特表2015-520021(P2015-520021A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-520021(P2015-520021A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】NOXトラップ組成物
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/58 20060101AFI20150619BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20150619BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20150619BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20150619BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20150619BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20150619BHJP
【FI】
   B01J23/58 A
   B01J37/08
   B01D53/94 222
   F01N3/08 A
   F01N3/24 E
   F01N3/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-507615(P2015-507615)
(86)(22)【出願日】2013年4月22日
(85)【翻訳文提出日】2014年11月21日
(86)【国際出願番号】IB2013000751
(87)【国際公開番号】WO2013160744
(87)【国際公開日】20131031
(31)【優先権主張番号】13/456,374
(32)【優先日】2012年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】マッケンナ, フィオナ−マイレッド
【テーマコード(参考)】
3G091
4D048
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA12
3G091AA17
3G091AA18
3G091AA19
3G091AB02
3G091AB06
3G091AB13
3G091BA01
3G091BA14
3G091GB05W
3G091GB06W
3G091GB07W
3G091GB10X
3G091GB17X
4D048AA06
4D048AA14
4D048AB02
4D048AB07
4D048BA01X
4D048BA03X
4D048BA15X
4D048BA30X
4D048BA31X
4D048BA32Y
4D048BA33Y
4D048BA37X
4D048BA42X
4D048BB02
4D048CA01
4D048EA04
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA06A
4G169BA06B
4G169BA13A
4G169BA17
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC10A
4G169BC10B
4G169BC13A
4G169BC13B
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC69A
4G169BC71A
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CA03
4G169CA08
4G169CA13
4G169CA18
4G169CD05
4G169DA06
4G169EA19
4G169EC24
4G169FB30
4G169FC08
(57)【要約】
NOトラップ組成物と、内燃機関用の排気システムにおけるその用途が開示される。NOトラップ組成物は、白金族金属、バリウム、コバルト、及びマグネシア−アルミナ担体を含有する。該NOトラップ組成物は、吸蔵能が失活しにくく、NO生成の減少を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金族金属、バリウム、コバルト、及びマグネシア−アルミナ担体を含有するNOトラップ組成物。
【請求項2】
白金族金属が、白金、パラジウム、ロジウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載のNOトラップ組成物。
【請求項3】
マグネシア−アルミナ担体がアルミン酸マグネシウムスピネルである、請求項1記載のNOトラップ組成物。
【請求項4】
マグネシア−アルミナ担体が5から40重量パーセントのマグネシアを含有する、請求項1記載のNOトラップ組成物。
【請求項5】
NOトラップ組成物が0.1から10重量パーセントの白金族金属を含有する、請求項1記載のNOトラップ組成物。
【請求項6】
NOトラップ組成物が2から20重量パーセントのコバルトを含有する、請求項1記載のNOトラップ組成物。
【請求項7】
NOトラップ組成物が1から10重量パーセントのバリウムを含有する、請求項1記載のNOトラップ組成物。
【請求項8】
マグネシア−アルミナ担体が600℃より高い温度で予備焼成される、請求項1記載のNOトラップ組成物。
【請求項9】
金属製又はセラミック製の基材に担持された請求項1記載のNOトラップ組成物を含む、NOトラップ。
【請求項10】
基材がフロースルーモノリスである、請求項9記載のNOトラップ。
【請求項11】
請求項9記載のNOトラップを具備する、内燃機関用の排気システム。
【請求項12】
酸化触媒、パティキュレートフィルター、又はそれらの組み合わせを更に具備する、請求項11記載の排気システム。
【請求項13】
内燃機関からの排気ガスを処理する方法において、排気ガスを請求項9記載のNOトラップと接触させることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NOトラップ組成物、内燃機関用の排気システムにおけるその用途、及び内燃機関からの排気ガスを処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関は、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物(「NO」)、硫黄酸化物、及びパティキュレートマター(粒子状物質)を含む種々の汚染物質を含んでいる排気ガスを生じる。ますます、厳しい国家及び地方の法律で、そのようなディーゼル又はガソリンエンジンから放出される得る汚染物質の量を低減してきている。多くの異なる技術が、大気に放出する前に排気ガスを除去する排気システムに応用されてきている。
【0003】
排気ガスを除去するために使用されるそのような技術の一つは、NOトラップ(又は「NO吸着触媒」)である。NOトラップは、NOをリーン排気条件下で吸着し、吸着したNOをリッチ条件下で脱着し、かつ放出したNOを還元してNを生成する装置である。NOトラップは、典型的にNO吸蔵のためのNO吸着剤と酸化/還元触媒を含む。
【0004】
NO吸着剤成分は、典型的に、アルカリ土類金属(Ba、Ca、Sr、Mg等)、アルカリ金属(K、Na、Li、Cs等)、希土類金属(La、Y、Pr、Nd等)、又はその組合せである。これらの金属は酸化物の形で典型的に見出される。酸化/還元触媒は、典型的に、一又は複数の貴金属、好ましくは白金、パラジウム、及び/又はロジウムである。典型的に、白金は酸化機能を実施するために含められ、ロジウムは還元機能を実施するために含められる。酸化/還元触媒とNO吸着剤は、典型的に、排気システムで使用するための無機酸化物等の担体材料上に担持される。
【0005】
NOトラップは3つの機能を実施する。第一に、酸化窒素は、酸化触媒の存在下で、酸素と反応してNOを生成する。第二に、NOはNO吸着剤によって無機硝酸塩の形で吸着される(例えば、BaO又はBaCOがNO吸着剤上でBa(NOに変換される)。最後に、エンジンがリッチ条件下で作動する場合、吸蔵された無機硝酸塩は分解してNO又はNOを生成し、これがその後、還元触媒の存在下で、一酸化炭素、水素、及び/又は炭化水素(又は、NH若しくはNCO中間体を経由)との反応によって還元されてNを生成する。典型的に、窒素酸化物は、排気流中の熱、一酸化炭素、及び炭化水素の存在下で、窒素、二酸化炭素、及び水に変換される。
【0006】
NOトラップは先行技術に記載されてきている。例えば、米国特許第7811536号は、コバルト、バリウム、及び担体を含むNO吸蔵触媒を記載している。触媒は白金を含んでもよいし無くてもよい。担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニアアルミノシリケート、及びそれらの混合物であり、アルミナが好ましい。
【0007】
どのような自動車システム及びプロセスでも、排気ガス処理システムのなお更なる改善を達成することが望ましい。我々は、熟成特性を改善する新規なNOトラップ組成物を見出した。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、白金族金属、バリウム、コバルト、及びマグネシア−アルミナ担体を含有するNOトラップ組成物である。本発明は、担体上に担持されたNOトラップ組成物を含むNOトラップと、排気システムにおけるその用途も含む。該NOトラップ組成物は、吸蔵能が失活しにくく、熟成時にNO生成の減少を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のNOトラップ組成物は、白金族金属、バリウム、コバルト、及びマグネシア−アルミナ担体を含有する。白金族金属(PGM)は、好ましくは白金、パラジウム、ロジウム、又はそれらの混合物であり、最も好ましくは、該PGMは、白金、パラジウム、又はそれらの混合物である。
【0010】
マグネシア−アルミナ担体は、好ましくはスピネル、マグネシア−アルミナ混合金属酸化物、ハイドロタルサイト又はハイドロタルサイト様物質、及びそれらの二つ以上の組み合わせである。更に好ましくは、マグネシア−アルミナ担体はスピネルである。
【0011】
好ましくは、マグネシア−アルミナ担体は5から40重量パーセントのマグネシアを含み、更に好ましくは10から30重量パーセント含む。マグネシア−アルミナ担体がハイドロタルサイトである場合、該担体は、好ましくはベーマイトのようなアルミナと混合されて、全マグネシア含量を5から40重量パーセントの範囲内に保持する。
【0012】
スピネルは、好ましくはアルミン酸マグネシウムスピネルであって、好ましくは約0.17から約1、更に好ましくは約0.25から約0.75、最も好ましくは約0.35から約0.65の範囲のMgのAlに対する原子比を有する。最も好ましい実施態様はMgAlを含む。
【0013】
マグネシア−アルミナ混合金属酸化物はAl及びMgOを含む。AlとMgOの一部は、化学的に反応してもよいし反応しなくてもよい。マグネシア−アルミナ混合金属酸化物中のMg/Alの比は、好ましくは約0.25から10、より好ましくは約0.5から約2、最も好ましくは約0.75から約1.5に変化してもよい。
【0014】
マグネシア−アルミナ担体は、ハイドロタルサイト又はハイドロタルサイト様(HTL)物質であってもよい。ハイドロタルサイト又はHTLは、崩壊し、脱水し、及び/又は脱ヒドロキシル化してもよい。種々のタイプのハイドロタルサイト又はHTLを調製する非限定的な例及び方法が、米国特許第4866019号、第4946581号、第4952382号、第6028023号、第6479421号、第6929736号、及び第7112313号に記載されており、これらはその全体が出典明示によりここに援用される。
【0015】
マグネシア−アルミナ担体は、NOトラップ組成物中に含める前に、好ましくは600℃より高く、更に好ましくは700℃より高く、最も好ましくは800℃高い温度で、焼成される。焼成は、典型的に、酸素含有ガス(空気等)の存在下で1時間より長く、実施される。高温焼成は、マグネシア−アルミナ担体中にスピネルの生成をもたらす。
【0016】
本発明のNOトラップ組成物は、いかなる好適な方法によって調製されてもよい。好ましくは、白金族金属、コバルト、及びバリウムが、NOトラップ組成物を生成するためのいかなる既知の方法によってマグネシア−アルミナ担体上に添加される。添加の方法は特に重要であると考えられない。例えば、PGM化合物(硝酸白金等)、コバルト化合物(硝酸コバルト等)、及びバリウム化合物(硝酸バリウム等)は、含浸法、吸着法、イオン交換法、インシピエントウェットネス法(incipient wetness)、沈殿法等によって、マグネシア−アルミナ担体に担持されてもよい。
【0017】
PGM、コバルト、及びバリウム化合物のマグネシア-アルミナ担体への添加の順序は、重要であると思われない。例えば、白金、コバルト、及びバリウム化合物は、マグネシア-アルミナ担体に同時に添加されてもよいし、任意の順序で逐次的に添加されてもよい。好ましくは、コバルト及びバリウム化合物は、PGM化合物の添加前に、マグネシア-アルミナ担体に添加される。
【0018】
NOトラップ組成物は、好ましくは0.1から10重量パーセントのPGM、より好ましくは0.5から5重量パーセントのPGM、最も好ましくは1から3重量パーセントのPGMを含有する。NOトラップ組成物は、好ましくは2から20重量パーセントのコバルト、より好ましくは5から15重量パーセントのコバルト、最も好ましくは7から12重量パーセントのコバルトを含有する。NOトラップ組成物は、好ましくは1から10重量パーセントのバリウム、より好ましくは2から8重量パーセントのバリウム、最も好ましくは3から7重量パーセントのバリウムを含有する。コバルト:バリウムの重量比は、好ましくは1より大きく、更に好ましくは2以上である。
【0019】
本発明はNOトラップも含む。NOトラップは、セラミック製又は金属製の基材に担持されたNOトラップ組成物を含む。セラミック製の基材は、任意の好適な耐火性の材料から作製され得る。例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、マグネシア、ゼオライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム類、ケイ酸マグネシウム類、アルミノケイ酸塩類及びメタロアルミノケイ酸塩類(コーディエライト及びスポジュメン等)、又はいずれか2以上の混合物又は混合酸化物から作られてもよい。コーディエライト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、及び炭化ケイ素が、特に好ましい。
【0020】
金属製の基材はいかなる好適な金属から作られてもよく、特に、チタンとステンレス鋼のような耐熱性の金属及び金属合金でも、他の微量金属に加えて、鉄、ニッケル、クロム、及び/又はアルミニウムを含むフェライト合金でもよい。
【0021】
基材は、好ましくはフロースルー基材又はフィルター基材である。最も好ましくは、基材は、フロースルー基材である。特に、フロースルー基材は、基材を軸方向に通り基材全体に延びる多くの小さな平行する薄壁で囲まれたチャンネルのあるハニカム構造を好ましくは有するフロースルーモノリスである。基材のチャンネルの断面は、いかなる形状でもよいが、好ましくは正方形、シヌソイド形、三角形、長方形、六角形、台形、円形、又は楕円形である。
【0022】
好ましくは、NOトラップは、NOトラップ組成物を基材上にウォッシュコート法を用いて付着させることによって作製される。ウォッシュコート法を用いるNOトラップを調製する代表的な方法は、以下に記載する。下記の方法が本発明の異なる実施態様によって変化し得ることは、理解されるであろう。
【0023】
ウォッシュコートが、適切な溶媒中、好ましくは水中で、NOトラップ組成物の細かく分割された粒子を最初にスラリー化することによって、好適に実施されて、スラリーを形成する。スラリーは、5から70重量パーセントの固体、より好ましくは10から50重量パーセントの固体を含む。好ましくは、スラリーを形成する前に、実質的に全ての固体粒子が平均直径で20ミクロン未満の粒径であることを確実にするために、粒子は粉砕される(milled)か又は別の粉砕(comminution)プロセスに供する。安定剤又は促進剤等の付加的な成分は、水溶性又は水分散性の化合物又は複合体の混合物として、スラリー中に取り込まれてもよい。
【0024】
基材は、NOトラップ組成物の望ましい添加が基材上に付着されるように、スラリーで一回又は複数回、被覆されてもよい。
【0025】
NOトラップを作製するために、基材上にNOトラップ組成物を生成することも可能である。そのような方法では、マグネシア−アルミナ担体のスラリーが、上述の基材上にウォッシュコートされる。マグネシア−アルミナ担体が基材上に付着された(及び場合によっては焼成された)後、白金族金属、コバルト、及びバリウムは、マグネシア−アルミナのウォッシュコートに加えられてもよい。PGM、バリウム、及びコバルトは、いかなる既知の方法によって添加されてもよい。その方法は、PGM化合物(硝酸白金等)、バリウム化合物(硝酸バリウム等)、及びコバルト化合物(硝酸コバルト等)の含浸、吸着、又はイオン交換を含む。この添加の順序は重要であるとは思われず、白金族金属化合物、バリウム化合物、及びコバルト化合物が、同時に又は任意の順序で逐次的に添加されてもよい。
【0026】
好ましくは、基材の全長が、NOトラップ組成物のウォッシュコートが基材の表面全体を被覆するように、NOトラップ組成物で被覆される。
【0027】
NOトラップ組成物が基材上に付着された後、NOトラップは、一般的に、好ましくは80から150℃の高温で加熱することによって乾燥され、その後、高温で加熱することによって焼成される。好ましくは、焼成は約1から8時間400から600℃で起こる。
【0028】
本発明は、本発明のNOトラップを具備する内燃機関のための排気システムも含む。好ましくは、排気システムは、酸化触媒、及び/又はパティキュレートフィルターを伴うNOトラップを具備する。これらの後処理装置は周知技術である。パティキュレートフィルターは、内燃機関の排気から微粒子を減少させる装置である。パティキュレートフィルターは、キャタライズド(触媒化)スートフィルター(CSF)とベア(非触媒化)パティキュレートフィルターを含む。フィルターによって捕集された煤を破壊することに加えて、炭化水素と一酸化炭素を酸化するために、キャタライズドスートフィルター(ディーゼル及びガソリン用の)は、金属及び金属酸化物成分(Pt、Pd、Fe、Mn、Cu、及びセリア等)を含む。
【0029】
特に好ましい排気システムは、両方とも直結型であるCSFが続くNOトラップ、床下型CSFを伴う直結型NOトラップ、及び直結型ディーゼル酸化触媒/CSFと床下型NOトラップを含む。
【0030】
本発明は、内燃機関から排気ガスを処理する方法も含む。特に、ディーゼルエンジン、リーンバーンガソリンエンジン、又は液化石油ガス若しくは天然ガスによって駆動されるエンジン等の車両のリーンバーン内燃機関から排気ガスを処理するための方法も含む。該方法は、本発明のNOトラップと排気ガスを接触させることを含む。
【0031】
以下の実施例は、単に本発明を説明するだけである。当業者は、本発明の精神と特許請求の範囲に含まれる多くの変形を認めるであろう。
【実施例】
【0032】
実施例1:触媒の調製
触媒1A(Pt−Pd−Ba−Co/マグネシア−アルミナ担体):
硝酸コバルト(II)(4.92g)と酢酸バリウム(0.93g)を純水(〜15mL)に入れ、温和に加熱して溶解する。このCo−Ba溶液にマグネシア−アルミナ担体(10g)を段階的に加え、105℃で2−3時間乾燥し、次に、500℃で2時間焼成することでBa−Co/マグネシア−アルミナが生成する。Ba−Co/マグネシア−アルミナを白金及びパラジウム塩(〜7g溶液)の水溶液と接触させ、最終的な触媒として1.5重量%のPt及び0.5重量%のPdとなるように加えて、105℃で2−3時間乾燥し、次に、500℃で2時間焼成することで触媒1Aが生成する。触媒1Aは、10重量%のCo、5重量%のBa、1.5重量%のPt、及び0.5重量%のPdを含む。
【0033】
比較触媒1B(Pt−Pd−Ba/マグネシア−アルミナ担体):
比較触媒1Bは、硝酸コバルトが使用されないことを除いて触媒1Aの方法に従って調製する。比較触媒1Bは、5重量%のBa、1.5重量%のPt、及び0.5重量%のPdを含む。
【0034】
比較触媒1C(Pt−Pd−Ba−Co/アルミナ担体):
比較触媒1Cは、アルミナがマグネシア−アルミナの代わりに使用されることを除いて触媒1Aの方法に従って調製する。比較触媒1Cは、10重量%のCo、5重量%のBa、1.5重量%のPt、及び0.5重量%のPdを含む。
【0035】
実施例2: NO吸蔵試験の方法
触媒(0.4g)を200℃で5分間NO含有ガス中に収容し、275℃の床温を達成するために、20℃/分の勾配の割合で290℃に温度が上昇し、275℃の床温で5分間触媒を保持する。触媒をリッチガスの存在下で15秒リッチパージに供し、次に、フレッシュ触媒(「フレッシュサイクル」)のNO吸蔵能とNO選択性を評価するために、床温が約500℃に達するまで、TPDガスの存在下で昇温脱離(TPD)に供した。
【0036】
触媒を大気中24時間800℃で熱的に熟成し、500℃の温度でリッチガスの存在下で2分間リッチ活性化(rich activation)に供する。
【0037】
熱による熟成(aged)触媒のNO吸蔵能とNO選択性を評価するために、該方法を繰り返す。(「エイジドサイクル(aged cycle)」)
【0038】
NO含有ガスは、10.5体積%のO、50ppmのNO、6体積%のCO、1500ppmのCO、100ppmの炭化水素、及び6.3体積%のHOを含む。
【0039】
リッチガスは、1.5体積%のO、6体積%のCO、43200ppmのCO、1830ppmの炭化水素、及び6.3体積%のHOを含む。
【0040】
TPDガスは、10.5体積%のO、6体積%のCO、1500ppmのCO、100ppmの炭化水素、及び6.3体積%のHOを含む。
【0041】
NO吸蔵の結果を表1に示す。
【0042】
O選択性の結果を表2に示す。
【0043】
本発明の触媒(触媒1A)が比較触媒1B及び1Cと比較してより高いNO吸蔵能及びNOに対する良好な選択性を有する結果を示している。熟成時に更に低いNO吸蔵能及びNO選択性の増加を示している比較触媒1B及び1Cと比較して、触媒1Aは800℃での高温熟成後に良好なNO吸蔵能及びNO選択性を保持している。
【0044】
【0045】
【国際調査報告】