(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-521875(P2015-521875A)
(43)【公表日】2015年8月3日
(54)【発明の名称】計量デバイス並びにエネルギー生成ユニットから得られる比較的少量のエネルギーを管理及び供給する方法
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20150707BHJP
【FI】
A61M11/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-519356(P2015-519356)
(86)(22)【出願日】2013年7月4日
(85)【翻訳文提出日】2015年2月13日
(86)【国際出願番号】GB2013051779
(87)【国際公開番号】WO2014006413
(87)【国際公開日】20140109
(31)【優先権主張番号】102012211576.5
(32)【優先日】2012年7月4日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】504109285
【氏名又は名称】ジョンソン マッセイ キャタリスツ (ジャーマニー) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Johnson Matthey Catalysts (Germany) GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】クルンプ, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】リュッテル, マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ファン デア リンデン, クラウス
(57)【要約】
計量デバイス(2)は、動作サイクル中に比較的少量のエネルギーを生成するためのエネルギー生成ユニット(12)、生成される量のエネルギーを緩衝するためのエネルギー貯蔵ユニット(24、26)、現在の状態情報(I)のアイテムを決定するための制御ユニット(14)、及び、現在の状態情報(I)を処理するための処理ユニット(16)、を備え、さらに、制御ユニット(14)のエネルギー要件と表示ユニット(16)のエネルギー要件とが異なり、前記制御ユニット(14)及び前記処理ユニット(16)への、限られた量のエネルギーの割当ては、前記異なるエネルギー要件にしたがって調整される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作サイクル中に比較的少量のエネルギーを生成するためのエネルギー生成ユニット(12)、前記生成される量のエネルギーを緩衝するためのエネルギー貯蔵ユニット(24、26)、現在の状態情報(I)のアイテムを決定するための制御ユニット(14)、及び、前記現在の状態情報(I)を処理するための処理ユニット(16)、を備える計量デバイス(2)であって、さらに、前記制御ユニット(14)のエネルギー要件と前記表示ユニット(16)のエネルギー要件とが異なり、前記制御ユニット(14)及び前記処理ユニット(16)への、限られた量のエネルギーの割当ては、前記異なるエネルギー要件にしたがって調整される、計量デバイス(2)。
【請求項2】
前記計量デバイスは計量ディスペンサである、請求項1に記載の計量デバイス。
【請求項3】
前記エネルギー生成ユニット(12)は圧電発電機を備える、請求項1又は2に記載の計量デバイス。
【請求項4】
前記処理ユニット(16)は表示ユニットである、請求項1から3のいずれか一項に記載の計量デバイス。
【請求項5】
前記動作サイクルを活動化させるための作動素子(10)を有し、前記作動素子(10)は、各作動ごとに、前記動作サイクルで利用可能な限られた量のエネルギーを生成するために前記エネルギー生成ユニット(12)が使用される方式で、前記エネルギー生成ユニット(12)に接続される、請求項1から4のいずれか一項に記載の計量デバイス。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵ユニット(24、26)は、第1のエネルギー貯蔵部(24)と第2のエネルギー貯蔵部(26)とを備え、エネルギー供給の目的で、前記制御ユニット(14)は前記第1のエネルギー貯蔵部(24)のみに接続され、前記表示ユニット(16)は前記第2のエネルギー貯蔵部(26)にのみ接続される、請求項1から5のいずれか一項に記載の計量デバイス。
【請求項7】
使用時、前記エネルギー生成ユニット(12)によって前記生成される量のエネルギーを、前記エネルギー貯蔵部(24、26)間で不均等に分割するように構成される、請求項6に記載の計量デバイス。
【請求項8】
前記生成される量のエネルギーを不均等に分割するためのパワースプリッタ(28)を備える、請求項6又は7に記載の計量デバイス。
【請求項9】
前記エネルギー生成ユニット(12)は、第1のエネルギー生成器(30)及び第2のエネルギー生成器(32)を有し、前記第1のエネルギー生成器(30)は前記第1のエネルギー貯蔵部(24)にのみ給電し、前記第2のエネルギー生成器(32)は前記第2のエネルギー貯蔵部(26)にのみ給電する、請求項6又は7に記載の計量デバイス。
【請求項10】
前記現在の状態情報(I)を記憶するための不揮発性メモリ(18)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の計量デバイス。
【請求項11】
使用時、エネルギーが、動作サイクル中、前記表示ユニット(16)に対してよりも短い時間、前記制御ユニット(12)に対して供給されるように、構成され、前記表示ユニット(16)が依然として活動的である一方で前記制御ユニット(12)は既に非活動化される、請求項1から10のいずれか一項に記載の計量デバイス。
【請求項12】
請求項6に従属する場合、使用時、各動作サイクルにおいて前記制御ユニット(12)に供給されるエネルギー量は、第1のエネルギー貯蔵部(24)におけるエネルギー蓄積の消耗の結果として前記非活動化が達成されるように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の計量デバイス。
【請求項13】
請求項6に従属する場合、使用時、各動作サイクルで、前記第2のエネルギー貯蔵部(32)内よりも前記第1のエネルギー貯蔵部(30)内に、より多くの量のエネルギーが貯蔵されるように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の計量デバイス。
【請求項14】
使用時、前記動作サイクルの始めに、前記制御ユニット(12)が、先行する現在の状態情報のアイテムを消去するために、前記現在の動作状態(I)を決定して前記表示ユニット(16)へ消去信号を出力するように、構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の計量デバイス。
【請求項15】
使用時、前記動作サイクル中、前記制御ユニット(14)は、消去中の所定の時間期間、一時的にスタンバイモードに移行し、次いで、再活動化されるように構成される、請求項14に記載の計量デバイス。
【請求項16】
前記現在の状態情報(I)のアイテムはカウンタ読取り値である、請求項1から15のいずれか一項に記載の計量ディスペンサ。
【請求項17】
計量デバイス内で比較的少量のエネルギーを管理及び供給する方法であって、前記エネルギーは、制御ユニット(14)へ、及び、前記制御ユニット(14)に接続される処理ユニット(16)へ、エネルギー供給するために、エネルギー生成ユニット(12)から動作サイクル内で得られ、前記制御ユニット(14)は、使用時、現在の状態情報(I)のアイテムを決定するように設計され、前記処理ユニット(16)は、使用時、前記現在の状態情報(I)を処理するように設計され、さらに、前記制御ユニット(14)と前記処理ユニット(16)とは、異なるエネルギー要件を有し、前記エネルギー生成ユニット(12)から得られる限られた量のエネルギーの、前記制御ユニット(14)と前記処理ユニット(16)とに対する割当ては、前記異なるエネルギー要件にしたがって調整される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計量ディスペンサなどの計量デバイスと、エネルギー生成ユニットから得られる比較的少量のエネルギーを管理及び提供する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ごく少量のエネルギーを非集中的な方式で且つ電圧源から独立した方式で電子構造ユニットに給電することを目的とする、いわゆる「環境発電(energy harvesting)」が知られる。このような環境発電の場合、例えば機械的運動エネルギー、振動エネルギーもしくは熱などの、環境に供給されるエネルギーが、適切なエネルギー生成器によって電気エネルギーに変換されるのが一般的である。機械的振動エネルギー又は運動エネルギーの、電気エネルギーへの変換には、いわゆる圧電発電機が知られる。このような発電機は、圧電効果を利用して機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0003】
圧電効果では、生成できるエネルギー量は比較的少ない。例えば圧電屈曲トランスデューサの機械的偏向など、ある動作サイクル中に圧電発電機を使用して生成されるエネルギー量は、典型的にはわずか数100μJの域内である。電子構造ユニットの完全に自律的なエネルギー供給が求められる場合、高いエネルギー効率が要求される。自律的なエネルギー供給により、主電源あるいはバッテリなどの電圧源を省くことができ、同時に、デバイスの機能性を保障することが可能となる。
【0004】
計量ディスペンサ、具体的には、例えば医療用薬剤を吸入するための鼻腔用スプレー又は喘息スプレーなどの医薬製剤用の手動薬剤ディスペンサは、供給貯蔵部(アンプル)、具体的には医療用薬剤を収容する交換可能な供給貯蔵部を有するのが通常であり、医療用薬剤は、例えばアトマイザノズルによって噴霧される。依然として利用可能な残量に関連する情報をユーザに提供するために、例えば、これらの計量ディスペンサが表示素子を有することがしばしばであり、表示素子は例えば、利用可能な残量又は既に投与された投与数もしくは依然として利用可能な投与数を示す(例えば、国際出願第2007/137991A1号及び米国特許出願第2005/0284471号を参照のこと)。例えば鼻腔用スプレー、喘息スプレー、あるいは点眼薬ディスペンサなどのこのような計量ディスペンサにおいて、特に有益な使い捨ての薬剤ディスペンサの場合、ユーザが計量ボタンを機械的に作動させることによって薬剤はディスペンスされる。
【発明の概要】
【0005】
このことに基づき、本発明は、バッテリ又は電源接続部などの追加の電圧源なしに且つ高レベルのエネルギー効率を備え、環境発電の原理にしたがうエネルギー生成ユニットを使用した、自律的な動作のための、上述の手動薬剤ディスペンサを実現するという目的に基づく。
【0006】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する装置及び請求項17の特徴を有する方法によって達成される。当該装置に関して記載される特徴及び好ましい開発は、当該方法に類似的に応用されることができる。
【0007】
この目的のため、手動の計量及び薬剤ディスペンサなどの当該計量デバイスは、ごく少量のエネルギーを生成するための、環境発電原理に基づくエネルギー生成ユニットを備える。具体的には、当該エネルギー生成ユニットは少なくとも1つの圧電発電機を備えることができる。当該計量デバイスはまた、生成された量のエネルギーを緩衝(buffering)するためのエネルギー貯蔵ユニットを備えることもできる。当該計量デバイスはまた、例えば、既に投与された投与数あるいは既に投与された量あるいは残量もしくは残っている投与数など、カウンタ読取り値などの当該計量デバイスに関連する現在の状態情報のアイテムを決定するための、制御ユニットを備えることもできる。最後に、計量デバイスは処理ユニットも備えることができ、ここでは制御ユニットによって決定される現在の状態情報がさらに処理される。この場合、このさらなる処理ユニットは、具体的には表示ユニットであり得る。表示ユニットは、好ましくは、双安定液晶ディスプレイなどの双安定表示素子を有する。このような双安定表示素子においては、表示を変更するためにのみエネルギーが必要とされることがその理由である。一度表示された情報は、次の変更まで維持される。したがって、このような双安定表示素子は特にエネルギー効率が良い。
【0008】
現在の状態情報を決定するための制御ユニットのエネルギー消費及び処理ユニットのエネルギー消費は、大きく異なり、且つ部分的に、動作サイクル内で時間的なずれがあるのが通常である。効率的なエネルギー管理を可能にするために、本発明において、一方では制御ユニットと他方では処理ユニットとにおける所定の動作サイクルで利用可能な限られた量のエネルギーの割当てが、これらユニットの異なるエネルギー要件にしたがって、調整される。各動作サイクルにおいてこれら異なるユニットに供給されるエネルギーは、時間及び量の両方の観点から限定されることが好ましく、各ユニットの機能が保障される一方で同時に他方のユニットの機能を損なわないような方式でなされることを意味すると理解されたい。調整がない場合には、一方のユニット、特に制御ユニットが、表示ユニットが実際に始動する前の動作サイクルの開始時に、利用可能なエネルギーを既に消費してしまうというリスクがある。
【0009】
この場合において動作サイクルは、永続的に所定の、動作ステップのシーケンスを意味すると理解される。動作サイクルは、通常、計量デバイスの作動によって、又は少なくともエネルギー生成ユニットの作動によって開始され、これにより、制御ユニットと表示ユニットとにおける動作ステップのシーケンスはトリガされる。薬剤ディスペンサの場合、計量ボタンの手動での作動ごとに、このような動作サイクルが開始される。したがって、エネルギー生成ユニット(例えば圧電発電機)を作動させることによって動作サイクルの開始時に生成された量のみのエネルギーが、動作サイクル中に利用可能である。
【0010】
したがって、好ましい改良形態では、作動素子、具体的にはエネルギー生成ユニットに接続される計量ボタンもこれに応じて設けられる。エネルギー生成を可能な限り高効率にするために、エネルギー生成ユニットは、国際出願第2013/083990A1号に記載の変形実施形態のうちの1つにしたがうことが好ましい。この出願の開示内容は、本明細書において、本願の主題に付随的に包含される。
【0011】
利用可能なエネルギーの望ましい調整及び分配のため、エネルギー貯蔵ユニットは第1のエネルギー貯蔵部と第2のエネルギー貯蔵部とを備え、これら貯蔵部は、制御ユニット及び処理ユニットにのみエネルギーを供給する目的でそれぞれ接続される。これにより、供給されるエネルギー量が各ユニットにとって利用可能であり続け、例えば他方のユニットによっては消費されないということが保障される。
【0012】
この場合、エネルギー貯蔵部は低損失コンデンサで形成されることが好ましい。
【0013】
2つのユニットの異なるエネルギー要件を考慮するため、計量デバイスは、使用時に、動作サイクル内でエネルギー貯蔵ユニットにより生成されたエネルギー量を、当該少なくとも2つのエネルギー貯蔵部間で不均等に分割するために、好都合に設計される。したがって、エネルギー貯蔵部に給電するときには、異なるエネルギー要件が既に考慮されている。
【0014】
これを達成するために、第1の変形実施形態によれば、各動作サイクルにおいて生成されるエネルギー量を分割する目的でパワースプリッタが設けられる。この場合、パワースプリッタ又はエネルギースプリッタは、並列式に配置される2つのエネルギー貯蔵部の上流に接続される、2つのダイオードから成ることが好ましい。ダイオードは、エネルギー貯蔵部間の電圧均等化を防止し、したがって、一方のコンデンサに含まれるエネルギーが他方のコンデンサに逆流することを防ぐ。
【0015】
好ましい代替的な一実施例では、エネルギー生成ユニットが2つのエネルギー生成器を備え、2つのエネルギー生成器の各々は各ユニットのうちの1つにのみ接続される。2つのエネルギー生成器はまた、異なるエネルギー要件にしたがって異なる量のエネルギーを生成するように、好都合に設計される。したがって、当該2つのエネルギー生成器は、概して異なるデザインを有する。
【0016】
電子ユニット、すなわち一方では制御ユニット、他方では表示ユニットが、永続的に給電される必要がないという事実は、当該装置の動作にとって全体的に特に重要である。すなわち、制御ユニットは、現在の状態情報を決定すると、原則としてスイッチオフされる。しかしながら同時に、現在の状態情報は保持されることが必要である。したがって、この情報は不揮発性メモリ内に記憶されることが好都合である。
【0017】
具体的には双安定液晶ディスプレイなどの、双安定表示素子の使用が好ましいが、この場合、現在の状態情報を決定するための制御ユニットのエネルギー要件は処理ユニットのエネルギー要件よりもかなり高いのが通常である。しかしながら、これは比較的遅く、制御ユニットよりも時間を要する。一般的には、新しい表示内容を表示する前に、始めに古い表示内容を消去することが必要である。好適に開発することにより、ある動作サイクル内で、表示ユニットに対するよりも短い時間、制御ユニットがエネルギー供給され、表示ユニットが依然として活動的である一方で制御ユニットが既に非活動化される。この場合、非活動化は例えば、制御ユニットの、スタンバイモードへの推移あるいは完全なスイッチオフを意味すると理解される。この場合、活動化される表示ユニットは、制御ユニットによって提供される現在の状態情報が、表示素子上に表示するために表示ユニットによって処理される状況を意味すると理解される。双安定表示素子として設計されるので、表示内容が表示された後は要求されるエネルギーはない。
【0018】
制御ユニットは、使用時、動作サイクルの始めに現在の状態情報を決定し、前記情報を不揮発性メモリに書き込み、及び同時に、表示ユニットに表示されている状態情報の先行するアイテムを消去するために消去信号を表示ユニットへ出力することができる。エネルギー節約のため、制御ユニットは、使用時、消去動作中、例えば永続的に所定であってもよく又は表示ユニットからのフィードバックに基づき可変であってもよい所定の時間期間、少なくとも減少されたエネルギー消費を伴うモード、具体的にはスタンバイモードに一時的に変更されることもでき、次いで再度活動化される。すなわち、制御ユニットは、始めに消去信号を表示ユニットへ放出し、次いでその後、スタンバイモードに後続するステップで、現在の状態情報を含む新しい信号を表示ユニットへ転送する。
【0019】
これらの信号は一般的に、表示ユニットのドライバ又はいわゆるドライバ回路を使用して、表示素子(液晶ディスプレイ)用の制御信号に変換される。
【0020】
本発明がより完全に理解されるように、本発明の実施形態が、添付図面を参照しつつ例示目的でのみここに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】表示素子を組み込んだ薬剤ディスペンサの、非常に簡略化した側面図である。
【
図2】当該装置の機能構造を説明するための、第1の代替例によるブロック図である。
【
図3】機能構造を説明するための、第2の代替例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示す計量又は薬剤ディスペンサ2は、外部から読み取り可能な表示素子6を組み込んだ、ハウジング4を備える。薬剤ディスペンサ2はハウジング4の一端面に計量素子8を有し、計量素子8は、例えば鼻腔用スプレーあるいは喘息スプレーの場合は、アトマイザの形態である。薬剤ディスペンサ2は、計量素子8と反対側の端部に、作動素子としての計量ボタン10を有する。例えば液体薬剤のアンプルなど計量される物質のための貯蔵容器が、ハウジング内に収容される。
【0023】
薬剤をディスペンスするために、薬剤ディスペンサ2は計量ボタン10を押すことによって手動で作動される。この機械的作動によって、一方では、薬剤の所定の投与量が計量素子8を介してディスペンスされる。同時に、状態情報Iのアイテム、すなわち貯蔵容器内の利用可能な薬剤の容量に関連する情報のアイテムを決定するために、計量ボタン10の作動は検証される。この場合、状態情報は、具体的には例えば、依然として残っている計量ユニットに関連するカウント値(1つの計量ユニットは計量ボタン10の1つの作動に対応する)あるいは既に付与された計量ユニットの数である。次いで、この状態情報Iは表示素子6に表示される。
【0024】
薬剤ディスペンサ2は、エネルギー供給用の電源接続部又はバッテリを有しない、エネルギー自律型デバイスである。エネルギーは、いわゆる環境発電に基づく圧電発電機を備えるエネルギー発生ユニット12によってのみ供給される。
図1及び2を使用して下記で詳説するように、信頼性の高い機能性を装置全体に亘って永続的に保障するため、薬剤ディスペンサ2は高いエネルギー効率のための特殊な解決策を有する。
【0025】
これら変形実施例の双方では、現在の状態情報Iを決定するための制御ユニット14、及び、処理ユニットとして、制御ユニット14によって決定される状態情報Iを表示素子6上に表示する表示ユニット16が配置される。表示素子6は表示ユニット16の部分であり、具体的には双安定液晶表示である。
【0026】
制御ユニット14は電子回路であり、
図1に関して説明される薬剤ディスペンサ2の場合は、現在のカウント値を現在の状態情報Iとして決定し出力する。それぞれの現在状態情報Iを記憶する不揮発性メモリ18が、制御ユニット14に関連付けられる。エネルギー自律型動作により、制御ユニット14は、計量ボタン10が作動されるときにのみ活動化される。そうでない場合は、制御ユニット14はスイッチオフ状態にある。例示的な実施形態では、不揮発性メモリ18に加えて、記憶レジスタ20の形態の揮発性メモリも制御ユニットの内部に配置される。
【0027】
制御ユニット14は、表示内容に関連する情報と、特に状態情報Iを含む信号とを決定する目的で、表示ユニット16に接続される。この情報は、対応する信号を表示素子6にパスするために、ドライバ回路の形態のドライバ素子22によって前処理される。いわゆる「電子ペーパー」方式の双安定性数値表示としての表示素子6の構成によって、表示ユニット16用には少量のエネルギーのみが要求される。一方、各動作サイクルにおいて要求される全エネルギーのうちかなり大きな割合が、制御ユニット14の回路によって消費される。本明細書の場合、動作サイクルは、計量ボタン10の作動から始まり新しい現在の状態情報Iが表示素子6上に表示されるまでのサイクルを意味するように、理解される。
【0028】
これらの異なるエネルギー要件を考慮に入れるため、
図2及び3の変形例では両方とも、第1のエネルギー貯蔵部24が制御ユニット14に関連付けられ、第2のエネルギー貯蔵部26が表示ユニット16に関連付けられる。この場合2つのユニット14、16は、関連付けられるエネルギー貯蔵部24、26からのみ、エネルギーを得ることができる。エネルギー貯蔵部24、26間のエネルギー平衡(energy balancing)は可能でない。エネルギー貯蔵部24、26は、具体的にはコンデンサの形態である。エネルギー生成ユニット12によって供給されるエネルギーは、ユニット14、16のエネルギー要件にしたがって、2つのエネルギー貯蔵部24、26の間で分割され、好ましくは非対称的にすなわち非同一に分配される。
【0029】
図2の例示的実施形態で、エネルギーの非対称的な分配はパワースプリッタ28によって達成され、パワースプリッタ28は、エネルギー生成ユニット12の下流に接続されて、エネルギー生成ユニット12によって生成されたエネルギーを2つのエネルギー貯蔵部24、26に分配する。電気回路としては、ここでのパワースプリッタ28は、適切な分配を保障する例えば2つのダイオードを含む。エネルギー生成ユニット12は、圧電効果を利用して電気エネルギーが生成される単一の圧電発電機を備える。圧電発電機は、計量ボタン10が作動されると活動化される。
【0030】
これとは対照的に、
図3の例示的な実施形態では、エネルギー生成ユニット12が、第1のエネルギー生成器30及び第2のエネルギー生成器32によって形成され、これらは両方とも圧電発電機の形態である。2つのエネルギー生成器30、32は、例えば、動作サイクルごとに異なる量のエネルギーを生成するように設計される。各エネルギー生成器30、32は、それぞれ関連付けられるエネルギー貯蔵部24、26にのみ給電する。ここでも、エネルギー貯蔵部24、26間のエネルギー平衡は可能でない。
【0031】
2つのエネルギー貯蔵部24、26が厳密に分離され、これらが2つのユニット14、16に関連付けられることによって、バッテリを必要としない信頼性の高い動作が保障される。
【0032】
動作サイクル中のエネルギー消費を可能な限り抑えるために、動作サイクルの実施中に下記のステップが実行される。
【0033】
第1のステップで、数100μJの域内にある所定のごく少量のエネルギーが、計量ボタン10の作動によりエネルギー生成ユニット12によって生成され、2つのエネルギー貯蔵部24、26の間で分割される。
【0034】
第2のステップで、制御回路が作業を開始する。制御回路はまず、不揮発性メモリ18内に最後に記憶された状態情報(最後のカウンタ読み取り値)を読み取り、現在の状態情報Iを決定する。具体的には、制御回路は、ユニットによるカウント値を増加又は減少させ、現在の状態情報Iを形成するこの新しい値を、不揮発性メモリ18内に再び記憶する。
【0035】
第3のステップで、制御ユニット14は表示ユニット16に消去信号を放出し、結果として、表示素子6をリセットし消去するためのデータがドライバ素子22内にロードされる。
【0036】
リセット動作にはある一定の時間がかかるので、制御ユニット14は、例えばスタンバイモードなどのエネルギー消費が減少される状態に移行し、あるいは、エネルギーを節約するために第4のステップで完全にスイッチオフされる。例えば、確実に選択された所定の時間が過ぎた後、あるいは、リセット動作の終了を示す表示ユニット16からの対応するトリガ信号の後、制御ユニット14は再度活動化され、次いで、現在の状態情報I(現在のカウント値)を信号として表示ユニット16へ転送する。
【0037】
次いで第5のステップで、制御ユニット14はエネルギー消費が減少される状態に再度移行し、例えばスイッチオフされる。記憶レジスタのみがしばらくの間活動状態に維持され、結果として、表示ユニット16が、現在の状態情報Iを十分長い間表示するための正しい制御信号を依然として有する。したがってこの時点では、第1のエネルギー貯蔵部24からのエネルギーが消費されているかもしれない。
【0038】
これと並行して、表示ユニット16に新しい現在の状態情報Iを表示する十分な時間を与えるために、表示ユニット16は第2のエネルギー貯蔵部26からエネルギー供給され続ける。
【0039】
したがって、互いに遮断された2つのエネルギー貯蔵部24、26を備える特殊な構造により、異なるエネルギー要件及び異なる時点でも、ユニット14、16の両方が、限られた量のエネルギーを各動作サイクルで確実に供給されることが保障される。例えば、変形例1のパワースプリッタ28における2つのダイオード、又は2つの別個のエネルギー生成器30、32などの、選択的な構造によって、2つの貯蔵部間の充電バランスが保障される。
【0040】
したがって、
図1に関して説明される薬剤ディスペンサ2の応用例で、永続的な機能性がもたらされる。バッテリに付随して要求されるバッテリ交換で起こり得る、バッテリの自己放電は、もはや問題にならない。貯蔵の安定性は、計量される材料(薬剤)にのみ依存する。バッテリの排除により、廃棄も容易となる。
【符号の説明】
【0041】
2 薬剤ディスペンサ
4 ハウジング
6 表示素子
8 計量素子
10 計量ボタン
12 エネルギー生成ユニット
14 制御ユニット
16 表示ユニット
18 不揮発性メモリ
20 記憶レジスタ
22 ドライバ素子
23 エネルギー貯蔵ユニット
24 第1のエネルギー貯蔵部
26 第2のエネルギー貯蔵部
28 パワースプリッタ
30 第1のエネルギー生成器
32 第2のエネルギー生成器
I 状態情報
【国際調査報告】