(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-521777(P2015-521777A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(54)【発明の名称】室温でペースト状又は液体の接点を有するチップカード
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20150703BHJP
【FI】
G06K19/077 212
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-519188(P2015-519188)
(86)(22)【出願日】2013年7月2日
(85)【翻訳文提出日】2014年12月15日
(86)【国際出願番号】EP2013063899
(87)【国際公開番号】WO2014006024
(87)【国際公開日】20140109
(31)【優先権主張番号】102012211546.3
(32)【優先日】2012年7月3日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】514309480
【氏名又は名称】モルフォ カーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クルール、トアルフ
(72)【発明者】
【氏名】センゲ、カルステン
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、第1電気構成部分(102、104)及び第2電気構成部分(106)を備えるチップカードに関し、第1電気構成部分及び第2電気構成部分は導電性材料(112)を介して互いに接触され、材料(112)は金属又は合金からなり、金属又は合金は室温でペースト状又は液体である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電気構成部分及び第2電気構成部分を備え、前記第1電気構成部分及び前記第2電気構成部分は導電性材料を介して互いに持続的に接触され、前記導電性材料は金属又は合金を含み、前記金属又は前記合金は室温でペースト状又は液体である、チップカード。
【請求項2】
カード本体を備え、前記導電性材料は、前記カード本体、前記第1電気構成部分、および前記第2電気構成部分のうちの少なくとも1つに包囲される、請求項1に記載のチップカード。
【請求項3】
前記導電性材料は、付着剤により少なくとも部分的に包囲される、請求項2に記載のチップカード。
【請求項4】
前記カード本体は、凹部を有し、前記導電性材料は少なくとも部分的に前記凹部内に収容され、前記第1電気構成部分および前記第2電気構成部分は前記凹部の互いに対向する両側面上に互いに対向して配置される、請求項2又は3に記載のチップカード。
【請求項5】
前記第1電気構成部分及び前記第2電気構成部分の接触状態では、前記凹部に前記導電性材料が不完全に充填される、請求項4に記載のチップカード。
【請求項6】
前記凹部は、スロット形状を有する、請求項5に記載のチップカード。
【請求項7】
前記導電性材料は、有機化合物を含まない、請求項1から6のいずれか一項に記載のチップカード。
【請求項8】
前記第1電気構成部分および/または前記第2電気構成部分は迂曲する接触域を有し、前記第1電気構成部分および前記第2電気構成部分間の前記接触は前記迂曲する接触域を介して生ずる、請求項1から7のいずれか一項に記載のチップカード。
【請求項9】
前記第1電気構成部分および/または前記第2電気構成部分は、チップモジュール、導体トラック、アンテナ、スイッチ、ディスプレイ、バッテリ、またはセンサを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のチップカード。
【請求項10】
前記第1電気構成部分および前記第2電気構成部分の接触状態では、前記第1電気構成部分及び前記第2電気構成部分間の前記接触は、前記導電性材料の前記第1電気構成部分および前記第2電気構成部分への付着により生ずる、請求項1から9のいずれか一項に記載のチップカード。
【請求項11】
チップカードを製造する方法であって、
チップカード本体内に第1電気構成部分を設ける段階と、
前記第1電気構成部分上に導電性材料を設ける段階であり、前記導電性材料は金属または合金を含み、前記金属または前記合金は室温でペースト状または液体である、段階と、
第2電気構成部分を前記導電性材料に接触させる段階と、
を備える方法。
【請求項12】
前記導電性材料を包囲する段階をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記導電性材料は、
容積計量と、
印刷方法と、
少なくとも1つの凹部を含むキャリアの供給と、のうちの少なくとも1つにより設けられ、前記凹部は前記導電性材料を含み、前記キャリアは前記第1電気構成部分に利用される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記チップカードの前記第1電気構成部分は、前記チップカード本体を用いて提供され、
前記方法は、さらに、前記チップカード本体内に凹部を作成する段階を備え、
前記容積計量は、前記凹部に前記導電性材料を計量供給することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記導電性材料は、前記導電性材料の物質の固体状態で利用され、前記固体状態は冷却することによりもたらされる、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2電気構成部分は、冷却することによりもたらされる前記導電性材料の物質の前記固体状態で前記導電性材料に接触させられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
設けられた前記導電性材料を振動する段階をさらに備える、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1電気構成部分、前記第2電気構成部分、前記凹部、および前記導電性材料のうちの少なくとも1つを前処理する段階をさらに備える、請求項13または14に記載の方法。
【請求項19】
前記前処理する段階は、
前記第1電気構成部分、前記第2電気構成部分、前記凹部、および前記導電性材料のうちの少なくとも1つの加熱と、
前記第1電気構成部分、前記第2電気構成部分、プラズマを用いる前記凹部、および前記導電性材料のうちの少なくとも1つの処理と、
前記第1電気構成部分、前記第2電気構成部分、前記凹部、および前記導電性材料のうちの少なくとも1つへの潤滑剤の適用と、
のうちの少なくとも1つを備える、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップカード及びチップカードを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップカードは、通常、例えば構成部分、例えばチップモジュールをチップカード本体に導入することにより製造される。チップモジュールのようなモジュールの他に、典型的なチップカードは、さらに、アンテナ又はバッテリのような電気構成要素も備える。モジュールの接点とさらに付け加えられた電気構成部分の接点との間の導電接続は、一般に、このタイプのチップカードの動作のために必須である。ここで、この導電接続は、少なくとも2つのコネクタからなる。2つのコネクタは、一面内に配置して設けられ、それらの間の短絡を回避するために互いから空間的に完全に分離されている。
【0003】
チップモジュールのチップカード本体への導電接続によりチップカードを製造するための方法は、国際公開第2011/082765号より知られている。チップモジュールは熱可塑性の導電エラストマ材料を用いてチップカード本体に付着接続され、それにより、チップモジュールはチップカード本体の少なくとも1つの電気接触域に導電接続される。
【0004】
独国特許出願公開第69820684号明細書には、カードキャリア内に埋め込まれ、終端点及び/又はアンテナにより形成されるインターフェース素子に接続される出口タブを備えるマイクロ回路を備えるチップカードが開示されている。ここで、出口タブとインターフェース素子との間のコネクタは、導電性物質を用いて製造される。注射器などを用いて設けられる導電性物質は、低粘性を有し、その適用及び重合の後に弾力を維持して、ベルトを形成する。終端点またはアンテナは、低粘性を有し、弾力のある導電性物質、例えば(内側に)導電性粒子を充填したポリマー樹脂からなる。
【0005】
仏国特許出願公開第2624284号明細書には、液体又は粘性材料を用いて、チップカード内の凹部に収容される電気モジュールが開示されている。
【0006】
独国特許出願公開第19500925号明細書には、カード本体に個別に組み込まれた送信モジュールを備える非接触データ転送のためのチップカードが開示されている。この送信モジュールは、誘導性データ及びエネルギ伝送のための少なくとも1つのコイルの形及び/又は容量性データ及びエネルギ伝送のための導電層の形のアンテナを備える。チップモジュールへの電気的連結のため、送信モジュールはコネクタ領域を有する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、改良されたチップカード及びチップカードを製造する改良された方法を提供することにある。
【0008】
本発明の基礎を形成する目的は、独立請求項内の特徴によって実現される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
第1電気構成部分及び第2電気構成部分を備えるチップカードが製造される。ここで、第1電気構成部分及び第2電気構成部分は導電性材料を介して互いに接触され、材料は金属又は合金からなり、金属又は合金は室温でペースト状又は液体である。
【0010】
本発明の実施形態は、導電性材料を介して設けられる導電接続は、チップカードの機械的負荷の下であっても、チップカードの高い耐用年数を保証するという利点を得ることができる。上記の導電接続への技術的要求は、特に、長い耐用年数が要求される高品質のチップカードの場合に高まっている。例えば、使用される材料のたわみ、ねじれ、及び異なる熱膨張係数にもより、強い機械的応力が生ずるため、チップカードを使用することで機械的負荷が生ずる。接点と実際の接続素子の間の機械的応力は、導電性材料のベースト状態又は液体状態により回避されるので、上記の導電性材料により、強固で耐久性のある導電接続が、第1電気構成部分の接点と第2電気構成部分の接点との間で保証することができる。
【0011】
金属又は合金が使われるので、この導電性材料の寿命も保証される。チップカードの耐用年数の期間(通常、10年の範囲)内に蒸発はなく、それゆえに、金属又は合金の選択により、使用される導電性材料の機械的及び電気的特性もさほど変化しない。従って、導電性材料の機械的及び電気的特性、それによりチップカードの基本特性が変わらないことが、チップカードの全耐用年数が終わるまで保証することができる。
【0012】
全体的に、金属又は合金の状態において室温でペースト状又は液体である導電性材料の使用は、第1及び第2電気構成部分の接触域に対する耐疲労フレキシブル接続オプションを提供する。接続は、簡単に、通常生ずる機械的負荷に対処する。これは、身分証明書のような高品質で耐久性のあるチップカードの製造のための、特に極めて重要である。
【0013】
本発明の範囲内で、「ペースト状」の導電性材料は、室温ではもはや自由に流れないが「広がり抵抗」を有する材料を意味すると理解され、それでも、第1及び第2の電気構成部分の接点の機械的負荷と、電気構成部分の接点の得られた修正相対位置と、の場合に耐疲労式で適応できるようなレベルの粘度を有する。用語「ペースト状」は、材料の粘度が10
6mPas以下であるものとして定義することもできる。
【0014】
本発明の実施形態によると、チップカードは、カード本体を備える。導電性材料は、カード本体及び/又は第1電気構成部分及び/又は第2電気構成部分により包囲される。包囲は、材料の非常に低い蒸気圧にも関わらず、長期間に渡って蒸発により生ずる物質的損失を回避することを保証する。これは、外部媒体又は湿気による影響が導電性材料の腐食性負荷をもたらさず、それにより、導電性材料の電気的及び機械的特性が、比較的長い期間に渡ってでさえ、実質的に絶えず維持することができるという利点も有する。全体的に、連続的な耐性及び耐経年性電気接触は、包囲によりもたらされる。
【0015】
本発明の実施形態によると、包囲は少なくとも部分的に付着剤からなる。例えば、第1電気構成部分又は第2電気構成部分は、カード本体に付着結合することができ、それにより、付着結合後、導電性材料がカード本体により包囲され、第1又は第2電気構成部分が包囲される。従って、これは、例えば、カード本体と電気構成部分との間に従来技術において選択される積層及び付着結合処理を使用することができる単純な製造方法を可能にする。
【0016】
本発明の実施形態によると、カード本体は、凹部を備え、導電性材料は少なくとも部分的に凹部内に収容され、第1電気構成部分及び第2電気構成部分は凹部の互いに対向する両側面上に互いに対向して配置される。なお、「凹部内で互いに対向する両側面上」は、本明細書に意図される構成部分の直接に互いに対向する配置だけでなく、構成部分を、互いに横方向にオフセットして配置することも可能であると理解される。
【0017】
凹部により、導電性材料に対する「ガイド」の型が設けられ、それにより、熱膨張又は機械的影響の場合にさえ、材料は第1及び第2構成部分に対して予め定められた空間領域内に留まる。従って、導電性材料は、機械的負荷又は熱膨張が弱まると、持続的にそこに留めるために任意の位置に流れることができない。さらに、カード本体上の凹部を使用することで、上記のチップカードの製造が簡素になる。このために、チップカードは、例えば、そのカード本体及び第1電気構成部分を用いて提供されなければならず、導電性材料は凹部内に計量供給されることになる。代わりに、カード本体は、第1及び第2電気構成部分に接触するために導電性材料とともに提供することもできる。これは、全体的に、チップカードの製造処理を簡素化する。後者の方法では特に、材料は、カード本体とともに冷却された状態で提供することができる(導電性材料を流出から防ぐために)。ここで、冷却状態は、材料の物質状態が固体になるように選択される。
【0018】
本発明の実施形態によると、第1構成部分の接触状態と第2構成部分の接触状態における凹部には、導電性材料が不完全に満たされている。これは、熱膨張の場合又は外側からの機械的応力の誘発の場合に、導電性材料が凹部内に拡がる十分なスペースがあるという利点を有する。従って、第1電気構成部分の接点及び第2電気構成部分の接点に導電性材料を介して作用する機械的力は、最小化される。
【0019】
本発明の実施形態によると、凹部はスロット形状を有する。スロット形状は、チップカードのカード本体に関して特定の方向に向けて提供することができるという利点を有する。チップカードは、通常矩形状であり、チップカードの辺(縦方向)の長さはこれに直交する他の辺の長さより大きい。第1及び第2電気構成部分間の接点は通常カードの縦方向に設けられ、構成部分の1つに関して横にオフセットされるため、凹部の空間はこの縦方向に減少する。これは、上記のシールのための凹部の周囲に設けられる付着剤の空間を最小化する。この点について、この長辺に平行な方向に小さな空間があり、それにより、可能な有利な実施形態は、長辺に直交するように、スロットの延伸方向を選択することができる。従って、全ての方向における高い空間的必要条件を有する単により大きな穴径(円形)を選択する代わりに、構成部分を、スロット形状を用いることで最適な方法で互いに対して配置することができる。
【0020】
本発明の実施形態によると、導電性材料は、有機化合物を含まない。従って、導電性材料の機械的及び電気的特性が、長期に渡って使用されても、実質的に変化しないように保証することができることが保証される。材料の流動性の経年損失及び導電率の経年誘導減少も生じない。加えて、導電性材料の熱感度は、有機化合物がないことにより最小化される。
【0021】
この点について、例えば、導電性シリコン材料の負の特性が参照される。特に、経年の過程に渡って、少しずつその最初に顕著だった弾力性の振舞いを失う。極低い復元力により、そのような材料は、特に、ある経年処理の後、機械的又は熱的負荷による第1及び第2構成部分間の接触間隔の任意の拡大を補償する。これは、チップカードの場合、接点の不通及びそれによるチップカードの機能の障害をもたらす。導電性シリコン材料は、その本質的な導電率に関して経年の対象にもなる。特に、温度変化及び温度衝撃試験において、接続の導電率の減少に伴う劣化が生じる。
【0022】
本発明の実施形態によると、第1電気構成部分は、迂曲する接触域を備える。第1電気構成部分及び第2電気構成部分間の接触は接触域を介して提供される。迂曲形における接触域の実施形態は、第1電気構成部分との接点に入る導電性材料の可能性が最大化される利点を有する。同じことが、迂曲形の第2電気構成部分の接触域の実施形態に関しても成り立つ。
【0023】
なお、第1及び第2電気構成部分間の良好な接触の可能性の最大化は、代わりに、大きな領域に連続的に、対応する接触域を形成することにより最大化することもできる。しかし、これは接触域に関して高い材料費用を要し、そのために、特に大量製造方法の場合に、迂曲する接触域を使用することでコスト削減が可能である。さらに、迂曲形は、接触に使用される「ワイヤ」をカード本体に直接適用することを可能にする。特に、アンテナの場合の「電気構成部分」と接触域の場合の「ワイヤ」は同一である。これは、例えばカード本体内のアンテナを製造する際に用いられるエッチング法と比べて、チップカードの製造を簡素化する。
【0024】
本発明の実施形態によると、第1電気構成部分及び/又は第2電気構成部分は、チップモジュール又は導体トラック又はアンテナ又はスイッチ又はディスプレイ又はバッテリ又はセンサを備える。
【0025】
本発明の実施形態によると、接触状態における第1電気構成部分及び第2電気構成部分の間の接点は、導電性材料の第1電気構成部分の接点及び第2電気構成部分の接点への付着より生じる。これは、付着結合接続は、導電性材料を介した第1及び第2電気構成部分間の接触を保証するために必要でなくなるという利点を有する。外部からの機械的影響に関係なく、導電性材料が第1及び第2電気構成部分と接触し続けることが継続的に保証される。
【0026】
更なる態様では、本発明は、チップカードを製造する方法に関し、チップカード本体内に電気構成部分を設けるステップ及び第1電気構成部分に導電性材料を実質的に設けるステップを備える。材料は金属または合金からなり、金属又は合金は室温でペースト状または液体である。最後に、第2電気構成部分は、導電性材料を用いて、例えばカード本体内の素子の同時機械的固着(付着結合)に接触させられる。
【0027】
本発明の実施形態によると、方法は、さらに、導電性材料の包囲を備える。
【0028】
本発明の実施形態によると、導電性材料は、容積計量及び/又は印刷方法を用いて、及び/又は少なくとも1つの凹部を含むキャリアの供給により設けられ、凹部は材料を備え、キャリアは第1電気構成部分に接触される。
【0029】
特に、容積計量は、費用対効果のある適用方法が分注により使用することができるという利点を有する。
【0030】
本発明の実施形態によると、チップカードの第1電気構成部分はカード本体上に設けられ、方法は、さらに、カード本体内に凹部を作成する段階を備え、容積計量は、凹部に材料を計量供給することを含む。従って、導電性材料はすでにキャリアの凹部内に設けられ、キャリアは第1電気構成部分に接触されてよい。代わりに、電気構成部分及びキャリアは、最初に、ともに設けられる。凹部はカード本体内に設けられるだけで(凹部はそれまでに設けられない)、材料はすでに設けられた凹部内に容積計量される又は生成される。
【0031】
本発明の実施形態によると、導電性材料は、材料の物質の固体状態で利用され、この状態は冷却することによりもたらされる。これは、特に液体材料の場合、導電性材料の接点からの排出が回避されるため、導電性材料の適用を簡素化することができる。それにより、導電性材料を、非常に目的志向の方法において接触域に至らせることができる。
【0032】
本発明の実施形態によると、第2電気構成部分は、冷却することによりもたらされる材料の物質の固体状態で、導電性材料に接触させられる。一度だけ接触される構成部分が所定の位置にあると、それにより、導電性材料に対して、その液体又はペースト状態を採用することができる。従って、これは、チップカードの製造処理の工程中、導電性材料の流出又は実際の目標位置からなくなることが防止されるという事実もアシストする。
【0033】
本発明の実施形態によると、方法は、設けられた材料を振動するステップをさらに備える。対応する振動デバイスが、この目的に使用することができる。振動は、導電性材料が、特にチップカードの第2電気構成部分が接触させられる前に、第2電気構成部分に面する側に例えば滴形をとる、又は少なくとも第1電気構成部分から離れる方向を向く導電性材料の側面が均一で滑らかな表面構造をとることを保証する。特に、材料が例えば上記の凹部に容積計量されると、それにより、「ローブ」形状が、容積計量に使用されるニードルを除去した後に、その材料のニードルを除去した点に形成される。ここで、第2電気構成部分(その接触域)がこのローブに直接設けられると、それにより、非一様な接触が生ずる。
【0034】
しかし、特に導電性材料の適用の後、導電性材料を光学的に測定することが考えられる。例えば、導電性材料は、第1電気構成部分から離れる方向に、凹部からある範囲に突き出る。材料が凹部から突き出る範囲は、導電性材料の適用量の目安である。光学的測定により、十分な材料が導入されているかどうかを監視することが可能である。一方、「ローブ」が存在する場合、光学的測定は正確でない。しかし、機械振動処理により、均一で滑らかな表面の形成、凸面の形成、又は球面の形成さえ、材料の凝集力により始まる。これは、再現可能な方法で、光学的測定を実行することを可能にする。
【0035】
本発明の実施形態によると、方法は、さらに、第1及び/又は第2電気構成部分及び/又は凹部を前処理するステップをさらに備える。これは、導電性材料の第1及び/又は第2電気構成部分への及び/又は凹部への付着が選択的に促進されるという利点を有する。一方、これは、構成部分と導電性材料との間の接触を促進する。一方、これは、製造手順の間に、使用される製造機械の1つの処理ステーションから次の処理ステーションへのカード本体の素早い輸送過程により、その慣性モーメントにより、導電性材料の物質的損失がないことを保証する。これは、カードが、次のステーションに輸送するために、輸送過程の間、非常に迅速に加速されるからである。
【0036】
本発明の実施形態によると、前処理は、
第1電気構成部分の、及び/又は第2電気構成部分の、及び/又は凹部の、及び/又は導電性材料の選択的加熱、及び/又は、
プラズマを用いた第1電気構成部分の、及び/又は第2電気構成部分の、及び/又は凹部の、及び/又は導電性材料の処理、及び/又は、
第1電気構成部分の、及び/又は第2電気構成部分の、及び/又は凹部の、及び/又は導電性材料への潤滑剤の適用、
を備える。
【0037】
特に、加熱、例えば第1及び/又は第2電気構成部分の、及び/又は凹部の、及び/又は導電性材料の選択的加熱により、材料の付着及び/又は接触が簡単な方法で改善されるという利点が得られる。
【0038】
プラズマ、例えば大気圧プラズマの使用により、同じ効果が得られる。ここで、材料の、特に第1電気構成部分を収容する凹部の底の表面特性がさらに最適化される。潤滑剤の使用は、可能な最大の領域にわたる導電性材料の付着に対する流れ特性を著しく改善する。プラズマ処理及び/又は潤滑剤の使用により、凹部の底がより素早く濡らされ、底上に導電性材料の改善された結合が存在する。上記の輸送過程を用いて、底からの導電性材料の望ましくない剥離の可能性が最小化される。
【0039】
金属又は合金を用いる接触は、高い耐経年性を有し、特に、銅のような強い耐酸化性の材料から形成される接触域は、酸化及び腐食に対して合金により保護もされる。そのような接触は、使用される導電性材料の性質により、非常に広い温度範囲内で非常に安定でもある。従って、チップカードは、実質的にすべての周囲の温度で、自由な方法で格納され、使用される。
【0040】
なお、一般に、特に無毒性である合金が、導電性材料としてむしろ使用される。従って、特に溶媒を含む接触手段と比較して、製造方法に係る環境又は個人を害するリスクのない環境に優しい方法でチップカードを製造することができるという利点も実現することができる。ユーザの健康も、損なわれない。
【0041】
上記の方法は、例えば、少なくとも1つの電子構成に又はチップモジュール、センサ、バッテリ、スイッチ、アンテナ、ディスプレイ等のような電子構成部分を備えるチップカードに適用することができる。ここで、様々な電気構成要素又は構成部分の接点又は複数又は1つの同じ電気構成部分の様々な接点が互いに導電接続される。この場合、方法は、特に、チップモジュール及びRFIDアンテナ(又は非接触通信のための同様のアンテナ)の間の導電接続を製造するためのデュアルインターフェースチップカード(DIC)として知られるものを用いて使用することができる。しかし、一般に、それらの機能がもっぱら電気伝導率(例えば、電気接続素子、導体トラック、アンテナブリッジ等の接触)に限定される素子、及び導電接続に加えて、さらに、例えば、スイッチ、回路、アンテナ、安全機構等の機能を提供する素子も、上記の方法を用いて形成することができる。
【0042】
デュアルインターフェースチップカード(DIC)として知られるものは、いずれも同じチップモジュールにより制御される接触型及び非接触型データ送信インターフェースを用いて形成されるチップカードである。しかし、方法は、ハイブリッドチップカードとして知られるもの、すなわち、いずれもそれら自体のチップモジュールにより制御される接触型及び非接触型データ送信インターフェースを有するチップカードに対しても使用することもできる。非接触型チップカードを製造する方法は、非接触型データ送信インターフェースを用いて使用することもできる。あらゆる場合に、使用されるアンテナとチップモジュールとの間の電気接続を対応する接続技術を用いて製造する必要がある。ここで、前述の導電性材料を使用することができる。
【0043】
なお、上記の本発明の実施形態は、組み合わせた実施形態が相互に排他的でなければ、任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の好ましい実施形態は、図面に基づいてより詳細に説明される。
【0045】
【0046】
【
図2A】チップカードを製造する方法ステップの1つを示す。
【
図2B】チップカードを製造する方法ステップの1つを示す。
【
図2C】チップカードを製造する方法ステップの1つを示す。
【
図2D】チップカードを製造する方法ステップの1つを示す。
【
図2E】チップカードを製造する方法ステップの1つを示す。
【
図2F】チップカードを製造する方法ステップの1つを示す。
【0047】
同様の素子は、以降、同じ引用符号により示される。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1A及び
図1Bは、上記のチップカードを製造するための製造ステップの図式的概観を示す。最初に、その電気接点104を有する第1電気構成部分102が既に、例えば積層工程により埋め込まれたカード本体100が確認できる。カード本体100は、さらに、導電性材料112が設けられる凹部110を備える。導電性材料は、室温でペースト状又は液体である。
【0049】
さらに、第2電気構成部分の接点は、
図1A内に確認することができる。ここで、接点は、引用符号106により示される。方向108への移動、すなわち、カード本体100の表面に垂直な方向への移動により、
図1A内の接触域106は導電性材料112に接触される。
【0050】
特に、導電性材料112の物質の液体状態の場合、導電性材料112は、カード本体100の対応する振動処理後の凝集力により、接触域106に面する側に略球形状をとる。一方、接触域104に面する側で、接触域104は、接触域104と材料112の間の付着力により、材料112により濡らされている。
【0051】
図1Bにおいて、電気接続が、導電性材料を介して接点106と接点104の間に設けられることを確認できる。方向108に接触域106を配置することにより、導電性材料は変形を受け、元の球形状から楕円体状が形成される。さらに、接触域106は、同様に、接触域106と材料112の間の付着力により、接触域106に面する側で材料112により濡らされている。
【0052】
図1Aにおいて導電性材料112は凹部110を十分に満たさないため、材料は、凹部の縦方向に、すなわち
図1Bにおけるカード本体100の短辺方向における左右に拡がることができる。それにより、カード本体100の短辺に平行な方向に縦に延びる細長い形状が設けられる。
【0053】
図1Bにおいて、外部からの機械的影響により力が方向108に作用すると、これは接触域106を及びおそらくカード本体100もわずかに変形させる。しかし、導電性材料112が、その液体又はペースト状の粘度により、接触域106の及び/又はカード本体100の対応する変形に疲労することなく適応できるため、これは、接触域106及び接触域104間の電気接点に影響しない。従って、材料112は、所謂力効果及び機械変形を回避することができ、例えば、その楕円体状を
図1Bにおける左右に拡張することができる。
【0054】
接触域104及び106を互いから離しても、これらの2つの接触域間の電気接点は同様に維持されることも利点である。例えば、接触域106が、カード本体100上で方向108とは逆にわずかに上がると、液滴112のウエストが接触域の上昇によりスリムになって、材料112は例えば「砂時計」のような型になる。ここで、領域106の上昇の考えられる原因には、例えば、接触域106をカード本体から持ち上げることのできる例えば50−100μmの範囲の機械的影響が含まれる。
【0055】
カード本体100の過酷な加熱の場合においてでさえも、例えば、特定の期間にわたって、チップカード100がヒータのような温かい表面上に残されても、導電性材料112は接点104及び106の如何なる機械的影響も受けることなく熱膨張を受け得る。凹部110は、この目的のために、十分なスペースを提供する。
【0056】
導電性材料112の形状変化の説明したすべての場合において、材料112と接点106又は104との間の付着により、電気接点が、変わらない形状で良好に維持され続けることが保証される。
【0057】
図1A及び
図1Bにおいて、室温で液体又はペースト状の金属又は室温で液体又はペースト状の合金が使用されるとまとめることができる。これは、最初に、適当な接触方法を用いて、例えば、カード本体100内に埋設された接触域104、カード本体内に埋設された構成部分102、例えばアンテナへの容量分注を用いて、適用される。続くステップにおいて、さらに付け加えられた電気構成部分、例えばチップモジュールが、その接点106を介してチップカード本体内に又は上に導入又は接触される。それにより、接触域106は合金又は金属112に接触し、材料が接触域に付着結合する。
【0058】
上記の方法を用いて、2つの付着結合接続を各導電接続に対して、特に、導電性材料とチップカード本体に埋め込まれた第1電気構成部分の接触域との間に1つ、導電性材料と接触域106との間に1つ、設けることができる。なお、特許請求の範囲を含む記載全体の範囲内で、一般的に、特にその組成と接触域の組成による適当な合金の特定の選択により、「合金化」(例えば、金属間フェーズ又は化合物の形成)をもたらすための付着結合を超える可能性がある。合金の接触域へのこの合金化は、新しいフェーズ形成をもたらし得る。それにより、例えば、電気接触がさらに改良される。電気構成部分間の電気的に非常に効率的な導電性及び最大限の耐経年性接続が、その品質に関してはんだ付接続と同等に実現することができる。
【0059】
なお、一般に、特許請求の範囲を含む記載全体の範囲内で、合金は、例えばスズ、ビスマス、ガリウム、インジウム、ロジウム、銀、及び亜鉛を含む複合合金系に由来する。しかし、このリストは、最終的なものと解すべきではない。
【0060】
図2Aから
図2Fは、チップカードを製造するための様々な方法ステップの図式的概観を示す。
【0061】
カード本体100の断面図及びカード本体100の平面図が、
図2Aから
図2Fに、各方法ステップに対して示される。方法は、
図2Aにおいて、接触域104が埋め込まれるカード本体100の用意から始まる。例えば、接触域104はアンテナの一部である。分かるように、接触域104は迂曲している。このため、導電性材料を用いた良好な接触の可能性が増大する。この意図は、後で、特に
図2C及び
図2Dに関連してよく理解することができる。
【0062】
図2Bにおいて、まず、2つの異なる凹部が設けられる。一方は、設けられるチップモジュールを受けるための窪みを構成する凹部202である。従って、
図2Aから
図2Fにおける実施形態では、一般的に、接触される第2電気構成部分はチップモジュールとして知られるものと、特に制限されることなく仮定される。さらに付け加えられた窪み200は、主として、方法の最後(
図2F)で、それを介して、チップモジュールをカード本体100に持続的に接続することができる接着域を設ける目的のために使用される。
【0063】
凹部200及び202が設けられると、
図2Cにおいて、凹部110が、例えばフライス加工により設けられる。ここで、フライス加工の手順が、設けられるチップモジュールの付着域(窪み200)の領域内で、迂曲する接触域104の上で取られる。内在する迂曲する接触域は、
図2Cにおいて、カード本体の平面視において凹部110を通して見ることができる。
【0064】
図2Dでは、続く方法ステップにおいて、導電性材料が凹部110に導入される。迂曲接点ループ104により、迂曲巻線の少なくとも1つは、高いレベルの確率で、導電性材料112に電気的に接続されることが保証される。
図2Cのステップにおける凹部110のフライス加工が不正確であっても、接点104及び導電性材料112間の良好な接触が、高いレベルの確率で、実現できることが保証される。
【0065】
最後に、
図2Eにおいて、チップモジュールが導入され、以降、引用符号204により示す。チップモジュールは、上面210のほかに、接触域106も含む。これらは、同様に迂曲してよい。電気接続は、導電性材料110を介して、これらの接触域106と接点104の間に設けられる。このために、チップモジュール204は、カード本体100上に方向108に取り付けられる。接触域106の外側を取り囲むチップモジュール204の接着域206は、湿気に関して凹部110をシールするためにも使用される。このために、接着域206を、接着域200に接触する。対応する接着処理を用いて、
図2F内に見られるように、導電性材料112は凹部110内に完全に包囲される。このために、接着域206は、接触域106を完全に取り囲む。例えば、接着域206は、凹部110を完全に取り囲む。
【0066】
結果として、チップカードが
図2Fに見ることができるように製造される。その上面上で、チップカードは、さらに、チップモジュール204の接触域210を備える。
【0067】
なお、まとめると、導電性材料は、例えば分注により、凹部110内に費用効果的に導入することができる。材料を活性化するために供給されるべき熱エネルギはなく、加えて、導電性材料は、通常、導電性接着剤より大きい導電率を有する。さらに、一般的に記載された方法によると、設けられた材料が架橋又は硬化するまでの間、待つ必要はなく、従って、例えば、チップモジュールを、金属又は合金を設けた直後の製造処理においてカード本体内に導入することができる。例えば、処理の出力を増大することができる。
【符号の説明】
【0068】
100 カード本体
102 第1電気構成部分
104 接点
106 接点
108 方向
110 凹部
112 導電性材料
200 凹部
202 凹部
204 チップモジュール
206 接着域
210 接触域
【国際調査報告】