(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-525891(P2015-525891A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】回転運動する構成部材の回転角度を検出するためのセンサ装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/14 20060101AFI20150811BHJP
G01D 5/245 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
G01D5/14 E
G01D5/245 110M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-527881(P2015-527881)
(86)(22)【出願日】2013年8月19日
(85)【翻訳文提出日】2015年2月20日
(86)【国際出願番号】EP2013067225
(87)【国際公開番号】WO2014029727
(87)【国際公開日】20140227
(31)【優先権主張番号】102012214916.3
(32)【優先日】2012年8月22日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアート マイタート
(72)【発明者】
【氏名】マティアス キマーレ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン キスナー
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ズィーデントプフ
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077CC02
2F077JJ01
2F077JJ08
2F077JJ09
2F077JJ23
2F077NN04
2F077NN17
2F077PP12
2F077PP14
(57)【要約】
本発明は、回転運動する構成部材(5)の回転角度(α)を検出するためセンサ装置(1)に関する。センサ装置は、N極領域(N)及びS極領域(S)を備えている少なくとも一つの永久磁石(M1,M2)を有し、且つ、回転運動する構成部材(5)の回転軸(3)に対して、所定の第1の半径方向の距離(R)を置いて配置されている測定値発生器(10)と、少なくとも一つの磁気特性量を検出し、且つ、回転運動する構成部材(5)の回転軸(3)に対して、所定の第2の半径方向の距離を置いて配置されている少なくとも一つのセンサ素子(A)を有している測定値検出器(20)とを備えている。回転運動する構成部材(5)の運動によって、回転角度(α)を求めるために評価することができる少なくとも一つの磁気特性量の変化が生じる。少なくとも一つの永久磁石(M1,M2)は、回転軸(3)を中心にして、第1の半径方向の距離(R)によって定められる円弧(B)に沿って磁化されているか、又は円弧(B)の接線方向に磁化されており、且つ、磁石表面に対して垂直な検出平面に磁気ベクトルを形成する。本発明によれば、測定値発生器(10)は、少なくとも二つの永久磁石(M1,M2)を含む、少なくとも一つの多極磁石(MP)を有している。少なくとも二つの永久磁石(M1,M2)は、多極磁石(MP)において直接的に隣り合う永久磁石(M1,M2)の対向している端部が同一の磁化(S)を有するように配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転運動する構成部材の回転角度を検出するためセンサ装置であって、
該センサ装置は、
N極領域(N)及びS極領域(S)を備えている少なくとも一つの永久磁石(M1,M2,M3,M4)を有し、且つ、前記回転運動する構成部材(5)の回転軸(3)に対して、所定の第1の半径方向の距離(R,R1,R2,R−l,R+l)を置いて配置されている測定値発生器(10,10a)と、
少なくとも一つの磁気特性量を検出し、且つ、前記回転運動する構成部材(5)の前記回転軸(3)に対して、所定の第2の半径方向の距離(R,R−l,R+l)を置いて配置されている少なくとも一つのセンサ素子(A,A’,A1,A2)を有している測定値検出器(20)とを備えており、
前記回転運動する構成部材(5)の運動によって、回転角度(α,α1,α2)を求めるために評価することができる少なくとも一つの磁気特性量の変化が生じ、
前記少なくとも一つの永久磁石(M1,M2,M3,M4)は、前記回転軸(3)を中心にして、前記第1の半径方向の距離(R,R1,R2,R−l,R+l)によって定められる円弧(B,B1,B2)に沿って磁化されているか又は前記円弧(B,B1,B2)の接線方向に磁化されており、且つ、磁石表面に対して垂直な検出平面に磁気ベクトルを形成する、センサ装置において、
前記測定値発生器(10,10a)は、少なくとも二つの永久磁石(M1,M2,M3,M4)を含む、少なくとも一つの多極磁石(MP,MPa,MP’,MP1,MP2)を有しており、
前記少なくとも二つの永久磁石(M1,M2,M3,M4)は、前記多極磁石(MP,MPa,MP’,MP1,MP2)において直接的に隣り合う永久磁石(M1,M2,M3,M4)の対向している端部が同一の磁化(S,N)を有するように配置されていることを特徴とする、センサ装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つのセンサ素子(A)は前記磁気ベクトルの角度を直接的に検出し、前記磁気ベクトルの検出された角度は前記回転運動する構成部材(5)の前記回転角度(α,α1,α2)を表す、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つのセンサ素子(A,A’,A1,A2)は、方向を持つ磁束密度(Bx,Bz)を検出し、前記回転運動する構成部材(5)に関する回転角度(α,α1,α2)に換算する、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記測定値発生器(10,10a)は前記回転運動する構成部材(5)に接続されており、
前記測定値検出器(20)は、前記測定値発生器(10,10a)の円形路に対して所定の半径方向の距離(l)を置いて固定されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記測定値検出器(20)は前記回転運動する構成部材(5)に接続されており、
前記測定値発生器(10)は、前記測定値検出器(20)の円形路に対して所定の半径方向の距離(l)を置いて固定されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記回転運動する構成部材(5)の前記回転軸(3)に対する、前記測定値発生器(10,10a)及び/又は前記測定値検出器(20)の前記所定の第1及び/又は第2の半径方向の距離(R,R1,R2,R−l,R+l)、及び/又は、前記測定値発生器(10,10a)と前記測定値検出器(20)との間の前記所定の半径方向の距離(l)、及び/又は、前記少なくとも一つの多極磁石(MP,MPa,MP’,MP1,MP2)の寸法、及び/又は、前記多極磁石(MP,MPa,MP’,MP1,MP2)の数、及び/又は、前記少なくとも一つの永久磁石(M1,M2,M3,M4)の寸法、及び/又は、前記少なくとも一つの多極磁石(MP,MPa,MP’,MP1,MP2)の前記永久磁石(M1,M2,M3,M4)の数、及び/又は、前記少なくとも一つのセンサ素子(A,A’,A1,A2)の寸法、及び/又は、前記測定値検出器(20)のセンサ素子(A,A’,A1,A2)の数は、取り付け空間及び測定角度範囲に適合されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記測定値発生器(10,10a)及び/又は前記測定値検出器(20)の配置構成は、前記測定角度範囲にわたり前記磁気ベクトルの角度が最大限変化するように、取り付け空間及び測定角度範囲に適合されている、請求項6に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記測定値検出器(20)の前記少なくとも一つのセンサ素子(A,A’,A1,A2)はAMRセンサ及び/又はGMRセンサ及び/又はホールセンサとして構成されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記測定値発生器(10,10a)の前記少なくとも一つの多極磁石(MP,MPa,MP’,MP1,MP2)の前記少なくとも二つの永久磁石(M1,M2,M3,M4)は、円形又は矩形の横断面を備えた単純な棒磁石として、及び/又は、円形又は矩形の横断面を備え、且つ、片側及び/又は両側が丸みを帯びている棒磁石として構成されている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記丸みは、前記測定値発生器(10,10a)又は前記測定値検出器(20)の軌道の所定の円弧(B,B1,B2)に対応する曲率を有している、請求項9に記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記測定値発生器(10,10a)の前記少なくとも一つの多極磁石(MP,MPa,MP’,MP1,MP2)の前記少なくとも二つの永久磁石(M1,M2,M3,M4)は、三つの磁極(S,N)を備えており、且つ、両端部の磁極(S,N)が等しい三極磁石に一体化されている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項12】
前記回転運動する構成部材(5)はペダル又はステアリングコラムである、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載されている、回転運動する構成部材の回転角度を検出するためのセンサ装置に関する。
【0002】
回転する軸の角度検出のために、従来技術からは、磁石の回転運動を軸の中心において検出することが公知である。このために、回転軸を中心とした磁気ベクトルの回転が相応の磁気感応性センサ、例えばAMRセンサ及び/又はGMRセンサ、ホールセンサ、磁界コンセントレータが集積されているホールセンサ等を用いて検出される。使用されるセンサ素子にとって、回転する磁気ベクトルの検出が重要である。センサ素子の前を通るように回転する、例えば円形磁石として形成されている磁石では、磁気ベクトルも回転する。この回転運動が、磁石の前方にあるセンサ素子によって検出される。センサ素子は、ASIC(特定用途向け集積回路)の一部であり、また磁石表面に対して平行な磁気ベクトルを検出する。この検出は、二次元又は三次元のホールセンサでは、方向を持つ磁束密度の逆正接関数を用いて間接的に角度を検出することによって行われる。その種のホールセンサは円形磁石の角度位置を360°にわたり一義的に検出することができる。AMRセンサでは角度を直接的に検出することができ、また原理的に磁気ベクトルの角度を直接的に検出する。角度又はストロークを検出するための装置は、自動車において、車両ブレーキシステムの種々の操作装置に、照明距離の制御に、また軸の角度位置の検出に使用されるが、しかしながらまた、特にブレーキペダルにおけるドライバの制動要求の検出若しくはアクセルペダルにおけるドライバの加速要求の検出にも使用することができる。
【0003】
各測定素子は所定の角度範囲に合わせて設計されている。つまり例えば、AMRセンサは一般的に、磁気ベクトルの角度回転を180°にわたり一義的に検出することができる。これに対して、二次元又は三次元のホールセンサは、集積された磁界コンセントレータを用いて、又はホール素子によって、三つ全ての平面において360°にわたり磁気ベクトルの角度回転を検出する。生じる精度はそれらの角度範囲に最適に適合されている。センサ素子の測定範囲よりも遙かに小さい角度を検出する場合、測定範囲に関する出力信号の精度又は結果として生じる分解能は低下する。360°の測定範囲を有する、磁石角度を示すセンサでは、所定の用途における全体の測定範囲が36°しかない場合、測定範囲に関する精度は10パーセントに低下する。
【0004】
DE 10 2009 055 104 A1には、並進運動する構成部材のストロークを検出するための磁界センサ装置が開示されている。そこに開示されている磁界センサ装置は、磁石システムの磁界の空間的な成分の方向が、検出すべきストロークにわたって、運動する構成部材において変化し、その結果、固定されているセンサに対するその位置を相応に検出することができる。別の自由度で線形に移動する構成部材には少なくとも一つの磁石が、磁石システムの構成部材として設けられており、この磁石システムには、所定の距離を置いて、その磁石システムに対向して固定されている、少なくとも一つの磁界感応センサが対応付けられている。
【0005】
DE 10 2007 024 867 A1には、回転角度を非接触式に検出するための測定装置が開示されている。そこに開示されている測定装置は、回転軸まで半径方向の距離を有するように配置されている磁石を備えた第1の部材と、測定信号を形成するための磁界感応素子を備えた第2の部材とを含んでいる。磁界感応素子及び磁石は、第1の部材と第2の部材との間で相対運動が行われる際に、その相対運動の円形路に関して接線方向に配置されており、その場合、磁石は、回転軸を基準にして放射方向に対して垂直に配置されている平面において、半径方向に磁化又は分極されている。
【0006】
DE 10 2008 020 153 A1には、角度検出装置が開示されている。そこに開示されている装置は、回転中心の周りに交互に配置されている、少なくとも一つのN極領域と少なくとも一つのS極領域とを備えている回転部材と、磁性プレート並びに、その磁性プレートに対して垂直な方向における磁場成分の大きさを検出する検出素子を備えている磁場検出部と、回転素子の回転角度を検出する演算部とを有している。磁場検出部は、磁性プレートが最大の磁場強度を有する第1の方向に対して垂直に配向されているように配置されており、また磁場検出部は、第1の方向と、N極領域及びS極領域が全周にわたり配置されている方向に相当する第2の方向とにおいて、磁場成分の大きさを検出する。
【発明の概要】
【発明の効果】
【0007】
それに対して、独立請求項1の特徴を備えている、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置は、回転運動の中心において角度が測定されるのではなく、その代わりに、軌道上を移動する、少なくとも一つの多極磁石を備えている測定値発生器又は少なくとも一つのセンサ素子を備えている測定値検出器の磁気ベクトル測定が実施されるという利点を有している。この磁気ベクトル測定においては、磁石平面に平行な磁気ベクトルはもはや測定されずに、磁石に対して垂直な平面における磁気ベクトルが検出される。この磁気ベクトルは、測定値発生器又は測定値検出器の前を通る際に、測定値発生器と測定値検出器との間の磁気ギャップに応じて例えば150°から240°までの範囲の角度で回転する。回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の実施の形態は、特に、5°から95°の測定範囲において回転角度を検出することに適している。
【0008】
本発明の核心は、角度測定を、所定の半径を有する軌道上のストロークの測定に移行することにある。つまり、検出される磁気ベクトルは、円形路上のストロークと直接的な所定の関係にあり、従って、掃引により生じる弓形の角度に対しても直接的な所定の関係にある。測定値検出器における磁気ベクトルの検出は、磁気感応性のセンサ素子によって、例えばAMRセンサによって直接的に行われるか、又は、逆正接関数を用いて、検出平面において方向を持つ磁束密度を評価することによって間接的に行われる。少なくとも一つの多極磁石の長さ及び/又は半径を適合させることによって、測定すべき角度範囲をセンサ素子の測定範囲に最適に合わせることができる。少なくとも一つの測定値発生器に対する測定値検出器の位置は、多極磁石に対して垂直な平面にある磁気ベクトルがその都度常に検出されるように配置されており、その場合、少なくとも一つの多極磁石の個々の永久磁石は円周方向に磁化又は分極されている。またセンサ素子は、この磁気ベクトル成分を直接的又は間接的にセンサ素子によって検出できるように、少なくとも一つの多極磁石に対して配向されている。間接的な測定を行うセンサでは、センサ素子の位置は、磁気ベクトルの検出すべき平面を検出できるように配置されるべきである。直接的な測定を行うセンサにおいても同様に、磁気ベクトルの測定すべき平面に対する測定素子の感応面の正確な配向を考慮しなければならない。
【0009】
有利には、本発明の実施の形態は、例えばホールセンサ、AMRセンサ、GMRセンサ等として構成することができる所定のセンサ素子の分解能を最大限に利用して、本発明によるセンサ装置を幾何学的な状態に最適に適合させることができる。有利には、センサ素子は軌道の半径に関して、測定値発生器と測定値検出器との間の半径方向の距離、及び/又は、少なくとも一つの多極磁石の寸法、及び/又は、多極磁石の数、及び/又は、少なくとも一つの永久磁石の寸法、及び/又は、少なくとも一つの多極磁石の永久磁石の数を選択して設計することができるので、角度範囲にわたる最適な分解能を達成することができ、従って、測定ストローク又は測定角度にわたる磁場配向の考えられる最大限の変化を達成することができる。
【0010】
本発明の実施の形態は、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための順応性のあるセンサ装置を実現する。その種のセンサ装置を、測定角度が異なる種々の用途の種々の構造空間において測定受信器を変更することなく使用することができるか、又は、必要に応じて測定値検出器を適切にプログラミングするだけで使用することができる。
【0011】
本発明の実施の形態は、回転運動する構成部材の回転角度を検出するためのセンサ装置を提供し、このセンサ装置は、N極領域及びS極領域を備えている少なくとも一つの永久磁石を有し、且つ、回転運動する構成部材の回転軸に対して所定の第1の半径方向の距離を置いて配置されている測定値発生器と、少なくとも一つの磁気特性量を検出し、且つ、回転運動する構成部材の回転軸に対して所定の第2の半径方向の距離を置いて配置されている少なくとも一つのセンサ素子を備えている測定値検出器とを有している。このセンサ装置では、回転運動する構成部材の運動によって、回転角度を求めるために評価することができる少なくとも一つの磁気特性量が変化する。少なくとも一つの永久磁石は、回転軸を中心にして、第1の半径方向の距離によって定められる円弧に沿って磁化されているか又はその円弧の接線方向に磁化されており、且つ、磁石表面に対して垂直な検出平面に磁気ベクトルを形成する。本発明によれば、測定値発生器は、少なくとも二つの永久磁石を含む、少なくとも一つの多極磁石を有している。少なくとも二つの永久磁石は、多極磁石において直接的に隣り合う永久磁石の対向している端部が同一の磁化を有するように配置されている。本発明によるセンサ装置によって、多極磁石に二つの永久磁石を使用する場合には、有利にはその多極磁石の測定範囲全体にわたり一義的な測定信号を形成することができる。
【0012】
従属請求項に記載されている措置及び発展形態によって、独立請求項1に記載されている、回転する構成部材の回転角度を検出するためのセンサ装置の有利な改善形態が実現される。
【0013】
本発明によるセンサ装置の有利な実施の形態においては、少なくとも一つのセンサ素子は磁気ベクトルの角度を直接的に検出することができ、その場合、磁気ベクトルの検出された角度は回転運動する構成部材の回転角度を表す。択一的に、少なくとも一つのセンサ素子は方向を持つ磁束密度を検出し、逆正接関数を用いて、回転運動する構成部材の回転角度に換算することができる。
【0014】
本発明によるセンサ装置の別の有利な構成においては、測定値発生器を回転運動する構成部材に接続することができ、且つ、測定値検出器を測定値発生器の円形路に対して所定の半径方向の距離を置いて固定することができる。択一的に、測定値検出器を回転運動する構成部材に接続することができ、且つ、測定値発生器を測定値検出器の円形路に対して所定の半径方向の距離を置いて固定することができる。
【0015】
特に有利には、回転運動する構成部材の回転軸に対する、測定値発生器及び/又は測定値検出器の所定の第1及び/又は第2の半径方向の距離、及び/又は、測定値発生器と測定値検出器との間の所定の半径方向の距離、及び/又は、少なくとも一つの多極磁石の寸法、及び/又は、多極磁石の数、及び/又は、少なくとも一つの永久磁石の寸法、及び/又は、少なくとも一つの多極磁石の永久磁石の数、及び/又は、少なくとも一つのセンサ素子の寸法、及び/又は、測定値検出器のセンサ素子の数を、取り付け空間及び測定角度範囲に適合させることができる。有利には、測定値発生器及び/又は測定値検出器の配置構成は、測定角度範囲にわたり磁気ベクトルの角度が最大限変化するように、取り付け空間及び測定角度範囲に適合されている。
【0016】
本発明によるセンサ装置の別の有利な構成においては、測定値検出器の少なくとも一つのセンサ素子を例えばAMRセンサ及び/又はGMRセンサ及び/又はホールセンサとして構成することができる。
【0017】
本発明によるセンサ装置の別の有利な構成においては、測定値発生器の少なくとも一つの多極磁石の少なくとも二つの永久磁石を、円形又は矩形の横断面を備えた単純な棒磁石として、及び/又は、円形又は矩形の横断面を備え、且つ、片側及び/又は両側が丸みを帯びている棒磁石として構成することができる。この丸みは、測定値発生器又は測定値検出器の軌道の所定の円弧に対応する曲率を有している。
【0018】
本発明によるセンサ装置の別の有利な構成においては、測定値発生器の少なくとも一つの多極磁石の少なくとも二つの永久磁石を、三つの磁極を備えており、且つ、両端部の磁極が等しい三極磁石に一体化することができる。三極磁石によって、例えばN極−S極−N極又はS極−N極−S極の順序の磁極が得られる。
【0019】
回転運動する構成部材として、例えばブレーキペダル又はアクセルペダルのようなペダル、若しくはステアリングコラムが考えられる。
【0020】
本発明の実施例を図面に示し、また下記において詳細に説明する。図中、同一の参照符号は同一又は類似の機能を担うコンポーネント又は構成要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ドライバの制動要求を識別するために使用される、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の実施例の概略的な透視平面図を示す。
【
図2】
図1に示した、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の実施例の概略的な透視断面図を示す。
【
図3】
図1又は
図2に示した、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置のための多極磁石の磁場線を概略的に示す。
【
図4】
図1又は
図2に示した、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置のための多極磁石の第1の実施例の概略的な斜視図を示す。
【
図5】
図1又は
図2に示した、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の多極磁石を形成する永久磁石の一つの実施例の概略的な斜視図を示す。
【
図6】
図1又は
図2に示した、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の多極磁石を形成する永久磁石の一つの実施例の概略的な斜視図を示す。
【
図7】
図1又は
図2に示した、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の多極磁石を形成する永久磁石の一つの実施例の概略的な斜視図を示す。
【
図8】
図1又は
図2に示した、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の多極磁石を形成する永久磁石の一つの実施例の概略的な斜視図を示す。
【
図9】
図1又は
図2に示した、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の多極磁石を形成する永久磁石の一つの実施例の概略的な斜視図を示す。
【
図10】二つの永久磁石を含む多極磁石を有している可動の測定値発生器と、固定の測定値受信器とを備えた、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための、本発明によるセンサ装置の第1の配置構成例の概略図を示す。
【
図11】二つの永久磁石を含む多極磁石を有している固定の測定値発生器と、可動の測定値受信器とを備えた、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の第2の配置構成例の概略図を示す。
【
図12】回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の角度測定範囲と円形路と半径との関係を概略的に示す。
【
図13】円形路上を移動する測定値発生器に対する固定の測定値受信器の考えられる相対位置を示す。
【
図14】円形路上を移動する測定値発生器に対する固定の測定値受信器の考えられる相対位置を示す。
【
図15】円形路上を移動する測定値受信器に対する固定の測定値発生器の考えられる相対位置を示す。
【
図16】円形路上を移動する測定値受信器に対する固定の測定値発生器の考えられる相対位置を示す。
【
図17】四つの永久磁石を含む多極磁石を有している可動の測定値発生器と、固定の測定値受信器とを備えた、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための、本発明によるセンサ装置の第3の配置構成例の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1から
図17において見て取れるように、車両用の回転運動する構成部材5に関する回転角度α,α1,α2を検出するための、図示されている本発明によるセンサ装置1,1a,1’の実施例は、測定値発生器10,10a及び測定値検出器20を有している。測定値発生器10,10aは、N極領域N及びS極領域Sを備えている少なくとも一つの永久磁石M1,M2,M3,M4を有しており、且つ、回転運動する構成部材5の回転軸3に対して、所定の第1の半径方向の距離R,R1,R2,R−l,R+lを置いて配置されている。測定値検出器20は少なくとも一つのセンサ素子A,A’,A1,A2を有しており、この少なくとも一つのセンサ素子A,A’,A1,A2は少なくとも一つの磁気特性量を検出し、且つ、回転運動する構成部材5の回転軸3に対して、所定の第2の半径方向の距離R,R−l,R+lを置いて配置されている。これらの実施例では、回転運動する構成部材5の運動によって、回転角度α,α1,α2を求めるために評価することができる少なくとも一つの磁気特性量の変化が生じる。少なくとも一つの永久磁石M1,M2,M3,M4は、回転軸3を中心にして、第1の半径方向の距離R,R1,R2,R−l,R+lによって定められる円弧B,B1,B2に沿って磁化されているか又はその円弧B,B1,B2の接線方向に磁化されており、且つ、磁石表面に対して垂直な検出平面に磁気ベクトルを形成する。
【0023】
本発明によれば、測定値発生器10,10aは、少なくとも二つの永久磁石M1,M2,M3,M4を含む少なくとも一つの多極磁石MP,MPa,MP’,MP1,MP2を有している。少なくとも二つの永久磁石M1,M2,M3,M4は、多極磁石MP,MPa,MP’,MP1,MP2において直接的に隣り合う永久磁石M1,M2,M3,M4の対向している端部が同一の磁化S,Nを有するように配置されている。
【0024】
また
図1から
図4において見て取れるように、図示されている実施例は、ブレーキペダル又はアクセルペダルにおいてドライバ要求を検知するために、ペダルに接続されている、回転運動する構成部材5の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の使用例を表している。更に
図1及び
図2から見て取れるように、軸3が図示されていないペダルのアーム5を介して回転される。軸3には、多極磁石MPを含む測定値発生器10が接続されており、この多極磁石MPが軸の回転(例えば30°)に応じて、回転軸3まで所定の半径方向の距離Rを有している円形路上を移動する。多極磁石MPの上方には、磁気ギャップを表す所定の間隔を空けて、測定値検出器20が設けられており、この測定値検出器20は有利には、少なくとも一つのセンサ素子Aを備えているASIC(特定用途向け集積回路)として構成されている。このセンサ素子Aは、多極磁石MPに対して垂直な平面において回転運動中に変化する磁気ベクトルを検知する。この平面における多極磁石MPの回転は円弧Bに沿ったストロークと所定の関係にあり、この関係は式(1)に従い定義される軸3の回転角度αとの関係も表す。
【数1】
従って少なくとも一つのセンサ素子Aは、アーム5が移動した距離によって生じる絶対回転角度に変換することができる信号を、ASICの後段の評価回路に供給する。
【0025】
更に
図3及び
図4から見て取れるように、測定値発生器10は図示されている実施例では、円形路方向に磁化されている、即ち円形路の接線方向に磁化されている二つの個別永久磁石M1,M2を備えている多極磁石MPを有しており、二つの永久磁石M1,M2は、多極磁石MPの隣り合う永久磁石M1,M2の対向している端部が同一の磁化を有するように配置されている。図示されている実施例においては、隣り合う二つの永久磁石M1,M2のS極が相互に対向している。これによって、多極磁石MPは有利には測定範囲全体にわたり一義的な測定信号を測定値検出器20の少なくとも一つのセンサ素子Aにおいて形成するので、多義性が生じることなく軸3の対応する回転角度を求めることができる。
【0026】
更に
図5から
図9において見て取れるように、多極磁石MPの個々の永久磁石M1,M2は種々の実施の形態を有することができる。つまり、
図5には例えば、図示されている永久磁石M1,M2が矩形の横断面を備えた単純な棒磁石として構成されている実施の形態が示されている。
図6には、図示されている永久磁石M1,M2が円形の横断面を備えた単純な棒磁石として構成されている実施の形態が示されている。
図7には、図示されている永久磁石M1,M2が、矩形の横断面を備え、且つ、片側が丸みを帯びている棒磁石として構成されている実施の形態が示されている。図示していない実施の形態においては、永久磁石M1,M2が、円形の横断面を備え、且つ、片側が丸みを帯びている棒磁石として構成されている。
図8には、図示されている永久磁石M1,M2が、矩形の横断面を備え、且つ、両側が丸みを帯びている棒磁石として構成されている実施の形態が示されている。
図9には、図示されている永久磁石M1,M2が、円形の横断面を備え、且つ、両側が丸みを帯びている棒磁石として構成されている実施の形態が示されている。これらの実施の形態において、片側又は両側の丸みは、測定値発生器10又は測定値検出器20の軌道の所定の円弧B,B1,B2に対応する曲率を有している。
【0027】
図10には、回転運動する構成部材5の回転角度αを検出するための本発明によるセンサ装置の第1の配置構成例が示されており、ここでは、測定値発生器10が回転運動する構成部材5に接続されており、且つ、少なくとも一つのセンサ素子Aを含む測定値検出器20が固定されている。上記において説明したように、測定値発生器10は、二つの永久磁石M1,M2を備えた多極磁石MPを有しており、それら二つの永久磁石M1,M2は回転軸3まで半径方向に距離Rを置いた軌道上に位置しており、且つ、測定値検出器20の磁気感応性センサ素子Aに相対的に回転する際には円形路上を移動する。永久磁石M1,M2は円周方向に磁化されているか又は円周の接線方向に磁化されており、且つ、磁石表面に対して垂直な平面において磁気ベクトルを形成する。この磁気ベクトルがセンサ素子Aの前を通過する際にセンサ素子Aによって検出される。二つの永久磁石M1,M2は、それら二つの永久磁石M1,M2の対向している端部が同一の磁化を有するように配置されている。図示されている実施例においては、隣り合う二つの永久磁石M1,M2のS極が相互に対向している。
【0028】
図11には、回転運動する構成部材5の回転角度αを検出するための本発明によるセンサ装置の第2の配置構成例が示されており、ここでは、測定値検出器20が回転運動する構成部材5に接続されており、且つ、測定値発生器10が固定されている。測定値検出器20は少なくとも一つのセンサ素子A’を有しており、回転軸3まで半径方向に距離Rを置いた軌道上に位置しており、且つ、測定値発生器10に相対的に回転する際には円形路上を移動する。上記において説明したように、測定値発生器10は、二つの永久磁石M1,M2を備えた多極磁石MP’を有しており、それら二つの永久磁石M1,M2は測定値検出器20の軌道方向に磁化されているか又は軌道の接線方向に磁化されており、且つ、磁石表面に対して垂直な平面において磁気ベクトルを形成する。磁気ベクトルはセンサ素子Aの前を通過する際にセンサ素子Aによって検出される。
図10と同様に、二つの永久磁石M1,M2は、それらの永久磁石M1,M2の対向している端部が同一の磁化を有するように配置されている。図示されている実施例においては、隣り合う二つの永久磁石M1,M2のS極が相互に対向している。
【0029】
更に
図12から見て取れるように、円形路B1,B2上に弧を描くコンポーネントMP1/A1又はMP2/A2の半径方向の距離R1,R2と、回転運動する構成部材5の回転角度α1,α2を検出するための本発明によるセンサ装置の角度測定範囲との間には、B1=B2=一定の関係が成り立つ。これにより式(2)が得られる。
【数2】
【0030】
検出された磁気ベクトルは、円形路上のストロークB1,B2と直接的な所定の関係にあり、従って、掃引により生じる弓形の角度α1,α2に対しても直接的な所定の関係にある。図示されている実施例においては、測定値検出器20の少なくとも一つのセンサ素子A,A’,A1,A2が、方向を持つ磁束密度B
x,B
zを検出し、この磁束密度B
x,B
zが測定値検出器20の評価回路によって、回転運動する構成部材5の回転角度α,α1,α2に換算される。択一的に、少なくとも一つのセンサ素子Aは磁気ベクトルの角度を直接的に検出することができ、その場合、磁気ベクトルの検出された角度は回転運動する構成部材5の回転角度α,α1,α2を表す。回転軸3までの半径方向の距離R,R1,R2及び/又は多極磁石MP,MP’,MP1,MP2の寸法若しくは多極磁石MP,MP’の永久磁石M1,M2の寸法を適合させることによって、測定すべき角度範囲を少なくとも一つのセンサ素子A,A’,A1,A2の測定範囲に最適に合わせることができる。このことは、
図10に示した、回転運動する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の第1の配置構成例にも、
図11に示した、回転する構成部材の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置の第2の配置構成例にも当てはまる。測定値検出器20の少なくとも一つのセンサ素子A,A’,A1,A2は例えばAMRセンサ及び/又はGMRセンサ及び/又はホールセンサとして構成されている。
【0031】
図13及び
図14には、距離Rを置いた位置にある円形路上を移動する、測定値発生器10の多極磁石MPに対する、測定値検出器20の固定のセンサ素子Aの考えられる相対位置が示されている。
【0032】
更に
図13から見て取れるように、測定値検出器20の少なくとも一つのセンサ素子Aは、測定値発生器10の多極磁石MPの円形路に対して所定の半径方向の距離lを置いて固定されている。ここでは、少なくとも一つのセンサ素子Aが回転軸3に対して(R−l)の半径方向の距離を有することができる。択一的に、少なくとも一つのセンサ素子Aは回転軸3に対して(R+l)の半径方向の距離を有することができる。更に
図14から見て取れるように、少なくとも一つのセンサ素子Aは、測定値発生器10の多極磁石MPを中心にして半径lを有する円の円周上で種々の位置を取ることができる。多極磁石MPに対する少なくとも一つのセンサ素子Aの位置は、多極磁石MPに対して垂直な平面にある磁気ベクトルが常に検出されるように選択されており、多極磁石MPの永久磁石M1,M2は円周方向に磁化されているか、又は分極されている。
【0033】
図15及び
図16には、距離Rを置いた位置にある円形路上を移動する、少なくとも一つのセンサ素子A’を有する測定値検出器に対する、多極磁石MP’を有する固定の測定値発生器10の考えられる相対位置が示されている。
【0034】
更に
図15から見て取れるように、測定値発生器10の多極磁石MP’は、測定値検出器20の少なくとも一つのセンサ素子A’の円形路に対して所定の半径方向の距離lを置いて固定されている。ここでは、測定値発生器10の多極磁石MP’が回転軸3に対して(R−l)の半径方向の距離を有することができる。択一的に、測定値発生器10の多極磁石MP’は回転軸3に対して(R+l)の半径方向の距離を有することができる。更に
図16から見て取れるように、測定値発生器10の多極磁石MP’は、測定値検出器20の少なくとも一つのセンサ素子A’を中心にして半径lを有する円の円周上で種々の位置を取ることができる。少なくとも一つのセンサ素子A’に対する多極磁石MP’の位置は、多極磁石MP’に対して垂直な平面にある磁気ベクトルが常に検出されるように選択されており、多極磁石MP’の永久磁石M1,M2は、少なくとも一つのセンサ素子A’の旋回運動により生じる円の円周方向に磁化されているか、又は分極されている。
【0035】
図17には、回転運動する構成部材5の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置1aの第3の配置構成例が示されており、ここでは、測定値発生器10aが回転運動する構成部材5に接続されており、且つ、少なくとも一つのセンサ素子Aを含む測定値検出器20が固定されている。図示されている実施例において、測定値発生器10aは、四つの永久磁石M1,M2,M3,M4を備えた多極磁石MPaを有しており、それら四つの永久磁石M1,M2,M3,M4は回転軸3まで半径方向に距離Rを置いた軌道上に位置しており、且つ、測定値検出器20の磁気感応性センサ素子Aに相対的に回転する際には円形路上を移動する。永久磁石M1,M2,M3,M4は円周方向に磁化されているか又は円周の接線方向に磁化されており、且つ、磁石表面に対して垂直な平面において磁気ベクトルを形成する。磁気ベクトルはセンサ素子Aの前を通過する際にセンサ素子Aによって検出される。四つの永久磁石M1,M2,M3,M4は、それらの永久磁石M1,M2,M3,M4の対向している端部が同一の磁化を有するように配置されている。図示されている実施例においては、隣り合う第1の永久磁石M1及び第2の永久磁石M2のS極が対向しており、隣り合う第3の永久磁石M3及び第4の永久磁石M4のS極が相互に対向している。また隣り合う第2の永久磁石M2及び第3の永久磁石M3においては、N極が相互に対向している。四つの永久磁石及び八つの磁極を備えている多極磁石を使用する場合、本発明による装置では、測定範囲内で測定信号が繰り返し生じるので、測定信号だけでは一義的な測定結果は供給されず、従って多義性を解消するためには評価の際に付加的な措置が講じられる。
【0036】
勿論、使用される多極磁石の永久磁石の数又は磁極の数は、四つ又は八つの磁極を有する二つ又は四つの永久磁石に限定されるものではなく、別の数の永久磁石又は磁極も使用することができる。
【0037】
本発明によるセンサ装置の図示していない実施例においては、例えば、測定値発生器の少なくとも一つの多極磁石の少なくとも二つの永久磁石が、三つの磁極を備えており、且つ、両端部の磁極が等しい三極磁石に一体化される。その種の三極磁石によって、例えばN極−S極−N極又はS極−N極−S極の順序の磁極が得られる。
【0038】
取り付け空間及び測定角度範囲に適合させるために、回転運動する構成部材5の回転軸3に対する、測定値発生器10,10a及び/又は測定値検出器20の所定の第1及び/又は第2の半径方向の距離R,R1,R2,R−l,R+l、及び/又は、測定値発生器10,10aと測定値検出器20との間の所定の半径方向の距離l、及び/又は、少なくとも一つの多極磁石MP,MPa,MP’,MP1,MP2の寸法、及び/又は、多極磁石MP,MPa,MP’,MP1,MP2の数、及び/又は、少なくとも一つの永久磁石M1,M2,M3,M4の寸法、及び/又は、少なくとも一つの多極磁石MP,MPa,MP’,MP1,MP2の永久磁石M1,M2,M3,M4の数、及び/又は、少なくとも一つのセンサ素子A,A’,A1,A2の寸法、及び/又は、測定値検出器20のセンサ素子A,A’,A1,A2の数を相応に選択して実施することができる。更に、測定値発生器10,10a及び/又は測定値検出器20の配置構成は、測定角度範囲にわたり磁気ベクトルの角度が最大限変化するように、取り付け空間及び測定角度範囲に適合されている。
【0039】
ペダル位置を求める代わりに、本発明によるセンサ装置の実施の形態を、ステアリングコラム又は車両内に設けられている他の回転可能な構成部材の回転角度を求めるためにも使用することができる。
【国際調査報告】