特表2015-517849(P2015-517849A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-517849(P2015-517849A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(54)【発明の名称】センサアレイ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1473 20060101AFI20150529BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20150529BHJP
   G01N 27/28 20060101ALI20150529BHJP
【FI】
   A61B5/14 331
   G01N27/46 338
   G01N27/46 351B
   G01N27/46 351K
   G01N27/46 353Z
   G01N27/46 376
   G01N27/46 321
   G01N27/28 M
   G01N27/28 321F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-509066(P2015-509066)
(86)(22)【出願日】2013年4月23日
(85)【翻訳文提出日】2014年11月19日
(86)【国際出願番号】US2013037695
(87)【国際公開番号】WO2013163120
(87)【国際公開日】20131031
(31)【優先権主張番号】61/636,840
(32)【優先日】2012年4月23日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー エイ. サンプローニ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー アール. ジャスパース
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK08
4C038KK10
4C038KL02
4C038KL09
4C038KY01
4C038KY08
(57)【要約】
センサアセンブリは、第1表面及び第1表面とは反対側の第2表面を有する基板と、基板の第1表面及び第2表面のうち少なくとも一方に配置された少なくとも1つの分析物センサと、基板に配置された少なくとも1つの電気接点を含み、この電気接点は、少なくとも1つの分析物センサのうち対応する1つの分析物センサと電気的導通状態にある。その際に基板は、内面及び外面を有する管が形成されるように構成される。この場合、基板の第1表面の少なくとも一部分によって、管の内面が形成され、管の内面及び外面のうち少なくとも一方の面に、少なくとも1つの分析物センサが配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサアセンブリにおいて、
第1表面及び該第1表面とは反対側の第2表面を有する基板と、
前記基板の前記第1表面及び前記第2表面のうち少なくとも一方の面に配置された少なくとも1つの分析物センサと、
前記少なくとも1つの分析物センサのうちの対応する1つの分析物センサと電気的導通状態にある、前記基板に配置された少なくとも1つの電気接点と
が設けられており、
前記基板は、内面及び外面を有する管が形成されるように構成されており、前記基板の第1表面の少なくとも一部分によって前記管の内面が形成され、前記管の内面及び外面のうち少なくとも一方の面に、前記少なくとも1つの分析物センサが配置されている
ことを特徴とする、
センサアセンブリ。
【請求項2】
前記基板はフレキシブルである、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項3】
前記基板は一体型基板である、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項4】
前記管は環状の横断面を有する、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項5】
前記管は少なくとも3つの平坦な面を有しており、該平坦な面各々に少なくとも1つの分析物センサが配置されている、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項6】
前記管の外面に少なくとも1つの電気接点が配置されている、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項7】
流体収容環状部が形成されるように、前記管を取り囲む外部カニューレが設けられている、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項8】
前記管の内面に少なくとも1つの電気接点が配置されている、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項9】
前記基板は、前記管から延在するタブが含まれるように構成されており、該タブに前記少なくとも1つの電気接点が配置されている、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項10】
前記タブは、前記管に接するように該管から延在している、請求項9に記載のセンサアセンブリ。
【請求項11】
前記基板に少なくとも1つのフロントエンド増幅回路が配置されており、該フロントエンド増幅回路は、前記少なくとも1つの分析物センサのうち対応する1つの分析物センサのすぐ近くに配置され、該分析物センサと電気的導通状態にある、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項12】
前記管と接続されかつ流体入口を形成するニップルを含む第1キャップと、前記管と接続されかつ流体出口を形成するニップルを含む第2キャップとが設けられている、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項13】
センサアセンブリにおいて、
第1表面及び該第1表面とは反対側の第2表面を有する基板と、
前記基板の前記第1表面に配置された少なくとも1つの分析物センサと、
前記基板に配置され、前記少なくとも1つの分析物センサのうち対応する1つの分析物センサと電気的導通状態にある、少なくとも1つの電気接点と
が設けられており、
前記基板は、内面及び外面を有する管が形成されるように構成されており、前記基板の第2表面の少なくとも一部分によって、前記管の内面が形成され、前記管の内面に前記少なくとも1つの分析物センサが配置されている
ことを特徴とする、
センサアセンブリ。
【請求項14】
前記基板はフレキシブルである、請求項13に記載のセンサアセンブリ。
【請求項15】
前記基板は一体型基板である、請求項13に記載のセンサアセンブリ。
【請求項16】
前記管は環状の横断面を有する、請求項13に記載のセンサアセンブリ。
【請求項17】
前記管は少なくとも3つの平坦な面を有しており、該平坦な面各々に少なくとも1つの分析物センサが配置されている、請求項13に記載のセンサアセンブリ。
【請求項18】
センサアセンブリの製造方法において、
フレキシブル基板の表面に、複数の分析物センサを形成するステップと、
複数の電気接点が前記複数の分析物センサのうち対応する1つの分析物センサと電気的導通状態となるように、該電気接点を前記フレキシブル基板に形成するステップと、
内面及び外面を有する管が形成されるように前記フレキシブル基板を構成して、前記分析物センサが形成された面によって前記管の内面が形成され、前記分析物センサが前記管の内面に配置されるようにするステップと
を含むことを特徴とする、
センサアセンブリの製造方法。
【請求項19】
環状の横断面を有するように前記管を構成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも3つの平坦な面を有するように前記管を構成して、前記平坦な面各々に少なくとも1つの分析物センサが配置されるように、該分析物センサを前記基板に形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記管の外面に電気接点が配置されるように、該電気接点を前記基板に形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記管から延在するタブが含まれるように前記基板を構成して、該タブに前記電気接点が配置されるように、該電気接点を前記基板に形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記タブを、前記管に接するように該管から延在させる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記基板に複数のフロントエンド増幅回路を形成し、該フロントエンド増幅回路を、前記複数の分析物センサのうち対応する1つの分析物センサのすぐ近くに配置し、該分析物センサと電気的に導通させる、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
センサアセンブリの製造方法において、
フレキシブル基板の表面に、複数の分析物センサを形成するステップと、
複数の電気接点が前記複数の分析物センサのうち対応する1つの分析物センサと電気的導通状態になるように、該電気接点を前記フレキシブル基板に形成するステップと、
内面及び外面を有する管が形成されるように前記フレキシブル基板を構成して、前記分析物センサが形成された面によって前記管の外面が形成され、前記分析物センサが前記管の外面に配置されるようにするステップと
を含むことを特徴とする、
センサアセンブリの製造方法。
【請求項26】
環状の横断面を有するように前記管を構成する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも3つの平坦な面を有するように前記管を構成して、前記平坦な面各々に少なくとも1つの分析物センサが配置されるように、該分析物センサを前記基板に形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記管の内面に電気接点が配置されるように、該電気接点を前記基板に形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記基板に複数のフロントエンド増幅回路を形成し、該フロントエンド増幅回路を、前記複数の分析物センサのうち対応する1つの分析物センサのすぐ近くに配置し、該分析物センサと電気的に導通させる、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による引用
2012年4月23日出願、仮出願番号第61/636,840号のアメリカ合衆国特許出願全体を、本明細書の一部として引用する。
【0002】
背景技術
1.本発明によるコンセプトの分野
以下で説明しかつ特許請求の範囲に記載した本発明によるコンセプトは全般的には、流体診断検査を実施するためのシステム及び方法に関するものであり、具体的には、ただし限定を意図するものではないが、センサアセンブリおよびその製造方法に関する。この場合、センサアセンブリは、少量の体積サンプルを用いた流体診断検査における複数のパラメータを同時に測定するための電気化学センサを有している。
【0003】
2.関連技術の概要
バイオセンサは、生物学的分析物の存在及び濃度を検出もしくは測定するために、化学及び医療の分野において有用である。例えば、患者の診断及び治療に関する種々の形式の分析検査を、患者の感染部位、体液、又は腫瘍から取り出された液体サンプルを分析することによって実施することができる。一般に検査される体液には、尿、血液、血漿、唾液、髄液、胸水、鼻咽頭などが含まれる。例えば血液サンプルは、血液中のCO2及びO2の分圧ならびに電解質及び代謝産物の濃度に関する測定値を得るため、ルーチンどおりに分析される。
【0004】
リジッドな積層センサアセンブリ及び電気回路を利用してこの種の測定値を形成するために、現在、数多くの種々の分析器が存在する。一次的な臨床指標によって、例えばpCO2、pO2、pH、Na+、K+、Ca2+、Cl-、グルコース、乳酸ならびにヘモグロビンの値の監視によって、患者のコンディションを評価するために、そのようなセンサアセンブリが利用される。多数の患者を頻繁に検査することから、分析実施のために少量のサンプルサイズで利用できるのが望ましい。集中治療室における患者に対しては、血液ガス測定及び臨床化学測定について、1日に15〜20回のサンプリング頻度が必要となる場合もある。このようなケースでは、比較的短い期間に比較的多くの回数のサンプルがとられることから、少量の血液サンプルを分析するのが望ましい。さらに、実施される検査の回数を制限するために望ましいのは、1回の検査ごとにできるかぎり多くの情報を収集することである。
【0005】
従来技術のいくつかの分析器には、流路の1つの壁部自体をセンサが画定しているセンサアレイが含まれている。流体経路は、センサコンポーネントを含む壁部と接合されたモールド樹脂などの二次材料を利用して形成される。流体分析用の他のバイオセンサアセンブリは、流体経路形成の機能を担うスペーサを介在させた複数の基板から成る。
【0006】
スペーサを用いたセンサアセンブリは一般に、1つ又は2つのプレート状の表面に配置されたセンサを有している。2つの基板が介在するスペーサによって結合されると、それら2つの基板は、センサを支持する基板表面が互いに向き合うようにポジショニングされる。このように介在するスペーサによって、流体サンプルに対し実質的に一直線の流路を形成及び画定することができ、或いは取り付けられた基板内面の周囲に配置されたセンサからセンサへと、流れの向きを変えることができる。少量体積でありマルチ分析物用の1つの分析器は、対向する2つのセンサセット間の流体経路を形成して画定するために、感圧性接着剤(PSA)が設けられた接着層を利用している。PSA膜は、リジッドな基板に簡単に塗布される。
【0007】
現行のシステムによる問題点は、サンプルの所要体積を低減するためには、流路の断面及び/又は長さを低減しなければならないが、他方、これによってセンサ膜の断面積及びその総体積が制約されてしまう可能性があることである。センサの個数を増加させることができる一方、サンプルの所要体積が維持又は低減される、経済的なバイオセンサアレイに対するニーズがあり、したがってこのような装置及び方法を提供するのが、本明細書で開示する本発明のコンセプトが目指すところである。
【0008】
本発明によるコンセプトの概要
本明細書で開示しかつ特許請求の範囲に記載した本発明によるコンセプトは、全体としてセンサアセンブリに関する。このセンサアセンブリは、第1表面及び第1表面とは反対側の第2表面を有する基板と、基板の第1表面及び第2表面のうち少なくとも一方に配置された少なくとも1つの分析物センサと、基板に配置された少なくとも1つの電気接点を含み、この電気接点は、少なくとも1つの分析物センサのうちの対応する1つの分析物センサと電気的導通状態にある。その際に基板は、内面及び外面を有する管が形成されるように構成される。この場合、基板の第1表面の少なくとも一部分によって、管の内面が形成され、管の内面及び外面のうち少なくとも一方の面に、少なくとも1つの分析物センサが配置される。
【0009】
図中、同じ参照符号は、同じ又は類似の要素又は機能を指している。本発明に関する以下の詳細な説明を勘案すれば、本発明の実現手法についていっそう深く理解することができる。以下の説明では、添付の実体図、概略図、グラフならびに線図を参照する。これらの図面は必ずしも縮尺どおりではなく、明解かつ簡潔にするため、いくつかの特徴やいくつかの図面の概観は、誇張又は縮尺変更されて、或いは概略的に、描かれている場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書で開示する本発明のコンセプトに従って構成されたセンサアセンブリを示す斜視図
図2図1に従って構成された基板の一部分を示す平面図
図3図1のライン3−3に沿って見た断面図
図4】本明細書で開示する本発明のコンセプトに従って構成されたセンサアセンブリの別の実施形態を示す斜視図
図5図4に従って構成された基板の一部分を示す平面図
図6図4のライン6−6に沿って見た断面図
図7】本明細書で開示する本発明のコンセプトに従って構成されたセンサアセンブリの1つの実施形態を示す断面図
図8】本明細書で開示する本発明のコンセプトに従って構成されたセンサアセンブリのさらに別の実施形態を示す断面図
図9】両端部にキャップを有するセンサアセンブリを示す斜視図
図10】センサアセンブリへ流体を供給する構成を示す斜視図
図11】本明細書で開示する本発明のコンセプトに従って構成されたセンサアセンブリの別の実施形態を示す斜視図
図12】本明細書で開示する本発明のコンセプトに従って構成されたセンサアセンブリのさらに別の実施形態を示す断面図
【0011】
発明を実施するための形態
以下で詳しく説明する本発明によるコンセプトの少なくとも1つの実施形態を説明する前に理解しておきたいのは、本発明によるコンセプトの適用が、以下の説明或いは図面に示されているコンポーネントの構造、実験、例示データ、及び/又は配置法構成の詳細に限定されるものではない、ということである。以下で説明しかつ特許請求の範囲に記載した本発明によるコンセプトは、他の実施形態でも可能であるし、或いは様々なやり方で実施又は実行することができる。さらにここで理解しておきたいのは、本明細書で用いる表現や用語は説明を目的としたものであるにすぎず、どのようなかたちであれ限定とみなしてはならない、ということである。
【0012】
本発明のコンセプトの実施形態に関する以下の詳細な説明では、本発明のコンセプトをいっそう完全に理解できるようにするために、数多くの特定の詳細な点について述べられている。とはいえ、当業者には自明であるとおり、本明細書に記載された発明のコンセプトは、それらの特定の詳細な点がないとしても実施可能である。また、本明細書の説明を不必要に複雑にするのを避けるため、よく知られている特徴については、詳細には説明していない。
【0013】
さらに、明示的にそうではないと述べられていないかぎり、「又は」という表現は包含的論理和を指すものであり、排他的論理和を指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれかを満たすものである。即ち、Aは真である(或いは存在する)かつBは偽である(或いは存在しない)、Aは偽である(或いは存在しない)かつBは真である(或いは存在する)、AもBも真である(或いは存在する)。
【0014】
これらのことに加え、本明細書で述べる実施形態の要素ならびにコンポーネントを記述するため、「1つの」が使用されている。便宜上、このようにしただけであって、これは本発明のコンセプトの一般的な意味を定めるためである。この記述は、1つ又は少なくとも1つが包含されると読まれるべきであって、明らかにそうではないかぎり単数形であっても複数も含まれる。
【0015】
最後に述べておくと、本明細書で用いられているように、「一実施形態」又は「1つの実施形態」という呼び方はいずれも、その実施形態に関連して述べられる特定の要素、特定の構造、又は特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。なお、本明細書中の様々な個所において「1つの実施形態によれば」というフレーズが現れるが、これは必ずしもすべて同じ実施形態を参照しているわけではない。
【0016】
次に、図面を参照すると、特に図1を参照すると、本明細書で開示しかつ特許請求の範囲に記載した本発明のコンセプトに従って構成されたセンサアセンブリ10の1つの実施形態が示されている。センサアセンブリ10は、第1表面14及び第1表面14とは反対側の第2表面16を有する基板12を含んでいる。基板12の第1表面14には、少なくとも1つの分析物センサ18が配置されている。さらに基板12には少なくとも1つの電気接点20が配置されており、少なくとも1つの分析物センサ18の対応する1つと電気的導通状態にある。基板12は、流体経路23を画定する管22が形成されるように構成されており、さらに基板12には、流体入口24、流体出口26、内面28及び外面30を有している。基板12の第1表面14の少なくとも一部分によって、管22の内面28が形成されており、管22の内面28には、少なくとも1つの分析物センサ18が配置されている。
【0017】
基板12を複数の材料から形成することができ、例えばガラス、プラスチック、或いは酸化アルミニウム、ケイ素又はホウ素などのセラミック材料によって形成することができる。適切な材料は当業者によく知られている。1つの実施形態によれば、基板はフレキシブル材料である。フレキシブル材料の非限定的な例として挙げられるのは、紙、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などである。フレキシブル基板を利用することによって、センサアセンブリ10のサイズと重量を低減することができる。本明細書においてあとで詳述するように、フレキシブル基板を利用することで、センサアセンブリ10の回路密度を高めることができ、かつ形状全体を経済的に変形させることができる。
【0018】
基板12の第1表面14に配置された分析物センサ18は、化学物質の濃度などの化学的パラメータ又は物理的パラメータを測定できるどのようなセンサであってもよい。血液サンプルにおける測定値の非限定的な例として挙げられるのは、pCO2、pO2、pH、Na+、K+、Ca2+、Cl-、グルコース、乳酸ならびにヘモグロビンである。多種多様な形式及びデザインの分析物センサ18を使用することができる。典型的には、分析物センサ18には2つ又は3つの電極が含まれている(図示せず)。この場合、分析物センサ18を、被測定流体とじかに接触させることができる。さらにこのセンサに、薄膜又は同等のものを含めることができ、これによって流体と分析物センサ18内の電極とが、じかに接触しないようになる。1つの実施形態によれば、分析物センサ18は電気化学バイオセンサであり、化学情報を測定可能な信号に変換するために、導電率、電位差測定、電流測定の技術を用いることができる。
【0019】
例えば導電率の技術に基づくバイオセンサは、電気化学反応によりイオン又は電子が生成され、溶液の導電率又は抵抗が反応に比例して変化することを利用している。電位差測定型バイオセンサは、イオン選択性電極を利用することができ、或いは対象イオンを選択的に拡散可能なイオン浸透膜を有する電極を利用することができる。この動作原理がベースとするのは、電圧を溶液に加えると、電気化学反応によって電流に変化が生じることである。電流測定型バイオセンサは、生物学的サンプル中に存在する電気活性種を検出する感度が高く、グルコースや乳酸などの分析物に使用されることが多い。電流測定型バイオセンサは、動作電極と参照電極の双方を使用し、動作電極は通常、貴金属又は生体認識成分によって被覆されたスクリーン印刷層である。
【0020】
分析物センサ18を平坦なフォーマットで製造することができ、例えば厚膜技術及び/又は薄膜技術を利用して、ベースとなる誘電体基板に複数の材料から成る薄層を連続的に被着させることによって、製造することができる。平坦な分析物センサを、いっそう小さくかつ互いにいっそう密に構成することができ、これによって所要サンプル体積が低減される。この場合、標準プロセスを利用して、セラミックウェハに平坦な厚膜電極を製造することが多い。分極が一定の状態で耐用期間を延ばすために、超高純度金属を用いることができる。さらにグルコース及び乳酸のバイオセンサにおける活性電極をスクリーン印刷するために、白金炭素ペーストなど、導電性インキおよび誘電性インキが利用される。内部電解質としてポリマーを使用することができ、pO2用の電流測定センサにおける内部電解質として、ナフィオン即ちスルホン化されたテトラフルオロエチレンポリマーを使用することができる。イオン選択性分析物センサのために、トリメチル[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]アミニウム・クロリドとメタクリル酸メチル(MAPTAC/MMA)のコポリマーが、固体の内部接点として用いられる。
【0021】
このように多種多様な分析物センサ18を、単体で或いは組み合わせて使用することができ、分析物センサ18各々は、基板12に配置された対応する電気接点20と電気的に接続される。1つの実施形態によれば、分析物センサ18の各コンポーネント及び電気接点20のために、フレキシブルポリマーシートのようなフレキシブル基板上に回路を印刷可能である、当業者により最近開発された当業者に周知の材料および方法が利用される。この種のプリント回路は、一般にフレックス回路と呼ばれる。ここでは、フレキシブル回路を形成するための公知の材料及び方法をここで述べたが、自明のとおり、分析物センサ18及び電気接点20を形成してフレキシブル基板に取り付けるための、現時点で知られていない新たな材料も、本明細書及び特許請求の範囲に記載された本発明によるコンセプトに含まれるものとする。
【0022】
フレキシブル基板を用いたセンサアセンブリ10の設計及び製造には、片面型、両面アクセス型及び両面型のフレックス回路を含めることができる。片面型フレックス回路は、フレキシブルな誘電膜上に金属又は(金属の充填された)導電性ポリマーから成る単一の導電層を有している。コンポーネントの端子機能には、一方の側からアクセス可能である。ベースとなる膜にホールを形成して、相互接続のためにコンポーネントのリード線を通すことができる。カバー層又はカバーコーティングのような保護コーティングを設けて、又は設けずに、片面型フレックス回路を製造することができる。両面アクセス型フレックス回路は、導体パターンの選択された機能を両側からアクセスできるように処理された、単一の導体層を有している。両面型フレックス回路は、実際には2つの導体層を有している。
【0023】
リジッドなプリント回路基板に使用するのと同じコンポーネントを使用して、ポリマー厚膜フレックス回路を製造することができ、これによって基板を所望の形状に適合させることができ、或いは使用中に変形させることができるようになる。フレックス回路は、フォトリソグラフィ技術によって製造されることが多い。フレキシブルなシート回路を製造するための別の選択肢として挙げられるのは、PETから成る2つの層の間に極めて薄い銅ストリップをラミネートすることである。これらのPET層は、熱硬化性の接着剤によってコーティングされ、ラミネーションプロセス中に活性化されることになる。
【0024】
1つの実施形態によれば、スクリーン印刷、輪転グラビア印刷、パッド印刷、ステンシル、インクジェット等を利用して、導電性インキと誘電性インキが基板12に堆積され、これによって電気接点20及び電極ならびに分析物センサ18の他のコンポーネントが形成される。導電性インキを、ナノ粒子の白金、金、銀、銅、ケイ素、或いは他の導電性の元素又はそれらの元素の組み合わせによって、部分的に形成することができる。基板12の適切な領域に膜材料が被着されて、機能的な分析物センサ18が形成される。基板12はフレキシブルであり、紙、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)などから形成することができる。
【0025】
対応する分析物センサ18と電気的導通状態にある電気接点20は、どのような形状であってもよく、どのような導電性材料であってもよい。電気接点20のための適切な材料には、限定を意図するものではないが、金、銀、銅、アルミニウムといった金属、及びこれらの合金、ならびに導電性インキが含まれる。
【0026】
1つの実施形態によれば、図1図3に例示されているように、基板12の第1表面14に1つ又は複数の電気接点20が配置されている。分析物センサ18と電気接点20との電気的な導通をトレース32によって行うことができ、トレース32を基板12の第1表面14に沿って配置することもできる。トレース32を、銅などの導電性金属、導電性インキ等から成るストリップとすることができ、分析物センサ18と電気接点20との間で信号を搬送するために電気的なコネクションを形成することができる。電気接点20は、分析物センサによる流体サンプルの測定値に基づき分析結果を処理及び出力するために、分析器(図示せず)に至る電気接点と適合するように配置され、サイズ及び形状が選定されている。
【0027】
別の実施形態によれば、図4図6に例示されているように、基板12の第2表面16に1つ又は複数の電気接点20が配置されている。第1表面14に配置された分析物センサ18と、第2表面16に配置された電気接点20との電気的な導通を、基板12の第1表面14に沿って部分的に配置可能なトレース32を用いて行うことができる。トレース32は、第2表面16に設けられた対応する電気接点20との接続のため、いずれかのポイントに設けられたホール又はビア34を通って案内されている。例えばビア34を、金属又は導電性インキなどの導電性材料によって充填することができる。
【0028】
管22が形成されるように基板12を構成することができ、例えば基板を丸める、曲げる、或いは折り込むなどして、所望の形状を与えることができる。1つの実施形態によれば、分析物センサ、電気接点20、トレース32、ならびに他の必要とされる又は望ましい電気コンポーネント及びコネクション(これらを合わせて回路36と称する)が取り付けられる基板12を、回路36を作り上げている間は平坦な状態にしておくことができ、その後、基板を丸めて、図1図6に示されているような円形の横断面を有する管22が形成されるようにすることができる。別の実施形態によれば、例えば図7及び図8に示されているように、少なくとも3つの平坦な面を有する管22が形成されるように、回路36の取り付けられた基板12を曲げることができ、或いは折り込むことができる。
【0029】
管22は、流体入口24及び流体出口26ならびに内面28及び外面30を有している。センサアセンブリ10を、単体の一体型基板12において形成することができ、この場合、センサアセンブリ10はただ1つの継目38しか有しておらず、この継目は、感圧性の接着剤、エポキシ、アクリル、又は当業者に周知の他の接合手段及び接合材料を用いて、固定することができる。このようにすれば、スペーサ材料が不要となる。このことに加え、マルチ分析物センサ18をフィルム上にプリントすることができ、例えばこの場合、クロストーク及びその他の干渉を最小限に抑えるために、各電極間に十分な間隔を設けるようにする。基板12及び分析物センサ18を管構造中に丸め込むと、センサは対向と隣接の双方の配置をとることになり、それによっていっそう多くの個数の分析物センサ18を、いっそう狭い流体経路内に設けることができるようになる。
【0030】
1つの実施形態によれば、図4図6に例示されているように、基板12の第2表面16に1つ又は複数の電気接点20が配置されている。例えば、管22の外面に設けられた1つ又は複数の電気接点20と適合するように構成された電気接点を備えた受け口を介して、1つ又は複数の電気接点20を分析器に簡単に接続することができる。
【0031】
1つの実施形態によれば、図1図3及び図7ならびに図8に例示されているように、基板12の第1表面14に1つ又は複数の電気接点20が配置されており、さらに管20から延びるタブ40を残すように、基板12が丸められ又は曲げられ又は折り込まれ、タブ40の上に電気接点20が配置される。タブ40を、管22と接する関係をもたせて延在させることができる。流体サンプルのセンサ測定値に基づく分析結果を処理及び出力する目的で電気信号を転送するために、1つ又は複数の電気接点20及びタブ40と適合するように構成された、例えばリボンタイプのコネクタを用いることによって、タブ40を分析器に簡単に接続することができる。
【0032】
図2に示されているように、基板の第1表面にフロントエンド増幅回路42を配置することができ、この増幅回路42は、少なくとも1つの分析物センサ18の対応する1つのすぐ近くに配置され、そのセンサと電気的導通状態におかれる。フロントエンド増幅回路42を有用なものとすることができるのは、分析物センサ18が干渉及びノイズの影響を受けやすい低いレンジの出力を発生させる場合である。この種の干渉及びノイズは、トレース32に沿って伝送される信号の完全性を損なうおそれがある。フロントエンド増幅回路42は、分析物センサ18からの信号を増幅してから、分析結果の処理及び出力のために分析器(図示せず)へその信号を伝達する。増幅によって信号損失が低減され、分析器へ信号が伝達される間に信号の完全性が損なわれるリスクに対し改善が施される。
【0033】
分析物センサ18の場合と同様にフロントエンド増幅回路42を、導電性インキを用いて基板12にダイレクトに印刷することによって、形成することができるし、或いは薄膜フィルムに印刷してから、そのフィルムを基板12に被着することによって、形成することができる。フロントエンド増幅回路42は、基板12上で分析物センサ18の著しく近くに配置され、トレース32に沿って電気的に接続される。
【0034】
図9に示されているようにセンサアセンブリ10に、流体入口24を覆う第1キャップ43及び/又は流体出口26を覆う第2キャップ43′を設けることができる。第1キャップ43には、分析すべき流体サンプルを管22へ注入するのを容易にするためのニップル44を設けることができる。同様に第2キャップ43′には、流体サンプルを管22から取り出すのを容易にするためのニップル44′を設けることができる。
【0035】
1つの実施形態によれば、図10に示されているように、センサアセンブリ10はフランジ45を有しており、さらにオプションとしてフランジキャップ46を有している。フランジ45によって、センサアセンブリ10に流体サンプルを手動で挿入するのが簡単になり、取り扱いならびに保管が容易になる。さらにフランジ45によって、分析器への及び分析からのセンサアセンブリの移動が簡単になる。
【0036】
次に図11を参照すると、この図には、本明細書で開示しかつ特許請求の範囲に記載した本発明のコンセプトに従って構成されたセンサアセンブリ10のさらに別の実施形態が示されている。この実施形態によれば基板12は、内面28′及び外面30′を有する管22を形成するように構成されている。この場合、少なくとも1つの分析物センサ18が管22の外面30′に配置されている一方、対応する電気接点20が管22の内面30′に配置されている。ここで想定しているのは、このような構成を備えたセンサアセンブリ10であれば、流体測定値を生成するために体内に挿入するカニューレとして利用できる、ということである。この場合、配線50を管22の内部に収容することができ、体液を管の外面30′に接触させることができる。
【0037】
図11に示した実施形態を、図12に示されているように外部カニューレ52内に収容することもでき、この場合、管22と外部カニューレ52とによって、それらの間に環状部54が形成される。モニタリングすべき血液又は他の流体が、この環状部54を通って流れ、1つ又は複数の分析物センサ18によって測定される。この場合、キャップ43′によって、管22の内部に流体が入るのが阻止される。患者体内に挿入するために使用する場合、外部カニューレ52は人体に無害な材料によって形成される。このようなデザインが有用となる可能性があるのは、管22の外面30′に患者が晒されるのが、或いは長時間にわたり晒されるのが、好ましくない状況においてである。
【0038】
センサアセンブリの製造方法には、上述のように複数の分析物センサをフレキシブル基板上に形成するステップが含まれる。フレキシブル基板上には複数の電気接点が形成され、これらの電気接点が、複数の分析物センサのうち対応する1つセンサと電気的導通状態におかれるようにする。ついで、流体入口及び流体出口ならびに内面及び外面を有する管が形成されるよう、フレキシブル基板に形状が与えられる。この場合、分析物センサが形成された面によって、管の内面が形成され、分析物センサが管の内面に配置されるようにする。望ましいのであれば、剛性を付加するためにセンサアセンブリを化学的に、或いは熱により、処理することができる。オプションとして、形状全体を支持及び維持するために、センサアセンブリに補強材を取り付けることができる。
【0039】
同様に、センサアセンブリを形成する別の方法には、フレキシブル基板の表面に複数の分析物センサを形成し、フレキシブル基板に複数の電気接点を形成し、それらの電気接点を複数の分析物センサのうち対応する1つのセンサと電気的に導通した状態におくステップが含まれる。この場合、内面及び外面を有する管が形成されるよう、フレキシブル基板が構成される。この場合、分析物センサが形成された面によって、管の外面が形成され、分析物センサが管の外面に配置されるようにする。
【0040】
これまでの説明から明らかであるように、本明細書で開示した本発明による1つ又は複数のコンセプトは、既述の目的を実行し、既述の利点ならびに本明細書で開示した本発明のコンセプトに内在する利点を達成するのに著しく適している。このコンセプトを開示する目的で、本明細書で開示した本発明によるコンセプトの実施形態について説明してきたけれども、自明の通り、当業者であればすぐに思いつくであろう数多くの変形を行うことができ、それらの変形は、本明細書で開示しかつ添付の特許請求の範囲によって規定した本発明の範囲を逸脱することなく達成されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
【国際調査報告】