【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の前記めっき組成物を再生するためのこの方法において、めっき組成物は、少なくとも1つのめっき装置に収容されている。これは、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属と、イオン形態の少なくとも1種類の第2の金属とを含有し、前記少なくとも1種類の第2の金属は、より高い酸化状態およびより低い酸化状態で提供することができ、より低い酸化状態で提供される場合、前記少なくとも1種類の第1の金属をイオン形態から金属状態へ還元することが可能である。前記方法は以下の方法ステップを含む:
(a)再生装置を提供する。この装置は作用電極と対抗電極を有する。前記作用電極は作用電極室内に配置され、前記対抗電極は対抗電極室内に配置される。前記作用電極室と前記対抗電極室は、イオン選択性膜によって互いに分離している。前記対抗電極室は対抗電極液体を収容している。
(b)前記めっき組成物の少なくとも一部を、前記少なくとも1つのめっき装置から除去する。
(c)前記除去された組成物の少なくとも一部を、前記再生装置の前記作用電極と接触させる。前記除去された組成物の前記一部、または前記除去された組成物と、前記作用電極とを接触する間、前記作用電極をカソード分極させ、それにより、より高い酸化状態で提供される前記少なくとも1種類の第2の金属がより低い酸化状態に還元され、前記少なくとも1種類の第1の金属が金属状態で作用電極上に堆積する。この接触および電気分解の処理によって、前記除去された組成物の第1の部分が得られる。
(d)次に前記第1の部分を前記除去された組成物から除去し、次に前記除去された組成物の残り(第1の部分を有さない)を、方法ステップ(c)において金属状態で上に堆積した前記少なくとも1種類の第1の金属を有する前記作用電極と接触させる。前記除去された組成物の前記残りの前記接触中、前記作用電極をアノード分極させ、それにより前記作用電極上に金属状態で堆積する前記少なくとも1種類の第1の金属が、前記除去された組成物の前記残りの中に溶解して、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属を形成する。除去された組成物の残りのこの接触と電気分解の処理によって、前記除去された組成物の第2の部分が得られる。
(e)その後、前記第1と第2の部分を前記少なくとも1つのめっき装置に戻すことで、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属と、より低い酸化状態で提供されている前記少なくとも1種類の第2の金属とを含有する前記めっき組成物が得られ、それにより前記めっき組成物は、前記少なくとも1種類の第1の金属をイオン形態から金属状態に還元可能とする。第1と第2の部分は、好ましくは前記少なくとも1つのめっき装置に別々に戻され、すなわち、それらが前記少なくとも1つのめっき装置中に入るまでに、それらを互いに接触させない。
【0016】
本発明による前記めっき組成物を再生するための上記再生設備は、本発明の再生方法の実施に特に適合している。前記再生設備は:
(a)少なくとも1つの再生装置であって、それぞれが:
i.作用電極室および対抗電極室;
ii.前記作用電極室中に配置される作用電極、および前記対抗電極室中に配置される対抗電極;
iii.前記作用電極室および前記対抗電極室を互いに分離するイオン選択性膜;
iv.前記作用電極および前記対抗電極に通電するための電流源
を含む少なくとも1つの再生装置と;
(b)前記めっき組成物の少なくとも一部を前記少なくとも1つのめっき装置から除去するための手段、および前記除去されためっき組成物を前記作用電極と接触させるための手段と;
(c)前記除去された組成物の第1の部分が前記再生装置によってカソード処理された後に、前記除去された組成物の前記第1の部分を収容するのに適合した少なくとも1つの第1の貯蔵タンクと;
(d)前記除去された組成物の第2の部分が前記再生装置によってアノード処理された後に、前記除去された組成物の前記第2の部分を収容するのに適合した少なくとも1つの第2の貯蔵タンクと;および
(e)前記第1および第2の部分を前記少なくとも1つのめっき装置に戻すための手段とを含み;前記戻すための手段は、好ましくは、前記第1および第2の部分を別々に前記少なくとも1つのめっき装置に戻すように設計されている。
さらに、前記少なくとも1つの第1の貯蔵タンクおよび前記少なくとも1つの第2の貯蔵タンクは、前記少なくとも1種類の再生装置と流体接続している。
【0017】
以上の目的およびさらなる目的は、前記少なくとも1種類の第1の金属を前記基板上に連続的に堆積する方法によって、および前記少なくとも1種類の第1の金属を前記基板上に連続的に堆積するための設備によってさらに実現される。
【0018】
本発明の前記少なくとも1種類の第1の金属を前記基板上に連続的に堆積するこのさらなる方法は、以下の方法ステップを含む:
(a)前記少なくとも1つのめっき装置によって収容される前記めっき組成物を提供する。前記組成物は、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属と、イオン形態の前記少なくとも1種類の第2の金属とを含有する。前記少なくとも1種類の第2の金属は、より高い酸化状態およびより低い酸化状態で提供することができ、より低い酸化状態で提供される場合、前記少なくとも1種類の第1の金属のイオン形態から金属状態への還元が可能である。
(b)より低い酸化状態にある前記少なくとも1種類の第2の金属を、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属と反応させ、それによって前記少なくとも1種類の第1の金属は金属状態で前記基板上に堆積し、前記少なくとも1種類の第2の金属は、より高い酸化状態に酸化する。
(c)作用電極および対抗電極を有する再生装置を提供する。前記作用電極は作用電極室中に配置され、前記対抗電極は対抗電極室中に配置される。前記作用電極室および前記対抗電極室は、イオン選択性膜によって互いに分離される。前記対抗電極室は対抗電極液体を収容する。
(d)前記少なくとも1種類の第1の金属が前記基板上に堆積された後、前記めっき組成物の少なくとも一部を前記少なくとも1つのめっき装置から除去する。
(e)前記除去された組成物の少なくとも一部を、前記再生装置の前記作用電極と接触させる。前記除去された組成物の前記一部、または前記除去された組成物と、前記作用電極との接触の間、前記作用電極をカソード分極させ、それによって、より高い酸化状態で提供される前記少なくとも1種類の第2の金属がより低い酸化状態に還元され、前記少なくとも1種類の第1の金属が金属状態で作用電極上に堆積する。この接触および電気分解処理によって、前記除去された組成物の第1の部分が得られる。
(f)次に、前記第1の部分を前記除去された組成物から除去し、次に前記除去された組成物の残りを、方法ステップ(e)において金属状態で上に堆積した前記少なくとも1種類の第1の金属を有する前記作用電極と接触させる。前記除去された組成物の前記残りの前記接触中、前記作用電極をアノード分極させ、それによって前記作用電極上に金属状態で堆積する前記少なくとも1種類の第1の金属が、前記除去された組成物の前記残りの中に溶解して、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属が形成される。除去された組成物の残りのこの接触および電気分解処理によって、前記除去された組成物の第2の部分が得られる。
(g)その後、前記第1および第2の部分を前記少なくとも1つのめっき装置に戻すことで、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属と、より低い酸化状態で提供される前記少なくとも1種類の第2の金属とを含有する前記めっき組成物が得られ、それによって前記めっき組成物は、前記少なくとも1種類の第1の金属をイオン形態から金属状態に還元可能となる。第1および第2の部分は、好ましくは前記少なくとも1つのめっき装置に別々に戻され、すなわち、それらが前記少なくとも1つのめっき装置中に入るまでに、それらを互いに接触させない。
【0019】
本発明による前記少なくとも1種類の第1の金属を前記基板上に連続的に堆積するための上記設備は、本発明の上記めっき方法の実施に特に適合している。前記設備は:
(A)イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属と、イオン形態の前記少なくとも1種類の第2の金属とを含有する前記組成物を収容するための前記少なくとも1つのめっき装置であって、前記少なくとも1種類の第2の金属は、より高い酸化状態およびより低い酸化状態で提供することができ、より低い酸化状態で提供される場合、前記少なくとも1種類の第1の金属のイオン形態から金属状態への還元が可能である、前記少なくとも1つのめっき装置と;
(B)再生設備であって:
(a)少なくとも1つの前記再生装置であって、それぞれが:
i.前記作用電極室および前記対抗電極室;
ii.前記作用電極室中に配置される作用電極、および前記対抗電極室中に配置される対抗電極;
iii.前記作用電極室および前記対抗電極室を互いに分離する前記イオン選択性膜;
iv.前記対抗電極室に収容される前記対抗電極液体;
v.前記作用電極および前記対抗電極に通電するための前記電流源
を含む少なくとも1つの再生装置と;
(b)前記めっき組成物の少なくとも一部を前記少なくとも1つのめっき装置から除去するための前記手段、および前記除去されためっき組成物を前記作用電極と接触させるための手段と;
(c)前記除去された組成物の第1の部分が前記再生装置によってカソード処理された後に、前記除去された組成物の前記第1の部分を収容するのに適合した前記少なくとも1つの第1の貯蔵タンクと;
(d)前記除去された組成物の第2の部分が前記再生装置によってアノード処理された後に、前記除去された組成物の前記第2の部分を収容するのに適合した前記少なくとも1つの第2の貯蔵タンクと;および
(e)前記第1および第2の部分を前記少なくとも1つのめっき装置に戻すための前記手段とを含む再生設備と
を含む。
【0020】
本発明のこれらの方法および設備は、従来技術の方法および設備の欠陥を克服するために設計されている。
【0021】
以上から、少なくとも1種類の第1の金属が少なくとも1つの再生装置の作用電極上に最初に堆積し、同時にこの作用電極のカソード分極が起こることが明らかである。この(第1の)プロセスステップ中、より高い酸化状態にある少なくとも1種類の第2の金属のより低い酸化状態への変換も起こる。したがって少なくとも1種類の第1の金属がめっき組成物から欠乏するので、後に作用電極の極性を反転させることによって、それに補給される。この(第2の)回復ステップ中、めっき組成物中に依然として含有される限り、より低い酸化状態にある少なくとも1種類の第2の金属は、アノード作用電極の酸化作用のためにさらに欠乏する。したがって、米国特許第6,338,787B1号明細書に記載の方法とは逆に、本発明は、作用電極においてカソード処理されるめっき組成物の第1の部分と、この同じ作用電極においてアノード処理されるめき組成物の第2の部分との使用を提供する。したがって、除去されためっき組成物の残りが、アノードとして分極する作用電極において電気分解して第2の部分が得られるときに、第1の部分が得られる再生方法のプロセスステップ(c)において作用電極上に堆積された少なくとも1種類の第1の金属は、この方法の次のプロセスステップ(d)においてめっき組成物に戻る。次に、めっき組成物のこれら2つの部分は少なくとも1つのめっき装置に戻されて、少なくとも1種類の第1の金属を基板上にめっき可能となるめっき組成物が形成される。これら2つのプロセスステップのために、少なくとも1種類の第1の金属は、めっき組成物の第1の部分において欠乏し、より低い酸化状態の少なくとも1種類の第2の金属は、この第1の部分において多くなり、より低い酸化状態の少なくとも1種類の第2の金属は、めっき組成物の第2の部分において欠乏し、少なくとも1種類の第1の金属は、この第2の部分において多くなるため、これら2つの部分はいずれも、少なくとも1種類の第1の金属がプレートアウトする危険性がない。したがって、本発明の方法は、プロセスの分解に対する高い安定性が得られる。これは、2つの部分はいずれもめっき組成物の使用条件には近くなく、むしろ離れていることによる。さらに、米国特許第6,338,787 B1号明細書で行われるような少なくとも1種類の第1の金属の作用電極上への堆積を抑制しようとする必要はない。実際、除去された組成物の降りの処理中の、より低い酸化状態の少なくとも1種類の第2の金属の酸化は、作用電極がアノードとして機能するときには、あまり顕著でないことが分かった。
【0022】
米国特許第6,338,787 B1号明細書には、活性化の次のステップにおいてアノードとして電極を使用することによって、堆積金属イオンのめっき浴への供給を実現できることが単に報告されている。したがって、この従来技術の方法において電極上にコーティングされた堆積金属(米国特許第6,338,787B1号明細書における第2の金属)は、めっき浴中に即座に回収されず、後の時点で回収され、それによってプロセスは制御不能のままとなる。さらに、米国特許第6,338,787B1号明細書には、その同じ堆積金属でできたアノードを使用することによって、堆積金属をめっき浴中に溶解させることもできると報告されている。しかし、この対策によって、米国特許第6,338,787 B1号明細書の活性化プロセス中、カソード電極における還元性金属(米国特許第6,338,787 B1号明細書における第1の金属)の還元とは別に、アノード電極における堆積金属のアノード溶解によって、制御されない方法でさらなる堆積金属イオンがめっき浴に加えられるため、さらにプロセスが非常に不安定になる。さらに、米国特許第6,338,787 B1号明細書には、活性化ステップにおけるカソード反応での金属堆積の抑制は、好ましくはカソードの電流密度を限界電流密度よりも高く調節することによって、または酸化活性炭電極を使用することによって行われると報告されている。このさらなる実施によって、還元性金属イオンの濃度レベルが非常に高くなり、堆積金属のカソード上への堆積がごくわずかとなるために堆積金属イオンの濃度も高くなるという状況の活性化設備が得られる。これらの条件下で、活性化設備においてめっき浴の自発的分解も生じ、それによってそれが破壊されうる。
【0023】
以上の理由から、米国特許第6,338,787 B1号明細書のめっき浴は、自発的分解を回避するために比較的低濃度で成分が構成される必要がある。次にこれによって、低いめっき速度が不可避となり、そのため非経済的となる。
【0024】
対照的に本発明は、少なくとも1種類の第1の金属および少なくとも1種類の第2の金属の濃度を比較的高いレベルで調節することができ、そのため高いめっき速度が達成される。これは、再生装置中に含まれる組成物が2つの独立した部分に分割されることで、分解に対するプロセスの非常に良好な安定性を得ることができるためである。これは組成物を、より低い酸化状態の少なくとも1種類の第2の金属に富む第1の部分と、イオン形態の少なくとも1種類の第1の金属に富む第2の部分とに分離することによって実現される。さらに、第1の部分は、少なくとも1種類の第1の金属が少なく、第2の部分は、より低い酸化状態の少なくとも1種類の第2の金属が少ない。したがって、再生装置中では、条件中に再生装置が運転(堆積)条件に近い液体を含有するような条件は、決して設定されない。第1および第2の部分を組み合わせた後にのみ、そのような条件(少なくとも1種類の第1および第2の金属が高い含有量で提供されることを含む)が再び実現される。この条件は、再生装置の外側、すなわち少なくとも1つのめっき装置の内側で実現される。
【0025】
本発明の好ましい一実施形態において、めっき組成物第1および第2の部分は適切な比率で混合される。これによって、分解に対する良好な安定性を有し、一定で高いめっき速度が得られる再生めっき組成物が得られる。この比率(第2の部分の体積に対する第1の部分の体積)1.0(50%の第1の部分および50%の第2の部分)以上、または1.0未満であってよく、たとえば最大80%の第1の部分および最小20%の第2の部分、あるいは最大80%の第2の部分および最小20%の第1の部分であってよい。
【0026】
本発明のさらなる好ましい一実施形態においては、作用電極における除去された組成物のカソード処理および引き続くアノード処理は、第1の電気分解方法ステップにおいて、除去されためっき組成物の全量を処理し、その一部を除去して第1の部分を得て、その後、第2の電気分解方法ステップにおいて残り、すなわち前にカソード処理された部分を処理して、第2の部分を得ることによる第1の変法で行うことができる。この実施形態の第2の変法では、除去された組成物の作用電極における処理は、第1の電気分解方法ステップにおいて、除去された組成物の一部のみを処理して第1の部分を得て、その後、第2の電気分解方法ステップにおいて、第1の部分とは異なる除去された組成物の第2の部分を処理して第2の部分を得ることによって行うことができる。当然ながら、除去された組成物が第1および第2の電気分解方法ステップにおいて処理されるそれぞれの量を変化させることによってさらなる変法が存在しうる。
【0027】
本発明のさらなる好ましい一実施形態においては、第1の変法において、1つのバッチにおいてその一定体積を除去し、この体積を、本明細書において前述したような再生方法により処理することによって、めっき組成物を少なくとも1つのめっき装置から除去することができる。この実施形態の別の変法においては、2つのバッチを同時にまたは連続して除去し、これら2つのバッチを処理して、それぞれ第1の部分および第2の部分を得るか、あるいは、これら2つのバッチを1つにまとめ、1つにまとめた2つのバッチを、本明細書において前述したような再生方法により処理することによって、めっき組成物を少なくとも1つのめっき装置から除去することができる。
【0028】
本発明のさらなる好ましい一実施形態においては、除去された組成物の体積は、少なくとも1つのめっき装置に戻される第1および第2の部分の体積に等しい。これによって、プロセスのより容易な制御が可能となるが、その理由は、めっき方法中のめっき組成物の温度が室温よりも高いと、めっき組成物の溶媒の蒸発が重要となり、蒸発した溶媒を少なくとも1つのめっき装置に補給する必要が生じるからである。蒸発した溶媒の量は、めっき組成物に加えられるおよび除去されるバッチの体積を制御することで、容易に求めることができる。
【0029】
少なくとも1つのめっき装置からのめっき組成物の除去は、たとえば、第1および第2の部分を戻すことと関連させることができる。このために2つのポンプを設けることができ、1つの第1のポンプは、再生された第1の部分を少なくとも1つのめっき装置に戻し、さらに同時に、この戻される体積に対して一定およびあらかじめ決定された比率で、再生設備に供給されるめっき組成物を少なくとも1つのめっき装置から除去し、1つの第2のポンプは、再生された第2の部分を少なくとも1つのめっき装置に戻し、さらに同時に、この戻される体積に対して一定およびあらかじめ決定された比率で、再生設備に供給されるめっき組成物を少なくとも1つのめっき装置から除去する。この比率(第2の部分の体積に対する第1の部分の体積)は好ましくは1.0に設定することができ、それによってめっき組成物の除去および返還の間に、少なくとも1つのめっき装置において体積変化が起こらない。
【0030】
本発明のさらなる好ましい一実施形態においては、めっき組成物のpHは基本的に維持され、すなわちめっき作業に好適なpHとは異なるpHへのさらなる調整は行われず、その間に前記めっき組成物は、前記少なくとも1つのめっき装置からの除去、あるいは前記作用電極への移動または前記作用電極との接触が行われる。より具体的には、めっき作業に適した値とは別の値にpHを変化させるために、再生装置中での処理の前に、除去されためっき組成物への酸性または塩基性(アルカリ性)物質の添加は不都合が生じることが分かっており、その理由は、これによってそれぞれ酸性またはアルカリ性の物質が増えるからである。再生前のプロセス作業中に酸性またはアルカリ性の物質を添加しない場合でも、イオン選択性膜を含む本発明の再生設定では、再生装置中の電荷移動手段として膜を通したイオン拡散が必要となる。次にこれによって、再生セルのそれぞれの室中のイオンの濃縮または欠乏が起こる。これによって、処理されるめっき組成物のpH変化が生じることがあり、次にこれは、無電解めっき作業に好適な値までpHを戻すために、酸性またはアルカリ性の物質を加えることによって補償する必要がある。めっき組成物が約2〜2.5時間使用されうることを考慮すると、24時間の長さのめっき作業では既に10〜12の再生サイクルが必要となる。したがって、pH調整のための化学物質/物質をそれぞれ添加することによって、めっき組成物中のこれらの物質の濃度が増加し、それによってめっき条件がますます望ましくないものになる。したがって、めっき組成物中にさらなる物質の蓄積を最小限にすることが重要である。
【0031】
本発明のさらなる好ましい一実施形態においては、めっき組成物を準備するときに、最初に前駆体組成物が形成される。このため、めっき方法は以下の方法ステップをさらに含む:
−前記少なくとも1種類の第1の金属と、より高い酸化状態およびより低い酸化状態の前記少なくとも1種類の第2の金属とを、前記少なくとも1種類の第1の金属の堆積が前記基板上で起こらないような濃度で含有する前記前駆体組成物を提供するステップであって;前記前駆体組成物が、より好ましくは、より低い酸化状態の第2の金属、たとえば三価のチタンを全く含有しないステップ;
− 前記前駆体組成物の少なくとも一部を前記作用電極と接触させ、前記作用電極をカソード分極させ、それによってより高い酸化状態で提供された前記少なくとも1種類の第2の金属がより低い酸化状態まで還元され、および前記少なくとも1種類の第1の金属が金属状態で前記作用電極上に堆積し、それによって、前記前駆体組成物の第1の部分を得るステップ;
− 前記前駆体組成物の前記第1の部分を除去した後、その残りを、前の方法ステップで前記少なくとも1種類の第1の金属が金属状態で上に堆積された前記作用電極と接触させ、前記作用電極をアノード分極させ、それによって、前記作用電極上に金属状態で堆積した前記少なくとも1種類の第1の金属を、前記前駆体組成物の前記残りの中に溶解させて、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属を形成し、それによって前記除去された組成物の第2の部分を得るステップ;その後
− 前記第1および第2の部分を前記少なくとも1つのめっき装置に移動させることで、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属と、より低い酸化状態で提供される前記少なくとも1種類の第2の金属とを含有する前記めっき組成物を得て、それによって、前記めっき組成物は、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属を金属状態に還元可能となるステップ。
【0032】
この方法では、少なくとも1種類の第2の金属がより低い酸化状態からより高い酸化状態まで酸化される問題が生じることなく、前駆体溶液の製造、取り扱い、および保管を容易に行うことができるという利点が得られる。
【0033】
より具体的には、前記少なくとも1種類の第1の金属としてスズを使用してこの後者のプロセス順序が使用され、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属として二価のスズが使用される。さらに、前記少なくとも1種類の第2の金属としてチタンを使用することができ、三価のチタンが、より低い酸化状態の前記少なくとも1種類の第2の金属となり、および四価のチタンが、より高い酸化状態の前記少なくとも1種類の第2の金属となる。
【0034】
たとえば、四価のチタンを含有し三価のチタンは含有しない前駆体組成物は、三価のチタンおよび/または二価のスズを含有するそれぞれの前駆体組成物よりもはるかに安定である。それぞれスズおよびチタン以外の空気によって酸化しやすいあらゆる他の第1および第2の金属がより低い酸化状態で使用される場合も同じことが言える。さらに、Ti(IV)錯体などの四価のチタンのみと場合により一部の添加剤とを含有する組成物は、四価のチタンは低毒性であるため環境に優しい。
【0035】
本発明のさらなる好ましい一実施形態においては、めっき方法は、最初に、イオン形態であり、たとえばより高い酸化状態である少なくとも1種類の第2の金属を含有し、第1の金属を含有しない前駆体組成物を提供するステップと、前記少なくとも1種類の第1の金属が金属状態で上に堆積された前記作用電極を前記前駆体組成物とさらに接触させるステップと、前記作用電極をアノード分極させるステップとをさらに含み、それによって、前記作用電極上に金属状態で堆積する前記少なくとも1種類の第1の金属が前記前駆体組成物中に溶解して、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属と、より低い酸化状態で提供される前記少なくとも1種類の第2の金属とを含有する前記組成物が得られ、それによって、前記組成物は、イオン形態にある前記少なくとも1種類の第1の金属を金属状態に還元可能となる。より好ましくは、作用電極が少なくとも1種類の第1の金属でできている場合、この好ましい変法は、少なくとも1種類の第1の金属を前駆体組成物中に補給するために好都合に使用することができる。この後者の好ましい実施形態では、このような場合少なくとも1種類の第1の金属の量は限定されないので、必要なだけの少なくとも1種類の第1の金属を前駆体組成物中に溶解させることが可能となる。
【0036】
より具体的には、前駆体組成物は、この好ましい実施形態においては、四価のチタンを含有し、三価のチタンおよび二価のスズを含有しないことができ、あるいは、四価および三価のチタンを含有し、二価のスズを含有しないことができる。これらの場合、作用電極のアノード分極によって、スズは作用電極から前駆体組成物の(第2の)部分中に溶解する。本発明によると、次にこの(第2の)部分は、作用電極でカソード処理された後の前駆体組成物のもう1つの(第1の)部分と1つにまとめられる。四価のチタンを含有し三価のチタンおよび二価のスズを含有しない前駆体組成物は、後者の化学種のいずれか1つを含有する組成物よりもはるかに安定である。この理由は、保管または輸送されるときの空気酸化のために、三価のチタンだけでなく、二価のスズも容易に酸化されるからである。空気によって酸化しやすいあらゆる他の第1および第2の金属がより低い酸化状態で使用される場合にも、同じことが言える。
【0037】
本発明は、第1の再生ステップにおいて前駆体組成物の一部のみを使用し、第2の再生ステップにおいて前駆体組成物の残りを使用して、こうして形成されためっき組成物の第1および第2の部分を形成し、これら2つの部分を新しいおよび再生されためっき組成物として使用することを含む。この手順によって、めっき速度、金属含有量の不変性、および最も重要な分解に対するめっき組成物の安定性に関して十分な結果が得られる。
【0038】
本発明とは逆に、前駆体組成物全体を、最初に作用電極においてカソード的に電気分解し、次にこの電気分解された組成物をこの同じ作用電極においてアノード的に電気分解すると、得られる組成物が不安定となることが分かり、それによって使用される容器の壁に望ましくないスズの堆積が生じ、および/または浴体積中にスズ粒子が形成される。この場合、条件に依存して、前駆体組成物中に含まれる80%〜100%の二価のスズが、第1の再生ステップにおける前駆体組成物から、カソード分極する作用電極上に堆積した。この場合、カソードとしての作用電極を組成物と接触させた後、作用電極の極性を反転させると、作用電極上に堆積したスズが組成物中に再溶解し、同時に、条件に依存して、三価のチタンの十分に少ない部分のみがこの第2の再生ステップにおいて再酸化される。したがって、非常に高いめっき速度を有し、非常に不安定である組成物が得られる。再生装置中の比較的高濃度の三価のチタンによって、この不安定性が生じると考えられ、それによって組成物が非常に活性となり、第2の再生ステップ中、スズが作用電極から再溶解するときにスズコロイドが形成される。これらのコロイド粒子は、その後、作業下の浴中でのスズ粒子のさらなる成長の種として機能し、それによって不安定性が観察される。スズコロイドの除去を試みるためにフィルターを使用しても、浴に必要な安定性は得られない。このような場合、スズの微粒子がフィルター中に蓄積するので、再生ステップ中のスズコロイドの形成によって浴が不安定になるという考えが裏付けられる。
【0039】
本発明によると、めっき組成物は、必要に応じて再生することができる、すなわち、たとえばめっき速度の低下および/または組成物の分解に対する不安定性が検出されてすぐに再生することができる。別の作業形態の1つでは、再生が永続的、すなわち全く中断せずに行われ、あるいは断続的に行うことができ、すなわち、再生が行われない規定の中断時間間隔の後で間隔を開けて行うことができる。
【0040】
この後者の場合、めっき組成物はそれに応じて再生されて、三価のチタンに富む第1の部分と、二価のスズに富む第2の部分とが得られる。これによって、高いめっき速度が可能となる高活性により近い操作位置でめっき組成物を操作することができる。
【0041】
少なくとも1種類の第1の金属としてのスズ、および少なくとも1種類の第2の金属としてのチタンとは別に、少なくとも1種類の第1の金属としてのコバルト、ニッケル、鉛、銀など、ならびに少なくとも1種類の第2の金属としてのセリウム、バナジウム、コバルト、鉄、マンガン、およびクロムなどの別の金属を使用することができる。次に、少なくとも1種類の第1の金属のそれぞれのイオン形態は、それに応じて二価のコバルト、二価のニッケル、二価の鉛、および一価の銀となることができ、次に、少なくとも1種類の第2の金属のそれぞれのより低い/より高い酸化状態は、それに応じて三価/四価のセリウム、二価/より高い価数のバナジウム、三価/四価のコバルト、二価/三価の鉄、二価/より高い価数のマンガン、および二価/より高い価数のクロムとなることができる。
【0042】
本発明のさらなる好ましい一実施形態において、イオン形態の前記少なくとも1種類の第1の金属が二価のスズであり、より低いおよびより高い酸化状態の前記少なくとも1種類の第2の金属がそれぞれ三価および四価のチタンである場合、これらの金属は、適切な錯化剤と場合により錯形成したそれらの塩の形態で提供することができ、それによってこれらの塩は組成物中に溶解して溶液を形成する。塩は塩化物塩、硫酸塩、硝酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩などであってよい。
【0043】
めっき組成物は、イオン形態の少なくとも1種類の第1の金属のための、たとえば二価のスズのための、少なくとも1種類の第1の錯化剤をさらに含有することができる。より低い酸化状態、たとえば三価のチタン、またはより高い酸化状態、たとえば四価のチタンのいずれかの少なくとも1種類の第2の金属のため、あるいは両方のための、少なくとも1種類の第2の錯化剤も含有することができる。
【0044】
本発明のさらなる好ましい一実施形態においては、前記めっき組成物はピロリン酸イオンを含有する。これらのイオンは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の形態、あるいはその酸の形態、たとえばナトリウム塩および/またはカリウム塩の形態で加えることができる。これらのイオンは、イオン形態の少なくとも1種類の第1の金属、たとえば二価のスズの錯化剤となる。ピロリン酸イオンとは別に、別の第1の錯化剤も同様に使用することができる。
【0045】
本発明のさらなる好ましい一実施形態においては、前記めっき組成物のpHは少なくとも約6である。pHは最高約9であってよい。より好ましくはpHは少なくとも約7であってよい。より好ましくは最高約8.5であってよい。pHは、アルカリまたはアルカリ土類の水酸化物または炭酸塩などのアルカリ性物質、あるいは硫酸、塩素酸、酢酸、メタンスルホン酸などの酸性物質をめっき組成物に加えることによって調整することができる。最も好ましくは、めっき組成物のpHは、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩を前記めっき組成物に加えることによって調整される。pHを安定化するために緩衝系を使用することができる。このような緩衝系は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属のイオンとともに使用されるピロリン酸イオンであってよい。
【0046】
めっき組成物は、チオ尿素、グリシルグリシン(gylcylglycine)、チオプロピオン酸、ヒドロキノン、レソルシノール、およびイソプロパノールなどの安定剤および促進剤などの少なくとも1種類の添加剤をさらに含有することができる。安定剤は、容器などの表面上、および/またはめっき組成物全体への少なくとも1種類の第1の金属の自然堆積を防止するにも好適であり、促進剤はめっき速度を高めるのに好適である。
【0047】
めっき組成物は、溶媒をさらに含み、緩衝剤、酸性物質、またはアルカリ性物質に加えて支持電解質をさらに含むことができる。溶媒は好ましくは水であってよく、支持電解質は、好ましくは、硫酸塩、塩化物、臭化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩などのアニオンのいずれかのアルカリまたはアルカリ土類塩であってよい。あるいは、溶媒および支持電解質は有機化合物から選択することができ、特にイオン液体から選択することができる。このような系は、たとえば独国特許出願公開第102009027094 A1号明細書に記載されている。これらの化合物は、たとえば、ハロゲン化物、硫酸塩などのさらなるアニオンを有するイミダゾリウム化合物などの、さらなるアニオンを有する芳香族カチオン性複素環式化合物から選択される塩を含む。
【0048】
再生設備の再生装置のそれぞれは:
i.作用電極室および対抗電極室;
ii.前記作用電極室中に配置される作用電極、および前記対抗電極室中に配置される対抗電極;
iii.前記作用電極室および前記対抗電極室を互いに分離するイオン選択性膜;
iv.前記対抗電極室に収容される対抗電極液体;
v.前記作用電極および前記対抗電極に通電するための電流源
を含む。
【0049】
本発明の好ましい一実施形態において、前記少なくとも1種類の作用電極は、金属状態の前記少なくとも1種類の第1の金属でできている。炭素電極または活性化チタン電極などの不活性電極の使用とは逆に、これによって、この作用電極が再生される組成物に接触するときに、その上に堆積する少なくとも1種類の第1の金属が、酸化ステップ中に組成物の残りと接触するときに剥離して液体中に粒子および/または断片を生じて、それによって液体中でこれらの粒子および/または断片において少なくとも1種類の第1の金属の制御できないプレートアウトが生じることがないという利点が得られる。少なくとも1種類の第1の金属を作用電極として使用することによって、この酸化ステップ中に、少なくとも1種類の第1の金属は作用電極から均一に溶解する。さらに、少なくとも1種類の第1の金属が、ニッケルなどの毒性の塩を形成する金属である本発明の方法が使用されると、これらの金属をイオン形態で含有する組成物の輸送及び取り扱いにある問題が発生する。この少なくとも1種類の第1の金属でできた作用電極を使用することによって、堆積される金属が作用電極によって得られるので、少なくとも1種類の第1の金属を補給するための液体の取り扱いおよび輸送が不要となる。このため環境的により良いプロセスとなる。
【0050】
さらに、このような作用電極の使用は、めっき作業において消費された少なくとも1種類の第1の金属を、再生作業においてめっき組成物に補給できるというさらなる利点を有する。このために、これは除去された組成物の残りに溶解され、したがって最終的にはめっき組成物中に補給される。これによって、めっき組成物から欠乏した後での、少なくとも1種類の第1の金属のめっき組成物中への補給が可能となる。
【0051】
本発明の好ましい一実施形態において、前記少なくとも1つの作用電極は、金属状態の前記少なくとも1種類の第1の金属の破片でできており、金属状態の前記少なくとも1種類の第1の金属の前記破片は、不活性材料でできた容器中、好ましくは不活性金属でできた、あるいはポリプロピレン(PP)またはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenfluoride)(PVDF)などのプラスチック材料でできているよう基中に収容される。不活性材料としては、好ましくは不活性金属の場合、本明細書および特許請求の範囲において、再生方法の条件下で、めっき組成物またはその一部のあらゆる成分と反応しない、たとえば少なくとも1種類の第1および第2の金属、組成物の溶媒、緩衝剤、添加剤などと反応しない材料であると理解される。このような不活性材料はチタンであってよい。容器はバスケットであってよい。したがって、部品は、チタンでできたバスケット中に収容することができる。このような構成によって、作用電極材料の容易な補給が可能となる。再生装置は好ましくは、可能な限り強く接触させるために、再生されるめっき組成物を、容器中の作用電極材料の充填材料を通過して循環させることができるように構成することができる。この作用電極材料はめっき組成物を補給するために消費されるので、容器の再補充による容易な補給によって処理が促進される。
【0052】
別の一実施形態においては、作用電極は、前記少なくとも1種類の第1の金属の代わりに、当然ながら活性化チタン(白金、またはイリジウム/チタン酸化物などの混合酸化物などで被覆される)などの不活性金属でできていてもよい。この場合、作用電極は、エキスパンドメタルシートなどのエキスパンドメタルの形態であってよい。
【0053】
対抗電極は好ましくは、活性化チタンなどの不活性金属でできている。この場合、作用電極は、エキスパンドメタルシートなどのエキスパンドメタルの形態であってよい。
【0054】
作用電極室はめっき装置と流体接続され、それによって再生されるめっき組成物はそれらを通過して流れることができる。対抗電極室は、好ましくはめっき装置とは流体接続されない。これは好ましくは対抗電極液体を含有し、対抗電極液体は好ましくは不活性の対抗電極液体であり、すなわち、本明細書および特許請求の範囲においては、その中の溶媒を除けば、再生装置の運転条件下で反応して他の化学種が得られる化学種を含有しない対抗電極液体として理解される。したがって、この不活性対抗電極液体は、支持電解質以外を含有しない希硫酸または他のあらゆる電解質の水溶液であってよい。対抗電極液体は、対抗電極室と流体接続される対抗電極液体タンクから対抗電極室に供給することができる。
【0055】
イオン選択性膜は、カチオンまたはアニオンのいずれか、または排他的に一価のカチオン、または排他的に一価のアニオンの1種類のイオンを選択的に透過させることが可能なあらゆる膜であってよい。
【0056】
本発明の好ましい一実施形態において、前記イオン選択性膜はカチオン選択性膜である。この場合、不活性で酸性の対抗電極液体が対抗電極室に収容され、除去されためっき組成物が作用電極室に収容される場合に、2つの室の間の電荷移動は、除去されためっき組成物のカソード処理中の対抗電極室中に収容される対抗電極液体から作用電極室へのプロトンの移動、および第2の部分のアノード処理中の作用電極室中に収容される除去された組成物の残りから対抗電極室への別のカチオンの移動によって支持することができる。
【0057】
本発明の別の一実施形態においては、再生装置は、作用電極室および対抗電極室に加えて、2つの別の室の間に配置された中央電極室をさらに含むことができる。この場合、作用電極室は、アニオン選択性膜によって中央電極室から分離することができ、対抗電極室は、カチオン選択性膜によって中央電極室から分離することができる。対抗電極液体は、pHが約4〜約10、より好ましくは約5〜約11の支持電解質を含有することができる。中央電極室中に収容される支持電解質は、たとえば対抗電極室中に収容されるものと同じであってよい。さらに、中央電極室は、酸由来のアニオンなどのさらなるアニオンを含有することができる。作用電極のカソード分極および対抗電極のアノード分極によって、対抗電極室に収容される支持電解質のカチオンが中央電極室に移動し、作用電極室中に配置される除去された組成物中に含まれるアニオンも中央電極室に移動する。作用電極のアノード分極および対抗電極のカソード分極によって、前に移動したカチオンが中央電極室から対抗電極室に戻り、前に移動したアニオンが中央電極室から作用電極室に戻る。
【0058】
再生装置は、前記作用電極および前記対抗電極に通電するための電流源をさらに含む。この電流源は好ましくは直流で動作する。それぞれカソード分極またはアノード分極される作用電極の目的に依存して、流される全体的な正味の電荷がカソード的またはアノード的のいずれかである場合は、パルス電流を発生させることもできる。運転方式の1つでは、電流源は、単極性パルス(カソード的またはアノード的のいずれかである独自のパルス)が得られるように動作させることができる。必要に応じて、作用電極のカソード分極またはアノード分極、ならびに対抗電極のそれぞれの逆の分極を行うために、電流源は、好ましくは作用電極へのカソード分極の付与とアノード分極の付与との間で切り替え可能である。
【0059】
再生設備は、少なくとも一部の前記めっき組成物を前記少なくとも1つのめっき装置から除去するための前記手段と、前記作用電極のカソード分極またはアノード分極のそれぞれを行いながら、前記除去されためっき組成物を前記作用電極と接触させるための手段とをさらに含む。このために再生設備はめっき装置と流体接続している。より具体的には、再生装置の作用電極室がめっき装置と流体接続する。これらの手段は、好ましくは、めっき装置を再生装置の作用電極室と接続する適切な接続ライン、好ましくは管であってよい。これらの手段は、これらのラインまたはそれぞれの管を介して少なくとも1つのめっき装置から作用電極室までめっき組成物を供給するポンプをさらに含むことができる。
【0060】
再生設備は、前記組成物が前記再生装置によってカソード処理された後の前記組成物の前記第1の部分を収容するのに適合した前記少なくとも1つの第1の貯蔵タンクをさらに含む。これらの手段は好ましくは、めっき組成物の第1の部分の収容に好適な貯蔵タンクを含む。この部分を貯蔵することができるあらゆるタンクが好適となりうる。三価のチタンおよび二価のスズなどの中に含まれるあらゆる化学種の酸素による酸化を防止するため、内部への空気の流入を排除するために、タンクは環境から遮断されることが好ましい。
【0061】
再生設備は、前記組成物の残りが前記再生装置によってアノード処理された後の前記組成物の前記第2の部分を収容するのに適合した前記少なくとも1つの第2の貯蔵タンクをさらに含む。この部分を貯蔵することができるあらゆるタンクが好適となりうる。三価のチタンおよび二価のスズなどの中に含まれるあらゆる化学種の酸素による酸化を防止するため、内部への空気の流入を排除するために、タンクは環境から遮断されることが好ましい。
【0062】
貯蔵タンクおよび再生装置の作用電極室を接続するために設けられるさらなる接続手段が存在する。このため、第1および第2の貯蔵タンクは再生装置、特にその作用電極室と流体接続する。これらのさらなる手段は、好ましくは接続ライン、好ましくは管、および場合により組成物の一部を送達するためのポンプ、およびさらに場合によりそれぞれの部分を作用電極室からその貯蔵タンクに向かわせるためのバルブを含む。
【0063】
作用電極における除去されためっき組成物の連続電気分解を可能にするため、除去されためっき組成物を貯蔵する再生セルリザーバー、およびこのセルリザーバーと再生装置の作用電極室との間の流体接続手段がさらに存在することができる。
【0064】
再生設備は、前記少なくとも1つの第1の貯蔵タンク中に貯蔵される前記第1の部分、および前記少なくとも1つの第2の貯蔵タンク中に貯蔵される前記第2の部分を、前記少なくとも1つのめっき装置に戻すための前記手段をさらに含む。このため、第1および第2の貯蔵タンクのそれぞれは、少なくとも1つのめっき装置と流体接続される。これらの手段は好ましくは、第1および第2の貯蔵タンクのそれぞれを、めっき装置、および場合によりそれぞれの液体をめっき装置に送達するためのポンプに接続する接続ライン、好ましくは管を含むことができる。
【0065】
めっき設備は、本発明の前記再生設備と、さらに前記少なくとも1つのめっき装置とを含む。少なくとも1つのめっき装置のそれぞれ1つは、めっき組成物を収容するのに好適であり、少なくとも1種類の第1の金属を前記基板上にめっきするのに必要な条件にめっき組成物をさらすために好適なあらゆる従来のめっき装置であってよい。これは、たとえば、めっき組成物を保管するための容器、めっき組成物を基板に供給するための手段、および基板ホルダーを含む。これらの後半の項目は、好適なホルダー、ならびに容器中または処理領域中にある場合は基板をめっき組成物と接触させるための手段、たとえば、めっき組成物を基板に供給するためのポンプおよびノズル、あるいは容器中に収容されるめっき組成物中に基板を移動させ、そこから取り出す移動機構であってよい。めっき組成物の加熱、循環、脱気、分析、補給の手段、基板/基板ホルダーの移動手段などをさらに含むことができる。複数のめっき装置を互いに組み合わせて列などを形成することができる。
【0066】
基板は、プラスチック、セラミック、金属、または他の工作物であってよい。これは少なくとも1種類の第1の金属でめっきする前に適切に前処理することができる。金属でできている場合、めっき前に洗浄、脱脂、および酸洗いを行う必要がある。非導電性材料でできている場合は、めっきの前にパラジウム/スズアクチベータなどの使用などで活性化する必要がある。これらすべての方法は当業者には周知である。
【0067】
以下の実施例および図面によって本発明をより明確に説明する。