特表2015-528143(P2015-528143A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-528143複合システムを監視する情報処理システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528143(P2015-528143A)
(43)【公表日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】複合システムを監視する情報処理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20150828BHJP
   F02K 9/38 20060101ALI20150828BHJP
【FI】
   G05B23/02 302T
   F02K9/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-514556(P2015-514556)
(86)(22)【出願日】2013年5月27日
(85)【翻訳文提出日】2015年1月26日
(86)【国際出願番号】FR2013051168
(87)【国際公開番号】WO2013178922
(87)【国際公開日】20131205
(31)【優先権主張番号】1254901
(32)【優先日】2012年5月28日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル ゴニデック、セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】マリコフ、ディミトリ
(72)【発明者】
【氏名】ベレッシェ、イオン
(72)【発明者】
【氏名】ベレッシェ、ステファン
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA03
3C223AA17
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB07
3C223FF03
3C223FF04
(57)【要約】
本発明は、複合システムを監視するデータプロセッサシステム(MODFD)に関し、前記プロセッサシステムは、複数点の状態情報(MSGPB、MSGCAP)を受信し、かつ、少なくとも前記複数点の状態情報を一点の故障情報(MSGPC)にマージ処理するように、構成され、前記複数点の状態情報のうちの少なくとも1つは、信頼フラグ(NC2)と関連付けられ、前記一点の故障情報も、同様に、信頼フラグ(NC3)と関連付けられ、前記マージ処理は、ファジィ論理技術を実装することによって、前記複数点の状態情報の前記各信頼フラグ(NC2)を考慮しながら前記一点の故障情報を生成するように、かつ、前記故障情報と関連付けられた前記信頼フラグ(NC3)を生成するように、実行される、ことを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合システムを監視するデータプロセッサシステム(MODFD)であって、
前記プロセッサシステムは、複数点の状態情報(IDFLAG、MSGPB、MSGCAP)を受信し、かつ、少なくとも前記複数点の状態情報を一点の故障情報(MSGPC)にマージ処理するように、構成され、
前記複数点の状態情報のうちの少なくとも1つは、信頼フラグ(NC2)と関連付けられ、
前記一点の故障情報も、同様に、信頼フラグ(NC3)と関連付けられ、
前記マージ処理は、ファジィ論理技術を実装することによって、前記複数点の状態情報の前記各信頼フラグ(NC2)を考慮しながら前記一点の故障情報を生成するように、かつ、前記故障情報と関連付けられた前記信頼フラグ(NC3)を生成するように、実行される、データプロセッサシステム。
【請求項2】
前記複数点の状態情報(図12図14)を組み合わせるために、確定ルールが用いられ、または、前記複数点の状態情報(図15)を組み合わせるために、ファジィルールが用いられる、請求項1に記載のデータプロセッサシステム。
【請求項3】
前記状態情報は、確定属性関数(図8)、ファジィ属性関数(図9)、1つのクラスが他のクラスに対して強化された属性関数(図10)、または、前記状態情報の規模が信頼レベルとクロス集計された属性関数(図11)、とのファジィ化を受ける、請求項1または2に記載のデータプロセッサシステム。
【請求項4】
Mamdaniの方法(図12図15)またはLarsenの方法を用いて、推論が実行される、請求項1から3のいずれか1項に記載のプロセッサシステム。
【請求項5】
前記ルールは、最大演算子(MAX)または最小演算子(MIN)を用いて集められる、請求項1から4のいずれか1項に記載のプロセッサシステム。
【請求項6】
前記最大値(MM)を平均する方法または重心方法(CG)を用いて、脱ファジィ化が実行される、請求項1から5のいずれか1項に記載のデータプロセッサシステム。
【請求項7】
前記複数点の状態情報は、サブシステムの同一性(IDSS)またはコンポーネントの同一性(IDCOMP)を含む状態メッセージで受信される、請求項1から6のいずれか1項に記載のデータプロセッサシステム。
【請求項8】
前記複数点の状態情報は、タイムスタンプ(DATE)を含む状態メッセージで受信される、請求項1から7のいずれか1項に記載のデータプロセッサシステム。
【請求項9】
各点の状態情報は、規模と関連付けられる、請求項1から8のいずれか1項に記載のデータプロセッサシステム。
【請求項10】
複合システムを監視するデータ処理方法(MODFD)であって、
前記方法は、複数点の状態情報(MSGPB、MSGCAP)を受信するステップと、前記複数点の状態情報のうちの少なくとも1つを一点の故障情報(MSGPC)にマージ処理するステップと、を含み、
前記複数点の状態情報のうちの少なくとも1つは、信頼フラグ(NC2)と関連付けられ、
前記一点の故障情報も、また、信頼フラグ(NC3)と関連付けられ、
前記マージ処理は、ファジィ論理技術を実装することによって、前記複数点の状態情報の前記各信頼フラグ(NC2)を考慮しながら一点の故障情報を生成するように、かつ前記一点の故障情報と関連付けられた前記信頼フラグ(NC3)を生成するように、実行されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばロケットエンジンなどの、複合システム内の故障信号を検出して解析するシステムおよび方法の分野に位置する。
【背景技術】
【0002】
この分野では、「フラグ」として知られている障害指標は、複合システムの所与の場所に設置されかつ1つ以上の物理的な規模を測定する1つのセンサまたは1セットのセンサが、場合によっては測定データを処理した後で、基準値からの逸脱を検出するたびに、アクティブにされる。
【0003】
このような障害フラグは、コンポーネント、サブシステム、完全なシステム、またはときにはセンサに関する疑わしい障害(または故障)を示すことができる。複数の障害フラグまたは複数セットの障害フラグを故障と関連付けるやり方が知られており、これは(人間によってまたは自動的に)処置を取る決定のための診断である。このように、例としてロケットエンジンでは、1つの障害フラグは、タービンにおける高レベルの振動に関係することができ、もう1つの障害フラグは、タービンの低効率性に関係することができる。このような状況下では、両方のフラグは組み合わせて、タービン翼の損害と関連付けることができる。障害フラグと故障の間のリンクは、本システム用のツリー構造に応じて配列された行列を用いて確立されるが、この行列は、1サブシステムずつ展開することができる。
【0004】
文献の国際公開第2011/104466号パンフレットは、信頼レベルを各障害フラグと関連付けること、受信された未処理の故障メッセージから開始すること、メッセージが、コンポーネント故障、サブシステム故障、完全なシステムの故障、またはセンサ故障と関連付けられるかどうかにかかわらず、未処理の障害メッセージからの情報をマージすることによって、1つ以上の、信頼レベルを含む連結メッセージを発生させること、をさらに開示する。
【0005】
障害フラグをこのようにマージすることによって、高レベルの決定を行うことが可能になる。マージ処理用のフラグは、冗長な情報、相補的情報、一貫性のあるもしくは相反する情報、記号的情報、またはデジタル的情報を構成することができ、これらは、これらの欠陥(不正確さ、不確実性、不完全性)を表すそれぞれの信頼レベルを有することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マージ処理は、集中型のもしくは分散型のアーキテクチャで、または実際には階層型のアーキテクチャで実行することができる。集中機能は、分散機能と共存することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、人工知能から導き出された記号法を用いて、当該マージ処理を実行しようと努める。特に、本発明は、複合システムを監視するデータプロセッサシステムを提供し、前記プロセッサシステムは、複数点の状態情報を受信し、かつ、少なくとも前記複数点の状態情報を一点の故障情報にマージ処理するように、構成され、前記複数点の状態情報のうちの少なくとも1つは、信頼フラグと関連付けられ、前記一点の故障情報も、同様に、信頼フラグと関連付けられ、前記マージ処理は、ファジィ論理技術を実装することによって、前記複数点の状態情報の前記各信頼フラグを考慮しながら前記一点の故障情報を生成するように、かつ、前記故障情報と関連付けられた前記信頼フラグを生成するように、実行される、ことを特徴とする。
【0008】
さまざまな実施形態においては、前記複数点の状態情報を組み合わせるために、確定ルールが用いられ、または、前記複数点の状態情報を組み合わせるために、ファジィルールが用いられ、前記状態情報は、確定属性関数、ファジィ属性関数、1つのクラスが他のクラスに対して強化された属性関数、または、規模が信頼レベルとクロス集計された属性関数、とのファジィ化を受ける。Mamdaniの方法またはLarsenの方法を用いて、推論が実行される、前記ルールは、最大演算子または最小演算子を用いて集められる、前記最大値を平均する方法または重心方法を用いて、脱ファジィ化が実行される、ことも可能である。
【0009】
前記複数点の状態情報は、サブシステムの同一性、コンポーネントの同一性、あるいは、タイムスタンプ(DATE)を含む状態メッセージで、受信されてよい。
【0010】
また、本発明は、複合システムを監視するデータ処理方法も提供し、前記方法は、複数点の状態情報を受信するステップと、前記複数点の状態情報のうちの少なくとも1つを一点の故障情報にマージ処理するステップと、を含み、前記複数点の状態情報のうちの少なくとも1つは、信頼フラグと関連付けられ、前記一点の故障情報も、また、信頼フラグと関連付けられ、前記マージ処理は、ファジィ論理技術を実装することによって、前記複数点の状態情報の前記各信頼フラグを考慮しながら一点の故障情報を生成するように、かつ前記一点の故障情報と関連付けられた前記信頼フラグを生成するように、実行されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、次の図を参照して、以下で説明される。
図1図1は、本発明が実行されるやり方の全体図である。
図2-4】図2図4は、図1の詳細を示す。
図5図5は、本発明の応用の特定例を示す。
図6図6は、本発明の一部の実施形態において用いられる第2の手段を示す。
図7図7は、本発明の一部の実施形態において用いられる第3の手段を示す。
図8図8は、本発明の一実施形態の第1の特定の態様、すなわちファジィ化ステップ、を示す。
図9-11】図9図11は、それぞれ他の実施形態に対応する一態様を示す。
図12図12は、本発明の一実施形態の第2の特定の態様、すなわちマージ処理ルールの応用、を示す。
図13-15】図13図15は、それぞれ他の実施形態に対応する一態様を示す。
図16図16は、本発明の2つの実施形態の第3の特定の態様、すなわち脱ファジィ化、を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の一部の態様の詳細な説明が続く。
【0013】
図1は、データ・マージ・モジュールMODFDを示す。同モジュールは、入力として1つ以上の状態メッセージ(同メッセージは、国際公開第2011/104466号パンフレットに説明された未処理の故障メッセージに対応)を受信するが、本例ではMSGPB1およびMSGPB2として参照された2つのこのようなメッセージがある。これらのメッセージのそれぞれは、一点の状態情報INFPBおよびある信頼レベルNC2(ここでアラビア数字2は、これがすでに部分的に連結された信頼レベルであり、何らかのやり方で元の信頼レベルから導き出されることを指し示す)を含む。図1において、参照符号INFPBおよびNC2の後に、同参照符号が添付された状態メッセージの番号を参照するそれぞれの添え字が続く。
【0014】
データ・マージ・モジュールMODFDは、センサMSGCAPの状態に関係するメッセージも受信するが、本例は、MSGCAP1およびMSGCAP2として参照された当該メッセージを有し、同メッセージはそれぞれ信頼レベルNC1と関連付けられる。
【0015】
ある種の単純な状況では、センサ故障メッセージの数と状態メッセージの数は同一であり、各センサ故障メッセージは、センサに関係するプロセスでトリガされた状態メッセージと関連付けられ、同センサの故障状態は同センサ故障メッセージによって信号で送られる。
【0016】
モジュールMODFDは、連結された故障情報INFPCおよび連結された信頼レベルNC3を備える連結された故障メッセージを出力し、この場合添え字3は、信頼レベルNC2に対して追加の連結ステップを指し示す。
【0017】
ある種の単純な状況では、モジュールMODFDは、単一のメッセージMSGPCを生成するが、同モジュールは、いくつかの当該メッセージを生成することもでき、当該メッセージの数は、同モジュールが入力として受信する状態メッセージMSGPBの数よりも少ないことが好ましい。
【0018】
図2に、メッセージMSGPBの構造が示される。当該メッセージは、例えば順に、タイムスタンプDATE、サブシステム識別子IDSS、コンポーネント識別子IDCOMP、基準サブシステムまたは基準コンポーネントに関係するメッセージによって規定される故障、上述した信頼レベルNC2、および障害フラグ識別子IDFLAGを含む。識別子IDSS、IDCOMP、およびIDFLAGは、所定の取り決めを適用する際に選択される。複数点の情報DATE、IDSS、IDCOMP、およびIDFLAGは、情報INFPBを構成する。
【0019】
図3に、メッセージMSGCAPの構造が示される。当該メッセージは、例えば順に、タイムスタンプ、サブシステム識別子IDSS、センサ識別子IDCAP、信頼レベルNC1(ここで数字1は、信頼レベルが元の値であるが何らかのやり方で部分的に連結されている値とすることもできることを指し示す)、および障害フラグ識別子IDFLAGを含む。識別子IDCAPは、所定の取り決めを適用する際に選択される。
【0020】
図4に、メッセージMSGPCの構造が示される。当該メッセージは、例えば順に、タイムスタンプDATE、サブシステム識別子IDSS、コンポーネント識別子IDCOMP、上述した信頼レベル、および故障識別子IDFAILUREを含む。識別子IDSS、IDCOMP、およびIDFAILUREは、所定の取り決めを適用する際に選択される。複数点の情報DATE、IDSS、IDCOMP、およびIDFAILUREは、情報INFPCを構成する。
【0021】
図5は、故障を検出して診断するために種々のセンサによって監視された複合システムの具体例を示す。同システムは、液体酸素および液体水素で作動して高温ガスを生成するロケットエンジンである。センサは、水素タービンTH、水素ポンプPH、酸素タービンTO、および酸素ポンプPOを監視する。計算機能および情報処理機能は、状態メッセージおよびセンサ故障メッセージを発生させる。水素タービンおよび水素ポンプから得られる状態メッセージは、水素タービンおよび水素ポンプアセンブリTPHに関係する連結メッセージを形成するように、モジュールMODFD内でマージされる。平行して、酸素タービンおよび酸素ポンプから得られる状態メッセージは、酸素タービンおよび酸素ポンプアセンブリTPOに関係する連結メッセージを形成するように、モジュールMODFD内でマージされる。その後、アセンブリTPHおよびアセンブリTPOから得られる連結メッセージは、エンジン全体に関係する連結メッセージを形成するように、モジュールMODFD内で再びマージされる。
【0022】
障害フラグは、確定法またはファジィ法で、種々の規模レベルに対してアクティブにすることができ、次の2つの表に説明されるように、確定法でアクティブにされているフラグおよびファジィ法でアクティブにされているフラグを連続して示す。
【0023】
図6は、モジュールMODFDにも使用される対応表GCRPを示す。表GCRPは、1つ以上の故障と1つ以上の状態フラグとで構成された対を関連付ける。故障情報を得るために、故障を記録した表に述べられた状態フラグが、表内に与えられた係数で重み付けされた後でマージされる。特定の実施形態において、フラグは2つ1組でマージされ、1および2の番号を付けられたフラグから開始して、次いでこのマージ結果をフラグ3とマージし、次いでこの新たなマージ結果をフラグ4とマージするなど、問題になっている故障のための非ゼロ重み付け係数を有するすべてのフラグを使い切るまで、マージする。別の実施形態が可能である。最終結果は、故障が存在しないこと、またはある程度の規模およびある程度の信頼レベルの故障が存在していること、を指し示すことができる故障フラグである。
【0024】
図7は、モジュールMODFDに用いられるファジィ論理システムを示す。同システムは、非ファジィ入力からファジィ入力を発生させるファジィ化モジュール810と、ファジィ化モジュール810によって発生したファジィ入力からファジィ出力を発生させる推論エンジン820と、および最後に推論エンジン820によって発生したファジィ出力から非ファジィ出力を発生させる脱ファジィ化830とを備える。推論エンジン820は、ルールベース、前提の組み合わせ、含意、およびファジィルールの集合を用いる。
【0025】
モジュール810、820、および830で構成されたファジィ論理システムは、監視された複合システムの所与のパラメータに対して、非ファジィ形式で得られたある程度の数の入力障害フラグ(E)を処理するように動作する。この非ファジィ形式は、以前の状態に依存しない瞬間の現実の形式とすることができ、または何らかのやり方でフラグの以前の状態を含む仮想の形式もしくは動的な形式とすることができる。このように、所与の瞬間において、第1状況のフラグは、単一の一度限りのメッセージを実質的に備えることができ、または第2状況のフラグは、連続形式を有する時変信号で構成することができる。当然のことながら、両状況の組み合わせは可能である。一変形例において、非ファジィ形式は、相異なるメッセージMSGPBおよびMSGCAPに基づいて、図6の対応表GCRPで得られる。
【0026】
障害フラグの非ファジィ値は、規模および信頼レベル対を備えた一対であり、規模(不調レベル)は、例えば値「−1」、「0」、「1」、「2」、および「3」(例えばそれぞれ「情報なし」、「順調」、「軽度の不調」、「重度の不調」、および「故障」に対応)の中から選択され、信頼レベルは、連続範囲[0、1]内に位置することができ、この場合、0は最小信頼であり、1は最大信頼である。
【0027】
図8は、障害フラグのファジィ値に対する確定属性関数μを示す。ファジィ化モジュール810によって生成された障害フラグのファジィ値は、同図に図式的に表される。変数C−1、C0、C1〜C3のクラスもまた示される。これらは重なり合わない。クラスの値は、次表に応じて(クラス−1を別にすれば)左側に開かれ、右側に閉じられた線分で構成される(CLは信頼レベルを示す)。
【0028】
図9は、障害フラグのファジィ値に対するファジィ属性関数μを示す。変数クラスC−1、C0、C1〜C3もまた示される。クラスの値は、左側に開かれ、右側に閉じられた線分で構成される。クラスC0〜C3は、次表に応じて2つ1組で重なり合う。
【0029】
図10は、上述した関数に基づいているが、次表に応じてクラスC0を強化したファジィ属性関数μを示す。
【0030】
図11は、図9の関数に基づき、かつ次表に応じて規模(不調レベル)を信頼レベルとクロス集計すること(NDとNCの間でクロス集計されたファジィ化)によって得られたファジィ属性関数μを示す。
【0031】
エンジン820によって実行される推論に対して、Mamdaniの方法およびLarsenの方法を用いることが可能である。故障モード影響解析(FMEA)、ならびに経験からのフィードバック情報から導き出されたルールベースが用いられる。このように用いられるルールの例には、ただ1つの障害フラグがアクティブにされる場合にはマージフラグは入力フラグと同一である、複数のアクティブにされた障害フラグはマージすることができる、組み合わせルールは「AND」、「OR」、またはこれらの両方を含む、などがある。確定ルールの一例は、次表で与えられる。
【0032】
同時にアクティブにされた複数のルールがOR演算子によって関連付けられる場合、同ルールは、最大演算子によって集めることができ、
同時にアクティブにされた複数のルールがAND演算子によって関連付けられる場合、最小演算子によって集めることができる。
【0033】
図12および図13は、確定属性関数(図8)用に、および上述した表に示された確定組み合わせルール用に、推論エンジン820によって実行された障害フラグマージ処理の一実施形態を示す。図12は、問題になっている瞬間において、第1フラグが、規模3で信頼レベル0.8を有し、第2フラグが、規模3で信頼レベル1を有する場合の一例を示す。上述した表に与えられた確定ルールは、規模3で信頼レベル1の故障フラグを構成するマージ処理結果を与える。
【0034】
図13に、規模1で信頼レベル0.9、すなわちファジィ値1.9の1つのフラグ、ならびに規模3で0.7に等しい信頼レベルでファジィ値3.7のもう1つのフラグを有する別の例が与えられる。生成されたファジィ値は2.85であり、1.9および3.7を平均して得られる。用いられた方法は、前提を組み合わせるためにかつルール含意のためにMin演算子を有するMamdaniの方法である。
【0035】
図14は、障害フラグをマージする一例を示し、ファジィ属性関数(図9に示すように)ならびに上述した表の確定ルールが存在するときに推論エンジン820によって実行される。マージ処理プロセスは、規模−1を有するルールを除いて、すべてのルールに用いられる。本明細書において説明された例は、規模3で信頼レベル0.4の1つのフラグ、ならびに規模2で0.6に等しい信頼レベルのもう1つのフラグを有する。2つのフラグのファジィ値は、16コンポーネントを有し、マージされると、16コンポーネントを有する1つのファジィフラグが得られる。本例においてファジィフラグは、最大演算子によって集められる。
【0036】
図15は、(図9に示された関数などの)ファジィ属性関数を有しかつ下表に説明するようなファジィルールを有する推論エンジン820によって実行された障害フラグマージ処理の一例を示す。
【0037】
問題になっている瞬間において、規模2で信頼レベル1および同時に規模3で信頼レベル0.8から成る第1フラグを示す一例が説明される(図15)。第2フラグは、規模3で信頼レベル1であるが、残りの規模は非アクティブである。上述の表に与えられたファジィルールは、規模3で信頼レベル0.9のフラグならびに規模2で信頼レベル0.1のフラグを構成するマージ処理結果を与える。
【0038】
脱ファジィ化モジュール830は、あらかじめ生成されたファジィ値に基づいて非ファジィ値を生成する。図13に示されたシナリオでは、最大値(MM)の平均は、非ファジィマージ処理済みフラグを得るのに用いられる。示された例では、規模は値2であり、信頼レベルは0.85である。図14に示されたシナリオでは、2つの代替の可能性が用いられ、これらが図16に示される。第1の可能性は重心方法(CG)であり、これは規模2で信頼レベル0.8をもたらし、第2の可能性は最大値の平均を選択する方法であり、これは規模2で信頼レベル1をもたらす。
【0039】
本発明は、本明細書で説明される分野、すなわち問題になっている複合システムがロケットエンジンである分野、以外の分野に応用される。
【0040】
第1例は、洪水などの自然現象に関して警報を発生させるために、意思決定のプロセスを構成する。複合システムは、一地域、その地域の大気、その地域の水源、およびその地域の地下水面で構成される。
【0041】
第1点の状態情報は、信頼フラグと関連付けられた気象観測、およびその気象観測からその信頼フラグと関連付けて推定された予想雨量に関係することができる。
【0042】
第2点の状態情報は、その信頼フラグと関連付けられた地下水面の高さに関係することができる。
【0043】
第3点の状態情報は、やはり信頼フラグと関連付けられた風向に関係することができる。
【0044】
本明細書で説明された故障は洪水であり、故障情報は、本発明の原理を用いて生成された信頼レベルと関連付けられる。
【0045】
第2例は、疫学的警報、例えばインフルエンザに関する警報、を与えるプロセスに関係する。この複合システムは、人間である。
【0046】
第1点の状態情報は、インフルエンザの伝播のレベル(高、中、または低)に関係し、同情報は信頼レベルと関連付けられる。
【0047】
第2点の状態情報は、危険にさらされている人々(例えば高齢者)の脆弱性(高、中、または低)に関係し、同情報は信頼レベルと関連付けられる。このような脆弱性が、例えば天候などの他のパラメータの関数として変化することを思い出されたい。
【0048】
第3点の状態情報は、利用可能な治療の有効性(極めて良好な、良好な、または不足している)に関係し、同情報はやはり信頼レベルと関連付けられる。
【0049】
本例において、故障情報は、全住民を保護する通常の対策が十分でないことを意味し、同情報は信頼レベルと関連付けられる。この情報に基づいて、当局は、場合によっては全住民を保護する特別な対策を取ることもある。
【0050】
別の例は、原子力産業応用に関係し、より正確には原子力発電所型の設備のメンテナンスに関する意思決定に関係する。
【0051】
第1点の状態情報は、熱衝撃レベル、または累積熱衝撃レベルを表す、経時的に積算されたレベルに関係し、この場合熱衝撃は一時的現象の結果である。この第1点の情報は、信頼フラグと関連付けられる。
【0052】
第2点の情報は、金属の延性の劣化レベルを表し、そのレベルは、観測を利用するモデル上で実行された計算の結果であり、同情報は信頼フラグと関連付けられる。
【0053】
故障情報は、監視されたシステムの故障に関係し、信頼レベルと関連付けられて、メンテナンス動作を指令する役目を果たす。
【0054】
本発明は、限定的ではない実施形態を参照して説明されたが、本発明は、請求項の範囲の限度内において任意の変形例に及ぶ。
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【国際調査報告】