(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528075(P2015-528075A)
(43)【公表日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】建築物用相互固定式ブロックおよびタイル
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20150828BHJP
E04B 1/32 20060101ALI20150828BHJP
E04C 2/20 20060101ALI20150828BHJP
E04C 2/30 20060101ALI20150828BHJP
B29C 41/04 20060101ALI20150828BHJP
B29L 31/10 20060101ALN20150828BHJP
【FI】
E04B1/343 M
E04B1/32 102D
E04C2/20 N
E04C2/30 C
B29C41/04
B29L31:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-523050(P2015-523050)
(86)(22)【出願日】2013年7月16日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】NZ2013000127
(87)【国際公開番号】WO2014014366
(87)【国際公開日】20140123
(31)【優先権主張番号】601260
(32)【優先日】2012年7月16日
(33)【優先権主張国】NZ
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】514309424
【氏名又は名称】ブレー,チャールズ,コールダー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ブレー,チャールズ,コールダー
【テーマコード(参考)】
2E162
4F205
【Fターム(参考)】
2E162CD04
2E162DA09
2E162GA05
2E162GB01
4F205AA04
4F205AC04
4F205AD17
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4F205AH48
4F205GA01
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4F205GN01
4F205GN13
4F205GN29
4F205GW21
(57)【要約】
いかなる形でもよい建造物の建設のための、事前組立された、相互に組み合わさるプラスチック部材のセットが開示される。該部材は、好ましくは、熱可塑性プラスチックから標準的形状(矩形、三角形または六角形)に回転型成形または押出成形される。型成形はそれぞれの部材を、材料の一つ以上の区分または層を含むか、空洞を含むことを可能にする。建築物は、建設現場まで、利用可能な運搬手段に従って、別々の部材、または組み合わされた部材の形で運ばれ、建設現場において建造される。突舌と溝部による接合を固定するために、非接着剤性の結合具が用いられる場合は、解体も可能とされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の建設に使用する互いに固定可能なセットを含む互いに固定可能な部材であって、
該セットにおけるそれぞれの部材は、溶融熱可塑性プラスチックからなる外側と、内側とを有し、それぞれの部材は少なくとも相補的に互いに固定される部分については標準的寸法に合致するものであって、部材のセットが次のもの、
a)2つの直交軸に沿って互いに固定可能である矩形の壁パネル、
b)2つの直交軸に沿って互いに固定可能であるドーム状の外表面を有する矩形の外壁パネル、
c)2つの直交軸に沿って互いに固定可能である環境耐久性のある外表面を有する矩形の外壁パネル、を含むことを特徴とする、前記互いに固定可能な部材。
【請求項2】
請求項1に記載されたセットの一部として用いるための、互いに固定可能な部材であって、部材の接合する縁において、標準化され互換性のある寸法を有する突舌溝相補接合が設けられており、前記接合は互いに固定される部分を含み、前記接合は、接着剤または物理的固定手段によって相互に接合されることができることを特徴とする、前記互いに固定可能な部材。
【請求項3】
請求項2に記載された互いに固定可能な部材と互換性のあるさらなる範囲の部材であって、互いに固定可能な隅部柱、互いに固定可能な矩形フルハイト壁パネル、互いに固定可能な長型ルーフタイルパネル、窓枠、扉枠、開口内に一体化した窓を有するパネル、窓枠を挿入可能な間隙を有するパネル、固定されたときに窓を挿入可能な間隙を形成するパネル、を含む範囲から選ばれることを特徴とする、前記さらなる範囲の部材。
【請求項4】
請求項2または3に記載された互いに固定可能な部材であって、部材は少なくとも第一の組成物を有する熱可塑性プラスチック粒を共に溶融したものであり、部材は加熱された成形型内で共に溶融されたものであることを特徴とする、前記互いに固定可能な部材。
【請求項5】
請求項4に記載された互いに固定可能な部材であって、部材の外側層は全て、成形型を回転している間に加熱された成形型の内部において第一の種類の発泡性でない熱可塑性プラスチック粒を含む第一の組成物を加熱溶融することにより形成される溶融塊からなり、該外側層は空洞を囲むものであることを特徴とする、前記互いに固定可能な部材。
【請求項6】
請求項5に記載された互いに固定可能な部材であって、部材の外側層の一部分が、成形型を完全にではなく回転している間に加熱された成形型の内部において第2の種類の発泡性でない熱可塑性プラスチック粒を含む第2の組成物を加熱溶融することにより形成される溶融塊からなり、該外側層は空洞を囲むものであることを特徴とする、前記互いに固定可能な部材。
【請求項7】
請求項5または6に記載された互いに固定可能な部材であって、部材の内部の空洞は、加熱された成形型内に発泡性の種類の熱可塑性プラスチック粒を次いで導入することにより形成された溶融発泡塊が充填され、それにより成形後は、発泡性でない外側の塊の中に発泡性の塊が包含され、互いに固定可能な部材を共に構成することを特徴とする、前記互いに固定可能な部材。
【請求項8】
互いに固定可能な建築物用部材の製造方法であって、該方法は、次のステップ、
a)部材の区別できる各形状のための、開放可能および解放可能な成形型を作成するステップ、
b)炉を動作温度まで加熱するステップ、
c)好ましくは粒状の、熱可塑性プラスチック材料を一定量それぞれの成形型内に装填するステップ、
d)それぞれの成形型を炉の内部に置き成形型を回転させて、成形型のすべての個所が内側から熱可塑性プラスチック材料で被覆されるようにするステップ、
e)一定の時間の後、成形型を取り出して冷却することを許すステップ、
f)成形型を開けるステップ、
g)任意選択的に、それぞれの部材を、寸法を整えるために削るステップ、を含む前記製造方法。
【請求項9】
互いに固定可能な範囲の部材であって、それぞれの部材が、溶融熱可塑性プラスチック材料からなる外側と、内側とを有し、それぞれの部材の相補的に互いに固定される部分については標準的寸法に合致するものであり、部材が、三角形の外形を有する部材のセットおよび六角形の外形を有する部材のセットを含む、多様な非矩形のブロックから選択されるものであり、該ブロックは、それぞれの縁部に設けられた突舌溝接合手段によって互いに固定可能であることを特徴とする、前記互いに固定可能な範囲の部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物、限られた範囲のモジュール部品から作られる建築物、とりわけ回転型成形法によりプラスチック材料で形成された相互固定可能なモジュール部品から作られる建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、以前、加熱された鋳型を一つの軸だけで回転しつつ、選ばれた種類のプラスチック粒を流入させて(固体化するように、または発泡化するように)、大きな炉内に保持された加熱された鋳型中に供給する、回転型形成法により作られる住居のような建築物について開示した。そのような炉は、直径が数メートル(several metres)あって、地上から数メートルの大きさの、単一物体である丸型建築物を製造可能である。
【0003】
本発明者は、以前、回転型成形法によって溶融プラスチックで作られた建築物用ユニット部品について開示したが、その部品の形状は、総じて回転式炉の形状によって決められてしまい、湾曲したまたは円形の形状に留まり、通常の建築における通例、すなわち無制限の大きさの矩形の建築物を組み立てるための、煉瓦のような立方体または直方体モジュールとしようとすることに習うものではなかった。例えば、WO/2008/133535において、出願人は「住居に転用できる釣鐘型の製造物が、このようにして、炉内で水平軸周りにゆっくりと回転している、一端において開口した金属鋳型内で作られる」と説明した。それは、直径2メートルの炉である。
【0004】
この従来技術は、回転炉の寸法という制限の範囲内に製造される構造物が留められるものであった。WO/2010/036130において、本出願人は、建築物用のモジュールとして好適な平面状または湾曲した3次元形状のプラスチックを便利に成型する、単軸回転鋳型装置を説明した。そのようなモジュールにより作られた、設置および取り外し可能な建築物は、解体した状態で運搬して、現場において非熟練人材によって設置することが可能である。モジュールは木材またはプラスチック製であってよい。好ましいモジュールは、回転型成形により作られ、断熱材のための断熱材充填空間を含んでいる。大きな円筒形体を作成するためにはさらなる炉が利用される。離型された熱い状態の円筒形体は平たくされ、床材として使用するプラスチック材料のシートとされる。
【発明の概要】
【0005】
解決すべき課題
発明者による従来技術の方法が、煉瓦またはコンクリートブロックのような型成形された相互連結可能な立方体構造を製造できるように改造されるならば、炉の寸法制限から「解放」された寸法の建築物を建設可能である。
目的
本出願の目的は、迅速で単純で容易な現場建設がなされる建築物を提供すること、または、少なくとも公衆に有用な選択肢を提供することである。
【0006】
発明の概要
第1の広範囲の態様として、本発明は、建築物の建設に使用する互いに固定可能なセットを含む互いに固定可能な部材を提供し、該セットにおけるそれぞれの部材は、内側と、溶融熱可塑性プラスチック材料からなる外側とを有するものであり、それぞれの部材は少なくとも相補的に互いに固定される部分については標準的寸法に合致するものであり、部材のセットは次のものを含む、
2つの直交軸にそって互いに固定可能である矩形の壁パネル、
2つの直交軸にそって互いに固定可能であるドーム状の外表面を有する矩形の外壁パネル、
2つの直交軸にそって互いに固定可能である環境耐久性のある外表面を有する矩形の外壁パネル。
【0007】
好ましくは、この説明箇所において前述したセットの一部として用いるための、互いに固定可能ないかなる部材も、部材の接合する縁に沿って、標準化され互換性のある寸法を有する突舌溝相補接合を使用しており、前記接合は互いに固定される部分を含み、前記接合は、接着剤または物理的固定手段によって共に接合されることができるものである。
関連する態様として、この説明箇所において前述した互いに固定可能な部材と互換性のある部材のさらなる種類としては、互いに固定可能な隅部柱、互いに固定可能な矩形フルハイト(full-height)壁パネル、互いに固定可能な長型ルーフタイルパネル、窓枠、扉枠、開口内に一体化した窓を有するパネル、窓枠を挿入可能な間隙を有するパネル、固定されたときに窓を挿入可能な間隙を形成するパネル、を含む範囲から選ばれる。
【0008】
主要な態様において、この説明箇所において前述した、いかなる互いに固定可能な部材も、少なくとも第一の組成物を有する共に溶融された熱可塑性プラスチック粒から成り、この部材は加熱された成形型内で共に溶融されるものである。
第一の関連する態様において、部材の外側層は全て、成形型を回転している間に加熱された成形型の内部において第一の種類の発泡性でない熱可塑性プラスチック粒を含む第一の選択された組成物を加熱溶融することにより形成される溶融塊からなり、該外側層は空洞を囲むものである。
【0009】
該第1の関連する態様の任意選択的事項においては、部材の外側層の一部分が、成形型を完全にではなく回転している間に加熱された成形型の内部において発泡性でない熱可塑性プラスチック粒を含む第2の選択された構成材を加熱溶融することにより形成される溶融塊からなり、該外側層は空洞を囲むものである。
第2の関連する態様において、部材の内部の空洞は、任意選択的に、後に、加熱された成形型内に発泡性のタイプの熱可塑性プラスチック粒を導入することにより形成された溶融発泡塊が充填され、それにより成形後は、形成された塊は、発泡性でない外側の塊の中に包含され、共に互いに固定可能な部材を成す。
【0010】
第2の広範囲の態様においては、本発明は互いに固定可能な建築物用部材の製造方法を提供し、該方法は、次のステップを含む、
部材の区別できる各形状のための、開放可能および解放可能な成形型を作成するステップ、
炉を動作温度まで加熱するステップ、
好ましくは粒状の、熱可塑性プラスチック材料を一定量それぞれの成形型内に装填するステップ、
それぞれの成形型を炉内に置き成形型を回転させて、成形型のすべての個所が内側から熱可塑性プラスチック材料で被覆されるようにするステップ、
一定の時間の後、成形型を取り出して冷却することを許すステップ、
成形型を開けるステップ、および、
任意選択的に、それぞれの部材を、寸法を整えるために削るステップ、である。
【0011】
第3の広範囲の態様においては、互いに固定可能な広範囲の部材を提供し、それら部材は、溶融熱可塑性プラスチック材料からなる外側と、内側とを有し、それぞれの部材は相補的に互いに固定される部材については標準的寸法に合致するものであるが、第1の広範囲の態様とは対照的に、部材は、三角形の外形を有する部材のセットおよび六角形の外形を有する部材のセットを含む、多様な非矩形のブロックから選択されるものであり、該ブロックは、それぞれの縁部に沿って設けられた突舌溝接合手段によって互いに固定可能である。
【0012】
好ましくは、部材は接合箇所において次の1または2以上の固定手段によって互いに保持される、
a)接合箇所を横断することで部材を互いに保持する、物理的固定手段、
b)組み合わさるラグとソケットを含む範囲から選択される、接合箇所にモールド成型された物理的固定手段、
c)溶剤接着剤、エポキシ等の2液性接着剤、乾燥時に活性化する糊剤を含む範囲から選択される、樹脂接着剤、
d)熱印加ガン、超音波発生機、内在加熱線、または貫入させて取り出せる高温物体からの熱を含む、熱の局所的な適用により、特定位置の部材を互いに溶融させること、
e)好ましくは、物理的固定手段はほどくことが可能であり、そのため使用期間が終われば建設された建築物は解体および取り外しが可能なものである。
【0013】
好適な実施の態様
ここに開示される本発明の記述は、純粋に例示としてのものであり、いかなる意味においても、本発明の、発明の範囲を限定するものととらえてはならない。
本明細書全体を貫いて、記載がそれ以外のものを要求する場合を除き、用語「を含む」および「含んでいる」、「含む(単数形)」等の変化形は、言及された一つの整数またはステップ、または複数の整数またはステップを意味するが、これは、そのほかの一つまたは複数の整数またはステップを排除するものと取られてはならない。本文中に言及されたそれぞれの文献、参照、特許出願または特許は、それらの全体をここにおいて、参照により包含させる。本文中に引用された文献または情報は、その内容または情報が、ニュージーランドにおいてまたは他のいかなる国においても、周知または公知の一般技術常識であったと自白するものととらえてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、主要な部材を図示する建築物の一部の斜視図である。
【
図2】
図2は、建築物の一部の異なる態様を示す図である。
【
図3】
図3は、(
図3a、3b、3cとして)一例のハーフハイト(half-height)ブロックを示す。
図3dはブロックの断面図を示す図である。
【
図4】
図4は、ねじ止めされた接合部の詳細を示す図である。
【
図5】
図5は、屋根タイルの詳細を示す。側面図である。
【
図6】
図6は、屋根タイルの詳細を示す。底面図である。
【0015】
【
図7】
図7は、下側から見た屋根タイルの詳細を示す図である。
【
図8】
図8は、溝結合部側から見た角部柱の詳細を示す図である。
【
図9】
図9は、2つの突舌側と、1つの溝側とを有する、三角壁ブロックを示す図である。
【
図10】
図10は、
図9に示すようなタイルにより作られた、住居として使用するに好適な、多角形包囲体の一部を示す図である。
【
図11】
図11は、フルハイトパネル部材の等角投象図である。
【
図12a】
図12aは、
図11のタイプのフルハイトパネル部材により建設された、小さな建築物の側面図である。
【
図12b】
図12bは、
図11のタイプのフルハイトパネル部材により建設された、小さな建築物の平面図である。
【0016】
実例1
本発明に従えば、建築物の建設に用いる互いに固定可能な部材のセットのそれぞれの部品は、溶融熱可塑性プラスチックからなる。
好ましくは、全ての部品は、成形型内部における単軸回転成形法のタイプの工程によって製造される。単純な単軸周りの回転以外の運動も使用してよい。
【0017】
相互に固定可能な部材は、レンガまたはコンクリートブロックにやや似ている、矩形のまたは立方体の互いに固定可能な壁ブロックのセットを提供し、これらは、建築物の建造に使用することを意図したハーフサイズブロックのセット、角部柱のセット、屋根パネルタイルのセットを含んでいる。それぞれの部材は、少なくともそれぞれの部材における相互に固定するまたは接合する箇所に関しては、互いに標準化された寸法に従ったものである。これらの標準化した寸法を、地域の建築習慣に従ったものとすることも便利なことである。その範囲内のすべての部材が、互換性のある相互固定可能な接合部において共に接合できることが好ましい。これらは一貫性の寸法を有する、共通の結合手段または接合機構を共有する。
【0018】
その範囲内の部品としては、ハーフサイズおよびフルサイズの壁ブロック、角部柱およびドア枠または窓枠、および屋根タイルが含まれる。これらの部品は、ほぼ正方形または
図11、12a、12bおよび12cに示されるような伸長した形であってよい。ここで留意すべきは、好適な伸長した形の屋根タイルは、各タイルがくぼんだ断面形状を含んでいるため、部分的に「立方体」であるにすぎないことである。
【0019】
それぞれの部材は、成形型内の回転成形により作られ、それゆえに互換性のある熱可塑性プラスチック材料からなる。溶融プラスチック材料の一例は、ポリエチレンプラスチック材料であり、例えば、6355 Farm Bureau Rd, Allentown, PA 18106,USAのICOポリマー株式会社(ICO Polymers,Inc.)製のICORENE3840である。これは直線状中間密度ポリエチレンプラスチック材料(Linear Medium Density Polyethylene plastic material)である。例えば、当業者には知られている様に、多様なコモノマー(へキセン、ブテンまたはオクテン)を有する同じエチレンをベースにした合金のような、異なった性質の多種の樹脂が使用可能である。そのような材料は、中実個体状または発泡状のいずれの状態でも得ることが出来る。
【0020】
好ましい型成温度は、180〜280℃である。好ましい単軸回転型成形工程が、少なくともPCT/NZ2008/000096(WO/2008/133535)に記述されており、その中で出願人は、一般的な回転型成形工程を、一つ以上のプラスチックの層を有する大きな、平らな、または角度を有するシート状の材料を作成する能力を有する工程へと発展してきた。このようにして製造された典型的な部材は、空洞のまたは弱められた中心部とそれを包囲する成形型の壁に接していた、外側または内側への露出に適した、固い成形された表面を有する。
【0021】
空洞のまたは弱められた中心部は断熱材によって占められていてよく、そこは空間となっているか、発泡性の粒子から作られた密度の小さい泡状のしかし硬い溶融熱可塑性プラスチック材料で充填されている。この空間は貯蔵された液体で占められてもよい。もちろん、他の工程により作られた、または木材のような天然の物から作られた部材も回転型成形により作られた部材に組み込まれてよい。任意選択的に、それぞれのタイルは、より発泡性の高いプラスチック材料、動物性または野菜の繊維、または石綿またはグラスウールを含む広範囲の遮断材料を内部に与えられても良い。
【0022】
壁部材
図1および2は、回転型成形装置内において生成された部材から作成された建築物100の一部の斜視図を示している。説明のために、屋根102は未完成状態である。壁の足場を提供するチャネル材106(
図2)が有り、それはコンクリートまたは金属で形成されてよい。壁101(
図2においてのみ101A)は以下に例えば110、110aおよび110bとして詳述する、互いに固定可能な矩形のブロックの列からなり、十分に大きい平らな表面壁を作るために、組み立ての過程において、突舌113と溝114(これらの詳細は後述)による接合によってきっちりと組み合わされる。
【0023】
図1は、ドアのための開口103および窓のための他の開口104を示している。ドアは、ハーフハイトブロック111からなるリンテル(lintel)を有している。該ブロックはそれぞれの側部に突舌(図示せず)を有している。ドアのすべての縁境界は、
図1および2に示すように溝接合部となっている。角部柱105は、
図8にも示されるが、充分な、一側部の突舌接合部および他の一側部の溝接合部で、幾つかのブロック、たとえば三段重ね(three-high stack)、の接合部と組み合わされる一定長の材である。
【0024】
角部柱は、壁101を、それと直角な平面上に在る妻壁101Aとを分けている。半幅ブロック115が、レンガ壁と同様に、通常の建築工法において強度を与えるために単位ブロックの重ね施工をおこなうので、壁ブロックの一つ置きの列を開始するために代わりに使用されている。このような組立体は、内部垂直鉄筋コンクリート補強を含まないが、それでも、建築法規が要求する場合には、鋼材または他の強度棒材を挿入するために空洞のまたは弱められた中心部を貫いて外壁に平行に穴をくりぬくことが可能である。壁はチャネル材106の上に載置される。屋根102は、以下に詳述するように、長尺屋根ユニットの列からなる。
【0025】
図2は壁101Aを明示した同じ組立体の別の視点からの図である。
図3(3a、3bおよび3cとして)は、一例としての半幅(800×400mm)ブロックの、寸法の詳細と、直角投影図である。一連の標準ブロックに相当する800x800mmの露出表面を有するという寸法は(ここではミリメートルで表示)単に例示であり、いかなる意味においても、本発明において提供されるべき寸法の範囲を限定するものではない。例えば、800mmというのは典型的なドア寸法ではあるが、寸法は、建築業者に共通して多用される1.2mの倍数に相当するように設計されてよい。ある特定の寸法の人気というものは、個々のユニットを製造するために必要な経費(これは廃棄率にもよるが)によって、部分的には決められてしまうであろう。接合部の深さまたは高さは、部分的には最終的な要求組み立て強度により影響を受ける。好ましくは溝の深さは突舌の高さよりもわずかに大きい。
【0026】
ブロックの一つの好適な形が、かなりの空洞を有するものとして型成形される。
次に好適な接合構造の詳細を記述する。
図3は部品3aおよび3bの例示としてのミリメートルで表示した寸法を含んでいる。
図3(a)は、1つの端面に沿った、互いに固定可能なブロックの、端部の立面図であり、ここにおいて301は、観察者の方向に向かって図の紙面から突出する面上に設けた溝または凹部である。
【0027】
単に例示として図面に示された寸法は、800×400(使用可能面積)のブロックであり、2つの隣り合う縁から70mmだけ突き出る薄い突舌を有する。ブロックの厚みは170mmであり、突舌の厚みは148mmであり、70mm深さの凹み部の「突舌カバー」の周りには、二つの接合する縁のために10−11mmを残している。これら突舌の寸法は、ブロックが作成される材質、すなわち溶融可塑性プラスチック材料、に対して適切なものである。
【0028】
使用に当たっては、それぞれの凹み部は隣接ブロックの突舌306を受け入れる。300は突舌305を受け入れるための縁にそった溝である。ブロックは互いに簡易な組み立ておよび簡易な解体(後述参照)の利益のために互いにねじ止めされてもよいが、また、互いに接着されてもよい。302はブロックの1つの表面、たぶん外側の表面であり、304は他の、たぶん内側の表面である。(天候下に曝されることを意図した表面は、天候下に曝された際の寿命を延ばすために、含有染料または含有顔料、または他の添加物を有するが、一般に、両表面は相互入れ替え可能である。本発明者による型成型工程においてはそれぞれの表面に異なった熱可塑性プラスチック混合物を供給するステップを提供する。)
【0029】
303は、目印溝を表し、もう一つのブロックの内側に突出する凸部を受け入れる。これは主に建設の際に、一時的な位置決め手段として便利なものである。
図3(b)は、ブロックの対向する端面の立面にあり、観察者の方向に向かって図の平面から突出している突舌306を示している。
図3cは典型的なブロックの正面図であり、寸法が表示され、2つの接合縁部に設けられた突舌を示している。302はブロックの表面である。305および306は2つの突舌である。
【0030】
図3dは断面図で切った壁ブロックの、外側(露出側)表面の好適なドーム状表面307を示す図である。このドームは、成形型の一つの面のくぼんだ形状により形成されるものであり、太陽光によるような加熱を受けた際に、ドームの制御された熱膨張に備えるものである。
もし外側表面が平面のままであった場合には、膨張及び収縮は制御されたものにならず、ブロック全体が曲がってしまうかもしれない。この断面図においては、材料の厚みは強調されたものであろう。他の部分は記述のとおりである。内部の空洞は発泡性の溶融熱可塑性プラスチック塊により完全にまたは部分的に充填されてよい。
【0031】
屋根(タイル)部材
図5、6および7は
図1の建築物の部分的に完成した屋根102を形作る屋根タイル112の列のうちの1枚を示す。
図5は、タイルの列の横に並べた接合および明細書のほかの場所で記述した固定に適合した屋根タイルの、空洞の内部506を表した長さ方向断面である。これらタイルのそれぞれは、棟木から中間部を通って屋根の半分に亘ることを意図したものであり、そのため選択したタイルの長さが、その下の部屋の寸法を決定する。しかしながらこれらタイルは、好ましくは防水性の態様で、棟木に平行な中間部の母屋桁によって支えられて、端と端とを連結することも可能である。
【0032】
図7はタイルの端部に任意選択的に設けるタイル接合構造502、505の詳細を示す。 従来型の屋根の稜に沿った雨押さえを用いることも、環境によっては有用である。それぞれのタイルは、壁ブロックの頂部列に被せられ接合されることを意図した、横断する溝503(
図5および6を見ること)を、タイル112の下側の端505の近くに有する。このタイルの下側に斜めに形成された横断する溝の角度は、
図1に示されるようにこの溝が壁の頂部に坐するものであることから、タイルの垂直方向からの角度を決定する要因の一部である。
【0033】
この章のいずれかの部分で記述された固定は、タイルを下側の壁に固定するために使用することを意図しており、自由表面501の側では、もう一つのタイルの列に固定することを意図している。空に面する側の表面502は、内側に窪んでおり、それは、一部は強度のためまた一部は水を集めることに資するためである。(ここには雨樋手段は示されていない)
図6に示す下側表面は、図の平面から上に、外側に膨らんでいる。タイルの下の空間は、屋根の熱遮断性を高めるために、建設作業中に、(例えば)針金の籠によってその場所に保持された、動物の毛または羊毛のような繊維によって緩く充填されてもよい。
【0034】
角部
角部柱105の一例が
図1および2に105として示されており、
図8にその詳細が示されている。この例は、一側面、すなわち「溝部」114側から見た図である。この図は、角部柱の本質的に空洞であるという特性を表示しており、この構造は回転型成形によって実現でき、それにより比較的軽量な柱を提供する。開口部114は輸送のためには挿入されたブロックによって強度を増加され、組み上げられると、その端部は、その中に固定される壁タイルの集合した突舌によって離れた位置に維持される(
図3a、3bまたは3cを参照)。113のような突出ブロックは「突舌」要素であり、
図1における110のような、壁ブロックの3つの列の対応する溝部に結合することを意図したものである。
【0035】
接合部
部材は、1または2以上の次のような好適な固定手段によって互いに保持される。
a.接合部を横断し、これによって部材同士を互いに保持する物理的固定手段。この選択肢は、他の場所での必要性を見越して、ひとつの現場で建築物が使用された後に解体することを可能にする。
図4は、物理的固定手段の一例、すなわちブロック110と110aとの間での接合部の断面におけるネジ401および402を示す。
【0036】
b.物理的固定手段は、スナップ嵌合されるラグとソケットを含む範囲から選択される接合部が鋳込まれているものでも良い。解体のためには、工具を挿入しラグを押し外すための開口部を有しても良い(図示せず)。
c.溶剤接着剤、エポキシのような二液性接着剤および乾燥すると効果を発揮する接着剤を含む範囲から選択されるプラスチック接着剤。
d.ヒートガン、超音波発生器、内臓ヒーター線、または離脱可能に貫入する高温物質からの熱の局所的な印加によって局所的に部材を互いに溶解させること。
e.ロープ、撚糸、植物繊維、または生皮も構造物を縛るのに使用してもよい。縛り合わせるタイルを貫いて縛り糸が通る穴は、図示されていない。そのような穴は、組み立ての過程においてあけられても良い。
【0037】
接着剤と対照的に、物理的固定手段は製造した建築物の解体を可能とし、そのため別の構成に組み直したり、ばらして別の現場に運搬することが可能である。
本発明は、また、
図5、6および7に示す屋根タイル部材を提供する。
【0038】
実例2
これまでの記述は、矩形の部材を仮定していた。そのかわり部材が三角形のブロックであり、とりわけ互いに固く連結出来、しかもいずれの三角形ブロックの表面平面も、他の連結している三角形ブロックのそれと異なっていれば、建築家のバックミンスターフラー氏により良く知られることとなった多角形の住居を建造することも容易である。それらは、明確な屋根構造というもの持たない。溝側は排水の便のために下向きに設けられる。
図9は二つの突舌縁901、902と一つの溝縁903とを有する三角形ブロック900の例である。ほぼ半分の三角形ブロックが1つの突舌縁と二つの溝縁を必要とするであろう。
図10は三角形ブロック900により作られた多角形構造の一部を示す。二つのブロックの溝の態様を1001のところに見ることができ、また、それぞれの三角形ブロックの好ましい厚みも見せている。
【0039】
実例3
実例1は、所望の垂直壁高さを形作るために、レンガやコンクリートブロックのように、矩形の部材が水平方向及び垂直方向に互いに固定されることを予定していた。好ましい製造工程は、多数の部材を、その代わりにフルハイトパネル部材であって、完成した壁と同じ高さを有するものとして製造することを可能とする。フルハイト(たとえば長さが2.4m)であっても、空洞または発泡材を中心に有する部材は、運搬し所定位置に持ち来すために過剰に重くはない。
図11を見ると、これには、角部柱(105)に互いに固定されるように並べられた2枚のフルハイト壁パネルが、「分解立体図」として描写されている。より狭い壁部分が必要とされる箇所へ、例えばドアや窓の枠として、の使用のために、整形端部フルハイト部材(130)が提供される。
【0040】
方法
この部材作成方法の原理は、既に以前本発明者により記述されているが、幾つかの変形や部材の複数の形状については、新規である。本発明による互いに固定可能な部材の製造方法の一例は、次の工程を含むものである。
a.内部に熱を伝導することが可能な、解放可能で分離可能な成形型を、それぞれの部材の特定の形状のために作製すること、そしてこの成形型は使用中に回転されつつ、型の内部に粒子を導入するためのアクセスを許容するものであること、
b.炉を、動作温度、この温度は選択した熱可塑性プラスチック材料の軟化温度に関連するものであり、典型的には180〜280℃であるが、まで加熱すること、
c.それぞれの成形型を、該炉内に置き、選択された温度まで加熱すること、
【0041】
d.発泡性でない、粒状の第一の熱可塑性プラスチック材料を、回転している成形型内に一定時間導入することによって成形型のすべての部分の内側が溶融熱可塑性プラスチック材料により被覆すること、
e.任意選択的に、次に発泡性の内部熱可塑性プラスチック材料を、成形型の回転を継続しながら導入し、成形型内部の内側空洞部内部が該熱可塑性プラスチック材料によって被覆されるようにすること、
f.一定時間の後、それぞれの成形型を取り出して冷やすこと、
g.成形型を開けること、
h.そして、任意選択的に、一旦成形されて冷やされたそれぞれの部材の、少なくとも接合部表面を、のこぎりまたは保持バイスやジグとエンドミルのような切削工具によって、収縮やサグの発生にかかわらず、寸法が完全に制御されるように、加工すること。
【0042】
ここに記述された多くの部材は、2軸の閉鎖成形型によっては作成できない。温度は経験によって最適な設定が為される。温度が低すぎれば、溶融時間が延びることになり、温度が高すぎれば、プラスチックの分解が発生する。示度は変換器の設置位置に依存する。 勿論温度は、選択したプラスチック材料にも依存する。ステップ(e)における種類の違いはそれぞれの部材に改善された熱遮断をもたらし、また、大きな重量増加なしに追加の機械強度をもたらす。
【0043】
ステップ(d)におけるもう一つの違ったやり方として、(d1)第一の選択肢としての非発泡性混合物粒子を、タイル等の第一の表面に位置させ、かき回しながら、または部分的回転を行いながらその位置で溶融し、次いで(ステップd2)成形型を180度回転して、第二の非発泡性混合物粒子を成形型内に導入し、次いで型の1軸回転を開始することによって、第二の混合物が成形型の残りの内部表面を被覆するようにする。この違ったやり方により成形製品の外側表面が、色素(例えば白色の二酸化チタン、赤色の酸化鉄、黒色のカーボンブラック)を含有する異なった組成を有するようにできる。
これらの部材は、例えばパレットの上やコンテナの中に、運搬のために簡単に積み上げられるので有利であろう。
【0044】
いくつかの部材、特に
図11および12に示した伸長した部材は押し出しプラスチック技術により安価に作成できるであろう。この方法によれば、押し出し成型の箱型断面は、2つの隣り合う縁部に沿った溝接合部と、1つの縁に沿って突舌接合部が作られる。成形後加工は、800mmの距離をおいて、箱部分から矩形部分を切り除き、その場所に別途作成した突舌部を挿入接着することによって、完成したブロックが、2つの隣り合う縁に突舌接合部を有するようにできる。
【0045】
別の態様
ドア自体、および窓自体については、記述してこなかったが、プラスチックまたは木材またはガラスにより製造できるであろう、また、状況次第でカーテンで置き換えてもよい。
壁の足場を提供するチャネル材106は、金属でつくられてもよい。
露出した表面は、たとえば断熱のために白色で、着色されても良い。
【0046】
プラスチックの総消費量を減らすために、少なくともいくつかの部材の成形において、熱可塑性プラスチックに石骨材を混合してもよい。
任意選択的に、少なくともいくつかの部材は、熱可塑性プラスチックではなくコンクリートをベースにした材料を含んでも良い。
ブロックは、2つの隣り合う縁部に沿った溝接合部と、1つの縁に沿った突舌接合部とを含む矩形材を押し出し成型し、成形後に、800mmの距離をおいて、箱部材に沿って矩形部分を切り、突舌部をその場所に挿入接着することによって、完成したブロックが、2つの隣り合う縁に突舌接合部を有するように作っても良い。
【0047】
この章で前述した壁ブロックの平面表面は、曲面表面に置き換えても良く、好ましくは一度に1つ以上の面が曲面であるようにすることにより単位重量当たりの増加した強度が与えられる。この章で前述したドーム状の壁とは別に、或る種類では、おおむね50mmピッチの波板状のものとなるであろう。
【0048】
結果および利点
本発明は、建築物用のプレハブの部材を提供し、利用できる運搬手段次第で決まる個別のまたは集積した部材として、現場まで運搬でき、そして現場で建設することができる。任意選択的に、建築物の部品は、一時的に組み立てられるが、永久的に互いに融接されず、もはや必要でなくなれば、解体され別の場所で再使用される。
本発明者は、これらの建築物が、災害救助のための住居またはホームレスの人々の救護施設として特別に有用であると信じる。
最後に、本発明の記述されたおよび/または図解された範囲は、特定の実施例に限定されるものではないと理解されるであろう。
【国際調査報告】