特表2015-522729(P2015-522729A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-522729二段水洗及び雑排水水洗システム及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-522729(P2015-522729A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(54)【発明の名称】二段水洗及び雑排水水洗システム及び装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/00 20060101AFI20150710BHJP
   E03D 11/00 20060101ALI20150710BHJP
   B64D 11/02 20060101ALI20150710BHJP
   B63B 29/14 20060101ALI20150710BHJP
【FI】
   E03D5/00
   E03D11/00 A
   B64D11/02
   B63B29/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-512639(P2015-512639)
(86)(22)【出願日】2013年3月14日
(85)【翻訳文提出日】2014年11月17日
(86)【国際出願番号】US2013031224
(87)【国際公開番号】WO2013172953
(87)【国際公開日】20131121
(31)【優先権主張番号】61/648,194
(32)【優先日】2012年5月17日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】511158649
【氏名又は名称】エムエージー エアロスペイス インダストリーズ, エルエルシィ
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】ブーダギィャン, ラズミク ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ホァン, ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ゴッシェル, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】オルトラン, クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】アントンジーク, ヴォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ビルベック, ティモシー
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AC14
2D039BA00
2D039CB00
2D039CD01
2D039DA00
2D039FC00
2D039FD00
(57)【要約】
本発明の実施形態は、真空式トイレと共に使用する雑排水水洗システムを提供する。システムの一実施形態は、便器(14)と航空機主排泄物タンク(18)との間の排泄物一時タンク(20)を使用する2段階水洗を提供する。この2段階水洗システムによれば、水洗の第1段階は要求される真空度がより少量ですむため、水洗工程に伴う騒音のレベルが低減される。前記システムの実施形態は、更に洗面台(12)からの雑排水を貯蔵器(34)に捕集し、この水をトイレ水洗工程において使用する。さらにオプションとして、前記水洗の第2段階の間に作動される化粧室臭気除去システム(28)が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空式トイレとともに使用する2段階水洗システムであって、前記真空式トイレは主排泄物保持タンクに至る主排泄物路に管路接続されており、前記2段階水洗システムは、
(a)真空式便器と、
(b)前記真空式便器と前記主排泄物保持タンクとの間に管路接続された排泄物一時タンクと、
(c)前記真空式便器と前記排泄物一時タンクとの間に配置された第1バルブと、
(d)前記排泄物一時タンクと前記主排泄物路との間に配置された第2バルブとを含む2段階水洗システム。
【請求項2】
臭気除去路を更に含む請求項1に記載の2段階水洗システム。
【請求項3】
前記排泄物一時タンクと前記臭気除去路との間に第3バルブが配置されている請求項2に記載の2段階水洗システム。
【請求項4】
前記第2バルブはマルチポートバルブを含み、前記マルチポートバルブの一つのポートは前記主排泄物路に至り、前記マルチポートバルブの2番目のポートは前記臭気除去路に至る請求項1に記載の2段階水洗システム。
【請求項5】
雑排水貯蔵器を備える洗面台をさらに含み、前記雑排水貯蔵器は前記洗面台と流体的に連結されている請求項1に記載の2段階水洗システム。
【請求項6】
前記洗面台からの雑排水が前記雑排水貯蔵器に収集され、水洗手順が起動された場合に前記真空式トイレに配水される請求項5に記載の2段階水洗システム。
【請求項7】
前記洗面台から収集された雑排水が、前記真空式トイレに配水されるのに先立って処理される請求項5に記載の2段階水洗システム。
【請求項8】
前記雑排水は濾過、紫外光、化学処理、又はこれらの任意の組合せによって処理される請求項7に記載の2段階水洗システム。
【請求項9】
排泄物を前記便器から前記排泄物一時タンクに移送するために前記第1バルブが開かれた場合に、前記第2バルブが閉じたままとされる請求項1に記載の2段階水洗システム。
【請求項10】
前記排泄物を前記便器から前記排泄物一時タンクに移送したあと、前記第1バルブが閉じ、前記排泄物を前記排泄物一時タンクから前記主排泄物保持タンクに移送するために前記第2バルブが開く請求項9に記載の2段階水洗システム。
【請求項11】
臭気除去バルブと臭気除去路を更に含み、前記排泄物を前記便器から前記排泄物一時タンクへと移送した後に、
(a)前記第1バルブが閉じ、
(b)前記排泄物を前記排泄物一時タンクから前記主排泄物タンクに移送するために前記第2バルブが開き、
(c)空気を、前記臭気除去路を通して前記主排泄物路の中へ引き込むために前記臭気除去バルブが開く、請求項9に記載の2段階水洗システム。
【請求項12】
航空機の化粧室の中に設置されている請求項1に記載の2段階水洗システム。
【請求項13】
真空式トイレを有する航空機の化粧室とともに使用する雑排水水洗システムであって、前記真空式トイレは主排泄物保持タンクに至る主排泄物路に管路接続されており、前記雑排水水洗システムは、
(a)手を洗うための洗面台と、
(b)使用済の雑排水を収集するために前記洗面台に流体的に接続された雑排水貯蔵器と、
(c)真空式便器と、
(d)前記真空式便器と前記主排泄物保持タンクとの間に管路接続された排泄物一時タンクと、
(e)前記真空式便器と前記排泄物一時タンクとの間に配置された第1バルブと、
(f)前記排泄物一時タンクと前記主排泄物路との間に配置された第2バルブとを含む雑排水水洗システム。
【請求項14】
前記雑排水貯蔵器は、前記貯蔵器内の雑排水の水位を検出する水センサを含む請求項13に記載の雑排水水洗システム。
【請求項15】
前記雑排水貯蔵器は、前記貯蔵器内の雑排水の水位が水洗サイクルを行うために不十分であるときは水を受け入れ、前記貯蔵器内の雑排水が溢れる恐れのある水位であるときは水を取り除くように構成されている請求項13に記載の雑排水水洗システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の情報:本出願は、2012年5月17日に出願された、「雑排水水洗システム」と題された米国仮出願第61/648,194号の優先権を主張し、その内容を援用してここに組み入れる。
【0002】
本発明の実施形態は、概して真空式トイレに使用する水洗システムに関している。所定の実施形態は、サイクルの少なくとも一部においてより少量の(わずかな)真空レベルで足りる水洗サイクルを与えるものである。これにより所定の実施形態は、特に騒音レベルを低減しようとする乗客用輸送機関に搭載して使用することができる。ある実施形態はまた、水洗サイクル内で雑排水を再利用して、航空機の重量及び搭載水の低減を促進する。
【背景技術】
【0003】
多くの種類の乗客用輸送機関(航空機、船、バス、電車及びその他の乗客用輸送機関)が、腐敗性排泄物を水洗するために真空式トイレを使用しており、この腐敗性排泄物は水洗後、輸送機関に搭載された腐敗物保持タンクに運ばれる。そのような腐敗物保持タンクは、一般的には、腐敗性排泄物を水洗し保持タンクへ送るために、一連の導管、バルブ及び真空ポンプを介して真空トイレシステムに流体的に連結されている。水洗動作の真空は、一つ又は複数の真空ポンプを介して、又は飛行中の航空機においては圧力差を介して作り出され得る。例えば航空機は一般的に、排泄物(廃棄物)及び水洗水/使用済水をトイレ及び/又はシンクから機内に搭載した排水貯蔵タンクへと吸引するために真空を与える真空処分系を有している。この吸引力は、飛行高度が高い時には気圧調整(加圧)されたキャビン(乗客室)と減圧された航空機外部との間の圧力差によって作り出され、又は地上や飛行高度が低い時には真空発生器により作り出される。
【0004】
真空式トイレは効率的ではあるが、腐敗性排泄物を便器から保持タンクまで移動させるために与える必要のある真空量のため、水洗サイクル中の騒音レベルが高い。大きな水洗音は水洗バルブが開くときに立てられる。排泄物を排水管へと力強く引っ張るのは圧力差であり、圧力差は、排泄物が便器から、化粧室からかなり離れた位置におかれ得る腐敗物保持タンクまでの全距離を流れるのに十分なほど大きくなければならない。
【0005】
真空式トイレに加えて、乗客用化粧室は手を洗うためのシンク(洗面台)も有する。例えば、多くの商業用航空機は調理室のシンク及び化粧室のシンクを備えている。これらのシンクは、一般には、流体廃棄物、手を洗うことにより汚れた水等の処分を目的としている。シンクからの使用済水は、尿や糞便を含む「汚水(下水)」に対して「雑排水」と呼ばれる。(雑排水は、化粧室から流れ出た手を洗うための水に加えて調理室のシンクからの水も含み得る)。調理室からの流体は、給水系統(ウォーターシステム)から流れ出る、飲み物の飲み残し、溶けた氷からの水、その他の任意の形態の「使われた」又は使用済の水を含み得る。雑排水は、手を洗っている間に洗面台からも流れ出し得るし、水が汚染されるか、汚染物(例えば、石鹸、洗浄剤、手を洗うことにより生じる汚れ等)を含み得るその他の場合にも流れ出し得る。これらのシンクは、一般には、(詰まった場合には容易に流れが逆流する)小径の排出管路(ドレン管路)に連結されており、大気中への排出のための航空機の排水塔(ドレインマスト)で終端するか、又は雑排水保持タンクに送られ得る。多くの大量乗客輸送機関は、雑排水を集め、貯蔵し、最終的に処分する雑排水システムを備えているが、独立した雑排水保持タンクを設けることは、そのようなシステムが航空機に加える追加重量のため、常に経済的とは限らない。(「雑排水インターフェースバルブ、システム及び方法」と題された米国特許第7、533、426号に記載されたような特別のバルブを用いない場合には、航空機のための健康基準ガイドラインは、腐敗性の水(「汚水」)を雑排水とは別個に吸い出すことを要求している。もし逆流が生じたら、下水は、トイレに加えて調理室のシンクや化粧室のシンクから放出されるであろうし、これにより極めて多くの健康問題を引き起こし得るからである)。したがって、雑排水と汚水を分離しておくための追加の費用が一般に必要であった。
【0006】
本願の発明者は、便器の水洗システムに関して、雑排水を再利用する方法を提供しようと努めてきた。真空式トイレは、一般的な重力により流すトイレ(自然流下トイレ)よりも水の使用量はずっと少ないものの、真水を機内に搭載して保持しておくための費用及び重量を考慮すれば、依然として、各水洗サイクルの度に真水を使うよりは使用済水/雑排水を再利用する方法を見いだすことが望ましい。本願の発明者はまた、真空式水洗に伴う騒音の減少に努めてきた。本願発明者はさらに、真空水洗システムからの臭気の除去を補助するための排気導管の新しい方法をもたらすべく努めてきた。
【発明の概要】
【0007】
よって、ここに記載される発明の実施形態は、真空式トイレに使用する雑排水水洗システムを提供する。本システムの一実施形態は、便器と航空機主排泄物タンクとの間の一時タンクを使用する2段階水洗を提供する。この2段階水洗は、水洗の第1段階ではより少量の(わずかな)真空度しか要しないため、水洗工程に伴う騒音レベルが低減される。本システムの複数の実施形態は更に、シンクからの雑排水を貯蔵器に収集し、収集した水を一般的な水洗工程又は上述の2段階水洗において使用する。2段階水洗及び雑排水の水洗水としての使用することは、それぞれ行われることもできるし、互いに組み合わせて行われることもできる。さらに随意的に(オプションとして)、水洗の第2段階で作動される化粧室の臭気除去システムも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、雑排水水洗システムの一実施形態の模式的な側面図である。
図2図2は、図1の雑排水水洗システムの模式的な側面図であって、さらに水洗の様々な段階において作動するバルブを示す。
図3図3は、雑排水水洗システムとともに使用し得る臭気除去システムの斜視図である。
図4図4は、その内部に配置された傾斜フィルタを有する雑排水貯蔵器の一部破断側面図である。
図5図5は、その内部に配置された円筒状のフィルタを備えるとともに処理のための化学物質貯蔵器を有する雑排水貯蔵器の一部破断側面図である。
図6図6は、図5の貯蔵器の代替的な実施形態を示す。
図7図7は、2段階水洗サイクルにとともに使用する便器と一時タンクの一実施形態の側面からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、真空に基づくトイレ(真空式トイレ)の水洗のために雑排水(例えば、典型的には化粧室における蛇口又は洗面台からの使用済の水)を使用する方法を提供する。本文においては航空機の真空式トイレシステムに関する実施形態を記載するが、本明細書で図示され、記述される特徴は、任意のタイプの真空式トイレとともに使用し得ることが理解されるべきである。任意のタイプの真空式トイレとは、例えば海上交通機関、電車、バスに搭載されたものであり、真空トイレシステムを使用する固定建造物に配置されたものでもある。図1は、旅客輸送機関に搭載された化粧室にとともに使用される雑排水水洗システム10を示している。一般的な化粧室は、洗面台12と、真空式便器(便器)14を有する。便器14は一般的には、航空機主排泄物貯蔵/保持タンク(主排泄物保持タンク)18に至る主排泄物路16に連結されている。上述の通り、一般的な水洗サイクル中においては、真空を一回与えるのみで排泄物を便器14から主排泄物保持タンク18まで移動させる強力な吸引力により、便器14からの排泄物は主排泄物路16を通して吸引される。
【0010】
本システムは、2段階水洗をさらにもたらす。2段階水洗は、便器14と主排泄物保持タンク18の間の管路中に配管された(インラインに配管された)排泄物一時タンク20を与えることによって達成される。具体的な実施形態において、排泄物一時タンク20は、便器14に取り付けられているか、そうでなければ便器14の側に近接して連結されている。図2に示すように、第1水洗バルブ(第1バルブ)22が便器14と排泄物一時タンク20との間に配置されている。水洗手順が起動されると、便器14内の排泄物は第1バルブ22を通って便器14から排泄物一時タンク20に運ばれる。これは、排泄物を主排泄物保持タンク18まではるばる運ぶのに比較すると相対的に短い距離である。よって排泄物一時タンク20は、排泄物を便器14から排泄物一時タンク20までの短距離だけ引っ張るのに十分なほどの、少量の(わずかな)真空度が与えられていれば足りる。(便器14とタンクの間の具体的な構成の一つの例示的な設計が、図7に示されている)。2段階水洗工程のこの第1段階は、排泄物を排泄物一時タンク20内へ運ぶために要求される真空度をより小さく(軽く)することで、(便器14から主排泄物保持タンク18までの)全水洗サイクルに伴う騒音レベルを低減する。
【0011】
一旦排泄物が排泄物一時タンク20に運ばれたら、水洗の第2段階を始めることができる。この第2段階は、排泄物一時タンク20内の排泄物が主排泄物保持タンク18に移動される段階である。この段階において、第1バルブ22は閉じ、一つ又は複数の追加的なバルブが開かれる。具体的な実施形態において、2段階水洗の第2段階は、二つの特徴を有する。第1の特徴は排泄物移送工程であり、第2の特徴は臭気除去工程である。機能を最適化するために、これらの特徴は両方が同時に機能し、各特徴を制御するバルブは同時に開くことが想定される。これにより、排泄物を排泄物一時タンク20から取り出し、主排泄物路16を通して主排泄物保持タンク18まで移動させるのに十分な空気流が提供される。しかしながら、これらの特徴とバルブは、一つの工程(排泄物移送)の後に別個の工程(臭気除去)が続いて起こるような、二つの独立した工程として機能し得ることが理解されるべきである。簡便のため、排泄物搬送工程である第1の特徴をはじめに記載する。
【0012】
排泄物除去工程の間、第1バルブ22は閉じ、第2段階水洗バルブ(第2バルブ)24は開く。第2バルブ24は、排泄物一時タンク20と主排泄物保持タンク18との間に配置されている。第1バルブ22は、第1バルブ22が閉じると即座に(又はすぐあとに)第2バルブ24を開くように、予めプログラムされたマイクロプロセッサ(マイクロプロセッサ論理)でモータを制御するポンプ及び/又はアクチュエータに接続されていてもよい。(臭気除去工程については別個に記載するが、上述の通り臭気除去バルブ(第3バルブ)32もこの時同時に開いてよい。)
【0013】
第2バルブ24は、排泄物一時タンク20と(主排泄物保持タンク18へと至る)主排泄物路16との間に配置されている。2段階水洗のこの第2段階の間に、排泄物一時タンク20から主排泄物保持タンク18へと排泄物を移送するため、中度〜高度の真空度が与えられる。この分離した排泄物移送動作は、複数バルブ連続作動システム(マルチバルブシーケンシャルシステム)によって達成され、結果としてより静かな真空式トイレが得られる。排泄物をより長い距離移送する真空工程の間に第1バルブ22を閉鎖することで、水洗の第2段階のための音緩衝(サウンドバッファ)が与えられる。
【0014】
2段階水洗機構は、臭気除去システム26を与えることによって化粧室の臭気軽減及び/又は化粧室の臭気除去を促進し得るとも考えられる。この実施形態では、臭気除去システムは臭気除去のための臭気除去路28、空気消音機(エアマフラ)30、臭気除去バルブ32を含む。(代替的に臭気除去のための臭気除去バルブ32は、後述の通り第2バルブ24(第2段階水洗バルブ24)の機能と第3バルブ32(臭気除去バルブ32)の機能を併せ持つマルチポートバルブとし得る)。もしこの臭気除去の特徴が与えられれば、臭気除去バルブ32は水洗の第2段階の間に開くように構成される。具体的な実施形態では、第2及び第3バルブ(24、32)の両方が第2段階のために同時に開く。臭気は、空気消音機30を介して臭気除去路28を通って除去される。空気消音機は化粧室から空気を取り除いて換気する。空気消音機30は、空気を化粧室から外に運び、最終的には主排泄物路16に至る臭気除去路28の中に引きこむよう機能する。図示された実施形態においては、水洗サイクルの間に、空気消音機30と臭気除去路28が化粧室から空気消音機30を通して空気を引き込み、次いで主排泄物路16及び主排泄物保持タンク18へと続く排泄物一時タンク20に引き込む。代替的な実施形態(不図示)においては、空気消音機30と臭気除去路28は空気消音機30を通して、化粧室から直接主排泄物路16へ(そして続いて主排泄物保持タンク18へ、水洗サイクル中に)空気を引き込む。
【0015】
空気消音機30がなければ、空気は化粧室において風が通るような音(吹鳴音)を立てるであろう。空気消音機は、臭気除去システム26を通した空気の除去を静かに行う助けとなる。このシステムの斜視図を図3に示す。
【0016】
重要な点として、図1及び図2は第2バルブ24及び臭気除去バルブ(第3バルブ)32を二つの分離したバルブとして示しているが、これらは単一のマルチポートバルブに合体し得ることが理解されるべきである。(本発明に関して使用し得るであろうマルチポートバルブの一例は、本願と共に係属中であり本願と譲受人が同一である、2012年10月17日出願の、「マルチポート環状バルブ(マルチポートオービタルバルブ)」と題された、米国仮出願番号61/714、912号に示され、記載されている)。このバルブは、二つのバルブが同時に又はその他の所望のタイミングで、開き及び/又は閉じることを可能としている。
【0017】
一旦水洗サイクルが完了すれば、第2バルブ24及び/又は臭気除去バルブ32は閉じ、システム全体が再度真空下に置かれる。水洗の第2段階は、次の水洗にも備えるよう、排泄物一時タンク20の真空を回復する。
【0018】
この2段階水洗システムは、真水又は航空機に搭載されて循環しているその他の水と共に使用し得るが、もし使用済水又は雑排水が使用できるのであれば、トイレ水洗の目的で真水を使用することは無駄であると理解される。したがって、水洗水を便器14に配水できる雑排水貯蔵器(貯蔵器)34を与えることが可能である。図1に示されるように、貯蔵器34は概して洗面台12と便器14との間に配置されている。貯蔵器34は、手を洗うことにより生じた使用済水が貯蔵器34内に収集されるように、洗面台12と流体的に接続されている。この貯蔵器34は、一実施形態においては化粧室の空間を多く取ることなく洗面台12の下側にはめ込むのに十分な小ささとされているが、任意の適切なサイズであってよい。したがって、もし超過の水が後述するトイレ水洗水として使用されることなく、貯蔵器34の容量を超えて貯蔵器34内に収集されれば、溢れ出し対策が施される。具体的な実施形態では、貯蔵器34は約1リットルの容量を有するが、この容量はオプションとして1リットルより大きくてもより小さくてもよい。貯蔵器は、図において概略長方形の容器として示されているが、本発明の範囲内において、任意の形状又は外形が可能であると理解されるべきである。
【0019】
貯蔵器34は、導管36を介して洗面台12と流体的に連結されている。図4に示されるように、導管36は貯蔵器34の注入口38に固定され得る。これにより、シンクからの使用済水が貯蔵器34に配水され、貯蔵器34内に捕集される。貯蔵器34が現在保持している水量を示す水位センサ40が、貯蔵器34に設けられるか、又はその他の方法で貯蔵器34に関連付けられている。もし水位センサ40が貯蔵器34内の水位が低く、貯蔵器34が次の水洗サイクルをサポートするのに十分な雑排水を含まないことを検出すれば、水は、航空機の主水タンクへの連結を介して、及び/又は蛇口の開閉によって、貯蔵器34に配水され得る。(これらの連結は図には示されていないが、追加的な流路を、水を蛇口44に配水する飲料水路42から貯蔵器34に引き得ることが理解される)。
【0020】
水位センサ40が貯蔵器34内の水位が洗面台12に逆流し得るほどに高いことを検出すれば、溢水(出水)を防ぐため溢れ出しシステムが作動され得る。一実施形態において、溢れ出しシステムは、超過の雑排水を貯蔵器の排出口48から主排泄物路16へと配水するため作動され得るパージバルブ(又はピンチバルブ)46を有する。典型的には、排出口48を通って出ていく水は濾過されていないか、または処理されていない雑排水である。パージバルブ(ピンチバルブ)が開いた時には、トイレシステム内の真空は、超過水を貯蔵器34から勢いよく流出させ、主排泄物路16及び/又は主排泄物保持タンク18に流入させる。(もしも水位センサ40が水位が低いと検知した場合には、ピンチバルブは閉じ、それによって所望の通り水を貯蔵器34内に蓄積させる)。別の実施形態では、溢れ出しシステムは、次の水洗サイクルにおいて、超過の雑排水を直接トイレ内に、または排泄物一時タンク20内に放出し得る。
【0021】
水位センサ40は、貯蔵器34内の水の有無を検出するに足りる圧力ベースのセンサ、静電容量ベースのセンサ、その他の任意の適切なセンサであってよい。一実施形態においては、水の中の(洗浄剤、微粒子、バクテリアなどの)ごみ又は破片は間違った読み取り値を作出することがあり、また整備及び/又は清掃がより難しくなることがあるため、水に直接接触しない端子を有するセンサを使用するのが有益であり得る。
【0022】
水位センサ40によって、高水位状態も低水位状態も検知されない場合は、貯蔵器34内の雑排水を水洗水として使用する通常動作が続いて行われ得る。一実施形態において、システムは使用済水(雑排水)処理システムを有する。使用済水処理システムは概して、貯蔵器34内に保持されている水が水洗水として使用される際に汚染されていないことを確実にするために設けられている。(トイレ水洗の間に、水の粒子がしぶきとなって空中に飛び散ることがある。水洗水は飲用に適したものである必要はないが、微粒子、病原菌その他の水が有し得るバクテリア又は汚染物質が水中に存在しないことが望ましい。また水洗水は、トイレの構成部品に損傷を与えないように、又は便器14の脱色を生じないように処理されていることが望ましい)。
【0023】
したがって、使用済水処理システムは、水中の微粒子のような小さな懸濁物を除去するフィルタ50を含み得る。フィルタ50はまた抗菌性能を有し得る。フィルタ50は、貯蔵器34の中に、任意の適切な方法で配置され得る。図4は貯蔵器内で斜めに置かれた交換可能なフィルタを示している。図5図6は、円筒形の交換可能なフィルタカートリッジであり得る、円筒フィルタを示している。この第1フィルタ工程は、雑排水から微粒子(および、事によるといくらかの病原体)を除去することを意図しており、そのような目的のために設計された任意の適切なフィルタを使用することができる。
【0024】
追加的に及び/又は代替的に、微生物汚染の根絶のために紫外(UV)光処理工程を実行し得る。このUV処理は、貯蔵器の内部で行われ得るが、図1及び図2に示すように、水が便器14に配水される際にUV室52内で独立した処理としても行われ得る。図示されているように、UV室は貯蔵器34に管路接続され得る。この処理のために使用し得るUV処理の様々なタイプの例は、本願と共に係属中であり本願と譲受人が同一である「水を殺菌するためのシステム及び方法」と題された、2010年8月31日に出願されて米国特許出願公開第US2010/0051977号として公開された出願のみならず、本願と共に係属中であり本願と譲受人が同一である「直列紫外発光ダイオード(UVLED)水殺菌及び加熱」と題された、2012年12月7日出願の米国特許出願番号第13/707、808号にも記載されている。
【0025】
追加的に及び/又は代替的に、水洗水としての使用に先立って、雑排水の化学処理を実行し得る。一実施形態において、図5に示されるように、貯蔵器34に収容された雑排水に適切に及び/又は周期的に化学的処理を加えるか、適切に及び/又は周期的に殺菌剤を与える化学物質貯蔵器54が設けられている。一旦雑排水が、要求される規制又は所望の規制を満たすために十分に処理されれば、雑排水は、水洗手順が起動された時に使用される水洗水としていつでも便器14に配水できる。(水処理の一部又は全部を、水洗手順のために水が必要とされるまで行わないことも可能であり、このとき水は、フィルタ50及び/又はUV室52を通して引かれるか、貯蔵器34を離れる時に化学的処理を受けるかの少なくとも一方である。)
【0026】
水洗手順が作動されると、ポンプ56は、貯蔵器34内の排出口58を通して水を引き込み、この水を水洗手順のために便器14に配水するために作動され得る。初期状況として複数バルブ水洗システムのバルブは全て閉じられており、システムは真空圧下にある。図7に示されるように、便座は、浄化された雑排水が配水されるリンス注入口60を有する。水洗手順は次いで、上述の2段水洗手順に従う。具体的には、便座14と排泄物一時タンク20の間の第1バルブ22が開き、水洗の第1段階の間に排泄物を排泄物一時タンク20に移動する機能を果たす。第1段階の間は、他のバルブは閉じたままである。水洗の第2段階の間は、第1バルブ22は閉じられ、これにより真空が便座14に伝達することが防止される。次いで第2バルブ24が開かれ(典型的には、臭気除去バルブ32と同時に又はほぼ同時に開かれる)、排泄物をタンク排出口62を通して主排泄物保持タンク18に移送する機能を果たす。臭気除去バルブ32も空気を臭気除去路28内に引き込む。
【0027】
第1段階と第2段階との間の時間は概して非常に短く、数ミリ秒から数秒の間であり得るが、一般的には数分よりも短いべきである。主に意図するところは、第1バルブ22は、それよりも更に下流側に配置された(一個又は複数の)バルブが開かれるのと同時には開かれないということである。図7はまた、排泄物一時タンク20に連結部/導管64を有するシステムの実施形態を示している。連結部/導管64は、貯蔵器34からの雑排水を排泄物一時タンク20内に排出する、貯蔵器34の排出口58に流体的に接続されている。図7はまた、排泄物一時タンク20内の真空レベルの監視、及び水洗サイクルの制御の補助に使用し得る随意的な(オプションの)真空ゲージ66を示している。
【0028】
上述され、図に示された構造及び方法に対する変更及び変形、追加及び除去は、本発明及び添付の請求項の範囲及び精神から逸脱することなしに行い得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】