特表2015-520176(P2015-520176A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-520176腸内細菌叢集団を改善する方法および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-520176(P2015-520176A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】腸内細菌叢集団を改善する方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/185 20060101AFI20150619BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/29 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/718 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/539 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/756 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/42 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/515 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/744 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/708 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/288 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/59 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/489 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/8964 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 36/18 20060101ALI20150619BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20150619BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20150619BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20150619BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20150619BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20150619BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20150619BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20150619BHJP
   C12N 1/38 20060101ALI20150619BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20150619BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20150619BHJP
【FI】
   A61K36/185
   A61P1/12
   A61K31/4745
   A61K36/29
   A61K36/718
   A61K36/53
   A61K36/539
   A61K36/756
   A61K36/42
   A61K36/48
   A61K36/515
   A61K36/744
   A61K36/708
   A61K36/288
   A61K36/59
   A61K36/489
   A61K36/8964
   A61K36/18
   A61P3/00
   A61P3/04
   A61P3/10
   A61P3/06
   A61P29/00
   A61P19/06
   A61K9/20
   A61K9/14
   A61K9/16
   A61K9/50
   A61K9/70
   A61K9/72
   A61K9/08
   A61K9/10
   C12N1/38
   C12N1/20 EZNA
   C12N15/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】58
(21)【出願番号】特願2015-515382(P2015-515382)
(86)(22)【出願日】2013年6月4日
(85)【翻訳文提出日】2015年2月6日
(86)【国際出願番号】CN2013076709
(87)【国際公開番号】WO2013182038
(87)【国際公開日】20131212
(31)【優先権主張番号】201210185004.2
(32)【優先日】2012年6月6日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】508332634
【氏名又は名称】シャンハイ ジャオ トン ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】514312929
【氏名又は名称】パーフェクト(チャイナ)カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,リーピン
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,シュ
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,モーホイ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,ユーフェン
(72)【発明者】
【氏名】パン,シァオイェン
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,シァオジュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リンホア
(72)【発明者】
【氏名】ニン,グァン
(72)【発明者】
【氏名】リ,シァオイン
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,イーフェ
【テーマコード(参考)】
4B024
4B065
4C076
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B024AA01
4B024BA80
4B024GA30
4B065AA01X
4B065AC20
4B065BB26
4B065BD43
4B065CA44
4C076AA01
4C076AA11
4C076AA13
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4C076AA24
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4C076BB01
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4C086MA13
4C086MA17
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4C086MA31
4C086MA34
4C086MA35
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4C088MA17
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4C088MA34
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4C088ZB11
4C088ZC21
4C088ZC31
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4C088ZC35
(57)【要約】
腸内細菌叢構造を改善する方法および組成物であり、当該方法および組成物は、対象内の第1腸内細菌叢集団を選択的に増加させ、それと同時に第2腸内細菌叢集団を減少させる。前記第1腸内細菌叢集団は、短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌を含んでおり、前記第2腸内細菌叢集団はエンドトキシン生成細菌を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腸内細菌叢集団を改善する方法であって、該方法は、対象に組成物を投与して、該対象内の第1腸内細菌叢集団を増加させ、それと同時に第2腸内細菌叢集団を減少させる工程を含んでおり、該第1腸内細菌叢集団が短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌を含み、該第2腸内細菌叢集団がエンドトキシン生成細菌を含んでいる、方法。
【請求項2】
前記組成物が、生薬、天然物、薬草または薬草抽出物を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、ベルベリン、ベルベリン誘導体またはイソキノリンアルカロイドを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、植物またはその抽出物を含んでおり、該植物が、セイヨウメギ(Berberis vulgaris)、オウレン(Coptis chinensis)、コガネバナ(Scutellaria baicalensis)、オウバク(Phellodendri Chinensis)、ツルレイシ(Momordica charantia)、クチョウ(Ilex kudingcha)、クララ(Sophora flavescens)、リンドウ(Gentiana scabra)、ハナスゲ(Anemarrhena asphodeloides)、クチナシ(Gardenia jasminoides)、ダイオウ(Rheum palmatum)、タンポポ(Herba Taraxaci)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、植物またはその抽出物を含んでおり、該植物が、メギ属(Berberis)、オウレン属(Coptis)、タツナミソウ属(Scutellaria)、キハダ属(Phellodendron)、ツルレイシ属(Momordica)、モチノキ属(Ilex)、エンジュ属(Sophora)、リンドウ属(Gentiana)、ハナスゲ属(Anemarrhena)、クチナシ属(Gardenia)、ダイオウ属(Rheum)またはタンポポ属(Taraxacum)である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、植物またはその抽出物を含んでおり、該植物が、メギ科(Berberidaceae)、キンポウゲ科(Ranunculaceae)、シソ科(Lamiaceae)、ミカン科(Rutaceae)、ウリ科(Cucurbitacea)、モチノキ科(Aquifoliaceae)、マメ科(Leguminosae)、リンドウ科(Gentianaceae)、リュウゼツラン科(Agavaceae)、アカネ科(Rubiaceae)、タデ科(Polygonaceae)、キク科(Asteraceae)、ツヅラフジ科(Menispermaceae)またはウリ科(Cucurbitaceae)である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1腸内細菌叢集団が、アリスティペス(Alistipes)、アロバキュラム(Allobaculum)、バクテロイデス(Bacteroides)、バーンシエラ(Barnesiella)、ブラウシア(Blautia)、ブチリシコッカス(Butyricicoccus)、ブチリシモナス(Butyricimonas)、ドレア(Dorea)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ヘスペリア(Hespellia)、ホールデマニア(Holdemania)、ローソニア(Lawsonia)、オシリバクター(Oscillibacter)、パラバクテロイデス(Parabacteroides)、ファスコラークトバクテリウム(Phascolarctobacterium)、プレボテラ(Prevotella)、セディメンティバクター(Sedimentibacter)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1腸内細菌叢集団が、バクテロイデス科(Bacteroidaceae)、コリオバクテリア科(Coriobacteriaceae)、デスルフォビブリオ科(Desulfovibrionaceae)、エリシペロトリクス科(Erysipelotrichaceae)、フラボバクテリア科(Flavobacteriaceae)、ヘリコバクター科(Helicobacteracea)、インケルタエセディスXI(Incertae Sedis XI)、インケルタエセディスXIV(Incertae Sedis XIV)、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)、ポルフィロモナス科(Porphyromonadaceae)、プレボテラ科(Prevotellaceae)、リケネラ科(Rikenellaceae)、ルミノコッカス科(Ruminococcaceae)、ベイヨネラ科(Veillonellaceae)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1腸内細菌叢集団が、カンピロバクター目(Campylobacterales)、デスルフォビブリオ目(Desulfovibrionales)、バクテロイデス目(Bacteroidales)、コリオバクター目(Coriobacteriales)、フラボバクテリア目(Flavobacteriales)、クロストリジウム目(Clostridiales)、エリシペロトリクス目(Erysipelotrichales)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1腸内細菌叢集団が、イプシロンプロテオバクテリア網(Epsilonproteobacteria)、デルタプロテオバクテリア網(Deltaproteobacteria)、バクテロイデス網(Bacteroidia)、コリオバクター亜網(Coriobacteridae)、フラボバクテリア網(Flavobacteria)、クロストリジウム網、(Clostridia)、エリシペロトリクス網(Erysipelotrichi)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1腸内細菌叢集団が、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)、フィルミクテス門(Firmicutes)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌が、ブラウシア(Blautia)、アロバキュラム(Allobaculum)、プレボテラ(Prevotella)、バクテロイデス(Bacterioides)、ブチリシモナス(Butyricimonas)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が配列番号1〜93から成る群から選択された核酸配列と少なくとも約95%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が配列番号1〜93から成る群から選択された核酸配列と少なくとも約80%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第2腸内細菌叢集団が、アリスティペス(Alistipes)、アナエロプラズマ(Anaeroplasma)、バーンシエラ(Barnesiella)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ブチリシモナス(Butyricimonas)、ブチリビブリオ(Butyrivibrio)、コプロコッカス(Coprococcus)、ファステディオシピラ(Fastidiosipila)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ヘスペリア(Hespellia)、マービンブリアンシア(Marvinbryantia)、オリバクテリウム(Oribacterium)、オシリバクター(Oscillibacter)、プレボテラ(Prevotella)、ロゼブリア(Roseburia)、ルミノコッカス(Ruminococcus)、TM7_インケルタエ_セディス属(TM7_genera_incertae_sedis)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第2腸内細菌叢集団が、ヘリコバクター科(Helicobacteraceae)、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)、ポルフィロモナス科(Porphyromonadaceae)、プレボテラ科(Prevotellaceae)、リケネラ科(Rikenellaceae)、ルミノコッカス科(Ruminococcaceae)、アナエロプラズマ科(Anaeroplasmataceae)、ビフィドバクテリウム科(Bifidobacteriaceae)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第2腸内細菌叢集団が、カンピロバクター目(Campylobacterales)、バクテロイデス目(Bacteroidales)、クロストリジウム目(Clostridiales)、アナエロプラズマ目(Anaeroplasmatales)、ビフィドバクテリウム目(Bifidobacteriales)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第2腸内細菌叢集団が、イプシロンプロテオバクテリア網(Epsilonproteobacteria)、アルファプロテオバクテリア網(Alphaaproteobacteria)、バクテロイデス網(Bacteroidia)、クロストリジウム網(Clostridia)、アクチノバクテリア網(Actinobacteridae)、モリクテス網(Mollicutes)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第2腸内細菌叢集団が、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)、フィルミクテス門(Firmicutes)、テネリクテス門(Tenericutes)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記エンドトキシン生成細菌が、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第2腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が配列番号94〜268から成る群から選択された核酸配列と少なくとも約95%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第2腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が配列番号94〜268から成る群から選択された核酸配列と少なくとも約80%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、経口製剤または非経口製剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、座薬、錠剤、丸薬、顆粒、粉末、フィルム、マイクロカプセル、エアゾール、酒精剤、チンキ剤、強壮剤、液体懸濁液またはシロップの形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、第1サイトカインの血清濃度を下げ、第2サイトカインの血清濃度を上げ得て、該第1サイトカインが、リポ多糖結合タンパク質、単球走化性タンパク質−1、レプチンまたはそれらの組み合わせを含んでおり、該第2サイトカインが、アディポネクチンを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、便中の短鎖脂肪酸濃度を上げ得る、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
腸内細菌叢集団を改善するのに有効な試験化合物をスクリーニングする方法であって、前記方法は、
コントロール対象に有効量のコントロール組成物を投与して、前記コントロール対象内の第1腸内細菌叢集団を増加させ、それと同時に第2腸内細菌叢集団を減少させる工程を含んでおり、前記第1腸内細菌叢集団が短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌を含み、前記第2腸内細菌叢集団がエンドトキシン生成細菌を含んでおり、前記方法はさらに、
試験対象に一定量の試験化合物を投与する工程と、
前記コントロール対象の腸内細菌叢集団と、前記試験対象の腸内細菌叢集団とを比較する工程とを含んでおり、少なくとも約80%の相同性が、前記試験化合物が腸内細菌叢集団を改善するのに有効であることを示している、方法。
【請求項28】
少なくとも約95%の相同性が、前記試験化合物が腸内細菌叢集団を改善するのに有効であることを示している、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも約75%の相同性が、前記試験化合物が腸内細菌叢集団を改善するのに有効であることを示している、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、生薬、天然物、薬草または薬草抽出物を含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、ベルベリン、ベルベリン誘導体またはイソキノリンアルカロイドを含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、植物またはその抽出物を含んでおり、該植物が、セイヨウメギ(Berberis vulgaris)、オウレン(Coptis chinensis)、コガネバナ(Scutellaria baicalensis)、オウバク(Phellodendri Chinensis)、ツルレイシ(Momordica charantia)、クチョウ(Ilex kudingcha)、クララ(Sophora flavescens)、リンドウ(Gentiana scabra)、ハナスゲ(Anemarrhena asphodeloides)、クチナシ(Gardenia jasminoides)、ダイオウ(Rheum palmatum)、タンポポ(Herba Taraxaci)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が、植物またはその抽出物を含んでおり、該植物が、メギ属(Berberis)、オウレン属(Coptis)、タツナミソウ属(Scutellaria)、キハダ属(Phellodendron)、ツルレイシ属(Momordica)、モチノキ属(Ilex)、エンジュ属(Sophora)、リンドウ属(Gentiana)、ハナスゲ属(Anemarrhena)、クチナシ属(Gardenia)、ダイオウ属(Rheum)またはタンポポ属(Taraxacum)である、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、植物またはその抽出物を含んでおり、該植物が、メギ科(Berberidaceae)、キンポウゲ科(Ranunculaceae)、シソ科(Lamiaceae)、ミカン科(Rutaceae)、ウリ科(Cucurbitacea)、モチノキ科(Aquifoliaceae)、マメ科(Leguminosae)、リンドウ科(Gentianaceae)、リュウゼツラン科(Agavaceae)、アカネ科(Rubiaceae)、タデ科(Polygonaceae)、キク科(Asteraceae)、ツヅラフジ科(Menispermaceae)またはウリ科(Cucurbitaceae)である、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記第1腸内細菌叢集団が、アリスティペス(Alistipes)、アロバキュラム(Allobaculum)、バクテロイデス(Bacteroides)、バーンシエラ(Barnesiella)、ブラウシア(Blautia)、ブチリシコッカス(Butyricicoccus)、ブチリシモナス(Butyricimonas)、ドレア(Dorea)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ヘスペリア(Hespellia)、ホールデマニア(Holdemania)、ローソニア(Lawsonia)、オシリバクター(Oscillibacter)、パラバクテロイデス(Parabacteroides)、ファスコラークトバクテリウム(Phascolarctobacterium)、プレボテラ(Prevotella)、セディメンティバクター(Sedimentibacter)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌が、ブラウシア(Blautia)、アロバキュラム(Allobacu)、プレボテラ(Prevotella)、バクテロイデス(Bacterioides)、ブチリシモナス(Butyricimonas)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記第1腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が配列番号1〜93から成る群から選択された核酸配列と少なくとも約95%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記第1腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が配列番号1〜93から成る群から選択された核酸配列と少なくとも約80%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記第2腸内細菌叢集団が、アリスティペス(Alistipes)、アナエロプラズマ(Anaeroplasma)、バーンシエラ(Barnesiella)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ブチリシモナス(Butyricimonas)、ブチリビブリオ(Butyrivibrio)、コプロコッカス(Coprococcus)、ファステディオシピラ(Fastidiosipila)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ヘスペリア(Hespellia)、マービンブリアンシア(Marvinbryantia)、オリバクテリウム(Oribacterium)、オシリバクター(Oscillibacter)、プレボテラ(Prevotella)、ロゼブリア(Roseburia)、ルミノコッカス(Ruminococcus)、TM7_インケルタエ_セディス属(TM7_genera_incertae_sedis)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項40】
前記エンドトキシン生成細菌が、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)を含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記第2腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が配列番号94〜268から成る群から選択された核酸配列と少なくとも約95%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記第2腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が配列番号94〜268から成る群から選択された核酸配列と少なくとも約80%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が、第1サイトカインの血清濃度を下げ、第2サイトカインの血清濃度を上げ得て、前記第1サイトカインが、リポ多糖結合タンパク質、単球走化性タンパク質、レプチンまたはそれらの組み合わせを含んでおり、前記第2サイトカインが、アディポネクチンを含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が、腸内短鎖脂肪酸濃度を上げ得る、請求項27に記載の方法。
【請求項45】
腸内細菌叢集団を改善する組成物であって、該組成物は、対象内の第1腸内細菌叢集団を選択的に増加させ、それと同時に第2腸内細菌叢集団を減少させることができ、該第1腸内細菌叢集団が短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌を含んでおり、前記第2腸内細菌叢集団がエンドトキシン生成細菌を含んでいる、組成物。
【請求項46】
前記組成物が、生薬、天然物、薬草、または薬草抽出物を含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記組成物が、ベルベリン、ベルベリン誘導体または他のそれらのイソキノリンアルカロイドを含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物が、植物またはその抽出物を含んでおり、該植物が、セイヨウメギ(Berberis vulgaris)、オウレン(Coptis chinensis)、コガネバナ(Scutellaria baicalensis)、オウバク(Phellodendri Chinensis)、ツルレイシ(Momordica charantia)、クチョウ(Ilex kudingcha)、クララ(Sophora flavescens)、リンドウ(Gentiana scabra)、ハナスゲ(Anemarrhena asphodeloides)、クチナシ(Gardenia jasminoides)、ダイオウ(Rheum palmatum)、タンポポ(Herba Taraxaci)またはそれらの任意の組み合わせを含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物が、植物またはその抽出物を含んでおり、該植物が、メギ属(Berberis)、オウレン属(Coptis)、タツナミソウ属(Scutellaria)、キハダ属(Phellodendron)、ツルレイシ属(Momordica)、モチノキ属(Ilex)、エンジュ属(Sophora)、リンドウ属(Gentiana)、ハナスゲ属(Anemarrhena)、クチナシ属(Gardenia)、ダイオウ属(Rheum)またはタンポポ属(Taraxacum)である、請求項45に記載の組成物。
【請求項50】
前記組成物が、植物またはその抽出物を含んでおり、該植物が、メギ科(Berberidaceae)、キンポウゲ科(Ranunculaceae)、シソ科(Lamiaceae)、ミカン科(Rutaceae)、ウリ科(Cucurbitacea)、モチノキ科(Aquifoliaceae)、マメ科(Leguminosae)、リンドウ科(Gentianaceae)、リュウゼツラン科(Agavaceae)、アカネ科(Rubiaceae)、タデ科(Polygonaceae)、キク科(Asteraceae)、ツヅラフジ科(Menispermaceae)またはウリ科(Cucurbitaceae)である、請求項45に記載の組成物。
【請求項51】
前記組成物が、食物、飲料、サプリメントまたは医薬製剤である、請求項45に記載の組成物。
【請求項52】
前記組成物が、体重1kgあたり約50mg〜体重1kgあたり約400mgの投与量で、少なくとも2週間にわたって1日1回投与することで、対象内の第1腸内細菌叢集団を選択的に増加させ、それと同時に第2腸内細菌叢集団を減少させることが可能であり、該第1腸内細菌叢集団が短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌を含んでおり、該第2腸内細菌叢集団がエンドトキシン生成細菌を含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【請求項53】
前記第1腸内細菌叢集団が、アリスティペス(Alistipes)、アロバキュラム(Allobaculum)、バクテロイデス(Bacteroides)、バーンシエラ(Barnesiella)、ブラウシア(Blautia)、ブチリシコッカス(Butyricicoccus)、ブチリシモナス(Butyricimonas)、ドレア(Dorea)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ヘスペリア(Hespellia)、ホールデマニア(Holdemania)、ローソニア(Lawsonia)、オシリバクター(Oscillibacter)、パラバクテロイデス(Parabacteroides)、ファスコラークトバクテリウム(Phascolarctobacterium)、プレボテラ(Prevotella)、セディメンティバクター(Sedimentibacter)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【請求項54】
前記短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌が、ブラウシア(Blautia)、アロバキュラム(Allobacum)、プレボテラ(Prevotella)、バクテロイデス(Bacterioides)、ブチリシモナス(Butyricimonas)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【請求項55】
前記第1腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が、配列番号1〜93から成る群から選択された核酸配列と少なくとも約95%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【請求項56】
前記第1腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が、配列番号1〜93から成る群から選択された核酸配列と少なくとも約80%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【請求項57】
前記第2腸内細菌叢集団が、アリスティペス(Alistipes)、アナエロプラズマ(Anaeroplasma)、バーンシエラ(Barnesiella)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ブチリシモナス(Butyricimonas)、ブチリビブリオ(Butyrivibrio)、コプロコッカス(Coprococcus)、ファステディオシピラ(Fastidiosipila)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ヘスペリア(Hespellia)、マービンブリアンシア(Marvinbryantia)、オリバクテリウム(Oribacterium)、オシリバクター(Oscillibacter)、プレボテラ(Prevotella)、ロゼブリア(Roseburia)、ルミノコッカス(Ruminococcus)、TM7_インケルタエ_セディス属(TM7_genera_incertae_sedis)またはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【請求項58】
前記エンドトキシン生成細菌が、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)を含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【請求項59】
前記第2腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が配列番号94〜268から成る群から選択された核酸配列と少なくとも95%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【請求項60】
前記第2腸内細菌叢集団が、16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が配列番号94〜268から成る群から選択された核酸配列と少なくとも80%の相同性を有している細菌を含んでいる、請求項45に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願のクロスリファレンス〕
本出願は、2012年6月6日に出願された中国特許出願第201210185004.2号の出願日の利益を得ることを主張するものであり、この中国特許出願の開示は、全体として、参照により本明細書に組み込まれている。
技術分野
本出願は、腸内細菌叢集団を改善する組成物および当該腸内細菌叢集団の改善方法、ならびに薬剤、栄養補助食品、ヘルスケア製品、食物および飲料における関連用途に関する。
【0002】
〔背景技術〕
本明細書中に別段の記載のない限り、本項目に記載されている内容は、本出願の請求項に対する先行技術となるものではなく、本項目に含まれることによって先行技術と認められるものではない。
【0003】
ヒトの体内には、多数の共生微生物が生きており、なかでも腸内細菌叢は、宿主の健康に対する重要な環境要因として機能する。細菌の種類は1000種類以上あり、その数はヒトの細胞数の10倍を超えており、その遺伝子数は、ヒトの細胞内の遺伝子数の約150倍である。本明細書において、宿主細胞および腸内細菌叢を含む共生微生物、ならびに腸内微生物の共同体(マイクロバイオーム)をコードするゲノムから形成される「超生物体」としてのヒトの体は、第2のヒトゲノムと考えられており、「ヒトメタゲノム」としても知られている。ヒトの健康状態が変化した時、共生微生物の組成も同様に変化する。逆に言うと、共生微生物の組成における変化が、ヒトの健康状態の変化を生じる。ヒトゲノムの多様性と腸内マイクロバイオームとが合わさって、ヒト宿主の免疫、栄養、代謝および健康/病気の状態に影響する。しかし、現在まで、どのような仕組みによって腸内細菌叢が病気の原因および病理に影響するのか、どの種類の細菌が宿主の健康状態と正の相関を持ち、どの種類の細菌が宿主の健康状態と負の相関を持つのか、ということは明らかになっていない。
【0004】
〔概要]
下記概要は、単なる例示であり、いかなる限定を加えるものではない。上述した例示的態様、実施形態および特徴に加えて、図面および下記詳細な説明を参照することによって、他の態様、実施形態、および特徴が明らかになるであろう。
【0005】
一態様において、本出願は、腸内細菌叢集団を改善する方法を提供する。ある実施形態では、前記方法は、対象内の第1腸内細菌叢集団を増加させ、それと同時に第2腸内細菌叢集団を減少させるために、前記対象に組成物を投与する工程を含んでいる。前記第1腸内細菌叢集団は、短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌を含んでいてもよい。前記第2腸内細菌叢集団は、エンドトキシン生成細菌を含んでいてもよい。
【0006】
別の態様において、本出願は、腸内細菌叢集団を改善するうえで有効となる可能性のある試験化合物をスクリーニングする方法を提供する。ある実施形態では、前記方法は、コントロール対象に有効量のコントロール組成物を投与して、前記コントロール対象内の第1腸内細菌叢集団を増加させ、それと同時に第2腸内細菌叢集団を減少させる工程と、試験対象に一定量の試験化合物を投与する工程と、前記コントロール対象の腸内細菌叢集団と、前記試験対象の腸内細菌叢集団とを比較する工程とを含んでいる。少なくとも約80%の相同性が、前記試験化合物が腸内細菌叢集団を改善するのに有効であることを示している。前記第1腸内細菌叢集団は、短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌を含んでいてもよい。前記第2腸内細菌叢集団はエンドトキシン生成細菌を含んでいてもよい。
【0007】
さらに別の態様において、本出願は、腸内細菌叢集団を改善する組成物を提供する。ある実施形態では、前記組成物は、対象内の第1腸内細菌叢集団を選択的に増加させ、それと同時に第2腸内細菌叢集団を減少させることが可能である。前記第1腸内細菌叢集団は、短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌を含んでいてもよい。前記第2腸内細菌叢集団はエンドトキシン生成細菌を含んでいてもよい。ある実施形態において、前記組成物は、体重1kgあたり約50mg〜体重1kgあたり約400mgの投与量で、少なくとも2週間にわたって、1日1回前記対象に投与される。
【0008】
〔図面の簡単な説明〕
本開示の上述の特徴および他の特徴は、添付図面と共に組み合わせて、下記の詳細な説明および添付の請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。これらの図面は、開示内容に従って構成されたいくつかの実施形態を示しているにすぎず、それゆえ、その開示内容の範囲を限定すると解釈されるべきものではなく、添付図面を用いることによって、開示内容がより具体的、かつより詳細に記載されることになるであろう、ということを理解されたい。
【0009】
図1はラットの腸内細菌叢構造へのベルベリンの影響を示している。図1Aは、HFDの給餌およびベルベリン投与に対するラットの腸内細菌叢構造における変化を表すPCoAスコアプロットである。図1Bは、MANOVAを用いて計算したマハラノビス距離に基づく、腸内細菌叢のクラスタリングを示している。図1Cは、全試料について等しい数の配列リードまで希釈化した後に計算された、シャノンウィナー指数を示している。
【0010】
図2は、腸内細菌叢のRDAの距離に関するトリプロット(triplot)を用いて、ベルベリン投与によって生じた腸内細菌叢構造におけるいくつかの代表差分を示している。
【0011】
図3は、高脂肪食または通常食を与えられた時の、ラットの便中の短鎖脂肪酸量への影響を示している。図3Aは、総短鎖脂肪酸(SCFA)濃度を示している。図3Bは、酢酸濃度を示している。図3Cは、プロピオン酸濃度を示している。図3Dは、酪酸濃度を示している(D)。
【0012】
図4は、ラットにおける肥満表現型および食物摂取へのベルベリンの影響を示している。図4Aは、体重増加へのベルベリンの影響を示している。図4Bは、(全体重の100g毎の脂肪パッドの重さ(精巣上体脂肪パッドと腎周囲脂肪パッドとの合計)として計算される)肥満度指数へのベルベリンの影響を示している。図4Cは、実験全体にわたるラットの食物摂取を示している。
【0013】
図5は、ラットのインスリン感受性へのベルベリンの影響を示している。図5Aは、空腹時血糖(FBG)へのベルベリンの影響を示している。図5Bは、空腹時血清インスリン(FINS)へのベルベリンの影響を示している。図5Cは、インスリン抵抗の恒常性評価(HOMA−IR値)(式:空腹時インスリン(μU/mL)×空腹時ブドウ糖(mmol/L)/22.5に従って計算される)への影響を示している。図5Dは、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)へのベルベリンの影響を示している。図5Eは、腎周囲内インスリン負荷試験(ITT)へのベルベリンの影響を示している。
【0014】
図6は、ラットにおける炎症因子濃度へのベルベリンの影響を示している。図6Aは、血清リポ多糖(LPS)結合タンパク質(LBP)へのベルベリンの影響を示している。図6Bは、血清レプチンへのベルベリンの影響を示している。図6Cは、血清MCP−1へのベルベリンの影響を示している。図6Dは、体脂肪と相関する血清アディポネクチンへのベルベリンの影響を示している。
【0015】
〔詳細な説明〕
下記の詳細な説明において、添付図面について言及されており、それは当該詳細な説明の一部を形成する。図面において、同様の記号は、文脈によって他のものを示していない限り、概して、同様の要素を特定している。詳細な説明、図面、および請求の範囲に記載された例示的な実施形態は、限定を加えるためのものではない。本明細書に示されている主題の精神または範囲から逸脱することなく、別の実施形態を用いてもよく、また別の変化を加えてもよい。本明細書に全体的に記載され、図面に示されているように、本開示の各態様は、広範囲の異なる構成に、調整、置換、結合、分離、および設計してもよく、そのすべてが本明細書において明確に意図されているということは容易に理解されるであろう。
【0016】
本出願は、概して、腸内細菌叢集団の改善に関する、組成物、方法、処理、装置、システム、機器および/または製品について特に記載している。
【0017】
本出願は、腸内細菌叢集団を改善するための新規な組成物および当該腸内細菌叢集団の改善方法を提供する。本出願は、例えば、ハイスループット塩基配列決定法や多変量統計法を用いて、宿主の代謝に密接に関わる細菌ファミリーを同定する。
【0018】
一態様では、本出願は、腸内細菌叢集団の改善方法を提供する。ある実施形態では、前記方法は、第1腸内細菌叢集団を選択的に増加させることを含んでいてもよい。前記第1腸内細菌叢集団は、例えば、短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌を含んでいてもよい。ある実施形態では、前記方法は、第2腸内細菌叢集団を抑制することを含んでいてもよい。前記第2腸内細菌叢集団は、例えば、エンドトキシン生成細菌を含んでいてもよい。
【0019】
ある実施形態では、前記方法は、対象に組成物を投与する工程を含んでいてもよい。前記組成物は、経口製剤または非経口製剤であってもよい。前記組成物は、選択的に第1腸内細菌叢集団を増加させ、それと同時に第2腸内細菌叢集団を減少させてもよい。
【0020】
前記第1腸内細菌叢集団の増加と前記第2細菌叢集団の抑制は、同時に行われてもよい。前記方法は、肥満、糖尿病、インスリン抵抗性、高リポタンパク血症、高尿酸血症、脂肪肝、高コレステロール血症、高グリセリド血症、炎症、および他の疾患を含むがこれらに限定されないメタボリックシンドロームの予防または治療になる可能性がある。
【0021】
腸内の短鎖脂肪酸(SCFA)生成細菌の多くは、有益な細菌である。これらの細菌は、直接的に、または腸内の短鎖脂肪酸を増加させることによって間接的に、抗炎症機能に限定されることなく、腸管バリア機能を保護する機能や代謝および免疫システムを調整する機能を果たしている。これらの機能は、肥満、インスリン抵抗性、糖尿病および他の代謝性疾患の予防または治療に結びつくことになる。
【0022】
腸内細菌叢集団を改善する開示された方法が用いられる。前記の増加した腸内細菌叢集団として、アリスティペス(Alistipes)、アロバキュラム(Allobaculum)、バクテロイデス(Bacteroides)、バーンシエラ(Barnesiella)、ブラウシア(Blautia)、ブチリシコッカス(Butyricicoccus)、ブチリシモナス(Butyricimonas)、ドレア(Dorea)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ヘスペリア(Hespellia)、ホールデマニア(Holdemania)、ローソニア(Lawsonia)、オシリバクター(Oscillibacter)、パラバクテロイデス(Parabacteroides)、ファスコラークトバクテリウム(Phascolarctobacterium)、プレボテラ(Prevotella)、またはセディメンティバクター(Sedimentibacter)が挙げられてもよい。ある実施形態では、前記の増加した腸内細菌叢集団として、バクテロイデス科(Bacteroidaceae)、コリオバクテリア科(Coriobacteriaceae)、デスルフォビブリオ科(Desulfovibrionaceae)、エリシペロトリクス科(Erysipelotrichaceae)、フラボバクテリア科(Flavobacteriaceae)、ヘリコバクター科(Helicobacteracea)、インケルタエセディスXI(Incertae Sedis XI)、インケルタエセディスXIV(Incertae Sedis XIV)、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)、ポルフィロモナス科(Porphyromonadaceae)、プレボテラ科(Prevotellaceae)、リケネラ科(Rikenellaceae)、ルミノコッカス科(Ruminococcaceae)またはベイヨネラ科(Veillonellaceae)が挙げられてもよい。あるいは、前記の増加した腸内細菌として、カンピロバクター目(Campylobacterales)、デスルフォビブリオ目(Desulfovibrionales)、バクテロイデス目(Bacteroidales)、コリオバクター目(Coriobacteriales)、フラボバクテリア目(Flavobacteriales)、クロストリジウム目(Clostridiales)またはエリシペロトリクス目(Erysipelotrichales)が挙げられてもよい。あるいは、前記の増加した腸内細菌として、イプシロンプロテオバクテリア網(Epsilonproteobacteria)、デルタプロテオバクテリア網(Deltaproteobacteria)、バクテロイデス網(Bacteroidia)、コリオバクター亜網(Coriobacteridae)、フラボバクテリア網(Flavobacteria)、クロストリジウム網(Clostridia)またはエリシペロトリクス網(Erysipelotrichi)が挙げられてもよい。あるいは、前記の増加した腸内細菌として、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)またはフィルミクテス門(Firmicutes)が挙げられてもよい。
【0023】
例えば、前記の増加した腸内細菌叢集団は、その16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が、配列番号1〜93から成る群から選択された核酸配列と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の相同性を有している細菌を含んでいてもよい。
【0024】
腸内のエンドトキシン生成細菌の多くは、有害な細菌である。このエンドトキシン生成細菌は、直接的に、またはエンドトキシンを増加させることによって間接的に、炎症を促進させ、腸管バリア機能を損ない、代謝および免疫システムにおける疾患を増進させる。その結果、肥満、インスリン抵抗性、糖尿病および他の代謝性疾患が誘発される。
【0025】
本明細書に開示されている腸内細菌叢集団の改善方法によると、前記の減少した腸内細菌として、アリスティペス(Alistipes)、アナエロプラズマ(Anaeroplasma)、バーンシエラ(Barnesiella)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ブチリシモナス(Butyricimonas)、ブチリビブリオ(Butyrivibrio)、コプロコッカス(Coprococcus)、ファステディオシピラ(Fastidiosipila)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ヘスペリア(Hespellia)、マービンブリアンシア(Marvinbryantia)、オリバクテリウム(Oribacterium)、オシリバクター(Oscillibacter)、プレボテラ(Prevotella)、ロゼブリア(Roseburia)、ルミノコッカス(Ruminococcus)またはTM7_インケルタエ_セディス属(TM7_genera_incertae_sedis)が挙げられてもよい。あるいは、前記の減少した腸内細菌として、ヘリコバクター科(Helicobacteraceae)、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)、ポルフィロモナス科(Porphyromonadaceae)、プレボテラ科(Prevotellaceae)、リケネラ科(Rikenellaceae)、ルミノコッカス科(Ruminococcaceae)、アナエロプラズマ科(Anaeroplasmataceae)またはビフィドバクテリウム科(Bifidobacteriaceae)が挙げられてもよい。ある実施形態では、前記の減少した腸内細菌叢集団として、カンピロバクター目(Campylobacterales)、バクテロイデス目(Bacteroidales)、クロストリジウム目(Clostridiales)、アナエロプラズマ目(Anaeroplasmatales)またはビフィドバクテリウム目(Bifidobacteriales)が挙げられてもよい。あるいは、前記の減少した腸内細菌として、イプシロンプロテオバクテリア網(Epsilonproteobacteria)、アルファプロテオバクテリア網(Alphaaproteobacteria)、バクテロイデス網(Bacteroidia)、クロストリジウム網(Clostridia)、アクチノバクテリア網(Actinobacteridae)またはモリクテス網(Mollicutes)が挙げられてもよい。ある実施形態では、前記の減少した腸内細菌叢集団は、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)、フィルミクテス門(Firmicutes)またはテネリクテス門(Tenericutes)が挙げられてもよい。
【0026】
例えば、前記の減少した腸内細菌は、その16S rRNA遺伝子のV3領域の配列が、配列番号94〜268から成る群から選択された核酸配列と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の相同性を有している細菌を含んでいてもよい。
【0027】
前記の方法は、血清炎症誘発因子濃度を下げてもよい。炎症誘発因子の例としては、限定されることはないが、サイトカイン(例えば、リポ多糖結合タンパク質、単球走化性タンパク質−1またはレプチン等)が挙げられる。さらに、前記の方法は、選択的にアディポネクチン等の血清サイトカイン濃度を上げてもよい。
【0028】
腸内短鎖脂肪酸濃度は、開示された方法を用いて増加させてもよい。当該短鎖脂肪酸としては、限定されるわけではないが、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ酪酸およびイソ吉草酸が挙げられてもよい。
【0029】
腸内細菌叢集団を改善するために、組成物を経口投与または非経口投与してもよい。ある実施形態では、前記組成物は、食物、飲料、サプリメントまたは医薬製剤であってもよい。ある実施形態では、前記組成物は、座薬、錠剤、丸薬、顆粒、粉末、フィルム、マイクロカプセル、エアゾール、酒精剤、チンキ剤、強壮剤、液体懸濁液、シロップ剤の形態であってもよい。前記組成物は、体重1kgあたり約50mg〜約400mgの投与量で投与してもよい。
【0030】
ある例において、ベルベリンを含む組成物が対象に投与された。その後、前記対象の腸内細菌叢集団を、454パイロシークエンス法を利用して分析し、短鎖脂肪酸濃度をガスクロマトグラフィーによって分析した。その結果、ベルベリンは腸内細菌叢集団を変化させ、短鎖脂肪酸を生成する細菌を含んでいる特定の細菌を増加させ、それと同時にエンドトキシンを生成する細菌を含んでいる特定の細菌を抑制または排除することができることが実証された。さらに、経口投与されたベルベリンは、腸内の短鎖脂肪酸濃度を増加させることができ、その増加は、メタボリックシンドロームを有する固体でより顕著であることが実証されている。さらなる実験および観察によって、ベルベリンによる腸内細菌叢集団への前記の影響によって、有益な結果がもたらされることが実証された。有益な結果としては、限定されるわけではないが、インスリン感受性の向上、炎症の低下、体重増加の制限、過食によって誘発される肥満の予防、慢性的炎症の予防およびインスリン抵抗性の予防が挙げられる。
【0031】
別の態様では、本出願は、腸内細菌叢集団を改善することが可能な薬剤、化合物、組成物、抽出物または製剤をスクリーニングする方法を提供している。前記方法は、対象の腸内細菌叢集団を対象とすることによって、健康を増進、および/または肥満あるいは他の関連するメタボリックシンドロームを予防する薬剤、栄養補助食品、ヘルスケア製品、食物および飲料の開発において使用されてもよい。
【0032】
ある実施形態では、前記のスクリーニング法は、コントロール対象に有効量のコントロール組成物を投与して、前記コントロール対象内の第1腸内細菌叢集団を増加させ、それと同時に第2腸内細菌叢集団を減少させる工程と、試験対象に一定量の試験組成物を投与する工程と、前記コントロール対象の腸内細菌叢集団と、前記試験対象の腸内細菌叢集団とを比較する工程とを含んでいてもよい。
【0033】
本明細書において用いられる「対象」は、哺乳類等(例えばヒト)の動物を意味する。いくつかの実施形態において、前記対象はラットであってもよい。いくつかの実施形態において、前記対象はマウスであってもよい。いくつかの実施形態において、前記対象はヒトであってもよい。
【0034】
試験化合物が、腸内細菌叢に対して、コントロールと同様の効果を示した場合、当該試験化合物は、腸内細菌叢集団を改善するうえで有効である。本明細書において用いられる「相同」は、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の相同性を意味する。
【0035】
試験組成物は、単一の化合物、混合物、食物、食品添加物、栄養補助食品、ヘルスケア製品、医薬製剤または飲料であってもよい。
【0036】
別の態様において、本出願は、腸内細菌叢集団を改善する組成物を提供する。ある実施形態において、前記組成物は、対象内の第1腸内細菌叢集団を選択的に増加させ、それと同時に第2腸内細菌叢集団を減少させることが可能であってもよい。
【0037】
前記組成物は、化学化合物、生薬、天然物または薬草抽出物を含んでいてもよい。ある実施形態において、前記化学化合物は、限定されるわけではないが、ベルベリン、ベルベリン誘導体、イソキノリンアルカロイドまたはこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0038】
ある実施形態において、前記組成物は、植物由来の生薬、全草、薬草片、粉末状の薬草、または薬草抽出物を含んでいてもよい。前記植物として、メギ属(Berberis)、オウレン属(Coptis)、タツナミソウ属(Scutellaria)、キハダ属(Phellodendron)、ツルレイシ属(Momordica)、モチノキ属(Ilex)、エンジュ属(Sophora)、リンドウ属(Gentiana)、ハナスゲ属(Anemarrhena)、クチナシ属(Gardenia)、ダイオウ属(Rheum)またはタンポポ属(Taraxacum)が挙げられる。ある実施形態において、前記組成物は、植物由来の生薬、全草、薬草片、粉末状の薬草または薬草抽出物を含んでいてもよい。前記植物として、メギ科(Berberidaceae)、キンポウゲ科(Ranunculaceae)、シソ科(Lamiaceae)、ミカン科(Rutaceae)、ウリ科(Cucurbitacea)、モチノキ科(Aquifoliaceae)、マメ科(Leguminosae)、リンドウ科(Gentianaceae)、リュウゼツラン科(Agavaceae)、アカネ科(Rubiaceae)、タデ科(Polygonaceae)、キク科(Asteraceae)、ツヅラフジ科(Menispermaceae)またはウリ科(Cucurbitaceae)が挙げられる。ある実施形態において、前記組成物は、セイヨウメギ(Berberis vulgaris)、オウレン(Coptis chinensis)、コガネバナ(Scutellaria baicalensis)、オウバク(Phellodendri Chinensis)、ツルレイシ(Momordica charantia)、クチョウ(Ilex kudingcha)、クララ(Sophora flavescens)、リンドウ(Gentiana scabra)、ハナスゲ(Anemarrhena asphodeloides)、クチナシ(Gardenia jasminoides)、ダイオウ(Rheum palmatum)またはタンポポ(Herba Taraxaci)由来の、生薬、全草、薬草片、粉末状の薬草、または薬草抽出物を含んでいてもよい。
【0039】
下記の実施例は、本出願の代表的な方法の実施および当該方法の効果を例示するためのものである。これらの実施例は、本出願の範囲を限定することを意図するものではない。
【0040】
〔実施例〕
各実施例では、試験対象としてウィスターラット(8週齢、オス)を使用し、代表的化合物としてベルベリンを使用する。40匹のウィスターラットを2週間順応させて、その後ランダムに4つのグループ(通常食(NCD)グループ、通常食+ベルベリン投与(NCD+BBR)グループ、高脂肪食(HFD)グループ、および高脂肪食+ベルベリン投与(HFD+BBR)グループ)に分けた。各グループをさらに18週間維持した。この18週の間、一定の値で、NCD+BBRグループにベルベリンを胃内投与した。各時点で、それぞれのラットから得た便試料を収集した。腸内細菌叢構造を分析するために、454パイロシークエンスを行った。便の短鎖脂肪酸濃度を分析するために、ガスクロマトグラフィーを使用した。さらに、体重、食物摂取、インスリン感受性、全身の炎症レベルを18週の期間中モニターし、測定した。
【0041】
〔ベルベリンは、通常食および高脂肪食条件下において、腸内細菌叢集団を変化させた〕
454パイロシークエンス解析および多変量統計解析により、4つすべての実験グループのラットにおける腸内細菌叢集団を分析した。非加重Unifrac距離に基づいたPCoA分析は、通常食グループと高脂肪食グループの両方において、統計的に有意なレベルで、ベルベリンが腸内細菌叢構造を変化させたことを実証し、さらに、腸内細菌叢集団における全体的な変化のうちの12.6%がベルベリンによるものであることを実証した(図1A)。また、食餌は腸内細菌叢集団に統計的に有意な影響を与えた。図1Aは、縦軸に沿って、2つの食餌(NCD対HFD)の間で、腸内細菌叢集団に統計的に有意な差(3.7%)があることを示している。4グループについての多変量分散分析(MANOVA)は、ベルベリンまたは食餌が、腸内細菌叢に統計的に有意な影響を与えていることを実証したが(P<0.01)、最も顕著な差は、ベルベリンの存在によるものであることを実証した(図1B)。シャノンウィナーパラメーターは、ベルベリンが、腸内細菌叢集団の多様性を統計的に有意なレベルで減少させていることを示している(P<0.05)。
【0042】
〔ベルベリンは、腸内細菌叢集団における短鎖脂肪酸生成細菌を増加させ、エンドトキシン生成細菌を減少させる〕
268個のベルベリン関連OTUを、冗長性分析(RDA)によって同定し、詳細な結果を図2、表1および表2に示している。93個のOTU(配列番号1〜93)は、ベルベリンによって増加し(表1)、その一方で、175個のOTU(配列番号94〜268)は、ベルベリンによって抑制または排除された(表2)。
【0043】
これら286個のOTUの分類は、OTUの代表的な配列を用いて、RDP分類器(classifier)を使用して分析した。それによると、ベルベリンにより抑制される細菌として、アリスティペス(Alistipes)、アナエロプラズマ(Anaeroplasma)、バーンシエラ(Barnesiella)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ブチリシモナス(Butyricimonas)、ブチリビブリオ(Butyrivibrio)、コプロコッカス(Coprococcus)、ファステディオシピラ(Fastidiosipila)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ヘスペリア(Hespellia)、マービンブリアンシア(Marvinbryantia)、オリバクテリウム(Oribacterium)、オシリバクター(Oscillibacter)、プレボテラ(Prevotella)、ロゼブリア(Roseburia)、ルミノコッカス(Ruminococcus)、TM7_インケルタエ_セディス属(TM7_genera_incertae_sedis)等の細菌が含まれることが明らかになった。そのなかでも、プロテオバクテリア門に属するヘリコバクター(Helicobacter)は、高活性エンドトキシンを生成可能である。さらに、ベルベリンにより増加する細菌として、アリスティペス(Alistipes)、アロバキュラム(Allobaculum)、 バクテロイデス(Bacteroides)、バーンシエラ(Barnesiella)、ブラウシア(Blautia)、ブチリシコッカス(Butyricicoccus)、ブチリシモナス(Butyricimonas)、ドレア(Dorea)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ヘスペリア(Hespellia)、ホールデマニア(Holdemania)、ローソニア(Lawsonia)、オシリバクター(Oscillibacter)、パラバクテロイデス(Parabacteroides)、ファスコラークトバクテリウム(Phascolarctobacterium)、プレボテラ(Prevotella)およびセディメンティバクター(Sedimentibacter)といった細菌が含まれることが明らかになった。その中でも、ブラウシア(Blautia)、アロバキュラム(Allobaculum)、プレボテラ(Prevotella)、バクテロイデス(Bacteroides)およびブチリシモナス(Butyricimonas)は、比較的豊富に存在し、短鎖脂肪酸を生成可能である。
【0044】
したがって、ベルベリンは、対象に投与された時、腸内細菌叢集団における短鎖脂肪酸生成細菌を増加させ、エンドトキシン生成細菌を減少させることが可能である。
【0045】
〔ベルベリンは、通常食または高脂肪食を与えられたラットの腸内短鎖脂肪酸濃度を増加させる〕
ラットの便中の短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ酪酸、イソ吉草酸等を含む)濃度をガスクロマトグラフィーによって分析した。その結果、体重1kgあたり100mgでベルベリンを経口投与することによって、通常食または高脂肪食を与えられたラットの腸内短鎖脂肪酸濃度が増加し得ることが実証された。酢酸濃度およびプロピオン酸濃度への影響が特に顕著である(図3)。したがって、ベルベリンは、通常食または高脂肪食を与えられたラットの腸内短鎖脂肪酸濃度を増加させることができる。
【0046】
〔ベルベリンは、ラットの肥満表現型を減少させる〕
4つすべてのグループのラットの体重を、実験の期間中モニターし、分析した。その結果、高脂肪食での18週間経過後、HFDグループは、通常食グループよりも著しく体重が重いが(P<0.01)、1kgあたり100mgの投与量でベルベリンを胃内投与することによって、ラット(特に高脂肪食を与えられたラット)の体重増加が効果的に制限されることが実証された。実験期間全体を通して、HFD+BBRグループの体重が、通常食グループの体重と同等のレベルに制限され、統計的に有意な差異を示していない(P>0.05)ということが特に驚くべき結果である。また、ベルベリンは、通常食を与えられたラットの体重にもある程度まで影響を与えている(図4)。
【0047】
実験の最後にラットを安楽死させた。空腹時体重、精巣上体脂肪量および腎周囲脂肪量を測定した。肥満度指数([精巣上体脂肪量+腎周囲脂肪]/空腹時体重×100)を図4Bに示している。高脂肪食での18週間経過後、HFDグループの肥満度指数は、NCDの肥満度指数より著しく高いが、ベルベリンを投与することによって、肥満度指数が著しく減少している。さらに、高脂肪食およびベルベリンは、肝臓および膵臓には重大な影響を与えなかった。このことは、驚くべきことに、ベルベリンを長期間にわたって使用しても、ラットの通常の生理機能に明らかな副作用が起きないことを示している。これらのラットのカロリー摂取の結果から、体重1kgに対して100mgのベルベリンを経口投与することによって、ラット(特に高脂肪食を与えられたラット)の食物摂取に対して著しい抑制効果がもたらされることが実証された(図4C)。
【0048】
〔ベルベリンは、通常食または高脂肪食を与えられたラットのインスリン感受性を低下させる〕
4つすべての実験グループのラットについて、空腹時血糖(FBG)および血清中の空腹時インスリン(FINS)を測定した。18週間にわたってHFDを与えられたラットは、NCDより著しく高いFBG値を有していた。驚くべきことに、ベルベリンは、NCDおよびHFDのラットのFBGを効果的に減少させ、特に、HFDのラットでは、FBGの減少が著しかった(P<0.05)(図5A)。ベルベリンのインスリン濃度への影響の結果を図5Bに示している。HFDを与えられたラットのFINSは、NCDグループのFINSよりも著しく高かったが、体重1kgあたり100mgの値での18週間にわたるベルベリンの投与後、FINS値は、HFD(HFD+BBR)を与えられたラットにおいても著しく減少し、通常食でのFINS値に匹敵する値に達した。図5Cは、ラットのインスリン抵抗性の状態を評価するための、HOMAインスリン抵抗性指数の結果を示している。それによると、HFDを18週間にわたって導入した後、ラットはインスリン抵抗性を明らかに形成したが、体重1kgあたり100mgのベルベリンの投与によって、インスリン抵抗性の形成が防止されたことが示されている(P<0.05)。
【0049】
インスリン感受性についてさらに調査するために、経口ブドウ糖負荷試験および腹腔内注射によるインスリン抵抗性試験を実施し、その結果を、図5Dおよび5Eにそれぞれ示している。18週間の高脂肪食導入後、FBGおよびFINSの結果と同様に、経口ブドウ糖負荷および腹腔内注射によるインスリン抵抗性が著しく損なわれた。一方、体重1kgあたり100mgのベルベリンの投与によって、耐糖能、およびインスリン抵抗性の損失が大きく防止された。これは、ベルベリンがブドウ糖代謝を向上させるうえで重要な役割を果たす可能性があることを実証している。
【0050】
〔ベルベリンは、高脂肪食を与えられたラットの全身炎症レベルを減少させる〕
4つすべての実験グループのラットの全身炎症レベルを評価するために、血清リポ多糖(LBP)結合タンパク質(LBP)濃度、血清単球走化性タンパク質−1(MCP−1)濃度、血清レプチン濃度および血清アディポネクチン濃度を測定し、結果を図6に示している。この実験によると、HFDは、血清LBP濃度を著しく増加させたが、1kgあたり100mgでベルベリンを投与することによって、血清LBPの増加が著しく阻害されたことが実証されている(P<0.05、図6A)。
【0051】
MCP−1は、単球/大食球の走化性および活性化において機能する炎症誘発サイトカインである。多くの炎症に関係する病気(アテローム性動脈硬化症、肥満、2型糖尿病、関節炎、敗血症および慢性細菌感染を含む)の発生および進行はMCP−1と密接に関わっている。この実験の結果から、HFDによって誘発されたラットの肥満およびインスリン抵抗性の段階的な発症の過程では、MCP−1濃度は徐々に増加するが、ベルベリン投与の介入後は、MCP−1濃度が大きく減少し、驚くべきことにNCDグループのMCP−1濃度よりも低くなることが実証された(図6B)。
【0052】
レプチンは、脂肪組織によって分泌されるホルモンであり、脂質代謝、ブドウ糖代謝およびエネルギー代謝に広く関わっている。実験の結果、HFDグループの血清レプチン濃度は、NCDグループの血清レプチン濃度よりも著しく高いが(P<0.01)、ベルベリンが、ラット(特にHFDを与えられたラット)の血清レプチン濃度を著しく低下させることが実証された(P<0.05、図6C)。
【0053】
4グループすべてのアディポネクチン濃度を分析した。その結果、HFDグループにおいて、体脂肪量に対して基準化したアディポネクチン濃度は、NCDグループのアディポネクチン濃度と比較して著しく低いが(P<0.001)、ベルベリンを投与することによって、HFDを与えられたラットのアディポネクチン濃度を著しく増加させることを示している(P<0.01、図6D)。したがって、ベルベリンは、腸内細菌叢集団を改善し、LPB、MCP−1、およびレプチン濃度を低下させ、さらにアディポネクチンの分泌を増加させる。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
前記の詳細な説明において、添付図面について言及されており、それは当該詳細な説明の一部を形成する。図面において、同様の記号は、文脈によって他のものを示していない限り、概して、同様の要素を特定している。詳細な説明、図面、および請求の範囲に記載された例示的な実施形態は、限定を加えるためのものではない。本明細書に示されている主題の精神または範囲から逸脱することなく、別の実施形態を用いてもよく、また別の変化を加えてもよい。本明細書に全体的に記載され、図面に示されているように、本開示の各態様は、広範囲の異なる構成に、調整、置換、結合、分離、および設計してもよく、そのすべてが本明細書において明確に意図されているということは容易に理解されるであろう。
【0057】
本開示は、種々の態様を例示することを意図している本出願に記載されている特定の実施形態について限定されるものではない。当業者に明らかであるように、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、多数の修正および変形を加えてもよい。本明細書に記載された方法および装置に加えて、本開示の範囲内の機能的に同等の方法および装置は、上述の記載から当業者に明らかであろう。そのような修正および変形は、添付の請求の範囲の範囲内となることが意図されている。本開示は、添付の請求の範囲、およびそのような請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲の観点によってのみ制限される。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物学的システムに限定されず、それらは当然変わり得るものであるものと理解されよう。本明細書で用いられている専門用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的としており、限定するためのものではないことも理解されよう。
【0058】
本明細書に記載された、いずれの実質的に複数および/または単数の用語を使用することについて、当業者は、文脈および/または用途に適するように、複数から単数、および/または単数から複数へ置き換えてもよい。本明細書において、明瞭化するために、単数/複数の種々の置き換えを明確に記載してもよい。
【0059】
一般的に、本明細書、および特に添付の請求の範囲(添付の請求の範囲の本文等)で使用されている用語は、当業者にとって、概して、「オープン(open)」な用語として意図されている(例えば、「including」という単語は「〜を含んでいるがそれに限定されない」と解釈されるべきであり、「having」という単語は、「少なくとも〜を有している」と解釈されるべきであり、「includes」という単語は、「〜を含んでいるがそれに限定されない」と解釈されるべきである等)。さらに、導入された請求項の記載において、特定の数が意図されている場合、そのような意図は請求項中に明記され、そのような記載が無い場合は、そのような意図も存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を促すために、下記添付の請求の範囲は、請求項の記載を導入するための導入句(「少なくとも1つ」や「1つ以上」)を含んでいてもよい。しかし、そのような導入句が使用されることによって、不定冠詞(「a」または「an」)によって請求項の記載が導入された場合、当該請求項が、導入句(「1つ以上」または「少なくとも1つ」)、および不定冠詞(「a」または「an」等)含んでいても、当該導入された請求項の記載を含む特定の請求項が、そのような記載を1つのみ含んでいる実施形態に限定されることを意図していると解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)。定冠詞を用いて請求項の記載を導入する場合も同様である。さらに、導入された請求項の記載において、特定の数が明確に記載されている場合であっても、当業者は、そのような記載は、少なくともその記載された数を意味しているものと解釈されるべきであるということを理解するであろう(例えば、単なる「2つの記載事項」という記載は、他に修飾語が無い場合、少なくとも2つの記載事項、または2つ以上の記載事項を意味している)。また、「A、BおよびC等の少なくとも1つ」に類似する表現が用いられる例において、そのような構成は、通常、当業者が当該表現を理解するであろう、ということが意図されている(例えば、「A、BおよびCの少なくとも1つを有するシステム」は、「Aのみを有するシステム」、「Bのみを有するシステム」、「Cのみを有するシステム」「AとBとを有するシステム」、「AとCとを有するシステム」、「BとCとを有するシステム」、および/または「A、BおよびCを有するシステム」等というシステムを含んでいるが、これに限定されるわけではない)。「A、BまたはC等の少なくとも1つ」に類似する表現が用いられる例において、そのような構成は、通常、当業者が当該表現を理解するであろう、ということが意図されている(例えば、「A、BまたはCの少なくとも1つを有するシステム」は、「Aのみを有するシステム」、「Bのみを有するシステム」、「Cのみを有するシステム」、「AとBとを有するシステム」、「AとCとを有するシステム」、「BとCとを有するシステム」、および/または「A、BおよびCを有するシステム」等というシステムを含んでいるが、これに限定されるわけではない)。2つ以上の選択的用語を示している実質的にあらゆる離接語および/または離接句は、明細書、請求項、または図面において、前記用語のうちの1つ、前記用語のいずれか、または前記用語の両方を含む可能性を意図していると理解すべきであることが、当業者によって理解されるであろう。例えば、「AまたはB」という句は、「AまたはB」または「AおよびB」である可能性を含んでいると理解されるであろう。
【0060】
さらに、本開示の特徴または態様は、マーカッシュ(Markush)群の語句で記載されている場合、それによって、本開示がマーカッシュ群のいずれの個々の要素、または要素のサブグループの点においても記載されていることを当業者は認識するだろう。
【0061】
当業者によって理解されるように、いずれかの目的、およびすべての目的(説明を記載するため等)について、本明細書に開示された全ての範囲は、いずれの、およびすべての可能性を有する部分範囲、およびその組み合わせも含んでいる。列挙されたいずれの範囲も、少なくとも半分、1/3、1/4、1/5、1/10等に分割することが可能な、同一の範囲を十分記載し、および当該同一の範囲を可能としていることが容易に理解される。限定を加えない例として、本明細書に記載されている各範囲は、容易に3分割(下部1/3、中部1/3、上部1/3)等することができる。また、当業者によって理解されるように、「〜まで」、「少なくとも〜」等のあらゆる言葉は、記載されている数を含み、上述したように、さらに部分範囲に分割され得る範囲を意味する。最後に、当業者によって理解されるように、範囲には個々の要素が含まれている。つまり、例えば、1〜3の単位を有する群は、1、2または3を有する群を意味する。同様に、1〜5の単位を有する群は、1、2、3、4または5を有する群等を意味する。
【0062】
上述の記載から、本開示の種々の実施形態は、本明細書において例を示すために記載され、本開示の範囲および精神から逸脱することなく種々の変形を加えてもよいことが理解されるであろう。したがって、本明細書に開示された種々の実施形態は、限定を加えるためのものではなく、下記の請求項によって示された真の範囲および精神を有している。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1はラットの腸内細菌叢構造へのベルベリンの影響を示している。図1Aは、HFDの給餌およびベルベリン投与に対するラットの腸内細菌叢構造における変化を表すPCoAスコアプロットである。図1Bは、MANOVAを用いて計算したマハラノビス距離に基づく、腸内細菌叢のクラスタリングを示している。図1Cは、全試料について等しい数の配列リードまで希釈化した後に計算された、シャノンウィナー指数を示している。
図2図2は、腸内細菌叢のRDAの距離に関するトリプロット(triplot)を用いて、ベルベリン投与によって生じた腸内細菌叢構造におけるいくつかの代表差分を示している。
図3図3は、高脂肪食または通常食を与えられた時の、ラットの便中の短鎖脂肪酸量への影響を示している。図3Aは、総短鎖脂肪酸(SCFA)濃度を示している。図3Bは、酢酸濃度を示している。図3Cは、プロピオン酸濃度を示している。図3Dは、酪酸濃度を示している(D)。
図4図4は、ラットにおける肥満表現型および食物摂取へのベルベリンの影響を示している。図4Aは、体重増加へのベルベリンの影響を示している。図4Bは、(全体重の100g毎の脂肪パッドの重さ(精巣上体脂肪パッドと腎周囲脂肪パッドとの合計)として計算される)肥満度指数へのベルベリンの影響を示している。図4Cは、実験全体にわたるラットの食物摂取を示している。
図5図5は、ラットのインスリン感受性へのベルベリンの影響を示している。図5Aは、空腹時血糖(FBG)へのベルベリンの影響を示している。図5Bは、空腹時血清インスリン(FINS)へのベルベリンの影響を示している。図5Cは、インスリン抵抗の恒常性評価(HOMA−IR値)(式:空腹時インスリン(μU/mL)×空腹時ブドウ糖(mmol/L)/22.5に従って計算される)への影響を示している。図5Dは、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)へのベルベリンの影響を示している。図5Eは、腎周囲内インスリン負荷試験(ITT)へのベルベリンの影響を示している。
図6図6は、ラットにおける炎症因子濃度へのベルベリンの影響を示している。図6Aは、血清リポ多糖(LPS)結合タンパク質(LBP)へのベルベリンの影響を示している。図6Bは、血清レプチンへのベルベリンの影響を示している。図6Cは、血清MCP−1へのベルベリンの影響を示している。図6Dは、体脂肪と相関する血清アディポネクチンへのベルベリンの影響を示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2015520176000001.app
【国際調査報告】