(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
共重合性接着促進剤を含有している含硫ポリマーおよび共重合性接着促進剤を含有している含硫ポリマーを含む航空宇宙産業用途に有用なシーラント組成物を含む組成物を開示する。特に、共重合性接着促進剤が組み込まれたポリチオエーテルおよびポリスルフィドを開示する。接着促進剤を直接、含硫ポリマー主鎖に共重合させると、接着促進剤がポリマー網目に強力にカップリングされることが確実になり、これにより硬化型シーラントの構造体が形成される。
チオール基と反応性である末端基と接着を促進させる末端基を有する化合物が、ビニルシラン、ビニルホスホネート、ビニルアミン、ビニルカルボン酸およびビニルホスホン酸から選択される、請求項6に記載の含硫化合物。
前記少なくとも1種類のチオール末端型含硫ポリマーが、チオール末端型ポリチオエーテルおよびチオール末端型ポリスルフィドから選択される、請求項11に記載の組成物。
前記少なくとも1種類のチオール末端型含硫ポリマーが、式(13)のチオール末端型ポリチオエーテル、式(13a)のチオール末端型ポリチオエーテル、およびその組合せ:
HS−R1−[−S−(CH2)p−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−SH (13)
{HS−R1−[−S−(CH2)p−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−S−V’−}zB (13a)
(式中:
各R1は独立して、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[(−CHR3−)s−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、ここで:
sは2〜6の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
rは2〜10の整数であり;
各R3は独立して、水素およびメチルから選択され;
各Xは独立して、O、S、ならびに−NHR−(式中、Rは水素およびメチルから選択される)から選択され;
各R2は独立して、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、および−[(−CHR3−)s−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、ここで、s、q、r、R3およびXは上記に規定したとおりであり;
mは0〜50の整数であり;
nは1〜60の整数であり;
pは2〜6の整数であり;
Bは、z価のビニル末端型多官能化剤B(−V)zのコアを表し、ここで:
zは3〜6の整数であり;
−Vは、チオール基と反応性である基を含む部分であり;
各−V’−は、−Vとチオール基の反応によって形成される部分を表す)
から選択される、請求項11に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細説明)
(定義)
以下の説明のために、本開示により提供される実施形態には、そうでないことを明示している場合を除き、種々の択一的なバリエーションおよび工程シーケンスが想定され得ると理解されたい。さらに、実施例以外、またはそうでないことを記載している場合以外、例えば、本明細書および特許請求の範囲で用いている成分の量を示す数値はすべて、すべての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されたい。したがって、そうでないことを記載していない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示された数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて異なり得る近似値である。控えめに言っても、特許請求の範囲の範囲に均等論を適用することを制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告した有効数字の数値に鑑みて通常の丸め手法を適用することにより解釈されたい。
【0012】
本開示により提供される実施形態の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータが近似値であるとはいえ、具体的な実施例に示した数値は可能な限り厳密に報告している。しかしながら、数値はいずれも、それぞれの試験測定値にみられる標準偏差に必然的に由来する一定の誤差を内在的に含んでいる。
【0013】
また、本明細書に記載の任意の数値範囲には、該範囲に包含されるあらゆる下位範囲が含まれることを意図していることを理解されたい。例えば、「1〜10」の範囲には、記載の最小値約1〜記載の最大値約10の間(両端を含む)の、すなわち、約1に等しいまたは約1より大きい最小値および約10に等しいまたは約10より小さい最大値を有するあらゆる下位範囲が含まれることを意図する。また、本出願において、「または/もしくは」の使用は、そうでないことを特別に記載していない限り、一部の特定の場合で「および/または」が明示的に使用されている場合であっても「および/または」を意味している。
【0014】
2つの文字間または記号間でないダッシュ(「−」)は、置換基の結合点または2個の原子間を示すために用いている。例えば、−CONH
2は別の化学部分に該炭素原子によって結合される。
【0015】
「アルカンジイル」は、例えば1〜18個の炭素原子(C
1〜18)、1〜14個の炭素原子(C
1〜14)、1〜6個の炭素原子(C
1〜6)、1〜4個の炭素原子(C
1〜4)、または1〜3個の炭化水素原子(C
1〜3)を有する二原子団の飽和型の分枝鎖または直鎖、非環式炭化水素基をいう。分枝アルカンジイルは最低3個の炭素原子を有することは認識され得る。特定の実施形態では、アルカンジイルはC
2〜14アルカンジイル
、C
2〜10アルカンジイル、C
2〜8アルカンジイル、C
2〜6アルカンジイル、C
2〜4アルカンジイル、特定の実施形態ではC
2〜3アルカンジイルである。アルカンジイル基の例としては、メタン−ジイル(−CH
2−)、エタン−1,2−ジイル(−CH
2CH
2−)、プロパン−1,3−ジイルならびにイソ−プロパン−1,2−ジイル(例えば、−CH
2CH
2CH
2−および−CH(CH
3)CH
2−)、ブタン−1,4−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ペンタン−1,5−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘキサン−1,6−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘプタン−1,7−ジイル、オクタン−1,8−ジイル、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイル、ドデカン−1,12−ジイルなどが挙げられる。
【0016】
「アルカンシクロアルカン」は、1つまたは1つより多くのシクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基と1つまたは1つより多くのアルキルおよび/またはアルカンジイル基を有する飽和炭化水素基をいい、ここで、シクロアルキル、シクロアルカンジイル、アルキルおよびアルカンジイルは本明細書に定義したとおりである。特定の実施形態では、各シクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基(1つまたは複数)はC
3〜6、C
5〜6、特定の実施形態ではシクロヘキシルまたはシクロヘキサンジイルである。特定の実施形態では、各アルキルおよび/またはアルカンジイル基(1つまたは複数)はC
1〜6、C
1〜4、C
1〜3、特定の実施形態ではメチル、メタンジイル、エチルまたはエタン−1,2−ジイルである。特定の実施形態では、アルカンシクロアルカン基はC
4〜18アルカンシクロアルカン、C
4〜16アルカンシクロアルカン、C
4〜12アルカンシクロアルカン、C
4〜8アルカンシクロアルカン、C
6〜12アルカンシクロアルカン、C
6〜10アルカンシクロアルカン、特定の実施形態ではC
6〜9アルカンシクロアルカンである。アルカンシクロアルカン基の例としては、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサンおよびシクロヘキシルメタンが挙げられる。
【0017】
「アルカンシクロアルカンジイル」は二原子団のアルカンシクロアルカン基をいう。特定の実施形態では、アルカンシクロアルカンジイル基はC
4〜18アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜16アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜12アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜8アルカンシクロアルカンジイル、C
6〜12アルカンシクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、特定の実施形態ではC
6〜9アルカンシクロアルカンジイルである。アルカンシクロアルカンジイル基の例としては、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン−1,5−ジイルおよびシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイルが挙げられる。
【0018】
「アルケニル」基は基(R)
2C=C(R)
2をいう。特定の実施形態では、アルケニル基は構造−RC=C(R)
2を有し、この場合、該アルケニル基は末端基であり、より大きな分子に結合される。かかる実施形態では、各Rは、例えば、水素およびC
1〜3アルキルから選択され得る。特定の実施形態では各Rが水素であり、アルケニル基が構造−CH=CH
2を有する。
【0019】
「アルコキシ」は−OR基をいい、式中、Rは本明細書に定義したアルキルである。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、およびn−ブトキシが挙げられる。特定の実施形態では、アルコキシ基はC
1〜8アルコキシ、C
1〜6アルコキシ、C
1〜4アルコキシ、特定の実施形態ではC
1〜3アルコキシである。
【0020】
「アルキル」は、例えば1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、または1〜3個の炭素原子を有する一原子団の飽和型の分枝鎖または直鎖、非環式炭化水素基をいう。分枝アルキルは最低3個の炭素原子を有することは認識されよう。特定の実施形態では、アルキル基はC
2〜6アルキル、C
2〜4アルキル、特定の実施形態ではC
2〜3アルキルである。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどが挙げられる。特定の実施形態では、アルキル基はC
2〜6アルキル、C
2〜4アルキル、特定の実施形態ではC
2〜3アルキルである。分枝アルキル基は最低でも3個の炭素原子を有することは認識され得る。
【0021】
「シクロアルカンジイル」は、二原子団の飽和型単環式または多環式の炭化水素基をいう。特定の実施形態では、シクロアルカンジイル基はC
3〜12シクロアルカンジイル、C
3〜8シクロアルカンジイル、C
3〜6シクロアルカンジイル、特定の実施形態ではC
5〜6シクロアルカンジイルである。シクロアルカンジイル基の例としては、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル、およびシクロヘキサン−1,2−ジイルが挙げられる。
【0022】
「シクロアルキル」は、飽和型の単環式または多環式の炭化水素の一原子団の基をいう。特定の実施形態では、シクロアルキル基はC
3〜12シクロアルキル、C
3〜8シクロアルキル、C
3〜6シクロアルキル、特定の実施形態ではC
5〜6シクロアルキルである。
【0023】
「ヘテロアルカンジイル」は、1個または1個より多くの炭素原子がヘテロ原子(N、O、SまたはPなど)で置き換えられているアルカンジイル基をいう。ヘテロアルカンジイルの特定の実施形態では、ヘテロ原子がNおよびOから選択される。
【0024】
「ヘテロシクロアルカンジイル」は、1個または1個より多くの炭素原子がヘテロ原子(N、O、SまたはPなど)で置き換えられているシクロアルカンジイル基をいう。ヘテロシクロアルカンジイルの特定の実施形態では、ヘテロ原子がNおよびOから選択される。
【0025】
「マイケル受容体」は、電子求引基(ケトン、ニトロ、ハロ、ニトリル、カルボニル、またはニトロ基など)に近接している活性型アルケン(アルケニル基など)をいう。マイケル受容体は当該技術分野でよく知られている。「マイケル受容体基」は、活性型アルケニル基および電子求引基をいう。特定の実施形態では、マイケル受容体基が、ビニルケトン、ビニルスルホン、キノン、エナミン、ケチミン、アルジミン、オキサゾリジン、およびアクリレートから選択される。マイケル受容体の他の例はMatherら,Prog.Polym.Sci.2006,31,487−531に開示されており、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、マレイミド、アルキルメタクリレート、シアノアクリレートが挙げられる。他のマイケル受容体としては、ビニルケトン、α,β−不飽和アルデヒド、ビニルホスホネート、アクリロニトリル、ビニルピリジン、特定のアゾ化合物、β−ケトアセチレンおよびアセチレンエステルが挙げられる。特定の実施形態では、マイケル受容体基はビニルケトンに由来するものであり、式−S(O)
2−C(R)
2=CH
2(式中、各Rは独立して、水素、フッ素およびC
1〜3アルキルから選択される)の構造を有する。特定の実施形態では各Rが水素である。特定の実施形態では、マイケル受容体またはマイケル受容体基にアクリレートは包含されない。「マイケル受容体化合物」は、少なくとも1つのマイケル受容体を含む化合物をいう。特定の実施形態では、マイケル受容体化合物がジビニルスルホンであり、マイケル受容体基がビニルスルホニル(たとえば−S(O)
2−CH
2=CH
2)である。
【0026】
本明細書で用いる場合、「ポリマー」はオリゴマー、ホモポリマーおよびコポリマーをいう。特に記載のない限り、分子量は、例えば、ポリスチレン標準を用いて当該技術分野で認知された様式でゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリマー物質の数平均分子量であり、「Mn」で表示している。
【0027】
「置換されている」とは、基の1個または1個より多くの水素原子が各々、独立して、同じまたは異なる置換基(1つまたは複数)で置き換えられていることをいう。特定の実施形態では、置換基が、ハロゲン、−S(O)
2OH、−S(O)
2、−SH、−SR(式中、RはC
1〜6アルキルである)、−COOH、−NO
2、−NR
2(式中、各Rは独立して水素およびC
1〜3アルキルから選択される)、−CN、=O、C
1〜6アルキル、−CF
3、−OH、フェニル、C
2〜6ヘテロアルキル、C
5〜6ヘテロアリール、C
1〜6アルコキシ、ならびに−COR(式中、RはC
1〜6アルキルである)から選択される。特定の実施形態では、置換基が−OH、−NH
2およびC
1〜3アルキルから選択される。
【0028】
次に、末端マイケル受容体基を有する含硫付加物、接着促進剤、ポリマー、組成物および方法の特定の実施形態について記載する。開示した実施形態は特許請求の範囲の限定を意図するものではない。そうではなく、特許請求の範囲は、あらゆる択一例、修正例および均等物を包含していることを意図する。
含硫接着促進剤
【0029】
接着促進剤を直接、含硫ポリマー主鎖に共重合させると、シーラント組成物などの組成物の接着が改善され得る。この一般概念は、任意の接着促進剤および任意のポリマーに当てはまり得ることは認識されよう。
【0030】
特定の実施形態では、本開示により提供される接着促進剤を、含硫ポリマー、例えば、チオール末端型含硫ポリマー、例えば、チオール末端型ポリチオエーテルおよびチオール末端型ポリスルフィドなどの主鎖に共重合させる。
【0031】
特定の実施形態では、接着促進剤をチオール末端型ポリチオエーテルポリマーに共重合させる。チオール官能性ポリチオエーテルの例は、例えば米国特許第6,172,179号に開示されている。特定の実施形態では、チオール官能性ポリチオエーテルはPermapol(登録商標)P3.1E(PRC−DeSoto International Inc.(Sylmar,CA)製)を含むものである。
【0032】
特定の実施形態では、接着促進剤をポリスルフィドポリマーに共重合させる。特定の実施形態では、ポリスルフィドポリマーは、例えば米国特許第4,623,711号に開示されたポリマーのいずれかであり得る。
【0033】
特定の実施形態では、ポリマー主鎖に共重合させるのに有用な接着促進剤は、式(1):
B(−V’−S−R
1−S−A’)
z1(−V’−S−R
1−SH)
z2 (1)
(式中、
各R
1は独立して、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択され;
ここで:
各R
3は独立して、水素およびメチルから選択され;
各Xは独立して、−O−、−S−、ならびに−NR−(式中、Rは水素およびメチルから選択される)から選択され;
sは2〜6の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
rは2〜10の整数であり;
各A’は独立して、化合物Aとチオール基の反応によって形成される部分を表し、化合物Aは、チオール基と反応性である末端基および接着を促進させる末端基を有する化合物であり;
Bは、z価のアルケニル末端型多官能性化合物B(−V)
zのコアを表し、
ここで:
zはz1とz2の和であり、zは3〜6の整数であり;
z1は1〜4の整数であり;
z2は2〜5の整数であり;
各−Vは、チオール基と反応性である末端基を含む部分であり;
各−V’−は、−Vとチオール基の反応によって形成される部分を表す)
の構造を有する含硫化合物を含むものである。
【0034】
式(1)の化合物は、少なくとも1つの末端接着促進剤部分と少なくとも2つの末端チオール基を含む。該少なくとも1つの接着促進剤部分により、表面および/または該配合物の一部分である他の構成要素に対する接着がもたらされ、該末端チオール基は硬化剤と反応してポリマー網目を形成する。したがって、式(1)の化合物において、z2は少なくとも2であり、特定の実施形態では、z2は2、3、4であり、特定の実施形態では、z2は5である。式(1)の化合物の特定の実施形態では、z1は1、2、3であり、特定の実施形態では、z1は4である。特定の実施形態では、式(1)の化合物はzが3となるように3価であり、特定の実施形態では、式(1)の化合物はzが4となるように4価であり、特定の実施形態ではzが5であり、特定の実施形態ではzが6である。
【0035】
特定の実施形態では、R
1が、C
2〜6アルカンジイルおよび−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択される。
【0036】
特定の実施形態では、R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−であり、特定の実施形態ではXが−O−であり、特定の実施形態ではXが−S−である。
【0037】
R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である特定の実施形態では、pが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−S−であり;特定の実施形態では、式中のpが2であり、qが2であり、rが2であり、Xが−O−であり;特定の実施形態では、pが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−O−である。
【0038】
R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である特定の実施形態では各R
3が水素であり、特定の実施形態では少なくとも1つのR
3がメチルである。
【0039】
式(1)の化合物の特定の実施形態では、各R
1が同じであり、特定の実施形態では少なくとも1つのR
1が異なっている。
【0040】
式(1)の化合物の特定の実施形態では、化合物Aのチオール基と反応性である末端基が、アルケニル基、イソシアネート基、エポキシ基およびマイケル受容体基から選択される。式(1)の化合物の特定の実施形態では、化合物Aのチオール基と反応性である末端基がアルケニル基、イソシアネート基、エポキシ基であり、特定の実施形態ではマイケル受容体基である。
【0041】
式(1)の化合物の特定の実施形態では、接着を促進させる末端基が、シラン、ホスホネート、アミン、カルボン酸およびホスホン酸から選択される。式(1)の化合物の特定の実施形態では、接着を促進させる末端基がシラン基、ホスホネート基、アミン基、カルボン酸基であり、特定の実施形態ではホスホン酸基である。
【0042】
−Vは、チオール基と反応性である末端基を含む部分である。例えば、特定の実施形態では、−Vは−R
10−CH=CH
2であり、式中、R
10が、C
1〜6アルカンジイル、置換C
1〜6アルカンジイル、C
1〜6ヘテロアルカンジイル、および置換C
1〜6ヘテロアルカンジイルから選択される。しかしながら、−Vの構造は限定されない。特定の実施形態では各−Vが同じであり得、特定の実施形態では少なくとも1つの−Vが異なり得る。
【0043】
各A’は独立して、化合物Aとチオール基の反応によって形成される部分を表し、該化合物Aは、チオール基と反応性である末端基と接着を促進させる末端基を有する化合物である。上記のように、チオール基と反応性である基としては、アルケニル基、イソシアネート基、エポキシ基およびマイケル受容体基が挙げられる。接着を促進させる基は当該技術分野でよく知られている。接着を促進させる基の例としては、シラン基、ホスホネート基、アミン基、例えば、第1級および第2級アミン、カルボン酸基、ならびにホスホン酸基が挙げられる。
【0044】
式(1)の化合物において、各A’は同じであり得るか、または特定の実施形態では少なくとも1つのA’が異なり得る。例えば、特定の実施形態では各A’が同じ接着促進基を含むものであり得、特定の実施形態では少なくとも1つの接着促進基が異なり得る。
【0045】
特定の実施形態では、接着促進基はシラン基であり得、これは−Si(R
4)
y1(OR
5)
y2の構造を有し得、式中、y1は0、1および2から選択され;y2は1、2および3から選択され;y1とy2の和は3であり;各R
4は独立して、C
1〜4アルキルから選択され;各R
5は独立して、C
1〜4アルキルから選択される。
【0046】
特定の実施形態では、接着促進基はホスホネート基であり得、これは−P(=O)(OR
6)
2の構造を有し、式中、各R
6は独立して、C
1〜4アルキルから選択される。特定の実施形態では、接着促進基はホスホン酸基であり得、これは−P(=O)(OR
6)
2の構造を有し、式中、各R
6は水素である。
【0047】
特定の実施形態では、接着促進基は第1級アミンであり得、特定の実施形態では第2級アミンであり得る。
【0048】
特定の実施形態では、接着促進基はカルボン酸基であり得る。
【0049】
チオール基と反応性である末端基がアルケニル基であるAの特定の実施形態では、Aが、
(a)式(2):
CH
2=CH
2−R
4−Si(R
5)
y1(OR
6)
y2 (2)
(式中
y1は0、1および2から選択され;y2は1、2および3から選択され;このとき、y1とy2の和は3であり;
R
4は共有結合およびC
1〜6アルカンジイルから選択され;
各R
5は独立して、C
1〜4アルキルから選択され;
各R
6は独立して、C
1〜4アルキルから選択される)
の化合物;
(b)式(3):
CH
2=CH
2−R
7−P(=O)(OR
8)
2 (3)
(式中
R
7は共有結合およびC
1〜6アルカンジイルから選択され;
各R
8は独立して、水素およびC
1〜4アルキルから選択される)
の化合物;
(c)式(4):
CH
2=CH
2−R
9−NH
2 (4)
(式中、R
9は、C
1〜10アルカンジイル、置換C
1〜10アルカンジイル、C
1〜10ヘテロアルカンジイルおよび置換C
1〜10ヘテロアルカンジイルから選択される)
の化合物;ならびに
(d)式(5):
CH
2=CH
2−R
10−COOH (5)
(式中、R
10はC
1〜6アルカンジイルである)
の化合物
から選択される。
【0050】
特定の実施形態では、チオール基と反応性である基がマイケル受容体基である。特定の実施形態では、マイケル受容体基が、電子求引基(ケトンまたはスルホンなど)が末端アルケニル基に近接している部分を含むものである。マイケル受容体基の例としては、ビニルケトン、ビニルスルホン、キノン、エナミン、アルジミン、ケチミン、およびアクリレートが挙げられる。電子求引基の他の例としては、ヒンダード第2級アミン基、第3級アミン基、アジリジニル基、尿素基、カルバメート基、カルボジイミド基、およびハロゲン基が挙げられる。したがって、かかる実施形態では、化合物Aはマイケル受容体基と接着を促進させる基を含むものである。
【0051】
式(1)の化合物の特定の実施形態では、各−A’が同じであって、式(2a)、式(3a)、式(4a)および式(5a):
−CH
2−CH
2−R
4−Si(R
5)
y1(OR
6)
y2 (2a)
−CH
2−CH
2−R
7−P(=O)(OR
8)
2 (3a)
−CH
2−CH
2−R
9−NH
2 (4a)
−CH
2−CH
2−R
10−COOH (5a)
(式中、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、およびR
10は、式(2)〜(5)について規定したとおりである)
から選択される。
【0052】
式(1)の化合物の特定の実施形態では、各−A’が同じであって、式(2a)の部分、式(3a)の部分、式(4a)の部分、特定の実施形態では式(5a)の部分である。
【0053】
化合物Aがマイケル受容体基を含むものである特定の実施形態では、化合物Aが、(a)式HS−R
10−S−Dの化合物、式中、R
10は、C
1〜10アルカンジイル、置換C
1〜10アルカンジイル、C
1〜10ヘテロアルカンジイルおよび置換C
1〜10ヘテロアルカンジイルから選択され;Dは、接着を促進させる末端基を含むものである;と、(b)末端マイケル受容体基とチオール基と反応性である末端基とを有する化合物の反応生成物を含むものである。特定の実施形態では、末端マイケル受容体基がビニルスルホンであり、チオール基と反応性である末端基が、アルケニル基およびエポキシ基から選択される。特定の実施形態では、化合物Aがジビニルスルホンである。
【0054】
特定の実施形態では、末端マイケル受容体基および接着を促進させる末端基とを有する化合物が式CH
2=S(O)
2−CH
2−S−R
10−S−Dを有する。かかる化合物は、ポリチオール、例えば、トリチオール、テトラチオール、ペンタチオール、ヘキサチオール、または前述の任意のもの組合せと反応し得る。ポリチオールはB(−V)
zの構造を有するものであり得、式中、各−Vは末端チオール基を有する部分であり、zは3〜6の整数である。好適なポリチオールの例は米国特許出願公開公報第2011/0319559号に開示されている。
【0055】
式(1)の化合物の特定の実施形態では、各−A’が同じであって、式(2b)、式(3b)、式(4b)および式(5b):
−(CH
2)
2−S(O)
2−(CH
2)
2−S−R
4−Si(R
5)
y1(OR
6)
y2 (2b)
−(CH
2)
2−S(O)
2−(CH
2)
2−S−R
7−P(=O)(OR
8)
2 (3b)
−(CH
2)
2−S(O)
2−(CH
2)
2−S−R
9−NH
2 (4b)
−(CH
2)
2−S(O)
2−(CH
2)
2−S−R
10−COOH (5b)
(式中、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、およびR
10は、式(2)〜(5)について規定したとおりである)
から選択される。式(1)の化合物の特定の実施形態では、各−A’が同じであって、式(2b)の部分、式(3b)の部分、式(4b)の部分、特定の実施形態では式(5b)の部分である。
【0056】
Bは、z価の多官能性化合物B(−V)
zのコアを表し、式中、zは3〜6の整数である。特定の実施形態では、zが3であり、zが4であり、zが5であり、特定の実施形態ではzが6である。特定の実施形態では、多官能性化合物が三官能性である。特定の実施形態では、多官能性化合物がトリアリルシアヌレート(TAC)であり、この場合、Bは:
【化1】
の構造を有し、各−Vは−O−CH
2−CH=CH
2の構造を有する。
【0057】
特定の実施形態では、多官能性化合物B(−V)
zは、800ダルトン未満、600ダルトン未満、400ダルトン未満、特定の実施形態では200ダルトン未満の分子量を有する。zが少なくとも3である多官能性化合物B(−V)
zは、ポリマー化学反応において有用な任意の多官能化剤であり得る。また、混合型官能性を有する多官能化剤、すなわち、チオール基とビニル基の両方と反応する部分(典型的には、別々の部分)を含む薬剤を使用してもよい。他の有用な多官能化剤としては、トリメチロールプロパン トリビニルエーテル、ならびに米国特許第4,366,307号、米国特許第4,609,762号および米国特許第5,225,472号(これらは各々、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のポリチオールが挙げられる。また、同じ末端基(チオール基またはアリル基など)を有する多官能化剤の組合せを使用してもよい。
【0058】
各−Vは、チオール基と反応性である末端基、例えば、アルケニル基、エポキシ基またはマイケル受容体基などを含む部分である。特定の実施形態では各−Vが同じであり、特定の実施形態では少なくとも1つの−Vが異なる。特定の実施形態では、−VがC
3〜8アルケン−1−イルおよびC
3〜8ヘテロアルケン−1−イルから選択され、ここで、該ヘテロ基の1つまたは1つより多くは−O−および−S−から選択される。
【0059】
各−V’−は、−V部分とチオール基の反応によって形成される部分を表す。特定の実施形態では、−VがC
3〜8アルケン−1−イルおよびC
3〜8ヘテロアルケン−1−イルから選択される末端アルケニル基を含むものであり、V’がC
3〜8アルカンジイルおよびC
3〜8ヘテロアルカンジイルから選択される。
反応生成物
【0060】
特定の実施形態では、含硫接着促進剤が:(a)チオール基と反応性である末端基を有する多官能性含硫化合物;(b)ジチオール;ならびに(c)チオール基と反応性である末端基および接着を促進させる第2末端基を有する化合物を含む反応体の反応生成物を含むものである。この反応の特定の実施形態では、反応生成物は1種類または1種類より多くの式(1)の化合物を含むものである。
【0061】
特定の実施形態では、チオール基と反応性の末端基を有する多官能性化合物はB(−V)
zの構造を有しており、式中、zは3〜6の整数であり、Bおよび−Vは本明細書に規定のとおりである。
【0062】
B(−V)
zの特定の実施形態では、各−Vは末端アルケニル基を含むものである。
【0063】
特定の実施形態では、ジチオールが、式(5):
HS−R
1−SH (5)
(式中:
R
1はC
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択され;
ここで:
各R
3は独立して、水素およびメチルから選択され;
各Xは独立して、−O−、−S−、ならびに−NR−(式中、Rは水素およびメチルから選択される)から選択され;
sは2〜6の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
rは2〜10の整数である)
の構造を有する。
【0064】
特定の実施形態では、R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である。
【0065】
式(6)の化合物の特定の実施形態では、Xが−O−および−S−から選択され、したがって、式(6)の−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−が−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(CH
2)
r−または−[(−CH
2−)
p−S−]
q−(CH
2)
r−である。特定の実施形態ではpとrが等しく、例えば、式中のpとrがともに2である。
【0066】
特定の実施形態では、R
1が、C
2〜6アルカンジイルおよび−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択される。
【0067】
特定の実施形態では、R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−であり、特定の実施形態ではXが−O−であり、特定の実施形態ではXが−S−である。
【0068】
R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である特定の実施形態では、pが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−S−であり;特定の実施形態では、式中のpが2であり、qが2であり、rが2であり、Xが−O−であり;特定の実施形態では、pが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−O−である。
【0069】
R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である特定の実施形態では、各R
3が水素であり、特定の実施形態では少なくとも1つのR
3がメチルである。
【0070】
式(1)の化合物の特定の実施形態では各R
1が同じであり、特定の実施形態では少なくとも1つのR
1が異なっている。
【0071】
好適なジチオールの例としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタンおよび前述の任意のもの組合せが挙げられる。ポリチオールは、低級(例えば、C
1〜6)アルキル基、低級アルコキシ基およびヒドロキシル基から選択される1つまたは1つより多くのペンダント基を有するものであってもよい。好適なアルキルペンダント基としては、例えば、C
1〜6の線状アルキル、C
3〜6の分枝アルキル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0072】
好適なジチオールの他の例としては、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(式(6)においてR
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、式中のpが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−S−である);ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(式(6)においてR
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、式中のpが2であり、qが2であり、rが2であり、Xが−O−である);および1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(式(6)においてR
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、式中のpが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−O−である)が挙げられる。また、炭素主鎖とペンダントアルキル基(メチル基など)の両方にヘテロ原子を含むジチオールを使用することも可能である。かかる化合物としては、例えば、メチル置換DMDS、例えば、HS−CH
2CH(CH
3)−S−CH
2CH
2−SH、HS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH
2−SHならびにジメチル置換DMDS、例えば、HS−CH
2CH(CH
3)−S−CHCH
3CH
2−SHおよびHS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH(CH
3)−SHが挙げられる。
【0073】
チオール基と反応性である末端基および接着を促進させる末端基を有する化合物の特定の実施形態では、チオール基と反応性である末端基が、アルケニル基、イソシアネート基、エポキシ基およびマイケル受容体基から選択され;接着を促進させる末端基が、シラン、ホスホネート、アミン、カルボン酸およびホスホン酸から選択される。
【0074】
特定の実施形態では、チオール基と反応性である第1の基および接着を促進させる第2の基を有する化合物がビニルシランである。特定の実施形態では、ビニルシランは、式(2):
CH
2=CH
2−R
4−Si(R
5)
y1(OR
6)
y2 (2)
(式中
y1は0、1および2から選択され;y2は1、2および3から選択され;このとき、y1とy2の和は3であり;
R
4は共有結合およびC
1〜6アルカンジイルから選択され;
各R
5は独立して、C
1〜4アルキルから選択され;
各R
6は独立して、C
1〜4アルキルから選択される)
の構造を有する。
【0075】
特定の実施形態では、ビニルシランが、トリメトキシ(ビニル)シラン、エトキシジメトキシ(ビニル)シラン、ジエトキシ(メトキシ)(ビニル)シラン、トリエトキシ(ビニル)シラン、および前述の任意のもの組合せから選択される。
【0076】
特定の実施形態では、チオール基と反応性である末端基と接着を促進させる末端基を有する化合物はビニルホスホネートである。特定の実施形態では、ビニルホスホネートは、式(3):
CH
2=CH
2−R
7−P(=O)(OR
8)
2 (3)
(式中
R
7は共有結合およびC
1〜6アルカンジイルから選択され;
各R
8は独立して、水素およびC
1〜4アルキルから選択される)
の構造を有する。
【0077】
特定の実施形態では、ビニルホスホネートが、ビニルホスホン酸、ジメチルビニルホスホネート、エチルメチルビニルホスホネート、ジエチルビニルホスホネート、および前述の任意のもの組合せから選択される。
【0078】
特定の実施形態では、チオール基と反応性である末端基と接着を促進させる末端基を有する接着を促進させる化合物がビニルアミンである。特定の実施形態では、ビニルアミンは、式(4):
CH
2=CH
2−R
9−NH
2 (4)
(式中、R
9は、C
1〜10アルカンジイル、置換C
1〜10アルカンジイル、C
1〜10ヘテロアルカンジイルおよび置換C
1〜10ヘテロアルカンジイルから選択される)
の構造を有する。
【0079】
特定の実施形態では、ビニルアミンは、ビニルエポキシドとジアミンを含む反応体の反応生成物を含むものである。特定の実施形態では、ビニルエポキシドは、式(7):
【化2】
(式中、R
11はC
1〜6アルカンジイルである)
の構造を有する。特定の実施形態では、ビニルエポキシドがアリルグリシジルエーテルである。特定の実施形態では、ジアミンは、式(8):
NH
2−R
12−NH
2 (8)
(式中、R
12はC
1〜6アルカンジイルである)
の構造を有する。特定の実施形態では、ジアミンが、N−(アミノメチル)メタンジアミン、N
1−(2−アミノエチル)エタン−1,2−ジアミン、およびその組合せから選択される。
【0080】
特定の実施形態では、チオール基と反応性である末端基と接着を促進させる末端基を有する化合物がビニルカルボン酸であり、式(5):
CH
2=CH
2−R
10−COOH (5)
(式中、R
10はC
1〜6アルカンジイルである)
の構造を有する。特定の実施形態では、ビニルカルボン酸が、ブト−3−エン酸、ペント−4−エン酸、およびヘキサ−5−エン酸から選択される。
【0081】
特定の実施形態では、チオール基と反応性である末端基がマイケル受容体基であり;接着を促進させる末端基が、シラン、ホスホネート、アミン、カルボン酸およびホスホン酸から選択される。特定の実施形態では、該化合物は、(a)式HS−R−S−D(式中、Rは、C
1〜10アルカンジイル、置換C
1〜10アルカンジイル、C
1〜10ヘテロアルカンジイルおよび置換C
1〜10ヘテロアルカンジイルから選択され;Dは、接着を促進させる基を含むものである)のチオール末端型化合物;を(b)チオール基と反応性である基とマイケル受容体基とを含む化合物と反応させることにより調製され得る。特定の実施形態では、チオール基と反応性である基とマイケル受容体基とを含む化合物がビニルスルホンである。特定の実施形態では、チオール基と反応性である基とマイケル受容体基とを含む化合物がジビニルスルホンである。
【0082】
含硫化合物を形成するための反応の特定の実施形態では、多官能化剤をジチオールと反応させてチオール末端型中間体を形成してもよい。そのため、反応体のモル比は適切に選択される。例えば、1モルの三官能性の化合物(TACなど)を3モルのジチオール(DMDOなど)と反応させると三官能性のチオール末端型中間体が得られ得る。続いて、この三官能性のチオール末端型中間体を、チオール基と反応性である基と接着を促進させる基とを含む化合物と反応させ得る。該中間体とチオール基と反応性である基と接着を促進させる基とを含む化合物とのモル比は、所望の平均接着促進剤官能性数を有する多官能性化合物が得られるように選択され得る。例えば、約1個の平均接着促進剤官能性数を得るためには、約1モルの多官能性中間体を、チオール基と反応性である末端基と接着を促進させる末端基とを含む約1モルの化合物と反応させる。
【0083】
本開示により提供される接着促進基を含む含硫化合物では、該化合物が接着を促進させる少なくとも1つの末端基と硬化剤と反応し得る少なくとも2つの末端チオール基とを含むものであり、それによりポリマー網目の主鎖内に組み込まれる、例えば共重合されることが意図される。特定の実施形態では、含硫化合物は、平均して1分子あたり1つの接着促進基、特定の実施形態では、1分子あたり平均2つの接着促進基を含む。
【0084】
特定の実施形態では、含硫接着促進剤は、TAC、DMDO、ならびにトリメトキシ(ビニル)シラン、エトキシジメトキシ(ビニル)シラン、ジエトキシ(メトキシ)(ビニル)シランおよびトリエトキシ(ビニル)シランから選択されるビニルシランを含む反応体の反応生成物を含むものである。
【0085】
特定の実施形態では、含硫接着促進剤は、TAC、DMDO、ならびにビニルホスホン酸、ジメチルビニルホスホネート、エチルメチルビニルホスホネートおよびジエチルビニルホスホネートから選択されるビニルホスホネートを含む反応体の反応生成物を含むものである。
【0086】
特定の実施形態では、含硫接着促進剤は、TAC、DMDO、ならびにN−(アミノメチル)メタンジアミンおよびN
1−(2−アミノエチル)エタン−1,2−ジアミンから選択されるジアミンを含む反応体の反応生成物を含むものである。
組成物
【0087】
本開示により提供される含硫接着促進剤は組成物に、例えば、航空宇宙産業業界において有用なシーラントとして配合される組成物に使用され得る。
【0088】
特定の実施形態では、本開示により提供されるシーラントなどの組成物は(a)本開示により提供される少なくとも1種類の含硫化合物;(b)少なくとも1種類のチオール末端型含硫ポリマー;および(c)少なくとも1種類の硬化剤を含むものである。
【0089】
特定の実施形態では、チオール末端型含硫ポリマーが、チオール末端型ポリチオエーテル、チオール末端型ポリスルフィド、およびその組合せから選択される。
【0090】
特定の実施形態では、チオール末端型含硫ポリマーがチオール末端型ポリチオエーテルを含むものである。チオール末端型ポリチオエーテルは種々のポリチオエーテルの混合物を含むものであってもよく、該ポリチオエーテルは同じまたは異なる官能性のチオール基を有するものであってもよい。特定の実施形態では、チオール末端型ポリチオエーテルは2〜6、2〜4、2〜3、特定の実施形態では2.05〜2.8の平均官能性数を有する。例えば、チオール末端型ポリチオエーテルは、二官能性含硫ポリマー、三官能性含硫ポリマー、およびその組合せから選択され得る。
【0091】
チオール官能性ポリチオエーテルの例は、例えば米国特許第6,172,179号に開示されている。特定の実施形態では、チオール官能性ポリチオエーテルはPermapol(登録商標)P3.1E(PRC−DeSoto International Inc.(Sylmar,CA)製)を含むものである。
【0092】
特定の実施形態では、チオール末端型ポリチオエーテルは(a)式(12):
−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−[−R
2−O−]
m−(CH
2)
2−S−R
1]
n− (12)
を有する構造を含む主鎖を含むものであり、式中、(i)各R
1は独立して、C
2〜10のn−アルカンジイル基、C
3〜6の分枝アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイルe基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−基、および−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−基(ここで、少なくとも1つの−CH
2−単位はメチル基で置換されている)から選択され;(ii)各R
2は独立して、C
2〜10のn−アルカンジイル基、C
3〜6の分枝アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、および−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−基から選択され;(iii)各Xは独立して、O、S、ならびに−NR
6−基(ここで、R
6は水素およびメチル基から選択される)から選択され;(iv)mは0〜50の範囲であり;(v)nは1〜60の整数であり;(vi)pは2〜6の整数であり;(vii)qは1〜5の整数であり;(viii)rは2〜10の整数である。
【0093】
特定の実施形態では、チオール末端型ポリチオエーテルが、式(13)のチオール末端型ポリチオエーテル、式(13a)のチオール末端型ポリチオエーテル、およびその組合せ:
HS−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−SH (13)
{HS−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S−V’−}
zB (13a)
(式中:
各R
1は独立して、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−から選択され、ここで:
sは2〜6の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
rは2〜10の整数であり;
各R
3は独立して、水素およびメチルから選択され;
各Xは独立して、O、S、ならびに−NHR−(式中、Rは水素およびメチルから選択される)から選択され;
各R
2は独立して、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、および−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−から選択され、ここで、s、q、r、R
3およびXは上記に規定したとおりであり;
mは0〜50の整数であり;
nは1〜60の整数であり;
pは2〜6の整数であり;
Bは、z価の多官能性化合物B(−V)
zのコアを表し、ここで:
zは3〜6の整数であり;
各−Vは、チオール基と反応性である末端基を含む部分であり;
各−V’−は、各−Vとチオール基の反応によって形成される部分を表す)
から選択される。
【0094】
特定の実施形態では、式(13)および式(13a)のR
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、式中のpが2であり、Xが−O−であり、qが2であり、rが2であり、R
2がエタンジイルであり、mが2であり、nが9である。
【0095】
式(13)および式(13a)の特定の実施形態では、R
1が、C
2〜6アルカンジイルおよび−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択される。
【0096】
式(13)および式(13a)の特定の実施形態では、R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−であり、特定の実施形態では、Xが−O−であり、特定の実施形態では、Xが−S−である。
【0097】
R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である式(13)および式(13a)の特定の実施形態では、pが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−S−であり;特定の実施形態では、pが2であり、qが2であり、rが2であり、Xが−O−であり;特定の実施形態では、pが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−O−である。
【0098】
R
1は−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である式(13)および式(13a)の特定の実施形態では、各R
3が水素であり、特定の実施形態では少なくとも1つのR
3がメチルである。
【0099】
式(13)および式(13a)の化合物の特定の実施形態では各R
1が同じであり、特定の実施形態では少なくとも1つのR
1が異なっている。
【0100】
種々の方法がかかるポリチオエーテルの調製に使用され得る。本明細書に開示した組成物における使用に適した好適なチオール官能性ポリチオエーテルの例およびその作製方法は、米国特許第6,172,179号の第2欄、29行目〜第4欄、22行目;第6欄、39行目〜第10欄、50行目;および第11欄、65行目〜第12欄、22行目(列挙した箇所は引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。かかるチオール官能性ポリチオエーテルは二官能性の、すなわち、2つのチオール末端基を有する線状ポリマーであってもよく、多官能性(すなわち、分枝状ポリマーは3つ以上のチオール末端基を有する)であってもよい。好適なチオール官能性ポリチオエーテルは、例えば、Permapol(登録商標)P3.1EとしてPRC−DeSoto International Inc.(Sylmar,CA)から市販されているものである。
【0101】
好適なチオール官能性ポリチオエーテルは、ジビニルエーテルまたはジビニルエーテルの混合物を過剰のジチオールまたはジチオールの混合物と反応させることにより作製され得る。例えば、かかるチオール官能性ポリチオエーテルの調製における使用に適したジチオールとしては、式(6)を有するもの、本明細書に開示した他のジチオール、または本明細書に開示した任意のジチオールの組合せが挙げられる。
【0102】
好適なジビニルエーテルとしては、例えば、式(14):
CH
2=CH−O−(−R
2−O−)
m−CH=CH
2 (14)
(式中、式(14)のR
2は、C
2〜6のn−アルカンジイル基、C
3〜6の分枝アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、および−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(−CH
2−)
r−から選択され、ここで、pは2〜6の範囲の整数であり、qは1〜5の整数であり、rは2〜10の整数である)を有するジビニルエーテルが挙げられる。式(14)のジビニルエーテルの特定の実施形態では、R
2がC
2〜6のn−アルカンジイル基、C
3〜6の分枝アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、特定の実施形態では−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(−CH
2−)
r−である。
【0103】
好適なジビニルエーテルとしては、例えば、少なくとも1つのオキシアルカンジイル基、例えば1〜4つのオキシアルカンジイル基を有する化合物、すなわち、式(14)のmが1〜4の範囲の整数である化合物が挙げられる。特定の実施形態では、式(14)のmが2〜4の範囲の整数である。また、1分子あたりのオキシアルカンジイル単位の数が整数でない平均値を特徴とする市販のジビニルエーテル混合物を使用することも可能である。したがって、式(14)のmはまた、0〜10.0、例えば、1.0〜10.0、1.0〜4.0、または2.0〜4.0の範囲の有理数の値もとり得る。
【0104】
好適なジビニルエーテルの例としては、例えば、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(式(14)のR
2がエタンジイルであり、mが1である)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(式(14)のR
2がブタンジイルであり、mが1である)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(式(14)のR
2がヘキサンジイルであり、mが1である)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(式(4)のR
2がエタンジイルであり、mが2である)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(式(14)のR
2がエタンジイルであり、mが3である)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル(式(14)のR
2がエタンジイルであり、mが4である)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフリルジビニルエーテル;トリビニルエーテルモノマー、例えば、トリメチロールプロパントリビニルエーテル;四官能性エーテルモノマー、例えば、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル;および2種類または2種類より多くのかかるポリビニルエーテルモノマーの組合せが挙げられる。ポリビニルエーテルは、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基およびアミン基から選択される1つまたは1つより多くのペンダント基を有するものであってもよい。
【0105】
特定の実施形態では、式(14)のR
2がC
3〜6の分枝アルカンジイルであるジビニルエーテルは、ポリヒドロキシ化合物をアセチレンと反応させることにより調製され得る。この型のジビニルエーテルの例としては、式(14)のR
2がアルキル置換メタンジイル基、例えば−CH(CH
3)−である化合物(例えば、Pluriol(登録商標)ブレンド、例えば、Pluriol(登録商標)E−200ジビニルエーテル(BASF Corp.,Parsippany,NJ),これは、式(14)のR
2がエタンジイルであり、mが3.8である)またはアルキル置換エタンジイル(例えば、−CH
2CH(CH
3)−である化合物、例えば、DPEポリマーブレンド、例えば、DPE−2およびDPE−3(International Specialty Products,Wayne,NJ))が挙げられる。
【0106】
他の有用なジビニルエーテルとしては、式(14)のR
2がポリテトラヒドロフリル(ポリ−THF)またはポリオキシアルカンジイルである、例えば、平均約3個のモノマー単位を有するものである化合物が挙げられる。
【0107】
2種類または2種類より多くの型の式(14)のポリビニルエーテルモノマーを使用してもよい。したがって、特定の実施形態では、式(6)の2種類のジチオールと式(14)の1種類のポリビニルエーテルモノマー、式(6)の1種類のジチオールと式(14)の2種類のポリビニルエーテルモノマー、式(6)の2種類のジチオールと式(14)の2種類のジビニルエーテルモノマー、ならびに式の一方または両方の2種類より多くの化合物を用いてさまざまなチオール官能性ポリチオエーテルが作製され得る。
【0108】
特定の実施形態では、ポリビニルエーテルモノマーは、チオール官能性ポリチオエーテルを調製するために使用される反応体の20〜50モルパーセント未満、特定の実施形態では30〜50モルパーセント未満を構成する。
【0109】
本開示により提供される特定の実施形態では、ジチオールおよびジビニルエーテルの相対量は、末端チオール基を有するポリチオエーテルが得られるように選択される。したがって、式(6)のジチオールまたは式(6)の少なくとも2種類の異なるジチオールの混合物を、式(14)のジビニルエーテルまたは式(14)の少なくとも2種類の異なるジビニルエーテルの混合物と、ビニル基に対するチオール基のモル比が1:1よりより大きくなる、例えば、1.1〜2.0:1.0となるような相対量で反応させる。
【0110】
ジチオールとジビニルエーテルの化合物との反応はフリーラジカル触媒によって触媒され得る。好適なフリーラジカル触媒としては、例えば、アゾ化合物、例えばアゾビスニトリル、例えばアゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN);有機過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイルおよび過酸化t−ブチル;ならびに無機過酸化物、例えば、過酸化水素が挙げられる。触媒はフリーラジカル触媒、イオン触媒または紫外放射線であり得る。特定の実施形態では、触媒は、酸性または塩基性の化合物を含んでおらず、分解時に酸性または塩基性の化合物を生じない。フリーラジカル触媒の例としては、アゾ型触媒、例えば、Vazo(登録商標)−57(Du Pont)、Vazo(登録商標)−64(Du Pont)、Vazo(登録商標)−67(Du Pont)、V−70(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)、およびV−65B(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)が挙げられる。他のフリーラジカル触媒の例はアルキル過酸化物、例えば、過酸化t−ブチルである。また、反応を、カチオン光開始部分を伴って、またはなしのいずれかでの紫外光の照射によって行なってもよい。
【0111】
本開示により提供されるチオール官能性ポリチオエーテルは、式(6)の少なくとも1種類の化合物と式(14)の少なくとも1種類の化合物を合わせた後、適切な触媒を添加し、反応を30℃〜120℃(70℃〜90℃など)の温度で2〜24時間(2〜6時間など)の時間行なうことにより調製され得る。
【0112】
本明細書に開示しているように、チオール末端型ポリチオエーテルは多官能性ポリチオエーテルを含むものであってもよい、すなわち、2.0より大きい平均官能部数を有するものであってもよい。好適な多官能性チオール末端型ポリチオエーテルとしては、例えば、式(15):
B(−A−SH)
z (15)
の構造を有するものが挙げられ、式中:(i)Aは、式(15)の構造を含むものであり、(ii)Bは、多官能化剤のz価の残基を表し;(iii)zは、2.0より大きい平均値、特定の実施形態では2〜3の間の値、2〜4の間の値、3〜6の間の値を有し、特定の実施形態では3〜6の整数である。
【0113】
かかる多官能性チオール官能性ポリマーの調製における使用に適した多官能化剤としては、三官能化剤、すなわちzが3である化合物が挙げられる。好適な三官能化剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート(TAC)、1,2,3−プロパントリチオール、イソシアヌレート含有トリチオールおよびその組合せ(米国特許出願公開公報第2010/0010133号の段落[0102]〜[0105](この記載箇所は引用により本明細書に組み込まれる)に開示)が挙げられる。他の有用な多官能化剤としては、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ならびに米国特許第4,366,307号;同第4,609,762号;および同第5,225,472号に記載のポリチオールが挙げられる。また、多官能化剤の混合物を使用してもよい。
【0114】
結果として、本開示により提供される実施形態における使用に適したチオール官能性ポリチオエーテルは広範な平均官能部数を有し得る。例えば、三官能化剤により、2.05〜3.0、例えば2.1〜2.6の平均官能部数がもたらされ得る。より広範な平均官能部数は、四官能性またはより高次官能性の多官能化剤を使用することにより得られ得る。また、官能部数は、当業者に理解されるように化学量論などの係数に影響され得る。
【0115】
2.0より大きい官能部数を有するチオール官能性ポリチオエーテルは、米国特許出願公開公報第2010/0010133号に記載の二官能性チオール官能性ポリチオエーテルと同様の様式で調製され得る。特定の実施形態では、ポリチオエーテルは、(i)本明細書に記載の1種類または1種類より多くのジチオールを、(ii)本明細書に記載の1種類または1種類より多くのジビニルエーテルおよび(iii)1種類または1種類より多くの多官能化剤と合わせることにより調製され得る。次いで混合物を、任意選択で適当な触媒の存在下で反応させると、2.0より大きい官能部数を有するチオール官能性ポリチオエーテルが得られ得る。
【0116】
したがって、特定の実施形態では、チオール末端型ポリチオエーテルは:
(a)式(6):
HS−R
1−SH (6)
(式中:
R
1はC
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択され;ここで:
各R
3は独立して、水素およびメチルから選択され;
各Xは独立して、−O−、−S−、−NH−、ならびに−NR−(式中、Rは水素およびメチルから選択される)から選択され;
sは2〜6の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
rは2〜10の整数である)
のジチオール;および
(b)式(14):
CH
2=CH−O−[−R
2−O−]
m−CH=CH
2 (14)
(式中:
各R
2は独立して、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、および−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−から選択され、ここで、s、q、r、R
3およびXは上記に規定したとおりであり;
mは0〜50の整数であり;
nは1〜60の整数であり;
pは2〜6の整数である)
のジビニルエーテル
を含む反応体の反応生成物を含むものである。
そして、特定の実施形態では、該反応体に(c)多官能性化合物、例えば、多官能性化合物B(−V)
z(式中、B、−Vおよびzは本明細書に規定のとおりである)が含まれる。
【0117】
本開示により提供されるチオール末端型ポリチオエーテルは、分子量分布を有するチオール末端型ポリチオエーテルである。特定の実施形態では、該組成物に有用なチオール末端型ポリチオエーテルは、500ダルトン〜20,000ダルトン、特定の実施形態では2,000ダルトン〜5,000ダルトン、特定の実施形態では3,000ダルトン〜4,000ダルトンの範囲の数平均分子量を示すものであり得る。特定の実施形態では、本開示により提供される組成物に有用なチオール末端型ポリチオエーテルは1〜20、特定の実施形態では1〜5の範囲の多分散度(M
w/M
n;重量平均分子量/数平均分子量)を示すものである。チオール末端型ポリチオエーテルの分子量分布はゲル浸透クロマトグラフィーによって特性評価され得る。
【0118】
特定の実施形態では、チオール末端型含硫ポリマーがチオール末端型ポリスルフィドを含むものである。
【0119】
本明細書で用いる場合、用語「ポリスルフィド」は、ポリマー主鎖内および/またはポリマー鎖の末端部もしくは懸垂部に1つまたは1つより多くのジスルフィド結合、すなわち−[S−S]−結合を含むポリマーをいう。多くの場合、ポリスルフィドポリマーは2つまたは2つより多くの硫黄−硫黄結合を有する。好適なポリスルフィドはAkzo NobelからThioplast(登録商標)の名称で市販されているものである。Thioplast(登録商標)製品は、例えば1,100未満から8,000を超えるものまでの範囲の広範な分子量で入手可能であり、分子量は1モルあたりの平均分子量(単位:グラム)である。特定の実施形態では、ポリスルフィドは1,000〜4,000の数平均分子量を有する。また、この製品の架橋密度も、使用される架橋剤の量に応じて種々である。また、この製品の−SH含有量、すなわちメルカプタンまたはチオールの含有量も種々であり得る。ポリスルフィドのメルカプタン含有量および分子量によりポリマーの硬化速度が影響され得、硬化速度は分子量とともに増大する。
【0120】
特定の実施形態では、前述のポリスルフィドは、チオール末端型ポリスルフィドを含むことに加えて、またはその代わりに:(a)90モルパーセント〜25モルパーセントの式HS(RSS)
mR’SHのメルカプタン末端型ジスルフィドポリマー;と(b)10モルパーセント〜75モルパーセントの式HS(RSS)
nRSHのジエチルホルマールメルカプタン末端型ポリスルフィドポリマーを含むポリマー混合物を含むものであり、式中、Rは−C
2H
4−O−CH
2−O−C
2H
4−であり;R’は、2〜12個の炭素原子のアルキル、4〜20個の炭素原子のアルキルチオエーテル、4〜20個の炭素原子と1個の酸素原子のアルキルエーテル、4〜20個の炭素原子と2〜4個の酸素原子(これらは各々、他方と、少なくとも2個の炭素原子によって隔離されている)のアルキルエーテル、6〜12個の炭素原子の脂環式、および芳香族低級アルキルから選択される二価の構成員であり;mおよびnの値は、ジエチルホルマールメルカプタン末端型ポリスルフィドポリマーおよびメルカプタン末端型ジスルフィドポリマーが1,000〜4,000、例えば1,000〜2,500の平均分子量を有するようなものである。かかるポリマー混合物は、米国特許第4,623,711号の第4欄、18行目〜第8欄、35行目(列挙した箇所は引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。一部の場合では、上記の式のR’が−CH
2−CH
2−;−C
2H
4−O−C
2H
4−;−C
2H
4−S−C
2H
4−;−C
2H
4−O−C
2H
4−O−C
2H
4−;または−CH
2−C
6H
4−CH
2−である。
【0121】
特定の実施形態では、ポリスルフィドは、チオール末端型ポリスルフィド、例えば、Akzo NobelからThioplast(登録商標)の名称で市販されているもの、および東レからThiokol(登録商標)−LPの名称で市販されているものを含むものである。
【0122】
含硫ポリマーの末端基および含硫化合物と反応性である硬化剤が選択され得る。特定の実施形態では、含硫ポリマーと本開示により提供される含硫化合物は、硬化剤と反応性の同じ基を含むものである。例えば、特定の実施形態では、含硫ポリマーと本開示により提供される含硫化合物がどちらも反応性チオール基を含むものであり、硬化剤は、反応性のアルケニル基、エポキシ基、イソシアネート基またはマイケル受容体基を含むものである。
【0123】
特定の実施形態では、本開示により提供される含硫化合物は、組成物の0.1wt%〜15wt%、例えば、0.1〜5wt%未満、0.1〜2wt%未満、特定の実施形態では、組成物の乾燥総重量に対して0.1〜1wt%未満の量で存在させ得る。
【0124】
特定の実施形態では、本開示により提供される化合物は、本開示により提供される1種類または1種類より多くの含硫化合物に加えて、1種類または1種類より多くのさらなる接着促進剤を含む。1種類または1種類より多くのさらなる接着促進剤は、組成物の0.1wt%〜15wt%、例えば、0.1〜5wt%未満、0.1〜2wt%未満、特定の実施形態では、組成物の乾燥総重量に対して0.1〜1wt%未満の量で存在させ得る。接着促進剤の例としては、フェノール系(Methylon(登録商標)フェノール系樹脂など)、ならびにオルガノシラン、例えば、エポキシ、メルカプトまたはアミノ官能性シラン(Silquest(登録商標)A−187およびSilquest(登録商標)A−1100など)が挙げられる。他の有用な接着促進剤は当該技術分野で知られている。
【0125】
特定の実施形態では、本開示により提供される組成物は、エチレン性不飽和シラン、例えば含硫エチレン性不飽和シランなどを含むものであり、これにより金属基材に対する硬化型シーラントの接着が改善され得る。本明細書で用いる場合、含硫エチレン性不飽和シランという用語は、分子内に(i)少なくとも1個の硫黄(S)原子、(ii)少なくとも1つ、一部の場合では少なくとも2つのエチレン性不飽和炭素−炭素結合、例えば、炭素−炭素二重結合(C=C);および(iii)少なくとも1つのシラン基、−Si(−R)
m(−OR)
3−m(式中、各Rは独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリールなどから選択され、mは、0、1および2から選択される)を含む分子化合物をいう。エチレン性不飽和シランの例は米国特許出願公開公報第2012/0040104号(これは引用により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0126】
特定の実施形態では、本開示により提供される組成物における使用に適した含硫エチレン性不飽和シランは、(i)メルカプトシランと(ii)ポリエンを含む反応体の反応生成物を含むものである。本明細書で用いる場合、メルカプトシランという用語は、分子内に(i)少なくとも1つのメルカプト(−−SH)基と、(ii)少なくとも1つのシラン基を含む分子化合物をいう。好適なメルカプトシランとしては、例えば、構造HS−R’−Si(−R)
m(−OR)
3−m(式中、Rおよびmはシラン基について規定したとおりであり、R’は二価の有機基である)を有するものが挙げられる。
【0127】
含硫エチレン性不飽和シランの調製における使用に適したメルカプトシランの例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシランメルカプトメチルトリエトキシシラン、および前述の任意のもの組合せが挙げられる。
【0128】
特定の実施形態では、含硫エチレン性不飽和シランを調製するために使用されるポリエンはトリエンを含むものであり、トリエンは3つの炭素−炭素二重結合を含む化合物、例えば、トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートなどをいう。
【0129】
特定の実施形態では、ポリエンがトリエン、例えば、前述のトリアリル化合物の1種類または1種類より多くのを含むものであり、メルカプトシランとトリエンを一緒に、得られる反応生成物が理論的に1分子あたり平均少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含むような相対量で反応させる。特定の実施形態では、エチレン性不飽和シランは、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランとトリアリルシアヌレートの反応生成物を含むものである。
【0130】
特定の実施形態では、本開示により提供される組成物は、組成物を化学線に曝露した際に本明細書に記載の許容され得るシーラント特性を有する硬化型シーラントを得るために、「エン」基に対して本質的に化学量論的等価量のチオール基を含む。本明細書で用いる場合、「本質的に化学量論的等価」とは、組成物中に存在するチオール基と「エン」基の数の差が互いに10%以下、一部の場合では5%以下または、一部の場合では1%以下または0.1%以下であることを意味する。一部の場合では、組成物中に存在するチオール基と「エン」基の数が等しい。さらに、認識されようが、「エン」基の供給源に、エチレン性不飽和シラン自体(使用する場合)ならびに組成物中に含まれるその他のポリエン(1種類または複数種)が含まれていてもよい。特定の実施形態では、エチレン性不飽和シランを、組成物内に存在するエチレン性不飽和基の総数の0.1〜30、例えば1〜30または、一部の場合では10〜25パーセント(組成物内のエチレン性不飽和基の数に対して)がエチレン性不飽和シラン分子の一部分であるような量で存在させる。
【0131】
特定の実施形態では、本開示により提供される方法は、未硬化シーラント組成物を化学線に曝露して硬化型シーラントを得ることを含む。特定の実施形態では、特に、硬化型シーラントを前述の未硬化シーラント組成物をUV放射線に曝露することによって形成する場合、該組成物には光開始剤も含める。当業者には認識されるように、光開始剤は紫外放射線を吸収し、重合を開始させるラジカルに変換される。光開始剤は作用様式に基づいて2つの群に大別され、そのいずれかまたは両方が本明細書に記載の組成物に使用され得る。切断型光開始剤としては、アセトフェノン、α−アミノアルキルフェノン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルオキシム、アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドならびにその混合物が挙げられる。抽出型光開始剤としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン、カンファーキノン、フルオロン、ケトクマリンおよびその混合物が挙げられる。
【0132】
好適な光開始剤の非限定的な例としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルベンゾフェノール、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、フルオロン、例えば、Spectra Group Ltd.製のH−Nuシリーズの開始剤、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチキサントン、a−アミノアルキルフェノン、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、アシルホスフィンオキシド、例えば、2,6−ジメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、および2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、例えば、ビス(2,6−ジメトキシ(methyoxy)ベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、およびビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ならびにその組合せが挙げられる。
【0133】
特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、該組成物の総重量に対して0.01〜15重量パーセントまでの光開始剤または、一部の実施形態では0.01〜10重量パーセントまで、またはさらに他の実施形態では0.01〜5重量パーセントまでの光開始剤を含む。
【0134】
上記のように、特定の実施形態では、方法は、未硬化シーラント組成物を化学線に曝露して硬化型シーラントを得ることを含むものである。特定の実施形態では、チオール−エン反応(これにより硬化型シーラントが形成される)は、(a)チオール末端型ポリチオエーテル(上記の任意のものなど);(b)含硫接着促進剤、および(c)ポリビニルエーテルおよび/または上記のポリアリル化合物を含むポリエンを含む未硬化組成物に化学線を照射することにより行なわれ得る。本明細書で用いる場合、化学線は、電子ビーム(EB)放射線、紫外(UV)放射線、および可視光を包含している。多くの場合で、チオール−エン反応は組成物にUV光を照射することにより行なわれ、かかる場合では、上記のように;該組成物には、多くの場合、任意選択の成分の中でもとりわけ光開始剤をさらに含める。
【0135】
例えば180nm〜400nmの範囲の波長を有する紫外光を放射する任意の適当な紫外放射線源が上記のチオール−エン反応の開始に使用され得、それにより硬化型シーラントが形成され得る。好適な紫外光の光源は一般的に知られており、例えば、水銀アーク、カーボンアーク、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、旋回流プラズマアークおよび紫外光発光ダイオードが挙げられる。該組成物の一部の特定の実施形態は、空気中での紫外光への比較的低エネルギー曝露で優れた硬化度を示すものであり得る。
【0136】
特定の実施形態では、本開示により提供される組成物は、化学線を用いて硬化させ得る。化学線を用いて硬化性のポリチオエーテル組成物を含む組成物の例は米国特許出願公開公報第2012/0040104号に開示されている。かかる組成物は、本開示により提供される含硫化合物(接着促進剤)および1種類または1種類より多くの含硫ポリマー(チオール末端型含硫ポリマーなど)に加えてポリエン、例えばポリビニルエーテル、例えば、式(14)のポリビニルエーテルなどを含むものであり得る。
【0137】
本開示により提供される組成物はUV硬化性であることが意図されるが、当業者には理解されるように、他の硬化化学反応も、1種類または1種類より多くの適切な硬化剤の使用を伴って使用され得る。硬化剤という用語は、本開示により提供される組成物に、該組成物の硬化またはゲル化を加速させるために添加され得る化合物をいう。「硬化する」または「硬化」とは、ASTM D2240に従って測定したときシーラントが30デュロメーターの硬化硬度に達した時点を示し得る。任意の適当な硬化剤が使用され得る。特定の実施形態では、硬化剤は、末端メルカプタン基を酸化してジスルフィド結合を形成する酸化剤を含むものである。好適な酸化性硬化剤としては、例えば、二酸化鉛、二酸化マンガン、二酸化カルシウム、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過酸化カルシウム、過酸化亜鉛、ジクロメートおよびエポキシが挙げられる。他の好適な硬化剤は、本明細書に開示した含硫ポリマー内の官能基と反応性である反応性官能基を含むものであり得る。例としては、ポリチオール、例えば、ポリチオエーテル;ポリイソシアネート、例えば、イソホロン、ジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート(その混合物を含む、およびそのイソシアヌレート誘導体を含む);ならびにポリエポキシドが挙げられる。ポリエポキシドの例としては、ヒダントインジエポキシド、ビスフェノール−Aエポキシド、ビスフェノール−Fエポキシド、ノボラック型エポキシド、脂肪族ポリエポキシド、ならびに任意のエポキシ化不飽和樹脂およびフェノール系樹脂が挙げられる。ポリエポキシドという用語は、1より大きい1,2−エポキシ当量を有する化合物をいい、モノマー、オリゴマーおよびポリマーを包含している。
【0138】
特定の実施形態では、本開示により提供される組成物は、1種類または1種類より多くの硬化剤、例えば、イソ−エポキシ、イソシアネートおよびその組合せを含むものである。
【0139】
本開示により提供される組成物に1種類または1種類より多くの触媒を含めてもよい。
【0140】
本開示により提供される組成物に1種類または1種類より多くの異なる型のフィラーを含めてもよい。好適なフィラーとしては当該技術分野で一般的に知られているもの、例えば、無機フィラー(カーボンブラックおよび炭酸カルシウム(CaCO
3)など)、シリカ、ポリマー粉末、ならびに軽量フィラーが挙げられる。好適な軽量フィラーとしては、例えば、米国特許第6,525,168号に記載のものが挙げられる。特定の実施形態では、組成物は、該組成物の乾燥総重量に対して5wt%〜60wt%、10wt%〜50wt%、特定の実施形態では20wt%〜40wt%のフィラーまたはフィラーの組合せを含むものである。本開示により提供される組成物に、さらに、1種類または1種類より多くの着色剤、チキソトロープ剤、促進剤、難燃剤、接着促進剤、溶剤、マスキング剤、または前述の任意のもの組合せを含めてもよい。認識され得ようが、組成物に使用されるフィラーおよび添加剤は互いに、ならびにポリマー成分、硬化剤およびまたは触媒と適合性であるように選択され得る。
【0141】
特定の実施形態では、本開示により提供される組成物は低密度フィラー粒子を含むものである。本明細書で用いる場合、低密度とは、かかる粒子に関して用いている場合、該粒子が0.7以下、特定の実施形態では0.25以下、特定の実施形態では0.1以下の比重を有していることを意味する。好適な軽量フィラー粒子は、多くの場合、2つのカテゴリー:マイクロスフィアとアモルファス粒子に含まれる。マイクロスフィアの比重は0.1〜0.7の範囲であり得、例えば、ポリスチレンフォーム、ポリアクリレートとポリオレフィンのマイクロスフィア、ならびに5〜100ミクロンの範囲の粒径および0.25の比重を有するシリカマイクロスフィア(Eccospheres(登録商標))が挙げられる。他の例としては、5〜300ミクロンの範囲の粒径および0.7の比重を有するアルミナ/シリカマイクロスフィア(Fillite(登録商標))、約0.45〜約0.7の比重を有するケイ酸アルミニウムマイクロスフィア(Z−Light(登録商標))、0.13の比重を有する炭酸カルシウムコートポリビニリデンコポリマーマイクロスフィア(Dualite(登録商標)6001AE)、ならびに約40μmの平均粒径および0.135g/ccの密度を有する炭酸カルシウムコートアクリロニトリルコポリマーマイクロスフィア(Dualite(登録商標)E135など)(Henkel)が挙げられる。組成物の比重を下げるのに好適なフィラーとしては、例えば、中空マイクロスフィア、例えば、Expancel(登録商標)マイクロスフィア(AkzoNobel製)またはDualite(登録商標)低密度ポリマーマイクロスフィア(Henkel製)が挙げられる。特定の実施形態では、本開示により提供される組成物は、薄層コーティングでコートされた外側表面を含む軽量フィラー粒子(米国特許出願公開公報第2010/0041839号の段落[0016]〜[0052](この記載箇所は引用により本明細書に組み込まれる)に記載のものなど)を含むものである。
【0142】
特定の実施形態では、低密度フィラーは組成物の2wt%未満、1.5wt%未満、1.0wt%未満、0.8wt%未満、0.75wt%未満、0.7wt%未満、特定の実施形態では組成物の0.5wt%未満を構成しており、ここで、wt%は組成物の乾燥固形分の総重量に対するものである。
【0143】
特定の実施形態では、本開示により提供される組成物が、組成物の比重の低減に有効な少なくとも1種類のフィラーを含むものである。特定の実施形態では、組成物の比重は0.8〜1、0.7〜0.9、0.75〜0.85、特定の実施形態では0.8である。特定の実施形態では、組成物の比重が約0.9未満、約0.8未満、約0.75未満、約0.7未満、約0.65未満、約0.6未満、特定の実施形態では約0.55未満である。
【0144】
特定の実施形態では、チオール末端型含硫ポリマーの組合せを含むチオール末端型含硫ポリマーが組成物の約50wt%〜約90wt%、約60wt%〜約90wt%、約70wt%〜約90wt%、特定の実施形態では、組成物の約80wt%〜約90wt%を構成しており、ここで、wt%は組成物の乾燥固形分の総重量に対するものである。
【0145】
特定の実施形態では、チオール末端型ポリチオエーテルの組合せを含むチオール末端型ポリチオエーテルが組成物の約50wt%〜約90wt%、約60wt%〜約90wt%、約70wt%〜約90wt%、特定の実施形態では、組成物の約80wt%〜約90wt%を構成しており、ここで、wt%は組成物の乾燥固形分の総重量に対するものである。
【0146】
また、組成物に、所望により任意の数の添加剤を含めてもよい。好適な添加剤の例としては、可塑剤、顔料、界面活性剤、接着促進剤、チキソトロープ剤、難燃剤、マスキング剤、および促進剤(アミンなど、例えば、1,4−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン,DABCO(登録商標))ならびに前述の任意のもの組合せが挙げられる。使用する場合、添加剤は組成物中に、例えば約0%〜60重量%の範囲の量で存在させ得る。特定の実施形態では、添加剤は組成物中に約25%〜60重量%の範囲の量で存在させ得る。
使用
【0147】
本開示により提供される組成物は、例えばシーラント、コーティング、封入体、および注封用組成物に使用され得る。シーラントには、動作条件(湿気および温度など)に耐える能力を有し、物質(水、燃料、ならびに他の液体およびガスなど)の伝播を少なくとも一部阻止する膜を生成し得る組成物が包含される。コーティング組成物には、例えば基材の特性(外観、接着、濡れ性、耐食性、耐摩耗性、耐燃料油性および/または耐擦過性など)を改善するために基材の表面に塗布される被覆剤が包含される。注封用組成物には、電子アセンブリに衝撃および振動に対する抵抗性をもたらすため、ならびに湿気および腐食性因子を排除するために有用な材料が包含される。特定の実施形態では、本開示により提供されるシーラント組成物は、例えば、航空宇宙産業用シーラントとして、および燃料タンクの内層として有用である。
【0148】
特定の実施形態では、シーラントなどの組成物はマルチパック組成物、例えば2パック組成物として提供され得、この場合、1つのパッケージに本開示により提供される1種類または1種類より多くのチオール末端型ポリチオエーテルを含め、第2のパッケージに本開示により提供される1種類または1種類より多くの多官能性含硫エポキシを含める。所望により、または必要に応じて添加剤および/または他の材料をいずれかのパッケージに添加してもよい。この2つのパッケージは、使用前に合わせて混合され得る。特定の実施形態では、該1種類または1種類より多くのチオール末端型ポリチオエーテルとエポキシの混合物のポットライフは少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、特定の実施形態では2時間超であり、ここで、ポットライフは、混合した組成物が混合後、シーラントとしての使用に適した状態で維持されている期間をいう。
【0149】
シーラントなどの本開示により提供される組成物は任意のさまざまな基材に適用され得る。組成物が適用され得る基材の例としては、金属、例えば、チタン、ステンレス鋼、およびアルミニウム(これらはいずれも、陽極酸化処理、プライマー処理、有機被覆処理またはクロメート被覆処理がなされたものであってもよい);エポキシ;ウレタン;グラファイト;繊維ガラス複合材;Kevlar(登録商標);アクリル樹脂;ならびにポリカーボネートが挙げられる。特定の実施形態では、本開示により提供される組成物は、基材上のコーティング、例えばポリウレタンコーティングに適用され得る。
【0150】
本開示により提供される組成物は基材の表面上または下層上に、当業者に知られた任意の適当なコーティング法によって直接適用され得る。
【0151】
本開示の硬化性組成物を用いて存続可能な封止部が形成されるまでの時間は、当業者に認識され得、かつ適用可能は基準および規格の要件によって規定され得るいくつかの要素に依存し得る。一般に、本開示の硬化性組成物は混合および表面への適用後、24時間〜30時間以内に接着強度を発現し、充分な接着強度の90%が2日〜3日で発現する。一般に、本開示の硬化型組成物の充分な接着強度ならびに他の特性は、混合および表面への硬化性組成物の適用後、7日間以内に充分に発現された状態になる。
【0152】
硬化型シーラントなどの本明細書に開示した硬化型組成物は、航空宇宙産業用途における使用に許容され得る特性を示す。一般に、航空機および航空宇宙産業用途に使用されるシーラントは以下の特性:米国航空宇宙材料仕様書(AMS)3265Bの基材上で、JRF中に7日間浸漬後、およびAMS 3265B試験規格に従う3%NaCl溶液中に浸漬後、乾燥条件下で測定時、20ポンド/リニアインチ(pli)より大きい剥離強度;300ポンド/平方インチ(psi)〜400psiの引張強度;50ポンド/リニアインチ(pli)より大きい引裂強度;250%〜300%の伸び;および40(デュロメーターA)より大きい硬度を示すものであることが望ましい。航空機および航空宇宙産業用途に適切なこれらおよび他の硬化型シーラントの特性はAMS 3265B(その全体が引用により本明細書に組み込まれる)に開示されている。また、硬化させた場合、航空機および飛行機用途に使用される本開示の硬化性組成物は、60℃(140°F)および周囲圧でJRFタイプ1中に1週間の浸漬後、25%より大きくない体積膨潤パーセントを示すものであることも望ましい。他のシーラント用途には他の特性、範囲および/または閾値が適切であり得る。
【0153】
特定の実施形態では、本開示により提供される組成物は耐燃料油性である。本明細書で用いる場合、用語「耐燃料油性の」とは、組成物が、基材に適用して硬化させた場合、ASTM D792(米国材料試験協会)またはAMS 3269(米国航空宇宙材料仕様書)に記載のものと同様の方法に従って140°F(60℃)および周囲圧でジェットリファレンスフルイッド(Jet Reference Fluid)(JRF)タイプI中に1週間浸漬後、40%以下、一部の場合では25%以下、一部の場合では20%以下、また他の場合では10%以下の体積膨潤パーセントを示す硬化生成物(シーラントなど)をもたらし得ることを意味する。耐燃料油性の測定に使用されるジェットリファレンスフルイッドJRFタイプIは以下の組成:トルエン:28±1容量%;シクロヘキサン(“technical”):34±1容量%;イソオクタン:38±1容量%;およびターシャリージブチルジスルフィド:1±0.005容量%を有するものである(AMS 2629,1989年7月1日発行,§3.1.1など参照,SAE(Society of Automotive Engineersから入手可能)。
【0154】
特定の実施形態では、組成物により、AMS 3279,§3.3.17.1,試験手順AS5127/1,§7.7に記載の手順に従って測定したとき、少なくとも100%伸びおよび少なくとも400psiの引張強度を示す硬化生成物(シーラントなど)が得られる。
【0155】
特定の実施形態では、組成物により、SAE AS5127/1パラグラフ7.8に記載の手順に従って測定したとき200psiより大きい、一部の場合では少なくとも400psiのラップ剪断強度を示す硬化生成物(シーラントなど)が得られる。
【0156】
特定の実施形態では、本開示により提供される組成物により、AS 5127/1のパラグラフ7.8に従って測定したとき>200psi、例えば少なくとも220psiまたは、特定の実施形態では少なくとも250psiのラップ剪断強度を有する硬化型シーラントが得られる。
【0157】
特定の実施形態では、本開示により提供される組成物を含む硬化型シーラントは、AMS 3277に示された航空宇宙産業用シーラントの要件を満たす、またはそれを超えるものである。
【0158】
本開示の硬化性組成物は、硬化時、−55℃または−55℃より低い、特定の実施形態では−60℃または−60℃より低い、特定の実施形態では−65℃または−65℃より低いT
gを示すものであり得る。ガラス転移温度T
gは示差走査熱量測定によって測定され得る。
【0159】
さらに、本開示により提供される組成物を用いて開口部を封止するための方法を提供する。この方法は、例えば、本開示により提供される組成物、例えばシーラントを表面に適用して開口部を封止すること、および該組成物を硬化させることを含む。特定の実施形態では、開口部を封止するための方法は、(a)本開示により提供されるシーラント組成物を、開口部が画定された1つまたは1つより多くの表面に適用すること、(b)開口部が画定された該表面を組み立てること、および(c)該シーラントを硬化させ、封止開口部をもたらすことを含む。
【0160】
特定の実施形態では、該組成物は周囲条件下で硬化し得るものであり、ここで、周囲条件とは20℃〜25℃の温度をいう。特定の実施形態では、組成物は0℃〜100℃の温度を包含する条件下で硬化し得る。特定の実施形態では、組成物は高温、例えば少なくとも30℃、少なくとも40℃、特定の実施形態では少なくとも50℃で硬化し得る。特定の実施形態では、該組成物は室温、例えば25℃で硬化し得る。特定の実施形態では、該組成物は紫外放射線などの化学線に曝露されると硬化し得る。また、認識されようが、該方法は、航空宇宙ビークル、例えば航空機および航空宇宙ビークルの開口部を封止するためにも使用され得る。
【0161】
また、本開示により提供される組成物で封止される開口部、例えば航空宇宙ビークルの開口部も開示する。
【実施例】
【0162】
(実施例)
本開示により提供される実施形態を、以下の実施例を参照しながらさらに例示する。実施例には、一部の特定の含硫化合物、マイケル受容体付加物、このような含硫化合物、マイケル受容体付加物およびマイケル受容体を含む組成物の合成、特性および使用を記載している。当業者には、材料および方法の両方に対して、本開示内容の範囲を逸脱することなく多くの変形が行なわれ得ることが自明であろう。
実施例1
【化3】
【0163】
熱プローブ、メカニカルスターラーおよび窒素(N
2)供給口を取り付けた300mL容3つ口丸底フラスコ内に、98g(0.394mol)のトリアリルシアヌレート(TAC)および215gの1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン(DMDO)を仕込み、混合物を室温で20分間撹拌した。次いで混合物を70℃まで加熱し、100mgのVazo(登録商標)−67(Dupont)を添加した。反応混合物を70℃で8時間維持し、チオール末端型中間体Aを得た。反応の進行をメルカプタン当量(MEW)の測定によってモニタリングした。最終MEWは297であり、この物質は、25℃で20ポイズの粘度を有していた(スピンドル#6,50RPM,CAP2000粘度計を用いて測定)。
【0164】
熱プローブ、メカニカルスターラーおよび窒素(N
2)供給口を取り付けた300mL容3つ口丸底フラスコ内に、99g(0.374mol)のチオール末端型中間体Aを添加した。次いで、18g(0.123mol)のビニルトリメトキシシラン(Silquest(登録商標)A−171,Momentive Performance Materials)をこのフラスコにゆっくり添加した。反応液を、温度が安定するまで撹拌した。温度が安定したら反応温度を70℃に設定し、100mgのVazo(登録商標)−67を添加した。反応の進行をMEWによってモニタリングした。反応を12時間で終了し、最終MEWが431である含硫化合物1を得た。
実施例2
【化4】
【0165】
熱プローブ、メカニカルスターラーおよび窒素(N
2)供給口を取り付けた300mL容3つ口丸底フラスコ内に、58g(0.218mol)の実施例1のチオール末端型中間体Aおよび7.8gのビニルホスホン酸(VPA)を18℃で添加した。添加後、21℃までの少量の発熱がみとめられた。反応温度を65℃に設定し、75mgのVazo(登録商標)−67を添加した。反応液を6時間撹拌した。室温で17時間静置した後、反応を再び再開し、70mgのVazo(登録商標)−67を添加した。高温でさらに4時間撹拌した後、反応を終了した。含硫化合物2の最終MEWは436であった。
実施例3
【化5】
【0166】
熱プローブ、メカニカルスターラーおよび窒素(N
2)供給口を取り付けた300mL容3つ口丸底フラスコ内に、36g(0.127mol)の実施例1のチオール末端型中間体Aおよび5.7gのビニルホスホン酸メチルエステル(VPA)を18℃で添加した。添加後、21℃までの少量の発熱がみとめられた。反応温度を100℃に設定し、171mgのVazo(登録商標)−67を添加した。反応液を14時間撹拌した。含硫化合物3の最終MEWは456であった。
実施例4
【化6】
【0167】
熱プローブ、メカニカルスターラーおよび窒素(N
2)供給口を取り付けた300mL容3つ口丸底フラスコ内に、49g(0.476mol)のジエチレントリアミン、54g(0.475mol)のアリルグリシドールエーテル、および43g(0.714mol)のイソプロピルアルコール(IPA)を室温で添加し、10分間撹拌した。次いで、温度を64℃に設定し、10分後、120℃まで上げた。反応液を、撹拌しながら熱源から取り出した。反応をエポキシド当量(EEW)の測定によってモニタリングした。EEWが5412に達したとき、エポキシドの94%が消費されており、反応を停止し、1−(アリルオキシ)−3−(2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ)プロパン−2−オールを得た。IPAは回転式エバポレーションによって除去した。
【0168】
熱プローブ、メカニカルスターラーおよび窒素(N
2)供給口を取り付けた300mL容3つ口丸底フラスコ内に、5g(0.026mol)の1−(アリルオキシ)−3−(2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ)プロパン−2−オールおよび22.48g(0.026mol)の実施例1のチオール末端型中間体A、ならびに100mgのVazo(登録商標)−67を添加した。反応温度を80℃に設定し、反応をMEWによってモニタリングした。2時間後、反応を終了し、含硫化合物4の最終MEWは549であった。
実施例5
【化7】
【0169】
熱プローブ、メカニカルスターラーおよび窒素(N
2)供給口を取り付けた300mL容3つ口丸底フラスコ内に、6.3g(0.062mol)のアミノプロピルビニルエーテルおよび53.5g(0.069mol)の実施例1のチオール末端型中間体Aを添加した。反応温度を80℃に設定し、50mgのVazo(登録商標)−67を添加した。反応をMEWによってモニタリングした。2時間後、反応液のMEWは445になり、これはメルカプタン基の約3分の1が反応したことを示し、反応が終了したとみなした。粘度は350ポイズであった(スピンドル#6,50RPM,CAP2000粘度計を用いて測定)。
実施例6−比較組成物1
【0170】
比較組成物1の成分を表1に示す。
【表1】
【0171】
混合は蓋付きの60グラムのプラスチック容器内で行なった。チオール末端型ポリチオエーテル、トリエチレン(triethyene)グリコールジビニルエーテル(TEG−DVE)、米国特許出願公開公報第2012/0040104号の実施例12に記載の付加物(TAC−Sil)、および3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(Gelest,Morrisville,PA)をこの60グラムの容器内に添加した。この容器をハイスピードミキサー(DAC 600 FVZ)内に入れ、2,300rpmで30秒間混合した。容器を開放し、Irgacure(登録商標)2022(BASF)を添加し、容器をこのスピードミキサーに入れ、組成物を2,300rpmで1分間混合した。
実施例7−組成物2
【0172】
組成物2の成分を表2に示す。
【表2】
【0173】
混合は蓋付きの60グラムのプラスチック容器内で行なった。チオール末端型ポリチオエーテル、実施例1の含硫接着促進剤1、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEG−DVE)、米国特許出願公開公報第2012/0040104号の実施例12に記載の付加物(TAC−Sil)、および3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(Gelest,Morrisville,PA)をこの60グラムの容器内に添加した。この容器をハイスピードミキサー(DAC 600 FVZ)内に入れ、2,300rpmで30秒間混合した。容器を開放し、Irgacure(登録商標)2022(BASF)を添加し、組成物を2,300rpmで1分間混合した。
実施例8−組成物3
【0174】
組成物3の成分を表3に示す。
【表3】
【0175】
混合は蓋付きの60グラムのプラスチック容器内で行なった。チオール末端型ポリチオエーテル、実施例2の含硫接着促進剤2、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEG−DVE)、および米国特許出願公開公報第2012/0040104号の実施例12に記載の付加物(TAC−Sil)をこの60グラムの容器内に添加した。この容器をハイスピードミキサー(DAC 600 FVZ)内に入れ、2,300rpmで30秒間混合した。容器を開放し、Irgacure(登録商標)2022(BASF)を添加し、組成物を2,300rpmで1分間混合した。
実施例9−組成物4
【0176】
組成物4の成分を表4に示す。
【表4】
【0177】
混合は蓋付きの60グラムのプラスチック容器内で行なった。チオール末端型ポリチオエーテル、実施例3の含硫接着促進剤3、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEG−DVE)、米国特許出願公開公報第2012/0040104号の実施例12に記載の付加物(TAC−Sil)、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(Gelest,Morrisville,PA)、Silquest A−1120、およびシリカをこの60グラムの容器内に添加した。この容器をハイスピードミキサー(DAC 600 FVZ)内に入れ、2,300rpmで30秒間混合した。容器を開放し、Irgacure(登録商標)2022(BASF)を添加し、組成物を2,300rpmで1分間混合した。
実施例10−組成物5
【0178】
組成物5の成分を表5に示す。
【表5】
【0179】
混合は蓋付きの60グラムのプラスチック容器内で行なった。チオール末端型ポリチオエーテル、実施例4の含硫接着促進剤4、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEG−DVE)、および米国特許出願公開公報第2012/0040104号の実施例12に記載の付加物(TAC−Sil)をこの60グラムの容器内に添加した。この容器をハイスピードミキサー(DAC 600 FVZ)内に入れ、2,300rpmで30秒間混合した。容器を開放し、Irgacure(登録商標)2022(BASF)を添加し、組成物を2,300rpmで1分間混合した。
実施例11−組成物6
【0180】
組成物6の成分を表6に示す。
【表6】
【0181】
混合は蓋付きの60グラムのプラスチック容器内で行なった。チオール末端型ポリチオエーテル、実施例5の含硫接着促進剤、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEG−DVE)、および米国特許出願公開公報第2012/0040104号の実施例12に記載の付加物(TAC−Sil)をこの60グラムの容器内に添加した。この容器をハイスピードミキサー(DAC 600 FVZ)内に入れ、2,300rpmで30秒間混合した。容器を開放し、Irgacure(登録商標)2022(BASF)を添加し、組成物を2,300rpmで1分間混合した。
実施例12−接着の測定
【0182】
実施例6〜8、10および11の混合組成物を個々に、陽極酸化処理アルミニウムパネル(Mil−227725)上に注入し、UV光下に90秒間置くと、組成物は硬化して不粘着固形物になった。この組成物を、Phoseon Firefly硬化ユニット(Phoseon Technology(Hillsboro,Oregon)製)を用いて硬化させた。
【0183】
硬化させたパネルを周囲条件で所定の日数維持した後、接着を凝集破損パーセントとして測定した。0〜5の範囲の接着評価段階を各試験で割り当てた。5の値は100%凝集破損であり、0の値は100%接着破壊である(この接着試験方法は標準試験でないことに注意)。
【0184】
硬化組成物の接着を表7に示す。
【表7】
【0185】
結果は、本開示により提供される共重合性含硫接着促進剤を含む組成物では、共重合性含硫接着促進剤なしの同様の組成物と比べて、陽極処理アルミニウム基材に対する接着の向上が示されることを示す。
【0186】
最後に、本明細書に開示した実施形態の実施の択一的な様式があることに留意されたい。したがって、本発明の実施形態は例示的であって限定的でないとみなされたい。さらに、特許請求の範囲は本明細書に示した詳細事項に限定されず、その全範囲およびその均等物に権利が及ぶ。