特表2015-523619(P2015-523619A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-523619有機金属インクと縞状アニロックスロールを用いる高解像度導電パターンの製造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-523619(P2015-523619A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(54)【発明の名称】有機金属インクと縞状アニロックスロールを用いる高解像度導電パターンの製造
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20150717BHJP
   C09D 11/52 20140101ALI20150717BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20150717BHJP
   H05K 3/24 20060101ALI20150717BHJP
【FI】
   G06F3/041 660
   C09D11/52
   H05K3/12 630Z
   H05K3/24 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-510262(P2015-510262)
(86)(22)【出願日】2013年3月12日
(85)【翻訳文提出日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】US2013030450
(87)【国際公開番号】WO2013165567
(87)【国際公開日】20131107
(31)【優先権主張番号】61/642,919
(32)【優先日】2012年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/647,597
(32)【優先日】2012年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】507385800
【氏名又は名称】ユニピクセル ディスプレイズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エド・エス・ラマクリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ダンリャン・ジン
【テーマコード(参考)】
4J039
5E343
【Fターム(参考)】
4J039BC04
4J039BC05
4J039BC07
4J039BC08
4J039BC10
4J039BC19
4J039BC20
4J039BC59
4J039BE12
4J039CA04
4J039CA07
4J039EA24
4J039FA01
4J039FA02
4J039FA04
4J039GA09
5E343AA03
5E343AA11
5E343AA12
5E343AA22
5E343AA26
5E343BB22
5E343BB23
5E343BB24
5E343BB25
5E343BB28
5E343BB34
5E343BB44
5E343BB48
5E343BB72
5E343DD02
5E343DD33
(57)【要約】
彫刻されたアニロックスロールを用いて基板にパターンを印刷する加圧ロールにインクを転写するフレキソ印刷プロセスにおいて、有機金属を含むインクを使用するためのシステム方法が本明細書に開示される。複数のセル形状やセル量を有する縞状アニロックスロールがこれらの生産システムおよび方法において使用できる。印刷されるパターンは、各線の幅が1マイクロメートルから25マイクロメートルの複数の線を含んだものとすることができ、タッチスクリーンディスプレイやアンテナなどの微細な導電パターンを必要とするタッチスクリーンセンサやRFアンテナなどの電子用途の一部とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサを作製する方法であって、
第1のアニロックスロールを用いてインク源から第1のフレキソマスタにインクを転写することによって、第1の基板上に第1パターンをフレキソ印刷する過程と、
第2のアニロックスロールを用いてインク源から第2のフレキソマスタにインクを転写することによって、第2の基板上に第2パターンをフレキソ印刷する過程と、
第1パターンと第2パターンをめっきする過程とを含み、
第1パターンが第1の複数の線を含み、第2パターンが第2の複数の線を含み、第1の複数の線と第2の複数の線が、1重量%から20重量%の有機金属化合物と少なくとも1つの溶媒を含むインクから形成され、インクの粘度が200cpsから20000cpsであり、
印刷することが、第1のアニロックスロールを用いてインク源から第1のフレキソマスタに、かつ第2のアニロックスロールを用いてインク源から第2のフレキソマスタにインクを転写する過程を含み、複数の線の各線の幅が1から25マイクロメートルであり、
第1と第2のアニロックスロールのうちの少なくとも1つが縞状アニロックスロールであり、少なくとも1つの縞状アニロックスロールが複数のセクションを含み、各セクションの容量とセル形状が一定であり、複数のセクションのうちの少なくとも2つのセクションが異なるセル形状または異なる容量のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、第1パターンと第2パターンをめっきする過程で導電性材料を使用し、この導電性材料が、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)のいずれかあるいはこれらの組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1の方法であって、第1パターンと第2パターンが、ポリマー、金属フィルム、金属箔、紙、有機材料、ガラスのうちの少なくとも1つの基板に印刷されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1の方法であって、第1パターンと第2パターンを印刷することを更に含む際に、1重量%から5重量%の有機金属を含むインクを使用する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1の方法であって、
第1パターンと第2パターンを印刷する際に、異なる基板に第1パターンと第2パターンを印刷する過程と、切断、トリミング、または接着剤の使用のうちの少なくとも1つによって、異なる基板を更に組み立てる過程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1の方法であって、第1のアニロックスロールと第2のアニロックスロールのうちの少なくとも1つが0.7BCMの容量を有する、インクを転写する過程を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1の方法であって、第1のアニロックスロールおよび30度の六角形パターンを有する第2のアニロックスロールを用いてインクを転写する過程を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1の方法であって、溶媒が、イソプロピルアルコール、メタノール、乳酸エチル、エチレングリコール、ジクロロメタン、トルエン、または酢酸のうちの少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1の方法であって、インクが、共溶媒を更に含み、共溶媒が、イソプロピルアルコール、メタノール、乳酸エチル、エチレングリコール、ジクロロメタン、トルエン、または酢酸のうちの少なくとも1つであり、共溶媒が、溶媒とは異なる種類または異なる濃度のうちの少なくとも1つの共溶媒であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1の方法であって、第1と第2の複数の線の各線の幅が1から15マイクロメートルであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1の方法であって、第1と第2の複数の線の各線の幅が1から5マイクロメートルであることを特徴とする方法。
【請求項12】
RFアンテナを作製する方法であって、
第1のアニロックスロールを用いてインク源から第1のフレキソマスタにインクを転写することによって、第1の基板に第1のアンテナループアレイをフレキソ印刷する過程と、
第2のアニロックスロールを用いてインク源から第2のフレキソマスタにインクを転写することによって、第2の基板に第2のアンテナループアレイをフレキソ印刷する過程と、
第1と第2のアンテナループアレイをめっきする過程とを含み、
インクが1重量%から20重量%の有機金属と少なくとも1つの溶媒を含み、インクの粘度が1000cpsから3000cpsであり、
第1と第2のアニロックスロールのうちの少なくとも1つが縞状アニロックスロールであり、少なくとも1つの縞状アニロックスロールが複数のセクションを含み、各セクションのセルの容量と形状が一定であり、複数のセクションのうちの少なくとも2つのセクションが異なるセル形状または異なる量のうちの少なくとも1つを含んでおり、
第1のアンテナループアレイと第2のループアンテナアレイが導電性材料でめっきされた少なくとも1つの線を含み、少なくとも1つの線の幅が1マイクロメートルから25マイクロメートルであることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12の方法であって、導電性材料が、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12の方法であって、第1の基板と第2の基板をフレキソ印刷する際に、ポリマー、金属フィルム、金属箔、紙、有機材料、またはガラスのうちの少なくとも1つで作製された基板を使用する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項12の方法であって、インクが有機金属を1重量%から5重量%含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項12の方法であって、第2の基板が、第1の基板の第1の印刷されたパターンに隣接した第1パターンの反対側の第1の基板の側面、および第1の基板とは異なる基板のうちのいずれかであることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項12の方法であって、溶媒が、イソプロピルアルコール、メタノール、乳酸エチル、エチレングリコール、ジクロロメタン、トルエン、酢酸のうちの少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項12の方法であって、インクがさらに共溶媒を含んでおり、この共溶媒がイソプロピルアルコール、メタノール、乳酸エチル、エチレングリコール、ジクロロメタン、トルエン、酢酸のうちの少なくとも1つであり、共溶媒が溶媒とは異なる種類であるかあるいは異なる濃度であるかの少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項19】
高解像度の導電パターンを製造するために縞状アニロックスロールを使用する方法であって、
溶媒または共溶媒のうちの少なくとも1つをインクに添加することによって200cpsを超える粘度のインクを調製する過程と、
基板を洗浄する過程と、
フレキソ印刷プロセスを用いて基板にインクを付着させて、ロールツーロール処理プロセスを用いて第1のインク源からアニロックスロールにインクを転写することによって第1パターンを形成し、その後、幅1マイクロメートルから25マイクロメートルの第1の複数の線からなる第1パターンを含むフレキソ版にアニロックスロールからインクを転写する過程と、
第1の印刷されたパターン上に導電性材料を付着させることによって第1の印刷されたパターン付着物をめっきして高解像度の導電パターンを形成する過程とを含み、
アニロックスロールが縞状アニロックスロールであり、縞状アニロックスロールがそれぞれセルの容量と形状が一定の複数のセクションからなっており、この複数のセクションのうちの少なくとも2つのセクションについてセルの形状と容量の少なくとも一方が異なっていることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19の方法であって、第2パターンを形成する過程を更に含み、第2パターンが、フレキソ印刷プロセスによって印刷され、第2パターンを含む第2のマスタ版が、第2パターンを印刷するために使用され、第2パターンが第2の複数の線を含み、第2の複数の線の各線の幅が1マイクロメートルから25マイクロメートルであることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項19の方法であって、縞状アニロックスロールの各セクションのセル形状が、六角形、三角形、菱形、円形、細長いセル、三重螺旋、またはこれらの組み合わせのうちの1つであることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20の方法であって、第2パターンが第1パターンと同時に印刷されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21の方法であって、めっきが、無電解めっきを含み、導電性材料が、銅(Cu)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20の方法であって、第2パターンをめっきする過程を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24の方法であって、第1パターンと第2パターンが同時にめっきされることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項20の方法であって、第1パターンと第2パターンがアンテナループアレイであることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項20の方法であって、第1パターンと第2パターンがタッチスクリーンセンサパターンであることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年5月16日に出願された米国仮特許出願第61/647597号と、2012年5月4日に出願された米国仮特許出願第61/642919号の優先権を主張するものであり、この両方を本明細書に参照援用する。
【0002】
本発明は概して高解像度パターンの印刷、特にインクの粘度の最適化に関するものである。
【背景技術】
【0003】
フレキソ印刷は、様々な基板にインクを用いてパターンを印刷するために使用することができる。これらの基板をフレキソ印刷するために使用されるシステムは、様々な機能性を有するいくつかのロールを備えていることがある。従来、フレキソ印刷プロセスでインクを転写するために使用されるアニロックスロールは、金属部品表面のローレットにセラミックコーティングをかけたものか、金属部品表面のローレットにクロムめっきをしたものとし、その金属部品はステンレス鋼でできた中実な部品または複数部分からなる部品とすることがある。
【発明の概要】
【0004】
ひとつの実施例としてのタッチセンサを作製する方法は、第1パターンと第2パターンを印刷する過程を含み、第1パターンが第1のフレキソマスタを使用してフレキソ印刷され、第2パターンが第2のフレキソマスタを用いてフレキソ印刷され、第1パターンが第1の複数の線を含み、第2パターンが第2の複数の線を含み、第1の複数の線と第2の複数の線が1重量%〜20重量%の有機金属および少なくとも1つの溶媒を含有するインクから形成され、インクの粘度が1000cps〜3000cpsであり、印刷する過程が第1のアニロックスロールを用いてインク源から第1のフレキソマスタに、かつ第2のアニロックスロールを用いてインク源から第2のフレキソマスタにインクを転写する過程を含み、複数の線の各線の幅が1〜25マイクロメートルの間である。この実施例は、更に、第1のアニロックスロールと第2のアニロックスロールが、容量およびインチ当りの線の本数の測定値を有し、かつセルのパターンを用いて彫刻され、セルの形状が六角形、三角形、菱形、円形、細長いセル、三螺旋形、またはこれらの組み合わせのうちの1つであり、第1と第2のアニロックスロールのうちの少なくとも1つが縞状アニロックスロールであり、縞状アニロックスロールが2つ以上の異なるセル形状または2つ以上の異なる容量のうちの少なくとも1つを含み、第1パターンと第2パターンをめっきする過程を含む。
【0005】
ひとつの実施例としてのRFアンテナを作製する方法は、第1の基板と第2の基板を印刷する過程を含み、第1のアンテナループアレイが第1のフレキソマスタを用いて第1の基板上にフレキソ印刷され、第2のアンテナループアレイが第2のフレキソマスタを用いて第2の基板上にフレキソ印刷され、第1と第2のアンテナループアレイが1重量%〜20重量%の有機金属と少なくとも1つの溶媒を含むインクから形成され、インクの粘度が1000cps〜3000cpsであるが200cps〜20000cpsとしてもよく、印刷する過程が第1のアニロックスロールを用いてインク源から第1のフレキソマスタに、かつ第2のアニロックスロールを用いてインク源から第2のフレキソマスタにインクを転写する過程を含む。実施例は、更に、第1のアニロックスロールと第2のアニロックスロールがある量およびインチ当りの線の本数の測定値を有し、かつセルのパターンを用いて彫られ、セルの形状が六角形、三角形、菱形、円形、細長いセル、三重螺旋、またはこれらの組み合わせのうちの1つであり、第1と第2のアニロックスロールのうちの少なくとも1つが縞状アニロックスロールであり、縞状アニロックスロールが2つの異なるセル形状または2つの異なる容量のうちの少なくとも1つを含み、第1と第2のアンテナループアレイをめっきする過程を含み、第1のアンテナループアレイと第2のループアンテナアレイが導電性材料でめっきされた少なくとも1つの線を含み、少なくとも1つの線の幅が1マイクロメートル〜25マイクロメートルである。
【0006】
ひとつの実施例として、高解像度の導電パターンを製造するための縞状アニロックスロールを使用する方法は、インクを調製する過程を含み、インクを調整することがインクに溶媒または共溶媒のうちの少なくとも1つを添加する過程を含み、調製されたインクの粘度が200cpsを超え、基板を洗浄する過程を含み、インクを配置する過程であって、第1のフレキソ版および第1のインク源を含むフレキソ印刷プロセスを用いて基板上にインクを配置する過程とを含み、基板上にインクを付着させる過程が、ロールツーロール処理プロセスを用いてインク源からアニロックスロールにインクを転写する過程と、その後、インクをアニロックスロールからフレキソ版に転写する過程とを含み、フレキソ版が第1の複数の線からなる第1パターンを含み、第1の複数の線の各線の幅が1マイクロメートル〜25マイクロメートルである。この実施例は、更に、アニロックスロールがある容量およびインチ当りの線の測定値を有し、かつセルのパターンを用いて彫られ、セルの形状が六角形、三角形、菱形、円形、細長いセル、三重螺旋、またはこれらの組み合わせのうちの1つであり、アニロックスロールが縞状アニロックスロールであり、縞状アニロックスロールが2つの異なるセル形状または2つの異なる容量のうちの少なくとも1つを含み、第1の印刷されたパターンをめっきする過程を含み、第1の印刷されたパターンをめっきする過程が、高解像度の導電パターンを形成するように第1の印刷されたパターン上に導電性材料を付着させる過程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の例示的な実施例を詳細に説明するためにここで添付の図面を参照する。
【0008】
図1図1は回転式粘度計の説明図である。
図2図2は本発明の実施例となるフレキソ版の説明図である。
図3A-3B】図3A図3Bは本開示の実施例となるフレキソ印刷に使用される高精度インク測定システムの説明図である。
図4A-4C】図4Aから図4Cは本発明の実施例となるフレキソ版によって印刷された上面および線の部分の断面の説明図である。
図5図5は本発明の実施例となる高解像度の導電パターンの製造方法の説明図である。
図6A図6Aは本発明の実施例となるアニロックスロールに彫られたパターンのセクションの斜視図を示す。
図6B図6Bは本発明の実施例となる彫りが施されたアニロックスローラの斜視図である。
図7A-7F】図7Aから図7Fは本発明の実施例となる彫りが施されたアニロックスロールパターンの様々な形状の説明図である。
図8図8は本発明の実施例となる縞状アニロックスロールの説明図である。
図9図9は本発明の実施例となる高解像度の導電パターンのための製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の内容は、本発明の様々な実施例を対象とする。これらの実施例のうちの1つ以上が好ましいこともあるが、開示の実施例は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲を限定するものとして解釈すべきでも、他の方法で使用すべきでもない。加えて、当業者は以下の説明が広範な用途を有することを理解するであろうし、任意の実施例の考察は、その実施例の単なる例であることを意味し、特許請求の範囲を含む本開示の範囲をその実施例に限定することを暗示する意図はない。
【0010】
フレキソ印刷とは、印刷胴に凸版を両面接着材などで取り付けた回転ウェブ凸版印刷の一形態である。この凸版(マスタ版あるいはフレキソ版と呼ばれることもある)には、速乾性の低粘度溶媒と、アニロックスなどの2本のローラを備えたインク供給システムから供給されるインクとを組み合わせて使用することができる。アニロックスロールは、量を測ってインクを印刷版に与えるために使用されるシリンダとすることができる。インクは例えば紫外線(UV)硬化インクまたは水性の熱IR硬化性インクとすることができる。ひとつの例としては、第1のローラでインクパンまたは計量システムから計量ローラを経てアニロックスロールにインクを転移する。インクはアニロックスローラから版胴に転移されるときに均一の厚さに量り取られる。基板がロールツーロール式の取扱いシステムによって版胴から圧胴に移ると、圧胴が版胴に圧力を加え、凸版の画像が基板に転写される。実施例によっては、版胴の代わりにファウンテンローラがあってもよく、ローラにわたるインクの分布を改善するためドクターブレードを使用することもできる。
【0011】
フレキソ印刷版は、例えば、プラスチック、ゴム、エラストマー、フォトポリマー(UV感受性ポリマーとも呼ばれる)のいずれで作製することもできる。印刷版は、レーザー彫刻、光機械的、光化学的方法のいずれを用いて作製することもできる。版は購入することもできるし、任意の既知の方法に従って作製することもできる。好ましいフレキソ印刷プロセスは、印刷設備をいくつか積み上げたものをプレス機のフレームの各側に縦向きに配置し、各スタックにそれぞれ版胴があって1種類のインクを使用して印刷する、スタック型として構成することができ、この構成によれば基板の片側にも両側にも印刷できるようになる。別の実施例として、プレス機のフレーム内に装着される単一の圧胴を使用する中心圧胴式を用いることもできる。基板がプレス機に入ってくると、基板は圧胴と接触して適切なパターンが印刷される。これに代えて、印刷設備を水平線上に配列して共通のラインシャフトで駆動するインラインフレキソ印刷プロセスを利用することもできる。この例では、印刷設備を、硬化設備、切断機、折り畳み機など、印刷後の処理設備に連結することもできる。他の形態のフレキソ印刷プロセスを利用することもできる。
【0012】
ひとつの実施例として、例えば、円筒(ITR)画像形成プロセスにおいて、フレキソ版スリーブを使用することもできる。ITRプロセスではプレス機に装着されるスリーブ上で版材料のフォトポリマーが加工されるため、平面状の版が印刷胴(従来の版胴と呼ぶこともできる)に装着される上述の方法とは対照的である。フレキソスリーブは、表面にレーザアブレーションによるマスクコーティングが施されたフォトポリマー製の連続したスリーブとすることもできる。別の例として、フォトポリマーからなる別個のピースを基材となるスリーブにテープで取り付け、次に上記のレーザアブレーションマスクを用いたスリーブと同一の方法で画像形成し加工することもできる。フレキソスリーブは、例えば、画像形成された平面状の版を表面に装着するための担持ロールとして用いたり、スリーブの表面に直接画像を彫ったり(in−the−round)など、何通りかの方法で使用することができる。スリーブが単独で担持ロールとしての役割を果たすような例では、まず画像が彫られた印刷版をスリーブに取り付け、次にこのスリーブを印刷設備の胴に装着することもできる。このようにあらかじめ版を取り付ければ、版が既に取り付けられた状態でスリーブを保管することができるため交換時間を削減できる。スリーブは、熱可塑性複合材料、熱硬化性複合材料、クロム、ニッケル、ステンレス鋼など、様々な材料から作製でき、これらは亀裂や割裂に耐えられるよう繊維で強化してもしなくてもよい。非常に高品質な印刷には、発泡体または緩衝材からなる基材を組み込んだ長期にわたり再使用可能なスリーブを使用する。実施例によっては、発泡体や緩衝材のない使い捨ての「細い」スリーブを使用することもできる。フレキソ印刷プロセスでは、インクで凝集やこすれのない鮮明で均一な特徴を有する所望のパターンを印刷できるよう、インクの計量手段としてアニロックスロールをインク転移に使用することもできる。印刷されたパターンは、導電性材料でめっきするなど更なる処理を経ることもあるが、コントラスト比を改善したり、モアレ効果を防止したり、表示装置に個人情報を表示できるようにするなどの目的でも利用することもできる。例えば、黒インクを用いて特定のピッチ(隣接する2本の縞の中心間の距離)とアスペクト比を有する縞模様をフィルムの表面に形成することもできる。
【0013】
従来の方法で適当な基板に高解像度のパターンを印刷すると、パターンの質と均一性にばらつきが生じ、これによってめっきパターンの伝導性が低下し、抵抗にばらつきが生じ、全体的に性能が低下することがある。パターンのばらつきは、特に広い面積の基板に微小な寸法のものを印刷している場合、インクの粘度が非常にばらついていることが原因となっている可能性があるが、基板上に転写されるインクが多すぎたり少なすぎたりするときにも生じることがある。従来印刷プロセスで使用されているアニロックスロールは、金属部品のローレット部にセラミックコーティングをかけたものや、金属部品のローレットにクロムめっきをかけたものとすることができる。この金属部品はステンレス鋼でできた中実の部品あるいは複数の部分からなる部品である。ローレット部にセラミックをかけたものは、表面に銅の層が重ねられたロールである。ローレット形成器具を銅に押し付けて表面を器具の点形状となるように改変する。この彫りの後、ロールにセラミックの薄層をプラズマ溶射でコーティングし、脆弱なセル壁構造の支えとなるようにする。しかし、この方法はセラミック粉末を蒸着する際に不整合が生じることがある。パターンの種類、セルの容量、利用可能な線の本数は、ローレット技術の限界のせいで制限されることがある。加えて、セラミックは銅との機械的結合が不十分である。これにより超音波等による洗浄システムで剥離を引き起こす可能性がある。
【0014】
二つ目の種類のアニロックス彫りは、ロールの表面の銅基材から始まる。銅は柔らかく展性があるため、ローレットの形状に適する。ローレット形成器具を圧力をかけて銅基材に当てると、器具の隆起部によってセル構造が形成される。この手順では整合性のあるセルができるが、できたてのセルから器具が容易に抜けられるよう、浅い深さで浅い壁のピッチでセルを彫ることもできる。銅は柔らかく工具の形状になりやすい特性があるため有利であり、セルの作製の助けになる。残念なことにこの同じ属性は、ロールが急速に摩耗し容易に破損する原因にもなる。この制約を埋め合わせるには、ロールに電鋳クロムの微細な層を設けて、いくらかの耐久性と損傷抵抗性をもたせる。しかし、ローレット技術による制約があるため、クロムを彫る場合、セル約500個/インチの容積を有するパターンでしか彫ることができない。このため、印刷されるパターンの大きさによってはインクの分配性能と印刷の品質の両方が制限を受けることもある。アニロックスロールはシステム内の交換可能なモジュール型の部分とすることもできるため、特定の目的に対しいかなるアニロックスロールを選択するかによって、適切に形成されなかったり汚れが生じたりするなど、視覚的、機能的な欠陥のある不均一なパターンと、均一に印刷されたパターンとの間に違いが生じてくることになる。印刷したい線の寸法が小さくなりパターンの複雑さが増すほど、目的に合うアニロックスロールを選択する困難さは増大することもある。
【0015】
図1は回転式粘度計の説明図である。材料の粘度を測定するために使用される図1の回転式粘度計100は、容器102にインク104を入れたものを用いている。実施例によっては、容器102は、例えばガラス製などのビーカーを用いることができる。インク104は、バインダー、光開始剤、めっき触媒を用いることができるが、特定の用途や加工方法に合わせて特別に調製することもできる。本願でいう粘度という用語は流れに対する流体の内部抵抗を指すことがあるが、この粘度が不適当であるとプロセスが詰まるなどして不均一なパターンができ高価な廃棄物が出る原因となるおそれがあるため、粘度は製造システムの構成と最終目的に基づいて考慮される要素である。ひとつの実施例として、溶剤を使用することによってインク104中に少なくとも1種類の他の材料を溶解させることもでき、粘度計100を使用して溶剤あるいは共溶剤をインクに加えている間や加えた後にインキ104の粘度を求めることもできる。溶媒は、任意の溶質を溶解する任意の流体(すなわち気体、液体)または固体とすることができ、これには例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、乳酸エチル、エチレングリコール、ジクロロメタン、トルエン、酢酸がある。実施例によっては、共溶媒を用いることもできる。この共溶媒は、他の溶媒などの流体と混合したときに溶質を溶解させることのできる任意の流体とすることができる。
【0016】
実施例によっては、回転式粘度計100には、スピンドル106と、ディスプレイ110(ユーザインターフェースまたはデジタルディスプレイとも呼ばれる)のある粘度計ヘッド108を用いる。ディスプレイ110はインク温度、処理時間、組成物、粘度など、複数の測定値(図示せず)を示すようにすることができ、このうちのいくつかまたは全てを使用しながらインクの組成を調整し、少なくとも1つの特性について所望の範囲や目標を達成できるようにすることもできる。スピンドル106は、粘度計ヘッド108内のモータやこれに類する装置によって、その軸の周りで回転させる。別の装置(図示せず)によってスピンドル106が試料104内で回転する際に受ける抵抗を測定することもでき、代替的にこの測定からサンプル104の粘度を求めることもできる。ここで考えているインクは、印刷に使用したとき表面ないし基板に付着することのできる任意の材料を指していることがあり、混合物、懸濁液、コロイドなど、任意の状態の液体であってもよいが、これらに限定されない。ひとつの例として、表面に付着したインクは、固体または液体エアロゾルを指していることもある。インクは、濃度が1重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜5重量%である酢酸パラジウムまたはシュウ酸パラジウムなどの有機金属粒子を含有したものとするのが好ましい。有機金属ナノ粒子は、アクリルなどの光硬化性ないし熱硬化性基材などのバインダー材料に溶けるため、この粒子によって印刷プロセス中に詰まりが起きることに関する懸念はない。従来、微粒子の大きさと含有量は、印刷中にインクが適切に流れられない場合に懸念となる。これによって不均一または不完全なパターンが印刷されてしまうことがあるためである。懸念となり得るのは小容量のアニロックスロールを使用して微細パターンを印刷する場合であって、その理由は、インク粒子の大きさや含有量が大きすぎる場合、アニロックスロールや印刷したいパターンを含むフレキソ版が、詰まりを起こしやすい小さなセル、溝、凹部を有することがあるためである。このため、微粒子の含有量とサイズはこの懸念をなるべく抑えることができるように選択することもできる。
【0017】
図2は、本発明の実施例となるパターンを施したフレキソブランク(フレキソ版と呼ぶこともできる)の説明図である。フレキソ版230のパターン234は、複数の線232を含んだものとすることができる。実施例によっては、パターンを施すフレキソブランクには、抵抗性または容量性タッチスクリーンセンサのためのパターンを作ることもできる。これに代わる実施例として、パターンを施すフレキソブランクには、RFアンテナ構造、単一ループとマルチループの両方、または25マイクロメートル未満の微細な線が均一に印刷される他の用途のためのパターンを作ることもできる。RFアンテナ構造のために印刷が施された構造は、アンテナループ、アンテナアレイ、アンテナループアレイと呼ぶこともできる。いくつかの例では、単一のパターンを印刷するために1つ以上のフレキソ版を使用することもできる。この例では、各フレキソ版で異なるインクを使用することもでき、各フレキソ版は連続してパターンの異なる部分を印刷できるよう別個のローラに配置されることとなる。
【0018】
図3Aから図3Bは、本発明の実施例となるフレキソ印刷に使用される高精度インク測定システムを示す。フレキソ印刷は、直接的でかつ高圧を用いる凸版印刷プロセスである。これには可撓性の印刷版または継ぎ目のないゴム製スリーブを利用し、印刷される材料にインクを直接的に転写する三次元の凸版印刷領域をその上に担持させる。フレキソ印刷は、様々な用途に合わせて様々な種類のインクを使用することもできる。例えば、インクは、水系、溶剤系、UV硬化性のいずれとすることもできる。実施例によっては、インクはめっきプロセスで触媒として機能するめっき触媒、バインダー、光開始剤、粒子を含んだものとすることができる。このめっきプロセスは、タッチスクリーンなどの電子機器用途において、印刷されたパターンに導電性をもたせるために使用することができる。図3Aでは、第1の計量システム302は、転移ロール306、インクパン304、アニロックスロール308、ドクターブレード310、パターンローラ314、加圧ローラ314を備えており、これらを組み合わせて使用することで基板316にパターンが形成されるようにすることができる。ひとつの実施例として、転移ロール306は天然ゴムまたは合成ゴムで作製することができるが、この転移ロールをインクパン304内のインクに漬けて回転させ、転移ロール306の外周面がインクでコーティングされるようにする。転移ロール306はアニロックスロール308に接触させ、アニロックスロールに対して回転させることができる。回転しながらアニロックスロール308と転移ロール306とが接触することにより、転移ロール306の外面からアニロックスロール308の外面にインクを転移する働きをする。図6Aから図6B図7Aから図7Fに詳細に説明しているように、アニロックスロール308は表面がいくつもの小さなセルで覆われ、このセルはいくつかの壁で形成されており、インクで満たされている。実施例によっては、アニロックスロール308の表面上に余分なインクが存在することがあるが、これはドクターブレード310で除去することができる。アニロックスロール308と加圧ロール314との間にパターンローラ312を配置することもできる。パターンローラ312の外面はフレキソマスタ(フレキソ版と呼ばれることもある)で包み込むことができ、このフレキソマスタは両面接着テープなどの固定手段を用いてパターンローラ312に接着することもできる。フレキソマスタには、例えば図2で説明しているように、基板316に印刷されることとなる彫りパターンがある。アニロックスロール308はパターンローラ312と接して回転し、パターンローラ312の表面のフレキソマスタにインクを転移する。次に、基板316がパターンローラ312と加圧ロール314との間を通過すると、フレキソマスタ上のインクが基板316に押し付けられる(印刷される)。加圧ロールは基板316の支持体として機能する。アニロックスロール308とパターンローラ312との間の圧力は、アニロックスロール308とパターンローラ312との間の接触を維持しつつ最小限に抑えることもできる。パターンローラ312と加圧ロール314との間の圧力は基板316に過剰なインクが付かないように調整することもでき、そうしなければ印刷された画像が歪んでしまう。
【0019】
図3Bは、測定システムの代替構成の説明図である。図3Bの第2の計量システム318は、インクパン320、アニロックスロール322、ドクターブレード324、マスタ版326、加圧ローラ328、基板330を備えている。この構成では、アニロックスロール322がインクパン320の中のインクに半分漬けられており、インクパン320からマスタ版326にインクが直接転移される。アニロックスロール322はインクパン320に漬かりながら回転すると、表面を覆っているいくつもの小さなセルにインクが充填される。実施例によっては、アニロックスロール322の表面にある余分なインクの一部または全部をドクターブレード324で除去する。アニロックスロール322と加圧ロール328の間にマスタ版326を配置することもできる。マスタ版326の外面は、図2に類似したものとすることもでき、またフレキソマスタ(図示せず)で包み込む。このフレキソマスタは両面接着テープ(図示せず)を使用してマスタ版326に取り付けることができる。フレキソマスタ上のパターンは、基板330に印刷されることとなるパターンとすることができる。ひとつの実施例として、アニロックスロール322はマスタ版326に対して回転させ、マスタ版326の表面のフレキソマスタにインクを転移する。次に、印刷ローラ312と基板330の支持体として作用する加圧ロール314との間を通過するとき、フレキソマスタ上のインクが基板330に押し付けられる。アニロックスロール322とマスタ版326との間の圧力は、アニロックスロール322とマスタ版326との間の接触を維持しつつ最小限に抑えることもできる。また、マスタ版326と加圧ロール328との間の圧力は、基板330に過剰なインクが付かないように調整することもでき、そうしなければ画像が歪んでしまう。
【0020】
図3Bの第2の測定システム318は、図3Aのシステムとは対照的に、図3Aの第1の測定システム302のような転移ロール306がないものと理解できる。図3Bでは、インクはインクパン320からアニロックスロール322に直接転移される。基板330に印刷されるのはマスタ版326にあるフレキソマスタのパターンであり、アニロックスロール322に彫られたパターンではないということもまた理解されたい。図3A図3Bに示した構成のいずれにおいても、使用されるアニロックスロールは、インクの粘度、パターンの形状、アニロックス・フレキソ版間の転移速度、フレキソ版・基板間の転移速度、プロセスの速度などの要因によって変えることもできるが、これらの要因に限定はしない。
【0021】
図4Aから図4Cは、本発明の実施例となる様々な寸法のものが印刷された高解像度パターン(HRP)の説明図である。図4Aは、基板200aに印刷されたHRPから取り出した線200の説明図であり、断面線204のところで断面230が得られ、その高さ206は線200の厚さと呼ぶこともできる。本願でいう厚さないし高さは、基板の印刷面に対して垂直な方向についてのHRPの平均寸法を指していることがある。また、本願でいうこの用語は、印刷されたパターンの縦方向の寸法を指していることもある。高解像度のパターン(HRP)は、本明細書で考察しているように、少なくとも1つの線、実施例によっては複数の線が印刷されたパターンを指していることがあり、各線の幅は50マイクロメートル未満である。高解像度導電パターン(HCRP)は、めっきされたHRPを指していることもある。また、HRPとHRCPの2つの用語は、本明細書のものを含めていくつかの例では、同様の意味で使用することができることも理解されたい。つまり、HRPは、基板表面にパターンを付けたり、付着させたり、印刷したりした導電性または非導電性の任意の材料でとすることができる。ここで用いるHRPの各線は、基板表面の平面上における幅(横方向の測定値)が約50マイクロメートル未満である。
【0022】
図4Aは、ある幅224をもった線200を示している。線幅224は、図3A図3Bのシステムに示されるように、印刷プロセスにおける速度、圧力、フレキソ版構成の組み合わせによって制御することもできる。同様に、図4BはHRPから取り出した線200を示しており、断面線210のところで断面212が切り出されており、その高さ214は線208の厚さと呼ぶこともできる。線208の幅226は、図4Aにおける幅224よりも小さい。図4CはHRPから抜き出した線216の説明図であり、断面線218によって幅228、高さ222を有する断面220が切り出されており、この高さ222は線216の厚さと呼ぶこともできる。幅228と厚さ222はいずれも、プロセスで使用されるインクの種類と、パターン印刷後に実施される硬化の種類に影響を与えることがある。図4Aから図4Cに示すように、パターンの最終用途、すなわち完成した製品が最終的にどう使用されるかに応じて、様々な幅が適切となることがある。
【0023】
実施例によっては、線幅が小さく例えば1マイクロメートル〜25マイクロメートルであるようなパターンは、BCM容量の小さいアニロックスローラを用いて粘度の大きいインクで均一に印刷することができる。インクは濃度1重量%〜20重量%の有機金属化合物を含んだものとすることができ、このインクはBCM0.7のアニロックスロールを用いてインク源から転移される。ひとつの例として、図4Aの線200を印刷するために使用されるインク粘度は、図3Cの線216を印刷するために使用される粘度より低くすることもできる。別の例として、図3Cの図線216を印刷するために使用されるものよりもBCMが高いアニロックスロールを使用して、図4A中の線200を印刷することもできる。実施例によっては、粘度1000cps〜3000cpsのインクで幅1マイクロメートル〜20マイクロメートルの線を印刷するために、BCM0.7のアニロックスロールを使用することもできる。その実施例では、線の速度は50フィート/分とすることもできる。これは、太い線(例えば幅30マイクロメートル〜65マイクロメートル)を1.5BCMアニロックスロールを用いて粘度750cps以下のインクを使用して50フィート/分で印刷される実施例とは対照的である。インクの粘度、所望の線幅、アニロックスロールの容量の組み合わせは、様々な線の幅のための均一なパターンを生成するために使用することもできる。ひとつの例として、アニロックスロールはインクパンからインクを量Xだけ取ってフレキソ版にその量の1/2を転移することもでき、フレキソ版は基板にXの1/2の1/2(従ってインクパンから取られた初期の量をXとするとX/4)を転移することもできる。このようにして、どのアニロックスロールまたは縞状アニロックスロールを使用するかを含め、プロセスパラメータとシステム構成の判定する際に、基板上の最終的な所望のインク厚さを考慮することもできる。
【0024】
図5は、本発明の実施例となる高解像度の導電パターンの製造方法の説明図である。図9は、本発明の実施例となる高解像度の導電パターンの製造方法のフローチャートである。図5は、タッチセンサ、または微細パターンを含む他の製品を製造するために使用される方法500を示す。基板、例えば細長くかつ可撓性のある薄膜602を、印刷するため巻き出されたロール502上に設置する。この薄膜はここでは基板を指している。基板602としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリカーボネート等の透明基板を使用することができる。あるいは、基板602は、紙、ガラス、金属膜、金属箔のいずれかとすることもできる。基板602の厚さは、タッチセンサまたはアンテナが撓んだ時に過度のストレスがかからないよう十分に薄くすることもできる。加えて、膜を薄くすると光透過率を向上させられることに留意されたい。一方、基板602の厚さは、製造プロセス中にこの層の連続性やその材料特性を危うくするほど薄いものとするべきではない。好ましくは、基板602の厚さは1マイクロメートル〜1ミリメートルの間が好適となることもある。
【0025】
図9を参照すると、走行速度、インクの粘度や、印刷すべき少なくとも1つのパターンの形状、寸法、複雑さに応じて決定されるインクの種類など、複数のプロセスパラメータ使用してアニロックスロールの選択を含むシステム構成を調整する。アニロックスロールは、その容量、形状、またはその両方を目的として選択することもできる。加えて、アニロックスロールは、形状とサイズを組み合わせたものとすることができ、これは縞状ロール、縞状アニロックスロールと呼ぶことができる。製造プロセスで使用するアニロックスロールまたは縞状アニロックスロールを選択したら、方法500に戻るが、例えば、任意の既知のロールツーロール処理方法を用いて基板602を巻き出しロール502から運び、第1の洗浄設備504で第1の洗浄をブロック806の洗浄を行う。実施例によっては、ブロック806の洗浄は、1つ以上の洗浄設備を用いることができる。ロールツーロールプロセスで可撓性材料を用いる場合、特徴物を整列させることは難題となることがある。基板に印刷されたパターンの最終的な整列状態と向きが原因となって、インラインプロセスに対する基板の整列状態が問題となることもある。ひとつの実施例として、整列ケーブル506を用いて特徴の適切な整列状態を維持することもできるが、別の実施例として、任意の既知の手段をこの目的で使用することもできる。実施例によっては、洗浄設備504におけるブロック806の第1の洗浄は、オイルまたはグリースなどの不純物を除去するために使用される高電界のオゾン発生器を含む。
【0026】
実施例によっては、基板602は、第2の洗浄設備508においてブロック806の第2の洗浄を経ることもできる。第2の洗浄設備508にはウェブクリーナーを用いることもできる。ウェブクリーナーは、ウェブまたは基板から粒子を除去するために、ウェブ製造に使用される任意の装置である。ブロック806でのこれらの洗浄段階の後、第1パターンは、第1の印刷設備510で基板602の第1面にブロック808の印刷を行うこともできる。第1パターンには複数の線を含めることができ、各線の幅は1マイクロメートル〜25マイクロメートルである。微細パターンは、200〜2000cpsの間の粘度を有し得るUV硬化型インクを用いた第1の印刷設備510における第1のマスタ版(フレキソ版)によって印刷される。印刷設備は、図3A図3Bで示すように構成できる。更に、微細パターンには、幅が1マイクロメートル〜35マイクロメートルの線を含めることができる。ひとつの実施例として、複数のロールをパターン(図示せず)を印刷するために使用することもでき、複数のロールは、異なるインク、類似のインク、または同じインクを使用することもできる。パターンは、厚さ、連結機能、接続特徴の形状、断面形状の異なる複数の線からなる場合があるので、使用されるインクの種類は、パターンの特徴の形状と複雑さに依存することがある。加えて、図3A図3Bにおけるアニロックスロールは、印刷されたパターンの形状、アニロックスフレキソ版転写速度、フレキソ版基板転写速度、フレキソ版の表面エネルギー、基板の表面エネルギーに照らして選択することもできる。
【0027】
従来、製造前に、正しいアニロックスロールを選択できるよう、第1の印刷設備510で第1のマスタ版、ならびに以下で説明する第2の印刷設備526で図8にあるような縞状ロールを用いて第2のマスタ版を試験することもできる。縞状ロールは、どのように複数の容量や形状がインクを転写し、特定のパターン、または一定の幅と厚さの一方か両方、または幅もしくは厚さの範囲を有する複数の線を印刷するかを判定するために使用することもできる。従来、この縞状ロールは、どのアニロックスロールが、特定の用途またはパターン形状に適切であるかを判断するために試験目的で使用される。しかし、本明細書で考察しているように、図8に示されるような縞状ロールは、インクを転写するための製造において、すなわち、製造プロセスの一部として使用することもできる。縞状ロールは、用途および/またはシステムに最も好適である1つのロール上の容量や形状の組み合わせを含み得る。ひとつの実施例として、縞状ロールは、広い範囲の線の幅、複雑な遷移、またはこれらおよび他の特徴の組み合わせを含み得る複雑な形状を印刷するようにインクを転写するために使用することもできる。これは、以下に詳細に考察される。インク組成物は、処理速度、アニロックスフレキソ版転写速度、フレキソ版基板転写速度、フレキソ版の表面エネルギー、および基板の表面エネルギーに基づいて選択することもできる。実施例によっては、唯一の印刷プロセスを用いて、単一ループまたは複数ループアンテナ構造(図示せず)のいずれかを印刷することができることが理解される。これに代わる実施例として、複数のローラ上に配置された複数のフレキソ版を使用して、基板の片面または両面を印刷することもできる。これは、例えば、異なるインクを使用して、パターンの特徴を印刷することが理由となることもある。
【0028】
第1の印刷設備510で基板602に転写されるインクの量は、高精度測定システム512によって調節することができ、これは、例えば、図3A図3Bに示されるものを含む様々な構成を含むことができる。マシンの速度は、毎分20フィート(fpm)〜750fpmで様々であるが、一方で50fpm〜200fpmが、いくつかの用途に好適になることもある。インクは、めっき触媒を含有したものとすることができる。第1の印刷プロセスに続いて、1つ以上の硬化設備を含み得るブロック812で硬化し得る。第1の硬化は、第1の硬化設備514で目標強度約0.5mW/cm2〜約50mW/cm2、波長約280nm〜約600nmの紫外線硬化を含んだものとすることもできる。加えて、硬化812は、温度約20℃〜約85℃の範囲内で熱を加える第2の硬化設備516でのオーブン加熱硬化を含み得る。ブロック812での硬化に続いて、基板602は、めっき設備520で無電解めっきに曝露させることができる。このステップでは、導電性材料の層は、例えば、無電解めっき814による微細パターン上に付着させる。これは、めっき設備520内への基板602の第1面上の複数の線からなる微細パターンであり得る第1の印刷設備510で印刷された第1パターンを浸漬することによって達成できる。
【0029】
めっき設備520は、20〜90°Cの温度範囲で液体状態の銅が入ったタンクを備えたものとすることができ、実施例によっては、80°Cが適用される。あるいは、導電性材料は、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを用いることができる。成長速度は、毎分約10ナノメートル(nm/分)とすることができ、めっき設備520は、ウェブの速度に応じて、かつアプリケーションに応じて、約0.001マイクロメートル〜約100マイクロメートルの厚さの導電性材料を付着させることもできる。この無電解めっきプロセスは、電流の印加を必要とせず、硬化プロセス中にUV放射への曝露によって以前に活性化されためっき触媒を含有するパターンを施した領域をめっきするのみである。ブロック814のめっきは、無電解めっき設備520とすることもでき、ブロック814のめっきプロセスを促進し得る水素化ホウ素または次亜リン酸塩などの強力な還元剤を含み得る浴槽を備え得る。無電解めっきに起因するめっきの厚さは、電界が不在であるため、電気めっきと比較してより均一になることがある。無電解めっきは、電解めっきよりも多くの時間を費やし得るが、無電解めっきは、高解像度導電パターンに存在し得るものなどの複雑な形状および/または多くの微細な特徴を備えた部品にとっては非常に好適となることもある。基板602は、めっき設備520での無電解めっき後、洗浄設備522においてブロック816で洗浄することもできる。基板602は、室温で水を含有する洗浄槽に浸漬されることによって洗浄され得る。基板602は、次に、室温で空気を適用することによって乾燥設備524においてブロック818の乾燥を行うこともできる。別の実施例として、基板は、導電性材料と水または湿気との間のあらゆる危険なまたは望ましくない化学反応を防ぐために、例えば、乾燥ステップの後パターン噴霧において、ブロック820の不動態化を行うこともできる。
【0030】
ひとつの実施例として、第2パターンは、200〜2000cpsの間の粘度を有し得るUV硬化型インクを用いた第2の印刷設備526における第2のマスタ版によってブロック810で印刷され得る。印刷設備510、526は、1つ以上のロール上で1つ以上のマスタ版(フレキソ版とも称される)を含み得ることが理解される。異なるインクが、各ロールに使用され得、異なるロールは、第1または第2の印刷されたパターンの形状と複雑さに基づいて使用することができることもまた理解される。好ましくは、第1パターンと第2パターンは同時に印刷されるが、これに代わる実施例として、パターンは連続して印刷することもできる。印刷設備526で基板602に転写されるインクの量は、高精度測定システム528によって調節することもでき、プロセス速度、インク組成物、ならびにパターン形状と寸法に依存し得る。第2の印刷プロセスに続いて、基板602は、約0.5mW/cm2〜20mW/cm2の強度を有する紫外線を用いて第3の硬化設備530のブロック810bで硬化され得る。実施例によっては、第1パターンと第2パターンが同時にまたは連続して印刷されるとき、これらのパターンは両方とも同時に硬化され得ることが理解される。第3の硬化設備530の後、別の硬化(例えば、乾燥設備532において20℃〜150℃の間の温度でブロック810aでオーブン乾燥)が続き得る。続いて、基板602は、めっき設備520での無電解めっきと同様に第2のめっき設備534aでめっき814を受けること、かつ既知の従来の洗浄技術を用いて洗浄設備534で第2の洗浄を受けることができ、次に、基板602は、乾燥設備536で室温の空気を用いて乾燥され得る。
【0031】
実施例によっては、第2パターンは、第1パターンの反対側の第1の基板602の第1面に印刷される。別の実施例として、第2パターンは、第1パターンに隣接する基板602の同一の(第1の)面に印刷され、更に他の実施例では、第2パターンは、基板602から別のフィルムに印刷される。後者の2つの実施例では、パターンが、印刷に続いて組み立てられ、まためっきに続いて組み立てることもできる。好ましくは、任意の実施例では、印刷とめっきのプロセスは、直列ではなく並列に実行され、つまり、両方のパターンのどちらも1つの基板の同じ面にあるので、どちらのパターンも組み立て前に一方のパターンが印刷され、めっきされるのを待つ必要はなく、両方のパターンは順次組み立てられる、または両方のパターンはめっきされ、組み立ての準備ができ、ほぼ同時にプロセスから得られる。
【0032】
図6Aは、本発明の実施例となるアニロックスロールに彫られたパターンのセクションの斜視図を示している。アニロックスロール設備600は、凹部またはセルと呼ぶこともできる複数のウェル606を形成するように配設された深さ604の複数の壁614によって形成された複数の六角形状のセルを備える。凹部は、オブジェクト内の空き領域、またはオブジェクトの表面の平面の凹みや窪みを指すこともできる。実施例によっては、凹部は、オブジェクトの第1の平行な表面の下または後ろにオフセットされた第2の表面とすることもできる。実施例によっては、セルは四辺形、三角形、円形、三重螺旋、細長いセル、あるいはこれらを組み合わせたものとすることができる。アニロックスロールは、ロールが担持することができる量によって定義できるが、これは、彫りの角度に沿って測定された線のインチ当たりのセル数を表す1インチ当たりの線(LPI)に加えてまたは代替として、平方インチ当たり10億立方ミクロン(BCM)と称することもできる。
【0033】
図6Bは、本発明の実施例となる彫りを施したアニロックスローラの斜視図である。フレキソ印刷プロセスでは、アニロックスローラ608は、(例えば、インクパンから、またはインクでコーティングされたローラとの接触を介して)制御されたインクの量を取ってそれをマスタ版に転移する。このように、アニロックスロールのパターンは、基板上に印刷されず、むしろ、基板上の(フレキソ版上にある)パターンを印刷するフレキソ版にインク源からインクを移行するための転写機構として機能する。アニロックスロールは、第1の端部片610aと第2の端部片610b、ならびに端部片610a、610bの間で表面の周りに円周方向に配置される複数の小さなポケットまたはセル606を形成するように固体片から機械加工することもできる。別の実施例として、ローラ608は複数の部品から製造され、端部片610a、6106bは、実際に、複数のセル606を含有する第3の部分に対して熱的、機械的、または熱機械的に取り付けられるエンドキャップである。複数のセル606は、インク、接着剤、またはマスタ版に適用されるコーティング材料を担持し、従って、セルの形状は、ローラ610が、マスタ版への転写前に様々な液体の正確な測定が可能となるように選択することもできる。複数のセル606のサイズは、各セルがどのくらいの液体を担持するかを判定する。ひとつの実施例として、複数のセルの形状とサイズを均一とする。別の実施例として、複数のセルは、図7A図7Fについて後に考察するように複数の形状を含むものとする。アニロックスロール608が上昇し得るマスタ版の表面に接触すると、セルからマスタ版の表面に液体が転写される。様々な実施例において、アニロックスロールは、フレキソ印刷における広い範囲の測定必要性に対応できるように、異なる直径、深さ、セル設置角度に彫られる。セルの量、彫りの角度、線の数の組み合わせは、転写されたインクの量、ならびに基板にインクが転写される精度および均一性を定めることがある。
【0034】
ロールの横軸(例えば、図2に示される軸612)から参照されるように、彫りの角度またはパターンは、彫刻の後続の行のセルの向きを指す。彫りの角度はまた、セルの形状を決定し得る。レーザー彫刻ロールにおいては、レーザー彫刻が非常に高い頻度で、微細レベルで起こる。従って、所与のエネルギーの破裂またはエネルギーの破裂から生じるセルを肉眼で見分けることは困難となる可能性がある。45度のパターンの場合はひし形となり、30度または60度のパターンの場合は六角形のセルができる。彫りの線が十分に近い場合、セルは、斜めのセル壁を完全に除去するように重なるため、一般に三重螺旋彫りと呼ばれる一連の角度の溝ができる。線の数(LPIまたはインチ当りの線)は、彫りの角度に沿って測定された線のインチ当たりのセル数を指すか、またはセルが、互いに最も近接して位置合わせされる。つまり、より高いLPIは、所与の表面領域内のより多い数のセル、およびより小さいセル直径を提供する。LPIが増大すると、回転および横方向の両方におけるセルの濃度もまた増大する。LPIの倍増は、ロール表面の平方インチ毎のセルの数を効果的に4倍にする。LPIが増加すると、インクの小さな液滴は、版の表面上で共により接近して離間され得る。より小さなインクの液滴は、大きな液滴よりもより迅速に乾燥し、結果として、より滑らかな固体を生成する傾向がある。高いLPIでのセル数の増加は、インクのより滑らかな遷移を提供する。換言すれば、より高いLPIを有するアニロックスロールは、インクの遷移のより良好な速度を提供する。
【0035】
図7A図7Fは、本発明の実施例となる彫りが施されたアニロックスロールパターンの様々な形状の説明図である。図7Aは、30度の彫りを用いて彫られた六角形パターンの実施例の説明図である。30度のパターンは、ロールの水平軸(例えば、図6Bに示される軸202)に沿って配向された開口部712の最も広い部分を伴う六角形のセルを有する。図7Aに示されるパターンは、UV硬化性インクと共に使用することのできる汎用パターンである。
【0036】
図7Bは、60度の彫りを伴った彫りパターンの実施例の説明図である。60度のパターンは、30度パターンに類似しているように見えるが、ロールの回転軸(例えば、図6Bに示される軸202に垂直である)に沿って配向されたセルの開口部の最も広い部分を伴う。60度のパターンは、セルがより密接に詰め込まれているという事実から、45度のパターンと比較して平方インチ当たり約15%多いセルを提供する。これらの追加のセルは、マスタ版へのインクのより均一な分配を可能にする。60度のパターンは、アニロックスロールがドクターブレードを越えて回転するとき、上部702と下部704にコーナーがあり、ドクターブレードが閉じ込められたより少ない空気をセルに充填することを可能にし得る。
【0037】
図7Cは、45度の彫りを伴う彫りパターンの実施例の説明である。45度のパターンは、(例えば、図6Bに示され、同様に図7Cに表される軸202に垂直である)ロールの回転軸に沿って配向するセルの最も広い部分708を伴う複数の菱形形状のセル306を有する。このパターンは、良好なインクの放出を提供するが、微細な分配には、図3A図3Bにおける30または60度のパターンが好ましいことがある。
【0038】
図7Dは、複数のランダムに設置された円形のセルを伴う彫りパターンの実施例の説明図である。ランダムパターンは、彫刻の後続の行を伴い、方向を特定されずに設置されたセルを有する。カラー印刷では、セル設置とスクリーン角度との間の位置合わせからのモアレパターンの影響をより受けにくくすることができるので、ランダムパターンが好ましいことがある。しかし、ランダムパターンは、様々な直径および不整合な設置の複数のセルを有し、マスタロールへ、その後、基板上へのインクの転写における不整合につながる可能性があるとともに、印刷されたパターンの品質に影響を与える可能性がある。
【0039】
図7Eは、溝付き彫りパターンのある彫りパターンの実施例の説明図である。複数の溝付きセルは、(例えば、図6Aに示され、同様に図7Eに表される軸202に垂直である)ロール710の回転軸に沿って延伸する開口部を有し、これは、粘性インキ、金属粒子、接着剤のより容易な放出を可能にする。
【0040】
図7Fは、三重螺旋の彫りパターンを含む彫りパターンの実施例の説明図である。三重螺旋彫りは、軸202から20〜70度の角度とすることができ、ロールの表面に斜めの木立を生成するようにしてセルを設置する。好ましくは、接着剤の適用のためにこの形状を有する彫りを使用する。接着剤は、例えば、第1と第2の基板、または第1の基板の2つの部分を組み立てるために使用することもできる。
【0041】
アニロックスロールの量に加えて、図6A図6B図7A図7Fに関して考察されるように、アニロックスロールは、その表面に彫られる様々な形状とサイズのパターンを有することができる。最適なアニロックスロールの最終的な線幅と、LPIと、BCMとの関係は、所望の処理速度、インクの粘度、フレキソ版と基板の表面エネルギー、アニロックスロールからフレキソ版へ、そしてフレキソ版から基板へ転写されるインクの量に基づいて計算され得、フレキソ版上の設定された開始線の幅を有する。LPI、BCMの組み合わせにより、インク粘度および、10マイクロメートル未満の幅を有する印刷条件の線が達成され得る。
【0042】
実施例によっては、LPIが1500を超えBCMが0.7未満のアニロックスロールは、幅10マイクロメートル未満の印刷線で使用するためにカスタム製作することもできる。LPIが大きくBCMの小さいアニロックスロールを使用すると、細胞がより小さいサイズに近づくにつれて、詰まりが起こり得ることが理解される。しかし、これらのロールは、より高い粘度のインク、例えば、400〜20000cpsの粘度を有するインクで使用することもでき、微細な線(幅10マイクロメートル未満)を正しく(均一に)印刷することができように加圧条件を最適化することもできる。
【0043】
図8は、本発明の実施例となる縞状ロールの説明である。縞状ロール800は、異なるパターン、線画面、および量を有するセクション、例えば、領域A〜Fに分割して彫りが施された単一のアニロックスロールである。図8において、セクションAは1500LPI、0.7BCMセクション、セクションBは900LPI、1.6BCMセクション、セクションCは800LPI、1.9BCMセクション、セクションDは700LPI、2.2BCMセクション、セクションEは600LPI、2.6BCMセクション、セクションFは500LPI、2.9BCMセクションである。セクションA〜Fに反映される陰影は、バンドの間でのLPIとBCMにおける違いを反映するように意図された説明図に過ぎず、各セクションがどのように見えるかの実際の画像ではないことがわかる。縞状ロールは、特定のジョブに必要なアニロックスロールの種類を識別するためにテストロールとして使用することもできる。その例では、特定のインクまたは様々な粘度と組成を有する一連のインクは、図1Aまたは図1Bに類似するインク計測システムにおいて縞状ロール400と共に使用され、基板または一連の基板にパターンを印刷することもできる。その印刷試験の結果に基づいて、正しいサイズのロールは、特定の形状、線の寸法、または線の寸法の範囲でパターンを印刷するように特定のインクを用いて使用するために選択することもできる。
【0044】
従来、縞状ロールは、様々な粘度と組成のインクがどのように基板に転写されるかを試験するために使用することもでき、25マイクロメートルより細い幅の線は、信頼性の高い均一性を有して印刷されないことがある。この試験の後、アニロックスロールは、特定の用途のために選択することもできる。しかし、本開示のひとつの実施例として、縞状ロールは生産運転のために使用される。縞状ロールはカスタム製作することもでき、少なくとも2つのセクションで(1)セルの形状と(2)容量の少なくとも一方が異なる複数のセクションを含むことができる。ひとつの例として、0.7BCMと1.5BCMのロールを、抵抗性または容量性タッチスクリーンセンサのためのパターンを印刷するために生産運転に使用する。ひとつの実施例として、縞状アニロックスロールは、印刷・めっきされた基板を組み立てるとグリッドを形成するパターンの線(25マイクロメートル未満)のための0.7BCMと、タッチパネル内で幅が50〜100マイクロメートルであり得るベゼル領域(接続パッド領域)のための1.5BCMの区域との組み合わせとすることもできる。これに代わる実施例として、アニロックスの容量と形状の様々な構成がインク、好ましくは、1000cpsインクを超える粘度のインクと組み合わせて使用され、各線の幅が1マイクロメートル〜25マイクロメートル間である複数の線からなるパターンを印刷することもできる。この方法は、タッチスクリーンセンサ用のみならずRDアンテナ用にも、ならびに均一な微細パターンが構造の構成要素である他の用途のための部品に適用することもできることが理解される。
【0045】
本明細書に記載の製造方法は、HRPSのフレキソ印刷に利用可能な多くの構成の1つであるに過ぎず、したがって、本明細書で提供した方法と値は、他の構成にも適用可能である。加えて、本明細書に開示された粘度値は、最低幅1マイクロメートルの他の寸法のパターンを印刷するときに有用である。
【0046】
本発明の好ましい実施例を図示し説明してきたが、当業者であれば本発明の要旨と教示から逸脱することなく変形することができる。ここで説明した実施例と提供した例は単なる例示でありこれに限定する意図はない。本明細書に開示した本発明は、本発明の範囲内で多くの変形や修正が可能である。従って、保護の範囲は上に示した説明によって限定されず、以下の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲は特許請求の範囲の対象物の全ての均等物を含んでいる。本発明の様々な例示的な実施例を更に示すために、以下に例を挙げる。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7A-7C】
図7D-7F】
図8
図9
【国際調査報告】