(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-520084(P2015-520084A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】部分的にコーティングした2ピースのブリキ缶
(51)【国際特許分類】
B65D 23/02 20060101AFI20150619BHJP
B65D 1/16 20060101ALI20150619BHJP
【FI】
B65D23/02 Z
B65D1/16 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-517836(P2015-517836)
(86)(22)【出願日】2013年4月29日
(85)【翻訳文提出日】2014年12月24日
(86)【国際出願番号】GB2013051093
(87)【国際公開番号】WO2013190264
(87)【国際公開日】20131227
(31)【優先権主張番号】1211077.1
(32)【優先日】2012年6月22日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】506026106
【氏名又は名称】クラウン・パッケージング・テクノロジー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ホール,デイビッド スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ペイプ,グラハム,エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】グリーンフィールド,マーク ジェイムス
【テーマコード(参考)】
3E033
3E062
【Fターム(参考)】
3E033AA06
3E033BA07
3E033CA20
3E033DD01
3E033DE20
3E033FA01
3E062AA04
3E062AB01
3E062AB14
3E062AC03
3E062JA01
3E062JA02
3E062JA04
3E062JA05
3E062JA07
3E062JB23
3E062JC01
3E062JD03
(57)【要約】
ブリキから絞り加工した缶本体を有する2ピース缶(10)。缶本体は、端壁(12)と、端壁(12)の外縁から缶本体の口部を定める末端部分へと延びる一体的な側壁(14)とを含む。缶本体にはコーティング(24)が与えられ、その結果、缶本体の端壁(12)はコーティング(24)で実質的に覆われ、および、缶本体の側壁(14)は実質的に露出したスズ表面になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリキから絞り加工した缶本体であって、端壁と、端壁の外縁から缶本体の口部を定める末端部分へと延びる一体的な側壁とを含み、
端壁の少なくとも25%がコーティングで覆われ、側壁の50%以上が露出したスズ表面を備えることを特徴とする、缶本体。
【請求項2】
端壁の75%乃至100%がコーティングで覆われる、請求項1に記載の缶本体。
【請求項3】
端壁上のコーティングは中央に位置し、端壁の中心から放射状に伸びる、請求項1または2に記載の缶本体。
【請求項4】
缶本体の側壁にはコーティング材料が与えられ、コーティング材料は側壁の表面積の0〜20%を覆う、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の缶本体。
【請求項5】
側壁には、末端部分に隣接したコーティングの環状リングが設けられる、請求項4に記載の缶本体。
【請求項6】
側壁上のコーティングの少なくとも一部は、側壁の高さの50%にある環状リング中に堆積する、請求項4または5に記載の缶本体。
【請求項7】
コーティング材料の層の少なくとも一部は、端壁に隣接している側壁の一部に堆積する、請求項4乃至6のいずれか1つに記載の缶本体。
【請求項8】
側壁には少なくとも1つのビーズが設けられ、側壁にはビーズの内表面上でコーティングの環状リングが設けられる、請求項1乃至7のいずれか1つに記載の缶本体。
【請求項9】
側壁には複数のビーズが設けられ、側壁には複数のビーズの少なくとも1つの内表面上にコーティングの環状リングが設けられる、請求項1乃至8のいずれか1つに記載の缶本体。
【請求項10】
添付の図面を参照して実質的に記載されたような缶本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露出したスズによって形成された内表面の少なくとも一部を有する2ピース缶に関する。2ピース缶は、限定されないが、とりわけ、食料を保存するためのものである。
【背景技術】
【0002】
多くの食料品はブリキから作られた缶に入れられる。缶は3ピース缶または2ピース缶であってもよい。3ピース缶では、缶には長手方向のサイドシームを含む円筒状の側壁がある。開口した上部の缶を形成するために、缶の蓋は、ダブルシームによって側壁の一方の端部に取り付けられる。開口した上部の缶は製品で満たされ、缶の蓋を側壁のもう1つの端部に二重に継ぎ合わせることで密封される。その後、内容物を殺菌するために熱で処理することができる。
【0003】
熱処理とその後の保存の間、製品は缶の中で特定の量のスズコーティングを受け、それにより、酸化を最小限に抑えることで内容物の味と外観が保存される。
【0004】
シームの数を減らすために、本発明の2ピース缶が開発され、缶の一方の端部と側壁は絞り加工作業中に一枚のブリキから作られる。そのような作業の一例が特許文献1に記載されている。
【0005】
しばしば、缶の中の食料品はスズの層をゆっくり腐食させるように作用する。この腐食を少なくするために、缶の壁の一部にコーティングが施されてもよい。コーティングは、缶の内容物によるスズの腐食を遅らせるように作用し、それによって、缶の内容物が法定最大量のスズを含むまでにかかる時間を延ばして、缶の中の製品の貯蔵寿命を伸ばす。
【0006】
2ピース缶を作る絞り加工作業中に、側壁は缶の端壁から「製作され(drawn up」、したがって、さほど厚くなく、缶の端壁よりも薄いスズ層を含んでいる。したがって、食料品の酸化を最小限に抑えるべく大気中の任意の酸素に反応するのに十分なスズが利用可能となるようにするために、缶の端壁上のスズを食料品に晒さなければならないということは一般に認められている原則である。したがって、特許文献1の缶本体は、口部を定める壁の部分から伸びる領域を形成するラッカー塗装した表面を有する。ラッカー塗装した表面の領域は側壁の全長よりも小さく、缶の側壁と端壁の残りの部分は、露出したスズ領域である。
【0007】
しかしながら、スズ表面のこの分布により、缶の上部部分にある食料品は端壁の食料品よりも酸化することになる。この2つの色調の効果は、缶の内容物の美的外観を損ないかねない。さらに、端壁のスズの露出は、缶の端壁上の跡の見た目を悪くしてしまう。
【0008】
特許文献2は、これらの問題に対処しようとしてブリキの絞り加工作業から作られた缶をラッカー塗装する別の方法を記載している。特許文献2において、缶の本体には複数のラッカー塗装した表面があり、この表面は側壁の高さを伸ばし、露出したスズ領域によって分離されている。ラッカー塗装した表面を広げることで、前記露出したスズ領域に対する前記食料品の化学作用により、審美的な影響は限定される。しかしながら、酸化に利用できるスズ表面の量が大幅に減ったことから、缶の中の食料品は酸化に晒されることが増えて、その味と見た目は損なわれてしまう。
【0009】
したがって、これらの問題の1つ以上を軽減する2ピース缶を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第0492870号
【特許文献2】欧州特許第2082968号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に従って、ブリキから絞り加工した缶本体であって、端壁と、端壁の外縁から缶本体の口部を定める末端部分へと延びる一体的な側壁とを含む、本体が提供される。缶本体の端壁はコーティングで実質的に覆われ、側壁は実質的に露出したスズ表面である。上記のように缶のブリキの内部にコーティングを施すことで、缶の壁の深い位置での食品内容物の酸化は、より均一な方法で最小限に抑えられる。このことは、缶の内容物を缶から取り出すとき、缶の全長にわたって一貫した見た目をしている。さらに、缶の端壁にコーティングを施すことにより、缶の端壁の内部は酸化せず、したがって、見た目の悪い跡が現れることはない。
【0012】
好ましくは、端壁の25%乃至100%がコーティング材料層で覆われ、より好ましくは端壁の75%乃至100%がコーティング材料層で覆われる。缶の端壁に施されるコーティングが多ければ多いほど、見栄えの悪い跡が形成されてユーザーの視線に入る可能性も低くなる。
【0013】
好ましくは、端壁上のコーティングは中央に位置しており、端壁の中心から放射状に伸びる。これは、ユーザーが缶を覗き込む際に、ユーザーの目を缶の中心に引き付けるためである。したがって、上記の位置にコーティングを施すことによって、ユーザーは、酸化スズによって缶の端壁の内表面に形成されたいかなる見た目の悪い跡にも気付かない可能性が高い。
【0014】
随意に、缶本体の側壁にはコーティング材料が与えられてもよく、コーティング材料は側壁の表面積の0%乃至50%を覆う。さらにより好ましくは、コーティング材料は、側壁の表面積の0〜20%を覆う。随意に、コーティング材料は、側壁の表面積の0〜10%を覆ってもよい。缶の側壁に施されるコーティングが少なければ少ないほど、ますます多くのスズの量が缶の内容物に露出し、それによって、缶の内容物の酸化を最小限に抑える。さらに、側壁に施されるコーティングが少なければ少ないほど、ますます缶の内容物は缶の深さにわたって均一になる。
【0015】
側壁には、末端部分に隣接したコーティングの環状リングを設けたとしてもよい。このリングは、缶を密封する際に缶の内部に閉じ込められた空気ポケットによって引き起こされる缶の表面上の見た目の悪い跡を防ぐ。
【0016】
随意に、側壁上のコーティングの少なくとも一部は、側壁の高さの50%にある環状リング中に堆積する。代替的に、コーティング材料の層の少なくとも一部は、端壁に隣接している側壁の一部に堆積する。
【0017】
缶の側壁には少なくとも1つのビーズが設けられてもよく、側壁にはビーズの内表面の上にコーティングの環状リングが設けられる。
【0018】
缶本体の側壁には、複数のビーズと、複数のビーズの少なくとも1つの内表面上にコーティングの環状リングが設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】ビーズとコーティングの環状リングを含む、本発明に係る缶を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
缶(10)は、任意の適切な作業、例えば、特許文献1などに記載されるような絞り加工作業によって、ブリキから作られる。缶(10)は、端壁(12)と、端壁(12)から伸張した一体的な側壁(14)を備える。端壁(12)から最も遠い側壁の端部は、内容物が缶(10)に入る際に通る開口部(16)を定義する。いったん缶がその内容物を受け取ると、開口部は、適所に密閉される蓋(図示せず)を受け取り、缶とその内容物は必要とされる処理(熱処理または圧力処理など)を経る。
【0021】
ブリキは、少なくともスズおよび/またはスズ合金のコーティングを施した横壁の内表面を有する鋼マトリックスから作られてもよい。
【0022】
缶(10)の端壁の内表面には、缶を形成するブリキと缶の内容物との間に層を形成するコーティング(18)が設けられる。コーティングは缶(10)の側壁(14)には与えられない。側壁ではなく端壁に有機コーティングを施すことによって、缶の内容物中の任意の酸素を酸化させるのに側壁上のスズを利用することができる。これまでの予想とは逆に、缶の側壁に存在するスズの量は、缶の内容物に起こる酸化を十分なほど最小限に抑える。このことは、酸化によって美的外観が劣化した領域が缶の長さに沿って存在しないことを意味する。さらに、缶の端壁はコーティングにより酸化しないため、缶の端壁に見た目の悪い跡が形成されることを防ぐ。
【0023】
内容物を缶の内部に入れる際、内容物と蓋の間には缶の頂部に閉じ込められた1以上の空気ポケットがある。缶の頂部にあるスズの酸化によって生じた任意の見た目の悪い跡を目立たなくするために、随意に、缶(10)には、
図2に例証されるように、缶(10)の開口部(16)の近くにある缶(10)の側壁の表面でコーティング(20)が設けられてもよい。コーティングは、好ましくは側壁の高さの最大で20%しか伸びない。随意に、コーティングは、側壁の高さの最大で10%しか伸びなくてもよい。
【0024】
缶の側壁には、
図3に例証されるように、1以上のビーズ(22)が設けられてもよい。このような例では、
図4で例証されるように、ビーズの1つ以上を覆う環状リングに、さらなるコーティング(24)が設けられてもよい。これは、缶の端部での任意のコーティングに加えて、または、該コーティングよりもむしろ、開口部に近いものであってもよい。
【0025】
随意に、缶の端壁全体がコーティングで覆われなくてもよい。むしろ、缶の端壁の25%乃至100%がコーティングされてもよく、コーティングは端壁の中心から放射状に伸びる。好ましくは、缶の端壁の75%以上がコーティングされる。代替的な実施形態では、缶の端壁には1以上のビーズが設けられる。このような例では、端壁の少なくとも水平な部分にコーティングが与えられる。
【0026】
コーティングは任意の適切な材料から作られてもよい。例えば、コーティングは、エポキシフェノールラッカー(epoxy phenolic lacquer)、エポキシアミンラッカー(epoxy amine lacquer)、アクリル樹脂ラッカー、エポキシポリエステルラッカー(epoxy polyester lacquer)、および、色素を含むまたは含まないビニルラッカーを含む群から選択されてもよい。
【0027】
コーティングは環状リングで側壁に適用されるものとして記載されてきたが、当業者は、任意の所望のパターンを用いてコーティングが側壁に施されてもよいことを理解するであろう。例えば、コーティングは不規則な領域に、または、垂直な縞で与えられてもよい。
【0028】
コーティングは、任意の適切な方法を用いて、蓋の開口した缶の表面に施されてもよい。例えば、コーティングは、ノズルを用いて缶の内表面上に吹きかけられてもよい。
【国際調査報告】