特表2015-523744(P2015-523744A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-523744拡声システム及び拡声システムの制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-523744(P2015-523744A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(54)【発明の名称】拡声システム及び拡声システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 27/00 20060101AFI20150717BHJP
   H04R 29/00 20060101ALI20150717BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20150717BHJP
【FI】
   H04R27/00 Z
   H04R29/00 310
   H04R3/00 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-559972(P2014-559972)
(86)(22)【出願日】2012年6月15日
(85)【翻訳文提出日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】JP2012003947
(87)【国際公開番号】WO2013186823
(87)【国際公開日】20131219
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA
(71)【出願人】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】如南 友博
(72)【発明者】
【氏名】生駒 恒雄
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA11
(57)【要約】
【課題】拡声システムの信頼性及び安全性を向上させる。
【解決手段】拡声システム1は、ループ状の伝送媒体4と複数のスピーカ3を備える。伝送媒体4は、第1方向及び第1方向と逆方向の第2方向に伝送信号を送信する。伝送信号は、所定の周波数帯域を有する通信信号と、通信信号とは異なる周波数帯域を有する音声信号とを含む。拡声システム1は更に、伝送媒体4に接続され、通信信号を減衰し音声信号を出力するように伝送信号をフィルタ処理する第1フィルタ部51を備える。第1フィルタ部51は、通信信号及び音声信号が第2方向において送信される間通信信号が第1方向に送信されないように、伝送媒体4に接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状であって、第1方向及び第1方向と逆方向の第2方向に伝送信号を送信する伝送媒体であって、前記伝送信号は、所定の周波数帯域を有する第1信号と、第1信号とは異なる周波数帯域を有する第2信号とを含む、伝送媒体、
前記伝送媒体に接続される複数のスピーカ、及び
前記伝送媒体に接続され、前記第1信号を減衰し前記第2信号を出力するように伝送信号をフィルタ処理する第1フィルタ部、
を備え、
前記第1フィルタ部は、前記第1信号及び前記第2信号が前記第2方向において送信される間前記第1信号が前記第1方向に送信されないように、前記伝送媒体に接続される、
拡声システム。
【請求項2】
更に、前記伝送媒体のループの第1端と前記伝送媒体のループの第2端とに接続される制御装置を備え、
前記伝送信号は、前記第1信号及び前記第2信号を混合した信号を含み、
前記制御装置は、前記ループの第1端を介する前記第1方向と、前記ループの第2端を介する前記第2方向との双方向に、前記伝送信号を前記伝送媒体に送信し、
前記第1フィルタ部は、前記伝送信号が前記第1方向に送信される前に前記第1信号を減衰する、
請求項1に記載の拡声システム。
【請求項3】
更に、前記伝送媒体に接続され、各々が対応するスピーカに接続される複数の通信制御装置を備え、
前記第1信号はポーリング信号であり、
前記第2信号は音声信号であり、
前記制御装置は、前記複数の通信制御装置をそれぞれポーリングするために前記ポーリング信号を送信し、
各通信制御装置に対応するスピーカは、前記音声信号に基づき音声を出力する、
請求項2に記載の拡声システム。
【請求項4】
更に、前記伝送媒体に接続される複数の通信制御装置を備え、
各通信制御装置は、前記伝送媒体に接続されるアイソレータ部を有し、各アイソレータ部は、前記伝送媒体の障害を検出するとき、対応する通信制御装置を前記伝送媒体から分離する、
請求項1に記載の拡声システム。
【請求項5】
ループ状の伝送媒体と前記伝送媒体に接続される複数のスピーカとを有する拡声システムに用いられるとともに、前記伝送媒体の両端に接続される制御装置であって、
第1方向及び第1方向と逆方向の第2方向に前記伝送媒体を介して伝送信号を送信し、前記伝送信号は、所定の周波数帯域を有する第1信号と第1信号とは異なる周波数帯域を有する第2信号とを含み、
前記第1信号を減衰し前記第2信号を出力するように前記伝送信号をフィルタ処理する第1フィルタ部、及び
前記第2信号を減衰し前記第1信号を出力するように前記伝送信号をフィルタ処理する第2フィルタ部、
を備え、
前記第1フィルタ部は、前記第1信号及び前記第2信号が前記第2方向において送信される間前記第1信号が前記第1方向に送信されないように、前記伝送媒体に接続される、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスピーカを有する拡声システムに関する。本発明はまた、拡声システムに適用される制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物や施設において公衆に対し情報を提供したり楽しませたりする音声放送システムとして、拡声システムが知られている。通常の拡声システムは、スピーカラインを介して増幅器に接続された複数のスピーカと、スピーカラインの接続を監視する各制御器とを有する。特許文献1にその一例が開示されている。緊急時には、拡声システムは、建物や施設内の公衆に警告を出す。
【0003】
欧州で使用されている拡声システムは、欧州規格(EN:European Norm)60849を満たさなければならず、同規格は、増幅器からその端末まで延びるスピーカラインの接続や精度の監視を要件とする。EN60849は、緊急時に所定のエリア内にいる人々を保護するための放送を行うための、屋内外で使用される音声補強システムの性能要件を規定する。EN60849の基準は、ラインの不通があっても警告機能を確実に維持する冗長システムを要件とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0063755号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
拡声システムは、スピーカラインが一部不通となっても、放送可能な状態を維持する必要がある。
ここに開示された発明の一つの目的は、信頼性及び安全性を向上させた拡声システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの観点によれば、ループ状の伝送媒体、伝送媒体に接続された複数のスピーカ、及び伝送媒体に接続された第1フィルタ部を備える拡声システムが提供される。伝送媒体は、第1方向及び第1方向と逆方向の第2方向に伝送信号を送信する。伝送信号は、所定の周波数帯域を有する第1信号と、第1信号とは異なる周波数帯域を有する第2信号とを含む。第1フィルタ部は、第1信号を減衰し第2信号を出力するように伝送信号をフィルタ処理する。第1フィルタ部は、第1信号及び第2信号が第2方向において送信される間第1信号が第1方向に送信されないように、伝送媒体に接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記一つの観点によれば、信頼性及び安全性を向上させた拡声システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る拡声システムの概略図
図2図1に示す拡声システムの制御装置の概略図
図3図2に示す制御装置で使用されるフィルタ部の概略図
図4図1に示す拡声システムの監視装置の概略図
図5図4に示す監視装置のアイソレータ部の概略図
図6図2に示す制御装置による動作のフローチャート
図7】他の実施形態に係る監視装置の概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の選ばれた実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の本発明の実施形態の説明は例示のためであり、添付の特許請求の範囲やその均等物により定義される発明を限定するためのものでないことは、当業者は本開示から理解できる。
(実施形態1)
(拡声システム1)
図1は、本発明の一実施形態に係る拡声システム1(拡声システムの一例)を概略的に示す。拡声システム1は、大規模な施設や建物内において使用されるものである。
【0010】
拡声システム1は、増幅器2、複数のスピーカ3、スピーカライン4(伝送媒体の一例)、制御装置5(制御装置の一例)、及び各スピーカ3に対応する複数の監視装置10(通信制御装置の一例)を有する。
増幅器2は、スピーカライン4に接続される。図示は省略するが、増幅器2は変圧器を介してスピーカライン4に接続される。
【0011】
監視装置10は、スピーカライン4に直列接続される。スピーカ3は、スピーカライン4に並列接続される。制御装置5は、スピーカライン4に接続される。
スピーカライン4は、図1に示すように、2線式のワイヤ又はケーブルであってもよい。スピーカライン4は、増幅器2からの信号或いは制御装置5によって生成された信号が双方向にスピーカライン4に送信されるようにループ状に構成される。スピーカライン4は、スピーカ3の電源供給ラインであってもよい。本実施形態における電源は直流電流(DC:Direct Current)である。
【0012】
拡声システム1では、増幅器2は、拡声システム1で送信される音声信号(第2信号の一例)を出力する。音声信号は、20kHz以下の周波数を有していてもよい。音声信号は、電源(図示省略)から供給される直流電流に重畳されてスピーカライン4を送信される。制御装置5は、通信信号(第1信号の一例)を生成し出力する。通信信号は、60kHzを超える周波数であってもよい。そして通信信号は、スピーカライン4を送信される音声信号及び直流電流に重畳される。重畳された信号(伝送信号の一例)は、スピーカライン4に送信される。
【0013】
通信信号は、重畳信号である音声及び通信信号がスピーカライン4を第2方向に送信されているときは、スピーカライン4の第1方向に送信されない。第2方向は第1方向の逆方向である。
監視装置10は、制御装置5によって間欠的又は連続的にポーリングされる。制御装置5は、ポーリング信号(通信信号の一例)を生成し、指定された監視装置10に送信する。ポーリング信号を受信した指定の監視装置10は、応答信号を生成し、スピーカライン4を介して制御装置5に送信する。応答信号が受信されない場合、接続された監視装置10のうち少なくとも一つが応答しないと考えられるため、拡声システム1において何らかの障害があると結論付けられる。可能性としては、スピーカライン4で発生したショート及び/又は断線である。
【0014】
拡声システム1におけるスピーカライン4に接続された各装置について、以下詳細に説明する。
(制御装置5)
図2は、制御装置5の可能な構成を概略的示す。制御装置5は、所定の通信プロトコルに従ってスピーカライン4上の通信制御を行う。例えば、制御装置5は、監視装置10全てに対しポーリングを行い、拡声システム1における障害や不通の発生をチェックする。ポーリングは、監視装置10、スピーカ3、及びスピーカライン4の動作状態をチェックするための自動的且つ連続的な検査である。
【0015】
制御装置5は、第1フィルタ部51(第1フィルタ部の一例)と、第2フィルタ部52(第2フィルタ部の一例)と、スイッチ53と、受信部54aと、送信部54bと、CPU(中央演算装置)55(プロセッサの一例)と、A/D変換器57と、D/A変換器58とを有する。
第1フィルタ部51は、音声信号と直流電流信号とを通過させ、その他の信号を減衰させるように設計されているバンドパスフィルタを有する。図3は、第1フィルタ部51の構成例を示す。同例では、バンドパスフィルタとして並列共振回路を挙げている。フィルタの設計はこの構成に限定されず、他の公知のバンドパスフィルタ或いはハイパスフィルタを用いてもよい。
【0016】
第2フィルタ部52は、スピーカライン4に接続される。第2フィルタ部52は、応答信号を含む通信信号を通過させ、その他の信号を減衰させるように設計されたバンドパスフィルタを有する。
スイッチ53は、変圧器を介して第2フィルタ部52に接続される。スイッチ53は、CPU55からの指令に応じて、受信部54aと送信部54bとを切り換えて、スピーカライン4に対し信号を送受信する。
【0017】
受信部54aは、通信信号、例えば、スピーカライン4に接続された監視装置10からの応答信号を第2フィルタ部52を介して受信する。そして受信部54aは、A/D変換器57を介してCPU55に通信信号を送信する。送信部54bは、CPU55からD/A変換器58を介して受信した通信信号、例えばポーリング信号をスピーカライン4を介して監視装置10に送信する。
【0018】
A/D変換器57は、アナログ通信信号をCPU55で処理されるデジタル通信信号に変換する。D/A変換器58は、CPU13によって処理されたデジタル通信信号をアナログ通信信号に変換する。
CPU55は、通信信号の送受信を制御する。CPU55はポーリング信号を生成し、スピーカライン4に接続された指定の監視装置10に送信する。ポーリング信号は、指定の監視装置10のアドレスデータを含む。CPU55はまた、指定の監視装置10から応答信号を受信する。これにより、CPU55は指定の監視装置10にそれぞれポーリング信号を送信し、各指定の監視装置10からの応答信号を受信したかどうかを判定する。このようにして、CPU55は拡声システム1の状態を検出する。そしてCPU55は、拡声システム1の状態に関する情報を出力する。例えば、CPU55は、拡声システム1の障害データや情報を、拡声システム1の動作を監視し管理する外部の管理システムにネットワークを介して出力する。CPU55は、メモリ(図示省略)から読み込んだプログラムに従って拡声システム1の上記動作を実行してもよい。
【0019】
(監視装置10)
図4は、監視装置10の可能な構成を示す。本実施形態においては、図4に示す監視装置10の左側を「上流側」と呼び、スピーカライン4に沿って制御装置5に近い側とする。また、図4に示す監視装置10の右側を「下流側」と呼び、スピーカライン4のループ端部に近い側とする。
【0020】
監視装置10は、監視装置10を識別するための固有のアドレス(例えば、IPアドレス)又は識別情報を有する。監視装置10は、スピーカライン4に接続されたアイソレータ部11(アイソレータ部の一例)と、フィルタ部12と、スイッチ13と、受信部14aと、送信部14bと、CPU(中央演算処理部)15(制御部の一例)と、A/D変換器17と、D/A変換器18とを有する。監視装置10はまた、フィルタ部61と、整流器62と、直流電源63とを有する。
【0021】
アイソレータ部11はスピーカライン4上に設けられている。図5に示すように、アイソレータ部11は、スイッチ111と、コンパレータ112と、リレー制御部113とを有する。通常状態では、スピーカライン4は連続的に直流電流を送る。コンパレータ112は、スイッチ111の両端の電圧を比較し、比較結果をリレー制御部113に出力する。スピーカライン4上の監視装置10間において不通が発生した場合、電流が止まり、スイッチ111の両端間の電圧に差ができる。リレー制御部113は、同電圧の差を監視し検出して、スピーカライン4の不通の発生を判定する。リレー制御部113がスピーカライン4に不通が発生したと判定すると、リレー制御部113はスイッチ111を開くため、監視装置10はスピーカライン4から分離される。分離された監視装置10は通信信号を送信できなくなる。これにより、制御装置5は、応答信号が受信されない監視装置10周辺で不通が発生したことを判定できる。
【0022】
図4に示すフィルタ部12は、スピーカライン4に接続される。フィルタ部12は、通信信号を通過させその他の信号を減衰させるように設計されたバンドパスフィルタを有する。
スイッチ13は変圧器を介してフィルタ部12に接続される。スイッチ13は、CPU15からの指令に応じて、スピーカライン4から信号を受信する受信部14aと、スピーカライン4に信号を送信する送信部14bとを切り換える。
【0023】
受信部14aは、制御装置5から、通信信号、例えばポーリング信号を受信する。そして受信部14aは、A/D変換器17を介してCPU15に通信信号を送信する。送信部14bは、CPU15からD/A変換器18を介して受信した通信信号、例えば応答信号を制御装置5に送信する。
A/D変換器17は、アナログ通信信号をCPU15により処理されるデジタル通信信号を変換する。D/A変換器18は、CPU15に処理されたデジタル通信信号をアナログ通信信号に変換する。A/D変換器17及びD/A変換器18はCPU15からの指令に応じて切り換えられる。
【0024】
CPU15は、A/D変換器17及びD/A変換器18を介して受信部14a及び送信部14bに接続される。CPU15は、指令信号を生成しスイッチ13に送信することによりスイッチ13の切換えを制御する。CPU15は、受信した通信信号が監視装置10に対するものであるか、つまり受信した通信信号に含まれる監視装置10のアドレスデータが自身のものであるかを判定する。アドレスデータが自身のものであれば、CPU15は応答信号を生成し制御装置5に送信する。
【0025】
CPU15はまた、対応するスピーカ3を制御する。CPU15は、メモリ(図示省略)から読み出されたプログラムに従ってこれらの動作を実行してもよい。
フィルタ部61は、スピーカライン4からの直流電流信号を通過させる。整流器62は直流電流信号を整流する。直流電源は、整流された直流電流信号を受信し、監視装置10に電力を供給する。
【0026】
(制御装置5の動作)
図6は、制御装置5により実行される処理のフローチャートである。
ステップS101:ポーリングのため制御装置5により通信信号が生成される。通信信号は、指定された監視装置10のアドレスデータを含む。
ステップS102:通信信号はスピーカライン4に送信され、増幅器2から送信される音声信号に重畳される。
【0027】
ステップS103:音声信号に重畳された通信信号は、スピーカライン4の第1方向及び第2方向に送信される。第1方向の場合はステップS104に進み、第2方向の場合はステップS105に進む。
ステップS104:スピーカライン4の第1方向に送信される音声信号に重畳された通信信号は、第1フィルタ部51によってフィルタされることにより、通信信号が減衰され音声信号はスピーカライン4を送信される。
【0028】
ステップS105:音声信号に重畳された通信信号は、スピーカライン4の第2方向に送信される。
ステップS106:制御装置のCPU55は、指定の監視装置10からの応答信号を所定時間内に受信したかどうかを判定する。
ステップS107:所定時間内に応答信号が受信されなかった場合、制御装置5は、指定の監視装置10周辺のスピーカライン4に障害があると判定する。
【0029】
ステップS108:制御装置5のCPU55は、ポーリングが終了したかどうかを判断する。終了していない場合は、ステップS101に戻り、制御装置5は他の指定した監視装置10に対する通信信号を生成する。制御装置5は、ステップS101からS108を繰り返すことにより、各監視装置10より応答信号を受信するために各監視装置10に通信信号を送信する。
【0030】
ステップS109:制御装置5のCPU55は、ステップS108までの結果に基づき、スピーカライン4の状態を生成し出力する。スピーカライン4の状態は、スピーカライン4に生じたショート及び/又は断線によって拡声システム1に障害があるかどうかを含んでいてもよい。更に、スピーカライン4の状態は、不通が生じた箇所を含んでいてもよい。例えば、制御装置5が一つの監視装置10から応答信号を受信したが、下流側にある次の監視装置10から応答信号を受信しなかった場合、制御装置5は、その二つの監視装置10の間で不通が生じていると判断してもよい。
【0031】
(実施形態1の効果)
上記実施形態の拡声システム1によれば、第1フィルタ部51は、スピーカライン4の第1方向には通信信号が送信されずスピーカライン4の第2方向には通信信号と音声信号が送信されるように、スピーカライン4に接続されている。これにより、音声信号は常時スピーカライン4を双方向に送信されるため、拡声システム1は、スピーカライン4のいずれかのポイントで不通が生じても放送機能を有効に維持することができる。
【0032】
更に、スピーカライン4の第1方向には通信信号が通過しないようにフィルタ処理される。通信信号が音声信号と同様にスピーカライン4の双方向に送信されると、指定された監視装置10の上流側か下流側で不通が生じた場合でも、通信信号が指定の監視装置10に送信される。この場合、スピーカラインの第1又は第2方向のいずれかで指定の監視装置10からの応答信号が送信されるため、障害を適切に検出できないおそれがある。しかし、上記実施形態1においては、通信信号はスピーカライン4の一方向にしか送信されない。よって、拡声システム1は、安全な放送を実施しつつ、スピーカライン4の障害を確実に検出することができる。
【0033】
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係る監視装置210の構成を概略的に示す。実施形態1と同様の機能を有する部材については同じ符号を付し、更なる詳細な説明は省略する。この例においては、各監視装置210は、通信信号を一方から他方へリレーで送信する。
監視装置210は、スピーカライン4に接続されたアイソレータ部11(アイソレータ部の一例)と、スピーカライン4に接続されたフィルタ部221と、フィルタ部212a、212bと、CPU213と、スイッチ214a、214bと、受信部215a、216aと、送信部215b、216bと、スイッチ217と、A/D変換器218と、D/A変換器219とを有する。
【0034】
アイソレータ部211は、スピーカライン4上に設けられている。アイソレータ部211は、実施形態1によるアイソレータ部11(図5)と同様の構成及び機能を有する。実施形態1と同様に、リレー制御部113は、スピーカライン4に不通の発生を判定した場合、スイッチ111を開くように制御するため、監視装置210はスピーカライン4から分離される。よって、分離された監視装置210は通信信号を送信できなくなるため、制御装置5は、応答信号が受信しなかった監視装置210周辺で不通が発生していると判定できる。
【0035】
フィルタ部221はスピーカライン4上に設けられている。フィルタ部221は、音声信号と直流電流信号のみを通過させ、その他の信号を減衰させるように設計されたバンドパスフィルタである。
フィルタ部212a、212bは、それぞれ変圧器を介してスイッチ214a、214bに接続されている。フィルタ部212a、212bは、通信信号を通過させその他の信号を減衰させるように設計されたバンドパスフィルタを含む。
【0036】
スイッチ214aは、変圧器を介してフィルタ部212aに接続されている。スイッチ214aは、CPU213からの指令に応じて、スピーカライン4から信号を受信する受信部215aと、スピーカライン4に信号を送信する送信部215bとを切り換える。最初、スイッチ214aは受信部215aに切り換えられており、スピーカライン4の上流側から信号を受信するよう待機している。上流側から信号を受信した後、スイッチ214aは送信部215bに切り換えて、スピーカライン4の上流側に信号を送信する。
【0037】
スイッチ214bは、CPU213からの指令に応じて、スピーカライン4から信号を受信する受信部216aと、スピーカライン4に信号を送信する送信部216bとを切り換える。最初、スイッチ214bは、送信部216bに切り換えられ、スピーカライン4の下流側に信号を送信するよう待機する。下流側に信号を送信した後、スイッチ214bは受信部216aに切り換えて、スピーカライン4の下流側から信号を受信する。
【0038】
受信部215aは、フィルタ部212aを介して上流側の監視装置10から通信信号を受信する。そして受信部215aは、A/D変換器218を介してCPU213に通信信号を送信する。送信部215bは、CPU213から受信した通信信号をD/A変換器219を介して上流側の監視装置210に送信する。受信部216aは、フィルタ部212bを介して下流側の監視装置210から通信信号を受信する。そして受信部216aは、A/D変換器218を介してCPU213に通信信号を送信する。送信部216bは、CPU213から受信した通信信号をD/A変換器219を介して下流側の監視装置210に送信する。
【0039】
スイッチ217は、CPU213からの指令に応じてA/D変換器218とD/A変換器219とを切り換える。スイッチ217は、受信部215a及び216aに受信されたアナログ通信信号をデジタル通信信号に変換するとき、A/D変換器218に切り換える。スイッチ217は、デジタル通信信号をアナログ通信信号に変換するとき、D/A変換器219に切り換える。
【0040】
A/D変換器218は、アナログ通信信号をCPU213で処理されるデジタル通信信号に変換する。D/A変換器219は、CPU213で処理されたデジタル通信信号をアナログ通信信号に変換する。
CPU213は、A/D及びD/A変換器218、219を介して受信部215a,216a及び送信部215b、216bに接続する。CPU213は、指令信号を生成しスイッチ214a、214b、217に送信することによりスイッチ214a、214b、217の切換えを制御する。CPU213はまた、下流側の監視装置210と、次の上流側の監視装置210又はCPU213が制御装置5の次にスピーカライン4に接続されている最初の監視装置である場合は制御装置5との間でリレーを実行する。
【0041】
CPU213は、受信した通信信号がその監視装置210に対するものであるか、つまり受信した通信信号に含まれる監視装置210のアドレスデータが自身のものであるかを判定する。アドレスデータが自身のものでなければ、CPU213は受信した通信信号を次の下流側の監視装置210に送信する。アドレスデータが自身のものであれば、CPU213は応答信号を生成し、上流側の監視装置210或いは制御装置5に送信する。
【0042】
実施形態1と同様に、監視装置210はまた、フィルタ部61と、整流器62と、直流電源63とを有する。フィルタ部61は、スピーカライン4からの直流電流信号を通過させる。整流器62は直流電流信号を整流する。直流電源は整流された直流電流信号を受信し監視装置210に電力を供給する。
応答信号は、応答信号を生成し送信した監視装置210のアドレスデータ又は識別情報を含んでいてもよい。これにより、応答信号を受信した制御装置5は、そのアドレスデータ又は識別情報に基づき、スピーカライン4のどの部分に不良があるかを特定することができる。
【0043】
本例では、音声信号及びポーリング信号と応答信号とを含む通信信号を含んだ重畳信号は、通信信号がスピーカライン4の下流側に通過しないようにフィルタ部221によってフィルタ処理される。よって、通信信号は常に一つの送信元と一つの送信先間通過する。制御装置5がスピーカライン4に接続された一つの監視装置10にポーリングするとき、制御装置5から送信されたポーリング信号はまず、制御装置5に最も近い監視装置210(以下、「第1監視装置210」と呼ぶ)に送信される。同時に、ポーリング信号は、スピーカライン4を通って第1監視装置210の下流側にある監視装置210(以下、「第2監視装置210」と呼ぶ)に送信されないように、第1監視装置210のフィルタ部221によってフィルタされる。
【0044】
ポーリング信号が第1監視装置210に対するものでない場合、第1監視装置210のCPU213はポーリング信号を第2監視装置210に送信する。そして、第2監視装置210のフィルタ部221はそのポーリング信号をフィルタ処理し、スピーカライン4を通って第2監視装置210の下流側にある監視装置210(以下、「第3監視装置210」と呼ぶ)に送信されないようにする。この通信信号のリレー送信は、ポーリング信号が指定の監視装置210に到達するまで行われる。
【0045】
指定の監視装置210がポーリング信号を受信すると、応答信号を下流側に送信する。ポーリング信号の送信と同様の方法で、応答信号は、制御装置5に受信されるまで、下流側から上流側へ監視装置間をリレーで送信される。
本例では、ポーリング信号の応答信号を含む通信信号は、スピーカライン4上の隣り合う装置間のみ通過し、その間はスピーカライン4上の他の隣り合う装置間においては通過しない。よって、ポーリングの間、通信信号は、通過が許可されない限り、常に一つの送信元と一つの送信先間のみ通過する。
【0046】
実施形態2によれば、実施形態1で記載した効果に加え、次のような効果を達成できる。実施形態2においては、各監視装置210は通信信号を送受信するときのみ電力を必要とする。よって、通信信号を処理する動作にない他の監視装置210は最低限の電力のみのスリープモードに設定することができる。この結果、通信信号は減衰されることなく、拡声システム1の通信性能を向上させることができ、更に省電力で安定し確実な通信を実現する。スピーカライン4に大電流が流れることを防ぐことができるため、低インピーダンスの多数のスピーカ3であってもスピーカライン4に並列接続させることができる。
【0047】
(その他実施形態)
制御装置5は、指定されたアドレスなしで通信信号を送信することもできる。例えば、制御装置5は、ループ上のスピーカライン4で通信信号を送信し、その通信信号が制御装置5に戻ったかどうかを判定する。この場合、制御装置5は、CPU55が第2フィルタ部52(図2)によってフィルタリングされないままの戻り信号を受信するよう構成される。
【0048】
制御装置5は第2フィルタ部52を含まず、代わりに第2フィルタ部52はスピーカライン4に接続された他の装置に含まれていてもよいし、スピーカライン4に直接接続されてもよい。
上述した信号の周波数は上記実施形態で説明したものに限定されない。
直流電流の代わりに交流電流をスピーカライン4に供給してもよい。
【0049】
拡声システム1にはデジタル音声信号を適用してもよい。この場合、音声信号はデジタルからアナログ変換され、変調されてスピーカライン4上の直流電流に重畳される。変調された音声信号は一以上の監視装置10(又は210)のアドレスデータを含み、一以上の監視装置10(又は210)に送信される。
(用語解釈全般)
本開示の範囲を理解するのに、ここで使用される「備える」の用語やその派生語は、説明した特徴、要素、部材、群、整数、及び/又はステップを特定する制限のない用語であることを意図し、説明していない他の特徴、要素、部材、群、整数、及び/又はステップがあることを排除するものではない。これはまた、同様の意味を有する「含む」、「有する」、及びその派生語に対しても同様である。
【0050】
装置の部材、区分、部分を説明するためにここで使用する「構成する」の用語は、所望の機能を実行するために構成された及び/又はプログラムされた、ハードウエア及び/又はソフトウエアを含む。
本発明を例示するため一部の実施形態のみを選択したが、添付の特許請求の範囲で定義される発明の範囲を逸脱しない限り多様な変更や変形が可能であることは、当業者であれば本開示から理解されるものである。例えば、各部材の大きさ、形状、位置、或いは向きは、必要及び/又は希望に応じて変更が可能である。互いが直接接続し或いは当接しているように示された部材は、間に仲介する構造が存在する場合もある。一つの要素の複数の機能は二つのものによって実行されてもよいし、その逆であってもよい。一つの実施形態の構成及び機能は他の実施形態に適用することもできる。フローチャートにおけるステップの一部は順序を変えて実行してもよい。効果の全てが特定の実施形態に同時に存在する必要はない。先行技術とは異なる各特徴はまた、単独或いは組み合わせにより、かかる特徴によって具体化された構成上及び/又は機能上の概念を含む出願人による更なる発明をそれぞれ記載するものと考えられるべきである。よって、本発明に係る上記実施形態の説明は、例示であって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される発明を限定するためのものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、大規模施設や建物に使用される拡声システム又はスピーカの通信制御装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 拡声システム
2 増幅器
3 スピーカ
4 スピーカライン(伝送媒体の一例)
5 制御装置(制御装置の一例)
10 監視装置(通信制御装置の一例)
11 アイソレータ部(アイソレータ部の一例)
12 フィルタ部
13 スイッチ
14a 受信部
14b 送信部
15 CPU(制御部の一例)
51 第1フィルタ部(第1フィルタ部の一例)
52 第2フィルタ部(第2フィルタ部の一例)
53 スイッチ
54a 受信部
54b 送信部
55 CPU(プロセッサの一例)
57 A/D変換器
58 D/A変換器
61 フィルタ部
62 整流器
63 直流電源
210 監視装置(通信制御装置の一例)
211 アイソレータ部(アイソレータ部の一例)
221 フィルタ部
212a,212b フィルタ部
213 CPU(制御部の一例)
214a,214b スイッチ
215a,216a 受信部
215b,216b 送信部
217 スイッチ
218 A/D変換器
219 D/A変換器

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2014年12月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスピーカを有する拡声システムに関する。本発明はまた、拡声システムに適用される制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物や施設において公衆に対し情報を提供したり楽しませたりする音声放送システムとして、拡声システムが知られている。通常の拡声システムは、スピーカラインを介して増幅器に接続された複数のスピーカと、スピーカラインの接続を監視する各制御器とを有する。特許文献1にその一例が開示されている。緊急時には、拡声システムは、建物や施設内の公衆に警告を出す。
【0003】
欧州で使用されている拡声システムは、欧州規格(EN:European Norm)60849を満たさなければならず、同規格は、増幅器からその端末まで延びるスピーカラインの接続や精度の監視を要件とする。EN60849は、緊急時に所定のエリア内にいる人々を保護するための放送を行うための、屋内外で使用される音声補強システムの性能要件を規定する。EN60849の基準は、ラインの不通があっても警告機能を確実に維持する冗長システムを要件とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0063755号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
拡声システムは、スピーカラインが一部不通となっても、放送可能な状態を維持する必要がある。
ここに開示された発明の一つの目的は、信頼性及び安全性を向上させた拡声システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの観点によれば、ループ状の伝送媒体、伝送媒体に接続された複数のスピーカ、及び伝送媒体に接続された第1フィルタ部を備える拡声システムが提供される。伝送媒体は、第1方向及び第1方向と逆方向の第2方向に伝送信号を送信する。伝送信号は、所定の周波数帯域を有する第1信号と、第1信号とは異なる周波数帯域を有する第2信号とを含む。第1フィルタ部は、第1信号を減衰し第2信号を出力するように伝送信号をフィルタ処理する。第1フィルタ部は、第1信号及び第2信号が第2方向において送信される間第1信号が第1方向に送信されないように、伝送媒体に接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記一つの観点によれば、信頼性及び安全性を向上させた拡声システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る拡声システムの概略図
図2図1に示す拡声システムの制御装置の概略図
図3図2に示す制御装置で使用されるフィルタ部の概略図
図4図1に示す拡声システムの監視装置の概略図
図5図4に示す監視装置のアイソレータ部の概略図
図6図2に示す制御装置による動作のフローチャート
図7】他の実施形態に係る監視装置の概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の選ばれた実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の本発明の実施形態の説明は例示のためであり、添付の特許請求の範囲やその均等物により定義される発明を限定するためのものでないことは、当業者は本開示から理解できる。
(実施形態1)
(拡声システム1)
図1は、本発明の一実施形態に係る拡声システム1(拡声システムの一例)を概略的に示す。拡声システム1は、大規模な施設や建物内において使用されるものである。
【0010】
拡声システム1は、増幅器2、複数のスピーカ3、スピーカライン4(伝送媒体の一例)、制御装置5(制御装置の一例)、及び各スピーカ3に対応する複数の監視装置10(通信制御装置の一例)を有する。
増幅器2は、スピーカライン4に接続される。図示は省略するが、増幅器2は変圧器を介してスピーカライン4に接続される。
【0011】
監視装置10は、スピーカライン4に直列接続される。スピーカ3は、スピーカライン4に並列接続される。制御装置5は、スピーカライン4に接続される。
スピーカライン4は、図1に示すように、2線式のワイヤ又はケーブルであってもよい。スピーカライン4は、増幅器2からの信号或いは制御装置5によって生成された信号が双方向にスピーカライン4に送信されるようにループ状に構成される。スピーカライン4は、スピーカ3の電源供給ラインであってもよい。本実施形態における電源は直流電流(DC:Direct Current)である。
【0012】
拡声システム1では、増幅器2は、拡声システム1で送信される音声信号(第2信号の一例)を出力する。音声信号は、20kHz以下の周波数を有していてもよい。音声信号は、電源(図示省略)から供給される直流電流に重畳されてスピーカライン4を送信される。制御装置5は、通信信号(第1信号の一例)を生成し出力する。通信信号は、60kHzを超える周波数であってもよい。そして通信信号は、スピーカライン4を送信される音声信号及び直流電流に重畳される。重畳された信号(伝送信号の一例)は、スピーカライン4に送信される。
【0013】
通信信号は、重畳信号である音声及び通信信号がスピーカライン4を第2方向に送信されているときは、スピーカライン4の第1方向に送信されない。第2方向は第1方向の逆方向である。
監視装置10は、制御装置5によって間欠的又は連続的にポーリングされる。制御装置5は、ポーリング信号(通信信号の一例)を生成し、指定された監視装置10に送信する。ポーリング信号を受信した指定の監視装置10は、応答信号を生成し、スピーカライン4を介して制御装置5に送信する。応答信号が受信されない場合、接続された監視装置10のうち少なくとも一つが応答しないと考えられるため、拡声システム1において何らかの障害があると結論付けられる。可能性としては、スピーカライン4で発生したショート及び/又は断線である。
【0014】
拡声システム1におけるスピーカライン4に接続された各装置について、以下詳細に説明する。
(制御装置5)
図2は、制御装置5の可能な構成を概略的示す。制御装置5は、所定の通信プロトコルに従ってスピーカライン4上の通信制御を行う。例えば、制御装置5は、監視装置10全てに対しポーリングを行い、拡声システム1における障害や不通の発生をチェックする。ポーリングは、監視装置10、スピーカ3、及びスピーカライン4の動作状態をチェックするための自動的且つ連続的な検査である。
【0015】
制御装置5は、第1フィルタ部51(第1フィルタ部の一例)と、第2フィルタ部52(第2フィルタ部の一例)と、スイッチ53と、受信部54aと、送信部54bと、CPU(中央演算装置)55(プロセッサの一例)と、A/D変換器57と、D/A変換器58とを有する。
第1フィルタ部51は、音声信号と直流電流信号とを通過させ、その他の信号を減衰させるように設計されているバンドパスフィルタを有する。図3は、第1フィルタ部51の構成例を示す。同例では、バンドパスフィルタとして並列共振回路を挙げている。フィルタの設計はこの構成に限定されず、他の公知のバンドパスフィルタ或いはハイパスフィルタを用いてもよい。
【0016】
第2フィルタ部52は、スピーカライン4に接続される。第2フィルタ部52は、応答信号を含む通信信号を通過させ、その他の信号を減衰させるように設計されたバンドパスフィルタを有する。
スイッチ53は、変圧器を介して第2フィルタ部52に接続される。スイッチ53は、CPU55からの指令に応じて、受信部54aと送信部54bとを切り換えて、スピーカライン4に対し信号を送受信する。
【0017】
受信部54aは、通信信号、例えば、スピーカライン4に接続された監視装置10からの応答信号を第2フィルタ部52を介して受信する。そして受信部54aは、A/D変換器57を介してCPU55に通信信号を送信する。送信部54bは、CPU55からD/A変換器58を介して受信した通信信号、例えばポーリング信号をスピーカライン4を介して監視装置10に送信する。
【0018】
A/D変換器57は、アナログ通信信号をCPU55で処理されるデジタル通信信号に変換する。D/A変換器58は、CPU55によって処理されたデジタル通信信号をアナログ通信信号に変換する。
CPU55は、通信信号の送受信を制御する。CPU55はポーリング信号を生成し、スピーカライン4に接続された指定の監視装置10に送信する。ポーリング信号は、指定の監視装置10のアドレスデータを含む。CPU55はまた、指定の監視装置10から応答信号を受信する。これにより、CPU55は指定の監視装置10にそれぞれポーリング信号を送信し、各指定の監視装置10からの応答信号を受信したかどうかを判定する。このようにして、CPU55は拡声システム1の状態を検出する。そしてCPU55は、拡声システム1の状態に関する情報を出力する。例えば、CPU55は、拡声システム1の障害データや情報を、拡声システム1の動作を監視し管理する外部の管理システムにネットワークを介して出力する。CPU55は、メモリ(図示省略)から読み込んだプログラムに従って拡声システム1の上記動作を実行してもよい。
【0019】
(監視装置10)
図4は、監視装置10の可能な構成を示す。本実施形態においては、図4に示す監視装置10の左側を「上流側」と呼び、スピーカライン4に沿って制御装置5に近い側とする。また、図4に示す監視装置10の右側を「下流側」と呼び、スピーカライン4のループ端部に近い側とする。
【0020】
監視装置10は、監視装置10を識別するための固有のアドレス(例えば、IPアドレス)又は識別情報を有する。監視装置10は、スピーカライン4に接続されたアイソレータ部11(アイソレータ部の一例)と、フィルタ部12と、スイッチ13と、受信部14aと、送信部14bと、CPU(中央演算処理部)15(制御部の一例)と、A/D変換器17と、D/A変換器18とを有する。監視装置10はまた、フィルタ部61と、整流器62と、直流電源63とを有する。
【0021】
アイソレータ部11はスピーカライン4上に設けられている。図5に示すように、アイソレータ部11は、スイッチ111と、コンパレータ112と、リレー制御部113とを有する。通常状態では、スピーカライン4は連続的に直流電流を送る。コンパレータ112は、スイッチ111の両端の電圧を比較し、比較結果をリレー制御部113に出力する。スピーカライン4上の監視装置10間において不通が発生した場合、電流が止まり、スイッチ111の両端間の電圧に差ができる。リレー制御部113は、同電圧の差を監視し検出して、スピーカライン4の不通の発生を判定する。リレー制御部113がスピーカライン4に不通が発生したと判定すると、リレー制御部113はスイッチ111を開くため、監視装置10はスピーカライン4から分離される。分離された監視装置10は通信信号を送信できなくなる。これにより、制御装置5は、応答信号が受信されない監視装置10周辺で不通が発生したことを判定できる。
【0022】
図4に示すフィルタ部12は、スピーカライン4に接続される。フィルタ部12は、通信信号を通過させその他の信号を減衰させるように設計されたバンドパスフィルタを有する。
スイッチ13は変圧器を介してフィルタ部12に接続される。スイッチ13は、CPU15からの指令に応じて、スピーカライン4から信号を受信する受信部14aと、スピーカライン4に信号を送信する送信部14bとを切り換える。
【0023】
受信部14aは、制御装置5から、通信信号、例えばポーリング信号を受信する。そして受信部14aは、A/D変換器17を介してCPU15に通信信号を送信する。送信部14bは、CPU15からD/A変換器18を介して受信した通信信号、例えば応答信号を制御装置5に送信する。
A/D変換器17は、アナログ通信信号をCPU15により処理されるデジタル通信信号を変換する。D/A変換器18は、CPU15に処理されたデジタル通信信号をアナログ通信信号に変換する。A/D変換器17及びD/A変換器18はCPU15からの指令に応じて切り換えられる。
【0024】
CPU15は、A/D変換器17及びD/A変換器18を介して受信部14a及び送信部14bに接続される。CPU15は、指令信号を生成しスイッチ13に送信することによりスイッチ13の切換えを制御する。CPU15は、受信した通信信号が監視装置10に対するものであるか、つまり受信した通信信号に含まれる監視装置10のアドレスデータが自身のものであるかを判定する。アドレスデータが自身のものであれば、CPU15は応答信号を生成し制御装置5に送信する。
【0025】
CPU15はまた、対応するスピーカ3を制御する。CPU15は、メモリ(図示省略)から読み出されたプログラムに従ってこれらの動作を実行してもよい。
フィルタ部61は、スピーカライン4からの直流電流信号を通過させる。整流器62は直流電流信号を整流する。直流電源は、整流された直流電流信号を受信し、監視装置10に電力を供給する。
【0026】
(制御装置5の動作)
図6は、制御装置5により実行される処理のフローチャートである。
ステップS101:ポーリングのため制御装置5により通信信号が生成される。通信信号は、指定された監視装置10のアドレスデータを含む。
ステップS102:通信信号はスピーカライン4に送信され、増幅器2から送信される音声信号に重畳される。
【0027】
ステップS103:音声信号に重畳された通信信号は、スピーカライン4の第1方向及び第2方向に送信される。第1方向の場合はステップS104に進み、第2方向の場合はステップS105に進む。
ステップS104:スピーカライン4の第1方向に送信される音声信号に重畳された通信信号は、第1フィルタ部51によってフィルタされることにより、通信信号が減衰され音声信号はスピーカライン4を送信される。
【0028】
ステップS105:音声信号に重畳された通信信号は、スピーカライン4の第2方向に送信される。
ステップS106:制御装置のCPU55は、指定の監視装置10からの応答信号を所定時間内に受信したかどうかを判定する。
ステップS107:所定時間内に応答信号が受信されなかった場合、制御装置5は、指定の監視装置10周辺のスピーカライン4に障害があると判定する。
【0029】
ステップS108:制御装置5のCPU55は、ポーリングが終了したかどうかを判断する。終了していない場合は、ステップS101に戻り、制御装置5は他の指定した監視装置10に対する通信信号を生成する。制御装置5は、ステップS101からS108を繰り返すことにより、各監視装置10より応答信号を受信するために各監視装置10に通信信号を送信する。
【0030】
ステップS109:制御装置5のCPU55は、ステップS108までの結果に基づき、スピーカライン4の状態を生成し出力する。スピーカライン4の状態は、スピーカライン4に生じたショート及び/又は断線によって拡声システム1に障害があるかどうかを含んでいてもよい。更に、スピーカライン4の状態は、不通が生じた箇所を含んでいてもよい。例えば、制御装置5が一つの監視装置10から応答信号を受信したが、下流側にある次の監視装置10から応答信号を受信しなかった場合、制御装置5は、その二つの監視装置10の間で不通が生じていると判断してもよい。
【0031】
(実施形態1の効果)
上記実施形態の拡声システム1によれば、第1フィルタ部51は、スピーカライン4の第1方向には通信信号が送信されずスピーカライン4の第2方向には通信信号と音声信号が送信されるように、スピーカライン4に接続されている。これにより、音声信号は常時スピーカライン4を双方向に送信されるため、拡声システム1は、スピーカライン4のいずれかのポイントで不通が生じても放送機能を有効に維持することができる。
【0032】
更に、スピーカライン4の第1方向には通信信号が通過しないようにフィルタ処理される。通信信号が音声信号と同様にスピーカライン4の双方向に送信されると、指定された監視装置10の上流側か下流側で不通が生じた場合でも、通信信号が指定の監視装置10に送信される。この場合、スピーカラインの第1又は第2方向のいずれかで指定の監視装置10からの応答信号が送信されるため、障害を適切に検出できないおそれがある。しかし、上記実施形態1においては、通信信号はスピーカライン4の一方向にしか送信されない。よって、拡声システム1は、安全な放送を実施しつつ、スピーカライン4の障害を確実に検出することができる。
【0033】
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係る監視装置210の構成を概略的に示す。実施形態1と同様の機能を有する部材については同じ符号を付し、更なる詳細な説明は省略する。この例においては、各監視装置210は、通信信号を一方から他方へリレーで送信する。
監視装置210は、スピーカライン4に接続されたアイソレータ部211(アイソレータ部の一例)と、スピーカライン4に接続されたフィルタ部221と、フィルタ部212a、212bと、CPU213と、スイッチ214a、214bと、受信部215a、216aと、送信部215b、216bと、スイッチ217と、A/D変換器218と、D/A変換器219とを有する。
【0034】
アイソレータ部211は、スピーカライン4上に設けられている。アイソレータ部211は、実施形態1によるアイソレータ部11(図5)と同様の構成及び機能を有する。実施形態1と同様に、リレー制御部113は、スピーカライン4に不通の発生を判定した場合、スイッチ111を開くように制御するため、監視装置210はスピーカライン4から分離される。よって、分離された監視装置210は通信信号を送信できなくなるため、制御装置5は、応答信号が受信しなかった監視装置210周辺で不通が発生していると判定できる。
【0035】
フィルタ部221はスピーカライン4上に設けられている。フィルタ部221は、音声信号と直流電流信号のみを通過させ、その他の信号を減衰させるように設計されたバンドパスフィルタである。
フィルタ部212a、212bは、それぞれ変圧器を介してスイッチ214a、214bに接続されている。フィルタ部212a、212bは、通信信号を通過させその他の信号を減衰させるように設計されたバンドパスフィルタを含む。
【0036】
スイッチ214aは、変圧器を介してフィルタ部212aに接続されている。スイッチ214aは、CPU213からの指令に応じて、スピーカライン4から信号を受信する受信部215aと、スピーカライン4に信号を送信する送信部215bとを切り換える。最初、スイッチ214aは受信部215aに切り換えられており、スピーカライン4の上流側から信号を受信するよう待機している。上流側から信号を受信した後、スイッチ214aは送信部215bに切り換えて、スピーカライン4の上流側に信号を送信する。
【0037】
スイッチ214bは、CPU213からの指令に応じて、スピーカライン4から信号を受信する受信部216aと、スピーカライン4に信号を送信する送信部216bとを切り換える。最初、スイッチ214bは、送信部216bに切り換えられ、スピーカライン4の下流側に信号を送信するよう待機する。下流側に信号を送信した後、スイッチ214bは受信部216aに切り換えて、スピーカライン4の下流側から信号を受信する。
【0038】
受信部215aは、フィルタ部212aを介して上流側の監視装置10から通信信号を受信する。そして受信部215aは、A/D変換器218を介してCPU213に通信信号を送信する。送信部215bは、CPU213から受信した通信信号をD/A変換器219を介して上流側の監視装置210に送信する。受信部216aは、フィルタ部212bを介して下流側の監視装置210から通信信号を受信する。そして受信部216aは、A/D変換器218を介してCPU213に通信信号を送信する。送信部216bは、CPU213から受信した通信信号をD/A変換器219を介して下流側の監視装置210に送信する。
【0039】
スイッチ217は、CPU213からの指令に応じてA/D変換器218とD/A変換器219とを切り換える。スイッチ217は、受信部215a及び216aに受信されたアナログ通信信号をデジタル通信信号に変換するとき、A/D変換器218に切り換える。スイッチ217は、デジタル通信信号をアナログ通信信号に変換するとき、D/A変換器219に切り換える。
【0040】
A/D変換器218は、アナログ通信信号をCPU213で処理されるデジタル通信信号に変換する。D/A変換器219は、CPU213で処理されたデジタル通信信号をアナログ通信信号に変換する。
CPU213は、A/D及びD/A変換器218、219を介して受信部215a,216a及び送信部215b、216bに接続する。CPU213は、指令信号を生成しスイッチ214a、214b、217に送信することによりスイッチ214a、214b、217の切換えを制御する。CPU213はまた、下流側の監視装置210と、次の上流側の監視装置210又はCPU213が制御装置5の次にスピーカライン4に接続されている最初の監視装置である場合は制御装置5との間でリレーを実行する。
【0041】
CPU213は、受信した通信信号がその監視装置210に対するものであるか、つまり受信した通信信号に含まれる監視装置210のアドレスデータが自身のものであるかを判定する。アドレスデータが自身のものでなければ、CPU213は受信した通信信号を次の下流側の監視装置210に送信する。アドレスデータが自身のものであれば、CPU213は応答信号を生成し、上流側の監視装置210或いは制御装置5に送信する。
【0042】
実施形態1と同様に、監視装置210はまた、フィルタ部61と、整流器62と、直流電源63とを有する。フィルタ部61は、スピーカライン4からの直流電流信号を通過させる。整流器62は直流電流信号を整流する。直流電源は整流された直流電流信号を受信し監視装置210に電力を供給する。
応答信号は、応答信号を生成し送信した監視装置210のアドレスデータ又は識別情報を含んでいてもよい。これにより、応答信号を受信した制御装置5は、そのアドレスデータ又は識別情報に基づき、スピーカライン4のどの部分に不良があるかを特定することができる。
【0043】
本例では、音声信号及びポーリング信号と応答信号とを含む通信信号を含んだ重畳信号は、通信信号がスピーカライン4の下流側に通過しないようにフィルタ部221によってフィルタ処理される。よって、通信信号は常に一つの送信元と一つの送信先間通過する。制御装置5がスピーカライン4に接続された一つの監視装置210にポーリングするとき、制御装置5から送信されたポーリング信号はまず、制御装置5に最も近い監視装置210(以下、「第1監視装置210」と呼ぶ)に送信される。同時に、ポーリング信号は、スピーカライン4を通って第1監視装置210の下流側にある監視装置210(以下、「第2監視装置210」と呼ぶ)に送信されないように、第1監視装置210のフィルタ部221によってフィルタされる。
【0044】
ポーリング信号が第1監視装置210に対するものでない場合、第1監視装置210のCPU213はポーリング信号を第2監視装置210に送信する。そして、第2監視装置210のフィルタ部221はそのポーリング信号をフィルタ処理し、スピーカライン4を通って第2監視装置210の下流側にある監視装置210(以下、「第3監視装置210」と呼ぶ)に送信されないようにする。この通信信号のリレー送信は、ポーリング信号が指定の監視装置210に到達するまで行われる。
【0045】
指定の監視装置210がポーリング信号を受信すると、応答信号を信する。ポーリング信号の送信と同様の方法で、応答信号は、制御装置5に受信されるまで、下流側から上流側へ監視装置間をリレーで送信される。
本例では、ポーリング信号の応答信号を含む通信信号は、スピーカライン4上の隣り合う装置間のみ通過し、その間はスピーカライン4上の他の隣り合う装置間においては通過しない。よって、ポーリングの間、通信信号は、通過が許可されない限り、常に一つの送信元と一つの送信先間のみ通過する。
【0046】
実施形態2によれば、実施形態1で記載した効果に加え、次のような効果を達成できる。実施形態2においては、各監視装置210は通信信号を送受信するときのみ電力を必要とする。よって、通信信号を処理する動作にない他の監視装置210は最低限の電力のみのスリープモードに設定することができる。この結果、通信信号は減衰されることなく、拡声システム1の通信性能を向上させることができ、更に省電力で安定し確実な通信を実現する。スピーカライン4に大電流が流れることを防ぐことができるため、低インピーダンスの多数のスピーカ3であってもスピーカライン4に並列接続させることができる。
【0047】
(その他実施形態)
制御装置5は、指定されたアドレスなしで通信信号を送信することもできる。例えば、制御装置5は、ループ上のスピーカライン4で通信信号を送信し、その通信信号が制御装置5に戻ったかどうかを判定する。この場合、制御装置5は、CPU55が第2フィルタ部52(図2)によってフィルタリングされないままの戻り信号を受信するよう構成される。
【0048】
制御装置5は第2フィルタ部52を含まず、代わりに第2フィルタ部52はスピーカライン4に接続された他の装置に含まれていてもよいし、スピーカライン4に直接接続されてもよい。
上述した信号の周波数は上記実施形態で説明したものに限定されない。
直流電流の代わりに交流電流をスピーカライン4に供給してもよい。
【0049】
拡声システム1にはデジタル音声信号を適用してもよい。この場合、音声信号はデジタルからアナログ変換され、変調されてスピーカライン4上の直流電流に重畳される。変調された音声信号は一以上の監視装置10(又は210)のアドレスデータを含み、一以上の監視装置10(又は210)に送信される。
(用語解釈全般)
本開示の範囲を理解するのに、ここで使用される「備える」の用語やその派生語は、説明した特徴、要素、部材、群、整数、及び/又はステップを特定する制限のない用語であることを意図し、説明していない他の特徴、要素、部材、群、整数、及び/又はステップがあることを排除するものではない。これはまた、同様の意味を有する「含む」、「有する」、及びその派生語に対しても同様である。
【0050】
装置の部材、区分、部分を説明するためにここで使用する「構成する」の用語は、所望の機能を実行するために構成された及び/又はプログラムされた、ハードウエア及び/又はソフトウエアを含む。
本発明を例示するため一部の実施形態のみを選択したが、添付の特許請求の範囲で定義される発明の範囲を逸脱しない限り多様な変更や変形が可能であることは、当業者であれば本開示から理解されるものである。例えば、各部材の大きさ、形状、位置、或いは向きは、必要及び/又は希望に応じて変更が可能である。互いが直接接続し或いは当接しているように示された部材は、間に仲介する構造が存在する場合もある。一つの要素の複数の機能は二つのものによって実行されてもよいし、その逆であってもよい。一つの実施形態の構成及び機能は他の実施形態に適用することもできる。フローチャートにおけるステップの一部は順序を変えて実行してもよい。効果の全てが特定の実施形態に同時に存在する必要はない。先行技術とは異なる各特徴はまた、単独或いは組み合わせにより、かかる特徴によって具体化された構成上及び/又は機能上の概念を含む出願人による更なる発明をそれぞれ記載するものと考えられるべきである。よって、本発明に係る上記実施形態の説明は、例示であって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される発明を限定するためのものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、大規模施設や建物に使用される拡声システム又はスピーカの通信制御装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 拡声システム
2 増幅器
3 スピーカ
4 スピーカライン(伝送媒体の一例)
5 制御装置(制御装置の一例)
10 監視装置(通信制御装置の一例)
11 アイソレータ部(アイソレータ部の一例)
12 フィルタ部
13 スイッチ
14a 受信部
14b 送信部
15 CPU(制御部の一例)
51 第1フィルタ部(第1フィルタ部の一例)
52 第2フィルタ部(第2フィルタ部の一例)
53 スイッチ
54a 受信部
54b 送信部
55 CPU(プロセッサの一例)
57 A/D変換器
58 D/A変換器
61 フィルタ部
62 整流器
63 直流電源
210 監視装置(通信制御装置の一例)
211 アイソレータ部(アイソレータ部の一例)
221 フィルタ部
212a,212b フィルタ部
213 CPU(制御部の一例)
214a,214b スイッチ
215a,216a 受信部
215b,216b 送信部
217 スイッチ
218 A/D変換器
219 D/A変換器
【国際調査報告】