(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-527114(P2015-527114A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(54)【発明の名称】アバットメントシステム及び歯科方法
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20150821BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-520842(P2015-520842)
(86)(22)【出願日】2013年6月28日
(85)【翻訳文提出日】2015年1月7日
(86)【国際出願番号】EP2013001901
(87)【国際公開番号】WO2014008987
(87)【国際公開日】20140116
(31)【優先権主張番号】1212125.7
(32)【優先日】2012年7月9日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】506260386
【氏名又は名称】ノベル バイオケア サーヴィシィズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ジョーネウス, ラース
(72)【発明者】
【氏名】ロンペン, エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ドーレン, エリック
(72)【発明者】
【氏名】トゥアティ, ベルナール
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA03
4C159AA05
4C159AA26
4C159AA28
4C159AA43
(57)【要約】
本発明は、アバットメントシステム(12)及びその使用に関する。このアバットメントシステム(12)は、アバットメントねじ(56)によって骨レベル歯科インプラント(40)に取り付けられるために適合された軟組織レベルアバットメント部(10)を含み、さらにアバットメントシステムは、セメントで保持された最終修復物(66)及びねじで保持された補綴要素(68;70)の両方を選択的に支持するために適合されている。本発明はまた、歯科方法に関する。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アバットメントねじ(56)によって骨レベル歯科インプラント(40)に取り付けられるために適合された軟組織レベルアバットメント部(10)を含むアバットメントシステム(12)であって、
アバットメントシステムが
− さらなるねじによって軟組織レベルアバットメント部に取り付けられた冠状アバットメント部(72)によって支持された、セメントで保持された最終修復物(66)、
及び
− さらなるねじによって軟組織レベルアバットメント部に直接取り付けられた、ねじで保持された最終修復物(68)、
の両方を選択的に支持するために適合されていることを特徴とするアバットメントシステム。
【請求項2】
アバットメントねじが冠状雌ねじ付き部(62)を持ち、さらなるねじが、アバットメントねじの冠状雌ねじ付き部と係合するための尖状雄ねじ付き部(88)を持つことを特徴とする請求項1に記載のアバットメントシステム。
【請求項3】
軟組織レベルアバットメント部が、軟組織レベルアバットメント部の冠状端(14)の外周に平坦な周囲頂面(18)を持つことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のアバットメントシステム。
【請求項4】
軟組織レベルアバットメント部が、軟組織レベルアバットメント部に取り付けられた要素の回転を防止するために軟組織レベルアバットメント部の冠状端に露出された少なくとも一つの指標要素(22a−c)を持つことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアバットメントシステム。
【請求項5】
平坦な周囲頂面が円形内周(20)を持ち、少なくとも一つの指標要素が、円形内周から尖状に延びる少なくとも一つの丸い突出部(22a−c)であることを特徴とする請求項3または4に記載のアバットメントシステム。
【請求項6】
軟組織レベルアバットメント部が、軟組織(64)に露出するために作られた外部表面(28)を持つことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアバットメントシステム。
【請求項7】
外部表面が、軟組織レベルアバットメント部の冠状から尖状の方向に湾曲されていることを特徴とする請求項6に記載のアバットメントシステム。
【請求項8】
湾曲された外部表面が、より大きな冠状直径(D1)からより小さな尖状直径(D2)に、最初に凸状形状(30a)で、次いで凹状形状(30b)で延びることを特徴とする請求項7に記載のアバットメントシステム。
【請求項9】
軟組織レベルアバットメント部が、骨レベル歯科インプラントの内部連結表面(54)に対して接触するために適合された外部表面(32)を持つことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のアバットメントシステム。
【請求項10】
異なる直径及び/または高さを持つ複数の軟組織レベルアバットメント部を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のアバットメントシステム。
【請求項11】
セメントで保持された最終修復物(66)及びねじで保持された最終修復物(68)の両方を選択的に支持するための請求項1〜10のいずれか一つに記載のアバットメントシステム(12)の使用。
【請求項12】
歯科方法であって、
骨レベル歯科インプラント(40)に取り付けられるために適合された万能軟組織レベルアバットメント部(10)を含むアバットメントシステム(12)を準備すること;及び
(b)万能軟組織レベルアバットメント部を患者の顎骨(46)内に設置された骨レベル歯科インプラントに取り付けること、
を含み、
アバットメントシステムが、セメントで保持された最終修復物(66)及びねじで保持された最終修復物(68)の両方を選択的に支持するために適合されていることを特徴とする方法。
【請求項13】
以下のことを含む方法の続く工程時に万能軟組織レベルアバットメント部が、骨レベル歯科インプラントに取り付けられたままであることを特徴とする請求項12に記載の方法:
(c)セメントで保持された最終修復物及びねじで保持された最終修復物のうちの一つを選択すること;及び
(d)選択された最終修復物をアバットメントシステムに取り付けること。
【請求項14】
骨レベル歯科インプラントが患者の顎骨内に設置された直後に、万能軟組織レベルアバットメント部が骨レベル歯科インプラントに取り付けられることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
骨レベル歯科インプラントが、選択された最終修復物が取り付けられる前に少なくとも部分的にオッセオインテグレートさせられることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
骨レベル歯科インプラントが、骨レベル歯科インプラントの冠状端(42)が顎骨の縁(44)と実質的に同レベルにあるように顎骨(46)内に設置されることを特徴とする請求項12〜15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
取り付けられた万能軟組織レベルアバットメント部が、軟組織(64)に露出された外部表面(28)を持つことを特徴とする請求項12〜16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
アバットメントシステム(12)の万能軟組織レベルアバットメント部(10)が、患者の顎骨(46)内に設置された骨レベル歯科インプラント(40)に取り付けられ、アバットメントシステムが、セメントで保持された最終修復物(66)及びねじで保持された最終修復物(68)の両方を選択的に支持するために適合されている、歯科方法であって、
(c)セメントで保持された最終修復物及びねじで保持された最終修復物のうちの一つを選択すること;及び
(d)選択された最終修復物をアバットメントシステムに取り付けること
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アバットメントシステム及びその使用に関する。本発明はまた、歯科方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5810592号(Daftary)は、四つの部分:丸みの付いた等辺三角形の形状をした治療アバットメント、大きなボルト部材、整合アバットメントヘッド、及び小さなボルト部材、から作られた歯科インプラントシステムを開示する。治療アバットメントは、患者の顎骨を取り囲む歯肉組織を収容するための中間肩を持つ。さらに、整合アバットメントヘッドは、歯類似物を支持するために治療アバットメント上に固定される。大きなボルト部材は、治療アバットメントをインプラントフィクスチャーに固定するために使用される。小さなボルト部材は、アバットメントヘッドを治療アバットメントに固定するためである。しかし、米国特許第5810592号の歯科インプラントシステムは、セメントで保持された歯類似物を支持するためだけのようである。
【0003】
米国特許第5040983号(Binon)は、顎骨内に設置された歯科インプラントフィクスチャー上に固定されたコーピングを開示する。上にある歯肉組織を貫通する粘膜貫通要素は、ねじによりインプラントフィクスチャーに固定され、そのヘッド部は、雌ねじ付きソケットを持ち、それは、肩と共働するボルトを受けてコーピングを粘膜貫通要素上に固定する。コーピングは、歯科インプラントフィクスチャーとその粘膜貫通要素からなる支持上に一時的な歯科修復物を取り外し可能に固定するのに使用するために意図されており、そこで永久補綴修復物が最終的に固定されるだろう。一時的な歯科修復物は、コーピング上に及びその周りに取り付けられる。しかし、米国特許第5040983号のシステムは、ねじで保持された補綴修復物のみを支持する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、添付の独立請求項に規定される。実施態様は、添付の従属請求項に規定される。
【0005】
第一態様によれば、アバットメントねじによって骨レベル歯科インプラントに取り付けられるために適合された軟組織レベルアバットメント部を含むアバットメントシステムが提供され、アバットメントシステムは、セメントで保持された最終修復物及びねじで保持された補綴要素の両方を選択的に支持するために適合されている。すなわち、セメントで保持された最終修復物またはねじで保持された補綴要素のいずれかが、同じ軟組織レベルアバットメント部を使用して支持されることができる。これは、アバットメントシステムをフレキシブルに使用させることを可能にする。
【0006】
アバットメントシステムはさらに、さらなるねじによって軟組織レベルアバットメント部に取り付けられるために適合された冠状アバットメント部を含むことができ、冠状アバットメント部はさらに、セメントで保持された最終修復物を支持するために適合されている。
【0007】
補綴要素は、さらなるねじによって軟組織レベルアバットメント部に直接取り付けられるために適合された、ねじで保持された最終修復物であることができる。
【0008】
アバットメントねじは、冠状雌ねじ付き部を持つことができ、さらなるねじは、アバットメントねじの冠状雌ねじ付き部と係合するための尖状雄ねじ付き部を持つ。
【0009】
軟組織レベルアバットメント部は、軟組織レベルアバットメント部の冠状端の外周に平坦な周囲頂面を持つことができる。
【0010】
軟組織レベルアバットメント部は、軟組織レベルアバットメント部に取り付けられた要素の回転を防止するために軟組織レベルアバットメント部の冠状端に露出された少なくとも一つの指標要素を持つことができる。
【0011】
平坦な周囲頂面は、円形内周を持つことができ、少なくとも一つの指標要素は、円形内周から尖状に延びる少なくとも一つの丸い突出部である。
【0012】
軟組織レベルアバットメント部は、軟組織に露出するために作られた外部表面を持つことができる。外部表面は、軟組織レベルアバットメント部の冠状から尖状の方向に湾曲されることができる。湾曲された外部表面は、より大きな冠状直径からより小さな尖状直径に、最初に凸状形状で、次いで凹状形状で延びることができる。
【0013】
軟組織レベルアバットメント部は、骨レベル歯科インプラントの内部連結表面に対して接触するために適合された外部表面を持つことができる。
【0014】
アバットメントシステムは、異なる直径及び/または高さを持つ複数の(上述の一般的なタイプの)軟組織レベルアバットメント部を含むことができる。
【0015】
別の態様は、セメントで保持された最終修復物及びねじで保持された補綴要素の両方を選択的に支持するための上述のアバットメントシステムの使用に関する。この態様は、前述した態様と同じまたは類似する特徴及び利点を示すことができ、かつ逆もまた同様である。
【0016】
さらに別の態様によれば、歯科方法が提供され、それは、骨レベル歯科インプラントに取り付けられるために適合された万能軟組織レベルアバットメント部を含むアバットメントシステムを準備すること、及び万能軟組織レベルアバットメント部を患者の顎骨内に設置された骨レベル歯科インプラントに取り付けることを含み、アバットメントシステムは、セメントで保持された最終修復物及びねじで保持された最終修復物の両方を選択的に支持するために適合されている。この態様は、前述した態様と同じまたは類似する特徴及び利点を示すことができ、かつ逆もまた同様である。
【0017】
万能軟組織レベルアバットメント部は、以下のことを含む方法の続く工程時に骨レベル歯科インプラントに取り付けられたままであることができる:セメントで保持された最終修復物及びねじで保持された最終修復物のうちの一つを選択すること;及び選択された最終修復物をアバットメントシステムに取り付けること。
【0018】
万能軟組織レベルアバットメント部は、骨レベル歯科インプラントが患者の顎骨内に設置された直後に骨レベル歯科インプラントに取り付けられることができる。
【0019】
骨レベル歯科インプラントは、選択された最終修復物が取り付けられる前に少なくとも部分的にオッセオインテグレートさせられることができる。
【0020】
骨レベル歯科インプラントは、骨レベル歯科インプラントの冠状端が顎骨の縁と実質的に同レベルにあるように顎骨内に設置されることができる。
【0021】
取り付けられた万能軟組織レベルアバットメント部は、軟組織に露出された外部表面を持つことができる。
【0022】
さらに別の態様によれば、アバットメントシステムの万能軟組織レベルアバットメント部が、患者の顎骨内に設置された骨レベル歯科インプラントに取り付けられ、アバットメントシステムが、セメントで保持された最終修復物及びねじで保持された最終修復物の両方を選択的に支持するために適合されている、歯科方法であって、セメントで保持された最終修復物及びねじで保持された最終修復物のうちの一つを選択すること;及び選択された最終修復物をアバットメントシステムに取り付けることを含む方法が提供される。この態様は、前述した態様と同じまたは類似する特徴及び利点を示すことができ、逆もまた同様である。
【0023】
本発明のこれらの及び他の態様が、本発明の好ましい実施態様を示す添付図面を参照してより詳細に述べられるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1a】
図1aは、本発明によるアバットメントシステムの軟組織レベルアバットメント部の断面側面図である。
【0025】
【
図1b】
図1bは、
図1aの軟組織レベルアバットメント部の透視図である。
【0026】
【
図2a】
図2aは、歯科インプラントに取り付けられた
図1aの軟組織レベルアバットメント部の断面側面図である。
【0027】
【0028】
【
図3】
図3は、カバーねじとともに
図2aの軟組織レベルアバットメント部及び歯科インプラントの透視図である。
【0029】
【
図4a】
図4aは、セメントで保持された最終修復物を支持するための冠状アバットメント部とともに
図2aの軟組織レベルアバットメント部及び歯科インプラントの側面図である。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【
図5a】
図5aは、ねじで保持された最終修復物とともに
図2aの軟組織レベルアバットメント部及び歯科インプラントの透視図である。
【0034】
【0035】
【0036】
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1a−bは、アバットメントシステム12の(万能)軟組織レベルアバットメント部10を示す。軟組織レベルアバットメント部10は、それが以下にさらに説明されるように、セメントで保持された最終修復物及びねじで保持された補綴要素の両方と共に使用されることができる点で「万能(universal)」である。
【0038】
軟組織レベルアバットメント部10は好ましくは一体片で作られ、それは例えばチタンまたはセラミック材料(例えばジルコニア)から作られることができる。
【0039】
軟組織レベルアバットメント部10は冠状(coronal)端14と尖状(apical)端16を持つ。冠状端14で、軟組織レベルアバットメント部10は、軟組織レベルアバットメント部10の外周に平坦な周囲頂面18を持つことができる。平坦な周囲頂面18は、いかなるセメントまたは同様物もなしで、対応する平坦面を持つ別の要素に対して効果的な封止を可能にする。
【0040】
平坦な周囲頂面18は、円形であることでできる内周20を持つ。円形内周20は、少なくとも一つの指標要素を収容することができ、それは、ここでは円形内周20の周りに均一に配置された三つの凹状の丸い突出部22a−cの形である。三つの凹状の丸い突出部22a−cは、軟組織レベルアバットメント部10の内部側壁24内の円形内周20から尖状に延びる。指標要素は、軟組織レベルアバットメント部10に取り付けられている対応する指標要素を持つ要素の(軟組織レベルアバットメント部10の縦軸26の周りの)回転を防止することができる。かかる要素は、例えばねじで保持された単一の修復物(冠)であることができる。しかし、対応する指標要素を持たない要素は回転を防止されることができないかもしれない。かかる要素は、円形内周20に対応する円形界面を持つこと(のみ)ができる。凹状の丸い突起部22a−cの代わりに、他の指標要素、例えば凸状の丸い突起部(図示せず)が可能であることが認められる。また、指標要素の数は変えられることができる。
【0041】
平坦な周囲頂面18から尖状に延びて、軟組織レベルアバットメント部10はさらに、軟組織または歯肉に露出するために作られた外部表面28を持つ。従って、「軟組織レベル(soft tissue level)」のアバットメント部10の用語がある。
【0042】
外部表面28は、軟組織接触長を増加しかつ軟組織健康状態を改善するために、その高さHより大きい長さLを持つことができる。長さは例えば約2.5mmであることができ、一方高さは約2mmであることができる。軟組織レベルアバットメント部10の限定された高さまたは低い側面はまた、歯科インプラントの不必要な装着なしの治療を可能にする(以下参照)。
【0043】
外部表面28は、例えばその冠状端と尖状端の間で少なくとも部分的に湾曲されることができる。
図1a−bに示された実施態様では、湾曲された外部表面28は、より大きな冠状直径D1からより小さい冠状直径D2に、最初に凸状形状30aで、次いで凹状形状30bで延びる。他の形状も可能であることは認められる。例えば外部表面28は、互いに対して傾斜している直線部を含むことができる。
【0044】
また、外部表面28は、一つまたは複数の円周またはリング形状の溝(図示せず)を備えることができ、それにより充分な長さ及び軟組織の追加の幾何学的固定が確立されることができる。
【0045】
また、外部表面28の下方(尖状)部は、改善された安定化のために粗くされることができる。
【0046】
外部表面28は、軟組織レベルアバットメント部10の外部表面32中に尖状的に移行する。外部表面32は一般的に、以下にさらに説明されるように、骨レベル歯科インプラントの内部連結面に対して接触するために適合される。外部表面32は、直線であることができるが、軟組織レベルアバットメント部10の尖状端16に向けて減少する直径を持って、軟組織レベルアバットメント部10の縦軸26に対して傾斜されることができる。言い換えれば、円錐形部が軟組織レベルアバットメント部10上に形成される。代替実施態様(図示せず)では、外部表面は、軟組織レベルアバットメント部10がどのインプラントに取り付けられるべきかに依存して、軟組織レベルアバットメント部10の縦軸26に平行であることができる。
【0047】
尖状端16に、軟組織レベルアバットメント部10は連結部34を含むことができる。連結部34は骨レベル歯科インプラントの連結凹所内に適合するように寸法決定されている略六角形形状の外部を含むことができる。
【0048】
軟組織レベルアバットメント部10はさらに、冠状端14から尖状端16に延びかつ軟組織レベルアバットメント部10の縦軸26と一致する内孔36を含む。内孔36内に、座部38がある。
【0049】
図2a−bは、歯科インプラント40に取り付けられた軟組織レベルアバットメント部10を示す。歯科インプラント40は、「骨レベル」歯科インプラントであり、それは、歯科インプラント40が顎骨46内に設置されるとき、その冠状端42が実質的に患者の顎骨46の縁または頂上44と同レベルにあることを意味する。
【0050】
歯科インプラント40は、例えばWO2008/128757A2に開示されたタイプのものであることができ、その内容は参考としてここに組み入れられる。しかし、他の(骨レベル)インプラントも同様に使用されることができる。
【0051】
特に、歯科インプラント40は、歯科インプラント40の冠状(または基部)端42に対して開いている内部連結界面を含む。内部連結界面は、円錐室48、六角形連結凹所50、及び雌ねじ付き部52を含む。円錐室48は、組織レベルアバットメント部10の外部表面32と整合する傾斜した内部連結表面54を持つ。
【0052】
使用時には、軟組織レベルアバットメント部10は、
図2a−bに示されるように、アバットメントねじ56によって骨レベル歯科インプラント40に取り付けられる。アバットメントねじ56はアバットメントシステム12内に含まれることができる。アバットメントねじ56は、歯科インプラント40の雌ねじ付き部52と係合するための尖状雄ねじ付き部58を持つ。さらに、アバットメントねじ56は、軟組織レベルアバットメント部10の座部38に対して載るヘッド60を持つ。ヘッド60は冠状雌ねじ付き部62を持つことができる。アバットメントねじ56を締めつけると、軟組織レベルアバットメント部10は歯科インプラント40にしっかりと取り付けられ、整合する表面32及び54が効果的なきつい封止を作る。
【0053】
また、
図2aに見られるように、軟組織レベルアバットメント部10の外部表面28の高さHは、設置された骨レベル歯科インプラント40に隣接した軟組織64の高さに対応することができる。
【0054】
本アバットメントシステム12は、セメントで保持された最終修復物66(
図4a−d及び6参照)及びねじで保持された最終修復物68(
図5a−c及び6参照)の両方を選択的に支持する。言い換えれば、セメントで保持された最終修復物及びねじで保持された最終修復物のいずれかが、同じ軟組織レベルアバットメント部10を使用して支持されることができる。また、アバットメントシステム12は、カバーねじ70(
図3参照)、印象用コーピング、バー等のような他のねじで保持された補綴要素を支持することができる。
【0055】
本発明はまた、二片からなる軟組織レベル歯科インプラントとして考えられることができ、そこでは二片は(骨レベル)歯科インプラント40及び(軟組織レベル)アバットメント部10である。
【0056】
図3では、カバーねじ70が軟組織レベルアバットメント部10に取り付けられている。カバーねじ70は、アバットメントねじ56の雌ねじ付き部62との係合のための雄ねじ付き部(図示せず)を持つことができる。カバーねじ70はさらに、カバーねじ70と軟組織レベルアバットメント部10の間の効果的な封止を作るために、軟組織レベルアバットメント部10の平坦な周囲頂面18と整合する平坦な周囲表面を持つことができる。カバーねじ70の頂部は、軟組織を損傷しないようにわずかに丸くすることができる。
【0057】
図4a−dでは、アバットメントシステム12はさらに、冠状アバットメント部72を含む。冠状アバットメント部72は、さらなるねじ74によって軟組織レベルアバットメント部10に取り付けられるように適合される。さらなるねじ74はまた、アバットメントシステム12内に含まれることができる。
【0058】
冠状アバットメント部72は、アバットメント部10と72の間の効果的な封止が達成されることができるように、
図4b及び4dに見られるように、軟組織レベルアバットメント部10の冠状端14と少なくとも部分的に整合する尖状端76を持つ。冠状アバットメント部72はさらに、その冠状端80と尖状端76の間に延びる内孔78を含む。内孔78には、座部82がある。冠状アバットメント部72はさらに、歯冠またはブリッジのようなセメントで保持された最終修復物(
図4a−dには図示せず)を支持するために適合されている。この目的のために、冠状アバットメント部72の外部表面84は、セメントを収容するための一つまたは複数の縦溝86を含むことができる。外部表面84はまた、複数の(より小さい)横溝及び隆起87を含むことができる。さらに、冠状アバットメント部72は、冠状アバットメント部72が軟組織レベルアバットメント部10に取り付けられるときに平坦な周囲頂面18の一部分が露出したままであるように設計されることができる。平坦な周囲頂面18の露出した部分はまた、セメントで保持された最終修復物のための支持部としての役目をすることができる。
【0059】
使用時に、冠状アバットメント部72は、さらなるねじ74によって軟組織レベルアバットメント部10に取り付けられる。さらなるねじ74は、アバットメントねじ56の雌ねじ付き部62と係合するための尖状雄ねじ付き部88を持つ。また、さらなるねじ74は、冠状アバットメント部72の座部82に対して載るヘッド90を持つ。ヘッド90は、冠状ツールソケット92を持つことができる。さらなるねじ74を締めつけると、冠状アバットメント部72は、軟組織レベルアバットメント部10にしっかりと取り付けられる。その後、セメントで保持された最終修復物は、それ自体知られた態様で冠状アバットメント部72の頂部にセメント固定されることができる。
【0060】
図5a−cは、さらなるねじ74によって軟組織レベルアバットメント部10に取り付けられたねじで保持された最終修復物68を示す。
図5a−cのねじで保持された最終修復物68は歯冠として具体化されているが、それはまたブリッジ等であることができる。
【0061】
ねじで保持された最終修復物68は、軟組織レベルアバットメント部10とねじで保持された最終修復物68の間の効果的な封止が達成されることができるように、特に
図5b−cに見られるように、軟組織レベルアバットメント部10の冠状端14と少なくとも部分的に整合する尖状端94を持つ。ねじで保持された最終修復物68は、ねじで保持された最終修復物68が軟組織レベルアバットメント部10に取り付けられるときに平坦な周囲頂面18のどの部分も露出されたままにならないように設計されることができる。これは、ねじで保持された最終修復物68と軟組織レベルアバットメント部10の間の滑らかな移行を確保する。ねじで保持された最終修復物68はさらに、その冠状端98と尖状端94の間に延びる内孔96を含む。内孔96には、座部100がある。
【0062】
使用時に、ねじで保持された最終修復物68は、さらなるねじ74によって軟組織レベルアバットメント部10に直接取り付けられる。さらなるねじ74は、アバットメントねじ56の雌ねじ付き部62と係合するための尖状雄ねじ付き部88を持つ。また、さらなるねじ74は、ねじで保持された最終修復物68の座部100に対して載るヘッド90を持つ。ヘッド90は、冠状ツールソケット92を持つことができる。さらなるねじ74を締めつけると、ねじで保持された最終修復物68は、軟組織レベルアバットメント部10にしっかりと取り付けられる。その後、内孔96の開放部は、充填剤(図示せず)で満たされることができる。
【0063】
図6を参照すると、アバットメントシステム12は以下の方法で使用されることができる:
【0064】
最初に、骨レベル歯科インプラント40が、外科医によりそれ自体知られた態様で患者の顎骨46内に設置される(a)。歯科インプラント40は、歯科インプラント40の冠状端42が実質的に顎骨46の上縁と同レベルであるように設置されるべきである。
【0065】
次いで、設置後に、軟組織レベルアバットメント部10が、アバットメントねじ56によって外科医により歯科インプラント40に取り付けられる(b)。この軟組織レベルアバットメント部10は、通常、それがインプラント40に取り付けられた後に除去されないだろう。軟組織レベルアバットメント部10は、歯科インプラント40が設置された直後に歯科インプラント40に取り付けられることができる。
【0066】
補綴専門家(それは典型的には外科医と同じ人ではない)が、その後、使用されるべきであるセメントで保持された最終修復物66及びねじで保持された最終修復物68のどちらかの一つを決定または選択するかは自由である(c)。これは、本システムを非常にフレキシブルなものにする。
【0067】
選択された最終修復物が、次いで、
図4a−dまたは
図5a−cに関して述べられたように、すなわち軟組織レベルアバットメント部10を除去する必要なしに、かついかなる軟組織封止も破壊することなしに、取り付けられることができる(d)。また、カバーねじまたは印象コーピングを軟組織レベルアバットメント部10に取り付けるようないかなる中間操作もいかなる軟組織封止も破壊することなしに実行されることができる。工程(d)は、歯科インプラント40のオッセオインテグレーションを可能にするために工程(b)(軟組織レベルアバットメント部10の取り付け)の後の数週間または数ヶ月で実施されることができる。これに代えて、即時/早期の装着プロトコルが使用されることができる。
【0068】
さらに、異なる直径(幅)及び/または異なる高さを持つ複数の軟組織レベルアバットメント部10が、種々の臨床状況を満たすために準備されることができる。これは、本システム及び方法を一体片の軟組織レベル歯科インプラントシステムよりフレキシブルなものにする。
【0069】
当業者は、本発明が上述の好適な実施態様に決して限定されないことを理解する。逆に、多くの修正及び改変が添付の請求項の範囲内で可能である。
【国際調査報告】