(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-527703(P2015-527703A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(54)【発明の名称】中性子発生装置に用いられるターゲット装置、加速器駆動の中性子発生装置及びそのビーム結合方法
(51)【国際特許分類】
H05H 6/00 20060101AFI20150821BHJP
G21K 5/08 20060101ALI20150821BHJP
H05H 3/06 20060101ALI20150821BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20150821BHJP
【FI】
H05H6/00
G21K5/08 C
G21K5/08 N
H05H3/06
A61N5/10 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-521946(P2015-521946)
(86)(22)【出願日】2013年3月4日
(85)【翻訳文提出日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】CN2013072132
(87)【国際公開番号】WO2014134775
(87)【国際公開日】20140912
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】515013937
【氏名又は名称】中国科学院近代物理研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ヂャン▼ 文 龍
(72)【発明者】
【氏名】徐 瑚 珊
(72)【発明者】
【氏名】楊 磊
【テーマコード(参考)】
2G085
4C082
【Fターム(参考)】
2G085BA17
2G085BD01
2G085BE01
2G085BE02
2G085EA01
4C082AA01
4C082AC07
(57)【要約】
本発明は、中性子発生装置に用いられるターゲット装置、加速器駆動の中性子発生装置およびビーム結合方法を開示している。ターゲット装置は、ターゲットとして用いられる複数の固体粒子と、複数の固体粒子を収納するためのターゲット反応チャンバーと、を含む。本発明に記載の加速器駆動の中性子発生装置およびビーム結合方法において、循環中のターゲット反応チャンバーの外部に位置している固体粒子を処理し、従来技術における熱交換が低く、運行寿命が短く、安定性が良くなく、および適用範囲が小さいなどの欠点を克服して、熱交換が高く、運行寿命が長く、安定性がよく、および適用範囲が広いという長所を実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットとして用いられる複数の固体粒子と、
複数の固体粒子を収納するためのターゲット反応チャンバーと、を含む中性子発生装置に用いられるターゲット装置。
【請求項2】
前記固体粒子は、円球体形状、楕円球体形状及び多面体形状の少なくとも1つの形状を有する請求項1に記載の中性子発生装置に用いられるターゲット装置。
【請求項3】
前記固体粒子は、タングステン、タングステン合金材料、ウラン、ウラン合金、ウランセラミック材料、トリウム、トリウム合金及びトリウムセラミック材料のいずれかの材料を含む請求項1に記載の中性子発生装置に用いられるターゲット装置。
【請求項4】
前記ターゲット反応チャンバーは、注入口を制限する注入パイプと、引出口を制限する引出パイプとを有し、
前記固体粒子は、注入口を介してターゲット反応チャンバーに注入され、且つ
前記固体粒子は、前記引出口を介してターゲット反応チャンバーから移出される請求項1に記載の中性子発生装置に用いられるターゲット装置。
【請求項5】
ターゲット反応チャンバーの直径と前記複数の固体粒子の粒子直径との比例範囲は、5:1〜30:1であり、及び/又は、
注入パイプの管径とターゲット反応チャンバーの直径との比例範囲は、1:1〜1:10であり、及び/又は、
引出パイプの管径とターゲット反応チャンバーの直径との比例範囲は、1:1〜1:10である請求項4に記載の中性子発生装置に用いられるターゲット装置。
【請求項6】
ターゲットとして用いられる固体粒子を収納するためのターゲット反応チャンバーと、
固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入するための固体粒子搬送装置と、を含む加速器駆動の中性子発生装置。
【請求項7】
冷却装置を更に含み、
該冷却装置は、前記固体粒子がターゲット反応チャンバーから移出された後で、固体粒子を冷却し、そして、
固体粒子搬送装置は、固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入する請求項6に記載の加速器駆動の中性子発生装置。
【請求項8】
前記固体粒子がターゲット反応チャンバーから移出された後で、予め定められた基準の固体粒子を選択し、そして、予め定められた基準の固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入するように構成される選別装置を更に含む請求項6に記載の加速器駆動の中性子発生装置。
【請求項9】
前記固体粒子は、円球体形状、楕円球体形状及び多面体形状の少なくとも1つの形状を有する請求項6に記載の加速器駆動の中性子発生装置。
【請求項10】
固体粒子注入口に設置され、固体粒子を一時に保存するためのバッファー室を更に含む請求項6に記載の加速器駆動の中性子発生装置。
【請求項11】
前記固体粒子搬送装置は、ビームが固体粒子に作用すると共に、固体粒子を、ターゲット反応チャンバーの内部から、ターゲット反応チャンバーの外部を通して、再びターゲット反応チャンバーの内部に戻すよう循環させるように構造される請求項6に記載の加速器駆動の中性子発生装置。
【請求項12】
循環中のターゲット反応チャンバーの外部に位置している固体粒子を冷却する冷却装置と、循環中のターゲット反応チャンバーの外部に位置している固体粒子から、予め定められた基準の固体粒子を選択する選別装置と、を更に含む請求項11に記載の加速器駆動の中性子発生装置。
【請求項13】
ターゲットとして用いられる固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入することと、
ビームを固体粒子に作用することと、を含む加速器駆動の中性子発生装置に用いられるビーム結合方法。
【請求項14】
ビームが固体粒子に作用すると共に、固体粒子は、ターゲット反応チャンバーの内部から、ターゲット反応チャンバーの外部を通して、再びターゲット反応チャンバーの内部に戻すように循環する請求項13に記載の加速器駆動の中性子発生装置に用いられるビーム結合方法。
【請求項15】
循環中のターゲット反応チャンバーの外部に位置している固体粒子を処理する請求項14に記載の加速器駆動の中性子発生装置に用いられるビーム結合方法。
【請求項16】
前記処理は、固体粒子を冷却することと、予め定められた基準の固体粒子を選択することとを含む請求項15に記載の加速器駆動の中性子発生装置に用いられるビーム結合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中性子発生装置に用いられるターゲット装置、加速器駆動の中性子発生装置及びそのビーム結合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中性子発生装置において、冷却剤と固態ターゲット材との間の熱交換は、その発展を制約する要因である。加速器のビームパワーの向上に伴い、固態ターゲットは、ターゲット作業の需要に適応することができなくなっている。現在の固態ターゲットは、基本的に1メガワット以下のビーム結合環境で運行する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記課題に対して、中性子発生装置に用いられるターゲット装置、加速器駆動の中性子発生装置及びそのビーム結合方法を提案し、これにより、例えば、ビームが衝撃するときの移動熱キャリアの選択及び熱除去という技術課題を解決することを目的とする。
【0004】
本発明は、加速器駆動中性子発生装置のビーム結合方法を提案し、これにより、例えば、現在ターゲット装置が高いパワーのビームで長期に使用されることができないという技術課題を解決することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一面によれば、本発明は中性子発生装置に用いられるターゲット装置を提供し、該ターゲット装置は、ターゲットとして用いられる複数の固体粒子と、複数の固体粒子を収納するためのターゲット反応チャンバーと、を含む。
【0006】
本発明の一面によれば、前記固体粒子は円球体形状、楕円球体形状及び多面体形状の少なくとも1つの形状を有する。
【0007】
本発明の一面によれば、前記固体粒子は、タングステン、タングステン合金材料、ウラン、ウラン合金、ウランセラミック材料、トリウム、トリウム合金及びトリウムセラミック材料のいずれかの材料を含む。
【0008】
本発明の一面によれば、前記ターゲット反応チャンバーは、注入口を制限する注入パイプと、引出口を制限する引出パイプとを有し、前記固体粒子は注入口を介してターゲット反応チャンバーに注入され、且つ前記固体粒子は前記引出口を介してターゲット反応チャンバーから移出される。
【0009】
本発明の一面によれば、ターゲット反応チャンバーの直径と前記複数の固体粒子の粒子直径との比例範囲は5:1〜30:1であり、及び/又は、
注入パイプの管径とターゲット反応チャンバーの直径との比例範囲は1:1〜1:10であり、及び/又は、
引出パイプの管径とターゲット反応チャンバーの直径との比例範囲は1:1〜1:10である。
【0010】
本発明の一面によれば、本発明は加速器駆動の中性子発生装置を提供し、該加速器駆動の中性子発生装置は、ターゲットとして用いられる固体粒子を収納するためのターゲット反応チャンバーと、固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入するための固体粒子搬送装置と、を含む。
【0011】
本発明の一面によれば、前記加速器駆動の中性子発生装置は、冷却装置を更に含み、該冷却装置は、前記固体粒子がターゲット反応チャンバーから移出された後で、固体粒子を冷却し、そして、固体粒子搬送装置は、固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入する。
【0012】
本発明の一面によれば、前記加速器駆動の中性子発生装置は、前記固体粒子がターゲット反応チャンバーから移出された後で、予め定められた基準の固体粒子を選択し、そして、予め定められた基準の固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入するように構成される選別装置を更に含む。予め定められた基準は、固体粒子のサイズ又は他の品質指標などであることができ、これらの指標は各検出装置によって検出されることができる。
【0013】
本発明の一面によれば、前記固体粒子は円球体形状、楕円球体形状及び多面体形状の少なくとも1つの形状を有する。
【0014】
本発明の一面によれば、前記加速器駆動の中性子発生装置は、固体粒子注入口に設置され、固体粒子を一時に保存するためのバッファー室を更に含む。
【0015】
本発明の一面によれば、前記固体粒子搬送装置は、ビームが固体粒子に作用すると共に、固体粒子をターゲット反応チャンバーの内部から、ターゲット反応チャンバーの外部を通して、再びターゲット反応チャンバーの内部に戻すよう循環させるように構造される。
【0016】
本発明の一面によれば、前記加速器駆動の中性子発生装置は、循環中のターゲット反応チャンバーの外部に位置している固体粒子を冷却する冷却装置と、循環中のターゲット反応チャンバーの外部に位置している固体粒子から、予め定められた基準の固体粒子を選択する選別装置と、を更に含む。
【0017】
本発明の一面によれば、本発明は加速器駆動の中性子発生装置に用いられるビーム結合方法を提供し、該方法は、ターゲットとして用いられる固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入することと、ビームを固体粒子に作用することと、を含む。
【0018】
本発明の一面によれば、ビームが固体粒子に作用すると共に、固体粒子は、ターゲット反応チャンバーの内部から、ターゲット反応チャンバーの外部を通して、再びターゲット反応チャンバーの内部に戻すように循環する。
【0019】
本発明の一面によれば、循環中のターゲット反応チャンバーの外部に位置している固体粒子を処理する。
【0020】
本発明の一面によれば、前記処理は、固体粒子を冷却することと、予め定められた基準の固体粒子を選択することとを含む。
【0021】
本発明の一面によれば、前記加速器駆動の中性子発生装置に用いられるビーム結合方法は、加速器駆動の中性子発生装置に用いられる低いパワービーム結合方法、または、加速器駆動の中性子発生装置に用いられる高いパワービーム結合方法であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明は、従来のターゲット装置の高いパワービームが衝撃するときの熱除去という技術課題を解決して、熱交換が高く、運行寿命が長く、安定性がよく、および適用範囲が広いという長所を実現することができる。
【0023】
本発明の他の特徴及び長所は、その後の明細書に説明され、且つ、明細書から部分的に自明になり、あるいは、本発明を実施することによって理解される。
【0024】
以下、図面及び実施例によって、本発明の技術案を更に詳細に説明する。
図面は、本発明に対する理解を提供し、明細書の一部を構成し、本発明の実施例と共に本発明を説明するためであり、本発明に対する限定を構成しない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例に係る加速器駆動に用いられる中性子発生装置のブロック図である。
【
図2】本発明の実施例に係る加速器駆動に用いられる中性子発生装置のオフラインシステムのブロック図である。
【
図3】本発明の実施例に係る加速器駆動に用いられる中性子発生装置のオフラインシステムの概略図である。
【
図4】本発明の実施例に係るターゲット本体の構造概略図である。
【
図5】本発明の実施例に係るターゲット本体におけるターゲット反応チャンバー及び固体粒子の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を結合して、本発明の実施例における符号は、以下通りである:
11 ターゲット反応チャンバー
12 固体粒子注入段
13 固体粒子引出段
14 プロトンビーム入射パイプ
15 ビーム走査及び安全保護装置
16 固体粒子
以下、図面を結合して、本発明の好ましい実施例について説明する。ここで説明した好ましい実施例は、本発明を説明、解釈するためのものであり、本発明は、これに限らないと理解すべきである。
【0027】
装置実施例
図1〜
図3に示すように、本発明の実施例に係る加速器駆動の中性子発生装置100は、第1のサブシステムS1、第2のサブシステムS2、第3のサブシステムS3、第4のサブシステムS4及び第5のサブシステムS5を含む。
【0028】
第1のサブシステムS1は、加速器入射ビームを提供するための加速器システムである。ビームの分布は、需要に応じて、均一分布、類ガウス単峰分布、双峰分布などに設置されてもよい。粒子ビームのエネルギー範囲は、100MeV〜数GeVであってもよい。その強度は、中性子ソースが必要とする中性子強度による確定され、ビーム強度は、0.1mA〜数百mAの間で変化してもよい。第1のサブシステムS1には、ビーム曲がり磁石、ビーム真空保護システムなどの部品が含まれてもよい。第1のサブシステムS1とする加速器システムは、任意の公知される加速器システムを採用してもよい。
【0029】
第2のサブシステムS2は、中性子発生装置に用いられるターゲット装置100Aであり(
図4及び5を参照)、ターゲット反応チャンバー11及び固体粒子16からなり、入射ビーム衝撃固体粒子16からなるターゲットは、反応チャンバー11において初級破砕反応及び縦続反応を発生して、大量の中性子が生じる。ターゲット反応チャンバー11の一端に固体粒子注入段12が設置され、この注入段12は、固体粒子16を一時に記憶するための第3のサブシステムS3に接続されてもよい。固体粒子16は、第3のサブシステムS3から注入段12に入る。ターゲット反応チャンバー11の他端に固体粒子引出段13が設置され、この引出段13は、固体粒子16を一時に記憶するための第4のサブシステムS4に接続されてもよい。
【0030】
第3のサブシステムS3は、固体粒子搬送装置及び選別装置を含める。ここでは、固体粒子は検出され、かつ各場合に応じて分流処理を行われる。
【0031】
第4のサブシステムS4は、固体粒子一時システムであり、固体粒子搬送装置及び熱交換器などを含める。ここでは、熱交換器は固体粒子を冷却する。
【0032】
第5のサブシステムS5は、中性子適用システムであり、第2のサブシステムS2から搬送された中性子を受けピックアップ、例えば発電などの各種類の可能な中性子適用を行える。
【0033】
入射ビームの粒子は、プロトン、デューテリウムイオン、トリチウムイオン、ヘリウムイオンなどの粒子を選択してもよく、ビームの入射方向とチャンバーの軸方向とは一致している。ターゲットの主要部分は固体粒子であり、その主材料は、破砕中性子の要求に応じて金属タングステン又はタングステン合金などの金属材料を選択し、あるいは、ウラン及びウラン合金又はそのセラミック材料、トリウム及びトリウム合金又はそのセラミック材料を選択して、より多い中性子を生じることができる。固体粒子は、円球体形状、楕円球体形状及び多面体形状の少なくとも1つの形状を有する。固体粒子は、他の任意の適宜な形状を有してもよい。
【0034】
図3、4、5に示すように、本実施例の加速器駆動の中性子発生装置100は、固体粒子16を収容するためのターゲット反応チャンバー11と、加速器システム及び安全保護装置15と、ターゲット反応チャンバー11の中部と加速器システム及び安全保護装置15の中部との間に接続されるプロトンビーム入射パイプ14と、ターゲット反応チャンバー11に合わせるオフライン処理システムCとを含んでいる。オフライン処理システムCは、固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入するための固体粒子搬送装置を含む。
図1、2に示すように、
図1における第3のサブシステムS3及び第4のサブシステムS4は
図2のオフラインシステムCを構成し、該システムは、固体粒子16をターゲット反応チャンバーの内部から、ターゲット反応チャンバーの外部を通して、再びターゲット反応チャンバーの内部に戻すように循環させる。オフライン処理システムCは筐体CHを含んでもよい。
【0035】
図3、4、5に示すように、固体粒子搬送装置は、ほぼ水平に設置される第1の固体粒子搬送装置C1を含み、固体粒子16は、ターゲット反応チャンバー11から排出されて、第1の固体粒子搬送装置C1に落ちることができる。オフライン処理システムCは冷却装置30を含んでもよい。該冷却装置は、前記固体粒子がターゲット反応チャンバーから移出した後で、固体粒子を冷却し、そして、固体粒子搬送装置は、固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入する。例えば、冷却装置30は送風ファンであり、これにより、固体粒子16を冷却する。また、第1の固体粒子搬送装置C1は液体に水没してもよく、これにより、固体粒子16を搬送すると共に、固体粒子16を冷却する。また、オフライン処理システムCは、例えば転回篩という砕された粒子を除去するための選別装置を含んでもよく、固体粒子16は、ターゲット反応チャンバー11から排出されて、選別装置に落ちることができる。該選別装置は、前記固体粒子がターゲット反応チャンバー11から移出された後で、予め定められた基準の固体粒子を選択し、そして、予め定められた基準の固体粒子をターゲット反応チャンバー11に注入するように構成される。予め定められた基準は、固体粒子のサイズ、又は他の品質指標などであってもよく、これらの指標は、各検出装置によって検出されることができる。
【0036】
また、冷却装置30及び選別装置は、オフライン処理システムCの任意の適宜な部分に設置されてもよい。ターゲット反応チャンバー11が垂直に置かれてていない場合において、例えば、水平に置かれる場合に、例えば螺旋搬送機の垂直搬送装置又は拾取装置(例えば、機械アーム又はロボット)によって、固体粒子16を第1の固体粒子搬送装置C1または選別装置に搭載することができる。
【0037】
また、いくつかの実施例において、例えば、粒子が固体粒子搬送装置で熱を放散し、粒子が比較的に少ない破損又は砕された粒子などを発生する場合に、中性子発生装置に冷却装置及び選別装置が設置されなくてもよい。また、低いパワーの場合、冷却装置を使用しなくてもよい。
【0038】
図2、3に示すように、固体粒子搬送装置は、垂直上昇搬送装置とする第二固体粒子搬送装置C3をさらに含んでいる。第二固体粒子搬送装置C3は、固体粒子を垂直に搬送する螺旋搬送装置C31と、水平搬送装置C32と、気動ホイストC33と、を含んでいる。固体粒子搬送装置は、第3の固体粒子搬送装置C5を更に含む。
【0039】
第1の固体粒子搬送装置C1、水平搬送装置C32、第3の固体粒子搬送装置C5は、例えば、重力によって固体粒子を搬送するスライド・かき型搬送機又はベルト型搬送機などの任意の適宜な搬送機であってもよい。
【0040】
また、固体粒子は、重力によってターゲット反応チャンバー11から排出され、直接に第1の固体粒子搬送装置C1に落ちることができる。
【0041】
該ターゲット反応チャンバー11は、略円柱形、あるいは、例えば楕円形の断面を有するものなどの他の任意の適宜な形状であってもよい。
【0042】
該ターゲット反応チャンバー11の中軸線と水平面との間の夾角は、0度よりも大きく、90度以下であってもよく、すなわち、ターゲット反応チャンバーは、ほぼ水平に置かれてもよく、垂直に置かれてもよい。ターゲット反応チャンバー11の軸方向のサイズ又は縦方向のサイズと、ターゲット反応チャンバーの径方向のサイズ(直径)又は横方向のサイズとの比例範囲は、3:1〜10:1であり、ビームの強度によって調節されることができる。複数の固体粒子における各固体粒子の直径又は粒径と、ターゲット反応チャンバーの径方向のサイズ(直径)又は横方向のサイズとの比例範囲は、5:1〜30:1である。複数の固体粒子注入段における各固体粒子注入段の注入パイプ12の管径と、ターゲット反応チャンバーの径方向のサイズ(直径)又は横方向のサイズとの比例範囲は、1:1〜1:10である。固体粒子引出段の引出パイプ13の管径と、ターゲット反応チャンバーの半径方向のサイズ(直径)又は横方向のサイズとの比例範囲は、1:1〜1:10である。複数の固体粒子は、少なくともタングステン、タングステン合金材料、ウラン、ウラン合金、ウランセラミック材料、トリウム、トリウム合金及びトリウムセラミック材料のいずれかの材料を選択することができる。固体粒子の直径又はサイズは、1mm以下から数センチまでのレベルの間であり、具体的なサイズは、ターゲット反応チャンバーの径方向のサイズによって決定される。
【0043】
加速器システムは、ビームが固体粒子を衝撃する横方向の分布を制御し、予め確定した方式によって走査し、熱の分布を均一化する。安全保護装置15は、意外な状態における圧力気体が加速器方向に漏れることを防止し、加速器ビームパイプが動作可能な真空範囲内にあることを保証するためである。
【0044】
図2、3に示すように、上記オフラインシステムCは、固体粒子注入段に応じる注入口12に設置されるバッファー室C7を含む。選別システムは、複数の固体粒子が注入される前に、複数の固体粒子が選別システムを通じて検査され、予め設定した各状況に対して分流処理を行い、合格した固体粒子をバッファー室C7に搬送する。例えば、予め定めたサイズの粒子を選択し、砕された固体粒子を濾過する。螺旋搬送機C31は、選別作用及び除塵作用を有し、気動ホイストC33は、選別作用及び除塵作用を有する。
【0045】
バッファー室C7は、略漏斗状を有してもよく、固体粒子を一時に保存する。
上記実施例の加速器駆動の中性子発生装置において、ターゲット反応チャンバー11のターゲットは、複数の移動固体粒子からなり、ビームがターゲットを衝撃するときに、高流量の中性子流れを発生する。
【0046】
固体粒子の材料は、タングステン又はその合金材料、ウラン及びウラン合金又はそのセラミック材料、トリウム及びトリウム合金又はそのセラミック材料などの他の特性が適用要求を満たす材料を選択する。固体粒子の材料特性は、耐高温、高い熱容量、高い中性子発生率などであり、固体粒子をターゲット反応チャンバーに置く。固体粒子注入段について、固体粒子は、バッファー室を通じて注入段に入り、注入段から反応チャンバーに注入される。固体粒子引出段について、該段の作用は、堆積された高いパワーエネルギーの固体粒子を反応チャンバーから移出すると共に、固体粒子を熱交換システムに搬送して高いパワーの堆積エネルギーを除去する。固体粒子熱交換システムについて、固体粒子の高いパワーの堆積エネルギーを除去する。固体粒子搬送装置および選別システムについて、固体粒子注入段と熱交換システムとの間で、固体粒子搬送装置および選別システムにおいて、固体粒子が検査され、各状況に対して分流処理を行う。ビーム入射パイプについて、該パイプの作用は、加速器ビームの入射通路であり、ビームを該装置に引き入れる。入射ビーム粒子は、プロトン、デューテリウムイオン、トリチウムイオン又はヘリウムイオンなどの粒子であってもよく、ビームの入射方向とチャンバーの軸方向とは一致している。ビーム走査及び安全保護装置について、ビーム走査装置は、ビームが固体粒子を衝撃する横方向の分布を制御することができ、確定された方式によって走査し、熱の分布を均一化し、安全保護装置は、装置の意外な状態における圧力気体が加速器方向に漏れることを防止し、加速器ビームパイプが動作可能な真空範囲内にあることを保証することができる。
【0047】
ターゲット反応チャンバーの両端は、それぞれ固体粒子注入段と固体粒子引出段であり、ターゲット反応チャンバーに複数の固体粒子注入段インタフェースが設置され、ユーザは具体的な需要に応じてインタフェース数を選択して接続することができる。バッファー室C7は、ビームパイプの外周を覆うリング形のチャンバーであってもよい。開始時、ターゲット反応チャンバー11の注入口は、閉じてもよい。例えば、まず、搬送ベルトの第3の固体粒子搬送装置C5は、粒子をバッファー室C7に注入し、バッファー室C7を一定の高さまでに注ぐ。そして、ターゲット反応チャンバー11の注入口を開け、ターゲット反応チャンバー11の注入口の開け数は、ビームの強度などのパラメーターに応じて決定され、運転中で制御することができる。ターゲット反応チャンバー11の注入口を開ける後で、粒子は、重力の作用、あるいは、気体混合駆動によって、ターゲット反応チャンバー11の注入口に落ちる。例えば、粒子をターゲット反応チャンバー11の注入口に落ちるように、バッファー室C7の上方で吹口を追加してもよい。注入口の開け数によって、粒子を注入及び移出する速度を決定して、ターゲット反応チャンバー11内で所定量の粒子を保持することを保証する。
【0048】
図1を参照して、本発明の具体的な実例において、加速器駆動の中性子発生装置の本体部分は、ターゲット反応チャンバー11、固体粒子注入段12、固体粒子引出段13、プロトンビーム入射パイプ14、ビーム走査及び安全保護装置15を含む。
【0049】
ターゲット反応チャンバー11の下部は、固体粒子引出段13に接続され、上部は、固体粒子注入段12に接続される。そして、プロトンビーム入射パイプ14は、注入段12とターゲット反応チャンバー11との中軸部に接続され、ビーム入射パイプ14が反応チャンバー11から離れるところにビーム走査及び安全保護装置に接続される。このターゲット装置に複数の固体粒子注入段インタフェースが設置される。ユーザは具体的な需要に応じてインタフェース数を選択して接続し、複数の固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入することができる。ターゲット反応チャンバーで、注入された複数の固体粒子は、ビームと初期破砕反応及び縦続反応を発生して、大量の中性子を生じる。
【0050】
該ターゲットは、ほぼ水平に置かれてもよく、垂直に置かれて使用されてもよい。さらに、前記ターゲット反応チャンバーの中軸線と水平面との間の夾角は、0度よりも大きく90度以下である。
【0051】
図5を参照して、ターゲット本体部分は、ターゲット反応チャンバー11及び固体粒子16からなり、固体粒子16が固体粒子注入段12を介して注入される後で、ターゲット反応チャンバー11で、ビームと初期破砕反応及び縦続反応を発生して、大量の中性子を生じる。このターゲットシステムのビーム走査及び安全保護装置15は、ターゲット反応チャンバーの上端に実装される。ビーム走査は、ビームが固体粒子を衝撃する横方向の分布を制御することができ、確定された方式によってビームを走査し、熱の分布を均一化する。安全保護装置は、加速器システムを保護し、ターゲットが事故の状況において気体が漏れる場合、圧力気体は、安全保護装置の入り口を介してそれに接続される。ここでは、気体はプラズマ化され、上端装置圧力差分システムと共に動作し、加速器システムに対して有効的な保護となる。
【0052】
ビーム走査装置は、四極磁石システム又は偏向電極システムからなり、数十〜数百ヘルツで動作することができる。そして、走査の周波数をできる限りに向上し、ビーム走査装置インタフェースは、パイプを介して安全保護装置に接続される。安全保護装置の材料は、耐高温固体材料からなる。ビーム走査と安全保護装置とは、全体を構成する。
【0053】
方法実施例
本発明の実施例によれば、上記実施例による加速器駆動の中性子発生装置は、高いパワービーム結合方法を提供し、その高いパワービーム結合方法は、ターゲットとして用いられる固体粒子をターゲット反応チャンバーに注入するステップと、ビームを固体粒子に作用するステップとを含む。
【0054】
ビームが固体粒子に作用すると共に、固体粒子は、ターゲット反応チャンバーの内部から、ターゲット反応チャンバーの外部を通して、再びターゲット反応チャンバーの内部に戻すように循環する。循環中のターゲット反応チャンバーの外部に位置している固体粒子を処理することができる。前記処理は、固体粒子を冷却することと、予め定められた基準の固体粒子を選択することとを含む。
【0055】
本発明は、高いパワービーム結合方法を提供し、以下のステップを含んでいる:
S10:例えば、重力又は気動の方式によって、ターゲットとして用いられる固体粒子を、バッファー室を通じて注入段に入らせ、注入段から反応チャンバーに注入され、
S20:反応チャンバーにおいて、ビームは、固体粒子と核反応(初期破砕反応及び縦続反応)を発生して、大量の中性子を放出し、
S30:高いパワービームは、固体粒子で高いパワーエネルギーを堆積し、
S40:高いパワーエネルギーを堆積する固体粒子は、引出段を通じて反応チャンバーから移出されて、固体粒子が熱交換システムに搬送され、高いパワーの堆積エネルギーも反応チャンバーから移出され、
S50:固体粒子から熱交換システムまでにおいて、固体粒子の高いパワーの堆積エネルギーは除去され、具体的に、固体球は、選別システムを通るときに、ガス冷却され、また、液体伝熱システムを後続として接続して熱を更に交換し、室温まで低下してもよく、
S60:固体粒子が注入される前に、固体粒子は、搬送ライン及び選別システムを介して検査され、各状況に対して分流処理を行い、合格した固体粒子は、バッファー室に搬送される。具体的に、固体粒子引出段から導出された固態球は、異なる孔を有する水平機械搬送ベルト(板)を介して、砕された固体粒子が濾過されると共に、ガス冷却の熱交換が行われ、そして、螺旋搬送機及び気動ホイストによって、選別及び除塵を更に行い、最後に、連続型機械ホイストを使用して、合格した固体粒子をターゲットシステム上端のバッファー室に搬送する。
【0056】
上記の循環過程によって、加速器駆動の中性子発生装置は、高いパワービームとの結合に達し、循環速度は、ビームのパワー及び熱交換の速度によって決定され、ビームのパワーが大きくほど循環速度が速くなる。該加速器駆動の中性子発生装置の構造及び特性は、上記装置の実施例及び
図1〜
図5の関連説明を参照することができ、ここでは重複に説明しない。
【0057】
上記高いパワービーム結合方法は、主に、固体粒子は注入段(すなわち、固体粒子注入段)から反応チャンバー(すなわち、ターゲット反応チャンバー)に注入されるステップと、ビームはターゲット本体の複数の固体粒子と反応して、中性子を発生するステップと、高いパワーエネルギーを堆積した固体粒子は、引出段(すなわち、固体粒子引出段)を通じて反応チャンバーから移出されるステップと、熱交換システムによって固体粒子から高いパワーエネルギーが除去されるステップと、を含む。ビーム入射パイプ(すなわち、プロトンビーム入射パイプ)は、加速器ビームの入射通路である。安全保護装置15は、加速器駆動の中性子発生装置が意外な状態における圧力気体が加速器方向に漏れることを防止することができる。加速器駆動の中性子発生装置のオフライン処理は、それが位置するシステム全体のメーンテナンスを便利化し、各部品の産業製造における技術成熟度を高くして、加速器駆動の中性子発生装置の製造及び適用の難度を低下する。
【0058】
以上のように、本発明の上記各実施例の加速器駆動の中性子発生装置および高いパワービーム結合方法は、加速器中性子ソースの適用分野、例えば、原子力エネルギーシステム(核廃棄物の変化及び核材料の増殖)、同位体生産、中性子癌治療及び材料の照射などに適用されることができる。オフライン処理の特徴を有し放射性要求が厳しい適用に対して、固体粒子の材料は、タングステン又はその合金材料を選択してもよく、簡単なオフライン処理によって比較的に簡単な運行メーンテナンスを実現することができる。放射性要求が低い適用に対して、固体粒子の材料は、ウラン及びウラン合金又はそのセラミック材料、トリウム及びトリウム合金又はそのセラミック材料を選択してもよく、その運行メーンテナンスの設置は比較的に複雑であり、オフライン処理もこの複雑性を低下することに役立てる。
【0059】
本発明の上記各実施例の加速器駆動の中性子発生装置および高いパワービーム結合方法は、従来の固態ターゲット装置の冷却剤と固態ターゲット材との間の熱交換および比例係数における制約要因及び液状ターゲットが直面する各高温液状金属腐食、ビームウインドー構造材料損害、両相流体の安定性、加速器ビームパイプ真空保持などの課題に対して、高いパワービームで使用できる破砕中性子発生装置(すなわち、加速器駆動の中性子発生装置)を提供する。そして、該加速器駆動の中性子発生装置は、ターゲット装置の高いパワービームにおける寿命を向上する。該加速器駆動の中性子発生装置の構造は簡単であり、各部品は産業分野において技術が成熟であり、且つ製造の難度が比較的に低く、関連分野で実際に適用されることができる。
【0060】
上記内容から分かるように、本発明は、中性子発生装置のターゲット装置をターゲットとして用いられる複数の固体粒子を含むように設置すること、および複数の固体粒子を収納するターゲット反応チャンバーに設置することによって、ターゲット装置のターゲットの変換を便利にすることができる。
【0061】
また、固体粒子がターゲット反応チャンバーの内部から、ターゲット反応チャンバーの外部を通して、再びターゲット反応チャンバーの内部に戻すように循環することによって、ターゲット反応チャンバーの外部で固体粒子に対して冷却、検出、選別などの処理を行うことができる。
【0062】
上記構造以外に、他の任意の適宜な輸送設備(例えば、バラ材料と部品を輸送する設備、工業ロボットなど)、他の任意の適宜な冷却設備(例えば、工業に部品を冷却する設備)、及び他の任意の適宜な検出設備を使用することができる。したがって、本発明は上記実施例に限らない。
【0063】
最後に説明すべきのは以下のことである:以上の記載は、本発明の好ましい実施例のみであり、本発明を限るものではない。前記実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者にとって、前記各実施例に記載の技術案を補正し、あるいは、その一部の技術特徴を同一に置換してもよい。本発明の主旨及び原則内に限り、任意の補正、同一置換、改良などはいずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】