(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-527475(P2015-527475A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(54)【発明の名称】架橋開始剤と促進剤の一次混合物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/06 20060101AFI20150821BHJP
C08K 5/01 20060101ALI20150821BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20150821BHJP
C08J 3/24 20060101ALI20150821BHJP
【FI】
C08L23/06
C08K5/01
C08K5/14
C08J3/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-530482(P2015-530482)
(86)(22)【出願日】2013年9月6日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月18日
(86)【国際出願番号】FR2013052059
(87)【国際公開番号】WO2014041287
(87)【国際公開日】20140320
(31)【優先権主張番号】1258569
(32)【優先日】2012年9月12日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】デフランシシ,アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】デボ,ファビアン
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA13
4F070AC63
4F070AE08
4F070GA05
4F070GB09
4J002BB031
4J002EA026
4J002EA036
4J002EK007
4J002FD156
4J002FD157
(57)【要約】
有機過酸化物、アゾ化合物またはこれらの混合物の中から選択される少なくとも一種のフリーラジカル開始剤を含む、ポリエチレンの架橋のための一次混合物であって、上記フリーラジカル開始剤と、1〜3個のビニル、アリルまたはイソプロペニル基で置換された5〜7個の炭素原子を有するシクロアルカン、1〜3個のビニル、アリルまたはイソプロペニル基で置換された芳香族化合物、多置換のメタクリレート、アクリレート、マレイミドベースのモノマーの中から選択される少なくとも1種の架橋促進剤とから成り、架橋促進剤に対するフリーラジカル開始剤の重量比が1以上、好ましくは1.5〜4の間にあることを特徴とする一次混合物。本発明はさらに、架橋ポリエチレンの製造方法と、上記一次混合物の使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機過酸化物、アゾ化合物またはこれらの混合物の中から選択される少なくとも一種のフリーラジカル開始剤を含む、ポリエチレンの架橋のための一次混合物であって、
上記フリーラジカル開始剤と、1〜3個のビニル、アリルまたはイソプロペニル基で置換された5〜7個の炭素原子を有するシクロアルカン、1〜3個のビニル、アリルまたはイソプロペニル基で置換された芳香族化合物、多置換のメタクリレート、アクリレート、マレイミドベースのモノマーの中から選択される少なくとも1種の架橋促進剤とから成り、
架橋促進剤に対するフリーラジカル開始剤の重量比が1以上で、好ましくは1.5〜4の間にある、
ことを特徴とする一次混合物。
【請求項2】
架橋促進剤がトリビニルシクロアルカンまたはジビニルベンゼンである請求項1に記載の一次混合物。
【請求項3】
フリーラジカル開始剤がジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンまたはジ[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼンまたはこれら開始剤の混合物である請求項1または2に記載の一次混合物。
【請求項4】
周囲圧力(1バール)かつ常温すなわち10℃〜で50℃の温度で液体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の一次混合物。
【請求項5】
ポリエチレンの架橋用組成物であって、
ポリエチレン、好ましくは低密度ポリエチレンと、請求項1〜4のいずれか一項に記載の一次混合物とを含むことを特徴とする架橋用組成物。
【請求項6】
少なくとも1種のUV保護剤、加工助剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、カップリング剤、顔料、染料、着色剤、可塑剤、難燃剤および/または架橋遅延剤をさらに含む請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ポリエチレンの最終架橋工程を含む架橋ポリエチレンの製造方法であって、
(1)フリーラジカル開始剤が有機過酸化物、アゾ化合物またはこれらの混合物の中から選択され、好ましくは、フリーラジカル開始剤がジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ [(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼンまたはこれらの混合物の中から選択され、
(2)少なくとも1つの架橋促進剤が、1〜3個のビニル、アリルまたはイソプロペニル基で置換された5〜7個の炭素原子を有するシクロアルカン、1〜3個のビニル、アリルまたはイソプロペニル基で置換された芳香族化合物、多置換されたメタクリレート、アクリレート、マレイミドをベースにしたモノマーの中から選択され、好ましくは、架橋促進剤がトリビニルシクロアルカンおよび/またはジビニルベンゼンの中から選択される、
方法において、
最初に、上記架橋促進剤とフリーラジカル開始剤とを希釈する工程を実施し、得られた請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体の形の一次混合物をポリエチレンに含浸させることを特徴とする方法。
【請求項8】
上記の希釈工程で、架橋促進剤が室温かつ常圧(すなわち10℃〜50℃の温度、1バールの圧力)で液体の形で存在する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
架橋工程を押出成形または射出成形で行う請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜4に記載の一次混合物または請求項5または6に記載の組成物の、ケーブル、特に流体または電流輸送ケーブルの製造での使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋促進剤中に予め可溶化したフリーラジカル開始剤の混合物(一次混合物)によってポリマーの顆粒(組成物)を含浸する方法に関するものである。本発明はさらに、架橋促進剤中に予め溶解させたフリーラジカル開始剤の混合物を用いて含浸された架橋ポリマーの製造方法にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
フリーラジカル開始剤は有機過酸化物、アゾ系およびこれらの混合物の中から選択される。このフリーラジカル開始剤は熱分解してフリーラジカルを生じる。このフリーラジカルはポリマー鎖間に共有結合を形成することで機械的、熱的および化学的に優れた多くのポリマー、特にゴム、ポリオレフィンを作る役目をする。この操作は架橋(reticulation)とよばれる。プロモーターなしで使用される過酸化物を用いた架橋の場合、架橋結合は隣接するポリマー鎖間の炭素-炭素結合である。
【0003】
この架橋反応が早過ぎる(premature)とポリマーの粘弾性特性が低下し、材料を適切に変形することができず、ゲル粒子が形成されて、材料が不均質になってしまう。
【0004】
フリーラジカル開始剤の早過ぎる分解(decompositon prematuree)を防ぐためにはフリーラジカル開始剤をポリマーの融点を超えない温度でポリマーに混合する必要がある。
【0005】
多くの場合、フリーラジカル開始剤をポリマー顆粒中に含浸させるこのプロセスがポリマー顆粒の製造の律速段階になる。事実、ペレットを均一に含浸させるためには、このプロセスを高温かつ一定時間行なうことが必要である。従って、含浸時間を最大限縮めることが肝要である。
【0006】
フリーラジカル開始剤が常温で固体状態である場合には、ポリマーマトリックス中に液体の形で取り入れることができるようにするために、一般にはフリーラジカル開始剤をその溶融温度以上に加熱する必要がある。
【0007】
ポリマーペレットは、押出成形または射出成形で完成品へ変形される前に、顆粒から架橋剤が離脱(desorbe)しない状態で、数ヶ月間保管する必要がある。生成物が不均一にならないようにするために、この離脱時間はできるだけ長くなければならない。
【0008】
ポリマーの架橋に必要なフリーラジカル開始剤(一般には有機過酸化物)の量はVOC(揮発性有機化合物)発生の問題を引き起こすのに十分な多量な量である。事実、有機過酸化物の分解に起因する揮発性生成物が架橋反応によって放出されることが多い。特に電線、ケーブル等の用途では最終製品を製造した後に揮発性物質、特にメタンの一定量を除去するために、所望性能に応じた長い脱気処理を行う必要がある。
【0009】
従来技術では上記の技術的問題の全てを解決することができない。
【0010】
特許文献1(米国特許第US 3455752号明細書)には、電気ケーブルを被覆するための架橋ポリエチレンを製造のために、ポリエチレンと予め溶融させたジクミルペルオキシドとのブレンドが開示されている。この特許に記載の方法を用いることでポリマー粒子中に有機過酸化物を含浸させることができるが、この方法は架橋能力(容量)の点で満足のいくものではなく、含浸後に過酸化物が脱着してしまう。
【0011】
酸化防止剤が存在すると有機過酸化物の酸化反応が阻害される。特許文献2(米国特許第US 4101512号明細書)には予め溶融させたジクミルペルオキシド中に酸化防止剤を溶解し、得られた混合物を電線被覆用途でポリエチレンの顆粒に添加することが開示されている。
【0012】
特許文献3(米国特許第US 7160958号明細書)は、有機過酸化物の融点以上で且つポリマーのガラス転移温度以下の温度でポリマー粒子中に有機過酸化物と添加剤の吸収促進剤とを混合することを開示している。この特許文献3(米国特許第US 7160958号明細書)に記載の方法はポリマー顆粒中への過酸化物の吸収速度を増加させることができるが、それは含浸の最初の数分間だけである。一般に、ポリエチレンの顆粒中に過酸化物を均一に拡散させるように過酸化物をポリマーに完全に含浸させるには数時間必要であるということは知られている。この特許に記載の方法は、フリーラジカル開始剤と、任意成分の架橋促進剤と、ポリマーとを同時または短時間の間隔で混合するという点で先行技術文献に記載の方法と異なるものではない。さらに、この特許ではポリエチレンの顆粒中にジクミルパーオキサイドが固体の状態で添加されるが、この方法では吸収不良となるリスクがあるため、当該業界では現在ではこの方法は使用されていない。
【0013】
特許文献4(フランス国特許第FR 7815556号公報)には下記(A)と(B)とから成る熱可塑性組成物が開示されている:
(A)100〜5重量部の、有機過酸化物の存在下で動的熱処理によって得られる部分的に硬化(vulcanise)された、(a)100〜40重量部の過酸化物で硬化可能なオレフィン共重合体のゴムと、(b)0〜60重量部の過酸化物で分解されるオレフィン系プラスチック材料 (ただし、成分(a)と成分(b)の合計は100重量部)と、(c)5〜100重量部の過酸化物では硬化しない炭化水素ゴム材料から選択される少なくとも一つの材料と、(d)鉱油タイプの可塑剤との混合物のエラストマー組成物
(B)0〜95重量部のオレフィン系プラスチック材料、
(ただし、成分(b)と成分(B)の合計は最終組成物100重量部当たり5重量部以下ではない)
【0014】
しかし、この特許の明細書に開示された全ての実施例で架橋促進剤に対する有機過酸化物の重量比は1よりはるかに低く(約0.6)、組成物の物理化学的性質を基本的に変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第US 3455752号明細書
【特許文献2】米国特許第US 4101512号明細書
【特許文献3】米国特許第US 7160958号明細書
【特許文献4】フランス国特許第FR 7815556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明者は種々の実験および研究を行った結果、ポリマー顆粒中に上記混合物を含浸させる前に、フリーラジカル開始剤を架橋促進剤中に予め溶解することで、過酸化物のみを使用した場合(架橋促進剤を予め溶解せず、さらには後で追加する場合)に比べて、下記の利点が得られるということを見出した:
(1)フリーラジカル開始剤と架橋促進剤との混合物は室温で液体であり、また、ポリエチレンの含浸温度(すなわち、室温よりもわずかに高い温度)で液体である。
(2)(ポリエチレン中へのフリーラジカル開始剤)の含浸時間が大幅に短くなり、架橋促進剤中にフリーラジカル開始剤を可溶化しなかった場合に比べて半分にすることができる場合もある。
(3)フリーラジカル開始剤と架橋促進剤との混合物がポリマーから脱着することがなく、また、先行技術の方法と比較して脱着速度が有意に遅くなる。
(4)必要なフリーラジカル開始剤の量を、同じ架橋密度を維持したまま、従来方法よりも大幅に(最大で40%)減らすことができる。
(5)フリーラジカル開始剤の量と同様に、揮発性物質の放出量を大幅に減らすことができ、有機過酸化物を架橋促進剤で予め可溶化しない使用と比較して40%減らすことができる。
【0017】
上記の一次混合物を形成するための架橋促進剤中へのフリーラジカル開始の溶解は予備処理で実施され、その時間は選択した過酸化物/架橋促進剤のカップル(組み合わせ)と混合温度とに依存し、数分から数時間の範囲である。最良の結果でポリマー中へ一次混合物を含浸させるためには上記一次混合物の溶解および均質化が必須のステップである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、有機過酸化物、アゾ化合物またはこれらの混合物の化合物の中から選択される少なくとも一種のフリーラジカル開始剤を含む、ポリエチレンを架橋させるための一次混合物であって、この一次混合物が上記の少なくともフリーラジカル開始剤と架橋促進剤とから成り、この架橋促進剤が1〜3つのビニル、アリルまたはイソプロペニル基で置換された5〜7個の炭素原子を有するシクロアルカン、1〜3個のビニル、アリルまたはイソプロペニル基で置換された芳香族化合物、多置換されたメタクリル、アクリレート、マレイミドをベースにしたモノマーの中からから選択され、架橋促進剤に対するフリーラジカル架橋促進剤の重量比が1以上、好ましくは1.5〜4の間にあることを特徴とする一次混合物に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例1、2、3、4でのRPA 2000レオメーターで得られた架橋密度値を比較して示すグラフ。
【
図2】4つの系すなわち実施例1、2、3、4の間のRPA 2000レオメーターで得られた架橋密度値を比較して示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一次混合物の上記以外の特徴および特色は下記の点にある:
(1)架橋促進剤はトリビニルシクロアルカンおよび/またはジビニルベンゼンであるのが好ましい。
(2)フリーラジカル開始剤はジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼンまたはこれら開始剤の混合物であるのが好ましい。
(3)本発明の一つの特性では、上記一次混合物は常圧(1バール)、室温すなわち少なくとも10℃〜50℃の間の温度で液体である。
【0021】
本発明はさらに、上記一次混合物を含むことを特徴とするポリエチレン、好ましくは低密度ポリエチレンを含むポリエチレンの架橋用組成物に関するものである。この組成物とはポリエチレンが架橋する前の全ての成分(フリーラジカル開始剤、架橋促進剤およびポリエチレン)を意味する。
【0022】
本発明によって提供される一つの可能性として、本発明組成物は少なくとも1種のUV保護剤、加工助材、防曇剤、アンチブロッキング剤、カップリング剤、顔料、着色剤、可塑剤、可塑剤、難燃剤および/または架橋遅延剤をさらに含む。
【0023】
本発明はさらに、
(1)フリーラジカル開始剤は、有機過酸化物、アゾ化合物またはこれらの混合物の中から選択され、好ましくはフリーラジカル開始剤はジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼンまたはこれらフリーラジカル開始剤の混合物の中 から選択され、
(2)少なくとも1つの架橋促進剤は1〜3個のビニル、アリルまたはイソプロペニル基で置換された5〜7個の炭素原子を有するシクロアルカン、1〜3個のビニル、アリル又はイソプロペニル基で置換された芳香族化合物、多置換されたメタクリレート、アクリレート、マレイミドベースのモノマーの中から選択され、好ましくは、架橋促進剤はトリビニルシクロアルカンおよび/またはジビニルベンゼンの中から選択される、
ポリエチレンの最終架橋工程を含む架橋したポリエチレンの製造方法であって、
最初に、上記架橋促進剤とフリーラジカル開始剤とを希釈する工程を実施し、次いで、得られた一次混合物を液体の形でポリエチレンに含浸させることを特徴とするポリエチレンの製造方法にも関するものである。
【0024】
本発明によって提供される一つの可能性として、上記の希釈工程を実施する際に架橋促進剤は室温かつ常圧(すなわち10℃〜50℃の間の温度、1バールの圧力)で液体の形で存在する。
【0025】
架橋工程は押出成形または射出成形で行うのが有利である。
本発明はさらに、上記一次混合物または上記組成物のケーブル製造での使用、
特に、流体または電流輸送ケーブルの製造での使用にも関するものである。
【0026】
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明が下記の例に限定されるものではない。
【0027】
本発明はポリマーの架橋に関するものである。本発明でポリマーは有機過酸化物によって架橋可能な任意タイプのポリマーにすることができるが、より詳細には、本発明はポリエチレンの架橋に関するものである。
【0028】
ポリエチレンには高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、メタロセン触媒を用いて得られるポリエチレン、エチレンと1つまたは複数のコモノマーとの共重合体、例えばエチレン−プロピレン−ジエン ターポリマー(EPDM)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アルキルアクリレートコポリマー(EMA、EEA、EBA)、エチレン−(α-ω)アルカジエン共重合体が含まれる。
【0029】
本発明に含まれる他のポリマーは水素化したブタジエン−アクリロニトリル共重合体(HNBR)、ブタジエンアクリロニトリル(NBR)、フルオロエラストマー(FKM)、ポリブタジエン(SEB)である。高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリマーが特に好ましい。しかし、本発明の架橋ポリエチレンの特定した場合、低密度ポリエチレンを選択するのが好ましい。
【0030】
フリーラジカル開始剤は有機過酸化物、特に架橋剤として広く使用される有機過酸化物、例えばジアルキルペルオキシド、ジパーオキシケタール、アゾ化合物が添加可能なある種のモノパーオキシカーボネートである。本発明の一次混合物のフリーラジカル開始剤が複数の有機過酸化物および/またはアゾ化合物から成ることもできる。
【0031】
ジアルキルペルオキシドの中で好ましい開始剤はジクミルパーオキサイド(Luperox (登録商標)DC またはLuperox(登録商標)DCPで市販)、ジ-t-ブチル(Luperox(登録商標)DIで市販)、t-ブチルクミルペルオキシド(Luperox(登録商標) 801で市販)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(Luperox(登録商標)101で市販)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)−ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3(Luperox(登録商標)130で市販)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、α、α'-ジ- [(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン(Luperox(登録商標) Fで市販)、α、α'-ジ- [(t-アミルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン(Luperox(登録商標) 180で市販)、ジ-t-アミル(Luperox(登録商標) DTAで市販)、1,3,5-トリ- [(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブタノール、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブタノールである。1,3と1,4-イソプロピルクミルクミルペルオキシド(Luperox(登録商標)DC60で市販)のジクミルペルオキシド混合物も重要である。
【0032】
ある種のモノパーオキシカーボネート、例えばOO-tert-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート(Luperox(登録商標)TBECで市販)、OO-t-ブチル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート(Luperox(登録商標)TBICで市販)およびOO-t-アミル-O-2エチルヘキシルモノペルオキシカーボネート(Luperox(登録商標)WADで市販)も使用できる。
ジアシルペルオキシドの中では好ましい開始剤は過酸化ベンゾイル(Luperox(登録商標)A75で市販)である。
【0033】
ジパーオキシケタールの中で好ましい開始剤は、1,1-ジ-(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(Luperox(登録商標) 231)、4,4-ジ-(t-ブチルペルオキシ)バレレート、n-ブチル(Luperox(登録商標)230)、3,3-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ブチレート(Luperox(登録商標)233)、2,2-ジ-(t-アミルペルオキシ)プロパン、3,6,6,9,9-ペンタメチル-3-エトキシカルボニルメチル-1,2,4,5-テトラオキシシクロノナン、3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン、4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレートn-ブチル、3,3-ジ(t-アミルペルオキシ)エチルブチレート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(Luperox(登録商標) 331)、1,1-ジ(t-アミルペルオキシ)-シクロヘキサン(Luperox(登録商標)531)およびこれらの混合物である。
【0034】
アゾ化合物の例としては2,2'-アゾビス(2-アセトキシプロパン)、アゾビスイソブチロニトリル、4,4'-アゾビスアゾシアノペンタン酸ジカルボアミド、2,2 ' アゾビスメチルブチロニトリルを挙げることができる。
【0035】
架橋促進剤は、1〜3個のビニル、アリルまたはイソプロペニル基で置換された5〜7個の炭素原子を有するシクロアルカン、1〜3個のビニル、アリル又はイソプロペニル基で置換された芳香族化合物、多置換されたメタクリレート、アクリレート、マレイミドをベースにしたモノマーある。 例としてはビニルシクロヘキサン、ジビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、ジイソプロペニルシクロヘキサンおよびトリイソプロペニルシクロヘキサンが挙げられる。
【0036】
1〜3個のビニルまたはアリル基で置換されたシクロヘキサン、特にビニルシクロヘキサンを使用するのが有利である。 市販のトリビニルシクロヘキサンは主として1,2,4 トリビニルシクロヘキサンから成る。
【0037】
多置換の芳香族架橋促進剤としてはジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、α−メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマーおよびトリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0038】
多置換のメタクリレートベースの架橋促進剤としてはエチレングリコールジメタクリレート、フェニレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール200ジメタクリレート、ポリエチレングリコール400ジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、1,3-グリセロールジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートが挙げられる。
多置換されたメタクリレートをベースにした架橋促進剤としてはエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートを使用するのが特に好ましい。
【0039】
多置換されたアクリレートをベースにした架橋促進剤としてはビスフェノールAエポキシジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール600ジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、脂肪族ウレタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、脂肪族ウレタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられる。
【0040】
アゾ系架橋促進剤としてはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、Ν、Ν 'm-フェニレンジマレイミドが挙げられる。
ビニル基で多置換されたモノマーとしてはブタジエン、クロロプレン、イソプレンを挙げることができる。
【0041】
本発明では架橋促進剤としてビニルシクロヘキサンおよびジビニルベンゼンを選択するのが好ましい。
【0042】
上記酸化防止剤の中ではハイドロキノンのファミリー、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンジ(β−ヒドロキシエチル)エーテル、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノ-tert-ブチルハイドロキノン、ジターシオブチルハイドロキノンおよびジターシオアミルハイドロキノンを挙げることができる。特に、フェノールファミリーの抗酸化剤、例えば2,2'-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールおよび4,4'-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)を挙げることができる。
【0043】
本発明は2つの成分すなわちフリーラジカル開始剤と架橋促進剤とから成る一次混合物に関するものである。この一次混合物を生成した後にポリエチレンに含浸させる。
【0044】
この組成物(本発明の一次混合物とポリエチレン)には各種の構成要素を追加することができる。この構成要素としてはUV保護剤、成形時に最終製品の外観を向上させる機能を有する加工助剤、例えば脂肪酸アミド、ステアリン酸およびその塩、エチレンビスステアラミドまたはフルオロポリマー、防曇剤、粘着防止剤、例えばシリカやタルク、充填剤、例えば炭酸カルシウム、ナノフィラー、粘土、カップリング剤、例えばシラン、帯電防止剤、核形成剤、顔料、着色剤、可塑剤、流動化剤および難燃性添加剤、例えばアルミニウムまたは水酸化マグネシウムが含まれる。
【0045】
本発明では、本発明の一次混合物の製造終了後に1種または複数の架橋遅延剤、例えばハイドロキノンファミリーの抗酸化化合物およびフェノール系の酸化防止剤を加えることもできる。
【0046】
一般に、これらの添加剤は最終ポリマーの重量をベースにして10ppm〜10,000ppmの間の量で使用される。可塑剤、流動化剤および難燃性添加剤は10,000ppmまでの多量な量を添加できる。
【実施例】
【0047】
本発明の一次混合物の製造実施例
まず、10gのジクミルペルオキシドを10gのトリビニルシクロヘキサンに添加し、全体を50℃の温度で5分間撹拌する。得られた混合物を均質である。この段階で本発明の一次混合物が得られる。
次に、300gの低密度ポリエチレン(LDPE)を1リットルのショット瓶タイプのガラス容器に入れる。6gの一次混合物を60℃に予熱してからこのLDPEに加え、得られた物をローラーミキサー(回転速度15回転/分)上に乗せる。含浸時間の経過後、LDPEベースの成分を回収し、適切な温度(一般には170℃〜200℃)で硬化させる。
【0048】
実行したテスト
含浸時間の測定
実施例1
フリーラジカル開始剤のみを使用
1リットルのショットボトルタイプのガラス容器に、予め60℃に加熱した300gの低密度ポリエチレン(LDPE)を入れた。その後、予め60℃に加熱した6gのジクミルペルオキシドをLDPEに添加した。内容物を密閉し、60℃のローラーミキサー(回転速度15回転/分)上に乗せる。一定の時間間隔で木製スパチュラを用いて13gのLDPEベースの成分をボトルから取り出し、20mlのメタノール中に入れ、30秒間混合し、混合物を濾過する。吸着されなかった過酸化物はメタノールによるLDPEの表面から除去され、吸着された過酸化物はLDPEの顆粒中に残る。このLDPEの顆粒をレンジフードでふるい上で乾燥させた後、PA2000レオメーターを用いて分析した。
フリーラジカル開始剤のみを使用した場合の含浸時間を関数とする架橋密度の変化の詳細は[表1]に示してある。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例2
架橋促進剤の1,2,4-トリビニルシクロヘキサン中にフリーラジカル開始剤を予め溶解(50/50組成)
予め60℃に加熱した300gの低密度ポリエチレン(LDPE)を1リットルのショットボトル型ガラス容器中に入れる。次いで、予め60℃に加熱した50%のジクミルペルオキシドと50%のトリビニルシクロヘキサンとの7.2 gの混合物を上記LDPEに加えた。内容物を密閉し、60℃のローラーミキサー(回転速度15回転/分)上に乗せる。一定の時間間隔で木製スパチュラを用いて13gのLDPEベースの成分をボトルから取り出し、20mlのメタノール中に入れ、30秒間混合し、混合物を濾過する。吸着されなかった過酸化物はメタノールによるLDPEの表面から除去され、吸着された過酸化物はLDPEの顆粒中に残る。このLDPEの顆粒をレンジフードでふるい上で乾燥させた後、PA2000レオメーターを用いて分析した。
含浸時間を関数とする架橋密度の変化の詳細は[表2]に示してある。
【0051】
【表2】
【0052】
実施例3
架橋促進剤の1,2,4-トリビニルシクロヘキサン中に予め溶解させたフリーラジカル開始剤(75/25組成)
予め60℃に加熱した300gの低密度ポリエチレン(LDPE)を1リットルのショットボトル型ガラス容器中に入れる。次いで、予め60℃に加熱した75%のジクミルペルオキシドと25%のトリビニルシクロヘキサンとの混合物5gを上記LDPEに加えた。内容物を密閉し、60℃のローラーミキサー(回転速度15回転/分)上に乗せる。一定の時間間隔で木製スパチュラを用いて13gのLDPEベースの成分をボトルから取り出し、20mlのメタノール中に入れ、30秒間混合し、混合物を濾過する。吸着されなかった過酸化物はメタノールによるLDPEの表面から除去され、吸着された過酸化物はLDPEの顆粒中に残る。このLDPEの顆粒をレンジフードでふるい上で乾燥させた後、PA2000レオメーターを用いて分析した。
含浸時間を関数とする架橋密度の変化の詳細は[表3]に示してある。
【0053】
【表3】
【0054】
実施例4
架橋促進剤のジビニルベンゼン中にフリーラジカル開始剤を予め溶解(50/50組成)
予め60℃に加熱した300gの低密度ポリエチレン(LDPE)を1リットルのショットボトル型ガラス容器中に入れる。次いで、予め60℃に加熱した50%のジクミルペルオキシドと50%のジビニルシクロヘキサンとの混合物5gを上記LDPEに加えた。内容物を密閉し、60℃のローラーミキサー(回転速度15回転/分)上に乗せる。一定の時間間隔で木製スパチュラを用いて13gのLDPEベースの成分をボトルから取り出し、20mlのメタノール中に入れ、30秒間混合し、混合物を濾過する。吸着されなかった過酸化物はメタノールによるLDPEの表面から除去され、吸着された過酸化物はLDPEの顆粒中に残る。このLDPEの顆粒をレンジフードでふるい上で乾燥させた後、PA2000レオメーターを用いて分析した。
含浸時間を関数とする架橋密度の変化の詳細は[表4]に示してある。
【0055】
【表4】
【0056】
[
図1]は上記4つの系すなわち実施例1、2、3、4の間のRPA 2000レオメーターで得られた架橋密度値を比較して示したグラフである。
【0057】
過酸化物をトリビニルシクロヘキサンと予備混合することで吸着時間を極めて大幅な短縮できることを我々は明らかにした。例えば、トリビニルシクロヘキサン+ジクミルペルオキシドの混合物を加えたポリエチレンの2つのサンプルは、混合して2時間後に架橋密度が16dN.m以上になるが、ジクミルパーオキサイドのみをポリエチレンに添加した場合(実施例1)ではこれと同じ濃度に達するのに約4時間かかる。
【0058】
ジビニルベンゼンを使用した場合も、ジクミルペルオキシドの吸収量が増加する:この添加剤を含有する混合物は16 dN.mの架橋密度に達するのに3時間を必要とする。
【0059】
脱着時間の測定
実施例5
フリーラジカル開始剤のみを使用した場合
300gの低密度ポリエチレン(LDPE)を1リットルのショットボトル型ガラス容器中に入れる。次いで、6gの60℃に予熱したジクミルパーオキサイドをLDPEに加えた。内容物を密閉し、60℃のローラーミキサー(回転速度15回転/分)上に乗せる。含浸時間に達したら、ボトルを5℃の温度で密閉容器内に配置する。一定の時間間隔で13gのLDPEベースの成分をボトルから取り出し、20mlのメタノール中に入れ、木製スパチュラを用いて30秒間混合し、混合物を濾過する。LDPEペレットをバラして過酸化物を脱着させる。次いで、LDPEペレットを篩上で乾燥し、RPA2000レオメーターを用いて分析する。
[表5]はジクミルペルオキシドのみを用いた場合の1日後の脱着量の詳細を示している。
【0060】
【表5】
【0061】
実施例6
架橋促進剤中に予め溶解させたフリーラジカル開始剤(50/50組成)
300gの低密度ポリエチレン(LDPE)を1リットルのショットボトル型ガラス容器に入れた後、予め60℃に加熱した50%のジクミルペルオキシドと50%のビニルシクロヘキサンとを含む混合物7.2gを上記LDPEに加え、容器を密閉し、60℃で15回転/分の速度のローラーミキサー上に乗せた。含浸時間に達したら、ボトルを5℃で密閉容器内に配置する。一定時間間隔で13gのLDPEベースの成分をボトルから抜き取り、20mlのメタノールに入れ、木製スパチュラを用いて30秒間混合し、その後、混合物を篩で濾過する。LDPEの顆粒をバラして過酸化物を脱着除去した後、レンジフードでふるい上で乾燥させ、PA2000レオメーターを用いて分析した。
含浸時間を関数とする架橋密度の変化の詳細は[表6]に示してある。この[表6]は50%過酸化物-50%トリビニルシクロヘキサンの重量比でジクミルパーオキサイドをトリビニルシクロヘキサンに予め混合した場合には5日後には脱着が検出されないことを示している。
【0062】
【表6】
【0063】
実施例7
架橋促進剤中に予めフリーラジカル開始剤を溶解(75/25組成)
300gの低密度ポリエチレン(LDPE)を1リットルのショットボトル型ガラス容器に入れた後、予め60℃に加熱した75%のジクミルペルオキシドと25%のビニルシクロヘキサンとを含む混合物7.2gを上記LDPEに加え、容器を密閉し、60℃で15回転/分の速度のローラーミキサー上に乗せた。含浸時間に達したら、ボトルを5℃で密閉(断熱)容器内に配置する。一定時間間隔で13gのLDPEベースの成分をボトルから抜き取り、20mlのメタノールに入れ、木製スパチュラを用いて30秒間混合し、その後、混合物を篩で濾過する。LDPEの顆粒をバラして過酸化物を脱着除去した後、レンジフードでふるい上で乾燥させ、PA2000レオメーターを用いて分析した。
含浸時間を関数とする架橋密度の変化の詳細は[表7]に示してある。この[表7]は75%過酸化物-25%トリビニルシクロヘキサンの重量比でジクミルパーオキサイドをトリビニルシクロヘキサンに予め混合した場合には、5日後には脱着が検出されないことを示している。
【0064】
【表7】
【0065】
[
図2]は上記3つの系(実施例5、6、7)で得られたRPA 2000レオメーターを用いた架橋密度値を比較したグラフである。
実施例5の場合には5℃で5日後でも脱着は全く検出されなかったが、過酸化物のみの場合には選択した実験条件で最初の日から脱着がする。この結果は、過酸化物を予備混合することで脱離現象を極めて有意に遅らせることができるということを明らかに示している。
【0066】
本発明を用いることで、主として有機過酸化物の分解に起因して生じる揮発性生成物、特にメタンを有意に減少させることができる。すなわち、本発明は、40%以下の有機過酸化物を使用して許容可能な架橋レベルを得ることができ、従って、揮発性生成物の量も減り、それも40%以下に減る。
【国際調査報告】