(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-520873(P2015-520873A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(54)【発明の名称】MZ変調器に用いる動作点制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20150630BHJP
【FI】
G02F1/01 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-513005(P2015-513005)
(86)(22)【出願日】2013年5月22日
(85)【翻訳文提出日】2014年11月19日
(86)【国際出願番号】CN2013076041
(87)【国際公開番号】WO2013174255
(87)【国際公開日】20131128
(31)【優先権主張番号】201210159953.3
(32)【優先日】2012年5月22日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】511197800
【氏名又は名称】ウーハン・テレコミュニケーション・デバイシーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー・イー
(72)【発明者】
【氏名】カイ・リアン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ・フイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ジン
(72)【発明者】
【氏名】クアン・ヤン
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102CA09
2K102CA10
2K102CA20
2K102DA04
2K102DB04
2K102EA22
2K102EA26
2K102EB22
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、光変調器と、変調器のPDにより出力された電流を電圧信号に変換するトランスインピーダンス増幅器と、システムのシグナルノイズ比を向上するように低周波数信号成分を検出して増幅する低ノイズ増幅器と、誤差信号を検出して増幅し、システムのシグナルノイズ比を向上させる高Qバンドパスフィルタと、信号出力がA/Dの入力範囲を満たすように位相の誤差信号に対してレベル調整を行う第1のレベル調整器と、低周波数信号を生成し、ソフトウェア同期検波及び比例積分PI調節アルゴリズムを完成するマイクロプロセッサと、光変調器の直流バイアス全体制御範囲を満たす可能な電圧範囲をD/Aに出力させるように、D/A出力電圧の調整を完成する第2のレベル調整器と、を含むMZ変調器に用いる動作点制御装置及び方法を公開する。本発明によれば、従来のMZ変調器のバイアスポイントのハードウェア制御回路が複雑で、制御精度が低い問題を解決することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力データ信号に対し位相変調を行う光変調器を有するMZ変調器に用いる動作点制御装置において、
変調器のフォトディテクタPDにより出力された電流を電圧信号に変換するトランスインピーダンス増幅器と、
システムのシグナルノイズ比を向上させるために低周波数信号成分を検出して増幅する低ノイズ増幅器と、
必要な低周波数信号をフィルタリングし、光変調器の低周波数方形波信号に入力する光検波信号を得、及び誤差信号を検出して増幅し、システムのシグナルノイズ比を向上させるための高Qバンドパスフィルタと、
信号出力がアナログ・デジタル変換A/Dの入力範囲を満たすように位相の誤差信号に対してレベル調整を行う第1のレベル調整器と、
低周波数信号を生成し、ソフトウェア同期検波及び比例積分PI調節アルゴリズムを完成するためのマイクロプロセッサと、
光変調器の直流バイアスDC Bias全体制御範囲を満たすことを可能な電圧範囲をD/Aに出力させるように、デジタル・アナログ変換D/A出力電圧の調整を完成する第2のレベル調整器と、をさらに有すること
を特徴とするMZ変調器に用いる動作点制御装置。
【請求項2】
前記マイクロプロセッサは、オンチップ12ビット及びそれ以上のアナログ・デジタル変換A/D及びデジタル・アナログ変換D/Aを有するシングルチップコンピュータであること
を特徴とする請求項1に記載のMZ変調器に用いる動作点制御装置。
【請求項3】
前記高Qバンドパスフィルタにより出力された光検波信号の位相極性は、直流バイアスポイントの最適バイアスポイントに対する位置を反映し、該光検波信号の振幅は最適バイアスポイントからずれる距離に正比例すること
を特徴とする請求項1に記載のMZ変調器に用いる動作点制御装置。
【請求項4】
前記光検波信号は、第1のレベル調整器を介してマイクロプロセッサのオンチップアナログ・デジタル変換A/D回路に入り、マイクロプロセッサ内部のソフトウェアによって同期検波され、具体的には、該光検波信号の位相極性と振幅の大きさの情報を利用して、マイクロプロセッサにおいてソフトウェアプログラミングによって光検波信号に対して基本波に対する同期検波を行い、誤差交流信号を得ることにより前記光変調器の最適バイアスポイントを制御すること
を特徴とする請求項3に記載のMZ変調器に用いる動作点制御装置。
【請求項5】
前記マイクロプロセッサは、ソフトウェアPI調節によって、適正な積分定数を選択し、高速かつ安定した直流信号、つまり、該光変調器の最適動作点電圧が出力されるまでデジタル・アナログ変換D/A回路を調整すること
を特徴とする請求項1又は3に記載のMZ変調器に用いる動作点制御装置。
【請求項6】
MZ変調器に用いる動作点制御方法において、
A、マイクロプロセッサによって低周波数方形波信号を生成して、MZ変調器の直流バイアスDC biasピンに入力し、該信号を高速なデータ信号に重ね合わせて一緒に光変調を行うステップと、
B、フォトディテクタPDピンから出力された光電流をトランスインピーダンス増幅器によって電圧信号に変換し、さらに低ノイズ増幅器によって増幅するステップと、
C、前記増幅した信号を高Q値バンドパスフィルタによって低周波数信号をフィルタリングして、変調器の低周波数方形波信号に入力する光検波信号を得るステップと、
D、前記光検波信号は第1のレベル調整器を介してマイクロプロセッサのオンチップアナログ・デジタル変換A/D回路に入り、マイクロプロセッサ内部のソフトウェアによって同期検波されるステップと、
E、該マイクロプロセッサはソフトウェアPI調節によって、適正な積分値数を選択し、高速かつ安定した直流信号、つまり、該変調器の最適動作点電圧が出力されるまでデジタル・アナログ変換D/A回路を調整するステップと、を含むこと
を特徴とするMZ変調器に用いる動作点制御方法。
【請求項7】
ステップDに記載のマイクロプロセッサによって同期検波を行うプロセスは、具体的に、
D1、まず初期化し、マイクロプロセッサのアナログ・デジタル変換A/D回路とデジタル・アナログ変換D/A回路の初期値を設定し、低周波数方形波信号を送信させるように入出力IOインタフェースを制御するステップと、
D2、前記IOインタフェースから送信された低周波数方形波信号の立ち上がりを、フィードバック信号をサンプリングするトリガー信号として、N回サンプリングして、累加し、前半周期の累加和sum1を得て、前記IOインタフェースから送信された方形波の立ち下がりを、フィードバック信号をサンプリングするトリガー信号として、N回サンプリングして累加し、後半周期の累加和sum2を得るステップと
D3、前半周期の累加和sum1と後半周期の累加和sum2とを減算して、誤差czを得るステップと、を含むこと
を特徴とする請求項5に記載のMZ変調器に用いる動作点制御方法。
【請求項8】
該方法は、ソフトウェアのPIアルゴリズムを実施するための制御プロセスを更に含み、具体的には、
D4、初期化し、D/Aの初期値を設定し、同期検波により得られた誤差czを利用して、前回設定したD/A値を用いて同期検波誤差cz/積分定数Tと減算又は加算し、該値を従来のD/A値として設定し、もし該値がD/Aの設定可能な数値範囲を超えているとしたら、ソフトウェアが初期値にリセットすること
を特徴とする請求項6に記載のMZ変調器に用いる動作点制御方法。
【請求項9】
該方法は、
同期検波により得られた誤差czに基づいてPI調節演算を行い、アナログ・デジタル変換A/Dの値を出力して該変調器の直流バイアスDC Biasピンの電圧値を制御するステップをさらに含むこと
を特徴とする請求項6又は7に記載のMZ変調器に用いる動作点制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送ネットワーク技術に係り、特にマッハ・ツェンダー(MZ)変調器に用いる動作点制御装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速で長距離な通信伝送において、強度変調でその要求を満たすことが困難であり、従来、光ファイバ通信分野の長距離伝送において、位相変調技術を利用する必要がある。従来の電気光学位相変調について、一般的にマッハ・ツェンダー(MZ)電気光学変調器(「MZ変調器」と略称可能)を採用して実現する。しかし、MZ変調器の動作中に生じた熱、環境温度の変化及び長期間動作による劣化が、いずれも電界の強度に影響を与え、電気光学変調器の特性を変化させやすいため、変調器の理想的な制御点をプリセットポイントからドリフトさせてしまう。そして、理想的な制御点がドリフトした結果、変調された光信号の曲線の振幅と中心位置が変化することにより、光アイダイアグラムが劣化してしまう。強いドリフトが発生した場合、MZ変調器は強い非線形性を表現し、光通信接続の最大動的範囲が低下され、システム全体の性能が劣化され、厳しい場合、受信した光信号が元の情報に復元さえできなくなるので、光変調器動作点の安定した制御を実現しなければならない。
図1は、従来の変調器動作点制御原理の概略図を示している。
【0003】
従来で常に用いられるMZ変調器のバイアスポイントの制御方法は、
図2に示すように、MZの変調信号に低周波数方形波信号を入れて、そして、出力された変調信号からこの信号を分離し、位相ロックの増幅によってバイアスポイントを安定的に制御する。全体のハードウェア制御によって、制御回路が非常に複雑となるとともに、回路デバイスの温度安定性も制御ループ全体の精度を限定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これを鑑みて、本発明の主な目的は、従来のMZ変調器バイアスポイントのハードウェア制御回路が複雑で、制御精度が低い問題を解決するために、MZ変調器に用いる動作点制御装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の技術案は下記のように実現される。
入力データ信号に対して位相変調を行う光変調器を有するMZ変調器に用いる動作点制御装置において、
変調器のフォトディテクタPDにより出力された電流を電圧信号に変換するトランスインピーダンス増幅器と、
システムのシグナルノイズ比を向上させるために低周波数信号成分を検出して増幅する低ノイズ増幅器と、
必要な低周波数信号をフィルタリングし、光変調器の低周波数方形波信号に入力する光検波信号を得、及び誤差信号を検出して増幅し、システムのシグナルノイズ比を向上させるための高Qバンドパスフィルタと、
信号出力がアナログ・デジタル変換A/Dの入力範囲を満たすように位相の誤差信号に対してレベル調整を行う第1のレベル調整器と、
低周波数信号を生成し、ソフトウェア同期検波及び比例積分PI調節アルゴリズムを完成するためのマイクロプロセッサと、
光変調器の直流バイアスDC Bias全体制御範囲を満たす可能な電圧範囲をD/Aに出力させるように、デジタル・アナログ変換D/A出力電圧の調整を完成する第2のレベル調整器と、をさらに有する。
【0006】
そのうち、前記マイクロプロセッサは、オンチップ12ビット及びそれ以上のアナログ・デジタル変換A/Dとデジタル・アナログ変換D/Aとを有するシングルチップコンピュータである。
【0007】
前記高Qバンドパスフィルタにより出力された光検波信号の位相極性は、直流バイアスポイントの最適バイアスポイントに対する位置を反映し、該光検波信号の振幅は最適バイアスポイントからずれる距離に正比例する。
【0008】
前記光検波信号は、第1のレベル調整器を介してマイクロプロセッサのオンチップアナログ・デジタル変換A/D回路に入り、マイクロプロセッサ内部のソフトウェアによって同期検波され、具体的には、該光検波信号の位相極性と振幅の大きさ情報を利用して、マイクロプロセッサにおいてソフトウェアプログラミングによって光検波信号に対して基本波に対する同期検波を行い、誤差交流信号を得ることにより前記光変調器の最適バイアスポイントを制御する。
【0009】
前記マイクロプロセッサは、ソフトウェアPI調節によって、適正な積分定数を選択し、高速かつ安定した直流信号、つまり、該光変調器の最適動作点電圧が出力されるまでデジタル・アナログ変換D/A回路を調整する。
【0010】
MZ変調器に用いる動作点制御方法において、
A、マイクロプロセッサによって低周波数方形波信号を生成して、MZ変調器の直流バイアスDC biasピンに入力し、該信号を高速なデータ信号に重ね合わせて一緒に光変調を行うステップと、
B、フォトディテクタPDピンから出力された光電流をトランスインピーダンス増幅器によって電圧信号に変換し、さらに低ノイズ増幅器によって増幅するステップと、
C、前記増幅した信号を高Q値バンドパスフィルタによって低周波数信号をフィルタリングして、変調器の低周波数方形波信号に入力する光検波信号を得るステップと、
D、前記光検波信号は第1のレベル調整器を介してマイクロプロセッサのオンチップアナログ・デジタル変換A/D回路に入り、マイクロプロセッサ内部のソフトウェアによって同期検波されるステップと、
E、該マイクロプロセッサはソフトウェアPI調節によって、適正な積分値数を選択し、高速かつ安定した直流信号、つまり、該変調器の最適動作点電圧、が出力されるまでデジタル・アナログ変換D/A回路を調整するステップと、を含む。
【0011】
ここで、ステップDに記載のマイクロプロセッサによって同期検波されるプロセスは、具体的に、
D1、まず初期化し、マイクロプロセッサのアナログ・デジタル変換A/D回路とデジタル・アナログ変換D/A回路の初期値を設定し、低周波数方形波信号を送信させるように入出力IOインタフェースを制御するステップ、
D2、前記IOインタフェースから送信された低周波数方形波信号の立ち上がりを、フィードバック信号をサンプリングするトリガー信号として、N回サンプリングして累加し、前半周期の累加和sum1を得て、前記IOインタフェースから送信された方形波の立ち下がりを、フィードバック信号をサンプリングするトリガー信号として、N回サンプリングして累加し、後半周期の累加和sum2を得るステップ、及び
D3、前半周期の累加和sum1と後半周期の累加和sum2とを減算して、誤差czを得るステップである。
【0012】
該方法は、ソフトウェアのPIアルゴリズムを実施するための制御プロセスを更に含み、具体的には、
D4、初期化し、D/Aの初期値を設定し、同期検波により得られた誤差czを利用して、前回設定したD/A値を用いて同期検波誤差cz/積分定数Tと減算又は加算し、該値を従来のD/A値として設定し、もし該値がD/Aの設定可能な数値範囲を超えているとしたら、ソフトウェアが初期値にリセットする。
【0013】
該方法は、
同期検波により得られた誤差czに基づいてPI調節演算を行い、アナログ・デジタル変換A/Dの値を出力して該変調器の直流バイアスDC Biasピンの電圧値を制御するステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明により提供されたMZ変調器に用いる動作点制御装置及び方法は、下記のメリットを有する。
【0015】
該装置は、MZ変調器の理想的な動作点を見つけるためであり、光特性曲線の最大点と最小点での制御を含み、装置全体がプリセットアルゴリズムによって制御され、光路における信号に対してタイムリーかつ効果的にフィードバック制御を行う可能であり、パワーオンして光路を開放すると同時に変調器の動作点に対する制御が完成され、且つ、環境が変化した場合に位相に対して光信号が変わらないことが保持でき、安定的に制御する目的を達成することができる。従って、該制御システムは、回路が簡潔で、制御効果が良くて、精度が高くて、応答速度が速いことを実現したメリットを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は従来のMZ変調器動作点制御装置の原理を示す概略図である。
【
図2】
図2は従来のMZ変調器動作点制御装置の全体設計を示す概略図である。
【
図3】
図3は本発明のMZ変調器動作点制御装置の機能ブロック図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例のソフトウェア同期検波部分の制御処理フローチャートである。
【
図7】
図7は本発明の実施例のソフトウェアのPIアルゴリズムフローチャートである。
【
図8】
図8は本発明のMZ変調器のバイアスポイント制御装置の制御処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を踏まえて、本発明の技術的特徴と長所について、さらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0018】
以下、図面及び本発明の実施例を合わせて、本発明のシステム及び方法をさらに詳しく説明する。
【0019】
本発明は、外部要素によりMZ変調器の伝送曲線がドリフトしてしまい、伝達する信号にエラーを生じさせることを解決しようとするものであり、該方法は、変調器バイアス動作点に対するフィードバック制御を実現している。
【0020】
図3は、本発明のMZ変調器の動作点制御装置の機能ブロック図であり、
図3に示すように、該制御装置は主に、トランスインピーダンス増幅器10と、低ノイズ増幅器20と、高Q値バンドパスフィルタ30と、第1のレベル調整器40と、マイクロプロセッサ50と、第2のレベル調整器60との7部分を含む。以下、実際のニーズに応じて、MZ変調器がnullポイントで動作すると仮定する。
【0021】
発明者は1つの低周波数方形波信号をMZ変調器の直流バイアス(DC Bias)ピンに通過させる(
図1参照)。そして、フォトディテクタ(PD)ピンによって光信号を検出し、該信号はトランスインピーダンス増幅器10、低ノイズ増幅器20、高Q値バンドパスフィルタ30、及び第1のレベル調整器40を経てマイクロプロセッサ50のアナログ・デジタル変換(A/D)に入り、マイクロプロセッサ50は、サンプリングした信号に対して同期検波、比例積分(PI)調節を行うことによって、制御信号を出力するようにデジタル・アナログ変換(D/A)を制御して、前記制御信号は第2のレベル調整器60を経てから、最後にMZ変調器の直流バイアス(DC Bias)ピンに出力される。
【0022】
ここで、前記トランスインピーダンス増幅器10は、光変調器のフォトディテクタ(PD)の出力電流を電圧信号に変換するためである。
【0023】
低ノイズ増幅器20は、システムのシグナルノイズ比を向上させるために、低周波数信号成分を検出して増幅するためである。
【0024】
高Qバンドパスフィルタ30は、必要な低周波数信号をフィルタリングし、光変調器の低周波数方形波信号に入力する光検波信号を得、及び誤差信号を検出して増幅し、システムのシグナルノイズ比を向上させるためである。
【0025】
第1のレベル調整器40は、信号出力がA/Dの入力範囲を満たすように位相の誤差信号に対してレベル調整を行うためである。
【0026】
マイクロプロセッサ50は、スペースを節約するために、オンチップ12ビット及びそれ以上のA/DとD/Aを有するシングルチップコンピュータに選択してもよく、1つの低周波信号を生成して、ソフトウェア同期検波及びPI調節アルゴリズムを完成するためである。
【0027】
第2のレベル調整器60は、光変調器70の直流バイアス(DC Bias)全体制御範囲を満たす可能な電圧範囲をD/Aに出力させるように、D/A出力電圧の調整を完成するためである。
【0028】
光変調器70は、入力データ信号に対して位相変調を行うためである。
それを実現する原理は下記の通りである。
1)具体的な応用において、システムは、レーザが発光してから変調器の光信号出力まで、時間が必要とするため、ミリ秒(ms)級オーダーの時間内に動作点を見つけてフィードバック制御を完成する必要があり、位相変調器動作点を見つけることは、
図4に示すように、マイクロプロセッサ50が1つの低周波数方形波信号を生成してMZ変調器のDC biasピンに入力し、該信号を高速的なデータ信号に重ね合わせて一緒に光変調され、位相変調の光アイダイアグラムを得ることによって行われるものである。
2)PDピンから出た光電流はトランスインピーダンス増幅器10によって電圧信号に変換され、さらに低ノイズ増幅器20によって増幅される。該電圧信号は、制御する必要がある低周波数部分、そして高周波数ノイズ及び直流の成分を含んでいるので、まず直流成分を隔離して、必要とする低周波数成分をフィルタリングすることが要求される。
3)該増幅した信号は、高Q値バンドパスフィルタ30によって低周波数信号をフィルタリングして、変調器の低周波数方形波信号fに入力するための光検波信号を得る。光検波信号の位相極性は、直流バイアスポイントの最適バイアスポイント(peakポイント又はnullポイント)に対する位置を反映し(立ち下がりにあるか立ち上がりにあるか)、光検波信号の振幅は最適バイアスポイントからずれる距離に正比例する。
図5に示すように、最小点を例とする。
4)前記光検波信号は、第1のレベル調整器40を介してマイクロプロセッサ50のオンチップA/Dに入り、マイクロプロセッサ内部のソフトウェアによって同期検波され、ソフトウェア同期検波は、実際に光検波信号の位相極性と振幅の大きさの情報を利用して、マイクロプロセッサにおいてソフトウェアプログラミングによって光検波信号に対して基本波に対する同期検波を行い、誤差交流信号を得ることにより電気光学変調器の最適バイアスポイントを制御する。
5)マイクロプロセッサ50はソフトウェアPI調節によって、適正な積分定数を選択し、高速かつ安定した直流信号、つまり、該光変調器の最適動作点電圧が出力されるまでデジタル・アナログ変換D/A回路を調整する。
【0029】
これでわかるように、上記のソフトウェアアルゴリズム処理によって、従来の全ハードウェア技術における誤差比較回路、積分回路、リセット回路及び監視回路が省略されている。これによって、精度を保証するとともに、周辺制御回路の複雑さとコストが低下し、制御プロセスの安定性と信頼性を効果的に向上させることができ、システム全体において光信号の変調と送信の性能を改善することに寄与している。
【0030】
具体的なプロセスは下記の通りである。変調器の内蔵PDは、光信号を電流信号に変換し、該信号には変調器BIASポートから入力された低周波数信号f成分が含まれ、適正なトランスインピーダンス増幅器10を選択して、電流信号を処理可能な電圧信号に変換し、そして低ノイズ増幅器20、及び高Q値バンドパスフィルタ30によって、より純粋な低周波数基本波信号を得て、さらに第1のレベル調整器40によって該信号をマイクロプロセッサのオンチップA/Dの処理可能な電圧範囲に調整する。
【0031】
それと共に、マイクロプロセッサ50から低周波数方形波信号が送信され、第2のレベル調整器60によって振幅の極めて小さい低周波数方形波信号に変換される。マイクロプロセッサ50のD/A出力を制御するための直流信号は、第2のレベル調整器60によって変調器DC Bias全体電圧制御範囲に変換される。それと共に、小振幅の低周波数方形波信号と、D/A調節された直流電圧とが、第2のレベル調整器60において重畳される。
【0032】
方形波信号に対して下記のように要求されている。第一、ディザ信号の振幅についてその大きさは、小さすぎてはだめであり、PDによって検出されることを保証すべきであり、また、データ信号に影響を及ぼすほど大きすぎてもだめであり、一般的にはデータ信号の振幅の1%より小さいほうがよい。第二、低周波数信号の周波数は、変調信号のスペクトルに影響を及ぼしないとともにマイクロプロセッサのソフトウェアの処理速度を超えないように極めて小さいほど保証すべきであり、それとともに、該低周波数信号の周波数が低周波数ノイズと区別されないほど小さすぎてもだめであり、良好なシグナルノイズ比を保証するために、一般的には数KHzに選択する。第三、ソフトウェアが同期検波を実現することを保証するために、この低周波数信号を、デューティサイクルが50%である方形波信号に選択し、対称性が高ければ高いほど好ましい。
【0033】
図6は本発明の実施例のソフトウェア同期検波部分の制御処理フローチャートであり、具体的には下記のステップを含む。
【0034】
ステップS601で、初期化し、マイクロプロセッサのA/DとD/Aの初期値を設定し、低周波数方形波信号を送信させるように入出力(IO)インタフェースを制御する。
【0035】
ステップS602で、IOインタフェースから送信された方形波の立ち上がりを、フィードバック信号をサンプリングするトリガー信号として、N回サンプリングして累加し、sum1を得る。それと共に、ステップS603を実行する。
ステップS603で、IOインタフェースから送信された方形波の立ち下がりを、フィードバック信号をサンプリングするトリガー信号として、N回サンプリングして累加し、sum2を得る。
【0036】
ステップS604で、前半周期の累加和sum1と後半周期の累加和sum2とを減算して、誤差czを得る。
【0037】
図7は、本発明の実施例のソフトウェアのPIアルゴリズムに基づく制御処理フローチャートであり、具体的には下記のステップを含む。
ステップS701で、初期化し、D/Aの初期値を設定する。
ステップS702で、同期検波を利用して誤差czを得る。
ステップS703で、前回設定したD/A値を用いて同期検波誤差cz/積分定数Tと減算又は加算し、該値を従来のD/A値として設定し、もし該値がD/Aの設定可能な数値範囲を超えているとしたら、ソフトウェアが初期値にリセットする。減算と加算により、見つけるのはnullポイントであるかpeakポイントであるかが決められる。
【0038】
なお、本実施例の装置によって、同様にリアルタイム性と精確性に基づいて適正な積分定数Tを選択することができ、毎回の制御プロセスにおいて採用される積分定数Tも1つの固定値に限らずに、同期検波czの範囲に応じてより大きな積分定数を特定して、より安定した効果を得ることができ、これによって、最終的に特定されたバイアスポイントの的確性をさらに向上させる。
【0039】
図8は本発明の実施例のMZ変調器のバイアスポイント制御装置によって制御を行う処理フローチャートであり、具体的には下記のステップを含む。
ステップS801で、初期化し、マイクロプロセッサのA/DとD/Aの初期値を設定し、低周波数方形波信号を送信させるようにIOインタフェースを制御し、nullポイント又はpeakポイントを見つける符号を設置する。
ステップS802で、ソフトウェアは同期検波を実現し、誤差czを得る。
ステップS803で、同期検波によって得られた誤差czに基づいてPI調節演算を行い、D/A値を出力して変調器のDC Biasピンの電圧値を制御する。
MZ変調器が高精度で長期間的に動作できることを保証するために、繰り返しをやめずに、又は一定の期間を遅延してステップS802とS803を繰り返すことができる。
【0040】
以上の実施方法の説明によれば、当業者は、本発明がソフトウェアに加えて必要なハードウェアプラットフォームを利用するように実現されることをはっきりわかることができ、このような理解に基づいて、本発明の技術案が背景技術に対する寄与は、ソフトウェア製品の形で体現することができ、該コンピュータソフトウェア製品が、記録媒体、例えば、ROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク等に格納されることができ、若干の指令を含んで一台のコンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイスなどであってもよい)に本発明の各実施例又は実施例のある部分に記載の方法を実行させることができる。
【0041】
以上で説明したことは、単に本発明の好ましい実施例であり、本発明の保護範囲を限定するためではない。
【国際調査報告】