(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-521195(P2015-521195A)
(43)【公表日】2015年7月27日
(54)【発明の名称】T細胞受容体を調節することができる二環式複素環およびそれを使用するための方法
(51)【国際特許分類】
C07D 231/56 20060101AFI20150701BHJP
C07D 235/30 20060101ALI20150701BHJP
C07D 235/26 20060101ALI20150701BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20150701BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20150701BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20150701BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20150701BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20150701BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20150701BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20150701BHJP
【FI】
C07D231/56 ACSP
C07D235/30 A
C07D235/26 B
A61K31/454
A61P1/04
A61P17/06
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P37/06
A61P37/08
A61K31/4184
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2015-514534(P2015-514534)
(86)(22)【出願日】2013年5月31日
(85)【翻訳文提出日】2015年1月23日
(86)【国際出願番号】EP2013061328
(87)【国際公開番号】WO2013178815
(87)【国際公開日】20131205
(31)【優先権主張番号】61/654,398
(32)【優先日】2012年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】511134621
【氏名又は名称】ノグラ ファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ホームズ, ダーン
(72)【発明者】
【氏名】フエルハール, アウケ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ブリンク, ヘイス
(72)【発明者】
【氏名】ビティ, フランチェスカ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC37
4C086BC39
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA68
4C086ZA89
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
(57)【要約】
本開示は、一部は、二環式複素環(例えば、本明細書で開示されるとおりの式(I)もしくは式(II)によって表される化合物)、および医学的障害(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、リウマチ障害、乾癬、およびアレルギーなどの免疫炎症性障害)を処置することにおけるそれらの使用に関する。上記化合物は、T細胞応答を調節すると予期される。急性および慢性の免疫炎症性障害(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、リウマチ障害、乾癬、およびアレルギー)および腸のがんからなる群より選択される疾患もしくは障害を処置するための方法もまた、本明細書で提供され、上記方法は、本明細書で記載される複素環式化合物の薬学的に有効な量を投与する工程を包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
【化23】
からなる群より選択される複素環式化合物であって、ここで
A
1は、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、C
1−6アルキル、ヒドロキシ、−NR’R’、−O−C
1−6アルキル、−S−C
1−6アルキル、−U−C
3−6シクロアルキル、−U−ヘテロシクリル、−U−フェニル、−U−ナフチル、−U−ヘテロアリール、フェニルアルキル、ナフチルアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;ここでC
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、およびC
1−6アルキルは、R
A1から各々選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換され;
A
2は、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、−NR’R’、U−C
3−6シクロアルキル、−U−ヘテロシクリル、−U−フェニル、−U−ナフチル、−U−ヘテロアリール、フェニルアルキル、ナフチルアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;ここでC
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、およびヘテロアリールは、R
A2から各々選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換され;
Uは、−S−、−NR’−、−O−、もしくはC
1−6アルキルからなる群より選択され;
Xは、O、SおよびNR’からなる群より選択され;
Vは、各存在について、O、S、NR’、およびCR
C3R
C3からなる群より独立して選択され;
Wは、各存在について、O、S、NR’、およびCR
C4R
C4からなる群より独立して選択され;
R
C1、R
C2、R
C3およびR
C4は、各存在について、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか;
あるいは2個のR
C3置換基もしくは2個のR
C4置換基は、一緒になって、オキソ、イミノもしくはスルファニリデンを形成し得るか;
あるいは2個のR
C1置換基、2個のR
C2置換基、2個のR
C3置換基もしくは2個のR
C4置換基は、それらが結合する1個もしくは複数個の原子と一緒になって、C
3−6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、またはN、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜6員の単環式複素環もしくは10〜12員の二環式複素環を形成し得るか;
あるいは1個のR
C1置換基と1個のR
C3置換基、もしくは1個のR
C2置換基と1個のR
C4置換基は、これらが結合する原子と一緒になって、C
3−6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、またはN、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜6員の単環式複素環もしくは10〜12員の二環式複素環を形成し得;
R
1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
A1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、オキソ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
A2は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、オキソ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R’は、各存在について、水素もしくはC
1−6アルキルからなる群より独立して選択され;ここでC
1−6アルキルは、R
A1から各々選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換されるか;
あるいは2個のR’は、それらが結合する1個もしくは複数個の原子と一緒になって、N、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜7員の単環式複素環もしくは10〜15員の二環式複素環を形成し得;
nは、0、1、2、3および4からなる群より選択され;
pは、0、1、2、3および4からなる群より選択され;
mは、0、1、2および3からなる群より選択される、
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは立体異性体。
【請求項2】
A1は、C3−6シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群より選択される、請求項1に記載の複素環式化合物。
【請求項3】
A1は、C3−6シクロアルキルである、請求項1に記載の複素環式化合物。
【請求項4】
A2は、C3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、および−NR’R’からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項5】
A2は、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項6】
Xは、NHである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項7】
Vは、C(O)およびCH2からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項8】
Wは、CH2である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項9】
RC1およびRC2は、水素である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項10】
nは、1および2からなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項11】
pは、1および2からなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項12】
以下:
【化24】
からなる群より選択される複素環式化合物であって、ここで
A
1は、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、C
1−6アルキル、ヒドロキシ、−NR’R’、−O−C
1−6アルキル、−S−C
1−6アルキル U−C
3−6シクロアルキル、−U−ヘテロシクリル、−U−フェニル、−U−ナフチル、−U−ヘテロアリール、フェニルアルキル、ナフチルアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;ここでC
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、およびC
1−6アルキルは、R
A1から各々選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換され;
Uは、−S−、−NR’−、−O−、もしくはC
1−6アルキルからなる群より選択され;
R
C1およびR
C2は、各存在について、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか;
あるいは2個のR
C1置換基もしくは2個のR
C2置換基は、それらが結合する原子と一緒になって、C
3−6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、またはN、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜6員の単環式複素環もしくは10〜12員の二環式複素環を形成し得;
R
1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
A1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、オキソ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
N1およびR’は、各存在について、水素およびC
1−6アルキルからなる群より独立して選択され;ここでC
1−6アルキルは、各存在について、R
A1から独立して選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換されるか;
あるいは2個のR
N1置換基もしくは2個のR’置換基は、これらが結合する窒素と一緒になって、N、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜7員の単環式複素環もしくは10〜15員の二環式複素環を形成し得;
mは、0、1、2および3からなる群より選択される、
化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは立体異性体。
【請求項13】
A1は、C3−6シクロアルキルである、請求項12に記載の複素環式化合物。
【請求項14】
A1は、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロブチル、シクロプロピル、およびこれらの任意の架橋した、スピロもしくは縮合した変種からなる群より選択される、請求項13に記載の複素環式化合物。
【請求項15】
RC1およびRC2は、水素である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項16】
【化25】
は、
【化26】
およびこれらの任意の薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、請求項12〜14のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項17】
【化27】
によって表される複素環式化合物であって、ここで
A
1は、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、C
1−6アルキル、ヒドロキシ、−NR’R’、−O−C
1−6アルキル、−S−C
1−6アルキル、−U−C
3−6シクロアルキル、−U−ヘテロシクリル、−U−フェニル、−U−ナフチル、−U−ヘテロアリール、フェニルアルキル、ナフチルアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;ここでC
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、およびC
1−6アルキルは、R
A1から各々選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換され;
Uは、−S−、−NR’−、−O−、もしくはC
1−6アルキルからなる群より選択され;
R
C1、R
C2、R
C3およびR
C4は、各存在について、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか;
あるいは2個のR
C3置換基もしくは2個のR
C4置換基は、一緒になって、オキソ、イミノもしくはスルファニリデンを形成し得るか;
あるいは2個のR
C1置換基、2個のR
C2置換基、2個のR
C3置換基もしくは2個のR
C4置換基は、これらが結合する1個もしくは複数個の原子と一緒になって、C
3−6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、またはN、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜6員の単環式複素環もしくは10〜12員の二環式複素環を形成し得るか;
あるいは1個のR
C1置換基と1個のR
C3置換基、もしくは1個のR
C2置換基と1個のR
C4置換基は、これらが結合する原子と一緒になって、C
3−6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、またはN、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜6員の単環式複素環もしくは10〜12員の二環式複素環を形成し得;
R
1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
A1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、オキソ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
N1およびR’は、各存在について、水素およびC
1−6アルキルからなる群より独立して選択され;ここでC
1−6アルキルは、各存在について、R
A1から独立して選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換されるか;
あるいは2個のR
N1置換基もしくは2個のR’置換基は、これらが結合する窒素と一緒になって、N、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜7員の単環式複素環もしくは10〜15員の二環式複素環を形成し得るか;
あるいは1個のR
N1置換基と1個のR
C4置換基は、これらが結合する原子と一緒になって、N、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜7員の単環式複素環もしくは10〜15員の二環式複素環を形成し得;
mは、0、1、2および3からなる群より選択される、
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは立体異性体。
【請求項18】
A1は、C3−6シクロアルキルである、請求項17に記載の複素環式化合物。
【請求項19】
A1は、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロブチル、シクロプロピル、およびこれらの任意の架橋した、スピロもしくは縮合した変種からなる群より選択される、請求項18に記載の複素環式化合物。
【請求項20】
RC1およびRC2は、水素である、請求項17〜19のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項21】
RC3およびRC4は、水素であるか;または2個のRC3置換基もしくは2個のRC4置換基は、一緒になってオキソを形成する、請求項17〜20のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項22】
【化28】
は、
【化29】
およびこれらの任意の薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、請求項17〜21のいずれか1項に記載の複素環式化合物。
【請求項23】
【化30】
【化31】
【化32】
からなる群より選択される複素環式化合物、およびこれらの任意の薬学的に受容可能な塩。
【請求項24】
【化33】
からなる群より選択される複素環式化合物、またはこれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項25】
免疫炎症性疾患もしくは障害を処置するための方法であって、該方法は、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項26】
免疫炎症性疾患もしくは障害を処置するための方法であって、該方法は、
【化34】
によって表される化合物の薬学的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項27】
前記免疫炎症性障害は、クローン病、潰瘍性大腸炎、リウマチ障害、乾癬、およびアレルギーからなる群より選択される、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
免疫炎症性疾患もしくは障害の処置における使用のための請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
前記免疫炎症性障害は、クローン病、潰瘍性大腸炎、リウマチ障害、乾癬、およびアレルギーからなる群より選択される、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
免疫炎症性疾患もしくは障害の処置における請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項31】
前記免疫炎症性障害は、クローン病、潰瘍性大腸炎、リウマチ障害、乾癬、およびアレルギーからなる群より選択される、請求項30に記載の化合物の使用。
【請求項32】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に受容可能なアジュバントもしくは賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項33】
免疫炎症性疾患もしくは障害の処置のための医薬の製造における請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項34】
前記免疫炎症性障害は、クローン病、潰瘍性大腸炎、リウマチ障害、乾癬、およびアレルギーからなる群より選択される、請求項33に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2012年6月1日に出願された米国仮特許出願第61/654,398号への優先権を主張し、この米国仮特許出願の全体は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
Tリンパ球(すなわち、T細胞)は、細胞媒介性免疫において大きな役割を果たす白血球の一群である。Tリンパ球は、細胞タイプ特異的レセプターであるT細胞レセプター(TCR)を通じて活性化される。上記TCRが刺激されると、リンパ球特異的プロテインチロシンキナーゼ(LCK)といわれる別のT細胞特異的タンパク質が増加する。LCKの増加の後、特異的なシグナル伝達カスケードが活性化され、最終的には、サイトカイン(例えば、インターロイキンおよびインターフェロンのような免疫調節因子)の増大および生成を生じる。
【0003】
Tリンパ球には2つの主要なサブセットがあり、これらは、細胞表面分子であるCD4およびCD8の存在によって区別される。CD4を発現するTリンパ球は、主要なサイトカイン生成者と考えられている。CD4サブセットは、Th1およびTh2へとさらに分けられ得、それらが生成するサイトカインは、Th1タイプサイトカインおよびTh2タイプサイトカインとして公知である。
【0004】
慢性免疫炎症性疾患(例えば、関節リウマチおよびクローン病)は、Th1応答と関連する障害である。Th1サイトカイン(例えば、インターフェロンγ)は、細胞内寄生生物を死滅させ、自己免疫応答を永続させる原因となる炎症促進性応答を生じる傾向にある。上記応答は、局所組織に浸潤して損傷を引き起こす活性化Tリンパ球の増加を伴う。過剰な炎症促進性応答は、制御されない組織損傷をもたらし得るので、中和機構が存在する必要がある。
【0005】
グルココルチコイド(GC)は、強力な免疫抑制薬として作用し、多くのレベルで炎症を抑制するステロイドホルモンである。GCは、細胞膜を受動的に横断してそれらの同族レセプターに結合し得、次いで、それらは核へと移動し、そこでDNAと結合し、特定の遺伝子を調節する。これが主な作用機構であると考えられるが、GC処置はまた、例えば、TCR関連シグナル伝達の阻害によって、シグナル伝達分子および経路に対して急激な影響を引き起こす。GC処置は、タンパク質の複合体(上記TCR、LCKおよびグルココルチコイドレセプター(GR)が挙げられる)の破壊を引き起こし、結論として、下流のシグナル伝達分子が阻害され、増殖を停止させる。上記処置はしばしば、重篤な副作用を生じる。しかし、T細胞刺激の代わりの方法(これは、代替のシグナル伝達経路の活性化を引き起こす)はまた、GCが阻害できない増殖をもたらし得る。
【0006】
免疫炎症性障害を処置するための新たな治療の満たされていないニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
T細胞レセプター調節因子であると予期される化合物、および例えば、薬剤としてのそれらの使用が、本明細書で提供される。よって、本開示の一局面は、式Iもしくは式II:
【化1】
式IAもしくは式IB:
【化2】
式IIA:
【化3】
の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を提供し、ここで上記変数(variable)は、詳細な説明に定義されるとおりである。
【0008】
急性および慢性の免疫炎症性障害(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、リウマチ障害、乾癬、およびアレルギー)および腸のがんからなる群より選択される疾患もしくは障害を処置するための方法もまた、本明細書で提供され、上記方法は、本明細書で記載される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式IIもしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を投与する工程を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1(A)、(B)および(C)は、Tリンパ球増殖に対する開示される化合物の効果を示す。
【
図1B】
図1(A)、(B)および(C)は、Tリンパ球増殖に対する開示される化合物の効果を示す。
【
図1C】
図1(A)、(B)および(C)は、Tリンパ球増殖に対する開示される化合物の効果を示す。
【0010】
【
図2A】
図2(A)は、Tリンパ球シグナル伝達に対する化合物S3.1およびS3.4の効果を示し、(B)は、リンパ球特異的プロテインチロシンキナーゼ(LCK)とそのシャペロンHsp90との間の相互作用に対する化合物S3.1およびS3.4の効果を示す。
【
図2B】
図2(A)は、Tリンパ球シグナル伝達に対する化合物S3.1およびS3.4の効果を示し、(B)は、リンパ球特異的プロテインチロシンキナーゼ(LCK)とそのシャペロンHsp90との間の相互作用に対する化合物S3.1およびS3.4の効果を示す。
【0011】
【
図3】
図3は、MTS生存アッセイにおけるHELA子宮頸がん細胞に対する化合物S3.1およびS3.4の効果を示す。
【0012】
【
図4】
図4(A)および(B)は、線維芽細胞が脂肪細胞へと分化することに対する化合物S3.1およびS3.4の効果を示す。
【0013】
【
図5】
図5(A)および(B)は、筋線維厚に対する化合物S3.1およびS3.4の効果を示す。
【0014】
【
図6】
図6は、化合物3.1のNMRスペクトルを示す。
【0015】
【
図7】
図7は、開示される化合物のリンパ球増殖アッセイにおける%阻害を示す。
【0016】
【
図8A】
図8は、開示される化合物のNMRを示す。
【
図8B】
図8は、開示される化合物のNMRを示す。
【
図8C】
図8は、開示される化合物のNMRを示す。
【
図8D】
図8は、開示される化合物のNMRを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
本開示は、一部は、本明細書で開示される特定の化合物がT細胞レセプターの活性を調節する能力を有するという発見に基づく。
【0018】
さらに説明する前に、本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語は、ここに集められている。これらの定義は、本開示の残りを考慮して読まれるべきであり、当業者によって理解される。別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0019】
「処置する(treating)」とは、例えば、上記状態、疾患障害などの改善をもたらす任意の効果、例えば、軽減すること、低減すること、調節すること、もしくは除去すること、を含む。
【0020】
用語「アルケニル」とは、本明細書で使用される場合、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する不飽和の直鎖もしくは分枝状の炭化水素をいう。例示的なアルケニル基としては、2〜6個もしくは3〜4個の炭素原子の直鎖もしくは分枝状の基(それぞれ、本明細書ではC
2−6アルケニルおよびC
3−4アルケニルといわれる)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
用語「アルコキシ」とは、本明細書で使用される場合、酸素に結合した直鎖もしくは分枝状のアルキル基(アルキル−O−)をいう。例示的なアルコキシ基としては、1〜6個もしくは2〜6個の炭素原子のアルコキシ(それぞれ、本明細書ではC
1−6アルコキシおよびC
2−6アルコキシといわれる)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
用語「アルコキシアルキル」とは、本明細書で使用される場合、酸素に結合し、第2の直鎖もしくは分枝状のアルキル基に結合した直鎖もしくは分枝状のアルキル基(アルキル−O−アルキル−)をいう。例示的なアルコキシアルキル基としては、上記アルキル基の各々が、独立して、1〜6個の炭素原子を含むアルコキシアルキル基(本明細書ではC
1−6アルコキシ−C
1−6アルキルといわれる)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、2−メトキシエチル、1−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、エトキシメチル、2−イソプロポキシエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
用語「アルコキシカルボニル(alkyoxycarbonyl)」とは、本明細書で使用される場合、酸素に結合し、カルボニル基に結合した直鎖もしくは分枝状のアルキル基(アルキル−O−C(O)−)をいう。例示的なアルコキシカルボニル基としては、1〜6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基(本明細書でC
1−6アルコキシカルボニルといわれる)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用される用語「アルケニルオキシ」とは、酸素に結合した直鎖もしくは分枝状のアルケニル基(アルケニル−O−)をいう。例示的なアルケニルオキシ基としては、3〜6個の炭素原子のアルケニル基を有する基(本明細書でC
3−6アルケニルオキシといわれる)が挙げられるがこれらに限定されない。例示的な「アルケニルオキシ」基としては、アリルオキシ、ブテニルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用される用語「アルキニルオキシ」とは、酸素に結合した直鎖もしくは分枝状のアルキニル基(アルキニル−O)をいう。例示的なアルキニルオキシ基としては、3〜6個の炭素原子のアルキニル基を有する基(本明細書でC
3−6アルキニルオキシといわれる)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルキニルオキシ基としては、プロピニルオキシ、ブチニルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
用語「アルキル」とは、本明細書で使用される場合、飽和の直鎖もしくは分枝状の炭化水素をいう。例示的なアルキル基としては、1〜6個、1〜4個、もしくは1〜3個の炭素原子の直鎖もしくは分枝状の炭化水素(それぞれ、本明細書ではC
1−6アルキル、C
1−4アルキル、およびC
1−3アルキルといわれる)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「アルキルカルボニル」とは、本明細書で使用される場合、カルボニル基に結合した直鎖もしくは分枝状のアルキル基(アルキル−C(O)−)をいう。例示的なアルキルカルボニル基としては、1〜6個の原子のアルキルカルボニル(本明細書でC
1−6アルキルカルボニル基といわれる)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルキルカルボニル基としては、アセチル、プロパノイル、イソプロパノイル、ブタノイルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
用語「アルキニル」とは、本明細書で使用される場合、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する不飽和の直鎖もしくは分枝状の炭化水素をいう。例示的なアルキニル基としては、2〜6個、もしくは3〜6個の炭素原子の直鎖もしくは分枝状の基(それぞれ、本明細書でC
2−6アルキニル、およびC
3−6アルキニルといわれる)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、メチルプロピニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
用語「カルボニル」とは、本明細書で使用される場合、基−C(O)−をいう。
【0030】
用語「シアノ」とは、本明細書で使用される場合、基−CNをいう。
【0031】
用語「シクロアルコキシ」とは、本明細書で使用される場合、酸素に結合したシクロアルキル基(シクロアルキル−O−)をいう。例示的なシクロアルコキシ基としては、3〜6個の炭素原子のシクロアルコキシ基(本明細書でC
3−6シクロアルコキシ基といわれる)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なシクロアルコキシ基としては、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
用語「シクロアルキル」もしくは「炭素環式基」とは、本明細書で使用される場合、例えば、3〜6個、もしくは4〜6個の炭素の飽和もしくは部分不飽和の炭化水素基(それぞれ、本明細書ではC
3−6シクロアルキルもしくはC
4−6シクロアルキルといわれる)をいう。例示的なシクロアルキル基としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロブチルもしくはシクロプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
用語「ハロ」もしくは「ハロゲン」とは、本明細書で使用される場合、F、Cl、Br、もしくはIをいう。
【0034】
用語「ヘテロアリール」もしくは「ヘテロ芳香族基」とは、本明細書で使用される場合、1個以上のヘテロ原子(窒素、酸素および硫黄のような、例えば1〜3個のヘテロ原子)を含む単環式で芳香族の5〜6員の環系をいう。可能であれば、上記ヘテロアリール環は、炭素もしくは窒素を介して隣接するラジカルに連結され得る。ヘテロアリール環の例としては、フラン、チオフェン、ピロール、チアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジンもしくはピリミジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
用語「ヘテロシクリル」もしくは「複素環式基」とは、当該分野で認識されており、飽和もしくは部分不飽和の4〜7員の環構造であって、その環構造が、1〜3個のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、および硫黄)を含むものをいう。可能な場合、ヘテロシクリル環は、炭素もしくは窒素を介して隣接するラジカルに連結され得る。ヘテロシクリル基の例としては、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、オキセタン、アゼチジン、テトラヒドロフランもしくはジヒドロフランなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
用語「ヘテロシクリルオキシ」とは、本明細書で使用される場合、酸素に結合したヘテロシクリル基(ヘテロシクリル−O−)をいう。
【0037】
用語「ヘテロアリールオキシ」とは、本明細書で使用される場合、酸素に結合したヘテロアリール基(ヘテロアリール−O−)をいう。
【0038】
用語「ヒドロキシ」および「ヒドロキシル」とは、本明細書で使用される場合、基−OHをいう。
【0039】
用語「オキソ」とは、本明細書で使用される場合、基=Oをいう。
【0040】
「薬学的にもしくは薬理学的に受容可能」とは、適切な場合、動物、もしくはヒトに投与されたときに、有害な、アレルギー性の、もしくは他の都合の悪い反応を生じない分子実体および組成物を含む。ヒトへの投与に関しては、調製物は、FDA Office of Biologics standardsによって要求されるように、滅菌性、発熱性、ならびに一般的な安全性および純度標準を満たすべきである。
【0041】
用語「薬学的に受容可能なキャリア」もしくは「薬学的に受容可能な賦形剤」とは、本明細書で使用される場合、薬学的な投与と適合性である任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、等張剤および吸収遅延剤などをいう。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および剤の使用は、当該分野で周知である。上記組成物はまた、補助的機能、追加の機能、もしくは増強された治療的機能を提供する他の活性化合物を含み得る。
【0042】
用語「薬学的組成物」とは、本明細書で使用される場合、1種以上の薬学的に受容可能なキャリアと一緒に製剤化される、本明細書で開示されるとおりの少なくとも1つの化合物を含む組成物をいう。
【0043】
「個体」、「患者」、もしくは「被験体」とは、交換可能に使用され、任意の動物(哺乳動物、例えば、マウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、もしくは霊長類、およびヒトが挙げられる)を含む。一実施形態において、上記患者は、ヒトである。本明細書で企図される化合物は、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与され得るが、他の哺乳動物(例えば、獣医学的処置が必要な動物、例えば、飼い慣らされた動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)にも投与され得る。本明細書で企図される方法で処置される哺乳動物は、望ましくは、肥満もしくは体重減少の処置が望まし哺乳動物である。「調節」とは、拮抗作用(例えば、阻害)、活性化作用(agonism)、部分拮抗作用および/もしくは部分活性化作用を含む。
【0044】
本明細書では、用語「治療上有効な量」とは、研究者、獣医師、医師もしくは他の臨床家が求める組織、系もしくは動物(例えば、哺乳動物もしくはヒト)の生物学的もしくは医学的応答を誘起する対象の化合物の量を意味する。本明細書で企図される化合物は、疾患もしくは障害を処置するために、治療上有効な量で投与される。あるいは、化合物の治療上有効な量は、所望の治療効果および/もしくは予防効果を達成するために必要とされる量(例えば、体重減少を生じる量)である。
【0045】
用語「薬学的に受容可能な塩(複数可)」とは、本明細書で使用される場合、上記組成物中で使用される化合物に存在し得る酸性基もしくは塩基性基の塩をいう。天然では塩基性である本発明の組成物に含まれる化合物は、種々の無機酸および有機酸と多種多様の塩を形成し得る。このような塩基性化合物の薬学的に受容可能な酸付加塩を調製するために使用され得る酸は、非毒性酸付加塩(すなわち、薬理学的に受容可能なアニオンを含む塩(リンゴ酸塩、シュウ酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩(acid phosphate)、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコンサン塩、グルクロン酸塩(glucaronate)、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)が挙げられるが、これらに限定されない)を形成するものである。天然で酸性である本発明の組成物に含まれる化合物は、種々の薬理学的に受容可能なカチオンと塩基塩を形成し得る。このような塩の例としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩、ならびに特に、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、カリウム塩、および鉄塩が挙げられる。塩基性部分もしくは酸性部分を含む本発明の組成物に含まれる化合物はまた、種々のアミノ酸と薬学的に受容可能な塩を形成し得る。本開示の化合物は、酸性基および塩基性基の両方;例えば、1つのアミノ基および1つのカルボン酸基を含み得る。このような場合には、上記化合物は、酸付加塩、双性イオン、もしくは塩基塩として存在し得る。
【0046】
本開示の化合物は、1つ以上のキラル中心を含み得、従って、立体異性体として存在し得る。用語「立体異性体」とは、本明細書で使用される場合、全てのエナンチオマーもしくはジアステレオマーからなる。これらの化合物は、ステレオジェニック(stereogenic)炭素原子の周りの置換基の配置に依存して、記号「(+)」、「(−)」、「R」もしくは「S」によって示され得るが、当業者は、構造がキラル中心を暗黙のうちに示し得ることを認識している。本開示は、これら化合物の種々の立体異性体およびこれらの混合物を包含する。エナンチオマーもしくはジアステレオマーの混合物は、命名法としては「(±)」で示され得るが、当業者は、構造がキラル中心を暗黙のうちに示し得ることを認識する。
【0047】
本開示の化合物の個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーは、不斉中心もしくはステレオジェニック中心を含む市販の出発材料から合成して、またはラセミ混合物の調製、続いて当業者に周知の分割法によって調製され得る。これら分割法は、(1)キラル補助剤へのエナンチオマー混合物の結合、再結晶化もしくはクロマトグラフィーによる得られたジアステレオマー混合物の分割、ならびに上記補助からの光学的に純粋な生成物の遊離、(2)光学的に活性な分割剤を使用する塩形成、(3)キラル液体クロマトグラフィーカラム上での光学的エナンチオマーの混合物の直接分離、または(4)立体選択的化学試薬もしくは酵素試薬を使用する速度論的分割によって例示される。ラセミ混合物はまた、周知の方法(例えば、キラル相液体クロマトグラフィーもしくはキラル溶媒中での上記化合物の結晶化)によってそれらの成分エナンチオマーへと分割され得る。立体選択的合成、単一の反応物が新たな立体中心を作り出す間にもしくは既存のものの変換の間に立体異性体の不等混合物を形成する化学反応もしくは酵素反応は、当該分野で周知である。立体選択的合成は、エナンチオ選択的およびジアステレオ選択的変換の両方を包含し、キラル補助剤の使用を伴い得る。例えば、Carreira and Kvaerno,Classics in Stereoselective Synthesis,Wiley−VCH: Weinheim,2009を参照のこと。
【0048】
本明細書で開示される化合物は、薬学的に受容可能な溶媒(例えば、水、エタノールなど)との溶媒和形態および非溶媒和形態で存在し得、本開示が溶媒和形態および非溶媒和形態の両方を包含することが意図される。一実施形態において、上記化合物は、非晶質である。一実施形態において、上記化合物は、単一多形体である。別の実施形態において、上記化合物は、多形体の混合物である。別の実施形態において、上記化合物は、結晶形態にある。
【0049】
本開示はまた、1個以上の原子が、天然おいて通常見いだされる原子質量もしくは質量数とは異なる原子質量もしくは質量数を有する原子によって置き換えられていることを除いて、本明細書で記載されるものと同じである本開示の同位体標識化合物を包含する。本開示の化合物に組みこまれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体(例えば、それぞれ、
2H、
3H、
13C、
14C、
15N、
18O、
17O、
31P、
32P、
35S、
18F、および
36Cl)が挙げられる。例えば、本開示の化合物は、1個以上のH原子が重水素で置き換えられ得る。
【0050】
特定の同位体標識された、開示される化合物(例えば、
3Hおよび
14Cで標識されたもの)は、化合物および/もしくは基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(すなわち、
3H)および炭素−14(すなわち、
14C)同位体は、それらの調製および検出可能性の容易さのために有用であり得る。さらに、より重い同位体(例えば、重水素(すなわち、
2H))での置換は、より高い代謝安定性から生じる特定の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の増大もしくは必要な投与量の軽減)を提供し得るので、いくらかの状況においては好ましいこともある。本明細書で企図される同位体標識化合物は、一般に、同位体標識試薬を同位体標識されていない試薬の代わりに使用することによって、本明細書中の実施例で開示されるものに類似の手順に従うことによって調製され得る。
【0051】
用語「プロドラッグ」とは、開示される化合物、または上記化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物を生じるように、インビボで変換される化合物をいう。変換は、種々の機構によって(例えば、エステラーゼ、アミダーゼ、ホスファターゼ、酸化的および/もしくは還元的代謝によって)、種々の位置で(例えば、腸内腔、もしくは腸、血液もしくは肝臓を通過しているときに)起こり得る。一実施形態において、上記変換は、例えば、化学的加水分解もしくは酵素の攻撃によるものであり得る。プロドラッグは、当該分野で周知である(例えば、Rautio,Kumpulainen, et al.,Nature Reviews Drug Discovery 2008,7,255を参照のこと)。例えば、本明細書で企図される化合物、または上記化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物が、カルボン酸官能基を含む場合、プロドラッグは、酸基のうちの水素原子を、(C
1−8)アルキル、(C
2−12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C
1−2)アルキルアミノ(C
2−3)アルキル(例えば、β−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−(C
1−2)アルキル、N,N−ジ(C
1−2)アルキルカルバモイル−(C
1−2)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−もしくはモルホリノ(C
2−3)アルキルのような基で置き換えることによって形成されるエステルを含み得る。
【0052】
同様に、本明細書で企図される化合物がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、上記アルコール基のうちの水素原子を、(C
1−6)アルカノイルオキシメチル、1−((C
1−6)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C
1−6)アルカノイルオキシ)エチル(C
1−6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C1−6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C
1−6)アルカノイル、α−アミノ(C
1−4)アルカノイル、アリールアシルおよびα−アミノアシル、またはα−アミノアシル−α−アミノアシル(ここで各α−アミノアシル基は、天然に存在するL−アミノ酸、−P(O)(OH)
2、−P(O)(O(C
1−6)アルキル)
2またはグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去から生じるラジカル)から独立して選択される)のような基で置き換えることによって形成され得る。
【0053】
本明細書で企図される化合物がアミン官能基を組みこむ場合、プロドラッグは、例えば、アミドもしくはカルバメート、N−アシルオキシアルキル誘導体、(オキソジオキソレニル)メチル誘導体、N−マンニッヒ塩基、イミンもしくはエナミンを作ることによって、形成され得る。さらに、第二級アミンは、代謝によって開裂されて、生物活性な第一級アミンを生成し得るか、または第三級アミンは、代謝によって開裂されて、生物活性な第一級アミンもしくは第二級アミンを生成し得る。例えば、Simplicio, et al., Molecules 2008, 13, 519およびその中の参考文献を参照のこと。
【0054】
誘導体もしくはプロドラッグは、標的器官に対して増強された透過性を有し得る。上記プロドラッグは、上記プロドラッグもしくはその誘導体の生きている器官への投与後に、より多量の上記化合物が上記標的器官に達し、誘導体化なしの元の化合物(base compound)の投与と比較して、より高いレベル有効な薬剤を生じる場合、本開示に従って増強した透過性を有する。
【0055】
さらに、変数が定義を伴わない場合、上記変数の以前の定義が優先する。
(T細胞レセプターリガンド)
【0056】
一局面において、式Iもしくは式II:
【化4】
の複素環式化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは立体異性体が提供され、ここで
A
1は、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、C
1−6アルキル、ヒドロキシ、−NR’R’、−O−C
1−6アルキル、−S−C
1−6アルキル、−U−C
3−6シクロアルキル、−U−ヘテロシクリル、−U−フェニル、−U−ナフチル、−U−ヘテロアリール、フェニルアルキル、ナフチルアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;ここでC
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、およびC
1−6アルキルは、R
A1から各々選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換され;
A
2は、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、−NR’R’、U−C
3−6シクロアルキル、−U−ヘテロシクリル、−U−フェニル、−U−ナフチル、−U−ヘテロアリール、フェニルアルキル、ナフチルアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;ここでC
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、およびヘテロアリールは、R
A2から各々選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換され;
Uは、-S−、−NR’−、−O−、もしくはC
1−6アルキルからなる群より選択され;
Xは、O、SおよびNR’からなる群より選択され;
Vは、各存在について、O、S、NR’、およびCR
C3R
C3からなる群より独立して選択され;
Wは、各存在について、O、S、NR’、およびCR
C4R
C4からなる群より独立して選択され;
R
C1、R
C2、R
C3およびR
C4は、各存在について、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか;
あるいは2個のR
C3置換基もしくは2個のR
C4置換基は、一緒になって、オキソ、イミノもしくはスルファニリデンを形成し得るか;
あるいは2個のR
C1置換基、2個のR
C2置換基、2個のR
C3置換基もしくは2個のR
C4置換基は、これらが結合する1個もしくは複数個の原子と一緒になって、C
3−6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、またはN、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜6員の単環式複素環もしくは10〜12員の二環式複素環を形成し得るか;
あるいは1個のR
C1置換基と1個のR
C3置換基、もしくは1個のR
C2置換基と1個のR
C4置換基は、これらが結合する原子と一緒になって、C
3−6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、またはN、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜6員の単環式複素環もしくは10〜12員の二環式複素環を形成し得;
R
1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
A1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、オキソ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
A2は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、オキソ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R’は、各存在について、水素もしくはC
1−6アルキルからなる群より独立して選択され;ここでC
1−6アルキルは、R
A1から各々選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換されるか;
あるいは2個のR’は、これらが結合する1個もしくは複数個の原子と一緒になって、N、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜7員の単環式複素環もしくは10〜15員の二環式複素環を形成し得;
nは、0、1、2、3および4からなる群より選択され;
pは、0、1、2、3および4からなる群より選択され;
mは、0、1、2および3からなる群より選択される。
【0057】
いくつかの実施形態において、A
1は、C
3−6シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群より選択され得る。例えば、A
1は、C
3−6シクロアルキルであり得る。
【0058】
一実施形態において、A
2は、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、および−NR’R’からなる群より選択され得る。例えば、A
2は、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールからなる群より選択され得る。
【0059】
別の実施形態において、Xは、NHであり得る。
【0060】
特定の実施形態において、Vは、C(O)およびCH
2からなる群より選択され得る。
【0061】
一実施形態において、Wは、CH
2であり得る。
【0062】
他の実施形態において、R
C1およびR
C2は、水素である。
【0063】
いくつかの実施形態において、nは、1および2からなる群より選択される。
【0064】
一実施形態において、pは、1および2からなる群より選択される。
【0065】
別の局面において、式IAもしくはIB:
【化5】
の複素環式化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは立体異性体が提供され、ここで
A
1は、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、C
1−6アルキル、ヒドロキシ、−NR’R’、−O−C
1−6アルキル、−S−C
1−6アルキル U−C
3−6シクロアルキル、−U−ヘテロシクリル、−U−フェニル、−U−ナフチル、−U−ヘテロアリール、フェニルアルキル、ナフチルアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;ここでC
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、およびC
1−6アルキルは、R
A1から各々選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換され;
Uは、-S−、−NR’−、−O−、もしくはC
1−6アルキルからなる群より選択され;
R
C1およびR
C2は、各存在について、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか;
あるいは2個のR
C1置換基もしくは2個のR
C2置換基は、これらが結合する原子と一緒になって、C
3−6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、またはN、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜6員の単環式複素環もしくは10〜12員の二環式複素環を形成し得;
R
1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
A1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、オキソ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
N1およびR’は、各存在について、水素およびC
1−6アルキルからなる群より独立して選択され;ここでC
1−6アルキルは、各存在について、R
A1から独立して選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換されるか;
あるいは2個のR
N1置換基もしくは2個のR’置換基は、これらが結合する窒素と一緒になって、N、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜7員の単環式複素環もしくは10〜15員の二環式複素環を形成し得;
mは、0、1、2および3からなる群より選択される。
【0066】
一実施形態において、A
1は、C
3−6シクロアルキルであり得る。例えば、A
1は、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロブチル、シクロプロピル、およびこれらの任意の架橋した、スピロもしくは縮合した変種(variant)からなる群より選択され得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、R
C1およびR
C2は、水素であり得る。
【0068】
他の実施形態において、
【化6】
は、
【化7】
およびこれらの任意の薬学的に受容可能な塩からなる群より選択され得る。
【0069】
別の局面において、式IIA:
【化8】
の複素環式化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは立体異性体が提供され、ここで
A
1は、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、C
1−6アルキル、ヒドロキシ、−NR’R’、−O−C
1−6アルキル、−S−C
1−6アルキル、−U−C
3−6シクロアルキル、−U−ヘテロシクリル、−U−フェニル、−U−ナフチル、−U−ヘテロアリール、フェニルアルキル、ナフチルアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;ここでC
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、およびC
1−6アルキルは、R
A1から各々選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換され;
Uは、-S−、−NR’−、−O−、もしくはC
1−6アルキルからなる群より選択され;
R
C1、R
C2、R
C3およびR
C4は、各存在について、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ナフチル、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか;
あるいは2個のR
C3置換基もしくは2個のR
C4置換基は、一緒になって、オキソ、イミノもしくはスルファニリデンを形成し得るか;
あるいは2個のR
C1置換基、2個のR
C2置換基、2個のR
C3置換基もしくは2個のR
C4置換基は、これらが結合する1個もしくは複数個の原子と一緒になって、C
3−6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、またはN、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜6員の単環式複素環もしくは10〜12員の二環式複素環を形成し得るか;
あるいは1個のR
C1置換基と1個のR
C3置換基、もしくは1個のR
C2置換基と1個のR
C4置換基は、これらが結合する原子と一緒になって、C
3−6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、またはN、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜6員の単環式複素環もしくは10〜12員の二環式複素環を形成し得;
R
1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
A1は、各存在について、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド、チオール、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−C(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)O−C
1−6アルキル、−OC(O)NR’R’、−N(R’)C(O)NR’R’、−N(R’)C(O)O−C
1−6アルキル、オキソ、C
3−6シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群より独立して選択され;
R
N1およびR’は、各存在について、水素およびC
1−6アルキルからなる群より独立して選択され;ここでC
1−6アルキルは、各存在について、R
A1から独立して選択される1個、2個、3個以上の置換基で必要に応じて置換されるか;
あるいは2個のR
N1置換基もしくは2個のR’置換基は、これらが結合する窒素と一緒になって、N、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜7員の単環式複素環もしくは10〜15員の二環式複素環を形成し得るか;
あるいは1個のR
N1置換基と1個のR
C4置換基は、これらが結合する原子と一緒になって、N、O、およびSからなる群より独立して選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和もしくは不飽和の4〜7員の単環式複素環もしくは10〜15員の二環式複素環を形成し得;
mは、0、1、2および3からなる群より選択される。
【0070】
一実施形態において、A
1は、C
3−6シクロアルキルであり得る。例えば、A
1は、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロブチル、シクロプロピル、およびこれらの任意の架橋した、スピロもしくは縮合した変種からなる群より選択され得る。
【0071】
別の実施形態において、R
C1およびR
C2は、水素であり得る。
【0072】
特定の実施形態において、R
C3およびR
C4は、水素であり得るか;または2個のR
C3置換基もしくは2個のR
C4置換基は、一緒になって、オキソを形成する。
【0073】
他の実施形態において、
【化9】
は、
【化10】
およびこれらの任意の薬学的に受容可能な塩からなる群より選択され得る。
【0074】
さらなる局面において、複素環式化合物が提供され、ここで上記複素環式化合物は、
【化11】
【化12】
【化13】
およびこれらの任意の薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される。
【0075】
別の局面において、複素環式化合物が提供され、ここで上記複素環式化合物は、
【化14】
【0076】
またはこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される。
【0077】
本明細書で記載される化合物を作製するための手順は、以下に提供される。以下で記載される反応において、反応性官能基(例えば、ヒドロキシル、アミノ、チオもしくはカルボキシル基)を保護して、上記反応におけるそれらの望ましくない関与を回避することは、必要であり得る。このような基の組み込み、ならびにこれらを導入および除去するために必要とされる方法は、当業者に公知である(例えば、Greene, Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis. 2nd Ed. (1999)を参照のこと)。脱保護工程は、保護基の除去が本明細書で開示されるように式Iの化合物を提供するように、合成の最終工程であり得る。以下のスキームで使用される出発材料は、購入され得るか、または化学文献に記載される方法によって、もしくは当業者に公知の方法を使用する、その適応によって調製され得る。上記工程が行われる順序は、導入される基および使用される試薬に依存して変動し得るが、当業者に明らかである。
【0078】
本明細書で記載される化合物を調製するための複数の方法が、実施例で提供される。本明細書で記載される種々の化合物を調製するためのさらなる合成法は、以下のスキームによって提供される。そのスキームは、本発明を例示する目的で提供されるが、本発明の範囲または趣旨を限定する目的で提供されるのではない。スキームで示される出発材料は、商業的供給元から得られ得るか、または文献中に記載される手順に基づいて調製され得る。
【0079】
スキーム1の合成経路は、ベンゾイミダゾロン誘導体を調製するための一般的方法を図示する。上記方法は、ベンゾイミダゾロンコアの窒素に所望の置換基を結合する工程を包含する。ベンゾイミダゾロンの1位に結合する所望のアルキル基は、ベンゾイミダゾロンAとα−ブロモカルボニル基質とを反応させて、モノ置換されたBを提供することによって、組み込まれ得る。ベンゾイミダゾロンの3位における所望の官能基は、Bと適切な求電子剤(例えば、R−Cl)とを反応させて、最終生成物Cを提供することによって組みこまれ得る。
【化15】
【0080】
スキーム2は、ベンゾイミダゾロン環の3位に種々の官能基(例えば、アルキルアミノ)を有するベンゾイミダゾロン誘導体を作製するためのより詳細な例示的合成手順を提供する。アリールAは、boc保護エチレンジアミンを使用し、続いてニトロ基の還元によってアニリンBに変換され得される。上記ベンゾイミダゾロンコアは、カルボニルジイミダゾール(CDI)との反応によって組みこまれ得る。1位での置換は、適切なα−ブロモカルボニルと反応させて、化合物Cを得ることによって組みこまれ得る。上記boc保護されたアミノ基の脱保護、続いて、適切な求電子剤との反応により、最終の二置換された化合物Dが得られる。
【化16】
【0081】
スキーム3の合成経路は、ヘテロ二環式誘導体を調製するための一般法を図示する。上記方法は、ヘテロ環式コアに所望の置換基を結合させる工程を包含する。複素環Aの窒素に結合する所望のアルキル基は、Aと適切な求電子剤とを反応させて、モノ置換されたBを提供することによって組みこまれ得る。上記複素環コアの3位におけるアルキン基は、Bを薗頭反応条件下で反応させて、アルキンCを提供することによって組みこまれ得る。上記アルキンの還元から、ジアルキル置換された最終生成物Dが得られる。
【化17】
(方法)
【0082】
本開示の一局面は、T細胞レセプターの活性を調節するための方法を提供し、上記方法は、薬学的に有効な量の開示される複素環式化合物を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記の方法のうちの1つ以上によって利用される化合物は、本明細書で記載される属性の(generic)化合物、亜属の(subgeneric)化合物もしくは特定の化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)のうちの1つである。本明細書で記載される化合物がT細胞レセプターを調節するかもしくは阻害する能力は、当該分野で公知のおよび/もしくは本明細書で記載される手順によって評価され得る。本開示の別の局面は、T細胞レセプターの発現もしくは活性と関連する疾患を処置するための方法を提供し、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。
【0083】
特定の実施形態において、本発明は、急性および慢性の免疫炎症性障害の群から選択される疾患もしくは障害(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、リウマチ障害、乾癬、およびアレルギー)を処置するための方法を提供し、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIA)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。
【0084】
胃腸疾患を処置するための方法が提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。企図される方法は、例えば、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、分類不能大腸炎;および憩室炎)を処置するための方法を包含する。
【0085】
内分泌障害を処置するための方法もまた、本明細書で提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。例えば;先天性副腎過形成;がんと関連する高カルシウム血症(hypercalciemia);および非化膿性甲状腺炎を処置する方法が提供される。
【0086】
リウマチ障害を処置するための方法が提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。例えば、企図される方法は、乾癬性関節炎;関節リウマチ(若年性関節リウマチを含む);強直性脊椎炎;急性および亜急性の滑液包炎;急性非特異的腱滑膜炎;急性痛風関節炎;外傷後骨関節炎;骨関節炎の滑膜炎;および上顆炎を処置するための方法を包含する。例えば、上記処置は、短期間投与のための補助療法を含み得、ここで必要な患者は、急性エピソードもしくは増悪を有している。別の例では、選択された方法(例えば、関節リウマチを処置するための方法)は、低用量の維持療法を要し得る。
【0087】
膠原病を処置するための方法が本明細書で提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。意図される方法は、例えば、全身性エリテマトーデス;全身性の皮膚筋炎(例えば、多発性筋炎);および急性リウマチ性心炎を処置するための方法を包含する。例えば、上記処置は、維持療法として、および/またはそれを必要とする患者が急性エピソードもしくは増悪を有している場合に、投与され得る。
【0088】
皮膚疾患を処置するための方法もまた、本明細書で提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。企図される方法は、例えば、天疱瘡;水疱性疱疹状皮膚炎(bullous dermatitis herpetiformis);多形紅斑(例えば、スティーブンス・ジョンソン症候群);剥脱性皮膚炎;菌状息肉腫;乾癬;および脂漏性皮膚炎を処置するための方法を包含する。
【0089】
アレルギー状態を処置するための方法が提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。企図される方法は、例えば、季節性のもしくは通年性のアレルギー性鼻炎;気管支喘息;接触性皮膚炎;アトピー性皮膚炎;血清病;および薬物過敏反応を処置するための方法を包含する。例えば、これらの方法は、従来の処置でコントロールするのが困難な、重症のもしくは生活に支障を来すほどの(incapacitating)アレルギー状態のコントロールを含む。
【0090】
眼の疾患を処置するための方法が、本明細書で提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。企図される方法は、例えば、眼および/もしくはその付属器を含む急性および慢性のアレルギープロセスおよび炎症プロセス(例えば、アレルギー性角膜周縁潰瘍;眼部帯状疱疹;前眼部の炎症(anterior segment inflammation);ぶどう膜炎、脈絡膜炎、強膜炎、上強膜炎;交感性眼炎;アレルギー性結膜炎;角膜炎;網脈絡膜炎;視神経炎;虹彩炎および虹彩毛様体炎を処置するための方法を包含する。
【0091】
呼吸器疾患を処置するための方法が提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。企図される方法は、例えば、症候性サルコイドーシス(symptomatic sarcoidosis);レフラー症候群;ベリリウム中毒;劇症型のもしくは播種性の肺結核症(例えば、ここでその処置は、開示される化合物および適切な抗結核化学療法の同時投与から構成され得る);および嚥下性肺炎を処置するための方法を包含する。
【0092】
血液疾患を処置するための方法もまた、本明細書で提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。例えば、企図される方法は、特発性血小板減少性紫斑病;続発性血小板減少症;後天性(自己免疫性)溶血性貧血;赤芽球減少症(RBC貧血);および先天性(赤血球系)低形成性貧血を処置するための方法を包含する。
【0093】
新生物疾患を処置するための方法が提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。企図される方法は、例えば、白血病およびリンパ腫を処置するための方法(小児の急性白血病を処置するための方法を含む)を包含する。
【0094】
浮腫状態を処置するための方法もまた、本明細書で提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。企図される方法は、例えば、尿毒症なしの、特発性ネフローゼ症候群もしくは全身性エリテマトーデスに起因するネフローゼ症候群における利尿またはタンパク尿の寛解を誘導するための方法を包含する。
【0095】
神経系疾患および/もしくは障害を処置するための方法が提供され、上記方法は、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する。企図される方法は、例えば、多発性硬化症を処置するための方法を包含する。
【0096】
本明細書でまた提供されるのは、くも膜下ブロックもしくは切迫ブロック(impending block)で結核性髄膜炎を処置するための方法であって、適切な抗結核化学療法と同時に使用される開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する方法;および神経学的関与の、もしくは心筋関与の旋毛虫症を処置するための方法であって、開示される複素環式化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式II、もしくは式IIAの化合物)の薬学的に有効な量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する方法である。
(薬学的組成物および投与)
【0097】
本開示は1種以上の薬学的に受容可能なキャリア(添加剤)および/もしくは希釈剤と一緒に製剤化された、上記で記載される化合物のうちの1種以上の治療上有効な量を含む薬学的組成物を提供する。上記薬学的組成物は、以下のために適合されたものを含む、固体もしくは液体の形態で投与するために特別に製剤化され得る:(1)経口投与(例えば、水薬(水性もしくは非水性の液剤もしくは懸濁剤)、錠剤(例えば、口内、舌下、および全身吸収を目的としたもの)、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌に塗布するためのパスタ剤);(2)非経口投与(例えば、例えば、滅菌液剤もしくは懸濁剤、または徐放性製剤として、皮下、筋肉内、静脈内もしくは硬膜外注射によって);(3)局所適用(例えば、クリーム剤、軟膏剤、または放出制御パッチもしくは皮膚に適用されるスプレー剤として);(4)腟内もしくは直腸内に(例えば、ペッサリー、クリーム剤もしくは泡沫物として);(5)舌下に;(6)眼に;(7)経皮的に;あるいは(8)鼻に;またはエアロゾルおよび/もしくはネブライザとして使用される予定の他の製剤。
【0098】
別の局面は、例えば、組み合わせ処置の一部として、1種以上の他の治療剤と一緒に製剤化された、開示される化合物のうちの1種以上の治療上有効な量を含む薬学的組成物を提供する。
【0099】
一実施形態において、本開示の薬学的組成物は、経口投与され得る。しかし、上記薬学的組成物は、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻に、口内に、膣にもしくは移植レザバを介して投与され得る。企図される非経口でない投与(non−parenteral administration)は、経口投与、口内投与、経皮投与(例えば、皮膚パッチによる)、局所投与、吸入、もしくは舌下投与、または例えば、眼への投与、肺投与、鼻投与、直腸投与もしくは膣投与を含む。例えば、企図される薬学的組成物は、経口投与され得るか、腹腔内投与され得るか、または静脈内投与され得る。
【0100】
上記薬学的組成物の滅菌注射用形態は、水性もしくは油性の懸濁物であり得る。これら懸濁物は、適切な分散剤、もしくは湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当該分野で公知の技術に従って製剤化され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口で受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射用溶液もしくは懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌した不揮発性油は、溶媒もしくは懸濁媒体として従来どおり使用される。
【0101】
この目的で、合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドを含む任意の無刺激の不揮発性油が、使用され得る。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、注射剤の調製において有用である。天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油もしくはヒマシ油、特に、それらのポリオキシエチレン化バージョンにあるもの)も同様である。これらの油溶液もしくは懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、もしくはエマルジョンおよび懸濁剤を含む薬学的に受容可能な投与形態の製剤化において一般に使用される類似の分散剤)を含み得る。他の一般に使用される界面活性剤(薬学的に受容可能な固体、液体、もしくは他の投与形態の製造において一般に使用される、例えば、Tween、Spanおよび他の乳化剤もしくはバイオアベイラビリティー増強剤)はまた、製剤化の目的で使用され得る。
【0102】
本開示の薬学的組成物は、任意の経口で受容可能な投与形態(固体形態(当該分野で公知の任意の適切なプロセスを使用して調製され得る、例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤)が挙げられるが、これらに限定されない)で経口投与され得る。例えば、開示される化合物は、腸溶性の物質と混合され得、錠剤へと圧縮され得る。経口使用するための錠剤の場合、一般に使用されるキャリアとしては、微結晶性セルロース、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、一般的には、添加される。
【0103】
あるいは、本開示の製剤は、チュアブル錠、クラッシャブル錠(crushable tablet)、口内で迅速に溶解する錠剤、またはマウスウォッシュへと組み込まれ得る。
【0104】
経口投与もしくは他の投与のための液体投与形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。活性薬剤に加えて、上記液体投与形態は、当該分野で一般に使用される不活性希釈剤(例えば、水もしくは他の溶媒)、可溶化剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油および胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物)を含み得る。不活性希釈剤の他に、眼の、経口のもしくは他の全身送達される組成物はまた、補助剤(例えば、湿潤剤、ならびに乳化剤および懸濁化剤)を含み得る。所望であれば、特定の甘味剤、矯味矯臭剤もしくは着色剤もまた、添加され得る。
【0105】
本開示の薬学的組成物はまた、鼻のエアロゾルもしくは吸入によって投与され得る。このような薬学的組成物は、薬学的製剤化の分野で周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、食塩水中の溶液として調製され得る。
【0106】
例えば、肺(例えば、気管支内)投与のために、開示される化合物は、微細粉末もしくは霧状にできる液体の形態で吸入用組成物を調製するために、従来の賦形剤とともに処方され得る。眼への投与のために、開示される化合物は、例えば、点眼剤もしくは眼用移植物の形態で、従来の賦形剤とともに製剤化され得る。点眼剤で有用な賦形剤の中には、眼での保持の改善を通じて、流涙による喪失を最小限にするための、粘性化剤(viscosifying agent)もしくはゲル化剤がある。
【0107】
局所投与もしくは経皮投与が望ましいとすると、それは、当業者に一般に公知の任意の方法を使用して達成され得る。本発明の薬学的組成物の局所投与もしくは経皮投与のための投与形態としては、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入薬、もしくはパッチが挙げられるが、これらに限定されない。活性薬剤は、滅菌条件下で、薬学的に受容可能なキャリアおよび任意の必要とされる保存剤もしくは必要とされ得る場合には緩衝剤とともに混合される。例えば、皮膚の投与経路は、水性の滴剤、ミスト、エマルジョン、もしくはクリーム剤で達成される。
【0108】
経皮パッチは、身体への活性成分の送達の制御を提供するという付加的な利点を有し得る。このような投与形態は、適切な媒体中に上記化合物を溶解もしくは分散させることによって作製され得る。吸収増強剤はまた、皮膚を横断する上記化合物の流動を増大させるために使用され得る。速度制御膜を提供するか、または上記化合物をポリマーマトリクスもしくはゲル中に分散させるかのいずれかによって、速度が制御され得る。
【0109】
直腸投与もしくは腟投与のための組成物は、坐剤であり得、これは、開示される化合物と、適切な非刺激性賦形剤もしくはキャリア(例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコールもしくは坐剤用ワックス、これらは、周囲温度では固体であるが、体温では液体であるので、直腸腔もしくは腟腔では融解し、活性薬剤(複数可)を放出する)とを混合することによって調製され得る。あるいは、企図される製剤は、内視鏡を被験体の直腸へと挿入した後に、内視鏡の管腔から放出することによって投与され得る。
【0110】
単一投与形態で薬学的組成物を生成するためにキャリア物質と組み合わされ得る、本開示される化合物の量は、処置される宿主および特定の投与モードに依存して変動する。任意の特定の患者のための具体的な投与量および処置レジメンは、使用される具体的化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食餌、投与時間、排出速度、薬物の組み合わせ、および処置している医師の判断、ならびに処置されている特定の疾患の重症度を含む種々の要因に依存することは、理解されるべきである。それらの多様性にも拘わらず、適切な投与量もしくは処置レジメンを選択するためにこれらの要因を考慮に入れることは、慣用的な実験が必要であるに過ぎない。
【0111】
本明細書で企図されるさらなる薬剤(すなわち、本開示される化合物以外の薬剤)は、複数の投与レジメンの一部として、本開示の治療剤とは別個に投与されてもよい。あるいは、それら薬剤は、単一の薬学的組成物において本開示の治療剤と一緒に混合された単一の投与形態の一部であってもよい。複数の投与レジメンの一部として投与される場合、その2種の活性薬剤は、同時に投与されてもよいし、順次投与されてもよいし、互いにある期間内に投与されてもよい。本開示の治療剤、すなわち開示の化合物、および単一の投与形態を生成するためのキャリア物質と組み合わされ得るさらなる治療剤の両方の量は、処置される宿主および特定の投与モード、ならびに本開示の治療剤およびさらなる治療剤の性質に依存して、変動する。
【0112】
企図される方法は、特定の組成物もしくはインヒビターの半減期もしくはクリアランス速度に依存して、例えば、1時間ごと、1時間に2回、3〜4時間ごと、毎日、毎日2回、1週間に1、2、3もしくは4回、3〜4日ごと、1週間ごと、または2週間ごとに1回、開示される化合物を含む組成物の投与を含み得る。
【0113】
処置は、所望の程度の長期間もしくは短期間にわたって継続され得る。上記組成物は、例えば、1日に1〜4回以上のレジメンで投与され得る。適切な処置期間は、例えば、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、もしくは無期限であり得る。例えば、上記処置期間は、代謝障害を処置する場合、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約6ヶ月、もしくは少なくとも約1年、もしくは無期限であり得る。
【実施例】
【0114】
本開示は、以下の実施例によってさらに例示される。以下の実施例は、例示目的で提供されるに過ぎず、本開示の範囲もしくは内容を限定するとは決して解釈されるべきでない。
(実施例1: 化合物S3.1)
【0115】
化合物S3.1を、以下のスキームに従って合成する:
【化18】
そのNMRスペクトルは、
図6に示される。
(実施例2 1−(2−シクロヘキシル−2−オキソエチル)−3−(2−(ピペリジン−1−イル)エチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−オン)
【0116】
名付けられた化合物(下記)を、以下のスキームを使用して調製する:
【化19】
【0117】
最初の工程であるS
NAr反応を、74%収率で行った。化合物2を与えるニトロ還元は、ほぼ定量的である。化合物3の環化は、良好な収率で行われた。最終のアルキル化から、23%収率で生成物4が生じた
(実施例3:)
【0118】
上記化合物を、以下のスキームを使用して調製する:
【化20】
【0119】
最初のS
NAr反応は、良好な収率で行われて、化合物1が得られた。ニトロ還元を、ほぼ定量的な収率で水素化条件下で行った。次いで、ビスアニリン2を環化に関与させて、ベンゾイミダゾール環3を形成した。この反応はまた、良好な収率で(ion good yields)非常に再現性が高い。アルキル化をより大きなスケールで数回再スタートし、精製後、充分量の生成物を完全に回収した。
(実施例4)
【化21】
【0120】
化合物22187の合成の間に得られるベンゾイミダゾロン5から出発して、アルキル化を42%収率で行った。その生成物をBoc脱保護工程において使用して、化合物7を得た。
(実施例5)
【化22】
【0121】
合成を、インダゾールの求電子性ヨウ素化で開始した。生成物を、精製後に87%収率で得た。並行して、アダマンタンエチルブロミドを、良好な収率でアルコール誘導体から調製した。インダゾールの脱プロトン化/アルキル化は、所望の生成物1の回収を68%収率で可能にした。プロパルギルピペリジンをまた、良好な62%収率で調製した。標準的な条件下で薗頭反応を行って、化合物2を82%収率で得た。水素化条件下での還元から、精製後に55%収率で最終生成物3が得られた。
(実施例6)
【0122】
以下の表1に列挙される化合物を、本明細書で記載される手順に類似の手順を使用して調製した。NMRスペクトルは、
図8に示される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
実施例7:Tリンパ球増殖の阻害
【0123】
選択した化合物を、Tリンパ球増殖を阻害するそれらの能力についてスクリーニングした。
【0124】
ヒト末梢血リンパ球(PBL)を、Ficoll−Isopaque密度勾配遠心分離法によって健常ボランティアの全血から単離した。洗浄後、percoll密度勾配遠心分離法によって単球をリンパ球から分離した。そのリンパ球を、10% 熱非働化ウシ胎仔血清を補充したIMDM(Gibco、Verviers、Belgium)中で培養した。
【0125】
細胞を、96ウェルプレートの中に播種し、PHA(10μg/ml)および対応する濃度の薬剤で刺激した。24時間後、トリチウム化チミジンを各ウェルに添加し、一晩静置した。翌朝に、マイクロベータカウンターで増殖を測定した。未処理条件を100%に設定して、グラフをプロットした。
【0126】
図1Aおよび1Bに示されるように、化合物S3.1、S3.4、S4.1、およびS4.4の抗増殖効果を、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、およびヒドロコルチゾン)と比較する。上記化合物の能力を試験するために、増殖の阻害を、既知のコルチコステロイドに対してプロットした(
図1A)。デキサメタゾンは、この実験で使用される最も強力なコルチコステロイドであり、公知の最も強力な抗炎症薬のうちの1つでもある。プレドニゾロンは、より一般に使用されるコルチコステロイドであり、ヒドロコルチゾンは、副腎皮質で生成されるステロイドの等価物である。
【0127】
図1Bは、種々の濃度において、上記化合物(S4.1およびS4.4)と、化合物(S3.1およびS3.4)との、リンパ球増殖の阻害を比較する。
【0128】
フィトヘマグルチニン(PHA)を使用するリンパ球のインビトロ刺激を、スーパー抗原エンテロトキシンB(SEB)刺激Tリンパ球と比較した。化合物を、PHA刺激リンパ球増殖を完全に、およびSEB刺激増殖を部分的に抑制するそれらの能力について評価した。
【0129】
リンパ球を、6ウェルプレートの中に播種し(1.0×10
7/ウェル)、10分間、S3.1、S3.4もしくはデキサメタゾンで予備処理し、10分間PHAで刺激した。その実験を、大容量の氷冷PBSを上記細胞に添加することによって停止した。上記懸濁物をチューブに移し、遠心管中で短時間遠沈し、上清を除去した。そのペレットを、冷溶解緩衝液(0.1% NP40、50mM TrisHCl、1mM EDTA、1mM EGTA、150mM NaCl、200μM Na
3VO
4、10mM NaFおよびプロテアーゼインヒビター)を添加し、氷上で20分間インキュベートすることによって溶解した。
【0130】
S3.1およびS3.4での処置によって影響を受けた細胞シグナル伝達事象を調査するために、溶解物にサンプル緩衝液(188mM Tris−Cl (pH 6.8)、3% SDS、30% グリセロール、0.01% ブロモフェノールブルー、15% β−メルカプトエタノール)を補充し、95℃へと5分間加熱し、氷上で冷却し、超音波処理した。次いで、サンプルを、10% SDS−PAGEゲルで泳動し、PVDF膜にブロットし、ホスホ−Zap70(Cell Signaling Technology (Beverly,MA))に対する抗体およびホスホ−LAT(Cell Signaling Technology (Beverly,MA))に対する抗体とともにインキュベートした。上記サンプルの負荷量が等しいことを示すために、上記ブロットを、β−アクチンに向けられる抗体(Santa Cruz Biotechnology (Heidelberg,Germany))とともにインキュベートした。
【0131】
キナーゼLckは、T細胞レセプター(TCR)の刺激に際して活性化される最初のかつ最も上流のキナーゼのうちの1つであるので、TCR関連シグナル伝達のゲートキーパーとして作用する。TCRの下流のシグナル伝達は、S3.1およびS3.4処置によって阻害されるので、Lckとの相互作用を、Lckを免疫沈降させ、Hsp90に関してブロットすることによって調査した。免疫沈降実験のために、1.0×10
7細胞を、条件ごとに使用した。細胞をペレットにし、先に記載されるように溶解した。その上清を、10μl プロテインA/G UltraLink樹脂(Pierce Biotechnology,Rockford,USA)を30分間4℃で添加することによって、予め清澄にした。ビーズを遠沈し、廃棄した。サンプルを、2μg 一次抗体および25μl ビーズとともに2時間4℃でインキュベートした。ビーズをPBSで洗浄し、サンプル緩衝液を添加し、95℃へと5分間加熱した。
【0132】
化合物S3.1およびS3.4の抗増殖効果は、ウェスタンブロットによって調査されたとおり、T細胞レセプター(TCR)関連シグナル伝達の喪失においてさらに反映される(
図2Aおよび
図2Bを参照のこと)。キナーゼZap70および足場タンパク質LATはともに、刺激された未処理コントロールと比較して、より低いリン酸化レベルを示した(
図2A)。グルココルチコイド(GC)に類似して、デキサメタゾン処理により、リンパ球特異的プロテインチロシンキナーゼ(LCK)とそのシャペロンHsp90との間の相互作用は喪失した(
図2B)。この相互作用は、分解からLCKを保護する。まとめると、これは、最終的には、増殖の喪失および結果としてサイトカインレベルの低下を生じるLCKおよび下流のシグナル伝達事象に影響を及ぼす、TCR近くのシグナル伝達に対する効果を確認する。
実施例8:毒性評価(HELA子宮頸がん細胞に対するMTS生存率アッセイ)
【0133】
化合物S3.1およびS3.4を、複数のがん細胞系(HCT116、Hela、293T)に対して試験して、MTS生存率アッセイを使用して毒性を評価した。細胞系を3日間10μMで処理した。細胞を、96ウェルプレートの中で100μl 培地中複数の濃度で播種した。翌日、S3.1もしくはS3.4を、各ウェルに濃度10μMで添加した。細胞生存率を試験するために、20μlのMTS溶液(Promega,Madison,USA)を各ウェルに添加し、4時間インキュベートした。青色のホルマザンの形成は、490nmでの吸光度を、96ウェルプレートリーダーを使用して測定することによって決定した。ホルマザンは、MTSが細胞によって還元されるときに生成される。MTSのターンオーバーは、細胞の生存率と相関する。
【0134】
図3で認められるように、上記化合物は、生存率もしくは増殖に対していかなる負の効果をも生じなかった。
(実施例9:グルココルチコイドとの比較および副作用の評価)
【0135】
上記化合物は、GC処理の効果に類似の効果について選択され、GC処理は重篤な望ましくない副作用を伴うことが公知であるので、上記化合物を、GC調節される遺伝子を誘導するそれらの能力についてスクリーニングした。GRE−ルシフェラーゼレポーター構築物を含む細胞系を使用して、試験を行った。GREとは、グルココルチコイド応答エレメント(これにリガンド結合グルココルチコイドレセプターが結合する特異的なDNA配列)を指し、ルシフェラーゼは、ルシフェリンの酸化(生物発光が付随する反応)を触媒し得るタンパク質をコードする遺伝子である。
【0136】
293 GREがん細胞を、Panomics(Vignate−Milano,Italy)から購入した。細胞を、24ウェルプレートの中に1×10
5細胞/ウェルで播種した。48時間後に、細胞を、化合物もしくはデキサメタゾンで一晩処理した。ウェルを吸引し、上記細胞を、100μl 溶解緩衝液(Promega,Madison,USA)を各ウェルに添加することによって溶解した。10μlのその溶解物を、100μlのルシフェラーゼ基質に添加した。生じた光を、ルミノメーターで測定した。GR調節された遺伝子のトランス活性化がない(一般的なGRリガンドでの場合のように)を示すために、コルチコステロイド処理の2つの周知の副作用を調査した。
【0137】
図4a/4b 脂肪生成:
図4A/4Bは、3T3−L1マウス線維芽細胞をDMEM +10%FCS中で培養した後の結果を示す。完全なコンフルエントに達した後に、培地にインスリン(1.6μM)、IBMX(0.5mM)およびデキサメタゾンもしくはS3.1もしくはS3.4(0.25μM)を補充した。2日後、上記培地を、インスリンを含む増殖培地で置き換えた。6日後、この培地を増殖培地で置き換えた。1週間後、脂質液滴の生成を、オイルレッドO染色によって可視化し、定量した。簡潔には;細胞を、15分間4% パラホルムアルデヒドで固定し、PBSで洗浄し、4.4mM オイルレッドO/イソプロパノール溶液中で10分間インキュベートし、2×10分間H
2Oで洗浄し、グリセロール中にマウントした。
図5a/5bは、筋萎縮症C2C12マウス筋芽細胞をDMEM +5%FCS中で培養した後の結果を示す。細胞が90%コンフルエントに達した場合、培地を、5%HSおよび1μM インスリンを補充したDMEMで置き換える。2日後、上記細胞を4μg/ml AraCで処理する。1週間後、細胞を、24時間、10μM デキサメタゾンまたはS3.1またはS3.4で処理した。上記細胞を冷2% グルタルアルデヒド溶液中で一晩固定することによって、実験を停止した。この固定法は、自己蛍光を引き起こし、上記細胞の容易な可視化を可能にする。形成された筋線維の厚みを測定し、Adobe photoshop CS4を使用して定量した。
【0138】
インビトロマウス筋芽細胞系C2C12アッセイにおいて、上記化合物はいずれも、その各々が報告されているGC処理の副作用である、筋芽細胞の脂肪細胞への分化も誘導せず(
図4Aおよび
図4B)、筋線維厚の喪失も引き起こさない(
図5Aおよび
図5B)。
(援用)
【0139】
本明細書で言及される特許文献および科学文献の各々の全開示は、全ての目的で参考として援用される。
(等価物)
【0140】
本発明は、その趣旨もしくは本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的形態で具現化され得る。上記の実施形態は、従って、本明細書で記載される発明に対する限定ではなく、あらゆる点で例示であると考えるべきである。従って、本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、本特許請求の範囲の等価物の意味および範囲内にある全ての変更が、そこに包含されるものと解釈される。
【国際調査報告】