特表2015-528082(P2015-528082A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-528082球栓を有する吸気/排気弁を含む航空タービンエンジン用の定容燃焼(CVC)室
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528082(P2015-528082A)
(43)【公表日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】球栓を有する吸気/排気弁を含む航空タービンエンジン用の定容燃焼(CVC)室
(51)【国際特許分類】
   F02C 5/12 20060101AFI20150828BHJP
   F23R 3/44 20060101ALI20150828BHJP
   F23R 3/10 20060101ALI20150828BHJP
   F02K 7/06 20060101ALI20150828BHJP
【FI】
   F02C5/12
   F23R3/44
   F23R3/10
   F02K7/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-524833(P2015-524833)
(86)(22)【出願日】2013年7月30日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月31日
(86)【国際出願番号】FR2013051832
(87)【国際公開番号】WO2014020275
(87)【国際公開日】20140206
(31)【優先権主張番号】1257599
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビック,ベルナール
(57)【要約】
本発明は、開放位置と燃焼室内への圧縮ガスの吸気を遮断する閉鎖位置とを取る能力がある圧縮ガス吸気弁(22)を備え、燃焼室外への燃焼ガスの排気を遮断する閉鎖位置を取る能力がある燃焼ガス排気弁(24)をさらに備える、航空タービンエンジン用の定容燃焼室(10)に関する。
本発明によると、吸気弁(22)および排気弁(24)のうちの少なくとも一方は少なくとも1つの球栓(32a、32b、38a、38b)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放位置と燃焼室内への圧縮ガスの吸気を遮断する閉鎖位置とを取る能力がある圧縮ガス吸気弁(22)を備え、燃焼室外への燃焼ガスの排気を遮断する閉鎖位置を取る能力がある燃焼ガス排気弁(24)をさらに備える、航空タービンエンジン用の定容燃焼室(10)であって、吸気弁(22)および排気弁(24)のうちの少なくとも一方は少なくとも1つの球栓(32a、32b、38a、38b)を備えることを特徴とする、燃焼室。
【請求項2】
円形断面を有する円筒状側壁(14)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の燃焼室。
【請求項3】
排気弁(24)の球栓(32b)がガス通路(34b)を有することと、排気弁の閉鎖を結果としてもたらすガス排気段階後、前記ガス通路(34b)内に捕捉された燃焼ガスの再循環を可能にするように設計されることとを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の燃焼室。
【請求項4】
前記少なくとも1つの球栓を備える前記弁(22、24)が、
ガス通路(34a)によって横断される内側球体(32a)と、
前記内側球体(32a)を収容し、相互に離れた2つのオリフィス(40a)が設けられた外側球体(38a)と
を備え、
少なくとも一方が前記少なくとも1つの球栓の役割を果たす前記内側球体(32a)および前記外側球体(38a)は、互いに対して回転可能に取り付けられ、外側球体の前記2つのオリフィス(40a)は、前記ガス通路(34a)と協同してそれらの2つの端(54a)のそれぞれに隔壁(60a)をそれぞれ形成するように配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の燃焼室。
【請求項5】
前記内側球体(32a)および前記外側球体(38a)が二重反転するように取り付けられることを特徴とする、請求項4に記載の燃焼室。
【請求項6】
前記2つの外側球体オリフィス(40a)のそれぞれと、前記内側球体のガス通路の2つの端(54a)とが、正面から見ると、全体的に楕円形状を有し、長さ(56a、58a)は、外側球体に対する内側球体の回転軸(42a)に垂直に延びることと、これらのオリフィス(40a)/ガス通路の端(54a)の中心(50a、52a)は前記回転軸(42a)に直交する同じ平面(P)内に配置されることとを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の燃焼室。
【請求項7】
少なくとも1つの封止要素(62a、64a)が、前記球栓(38a)と弁の固定体(26a)との間に設けられることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の燃焼室。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの燃焼室(10)を備える燃焼室モジュール(4)であって、前記少なくとも1つの球栓(32a、38a)を回転駆動するための手段(46)を備え、前記駆動手段(46)は各球栓を一定の回転速度で駆動するように優先的には設計されることを特徴とする、燃焼室モジュール。
【請求項9】
タービンエンジンの駆動軸(11)を中心に分配された請求項1から7のいずれか一項に記載の複数の燃焼室(10)を備えることを特徴とする、請求項8に記載のモジュール。
【請求項10】
少なくとも1つの燃焼室(10)について、前記駆動手段(46)が、前記吸気弁(22)および前記排気弁(24)を同期的に段階シフトで制御するように設計されることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載のモジュール。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか一項に記載の燃焼モジュール(4)を備える航空タービンエンジン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空タービンエンジン用の定容燃焼室の分野に関する。
【0002】
本発明は、任意のタイプのタービンエンジン、特にターボジェット、ターボプロップ、およびオープンロータターボエンジンに適用される。
【背景技術】
【0003】
従来から、航空タービンエンジンの燃焼室はブレイトンサイクルに従って動作し、定圧燃焼を有すると言われている。しかしながら、燃費向上のために、ブレイトンサイクルの燃焼室を、定容燃焼または「CVC」を有すると言われるハンフリーサイクルの燃焼室と置き換えることが構想されている。
【0004】
フランス特許第2945316号明細書は、このようなCVC燃焼室の実施形態の一例について記載している。燃焼室は開放位置と閉鎖位置との間で切り替える能力がある圧縮ガス吸気弁を入口に備え、開放位置と閉鎖位置との間で切り替える能力がまたある圧縮ガス排出弁を出口に備える。弁の位置は、ハンフリーサイクルの3つの連続段階、即ち吸気、燃焼、排気を実施するために、同期的に制御される。
【0005】
しかしながら、従来技術による解決法では、吸気弁および排気弁の設計が、特に堅牢性および気密性の点で完全になり得ることが判明しており、気密性には、燃焼段階中に観察される高圧中に特に問題が潜在的にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】仏国特許発明第2945316号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の実施形態に関する上述の欠点を少なくとも部分的に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的で、本発明は、開放位置と燃焼室内への圧縮ガスの吸気を遮断する閉鎖位置とを取る能力がある圧縮ガス吸気弁を備え、燃焼室外への燃焼ガスの排気を遮断する閉鎖位置を取る能力がある燃焼ガス排気弁をさらに備える、航空タービンエンジン用の定容燃焼室に関する。
【0009】
本発明によると、吸気弁および排気弁のうちの少なくとも一方は少なくとも1つの球栓を備える。
【0010】
本発明は、タービンエンジンの燃焼室に適用される従来の解決方法を打破し高性能の堅牢性および気密性の特徴をもたらす球栓弁の技術を構想することを特徴とする。これは有利には、従来技術による解決法に対して10から15%の範囲の燃費向上が観察されているので、耐用年数および全体的性能の点で利点を結果としてもたらす。
【0011】
さらには、本発明は有利には、球栓の単なる回転に基づいた確実な原理に従って、好ましくは常に同じ方向で、好ましくは一定の速度で動作する。この単なる回転は、吸気、燃焼、および排気などのハンフリーサイクルの段階の進行と調和した形で、弁を通るガスの流れを交互に可能にしたり遮断したりすることを可能にする。極めて優先的には、吸気弁および排気弁の両方は、本発明の特定の原理に従って設計される。
【0012】
好ましくは、燃焼室は、円形断面を有する円筒状側壁を備える。燃焼が起きる筺体を画定するこの側壁の形状は、筺体内の燃焼流の対称性と熱移動とを促進する。さらには、そのような形状と、燃焼室をその両端で閉鎖する球栓弁との係合は、例えば基本的な封止要素を用いて、満足な気密性レベルを得ることを可能にする。
【0013】
好ましくは、排気弁の球栓はガス通路を有し、前記燃焼室は、排気弁の閉鎖を結果としてもたらすガス排出段階後、前記ガス通路内に捕捉された燃焼ガスの再循環を可能にするように設計される。排気ガスの再循環(EGR)は、後続の燃焼段階中に燃焼室の内部、または燃焼サイクルの実施において段階シフトを任意選択で有する隣接する燃焼室内のいずれかで行われる。
【0014】
本発明の1つの好ましい実施形態によると、前記少なくとも1つの球栓を備える前記弁は、
−ガス通路によって横断される内側球体と、
−前記内側球体を収容し、相互に離れた2つのオリフィスが設けられた外側球体と
を備え、
少なくとも一方が前記少なくとも1つの球栓の役割を果たす前記内側球体および前記外側球体は互いに対して回転可能に取り付けられ、外側球体の前記2つのオリフィスは、前記ガス通路と協同してそれらの2つの端のそれぞれに隔壁をそれぞれ形成するように配置される。
【0015】
このようにして、この好ましい実施形態は、互いに連動した2つの穿孔付き球体の単なる相対的な回転によって弁の開放および閉鎖を可能にする。一般的な法則として、弁は、穴が対で少なくとも部分的に互いに面しているとき開放され、閉鎖は、前記オリフィスおよびガス通路によって形成された前記穴の角度偏位によって得られる。
【0016】
好ましくは、内側球体および外側球体は二重反転するように取り付けられる。この場合、内側球体および外側球体はそれぞれ、本発明による球栓の役割を果たす。別法として、2つのうちの一方のみ、内側または外側が栓であることが可能であり、他方は燃焼室の側壁に対して静止したままである。2つの球体の二重反転する性質は、隔壁の全開放時間の間2つの隔壁のそれぞれの中心を燃焼室の側壁に対して固定されたゾーン内に維持することを可能にするという点で特に有利である。したがって、ガス流は、弁開放段階にわたって、即ちその最小の開放断面からその最大の開放を経てその閉鎖まで、最も効果的と考えられる同じ方向を維持することが可能である。この点に関し、弁が全開放位置にある間、各隔壁が燃焼筺体に対して中心に保たれることが優先的には保証される。このことは、極めて良好な燃焼性能とタービン内で燃焼プロセスを回復させる優れた能力とにつながる。
【0017】
好ましくは、前記2つの外側球体オリフィスのそれぞれと、前記内側球体のガス通路の2つの端とは、正面から見ると、全体的に楕円形状を有し、長さは外側球体に対する内側球体の回転軸に垂直に延び、これらのオリフィス/ガス通路の端の中心は前記回転軸に直交する同じ平面、好ましくは直径面内に配置される。これは、開放の開始および終了時、即ち断面が最小である時間に、隔壁のアーモンドまたはスリット形状の影響を低減することを可能にする。これらの時間に幾分円形の外観を維持することによって、隔壁を通過するガス流は良好な条件下に保たれる。好ましくは、オリフィス/端は同じまたは類似の形状を有する。しかしながら、穴の形状は、本発明の範囲を逸脱せずに、例えば円形、四角形等、異なってもよい。
【0018】
この実施形態は連動した2つの球体を有するが、全てが隔壁の形成に関わるいくつかの上方体を設けることが構想されることが可能であり、上方体は優先的には直径方向に対向する。
【0019】
好ましくは、少なくとも1つの封止要素が球栓と弁の固定体との間に設けられる。封止要素は、摩耗性材料から作られるシールおよび/またはリング、ならびに/あるいは類似の封止要素から成ってもよい。
【0020】
優先的には、複数の封止セグメントが2つの要素の間に設けられ、これらのセグメントは好ましくは、球栓の回転軸に平行な面で、かつ燃焼室内の主流方向に直交して配向される。
【0021】
同等の封止要素が2つの内側および外側球体の間に設けられてもよく、または許容可能な漏れ圧力と流量とに従って、内側球体および外側球体は、それらの間にシールを挿入せずに直接接触していてもよい。
【0022】
さらに構想された実施形態によると、弁は、隔壁または固定弁体を有する2つの対向する隔壁を画定する単一の球栓を単に備える。
【0023】
本発明はまた、上述の少なくとも1つの燃焼室を備える燃焼室モジュールであって、前記少なくとも1つの球栓を回転駆動するための手段を備え、前記駆動手段は各球栓を一定の回転速度で駆動するように優先的には設計される、燃焼室モジュールに関する。速度が可変であっても、回転の方向は優先的には無変化のままであり、それにより、駆動部の使用を容易にする。
【0024】
好ましくは、モジュールは上述の複数の燃焼室を備え、燃焼室はタービンエンジンの駆動軸を中心に、好ましくは任意選択の回転円筒型の配置に従って分配される。
【0025】
好ましくは、少なくとも1つの燃焼室について、より優先的には燃焼室のそれぞれについて、前記駆動手段は前記吸気弁および前記排気弁を同期的に段階シフトで制御するように設計される。この理由で、これら2つの弁の開放は同時に行われず、同様に前記弁の閉鎖も同じく同時に行われない。しかしながら、両方の弁が特定の時間に開放/閉鎖位置にあってもよいが、この場合これらの弁の開放/閉鎖の程度は異なる。
【0026】
最後に、本発明はそのような燃焼モジュールを備える航空ターボエンジンに関する。
【0027】
本発明のさらなる利点および特徴が以下の非限定的な詳しい説明で明らかになる。
【0028】
この説明は添付図面を参照してなされる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明によるターボジェットガス発生装置の概略側面図である。
図2図1の線II−IIに沿った概略断面図である。
図3】本発明の第1の好ましい実施形態の形態にある、先の図で示された燃焼室内に装着された燃焼室のうちの1つの斜視図である。
図4図3の平面Pに沿った長手方向断面図である。
図4a】燃焼室の排気弁が異なった位置を占める、図4に相当する部分図である。
図5図3および図4に示された燃焼室内に装着された吸気弁の球栓の分解斜視図である。
図6図3および図4に示された燃焼室内に装着された吸気弁の球栓の正面図である。
図7A図5および図6に示された弁の外側球栓の正面図である。
図7B図7Aの線B−Bに沿った断面図である。
図8A図5および図6に示された弁の内側球栓の正面図である。
図8B図8Aの線B−Bに沿った断面図である。
図9A】燃焼サイクル中の吸気弁および排気弁の状況の概略図である。
図9B図9Aに示された状況にある吸気弁の正面図である。
図9C図9Aに示された状況にある排気弁の正面図である。
図10A】燃焼サイクル中の吸気弁および排気弁の状況の概略図である。
図10B図10Aに示された状況にある吸気弁の正面図である。
図10C図10Aに示された状況にある排気弁の正面図である。
図11A】燃焼サイクル中の吸気弁および排気弁の状況の概略図である。
図11B図11Aに示された状況にある吸気弁の正面図である。
図11C図11Aに示された状況にある排気弁の正面図である。
図12A】燃焼サイクル中の吸気弁および排気弁の状況の概略図である。
図12B図12Aに示された状況にある吸気弁の正面図である。
図12C図12Aに示された状況にある排気弁の正面図である。
図13A】燃焼サイクル中の吸気弁および排気弁の状況の概略図である。
図13B図13Aに示された状況にある吸気弁の正面図である。
図13C図13Aに示された状況にある排気弁の正面図である。
図14】燃焼サイクル中の吸気弁および排気弁の開放断面を示すグラフである。
図15】燃焼室が本発明の第2の好ましい実施形態の形態にある、図4に類似の図である。
図16】代替実施形態の形態にある、第2の実施形態の燃焼室に類似の燃焼室の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1を参照すると、航空ターボエンジン1、好ましくはターボジェットのエンジンが見られる。
【0031】
発生装置は従来式に、上流から下流に、1つまたは複数のコンプレッサモジュール2、燃焼モジュール4、および1つまたは複数のタービンモジュール6を備える。従来式に、コンプレッサおよびタービンは、タービンエンジンの受動機、例えばターボジェットの場合には送風機(図示されず)を駆動するシャフトシステム8によって接続される。
【0032】
図2に示された燃焼モジュール4は、駆動軸11上のシャフトシステム8を中心に分配された複数の燃焼室10を統合することを示す。例えば14から40の間の数で設けられる燃焼室10は、優先的には全て同一である。これらの燃焼室の数は、それらのうちの1つが異常を起こした際、直径方向に対向する2つの燃焼室円筒を無効化し、したがってタービン入口での流れの反対称を防止することが可能であるように、優先的には偶数である。
【0033】
燃焼室は、いわゆる円筒の構成で配置され、それにより、好ましくは、タービンエンジンの動作中にモータケーシングに対して静止したままであることが意図される。
【0034】
各燃焼室10はCVC型であり、即ちその端で、ハンフリーサイクルの3つの連続段階、即ち吸気−燃焼−排気を実施するように同期させられた2つの吸気および排気弁によって閉鎖される。これらの燃焼室10は同一であっても、ハンフリーサイクルの実施に関して、互いに対して自発的に段階シフトされることが好ましい。一例として、吸気段階にある所与の燃焼室が燃焼段階にある別の燃焼室に隣接してもよい。
【0035】
図3および図4は燃焼室10のうちの1つを示す。この燃焼室は一般的に、燃焼室中心軸線12を中心に延びる駆動軸に平行に配向される。燃焼室10は、軸線12上に中心がある円形断面を有する円筒状側壁14を備える。この側壁は燃焼筺体16の境界を半径方向に画定する。側壁14はその前端で、軸線12上に中心があるテーパ状入口壁18を固定して支承する。同様に、側壁はその後端で、軸線12上に中心がありまたテーパ状である出口壁20を固定して支承する。壁14、18、および20は単一の回転部品から作られてもよい。
【0036】
燃焼室の上流テーパ状閉鎖壁18の幅細端で、閉鎖壁は圧縮ガス吸気弁22を備える。同様に、燃焼室の下流テーパ状閉鎖壁20の幅細端で、閉鎖壁は燃焼ガス排気弁24を備える。2つの弁22、24は本発明に特有のものであり、優先的には同一または類似の設計である。
【0037】
吸気弁22は着座の役割を果たす固定体26aを備え、この中空の固定体26aは、軸線12上に中心が位置付けられた平頭球の形状の内側表面28aを有する。この表面の直径は側壁14の内径よりも僅かに大きい。この内側表面28aの端に、直径方向に対向する2つの着座オリフィス30aがそれぞれ画定される。筺体16の側に配向された着座オリフィスは、入口壁18の幅細端と協同して画定される。反対側、コンプレッサモジュールの側に位置付けられた着座オリフィスは、コンプレッサモジュールからの圧縮ガスの吸気弁22への導入を促進するように上流方向に広がる。2つの着座オリフィス30aの形状は好ましくは、軸線12上に中心がある円形である。
【0038】
内側表面28bは、以下に詳しく記載されるように、吸気弁の2つの球栓のための支承表面の役割を果たす。しかしながら、本発明の範囲から逸脱せずに、球状支承表面は円筒状または円錐状の支承表面によって置き換えられることが可能であることに留意されたい。
【0039】
本発明の特異性の1つは、特に筺体16内の定容燃焼段階中に観察される高圧に耐えるために満足な堅牢性および満足な程度の気密性をもたらす少なくとも1つの球栓を使用することにある。より具体的には、2つの球栓は、このように本明細書ではこの第1の好ましい実施形態で使用される。
【0040】
第1に、これは固体球の形状の内側球体32aから成り、固体球は、この球の中心を通過する軸線に沿って延びるガス通路34aによって横断され、この球の中心は、着座の役割を果たす固定体の内側支承表面28aの中心に対応する。球32aは好ましくは単一の部片から作られる。任意選択で、球には、以下に記載される外側球38aの衝撃冷却および/またはこの球32aの外側表面のフィルム冷却が意図された気流循環用の冷却チャネルが穿たれる。
【0041】
球32aの通路34aは優先的には一定の断面を有する。
【0042】
弁22は、中空球の形状の外側球体38aをさらに備え、内側表面は、一方の球が他方の球に対して自由回転するのを可能にする滑り嵌めで収容および保持を可能とするために、球32aの外側表面の直径よりも僅かに大きな直径を有する。さらには、球38aの外側表面は、収容および保持されることによって球の支承表面内での自由回転も可能にするように、固定体26aの内側支承表面28aの直径よりも実質的に小さな直径を有する。
【0043】
内側球体38aには、相互に離れたオリフィス40aが設けられ、オリフィスはまた直径方向に対向する。球の厚さをそれぞれ通過する2つのオリフィス40aは、中心が球の直径上に配置される。
【0044】
連動した内側球体32aおよび外側球体38aは、駆動軸12に垂直な回転軸42aに沿って互いに対して回転可能に取り付けられる。より具体的には、各球体は、枢動部または同等の要素を使用して、着座の役割を果たす固定体26a上に回転可能に取り付けられる。以下で詳述されるように、内側球体32aおよび外側球体38aは二重反転すること、即ち軸42aを中心に反対の方向に沿って、好ましくは一定の速度で回転させられることが意図される。この点に関して、燃焼モジュール4はこれらの球栓を回転駆動するための手段を備え、図4に概略的に示されているこれらの手段46は従来式に制御ユニット、好ましくはFADECによって制御される1つまたは複数のモータを備えることに留意されたい。これらの手段46は排気弁24とさらに共有される。
【0045】
同じ図4は、オリフィス40aの中心50aと、ガス通路34aの2つの開放端54aのそれぞれの中心52aとを示す。4つの中心50a、50a、52a、52aは図4の同じ切断面P内に配置され、この直径面は回転軸42aに直交する。平面P上の中心のこの配置は、球栓32a、38aの回転中維持される。
【0046】
図5から図8Bを参照すると、2つの球栓32a、38aが示されている。図5で示されているように、球38aは、例えば溶接によって互いに固定して取り付けられる2つの半球を使用して得られてもよい。半球のそれぞれは2つのオリフィス40aのうちの1つを有する。図7Aおよび図7Bで見られるオリフィスは、図7Aのように正面から見ると、オリフィスが全体的に楕円形状を有し、長さ56aが回転軸42aに垂直に延び、この長さ56aが平面P内に位置付けられるというものである。
【0047】
同様に、図8Aおよび図8Bで見られるガス通路34aの各端54aは、図8Aで正面から見ると、端が全体的に楕円形状を有し、長さ58aが回転軸42aに垂直に延び、この長さ58aも平面P内に位置付けられるというものである。より具体的には、端54aおよびオリフィス40aは、これらの穴が燃焼室の軸線12沿って位置合わせされるとき対で互いに対して完全に連続して位置付けられるように、実質的に同一の形状を有する。したがって、この位置合わせ位置で、正面図で、長さ56a、58aは実質的に同一である。これらの長さは固定体26aのオリフィス30aの直径以下である。
【0048】
図6で、各オリフィス40aは、ガス通路34aの端54aのうちの1つと共に本発明に特有の隔壁60aを形成するのが示されている。
【0049】
したがって、各隔壁60aは、この隔壁を形成するオリフィス40aと端54aとの間の重ね合わされた面積に依存する開放断面を有し、この面積は2つの栓32a、38aの間の相対角度位置に従って変動する。隔壁60aの全開放は穴40a、54aの形状に対応し、断面は、栓32a、38aの二重反転運動中に中心50a、52aが互いに離れて円周方向に移動するにつれて減少する。同様に、全開放を得る前、断面は中心50a、52aが軸線12上で位置合わせされるまで増大する。
【0050】
穴の楕円形状に起因して、隔壁60aは開放の開始および終了時に、ガス流を満足な条件下で循環させるのに適したディスクの形状に近づいた全体形状を維持する。
【0051】
穴40a、54aの特有な配置に起因して、2つの隔壁60aは連続的に直径方向に対向し、常に同じ開放断面を備える。この点で、2つの栓の回転中に、2つの隔壁60aはそれらの中心が軸線12上で位置合わせされた状態、またはそれらの中心が前記軸線12に垂直な軸線上で位置合わせされた状態のいずれかで開くことに留意されたい。第1の場合には、これは、圧縮ガスを筺体16内に導入するための開放位置に弁22を設定することを可能にする。この構成は、各栓32a、38aの全回転中に2度得られる。上述のように、全開放時、弁固定体のオリフィス30aと位置合わせされた2つの隔壁60aは、これらのオリフィス30aの断面よりも小さな断面を有し、それにより、オリフィスがガス通路の断面に含まれないことを示唆する。
【0052】
第2の場合には、コンプレッサモジュールからの圧縮ガスは隔壁60aを介して移行しガス通路34aを通過することが可能でなく、したがって筺体16に到達することが可能でなく、なぜなら、隔壁60aが、燃焼室の燃焼室へのアクセスを与えるオリフィス30a上で開かないためである。したがって、隔壁の開放にも関わらず、弁22は閉鎖位置にある。さらには、ガス通路34a内に先に捕捉された圧縮ガスが、弁のこの閉鎖位置で燃焼室の筺体に進入しないように、シールのシステムが固定体の内側表面28aと外側球体38aの外側表面との間に設けられる。図4に戻ると、固定体26aによって支承され全てが回転軸42aに平行な平面に配置される3つの円形封止セグメントを使用して具体化されたシールのシステムの一例が示されている。システムは、着座の役割を果たす固定体26aの2つのオリフィス30aの直径面内または近傍に位置付けられた中央セグメント62aと、着座の役割を果たす固定体26aの2つのオリフィス30aの近傍に位置付けられた小直径の2つの側方セグメント64aとから成る。同等のシールが球体32a、38aの間に置かれてもよいが、球体はシールなしで直接球面接触していることが好ましい。
【0053】
結果として、隔壁60aが燃焼室の軸線12に垂直に位置合わせされるとき、ガス通路34a内に先に捕捉された圧縮ガスは、下流方向のガス漏れを防止する下流側方シール64aの存在に起因して、筺体16の方に排気されることが可能でない。
【0054】
再度図4を参照すると、燃焼ガス排気弁24は、上述の吸気弁22と同一または類似の設計を有することに留意されたい。したがって、弁22の要素と同一または類似である弁24の要素は同じ参照番号を有し、拡張子「a」が拡張子「b」によって置き換えられるだけである。
【0055】
結果として、ここでも穴40b、54bの特有の配置に起因して、2つの隔壁は連続的に直径方向に対向し、常に同じ開放断面を有する。また2つの栓の回転中、2つの隔壁は、それらの中心が軸線12上で位置合わせされた状態、またはそれらの中心が前記軸線12に垂直な軸線上で位置合わせされた状態のいずれかで開く。第1の場合には、これは、筺体16外への圧縮ガスの排気を可能にする開放位置に弁24を設定することを可能にする。この構成は、各栓32b、38bの全回転中に2度得られる。上述のように、全開放時、弁固定体のオリフィス30bと位置合わせされた2つの隔壁は、これらのオリフィス30bの断面よりも小さな断面を有し、それにより、オリフィスがガス通路の断面に含まれないことを示唆する。
【0056】
隔壁60bが軸線12に垂直な軸線に沿って位置合わせされる図4aに示された第2の場合には、排気ステップ後にガス通路34b内に捕捉された燃焼ガスは、隔壁60bおよび上流オリフィス30bを介して移行することによって放出されて、続いて矢印によって概略的に示されているように筺体16に到達してもよい。これは特に、上流側方シールセグメントの非存在と、固定体の下流オリフィス30bの直径よりも大きな直径を有する上流オリフィス30bとによって可能にされ、それにより、吸気弁22との2つの相違を示す。このようにして、上流オリフィス30bは入口壁18の下流オリフィス30aよりも大きな直径を有し、これは、異なった形状の入口壁18および出口壁20を設けることによって得られ、出口壁は入口壁ほど軸線12に近づかない。ガスのこの放出は、上述の排気ステップに続く燃焼ステップ中に筺体16内の混合物を点火するためのEGRとも呼ばれる燃焼ガス再循環の機能を得ることを可能にする。このEGRの点火は、従来技術から知られている従来式の点火と協同して行われることが好ましい。
【0057】
次に図9Aから図14を参照して、次に燃焼室10における定容燃焼サイクルの異なった段階について説明する。このサイクル中、上述のように、駆動手段は反対の方向に同一速度を弁の球栓に適用する。さらには、同期させられた吸気弁と排気弁との間には段階シフトがあり、図9Aから図13Cで明確に分かるように、これらの弁の開放および閉鎖は同時に行われない。
【0058】
図14のグラフでは、曲線(C1)は排気弁24の開放断面を示し、したがって、隔壁60bが燃焼室の軸線12に沿って位置合わせされるときの隔壁の開放断面に対応する。曲線(C2)は吸気弁の開放断面を示し、隔壁60aが燃焼室の軸線12に沿って位置合わせされるときの隔壁の開放断面に対応する。最後に、曲線(C3)は排気弁24のEGR開放断面を示し、隔壁60bが燃焼室の軸線12に垂直な軸線に沿って位置合わせされるときの隔壁の開放断面に対応する。段階「E」、「A」、「C」はそれぞれ排気段階、吸気段階、燃焼段階に対応する。
【0059】
図9Aから図9Cで、弁22および24は排気段階を実施するための構成にある。隔壁60bの開放断面は最大であり、したがって、この状況は図14のグラフ上の時間t1の状況に対応する。この時間に、弁22はまさに開き始めて、新たなサイクルの吸気段階を開始する。したがって、隔壁60aの通路断面は極めて小さい。
【0060】
図10Aから図10Cに示されている吸気段階の中間では、隔壁60aの開放断面は最大であり、したがって、この状況は図14のグラフ上の時間t2の状況に対応する。この時間に、弁24はほぼ完全に閉鎖されて、燃焼段階を開始する。したがって、隔壁60bの通路断面は極めて小さい。
【0061】
図11Aから図11Cは、2つの弁22、24が閉鎖される燃焼段階を示す。一方、排気弁24はEGR構成、即ち図4aに示された状況にある。したがって、通路34b内に先に捕捉された燃焼ガスは燃焼筺体内で再循環される。この場合、EGRの開放断面は最大であり、図14のグラフ上の時間t3に対応する。
【0062】
図12Aから図12Cは、図14のグラフ上の時間t4に排気段階を開始する直前の弁を示す。排気弁の隔壁60bは開く準備ができているが、吸気弁22は閉鎖位置にあるままである。
【0063】
図13Aから図13Cは、排気段階中の図9Aから図9Cに示された弁の位置への弁の復帰を示す。結果として、各球栓の半回転中に全燃焼サイクルが行われ、または言い換えれば、各球栓の全回転は全燃焼サイクル2回に相当する。
【0064】
図15は、燃焼室10の第2の好ましい実施形態を示し、この第2の実施形態は、各弁22、24が球栓を2つではなく1つだけ有する点で第1の実施形態とは異なる。その形状は、上述の外側栓38aの形状または内側栓32aの形状と同一または類似であってもよい。この単一の栓から選択される形状に関わらず、栓内の穴を使用して、かつ着座の役割を果たす固定体26a、26bのオリフィス30a、30bを使用して隔壁が次いで形成される。燃焼室の他の要素は、燃焼サイクルを実施するための方法と共に変わらない。
【0065】
最後に、図16は、排気弁24が第1の好ましい実施形態の吸気弁のシールシステムと同一または類似の3セグメントシールシステムを有する代替実施形態を示す。この場合、単一の球栓38bが中央シール62bと下流側方シール64bとの間に配向されるそのオリフィス40bを有するとき、上述のガス通路34bに匹敵する球の中空内に先に捕捉された燃焼ガスを1つまたは複数の適切な導管70を介して別の隣接する燃焼室の方に再噴射することが可能である。これらの導管70は、2つのシールセグメント64b、62bの間の球状内側表面28bで開くために、固定体26bを通過する通路72に接続される。
【0066】
これは、隣接する燃焼室10にEGR機能をもたらすことを可能にし、燃焼室は好ましくは、燃焼サイクルの実施において段階シフト、この場合は僅かな遅れを有する。シリンダモジュール4の全ての燃焼室は、図16に示されたものと同一または類似の形で互いに接続されることが可能である。
【0067】
当業者によってさまざまな修正形態が単に非限定的な例として上述された本発明になされてもよいことは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図4a
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
【国際調査報告】