列のアミノ酸配列変異体を含み、ここでは、挿入および置換を含有する開示された配列(複数可)、開示された配列のアミノ酸配列変異体ならびに/または上記で定義されるその断片のNおよび/もしくはC末端に、および/もしくはその内部に少なくとも1個のアミノ酸残基が挿入されている。考慮される変異体は、さらに、またはあるいは、例えば、相同組換えまたは部位指定もしくはPCR突然変異誘発によって所定の突然変異を含有するものならびにそれだけには限らないが、本明細書において記載されるものを含めたその他の種の対応するタンパク質、挿入および置換を含有するタンパク質のファミリーの対立遺伝子もしくはその他の天然に存在する変異体ならびに/またはタンパク質が、挿入および置換を含有する天然に存在するアミノ酸以外の部分(例えば、酵素などの検出可能な部分)を用いて、置換、化学的、酵素的もしくはその他の適当な手段によって共有結合によって修飾されている誘導体を含み得る。
【0149】
本発明の「核酸」または「核酸分子」は、DNAまたはRNA、例えば、mRNAであり得る。核酸分子は、二本鎖または一本鎖であり得、一本鎖RNAまたはDNAは、コーディングまたはセンス鎖であっても、非コーディングまたはアンチセンス鎖であってもよい。さらに、発現される核酸およびポリペプチドの化学的または酵素的変化は、標準的な方法によって実施され得る。例えば、配列は、リン酸基、メチル基、脂質、糖、ペプチド、有機もしくは無機化合物の付加によって、修飾されたヌクレオチドもしくはアミノ酸を含むことなどによって修飾され得る。
【0150】
さらに、核酸は、本明細書において開示される任意の脱水素酵素またはその活性断片を、本明細書において開示されるようなポリペプチドまたはその活性断片を含む融合タンパク質としてコードし得る。例えば、本発明の核酸は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、ポリヒスチジン(例えば、His
6)、ポリHN、ポリリシン、血球凝集素、HSVタグまたはHIV−Tatの少なくとも一部と融合している、本発明の脱水素酵素またはその活性断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0151】
本明細書において記載される本発明はまた、少なくとも20の連続するヌクレオチドから少なくとも50の連続するヌクレオチドまたはより長い長さのものである本明細書において記載されるヌクレオチド配列の一部を包含する本明細書において記載される単離核酸分子の断片に関する。このような断片は、プローブおよびプライマーとして有用であり得る。特に、プライマーおよびプローブは、本明細書において記載されるポリペプチドをコードする核酸分子と選択的にハイブリダイズし得る。例えば、以下に記載されるように、活性を保持するポリペプチドをコードする断片は、特に有用である。
【0152】
本発明はまた、選択的ハイブリダイゼーションなどのために、本明細書において記載されるヌクレオチド配列(例えば、本明細書において記載されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズし、脱水素酵素をコードする核酸分子)と高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸分子も提供する。ハイブリダイゼーションプローブは、塩基特異的方法で核酸の相補鎖と結合する合成オリゴヌクレオチドを含む。適したプローブは、Nielsen(1991年)Science、254、1497〜1500頁に記載されるようなポリペプチド核酸を含む。
【0153】
このような核酸分子は、例えば、高ストリンジェンシー条件下での特異的ハイブリダイゼーションによって検出および/または単離され得る。ハイブリダイゼーションのための「ストリンジェンシー条件」は、インキュベーションおよび洗浄条件、例えば、特定の核酸の第2の核酸とのハイブリダイゼーションを可能にする温度およびバッファー濃度の条件を指す技術分野の用語であり、第1の核酸は、第2に対して完全に相補的、すなわち、100%であり得るか、または第1および第2は、完全未満、例えば、60%、75%、85%、95%またはそれ以上である、ある程度の相補性を共有し得る。例えば、完全に相補的な核酸を、少ない相補性のものと区別する、特定の高ストリンジェンシー条件が使用され得る。
【0154】
核酸ハイブリダイゼーションのための「高ストリンジェンシー条件」、「中ストリンジェンシー条件」および「低ストリンジェンシー条件」は、Current Protocols in Molecular Biology(2011年) John Wiley & Sons)において説明されている。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する正確な条件は、洗浄バッファーのイオン強度、例えば、0.2×SSC、0.1×SSC、温度、例えば、23℃、42℃、68℃などおよびホルムアミドなどの不安定化剤またはSDSなどの変性剤の濃度だけでなく、核酸配列の長さ、塩基組成、ハイブリダイズする配列間のミスマッチパーセントおよびその他の同一ではない配列内のその配列のサブセットの出現の頻度などの因子によっても変わる。したがって、高、中または低ストリンジェンシー条件は、経験的に決定され得る。
【0155】
ハイブリダイゼーションが起こらないストリンジェンシーのレベルからハイブリダイゼーションが最初に観察されるレベルへハイブリダイゼーション条件を変更することによって、所与の配列が、サンプル中の最も類似の配列とハイブリダイズすることを可能にする条件が決定され得る。
【0156】
例示的条件は、Krause(1991年) Methods in Enzymology、200、546〜556頁に記載されている。洗浄は、条件が普通、ハイブリッドの最少レベルの相補性を決定するよう設定されるステップである。一般的に、相同ハイブリダイゼーションのみが起こる最低温度から出発して、SSC濃度を一定に保ちながらの最終洗浄温度が低下される1℃が、ハイブリダイズする配列間のミスマッチの最大程度の1%の増大を可能にする。一般的に、SSCの濃度を2倍にすることは、Tmの増大をもたらす。これらの指針を使用して、洗浄温度を、考えられるミスマッチのレベルに応じて、高、中または低ストリンジェンシーについて経験的に決定できる。例示的な高ストリンジェンシー条件として、それだけには限らないが、50%ホルムアミド、1M NaCl、37℃で1% SDSでのハイブリダイゼーションおよび60℃で0.1×SSCでの洗浄が挙げられる。進行性に、より高ストリンジェンシーの条件の例として、ハイブリダイゼーション後の、およそ室温での0.2×SSCおよび0.1% SDSを用いる洗浄(低ストリンジェンシー条件);約42℃での0.2×SSCおよび0.1% SDSを用いる洗浄(中ストリンジェンシー条件;および約68℃での0.1×SSCを用いる洗浄(高ストリンジェンシー条件)が挙げられる。洗浄は、これらの条件のうち1つのみ、例えば、高ストリンジェンシー条件を使用して実施され得るが、洗浄が増大するストリンジェンシーの順で2以上のストリンジェンシー条件を包含してもよい。最適条件は、関与する個々のハイブリダイゼーション反応に応じて変わり、経験的に決定され得る。
【0157】
標的核酸分子と使用されるプライマーまたはプローブ間の同様の程度の同一性または類似性を維持しながら、当技術分野で公知であるように、例として与えられたパラメータのうち1以上を変更することによって、同等条件が決定され得る。ハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列は、例えば、本発明の核酸を含む生物を同定するための、および/または本発明の核酸を単離するためのプローブおよびプライマーとして有用である。
【0158】
本発明の核酸分子は、所望により、脱水素酵素遺伝子に対して同種であっても、異種であってもよい、非コーディング3’および5’配列などのさらなる非コード配列(例えば、調節配列を含む)を含み得る。あるいは、またはさらに、提供される核酸分子のいずれも、所望により、光合成生物に由来する少なくとも50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、700、800、900、1000または1500ヌクレオチドのさらなる核酸配列をさらに含み得る。本明細書において記載される核酸分子およびポリペプチドは、本発明の方法のいずれにおいても使用され得、本発明のベクターまたは組換え微生物のいずれにも含まれ得る。脱水素酵素をコードする配列を含む核酸分子は、遊離脂肪酸、脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、ワックスエステル、アルカン、アルケン、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドを含めた脂肪酸生成物を製造するための宿主微生物および方法において使用するために提供される。
【0159】
核酸構築物
本発明はまた、ヌクレオチド配列の転写、翻訳または宿主ゲノムへの組込みを調節または媒介する1種または複数の配列をさらに含み得る脂質の製造に関与している脱水素酵素またはポリペプチドをコードする核酸配列を含む構築物を提供する。例えば、本発明は、1種または複数の「発現制御エレメント」または作動可能に連結している遺伝子の発現転写または転写されたRNAの翻訳を調節する配列を含む発現構築物を提供する。例えば、発現制御エレメントは、発現構築物または「発現カセット」中で対象の遺伝子(例えば、脱水素酵素遺伝子)に作動可能に連結され得るプロモーターであり得る。プロモーターは、調節可能、例えば、誘導可能であり得る。
【0160】
核酸構築物が、対象の遺伝子(例えば、脱水素酵素遺伝子)をコードする核酸配列との作動可能な連結でプロモーターを含有しない態様では、核酸配列は、例えば、相同組換え、部位指定組込みおよび/またはベクター組込みによって内因性プロモーターと作動可能に連結されるようになるように細胞に形質転換され得る。いくつかの例では、相同組換えを宿主ゲノム中に媒介するために核酸構築物中に含まれるゲノム宿主配列は、遺伝子調節配列、例えば、核酸構築物の脱水素酵素遺伝子の発現を調節し得るプロモーター配列を含み得る。このような例では、構築物の導入遺伝子(複数可)は、宿主微生物に対して内因性であるプロモーターと作動可能に連結されるようになり得る。内因性プロモーター(複数可)は、調節可能、例えば、誘導可能であり得る。
【0161】
脱水素酵素をコードする核酸配列と作動可能に連結されたプロモーターは、脱水素酵素遺伝子に対して異種であるプロモーターであり得る。いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導プロモーター、すなわち、特定の刺激に応じて作動可能に連結された遺伝子の転写を媒介するプロモーターであり得る。このようなプロモーターは、例えば、宿主細胞の成長に対する任意の有害な効果を最小化するのに、および/または脂肪酸生成物の製造を最大化するのに有利であり得る。誘導プロモーターは、例えば、明暗または高温もしくは低温に対して反応性であり得る、および/または特定の化合物に対して反応性であり得る。誘導プロモーターは、araプロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、tetプロモーター(例えば、米国特許第5,851,796号)、trp、lacまたはtetプロモーターの一部を含むハイブリッドプロモーター、ホルモン反応性プロモーター(例えば、米国特許第6,379,945号に記載されるものなどのエクジソン反応性プロモーター)、メタロチオニエンプロモーター(例えば、米国特許第6,410,828号)、例えば、サリチル酸、エチレン、チアミン、および/またはBTH(米国特許第5,689,044)などといった化学物質に対して反応性であり得る病因関連(PR)プロモーターまたはそのいくつかの組合せであり得る。誘導プロモーターは、明暗(米国特許第5,750,385号、同5,639,952号)、金属(Eukaryotic Cell 2:995〜1002頁(2003年))または温度(米国特許第5,447,858号;AbeらPlant Cell Physiol. 49: 625〜632頁(2008年);ShrodaらPlant J. 21:121〜131頁(2000年))に対して反応性であり得る。前記のリストは、例示的なものであって、制限ではない。プロモーター配列は、宿主生物において機能性である限り、任意の生物に由来し得る。特定の実施形態では、誘導プロモーターは、例えば、宿主種において作動するプロモーターに誘導性を付与するために、既知誘導プロモーターに由来する1種または複数の部分またはドメインを、宿主細胞において作動し得る異なるプロモーターの少なくとも一部と融合することによって形成される。
【0162】
ラン藻類の形質転換には、それだけには限らないが、ara、lac、tacおよびtrcプロモーターならびにtrcYまたはtrcEプロモーターなどのイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)の付加によって誘導性である誘導体を含めた、ラン藻類において機能する種々のプロモーターが利用され得る。本発明において使用され得るその他のプロモーターとして、トランスポゾンによる、または細菌染色体による抗生物質耐性遺伝子(例えば、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、スペクチノマイシンアデニルトランスフェラーゼなど、またはそれらの組合せ)と天然に関連しているプロモーター、種々の異種細菌および天然ラン藻遺伝子と関連しているプロモーター、ウイルスおよびファージ由来のプロモーター、合成プロモーターなど、またはそれらの組合せが挙げられる。例えば、プロモーター(複数可)は、真正細菌およびラン藻の種を含めたさまざまな種に由来する原核生物のプロモーター、例えば、araCまたはpBADプロモーター、rhaプロモーター、Pmプロモーター、xylSプロモーター、nirプロモーター、narプロモーターphoプロモーター、tetプロモーター、cysプロモーター、メタロチオニエンプロモーター、ftfプロモーター、glnプロモーター、熱ショックプロモーター、低温誘導プロモーターまたはウイルス性プロモーターなどから選択され得る。前記のプロモーターは、例示的なものであって、制限ではない。使用され得るラン藻類から単離されるプロモーターとして、それだけには限らないが、以下:nrs(ニッケル誘導性)、secA(分泌;細胞の酸化還元状態によって制御される)、rbc(Rubiscoオペロン)、psaAB(PS I反応中心タンパク質;光調節される)、psbA(PSIIのDlタンパク質;光誘導性)など、およびそれらの組合せを挙げることができる。いくつかの実施形態では、プロモーターは、窒素化合物によって調節される、例えば、nar、ntc、nirまたはnrtプロモーターなど。いくつかの実施形態では、プロモーターは、リン酸(例えば、phoまたはpstプロモーター)または金属、例えば、nrsプロモーター(LiuおよびCurtis(2009年) Proc Natl Acad Sciences USA 106: 21550〜21554頁)またはpetEプロモーター(BuikemaおよびHaselkorn(2001年) Proc Natl Acad Sciences USA 98:2729〜2734頁))によって調節される。本発明の構築物において使用されるような誘導プロモーターは、上記のプロモーターおよび/または例えば、宿主種において作動するプロモーターに誘導性を付与するために、宿主生物において作動し得る異なるプロモーターの少なくとも一部に融合されたその他の誘導プロモーターの1つまたは複数の部分またはドメインを使用し得る。
【0163】
同様に、発現ベクター構築のためにさまざまな転写ターミネーターが使用され得る。可能性があるターミネーターの例として、それだけには限らないが、psbA、psaAB、rbc、secA、T7コートタンパク質などおよびそれらの組合せを挙げることができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、本発明の単離核酸分子または組換え核酸分子は、脱水素酵素をコードする核酸配列および脂質の合成に関与しているポリペプチド、例えば、チオエステラーゼまたはその他の脂質製造ポリペプチドをコードする核酸配列の両方を含み得る。脱水素酵素および脂質製造ポリペプチドをコードする核酸配列は、例えば、本明細書に記載される核酸配列のいずれかであり得る。特定の実施形態では、脱水素酵素をコードする核酸配列および脂質の製造に関与している脂質ポリペプチドをコードする核酸配列は、同一プロモーターおよび/またはエンハンサーに作動可能に連結され得る。例えば、特定の実施形態では、2種の遺伝子(脱水素酵素および、例えば、チオエステラーゼをコードする)は、オペロンとして組織されてもよく、例えば、プロモーター配列に、5’から3’方向に、チオエステラーゼをコードする配列(またはその他のポリペプチドをコードする配列)、次いで、脱水素酵素をコードする配列が続く、逆もまた同様。脱水素酵素遺伝子および脂質合成のためのポリペプチドをコードする遺伝子を含むオペロンの上記の実施形態のいずれにおいても、1種または複数のさらなる調節配列が単離核酸分子中に含まれ得、例えば、翻訳を増強するための配列が、遺伝子をコードする配列のいずれかの上流に含まれ得、および/または転写ターミネーターが、所望により、合成オペロンの3’末端にまたはその付近に含まれ得る。
【0165】
脱水素酵素遺伝子および脂質の製造に関与しているポリペプチドをコードする遺伝子に加えて、1種または複数のさらなる遺伝子が、本明細書において提供されるような合成オペロン中に所望により含まれ得、1種または複数のさらなる遺伝子は、例えば、脂肪酸合成または脂肪酸合成もしくは脂質合成経路の酵素またはタンパク質をコードする1種もしくは複数のさらなる遺伝子および/または脂肪酸生成物合成を増強し得る酵素もしくはタンパク質をコードする1種もしくは複数の遺伝子、光合成または炭素固定を増強し得る1種もしくは複数の遺伝子および/または1種もしくは複数のリポーター遺伝子もしくは選択マーカーを含み得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、脱水素酵素をコードする核酸配列および脂質の製造に関与しているポリペプチドをコードする核酸配列が、同一核酸構築物で提供され得、それらは異なるプロモーターおよび/または転写エンハンサーと作動可能に連結される。プロモーターおよびエンハンサーは、例えば、本明細書に記載されるプロモーターおよび転写エンハンサーのいずれかであり得る。
【0167】
特定の実施形態では、脱水素酵素をコードする核酸配列を含むベクターは、ラン藻類への形質転換のために設計される。特定の実施形態では、ベクターは、脱水素酵素をコードする配列の、ラン藻ゲノムとの相同組換えを可能にする。
【0168】
本発明の単離核酸分子は、脱水素酵素またはその他のポリペプチドをコードする本明細書において開示される配列を、それだけには限らないが、発現ベクターなどのベクター中に含み得る。ベクターは、組換え手段および/または直接化学合成を含めたヒトの介入によって作製された核酸であり得、例えば、1種または複数の1)1種または複数の宿主における核酸配列の繁殖のための複製起点(製造宿主を含む場合も含まない場合もある);2)1種または複数の選択マーカー;3)1種または複数のリポーター遺伝子;4)それだけには限らないが、プロモーター配列、エンハンサー配列、ターミネーター配列、翻訳を増強する配列などといった1種または複数の発現制御配列;および/または5)核酸配列の宿主ゲノムへの組込みを促進する1種または複数の配列、例えば、宿主微生物の1種または複数のヌクレオチド配列と相同性を有する1種または複数の配列を含み得る。ベクターは、宿主細胞における特定の核酸の転写および/または翻訳を可能にする1種または複数の指定の核酸「発現制御エレメント」を含む発現ベクターであり得る。ベクターは、プラスミド、プラスミドの一部、ウイルス構築物、核酸断片などまたはそれらの組合せであり得る。
【0169】
ベクターは、高コピー数ベクター、2種以上の細胞において複製し得るシャトルベクター、発現ベクター、組込みベクターまたはそれらの組合せであり得る。通常、発現ベクターは、「発現カセット」において、プロモーターと作動可能に連結された対象の遺伝子を含む核酸を含み得、これは、それだけには限らないが、転写ターミネーター、リボソーム結合部位、スプライシング部位またはスプライシング認識配列、イントロン、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、内部リボソーム侵入部位および同様のエレメントも含み得る。いくつかの実施形態によれば、本発明は、異種プロモーターの制御下に対象の遺伝子を含む単離核酸で形質転換された組換え微生物を含み得る。あるいは、ベクターが、対象の遺伝子を含む単離核酸と作動可能に連結されたプロモーターを含有しない場合には、単離核酸は、相同組換え、部位指定組込みおよび/またはベクター組込みによって、内因性プロモーターと作動可能に連結されるようになるように、微生物または宿主細胞に形質転換され得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、本発明は、1種または複数の発現制御エレメントと作動可能に連結している対象の遺伝子を含む単離核酸で形質転換された組換え微生物または宿主細胞をさらに提供する。いくつかの例では、組換え微生物の繁殖の間の特定の時点でタンパク質を発現すること、例えば、組換え微生物の成長または増殖に対する任意の有害な効果を最小にすることおよび/またはトリグリセリドまたは対象の脂肪酸生成物の製造を最大にすることが有利であり得る。このような例では、組換え微生物または宿主細胞中に導入された1種または複数の外因性遺伝子は、特定の刺激に応じて作動可能に連結された遺伝子の転写を媒介する誘導プロモーターと作動可能に連結され得る。
【0171】
形質転換ベクターは、さらに、またはあるいは、それだけには限らないが、薬物耐性遺伝子、除草剤耐性遺伝子、代謝酵素および/または宿主の生存にとって必要な因子(例えば、栄養要求性マーカー)などまたはそれらの組合せなどの選択マーカーを含み得る。形質転換された細胞は、耐性カセットまたは栄養要求性マーカーを欠く細胞が成長できない条件下で抗生物質および/またはその他の選択マーカーの存在下で成長する能力に基づいて選択され得る。さらに、非選択マーカーが、蛍光タンパク質または検出可能な反応生成物を生成する酵素をコードする遺伝子などのベクター上に存在し得る。
【0172】
微生物および宿主細胞の形質転換
対象の遺伝子を含む単離核酸を含むベクターは、従来の形質転換および/またはトランスフェクション技術によってラン藻類中に導入され得る。本関連において使用されるような、用語「形質転換」、「トランスフェクション」、「コンジュゲーション」および「形質導入」は、リン酸カルシウムおよび/または塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、リポフェクション、ナチュラルコンピテンス、化学的に媒介される転移、エレクトロポレーション、微粒子銃など、またはそれらの組合せを含めた、外来核酸(例えば、外因性DNA)を宿主細胞中に導入するための当業者に公知の多様な方法を含むものとする。宿主細胞の形質転換および/またはトランスフェクションのための適した方法の例は、例えば、Molecular Cloning-A Laboratory Manual(2010)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressに見出すことができる。
【0173】
本発明において使用するための植物などの宿主細胞は、制限するものではないが、アグロバクテリウム(Agrobacterium)の使用、パーティクルガン媒介性形質転換、レーザー媒介性形質転換またはエレクトロポレーションを含めた任意の実現可能な手段によって形質転換され得る。藻類および光合成細菌は、限定されない例として、ナチュラルDNA取り込み(Chungら(1998年) FEMS Microbiot Lett. 164:353〜361頁;Frigaardら(2004年) Methods Mol. Biol. 274: 325〜40頁;Zangら(2007年) J. Microbiol. 45:241〜245頁)、コンジュゲーション(Wolkら(1984年) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81、1561〜1565頁)、形質導入、ガラスビーズ形質転換(Kindleら(1989年) J. Cell Biol. 109:2589〜601頁;Fengら(2009年) Mol. Biol. Rep. 36:1433〜9頁;米国特許第5,661,017号)、シリコンカーバイドウィスカー形質転換(Dunahayら(1997年) Methods Mol. Biol.(1997年) 62: 503〜9頁)、遺伝子銃(Dawsonら(1997年) Curr. Microbiol. 35: 356〜62頁;Hallmannら(1997年) Proc. Natl. Acad. USA 94:7469〜7474頁;Jakobiakら(2004年) Protist 155:381〜93頁;Tanら(2005年) J. Microbiol. 43: 361〜365頁;Steinbrennerら(2006年) Appl Environ. Microbiol. 72:7477〜7484頁;Kroth(2007年) Methods Mol. Biol. 390:257〜267頁;米国特許第5,661,017号)エレクトロポレーション(Kjaerulffら(1994年) Photosynth. Res. 41:277〜283頁;Iwaiら(2004年) Plant Cell Physiol. 45:171〜5頁;Ravindranら(2006年) J. Microbiol. Methods 66:174〜6頁;Sunら(2006年) Gene 377:140〜149頁;Wangら(2007年) Appl. Microbiol. Biotechnol. 76:651〜657頁;Chaurasiaら(2008年) J. Microbiol. Methods 73:133〜141頁;Ludwigら(2008年) Appl. Microbiol. Biotechnol. 78:729〜35頁)、レーザー媒介性形質転換または任意のポリ(アミドアミン)デンドリマーの存在下、またはそれで前処理した後のDNAととものインキュベーション(Pasupathyら(2008年) Biotechnol. J. 3: 1078〜82頁)、ポリエチレングリコール(Ohnumaら(2008年) Plant Cell Physiol. 49:117〜120頁)、陽イオン性脂質(Muradawaら(2008年) J. Biosci. Bioeng. 105:77〜80頁)、デキストラン、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム(Mendez-Alvarezら(1994年) J. Bacteriol. 176:7395〜7397頁)、所望により、細胞壁分解酵素で細胞を処理した後(Perrone ら(1998年) Mol. Biol. Cell 9: 3351〜3365頁)を含めた、任意の適した方法によって形質転換され得る。アグロバクテリウム媒介性形質転換はまた、例えば、藻類細胞壁を除去または傷づけた後に、藻類細胞で実施され得る(例えば、WO2000/62601;Kumarら(2004年) Plant Sci. 166: 731〜738頁)。遺伝子銃法は、植物および真核生物の藻類種の葉緑体の形質転換にとって特に上首尾である(例えば、Rameshら(2004年) Methods Mol. Biol. 274: 355〜307頁;Doestchら(2001年) Curr. Genet. 39:49〜60頁;米国特許第7,294,506号;WO2003/091413;WO2005/005643;およびWO2007/133558を参照のこと、すべて参照によりその全文が本明細書に組み込まれる)。
【0174】
脂肪酸生成物を製造する方法
本発明は、脱水素酵素が発現され、少なくとも1種の脂肪酸生成物が製造される条件下で脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含む本明細書において記載されるような組換え微生物を培養することによって脂肪酸生成物を製造する方法を包含する。方法は、少なくとも1種の脂肪酸生成物を単離することをさらに含み得る。脱水素酵素をコードする非天然遺伝子の発現は、培養期間の間、所望により、誘導され得る。所望により、組換え微生物によって製造される脂肪酸および/または脂肪酸誘導体の少なくとも一部は、微生物によって成長培地中に放出または分泌され得る。
【0175】
脱水素酵素をコードする非天然遺伝子および脂質の製造に関与しているポリペプチドをコードする少なくとも1種の非天然遺伝子を含む組換え微生物を、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子および脂質の製造のためのポリペプチドをコードする少なくとも1種の遺伝子が発現される条件下で培養して脂質を製造することを含む、脂質を製造する方法も、本明細書において提供される。方法は、少なくとも1種の脂質を単離することをさらに含み得る。脂質は、例えば、脂肪酸生成物であり得る。
【0176】
本明細書において提供される方法のいずれにおいても、非天然脱水素酵素遺伝子を含む組換え微生物の培養物は、対照微生物が、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含まない点を除いて、非天然脱水素酵素遺伝子を含む組換え微生物の培養物とすべての点において同一である対照微生物の対照培養物によって製造されるものよりも多くの脂質(例えば、脂肪酸生成物)を製造し得る。本明細書において提供される方法のいずれにおいても、非天然脱水素酵素遺伝子を含む組換え微生物は、対照微生物が、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含まない点を除いて、非天然脱水素酵素遺伝子を含む組換え微生物に対してすべての点で同一である対照微生物よりも高い繁殖および/または増殖速度を有する。例えば、非天然脱水素酵素遺伝子を含む組換え微生物の培養物は、1、2、3、4、5、6日または7日以上培養した後に、対照培養物によって達成されるものよりも高い細胞密度を達し得る。本方法において使用される組換え微生物は、光合成微生物であり得、培養は、無機炭素が、培養物の増殖および脂質の製造のための炭素の実質的に唯一の供給源である光独立栄養条件下であり得る。
【0177】
いくつかの例では、非天然脱水素酵素遺伝子および少なくとも1種の非天然脂質製造遺伝子を含む組換え微生物によって多量に製造される脂質(例えば、脂肪酸生成物)は、微生物によって天然には製造されない脂質、例えば、脂肪酸生成物などの脂質の製造に関与しているポリペプチドをコードする少なくとも1種の非天然遺伝子を欠く同一種の微生物によって製造されない脂質であり得る。
【0178】
放出および分泌は、本発明の生成物に関連して本明細書において、能動および/または受動輸送機構が、本発明の生成物が細胞膜を越えて細胞の外に出ることを可能にするプロセスを指すよう同義的に使用される。このような輸送機構の例として、それだけには限らないが、勾配拡散、促進拡散、能動輸送およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0179】
培養は、選択されたおよび/または制御された条件の使用による、1種または複数の細胞の成長(例えば、細胞の大きさ、細胞内容物および/または細胞活性の増大)および/または繁殖(例えば、有糸分裂による細胞数の増加)の意図的な育成を指す。成長および繁殖の両方の組合せは、増殖と呼ばれ得る。本明細書において実施例において実証されるように、脂質製造細胞による脱水素酵素遺伝子の発現は、非天然脱水素酵素遺伝子を含まない脂質製造細胞の培養物に対して、培養物の細胞密度の増大をもたらす。
【0180】
組換え微生物を培養するために使用され得る選択されたおよび/または制御された条件の限定されない例は、定義された培地(pH、イオン強度および/または炭素供給源などの既知の特徴を有する)、指定の温度、酸素圧、二酸化炭素レベル、バイオリアクターにおける成長など、またはそれらの組合せの使用を含む。いくつかの実施形態では、微生物または宿主細胞は、還元炭素供給源を使用して従属栄養的に、または光および還元炭素供給源の両方を使用して混合栄養的に成長させられ得る。さらに、またはあるいは、微生物または宿主細胞は、光栄養的に培養され得る。光栄養的に成長する場合には、微生物は、エネルギー供給源として光を有利に使用し得る。CO
2または重炭酸などの無機炭素供給源は、微生物によって生体分子の合成のために使用され得る。「無機炭素」は、本明細書において、生物によって持続可能なエネルギー供給源として使用され得ない炭素含有化合物または分子を含む。通常、「無機炭素」は、CO
2(二酸化炭素)、炭酸、重炭酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩など、またはそれらの組合せの形態であり得、これらは、持続可能なエネルギーのためにさらに酸化され得ず、生物による還元力の供給源として使用され得ない。光独立栄養的に成長する微生物は、無機炭素が実質的に唯一の炭素の供給源である培養培地で成長させられ得る。例えば、無機炭素が実質的に唯一の炭素の供給源である培養物では、培養培地中に提供され得る任意の有機炭素分子または化合物は、細胞によって、エネルギーのために吸収および/または代謝され得ない、および/または細胞培養物の成長および増殖のための持続可能なエネルギーを提供するのに十分な量で存在しないのいずれかである。
【0181】
本発明の方法に従って有用であり得る微生物および宿主細胞は、世界中の種々の場所および環境において見出され得る。最適繁殖ならびに脂質および/またはその他の炭化水素成分の生成のための特定の成長培地は、変わり得、成長、繁殖または脂質などの生成物の製造を促進するよう最適化され得る。いくつかの場合には、微生物の特定の株は、微生物または宿主細胞の特定の株の、いくつかの阻害成分の存在またはいくつかの必須栄養必要量の不在のために、特定の成長培地では成長できない場合がある。
【0182】
微生物のさまざまな株に適した特定の培地の調製のための使用説明書にあるように、固体および液体成長培地は、一般に、さまざまな供給源から入手可能である。例えば、種々の新鮮な水および塩水培地として、Barsanti(2005年)Algae:Anatomy、Biochemistry & Biotechnology、CRC Press for media and Methods for culturing algaeに記載されるものを挙げることができる。藻類培地処方はまた、限定されない例として、UTEX培養物収集物(www.sbs.utexas.edu/utex/media.aspx)(2011年9月20日に訪問した)、藻類および原生動物(Protozoa)の培養物収集物(www.ccap.ac.uk)(2011年9月20日に訪問した);およびカテドラ・ボタニキー(Katedra Botaniky)(botany.natur.cuni.cz/algo/caup−media.html)(2011年9月20日に訪問した)を含めた種々の藻類培養収集物のウェブサイトで見出され得る。
【0183】
いくつかの実施形態では、脂肪酸を製造する生物を培養するために使用される培地は、例えば、標準BG−11培地(ATCC培地616、表5)、またはATCC培地854(ビタミンB12を含有するよう修飾されたBG−11)もしくはATCC培地617(さらなるNaClおよびビタミンB12を含有する、海洋ラン藻類のために修飾されたBG−11)などの修飾された培地などの標準培地処方と比較して、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、鉛、鉄、ニッケル、コバルト、スズ、クロム、アルミニウム、亜鉛、銅など、またはそれらの組合せ(マグネシウム、カルシウム、および/または鉄などの特に多価の金属)などの金属(通常、塩として、および/またはイオン形態で提供される)の濃度の増大を含み得る。
【0184】
例えば、遊離脂肪酸を製造する成長する微生物に使用される培地は、標準培地と比較して、少なくとも2倍、例えば、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、2倍から10倍の間および/または10倍から100倍の間の量の金属(例えば、カルシウム)を含み得る。遊離脂肪酸を製造し得る成長する微生物に使用される培地は、処方中に、例えば、少なくとも0.5mM、約0.5mMから約1mMの間、約1mMから約2mMの間、約2mMから約5mMの間、約5mMから約10mMの間、約10mMから約25mMの間および25mM超の金属(例えば、カルシウム)を含み得る。例えば、培地中に過剰量の金属(例えば、カルシウム)を使用することによって、脂肪酸(複数可)の少なくとも一部が石鹸沈殿物として捕捉され得、これは遊離脂肪酸(複数可)の毒性効果の低減をもたらし得る。培地中への金属(例えば、カルシウム)の添加は、さらに、またはあるいは、比較的高い濃度の遊離脂肪酸を有する培地中の微生物の耐性を増大し得る。さらに、またはあるいは、脂肪酸製造株は有利なことに、過剰の金属(例えば、カルシウム)含量を用いた場合に、より強固であり得る。過剰の成分は、金属として本発明において記載されているが、成分は、より一般には、カルボン酸塩対イオン供給源、例えば、石鹸形成性対イオン供給源、金属イオン供給源(本明細書において「金属」と記載される)、多価(すなわち、+2以上の原子価を有する)対イオン供給源、二価対イオン供給源またはそれらのいくつかの組合せとして記載され得るということは考慮される。この金属/カルボン酸塩対イオン供給源に関するその他の詳細は、2011年12月13日に出願された「Culturing a Microorganism in a Medium with an Elevated Level of a Carbocylate Counterion Source」と題された、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第13/324,636号に記載されている。
【0185】
培養方法は、記載されるような脱水素酵素遺伝子および脂肪酸生成物およびトリグリセリドの製造および/または微生物における代謝経路の調節に関与しているタンパク質をコードする遺伝子の一方または両方の発現を誘導することを含み得る。発現を誘導することは、栄養分または化合物を培養物に添加すること、培養培地から1種または複数の成分を除去すること、光および/または温度を増大または低減することおよび/または対象の遺伝子の発現を促進するその他の操作を含み得る。このような操作は、対象の遺伝子と作動可能に連結された(異種)プロモーターの性質に大きく依存し得る。
【0186】
本発明のいくつかの実施形態では、組換え微生物または宿主細胞は、バイオリアクターにおいて培養され得る。「バイオリアクター」とは、所望により、懸濁液中で、懸濁される場合には、好ましくは、水性液中で細胞が培養されるエンクロージャまたは部分的エンクロージャを指す。バイオリアクターは、微細藻類細胞を、その生理学的周期の種々の相にわたって培養するために使用され得る。バイオリアクターは、従属栄養成長および繁殖方法において使用するのに多数の利点を提供し得る。食物として使用するためのバイオマスを製造するには、微生物または宿主細胞は、好ましくは、例として、懸濁培養物中などの液体中で多量に発酵される。スチール発酵装置などのバイオリアクターは、極めて多量の培養容積を収容し得る(40,000リットル以上の能力のバイオリアクターが、本発明の種々の実施形態において使用され得る)。バイオリアクターはまた、通常、温度、pH、酸素圧、二酸化炭素レベルなど、ならびにそれらの組合せなどの1種または複数の培養条件の制御を可能にし得る。バイオリアクターは、通常、例えば、管類と結合しているポートを使用して設定可能であり、CO
2、CO
2が豊富な空気、酸素および/または窒素などのガス状成分が、液体培地と接触される(例えば、バブリングされる)のを可能にし得る。培養培地のpH、微量元素および/または栄養分の同一性および/または濃度、その他の培地成分の同一性および/または濃度など、またはそれらの組合せなどのその他の培養パラメータは、通常、バイオリアクターを使用してより容易に操作され得る。
【0187】
微生物および宿主細胞は、さらに、またはあるいは、人工光源を備えたバイオリアクター、「フォトバイオリアクター」中で培養され得、および/または日光を含めた光が、許容される微生物成長および増殖を可能にする、促進する、および/または維持するのに十分なほど透明である1種もしくは複数の壁を有し得る。脂肪酸生成物またはトリグリセリドの製造のために、光合成微生物または宿主細胞は、さらに、またはあるいは、振盪フラスコ、試験管、バイアル、マイクロタイターディッシュ、ペトリディッシュなど、またはそれらの組合せ中で培養され得る。
【0188】
さらに、またはあるいは、組換え光合成微生物または宿主細胞は、池、運河、海上成長容器、溝、水路、流れなど、またはそれらの組合せ中で成長させられ得る。標準バイオリアクターと同様、それだけには限らないが、空気、CO
2が豊富な空気、燃焼排ガスなど、またはそれらの組合せを含めた無機炭素(例えば、それだけには限らないが、CO
2、重炭酸、炭酸塩など)の供給源が、培養物に供給され得る。CO
2に加えてCOを含有し得る無機の燃焼排ガスおよび/またはその他の供給源を供給する場合には、(フォト)バイオリアクター中に導入されるCOレベルが、微生物の成長、増殖および/または生存に対して危険なおよび/または致死的用量を構成しないよう、このような供給源を前処理することが必要であり得る。
【0189】
本方法は、光合成微生物などの組換え微生物、例えば、本明細書において記載されるような脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含む微細藻類またはラン藻などを培養して、少なくとも1種の脂肪酸生成物を製造することを含み、方法は、同一条件下で培養された、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を含まない、そうでなければ同一である微生物の培養によって製造される脂肪酸生成物の量よりも、少なくともまたは約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%または1000%多い、培養による製造をもたらす。さらに、またはあるいは、方法は、本明細書において記載された組換え微生物を培養することによって、1リットルの脂肪酸生成物の培養物あたり、少なくとも100mg、少なくとも110mg、少なくとも120mg、少なくとも130mg、少なくとも140mg、少なくとも150mg、少なくとも160mg、少なくとも170mg、少なくとも180mg、少なくとも190mg、少なくとも200mg、少なくとも210mg、少なくとも220mg、少なくとも230mg、少なくとも240mg、少なくとも250mg、少なくとも260mg、少なくとも270mg、少なくとも280mg、少なくとも290mg、少なくとも300mg、少なくとも310mg、少なくとも320mg、少なくとも330mg、少なくとも340mg、少なくとも350mg、少なくとも360mg、少なくとも370mg、少なくとも380mg、少なくとも390mg、少なくとも400mg、少なくとも450mg、少なくとも500mg、少なくとも550mg、少なくとも600mg、少なくとも650mg、少なくとも700mg、少なくとも750mg、少なくとも800mg、少なくとも850mg、少なくとも900mg、少なくとも950mgの脂肪酸生成物を製造することを含む。何度も、目的は、できるだけ多くの脂肪酸生成物を製造および/または回収することであり得るが、いくつかの場合には、本明細書において記載される方法によって製造および/または回収される脂肪酸生成物の量は、1リットルの培養物あたり約2g以下、例えば、1リットルの培養物あたり1.5g以下、1リットルの培養物あたり1g以下、1リットルの培養物あたり800mg以下、1リットルの培養物あたり600mg以下、例えば、1リットルの培養物あたり約550mg以下または1リットルの培養物あたり約500mg以下に制限され得る。
【0190】
脂肪酸生成物は、当業者に公知の回収手段によって、例えば、有機溶媒を使用する全培養物抽出などによって、培養物から回収され得る。いくつかの場合には、脂肪酸生成物の回収は、細胞の均質化によって増強され得る。例えば、脂肪酸、脂肪酸誘導体および/またはトリグリセリドなどの脂質は、2012年2月29日に出願され、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、「Solvent Extraction of Products from Algae」と題された、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第13/407,817号に記載されるように、高温および/または高圧で溶媒を用いる藻類の抽出によって藻類から単離され得る。
【0191】
脂肪酸生成物が、微生物から培養培地中に十分に放出または分泌される場合には、放出された脂肪酸生成物のみ、微生物内で製造され、貯蔵された脂肪酸生成物のみ、または製造され、放出された脂肪酸生成物の両方を効率的に回収するよう、回収方法が適応され得る。上記の組換え微生物によって培養培地中に分泌/放出された脂肪酸生成物は、種々の方法で回収され得る。例えば、不混和溶媒を使用する分配による直接的な単離方法が、使用され得る。さらに、またはあるいは、粒状吸着剤が使用され得る。これらは、回収方法の設計に応じて親油性粒子および/またはイオン交換樹脂を含み得る。それらは、別個の培地中を循環し、次いで、収集され得、および/または培地は、これらの粒子を含有する固定層カラム、例えば、クロマトグラフィーカラム上を通され得る。次いで、脂肪酸生成物は、例えば、適当な溶媒の使用によって粒状吸着剤から溶出され得る。このような状況において、1つの単離方法は、溶媒の蒸発を実施することと、続いて、単離された脂肪酸生成物をさらに処理して、種々の商業的目的のために使用され得る化学物質および/または燃料を得ることを含み得る。
【0192】
いくつかの例では、脂肪酸生成物、例えば、C8−C24脂肪酸、C10−C22脂肪酸またはC12−C18脂肪酸、例えば、C12、C14、C16および/またはC18脂肪酸のうち少なくとも1種などのレベルは、そうでなければ同一であるが、非天然脱水素酵素遺伝子を欠く微生物または宿主細胞の培養物に対して、培養物中で増大され得る。本発明は、本発明の方法によって製造される遊離脂肪酸、脂肪酸誘導体またはグリセロ脂質を含む組成物をさらに含む。
【0193】
さらに、またはあるいは、本発明は、以下の実施形態のうち1つまたは複数を含み得る。
【0194】
実施形態1。組換え微生物の培養物が、対照微生物が脱水素酵素をコードする第1の非天然ヌクレオチド配列を含まない点を除いて、第1および第2の非天然ヌクレオチド配列を含む組換え微生物に対してすべての点で同一である微生物の対照培養物によって製造されるものよりも、多量の脂質を製造し、組換え微生物が、脂質が製造される条件下で対照微生物よりも高い繁殖および/または増殖速度を有する、脱水素酵素をコードするヌクレオチド配列を含む第1の非天然核酸分子および脂質生合成に関与しているポリペプチドをコードする配列を含む少なくとも1つの第2の非天然核酸分子を含む組換え微生物。
【0195】
実施形態2。脱水素酵素が、アルデヒド脱水素酵素、アセトアルデヒド脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、グルタミン酸脱水素酵素、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、2−ヒドロキシ酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素、乳酸脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、メチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素、コハク酸塩脱水素酵素、ピルビン酸脱水素酵素、αケトグルタル酸脱水素酵素、D−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素、D−2−ヒドロキシイソカプロン酸脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、D−グリセリン酸脱水素酵素、バンコマイシン耐性タンパク質H、D−2−ホスホグリセリン酸脱水素酵素、D−乳酸脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素およびソルビトール脱水素酵素からなる群から選択され、および/または
脱水素酵素が、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号18または配列番号19、配列番号2、配列番号29、配列番号15、配列番号16、配列番号10、配列番号11または配列番号13に対して少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1に従う組換え微生物。
【0196】
実施形態3。脂質生合成に関与しているポリペプチドが、アシル−ACPチオエステラーゼ、アシル−CoAチオエステラーゼ、4−ヒドロキシベンゾイル−チオエステラーゼ、脂質分解活性を有するポリペプチド、アルデヒド形成性アシル−CoAレダクターゼ、アルデヒド形成性アシル−ACPレダクターゼ、カルボン酸レダクターゼ、アルコール形成性アシル−CoAレダクターゼ、アルコール形成性アシル−ACPレダクターゼ、ワックスシンターゼ、デカルボニラーゼ、デカルボキシラーゼ、GPAT、LPAAT、PAPおよびDGATからなる群から選択され、さらに所望により、脂質が、遊離脂肪酸、脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、アルカン、アルケン、脂肪酸エステル、ワックスエステル、モノアシルグリセリド、ジアシルグリセリドおよびトリアシルグリセリドからなる群から選択される脂肪酸生成物である、実施形態1または2に従う組換え微生物。
【0197】
実施形態4。第1の非天然核酸分子が、配列番号4、配列番号6または配列番号7に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または95%から100%の間の同一性を有するアミノ酸配列を含むアルデヒド脱水素酵素をコードするヌクレオチド配列と、
配列番号18または配列番号19に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または95%から100%の間の同一性を有するアミノ酸配列を含むメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素をコードするヌクレオチド配列と、
配列番号2または配列番号29に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または95%から100%の間の同一性を有するアミノ酸配列を含むD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードするヌクレオチド配列と、
配列番号15または配列番号16に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または95%から100%の間の同一性を有するアミノ酸配列を含むD−2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードするヌクレオチド配列と、
配列番号10または配列番号11に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または95%から100%の間の同一性を有するアミノ酸配列を含むホスホグルコン酸脱水素酵素をコードするヌクレオチド配列と、
配列番号13に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または95%から100%の間の同一性を有するアミノ酸配列を含むホスホグルコン酸脱水素酵素をコードするヌクレオチド配列と
を含む、これまでの実施形態のいずれかに従う組換え微生物。
【0198】
実施形態5。脱水素酵素をコードする第1の非天然核酸分子および脂質の製造に関与しているポリペプチドをコードする第2の非天然核酸分子を含む組換え微生物の培養物が、対照微生物が、脱水素酵素をコードする第1の非天然ヌクレオチド配列を含まない点を除いて、第1の非天然ヌクレオチドおよび第2の非天然ヌクレオチド配列を含む組換え微生物に対してすべての点で同一である微生物の対照培養物によって製造されるものよりも多い量の脂質を製造し、脂質が、第2の非天然核酸分子を含まない組換え微生物と同一種または株の微生物によって製造されない脂肪酸生成物である、これまでの実施形態のいずれかに従う組換え微生物。
【0199】
実施形態6。組換え微生物が、光合成微生物である、これまでの実施形態のいずれかに従う組換え微生物。
【0200】
実施形態7。光合成微生物が、所望により、アグメネルム属(Agmenellum)、アナバエナ属(Anabaena)、アナバエノプシス属(Anabaenopsis)、アナシスティス属(Anacystis)、アファニゾメノン属(Aphanizomenon)、アルスロスピラ属(Arthrospira)、アステロカプサ属(Asterocapsa)、ボルジア属(Borzia)、カロトリックス属(Calothrix)、カマエシフォン属(Chamaesiphon)、クロログロエオプシス属(Chlorogloeopsis)、クロコッシディオプシス属(Chroococcidiopsis)、クロコッカス属(Chroococcus)、クリナリウム属(Crinalium)、シアノバクテリウム属(Cyanobacterium)、シアノビウム属(Cyanobium)、シアノシスティス属(Cyanocystis)、シアノスピラ属(Cyanospira)、シアノセイス属(Cyanothece)、シリンドロスペルモプシス属(Cylindrospermopsis)、シリンドロスペルマム属(Cylindrospermum)、ダクチロコッコプシス属(Dactylococcopsis)、デルモカルペラ属(Dermocarpella)、フィッシェレラ属(Fischerella)、フレミエラ属(Fremyella)、ゲイトレリア属(Geitleria)、ゲイトレリネマ属(Geitlerinema)、グロエオバクター属(Gloeobacter)、グロエオカプサ属(Gloeocapsa)、グロエオセイス属(Gloeothece)、ハロスピルリナ属(Halospirulina)、イエンガリエラ属(Iyengariella)、レプトリンビア属(Leptolyngbya)、リムノスリックス属(Limnothrix)、リンビア属(Lyngbya)、ミクロコレウス属(Microcoleus)、ミクロキスティス属(Microcystis)、ミクソサルシナ属(Myxosarcina)、ノデュラリア属(Nodularia)、ノストック属(Nostoc)、ノストコプシス属(Nostochopsis)、オシラトリア属(Oscillatoria)、フォルミジウム属(Phormidium)、プランクトスリックス属(Planktothrix)、プレウロカプサ属(Pleurocapsa)、プロクロロコッカス属(Prochlorococcus)、プロクロロン属(Prochloron)、プロクロロスリックス属(Prochlorothrix)、シュードアナベナ属(Pseudanabaena)、リブラリア属(Rivularia)、シゾスリックス属(Schizothrix)、サイトネマ属(Scytonema)、スピルリナ属(Spirulina)、スタニエリア属(Stanieria)、スタリア属(Starria)、スティゴネマ属(Stigonema)、シンプロカ属(Symploca)、シネココッカス属(Synechococcus)、シネコシスティス属(Synechocystis)、サーモシネココッカス属(Thermosynechococcus)、トリポスリックス属(Tolypothrix)、トリコデスミウム属(Trichodesmium)、チコネマ属(Tychonema)またはゼノコッカス属(Xenococcus)からなる群から選択されるラン藻であるか、または光合成微生物が、所望により、アクナンテス属(Achnanthes)、アンフィプローラ属(Amphiprora)、アンフォラ属(Amphora)、アンキストロデスムス属(Ankistrodesmus)、アステロモナス属(Asteromonas)、ボエケロビア属(Boekelovia)、ボロジネラ属(Borodinella)、ボトリオコッカス属(Botryococcus)、ブラクテオコッカス属(Bracteococcus)、カエトセロス属(Chaetoceros)、カルテリア属(Carteria)、クラミドモナス属(Chlamydomonas)、クロロコッカム属(Chlorococcum)、クロロゴニウム属(Chlorogonium)、クロレラ属(Chlorella)、クロオモナス属(Chroomonas)、クリソスファエラ属(Chrysosphaera)、クリコスファエラ属(Cricosphaera)、クリプテコディニウム属(Crypthecodinium)、クリプトモナス属(Cryptomonas)、シクロテラ属(Cyclotella)、デュナリエラ属(Dunaliella)、エリプソイドン属(Ellipsoidon)、エミリアニア属(Emiliania)、エレモスファエラ属(Eremosphaera)、エルノデスミウス属(Ernodesmius)、ユーグレナ属(Euglena)、フランセイア属(Franceia)、フラギラリア属(Fragilaria)、グロエオサムニオン属(Gloeothamnion)、ヘマトコッカス属(Haematococcus)、ハロカフェテリア属(Halocafeteria)、ヒメノモナス属(Hymenomonas)、イソクリシス属(Isochrysis)、レポシンクリス属(Lepocinclis)、ミクラクチニウム属(Micractinium)、モノラフィジウム属(Monoraphidium)、ナノクロリス属(Nannochloris)、ナノクロロプシス属(Nannochloropsis)、ナビクラ属(Navicula)、ネオクロリス属(Neochloris)、ネフロクロリス属(Nephrochloris)、ネフロセルミス属(Nephroselmis)、ニツスチア属(Nitzschia)、オクロモナス属(Ochromonas)、オエドゴニウム属(Oedogonium)、オオサイスティス属(Oocystis)、オストレオコッカス属(Ostreococcus)、パブロバ属(Pavlova)、パラクロレラ属(Parachlorella)、パスケリア属(Pascheria)、ファエオダクチラム属(Phaeodactylum)、ファガス属(Phagus)、ピコクロラム属(Picochlorum)、プラチモナス属(Platymonas)、プレウロクリシス属(Pleurochrysis)、プレウロコッカス属(Pleurococcus)、プロトテカ属(Prototheca)、シュードクロレラ属(Pseudochlorella)、シュードネオクロリス属(Pseudoneochloris)、ピラミモナス属(Pyramimonas)、ピロボトリス属(Pyrobotrys)、スセネデスムス属(Scenedesmus)、シゾクラミデラ属(Schizochlamydella)、スケレトネマ属(Skeletonema)、スピロギラ属(Spyrogyra)、スチココッカス属(Stichococcus)、テトラクロレラ属(Tetrachlorella)、テトラセルミス属(Tetraselmis)、タラシオシーラ属(Thalassiosira)、ビリジエラ属(Viridiella)およびボルボックス属(Volvox)からなる群から選択される微細藻類である、これまでの実施形態のいずれかに従う組換え微生物。
【0201】
実施形態8。脱水素酵素をコードする第1の核酸分子の発現が、第1の核酸を欠く、そうでなければ同一である微生物におけるNADPH対NADP
+の比に対して、NADPH対NADP+の細胞内比を増大し、例えば、ここで、細胞内NADPH/NADP+比は、第1の核酸を欠く、そうでなければ同一である微生物よりも約5%高い、約10%高い、約20%高い、約30%高い、約40%高い、約60%高い、約80%高い、約100%高い、約150%高い、約200%高い、約300%高い、約500%高い、約700%高い、約900%高い、約1000%高い、または約2000%高い、実施形態6または7に従う組換え光合成微生物。
【0202】
実施形態9。組換え微生物の培養物が、前記の第1の核酸を欠く、そうでなければ同一である微生物の培養物と比較して、約1%多い、約5%多い、約10%多い、約20%多い、約30%多い、約40%多い、約50%多い、約60%多い、約70%多い、約80%多い、約90%多い、約100%多い、約200%多い、約500%多い、約700%多い、約1000%多い、または約2000%多い脂肪酸生成物を製造する、実施形態6〜8のいずれか1つに従う組換え光合成微生物。
【0203】
実施形態10。組換え光合成微生物が、前記の第1の非天然核酸分子を欠く、そうでなければ同一である光合成微生物よりも約5%高い、約10%高い、約20%高い、約30%高い、約40%高い、約60%高い、約80%高い、約100%高い、約150%高い、約200%高い、400%高い、約600%高い、約800%高い、約1000%高い、または少なくとも2000%高い複製速度を有する、実施形態6〜9のいずれか1つの組換え光合成微生物。
【0204】
実施形態11。所望により、脂質が、遊離脂肪酸、脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、アルカン、アルケン、脂肪酸エステル、ワックスエステル、モノアシルグリセリド、ジアシルグリセリドおよびトリアシルグリセリドからなる群から選択される脂肪酸生成物である、脂質を製造するのに十分な時間量の間、適した培養培地において、これまでの実施形態のいずれか1つに従う組換え微生物を培養することを含む、脂質を製造する方法。
【0205】
実施形態12。組換え微生物が、光合成微生物であり、組換え光合成微生物が、光独立栄養的に培養される、実施形態11に従う方法。
【0206】
実施形態13。脱水素酵素をコードする核酸および脂質の製造に関与しているポリペプチドをコードする核酸配列の一方または両方の発現を誘導することを含む、実施形態11または12に従う方法。
【0207】
実施形態14。方法が、培養物から脂質を回収することをさらに含む、実施形態11〜13のいずれかに従う方法。
【0208】
実施形態15。脂質を製造する微生物において脱水素酵素をコードする組換え核酸分子を発現させることと、微生物の成長および/または増殖を支援する条件下で微生物を培養することを含み、微生物の成長および/または増殖速度が、同一条件下で培養され、対照微生物が脱水素酵素をコードする組換え核酸分子を発現しない点を除いて、組換え微生物に対してすべての点において同一である対照微生物のものよりも大きい、脂質を製造する微生物の成長および/または増殖速度を増大する方法。
【0209】
実施形態16。培養物が、3、4、5または6日の培養後に、脱水素酵素をコードする非天然遺伝子を欠く点を除いて、すべての点において同一である微生物の同一培養物によって達せられる培養密度よりも高い光学濃度に達する、実施形態11〜15のいずれかに従う方法。
【0210】
実施形態17。所望により、組換え微生物が、光合成組換え微生物であり、培養物が、実質的な量の還元炭素供給源を含まない、実施形態1〜10のいずれか1つの組換え微生物を含む細胞培養物。
【0211】
実施形態18。配列番号2または配列番号29に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離核酸分子。
実施例
【実施例1】
【0212】
微生物による脂肪酸製造を増強できるタンパク質をコードする遺伝子の同定のためにスクリーニングを設計した。ナイルブルースクリーニングは、テキサス州ラグーナマドレ(Laguna Madre、Texas)において水路から採取した環境サンプルから得られたDNA断片を含有するメタゲノムライブラリーの形質転換のためのバックグラウンドとして、クフェア・カルタゲンシス(Cuphea carthagenensis)由来のCc1FatB1アシル−ACPチオエステラーゼのN末端切断型を保持していた大腸菌(E. coli)Top10株を使用した(シネコシスティス属(Synechocystis)のためにコドン最適化されたヌクレオチド配列、配列番号20、アミノ酸配列配列番号21;参照により本明細書に組み込まれるUS2011/0020883を参照のこと)。プレートベースのアッセイを使用して、10μg/mLのナイルブルーA(Alfa Aesar、Ward Hill、MA番号A17174)を含有する固体培地で遊離脂肪酸を製造する組換え大腸菌(E. coli)コロニーを同定した。ナイルブルーは脂肪酸を青色に染める。プレートを標準光ボックス上に置くことによって、コロニーを目視検査によって染色について調べた。CclFatB1チオエステラーゼを発現したが、ライブラリー断片を含まないバックグラウンド対照を上回る高レベルのナイルブルーA染色を示すコロニーを選択し、成長させ、さらにスクリーニングして、遊離脂肪酸検出キット(番号SFA−1、Zenbio、Inc、Research Triangle Park、NC)を使用して総非エステル化遊離脂肪酸(FFA)の量を決定した。
【0213】
ナイルブループレートアッセイにおいてバックグラウンド対照を上回る上昇した遊離脂肪酸レベルを示す大腸菌(E. coli)クローンの遊離脂肪酸含量を、続いて、遊離脂肪酸検出キットを用いるアッセイによって、フレームイオン化検出を用いるガスクロマトグラフィー(GC)(GC−FID)によってさらに解析した。GC−FID解析においてバックグラウンド対照を上回る上昇した遊離脂肪酸レベルを示す200種の分離菌を選択し、クローンのヌクレオチド配列を決定した。これらの分離菌では、クローニングされた断片は、それらの配列の生物情報学解析に基づいて、各々、1つから少なくとも5つのオープンリーディングフレーム(有望な遺伝子)を含有していた。DNA塩基配列決定し、重複性クローンを除去した後、配列を再度解析して、反復するタンパク質ドメインを同定した。「NB」と示されたクローンは、ナイルブルーアッセイから単離された。南カリフォルニアのソルトン湖の北に位置するパシフィックアクアファーム(Pacific Aquafarms)の池から採取した水サンプルからのDNAの単離から作製されたメタゲノムライブラリーを使用する、脂肪酸の増強された生合成を検出するための別個の遺伝子アッセイも実施し、その結果、クローンB10が単離された(表1)。
【0214】
いくつかのクローンを、脱水素酵素ドメインを含有するポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有すると同定した(表1)。クローンB10およびNB106は、D−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素をコードする配列を含むと同定し;NB8およびNB112は、アルデヒド脱水素酵素をコードすると同定し;NB104は、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素をコードすると同定した。したがって、機能的スクリーニングにおいて単離された、クローニングされた断片において、3種の別個の種類の脱水素酵素をコードする遺伝子を同定した。
【0215】
【表1】
【0216】
B10挿入部分は、159.3のビットスコアおよび4.2 e−47のe値を有する、Pfam 02826(「D−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素、NAD結合ドメイン」、ギャザリングカットオフ、25.1)に属すると同定されたポリペプチド(配列番号2)をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)(配列番号1)を含んでいた。B10 ORFは、ポリモーフム・ギルバム(Polymorphum gilvum)SL003B−26A1のD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素、NAD結合タンパク質(遺伝子ID:328542593;受託YP_004302702)と64%同一である;ラブレンジア・アレクサンドリー(Labrenzia alexandrii)DFL−11のD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(遺伝子ID:254503433;受託ZP_05115584)と57%同一である;スタッピア・アグレガタ(Stappia aggregata)IAM126114の2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(遺伝子ID:118438963;受託ZP_01545666)と56%同一である;マリノモナス属(Marinomonas)種MWYL1のD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(NAD結合)(遺伝子ID:5367846;受託YP_001342133)と55%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。B10 ORFの最初の12個のアミノ酸(配列番号2)は、ポリモーフム・ギルバム(Polymorphum gilvum)D−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素、NAD結合タンパク質の最初のアミノ酸であるメチオニンの上流であり、したがって、これらのアミノ酸は、B10 ORFによってコードされる天然タンパク質の一部ではない可能性があり、コードされるポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸13〜326を含む可能性が高い。配列番号29は、配列番号2のアミノ酸13〜326に相当する。
【0217】
NB106挿入部分は、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)のD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(ZP_05597403;配列番号16)のアミノ酸1〜137と同一であるポリペプチド(配列番号15)をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号14)を含んでいた。このポリペプチド配列は、57.6のビットスコアおよび7.8 e−16のe値を有する、Pfam PF00389(「D−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素、触媒ドメイン」、ギャザリングカットオフ、24.6)に入った。NB106 ORF(配列番号14)によってコードされるポリペプチドに対して相同性を有するさらなるD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素として、エンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum)EG2のD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(ZP_05648199;EEV31532)(79%の同一性);エンテロコッカス・カセリフラブス(Enterococcus casseliflavus)ATCC 12755のD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(ZP_08145011;EGC69912)(78%の同一性);カルノバクテリウム属(Carnobacterium)種AT7のD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(ZP_02185893;EDP67348)(72%の同一性);エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)E1636のD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(ZP_06695345;EFF23321)(78%の同一性);ペディオコッカス・アシディラクチシ(Pediococcus acidilactici)7_4の2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(ZP_06196181;EFA27324)(63%の同一性);ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)ATCC367の2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(YP_794343;ABJ63312)(63%の同一性);ラクトバチルス・コレオホミニス(Lactobacillus coleohominis)101−4−CHNの2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(ZP_05553013;EEU30233)(64%の同一性);およびクロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)NCIMB8052のD−異性体特異的2−ヒドロキシ酸脱水素酵素(YP_001309316.1 GI150017062)(75%の同一性)が挙げられる。
【0218】
NB8挿入部分は、280.5のビットスコアおよび1.4 e−83のe値を有する、Pfam 00171(「アルデヒド脱水素酵素」、ギャザリングカットオフ、23.0)に属すると同定されたポリペプチド(配列番号4)をコードするORF(配列番号3)を含んでいた。挿入部分の最も5’の末端で始まるORFは、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)チューリンゲンシス(thuringiensis)血清型アルデヒドレダクターゼ(遺伝子ID:118438963;受託ZP_01432004;配列番号7)のアミノ酸95〜455に対して少なくとも99%の同一性を有する。ORFが、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)アルデヒドレダクターゼ(配列番号7)の最もN末端の90〜100のアミノ酸に対して相同なアミノ酸を失っているので、NB8は、末端切断型バチルス(Bacillus)アルデヒドレダクターゼをコードすると思われる。さらに、発現実験が実施された場合に実現されなかったクローニングエラーのために、このORFの一部のみを、シネコシスティス属(Synechocystis)における発現のために組込みベクター中にクローニングした。したがって、バチルス(Bacillus)アルデヒド脱水素酵素のN末端の94個のアミノ酸およびC末端の108個のアミノ酸を欠くポリペプチド(配列番号6)をコードするNB8部分ORF(配列番号5)の発現が、増殖および脂肪酸製造性に対して効果を実証したので(実施例2を参照のこと)、配列番号7(バチルス(Bacillus)アルデヒド脱水素酵素)のアミノ酸N末端からアミノ酸95およびアミノ酸347のC末端は、活性にとって必要でないと思われる。配列番号4に対して配列相同性を有するアミノ酸配列を含むその他のバチルス(Bacillus)アルデヒド脱水素酵素として、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)ベルリナー(berliner)血清型のywdHアルデヒド脱水素酵素(遺伝子ID:228938499;受託ZP_041501108)(99%の同一性);バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)IBL200のywdHアルデヒド脱水素酵素(遺伝子ID:228907013;受託ZP_04070879)(98%の同一性);バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)IBL4222のアルデヒド脱水素酵素(NAD)ファミリータンパク質(遺伝子ID:228899962;受託ZP_04064201)(98%の同一性);バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)クルスタキ(kurstaki)血清型のアルデヒド脱水素酵素ywdH(遺伝子ID:228951764;ZP_04113863)(98%の同一性)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)ATCC10876のアルデヒド脱水素酵素ywdH(遺伝子ID:229189465;ZP_04316482)(98%の同一性)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)ヒュアゾンゲンシス(huazhongensis)血清型のアルデヒド脱水素酵素ywdH(遺伝子ID:228920096;ZP_04083445)(98%の同一性)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)のアルデヒド脱水素酵素(NAD)ファミリータンパク質(遺伝子ID:206967852;ZP_03228808)(98%の同一性)およびバチルス・セレウス(Bacillus cereus)172560Wのアルデヒド脱水素酵素ywdH(遺伝子ID:229177791;ZP_04305164)(97%の同一性)が挙げられる。配列番号4に対して少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含むアルデヒド脱水素酵素として、バチルス・サイトトキシカス(Bacillus cytotoxicus)NVH391−98のアルデヒド脱水素酵素(遺伝子ID:5344056;YP_001374327)(82%の同一性);バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)WSH−002のアルデヒド脱水素酵素(遺伝子ID:345444973;gb AEN89990)(62%の同一性);バチルス・ミコイデス(Bacillus mycoides)Rock3−17のアルデヒド脱水素酵素ywdH(遺伝子ID:228996488 ZP_04156127)(81%の同一性)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)AH621のアルデヒド脱水素酵素ywdH(gi 229166217; ZP_04293977)(89%の同一性)およびバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)株アル・ハカム(Al Hakam)のアルデヒド脱水素酵素(NAD(P)+)(gi 118476858;YP_894009)(90%の同一性)が挙げられる。
【0219】
NB112挿入部分は、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)のメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(YP_001423238;配列番号19)に対して98%の同一性を有するポリペプチド(配列番号18)の一部をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号17)を含んでいた。このポリペプチド配列は、203.7のビットスコアおよび3 e−60のe値を有する、Pfam PF00171(「アルデヒド脱水素酵素」、ギャザリングカットオフ、23.0)に入った。NB112 ORF(配列番号18)によってコードされるポリペプチドに対して相同性を有するさらなるメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素として、バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)1942のメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(YP_003975426;ADP34495)(92%の同一性);バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ATCC14580のメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(YP_081323;gi 52082532)(89%の同一性);パエニバチルス・デンドリティフォルミス(Paenibacillus dendritiformis)C454のメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(ZP_09676636)(84%の同一性);パエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)HPL−003のメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(YP_005075546;AET59323)(83%の同一性);バチルス・クラウシー(bacillus clausii)KSM−K16のメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(YP_173925;BAD62964)(80%の同一性);リステリア菌(Listeria monocytogenes)FSL F2−208のメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(EFR85827)(79%の同一性);リステリア・マーシー(Listeria marthii)FSL S4−120のメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(ZP_07869657;EFR88847)(79%の同一性);およびアリシクロバチルス・アシドカルダリウス(Alicyclobacillus acidocaldarius)LAA1のメチルマロン酸セミアルデヒド脱水素酵素(ZP 03495181;EED06125)(70%の同一性)が挙げられる。
【0220】
NB104挿入部分(配列番号8)は、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素(例えば、ZP_0521253;配列番号11)の一部として同定されたポリペプチド(配列番号10)をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号9)を含んでいた。このポリペプチド配列は、55.4のビットスコアおよび4.4 e−15のe値を有する、Pfam 00393(「ホスホグルコン酸脱水素酵素」、ギャザリングカットオフ、20.4)に入った。NB104オープンリーディングフレームは、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)6−ホスホグルコン酸脱水素酵素(配列番号11)のアミノ酸13〜311に対して100%の同一性を有するポリペプチドをコードする。NB104 ORF(配列番号10)によってコードされるポリペプチドに対して相同性を有するさらなる6−ホスホグルコン酸脱水素酵素として、カルノバクテリウム属(Carnobacterium)種AT7の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素(遺伝子ID:163791487;ZP_02185894;56%の同一性)、アナエロコッカス・バギナリス(Anaerococcus vaginalis)ATCC51170の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素(遺伝子ID:256546044;ZP_05473398;51%の同一性)、エンテロコッカス・カセリフラブス(Enterococcus casseliflavus)の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素(遺伝子ID:257867259;ZP_05646912;51%の同一性)およびクロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)NCIMB 8052の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素様タンパク質(遺伝子ID:150017061;YP_001309315;49%の同一性)が挙げられる。
【実施例2】
【0221】
NB8、NB104およびB10株を含めた、配列決定されたクローンのいくつかのクローニングしたDNA断片(IPTG誘導性trcYプロモーター(配列番号22)の制御下)を、続いて、異なる遺伝子座に組み込まれたCc1FatB1アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子を含んでいたシネコシスティス属(Synechocystis)PCC 6803に形質転換した。
【0222】
N末端切断型Cc1FatB1アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子(配列番号20)を、大腸菌(E. coli)のP15A複製起点、シネコシスティス属(Synechocystis)6803への相同組換えのための「RS1アップ」(配列番号24)および「RS1ダウン」(配列番号25)断片、IPTG誘導性trcEによって駆動されるCuphea Cc1FatB1チオエステラーゼ遺伝子のlacIQレプレッサーおよび選択のためのカナマイシン耐性マーカーを含んでいた、シネコシスティス属(Synechocystis)組込みベクターYC28(配列番号23)にクローニングした。ベクターのセグメントのPCR増幅のためのDNA供給源材料は、シネコシスティス属(Synechocystis)ゲノムDNA、pUC−19ベクター、pACYC−184ベクターおよび合成されたクフェア属(Cuphea)Cc1FatB1遺伝子(DNA2.0、Menlo Park)を含有するベクターに由来する。
【0223】
実施例1に記載された機能的スクリーニングによって、脱水素酵素をコードする配列(またはその一部)を有すると同定された断片を過剰発現するために、発現ベクターも構築した。B10 ORF(配列番号1)、NB104コンティグ断片(配列番号8)およびNB104 ORF(配列番号9)を、ラン藻組込みベクターpSGI−YC63(配列番号28)と相同な、約15bpの配列を含有するプライマーを使用するライブラリースクリーニングにおいて同定された「コンティグ」クローンから独立に増幅した。NB8部分ORF断片(配列番号5)も、pSGI−YC63組込みベクターにクローニングした。pSGI−YC63は、選択のためのスペクチノマイシンマーカー、シネコシスティス属(Synechocystis)のRS2部位における組込みのための相同な「RS2アップ」(配列番号26)および「RS2ダウン」(配列番号27)アーム、trcYプロモーターを調節するためのlacIQレプレッサー(配列番号22)および大腸菌(E.coli)繁殖のためのpUC複製起点を含有していた。
【0224】
Cc1FatB1アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子構築物および脱水素酵素ORF構築物を、ラン藻類に導入するために、シネコシスティス属(Synechocystis)種PCC6803細胞を、実質的な量の還元炭素供給源を含まないBG−11培地において、約0.7〜0.9のOD(730nm)に培養した。培養物の約10mLを、およそ2000gで15分間遠沈させ、細胞ペレットを1mLの新鮮BG−11培地に再懸濁した。細胞の300μlのアリコートを約100ngの組込みベクターを用いて形質転換した。細胞を明所(80μE)で約6時間インキュベートし、次いで、Miniporeフィルター上に広げ、抗生物質を含有しないBG−11寒天プレートの頂部に置いた。プレートを約80μΕの光の下、約30℃で約24時間インキュベートした。次いで、フィルターを、20μg/mLのカナマイシンを有する新鮮BG−11 1.5%寒天プレート上に移し、7日間培養した。シネコシスティス属(Synechocystis)種PCC6803のコロニーを選びとり、新規寒天プレート上にパッチした。シネコシスティス属(Synechocystis)ゲノムへの組込みのために推定脱水素酵素をコードする構築物を、抗生物質選択が、20μg/mLのカナマイシンに加えて20μg/mLのスペクチノマイシンを含んでいた点を除いて同一の手順を使用してCc1FatB1で形質転換された株に形質転換した。
【0225】
Cc1FatB1アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子および脱水素酵素をコードするオープンリーディングフレームを含む培養物を、約60uEの光を用い、一定に振盪および1% CO
2を用いて成長させた。誘導時のODは、0.6であった。培養物を1mM IPTGを用いて誘導した。株を、1.5mLの初期容量を有する4mLのガラスバイアル中で成長させた。6日の最後に、バイアル中に約1mLの培養物が残る全バイアル(蒸発損失のために)をガスクロマトグラフィーに付した。6803のRS2部位に組み込まれたCcFatB1チオエステラーゼ遺伝子を有する(TrcYプロモーターの制御下に)が、外因性脱水素酵素遺伝子を保持しない株は、対照として働いた。
【0226】
遊離脂肪酸を、フレームイオン化検出を用いるガスクロマトグラフィー(GC)(GC−FID)によって解析した。PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で内張りされたキャップ(National Scientific)を用いてキャップされた4mLバイアル中の1mLの培養物を、分析のためにAnalyticalに付した。遊離脂肪酸C9:0、C13:0およびC17:0を各々、ヘキサン中600μg/mlの濃度で含む84マイクロリットルの内部標準(I.S.)セットを培養サンプルに添加し、続いて、83マイクロリットルの50% H
2S0
4、167マイクロリットルの5M NaClおよび1.4ミリリットルのヘキサンを添加した。各I.Sの最終濃度は、サンプル容量に対して50μg/mlとした。I.S.セットを作製するための脂肪酸は、FlukaまたはNu−Chek Prep、Incから購入した。遊離脂肪酸の変動する反応を考えて、3種のI.S.を使用した。C8:0およびC10:0は較正されw/C9:0 I.S.;C12:0およびC14:0は、C13:0 I.S.を使用し;残りのC16:0から18:2 cis9,12は、C17:0 I.S.を使用した。試薬およびI.S.添加後に、培養物を、マルチチューブボルテクサーで、2,500rpmで30分間ボルテックス処理した。バイアルを最終的に、2500rpmで3分間遠心分離して、有機相および水相間の良好な分離を提供した。ヘキサン層をGerstel MPS2Lオートサンプラーによってサンプリングした。脂肪酸サンプルを、J&W Scientific DB−FFAPキャピラリーカラム(10mの長さ、0.10mmの内径、0.10μmのフィルム厚)を含むFID(フレームイオン化検出器)を備えたAgilentモデル7890Aガスクロマトグラフで解析した。GCオーブンを、以下の通りにプログラムした:120℃で0.1分、次いで、40℃/分で240℃に加熱した(3分間維持)。インジェクター温度は、250℃で維持し、40:1スプリット1.0μlインジェクションを使用した。キャリヤーガスとして水素を0.5999ml/分の流速で使用した。FIDは320Cに設定した。分析物は、個々にインジェクトされた標準に対する保持時間の比較によって同定した。分析物の較正範囲は、C8:0−C16:1脂肪酸について2.5μg/ml〜200μg/ml、C18:0−C18:2脂肪酸について0.625μg/ml〜50μg/mlとした。各分析物の定量化限界は、C18:0、C18:l cis9(1.25ug/mL)およびC18:2 cis9,12(2.5μg/mL)を除く、較正範囲に列挙される最低濃度とした。全細胞培養物への添加および回収実験は、抽出方法によって、C16:1 cis9(74%)、C18:1 cis9(63%)およびC18:2 cis9,12(64%)を除いて、このサンプルバッチ実施中の各分析物について85%〜115%内で一貫して回収されたことを示した。
【0227】
これらの操作されたシネコシスティス属(Synechocystis)株によって製造された遊離脂肪酸の総量が、
図1に提供されている。Cc1FatB1チオエステラーゼをコードする配列(配列番号20)とともに、B10 ORF(「dehydrd」;配列番号1)、NB8部分ORF断片(配列番号5)、NB104 ORF(「6−P−de」;配列番号9)およびNB104 ORF全コンティグ断片(配列番号8)を発現するシネコシスティス属(Synechocystis)株は、CclFatB1チオエステラーゼ遺伝子単独を含有していた対照株と比較して、高レベルの遊離脂肪酸を製造したということがわかる。
図2は、スクリーニングから得られた、CclFatB1チオエステラーゼおよび脱水素酵素遺伝子を含むこの実験株において、スクリーニングが、CclFatB1チオエステラーゼを発現したが、脱水素酵素遺伝子を欠いた株の細胞密度よりも4〜5倍高い培養物を達成できたことを実証する。
【実施例3】
【0228】
脂肪酸製造を増強した遺伝子を発現させる効果をさらに調べるために、B10(2−ヒドロキシ酸脱水素酵素NAD結合ドメインタンパク質)遺伝子およびNB104(6−ホスホグルコン酸脱水素酵素)遺伝子を、CclFatB1アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子と一緒に発現するよう操作されたシネコシスティス属(Synechocystis)株を、細胞の酸化還元状態を変更するその能力について評価した。対照として、RS2部位にCc1FatB1遺伝子が組み込まれた組込みベクターpSGI−YC63(1A/YC63)を、さらなる脱水素酵素遺伝子を有さない独立したシネコシスティス属(Synechocystis)6803株において発現させた。導入遺伝子(「6803」)を有さないシネコシスティス属(Synechocystis)6803を、さらなる対照として含めた。細胞を、60μEの一定光条件下で、振盪しながら成長させ、0.5のOD
730で1mM IPTGを添加することによって誘導し、チオエステラーゼを、存在する場合には、推定脱水素酵素を発現させた。サンプルを24時間毎に3日間収集した。
【0229】
脱水素酵素遺伝子を用いて操作されたシネコシスティス属(Synechocystis)株および対照株の酸化還元状態を決定するために、酵素アッセイを実施して、誘導後1、2および3日で採取したサンプルでNADPH/NADP+比を決定した。この目的には、NADP/NADPH定量化キット(Bio Vision,Inc.、Mountain View、CA)を使用した。アッセイキット中の酵素は、酵素サイクリング反応においてNADP+/NADPHを特異的に認識する。アッセイのために、各時点について、およそ1.5×107個の細胞を、アッセイキットとともに提供される1mlのNADPH抽出バッファー中に溶解した。細胞を、液体窒素中の2回の凍結/解凍サイクルおよび4ラウンドのビードビーティング(bead beating)に付した。次いで、溶解物を遠心分離し、上清を10Kカットオフカラムで濾過した。すべての光合成色素およびNADPHを消費し得る酵素は、フィルター膜上に保持される。濾液は、小さな代謝産物のみからなり、NADPHアッセイにおいて使用した。アッセイキットは、総NADP(NADP+およびNADPH)ならびにNADPHの測定を可能にした。NADPH/NADP+比は、総NADPからNADPHの量を差し引いて、NADP+の量を提供すること、次いで、NADPHの量を、NADP+の算出された量によって除することによって決定した。
【0230】
アッセイ結果は、
図3に要約されている。
図3は、連続する実験日でのNADPH対NADP+の比を示す。対照株野生型シネコシスティス属(Synechocystis)PCC6803では、NADPHは、培養における各さらなる日数につれて、NADP+に対して減少する。外因性アシル−ACPチオエステラーゼ、Cc1FatB1を発現する株は、野生型細胞と比較した場合に、NADPH対NADP+の比の著しい低下を示す。これは、脂肪酸生合成プロセスが広範な還元力を必要とすると知られているので予測された。しかし、この実験では、外来アシル−ACPチオエステラーゼを発現する株への脱水素酵素遺伝子の付加は、NADPH対NADP+の比を増大し、NB104(6−ホスホグルコン酸脱水素酵素)遺伝子は、NADPH/NADP+比に対して、B10(2−ヒドロキシ酸脱水素酵素NAD結合ドメインタンパク質)遺伝子よりも大きな効果を有する。NADPH対NADP+の比は、野生型レベルには入らないが、アシルACPチオエステラーゼ単独を発現する株よりも少なくとも2倍高い。
【0231】
したがって、CclFatB1チオエステラーゼととものシネコシスティス属(Synechocystis)6803におけるB10 ORFまたはNB104 ORFの発現は、細胞のNADPH/NADP+比を高め(
図3)、6日での培養密度によって測定されるような株の高い増殖速度を可能にし(
図2)、すべての鎖長の遊離脂肪酸の高い製造にもつながった(
図1)。NB104 ORFは、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、ペントースリン酸経路の酵素の一部(
図4)をコードする。この経路は、6C糖からヌクレオチドおよび核酸生合成において使用される5C糖を製造する。ペントースリン酸経路は、脂肪酸生合成などの細胞内の還元性整合性反応のために使用される、NADPHの形態の還元性等価物の生成において役立つ。
【実施例4】
【0232】
メタゲノムライブラリーから得られたNB104 ORFは、エンテロコッカス(Enterococcus)6−ホスホグルコン酸脱水素酵素の一部をコードしていた。シネコシスティス属(Synechocystis)種PCC6803から得られた6−ホスホグルコン酸脱水素酵素酵素遺伝子(配列番号12)の過剰発現も試験して、エンテロコッカス属(Enterococcus)由来の6−ホスホグルコン酸脱水素酵素遺伝子と同一効果を発揮するかどうかを調べた。したがって、シネコシスティス(Synechocystis)6−ホスホグルコン酸脱水素酵素遺伝子sll0239(受託BAA10105;GI:1001479;配列番号12)をYC63構築物中にクローニングし、これでは、trcYプロモーターの制御下に置かれ、trcEプロモーター(配列番号30)によって調節され、RS1部位で組み込まれているCclFatB1アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子を発現するシネコシスティス属(Synechocystis)株のRS2部位に組み込まれる。得られた株を、trcYプロモーターからアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子(RS2部位で組み込まれた)のみを発現した対照シネコシスティス属(Synechocystis)種PCC6803株とともに、脂肪酸製造について試験した。この実験では、高いレベルの遊離脂肪酸製造を得るよう高い密度に達した後に株を誘導した。手短には、5.0 OD等価細胞を遠沈させ、1mM IPTGおよび適当な抗生物質を含有する新鮮なBG11培地に再懸濁した。最終培養容量は1.5mlとした。これらの株を、4mLガラスバイアル中で、一定に振盪しながら、60uEの光強度および1% CO
2を用いて成長させた。細胞が比較的高密度で誘導され、誘導下で6日間培養されるこの実施例では、相同なシネコシスティス(Synechocystis)脱水素酵素遺伝子の発現はまた、遊離脂肪酸の量を増大した(
図5)。サンプルの脂肪酸解析を、実施例2におけるように実施した。
【0233】
天然シネコシスティス(Synechocystis)6−ホスホグルコン酸脱水素酵素酵素は、CclFatB1チオエステラーゼ単独を発現する株と比較して、FFAを少なくとも2倍増大した(
図5)。模様の入ったバーは、シネコシスティス属(Synechocystis)において、CclFatB1とともにクローニングされた天然シネコシスティス(Synechocystis)6803 6−ホスホグルコン酸脱水素酵素酵素に相当する。したがって、本発明者らは、光独立栄養的に(培養物の成長または増殖を支援する還元炭素供給源を伴わずに)培養された光合成微生物を含めた生物における、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素などのNADPH生成性脱水素酵素の過剰発現は、増殖速度を改善し、培養物による遊離脂肪酸の全体的な収率を増強すると結論付ける。
【0234】
概要および要約の節は、発明者によって考慮される1つまたは複数ではあるが、すべてではない本発明の例示的実施形態を示し得、したがって、決して、本発明および添付の特許請求の範囲を制限するよう意図するものではない。
【0235】
特定の実施形態の前記の説明は、他者が、当技術分野の技術の範囲内の知識を適用することによって、過度の実験を行うことなく、本発明の一般概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に修飾および/または種々の適用のために適応させることができる本発明の一般的な性質を示す。したがって、このような適応および修飾は、本明細書において示された教示および指針に基づいて、開示された実施形態の等価物の意味および範囲内にあるものとし、本発明の広がりおよび範囲は、上記の例示的実施形態のいずれかによって制限されてはならない。