【実施例】
【0224】
レイン(1)は、Nanjing ZeLang Medical Technology Co.LTD、Chinaから購入し、それ以上精製することなく直接使用した。他の出発材料および溶媒は、AldrichおよびAcrosから購入した。いくつかの出発材料、例えば、11、および化合物15のBoc保護されたアミン、および35は、自前で調製した。
1Hスペクトルは、TMS(δ=0.00ppm)を有する重水素化溶媒においてBruker400NMR分光計で得た。全ての反応について、分析用溶媒を使用した。無水溶媒を、全ての水分感受性反応のために使用した。
【0225】
(実施例1)
1,8−ジヒドロキシレイン類似体の合成
1,8−ジヒドロキシ−3−アミノ−アントラキノン(3)の合成
化合物1(500mg、1.7mmol)を乾燥した丸底フラスコ中で無水ジメチルホルムアミド(DMF、6mL)中に懸濁させ、0℃に冷却した。トリエチル酢酸(TEA)(490μL、3.5mmol)を、0℃で加えた。1が完全に溶解した後、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA、400μL、1.8mmol)を滴下で添加した。反応混合物を、室温で20分間撹拌した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)は、出発材料の完全な消費を示した。溶媒を真空中で蒸発させ、得た油状物をヘキサンおよび酢酸エチルの2:1比の混合物を溶離液として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。200mgの黄褐色の粉末を得た。
【0226】
化合物2を1,4−ジオキサン(4mL)に溶解させ、還流させながら2時間撹拌した。溶液の色が褐色から明赤色になった後、TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)は、生成物の形成を示した。1,2−ジオキサンの容量は、rotavaporを使用して半分に低減させた。2NのNaOH(4mL)を溶液に加え、微細な沈殿物が形成された。懸濁液を還流させながらさらに2時間撹拌した。溶液を冷却し、1NのHClを加えることによって中和した。沈殿物は微細すぎて、濾過することができなかった。そのため、これをジクロロメタン(DCM、3×10mL)を使用することによって抽出し、水(2×5mL)およびブライン(1×5mL)で洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。得られた残渣は、明赤色の粉末である。これを、溶離液であるヘキサンおよび酢酸エチルの10:1比の混合物でのシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して精製した(50mg、31%収率)。
1H NMR (アセトン − d
6): δ 12.04 (s, 1H), 12.27 (s, 1H), 7.67 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.56− 7.50 (m, 2H), 7.27− 7.23 (m, 1H), 7.14−(d, 1H, J = 2.0 Hz), 6.37 (d, 1H, J = 2.0 Hz);MS:m/z[M−H]
− C
14H
9NO
4の計算値254.01、実測値254.04。
【0227】
1,8−ジヒドロキシ−3−(2’−クロロ−アセトアミド)−アントラキノン(5)
クロロ酢酸クロリド(23μL、0.3mmol)を、(3)(50mg、0.2mmol)の無水1,4−ジオキサン(5mL)溶液中にゆっくりと注入した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物に続いてTLC(DCM:MeOH=10:1)を行い、H
2O(20mL)で希釈し、懸濁液をCH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をDCM:MeOH(60:1)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、橙色の固体生成物を得た(20mg、30%収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 12.02 (s, 1H), 11.06 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.809− 7.79 (m, 2H), 7.74− 7.72 (m, 1H), 7.33− 7.31 (m, 1H), 4.36 (d, 2H, J = 1.2 Hz);MS:m/z[M−H]
− C
16H
10ClNO
5の計算値330.00、実測値330.10。
【0228】
1,8−ジヒドロキシ−3−(2’−ブロモ−アセトアミド)−アントラキノン(6)
ブロモ酢酸ブロミド(26μL、0.3mmol)を、(3)(50mg、0.2mmol)の無水1,4−ジオキサン(5mL)溶液中にゆっくりと注入した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物に続いてTLC(DCM:MeOH=10:1)を行い、H
2O(20mL)で希釈し、懸濁液をCH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。生成物をDCM:酢酸エチル(20:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(18mg、30%収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 12.05 (s, 1H), 10.18 (s, 1H), 7.88 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.82− 7.80 (m, 2H), 7.78−7.76 (m, 1H), 7.35 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.14 (s, 2H);MS:m/z[M−H]
− C
16H
10BrNO
5の計算値392.9、実測値392.1。
【0229】
1,8−ジヒドロキシ−3−(2’−ヨード−アセトアミド)−アントラキノン(7)
塩化ヨードアセチル(27μL、0.3mmol)を、(3)(50mg、0.2mmol)の無水1,4−ジオキサン(5mL)溶液中にゆっくりと注入した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応に続いてTLC(DCM:MeOH=10:1)を行い、完了後、H
2O(20mL)で希釈し、懸濁液をCH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物をDCM:MeOH(1:0、60:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(24mg、33%収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 11.96 (s, 1H), 11.85 (s, 1H), 7.80 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 7.75 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.60−7.58 (m, 2H), 7.38 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 3.87 (s, 2H);MS:m/z[M−H]
+ C
16H
10INO
5の計算値422.9、実測値422.1。
【0230】
1,8−ジヒドロキシ−3−(2’−アミド−7’−アミノ)−アントラキノン(16)
(15)のBoc保護されたアミン(200mg、0.4mmol)を、DCM(5mL)中に懸濁させた。トリフルオロ酢酸を加え(5mL)、溶液を室温で撹拌し、それに続いて完全な脱保護が達成されるまでTLC(DCM:MeOH=10:1)を行った。有機層を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。残渣をDCM:MeOH(10:1、8:1、1:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(142mg、定量的収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 8.96 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 8.14 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.81− 7.74 (m, 1H), 7.73−7.71 (m, 2H), 7.40− 7.38 (m, 1H), 3.38 (d, 2H, J = 5.6 Hz), 2.80 (s, 2H), 2.45 (s, 2), 1.57 (s, 4H);
【0231】
1,8−ジヒドロキシ−3−(9’−クロロ−アセタ−2’,7’ジアミド)−アントラキノン(17)
クロロ酢酸クロリド(24μL、0.21mmol)を、16(50mg、0.14mmol)の無水1,4−ジオキサン(5mL)溶液中にゆっくりと注入した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応に続いてTLC(DCM:MeOH=10:1)を行い、完了後、H
2O(20mL)で希釈し、懸濁液をCH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。残渣をDCM:メタノール(60:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(22mg、36%収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 11.92 (s, 2H), 8.23 (s, 1H), 7.86− 7.84 9(m, 1H), 7.77 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.43 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.03 (s, 2H), 3.24− 3.20 (m, 2H), 3.25− 3.18 (m, 1H), 1.54− 1.50 (m, 2H), 1.49− 1.45 (m, 2H);MS:m/z[M+H]
+ C
21H
19ClN
2O
6の計算値431.1、実測値431.2。
【0232】
1,8−ジヒドロキシ−3−(9’−ブロモ−アセタ−2’,7’ジアミド)−アントラキノン(18)
ブロモアセチルN−ヒドロキシスクシンイミド(39.4mg、0.17mmol)の無水1,4−ジオキサン(1mL)溶液を、16(50mg、0.14mmol)の無水ジオキサン(5mL)溶液中にゆっくりと注入した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応に続いてTLC(DCM:MeOH=10:1)を行い、完了後、H
2O(20mL)で希釈し、懸濁液をCH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物をDCM:メタノール(60:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(21mg、32%収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 11.9 (s, 2H), 8.91 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 8.24 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 8.16 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.84− 7.80 (m, 1H), 7.76−7.63 (m, 2H), 7.41− 7.35 (m, 1H), 4.0 (s, 1H), 3.15− 3.10 (m, 2H), 2.52 (m, 2H), 1.51− 1.43 (m, 4H);MS[M+H]
+ C
21H
19BrN
2O
6の計算値475.04、実測値475.1。
【0233】
1,8−ジヒドロキシ−3−(6’,9’,12’−トリオキサ−2’,16’−トリデカンジアミノ)−アントラキノン(20)
レイン(1)(500mg、1.8mmol)を乾燥DCMに溶解させ、0℃に冷却した。NHS(202mg、1.9mmol)を加え、反応混合物を5分間撹拌し、それに続きEDCI(278mg、1.8mmol)を加えた。反応をTLC(DCM:MeOH=8:1)によってモニターし、4時間撹拌した。反応混合物に、35(624mg、1.9mmol)、それに続いてTEA(183μL、1.3mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。TLCが出発材料の消費を示した後、有機溶媒を真空中で濃縮した。残渣を、DCM:MeOH=10:1間の混合物からなる溶離液によるシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。940mgの褐色の油状物を得た。Boc保護されたアミン19(500mg、0.9mmol)を、DCM(7mL)中に懸濁させた。TFA(7mL)を加え、溶液を室温で一晩撹拌した。反応に続いてTLC(DCM:MeOH=8:1)を行った。有機層を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。残渣をDCM:MeOH(10:1、8:1、1:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(438mg、定量的収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 7.9(s, 1H), 7.66− 7.60 (m, 2H), 7.54 (s, 1H), 7.28 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 3.61−3.52 (m, 13H), 3.43 (t, 2H, J = 6.4 Hz), 3.22 (s, 2H), 3.08 (t, 2H, J = 6.3 Hz), 1.91− 1.84 (m, 4H).
【0234】
1,8−ジヒドロキシ−3−(18’−クロロ−アセタ−6’,9’,12’−トリオキサ−2’,16’−トリデカンジアミド)−アントラキノン(21)
クロロ酢酸クロリド(24μL、0.3mmol)を、20(90mg、0.2mmol)の無水1,4−ジオキサン(5mL)溶液中にゆっくりと注入した。混合物を室温で30分間撹拌した。反応に続いてTLC(DCM:MeOH=10:1)を行った。有機層を真空中で濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して残渣を精製した。化合物をDCM:メタノール(60:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(11mg、30%収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 8.23 (s, 1H), 7.86− 7.81 (m, 1H), 7.79−7.73 (m, 2H), 7.45− 7.41 (m, 1H), 4.01 (s, 2H), 3.42− 3.51 (m, 14H), 3.40 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.15− 3.10 (m, 2H), 1.73 (t, 2H, J = 6.2 Hz), 1.67 (t, 2H, J = 6.2 Hz);MS:m/z[M−H]
+ C
27H
31ClN
2O
9の計算値563.1、実測値563.3。
【0235】
1,8−ジヒドロキシ−3−(18’−ブロモ−アセタ−6’,9’,12’−トリオキサ−2’,16’−トリデカンジアミド)−アントラキノン(22)
ブロモアセチルN−ヒドロキシスクシンイミド(79mg、0.3mmol)を、(20)(80mg、0.2mmol)の無水1,4−ジオキサン(5mL)溶液中にゆっくりと注入した。混合物を室温で1時間撹拌した。反応に続いてTLC(DCM:MeOH=10:1)を行い、0.5当量のTEAを加えた。反応物をH
2O(2mL)で希釈し、懸濁液をCH
2Cl
2(2×20mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して残渣を精製した。化合物をDCM:メタノール(1:0、60:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(47mg、39%収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 11.90 (s, 2H), 8.18 (s, 1H), 7.83 (t, 1H, J = 8.4 Hz), 7.61−7.45 (m, 2H), 7.42− 7.40 (m, 1H), 4.02 (s, 2H), 3.52− 3.45 (m, 14H), 3.39 (t, 2H, J = 6.2 Hz), 3.17− 3.08 (m, 2H), 1.82− 1.75 (m, 2H), 1.67− 1.61 (m, 2H);MS:m/z[M−H]
− C
27H
31BrN
2O
9の計算値607.1、実測値606.3。
【0236】
1,8−ジヒドロキシ−3−(18’−ヨード−アセタ−6’,9’,12’−トリオキサ−2’,16’−トリデカンジアミド)−アントラキノン(23)
塩化ヨードアセチル(25μL、0.3mmol)を、20(90mg、0.2mmol)の無水1,4−ジオキサン(5mL)溶液中にゆっくりと注入した。混合物を室温で1時間撹拌した。反応に続いてTLC(DCM:MeOH=10:1)を行った。有機層を真空中で濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して残渣を精製した。生成物をDCM:メタノール(60:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(26mg、20%収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 8.12 (d, 1H, J = 1.6), 7.79− 7.73 (m, 2H), 7.68−7.67 (m, 1H), 7.33− 7.31 (m, 1H), 3.68− 3.60 (m, 11H), 3.57− 3.47 (m, 7H), 3.36− 3.31 (m, 1H,), 3.26− 3.21 (m, 1H), 1.94− 1.88 (m, 2H), 1.80− 1.71 (m, 2H);MS:m/z[M−H]
+ C
27H
31IN
2O
9の計算値655.1、実測値655.3。
【0237】
チオフェノール脱メチル化による24a、26a〜fの合成のための一般手順
乾燥NMP(4mL)中の1,8−ジメトキシ−アントラキノン化合物(0.07mmol)、PhSH(0.40mmol)、およびK
2CO
3(0.40mmol)の混合物を、N
2下で140〜160℃にて20〜60分間加熱した。次いで、混合物をH
2O(150mL)で希釈した。水性懸濁液を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、真空中で濃縮した。残渣を、酢酸エチル/ヘキサン溶媒系を溶離液として使用してシリカゲルカラムで精製した。
【0238】
1,8−ジヒドロキシ−3−(フェニルチオ)−アントラキノン(24a)。収量:10mg、54%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 12.10 (s, 1H), 12.09 (s, 1H), 7.80−7.77 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.65 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.60−7.57 (m, 3H), 7.50 (d, 2H, J = 1.6 Hz), 7.48 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.30−7.27 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 6.80 (d, 1H, J = 1.6 Hz);
13C NMR (CDCl
3): δ = 192.0, 181.8, 163.1, 162.6, 152.9, 137.1, 135.5, 133.6, 133.5, 130.4, 129.4, 125.0, 120.2, 119.6, 118.1, 116.1, 113.2;HRMS:m/z[M−H]
− C
20H
11O
4Sの計算値347.0378、実測値347.0377。
【0239】
1,8−ジヒドロキシ−3−(3’,5’−ジメチル−イソオキサゾール−4’−イル)−アントラキノン(26a)。収量:10mg、41%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 12.12 (s, 1H), 12.06 (s, 1H), 7.85 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 7.75 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.72 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.20 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 2.53 (s, 3H), 2.38 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 192.7, 181.7, 167.1, 163.0, 162.8, 140.4, 137.6, 134.3, 133.7, 125.1, 123.8, 120.4, 120.3, 116.0, 115.3, 115.0, 12.3, 11.3;HRMS:m/z[M−H]
− C
19H
12O
5Nの計算値334.0715、実測値334.0709。
【0240】
1,8−ジヒドロキシ−3−(チオフェン−2’−イル)−アントラキノン(26b)。収量:10mg、47%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 12.05 (s, 2H), 8.07 (s, 1H), 7.86 (d, 1H, J = 6.8 Hz), 7.66 (t, 1H, J = 7.6 Hz), 7.58 (s, 1H), 7.46 (m, 2H), 7.29 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.15 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 192.4, 181.9, 163.6, 163.0, 143.4, 142.1, 137.2, 134.7, 134.1, 128.9, 128.5, 126.7, 125.0, 120.3, 119.8, 117.7, 116.4, 115.0;HRMS:m/z[M−H]
− C
18H
9O
4Sの計算値321.0222、実測値321.0236。
【0241】
1,8−ジヒドロキシ−3−(4’−ジメチルアミノ−3’−メチルフェニル)−アントラキノン(26c)。収量:20mg、71%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 12.13 (s, 1H), 12.05 (s, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.81 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 7.64 (t, 1H, J = 8.4 Hz), 7.53−7.49 (m, 2H), 7.42 (s, 1H), 7.26 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.06 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 2.80 (s, 6H), 2.40 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 192.3, 182.1, 163.2, 162.6, 154.5, 150.0, 137.0, 133.9, 133.8, 132.2, 131.4, 130.3, 125.5, 124.7, 120.7, 120.2, 118.7, 118.6, 116.2, 114.2, 44.0, 19.2;HRMS:m/z[M+H]
+ C
23H
20O
4Nの計算値374.1392、実測値374.1397。
【0242】
1,8−ジヒドロキシ−3−(6’−フェニルチオ−ピリジン−3’−イル)−アントラキノン(26d)。収量:11mg、47%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 12.01 (s, 1H), 11.98 (s, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.00 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.83 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.74 (dd, 1H, J
1 = 2.4 Hz, J
2 = 8.4 Hz), 7.68−7.62 (m, 3H), 7.45−7.43 (m, 4H), 7.29 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 8.4 Hz), 7.03 (d, 1H, J = 8.4 Hz);
13C NMR (CDCl
3): δ = 192.8, 181.7, 163.6, 163.4, 163.0, 148.2, 146.7, 137.5, 135.4, 135.1, 134.8, 134.0, 130.9, 130.5, 130.0, 129.7, 125.1, 121.5, 121.4, 120.4, 118.4, 116.3, 115.5;HRMS:m/z[M+H]
+ C
25H
16NO
4Sの計算値426.0800、実測値426.0800。
【0243】
1,8−ジヒドロキシ−3−(4’−t−ブトキシメチル−フェニル)−アントラキノン(26e)。収量:22mg、78%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 12.08 (s, 1H), 12.04 (s, 1H), 8.04 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.81 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.67−7.63 (m, 3H), 7.48 (s, 1H), 7.45 (m, 2H), 7.27 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 4.51 (s, 2H), 1.33 (s, 9H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 192.6, 181.9, 163.1, 162.7, 150.0, 141.9, 137.2, 137.1, 134.0, 133.8, 128.2, 127.4, 124.8, 121.7, 120.3, 119.0, 116.1, 114.7, 73.9, 63.9, 27.9;HRMS:m/z[M+H]
+ C
25H
23O
5の計算値403.1545、実測値403.1543。
【0244】
1,8−ジヒドロキシ−3−(4’−メトキシフェニル)−アントラキノン(26f)。収量:18mg、61%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 12.06 (s, 1H), 12.00 (s, 1H), 8.05 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.83 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 7.64 (m, 3H, J
1 = 8.8 Hz, J
2 = 7.2 Hz), 7.44 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.27 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.00 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 3.87 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 192.7, 182.1, 163.5, 162.9, 161.4, 150.0, 137.1, 134.4, 134.2, 131.0, 128.8, 124.8, 121.0, 120.2, 118.7, 116.5, 115.0, 114.6, 55.7;HRMS:m/z[M−H]
− C
21H
13O
5の計算値345.0763、実測値345.0767。
【0245】
1,8−ジヒドロキシ−3−(4’−ヒドロキシフェニル)−アントラキノン(26g)。乾燥NMP(1mL)中の6f(15mg、0.043mmol)、PhSH(13μL、0.13mmol)、およびK
2CO
3(36mg、0.26mmol)の混合物を、N
2下で170〜180℃にて1時間加熱した。次いで、混合物をH
2Oで希釈し、HCl(5M)で酸性化した。水性懸濁液を酢酸エチルで抽出し、次いで、真空中で濃縮した。残渣を、酢酸エチル/ヘキサン(1:4)を使用したシリカゲルカラムで精製した。収量:4mg、28%。
1H NMR (DMSO): δ = 11.97 (s, 2H), 9.99 (s, 1H), 7.90 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.80 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.73−7.70 (m, 3H), 7.56 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.38 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 8.0 Hz), 6.92 (d, 2H, J = 8.4 Hz);
13C NMR (DMSO): δ = 191.2, 181.4, 162.1, 161.3, 159.2, 148.6, 137.3, 133.7, 133.3, 128.6, 127.8, 124.5, 119.6, 119.4, 116.7, 116.1, 114.0;HRMS:m/z[M−H]
− C
20H
11O
5の計算値331.0606、実測値331.0614。
【0246】
1,8−ジヒドロキシ−3−アミノ−アントラキノン(MG10)。乾燥NMP(100mL)中の3(1.7g、6.0mmol)、PhSH(3.3mL、30mmol)、およびK
2CO
3(4.1g、30mmol)の混合物を、N
2下で150〜160℃にて1時間加熱した。次いで、混合物をCH
2Cl
2で希釈し、ブラインで洗浄した。有機層を真空中で濃縮した。残渣をH
2O(250mL)およびヘキサン(250mL)で希釈した。深紅色の沈殿物が有機/水性界面において形成され、濾過によって生成物として集めた(1.5g、98%)。
1H NMR (DMSO): δ = 12.42 (s, 1H), 12.23 (s, 1H), 7.70−7.63 (m, 2H), 7.30 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.16 (s, 2H), 7.04 (s, 1H), 6.25 (s, 1H);
13C NMR (DMSO): δ = 187.5, 181.9, 164.9, 161.0, 157.5, 135.9, 134.7, 133.1, 124.3, 119.0, 115.9, 108.6, 105.4, 102.0;HRMS:m/z[M−H]
− C
14H
8O
4Nの計算値254.0453、実測値254.0441。
【0247】
9a〜dの合成のための一般手順
乾燥ジオキサン(9mL)中の3(MG1)(0.3mmol)および第二級アミン(1.5mmol)の混合物を、80〜90℃で2時間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を最小量のCH
2Cl
2に溶解させた。次いで、溶液をヘキサン(2倍の容量)で希釈し、−20℃で貯蔵した。沈殿が観察された。濾過後に黄色の固体を生成物として得た。
【0248】
1,8−ジヒドロキシ−3−(2’−ジエチルアミノ−アセトアミド)−アントラキノン(9a)。収量:42mg、36%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 12.16 (s, 2H), 9.90 (s, 1H), 8.03 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.82 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.66 (t, 1H, J
1 = 7.6 Hz, J
2 = 8.4 Hz), 7.57 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.29 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 3.21 (s, 2H), 2.69 (q, 4H, J = 7.2 Hz), 1.12 (t, 6H, J = 7.2 Hz);
13C NMR (CDCl
3): δ = 191.4, 181.9, 171.2, 164.9, 162.7, 145.6, 136.9, 134.8, 133.7, 125.1, 120.2, 116.1, 112.5, 112.1, 111.2, 58.2, 49.2, 12.6;HRMS:m/z[M−H]
− C
20H
19O
5N
2の計算値367.1294、実測値367.1296。
【0249】
1,8−ジヒドロキシ−3−(2’−(4”−メチルピペラジン−1”−イル)−アセトアミド)−アントラキノン(9b)。収量:54mg、45%。
1H NMR (DMSO): δ = 11.97 (s, 2H), 10.51 (s, 1H), 7.97 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.80−7.76 (m, 2H), 7.72−7.70 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.37−7.35 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 8.4 Hz), 3.38 (s, 2H), 3.22 (s, 4H), 2.90 (s, 4H), 2.75 (s, 3H);
13C NMR (DMSO): δ = 190.0, 180.9, 168.9, 162.7, 161.1, 146.2, 136.7, 134.0, 133.1, 124.1, 119.1, 115.6, 111.3, 110.9, 59.8, 52.3, 48.8, 42.0;HRMS:m/z[M+H]
+ C
21H
22O
5N
3の計算値396.1559、実測値396.1556。
【0250】
1,8−ジヒドロキシ−3−(2’−モルホリノ−アセトアミド)−アントラキノン(9c)。収量:100mg、82%。
1H NMR (DMSO): δ = 11.80−11.40 (s, 広幅, 2H), 10.47 (s, 1H), 7.90 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.78−7.74 (m, 2H), 7.66 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 3.66 (t, 4H, J = 4.4 Hz), 3.22 (s, 2H), 2.54 (t, 4H, J = 4.4 Hz);
13C NMR (DMSO): δ = 190.2, 181.1, 169.6, 163.0, 161.3, 146.5, 137.0, 134.1, 133.2, 124.4, 119.4, 115.7, 111.4, 111.1, 66.0, 62.0, 53.1;HRMS:m/z[M+H]
+ C
20H
19O
6N
2の計算値383.1243、実測値383.1228。
【0251】
1,8−ジヒドロキシ−3−(2’−ピペリジニル−アセトアミド)−アントラキノン(9d)。収量:55mg、47%。
1H NMR (DMSO): δ = 12.50−11.50 (s, 広幅, 2H), 9.65 (s, 1H), 7.92 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.81−7.78 (dd, 2H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.64−7.60 (m, 2H), 7.27−7.25 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 3.11 (s, 2H), 2.58 (t, 4H, J = 5.2 Hz), 1.69 (m, 4H), 1.53 (t, 2H, J = 5.6 Hz);
13C NMR (DMSO): δ = 191.6, 181.8, 169.9, 165.0, 162.9, 145.9, 136.9, 135.1, 134.0, 125.0, 120.2, 116.3, 112.7, 112.3, 111.3, 63.1, 55.3, 26.5, 23.8;HRMS:m/z[M+H]
+ C
21H
21O
5N
2の計算値381.1450、実測値381.1442。
【0252】
(実施例2)
1,8−ジメトキシレイン類似体の合成
1,8−ジメトキシ−3−(2’−クロロ−アセトアミド)−アントラキノン(12)
クロロ酢酸クロリド(21μL、0.2mmol)を、(11)(50mg、0.17mmol)の無水1,4−ジオキサン(5mL)溶液中にゆっくりと注入した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応に続いてTLC(DCM:MeOH=10:1)を行い、完了後、H
2O(20mL)で希釈し、懸濁液をCH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。これをDCM:MeOH(60:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(8mg、30%収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 10.81 (s, 1H), 7.93 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.82 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.76− 7.682 (m, 2H), 7.55−7.529 (m, 1H), 4.34 (s, 2H), 3.93 (d, 6H, J = 7.6 Hz);MS:m/z[M+H]
+ C
18H
14ClNO
5の計算値360.0、実測値360.2。
【0253】
1,8−ジメトキシ−3−(2’−ブロモ−アセトアミド)−アントラキノン(13)
ブロモ酢酸ブロミド(23μL、0.26mmol)を、(11)(50mg、0.17mmol)の無水1,4−ジオキサン(5mL)溶液中にゆっくりと注入した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応に続いてTLC(DCM:MeOH=10:1)を行い、完了後、H
2O(20mL)で希釈し、懸濁液をCH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物をDCM:MeOH(1:0、60:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(13mg、20%収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 10.95 (s, 1H), 7.91 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.82 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.76− 7.68 (m, 2H), 7.55−7.53 (m, 1H), 4.10 (s, 2H), 3.95 (d, 6H, J = 7.2 Hz);MS:m/z[M+H]
+ C
18H
14BrNO
5の計算値405.2、実測値405.2。
【0254】
1,8−ジメトキシ−3−(2’−ヨード−アセトアミド)−アントラキノン(14)
塩化ヨードアセチル(24μL、0.26mmol)を、(11)(50mg、0.17mmol)の無水1,4−ジオキサン(5mL)溶液中にゆっくりと注入した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応に続いてTLC(DCM:MeOH=10:1)を行い、完了後、H
2O(20mL)で希釈し、懸濁液をCH
2Cl
2(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。残渣をDCM:MeOH(1:0:60:1)で溶出した。橙色の固体を生成物として得た(27mg、35%収率)。
1H NMR (DMSO − d
6): δ 7.92 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.78 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.76− 7.66 (m, 2H), 7.48−7.46 (m, 1H), 3.93 (d, 6H, J = 5.2 Hz), 3.87 (s, 2H);MS:m/z[M+H]
+ C
18H
14INO
5の計算値451.9、実測値452.0。
【0255】
1,8−ジメトキシ−3−メチルカルボキシレート−アントラキノン。
レイン(10g、35mmol)を丸底フラスコ中で乾燥DMF(300mL)中に懸濁させ、氷浴中でN
2下にて冷却した。次いで、水素化ナトリウム(9g、鉱油中に分散60%、225mmol)を加えた。混合物の色は、黄色から深紅色となった。反応フラスコの出口を、鉱油でシールしたバブラーに接続した。泡立ちが安定した遅いスピードに達すると、ヨードメタン(18mL、290mmol)をシリンジを通して一回で加えた。混合物を氷浴中に保持した。氷が融解するにつれ、反応温度は室温にゆっくりと上昇した。一晩撹拌した後、反応混合物をH
2O(1L)で希釈した。水性懸濁液をCH
2Cl
2で繰り返し抽出した。有機層を合わせ、約250mLに濃縮した。MeOH(4倍の容量)を加え、溶液を希釈し、混合物を冷蔵庫中で4℃で冷却した。溶液からの沈殿物を濾過し、黄色の固体を生成物として得た(8.9g、77%)。
1H NMR (CDCl
3): δ = 8.46 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.94 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.87−7.85 (dd, 1H, J
1 = 0.8 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.67 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 8.4Hz), 4.07 (s, 3H), 4.02 (s, 3H), 4.00 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 183.3, 182.4, 165.6, 159.7, 135.0, 134.9, 134.8, 134.4, 126.9, 124.0, 120.0, 119.2, 118.4, 118.3, 56.9, 56.7, 52.9;HRMS:m/z[M+H]
+ C
18H
15O
6の計算値327.0869、実測値327.0857。
【0256】
1,8−ジメトキシ−3−カルボキシ−アントラキノン。
1,8−ジメトキシ−3−メチルカルボキシレート−アントラキノン(8.9g、27mmol)を、EtOH(45mL)中に懸濁させた。次いで、EtOH/H
2O(0.46M、90mL、1:1v/v)中のNaOH溶液を加えた。混合物を50℃にて1時間撹拌し、反応物の色は黄色から深紅になった。懸濁液を氷浴中で冷却し、HCl(1M)で酸性化した。溶液の色は淡黄色に変化し、沈殿が観察された。沈殿物を濾過し、黄色の固体を生成物として得た(8.9g、100%)。
1H NMR (DMSO): δ = 8.17 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.89 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.76−7.69 (m, 2H), 7.54 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 3.99 (s, 3H), 3.93 (s, 3H);
13C NMR (DMSO): δ = 182.5, 180.6, 165.6, 158.8, 158.7, 135.4, 134.3, 134.2, 133.9, 126.1, 123.4, 119.1, 118.4, 118.2, 118.1, 56.4, 56.3;HRMS:m/z[M−H]
− C
17H
12O
6の計算値311.0556、実測値311.0547。
【0257】
1,8−ジメトキシ−アントラキノン−3−カルボキシルアジド(2)。
1,8−ジメトキシ−3−カルボキシ−アントラキノン(8.9g、28mmol)を、Et
3N(4.1mL、57mmol)と一緒にDMF(93mL)に溶解させた。溶液は赤紫色となり、氷浴中で冷却した。ジフェニルホスホリルアジド(6.2mL、29mmol)を、撹拌しながら溶液中に滴下で添加した。その後、溶液を室温にて1時間撹拌し、H
2O(1.2L)で希釈した。懸濁液を濾過し、淡黄色の固体を生成物として得た(9.0g、94%)。
1H NMR (CDCl
3): δ = 8.43 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.90 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.86−7.84 (dd, 1H, J
1 = 0.8 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.67 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.07 (s, 3H), 4.02 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 183.1, 182.3, 171.4, 159.9, 159.8, 135.3, 135.1, 134.7, 134.6, 127.8, 124.0, 120.0, 119.3, 118.5, 117.6, 57.1, 56.8;HRMS:m/z[M+H]
+ C
17H
12N
3O
5の計算値338.0777、実測値338.0769。
【0258】
1,8−ジメトキシ−3−アミノ−アントラキノン(3a)。
アシルアジド2(9.0g、27mmol)を、乾燥ジオキサン(200mL)中でN
2下にて30分間還流させた。TLCによるモニタリングでは2の消失を示した。混合物を真空中で濃縮し、NaOH(水)溶液(1M、400mL)で希釈した。懸濁液を4時間還流させ、次いで、室温に冷却した。溶液からの沈殿を濾過し、アセトンで洗浄した。濾過した溶液をCH
2Cl
2で繰り返し抽出した。有機層を合わせ、濃縮し、深紅色の固体を生成物として得た(4.0g、53%)。
1H NMR (CDCl
3): δ = 7.78 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.55 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.25 (m, 1H), 7.03 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 6.44 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 3.96 (s, 3H), 3.91 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 184.8, 181.8, 162.3, 159.8, 151.9, 136.6, 135.0, 133.3, 124.5, 119.1, 118.6, 115.7, 104.7, 102.7, 56.8, 56.5;HRMS:m/z[M+H]
+ C
16H
14NO
4の計算値284.0923、実測値284.0914。
【0259】
1,8−ジメトキシ−3−ヨード−アントラキノン(4)。
アミノアントラキノン3a(2.0g、7.1mmol)、亜硝酸イソペンチル(6.0mL、45mmol)およびジヨードメタン(15mL、186mmol)を混合し、乾燥THF(200mL)中でN
2下で50〜60℃にて2日間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムで精製した。生成物を酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で溶出した。溶媒を除去した後、黄色の固体を生成物として得た(1.4g、50%)。
1H NMR (CDCl
3): δ = 8.14 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.80−7.78 (dd, 1H, J
1 = 0.8 Hz, J
2 = 8.0 Hz), 7.64 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.60 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.30 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.00 (s, 3H), 3.99 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 182.9, 182.3, 159.7, 159.6, 135.0, 134.3, 128.2, 127.1, 123.8, 123.3, 119.2, 118.5, 100.7, 57.0, 56.7;HRMS:m/z[M+H]
+ C
16H
12O
4Iの計算値394.9780、実測値394.9785。
【0260】
4とRB(OH)
2との鈴木カップリングによる25a〜iの合成のための一般手順
乾燥DMF(5mL)中の4(0.13mmol)、RB(OH)
2(0.23mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.013mmol)およびK
2CO
3(0.38mmol)の混合物を、N
2下で70〜80℃にて1時間から一晩加熱した。次いで、混合物をCH
2Cl
2(40mL)で希釈し、H
2O(50mL、2回または3回)で洗浄した。有機層を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムで精製した。生成物を酢酸エチル/ヘキサンまたは酢酸エチル/CH
2Cl
2溶媒系で溶出した。溶媒を除去した後、最少量のCH
2Cl
2に溶解させ、次いでヘキサンの添加による沈殿によって固体をさらに精製した。
【0261】
1,8−ジメトキシ−3−(3’,5’−ジメチル−イソオキサゾール−4’−イル)−アントラキノン(25a)。収量:50mg、92%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 7.84−7.82 (dd, 1H, J
1 = 0.8 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.73 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.65 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.34−7.31 (dd, 1H, J
1 = 0.8 Hz, J
2 = 8.4 Hz), 7.14 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 4.02 (s, 3H), 4.01 (s, 3H), 2.48 (s, 3H), 2.33 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 183.9, 182.5, 166.5, 160.0, 159.7, 158.3, 136.7, 135.3, 134.8, 134.2, 124.0, 123.2, 119.3, 119.2, 118.5, 118.2, 115.8, 56.8, 56.7, 12.0, 11.1;HRMS:m/z[M+H]
+ C
21H
18NO
5の計算値364.1185、実測値364.1169。
【0262】
1,8−ジメトキシ−3−(チオフェン−2’−イル)−アントラキノン(25b)。収量:45mg、87%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 8.08 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.87−7.85 (dd, 1H, J
1 = 0.8 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.65 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.55−7.54 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 3.6 Hz), 7.46 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.43−7.42 (dd, 1H, J
1 = 0.8 Hz, J
2 = 5.2 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.17−7.15 (dd, 1H, J
1 = 4.8 Hz, J
2 = 3.6 Hz), 4.08 (s, 3H), 4.02 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 184.1, 182.4, 160.4, 159.8, 142.5, 139.9, 135.5, 134.9, 134.0, 128.7, 127.3, 125.6, 124.2, 122.8, 119.2, 118.5, 116.3, 114.6, 56.8, 56.7;HRMS:m/z[M+H]
+ C
20H
15O
4Sの計算値351.0691、実測値351.0682。
【0263】
1,8−ジメトキシ−3−(4’−ジメチルアミノ−3’−メチルフェニル)−アントラキノン(25c)。収量:63mg、100%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 8.05 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.86−7.84 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.62 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.51−7.48 (m, 2H), 7.45 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.31−7.29 (dd, 1H, J
1 = 0.8 Hz, J
2 = 8.4 Hz), 7.10 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.17−7.15 (dd, 1H, J
1 = 4.8 Hz, J
2 = 3.6 Hz), 4.07 (s, 3H), 4.01 (s, 3H), 2.77 (s, 6H), 2.41(s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 184.4, 182.8, 160.3, 159.7, 153.8, 146.9, 135.1, 135.0, 133.9, 132.8, 132.4, 130.2, 125.4, 124.3, 122.2, 119.2, 118.8, 118.3, 117.3, 115.9, 56.8, 56.7, 44.1, 19.1;HRMS:m/z[M+H]
+ C
25H
24O
4Nの計算値402.1705、実測値402.1704。
【0264】
1,8−ジメトキシ−3−(6’−フルオロピリジン−3’−イル)−アントラキノン(25d)。収量:46mg、99%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 8.53 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 8.10 (td, 1H, J
1 = 2.0 Hz, J
2 = 8.0 Hz), 8.01 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.86 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.67 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.42 (s, 1H), 7.33 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.01−7.07 (dd, 1H, J
1 = 2.8 Hz, J
2 = 8.8 Hz), 4.09 (s, 3H), 4.03 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 184.0, 182.5, 160.5, 159.8, 146.5, 146.3, 142.4, 140.2, 140.1, 135.6, 134.9, 134.3, 133.3, 124.1, 123.6, 119.3, 118.6, 117.6, 116.2, 110.3, 109.9, 57.0, 56.8;HRMS:m/z[M+H]
+ C
21H
15NO
4Fの計算値364.0985、実測値364.0977。
【0265】
1,8−ジメトキシ−3−(4’−t−ブトキシメチル−フェニル)−アントラキノン(25e)。収量:30mg、55%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 8.06 (s, 1H), 7.85 (s,1H, J = 5.2 Hz), 7.65 (s, 3H), 7.47 (s, 3H), 7.30 (m, 1H), 4.52 (s, 2H), 4.07 (s, 3H), 4.01 (s, 3H), 1.32 (s, 9H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 184.3, 182.8, 160.2, 159.7, 146.8, 141.1, 138.2, 135.2, 135.0, 134.0, 128.2, 127.3, 124.2, 122.7, 119.2, 118.3, 117.6, 116.4, 73.8, 63.9, 56.8, 56.7, 27.9;HRMS:m/z[M+H]
+ C
27H
27O
5の計算値431.1858、実測値431.1863。
【0266】
1,8−ジメトキシ−3−(4’−メトキシフェニル)−アントラキノン(25f)。収量:56mg、98%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 8.03 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.86−7.84 (dd, 1H, J
1 = 1.2 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.63 (m, 3H, J
1 = 8.4 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.43 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.30 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.01 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 4.07 (s, 3H), 4.01 (s, 3H), 3.87(s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 184.4, 182.8, 160.5, 160.3, 159.7, 146.5, 135.2, 135.1, 134.0, 131.7, 128.6, 124.2, 122.3, 119.2, 118.4, 117.2, 115.8, 114.7, 56.8, 56.7, 55.6;HRMS:m/z[M+H]
+ C
23H
19O
5の計算値375.1232、実測値375.1247。
【0267】
1,8−ジメトキシ−3−(4’−アセチルフェニル)−アントラキノン(25g)。収量:50mg、81%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 8.07−8.05 (m, 3H, J
1 = 1.6 Hz, J
2 = 8.0 Hz), 7.85−7.83 (dd, 1H, J
1 = 0.8 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.76 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.65 (t, 1H, J
1 = 8.4 Hz, J
2 = 7.6 Hz), 7.48 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.09 (s, 3H), 4.02 (s, 3H), 2.66 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 197.7, 184.0, 182.6, 160.3, 159.8, 145.4, 143.7, 137.2, 135.3, 134.9, 134.2, 129.2, 127.6, 124.1, 123.4, 119.2, 118.4, 117.9, 116.5, 56.9, 56.7, 26.9;HRMS:m/z[M+H]
+ C
24H
19O
5の計算値387.1232、実測値387.1241。
【0268】
1,8−ジメトキシ−3−(フラン−2’−イル)−アントラキノン(25h)。収量:34mg、78%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 8.06 (s, 1H), 7.83 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.61−7.52 (m, 3H), 7.27 (t, 1H, J
1 = 8.4 Hz, J
2 = 4.0 Hz), 6.88 (d, 1H, J = 3.2 Hz), 6.52 (s, 1H), 4.05 (s, 3H), 3.99 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 184.0, 182.0, 160.7, 160.0, 152.6, 143.8, 136.0, 135.7, 135.2, 133.8, 124.8, 123.0, 119.4, 118.9, 114.7, 112.8, 112.5, 108.8, 56.9;HRMS:m/z[M+H]
+ C
20H
15O
5の計算値335.0919、実測値335.0935。
【0269】
1,8−ジメトキシ−3−(ピリジン−3’−イル)−アントラキノン(25i)。収量:35mg、100%。
1H NMR (CDCl
3): δ = 8.93 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.03 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.99 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.84 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.64 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.46 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.43 (m, 1H), 7.32 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.09 (s, 3H), 4.02 (s, 3H);
13C NMR (CDCl
3): δ = 183.9, 182.5, 160.3, 159.7, 150.0, 148.3, 143.4, 135.4, 135.0, 134.8, 134.7, 134.2, 123.9, 123.3, 119.1, 118.4, 117.6, 116.2, 56.8, 56.7;HRMS:m/z[M+H]
+ C
21H
16NO
4の計算値346.1079、実測値346.1084。
【0270】
(実施例3)
MTTアッセイ
HeLa、Hek、およびKB細胞系は、ATCCから購入した。細胞系の全ては、RPMI−1640培地において培養した。培地に、10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充した。細胞毒性アッセイのために、細胞を96ウェルプレートに播種した(ウェル毎に100μL中、HeLaについて2.5×10
4個、KBについて3.0×10
4個、およびHekについて5×10
4個)。化合物をDMSOに溶解または懸濁させ、10mMのストック溶液を作製した。試験した化合物の構造を
図1に示す。DMSOを使用してストック溶液を様々な濃度に希釈した。実験を通してDMSO<1%を維持しながら、ウェルプレート中に1μLの各濃度を培地で100倍に希釈した。接着細胞が40〜50%コンフルエンスに達した後、化合物の添加を行った。5%CO
2を有する加湿した雰囲気中で37℃にて48時間のインキュベーションの後、10μLのMTT(PBS中の5mg/mL)を加えた。MTTの添加の後、細胞をさらに4時間インキュベートした。次いで、培養培地を吸引し、100μLのDMSOを各ウェルに加えた。96ウェルプレートを、490nmでの光学密度についてマイクロアレイ読み取り装置によって読み取った。全ての試験は3連で行い、IC
50値は平均反応曲線から推測した。IC
50<100μMを有する化合物について、MTTアッセイを繰り返した。結果を表2、
図2a〜2i、および
図4に示す。
【0271】
【表2】
【0272】
合成された化合物のインビトロでの細胞毒性研究を、3種の異なる細胞系(HeLa、Hek、およびKB)において行った。本明細書において記載した類似体の活性を、レイン自体およびドキソルビシンの活性と比較した。化合物の乏しい溶解性によって、生物学的試験のために使用する溶液の全ては、DMSOを溶媒として使用して調製した。
【0273】
HeLa細胞系に対する細胞毒性研究によって、化合物の活性がμM範囲であり、IC
50=40μMからIC
50=1.3μMで変化することが明らかになる(表1)。最も強力でないレイン類似体(6)(IC
50=40μM)は、レイン自体(IC50=100μM)よりも2.5倍より強力である。最も強力な化合物12(IC
50=1.3μM)は、子宮頸がん細胞HeLaに対してレイン(IC50=100μM)より約100倍強力である。化合物12(IC
50=1.3μM)は、ドキソルビシン(IC
50=1.4μM)と比較するとき、HeLaに対して同様の細胞毒性を有するようである。合成された化合物の全ては、レインと比較して活性の有意な改善を示した(表1)。
【0274】
Hek細胞系に関して、レイン類似体の全ては、1桁のμM範囲のIC
50値を伴って劇的に改善した活性を示した(表1)。Hek細胞に対して最も強力な化合物は、化合物18である(IC
50=1.4μM)。
【0275】
記載したレイン類似体を、第3の細胞系であるKBに対して試験した。再度、合成された化合物の全ては、レインと比較してこれらの活性において大きな改善を示した。この細胞系に対する最も強力な化合物は、18(IC
50=4.8μM)である。KB細胞に対して最も強力でない化合物13(IC
50=38μM)は、レインと比較して活性の2.5倍の増加を示した(IC
50=100μM)。
【0276】
レイン類似体5、12、14、および18は、アッセイされた3種の細胞系の全てに対して低いマイクロモル濃度のIC
50値を示した(表1)。最も高い活性を示した化合物の2つである化合物12および14は、メトキシ基で保護されたアントラキノン部分上に2つのヒドロキシル基を有する。上記の化合物が最も低いIC
50値を有するという事実は、アントラキノン部分上の1位および8位におけるメトキシ保護がこれらの化合物の活性の増加において重大な役割を果たすことを暗示する。他方、1位および8位においてメトキシ基を有するレイン類似体は、L1210白血病細胞に対していかなる細胞毒性も示さないことが報告されてきており、これは細胞毒性の増加をもたらす他の構造的要因があり得ることを示唆する。
【0277】
従前の研究においてメトキシ保護された化合物が癌腫細胞に対して細胞毒性活性を示さなかったという事実を考慮すると、実際に、改善された活性についての鍵になる要因は、多環式芳香族系の3位へのアルキル化剤の添加であることを当業者は推測することができる。1,8−メトキシ保護された化合物がインターカレートする力は遊離1,8−ヒドロキシ化合物のそれほど良好でなくてもよい一方、これらの分子の平面的部分とDNA塩基対との相互作用は、アルキル化薬を高度に求核性のDNA骨格のより近くに導くことができる。隣接する塩基のDNA骨格または求核基の近くにアルキル化剤を有することは、共有結合的相互作用を促進することができる。DNAとのインターカレーションおよび共有結合的相互作用は、立体配座変化およびDNAらせんの破壊さえももたらすことができ、これはアポトーシスを誘発することができる。
【0278】
2つのより重要な構造的要因が重要な役割を果たし得る。(1)アルキル化薬のタイプ、および(2)リンカーの長さ。12および14の場合、アルキル化剤は、3位においてアミンに直接結合している。化合物12および14は、レインと比較して細胞毒性において顕著な改善を示した。これらの化合物は、これらの活性のさらなる改善のための可能性を有するので、将来の開発のための手掛かりとして使用することができる。多環式芳香族系およびアルキル化剤の間のより長いリンカーの使用は、化合物の細胞毒性に対するプラスの効果を有し得る。3位において短いリンカーを有する3種の化合物は、高い効力を示さなかった。これに反して、これらのいくつか、6、7、および13は、インビトロの研究において最も高いIC
50値を有する(表1)。
【0279】
アルキル化剤上の脱離基のタイプはまた、化合物の活性の増加において重要な役割を果たし得る。最初に、アルキル化剤の脱離基の原子サイズおよび化学的特性に基づいて仮説が立てられた。ヨージドおよびブロミドを含有する化合物は、クロリドを含有する化合物よりも良好な活性を示すはずである。この仮説を支持する強力な証拠は、行った研究から得られなかった。4つの最も強力な化合物の2つは、可能性のあるアルキル化反応の後に、クロリドを脱離基として含有する。これらの1つはヨージドを有し、1つはブロミドを有する。3種の細胞系の研究の全てに対して明らかに最も強力な化合物は、可能性のあるアルキル化反応の後で、メトキシ保護されたヒドロキシ基、および脱離基としてクロリドの組合せを有する化合物12である。エチレングリコールを含有する長いリンカーの添加によって溶解性を増加させる試みは、生物活性の予想される増加をもたらさなかった。
【0280】
結論として、11種の新規レイン類似体が、アルキル化剤をコア構造の3位に連結することによって合成された。合成された類似体を、3種の異なる細胞系:HeLa、Hek、およびKBに対するMTTアッセイを使用することによってインビトロで試験した。試験した化合物の全ては、がん細胞に対するμM範囲のIC
50値を伴うレインと比較して改善された細胞毒性を示した。4種の化合物である5、12、14、および18は、HeLa細胞に対して有意な改善を示した。このようなレベルにおける細胞毒性の改善は、インターカレート部分およびアルキル化剤の間の組合せが、DNA標的抗がん薬を設計するための成功した戦略であることが可能である証拠である。
【0281】
MG1をさらなる調査のために選択した。異なる時点での単一の濃度の関数としての、8時間に亘って異なる濃度のMG1で処理したEU−1細胞における、p53ならびにその標的であるp21(G1細胞周期停止のため)およびPUMA(アポトーシスのため)の発現、ならびにカスパーゼ−3の活性化、および死亡基質PARPの切断。MG1で処理されたEU−1細胞の細胞周期停止(A)およびアポトーシス(B)を、フローサイトメトリーによって分析した。結果を
図3Aおよび3Bにおいて示す。ドキソルビシンと比較したMG1のがん細胞死の機序をまた調査した。彗星状イメージは、ドキソルビシンが、DNA損傷によってがん細胞死を誘発し、一方で、MG1が、DNA損傷によらずに細胞のアポトーシスを誘発することを示す(
図4を参照されたい)。
【0282】
本明細書に記載されている化合物は、ドキソルビシンと比較してより低い毒性を示した。
図5は、正常なヒト骨髄のCFU−GMおよびBFU−Eに対してMG1およびドキソルビシンの効果を示す。MG1の効果は、ドキソルビシンより対照(薬物なし)に非常に近かったが、これはヒト骨髄に対する実質的により低い毒性を示す。マウスにおいて毒性をまた評価した。処置用量および観察を
図6に示す。15/kgの用量での単回注射で投与された15mgのドキソルビシンは、7日目に心毒性による全てのマウスの死亡をもたらした。対照的に、100mg/kg/日の用量で、1日3回MG1を投与されたマウスは9日後に生存していた。それに続いて、400mg/kgの用量でのMG1の単回注射を注射によって投与した。この注射の後に、マウスは死亡しなかった。
【0283】
対照(薬物なし)に対するMG1の効果を、EU−1白血病細胞を播種したマウスにおいて評価した。結果を
図7に示す。
【0284】
上で示したさらなる化合物9a〜d、および表1における化合物を調製し、これらの細胞毒性を評価した。データを下記表3および4に示す。
【0285】
【表3】
【0286】
【表4】
【0287】
表3における化合物に関して、化合物8は、最良の活性を示した(表3)。HeLaに対する8のIC
50は陽性対照であるドキソルビシンのIC
50に接近し、8は、MOLT4細胞系に対してマイクロモル濃度未満のIC
50を有する全ての類似体の中で唯一の化合物である。8の強力な活性は、アルキル化剤とインターカレーション部分とを組み合わせたその独特な構造的特徴によるものであり得る。8以外に、化合物7はまた、4aを除いて表4における大部分の化合物より高い効力を示した。これらの観察は、アミン/アミド修飾が、3位におけるアリール誘導体化よりも改善された成功機会を有することを示唆する。他のものによる従前の報告は、環構造側鎖がこれらのアントラキノン化合物の高い細胞毒性に対して決定的ではなく、ジカチオン側鎖がモノカチオン側鎖より良好な活性を与えたことを示唆する。HeLaおよびMOLT4細胞に対するドキソルビシンと比較した化合物8の細胞毒性の比較を、
図8aおよび8bにおいて示す。
【0288】
第2のシリーズにおいて、9bは、9cおよび9dより良好な活性を示したが、9aと同様の活性を示したことが見出された。ミトキサントロンと比較して、9bは、同様の構造的特徴を共有したが、直鎖状ジアミノアルキル側鎖の代わりに環状ジアミノアルキル側鎖を有した。
【0289】
表4における化合物に関して、最も強力な化合物24aは、HeLaおよびMOLT4の両方の細胞系に対して1桁のμMレベルのIC
50を有することをインビトロでの細胞毒性試験は示した(表4)。レインと比較して、3位におけるフェニルチオ基の導入の後、効力は両方のがん細胞系において少なくとも30倍増加した。類似体6bおよび6cは、レインと比較して、MOLT4に対して減少した細胞毒性を示した。HeLa細胞において、6a、6cおよび6gは、効力における中程度の改善を示した。一般に、このシリーズの類似体について、3位におけるアントラキノンへ芳香環を直接結合させることは、効力を有意に増加させなかった。このことは、アントラキノンの平面的構造がビアリールC−C結合の周りの立体ひずみによって損なわれ、DNAインターカレーション特性の減少をもたらすので、結果として生じ得る。1個の原子、例えば、硫黄によって芳香環をアントラキノンから間隔を開けることによって、このひずみが緩和されたようであり、効力が増加した。HeLaおよびMOLT4細胞に対するドキソルビシンと比較した化合物24aの細胞毒性の比較を、
図9aおよび9bにおいて示す。
【0290】
(実施例4)
さらなるレイン類似体の合成
文献において記載されているように、いくつかのレイン類似体を合成し、種々のがん細胞系に対して試験した。化合物のいくつかは効力を示したが、改善された溶解性を有する化合物に対する需要がある。平坦なアントラキノンレイン類似体の溶解性を改善するために、コアレイン構造の1位および8位においてより長い側鎖を導入した。これらの位置における長いアルキル鎖の導入は、平坦な多環式芳香族系のπ−πスタッキングを乱し、溶解性を改善する。これは実験的に観察された。
【0291】
1および8−ヒドロキシル位への修飾に加えて、いくつかの変更をコアレイン構造の3位に対して行った。具体的には、高度に反応性のアルキル化部分を欠いている類似体を調製した。高度に反応性のアルキル化部分は、反応を意図しない標的を含めて、生体系において存在する任意の求核試薬と相互作用することができる。良好な脱離基、例えば、ハロゲンを含有する求電子化合物と相互作用するように存在し、利用可能である多くの求核剤、例えば、アミノ酸が存在する。薬物候補における活性ハロゲンが一般に存在することは、バイオアベイラビリティーを低減させるだけでなく、非特異的/意図されない相互作用の機会を増加させるので望ましくない。
【0292】
下に記載する化合物の設計において用いられた戦略は、アルキル化反応を受けることができないが、これまでに合成されたレイン類似体の一般的な活性および低毒性を示す、他のより反応性でない官能基の追加に依存する。合成された化合物を、コアアントラキノン構造の1位および8位に対して行われた修飾に基づいて8つの主要な群に群分けした。1および8−ヒドロキシル位を保護するメチル、エチル、プロピル、ベンジル、アリル、アジド−アルキル、イソプロピル、およびイソブチル官能基を含有する化合物(
図10〜17)。
【0293】
図10〜17の化合物を調製するための合成戦略は、4つのステップを含む。合成経路の7つ(上で示したスキーム2〜6、8、および9)は、僅かな変更を伴う同様の戦略を利用する。4つのステップ経路のそれぞれを介して合成したアニリン化合物を、いくつかのがん細胞系に対して試験した最終生成物についての基本構成要素として使用した。これらの5つの経路のそれぞれの第1のステップは、1−および8−ヒドロキシル基のアルキル化による保護、ならびにヨウ化メチル、1−ブロモエタン、1−ブロモプロパン、塩化ベンジル、臭化アリル、1−ブロモ−2−メチルプロパン、および1−ブロモ−3−メチルブタンとの反応による3位におけるエステルの形成を含み、それぞれ、化合物2、6、10、14、18、27、および31が63%から定量的収率で得られる。アルキル化効率性を改善するためにヨウ化ナトリウムを加え、使用した塩基は炭酸カリウムであった(スキーム2〜6、8および9)。
【0294】
設計された経路の第2のステップは、水/エタノール混合物中の水酸化ナトリウムを使用した加水分解であった。反応混合物を50℃〜70℃に加熱し、2時間撹拌した。所望のカルボン酸3、7、11、15、19、28および32を、それぞれ、反応混合物の冷却および酸性化の後に形成された沈殿物の濾過によって集めた。得られた収率は、89%から定量的収率の範囲である(スキーム2〜6、8、および9)。次いで、酸3、7、11、15、19、28、32を、室温でトリエチルアミン(TEA)の存在下でジフェニルホスホリル(diphenyphosphoryl)アジド(DPPA)と反応させた。反応混合物を氷冷水中に懸濁させ、形成された黄色/褐色の沈殿物をアシルアジド4、8、12、16、20、29、33として単離した(スキーム2〜6、8、および9)。アシルアジドは第4のステップにおいてクルチウス転位を受け、それぞれ、1,8−ヒドロキシ保護されたアニリン5、9、13、17、21、30、34を生じさせる(スキーム2〜6、8、および9)。
【0295】
アニリン5を、5種のレイン類似体である5a、5b、5c、5d、および5eのための基本構成要素として使用した(
図10)。アニリン5をジオキサン中でクロロ酢酸クロリドと反応させ、所望の化合物5aを30%収率で得た。次いで、化合物5aをアセトン中でアジ化ナトリウムと反応させ、化合物5dを定量的収率で得た。ピリジンの存在下で室温にて化合物5とクロロメタンスルホニルクロリドとの反応および一晩の撹拌によって、化合物5bを92%収率で合成した。化合物5bは、共通のアミドの構造的特徴を有さないが、むしろアルキル化基にアントラキノンコアを連結するスルホンアミドを有するので、この群に属する任意の他の化合物と非常に異なる。TEAの存在下でのトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)とアニリン5との反応は、アミド5cの形成を90%収率でもたらした。アミド5eは、TEAの存在下での5と塩化アセチルとの反応によって70%の収率で得た(
図10)。
【0296】
化合物9a〜9bを、それぞれ、クロロ酢酸クロリドおよびブロモ酢酸ブロミドと、アニリン9との付加脱離反応によって合成した。塩基の添加は必要なく、所望の9aおよび9bを50%収率で得た。アセトン中での9aとヨウ化ナトリウムとの反応は、定量的収率での9cの形成をもたらした。同様の戦略を9dの合成において使用した。9dはアセトン中での9aとアジ化ナトリウムとの室温での反応の後で、定量的収率で得られた。アルコール9eは、水/エタノール混合物中の水酸化ナトリウム溶液において化合物9bを撹拌することによって合成した。観察された収率は、20%であった。化合物9fを、塩化アクリロイルおよび化合物9の間の付加脱離反応によって合成し、97%収率が観察された。化合物9gおよび9hは、それぞれ、ベンゾキシアセチルクロリドおよび4−クロロブチリルクロリドとアニリン9とを反応させることによって同様の反応を使用することによって合成した。化合物9gを50%収率で得て、化合物9hを30%収率で得た。触媒量のパラジウム担持活性炭素の存在下での9dと水素ガスとの水素化反応によって、化合物9iを92%収率で得た。化合物9jの合成は、化合物9aおよびメチルアミン(水溶液)の間の置換反応を含み、9jは20%収率で単離した。
【0297】
化合物13a、13b、および13eは、それぞれ、クロロ酢酸クロリド、ブロモ酢酸ブロミド、および塩化アクリロイルとアニリン13との付加脱離反応によって得た。塩基の添加は必要なく、得た収率は、それぞれ、62%、20%、および26%であった。アミド13aとヨウ化ナトリウムおよびアジ化ナトリウムとを反応させることによって、化合物13cおよび13dを合成した。13cおよび13dについて得た収率は、それぞれ、82%および50%であった。
【0298】
塩基の添加を伴わずに、アニリン17とクロロ酢酸クロリド、ブロモ酢酸ブロミド、および塩化アクリロイルとの反応によって、化合物17a、17c、および17dを合成した。17およびブロモ酢酸ブロミドの間の付加脱離反応による唯一の同定された生成物として、1位のベンジル基の脱保護が観察された。化合物17cは、31%収率で得た。化合物17aおよび17dは、それぞれ、60%および77%で得た。化合物17bは、17aとヨウ化ナトリウムとの反応の後に合成し、化合物17eは、17aとアジ化ナトリウムとの反応の後に得た。両方の生成物は、定量的収率で単離した。
【0299】
21から直接誘導される1種の化合物を合成し(21a)(
図14)、それぞれ、アジ化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを用いての21aの置換反応によって2種の化合物を開発した。置換反応によって、化合物21bおよび21cを定量的収率で得た。化合物21aを、21およびクロロ酢酸クロリドの間の付加脱離反応によって合成し、所望の生成物を73%収率で得た。化合物18〜21(21a、21b、21c)を多くのがん細胞に対して試験した。結果を下に記載する。アントラキノン基本構成要素の1,8−ヒドロキシル位を保護するアリル基を含有する化合物の全ては、極度に乏しい水溶解性を有し、したがって、このクラスにおけるさらなる類似体は合成しなかった。
【0300】
本明細書に記載されている化合物は、コアレイン構造上の1および8ヒドロキシル位に結合した置換基に基づいて8つの主要な群に分離した。化合物のこれらの群の5つの合成を上に記載する。スキーム6は、レイン類似体の第6の群の開発のための、コア構造として使用されるアニリン(26)の合成を示す。
【0301】
化合物26の合成は、レイン(1)による選択的メチル化、ならびにヨードメタンおよび炭酸水素ナトリウムを利用したエステル22の形成を含む。化合物22は93%収率で得て、次のステップのための出発材料として使用し、次のステップは、炭酸セシウムの存在下での2−アジドエチル4−メチルベンゼンスルホネートによるヒドロキシル1位および8位のアルキル化を含む。完全にアルキル化された化合物23を、83%収率で得た。合成経路の次のステップは、水/エタノール混合物中の水酸化ナトリウムを使用して、3位におけるメチルエステルを加水分解することであった。加水分解によって、化合物24をほぼ定量的収率で得た。コア化合物26への合成経路の最後の2つのステップは、本明細書においてこれまでに記載したものと同様であった。アシルアジド25の形成は、TEAの存在下で酸24とDPPAとの反応によって75%収率で達成した。26への最終ステップは、ジオキサンおよび水酸化ナトリウム溶液中のクルチウス転位反応であった。アニリン26を83%収率で単離し、多数のがん細胞系に対して試験するレイン類似体の第6の群の合成のために使用した(
図15)。
【0302】
化合物26aは、有機または無機塩基の非存在下でアニリン26とクロロ酢酸クロリドとを反応させることによってよく知られている方式で合成した。アミド26aを83%収率で得て、アジド26bの合成のために使用した。化合物26aをアジ化ナトリウムと室温で反応させ、26bを定量的収率で得た。
【0303】
次に記載する2つのクラスの化合物は、アントラキノンの1,8位への分枝鎖状アルキル鎖を導入する。この背景にある推論は、分枝鎖が、溶液中の芳香族多環式系のπ−πスタッキングを乱すことによって溶解性を改善し得ることである。下記のような分枝鎖は、従前に開示されたレイン類似体と比較して有意に異なる構造を有し、構造活性相関研究のための基礎を提供する(
図16および17)。分枝鎖を含有する2つのクラスの化合物のためのアニリン基本構成要素に向けた合成アプローチは、本明細書において記載する最初の5つのクラスの化合物の合成と非常に類似している(スキーム7および8)。
【0304】
1−および8−ヒドロキシル位を保護するイソプロピル基を含有する4種の化合物を、アニリン30から合成した。化合物30a、30b、30c、および30dを、それぞれ、クロロ酢酸クロリド、ブロモ酢酸ブロミド、3−クロロブチリルクロリド、およびベンゾキシアセチルクロリドとアニリンとの間の付加脱離反応によって同様の方式で合成した。生成物への出発材料の完全な変換が観察されたが、粗出発材料が反応のために使用されたので、正確な収率は報告されなかった。
【0305】
1−および8−ヒドロキシル位上にイソブチル基を含有する2種の化合物を合成し、生物活性について試験した。化合物34aおよび34bを、それぞれ、クロロ酢酸クロリドおよびブロモ酢酸ブロミドとアニリン34とを反応させることによって合成した。生成物への出発材料の完全な変換が観察されたが、粗出発材料が反応のために使用されたので、正確な収率は報告されなかった。
【0306】
本明細書において考察される化合物の最終の群は、従前に報告されたレイン類似体、または他のアントラキノン、例えば、アロエエモジンを利用することによって合成した(スキーム7)。これらの化合物の構造は互いに同様ではないにも関わらず、合成アプローチおよびこれらの開発の背景にある推論に基づいてこれらを独特な群に分離する。例えば、化合物36、42、44、および46は、本明細書に記載されている化合物の多くに共通の典型的なアミドの構造的特徴を有さない。前者の3種の化合物はまた、保護された1−および8−ヒドロキシル位を有さない。化合物46は、メチル基で保護された1位および8位を有するが、3位においてアミド結合を欠いている。他方、化合物39は、アミド結合を有するが、1位および8位における置換基を欠いている。重要な構造的特徴が存在しないとき、これらの化合物は、レイン類似体の活性を一般に探索するために設計された。
【0307】
(実施例5)
レイン類似体の生物活性
合成した化合物の全てを、いくつかのがん細胞系:Hela KB、Cos7、Molt4、K562、EU1、およびT98Gに対して試験した。がん細胞系は、白血病細胞系(Molt4、EU、K562)から固体腫瘍細胞系(Hela、KB、Cos7)および薬物耐性細胞系(T98G)まで様々である。得られたデータを、下記表に示す。
【0308】
【表5】
【0309】
【表6】
【0310】
【表7】
【0311】
【表8】
【0312】
【表9】
【0313】
【表10】
【0314】
【表11】
【0315】
【表12】
【0316】
試験した化合物の大部分は、白血病細胞系に対して大きな可能性を示す。化合物の1つは、Molt4白血病細胞系に対して約30nmのIC
50値を示した(表8)。コア構造の1位および8位においてアルキル−アジド官能性、ならびに3位においてアジド基を含有する別の化合物は、2種の細胞系において100nm未満のIC
50を有する活性を示す(表10)。上記の化合物の各群は、試験した細胞系の少なくとも1つについて低いまたは中間のナノモル濃度範囲のIC
50を有する活性を有するメンバーを有することを、当業者は容易にわかり得る。例えば、28nMのIC
50値を有する最も活性な化合物の1つ(17c)は、1位および8位においてベンジル基、ならびにアミド3位においてヨードを有する。これらの構造的特徴は、活性をさらに改善することができる修飾を許容する。ハロゲン位置における可能性のある修飾は、アジドまたはアルコール基によるハロゲンの置き換えからなる。ベンジル基は、他の芳香族系で置換することができ、活性を潜在的に改善する。記述した構造変化に従うさらなる類似体は、現在合成されている。