特表2015-522054(P2015-522054A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-522054P.アクネスに対する抗バイオフィルム剤としてのギンバイカ抽出物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-522054(P2015-522054A)
(43)【公表日】2015年8月3日
(54)【発明の名称】P.アクネスに対する抗バイオフィルム剤としてのギンバイカ抽出物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/61 20060101AFI20150707BHJP
   A61K 8/97 20060101ALI20150707BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20150707BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20150707BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20150707BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20150707BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20150707BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20150707BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20150707BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150707BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20150707BHJP
【FI】
   A61K36/61
   A61K8/97
   A61K31/353
   A61K31/19
   A61P17/00
   A61Q5/00
   A61P31/04
   A61Q19/00
   A61K45/00
   A61P43/00 121
   A61K31/7048
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-520946(P2015-520946)
(86)(22)【出願日】2013年7月8日
(85)【翻訳文提出日】2015年2月20日
(86)【国際出願番号】EP2013064415
(87)【国際公開番号】WO2014009325
(87)【国際公開日】20140116
(31)【優先権主張番号】1256607
(32)【優先日】2012年7月9日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】500166231
【氏名又は名称】ピエール、ファブレ、デルモ‐コスメティーク
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE DERMO−COSMETIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100143971
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル、リュック
(72)【発明者】
【氏名】クリステル、フィオリニ−ピュイバレ
【テーマコード(参考)】
4C083
4C084
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB352
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC342
4C083AC402
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC712
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD202
4C083AD352
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB48
4C083CC02
4C083CC05
4C083CC23
4C083EE07
4C084AA19
4C084MA63
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086CA01
4C086EA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB35
4C086ZC75
4C088AB57
4C088BA08
4C088BA11
4C088BA23
4C088MA63
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZB35
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA13
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZB35
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、プロピオニバクテリウム・アクネスに対する抗バイオフィルム剤として使用される、ギンバイカ抽出物を0.01重量%以上の濃度で含有する皮膚用組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊性プロピオニバクテリウム・アクネス菌に対する抗付着剤として、および/またはバイオフィルム構造をとる固着性プロピオニバクテリウム・アクネス菌を根絶もしくは破壊するための薬剤として使用される、ギンバイカ抽出物を0.01重量%〜1重量%の濃度で含有する、皮膚用組成物。
【請求項2】
使用が、自由浮遊を促進するための、浮遊性細菌に対する抗付着剤としての使用であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
使用が、浮遊性細菌の付着に対する予防的抗バイオフィルム使用であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
使用が、一度バイオフィルムが破壊された場合の、浮遊性細菌のバイオフィルムへの再構成に対する予防的使用であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
抽出物量が0.01%重量以上0.1重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜4に記載の組成物。
【請求項6】
ギンバイカ抽出物が、ミルツコンムロン類およびウルソル酸からなる非極性画分であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ミルツコンムロン類が、主に、ミルツコンムロンA、ミルツコンムロンB’、ミルツコンムロンD、ミルツコンムロンB、イソセミミルツコンムロンおよびセミミルツコンムロンからなり、有利には、総ミルツコンムロン含有量が、ギンバイカ抽出物の総重量に対して3重量%〜10重量%の間であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ウルソル酸含有量が、ギンバイカ抽出物の総重量に対して10重量%〜30重量%の間であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
ウルソル酸含有量が、ギンバイカ抽出物の総重量に対して15重量%未満であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
P.アクネスに作用する、好ましくは、局所形態で投与される抗生物質に対する耐性を低下させるために局所使用されるものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
アクネの処置において用いられる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
禿髪性毛包炎の処置において用いられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
アクネまたは禿髪性毛包炎の処置において、同時に、別々にまたは逐次に用いられる、ギンバイカ抽出物を0.01重量%〜1重量%の濃度で含有する皮膚用組成物と、少なくとも1つの抗生物質を含有する皮膚用組成物とからなる、組合せ物。
【請求項14】
皮膚用組成物が、0.01重量%以上0.1重量%以下のある量のギンバイカ抽出物を含有することを特徴とする、請求項13に記載の組合せ物。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)に関する抗バイオフィルム剤としてのギンバイカ(myrtle、フトモモ科の各種低木)抽出物の、皮膚用組成物における使用に関する。
【0002】
有利には、本発明は、浮遊性プロピオニバクテリウム・アクネス菌に対する抗付着剤として、および/またはバイオフィルム構造をとる固着性プロピオニバクテリウム・アクネス菌を根絶もしくは破壊するための薬剤としてのギンバイカ抽出物の、皮膚用組成物における使用に関する。
【0003】
抗バイオフィルム剤としてのこのギンバイカ抽出物はまた、アクネまたは禿髪性毛包炎の処置中に古典的に投与される抗生物質に対する耐性を低下させるのに効果的であることも判明している。
【0004】
アクネは、毛包脂腺毛包の炎症によって起こるよく見られる皮膚病変である。この毛包の炎症は、大部分が、毛漏斗部にプロピオニバクテリウム・アクネスが定着したことによるものである。
【0005】
禿髪性毛包炎(folliculitis decalvans)は、残存性瘢痕性脱毛症(residual scarring alopecia)の原因となる慢性炎症性頭皮膿疱症である。禿髪性毛包炎は、生理病理学がほとんど解明されていない希少疾患であるが、細菌、おそらくは、プロピオニバクテリウム・アクネス菌に対する好中球を主体とした炎症反応と関係がありそうである。
【0006】
P.アクネス菌は、リパーゼによって皮膚のトリグリセリドを代謝して刺激性脂肪酸に変え、これらの脂肪酸が毛包壁およびその周囲の真皮の壁を攻撃する。さらに、この菌は、この炎症を悪化させる様々な酵素や免疫系食細胞の化学誘引物質を産生する。
【0007】
従って、この細菌種を制御することがアクネまたは禿髪性毛包炎の処置の際の優先事項である。現在では、様々な局所用抗菌剤が広く使用されている(過酸化ベンゾイル、クリンダマイシン、エリスロマイシン、トリクロサン)。
【0008】
実際には長期にわたる全身抗生物質療法は、病気の重篤度に応じて組み合わせて使用することができる(テトラサイクリン類、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、エリスロマイシン)。
【0009】
近年は、1以上の抗生物質に耐性を示すP.アクネス株の割合が高くなっているためにこれらの処置が頻繁に失敗していることに着目した。
【0010】
浮遊性細菌(浮遊状態)の集団がバイオフィルムへ組織化すると、この耐性増加が起こり得る。バイオフィルムは、微生物によって排泄された、グリコカリックスと呼ばれる糖ポリマー(細胞外高分子物質、またはEPS)からなる細胞外マトリックスの内部に存在する細菌細胞のコミュニティーである。従って、バイオフィルムは、細菌とその周囲環境とを隔てる多糖外皮である。細菌は、代謝を遅くすることで代謝を適応させる。従って、バイオフィルムは、細菌が、
・毛包脂腺毛包の上皮ケラチノサイトに付着し、それにより、ケラチノサイトの分化および増殖に対する調節作用を促進すること、
・毛包脂腺毛包内でコロニーへと発展すること、および
・アクネに対して使用される抗生物質、特に、サイクリン類およびマクロライド類に対して耐性を示すようになること
を可能にする。
【0011】
細菌のバイオフィルム生活様式は、単細胞生物の2つの生活様式の1つである。これは、特に、適さない環境での、大部分の微生物の自然な生活様式である。第2の生活様式では、細菌は液体環境中を自由に浮遊する。自由浮遊性生活様式と関係している細菌は、浮遊性細菌と呼ばれている。バイオフィルムと関係している細菌は、固着性細菌として知られている。
【0012】
図1で示されるように、毛包脂腺毛包内でのP.アクネスバイオフィルムの形成は、4段階で進行する:
1)毛包脂腺毛包の内壁への浮遊性P.アクネスの移動
2)毛包壁へのP.アクネスの初期付着
3)固着性P.アクネスの定着および構造化
4)P.アクネスの脱離および再定着。
【0013】
(バイオフィルムと関係している)固着性細菌は、浮遊性(自由な)細菌と表現型上も生理学上も異なる。
【0014】
バイオフィルムへのこの構成が発表され、アクネ処置の処置失敗の説明がなされた(Burkart C.N., Burkart C.G., 2003. Microbiology’s principle of biofilms as a major factor in the pathogenesis of acne vulgaris. Int. J. Dermatol. 42. 925-927)。
【0015】
最近の研究により、
・in vitroでも(Bayston R., Ashraf W., Barker-Davis R., Tucker E., Clement R., Clayton J., Freeman B.J., Nuradeen B. 2007. Biofilm formation by Propionibacterium acnes on biomaterials in vitro and in vivo: impact on diagnosis and treatment. J. Biomed. Mast. Res. A81, 705-709) (Coneye T., Peeters E., Nelis H.J. 2007a. Biofilm formation by Propionibacterium acnes is associated with increased resistance against antimicrobial agents and increased production of putative virulence factors. Res. Microbiol. 158. 386-392) (Holmberg A., Lood R., Morgelin M., Soderquist B., Holst E., Collin M., Christensson B., Rasmussen M. 2009. Biofilm formation by Propionibacterium acnes is a characteristic of invasive isolates. Clin. Microbiol. Infect. 15, 787-795)
・in vivoで医療装置上でも(Coneye T., Honraet K., Rossel B., Nelys H.J., Biofilm in skin infection: Propionibacterium acnes and acne vulgaris. Infect Disord Drug Target 2008. 14. 649-659) (Ramage G., Tunney M.M., Patrick S., Gorman S.P. and Nixon J.R. 2003. Formation of Propionibacterium acnes biofilms on orthopedic biomaterials and their susceptibility to antimicrobials. Biomaterials; 24: 3221-3227) (Craig G., Burkhart M.D., Craig N. 2007. Expanding the microcomedone theory and acne therapeutics: Propionibacterium acnes biofilm produces biological glue that holds corneocytes together to form plug. J Am Acad Dermatol. October)
バイオフィルムを形成するP.アクネスの能力が確認された。
【0016】
最新の技術でも毛包内のバイオフィルムをin situで可視化することはできないが、最近の研究では、皮膚生検組織から毛包脂腺毛包内のP.アクネスマクロコロニー/バイオフィルムの存在を検出することができた(Jahns A.C., Lundskog B., Ganceviciene R., Palmer R.H., Golovleva I., Zouboulis D.C., McDowell A., Patrick S., Alexeyev O.A. 2012. An increased incidence of Propionibacterium acnes biofilms in acne vulgaris: a case-control study. Br J Dermatol. Feb 22)。
【0017】
現在、一般に受け入れられているP.アクネスバイオフィルムについての概念は、バイオフィルムの形成抑制、または既に形成されているバイオフィルムの拡大抑制もしくはその化学的もしくは機械的根絶などの新たな処置標的への道を開く。
【0018】
これらのアプローチは、微生物の定着を防ぐために古典的に利用されている殺菌活性に代わるものである。これらの2種類の活性、すなわち、殺菌性および抗バイオフィルム性の活性は、異なる特性を利用し、互いに誘発し合わない。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、一方で、P.アクネスバイオフィルムの形成を抑制し、もう一方で、既に形成されているバイオフィルムの拡大を抑制し、またはそれを根絶する(もしくは破壊する)ギンバイカ抽出物の活性を示すことを目的としている。
【0020】
本発明は、ギンバイカ(Myrtus communis)種に関して行われた研究に関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【発明の具体的説明】
【0022】
好ましくは、前記抽出物は、ギンバイカ(Myrtus communis)の葉から調製される。
【0023】
好ましくは、前記抽出物は、ギンバイカ地上部由来の非極性画分である。
【0024】
本発明の抽出物は、以下:
・エタノール、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール
・アセトンおよびメチルエチルアセトンを含むケトン
・ヘキサン
・塩化メチレン
・イソプロピルエーテル
・酢酸エチル;
から選択される溶媒もしくは溶媒の混合物を用いるかまたは超臨界COによる抽出によって得ることができる。
【0025】
前記抽出物はまた、ブチルヒドロキシトルエンまたはα−トコフェロールなどの酸化防止剤を、例えば、乾燥抽出物100g当たり0.05〜1gの間の量で添加することにより安定させることができる。
【0026】
本発明の抽出物は、ミルツコンムロン類(myrtucommulones)およびウルソル酸が豊富であるという特徴を有する。存在する主なミルツコンムロン類は、ミルツコンムロンA、ミルツコンムロンB’、ミルツコンムロンD、ミルツコンムロンB、isoS(イソセミミルツコンムロン(isosemimyrtucommulone))およびS(セミミルツコンムロン(semimyrtucommulone))である。
【0027】
有利には、前記抽出物中の総ミルツコンムロン含有量は、3〜10重量%の間である。
【0028】
ウルソル酸含有量は、10〜30重量%の間、好ましくは、≧15重量%である。
【0029】
これらの分子は、本発明に関連して記載された活性を有する。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、前記ギンバイカ抽出物は、好ましくは、欧州特許第112079号に記載のとおりのものである。この文献には、ギンバイカ(Myrtus communis)抽出物の抗菌性および、化粧料用または皮膚用組成物におけるその用途が記載されている。
【0031】
本発明の全体で顕著な側面は、本発明の組成物の抗バイオフィルム活性が、非常に低い濃度のギンバイカ抽出物、すなわち、該組成物の総重量に対して0.01重量%ほどの低い濃度でも認められることである。
【0032】
前記組成物中の抽出物の量は0.01%〜1%の間であり、好ましくは、0.03%〜1%の間である。
【0033】
有利には、抽出物の量は0.1%以下である。
【0034】
より具体的には、抽出物の量は0.01%以上0.1%以下である。より一層好ましくは、抽出物の量は0.03%以上0.1%以下である。
【0035】
「プロピオニバクテリウム・アクネスに関する抗バイオフィルム剤」とは、本発明の文脈において、
・(プロピオニバクテリウム・アクネスバイオフィルムの形成を回避するために)プロピオニバクテリウム・アクネスバイオフィルムの付着を抑制し、かつ/または
・既に形成されているプロピオニバクテリウム・アクネスバイオフィルムを根絶する(破壊、脱離)
薬剤を意味する。
【0036】
前記抗バイオフィルム剤の活性を示すために、他の研究分野で既に使用されている不活性支持体上でのバイオフィルム形成動的モデル(Campanac C., Pineau L., Payard M., Baziard-Mouysset G., Roques C. 2002. Interaction between biocide cationic agents and bacterial biofilms. Antimicrob. Ag. Chemother. May 46 (5) 1469-1474)を、P.アクネスに具体的に適用した。従って、記述する2つの側面を調査した:
・P.アクネスバイオフィルム生成に及ぼす前記抽出物の作用:この活性は、表面への細胞の付着およびバイオフィルムの構造化に関与する機構を利用する。
・他の特性(清浄など)を利用した、既に形成されているバイオフィルムの根絶。
【0037】
本発明のギンバイカ抽出物は、バイオフィルムへの構成を制限することで、P.アクネスと闘う助けとなる。浮遊性P.アクネス菌の付着を防ぎ、かつ既に形成されているP.アクネスバイオフィルムを破壊するこの作用は、アクネ肌および/またはアクネができやすい油性肌からのアクネ病変の消滅を促す。
【0038】
本出願者は、抗バイオフィルム剤としてのギンバイカ抽出物の使用についての調査を行い、驚くべき予期しない方法で、ギンバイカ抽出物が、P.アクネス株、好適的にはバイオフィルム構造をとるP.アクネス株の、P.アクネスに作用する、好ましくは、局所形態で投与される抗生物質に対する耐性を低下させることを見出した。
【0039】
従って、本発明は、プロピオニバクテリウム・アクネスに関する抗バイオフィルム剤として使用される、ギンバイカ抽出物を0.01重量%以上の濃度で含有する皮膚用組成物に関する。
【0040】
有利には、本発明は、浮遊性プロピオニバクテリウム・アクネス菌に対する抗付着剤として、および/またはバイオフィルム構造をとる固着性プロピオニバクテリウム・アクネス菌を根絶もしくは破壊するための薬剤として使用される、ギンバイカ抽出物を0.01重量%以上の濃度で含有する皮膚用組成物に関する。
【0041】
特に、本発明は、自由浮遊を促進するための、浮遊性細菌に対する抗付着剤として使用される、ギンバイカ抽出物を0.01重量%以上の濃度で含有する皮膚用組成物に関する。
【0042】
より具体的には、本発明は、浮遊性細菌の付着を予防するための抗バイオフィルム剤として使用される、ギンバイカ抽出物を0.01重量%以上の濃度で含有する皮膚用組成物に関する。
【0043】
より具体的には、本発明は、一度バイオフィルムが破壊された場合に、浮遊性細菌のバイオフィルムへの再構成に対して予防的に使用される、ギンバイカ抽出物を0.01重量%以上の濃度で含有する皮膚用組成物に関する。
【0044】
本発明の別の側面は、ギンバイカ抽出物を0.01重量%〜1重量%の濃度で含有する組成物に関する。
【0045】
本発明の別の側面によれば、抽出物の量は0.01%重量以上0.1重量%以下である。
【0046】
本発明の別の側面によれば、前記ギンバイカ抽出物は、ミルツコンムロン類およびウルソル酸からなる非極性画分である。
【0047】
本発明の組成物の局所使用は、好ましくは、局所形態で投与される、P.アクネスに作用する抗生物質に対する耐性を低下させることを目的とする。
【0048】
本発明の別の側面によれば、前記組成物は、アクネまたは禿髪性毛包炎の処置において用いられる。
【0049】
別の側面によれば、本発明は、アクネまたは禿髪性毛包炎の処置において、同時に、別々にまたは逐次に用いられる、ギンバイカ抽出物を0.01重量%〜1重量%の濃度で含有する皮膚用組成物と、少なくとも1つの抗生物質、特に、P.アクネスに対して活性を有する局所用抗生物質を含有する皮膚用組成物とからなる組合せ物に関する。
【0050】
本発明の組合せ物の皮膚用組成物は、0.01%重量以上0.1重量%以下のある量のギンバイカ抽出物を含有する。
【0051】
本発明の別の側面によれば、前記ギンバイカ抽出物は0.1重量%の濃度である。
【0052】
古典的に使用される前述の抗生物質は、エリスロマイシン、ドキシサイクリンおよびクリンダマイシンである。
【0053】
本発明の抗バイオフィルム剤は前記抗生物質の処置効力を向上させる。
【0054】
上述の抗生物質とギンバイカ抽出物との組合せは、抗生物質単独の場合より低い最小発育阻止濃度(MIC)を有する。
【0055】
MICは、細菌の増殖を阻止する、製品(物)の最小濃度である。
【0056】
アクネ処置に関連して、抗生物質療法と、抗バイオフィルム剤としてギンバイカ抽出物を含有する組成物の適用とを組み合わせることには重要な利点がある。実際には、これにより特定のP.アクネス株の、エリスロマイシンまたはクリンダマイシンに対する耐性が低下する。
【0057】
処方物/調製
本発明の組成物は、局所適用に適したどのような形態でも提供され得る:クリーム、ゲル、スティック、血清。
【0058】
以下の薬理実施例および評価によって、本発明をよりよく理解することができる。
【実施例】
【0059】
1−抽出物の調製
1.1−実施例1:
砕粉したギンバイカ葉1kgを、10容量の酢酸イソプロピルを用いて、還流状態で撹拌しながら抽出する。撹拌しながら還流状態で1時間抽出する。絞りかすを濾過し、洗い流した後、活性炭を添加することにより抽出液を脱色する。濾過後、脱色させた濾液を2リットルまで濃縮し、その後、酢酸イソプロピルが除去されるまで水で乾燥させる。その後、得られた水相を凍結乾燥させる。
【0060】
ギンバイカ葉1kgから乾燥ギンバイカ抽出物の約25gが得られる。
【0061】
乾燥ギンバイカ抽出物は、7%のミルツコンムロン類および25%のウルソル酸を含有する。
【0062】
1.2−実施例2
砕粉したギンバイカ葉1kgを、5容量の酢酸イソプロピルを用いて、還流状態で撹拌しながら1時間抽出する。絞りかすを濾過し、洗い流した後、活性炭を添加することにより抽出液を脱色する。濾過後、脱色させた濾液を2リットルまで濃縮し、その後、酢酸イソプロピルが除去されるまでエタノールで乾燥させる。次いで、得られた水相を、熱処理により脱臭し、その後、凍結乾燥させる。
【0063】
ギンバイカ葉1kgから乾燥ギンバイカ抽出物の約25gが得られる。
【0064】
乾燥ギンバイカ抽出物は、7%のミルツコンムロン類および25%のウルソル酸を含有する。
【0065】
2−処方物
2.1−実施例3:クレンジングゲル用処方
コセス硫酸亜鉛(Zetesol Zn(商標)、Zchimmer&Schwarz社製)、5〜20%
デシルグルコシド
ラウリルベタイン
ポリソルベート20、0.5〜4%
エチルヘキサン酸PEG−5、1〜3%
セテアレス−60ミリスチルグリコール、0.5〜3%
サリチル酸亜鉛、0.1〜0.5%
ノコギリヤシ(SERENOA REPENS)抽出物、0.1〜0.3%
親油性乾燥ギンバイカ抽出物、0.01〜0.1%
安息香酸ナトリウム/クエン酸/水酸化ナトリウム 適量
【0066】
2.2−実施例4:クリーム
ギンバイカ抽出物、0.03〜0.1%
AHA BHA、1〜8%
キサンタンガム、0.1%
ジメチコン、1%
イソノナン酸セトステアリル、12%
ステアリン酸グリセリル、2%
セテアリルアルコール&セテアレス−33、6%
ポリメチルメタクリレート、2%
水 適量(100%にする)
【0067】
評価
・連続流でのP.アクネスバイオフィルムの獲得
バイオフィルムの形成に使用する装置を図2に示す。
【0068】
使用する2つのポンプはそれぞれ、
・ループへの基質の供給(ポンプ1番)、
・システムの内容物の撹拌(ポンプ2番)
を行う役割を果たす。
【0069】
図2に記載する実験装置全体を層流フード下に置く。
【0070】
システムに培養培地を供給する。次いで、培地に、B地点で、ある量のP.アクネスCIP 53117菌浮遊液を注入植菌して、微生物の終濃度約10CFU/mlを得る。
【0071】
接種物の微生物をループ全体に分布させ、すなわち、均質化相とし、その後、ポンプ1番による基質の供給を行う。
【0072】
48時間形成させた後、P.アクネスCIP 53117バイオフィルムを得る。
【0073】
図2に示す実験装置では、図面中の参照記号は以下の意味を有する:
P1:基質供給用ポンプ
P2:システム撹拌用ポンプ
A−B、下部:チューブ部分のサンプリングエリア
B:ループへの植菌エリア。
A−B、上部:ポンプP2を含むチューブ部分
【0074】
P.アクネスバイオフィルムの形成におけるギンバイカ抽出物の付着抑制の評価。
実施例2に従って調製した乾燥ギンバイカ抽出物についての、P.アクネスCIP 53117バイオフィルム形成における付着抑制効果を評価するために、前段落で記載したとおりに2つの装置を準備した。第1の装置を対照とする。第2の装置には、乾燥ギンバイカ抽出物を、終濃度0.1%(非致死濃度)で添加した培養培地を供給する。試験は2回実施する。
【0075】
「処理実施」支持体と未処理対照において、以下のプロトコールに従って、5時間、24時間および48時間の時点で付着細菌および浮遊性細菌を計数した。チューブサンプルを4等分に縦断し、これらの部分の各内表面を、滅菌メス刃を用いて10mlの希釈液中へ擦り取る。
【0076】
次いで、チューブ部分および液体を試験管に移し、約1分間振盪する。
【0077】
その後、細菌を寒天培養培地上に画線し、計数する。
【0078】
同時に、浮遊性細菌を計数するために、同じプロトコールに従って、流出物のサンプルを回収する。
【0079】
プレートは、嫌気性条件下、37±2℃でインキュベートする。
【0080】
96時間のインキュベーションの後、CFUを計数する。
【0081】
付着細菌についてはCFU/cmで、浮遊性細菌については流出物1ml当たりのCFU(CFU/ml)で結果を表す。
【0082】
結果
得られた結果を表1に示す。
【0083】
培養可能な付着集団の推定値をチューブ1cm当たりのlog CFUで表し、培養可能な浮遊性集団の推定値をlog CFU/mlで表す。
【0084】
【表1】
【0085】
log CFU/cmで表した、付着集団について得られた結果の平均を下記図3に示す。
【0086】
乾燥ギンバイカ抽出物を用いた装置では、植菌の5時間後にP.アクネス付着抑制が認められる。この抑制はおよそ1.2logである。どちらの装置の場合も(処理実施および対照)、浮遊性集団の推定値は同程度である。24時間の形成後もこの現象は続き、抑制はおよそ2.7logである。48時間後もこの抑制は変わらず、およそ2.6logであった。どちらの装置の場合も(処理実施および対照)、この期間中に、培養可能な浮遊性集団の大幅な減少が認められる。
【0087】
これらの結果は、0.1%(w/v)乾燥ギンバイカ抽出物によってもたらされた、試験条件下での付着抑制を示している。
【0088】
脱離活性の評価
実施例2に従って調製した乾燥ギンバイカ抽出物の脱離活性を、前記した、48時間の形成後に得られたP.アクネスCIP 53117バイオフィルムにおいて評価した。
【0089】
試験条件(図4参照)は以下のとおりである:
・0.1%(w/v)乾燥ギンバイカ抽出物と滅菌蒸留水の脱離活性、
・接触時間:1.5分および10分の接触、
・室温。
【0090】
各規定接触時間経過後、様々なサンプルを採取する:
・残留細菌を計数するためのチューブ(2cm)のサンプル、
・浮遊細菌を計数するための循環液のサンプル。
【0091】
図4に示す実験装置では、参照記号は以下の意味を有する:
a=残留細菌を計数するためのチューブのサンプル
b=循環液
P=ポンプ。
【0092】
試験は、乾燥ギンバイカ抽出物については二反復で、滅菌蒸留水については1回実施する。
【0093】
様々な処理を開始する前(対照)に付着している微生物の数を計数した。
【0094】
結果
得られた結果を表2に示す。培養可能な付着集団の推定値をチューブ1cm当たりのlog CFUで表し、培養可能な浮遊性集団の推定値を200ml(循環液の容量)当たりのlog CFUで表す。
【0095】
【表2】
【0096】
培養可能な付着集団の著しい減少が認められないため(1 log未満の減少=バイオフィルムの第1表面層の除去)、滅菌蒸留水を用いて準備した一連の対照により試験を検証した。
【0097】
0.1%(w/v)乾燥ギンバイカ抽出溶液と滅菌蒸留水についての、P.アクネスバイオフィルム(48時間の形成後のもの)における脱離活性を、log(CFU/cm)で表し、図5に示す。
【0098】
0.1%(w/v)乾燥ギンバイカ抽出物の存在下では、付着集団の大幅な減少が認められる。この減少は、1分の接触後におよそ3 logである。
【0099】
溶液の循環時間を1分から5分に延ばすことにより、脱離の約0.7 logのさらなる増加がもたらされる。
【0100】
P.アクネスバイオフィルムにおけるエリスロマイシン/ギンバイカ抽出物の組合せの活性の評価
実施例2に従ってギンバイカ抽出物を調製する。
【0101】
株の確認
4つのプロピオニバクテリウム・アクネス株を選択した:
2つのエリスロマイシン耐性株(ERY R)
・プロピオニバクテリウム・アクネスCIP 110371
・臨床分離株R4
2つのエリスロマイシン感受性株(ERY S)
・プロピオニバクテリウム・アクネスCIP 53117T
・臨床分離株B872
【0102】
プロトコール
細菌増殖が起こらない最小培養液へのP.アクネスの力価測定済懸濁液(約10CFU/ml)を、24ウェルマイクロプレートのウェルに付着させた。
【0103】
マイクロプレートを嫌気性条件下、37±2℃で48時間(バイオフィルム形成の設定時間)おく。
【0104】
48時間後に、各ウェルの上清を廃棄し、その後、ウェルを洗い流す。エリスロマイシンと様々な濃度のギンバイカ抽出物を、付着細胞との接触時間24時間の間添加する(合計72時間の付着)。
【0105】
選択したエリスロマイシン濃度は1000μg/mlである。この濃度で、この抗生物質は、2つのエリスロマイシン感受性株(ERY S)に関して殺菌活性を有している(24時間での減少が4log〜5logの間)が、2つのエリスロマイシン耐性株(ERY R)に関して殺菌活性は有していないことが単離細菌において確かめられた。
【0106】
72時間の付着後:
・浮遊性細胞を計数する
・ウェルを洗い流し、その後、トリプトン塩中へ擦り取った後、付着している(固着性)細胞を計数する
【0107】
同時に、対照を準備した(付着細胞+浮遊性細胞)
・72時間のバイオフィルム対照(48時間の時点で培地を変更)
・様々な濃度のギンバイカ対照(48時間後に添加/24時間の接触)
・1000μg/mlのエリスロマイシン対照(48時間の時点で添加/24時間の接触)
・試験濃度のギンバイカ抽出物対照
【0108】
エリスロマイシンと接触させた総てのウェルについては、各希釈物1mlをメンブレン(Microfil(商標)、Millipore社製)で濾過し、その後、フィルターを滅菌蒸留水50mlで3回洗い流す。メンブレンをコロンビア寒天培地+5%ヒツジ血液上に置く。プレートを嫌気性条件下、37±2℃でインキュベートする。72時間〜96時間のインキュベーション後に、コロニー形成単位(CFU)を計数する。
【0109】
総てのバイオフィルム対照およびギンバイカ抽出物単独については、各希釈物100μlを、コロンビア寒天培地+5%ヒツジ血液上に画線植菌する。プレートを嫌気性条件下、37±2℃でインキュベートする。72時間〜96時間のインキュベーション後に、CFUを計数する。
【0110】
結果
この試験は、エリスロマイシン(1000μg/ml)と、0.03%、0.001%および0.0001%の濃度のギンバイカ抽出物との組合せの活性を評価することにあった。
【0111】
結果を、集団の計数値のlogで示す。
【0112】
【表3】
【0113】
ERY S−コレクション株の結果
エリスロマイシン(1000μg/ml)と、0.03%、0.001%および0.0001%の濃度のギンバイカ抽出物との組合せの活性を図6に示す。
【0114】
ERY R−コレクション株の結果
エリスロマイシン(1000μg/ml)と、0.03%、0.001%および0.0001%の濃度のギンバイカ抽出物との組合せの活性を図7に示す。
【0115】
【表4】
【0116】
ERY S−分離株の結果
エリスロマイシン(1000μg/ml)と、0.03%、0.001%および0.0001%の濃度のギンバイカ抽出物との組合せの活性を図8に示す。
【0117】
ERY R−分離株の結果
エリスロマイシン(1000μg/ml)と、0.03%、0.001%および0.0001%の濃度のギンバイカ抽出物との組合せの活性を図9に示す。
【0118】
全体としての結論:
・抽出物単独:
ギンバイカ抽出物単独では、0.03%の濃度で、eryS株およびeryR株の両方に関して高い活性を有することが認められる。
【0119】
また、得られた結果より、ギンバイカ抽出物単独で、浮遊性細菌に対してはもちろんのこと、付着しているP.アクネス菌に対しても顕著な活性(用量依存効果)を有することも示される。
【0120】
より活性の低いギンバイカ抽出物濃度(0.001%および0.001%)を選択して、ギンバイカ抽出物/エリスロマイシン系抗生物質組合せ処理の効果を示した。
【0121】
・エリスロマイシン単独:
結果より、P.アクネス菌がバイオフィルムへと構成される(erySおよびeryR)と、エリスロマイシンに対するそれらの感受性が低下することが確認される。
【0122】
さらに、eryR浮遊性株がエリスロマイシンに対する耐性を示すことが確かめられた。
【0123】
最後に、エリスロマイシンの殺菌活性はeryS株に対して高い。
【0124】
・ギンバイカ抽出物およびエリスロマイシンの組合せ:
バイオフィルムの破壊(バイオフィルム構造をとるP.アクネス菌数の減少)および浮遊性集団の一部(バイオフィルムから脱離した細菌)の消滅が、評価した3組で認められる。エリスロマイシンと組み合わせたギンバイカ抽出物の最も低い濃度(0.001%および0.0001%)では、エリスロマイシン単独または抽出物単独と比べて、付着集団の少なくとも1 logのさらなる減少が認められる。ギンバイカ抽出物の高い濃度(0.03%)では、この抽出物の活性が高いことで相乗作用は隠れている。
【0125】
従って、ギンバイカ抽出物を関連抗生物質と組み合わせることにより作用の増強が実際に認められた。実際には、ギンバイカ抽出物によって、抗生物質療法の関連分子に対する、バイオフィルム形態のP.アクネス株の耐性は低下する。ギンバイカ抽出物によって、P.アクネス菌に関するエリスロマイシンの作用は最適化される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】