(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-520058(P2015-520058A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】航空機ギャレーのモニュメント構造
(51)【国際特許分類】
B64D 11/04 20060101AFI20150619BHJP
A47B 47/04 20060101ALI20150619BHJP
【FI】
B64D11/04
A47B47/04 B
A47B47/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-503543(P2015-503543)
(86)(22)【出願日】2013年3月27日
(85)【翻訳文提出日】2014年11月4日
(86)【国際出願番号】US2013034161
(87)【国際公開番号】WO2013148875
(87)【国際公開日】20131003
(31)【優先権主張番号】61/616,904
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/850,781
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】バード、ピーター ジョン レスリー
【テーマコード(参考)】
3B054
【Fターム(参考)】
3B054AA01
3B054EA02
3B054FA01
3B054FA02
3B054GA01
(57)【要約】
【解決手段】統合型の製造システム(integrated construction system)に炭素繊維強化複合材(carbon fiber reinforded composites)を組み合わせて、外骨格筐体(exoskeleton chassis)を形成する改良型のモニュメント構造(improved monument structure)に関する。これにより製造時間(build times)、必要な製造スキルレベル(manufacturing skill level requirements)、ポスト処理の作業(post processing activities)、所与の航空機モニュメント(aircraft monument)の全体重量、を大きく減らす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部作業デッキの部分組立品(above work deck subassembly)と、
下部作業デッキの部分組立品(below work deck subassembly)と、
リアサービスウォールの部分組立品(rear service wall subassembly)と、を備え、
各部分組立品は、組み合わせにより外骨格筐体をつくる炭素繊維強化複合材(CFRC:carbon fiber reinforced composites)のプリプラグパネル板(pre-impregnated panel skins)を使って形成され、
部分組立品は、一方向炭素繊維(unidirectional carbon fiber)により強化されることを特徴とする航空機のモニュメント。
【請求項2】
前記モニュメントは、冷却センターラインギャレー(refrigerated center line galley)であることを特徴とする請求項1に記載の航空機のモニュメント。
【請求項3】
前記上部作業デッキ・ギャレーは、ギャレーのハウス・ギャレー・インサーツ(GAINs:house galley inserts)のサイズに合わせたコンパートメント配列で形成されることを特徴とする請求項2に記載の航空機のモニュメント。
【請求項4】
ウェットレイ上の型に材料層を載せるウェットレイ処理により前記コンパートメントを形成し、前記コンパートメントを一方向炭素繊維強化層(unidirectional carbon fiber reinforcing plies)により強化することを特徴とする請求項3に記載の航空機のモニュメント。
【請求項5】
上部作業デッキの部分組立品の成形品の通常の積層方向(usual orientation of a lay-up)とは反対の仕上げ成型面(finished molded surface)は、前記上部作業デッキにおける冷却器の空気ダクトの上部を形成することを特徴とする請求項4に記載の航空機のモニュメント。
【請求項6】
前記モニュメントを航空機機体上部に置くためのシーリングマウント(ceiling mount)をそれぞれ受け入れる、前記上部作業デッキの上面にある一対のチャネル、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の航空機のモニュメント。
【請求項7】
シーリングマウントは、高強度複合材(high strength composite)から形成され、直交する板を有し、第1の直交板は、前記上部作業デッキの上面にある前記チャネルのうちのひとつの内部をスライドすることを特徴とする請求項6に記載の航空機のモニュメント。
【請求項8】
前記下部作業デッキの部分組立品は、製造中に前記部分組立品に埋め込まれるフロア固定具を含むことを特徴とする請求項1に記載の航空機のモニュメント。
【請求項9】
固定点(fixing point)が、ウェットレイ処理により前記部分組立品に一体化されることを特徴とする請求項1に記載の航空機のモニュメント。
【請求項10】
前記上部作業デッキの部分組立品と前記下部作業デッキの部分組立品は、軽量プラスチックの押し出し材により密閉されることを特徴とする請求項1に記載の航空機のモニュメント。
【請求項11】
前記上部作業デッキの部分組立品、前記下部作業デッキの部分組立品および前記リアサービスウォールの部分組立品は、それぞれ単一かつ完全に統合されたユニットとして硬化(cure)されることを特徴とする請求項1に記載の航空機のモニュメント。
【請求項12】
前記リアサービスウォールは、前記モニュメントを介した換気のために協働する通気口(vent)および凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の航空機のモニュメント。
【請求項13】
前記モニュメントは、補助的な金属補強部材を有しないことを特徴とする請求項1に記載の航空機のモニュメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2012年3月28日に出願された米国仮出願第61/616,904号、および、2013年3月26日に出願された米国非仮出願第13/850,781号の優先権を要求し、その全体が参照により援用される。
【背景技術】
【0002】
民間の乗客を運ぶ航空機には、通常、保管・区画構造物(storage or compartment structures)(一般名称である「モニュメント(mounument)」とよばれることが多い)を設置される。これらの構造物は、衣服等の乗客所持品の保管庫、電子娯楽施設、オフィサーや搭乗員の寝室、パーサーの作業場、バー・ユニット、トイレ、乗客にケータリングの機内食事サービスを提供するためのギャレーなど、さまざまな目的で使用される。従来、これらのモニュメントは、樹脂プリプレグ(樹脂含浸)のガラス繊維板(resin pre impregnated fiberglass skins)で表面形成し、Nomex(R)またはKevlar(R)を芯材とする、「サンドイッチパネル(sandwich paners)」とよばれる複層軽量組立部品(multi-layered light weight assemblies)により作られる。別タイプの複合パネルは、熱可塑性気泡プラスチック(foam thermo-plastic)または金属の芯材と、プラスチックまたは金属の外板で作られる。あるいは、航空機モニュメントは、温度制御された多層プレス(a multi-layer temperature controlled press)を使う処理にて事前製造される平板材(flat sheet material)、および/または、パネルまたはその一部(panel, part or section)を硬化させる温度および圧力を与えるための加熱減菌器を利用する金型から全体をつくってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
製造後、これらの部材(parts or sections)には、追加の「前段または後段処理(pre or post processing)」を施さねばならない。この処理では、部材は調整、切断、および/または、整形されて、モニュメントを製造するために必要な部品となる。これらはまた、一般的には、固定点(fixing point)および/または位置決め穴(locating hole)を「インサーツ(inserts:挿入物)」や「ボビン」の形態で設置するための二次的処理を施される。前者の場合、パネルに器具を取り付けるための手段を提供し、固定部分のまわりに接着材を注入することで、荷重や外力がかかったときでも板から引っ張り出されないように抵抗する栓(plug)を形成する。後者の場合、それがなければパネルを損傷することもある固定物(fixing)のための貫通孔となる。
【0004】
パネルに取り付けられる器具としては、金網織機(wiring looms)と電気部品、配管ホース、パイプと部品、換気・送風ダクト、ホースと部品取り付け(component mounting)、飾り板(decor panels)、ヒンジ、バック・ストップ(back stop)、ギャレーインサート装備用のインタフェース(galley insert equipment interface)、点検用パネル、ダクト、スライダー、引き出しの滑走部(draw runner)、電子娯楽装置、グリルおよび一般装備固定器具(general equipment retainer)がある。
【0005】
予備段階が完了すると、粘着液の接着材で平板を結合して堅固な構造物を作ることにより、または、事前に製造された(たとえば、事前に硬化された)金型部品で平板を組み合わせて基本構造を作ることにより、さまざまな部材を組み合わせてモニュメントを作る。成形品や、平板の部分組立品は、取り外し可能であってもよい(すなわち、ボルトで取り外しできる部品(bolt on/bolt off parts))。同様に、部分組立品やモジュールを形成する接着結合された平板を、ボルトで組み合わせて、完全な構造物を作ってもよい。
【0006】
あらゆる場合において、基本構造は、構造物を形作るパネル、固定点、貫通孔と取り付け部材および/または部分組立品、モジュールおよび成形品について、液体接着材による結合に頼った複合パネル後製造処理(post composite panel manufacturing process)を含む。更に、金属および非金属のさまざまなバラ品(various loose metallic and non-metallic parts)を電気・水・空気関連システムとともに基本構造物に取り付ける二次的作業が行われる。これら別々のプロセスは、コストと施工時間を大きくし、かつ、ハイレベルの専門知識や施工技術を必要とする。
【0007】
現在のモニュメント構築における別の問題は、補強の必要である。所与のモニュメント構造を補強するため、他の形状と同じく、「C」、「U」、「H」、「F」および直角の、アルミニウムの押し出し型材(alminium extrusions)が、一般的には、堅牢化のためにパネルの端部に結合される。(耐荷重のために)構造物の局所的強化が必要なところでは、一般的には1/32”から1/8”厚のアルミニウム平板をパネルに結合させ、局所的圧力を構造物各部に伝えて、耐荷重性能を高めている。このような追加の局所強化は、一般的には、「ダブラー(doubler)」とよばれる。このやり方ではモニュメントの重量が大きくなるし、別の製造プロセスを必要とするためコスト高になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、統合型構築方式(an integrated construction system)に炭素繊維強化複合材(carbon fiber reinforced composites)を組み合わせることで外骨格筐体(exoskeletal chassis)を形成することで、製造時間、必要な製造スキルレベル、後処理(post processing activity)、航空機モニュメントの全体重量を大きく減らした改良型モニュメント構造に関する。モニュメントの新設計では、有限要素分析により改良型構造にかかる最大荷重を算出し、モニュメントの最悪想定荷重から特定されたとおりに統合型構造物に対して全ての局所補強必要物を導入する。
【0009】
本発明におけるモニュメントの製造は、統合型局所強化を含む複合パネルサンドイッチ(composite panel sandwich)のレイアップ法による設計であり、追加の金属補強を必要とすることなく、構造物にかかる圧力・荷重に対応できる。すべての固定点(浮動および固定のポッテド・インサーツ(potted inserts)も含む)、貫通孔、ブラケット(brackets)、カートの後進を防止するバック・ストップ、ウェアストリップベース(wear strip base)(ラブ・バンプ・ストリップ(rub and bump strips))、トロリーの車輪ガイド、GAINのインタフェースポイント、ダクト、電気チャネル配線(electrical routing channel)、その他の二次処理の器材は、基本の(primary)製造プロセスにて導入される。
【0010】
基本製造プロセスは、芯材構造を使用/不使用の炭素繊維強化複合プレプラグ板(carbon fiber reinforced pre impregnated skins)(CFRCとよぶ)を使うモジュール式の逆モールディング方式(reversed molding system)と、特定モニュメントの構造上の必要および荷重に対して適用可能な、一方向炭素繊維(unidirectional carbon fiber)(UDファイバーとよぶ)の局所強化から成る。適用可能箇所では、事前製造されたI梁およびH梁を構造物に導入して、補強する。金型は、建造するモニュメントのタイプに応じて、モジュール式であってもなくてもよく、意図する機能に合った特定構造を有する。
【0011】
本発明の他の特徴および優位性は、好ましい実施形態についての後述の詳細な記載と例示として本発明の運用を図解する付属図面から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のモニュメント構造の第1の実施形態における立面斜視図である。
【
図2】
図1の実施形態の部分的な分解立面斜視図である。
【
図3】
図1の実施形態の上部作業デッキ部分組立品の斜視図である。
【
図3a】上部作業デッキの部材の形成方法の拡大斜視図である。
【
図3b】本発明の部分組立品のパネルの交差部分の断面図である。
【
図4】
図1の実施形態の下部作業デッキ部分組立品の斜視図である。
【
図4a】上部作業デッキと下部作業デッキの部分組立品のつなぎ部分の断面図である。
【
図5】
図4の下部作業デッキ部分組立品のバンプ・ストリップのキャリアの拡大斜視図である。
【
図6】
図4の部分組立品の統合フロアアタッチメント部品の拡大斜視図である。
【
図7】モニュメント構造におけるリアサービスウォール(rear service wall)の斜視正面図である。
【
図8】複合ルーフアタッチメントの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1および
図2は、筐体の3つの主要部分組立品である、下部作業デッキ領域(BWD:below work dec area)12、上部作業デッキ領域(AWD:above work dec area)14および着脱可能な一枚部品のリアサービスウォール(RSW:rear service wall)16を含む冷却センターラインギャレー(refrigerated center line galley)10の形態における、第1の好適な複合型航空機モニュメントを示す。AWD部14は、冷却器(cooler)、オーブン、コーヒーを淹れるための装置(coffee brewer)などの装備すべきギャレー・インサーツ(galley inserts)、すなわち、GAINに必要なコンパートメント18を提供する。AWD部のコンパートメント18は、食事ボックス、基本単位品(SU:standard units)、種々雑多な収容のためのスペースを同様に提供し、必要であれば、コンパートメントのドアのヒンジやラッチのための場所も提供する。上部作業デッキ領域14の上には、天井にモニュメント10を取り付けたり、機体構造を支えるための1組の複合型のシーリングマウント(ceiling mounts)20がある。
【0014】
上部作業デッキ14のコンパートメント18は、
図3の複数パネル22によって区画される。パネル22は、水平棚24と垂直壁26の交差部のスロット28を利用した構造物(
図3a参照)に統合される事前製造のCFRC面パネルにより形成される。棚24と壁26は、ウェットレイ(wet lay)32上の流し型(mold)に層30の材料を載せるウェットレイ処理により形成され、壁26と棚24は、追加のUD補強層(UD reinforcing plies)34(
図3b参照)を利用して組立品に統合される。このような形成方法によれば、パネルには追加の二次的堅牢化が不要となり、パネルの端部を軽量プラスチックの押し出し型材で遮蔽してもいいが、別個の金属エッジ部材は不要である。端部は、重ね合わせたパネル板層38でカバーされてもよい。「B」面30、すなわち、AWD成形品の通常の積層方向(orientation of the lay-up)とは反対にある仕上げ成形面(finished molded surface)は、作業デッキの冷却器(CIWD:chillar in the work deck)の冷気供給システムのエアダクトの上部分となるか、CIWDライン代替ユニット(LRU:CIWD line replacement unit)の冷却モジュールとなることが好ましい。このような配管設備がなくてもよい冷却不要のギャレーでは、代わりに、引き出しテーブルなどの他の器材のための構造を有してもよい。AWD部14の全体が、単一かつ完全に統合された構造の部分組立品として硬化(cure)されることが好ましい。
【0015】
上部作業デッキ領域14の上面40には、航空機内においてモニュメント10を適切に位置決めするために使用可能な一組の水平チャネル42がある。ルーフアタッチメント20(
図8参照)は、高強度複合品(high strength composite)として形成され、直交するプレート21,23を有する。プレート21は、下部面23aよりも下に延伸するため、プレート21はそのチャネル42の内部でスライド可能であり、所望の位置に固定支持(clamped or fastened)される。プレート23は、アタッチメントを安定させるために上部作業デッキ14の上面40に設置される。ルーフアタッチメント20は、ボルト締めやリベット留めなどでモニュメント10を機体上部構造に安定させるために使用可能な突起(lug)25を有してもよい。
【0016】
BWD部12は、食事サービスカートまたはトロリー、保管コンパートメント、廃棄物収納領域、ゴミ圧縮機、ギャレーのゴミ廃棄ユニット(GWDU:galley waste disposal units)、および/または、種々雑多な収納のために、2つの大きなキャビネット50のかたちで収納設備を提供する。更に、下部作業デッキ部は、統合型の航空機フロアアタッチメント器具70(
図6参照)、バックストップ80、カート仕切版(T仕切:T dividers)85、ラブ/バンプ・ストリップ・ベース90を含めた、固定点および位置決め点を備える。コンパートメントの仕切りは、ウェットレイ処理で形成されるか、
図3に関連して上述したように追加のUD強化層を使った組立品に統合される。
図5は、飲料カート(図示せず)がキャビネット50に深く伸びすぎないようにするための、バックストップ80に沿ったラブ/バンプ・ストリップ90を示す。
【0017】
図6は、下部作業デッキ部12の壁210に組み込まれる統合型フロアアタッチメントデバイス70を示す。フロアアタッチメントデバイス70は、外径が外周に沿い、内径が内縁に沿う2枚の馬蹄形プレート120を有する。2枚のプレート120は、リジッドパネル(rigid panel)130によって内径に沿って結合されるため、2枚のプレート120の間、および、2枚のプレート120の外周とリジッドパネル130の間にも円弧状ギャップがある。2枚のプレート120とリジッドパネル130の溶接などによる接続は、パネル130からプレート120に荷重を伝える上では充分である。
【0018】
アタッチメントデバイス70の基部には、留め具(図示せず)を受け止める大きさの垂直チャネル150を含む2つの突起140がある。突起140が半分よりも大きく2つのプレート120の外面(envelope)から外に突き出さないように、突起140を位置決めすることが好ましい。2つの突起140は共通のブロックから形成され、リジッドパネル130に接続される。プレート120の底縁は突起140の底縁と一致するので、アタッチメントデバイス70は航空機フロアと同一平面にておかれる。モニュメント壁に挟まれるところに、壁構造内部を形作る複合パネル芯材220がある。壁の基部には、パネル210の間に、壁を航空機床面に載せるためのフロアアタッチメントデバイス70が置かれる。円筒型突起140の上のスペースは、留め具の脱着のためのものであり、接続金具を円弧形とすることで、接続金具の全体的に強くしている。
【0019】
アタッチメントデバイス70は、基本建造段階でモニュメント10の壁構造に組み込まれ、これによって二次的な処理を不要化するとともに部材の強さと静的荷重および動的荷重の双方に対する構造物の対応能力を大きく改善することが望ましい。これは、航空機のように、常に動的荷重がかかる乗り物においては特に重要である。突起部140は、モニュメントの設置エリア(footprint)と同じく、部材の重量を減少させつつ、モニュメント構造が標準部品をより大きな割合で有することができるように小さなオフセットを作る。複合または強化プラスチックのような非金属の場合には、接続金具70は大量生産でき、とても軽く、しかも腐食に強い。
【0020】
上部作業デッキ14および下部作業デッキ12のパネルは追加の二次的堅牢化が不要であるため、別の金属部材は必要とされない。ただし、パネルの端部は、軽量プラスチックの押し出し部材137で遮蔽されてもよいし、重ね合わせたパネル板層(
図4a参照)を使ってもよい。BWD成形品の合わせ面(mating surface)は、CIWD空冷供給システム(CIWD air chiller fed system)のエアダクトの下部となるか、CIWD−LRU冷却モジュール(CIWD LRU chiller module)となる。更に、BWD部12全体が、単一かつ完全に構造的に統合される部分組立品として硬化されることが望ましい。AWD14とBWD12の部分組立品は、オス・メス結合の設備を有することで、2つの半部の構造的な結合を可能している点に留意されたい。2つの組み合わせられる部分組立品12,14のアライメントは、2つの部材を安定させるために使用可能な共通の貫通孔131を共有する。2つの合わせ面がボルト締めされると、冷却および換気をよくするためのギャップが面間に形成される。
【0021】
図7は、リアサービスウォール(rear service wall)16を示し、これは、ギャレーの電気配管設備の大部分を支えることが好ましい。RSWは、また、統合型冷気ダクトシステム(空気冷却器を備えるギャレーである場合のAWD14およびBWD12と、冷却液を供給されるギャレーの場合のBWDのみ、の双方に対応)と、適用可能なギャレーインサートの保持・位置決めの設備を提供する。リアサービスウォール16も、また、単一かつ完全に構造的に統合される部分組立品として硬化されることが好ましい。配線配管部材は、硬化処理後にRSW16に設置される。RSWの部分組立品は、また、オス/メス結合の設備を有し、AWDとBWDの部分組立品の2つの半部が構造的に結合できることが望ましい。リアサービスウォール16は、RSWの底部付近にひと並びの排気ベント171を有し、
図7に示すように、ベント171は壁の凹部(recesses)に位置することが望ましい。これらの凹部は、垂直に中央に伸びていき、一箇所にあつまって合わさり、RSW16の上部を通して排気する単一凹部となる。この換気システムは、電気設備上の空気を循環させることで、オーバーヒートを抑制したり、換気を必要とする冷却器その他のGAINの背面部を冷却する。
【0022】
上記例は、あるタイプのモニュメント、すなわち、ギャレーに関するが、本発明は、これに限られるものではなく、同一または広く類似のやり方にて、他の商用航空機のモニュメントの製造にも使用・導入が可能である。
【0023】
本発明は、従来のプリプラグガラス繊維板材(pre-impregnated fiber glass panel skin materials)を炭素繊維強化複合プリプラグ板材(carbon fiber reinforced composites pre impregnated panel skin material)で置き換えることで、大きく軽量化・強化された構造的に優秀な外骨格筐体を形成するところに特徴がある。本発明は、冷却されるギャレーコンポーネントの内外に形成されるコールド・ブリッジ(冷橋:内蔵の金属器具、端部部材、フロアの留め具などを介した伝導によって生じる)のかなりの部分をなくすことができるので、断熱性能を向上させ、冷気・冷液を供給するモニュメントから、冷却に必要な電力を減らすことができる。
【0024】
本発明は、また、耐荷重接続点、貫通孔、位置決め点、接続開口(access aperture)、エアダクト、強化梁、航空機接続点、ラブ/バンプ・ストリップ、T仕切り、バックストップなどからなる航空機モニュメントパネルの二次的な処理の大部分を、基本成型処理に取り込むことでなくすことができる。これにより、施工工数や製造プロセスの部分的な低スキル化、大幅な軽量化を実現している。
【0025】
本発明によれば、冷気の分配を構造物の作業デッキ領域に取り込むことができる。加えて、ドライパネル部材、特定領域の強化、統合型のウェットレイ組立に組み込まれる事前組立のCFRC部品の組み合わせにより、構造物の外骨格部分組立品が形成される。本発明の優位性は、重ね合わせ板やプラスチック・キャップした端部を有するCFRCパネルを使うことで、構造物のギャレー複合パネルの堅牢化および/または端部遮蔽のために現状の金属製の端部部品の必要性がなくなるところにある。上述したように、これによりコストと重量を大きく減らすことができる。
【0026】
本発明の別の利点は、補助的な局所金属補強が不要となることである。本発明は、(必要なところで)追加のUDカーボン層を使うことで、統合型の強化をしているため、製造時間およびトータルの構造物重量を大幅に減らすことができる。(電気、配管、真空、冷却、CAX、換気のシステムが必要とされる)モニュメントの単一かつ着脱可能なバックパネルに主要サービスを統合することにより、組立を簡単にし、並行の流れライン生産が可能になる。
【0027】
更に、本発明の別の特徴は、逆成形品(reverse molding)を採用することで、非硬化材や事前製造パネル、複合部品からなるウェット/ドライ複合積層を組み合わせ、統合型の基本製造システムを形成していることである。加えて、本発明ではCFRCを利用することで、構造物の重量を削減しつつも、所与のサイズにおけるモニュメントを大きく強化している。また、ウェット/ドライ成形方式は、二次的な組立処理の多くを基本製造処理に取り込むことで製造時間を大きく減らしている。
【0028】
本発明の副次的な利点としては、基本製造プロセスで構造物における金属部分を大きく減らすことで軽量化していることである。冷却されるコンパートメントの内外に形成される金属製のコールド・ブリッジの相当量をなくすことで、熱損失と、コンパートメントを特定の温度にするのに必要なエネルギーを減らしている。
【0029】
さまざまな特徴と実施形態を述べたが、上述の記載は限定的あるいは排他的に解釈されるべきものではない。さまざまな変形および置換が可能であることは当業者であれば理解されるところであり、本発明はそのような変形・置換のすべてを含むように意図したものである。
【国際調査報告】