特表2015-523711(P2015-523711A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-523711ポイント接点式太陽電池用の改善したドーピングパターン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-523711(P2015-523711A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(54)【発明の名称】ポイント接点式太陽電池用の改善したドーピングパターン
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/061 20120101AFI20150717BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20150717BHJP
   H01L 31/068 20120101ALI20150717BHJP
   H01L 21/266 20060101ALI20150717BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20150717BHJP
【FI】
   H01L31/06 100
   H01L31/04 440
   H01L31/06 300
   H01L21/265 M
   H01L21/265 F
   H01L21/265 H
   H01L21/265 602A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-510438(P2015-510438)
(86)(22)【出願日】2013年5月1日
(85)【翻訳文提出日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】US2013039096
(87)【国際公開番号】WO2013166171
(87)【国際公開日】20131107
(31)【優先権主張番号】13/464,582
(32)【優先日】2012年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】500239188
【氏名又は名称】ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ピー ティー ベイトマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ダブリュー グラフ
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA01
5F151AA16
5F151CB19
5F151DA03
(57)【要約】
太陽電池、特にポイント接点式太陽電池をドーピングする方法を開示する。太陽電池の1つの表面にはn型ドーピングすべき部分を必要とし、他の部分はp型ドーピングする。一導電性を有する種のブランケットドーピングと、反対の導電性を有する種のパターン化したカウンタードーピング処理とを用いることにより、少なくとも1つのリソグラフィ工程を除外し得る。パターン化した注入中にドーピングされる領域には、ブランケットドーピングの効果を完全に反転させるとともにブランケットドーピングとは反対の導電性を達成するのに充分なドーズ量を受けるようにする。ある例では、多数キャリアの横方向直列抵抗を減少させるためにカウンタードープラインをも用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電性を有する基板を設ける工程と、
前記第1の導電性とは反対の第2の導電性の種で前記基板の表面上にブランケット注入を実行して、前記第1の導電性のベースと前記第2の導電性のエミッタとを形成する工程と、
前記第1の導電性の種を用いて前記基板の前記表面のパターン化注入を実行して、前記表面上に前記第1の導電性の個別のカウンタードープ領域を形成し、これらのカウンタードープ領域が前記ベースに電気的に接続されているようにする工程と、
前記第2の導電性の種を用いて前記基板の前記表面の第2のパターン化注入を実行して、多量にドーピングされたエミッタ領域を形成する工程と、
を含むポイント接点式太陽電池の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のポイント接点式太陽電池の製造方法において、
前記カウンタードープ領域を円形又は方形とするポイント接点式太陽電池の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のポイント接点式太陽電池の製造方法において、更に、
前記第1の導電性の種で前記基板の前記表面上にパターン化注入を実行して、前記個別のカウンタードープ領域を接続するラインを形成する工程
を含むポイント接点式太陽電池の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のポイント接点式太陽電池の製造方法において、
前記ラインを一方向とするポイント接点式太陽電池の製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載のポイント接点式太陽電池の製造方法において、
前記ラインを互いに垂直である二方向とし、これにより格子状のパターンを形成するポイント接点式太陽電池の製造方法。
【請求項6】
被照射面と、
非照射面と、
前記被照射面及び前記非照射面間に位置するn型ベースと、を備えるポイント接点式太陽電池であって、
前記非照射面はp型ドーピングされてエミッタを形成しているとともに、前記非照射面が、
前記ベースと電気接続している複数の個別のカウンタードープn型領域と、
これら個別のカウンタードープn型領域を接続している複数のカウンタードープn型ラインと、
を備えるポイント接点式太陽電池。
【請求項7】
請求項6に記載のポイント接点式太陽電池において、
前記個別のカウンタードープn型領域が円形又は方形であるポイント接点式太陽電池。
【請求項8】
請求項6に記載のポイント接点式太陽電池において、
前記非照射面が更に、複数の個別の多量にドーピングされたエミッタ領域を備えるポイント接点式太陽電池。
【請求項9】
請求項6に記載のポイント接点式太陽電池において、
前記ラインは一方向にあるポイント接点式太陽電池。
【請求項10】
請求項6に記載のポイント接点式太陽電池において、
前記ラインは互いに直交する二方向にあり、これにより格子状のパターンを形成しているポイント接点式太陽電池。
【請求項11】
第1の導電性を有する基板を設ける工程と、
前記第1の導電性とは反対の第2の導電性の種で前記基板の表面上にブランケット注入を実行して、前記第1の導電性のベースと前記第2の導電性のエミッタとを形成する工程と、
前記第1の導電性の種を用いて前記基板の前記表面のパターン化注入を実行して、前記表面上に前記第1の導電性の個別のカウンタードープドットを形成し、これらのカウンタードープドットが前記ベースに電気的に接続されているようにする工程と、
を含むポイント接点式太陽電池の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載のポイント接点式太陽電池の製造方法において、更に、
前記第1の導電性の種で前記基板の前記表面上にパターン化注入を実行して、前記個別のカウンタードープドットを接続するラインを形成する工程
を含むポイント接点式太陽電池の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載のポイント接点式太陽電池の製造方法において、
前記ラインが一方向にあるようにするポイント接点式太陽電池の製造方法。
【請求項14】
請求項12に記載のポイント接点式太陽電池の製造方法において、
前記ラインが互いに直交する二方向にあり、これにより格子状のパターンを形成するようにするポイント接点式太陽電池の製造方法。
【請求項15】
請求項11に記載のポイント接点式太陽電池の製造方法において、
前記ドットを円形又は方形とするポイント接点式太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池をドーピングすることに関するものであり、特にポイント接点(点接点)式太陽電池用のドーピングパターンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
イオン注入は、導電性を変える不純物を半導体基板内に導入する標準的な技術である。この場合、所望の不純物材料がイオン源内でイオン化され、イオンが加速されて所定のエネルギーのイオンビームを形成し、このイオンビームが基板の表面に指向される。このイオンビームにおけるエネルギーイオンが半導体材料のバルク内に侵入し、半導体材料の結晶格子内に埋め込まれて、所望の導電性の領域を形成する。
【0003】
イオン注入は太陽電池を製造するのに用いることができる。太陽電池は、半導体材料内に光子が吸収されることにより発生される電荷キャリアを分離させるビルトイン電界を有する装置である。この電界は代表的に、半導体材料の差動ドーピングによりpn接合(ダイオード)を形成することにより生ぜしめられる。太陽電池の基板の一部(例えば、表面領域)に互いに反対の極性の不純物をドーピングすることにより、光を電気に変換する光起電装置として用い得るpn接合を形成する。
【0004】
図1は、従来技術の太陽電池の第1の例を示しており、これは代表的な基板150の断面図である。光子160は、矢印により示すように頂面162を経て太陽電池150に入り込む。これらの光子160は、基板150に侵入する光子160の個数を最大にするとともに基板150から離れるように反射する光子を最少にするように設計した反射防止被膜152を通過する。
【0005】
太陽電池150は、その内部にpn接合170を有するように形成されている。このpn接合170は基板150の頂面162に対しほぼ平行であるとして示しているが、このpn接合170を基板150の頂面162に対し平行とならないようにし得る他の構成も存在する。この太陽電池150は、光子160が、エミッタ153としても知られている高濃度ドーピングされた領域を経てこの太陽電池150に入り込むように製造されている。ある例では、エミッタ153をn型ドーピングされた領域とし得るが、他の例では、エミッタ153をp型ドーピングされた領域とし得る。(半導体のバンドギャップよりも大きい)充分なエネルギーを有する光子160は、半導体材料の価電子帯内の電子を導電帯に移動させるのを促進させることができる。この自由電子には、これに対応して価電子帯内で正に帯電された正孔が関連しているものである。外部負荷を駆動し得る光電流を発生させるためには、これらの電子‐正孔(e‐h)対を互いに分離させる必要がある。この分離は、pn接合170におけるビルトイン電界により行われる。従って、pn接合170の空乏領域内に発生された如何なるe‐h対も、太陽電池150の空乏領域に拡散される如何なる他の少数キャリアと同様に分離される。入射された光子160の大部分は太陽電池150の表面領域付近に吸収される為、エミッタ153内で発生される多数キャリアをエミッタ153の深さを横切って拡散させて空乏領域に到達させるとともに他方の側に伝達するように掃引させる。従って、光発生電流の収集を最大にするとともに、エミッタ153におけるキャリアの再結合の可能性を最小にするために、エミッタ153を浅くするのが好ましい。
【0006】
かなりの光子160がエミッタ153を通過してベース154に入り込む。エミッタ153をn型領域とした設計では、ベース154をp型ドーピングされた領域とする。従って、これらの光子160はベース154内で電子153を励起でき、これら電子がエミッタ153内に自由に移動するが、関連する正孔はこのベース154内に留まる。或いはまた、エミッタ153をp型ドーピングされた領域とした場合には、ベースをn型ドーピングされた領域とする。この場合には、上述した光子160がベース154内で電子を励起でき、これら電子がベース154内に留まるが、関連の正孔がエミッタ153内に移動する。この場合、pn接合170の存在により生ぜしめられる電荷分離の結果として、光子により発生された追加のキャリア(電子及び正孔)を用いて外部負荷を駆動して回路を完成させることができる。
【0007】
エミッタ153を、外部負荷を介してベース154に外部接続することにより、電流を流し、従って、電力を生ぜしめることができる。このことを達成するために、代表的に金属製とした接点151及び155がそれぞれエミッタ153及びベース154の外側表面上に配置されている。ベース154は光子160を直接受光しない為、代表的にその接点155がこのベースの外側表面の全体に沿って配置されている。これとは相違して、エミッタ153の外側表面は光子160を受光し、従って、接点151で完全に被覆することができない。しかし、電子を接点151まで長距離移動させる必要がある場合には、太陽電池150の直列抵抗が増大し、これにより出力を低下させる。これらの2つの考慮事項(自由電子を接点151まで移動させる必要がある距離と、エミッタ表面163の露出量との双方)を互いに均衡させることを試みるために、殆どの分野で指の形状の接点151が用いられている。
【0008】
図1に示す例では、太陽電池150の両面上に接点151及び155を必要とし、これにより、光子160を透過させることのできる前面の利用可能面積を低減させる。図2に太陽電池100の他の例の断面図を示している。本例の物理的特徴は基本的に図1の例に類似しており、pn接合は、発生された電子‐正孔対を分離させる電界を生ぜしめるのに用いられる。しかし、図1の例で行われているようにpn接合を表面全体に亘って生ぜしめるのではなく、太陽電池100の一部分のみにpn接合を生ぜしめている。本例では、負にドーピングしたシリコン基板(ベース103)を用いることができる。ある例では、前面内に追加のn型ドーパントを導入することにより、より一層負にバイアスされる前面領域(FSF)102が形成される。これに続いて、このFSF102に反射防止被膜101が被覆される。この図示の前面はしばしばエッチングされてピラミッド型の又はその他の非平坦面が形成され、表面積を増大させるようにされる。p型接点107及びn型接点108のような金属接点や指状部110は全て底面、すなわち太陽電池100の非照射面上に位置される。底面のある部分にp型ドーパントをドーピングしてエミッタ104を形成している。又、他の部分にはn型ドーパントをドーピングしてより一層負にバイアスされる裏面領域(BSF)105を形成している。これらのエミッタ104及びBSF105間の領域は代表的に、ドーピングされずにシリコン酸化物で表面安定化されている。裏面にパッシベーション層106が被覆されて裏面の反射性を高めるようになっている。p型接点107及びn型接点108はそれぞれエミッタ104及びBSF105に取付けられている。図3は、裏側の非照射面上に接点が配置されている、一般的に用いられる一構造を示している。本例では、エミッタ104及びBSF105の1つ以上の上に接点が配置されている。この種類の太陽電池は、ポイント接点式太陽電池として知られている。
【0009】
現在のエネルギーコスト及び環境問題のために、太陽電池が世界的に益々重要となってきている。高性能の太陽電池の製造費の如何なる低減化又は高性能の太陽電池に対する如何なる効率の改善によっても、世界的な太陽電池の実現に好影響を及ぼすものである。このことにより、クリーンエネルギー技術のより広い利用可能性を実現し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ポイント接点式太陽電池に対する現在の製造処理には、接点及びエミッタ領域を製造するために太陽電池の裏面上での少なくとも2回のリソグラフィ及び拡散工程が必要となる。何らかの処理工程を除外することにより、太陽電池に対する製造費及び複雑性を低減させる。更に、太陽電池の効率を改善する処理工程は何れも有益なものである。従って、ポイント接点式太陽電池をドーピングする改善した方法が当該技術において必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来技術の上述した欠点は、太陽電池、特にポイント接点式太陽電池をドーピングする方法を開示する本発明により解消されるものである。太陽電池の1つの表面にはn型ドーピングすべき部分が必要であり、他の部分にはp型ドーピングを行う。この所望の構造を達成するのに、従来では、複数のリソグラフィ及びドーピング工程が必要となる。これに対し、1つの導電性を有する種のブランケットドーピングと、これとは反対の導電性を有する種のマスクパターン化したカウンタードーピング処理とを用いることにより1つのリソグラフィ工程を除外し得る。パターン化した注入に際してドーピングされる領域には、ブランケットドーピングの効果を完全に逆にするとともにブランケットドーピングとは反対の導電性を達成するのに充分なドーズ量が与えられる。ある例では、多数キャリアの横方向直列抵抗を低減させるのにも、カウンタードープラインを用いる。
【0012】
本発明をより良好に理解するために、参考のために導入した添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来技術による太陽電池の例を示す断面図である。
図2】従来技術によるポイント接点式太陽電池の例を示す断面図である。
図3図2の太陽電池を示す底面図である。
図4】本発明の一実施例による代表的なポイント接点式太陽電池を示す断面図である。
図5】太陽電池の製造処理の流れの一実施例を示す説明図である。
図6】太陽電池の製造処理の流れの他の実施例を示す説明図である。
図7】ポイント接点式太陽電池におけるカウンタードーピングの一実施例を示す説明図である。
図8】ポイント接点式太陽電池の他の実施例を示す底面図である。
図9図8の太陽電と関連して用いられる太陽電池製造処理の流れの一実施例を示す説明図である。
図10】ポイント接点式太陽電池の更に他の実施例を示す底面図である。
図11】ポイント接点式太陽電池の更に他の実施例を示す底面図である。
図12図10及び図11の太陽電池と関連して用いられる太陽電池製造処理の流れの一実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここに開示する製造処理の実施例は、例えば、ビームラインイオン注入装置、フラッド注入装置又はプラズマドーピングイオン注入装置により達成し得る。このようなプラズマドーピングイオン注入装置はRF又はその他のプラズマ発生源を用いることができる。ビームラインイオン注入装置又はフラッド注入装置により発生されたイオンビームを質量分析又は非質量分析することができる。他のプラズマ処理装置又はイオン発生装置を用いることもできる。又、熱又は炉拡散、加熱された太陽電池の基板の表面上のペースト、エピタキシャル成長又はレーザドーピングを用いて、ここに開示する製造処理のある実施例を実行することもできる。更に、シリコン太陽電池を特に開示するが、他の太陽電池基板材料もここに開示する製造処理の実施例にとって有利に用い得るものである。
【0015】
図4は、代表的なポイント接点式太陽電池の一実施例を示す。しかし、他の実施例又は設計も可能であり、ここに開示する製造処理の実施例のみが図4に示す太陽電池100に限定されるものではない。上述したように、太陽電池100はこの太陽電池100の裏面上にp型接点107及びn型接点108を有している。この太陽電池100の頂部には反射防止被膜101がある。この反射防止被膜101の下側にはFSF102及びベース103を存在させることができる。ベース103の下側には、エミッタ104及びBSF105が存在する。エミッタ104及びBSF105の下側には、パッシベーション層106が存在する。p型接点107及びn型接点108は、このパッシベーション層106を通過してエミッタ104及びBSF105に接触するようにし得る。ある実施例では、エミッタ104内にp++領域121を加えて、エミッタ104とp型接点107との間の抵抗値を減少させるようにし得る。代表的には導電性金属により形成した指状部110がp型接点107及びn型接点108に取付けられている。
【0016】
このポイント接点式太陽電池は、底面の全体にドーピングするという点で図2の太陽電池と相違する。換言すれば、BSF105でない如何なる領域もp型ドーピングされている。これにより、エミッタ104の領域の全寸法を増大させるとともに、pn接合の表面積を増大させる。換言すれば、このポイント接点式太陽電池は、従来ドーピングされていない領域に僅かにドーピングすることにより、従来のポイント接点式太陽電池を拡張させる。
【0017】
カウンタードーピングを用いることにより少なくとも1つのリソグラフィ工程を除外する。カウンタードーピングによれば、このカウンタードーピングのドーピング工程でドーパントをパターンニングするのに非リソグラフィ技術を用いる場合には双方の工程を除外することができる。処理工程を除外することにより、太陽電池に対する複雑性及び製造費を低減させる。
【0018】
図5は、太陽電池製造処理の流れの一実施例である。(ポイント接点式太陽電池のような)太陽電池のカウンタードーピングを実行するためには、2つの工程が必要となる。すなわち、一方の導電型の半導体材料を形成するブランケットドーピング工程201が必要となる。例えば、基板の全体にホウ素を与えて、p型ドーピングされたエミッタ領域を形成する。これに続いて、太陽電池の選択した個別領域をより高いドーズ量でパターン化ドーピングする工程202を実行する。このパターン化ドーピング工程202は、反対の導電性のドーパントを用いて実行する。従って、ブランケットドーピングに対してホウ素を用いる場合には、リンのようなV族の元素をパターン化ドーピングに対して用いることができる。パターン化ドーピングを適用する領域には予めドーピングされている為、ドーズ量は前のドーピングの影響を排除するのに充分な量とする必要があり、従って、所望の濃度のイオンを導入する。その結果として、ブランケットドーピングにより形成された導電性とは反対の導電性の個別の領域がパターン化ドーピングにより形成される。
【0019】
図6は、太陽電池製造処理の流れの他の一実施例である。本例では、図5で実行した工程が単に繰返されるものである。カウンタードーピングを実行するためには、太陽電池の選択した個別領域におけるより高いドーズ量でのパターン化ドーピング工程301と、これに続く、半導体材料の他の型を形成するためのブランケットドーピング工程302とを実行する。パターン化ドーピング工程301は、その後のブランケットドーピング工程302がその導電性を変えない充分なドーズ量で導入する。
【0020】
図7は、カウンタードーピングの一実施例である。太陽電池100は、ブランケットドーピングされた領域400と、個別のパターン化ドーピングされた領域401とを有している。ある実施例では、個別のパターン化ドーピングされた領域401を円形、方形又は多角形とすることができる。これらの個別のパターン化ドーピングされた領域は、これらの形状に拘らずドットと称されている。ブランケットドーピングされた領域400と、個別のパターン化ドーピングされた領域401とは、何れの順序でドーピングすることもでき、又は真空を中断させることなく互いに連続させたものとすることができる。ブランケットドーピングされた領域400と、個別のパターン化ドーピングされた領域401とには、n型ドーパント又はp型ドーパントを用いることができる。しかし、前述したように、カウンタードーピングでは、一方の領域をn型ドーパントとし、他方の領域をp型ドーパントとする必要がある。従って、最初に何れかの型でドーピングを行うことができるが、これとは異なるドーパントを全体に用いる必要がある。1つの特定の場合には、ブランケットドーピングされた領域400がp型エミッタであり、パターン化ドーピングされた領域401がn型である。更に、パターン化ドーピングは、ブランケットドーピングにより生ぜしめられる導電性を打消すのに充分な量で適用する必要がある。パターン化注入を最初に実行する場合には、ブランケットドーピングによりパターン化ドーピングされた領域を打消す必要はない。本例では、n型ドーパントを、ブランケットドーピングされた領域400がp型として残るがパターン化ドーピングされた領域401がn型となるのに充分な量で導入する。
【0021】
ここに開示した処理の実施例では、ドーパントを例えば、P、As、B、Sb又はSnとし得る。他のドーパントの種を用いることもでき、本発明は上に掲げたドーパントのみに限定されるものではない。
【0022】
ブランケットドーピングは多くの方法で実行し得る。例えば、太陽電池の領域、すなわち太陽電池全体のブランケットドーピングは、イオン注入を用いて、例えば、ビームラインイオン注入装置、フラッド注入装置、プラズマシースを変更する注入装置又はプラズマドーピングイオン注入装置により達成し得る。ブランケットドーピングは、太陽電池の基板上の少なくとも1種類のペースト又は少なくとも1種類の気体を用いる炉内での拡散を採用して実行し得る。ドーパントを導入する他の方法も知られており、適用し得る。全ての場合、ブランケットドーピングは、イオンが太陽電池の全表面に無差別的に被着されるドーピング処理を言及するものである。
【0023】
パターン化ドーピングは、ブランケットドーピングとは相違して、太陽電池の選択領域のみを変更することを意味するものである。このパターン化ドーピングは、多数の方法で実行し得る。ある実施例では、パターンニング(パターン化)技術を用いて基板のある部分のみを遮蔽(又は露出)する。このパターン化を適用した後、ブランケットドーピングを適用するのに用いた上述した1つ以上の処理を実行し得る。第1の実施例では、カウンタードーピングを必要としない太陽電池の領域を、マスクを用いて封鎖する。マスクは、種々の種類のものとし得る。例えば、基板に適用し固着するマスクがハードマスクである。シャドウマスク又はプロキシミティマスクは、基板の直前に配置するマスクであり、再使用可能である。更に、ステンシルマスク又は投影マスクは、基板からある距離に配置され、光学系を用いてパターンを基板上に投影するマスクである。ある実施例では、マスク中の開口は代表的に直線状の刃を用いて形成し、従って、円形よりも正方形又は長方形の開口を容易に形成し得る。しかし、正方形、長方形、多角形又は円形の開口を形成し得る。マスクを適用した後、拡散又はイオン注入工程を実行してイオンを基板の露出部分のみに導入する。他の一実施例では、例えば、ビームラインイオン注入装置、フラッド注入装置又はプラズマドーピングイオン注入装置を用いてイオン注入を実行し、マスク中の1つ以上の開口を介してのみドーパントを注入する。他の場合には、炉拡散法に対してマスクを用いる。
【0024】
パターン化ドーピングは、他の方法を用いても実行し得るものである。上述したように、これらのパターンニング方法の幾つかは基板の一部を遮蔽する為、露出された部分のみにドーピングされる。フォトレジストマスクを形成するのに、例えばフォトリソグラフィ技術を用いることができる。基板の一部を露出するのに他のパターンニング方法を用いる。例えば、一実施例では、ブランケットドーピング方法を用いて誘電体層を被着する。次に、レーザビームを用いて太陽電池上に直接書込み(direct write)処理を行い、これによりブランケット誘電体層を選択的に溶融させてマスクを形成する。用語“直接書込み”とは、レーザ又はイオンビームのような光又は粒子のビームを、高精度で基板に集束させる処理を言及するものである。ビームは、入射領域において基板に衝突して特定の効果を生ぜしめる。イオンビームの場合には、この効果は基板中にイオンを注入する効果とし得る。レーザビームの場合には、この効果は入射領域を溶融又は変形させることとし得る。
【0025】
他の実施例では、太陽電池の表面の選択領域上に材料を印刷し得る。続いて、印刷された材料により形成されたマスクを介して、例えばイオン注入を用いてドーパントを導入する。或いはまた、印刷された材料を用いてその下側の誘電体を選択的にエッチングし、これによりパターンを形成し、炉中の拡散によりこのパターンを介してドーパントを導入し得るようにすることができる。他の実施例では、イオンビームにより直接書込み処理を行なうか、又はイオンビームを、シャドウマスクを介して投射し、ブランケット誘電体層のエッチング特性を変えるようにすることができる。次いで、このブランケット誘電体層をエッチングして、選択領域においてのみ基板を露出させる。これらのパターンニング方法の各々では、続いて、例えばイオン注入又は炉拡散を用いて、ドーパントを基板の所望部分に導入させる。
【0026】
他の実施例では、太陽電池上にドーパントの直接パターンニングを実行することができる。パターン化ドーピングの直接パターンニング形態は、太陽電池上にマスク又は固定マスキング層を用いることなしに、太陽電池のある領域のみにドーピングすることを意味する。一実施例では、イオンビームを用いてドーパントのドーズ量を均一にせずにドーパントを注入させることができる。この場合、太陽電池の第1の部分をイオンビームに曝してこの第1の部分に第1のドーズ量で注入を行う。太陽電池の第2の部分をもイオンビームに曝してこの第2の部分に第2のドーズ量で注入を行う。このドーズ量の差は、種々の方法で達成し得る。
【0027】
イオンビームは種々の方法で生ぜしめることができる。例えば、リボンビームを形成することによりイオンビームを生ぜしめることができる。他の実施例では、走査スポットビームを生ぜしめる。これらのイオンビームを質量分析又は非質量分析することができる。他の実施例では、プラズマシースを変更するか又はプラズマ中のイオンを指向させることにより注入を行うことができる。太陽電池は、イオンビームの下流で基板ホルダに取付ける。基板ホルダは複数の移動度を達成する。例えば、基板ホルダはビームに対して直交する方向に移動し得る。ビームはXZ平面内にあるものとする。このビームはリボンビーム又は走査スポットビームとし得る。基板ホルダはY方向に移動させることができる。このようにすることにより、基板が(X方向において)イオンビームよりも狭い幅を有するものとすると、基板の全表面をイオンビームに曝すことができる。
【0028】
一実施例では、基板ホルダの移動を変更させて、カウンタードープ領域に対応する領域における滞留時間を長くするようにする。換言すれば、基板ホルダを、更に注入する必要のない基板の部分(すなわち、ブランケット注入領域)に亘ってY方向でより一層迅速に移動させる。イオンビームがカウンタードープすべき領域上に位置すると、Y方向における基板ホルダの速度を遅くする。この遅くなった速度は、イオンビームがカウンタードープ領域上にある間中維持させる。この領域が完全に露光されると、基板ホルダの並進速度を増大させて、その後の軽いブランケット注入を行う領域を迅速に通過するようにする。この処理は、基板の全体が注入されるまで繰返す。この技術は、以下に説明する図10及び図11に示すライン403に注入するのに用い得る。
【0029】
直接パターンニングは、太陽電池に被着したドーパント含有ペーストのブランケット層を用いて実行し得る。走査レーザビームを用いてこのペーストを選択的に溶融させ、ペースト被覆領域におけるある領域のみがドーピングされるようにする。この例が直接書込みの例である。
【0030】
他の実施例では、ペーストを太陽電池に選択的に被着し、あるペースト被覆領域のみが炉を用いてドーピングされるようにすることもできる。ペーストは種々の方法で選択的に被着させることができる。これらの例の幾つかは、スクリーン印刷、インクジェット印刷及び押出し成形である。他の方法を用いることもでき、これらは本発明の範囲内のものである。
【0031】
追加の処理工程を導入することもできる。図8は、追加のp++領域402を有するポイント接点式太陽電池100を示す底面図である。換言すれば、これらの領域402はより一層多量にドーピングされたエミッタ領域である。ある実施例では、パターン化ドーピングされた領域401と多量にドーピングされたエミッタ領域402とは、円形、方形又は多角形とすることができる。上述したように、これらの個別の多量にドーピングされたエミッタ領域はドットと称されている。例えば、より一層多量にp型ドーピングされたエミッタ領域402を導入することは、後に接点に取付けを行うために有益なこととし得る。本例では、ブランケット注入に対して用いたドーパントと同じドーパントを用いて、他の(第2の)パターン化注入を実行する。従って、太陽電池は、エミッタとして作用するブランケットドーピングされた領域400と、n型であるパターン化ドーピングされた領域401と、多量にp型ドーピングされたエミッタ(p++)領域402とを有する。図9は、この処理に対するフローチャートを示す。ブランケットドーピング工程201と、第1のパターン化ドーピング工程202とは図4で説明した通りである。第2のパターン化ドーピング工程203を用いて多量にp型ドーピングされたエミッタ(p++)ドープ領域を形成する。前述したように、これらの工程は如何なる順序でも実行でき、又は真空を中断させることなく互いに連続させて実行することができる。
【0032】
更に、多数キャリアの横方向抵抗値を低減させるために、カウンタードープラインを導入することができる。図10は、n型のパターン化ドーピングされた領域401を接続するカウンタードープライン403を有する太陽電池100を示す底面図である。これらのラインは、2つ以上の個別のn型のパターン化ドーピングされた領域401を接続するように形成する。
【0033】
ある実施例では、カウンタードープライン403が太陽電池100の幅全体に亘るようにして、ブランケットドーピングされた領域400を数個の個別の部分に有効に分離させるようにする。これらのカウンタードープライン403は、シャドウマスクを用いて設けることができる。他の実施例では、ハードマスク又はソフトマスクを用いてこのパターン注入を達成することができる。更に他の実施例では、静電的に集束させたイオンビームを用いてカウンタードープライン403を注入し得る。更に他の実施例では、上述したようにイオンビームの滞留時間を変えるようにする。
【0034】
他の実施例では、カウンタードープラインを2方向で互いに直交するように注入する。図11は、垂直及び水平の双方のカウンタードープライン403を有する太陽電池100を示す底面図である。これらの2組のラインは別々の処理工程で或いは少なくとも部分的に同時に注入させることができる。これらの処理工程の間でマスク又は太陽電池を回転させることができる。
【0035】
図12は、図10又は図11の太陽電池を形成するのに用い得る処理に対するフローチャートを示す。この場合、ブランケットドーピング工程201を用いてエミッタを形成する。又、パターン化ドーピング工程202を用いてBSFを形成するとともに、随意ではあるがパターン化ドーピング工程203を用いて、多量にp型ドーピングされたエミッタ(p++)領域を形成する。又、パターン化ドーピング工程204を用いて、1回以上の処理工程でカウンタードープライン403を形成する。裏面領域に関連して説明したように、これらのカウンタードープラインを充分な濃度で注入し、ブランケットドーピング工程201における導電性を反転させるようにする。全ての注入工程が終了した後に、工程205に示すように基板をアニーリング処理する。
【0036】
イオン注入を導入する何れの実施例においても、ドーパントを注入した後に、基板をアニール処理する。アニール工程に続いて、太陽電池の裏面に絶縁層を被着し得る。この絶縁層は、シリコン酸化物のような適切な如何なる材料にもすることができる。ある実施例では、絶縁層を被着した後に、BSF及びp++領域と接触させるための穴をこの絶縁層にあける。他の実施例では、絶縁層をBSF及びp++領域の近くの領域内に被着されないように形成する。更に他の実施例では、アニール工程中にシリコン酸化物を熱成長させることができる。続いて、導電性材料を用いて裏面領域を互いに接続させる。p++領域又はエミッタ領域を互いに接続させるのに他の(第2の)導電性材料を用いる。
【0037】
ここで採用した用語及び表現は説明のためのものであり、本発明はこれらに限定されるものではなく、図示及び説明した特徴の如何なる等価なもの(又はその一部分)を排除するような用語及び表現の使用を意図するものではない。更に、種々の変形が本発明の特許請求の範囲に記載した範囲内で可能であることも認識されたい。その他の変形及び代案も可能である。従って、上述した説明は例示的なものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】