特表2015-521844(P2015-521844A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-521844(P2015-521844A)
(43)【公表日】2015年8月3日
(54)【発明の名称】コーヒーの芳香化
(51)【国際特許分類】
   A23F 5/10 20060101AFI20150707BHJP
   A23F 5/02 20060101ALI20150707BHJP
【FI】
   A23F5/10
   A23F5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-520086(P2015-520086)
(86)(22)【出願日】2013年6月28日
(85)【翻訳文提出日】2015年2月23日
(86)【国際出願番号】NL2013050469
(87)【国際公開番号】WO2014003566
(87)【国際公開日】20140103
(31)【優先権主張番号】12174343.9
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ファン ルーン−ポスト, アンジェニータ ドロシア
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FB21
4B027FC01
4B027FK08
4B027FK15
(57)【要約】
【課題】添加物を含まないで調製可能である芳香化されたコーヒーを提供する。また、コーヒーの芳香化ため、焙煎し挽く通常の工程以外の扱いを必要としない方法を提供する。
【解決手段】コーヒー豆を芳香化する方法が開示される。該豆は、生又は焙煎されたものであって、挽かれていてもよく、芳香発生物質を取り除く前に、効果的な保持時間の間、芳香発生物質と一緒に置かれる。該芳香発生物質は、好ましくは乾燥し固形の天然物質、例えば無傷の又は挽かれた形状のシナモンまたはバニラのスティックである。本発明はまた、焙煎されたコーヒー豆と、取り除きうる仕方で置かれた芳香発生物質の両方を含む包装に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーを芳香化するための方法であって、1の環境内に捕捉された、無傷の又は挽かれたコーヒー豆と少なくとも1の芳香発生物質とを効果的な保持時間の間保持すること、そして前記芳香発生物質を取り除くこと、を包含する、上記方法。
【請求項2】
該コーヒー豆は、焙煎されたコーヒー豆である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該コーヒー豆は、生豆である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該生豆に焙煎を施すことがその後に行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該芳香発生物質は、スパイス、ハーブ、果実、花、およびこれらの混合物から成るグループから選択された天然物質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該芳香発生物質は、好ましくは保持用具、例えばフィルタバッグ内に保持された、固形の乾燥物質である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該無傷の若しくは挽かれた豆と該芳香発生物質とがその中に捕捉される該環境は、包装、例えばバッグ、缶、カートリッジ若しくは瓶、またはチャンバー、例えば器、サイロ、トラック、貨車、および船舶コンテナから成るグループから選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
生コーヒー豆および芳香発生物質が、1の布製バッグまたは1のサイロ内に捕捉されて保持されている、請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
無傷の又は挽かれた焙煎コーヒー豆および芳香発生物質が、1の包装内に捕捉され保持されている、請求項2または5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該芳香発生物質は、揮発性の該芳香発生物質に対して透過可能な、該包装内の保持用具内に容れられ、それから該無傷の又は挽かれた焙煎コーヒー豆は分離可能である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
該包装は、少なくとも2つの小室を備える1のカートリッジであり、そして該コーヒー豆および該芳香発生物質は、前記カートリッジの異なる小室内に用意され、該芳香発生物質を含む該小室は、該保持用具である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該保持時間は、少なくとも1日、好ましくは少なくとも1週間である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法によって得られた芳香化された、無傷の又は挽かれたコーヒー豆。
【請求項14】
芳香化された生コーヒー豆。
【請求項15】
包装であって、無傷の又は挽かれた焙煎コーヒー豆および芳香発生物質を備え、該芳香発生物質は、取り除きうる仕方で、好ましくは別の容器内に置かれている、上記包装。
【請求項16】
焙煎されたコーヒー豆を容れる小室および芳香発生物質を容れる小室を備えるカートリッジの形態にあり、前記小室は、該芳香発生物質を容れる該小室から該コーヒー豆を容れる該小室へ気体連絡を許すように接続されている、請求項15に記載の包装。
【請求項17】
該芳香発生物質は、スパイス、ハーブ、果実、花、およびこれらの混合物から成るグループから選択された天然物質である、請求項15または16に記載の包装。
【請求項18】
該芳香発生物質は、固形の乾燥物質である、請求項17に記載の包装。
【請求項19】
芳香化されたコーヒーを作るための方法であって、以下の工程:
(a)焙煎されたコーヒー豆を準備すること;
(b)芳香発生物質を準備すること;
(c)該芳香発生物質が芳香を該コーヒー豆に施すことを許して、芳香化され焙煎されたコーヒー豆を準備すること;
(d)該芳香化されたコーヒー豆を該芳香発生物質から分離すること;
(e)工程(d)からの該芳香化され焙煎されたコーヒー豆を挽いて、焙煎され挽かれ芳香化されたコーヒーを準備すること;
(f)焙煎され挽かれた芳香化されたコーヒーに熱湯若しくは水蒸気の影響下での抽出を受けさせて、液体コーヒーを提供すること;
を包含する、上記方法。
【請求項20】
芳香化されたコーヒーを作るための方法であって、以下の工程:
(a)生コーヒー豆を準備すること;
(b)芳香発生物質を準備すること;
(c)該芳香発生物質が芳香を該コーヒー豆に施すことを許して、芳香化された生コーヒー豆を準備すること;
(d)該芳香化された生コーヒー豆を該芳香発生物質から分離すること;
(e)工程(d)からの芳香化された生コーヒー豆を焙煎して、芳香化され焙煎されたコーヒー豆を準備すること;
(f)該芳香化され焙煎されたコーヒー豆を挽いて、焙煎され挽かれたコーヒーを準備すること;
(g)液体コーヒーを提供するように、該焙煎され挽かれ芳香化されたコーヒーに熱湯若しくは水蒸気の影響下での抽出を受けさせること;
を包含する、上記方法。
【請求項21】
芳香化され挽かれ焙煎されたコーヒー豆から抽出によって得られたコーヒーであって、該コーヒーは、芳香発生物質からの芳香によって芳香化され、そして該抽出は、該芳香発生物質の実質的な不存在において行われる、上記コーヒー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形のコーヒー、例えば、生または焙煎された豆を、特に天然の芳香発生物質で芳香化するための方法に関する。本発明はまた、芳香化されたコーヒー豆および焙煎され挽かれたコーヒー、およびそれらから得られる風味のあるコーヒー抽出物に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーは周知の飲み物であり、一般的に焙煎され挽かれたコーヒー豆の熱湯または水蒸気による抽出物として調製される。コーヒーは、一般に良い味わいの飲み物として味わわれるが、焙煎され挽かれたコーヒー自体から生じる芳香に加えて、コーヒーに或る芳香を与えるという要望が存在する。そのようなコーヒーは存在し、例えば、香料、例えばシナモン、ナツメグ、カルダモン、バニラ、ヘイゼルナッツおよびオレンジの花が使用されている。
【0003】
一般に、そのように芳香化されたコーヒーは、焙煎され挽かれたコーヒーと香味液体を接触させることを含む処理によって、または焙煎され挽かれたコーヒーへ添加剤として香味粉末を含ませることによって調製される。しばしば、風味付けされたコーヒーの調製は、人工的な風味または芳香の添加を含む。
【0004】
例えば、欧州特許第674 839号公報は、添加された風味成分を備える焙煎されたコーヒーを記載している。該風味付けされたコーヒーは、焙煎された、無傷の、砕かれた又は挽かれた豆を芳香化物質と強く混合することによって調製される。特に、芳香の固定化を促進するために、補助剤、例えば親水コロイドが用いられる。
【0005】
別の処理は、含浸液体の使用を含む。例えば、国際公開第2008/03054号において、コーヒー豆は、水、香味剤、酸性塩バイアスのための架橋開始剤、例えばベタイン、および酸を含んでいる液体によって煎じられる。
【0006】
欧州特許第282 762号公報において、生豆の酸性度を増加させることによって、焙煎されたコーヒーの官能刺激特性を増進させることが記載されている。酸性度の増加は、水性溶液中の酸の含浸によってなされる。生豆がクエン酸または酒石酸の溶液に漬けられる同様の処理が、米国特許第1,821,551号明細書に記載されている。
【0007】
様々な背景の文献が、或る種の香味剤が添加されるところのコーヒーに関する。これらコーヒーは、典型的には香味剤と一緒にコーヒー調製装置へ提供される、すなわち、得られる抽出物は、コーヒーと香味剤の両方からのものである。
【0008】
すなわち、独国特許第195 40 014号公報は、焙煎され挽かれたコーヒーと粉末化されたスパイス、例えばココア、シナモン、バニラ、丁子、コリアンダーおよびカルダモンとを含む粉末化されたコーヒー混合物を開示している。欧州特許第1 609 370号公報は、コーヒーと薬用ハーブに基づく栄養製品に関する。仏国特許第2759 254号公報は、コーヒーと果実風味をもつ混合飲料を開示している。そこでは、焙煎され挽かれたコーヒーが、着色され芳香化された果実粉末と混合されている、さらに、Shankaracharya et al., Indian Food Packer, vol.25(5),1971, ページ28〜36に述べられているように。伝統的なアラブの飲み物、即ち「Gahwaコーヒー」は、コーヒーとカルダモンのブレンドである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
添加物を含まないで調製可能である芳香化されたコーヒーを提供することが望まれている。また、焙煎し挽く通常の工程に追加されるコーヒーの実質的な物理的扱いを必要としない方法を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の要望の1つ以上により良く対処するために、本発明は、1つの局面において、無傷の又は挽かれたコーヒー豆と、少なくとも1の揮発性芳香発生物質とを1の環境内に捕捉して効果的な保持時間の間保持すること、および上記芳香発生物質を取り除くことを包含する、コーヒーを芳香化するための方法を提供する。
【0011】
別の局面において、本発明は、コーヒー豆と、少なくとも1の芳香発生物質とを1の環境内に捕捉して効果的な保持時間の間保持すること、および上記芳香発生物質を除去することを包含する方法によって得られうる芳香化されたコーヒー豆または挽かれた豆を提供する。
【0012】
さらに別の局面において、本発明は、芳香化された生コーヒー豆にある。
【0013】
更なる局面において、本発明は、無傷の又は挽かれたコーヒー豆および芳香発生物質を分離可能に備えている包装を提供する。
【0014】
別の更なる局面において、該包装はカートリッジであり、本発明は、焙煎されたコーヒー豆を容れる小室および芳香発生物質を容れる小室を備える1カートリッジを提供し、前記小室は、該芳香発生物質を容れる該小室から該コーヒー豆を容れる該小室へ気体連絡を許すように接続されている。
【0015】
別の局面において、本発明は、芳香化され挽かれ焙煎されたコーヒー豆から抽出によって得られうるコーヒーに関しており、ここで、該コーヒーは、芳香発生物質からの芳香で芳香化され、そして、該抽出は、該芳香発生物質の実質的な不存在において生じる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
広い意味において、本発明は、コーヒーの芳香化が芳香剤とコーヒーとの間の緊密な物理的接触なしに生じうるという思慮深い洞察に基づいている。芳香発生物質と、無傷の又は挽かれたコーヒー豆とが同一環境内で存在することは、揮発性物質、即ち芳香が該コーヒー豆によって吸収されることをもたらす。この点で、本発明は、明示的にコーヒーのみならず芳香剤をも含んだ組成物から抽出がなされる(即ち、コーヒーが調製される)という従来技術で記載された様々な風味付けされたコーヒーとは根本的に異なる。一方、本発明は、コーヒー(焙煎され挽かれた)自体は別にして、その他のどのようなものからもコーヒーの調製を行わず、芳香発生物質、例えばスパイスによって発生され且つコーヒーによって吸収された、揮発性物質としてのそれらの芳香をコーヒーに与える。
【0017】
したがって、本発明において、抽出(調製)は、芳香発生物質の実質的不存在下で生じる。本発明に従うコーヒーの芳香化の処理は、芳香発生物質の除去も含む。この目的のために、芳香発生物質は、本質的に取り除きうる仕方で、コーヒーに捕捉されて保持される。
【0018】
「実質的に無く」という表現によって、コーヒーと芳香発生物質とを最初に捕捉する方法に依存して、該物質の少量が意図せずに除去されないかもしれないという事実が述べられる。好ましくは、芳香発生物質は全く存在せず、そして好ましくは、それは、除去を容易にする別のホールダ、例えばスパイスまたはティーバッグ内に、コーヒーと共に捕捉され保持される。
【0019】
「芳香発生物質」という用語は、人工的芳香化合物および抽出された天然芳香を含むように広い意味に理解されるべきである。しかし、好ましくは、該芳香発生物質は、合成されまたは抽出された芳香自体ではなく、揮発性の芳香を発生する天然物質である。そのような物質は、特にスパイス、ハーブ、果実または花である。本発明において、該芳香発生物質は、したがって好ましくは、スパイス、ハーブ、果実、花およびこれらの組合せから成るグループから選択された天然物質である。そのような物質の例は、丁子、カモミール、ショウガ、レモングラス、シナモン、甘草、アニス、ローズマリー、ハッカ、バニラ、カカオ、ジャスミン、ラヴェンダおよびカルダモン(ショウズク)を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0020】
好ましくは、これら物質は固体形状で、より好ましくはそれらの天然形状で、無傷の又は挽かれたものとして与えられる。したがって、例えばシナモンは、好ましくはシナモンスティック若しくはシナモンスティックから挽かれた粉末として与えられる。このことは他の天然芳香発生物質についても同様に妥当する。当業者は、これらの物質およびこれらが便利に提供されうる形状について良く知っている。本発明の文脈において、用語「芳香発生物質」はコーヒー自体を包含していない。本発明は特に、コーヒーの芳香に加えて、芳香物質によってコーヒーを芳香化することに向けられている。
【0021】
理論に制約されることを望まないで、本発明者は、本発明に従う芳香化が、コーヒー豆と芳香発生物質とが捕捉され保持されるところの環境内に、揮発性芳香物質が存在することの結果として起きると確信している。この点において、本発明に従う方法の特別の利点は、該芳香化の方法が該芳香発生物質と該コーヒー豆との間の何らかの緊密な接触を要求しないので、液体または粉末キャリアを必要としないことである。
【0022】
本発明に従うと、無傷の又は挽かれたコーヒー豆と一緒に芳香発生物質を捕捉することは、揮発性芳香物質がコーヒー豆に侵入することを許すことが意図されている。該豆と該芳香発生物質とは、相互に物理的接触をしている必要はない。好ましくは、それらは物理的接触をしていない。もしそれらが、物理的接触が可能であるような仕方で一緒に貯蔵、例えば包装されるならば、該芳香発生物質は、該コーヒーに更なる処理を施す前に、そしてとにかく調製の前には取り除かれる。用語「調製」および「抽出」は同じ工程、すなわち、一般に液体コーヒーとして消費される抽出物、または元に戻し得る粉末(インスタントコーヒー)を作るために、焙煎され挽かれたコーヒー豆を熱湯または水蒸気と接触させることを指している。
【0023】
コーヒー豆を芳香化させるために全く新しい方法が提供されるという事実から離れて、無傷の豆の段階で芳香化されたコーヒーを作る新たな方法が特に開拓される。
【0024】
芳香発生物質は、好ましくは固形の乾燥物質である。芳香発生物質はコーヒー豆から分離されうるような仕方で用意されることがさらに好ましい。なぜなら、芳香発生物質は、一緒に捕捉され保持されるところのコーヒー豆に何らかの更なる処理を課すように意図されていないからであることが、理解されるであろう。すなわち、生豆の場合に、芳香発生物質が生豆と一緒に焙煎されることは意図されていない。無傷の焙煎された豆の場合に、芳香発生物質は、焙煎された豆と一緒に挽かれることは意図されていない。そして、挽かれ焙煎された豆の場合に、芳香発生物質が、焙煎され挽かれた豆の抽出を受けることは意図されていない。
【0025】
したがって、該芳香発生物質および該コーヒー豆(無傷の又は挽かれた)は、分離可能であるような仕方で捕捉され保持されることが好ましい。後者は、該芳香発生物質の適切な選択によって、即ちそのサイズ及び/又は形状によって、無傷の又は挽かれたコーヒー豆から分離しうるところの物質を使用することによって、有利に保証され得る。
【0026】
しかし、いかなる特定の形状またはサイズの芳香発生物質に限定されないことが好ましい。特に、芳香発生物質の任意の粉末形状を使用することは望ましい。この点で、芳香発生物質の分離可能性を、保持用具内にそれを置くことによって保証することは好ましい。すなわち、例えばシナモンまたはバニラのスティックはそのまま使用され得るが、挽かれた物質は好ましくは取り除きうる保持用具、例えばフィルタバッグ、若しくは揮発性物質が環境内に広まり、それにより該コーヒー豆に到達するのを許す別の容器内に保持される。限定的でない実施例として、紅茶若しくはハーブ用のフィルタバッグに匹敵するフィルタバッグ、または穴を開けられた箔のバッグが使用され得る。代替的に、保持装置は包装内に、例えばカートリッジの分離された小室の形状で、若しくは瓶の覆い内に一体化されうる。
【0027】
好ましくは、本発明は、コーヒーを芳香化するための方法であって、1の環境中に捕捉された、無傷の又は挽かれたコーヒー豆と少なくとも1の芳香発生物質とを、芳香化された、無傷の又は挽かれたコーヒー豆を作るのに効果的な保持時間の間保持すること、そして該芳香化された、無傷の又は挽かれたコーヒー豆をさらに処理する前に、該芳香発生物質を除去すること、を包含する上記方法を提供する。
【0028】
本発明の方法はコーヒー豆に利用可能である。焙煎された豆の場合、それらは無傷の豆または挽かれた豆でありうる。驚くべきことに、従来技術における一般的なアプローチは、豆と芳香担体、例えば液状若しくは粉状の芳香剤との間の緊密な物理的接触によって焙煎された豆を芳香化することであるのに対して、本発明者は、焙煎された豆(無傷の豆または挽かれた豆)は、揮発性芳香が上記の豆の存在下で発生されるときに、該揮発性芳香を吸収できることを、今や見出した。
【0029】
さらに、より驚くべきことに、本発明者は、生(即ち焙煎されていない)コーヒー豆も使用可能であることを見出した。発生された芳香を生豆が良く吸収することが分かっただけでなく、驚くべきことに、これら芳香は、該豆の焙煎の間に良く保存されることが見出された。好ましくは、本発明は、コーヒーを芳香化するための方法であって、1の環境の中に捕捉された、生コーヒー豆と少なくとも1の芳香発生物質とを、効果的な保持時間の間保持すること、そして次に該生豆を焙煎すること、を包含する上記方法を提供する。従って、本発明は、芳香化された生コーヒー豆の形態において、有利なコーヒー中間製品を提供する。
【0030】
焙煎されようと生であろうと、コーヒー豆の芳香化のために生じる唯一つの要件は、該コーヒー豆と少なくとも1の芳香発生物質とが、効果的な保持時間の間、1の環境内に捕捉されることである。
【0031】
「捕捉された」という用語は、発生された芳香がコーヒー豆に到達しうるような仕方で、該コーヒー豆と該芳香発生物質とが、一緒にまたは少なくとも相互の近傍に保持されているという事実を述べている。これは、該コーヒー豆および該芳香発生物質が、1の閉じた環境、例えば包装、例えば袋(バッグ)若しくはチャンバー、例えば器若しくはコンテナ内に保持されていることを一般的に意味している。「閉じた」は幅広く解釈されるべきであると理解されよう。すなわち、十分な芳香がコーヒー豆に到達可能である限り、芳香の何らかの且つ全ての漏洩を防ぐことが必ずしも必要ではないであろう。しかし好ましくは、捕捉は、発生された芳香をできる限り僅かにしか損失しないように、気体の漏れない環境内で、例えばアルミニウムバッグ内で生起する。
【0032】
1の興味深い実施態様において、コーヒーの固形形状が生コーヒー豆から成り、該豆は芳香発生物質と共に1以上のサイロ内に捕捉されている。そのようなサイロは、生豆が焙煎される前に該生豆を貯蔵するのに従来から使用されており、好ましくは焙煎機の上方に置かれている器(うつわ)、普通は金属製の器を備える。
【0033】
別の1の興味深い実施態様において、生豆が、収穫された後その中に入れられて正常に輸送されるところの袋、通常は布製袋または容器、内に、生豆が芳香発生物質と共に捕捉される。
【0034】
固形コーヒーの各形状は、輸送、貯蔵および取り扱いの各独自の特定の仕方を有しうること、これら全てがコーヒーを芳香発生物質と共に捕捉するための可能性を決定することが理解されよう。該豆と該芳香発生物質とがその中に捕捉される好ましい環境は、包装、例えば袋(バッグ)、缶、カートリッジまたは瓶、例えば、布バッグ、紙バッグ、箔バッグ、ラミネートバッグ、アルミニウムバッグ、金属缶、またはチャンバー、例えば器、サイロ、トラック、貨車および船舶コンテナ、のグループから選択される。適切な包装が当業者に知られている。
【0035】
別の興味深い実施態様において、例えば焙煎され挽かれたコーヒーが、芳香発生物質と共に包装内に捕捉されうる。これは、焙煎され挽かれたコーヒーを、バラバラな形、例えば従来のコーヒー調製器具、例えばエスプレッソ器具、ドリップフィルタ式コーヒー調製器、パーコレーター等での使用のために一般に販売されているような形で含む包装でありうる。該包装はまた、いわゆるコーヒーパッド(またはポッド)の包装であり得、該包装は、フィルタバッグ内の焙煎され挽かれたコーヒーの1提供形態であり、例えばそのようなコーヒーパッドを抽出するように設計された特別のタイプのコーヒー調製器のために提供される。このタイプの装置は、「SENSEO(商標)」という商標で良く知られている。
【0036】
当業者は、芳香発生物質から発散される芳香の強度(量)はもちろん、保持時間および捕捉環境のタイプが相互に関連するであろうことを直ちに理解するであろう。単純に云うと、環境がより大きければ、保持時間は一般により長くなるであろう。従って、保持時間はかなり変わりうる。一般に、保持時間は少なくとも1日、好ましくは少なくとも1週間である。より好ましくは、保持時間は2週間から3ヶ月の範囲内である。しかし、例え非常により長い保持時間、例えば1年が施与されても、一般に有害ではない。このことは、もし保持時間がコーヒー豆の貯蔵及び/又は輸送と組み合わされて提供される場合に、特にありうるケースである。これは、貯蔵施設の中に準備された芳香発生物質の存在下に、生豆を貯蔵することを云っており、該貯蔵施設は、好ましくはコーヒー製造業者の地所でのものであり、該生豆はそこで、例えば既述のサイロ内で、受け取られ、貯蔵され、それから焙煎される。
【0037】
別の興味深い実施態様において、コーヒー豆と芳香発生物質は、輸送中、捕捉されている。例えば、トラック内に、またはトラック上に積まれたコンテナ内に保持された生コーヒー豆の積荷へ、芳香発生物質の或る量が輸送前に加えられ、保持時間は輸送中に提供される。コンテナ輸送の場合に、コンテナの荷降ろしの後も、さらなる保持時間がそのサイトで当然に提供されうる。このことは、特にもしそのような輸送が、トラックはもちろん船舶に積荷されうるタイプのコンテナによって提供されると、好都合にもまた、海運(陸運と組合わされた又は組合わされない)とも組合されうる。コーヒー豆を芳香発生物質と共に捕捉することを伴う輸送は、生豆の輸送でありうるが、同じことが焙煎された豆の輸送の場合にも当てはまる。
【0038】
更に別の興味深い実施態様において、豆は、芳香発生物質と共に、エンドユーザ向けの包装(商業的エンドユーザまたは小売業者用の卸売包装、および個人消費者用の包装を含む)内に捕捉される。保持時間は、すると包装の製造からそれが開けられるまでの、または該包装が消費者によって完全に使用されるまでの時間であろう。一般に保持時間は、せいぜいコーヒー包装の推奨保存期間、例えば1年と同じであろう。
【0039】
保持温度は特には臨界的でない。該保持温度は0℃〜50℃、好ましくは、4℃〜25℃の範囲内であることが好ましい。最も好ましくは室温(18℃〜25℃、好ましくは20℃〜23℃)が施与される。
【0040】
無傷の又は挽かれたコーヒー豆に対する芳香発生物質の相対的な量は適切に広範囲に変化する。一般に、芳香発生物質のコーヒーに対する重量比は、1:10から1:100の範囲であろう。好ましくは、この範囲は、1:20から1:60、より好ましくは、1:30から1:50である。
【0041】
1の興味深い実施態様において、芳香発生物質は、コーヒー調製器(豆を挽くことおよび液体コーヒーを抽出することによって動作する)用のコーヒー豆を入れられた容器またはカートリッジに加えられる。芳香発生物質は、好ましくは、引き続いて豆を挽くことがないという仕方で提供されるであろうことが理解されよう。豆の容器に基づいて動作するコーヒー調製器において、豆はそこから取り出され、例えば漏斗を通して挽き器具(グラインダー)に入れられ、コーヒー豆の積上げの上部に置かれた揮発性芳香に対して透過性の保持具、例えばフィルタバッグ内に芳香発生種を準備することは正攻法であろう。そして該保持具は、グラインダーの方向に出ることができない十分に大きな寸法(即ち、コーヒー豆をグラインダーの方へ移動させるのに使われる漏斗の開口を通して通過するには大きすぎる)である。もしコーヒー豆が、好ましくは少なくとも2つの小室を備えた、カートリッジ内に準備されると、芳香発生物質と該コーヒー豆は、カートリッジの別々の小室内に準備されることが最も良いであろう。前記小室は、揮発性芳香がコーヒー豆に到達することを許すように、これら小室間の気体連絡が可能であるような仕方に設計されている。そのような連絡は、揮発性芳香に対して透過性である、これら小室の間の壁、例えば膜または該壁の開口を提供することによって可能である。該壁は好ましくは、該カートリッジと同じ材料で作られている。
【0042】
上述と関係して、本発明はまた、焙煎されたコーヒー豆および芳香発生物質、好ましくは乾燥し固形の芳香発生物質を包む包装に関係する。1の好ましい実施態様において、該包装は紙若しくは箔のバッグである。別の好ましい実施態様においては、該包装は、カートリッジである。好ましくは、該カートリッジは、少なくとも2つの小室を備えている。1のより好ましい実施態様において、該包装はコーヒー豆を容れる小室と芳香発生物質を容れる小室とを備えているカートリッジである。上記複数の小室は、芳香発生物質を容れる該小室からコーヒー豆を容れる該小室へ気体連絡が可能なように接続されている。
【0043】
使用されるコーヒー豆は如何なるタイプのものでもよい。使用される主なコーヒー種は、アラビカ種の豆とロブスタ種の豆である。典型的には、両者の混合が使用されうる。これらの豆は、特定の地理的起源、例えばブラジル、コロンビアまたはインドネシアを持つものとして認識されうる。
【0044】
本発明はまた、芳香化されたコーヒーを作る方法に関する。本発明の方法は以下の工程:
(a)焙煎されたコーヒー豆を準備すること;
(b)芳香発生物質を準備すること;
(c)芳香化された、焙煎されたコーヒー豆を提供するために、該芳香発生物質が芳香を該コーヒー豆に施すことを許すこと;
(d)該芳香化されたコーヒー豆を該芳香発生物質から分離すること;
(e)焙煎され挽かれ芳香化されたコーヒーを提供するために、該芳香化され焙煎されたコーヒー豆を挽くこと;
(f)液体コーヒーを提供するために、該焙煎され挽かれ芳香化されたコーヒーに熱湯若しくは水蒸気の影響下での抽出を受けさせること;
を包含している。
【0045】
芳香化されたコーヒーを作る1の代替の実施態様において、本発明は以下の工程:
(a)生コーヒー豆を準備すること;
(b)芳香発生物質を準備すること;
(c)芳香化された生コーヒー豆を提供するために、該芳香発生物質が芳香を該コーヒー豆に施すことを許すこと;
(d)該芳香化された生コーヒー豆を該芳香発生物質から分離すること;
(e)焙煎され焙煎された芳香化コーヒーを準備するために、該芳香化された生コーヒー豆を焙煎すること;
(f)焙煎され挽かれ芳香化されたコーヒーを提供するために挽くこと;
(g)液体コーヒーを提供するように、焙煎され挽かれ芳香化されたコーヒーに熱湯若しくは水蒸気の影響下での抽出を受けさせること;
を包含している。
【0046】
上述の処理は、家庭用コーヒー調製器具を用いて小規模に、より大規模なコーヒー器具、典型的にはバー、レストランおよび会議センター等で用いられるものを用いて商業的規模で遂行されうる、それは、例えば工業的タイプの抽出塔を用いる工業的規模でもありうる。
【0047】
本発明はまた、上述の処理から得られたコーヒー抽出物に関する。該抽出物は、液体コーヒーの形態で消費されうる。それはまた、インスタントコーヒーを作る続く処理において用いられるコーヒーでありえる。そのような処理は、よく知られ、例えば得られた液体コーヒーの冷凍乾燥に基づいて行なわれる。本発明に従うコーヒーは、芳香化され挽かれ焙煎されたコーヒー豆からの抽出によって得ることができる。ここで、該コーヒーは、芳香発生物質からの芳香で芳香化され、かつ抽出は、該芳香発生物質が実質的に無くて行なわれる。本発明は、該芳香発生物質からの揮発性物質(即ち、厳密な意味での芳香)のみが該コーヒー固形物へ移転されうる環境において、芳香がコーヒーに与えられるところの特別の方法を云うことが理解されよう。これは、熱湯または水蒸気によって抽出を受ける物質がコーヒー固形物と添加(おそらく芳香発生)物質、例えばスパイスとの両方を含む方法とは、本質的に異なる処理である。後者の場合において、芳香(すなわち揮発性物質)だけが抽出を受けるのではなく、抽出を受け得る添加物質の別の構成物質もがコーヒー固形物から同様に抽出を受けるであろう。
【0048】
本発明はこれ以降、以下の非限定的な実施例を参照して説明されるであろう。
【実施例1】
【0049】
構成要素
生コーヒー豆
ドライ・カモミール花
アルミめっきされた袋
ろ過紙材料
【0050】
手順
・アルミめっきされた袋が、1kgの生コーヒー豆を充填される
・ろ過紙バッグが、ドライ・カモミール花の25gを充填される
・該ろ過紙バッグは、該アルミめっきされた袋内の生豆の上に置かれる
・該アルミめっきされた袋内に、窒素ガスが吹き入れられ、そして密閉される
・該袋は、5週間貯蔵される
・この貯蔵期間の後、該袋は開けられ、そしてカモミールを有する該ろ過バッグは取り出される
・該生コーヒー豆は、焙煎され且つ挽かれる
・コーヒーが、農夫のポット法(該挽かれたコーヒーの上に熱湯を注ぎ、そして15分間待つ)を用いて調製される
【実施例2】
【0051】
構成要素
焙煎されたコーヒー豆
ドライ・カモミール花
アルミめっきされた袋
ろ過紙材料
【0052】
手順
・アルミめっきされた袋が、1kgの焙煎されたコーヒー豆を充填される
・ろ過紙バッグが、ドライ・カモミール花の25gを充填される
・該ろ過紙バッグは、該アルミめっきされた袋内の焙煎された豆の上に置かれる
・該アルミめっきされた袋内に、窒素ガスが吹き入れられ、そして密閉される
・該袋は、5週間貯蔵される
・この貯蔵期間の後、該袋は開けられ、そしてカモミールを有する該ろ過バッグは取り出される
・該焙煎されたコーヒー豆は挽かれる
・コーヒーが、農夫のポット法(該挽かれたコーヒーの上に熱湯を注ぎ、そして15分間待つ)を用いて調製される
【実施例3】
【0053】
ドライ・カモミール花に加えて、他の成分の範囲が、実施例1および2におけるのと同じ手順で使用された。結果として得られるコーヒー抽出物は、匂いおよび風味に関して、鑑定者によって試験された。使用された成分および得られた結果は、表1に示される。+および−記号は、次の評価を指示していることに留意すべきである。
‐‐または‐ 香りはほとんど気付きえない
0/+ 香りは気付きうる
+または++ 香りは明らかに気付きうる
列挙された全てのコーヒーは、標準の非芳香化コーヒーに比べて気付きうる匂いまたは風味の違いを持っている。
【表1】
【実施例4】
【0054】
本実施例において、芳香注入についての異なる条件が試験される。実験は、風味の両極端、即ちマイルドおよびストロングであるそれら傾向のために選択された2つの芳香発生物質に基づいて行われる。カモミールは、極端にマイルドな風味を示すものとして使用され、丁子は極端にストロングな風味を反映するものとして使用される。
【0055】
コーヒー豆(100%アラビカ種)の1kg量が、25cmの幅、60cmの長さおよび14.5cmの奥行きを有している5kg袋に入れられる。施与可能な焙煎条件は、パイロット焙煎器内で200℃〜230℃、11分間、色価30〜40である。
【0056】
スパイスが、茶袋(ティーバッグ)内に準備され、該コーヒー袋の内部に保持される。該コーヒー袋は所望の注入期間の間、閉じられる。カモミールは、ドライ・カモミール花として準備され、丁子は粗挽きの形態で準備される。次に、ティーバッグは取り除かれ、そしてコーヒーはさらに処理される。焙煎された豆については、これは挽くこと(ディスクグラインダー、粒子サイズ(X50)=330〜380μm)および圧縮(690〜710cc/250gのかさ容積へ)することを意味する。生豆については、これら処理工程は、ティーバッグが取り除かれた後、焙煎(上記と同じ条件に従い)の後に行われる。
【0057】
挽かれ圧縮されたコーヒーは、L’OR EspressO カプセルに入れられ、該カプセルは5.3gの挽かれたコーヒーを容れ、そしてNespresso(商標)Citizを用いてコーヒー調製される。
【0058】
カプセルエスプレッソの総計64の試料(各スパイスについて32の試料)が得られる。それらの内の16は、生豆への注入に基づき、そして16は焙煎された豆への注入に基づく。これらセットの内のどちらも、8つの試料は4℃での貯蔵(注入)に基づき、8つの試料は23℃での貯蔵(注入)に基づく。これら試料の半分はスパイスの低濃度(カモミールについて3重量%、丁子について0.5重量%)に基づき、他の半分は高濃度(カモミールについて10重量%、丁子について3重量%)に基づく。4つの試料のこれらグループの全ては、注入時間、即ち1週間、3週間、5週間または8週間によって区別される。
【0059】
該試料は、専門家によって味見され、そして1から5までの等級に従い格付けされる。そこでは、1は中立(非注入の挽かれたコーヒーから調製された参照製品)を表す。1より上の各値は、芳香発生物質による注入は気付きうるものであることを示し、1.5のマイルドな注入芳香から、5のストロングな注入芳香まである。
【0060】
結果は、以下の表2から5にグループ化されている。生豆と焙煎された豆の間の本質的な処理の違いの点から、これらの結果は相互に比較可能ではない。理論に拘束されることを望まないで、本発明者たちは、最初に焙煎しそれから注入を遂行する場合よりも、注入後に焙煎する方が、注入された芳香の風味を超える、焙煎されたコーヒーの風味のより大きな優越性を与えると確信している。
【0061】
以下の結果から、極端にマイルドな芳香発生物質(カモミール)とストロングな芳香発生物質(丁子)の両者が、試験された処理条件の範囲内で、気付きうる注入芳香風味を導くことが明らかである。このことは、芳香発生物質の範囲への本発明の広範な施与可能性を示している。
【0062】
該試験はまた、所望のように注入芳香を達成するために、どのように処理パラメータを適合させるかのガイダンスを当業者に与えるのに貢献する。試験において、調整されたパラメータは、貯蔵温度、貯蔵時間、および芳香発生物質の量である。気付かれうる注入芳香風味をもつ試料は、太字体で示されている。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【国際調査報告】