特表2015-528026(P2015-528026A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アーゼッド・エレクトロニック・マテリアルズ(ルクセンブルグ)ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテの特許一覧

特表2015-528026誘導自己組織化のための中性層ポリマー組成物及びその方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528026(P2015-528026A)
(43)【公表日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】誘導自己組織化のための中性層ポリマー組成物及びその方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/04 20060101AFI20150828BHJP
   C08F 2/00 20060101ALI20150828BHJP
   C08F 212/00 20060101ALI20150828BHJP
   C08F 220/00 20060101ALI20150828BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20150828BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20150828BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20150828BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20150828BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20150828BHJP
【FI】
   C08F4/04
   C08F2/00 C
   C08F212/00 510
   C08F220/00 510
   C08L101/00
   B82Y40/00
   B82Y30/00
   B05D1/36 Z
   B05D7/24 302F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2015-515407(P2015-515407)
(86)(22)【出願日】2013年5月14日
(85)【翻訳文提出日】2015年1月27日
(86)【国際出願番号】EP2013001423
(87)【国際公開番号】WO2013182269
(87)【国際公開日】20131212
(31)【優先権主張番号】13/492,125
(32)【優先日】2012年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】511293803
【氏名又は名称】アーゼッド・エレクトロニック・マテリアルズ(ルクセンブルグ)ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ウー・ヘンペン
(72)【発明者】
【氏名】ポリッシュチャック・オレスト
(72)【発明者】
【氏名】カオ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ホン・スンユン
(72)【発明者】
【氏名】イン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】リン・グァンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ポーネシュ・マーガレッタ
(72)【発明者】
【氏名】ニーザー・マーク
【テーマコード(参考)】
4D075
4J002
4J011
4J015
【Fターム(参考)】
4D075BB21Z
4D075BB66Z
4D075DA08
4D075DB14
4D075DC22
4D075EA41
4D075EB14
4D075EB22
4D075EB43
4J002AA051
4J002AA071
4J002AC031
4J002AC061
4J002BB041
4J002BC041
4J002BC071
4J002BG041
4J002BG051
4J002BJ001
4J002EN136
4J002EV236
4J002EV256
4J002FD156
4J002GP03
4J002HA05
4J011CA02
4J011CA08
4J011CB00
4J011CC01
4J011CC09
4J015AA03
(57)【要約】
本発明は、二つ以上の繰り返し単位及び構造(1)を有する末端を含む新規ポリマーを含む新規のポリマー組成物に関する。

式中、Rは、置換されたもしくは置換されていないC〜C20アルキル基を表し、wは1〜8の数であり、Xは酸素(O)または窒素(N)であり、そしてRは、反応性基である。また本発明は、該新規ポリマー組成物を用いてパターンを形成する方法にも関する。本発明は更に、該新規ポリマーの製造方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)二つ以上の繰り返し単位及びb)構造1を有する末端を含むポリマーを含むポリマー組成物。
【化1】
式中、Rは、置換されたもしくは置換されていないC〜C20アルキル基を表し、wは1〜8の数であり、XはOまたはNであり、そしてRは、i)〜viii)から選択される少なくとも一つの基である;
【表1】
【請求項2】
Xが酸素である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
Xが窒素である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
Xが酸素であり、かつRが、i)〜vii)からなる群から選択される少なくとも一つの基である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
Xが酸素であり、かつRが、i)またはii)から選択される少なくとも一つの基である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【化2】
【請求項6】
Xが窒素であり、かつRが、viii)
【化3】
から選択される少なくとも一つの基である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
二つ以上の繰り返し単位を含むポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート−スチレン)、ポリ(ブタジエン−ブチルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−ジメチルシロキサン)、ポリ(ブタジエン−メチルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−メチルメタクリレート)、(ポリイソプレン−ビニルピリジン)、ポリ(ブチルアクリレート−メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート−ビニルピリジン)、(ポリヘキシルアクリレート−ビニルピリジン)、ポリ(イソブチレン−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチレン−ジメトキシシロキサン)、ポリ(イソブチレン−メチルメタクリレート)、ポリ(イソブチレン−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−エチレンオキシド)、ポリ(ブチルメタクリレート−ブチルアクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート−ビニルピリジン)、ポリ(エチレン−メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブチルスチレン)、ポリ(スチレン−ジメトキシシロキサン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(スチレン−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ビニルピリジン)、ポリ(エチレン−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピリジン−メチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド−イソプレン)、ポリ(エチレンオキシド−ブタジエン)、ポリ(エチレンオキシド−スチレン)、またはポリ(エチレンオキシド−メチルメタクリレート)から選択される、請求項1〜6のいずれか一つに記載のポリマー組成物。
【請求項8】
熱酸発生剤を更に含む、請求項1〜7のいずれか一つに記載のポリマー組成物。
【請求項9】
光酸発生剤を更に含む、請求項1〜8のいずれか一つに記載のポリマー組成物。
【請求項10】
光酸発生剤が、脂肪族または芳香族スルホニウムまたはヨードニウム塩である、請求項9に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
a.4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)の塩を反応容器に供し、ここで、前記の塩は、少なくとも一つの第四カチオンを含み;
b.一種以上のモノマーを反応容器に供して、反応性混合物を形成し;
c.反応混合物を100℃未満の温度で1〜80時間加熱して、ポリマーを形成し、次いで;
d.生じたポリマーに、ハロゲン化化合物を供し、ここでハロゲン化化合物は、次から選択される、
ことを含む方法によって形成されるポリマー組成物。
【表2】
【請求項12】
次の構造を有する化合物を含む、官能化された遊離基開始剤。
【化4】
式中、Rは、炭素原子数1〜20の置換されたもしくは置換されていないアルキル基を表し、wは1〜8であり、XはOまたはNであり、そしてRは、i)〜viii)からなる群から選択される少なくとも一つの反応性基である:
【表3】
【請求項13】
e.請求項12に記載の官能化された遊離基開始剤を反応容器に供し;
f.一種以上のモノマーを反応容器に供して、反応性混合物を形成し;及び
g.反応混合物を100℃未満の温度で1〜80時間加熱する、
ことを含む方法によって形成されるポリマー組成物。
【請求項14】
a)請求項1〜11のいずれか一つに記載のポリマー組成物の中性層を基材上に形成し;
b)ブロックコポリマーを含む溶液を用いて層を形成し;
c)ブロックコポリマーを熱によりアニールして、ブロックコポリマーが誘導自己組織化するようにし;
d)乾式または湿式エッチングプロセスを用いて自己組織化したブロックコポリマーをパターン転写し、それによって微細なパターンを形成する、
ことを含む、画像の形成方法。
【請求項15】
ブロックコポリマーが、ポリ(スチレン−b−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−ブタジエン)、ポリ(スチレン−b−イソプレン)、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−b−アルケニル芳香族類)、ポリ(イソプレン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−(エチレン−プロピレン))、ポリ(エチレンオキシド−b−カプロラクトン)、ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−b−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド−b−プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−テトラヒドロフラン)、ポリ(スチレン−b−イソプレン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルメタクリレート−b−ジメチルシロキサン)から選択される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、誘導自己組織化によるリソグラフィパターン化の分野に属し、より具体的にはリソグラフィによりパターン化される図形の形成を補助する中性下層の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、誘導自己組織化技術が、リソグラフィ図形(feature)の生成のために並びに他の幅広い様々な用途のために、溶液から堆積された自己誘導化ナノ構造を組織化する有用な手段として登場した。例えば、Thurn−Albrecht et al.,“Ultrahigh Nanowire Arrays Grown in Self−Assembled. Diblock Copolymer Templates”,Science,290,2126,(2000)(非特許文献1);Black et al.,“Integration of Self−Assembled Diblock Copolymers for Semiconductor Capacitor Fabrication”Applied Physics Letters,79,409,(2001)(非特許文献2)及びAkasawa et al.,“Nanopatterning with Microdomains of Block Copolymers for Semiconductor Capacitor Fabrication,”Jpn.J.Appl.Phys.,41,6112,(2002)(非特許文献3)を参照されたい。
【0003】
多くの誘導自己組織化用途では、分子相互作用により、自己組織化材料の様々な部分がドメインに相分離して、自己組織化材料の不混和性の極性領域と非極性領域とが濃縮される。誘導自己組織化用途においては、所定の大きさを持つ極性ブロック及び非極性ブロックを有するブロックコポリマーの薄いフィルムに特に関心が持たれている。選択された大きさのこれらのブロックは、それらの各々の分子量と組成を伴った長さの選択されたドメインを提供する。更に、ブロックコポリマー内での個々のブロックの分子量を調節することによって、選択された大きさの様々な構造、例えば特定の幅、特定のピッチ及び特定の対称パターン(例えば6角形の密充填アレイまたは並行なライン)のラメラまたはシリンダを生成することができる。
【0004】
エネルギーが中性のポリマーを用いて製造したフィルム層(以下、中性層と言う)は均一な表面エネルギーを持ち、そのためこれらは時折、自己組織化ポリマーのための下層として用いられる。非均一な表面エネルギーは、ブロックポリマーによる組織化プロセスの障害となるかもしれない。というのも、ブロックのうちの一つは、他のブロックと比べてフィルム層に対し優先的に引きつけられるかもしれないからである。それで、中性層は、特定の箇所での自己誘導化ブロックコポリマーの特定のドメインの形成を優先的に強化または誘導する傾向がない。中性層は、官能化されたポリマー、ブラシ型ポリマー、架橋可能なポリマー、使用されるブロックコポリマーに使用されたものと類似の繰り返し単位を有するランダムコポリマー、または使用されるブロックコポリマー中のモノマーと類似のモノマーをそれぞれ有するホモポリマーのブレンドであることができる。
【0005】
ブロックコポリマーの薄いフィルム中での自己組織化を誘導するために使用される方法としては、グラフォエピタキシ及びケミカルエピタキシがある。グラフォエピタキシでは、自己組織化は、トレンチなどの予め形成されたトポグラフィ構造によって誘導される。例えば、中性下層表面と、ブロックコポリマードメインの一方のタイプ(例えば、A−BジブロックコポリマーアセンブリのAドメイン)に優先的に引きつけられる側壁とを有するトポグラフィにパターン化された構造を、トポグラフィによる拘束を介してトレンチ内で自己組織化を誘導するために使用することができる。幅Lのトレンチ及びPBCPの周期性を持つブロックコポリマー(BCP)を用いた場合には、L/PBCP倍の周期増倍を残りのドメインに達成できる。
【0006】
中性層は、特定の構造の表面に対し引きつけられ得る反応性官能基で末端が置換されたランダムブラシ型コポリマーから形成することができる。最も高いエネルギー中和度を供するためには、ランダムコポリマー上の反応性末端基を、ポリマー鎖の少なくとも一方の末端にまたはその付近に供して、ランダムコポリマーのエネルギー中性部分を、それに適用される所望のブロックコポリマーに対し提供できるようにすることが望ましい。
【0007】
上述したように、ランダムコポリマーの末端付近に官能基を導入するために様々な試みが為されてきた。例えば、Colburnらは、US8,017,194(特許文献1)において、ニトロキシド仲介遊離基重合によって製造された、反応性ベンジルアルコール末端基を有するランダムスチレン−メチルメタクリレートコポリマーの合成を開示しており、ここでニトロキシドは官能化されている。しかし、官能化されたニトロキシド開始剤はスケールアップが困難な上、高価であるために、コポリマーのためのかなりより高いコストを招く。更に、ニトロキシド仲介重合は高温で行われ、これは、モノマーのかなりの自動重合を招き、そうして、所望の末端基を持たないポリマー鎖の不所望な濃度を結果としてもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US8,017,194
【特許文献2】US13/243,640
【特許文献3】US2009/0196488
【特許文献4】US2008/0299353
【特許文献5】US2010/0124629
【特許文献6】US2009/0179002
【特許文献7】US7,846,502
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Thurn−Albrecht et al.,“Ultrahigh Nanowire Arrays Grown in Self−Assembled. Diblock Copolymer Templates”,Science,290,2126,(2000)
【非特許文献2】Black et al.,“Integration of Self−Assembled Diblock Copolymers for Semiconductor Capacitor Fabrication”Applied Physics Letters,79,409,(2001)
【非特許文献3】Akasawa et al.,“Nanopatterning with Microdomains of Block Copolymers for Semiconductor Capacitor Fabrication,”Jpn.J.Appl.Phys.,41,6112,(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえ、所望の反応性末端基を確実にかつ低コストで導入する方法によって、低温で合成されるポリマーに対する要望がある。
【0011】
本発明は、a)二つ以上の繰り返し単位及びb)構造1を有する末端を含むポリマーを含む新規のポリマー組成物に関する。
【0012】
【化1】
式中、Rは、置換されたもしくは置換されていないC〜C20アルキル基を表し、wは1〜8の数であり、XはOまたはNであり、そしてRは、表1のi)〜viii)から選択される少なくとも一つの基である。また本発明は、該新規ポリマー組成物を用いてパターンを形成する方法にも関する。本発明は更に、該新規ポリマーの製造方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
他に記載がなければ、本発明において使用する「及び」という接続詞は包括的であることを意図し、「または」という接続詞は排他的であることを意図していない。例えば、「または、二者選択的に」という記載は排他的であることを意図している。更に、「または」という接続詞は、単一の位置での化学置換を記載する時は排他的と解される。本発明で使用する冠詞は、複数も単数も包含すると解される。
【0014】
本発明で使用する「コポリマー」という用語は、二種以上のモノマー繰り返し単位を含むものと解され、そして「ポリマー」という用語は、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。
【0015】
本発明で使用する時、アルキレン、アルケニレンまたはアリーレン基及び官能基に言及する場合に、例えば、酸素原子、置換されたもしくは置換されていない窒素原子、硫黄原子、置換されたもしくは置換されていないケイ素原子及び類似物などのヘテロ原子が、鎖の一部を形成していても、いなくてもよい。
【0016】
本願において開示及び特許請求されるのは、二つ以上の繰り返し単位と、構造1)の末端とを有する新規ポリマーを含む新規のポリマー組成物である。
【0017】
【化2】
式中、Rは、置換されたもしくは置換されていないC〜C20アルキル基を表し、wは1〜8の数であり、Xは酸素(O)または窒素(N)であり、そしてRは、表1に示す様々な反応性末端基i)〜viii)のいずれか一つから選択される基である。本願において、構造1)の末端基は、構造1’)に示すように、二つ以上の繰り返し単位を有するポリマーPに結合している。X=Oの場合、Rは、表1に示す様々な反応性末端基i)〜viii)の少なくとも一つから選択される基である。XがNの場合は、Rは、表1に示す反応性基の少なくとも一つまたは二つである。ここでXがNである場合には、Nと称する二つの置換基がNに置換する。それゆえ、XがNであるこの態様では、Rは、R’及びR”を含み、そしてR’及びR”は、独立して、水素、炭素原子数1〜20のアルキル、炭素原子数1〜20の置換されたアルキル基、及び表1に示す基i)〜viii)から選択される少なくとも一つの置換基からなる群から選択することができる。ポリマーの繰り返し単位は、ビニルコモノマーの任意のタイプから誘導してよい。
【0018】
【表1】
【0019】
ポリマーの一つの態様では、構造1の末端基は、X=Oであり、かつRが、表1に示す反応性末端基i)〜viii)の少なくとも一つから選択される反応性基であるものである。ポリマーの他の態様では、構造1の末端基は、X=Oであり、かつRが、表1に示す様々な反応性末端基i)〜vii)のいずれか一つから選択される反応性基であるものである。ポリマーの他の態様では、構造1の末端基は、X=Nであり、かつRがR’及びR”を含み、そしてR’及びR”が、独立して、水素、炭素原子数1〜20のアルキル、炭素原子数1〜20の置換されたアルキル基、及び表1に示す基i)〜viii)から選択される少なくとも一つの置換基からなる群から選択できるものである。
【0020】
ポリマーの他の態様では、構造1)の末端基は、X=Oであり、かつRが、表1に示す様々な反応性末端基i)またはii)のいずれか一つから選択されるインターフェース反応性基であるものである。Qの例は、CH、CHCH、CHCHCH、CHCHCHCHである。Qの例は、CH、CHCH、CHCHCH、CHCHCHCHである。Rの例は、CH、CHCH、CHCHCH、CHCHCHCH、C(CHである。R及びRの例は、CH、CHCH、CHCHCH、CHCHCHCH3、C(CH、OCH、OCHCH、OCHCHCH、OC(CHである。
【0021】
構造1)の末端基の具体的な例は次のものである。
【0022】
【化3】
【0023】
ポリマーの他の態様では、構造1)の末端基は、X=Nであり、かつRがR’及びR”を含み、そしてR’及びR”が、独立して、水素、炭素原子数1〜20のアルキル、炭素原子数1〜20の置換されたアルキル基、及び表1に示す基viii)から選択される少なくとも一つの置換基からなる群から選択できるものである。
【0024】
Rの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、o−メチルC、m−メチルC、p−メチルC、PhCH;o−メチルCCH、m−メチルCCH、p−メチルCCHなどであり、そしてwは、1、3または4であってよい。OまたはNHに接続する部分viii)の具体例は次のものである:
【0025】
【化4】
【0026】
本願に更に開示及び特許請求されるものは、(a)反応容器に、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)または対応する塩を供し、ここで前記の塩は、少なくとも一つの第四カチオンを含み;(b)反応容器に一種以上のモノマーを供して反応性混合物を形成し;(c)反応混合物を100℃未満または90℃未満の温度に、1〜80時間加熱してポリマーを形成し、次いで;(d)生じたポリマーに、表2に示す材料から選択されるハロゲン化化合物を供する、ことを含む方法によって形成されたポリマー組成物である。ハロゲン化合物は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などの任意のものである。
【0027】
【表2】
【0028】
上記の方法において、反応容器に4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)の塩を供するとは、精製した塩を添加すること、または酸を添加し、次いで対応する第四アンモニウムヒドロキシドを加えてインサイチュー(in situ)で塩を形成することを包含すると解される。
【0029】
本願において更に開示及び特許請求されるものは、次の構造を有する化合物を含む官能化された遊離基開始剤である。
【0030】
【化5】
式中、Rは、炭素原子数1〜20の置換されたもしくは置換されていないアルキル基を表し、wは1〜8であり、XはOまたはNであり、そしてRは反応性基である。XがOである場合には、Rは、表1に列記される基i)〜viii)から選択される反応性基であり、XがNである場合には、Rは、Rd’及びRd”を含み、そしてR’及びR”は、独立して、水素、炭素原子数1〜20のアルキル、炭素原子数1〜20の置換されたアルキル基、および表1に示す基i)〜viii)から選択される少なくとも一つの置換基からなる群から選択することができる。一つの態様では、前記置換基は、(RO)OP−(CHの少なくとも一つである。他の態様の一つでは、前記置換基は、基i)及び基ii)から選択される末端基の少なくとも一つである。
【0031】
表2に示す材料から選択されるハロゲン化化合物は、以下によって例示し得る。
【0032】
【化6】
【0033】
本願で更に開示及び特許請求されるものは、(a)反応容器に、上述の官能化された遊離基開始剤を供し;(b)反応容器に一種以上のモノマーを供して反応性混合物を形成し;そして反応混合物を100℃未満または90℃未満の温度に、1〜80時間加熱する、ことを含む方法によって形成されるポリマー組成物である。ポリマーは、既知のように単離及び精製してよい。重合に使用されるモノマーは、遊離基重合が起こり得るように不飽和を含むモノマー、例えばビニル化合物;例えば(メタ)アクリレート、スチレン系モノマーなどであることができる。
【0034】
上述のポリマー組成物は、以下に記載のモノマー繰り返し単位を含むポリマーまたはコポリマーであってよい。
【0035】
本願に更に開示及び特許請求されるものは、上記のポリマー組成物の任意のもの、及び溶剤を含む中性層調合物である。中性層調合物は、任意選択的に、熱酸発生剤及び/または光酸発生剤を含んでよい。
【0036】
適当な熱酸発生剤には、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、パーフルオロベンゼンスルホネートエステル、パーフルオロアルカンスルホネートエステルなどが挙げられる。非限定的に、上記の調合物のための例示的な熱酸発生剤には、トリ−C〜C−アルキルアンモニウムp−トルエンスルホネート、トリ−C〜C−アルキルアンモニウムデデシルベンゼンスルホネート、トリ−C〜C−アルキルアンモニウムパーフルオロブタン−1−スルホネート、トリ−C〜C−アルキルアンモニウムトリフルオロメタン−スルホネート、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタン−スルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−1−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−1−オクタンスルホネート、ビス(フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドパーフルオロ−1−ブタンスルホネート、2−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、2−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、4−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、または上記物質の少なくとも一つを含む組み合わせなどが挙げられる。
【0037】
適当な光酸発生剤には、例えば、芳香族及び脂肪族スルホニウム塩及びヨードニウム塩などが挙げられる。
【0038】
中性層調合物のために適した溶剤には、グリコールエーテルアセテート、エステル、ヒドロキシエステル、アルコキシエステル、アルコール、ケトン、アミド、イミド、エーテル、エーテルエステル、エーテルアルコール及び類似物などが挙げられる。具体的には、溶剤としては、限定はされないが、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチル−3−エトキシプロピオネート、メチル−3−メトキシプロピオネート、ブチルアセテート、アミルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−エトキシエチルプロピオネート、3−エトキシメチルプロピオネート、3−メトキシメチルプロピオネート、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、乳酸プロピル、及びテトラメチレンスルホンなどが挙げられる。溶剤は単独でまたは混合物として使用してよい。
【0039】
上記調合物は、更に、適当な熱硬化剤を含んでよく、これには、限定はされないが、イミダゾール類、第一、第二及び第三アミン、第四アンモニウム塩、酸無水物、ポリスルフィド、ポリメルカプタン、フェノール類、カルボン酸、ポリアミド、第四ホスホニウム塩、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0040】
限定はされないが、本願に開示及び特許請求される二つ以上の繰り返し単位及び末端を有する新規ポリマーまたはコポリマーは、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、ブタジエン、ブチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、イソプレン、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチレン、エチレン、2−ブチルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトール、トリ(メタ)アクリレート、オキセタン−2−イルメチル(メタ)アクリレート及び類似のモノマーから選択される一種以上のモノマー繰り返し単位を含んでよい。
【0041】
本願に開示及び特許請求される、反応させて上記末端基を有するポリマーとされるポリマーは、コポリマーであってよい。限定はされないが、反応させるコポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート−スチレン)、ポリ(ブタジエン−ブチルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−ジメチルシロキサン)、ポリ(ブタジエン−メチルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−メチルメタクリレート)、(ポリイソプレン−ビニルピリジン)、ポリ(ブチルアクリレート−メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート−ビニルピリジン)、(ポリヘキシルアクリレート−ビニルピリジン)、ポリ(イソブチレン−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチレン−ジメトキシシロキサン)、ポリ(イソブチレン−メチルメタクリレート)、ポリ(イソブチレン−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−エチレンオキシド)、ポリ(ブチルメタクリレート−ブチルアクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート−ビニルピリジン)、ポリ(エチレン−メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブチルスチレン)、ポリ(スチレン−ジメトキシシロキサン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(スチレン−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ビニルピリジン)、ポリ(エチレン−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピリジン−メチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド−イソプレン)、ポリ(エチレンオキシド−ブタジエン)、ポリ(エチレンオキシド−スチレン)、またはポリ(エチレンオキシド−メチルメタクリレート)を含み得る。
【0042】
該新規中性ポリマー層組成物は、任意の所望の基材上にコーティングし、そして加熱してフィルムから溶剤を除去する。加熱は、約100℃〜約300℃の範囲、または約150℃〜約300℃の範囲であることができる。コーティングの後のフィルムの厚さは3〜約500nmの範囲またはより厚いものであることができる。任意選択的に、コーティング及びベークの後、追加の溶剤ステップを追加してフィルムの厚さを減少させて、基材に付着したままの薄いグラフト層(grafted layer))を形成してよく、このグラフト層は、加熱後に約3nm〜約50nmの範囲、または約3nm〜約30nmの範囲、または約3nm〜約25nmの範囲、または約3nm〜約20nmの範囲、または約3nm〜約10nmの範囲であることができる。フィルムを低減させるためには、ブラシ型ポリマーを溶解できる任意の溶剤を使用し得る。任意選択的に、フィルムは、薄膜化の後に、約80℃〜約150℃、または約90℃〜約140℃の範囲の温度で更に加熱することができる。該新規ポリマーフィルムを形成した後、そのコーティングは、任意の自己誘導組織化技術を用いて最終的にパターンを形成するために次の加工に使用してよい。該新規中性層の上に層を形成するために使用される組成物は、ブロックコポリマー及び溶剤を含む。このような技術の例は、グラフォエピタキシ、標準的なケモエピタキシ、ピン止めを行うケモエピタキシなどである。該新規中性層組成物によって形成された薄いグラフト中性層は、該中性層が使用されるリソグラフィプロセス中に起こるかもしれないどのようなダメージ、例えば有機溶剤(例えば中性相の上にコーティングを形成するために使用された溶剤、溶剤現像剤など)からの溶解、水性アルカリ性現像剤中での溶解、中性層の上にコーティングされたフォトレジストに画像を形成するために使用したプロセスからのダメージ(例えばe−ビーム、euv、ディープuvなど)、またはフォトレジストストリッパ中への溶解にも拘わらず、中性でかつ基材に付着したままである。薄膜化されたブラシ型層は、フォトレジストのコーティングに使用されるものなどの溶剤、例えばPGMEA、PGME、ELなど中では除去できない。該新規中性層の上全体に、誘導自己組織化に有用なブロックコポリマー組成物が層を形成するために使用される。
【0043】
該新規中性層組成物と共同して誘導自己組織化に使用されるブロックコポリマーは、自己組織化を介してドメインを形成できるものであれば任意のブロックコポリマーであることができる。自己会合する傾向のある同じタイプのブロックによって、ミクロドメインが形成される。典型的には、この目的に使用されるブロックコポリマーは、モノマーから誘導された繰り返し単位が、組成的に、構造的にまたはその両方で異なりかつ相分離及びドメイン形成ができるブロックに配列しているポリマーである。これらのブロックは、一方のブロックは削除する一方で、他方のブロックは表面上にそのまま維持でき、そうして表面上にパターンを供するという異なる性質を有する。それ故、ブロックは、プラズマエッチング、溶剤エッチング、水性アルカリ性溶液を用いた現像剤エッチングなどによって選択的に削除することができる。有機モノマーをベースとするブロックコポリマーでは、一つのブロックは、ポリジエンも包含するポリオレフィン系モノマー、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)及びこれらの混合物などのポリ(アルキレンオキシド)を始めとするポリエーテルからできていることができ; 他のブロックは、ポリ((メタ)アクリレート)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノゲルマン及び/またはこれらの混合物などの様々なモノマーからできていることができる。ポリマー鎖中のこれらのブロックは、それぞれ、モノマーから誘導された一つまたはそれ超の繰り返し単位を含むことができる。必要なパターン及び使用する方法のタイプに依存して、異なるタイプのブロックコポリマーを使用し得る。例えば、これらは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、ターポリマーまたはマルチブロックコポリマーから成っていてよい。これらのブロックコポリマーのブロックは、それら自体が、ホモポリマーまたはコポリマーから成っていてよい。異なるタイプのブロックコポリマーも自己組織化に使用でき、例えば樹脂状ブロックコポリマー、超分岐ブロックコポリマー、グラフトブロックコポリマー、有機ジブロックコポリマー、有機マルチブロックコポリマー、線状ブロックコポリマー、星形ブロックコポリマー、両親媒性無機ブロックコポリマー、両親媒性有機ブロックコポリマー、または異なるタイプのブロックコポリマーから少なくともなる混合物などがある。
【0044】
有機ブロックコポリマーのブロックは、C2−30オレフィンなどのモノマー、C1−30アルコールから誘導される(メタ)アクリレートモノマー、無機含有モノマー、例えばSi、Ge、Ti、Fe、Alをベースとするモノマーを含んでもよい。C2−30オレフィンをベースとするモノマーは、単独でまたは一種の他のオレフィン性モノマーとの組み合わせで、高エッチング耐性のブロックを構成することができる。このタイプのオレフィン性モノマーの具体例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1,3−ブタジエン、イソプレン、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、スチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−メチルスチレン、アルファ−メチルスチレンまたはこれらの混合物である。高エッチング可能な単位の例は、(メタ)アクリレートモノマー、例えば(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物から誘導することができる。
【0045】
一つのタイプの高エッチング耐性繰り返し単位を含むブロックコポリマーの説明に役立つ例は、スチレンから誘導される繰り返し単位のみを含むポリスチレンブロックと、メチルメタクリレートから誘導された繰り返し単位のみを含む他のタイプの高エッチング可能なポリメチルメタクリレートブロックであろう。これらは一緒になって、ブロックコポリマーであるポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)を形成し、ここでbはブロックのことを指す。
【0046】
パターン化された中性層上での誘導自己組織化に使用されるグラフォエピタキシ、ケモエピタキシまたはピン止めケモエピタキシに有用なブロックコポリマーの具体的で非限定的な例は、ポリ(スチレン−b−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−ブタジエン)、ポリ(スチレン−b−イソプレン)、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−b−アルケニル芳香族類)、ポリ(イソプレン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−(エチレン−プロピレン))、ポリ(エチレンオキシド−b−カプロラクトン)、ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−b−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド−b−プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−テトラヒドロフラン)、ポリ(スチレン−b−イソプレン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルメタクリレート−b−ジメチルシロキサン)、または上記のブロックコポリマーの少なくとも一つを含む組み合わせである。これらの全てのポリマー性材料は、ICデバイスの製造に典型的に使用されるエッチング技術に対し耐性のある繰り返し単位に富む少なくとも一つのブロックと、これらの同じ条件下に迅速にエッチングされる少なくとも一つのブロックとの存在という点で共通する。これは、誘導自己組織化されたポリマーが、基材にパターン転写を行い、パターン補正またはパターン増倍のいずれかをもたらすことを可能とする。
【0047】
典型的には、グラフォエピタキシ、ケモエピタキシまたはピン止めケモエピタキシなどでの誘導自己組織化に使用されるブロックコポリマーは、約3,000〜約500,000g/モルの範囲の重量平均分子量(M)、及び約1,000〜約60,000の数平均分子量(M)、及び約1.01〜約6、または1.01〜約2、または1.01〜約1.5の多分散性(M/M)を有する。分子量のM及びMは両方とも、例えば、ポリスチレン標準に対してキャリブレートした一般のキャリブレーション法を用いてゲル透過クロマトグラフィにより測定できる。これは、ポリマーブロックが、所定の表面に付与された時に自然発生的に、または純粋に熱的な処理を用いることで、または自己組織化が起こるようにセグメントの流れを高めるためにポリマーフレームワークに溶剤蒸気を吸収させることでアシストされた熱的プロセスを介して、自己組織化するための十分な可動性を持つことを保証する。
【0048】
フィルムを形成するためのブロックコポリマーの溶解に適した溶剤は、ブロックコポリマーの溶解性要件で変わり得る。ブロックコポリマーアセンブリのための溶剤の例には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エトキシエチルプロピオネート、アニソール、乳酸エチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、アミルアセテート、n−ブチルアセテート、n−アミルケトン(MAK)、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、トルエン、及び類似物などが挙げられる。一つの態様では、特に有用なキャスティング溶剤には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、またはこれらの溶剤の組み合わせなどが挙げられる。
【0049】
該ブロックコポリマー組成物は、無機含有ポリマー;小分子、無機含有分子、界面活性剤、光酸発生剤、熱酸発生剤、クエンチャ、硬化剤、架橋剤、鎖延長剤、及び類似物を包含する添加剤;並びに上記の少なくとも一つを含む組み合わせからなる群から選択される追加の成分及び/または添加剤を含むことができ、ここで前記追加の成分及び/または添加剤の一種以上は、ブロックコポリマーと一緒に組織化して、ブロックコポリマーアセンブリを形成する。
【0050】
該新規中性ブラシ型層が形成される基材は、有用な基材の任意のタイプのものであってよい。基材はパターンを有してよいし、またはフラットで未パターン化のものでもよい。パターン化される基材は、2011年9月23日に出願されたUS13/243,640(特許文献2)、2007年12月7日に出願されたUS2009/0196488(特許文献3)、2004年11月22日に出願されたUS2008/0299353(特許文献4)、2008年11月19日に出願されたUS2010/0124629(特許文献5)、2008年1月14日に出願されたUS2009/0179002(特許文献6)、及びUS7,846,502(特許文献7)に記載された方法を用いてよい。この場合、使用される中性層は、本発明による新規組成物から形成された層である。なお、前記特許文献の内容は本明細書中に掲載されたものとする。該新規ブラシ型ポリマー層は、誘導自己組織化に有用なブロックコポリマー層を要求するステップの前に形成される。
【0051】
ブロックコポリマー組成物は、該新規中性層の上に施与される。該新規中性層は、パターン化された表面に形成されてよく、この場合、パターンは慣用のリソグラフィによって形成されたものであり、そして中性表面は、該新規組成物から形成されたコーティングである。適用及び溶剤除去の後、ブロックコポリマーは、慣用のリソグラフィプロセスで生成された基材表面の実際のトポグラフィ図形またはパターン化された化学的差異のいずれかを介して、中性層を用いて慣用のリソグラフィ加工によって形成された特定のパターンによって誘導されて自己組織化を起こす。パターン転写のための標準的なIC加工の後でのパターンとミクロ相分離距離との相対的なピッチに依存して、同じ解像度を維持したパターン補正が達成され、及び/または慣用のリソグラフィで画定された図形の間に多相境界が形成される場合にはパターン増倍も達成し得る。
【0052】
スピン技術(スピンドライイングも含む)によるブロックコポリマーの施与が、自己誘導化ブロックコポリマー組織を形成するのに十分であり得る。自己誘導化ドメイン形成の他の方法は、施与時、ベーク時、アニール時またはこれらの操作の一つ以上の組み合わせの時に起こり得る。こうして、上記の方法によって配向したブロックコポリマー組織が作製され、これは、中性表面に対し垂直に配向したシリンダ型のミクロドメインを含むかまたは中性表面に対し垂直に配向したラメラ型ドメインを含むミクロ相分離ドメインを有する。一般的に、ミクロ相分離ドメインは、中性表面に対し垂直に配向したラメラ型ドメインであり、これは、ブロックコポリマー組織に並行なライン/スペースパターンを供する。こうして配向したドメインは、後の加工条件下に熱的に安定していることが望ましい。そのため、有用なジブロックコポリマー、例えばポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)を含むブロックコポリマーアセンブリの層をコーティングし、及び任意選択的にベーク及び/またはアニールした後に、ブロックコポリマーのドメインは、中性表面上に形成しかつそれに対し垂直に留まり、そうして基材表面上に高耐性領域と高エッチング可能領域とを与え、これを、更に基材層中にパターン転写することができる。誘導自己組織化ブロックコポリマーパターンは、既知の技術を用いて下にある基材中に転写される。一つの例では、湿式エッチングまたはプラズマエッチングを、任意にUV露光と組み合わせて、使用し得る。湿式エッチングは酢酸を用いたものであることができる。標準的なプラズマエッチングプロセス、例えば酸素を含むプラズマを使用してよく;追加的に、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素、CF、CHFもプラズマ中に存在してよい。
【0053】
本発明の一つの態様では、誘導自己組織化パターンを形成するために使用される最初のフォトレジストパターン化基材は、ネガ型もしくはポジ型フォトレジストのいずれかを用いて、またはポジトーンもしくはネガトーン現像プロセスのいずれかを用いて画定でき、そして慣用のリソグラフィ技術、例えばe−ビーム、イオンビーム、X線、EUV(13.5nm)、ブロードバンド、またはUV(450nm〜10nm)露光、液浸リソグラフィなどを用いて画像形成可能である。一つの態様では、本発明は、乾式リソグラフィまたは液浸リソグラフィのいずれかを用いた193nm像様露光に特に有用である。193nmリソグラフィには、商業的に入手できるポジ型193nmフォトレジストを使用でき、例えば非限定的な例には、AZ AX2110P(AZ Electronic Materials USA Corp,Somerville,NJから入手可能)、Shin−Etsu Chemical Corp.のフォトレジスト、Japan Synthetic RubberのJSR Micro、及びFjiFilm、TOKなどから入手できる他のフォトレジストがある。これらのフォトレジストは、露光後及びポスト露光ベーク後に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む水性アルカリ性現像剤を用いて現像してポジトーンパターンとすることができるか、またはn−アミルケトン(MAK)、n−ブチルアセテート、アニソールなどの有機溶剤を用いて現像して、ネガトーンパターンとすることができる。その代わりに、193nm露光にも、商業的に入手可能なネガトーンフォトレジストを使用してよい。パターンが形成されたら、該新規中性層組成物を用いた層を使用して層を形成し、そしてこの層の上に自己誘導ブロックコポリマーの層を形成する。該新規中性フィルムはなおも中性を維持し、それ故、トポグラフィカルリソグラフィ図形の間のブロックコポリマードメインの適切な配向を可能にする。中性は、配列プロセスの間に、ブロックコポリマーのドメインが中性表面上に形成しかつそれに対し垂直に留まるように、ブロックコポリマーの配向を制御するために必要である。
【0054】
中性層がコーティングされる基材は、デバイスによって要求される任意のものである。一つの例では、基材は、ケイ素もしくはチタン含有反射防止コーティングARC(酸素プラズマに対し高エッチング耐性)のコーティングを施した高炭素含有有機層の層でコーティングされたウェハである。これは、パターン化されたブロックコポリマーからこれらのコーティング中へのパターン転写を可能にする。適当な基材には、限定はされないが、ケイ素、金属表面でコーティングされたケイ素基材、銅でコーティングされたケイ素ウェハ、銅、アルミニウム、ポリマー性樹脂、二酸化ケイ素、金属、ドープした二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タンタル、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム/銅混合物、ガラス、コーティングされたガラス;ヒ化ガリウム及び他のこのような第III/V族化合物などが挙げられる。これらの基材は、反射防止コーティング(複数可)でコーティングしてよい。基材は、上記の材料からできた任意数の層を含んでよい。基材はパターン化されていても、パターン化されていなくともよい。
【0055】
本発明では、グラフォエピタキシまたは(ピン止め)ケモエピタキシを含む様々な方法を使用して、基材に対するブロックコポリマーの配向を制御するために、特に中性を維持しながら、上記のリソグラフィプロセスに対し耐性のある該新規中性層を用いることにより上記のブロックコポリマーの誘導自己組織化を達成でき;この誘導自己組織化ブロックコポリマーコーティングは、次いで、ブロックコポリマーの高エッチング可能なドメインを削除するためにプラズマまたは湿式エッチングを用いて高解像度パターンを形成するために使用される。このパターンは、次いで更に基材中に転写することができる。このようにして、様々な高解像度図形を基材中にパターン転写して、パターン補正、パターン増倍またはこれらの両者を達成し得る。
【0056】
上記の方法は、実施できる新規方法を記載するものである。この方法は、本発明の新規中性層組成物を使用することができる。
【0057】
上記で引用した文献はそれぞれ、全ての目的に関してその全体が本明細書中に掲載されたものとする。以下の具体例は、本発明の組成物を製造、利用する方法を詳細に説明する。しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に使用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものと解釈するべきものではない。
【実施例】
【0058】
合成例1
(1)5.0gの4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)を約100mLのメタノール中に混ぜ入れることによって溶液を調製した。この溶液に、メタノール中の等モル量のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物からなる溶液を攪拌しながらゆっくりと加え;攪拌を、添加完了後に30分間続けた。次いで、この溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて室温で濃縮し、そして残渣をジエチルエーテル中に注ぎ入れた。これは、攪拌した時に、粘性の油状物を生成した。前記油状物を、ジエチルエーテルとアセトンとの混合物中に混ぜ入れることによって、白色の固形物に変えた。室温で乾燥すると、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)のアンモニウム塩5.5gが生じた。
(2)4gの4−(クロロメチル)ベンジルアルコールを30mlのアセトン中に溶解することによって溶液を調製した。この溶液に、25gのアセトン中に溶解した5.7gのヨウ化ナトリウムを加えた。この混合物を、室温で17時間攪拌した。生じた塩化トリウムを濾過して除去した。次いで、濾液をロータリーエバポレーターを用いて小体積にまで濃縮し、そして攪拌された脱イオン水中に注ぎ入れた。得られた白色の固形物を単離し、脱イオン水で徹底的に洗浄し、そして減圧炉中で乾燥した。収量:5gの4−(ヨウ素メチル)ベンジルアルコール。
(3)ステップ(2)で得られた4−(ヨウ素メチル)ベンジルアルコール4.9gをジメチルスルホキシド(DMSO)11g中に溶解することによって溶液を調製した。この溶液に、DMSO100g中に溶解したステップ(1)で製造されたアンモニウム塩4.3gを加えた。この反応混合物を18時間室温で攪拌した。ヨウ化テトラメチルアンモニウムを濾別して濾液を得た。この濾液を攪拌しながら脱イオン水中に注ぎ入れた。生じた固形物を濾過し、水で徹底的に洗浄し、そして室温で乾燥して、二つのベンジルアルコール基を持つアゾ開始剤4g、すなわち(E)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)4,4’−(ジアゼン−1,2−ジイル)ビス(4−シアノペンタノエート)を得た。
【0059】
合成例2
合成例1で調製したアゾ開始剤の(E)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)4,4’−(ジアゼン−1,2−ジイル)ビス(4−シアノペンタノエート)0.3023g、スチレン3.51g、及び2−ブタノン14g中に溶解したメチルメタクリレート2.47gを用いて、磁気攪拌棒及び冷水凝縮器を備えた100mlフラスコ中で溶液を調製した。30分間窒素パージした後、このフラスコを80℃の油浴中に浸けた。この温度で16時間、攪拌しながら重合反応を行った。次いで、この反応溶液を室温まで放冷した。この溶液をメタノール中で析出させ、そして粗製ポリマーを濾過により単離した。この粗製ポリマーを、先ずこれをアセトン中に溶解し、そしてこれをメタノール中で再析出させ、次いでポリマーを濾過して取り出すことによって精製、単離した。単離されたポリマーを、重量が一定(3g)となるまで、50℃の減圧炉中で乾燥した。このポリマーは、18810g/モルの重量平均分子量(M)及び11814g/モルの数平均分子量(M)を有することが確認された。1H NMRは、ポリマーが、56.7モル%のスチレン及び43.3モル%のMMAを含むことを示した。ベンジルアルコール末端基に帰属する特徴的なプロトンピーク(4.6、5.1及び7.3ppm)が明りょうに観察され、そしてプロトンNMRをベースとした見込みMnが、ゲル透過クロマトグラフィから得られたMnと良好に合致した。
【0060】
合成例3
合成例1で調製したアゾ開始剤の(E)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)4,4’−(ジアゼン−1,2−ジイル)ビス(4−シアノペンタノエート)0.70g、スチレン20.75g、及び2−ブタノン42g中に溶解したメチルメタクリレート7.0gを用いて、磁気攪拌棒及び冷水凝縮器を備えた300mlフラスコ中で溶液を調製した。30分間窒素パージした後、このフラスコを80℃の油浴中に浸けた。この温度で21時間、重合反応を行った。次いで、この反応溶液を室温まで放冷し、そしてメタノール中に析出させた。粗製ポリマーを濾過して単離し、次いで先ずこれをアセトン/2−ブタノン中に溶解し、メタノールで再析出しそして濾過することによって精製、単離した。最後に単離されたポリマーを、重量が一定(15g)となるまで、50℃の減圧炉中で乾燥した。このポリマーは、28648g/モルのM及び17614g/モルのMを有することが確認された。H NMRは、このポリマーが71.8モル%のスチレン及び28.2モル%のMMAを含むことを示した。ベンジルアルコール末端基に帰属する特徴的なプロトンピーク(4.6、5.1及び7.3ppm)が明りょうに観察され、そしてプロトンNMRをベースとした見込みMnが、GPCから得られたMnと良好に合致した。
【0061】
合成例4
合成例1で調製したアゾ開始剤の(E)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)4,4’−(ジアゼン−1,2−ジイル)ビス(4−シアノペンタノエート)1.6g、及び2−ブタノン70g中に溶解したメチルメタクリレート30.8gを用いて、磁気攪拌棒及び冷水凝縮器を備えた250mlフラスコ中で溶液を調製した。30分間窒素パージした後、このフラスコを80℃の油浴中に浸けた。この温度で20時間、重合反応を行った。次いで、この反応溶液を室温まで放冷した。生じた溶液をメタノール中で析出させ、そして粗製ポリマーを濾過により単離した。粗製ポリマーを、これを2−ブタノン中に溶解し、次いでメタノール中に再析出させることによって精製した。最後に、単離されたポリマーを、重量が一定(23g)となるまで、50℃の減圧炉中で乾燥した。このポリマーは、25,353g/モルのM及び16,989g/モルのMを有することが確認された。ベンジルアルコール末端基に帰属する特徴的なプロトンピーク(4.6、5.1及び7.3ppm)が明りょうに観察され、そしてプロトンNMRをベースとした見込みMnが、GPCから得られたMnと良好に合致した。
【0062】
合成例5
合成例1で調製したアゾ開始剤の(E)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)4,4’−(ジアゼン−1,2−ジイル)ビス(4−シアノペンタノエート)1.43g、及び2−ブタノン54g中に溶解したスチレン28.6gを用いて、磁石棒及び冷水凝縮器を備えた250mlフラスコ中で溶液を調製した。30分間窒素パージした後、このフラスコを80℃の油浴中に浸けた。この温度で18時間、重合反応を行った。生じた溶液を次いで室温まで放冷し、そしてメタノール中に析出させた。粗製ポリマーを、濾過して単離し、そしてこれを2−ブタノン中に溶解し、次いでこれをメタノールで再析出させることによって精製した。最後に、単離されたポリマーを、重量が一定(16.4g)となるまで、50℃の減圧炉中で乾燥した。このポリマーは、15175g/モルのM及び9783g/モルのMを有することが確認された。ベンジルアルコール末端基に帰属する特徴的なプロトンピーク(4.6、5.1及び7.3ppm)が明りょうに観察され、そしてプロトンNMRをベースとした見込みMnが、GPCから得られたMnと良好に合致した。
【0063】
合成例6
4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)のテトラメチルアンモニウム塩(1.22g)(合成例1のステップ1に記載のもの同じ方法によって製造)、スチレン22.0g、及びジメチルスルホキシド(DMSO)70g中に溶解したメチルメタクリレート7.4gを用いて、磁石棒及び冷水凝縮器を備えた250mlフラスコ中で溶液を調製した。30分間窒素パージした後、このフラスコを80℃の油浴中に浸けた。この温度で21時間、重合反応を行った。この反応溶液を次いで室温に放冷し、そして生じた僅かに曇った溶液は、少量の2−ブタノンを加えることで透明になった。この透明溶液に、(3−ヨウ素プロピル)トリメトキシシラン2gを加えた。この溶液を24時間室温で攪拌した。生じたヨウ化テトラメチルアンモニウムを濾過して除去した。次いで、生じた濾液をメタノール中に析出させ、そして粗製ポリマーを、濾過して単離し、2−ブタノン中に溶解し、そしてメタノールで再析出させた。最後に、ポリマーを単離し、そして重量が一定(8.7g)となるまで、50℃の減圧炉中で乾燥した。このポリマーは、36514g/モルのM及び17959g/モルのMを有することが確認された。シラン末端基に帰属する特徴的なプロトンピーク(0ppm)が明りょうに観察され、そしてプロトンNMRをベースとした見込みMnが、GPCから得られたMnと良好に合致した。
【0064】
合成例7
合成例1に記載の方法を用いたアゾ開始剤の(E)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)4,4’−(ジアゼン−1,2−ジイル)ビス(4−シアノペンタノエート)1.64g、スチレン20.26g、及び2−ブタノン62g中に溶解したメチルメタクリレート7.17gを用いて、磁石棒及び冷水凝縮器を備えた500mlフラスコ中で溶液を調製した。30分間窒素パージした後、このフラスコを80℃の油浴中に浸けた。この温度で22時間、重合反応を行った。反応溶液を次いで室温まで放冷し、そしてメタノール中に析出させた。粗製ポリマーを濾過して単離し、次いで先ずこれをアセトン/2−ブタノン中に溶解し、メタノールで再析出しそして濾過することによって精製、単離した。最後に、単離されたポリマーを、重量が一定(約15g)となるまで、50℃の減圧炉中で乾燥した。このポリマーは15657g/モルのM及び10371g/モルのMを有することが確認された。H NMRは、このポリマーが69モル%のスチレン及び31モル%のMMAを含むことを示した。ベンジルアルコール末端基に帰属する特徴的なプロトンピーク(4.6、5.1及び7.3ppm)が明りょうに観察され、そしてプロトンNMRをベースとした見込みMnが、GPCから得られたMnと良好に合致した。
【0065】
合成例8
合成例1に記載の方法を用いたアゾ開始剤の(E)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)4,4’−(ジアゼン−1,2−ジイル)ビス(4−シアノペンタノエート)1.56g、スチレン20g、及び2−ブタノン60g中に溶解したメチルメタクリレート6.1gを用いて、磁石棒及び冷水凝縮器を備えた300mlフラスコ中で溶液を調製した。30分間窒素パージした後、このフラスコを80℃の油浴中に浸けた。この温度で24時間、重合反応を行った。次いで、この反応溶液を室温まで放冷し、そしてメタノール中に析出させた。粗製ポリマーを濾過して単離し、次いで先ずこれをアセトン/2−ブタノン中に溶解し、メタノールで再析出しそして濾過することによって精製、単離した。最後に、単離されたポリマーを、重量が一定(約15g)となるまで、50℃の減圧炉中で乾燥した。このポリマーは15625g/モルのM及び9592g/モルのMを有することが確認された。H NMRは、このポリマーが70.6モル%のスチレン及び29.4モル%のMMAを含むことを示した。ベンジルアルコール末端基に帰属する特徴的なプロトンピーク(4.6、5.1及び7.3ppm)が明りょうに観察され、そしてプロトンNMRをベースとした見込みMnが、GPCから得られたMnと良好に合致した。
【0066】
合成例9
合成例1に記載の方法を用いたアゾ開始剤の(E)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)4,4’−(ジアゼン−1,2−ジイル)ビス(4−シアノペンタノエート)1.88g、スチレン13.43g、及び2−ブタノン76g中に溶解したメチルメタクリレート17.16gを用いて、磁石棒及び冷水凝縮器を備えた500mlフラスコ中で溶液を調製した。30分間窒素パージした後、このフラスコを80℃の油浴中に浸けた。この温度で19時間、重合反応を行った。次いで、この反応溶液を室温まで放冷し、そしてメタノール中に析出させた。粗製ポリマーを濾過して単離し、次いで先ずこれをアセトン/2−ブタノン中に溶解し、メタノールで再析出しそして濾過することによって精製、単離した。最後に、単離されたポリマーを、重量が一定(約15g)となるまで、50℃の減圧炉中で乾燥した。このポリマーは16942g/モルのM及び11813g/モルのMを有することが確認された。H NMRは、このポリマーが43.4モル%のスチレン及び56.6モル%のMMAを含むことを示した。ベンジルアルコール末端基に帰属する特徴的なプロトンピーク(4.6、5.1及び7.3ppm)が明りょうに観察され、そしてプロトンNMRをベースとした見込みMnが、GPCから得られたMnと良好に合致した。
【0067】
合成例10
異性体混合物としての4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイルクロライド):全ての手順は窒素雰囲気下に行った。約240mlのジクロロメタン中の70gのPClの懸濁液を、機械的攪拌機を備えた丸底フラスコ中で調製した。この懸濁液に、9.1gの4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)を25分間内に少しずつ加えた。この混合物を、0〜2℃で2時間攪拌し、次いでこれを16℃まで加温しながら40時間攪拌した。五塩化リンの過剰固形物を濾別し、CHCl(2×10ml)で洗浄した。生じた溶液を、室温でロータリーエバポレーターを用いて濃縮して115gの無色の液体を得た。この材料を次いで−20℃の冷凍庫中に4時間置いた。低温の溶液を200mlのヘキサン中に十分に攪拌しながらデカントし、そして無色の固形物を濾過し、ヘキサンで十分に洗浄した。収量:7.3g(70.8%);m.p.75〜77℃;H NMR(CDCl,δppm)1.68(s)及び1.74(s)(6H,2×CH,1:1.21比),2.4〜2.65(m)及び2.9〜3.23(m)(8H,2×CH−CH,1:1.14比);13C NMR(CDCl,δppm)23.57及び23.72(CH),32.87(C),41.67及び41.77(−C(O)Cl),71.26及び71.4(C),116.77及び116.87(CN),172.11及び172.19(C(O)Cl)。
(2)N,N−ビス(ジエトキシ−ホスホリルエチル)アミン:5.93gのジエチルビニルホスホネートを、10gの濃アンモニアと丸底フラスコ中で混合して溶液を調製し、そしてこれを45時間、室温で攪拌した。この混合物に、40mlの脱イオン水を加えた。この生成物をジクロロメタンで抽出し(6×7ml)、そして有機相をNaSO上で乾燥した。この溶液から溶剤をストリッピングし、無色の液体としてN,N−ビス(ジエトキシホスホリルエチル)アミン4.1g(66%収率)を得た。13C NMR(CDCl,δppm):16.2(d,J=6.08Hz,CH),26.3(d,J=139.32Hz,CH−P),42.8(d,J=2.76Hz,CH−N),61.4(d,J=6.08Hz,CH−O)。
(3)異性体混合物としての4,4’−アゾビス[4−シアノ−N,N−ビス(ジエトキシホスホリルエチル)ペンタノイルアミド:丸底フラスコ中で、上記(2)からの3.68gのN,N−ビス(ジエトキシ−ホスホリルエチル)アミン及び0.7gのトリエチルアミンを23mlの水性CHCl中に溶解することによって溶液を調製した。この溶液に、上記(1)からの1.69gの4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロライド)を、15分間内で少しずつ加え、0〜3℃で1時間攪拌し、次いでこれを周囲温度まで加温しながら3時間攪拌した。この反応混合物を水で洗浄し(5×5ml)、そしてNaSO上で乾燥した。室温下、真空中で溶液から溶剤をストリッピングすると、黄色緑帯の粘性の液体4.92g(98%)が得られた。H NMR(CDCl,δppm):1.34(t,24H,8×O−CH−C,J=7.04Hz),1.65(s)及び1.74(s)(6H,2×CH,1:1.2比),2.02(m,8H,4×C−P),2.63−2.34(m,8H 2×C−C−C(O)),3.54(m,8H,4×CH−N),4.08(m,16H,8×OC−CH);
【0068】
例11:ホスホネート末端コポリマー1の合成:
上記の例10(3)で調製したアゾ開始剤1.7923g、スチレン30g、及び2−ブタノン80ml中のメチルメタクリレート19.07gを用いて、磁気攪拌機、水凝縮器及びガスバブラーを備えた250mlフラスコ中で溶液を調製した。窒素を導通して30分間パージした後、フラスコを76℃の油浴中に入れ、そして19時間攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、そしてこの溶液を、攪拌下に1.5Lのヘキサン中にゆっくりと注ぎ入れた。ポリマーを濾過して単離し、そして80mlの2−ブタノン溶液から1.5Lヘキサンへの再析出を介して精製し、ヘキサンで洗浄し、そして重量が一定になるまで(27.6g)、減圧炉中で80℃で乾燥した。収率:56%。Mn26669g/モル;Mw 47437g/モル;PDI(多分散性):1.81。
【0069】
例12:ホスホネート末端コポリマー2の合成:
上記の例10(3)で調製したアゾ開始剤2.9271g、スチレン17.56g及び2−ブタノン50ml中のメチルメタクリレート11.13gを用いてフラスコ中で溶液を調製した。これを、前述のポリマー合成例11に記載のものと同じ条件下に17時間反応させた。仕上げ後、18.94g(60%)のポリマーが得られた。このポリマーは、13388g/モルのMn及び22160g/モルのMw、及び1.65のPDIを有することが確認された。
【0070】
例13:コポリマー3を生成する、例11からのホスホネート末端コポリマー1のヒドロ脱エチル化:
例11からのポリマー2.62gを、乾燥したジクロロメタン8g中に溶解することによって、溶液を調製した。この溶液に、0.22gのトリメチルシリルブロマイドを攪拌しながら15分間内で滴下した。次いでこの反応混合物を、40℃の油浴中に4時間入れた。この反応混合物を室温に冷却し、そしてメタノール(150ml)中に注ぎ入れてポリマーを析出させた。室温で4時間攪拌した後、ポリマー粉を濾過して集めた。この粗製ポリマーを60mlのジクロロメタン中に再溶解し、そして400mlのメタノール中に再析出させた。ポリマーの第一の部分を濾過して集めた。ポリマーの第二の部分を、真空中で濾液から全ての溶剤をストリッピングして得た。重量が一定となるまで60℃で減圧炉中で乾燥した後、画分1(1.9g、75%)Mn108,885g/モル;Mw 673,888g/モル;画分2(0.65g、24.8%)Mn 68984g/モル; Mw 363094g/モル。
【0071】
例14:コポリマー4を生成する、例12からのホスホネート末端コポリマー2のヒドロ脱エチル化:
例12からのポリマー2.82gを、乾燥したジクロロメタン23g中に溶解することによって、溶液1を調製した。0.0745gのトリメチルシリルブロマイドを1.25gの乾燥ジクロロメタン中に溶解することによって溶液2を調製した。次いで、この溶液2を、室温で攪拌しながら5分間内で溶液1に滴下した。次いでこの反応混合物を、40℃の油浴中に5時間入れた。この粗製物を室温まで冷却し、そしてこれに、3.6gのMeOHを三回に分けて1時間のうちに添加し、その後、一晩攪拌を続けた。揮発物をストリッピングした後、粗製ポリマーを、2回、50mlの2−ブタノン中に再溶解及び500mlのヘキサン類中に析出させた。最終のポリマー材料を濾過し、そして室温で一晩真空下に維持した。11,226g/モルのMn及び27,257g/モルのMw、並びに2.43のPDIを有する2.68g(95%)のポリマー材料が得られた。
【0072】
合成例15:異性体混合物としての4,4’−アゾビス{[4−シアノ−N(4−(ジエトキシホスホリルメチル)フェニル]ペンタノイルアミド}
丸底フラスコ中で、2.15gのジエチル4−アミノベンジルホスホネート、1gのトリエチルアミンを40mlの無水CHCl中に溶解することによって溶液を調製した。この溶液に、例10(1)からの1.4gの4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロライド)を、20分間内で少しずつ加え、0〜3℃で1時間40分間攪拌し、次いでこれを周囲温度まで加温しながら3時間攪拌した。この反応混合物を水で洗浄し(5×6ml)、そしてNaSO上で乾燥した。室温下、真空中で溶液から溶剤をストリッピングすると、固形材料3.2g(95%)が得られた。H NMR(CDCl,δppm):1.24t及び1.302t(12H,4×O−CH−C,J=6.96Hz),1.65s及び1.83s(6H,2×CH,1:1比),2.37−2.66(m,8H 2×C−C−C(O)),3.02(d)及び3.08d(4H,2×C−Ar,J=21.56Hz),4.02m(8H,4×O−C−CH),6.97dd(2Har),7.09d(2Har),7.11dd(2Har)7.36d(2Har),8.98s(1H,NH)及び9.49s(1H,NH)。
【0073】
合成例16:ホスホネート末端コポリマー4の合成:
例15で調製したアゾ開始剤1.907g、スチレン4.16g、及び2−ブタノン40ml中のメチルメタクリレート10.01gを用いて、磁気攪拌機、水凝縮器及びガスバブラーを備えたフラスコ中で溶液を調製した。これを、前述のポリマー合成例11に記載のものと同じ条件下に17時間反応させた。仕上げ後、14.8g(57%)のポリマーが得られた。このポリマーは、14798g/モルのMn及び24659g/モルのMwを有する。PDI:1.65。
【0074】
合成例17
例1で製造した4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)のアンモニウム塩4.3gを、攪拌しながらDMSOの最小量中に溶解した。2.7gのエピブロモヒドリンを加えた後、この溶液を室温で三日間攪拌した。生じた臭化テトラメチルアンモニウムを濾過して除去した。濾液を、攪拌された脱イオン水中にゆっくりと注ぎ入れた。生じた固形物を濾過して分離し、脱イオン水で徹底的に洗浄し、そして重量が一定(0.9g)になるまで減圧炉中、室温下に乾燥した。
【0075】
上で調製したエポキシ基を有するアゾ開始剤0.466g、スチレン5.94g、及びメチルメタクリレート4.41gを、磁気攪拌棒及び冷水凝縮器を備えた100mlのフラスコ中で、2−ブタノン9g/THF22g中に溶解した。30分間窒素パージした後、このフラスコを80℃の油浴中に浸けた。この温度で19時間、重合反応を行い、そしてこの反応溶液を室温まで放冷した。この溶液をメタノール中にゆっくりと注ぎ入れ、そして得られたポリマーを濾過して単離した。ポリマーをTHF中に溶解し、そしてメタノール中に再析出することによって精製した。最後に、単離されたポリマーを、重量が一定(6g得られる)となるまで、50℃の減圧炉中で乾燥した。このポリマーは、15311g/モルのM及び10448g/モルのMを有することが確認された。
【0076】
ブロックコポリマー調合物例1:
72.6k−b−40k(メチルメタクリレート)MMA−Sty(スチレン)(M:112.6K 多分散性(PD):1.06)の格付け分子量(rated molecular weight)を有するDuPont Electronic Polymers(14 TW Alexander Drive,Research Triangle Park,NC)から得られたこの例のブロックコポリマー(E116389−41)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に溶解して1.5重量%溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0077】
ブロックコポリマー調合物例2:
22k−b−22k MMA−Sty(M:44K 多分散性(PD):1.09)の格付け分子量を有するPolymer Source Inc,(Dorval(Montreal),Quebec,Canada)から得られたこの例のブロックコポリマーは、PGMEA中に溶解して1.5重量%溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0078】
ブロックコポリマー調合物例3:
約35k−b−35kのMMA−StyブロックコポリマーをPGMEA中に溶解して1.5重量%の溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0079】
グラフト化及び中性試験例1:
合成例6の中性ポリマー及び熱酸発生剤としてのトリエチルアンモニウムパーフルオロブタンスルホネート(ポリマーに対して5重量%)を用いてPGMEA中の0.5重量%溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0080】
上記の溶液を、200mmSiウェハ上に1500rpmでスピンコートし、220℃/2分でベークし、そして70/30(PGME/PGMEA)溶液で30秒間リンスした。最終フィルム厚は4.6nmであった。これは、中性ポリマー層が、Si基材にグラフトしていることを示す。ブロックコポリマー調合物例1の溶液を生じたフィルムの最上面に3200rpmでスピンコートして25nm厚のフィルムを形成し、これを次いで200℃で5分間アニールした。このフィルムを次いで氷酢酸で30秒間湿式現像した。操作電子顕微鏡(SEM)分析は、中性ポリマー層の中性の証である39nmの固有周期を有する垂直なシリンダ状の構造を示した。
【0081】
グラフト化及び中性試験例2:
合成例7の中性ポリマーを用いてPGMEA中の0.7重量%溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0082】
上記の溶液を、200mmSiウェハ上に1500rpmでスピンコートし、200℃/5分でベークし、そして70/30(PGME/PGMEA)溶液で30秒間リンスした。最終フィルム厚は5.8nmであった。これは、ブラシ型ポリマー層が、Si基材にグラフトしていることを示す。ブロックコポリマー調合物例2の溶液を、ブラシ型ポリマー層の上に3000rpmでスピンコートして30nm厚のフィルムを形成し、これを次いで255℃で2分間アニールした。SEM分析は、中性ポリマー層の中性の証であるブロックコポリマーの欠陥の無いフィンガープリントパターンを示した。本願において、フィンガープリントパターンとは、当技術分野で既知のように、基材上に並行な領域を形成するブロックコポリマーの首尾よい自己配列のことを言う。
【0083】
グラフト化及び中性試験例3:
合成例8の中性ポリマーを用いてPGMEA中の0.7重量%溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0084】
上記の溶液を、200mmSiウェハ上に1500rpmでスピンコートし、200℃/5分でベークし、そして70/30(PGME/PGMEA)溶液で30秒間リンスした。最終フィルム厚は6.5nmであった。これは、ブラシ型ポリマー層が、Si基材にグラフトしていることを示す。ブロックコポリマー調合物例2の溶液を、ブラシ型ポリマー層の最上面に3000rpmでスピンコートして30nm厚のフィルムを形成し、これを次いで255℃で2分間アニールした。SEM分析は、中性ポリマー層の中性の証であるブロックコポリマーの欠陥の無いフィンガープリントを示した。
【0085】
グラフト化及び中性試験例4:
合成例7の中性ポリマー及び熱酸発生剤(トリエチルアンモニウムデシルベンゼンスルホネート、ポリマーに対して5重量%)を用いてPGMEA中の0.7重量%溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
上記の溶液を、200mmSiウェハ上に1500rpmでスピンコートし、200℃/5分でベークし、そして70/30(PGME/PGMEA)溶液で30秒間リンスした。最終フィルム厚は7.5nmであった。これは、ブラシ型ポリマー層が、Si基材にグラフトしていることを示す。ブロックコポリマー調合物例2の溶液を、得られたブラシ型ポリマー層の最上面に3000rpmでスピンコートして30nm厚のフィルムを形成し、これを次いで255℃で2分間アニールした。SEM分析は、中性ポリマー層の中性の証であるブロックコポリマーの欠陥の無いフィンガープリントを示した。
【0086】
グラフト化及び中性試験例5:
合成例9の中性ポリマーを用いてPGMEA中の0.7重量%溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0087】
上記の溶液を、200mmSiウェハ上に1500rpmでスピンコートし、200℃/5分でベークし、そして70/30(PGME/PGMEA)溶液で30秒間リンスした。最終フィルム厚は6.3nmであった。これは、ブラシ型ポリマー層が、Si基材にグラフトしていることを示す。ブロックコポリマー調合物例2の溶液を、得られたブラシ型ポリマー層の最上面に3000rpmでスピンコートして30nm厚のフィルムを形成し、これを次いで255℃で2分間アニールした。SEM分析は、中性ポリマー層の中性の証であるブロックコポリマーの欠陥の無いフィンガープリントを示した。
【0088】
グラフト化及び中性試験例6:
合成例8の中性ポリマー及び熱酸発生剤(トリエチルアンモニウムデシルベンゼンスルホネート、ポリマーに対して5重量%)を用いてPGMEA中の0.7重量%溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
上記の溶液を、200mmSiウェハ上に1500rpmでスピンコートし、200℃/5分でベークし、そして70/30(PGME/PGMEA)溶液で30秒間リンスした。最終フィルム厚は7.5nmであった。これは、ブラシ型ポリマー層が、Si基材にグラフトしていることを示す。ブロックコポリマー調合物例2の溶液を、得られたブラシ型ポリマー層の最上面に3000rpmでスピンコートして30nm厚のフィルムを形成し、これを次いで255℃で2分間アニールした。SEM分析は、中性ポリマー層の中性の証であるブロックコポリマーの欠陥の無いフィンガープリントを示した。
【0089】
グラフト化及び中性試験例7:
合成例11の中性ポリマー及び熱酸発生剤(トリエチルアンモニウムデシルベンゼンスルホネート、ポリマーに対して5重量%)を用いてPGMEA中の0.7重量%溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
上記の溶液を、200mmSiウェハ上に1500rpmでスピンコートし、255℃/分でベークし、そして70/30(PGME/PGMEA)溶液で30秒間リンスした。最終フィルム厚は4.1nmであった。これは、ブラシ型ポリマー層が、Si基材にグラフトしていることを示す。ブロックコポリマー調合物例2の溶液を生じたフィルムの上に1500rpmでスピンコートして40nm厚のフィルムを形成し、これを次いで255℃で2分間アニールした。SEM分析は、中性ポリマー層の中性の証である欠陥のないフィンガープリントを示した。
【0090】
この例を、合成例11の代わりに合成例12を用いて繰り返した。SEM分析は、中性ポリマー層の中性の証である欠陥のないフィンガープリントを示した。
【0091】
リソグラフィ例1
合成例11のポリマー及び熱酸発生剤(トリエチルアンモニウムデシルベンゼンスルホネート、ポリマーに対して5重量%)を用いてPGMEA中の2重量%溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0092】
フォトレジストパターンを形成した。このフォトレジストパターンは、約40nmの図形サイズ(ライン)を有した。ラインを、酸素プラズマエッチングを用いて約15nmに削減した。典型的な剥離プロセスにおいてフォトレジストを剥離剤溶液を用いて除去し、次いで脱イオン水ですすいだ。上記の調合物を、ウェハ上に3000rpmでスピンコートした。5分間の窒素下、250℃でのベークを適用して、35nmの厚さのフィルムを形成した。次いで、コーティングされたフィルムを70/30(PGME/PGMEA)溶液を用いて30分間リンスし、次いで110℃で60秒間ソフトベークしてフィルムを乾燥した。その後、調合物例3のブロックコポリマーの溶液を、上面に3000rpmでスピンコートして30nm厚のフィルムを形成し、これを次いで250℃で5分間アニールした。このウェハを、CD SEM(Applied Materials Nano 3D)で分析した。元のフォトレジストパターンに対して配列したラメラが観察された。これは、該新規中性ポリマーの良好な中性を示している。それ故、中性層を用いたブロックコポリマーの誘導自己組織化が実証された。
【0093】
リソグラフィ例2
合成例8のポリマーを用いてPGMEA中の2重量%溶液を調製し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0094】
フォトレジストパターンを形成した。このフォトレジストパターンは、約40nmの図形サイズ(ライン)を有した。ラインを、酸素プラズマエッチングを用いて約15nmに削減した。典型的な剥離プロセスにおいてフォトレジストを剥離剤溶液を用いて除去し、次いで脱イオン水ですすいだ。上記の調合物を、ウェハ上に3000rpmでスピンコートした。5分間の窒素下、250℃でのベークを適用して、35nmの厚さのフィルムを形成した。次いで、コーティングされたフィルムを70/30(PGME/PGMEA)溶液を用いて30分間リンスし、次いで110℃で60秒間ソフトベークしてフィルムを乾燥した。その後、調合物例3のブロックコポリマーの溶液を、生じた基材の上に3000rpmでスピンコートして30nm厚のフィルムを形成し、これを次いで250℃で5分間アニールした。このウェハを、CD SEM(Applied Materials Nano 3D)で分析した。元のレジストパターンに対して配列したラメラが観察された。これは、本発明材料の良好な中性を示している。それ故、中性層を用いたブロックコポリマーの誘導自己組織化が実証された。
【0095】
具体的な例示に基づいて本願の開示を説明及び記載したが、本発明が関連する技術に熟練した者にとって自明な様々な変更及び改変は、添付の特許請求の範囲に記載の発明の趣旨、範囲及び思想内であると思量される。
【国際調査報告】