特表2015-527861(P2015-527861A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-527861電気機械用ステーター及び電気機械並びに電気機械の組付方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-527861(P2015-527861A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(54)【発明の名称】電気機械用ステーター及び電気機械並びに電気機械の組付方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/14 20060101AFI20150821BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20150821BHJP
【FI】
   H02K1/14 C
   H02K15/02 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-524669(P2015-524669)
(86)(22)【出願日】2013年7月31日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月27日
(86)【国際出願番号】EP2013002261
(87)【国際公開番号】WO2014019688
(87)【国際公開日】20140206
(31)【優先権主張番号】102012015210.8
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】510025016
【氏名又は名称】ゲーカーエン シンター メタルズ ホールディング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】GKN SINTER METALS HOLDING GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】ピュッツ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ライネル
(72)【発明者】
【氏名】アイディン,ユミット
(72)【発明者】
【氏名】カセラス,アントニオ
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
【Fターム(参考)】
5H601CC01
5H601CC02
5H601CC14
5H601DD01
5H601DD11
5H601DD12
5H601FF04
5H601GA13
5H601GA15
5H601GB05
5H601GB13
5H601GB20
5H601GB22
5H601GD02
5H601GD07
5H601HH02
5H601HH04
5H601HH05
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB02
5H615BB07
5H615PP01
5H615PP07
5H615QQ03
5H615TT16
(57)【要約】
本発明は、少なくともローターをもつ電気機械用ステーターに関する。ステーターは、少なくとも開口部が設けられ、少なくとも強磁性材料を有する立体として形成されている。更に、ステーターは、ステーターポール支持部として形成され、少なくとも部分的にステーターの中軸を囲む領域と、少なくとも第一エッジ及び第二エッジをもつ第一ステーターポールと、第二ステーターポールと少なくとも有する。このステーターポールは、実質的に放射状に沿った方向を指し示すのが好ましく、直接或いは間接的にステーターポール支持部に配置されている。本発明は更に、第一ステーター及び第二ステーターから構成されるステーターを少なくとも一対含む電気機械に関するものである。本発明は更に、電気機械の組付方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リバーシブルに組付可能であることが好ましく、少なくともローター(16)をもつ組付可能な電気機械(21)用ステーター(1、1’、1”)であり、ステーター(1、1’、1”)は、少なくとも開口部(2)が設けられ、少なくとも強磁性材料を有する立体として形成されており、更に、ステーター(1、1’、1”)は、
ステーターポール支持部(3)として形成され、少なくとも部分的にステーター(1、1’、1”)の中軸(9)を囲む領域と、
少なくとも第一エッジ(5)及び第二エッジ(6)をもつ第一ステーターポール(4)と、
第二ステーターポール(7)と
を少なくとも有し、
このステーターポールは、実質的に放射状に沿った方向を指し示すのが好ましく、直接或いは間接的にステーターポール支持部(3)に配置されているステーター(1、1’、1”)。
【請求項2】
第一ステーターポール(4)が、ステーター(1、1’、1”)の中軸(9)を含むいずれの面に対しても非対称であり、ステーターポール支持部(3)から徐々に距離を増すごとにこの面から実質的に益々湾曲していることを特徴とする請求項1に記載のステーター(1、1’、1”)。
【請求項3】
第一エッジ(5)及び/又は第二エッジ(6)が少なくとも第一ステーターポール(4)の高部領域(10)においてステーター(1、1’、1”)の中軸(9)に対して斜めに傾斜しており、傾斜が非連続又は連続的に或いは両方の組み合わせで形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のステーター(1、1’、1”)。
【請求項4】
少なくとも表側断面をもつ第一ステーターポール(4)がローター(16)の強磁性領域の表側断面と少なくとも一致することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のステーター(1、1’、1”)。
【請求項5】
調節され場所に依って異なる磁気抵抗を供給するためにステーター(1、1’、1”)の密度が場所に依って調節されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のステーター(1、1’、1”)。
【請求項6】
少なくとも部分的にコイル(17)を少なくとも保持するために、少なくとも部分的に中軸を囲むステーター(1、1’、1”)の領域が、この領域に隣接する少なくとも一領域に対して低めの高さを有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のステーター(1、1’、1”)。
【請求項7】
ステーター(1、1’、1”)のステーターポール支持部(3)が少なくとも一領域において、中軸(9)に対して実質的に平行方向を向いているのが好ましい切欠部(14)及び/又は中軸(9)に対して実質的に平行方向を向いているのが好ましい突出部(15)を少なくとも有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のステーター(1、1’、1”)。
【請求項8】
第一ステーターポール(4)及び第二ステーターポール(7)が支柱(11)を通じて互いに接続されており、支柱(11)は、好ましくはステーター(1、1’、1”)の中軸(9)と実質的に同軸に、少なくとも部分的にステーター(1、1’、1”)の中軸(9)を囲んで配置されており、支柱(11)が、少なくとも一区域において、中軸(9)に対して実質的に平行方向に先細部を有する、及び/又は、支柱(11)が、少なくとも一区域において、隣接する領域に対して低めの密度を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のステーター(1、1’、1”)。
【請求項9】
ステーターポールの角度分布及び/又はステーターポール形態及び/又はステーターポールの密度分布がローター(16)回転推移時の要望トルク推移に応じて調節されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のステーター(1、1’、1”)。
【請求項10】
ステーター(1、1’、1”)が軟磁性材料、好ましくはSMC材料から粉末冶金法によって、好ましくは一体部品として、製造されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のステーター(1、1’、1”)。
【請求項11】
隣接する二つのステーターポール間の域内で、少なくとも一領域において、オーステナイト系材料、好ましくはオーステナイト系CrNiステンレス鋼が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のステーター(1、1’、1”)。
【請求項12】
各々請求項1から請求項11のいずれか1項に記載であることが好ましい第一ステーター(1、1’、1”)及び第二ステーター(1、1’、1”)から構成されるステーターを少なくとも一対有し、第一ステーター(1、1’、1”)及び第二ステーター(1、1’、1”)によって形成された空洞部にある第一ローター(16)を少なくとも有し、ローター(16)高さの少なくとも一領域においてローター(16)を囲む金属製コイル(17)を少なくとも有する電気機械であって、第一ステーター(1、1’、1”)及び第二ステーター(1、1’、1”)は、第一ステーター(1、1’、1”)のステーターポール支持部(3)の正面にある突出部(15)及び/又は切欠部(14)が第二ステーター(1、1’、1”)のステーターポール支持部(3)の正面にある突出部(15)及び/又は切欠部(14)と一致して協働することによって相対的に互いに角度が位置決めされている電気機械。
【請求項13】
少なくとも二対、好ましくは二対が同じである、数対のステーターが交互に配置され、第一対ステーター及び第二対ステーターは、第一対ステーターのステーターポール支持部(3)正面にあり外側突出部として形成された突出部及び/又は外側切欠部として形成された切欠部が第二対ステーターのステーターポール支持部(3)正面にあり外側突出部として形成された突出部及び/又は外側切欠部として形成された切欠部と一致して協働することによって相対的に互いに角度が位置決めされ、第一対ステーターと第二対ステーターとの間の角度位置決めは要望する位相変化に応じて選択されていることを特徴とする請求項12に記載の電気機械。
【請求項14】
コイル(17)が環状巻されている、及び/又は、コイル(17)が絶縁材料の使用をかなり控えた、好ましくは完全に不使用のものである、及び/又は、コイル(17)が巻終端部をほとんど有さない、好ましくは巻終端部を有さないことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の電気機械。
【請求項15】
第一ステーター(1”)及び第二ステーター(1”)が同じ形状を有することを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の電気機械。
【請求項16】
少なくとも一対のステーターの組付による、好ましくは管形状の、電気機械の組付方法であり、少なくとも、
ローター(16)を第一ステーター(1’)の空洞部の中へと位置決めする工程と、
金属製コイル(17)を第一ステーター(1’)の隣接する領域に対して低めの高さをもつ領域の中へと位置決めする工程であって、この金属製コイル(17)は、ローター(16)用に設けられた領域を、少なくとも軸方向の一領域において、好ましくは実質的に同軸に囲む工程と、
少なくとも第二ステーター(1”)との接合状態において第一ステーター(1’)を位置決めする工程であって、第一ステーター(1’)のステーターポール支持部(3)の正面にある突出部(15)及び/又は切欠部(14)が第二ステーター(1”)のステーターポール支持部(3)の正面にある切欠部(14)及び/又は突出部(15)と各々一致する位置へと少なくとも位置決めされることによって、第一ステーター(1”)及び第二ステーター(1”)の角度位置決めが互いに定められる工程と
を含む方法。
【請求項17】
少なくとも第一対ステーター及び第二対ステーターが、少なくとも接合状態において互いに位置決めされ、第一ステーター(1’)のステーターポール支持部(3)の正面にあり外側突出部として形成された突出部及び/又は外側切欠部として形成された切欠部が第二ステーター(1”)のステーターポール支持部(3)の正面にある外側切欠部として形成された切欠部及び/又は外側突出部として形成された突出部と各々一致する位置へと少なくとも位置決めされることによって、第一ステーター(1”)及び第二ステーター(1”)の角度位置決めが互いに定められることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
コイル(17)が位置決め前に巻かれていることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のステーター(1、1’、1”)を利用した、好ましくは請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の電気機械、好ましくは横方向磁束型発電機或いは横方向磁束型モーターを等級化して建造するための、請求項16から請求項18のいずれか1項に記載の方法の利用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組付可能な電気機械用で、少なくともローターをもつステーターに関するものであり、ステーターは、少なくとも開口部が設けられた円盤として形成されている。更に、本発明は、電気機械に関するものであり、また、管形状の電気機械の組付方法に関するものである。
【0002】
ローター、ローターを囲むステーター、大部分において絶縁材料が設けられた銅線から構成されローターを囲むコイルから電気機械を建造することは周知である。そのような電気機械の例が横方向磁束型機械である。しかし、そのような電気機械は、構造様式に制限されて電力密度が理論上の最適値に対して下がるという短所を有する。この理由は、特に、コイルが巻終端部を有する、及び/或いは、製造技術上の許容差において根拠立てられる点にあると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の根底には、そのような電気機械の電力密度を高めるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本課題は、請求項1の特徴をもつ組付可能な電気機械用のステーターによって、また、請求項12の特徴をもつ電気機械によって、また、請求項16の特徴をもつ電気機械組付方法によって解決される。更に他の有効な形態及び開発は、以下明細書に開示されている。特許請求の範囲及び明細書並びに図面に開示されている特徴は、そこに開示されている他の特徴と組み合わせて、本発明の更に他の形態と結び付けることが可能である。特に、独立した下位クレームに開示されている特徴は、以下明細書に開示されている特徴によって置き換えることも可能である。ここで提案する対象物は、それに制限されず、対象物文言化のための第一草案としてのみ判断されるものである。
【0005】
組付可能な電気機械用のステーターが意図される。この電気機械は、少なくともローターを有する。ステーターは、少なくとも開口部が設けられた立体として形成され、少なくとも強磁性材料を有することが意図されている。更に、ステーターが、
ステーターポール支持部として形成され、少なくとも部分的にステーターの中軸を囲む領域と、
少なくとも第一エッジ及び第二エッジをもつ第一ステーターポールと、
第二ステーターポールと
を少なくとも有し、ステーターポールは直接或いは間接的にステーターポール支持部に配置されていることが意図されている。
【0006】
ステーター形態において、ステーターポール支持部として形成された領域がステーターの中軸を完全に囲んでもよい。
【0007】
形態において、ステーターポールは、実質的に放射状に沿った方向を指し示し、ステーターポール支持部に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ステーターの中軸を含む面に沿った断面図によるステーター形態図。
図2図1で示したステーターの一領域の断面図。
図3】ステーターの中軸を含むいずれの面に対しても湾曲したステーターポールをもつステーター形態の斜視図。
図4図3で示したステーターの詳細図。
図5】対のステーター、ローター、コイルから構成される電気機械の分解立体図。
図6】管形状の電気機械の形態での各々異なる電気機械の図。a)ステーターを三対有する管形状の電気機械。b)ステーターを六対有する管形状の電気機械。c)ステーターを九対有する管形状の電気機械。
図7】第一ステーター及び第二ステーター。
【発明を実施するための形態】
【0009】
電気機械の定義は、例えば、電気エネルギーを機械エネルギーに或いは機械エネルギーを電気エネルギーに転換する機械を意味する。そのような電気機械は、例えばモーター或いは発電機であってもよい。例えば電気エネルギーを専ら変換する変成器が電気機械の他の例である。
【0010】
電気機械は、特に、横方向磁束型発電機であってもよい。更に、電気機械は、横方向磁束型モーターであってもよい。
【0011】
ステーターは、特に、電気エネルギーを機械エネルギーに転換するための電気機械形成における電気機械用ステーターとして意図されてもよい。ステーターは、特に、電気エネルギーを回転運動に変換するために設けられる回転式電気機械用ステーターとして意図される。ステーターは、同様に、際限なく大きな曲率半径をもつ回転式電気機械の極端な事例として、並進運動をもつ電気機械として、いわゆる「電気リニアモーター」として意図されてもよい。
【0012】
ローターの定義は、例えば、シャフトと取り外し可能或いは不可能に接続された円盤形状の立体を意味する。ローターは、ここでは、円周形状の底面を有する円盤として形態作られていてもよく、円周形状底面の表面と直角にシャフトが配置されていてもよい。
【0013】
ステーターは、開口部が設けられた立体として設けられる。開口部として、ここでは、立体を一方から他方へ完全に貫通する穴が挙げられる。開口部は、ここでは、可能性のある場合にシャフトを貫通させる一方で、他方では少なくとも第一ステーターポールを第二ステーターポールから分離させる役割を果たす。更に、ステーターポールが少なくとも二つの開口部を有してもよい。形態において立体が円盤に似た立体として形成されていてもよい。円盤に似た立体としての立体形成は、ここでは、互いに直交する空間の二方向において異なる広がり範囲を有する立体を意味する。立体は、例えば、実質的に円周形状の底面をもつ円盤に似た立体として形成されてもよい。ここでは、特に、円盤に似た立体の半径よりも立体の高さが少なくてもよい。円盤に似た立体という意味は、ここでは、外側の外被面及びその境界線が円盤に似た立体を描くという理解である。しかし、そのうえ、立体の内側に更なる構造及び/又は開口部が配置されてもよい。
【0014】
強磁性材料の概念は、著しく強磁性のある、明らかに1を越える磁化率を有する材料を意味する。強磁性材料は、特に、鉄、ニッケル、コバルト、或いは、鉄及び/又はニッケル及び/又はコバルトを有する合金を含めてもよい。例えば、フェライト系鋼並びに焼結されていない強磁性材料及び/又は焼結された強磁性材料が更なる例である。ステーターは、ここでは、単一或いは複数の強磁性材料を有してもよい。これに関して、異なる強磁性材料が等質或いは不等質の混合物として意図されていてもよく、また、強磁性材料及び/又は強磁性材料と非強磁性材料の不規則或いは規則的配置がステーターに含まれていてもよい。
【0015】
ステーターポール支持部の概念は、ステーターポールの配置が意図されるステーターの領域を意味する。ここでは、例えばステーターの円周がステーターポール支持部として機能してもよい。ステーターポールは、ステーターポール支持部に配置され、ステーターポール支持部から離脱する方向を向いて配置されている。ステーターポールは、ここでは、実質的に放射状に沿った方向を指し示す。実質的に放射状に沿った方向を指し示すという概念は、ステーターの中軸へと向かう方向を向いた領域をステーターポールが少なくとも有する、及び/又は、ステーターの中軸から離脱する方向を向いた領域をステーターポールが少なくとも有するということを特に含む。例えば、複数のステーターポールが実質的にステーターの中軸へと向かう方向を向き、複数の更なるステーターポールが実質的にステーターの中軸から離脱する方向を向いていてもよい。更には、ステーターに含まれる全てのステーターポールが実質的にステーターの中軸へと向かう方向を向いていてもよい。更なるステーター形態においては、全てのステーターポールが実質的にステーターの中軸から離脱する方向を向いていてもよい。円周形状の底面をもつ立体としてのステーター形態において、ステーターの中軸はこの立体の回転軸に相当する。ステーターが円周形状の底面を有さない場合において、中軸がステーター底面の重心、例えば幾何上の重心として形成されていてもよい。
【0016】
ステーターポールはステーターポール支持部に配置されていることが意図される。ここでは、ステーターポールが例えば直接ステーターポール支持部に配置されていてもよい。同様に、ステーターポールが例えば一つ或いは複数の中間領域によってステーターポール支持部に配置されていてもよい。この中間領域は、断面及び/又は材料において隣接するステーターポール及び/又はステーターポール保持部と異なっていてもよい。ステーターポールは、物質結合によって或いは物質結合によらずにステーターポール支持部に設けてもよい。
【0017】
更に、ステーターは、リバーシブルに組付可能な電気機械用のステーターとして形成されてもよい。
【0018】
更なるステーター形態では、第一ステーターポールがステーターの中軸を含むいずれの面に対しても非対称であり、ステーターポール支持部から徐々に距離を増すごとにこの面から実質的に益々湾曲している。
【0019】
一つ及び/又は複数及び/又は全てのステーターポールのそのような非対称配列は、結果として、特に電気機械ローターの回転中の各々トルク推移に影響を及ぼす。それによって、例えば、ローターの完全回転中の各々トルクプロフィールを個々に作り出すことが可能である。回転運動が直線運動に転換されるよう、一つ及び/又は複数及び/又は全てのステーターポールの非対称配列は、構造によって最善化することができる。
【0020】
更なるステーター形態では、第一エッジ及び/又は第二エッジが少なくとも第一ステーターポールの高部領域においてステーターの中軸に対して斜めに傾斜している。ここでは、傾斜が非連続又は連続的に或いは両方の組み合わせで形成されている。
【0021】
少なくともステーターポールの両エッジが斜めに傾斜しているステーター形態において、両エッジの傾斜は同一であっても或いは異なっていてもよい。更に、第一エッジの傾斜及び第二エッジの傾斜は、傾斜に近い方のステーター正面に近づくごとに、ステーターポールが先細りになってもよい。他のステーター形態では、第一エッジの傾斜及び第二エッジの傾斜は、傾斜に近い方のステーター正面に近づくごとに、ステーターポールが幅広がりになってもよい。更に、第一エッジ及び第二エッジが平行することによって、両エッジの傾斜にもかかわらず、ステーターの幅がステーターの中軸に対して垂直方向において一定であってもよい。
【0022】
第一ステーターポールの第一エッジ及び/又は第二エッジがステーターの中軸に対して斜めに傾斜している利点は、例えば、ローターの運動を妨げるコギングトルクが低減或いは回避される、つまり値がほとんど0に低減されることである。ステーターの中軸を含む面に対する傾斜角を考察する際、特に、傾斜角度が10°以下の傾斜を設けてもよい。特には、傾斜角が5°以下でもよい。好ましい実施態様では傾斜角が2°以下であり、特に好ましいのは傾斜角度が約0.9°〜1.0°である。
【0023】
更なるステーター形態において、例えば、軸方向に沿った方向を向き傾斜が設けられた高部領域と軸方向を向いた全体高さとの比率が1:4であってもよい。
【0024】
更なる形態においては、傾斜が設けられたステーターポールと傾斜が設けられていないステーターポールが規則的に交互にステーターに配置されてもよい。
【0025】
更に、一つ或いは複数のステーターポールが一方のみのステーター表側において傾斜を有してもよい。これに対して、他の形態において、ステーターポールが両方のステーター表側に傾斜を有してもよい。
【0026】
更なるステーター形態において、少なくとも第一ステーターポール表側断面がローターの強磁性領域の正面断面と少なくとも一致する。
【0027】
ステーター形態において、対応する第一ステーターポール表側断面が少なくとも一領域においてローターの硬磁性領域の正面断面と実質的に同一であってもよい。特別なステーター形態においては、第一ステーターポール正面断面がローターの硬磁性領域の正面断面と少なくとも同一であり、同一とは完全に同じに近く似ているという意味として理解される。第一ステーターポール正面断面とローターの硬磁性領域の正面断面が完全に同じに近く似て実施されている利点は、例えば、コギングトルクが低減されることである。更なる利点は、ステーターを有する電気機械の作動において理想的なサイン形状の電圧推移がほぼ達成されることであり、その結果、電圧推移の追加抽出が必要でなくなることである。
【0028】
例えば、ステーターの長軸に対して垂直な第一ステーターポール断面がローターの硬磁性領域の正面断面と少なくとも一致してもよく、その断面によってステーターの軸方向の広がりが半分になってもよい。
【0029】
更に、例えば、ステーターのいずれのステーターポールもローターの硬磁性領域の正面断面と一致してもよい。ここでは、正面断面が一致することに追加して、ステーターのステーターポールの相対的位置が硬磁性領域の相対的位置と互いに一致してもよい。
【0030】
更なるステーター形態において、調節され場所に依って異なる磁気抵抗を供給するためにステーターの密度が場所に依って調節されていてもよい。それによって、同一材料を使用する場合も同一材料の密度を変えることだけで強磁性体の透磁性が維持され、これによって強磁性体の磁気抵抗が直接調節できることが可能となる。また、強磁性体の磁気抵抗調節の結果、ステーター内の強磁性体の磁力線推移を調節することが可能となる。というのは、ステーターがエネルギー最低減化の原則に相応した推移を辿るからである。
【0031】
例えば、理論上の密度が7.7g・cm−3である材料から構成される場合のステーター形態において、いずれのステーターポールも算術平均で7.5g・cm−3の密度を有し、一方では、ステーターポール支持部として設けられた領域が算術平均で7.2g・cm−3の密度を有してもよい。その際、理論上の密度としては、使用される軟磁性材料の、完璧と考えられる単結晶の密度が挙げられる。
【0032】
更なるステーター形態において、少なくとも部分的にコイルを少なくとも保持するために、少なくとも部分的にステーターの中軸を囲むステーターの領域は、この領域に隣接する少なくとも一領域に対して低めの高さを有する。例えば、ステーターの中軸とステーターポール支持部の間の領域において周囲を囲む切込溝が設けられていてもよい。特に、ステーターポールとステーターポール支持部の間の領域において周囲を部分的或いは完全に囲む切込溝が設けられていてもよく、その結果、コイルの保持に適した空間が作り出されてもよく、このコイルは、少なくとも一領域においてステーターポールを、また、同様に一領域においてローターを包囲できる。
【0033】
更なるステーター形態において、ステーターポール支持部が少なくとも一領域において、切欠部及び/又は突出部を少なくとも有してもよい。ここでは、切欠部及び/又は突出部が好ましくは中軸に対して実質的に平行方向を向いていてもよい。これら切欠部及び/又は突出部は、例えば、歯、ぎざぎざ、半円、楕円、或いは、これら組み合わせの形或いは類似の形態或いはその他任意の様式で設けられていてもよい。更に、ステーターは、少なくとも切欠部及び/又は突出部を一方の正面(端面)或いは他方の正面(端面)にのみ、或いは、往々に両方の正面に有してもよい。切欠部及び/又は突出部の配置が、ここでは、意図されるステーターの配置に相応して行われてもよい。例えば、一方のステーターの前面側正面と他方のステーターの背面側正面の配置を行う際、一方のステーター前面側正面の切欠部及び/又は突出部の配置は、他方のステーターの背面側正面の切欠部及び/又は突出部の配置と一致して行われてもよい。更に、各々ステーターの正面の切欠部及び/又は突出部の角度分布ないしは間隔取りは、要望する位相変化の調節に相応して行うことができる。
【0034】
更なる形態において、ステーターは例えば、第一ステーターポール及び第二ステーターポールが支柱を通じて互いに接続されている、という形態でもよい。ここでは、支柱が少なくとも部分的にステーターの中軸を囲んで配置されている。ここでは、支柱が少なくとも一区域において中軸に対して実質的に平行方向に先細部を有する。更なるステーター形態においては、支柱がステーターの中軸と実質的に同軸に、少なくとも部分的にステーターの中軸を囲んで配置されてもよい、及び/又は、支柱が少なくとも一区域において、支柱の隣接領域に対して低めの密度を有してもよい。
【0035】
支柱が少なくとも一区域において中軸に対して実質的に平行方向に先細部を有する利点は、妨害磁束がかなり回避される、ないしは、ほぼ0に低減できることである。これは、低めにした高さによって先細部の領域においては先細部に隣接するステーター領域よりも速く磁気飽和が可能になることによって、発生する。それによって、先細部の領域においては磁気飽和によって、各々隣接する二つのステーターポールの磁束を互いに分離する強磁性体の遮断が発生する。
【0036】
同等の利点は、支柱が少なくとも一区域において隣接する同支柱の領域に対して低めの密度を有することによって得られる。低めの密度は、ここでは物理的に到達された効果に関して、前述した支柱先細部に同様に相応する。そのような支柱先細部と低めの密度との組み合わせは、それ以上に、前述の効果を更に増大させる。
【0037】
更に、ステーター形態において、ステーターポール角度分布及び/又はステーターポール形態及び/又はステーターポール密度分布がローター回転推移時の要望トルク推移に応じて調節されていてもよい。
【0038】
更なるステーター形態において、ステーターが例えば九つのステーターポールを有する。ステーター形成において、例えば、隣接する二つのステーターが120/9°の角度でずれており、この角度のずれは、これら隣接するステーターの形状が同一である場合にステーターの中軸を中心に120/9°の角度を回転することでこれらステーターが重なり合うことになるだろうという理解である。他の形態において、隣接する二つのステーターが120/6°の角度でずれていてもよい。更に、他の形成において、ステーターが六つのステーターポールを有してもよい。
【0039】
更なる形態において、ステーターが軟磁性材料から粉末冶金法によって製造されていてもよい。ステーター形態において、ステーターが粉末冶金法によって、つまり、少なくとも粉末冶金法を利用のもとで製造されていてもよい。
【0040】
軟磁性材料の概念は、ここでは、保磁力が低い材料を意味する。これに関して、保磁力が5000A/m以下の材料を軟磁性材料として見なすことができる。特には、保磁力が1000A/m以下の材料を軟磁性材料として見なすことができる。ここでは挙げた保磁力が各々、軟磁性として要望する領域に関する、つまり、場合によってはステーターポール或いはステーターポールの領域にのみ関する。更に、挙げた保磁力は、完成された構成部品の特性に関する。
【0041】
ステーターは、特に、ステーター完成状態で1000A/m以下の保磁力を有する軟磁性材料から粉末冶金法によって製造されていてもよい。
【0042】
粉末冶金法による製造の利点は、特に、ステーター特性の実現に必要となる寸法安定性において、許容差が狭くて済むことである。
【0043】
ここでは、例えば、ステーターがSMC材料から製造されていてもよい。更に、例えば、ステーターが一体部品として製造されていてもよい。
【0044】
ステーター製造にSMC材料を使用する利点は、ステーターの鉄の割合を減らせることである。更に、寸法に関して高い許容値をもつ前述したステーター製造によって、また、寸法に関して並びにその結果可能となる空間上の位相相互分離に関して高い許容値をもつ前述したコイル製造によって、ステーターからコイルを絶縁するために使用されるべき更なる材料を省くことができる。ステーター製造にSMC材料を使用する更なる利点は、焼結されていないSMC材料から製造されるため個々の構成部品の分離に適した材料特性によって簡易にリサイクルできることである。
【0045】
更なる方法形成において、隣接する二つのステーターポール間の域内で、少なくとも一領域において、オーステナイト系材料が配置されていてもよい。ここでは、例えば、隣接する二つのステーターポール間の域内で、オーステナイト系CrNiステンレス鋼が配置されていてもよい。更に、例えば、隣接する二つのステーターポール間において、ステーターポールに比べて低い透磁性をもつ材料が設けられていてもよい。特に、隣接する二つのステーターポール間に領域が設けられ、その領域内或いはその領域容量における材料の透磁性が平均でステーターポール透磁性の50%或いはそれ以下と決められていてもよい。
【0046】
本発明の更なる思想は、第一ステーター及び第二ステーターから構成されるステーターを少なくとも一対有する電気機械に関するものである。電気機械は、更に、第一ステーター及び第二ステーターによって形成された空洞部にある第一ローターを少なくとも有し、ローター高さの少なくとも一領域においてローターを囲む金属製コイルを少なくとも有する。ここでは、第一ステーター及び第二ステーターは、第一ステーターのステーターポール支持部の正面(端面)にある突出部及び/又は切欠部が第二ステーターのステーターポール支持部の正面(端面)にある突出部及び/又は切欠部と一致して協働することによって相対的に互いに角度が位置決めされている。
【0047】
更なる電気機械形成において、コイルと第一ステーター及び/又は第二ステーター間の距離を明確にするために、コイルと第一ステーターの間及び/又はコイルと第二ステーターの間に位置決め要素が配置されていてもよい。更に、コイルと第一ステーター及び/又は第二ステーター間の最低距離を明確に調節するために、コイルと第一ステーターの間及び/又はコイルと第二ステーターの間に位置決め要素が配置されていてもよい。
【0048】
更に、ローターを囲む金属製コイルの定義は、設けられたローターの回転方向と同一の回転方向に沿ってコイルが設けられていると解釈することができる。更には、ローターを囲む金属製コイルの定義は、設けられたローターの回転方向に対向した回転方向に沿ってコイルが設けられていると解釈することができる。
【0049】
更なる電気機械形態において、少なくとも二対、数対のステーターが交互に配置され、第一対ステーター及び第二対ステーターは、第一対ステーターのステーターポール支持部正面にあり外側突出部として形成された突出部及び/又は外側切欠部として形成された切欠部が第二対ステーターのステーターポール支持部正面にあり外側突出部として形成された突出部及び/又は外側切欠部として形成された切欠部と一致して協働することによって相対的に互いに角度が位置決めされ、第一対ステーターと第二対ステーターとの間の角度位置決めは要望する位相変化に応じて選択されている。
【0050】
少なくとも二対のステーターが交互に配置され、正面(端面)に設けられ外側突出部として形成された突出部及び/又は外側切欠部として形成された切欠部が第二対ステーターのステーターポール支持部正面(端面)にあり外側突出部として形成された突出部及び/又は外側切欠部として形成された切欠部と一致して協働する利点は、電子による位相変化が必要なくなるほど、要望する位相変化を正確に調節できることである。
【0051】
第一対ステーターのステーターポール支持部の正面にあり外側突出部として形成された突出部及び/又は外側切欠部として形成された切欠部が第二対ステーターのステーターポール支持部(3)正面にあり外側突出部として形成された突出部及び/又は外側切欠部として形成された切欠部と一致して協働する対のステーターを使用する更なる利点は、交互配置に角度位置決めが必要なくなり、それによって電気機械の組付を著しく簡素化できることである。
【0052】
更なる電気機械形成において、少なくとも二対から構成されるステーターの対が少なくとも二対が同じステーターを有してもよい。
【0053】
少なくとも二対が同じステーターをもち、この同じ二対が各々同じステーターを有する電気機械の更なる形態において、第一対ステーター及び第二対ステーターは、少なくとも二対が同じステーターの各ステーターの隣接配置されたステーターポールと同じ角度で互い違いになっていてもよい。
【0054】
更なる電気機械形態において、コイルが環状巻されていてもよく、及び/又は、コイルが絶縁材料の使用をかなり控えたものでもよく、及び/又は、コイルが巻終端部をほとんど有さなくてもよい。更なる電気機械形成において、例えば、絶縁材料が完全に不使用でもよい。更なる電気機械形成においては、コイルが巻終端部を有さない。
【0055】
絶縁材料の使用をかなり控えた、及び/又は、巻終端部をほとんど有さないコイルをもつ電気機械形態の利点は、電気機械の電力密度を高めることである。更に、巻終端部を有さない電気機械形成の利点は、電気機械の電力密度を最善化することである。更に、通常においては少なくともほとんど無機能、大部分においては完全に無機能な巻終端部を止められる場合は止めることによって、これらに使用されるべき材料量が削減される。そのように、多くの場合において、例えば銅或いは銅を主要構成要素として含む合金がコイルに使用されるが、可能な場合に巻終端部を止められることによって銅の必要量を明らかに削減することができる。
【0056】
環状巻としてコイルが幾何上簡素化される利点は、コイル製造が明らかに簡素化されることである。特に、コイル製造時の張力を明らかに上げられることによって、コイル充填率を全体として上げることができる。そのように、コイル充填率を約90%まで上げることができ、その結果、コイル分量の約90%までが実際コイルに使用した材料から構成され、それに応じてコイル分量のごく僅かな割合のみが無機能である。コイル充填率が高い利点は、例えば、巻終端部を伴う通常のコイル製造技術の場合よりも、コイル寸法を小さくすること、その結果、電気機械寸法を小さくすることが可能となり、また、直接的結果として電力密度を著しく高めること、及び/又は、直流機械として電気機械を実施することで電流密度が著しく高い電流を使用することが可能になることである。
【0057】
更なる電気機械形成において、第一ステーター及び第二ステーターが同じ形状を有する。
【0058】
第一ステーター及び第二ステーターが同じ形状を有するという第一ステーター及び第二ステーター形態の利点は、製造されるべき異なる構成部品数が削減され、それによって電気機械用ステーターを製造するための製造方法が明らかに簡素化できることである。更には、特に電気機械組付時の、製造プロセスが明らかに簡素化される。
【0059】
本発明の更なる思想は、好ましくは管形状の、電気機械の組付方法を意図しており、少なくとも一対のステーター組付による組付方法を意図している。少なくとも一対のステーターの組付による、管形状の電気機械の組付方法は、少なくとも以下の工程を含む。
ローターを第一ステーターの空洞部の中へと位置決めする工程。
金属製コイルを第一ステーターの隣接する領域に対して低めの高さをもつ領域の中へと位置決めする工程であって、この金属製コイルは、ローター用に設けられた領域を、少なくとも軸方向の一領域において、好ましくは実質的に同軸に囲む工程。
少なくとも第二ステーターとの接合状態において第一ステーターを位置決めする工程であって、第一ステーターのステーターポール支持部の正面にある突出部及び/又は切欠部が第二ステーターのステーターポール支持部の正面にある切欠部及び/又は突出部と各々一致する位置へと少なくとも位置決めされることによって、第一ステーター及び第二ステーターの角度位置決めが互いに定められる工程。
【0060】
方法形成において、少なくとも第一対ステーター及び第二対ステーターが、少なくとも接合状態において互いに位置決めされる。これに関して、第一ステーターのステーターポール支持部の正面にあり外側突出部として形成された突出部及び/又は外側切欠部として形成された切欠部が第二ステーターのステーターポール支持部の正面にある外側切欠部として形成された切欠部及び/又は外側突出部として形成された突出部と各々一致する位置へと少なくとも位置決めされることによって、第一ステーター及び第二ステーターの角度位置決めが互いに定められる。
【0061】
更なる方法形成において、コイルが位置決め前に巻かれていてもよい。
【0062】
金属製コイルを第一ステーターの隣接する領域に対して低めの高さをもつ領域において位置決めすること、その際、金属製コイルが位置決め前に巻かれていることによって、軸方向に沿った長軸方向で先に行われた巻線に位相角度が影響を及ぼさなくなるという利点が生じる。その結果、例えばニードル式巻線及び/又はフライヤー式巻線といった費用労力の掛かる巻線方法が必要なくなる。更に、そのように簡素化された巻線方法が利用できるため、コイルに使用された材料の充填率が明らかに向上する。従来からの巻取方法では充填率が通常約40%〜50%であるのに対して、ここで利用される方法では、コイルに使用された材料の充填率が明らかに向上し約90%にまで及ぶことが可能となる。更に、巻終端部が必要なくなることで、コイル外側にワイヤー保護が必要なくなる。
【0063】
本発明の更なる思想は、ステーターを利用して電気機械を等級化して建造するための管形状電気機械の組付方法に関するものである。電気機械及び/又はステーターに関して前述した説明に基づく電気機械及び/又はステーター形成を利用するのが好ましい。形成において、横方向磁束型発電機を建造するために利用する。更なる形成においては、横方向磁束型モーターを建造するために利用する。
【0064】
例えば、対が同じステーター及び/又は同じステーターを使用する場合に、電気機械を等級化して建造することが可能である。任意数の対のステーターを互いに配置することによって電気機械を建造する場合、例えば、要望出力数に相応して電気機械の長さを任意に選択できるのに対して、半径構造は変わらない、ないしは、円周シリンダー型ステーターを使用する際に電気機械の直径は変わらない。
【0065】
更に他の有効な形態及び開発は以下の図に記載されている。個々の図に記載されている詳細及び特徴は各々の図に限定されない。むしろ、一つ或いは複数の特徴は、異なる図に記載された一つ或いは複数の特徴と合わせて、また、前述の明細書に記載された一つ或いは複数の特徴と合わせて、新しい形態へと組み合わせが可能である。特に、以下の詳述は、各々の保護範囲を制限するものではなく、個々の特徴を説明し、また、それらによって生じる可能性のある相互作用を説明するものである。
【0066】
各々、図は以下を示す。
【0067】
図1では、ステーター1の中軸9を含む面に沿った断面におけるステーター1の図を示す。示した形態では、ステーター1は、開口部が設けられ円盤に似た形状の立体として形成されている。ステーター1は、ステーターポール支持部3として形成され、示した実施例では同時にステーター1外被の外周部を含む領域を有する。示した形態では、ステーター1外被の外周部は実質的に円形平面を描き、その結果、ステーター1の中軸9はこの円周の中心を貫通して電気機械のローター16の回転軸と重なる。ステーターポール支持部3の内側面から始まり、第一エッジ5並びに、示した図では見えない、第二エッジ6をもつ第一ステーターポール4及び第二ステーターポール7は、更なるステーターポール8’、8”と一緒に、ステーターポール支持部3に配置されている。示したステーター1形態では、ステーター1の中軸9を含む隣接ステーターポール対称面間の角度が各々同一であることによって、全てのステーターポールが規則的な配置で位置している。ステーターポールは中軸9方向を指し示す方向を向いている。示した形成は、第一ステーターポール4の第一エッジ5及び第二エッジ6が高部領域において斜めに傾斜しており、示した方向においては、傾斜が正面上部から外側へと及ぶことを示す。示した形態では、傾斜は、各々エッジの非傾斜面へと非連続的な移行面を伴って移行する斜めの面として実施されている。示した形態では、ステーターポールは同一に形成され、その向きにおいてのみ異なる。第一ステーターポール及び第二ステーターポール並びに他のステーターポールは、ステーターの中軸を含む面に対して各々正確に面対称であり、つまり湾曲部を有さない。それによって、ステーターポールは、示した形態において面対称を逸脱する線状を有さない。更に、図1は、示したステーターポール形態で二つのステーターポール間に、中軸9を同軸に囲む方向で部分的に囲む支柱11が各々配置されていることを示す。示した支柱11は各々先細部12を有する。ステーターポール支持部3正面上部13には一方で切欠部14が他方で突出部15が配置され、そこでは中軸9を囲む線状に従って各々切欠部14及び突出部15が交互に配置されている。同種に形成された切欠部14及び突出部15は対向する正面にも同様に配置されているが、示した図では見えない。
【0068】
図2では、図1で示したステーターの一領域の断面を示す。ここでは断面が、示した三つのうち中央のステーターポールの対称面に対して垂直な面を通る。既に図1で示した見て取れる特徴を詳細に図式化した他、同遠近図では、傾斜角に対する補角23を示す。ここで示すステーター形成では、傾斜角が全てのステーターポール及びその両エッジにおいて各々0.9°であり、その結果、補角23が相応に179.1°となる。
【0069】
図3に示すステーター1は、第一ステーターポール4及び第二ステーターポール7並びに他全てのステーターポールが湾曲して形成されていることが、図1で示したステーター1の形成とは特に異なる。その結果、ステーターポールは、中軸9を含むいずれの軸に対しても非対称である。これに関して、ステーターポールは、ステーターポール支持部3から徐々に距離を増すごとにこの面から実質的に益々湾曲する。これに関して、示した形成では、ステーターポールの湾曲が継続的に推移せず、第一湾曲線18及び第二湾曲線19並びに第三湾曲線20で非連続的に実施されている。図1で示した形成との更なる差異として、図3に示すステーター1は、支柱11の先細部12を有さない。
【0070】
図4は、図3での部分図を明確化するために拡大して示している。
【0071】
図5では、第一ステーター1’及び第二ステーター1”から構成されるステーター一対並びにローター16及びコイル17から構成される電気機械21を分解立体図で示す。第一ステーター1’及び第二ステーター1”によって、一方でローター16の保持部として他方でコイル17の保持部として役割を果たす空洞部が形成される。ここでは、第一ステーター1’及び第二ステーター1”が、図1で示したステーターと類似した構造となっている。支柱11とステーターポール支持部3間の領域において高さが、軸に平行する方向に沿って中軸9を完全に囲み、ここでは支柱11及びステーターポール支持部3として形成された隣接領域に対して低めである。これに関して、示した形成例においてはステーター1の中軸9を完全に囲む切込溝として、低めの高さが形成されている。これによって生じる空洞部は、コイル17の保持部として役割を果たし、コイル17は軸に平行する方向においてローター16を越える範囲に及ぶ。図5は、更に、第一ステーターポール4及び第二ステーターポール7並びにその他符号で示していないステーターポールが及ぶその領域において表側断面で硬磁性の領域22と一致することを示している。これに関して、一領域において表面が正面断面で完全に等しくなるよう、一致性が形成されている。ステーターポールの面が正面断面で硬磁性の領域22とこのような完全に等しいことは、第一ステーターポール4の第一エッジ5及び第二エッジ6並びにその他ステーターポールの第一エッジ及び第二エッジが斜めに傾斜していることと合わせて、電気機械の作動においてほとんど完璧なサイン形状の電圧推移の発生を引き起こす。
【0072】
図6には、複数対のステーターから構成される様々な電気機械を組付した状態において示す。図6a)では、第一ステーター1’及び第二ステーター1”から構成される第一対ステーター並びに同様に構成される更に二対のステーターをもつ、合計三対のステーターから構成される電気機械21を示す。ここでは、要望する位相変化に応じてステーターの対が互い違いに位置している。図6bでは、六対のステーターから構成される電気機械21を示し、ここで示す電気機械21は図6a)で示した電気機械の互い違い配列によって形成されている。図6c)では、同様に、図6a)で示したように、相互に配列された九対のステーターから構成される電気機械21の形成を示す。それによって、図6で示した三例は、互い違いに位置する対のステーターからどのように電気機械21を等級化して建造できるかを示している。
【0073】
図7a及び図7bには、図1で示したステーターと類似した二つのステーター、第一ステーター1’及び第二ステーター1”を示す。よって、符号は、図1で示した符号に対応する。図7a及び図7bで示したステーターは、その形式において同一である。両ステーターは、その非対向面側に各々、外側切欠部24及び外側突出部25として形成された切欠部及び突出部を三対有する。図7aで示したステーター1’を図7bで示したステーター1”とはめ合わせた後、それによって生じた一対のステーターは、外側切欠部24と外側突出部25の対と、少なくとも接合状態において、各々はめ合わせることができる。外側切欠部24と外側突出部25の対が回転に合わせた角度(360/3)°で互いに配置され、また、本例にて示すステーター形態が回転に合わせた位置(360/9)°で互いに配置されたステーターポールを九個もつステーターであることから、示した例において、いかなる場合においても、任意に可能なステーター配置が、対となるステーターの各ステーター並びに複数対のステーター相互間の要望される角度方向付けを引き起こす。
【符号の説明】
【0074】
1 ステーター
1’ 第一ステーター
1” 第二ステーター
2 開口部
3 ステーターポール支持部
4 第一ステーターポール
5 第一エッジ
6 第二エッジ
7 第二ステーターポール
8’、8” 更なるステーターポール
9 中軸
10 高部領域
11 支柱
12 先細部
13 正面上部
14 切欠部
15 突出部
16 ローター
17 コイル
18 第一湾曲線
19 第二湾曲線
20 第三湾曲線
21 電気機械
22 硬磁性の領域
23 傾斜角に対する補角
24 外側切欠部として形成された切欠部
25 外側突出部として形成された突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6a-6c】
図7a-7b】
【国際調査報告】